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Ionization device, mass spectrometer including the ionization device, image display system including the mass spectrometer, and analysis method

阅读:1036发布:2020-09-06

专利汇可以提供Ionization device, mass spectrometer including the ionization device, image display system including the mass spectrometer, and analysis method专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide: an ionization device excellent in ionization even under an atmospheric pressure environment; a mass spectrometer including the ionization device; an image display system including the mass spectrometer; and an analysis method.SOLUTION: An ionization device comprises: a holding portion holding a sample; a probe arranging a liquid on a surface of the sample to form a liquid bridge between the probe and the sample; an electrode forming, at the probe, a Taylor cone including a substance contained in the sample, and releasing the ionized substance from the Taylor cone; a voltage applying unit applying a voltage to the electrode; and a light source emitting laser light. The light source is arranged so that the laser light irradiates the Taylor cone.,下面是Ionization device, mass spectrometer including the ionization device, image display system including the mass spectrometer, and analysis method专利的具体信息内容。

  • 試料を保持する保持部と、前記試料の表面に液体を配置して前記試料との間で液架橋を形成するプローブと、前記試料が有する物質を含むテイラーコーンを前記プローブに形成し且つイオン化した前記物質を前記テイラーコーンから放出させる電極と、前記電極に電圧を印加する電圧印加部と、レーザー光を発する光源と、を有するイオン化装置であって、前記レーザー光が前記テイラーコーンを照射するよう前記光源が配置されていることを特徴とするイオン化装置。
  • 前記電極が、前記液架橋を形成する位置とは異なる位置に前記テイラーコーンを形成する電極でもあることを特徴とする請求項1に記載のイオン化装置。
  • 前記光源が、前記液架橋に前記レーザー光を照射しないよう配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン化装置。
  • 前記プローブと前記試料が繰り返し近づいたり離れたりするように、前記プローブおよび前記保持部のうちの少なくとも一方を振動させる振動付与部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン化装置。
  • 前記振動付与部が前記プローブを振動させることを特徴とする請求項4に記載のイオン化装置。
  • 前記レーザー光がパルス発振することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のイオン化装置。
  • 前記保持部を移動させる移動部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のイオン化装置。
  • 前記レーザー光の照射のタイミングを、前記試料の振動のタイミング、前記プローブの振動のタイミング、前記電極への電圧印加のタイミング、のうちの少なくとも一つと同期させるための同期回路を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のイオン化装置。
  • 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のイオン化装置をイオン化部として有し、さらに、イオン化した前記物質の質量を分析する質量分析部と、前記試料における分析位置を特定する分析位置特定部と、を有することを特徴とする質量分析装置。
  • 前記レーザー光の照射のタイミングを、前記質量分析部が有するイオン数計測器の動作タイミングと同期させるための同期回路を有することを特徴とする請求項9に記載の質量分析装置。
  • 請求項10に記載の同期回路が、請求項8に記載の同期回路と同一のものであることを特徴とする請求項10に記載の質量分析装置。
  • 請求項9〜11のいずれか一項に記載の質量分析装置と、該質量分析装置に接続する画像表示部と、を有する画像表示システムであって、前記分析位置特定部が、前記試料の分析位置の情報と、前記質量分析装置から得られる質量の情報と、から前記試料が有する物質の分布を画像表示するための画像情報を形成する画像表示システム。
  • 液体に電圧を印加する工程と、
    前記液体を試料の表面に配置してプローブと前記試料との間に液架橋を形成する工程と、
    電極に電圧を印加して前記プローブに前記試料が有する物質を含むテイラーコーンを形成する工程と、
    前記テイラーコーンにレーザー光を照射する工程と、
    前記テイラーコーンから放出されイオン化した前記物質の質量を分析する工程と、
    を有する分析方法。
  • 前記テイラーコーンにレーザー光を照射する工程が、前記試料もしくは前記プローブのうちの少なくとも一つを振動させている状態で前記レーザー光を前記テイラーコーンに照射する工程であることを特徴とする請求項13に記載の分析方法。
  • 前記テイラーコーンにレーザー光を照射する工程が、前記プローブを振動させている状態で、前記レーザー光を前記テイラーコーンに照射する工程であることを特徴とする請求項14に記載の分析方法。
  • 说明书全文

    本発明は、イオン化装置、該イオン化装置を有する質量分析装置、該質量分析装置を有する画像表示システム、分析方法に関するものである。

    固体試料の表面の成分分析のために固体を大気圧環境下でイオン化させる技術がある。

    また、イオン化技術を利用して、表面のどこにどのような物質が存在するのかを画像表示するイメージング質量分析(Imaging Mass Spectrometry:IMS)が研究されている。

    特許文献1には、大気圧環境下で固体表面の微小領域に溶媒を付与して溶媒に溶解した物質(溶質)をイオン化させる方法が示されている。

    特許文献1では、2本のキャピラリを用いることが示されている。 2本のキャピラリは互いの端部が非常に近い位置に位置決めされている。 一方のキャピラリからは溶媒が供給され、他方のキャピラリは固体からの溶質を有する溶媒(溶液)をイオン化部分まで移動させる。 溶媒に高電圧が印加され、上述の他方のキャピラリの端部のイオン化部分において溶質はイオン化される。

    また、被分析物が混合した液体試料にレーザー光を照射し、被分析物のイオン化効率を向上させる方法が提案されている(特許文献2)。

    特許文献2の方法では、液体中の分子の赤外レーザー光の吸収による、局所的な加熱を利用することで、イオン化が促進されることが知られている。

    米国特許第8097845号明細書

    特許第4366508号

    特許文献1に開示されている方法では、試料を溶媒に溶解する工程(サンプリング工程)と、イオン化が発生する工程(イオン化工程)の場所が分離されており、各工程の間に時間差が発生するため、高速に分析を行うことが困難であった。

    また、サンプリング工程とイオン化工程は1つの流路で接続されており、試料が溶解した溶媒はこの流路を経由してイオン化工程へと導かれる。 固体表面の成分の分布を把握するために、試料の表面をキャピラリで走査する場合、試料が溶解した溶媒が流路を経由する間に混合され、サンプリング工程の位置と、得られるイオンの分析結果を一致させることが困難になる場合があった。

    特許文献2に開示されている方法では、試料は事前に溶媒に溶解しておくことが必要であり、試料の微小領域を溶解させ、速やかにイオン化を行うことは困難であった。

    そこで、本発明は、試料を保持する保持部と、前記試料の表面に液体を配置して前記試料との間で液架橋を形成するプローブと、前記試料が有する物質を含むテイラーコーンを前記プローブに形成し且つイオン化した前記物質を前記テイラーコーンから放出させる電極と、前記電極に電圧を印加する電圧印加部と、レーザー光を発する光源と、を有するイオン化装置であって、前記レーザー光が前記テイラーコーンを照射するよう前記光源が配置されていることを特徴とするイオン化装置を提供する。

    また、別の本発明は、液体に電圧を印加する工程と、前記液体を試料の表面に配置してプローブと前記試料との間に液架橋を形成する工程と、電極に電圧を印加して前記プローブに前記試料が有する物質を含むテイラーコーンを形成する工程と、前記テイラーコーンにレーザー光を照射する工程と、前記テイラーコーンから放出されイオン化した前記物質の質量を分析する工程と、を有する分析方法である。

    本発明により、大気圧環境下においてもイオン化に優れたイオン化装置、該イオン化装置を有する質量分析装置、該質量分析装置を有する画像表示システム、分析方法を提供することができる。

    第一の実施形態に係るイオン化装置を有する画像表示システムを示す模式図である。

    第一の実施形態に係るイオン化装置の各部品の動作タイミングを示す模式図である。

    第二の実施形態に係るイオン化装置を有する画像表示システムを示す模式図である。

    第二の実施形態に係るイオン化装置の各部品の動作タイミングを示す模式図である。

    本発明に係るテイラーコーンの一種を示す模式図である。

    第二の実施形態に係るイオン化装置の同期回路、および同期回路の出信号により制御される装置を示す模式図である。

    (第一の実施形態)
    本発明の第一の実施形態に係るイオン化装置は、試料を保持する保持部と、前記試料の表面に液体を配置して前記試料との間で液架橋を形成するプローブと、前記試料が有する物質を含むテイラーコーンを前記プローブに形成し且つイオン化した前記物質を前記テイラーコーンから放出させる電極と、前記電極に電圧を印加する電圧印加部と、レーザー光を発する光源と、を有するイオン化装置であって、前記レーザー光が前記テイラーコーンを照射するよう前記光源が配置されていることを特徴とするイオン化装置である。

    図1は、本発明の第一の実施形態に係るイオン化装置を有する画像表示システムを示す模式図である。

    試料2は保持部1に保持される。 試料2は生体組織の切片(細胞群)である。 プローブ3は針状でその端部が試料2に接触、あるいは図1に示すように試料2と極めて近い位置に配置されている。 プローブ3はその内側に流路を有し(不図示)、流路を介して試料2の表面17に溶媒を供給する。 溶媒は、試料が有する物質を溶質として溶解できる液体であり、溶質が溶解した溶媒を溶液と以下で呼ぶ。 溶媒は、水と有機溶媒の混合物であるとよく、この混合物に酸および塩基のうちの少なくともいずれかがさらに混合されているとよいが、水あるいは有機溶媒のみでも良い。 溶媒であるこの混合物が試料2に触れることで、試料が有する溶媒に溶解しやすい物質(脂質、糖類、平均分子量が20以上1億未満の分子、の少なくともいずれか)が容易に溶解し、溶媒である液体が溶液へ変化する。

    ここで、溶解とは、溶媒中に分子、原子、微小な粒子が分散している状態のことを指す。

    溶解しやすい物質の例としては、細胞膜を構成する脂質分子や、細胞内に含まれる糖や細胞内を浮遊するタンパク質、ペプチドがあげられ、溶解しにくい物質の例としては、細胞骨格を形成するタンパク質や細胞骨格にアンカリングされているタンパク質があげられる。

    溶媒は液供給部4からプローブ3へ連続して供給される。 その際、溶媒には電圧印加部5より電圧が印加される。 プローブ3から供給される溶媒はプローブ3の端部と試料2との間で液架橋6を形成する。 液架橋6はプローブ3と試料2とを架橋する状態の液体のことである。 これは表面張力等を利用している。 液架橋6には試料2が有する物質が溶解する。 液架橋6は大気圧環境下で形成される。 液架橋6の体積は微量で1×10 −12程度である。 液架橋6は、試料2の表面17の一部領域に配置され、この液架橋6の、試料2の表面17における面積は1×10 −8程度の面積である。

    なお、液架橋6は試料2の表面17の極めて狭い領域に配置されるため、試料の表面17のより広い範囲を分析できるよう、試料2を表面17の面内方向に走査させる移動部13を本実施形態に係るイオン化装置は有している。 より具体的には移動部13によって保持部1が移動する。

    また、保持部1は振動付与部16を有しており、振動付与部16によって保持部1が振動し、液架橋6は振動する。 また、液架橋6の振動は、後述するテイラーコーン8にも伝わる。 振動付与部16による保持部1の振動方向は鉛直上下方向である。 レーザー光の照射と振動を組み合わせて用いていることにより、溶媒に溶解しにくい物質をより溶解しやすくすることができる。

    本実施形態に係るイオン化装置は、図1に示すように、電極10(イオン引出電極とも呼ぶ)と、電極10に電圧を印加するための電圧印加部11と、有する。 溶液と電極10の間に電位差が生じるように電極10に電圧印加部11より電圧が印加されると、プローブ3の端部に付着する溶液と電極10の表面(電極表面20)との間の電位差(好ましくは1kV以上10kV以下、より好ましくは3kV以上5kV以下)により、液架橋6からプローブ3の表面に伝った溶液はプローブ3の端部から電極表面20に向かった錐状の形状をなすテイラーコーンを形成する。

    更に、電圧印加部11により電極10に電圧が印加され続けると、帯電した溶液がテイラーコーン8から引きちぎられ、帯電した液滴9となり、電極10へスプレーされる。

    レーザー光を発する光源7は、レーザー光がテイラーコーンを照射するように配置されている。 光源7は、試料2を中心として保持部1と反対側に配置されている。 なお、「レーザー光がテイラーコーンを照射する」という概念には、レーザー光がテイラーコーンの全てを照射する形態と、レーザー光がテイラーコーンの一部を照射する形態が含まれる。

    レーザー光の集光位置を確認するために、光源7に照射位置を観察するためのカメラが内蔵されていてもよい。 これにより、テイラーコーン内部の光の集光位置をカメラで観察し、テイラーコーン8とレーザー光の集光位置が重なるように、光源7またはプローブ3の位置を調整することで、レーザー光が効率的にテイラーコーン8を照射することができる。 この際、プローブ3の端部に集光位置確認用の印をつけることもできる。 テイラーコーン8を観察する場合にはレーザー光の出射を停止するか、レーザー光の波長域を透過しない光学フィルターを使用することが望ましい。 また、レーザー光の集光位置を観察する場合には、レーザー光の波長域を透過する光学フィルターを用いることが望ましい。 光源7またはプローブ3の位置の調整には、ステッピングモータなどの位置決め装置を利用することが望ましく、これらを光源7またはプローブ3の支持部に接続することができる。

    テイラーコーン8の内部におけるレーザー光のスポットサイズは、およそ1x10 −12以上の面積である。 スポットサイズは、レーザー光集光用レンズ(不図示)により任意に変えることができ、テイラーコーン8よりも大きくすることができる。

    レーザー光は、パルス幅がフェムト秒からナノ秒程度のパルス光で、10J/m 以上のパワーのものを用いる。 レーザー光の波長は紫外領域でも、可視領域でも、赤外領域のいずれでもよい。 レーザー光がパルス発振することができるように、光源7にはレーザー光をパルス駆動する駆動部が内蔵されている。

    液滴9に含まれる試料2から溶解した物質は、電極10に印加される電圧により、スプレーされてイオン化する。 なお、テイラーコーンが形成されること、帯電した液滴9がスプレーされること、帯電した液滴9に含まれる物質がイオン化することの一連を総称して以降ではエレクトロスプレーイオン化と呼ぶ。 また、「イオン化した物質をテイラーコーンから放出させる」という概念には、テイラーコーンからイオン化していない状態の物質を含む帯電した液滴を放出させ、帯電した液滴がスプレーされている(飛翔している)状態において物質をイオン化する概念も含むものとする。

    液架橋6とテイラーコーン8は連続している。 これは、電極10と液架橋6の溶媒との間の外部電場によって、液架橋6の溶媒がテイラーコーン8に連続的に輸送されることによるものである。 エレクトロスプレーイオン化が行われている際も、物質は試料2の表面17から液架橋6に供給される。 帯電溶液は連続的にプローブ3に供給され、連続的にスプレーが生じる。 液架橋6の形成と物質のイオン化はいずれも同一のプローブであるプローブ3によって行われる。

    本実施形態のように、レーザー光がテイラーコーン8を照射すると、物質がイオン化しやすくなる。 レーザー光がテイラーコーン8を照射することで、溶媒と溶質で構成される溶液のうちの溶質の一部である凝集した物質が微小粒子に分解する。 その結果、物質と溶媒との接触面積が増加し、帯電した溶媒から物質に多くの電荷が付与される。 また、レーザー光の波長が溶媒の光吸収波長域と重なる場合には、レーザー光の照射により溶媒が加熱され、物質がよりイオン化されやすくなる。

    電極10は、電圧印加部11と接続しており、電圧印加部11により電圧が印加される。 電極10はテイラーコーン8から離脱する液滴9に含まれるイオンを引き込む、流路(不図示)と電極表面20とを有する構造体であり、例えば円筒形状をなしている。 電極表面20には不図示のポンプが設けられており、イオンは外部環境、すなわち大気と共に電極10に引き寄せられる。 イオンは液滴の状態あるいは気相の状態のどちらでも電極10に取り込まれる。

    本実施形態に係る質量分析装置は、イオン化部として前述した本実施形態に係るイオン化装置と、質量分析部12と、分析位置特定部14を有する。 電極10に取り込まれたイオンは質量分析部12に到達する。 質量分析部12においては、イオンは気相の状態で飛行する。 質量分析部12はTOF法(Time of Flight法)を利用した飛行時間型質量分析部である。 質量分析部12が有する真空の飛行空間をイオンが飛行することで、質量分析部12はイオンの質量電荷比を計測し、イオン化した物質の質量を分析する。

    分析位置特定部14は、試料2の表面17におけるイオン化すべき部分を特定し、言い換えれば、質量分析装置が分析すべき部分を特定し、その部分にある物質が液架橋6を介してテイラーコーン8に含まれるように移動部13によって保持部1を移動させる。 分析位置特定部14は、例えばコンピューターである。 分析位置特定部14は振動付与部16とも接続している。

    本実施形態に係る質量分析装置が有する分析位置特定部14は、試料2の表面17におけるイオン化すべき部分を特定するのみならず、試料2の分析位置(試料2のうちの分析される部分)の情報と、前述した本実施形態に係る質量分析装置から得られる質量の情報(質量スペクトル)と、から試料2に含まれる物質の分布を画像表示するための画像情報を形成する。

    本実施形態に係る画像表示システムは、前述した本実施形態に係る質量分析装置と、画像表示部と、を有する。

    分析位置特定部14の出力部(不図示)から出力された画像情報は、分析位置特定部14と接続するフラットパネルディスプレイなどの画像表示部15に入力され、画像が表示される。 画像情報は、二次元画像でも三次元画像でも良い。

    このように、試料2の特定の位置の質量分析結果に基づき、試料2の特定の位置から溶解し液架橋6に含まれる物質を知ることができる。 この特定の位置を試料2の表面17の面内で変え、各々の位置で質量分析を行うことで得られる質量スペクトルのデータと、特定の位置の情報を組み合わせることで、試料2の物質の分布(多くの場合、試料2の表面17における物質の分布)がマッピングされ、画像として表示される(重畳表示される)。 表示される物質は位置だけでなくその量も表示され、量の違いは色あるいは明るさで表示される。 また、試料2中に分析される物質が複数存在する場合は、物質の各々を異なる色で表示し、各物質の量の違いを明るさで表示した画像とすることもできる。 また、試料2の予め取得した顕微鏡画像と、取得した試料2の質量に関する画像とを重ね合わせて表示することもできる。

    本実施形態に係るイオン化装置では、試料2に生体組織切片を用いて、溶媒としては、酸または塩基と、水と、有機溶媒と、を有する混合液を用い、溶質としては、容易に溶解する物質として脂質と糖類と平均分子量が20以上1億未満の分子の少なくともいずれか、溶解しにくい物質として平均分子量が20以上1億未満の高分子を挙げたが、本発明に係るイオン化装置はその他の試料、溶媒、溶質の組み合わせにも適用できる。 例えば、その他の溶媒を用いる例としては、酸または塩基、水と、有機溶媒と、の比率を変える場合が挙げられる。 なお、比率は、いずれかが0すなわちいずれかが含まれなない場合があってもよい。 比率を変えることで、試料が有する水溶性分子と脂溶性分子の、混合液に対する溶解度を変化させ、所望の分子のイオン化を優先させることもできる。

    本実施形態に係るイオン化装置では、電圧印加部5が溶媒に電圧を印加する形態であるので、プローブ3は絶縁体で構成され、プローブ3外に存在する電極(不図示)に接触した溶媒が帯電されてプローブ3に注入されることが好ましい。 なお、本発明に係るイオン化装置は、電圧印加部5がプローブ3に電圧を印加し、その結果、溶媒に電圧が印加される形態であってもよい。 このような形態では、プローブ3が導電体で構成され、溶媒がその導電体に触れるように構成されていることが好ましい。

    本実施形態に係るイオン化装置は、電圧印加部5と電圧印加部11が別に存在する構成であるが、本発明に係るイオン化装置は電圧印加部5もしくは電圧印加部11のいずれかのみを有する構成であっても良い。 このような場合、一方が他方の機能を兼ねる。

    本実施形態に係るイオン化装置は、プローブ3が内部に流路を有し、流路に溶媒が流れる構成であるが、本発明に係るイオン化装置は、液供給部4から液滴がプローブ3に供給され、プローブ3の表面を伝ってプローブ3の端部で液架橋6を形成する構成でもよい。 また、プローブ3の内部の途中までは流路を有する構成であっても良い。 そのような場合、プローブ3の内部の途中までは流路内を溶媒が流れ、流路の末端に存在する孔によって溶媒がプローブ3の表面に流出し、そこからはプローブ3を伝って溶媒がプローブ3の端部まで到達する。

    本実施形態に係るイオン化装置は、プローブ3が内部に流路を有する構成であるが、本発明に係るイオン化装置は、流路を複数有し、各流路が互いに異なる溶媒を流すために設けられている構成でもよい。 このような場合、異なる溶媒には異なる電圧を印加するようにしてもよい。

    本実施形態に係るイオン化装置は、電極10とそれに電圧を印加するための電圧印加部11とが接続された形態であるが、このような形態では、電極10が導電性部材で形成され電圧印加部11と接続している構成が好ましい。

    一方で、本発明に係るイオン化装置は、電極10のプローブ3に近い電極表面20に導電部材を配置した絶縁体で構成されており、電圧印加部11がその導電部材に接続し、電圧をテイラーコーン8に印加する形態でもよい。

    本実施形態に係るイオン化装置では、溶媒に溶解した物質のイオン化効率を向上させるためにレーザー光を用いているが、本発明に係るイオン化装置のレーザー光は、物質にレーザー光をあてて光化学反応させた後に、イオン化するために用いられてもよい。 より具体的には、光触媒反応、光切断反応や光吸収反応を利用する。

    本実施形態に係るイオン化装置では、レーザー光が照射された溶液(テイラーコーン)は速やかにエレクトロスプレーイオン化されるため、例えば、寿命時間が1ミリ秒以下と短い物質(ラジカル分子・反応中間体)の分析を行うことができる。

    本実施形態に係るイオン化装置が有する電極10には、不図示のポンプが設けられているが、ポンプを停止し、電界による引き寄せ効果のみを利用することもできる。 そのような場合、本実施形態に係る質量分析装置は、電界による引き寄せ効果のみで、イオンを質量分析装置に取り込むことができる。

    本実施形態に係るイオン化装置は、飛行時間型質量分析装置に用いいてもよく、四重極型質量分析計や磁場偏向型質量分析計、イオントラップ型質量分析計、イオンサイクロトロン型質量分析計のイオン発生部として用いてもよい。

    本実施形態に係るイオン化装置が有するプローブ3および電極10への電圧印加は定常的に行われるが、電圧印加を断続的に行うことにより、エレクトロスプレーの発生を断続的に行うことができる。 これにより、電圧印加により変質を受ける物質への、電圧印加時間を最小限にとどめて物質をイオン化できるようになる。

    本実施形態に係るイオン化装置は、大気圧環境下で液架橋6を形成し、物質をイオン化させている。 ここで、大気圧とは標準大気圧の101325Paの0.1倍から10倍の範囲である。 本発明に係るイオン化装置の環境は、通常の室内と同じ雰囲気下でもよく、窒素雰囲気下、あるいはアルゴン雰囲気下のような不活性ガス雰囲気下でもよい。

    本実施形態に係るイオン化装置は、プローブ3内部の流路に溶媒を、一様な流量で連続的に流す構成であるが、溶媒の流量(流速)を制御してもよい。 すなわち、流量の増減を任意の値で設定することができる。 これにより、被溶解物質(試料が有する物質)が多い場合には流量を増やし、少ない場合には流量を減らすことで、液架橋6に溶解する物質の濃度の変動を抑え、試料が有する物質を効率的にイオン化することができる。 また、流量を増減することで液架橋の大きさを増減することが可能である。 液架橋6のサイズはイオン化を行う領域(部分)のサイズと対応するため、質量画像の空間分解能と相関することになる。 液架橋のサイズが小さいと空間分解能は向上する一方で、計測領域の数が増加するため、総計測時間が増加する。 すなわち、流量を増減することで、総計測時間を変化することが可能になる。 例えば、最初に低い空間分解能で質量画像を取得した後、特定の箇所を決定し、さらに高い空間分解能で精密に質量画像を取得することができる。

    本実施形態に係るイオン化装置は、テイラーコーン8にレーザー光を照射するタイミングを連続させる構成であるが、本発明に係るイオン化装置では任意のタイミングで断続的に照射してもよい。 すなわち、テイラーコーンへのレーザー光の照射を一定時間内で行った後に、一定時間停止する形態でもよい。 例えば、レーザー光により分解されやすい物質とされにくい物質が共存する試料において、分解されやすい物質がイオン化する時間はレーザー光の照射を停止し、分解されない物質がイオン化する時間にレーザー光を照射することでイオン化効率を向上させることができる。 本実施形態にかかるイオン化装置は、電極10およびプローブ3への電圧印加が定常的に行われるが、レーザー光の照射のタイミングと、電極10とプローブ3への電圧印加のタイミングを任意の値に調整してもよい。 例えば、レーザー光の照射開始直後に電圧印加を一定期間実施する。 このことにより、レーザー光が照射されていない期間に発生する不要なイオンを検出することがなくなり、レーザー光が照射された直後に発生するイオンを効率的に回収することができるようになる(図2)。

    電極10およびプローブ3への電圧印加の設定は印加ありと無しの2条件であることが示されているが、エレクトロスプレーが発生する状態と発生しない状態の2状態を実施できる電圧に設定することもできる。 すなわち、電極10およびプローブ3への電圧印加の設定はエレクトロスプレーが発生する電圧と、エレクトロスプレーが発生しない電圧の2条件を設定して、印加することもできる。

    本実施形態に係るイオン化装置が発生させるテイラーコーン8は、図1に示すように、プローブ3の端部表面に存在し電極表面20に向かって錐状に伸びた形状をなしている。 しかしながら、図5に示すように、液架橋6とテイラーコーン8との境界が明確でない場合には、テイラーコーン8は、プローブ3と電極表面20との間に存在し電極表面20に向かって錐状に伸びた形状の溶液18と、プローブ3を伸長させたと仮定した場合にある領域の溶液19と、を含む。 なお、このような場合も、テイラーコーン8は、プローブ3の端部表面に存在し、電極表面20に向かって錐状に伸びた形状をなしていると言える。 また、このような場合、レーザー光は、プローブ3と電極表面20との間に存在し電極表面20に向かって錐状に伸びた形状の溶液18、もしくはプローブ3を伸長させたと仮定した場合にある領域の溶液19のいずれか、もしくは両方を照射する。

    本実施形態に係るイオン化装置が有する振動付与部16は、保持部1が有しているが、本発明に係るイオン化装置が有する振動付与部は、保持部外に存在し、保持部と接続していても良い。 また、本実施形態に係るイオン化装置が有する振動付与部は、保持部1を鉛直上下方向に振動させているが、本発明に係るイオン化装置が有する振動付与部が、保持部を振動させる方向は鉛直上下方向でなくても良い。 例えば、鉛直上向き方向のベクトルと鉛直上向き方向±30°の方向のベクトルを合わせたベクトルが有する向きとその逆のベクトルが有する向きに繰り返し振動させても良い。

    (第二の実施形態)
    本発明の第二の実施形態に係るイオン化装置、質量分析装置および画像表示システムは、イオン化装置が有するプローブ3の端部が振動する形態である。 それ以外は第一の実施形態と同じである。

    図3は、本実施形態に係るイオン化装置の模式図である。 なお、図3において、図1の符号と同じ符号を用いている場合は、同じものを示す。

    本実施形態に係るイオン化装置では、振動付与部27が保持部1ではなくプローブ3に設けられている。 振動付与部27は、電圧印加部28と接続し、且つ分析位置特定部14と接続している。 プローブ3は、振動付与部27により、図3中太線矢印が示すように、試料2と電極10との間を振動する。 より具体的には、プローブ3が、プローブ3と試料2とが繰り返し近づいたり離れたりするよう振動する。

    振動付与部27は、圧電素子やモーター素子等であり、プローブ3を振動させる。 プローブ3の振動の振れ幅は10ナノメートルから10ミリメートルの範囲内、周波数は10Hz以上10MHz以下である。

    プローブ3は連続的に振動する。 プローブ3が振動している最中における、プローブ3が試料2と接しているもしくは近接している位置にある状態ではプローブ3と試料2との間で液架橋6が形成される。 そして、プローブ3が振動している最中における、プローブ3が試料2から離れている位置にある(液架橋6が形成される位置よりも電極10に近い位置にある)状態では、液架橋6は形成されず、テイラーコーン8が生じ液滴9がスプレーされる。 すなわち、プローブ3と試料2が近づいたり離れたりすることで液架橋の形成と液滴9の発生を分離して実施することができる。 なお、本明細書および本発明において、このような「液架橋6が形成される位置よりも電極に近い位置であり、液架橋が形成されない位置」を「液架橋が形成される位置とは異なる位置」と表現する場合もある。

    そして、プローブ3が振動している最中における、プローブ3が試料2から離れてテイラーコーン8を形成している状態(図3における(b)の状態)では、テイラーコーン8を光源7から出たレーザー光が照射し、プローブ3が振動している最中における、プローブ3が試料2と接した、または近接した状態で液架橋6が形成されている状態では、レーザー光がテイラーコーンを照射しない。

    本実施形態のイオン化装置では、プローブ3が振動することでプローブ3と試料2の接触時間が減るので、プローブ3と試料2との相対的移動(試料2の表面17の面内方向における走査による相対的な移動)にともなうプローブ3による試料2の破壊を防止できる。 また、液架橋6の形成時間を短縮することで、液架橋6のサイズを抑制し、イオンを発生させる部分の空間的なサイズを小さくすることができる。 その結果、イオン化装置の空間分解能が向上する。

    本実施形態に係るイオン化装置は、振動付与部27がプローブ3を振動するが、本発明に係るイオン化装置では、振動付与部を設けずにプローブの自発的な共振を利用してもよい。 例えば、プローブのサイズ、材質、流路サイズ、電極10への印加電圧の大きさ、溶媒の流量を以下のようにすると可能であると考える。
    プローブのサイズ:長さ10マイクロメートル〜100ミリメートル 材質 :ガラス、ステンレス、シリコン、PMMA
    流路サイズ :流路断面積1平方マイクロメートル〜1平方ミリメートル 印加電圧の大きさ:0ボルト〜プラスマイナス10kボルト 溶媒の流量 :毎分1ナノリットル〜毎分1000マイクロリットル

    また、プローブと保持部のいずれもが振動しても良い。 そのような場合、保持部と接続するもしくは保持部内に存在する振動付与部が、プローブを振動させる振動付与部とは別に存在し、保持部を振動させても良い。 保持部と接続するもしくは保持部内に存在する振動付与部は、プローブ3と試料2とが繰り返し近づいたり離れたりするように保持部を振動させることが好ましい。 より好ましくは、鉛直上下方向に振動させる。

    本実施形態に係るイオン化装置では、振動付与部27が連続的に振動するが、本発明に係るイオン化装置は、イオン化した物質の質量分析ができれば振動付与部27が断続的に振動してもよい。 断続的とは振動している状態と停止している状態が繰り返す場合や、振動時のプローブの振れ幅および/または周期が繰り返して変化する状態を示す。

    また振動付与部27に設定する振動周波数は、共振周波数でも非共振周波数でもどちらでもよい。

    本実施形態に係るイオン化装置では、プローブ3の端部が試料2と電極10との間で振動するが、本発明に係るイオン化装置は、プローブを回転運動させてもよい。 プローブを回転運動させる場合、直交しあう二軸方向の振動をプローブに与えればよい。 このような場合の振動は、2つの正弦波の合成波である。 回転運動によりプローブ端部の軌跡は、単一の円周曲線だけではなく、渦巻き曲線、リサージュ曲線などの軌跡を描くように、プローブを回転運動させてもよい。

    本実施形態に係るイオン化装置では、液供給部4が溶媒を連続してプローブ3に供給し、プローブ3と試料2との間に連続して溶媒を供給するが、本発明に係るイオン化装置では、液供給部が、溶媒を、プローブと試料が近づいている(接している)場合にプローブと試料の間に供給し、プローブと試料が離れている場合に供給を止めても良い。 すなわち、溶媒の供給とプローブの振動を同期させてもよい。

    本実施形態に係るイオン化装置におけるプローブ3の振動を検出する方法は、複数ある。 例えば、テイラーコーン8を照射するレーザー光とは異なるレーザー光をプローブ3の側面に照射し、反射光の変位を検出する方法や、プローブ3に振動検出用電気素子を接続し、素子の電気抵抗の変化からプローブ3のひずみを検出する方法や、プローブ3に磁性体を接続し、プローブ3に近接させたコイルに流れる誘導電流の変化を検出する方法が挙げられる。

    本実施形態に係るイオン化装置では、液架橋6が形成される際には、テイラーコーン8をレーザー光が照射しているが、本発明に係るイオン化装置では、任意の時間に断続的にレーザー光が照射してもよい。 すなわち、テイラーコーンへのレーザー光の照射を一定時間行った後に、一定時間停止する形態でもよい。 例えば、レーザー光により分解されやすい物質とされない物質が共存する試料において、分解されやすい物質がイオン化する時間はレーザー光の照射を停止し、分解されない物質がイオン化する時間にレーザー光を照射することで、イオン化効率を向上させることができる。 このような場合、レーザー光を照射する回数が、テイラーコーン8が形成される回数より少ない回数としてもよい。 例えば、10回テイラーコーン8が形成される期間のうち、任意のタイミングでレーザー光を5回照射するなど、一定の期間において、テイラーコーンが形成されてレーザー光の照射が行われる回数と、テイラーコーンの形成のみが行われてレーザー光の照射が行われない回数をそれぞれ任意の値に設定することもできる。

    本実施形態に係るイオン化装置において、テイラーコーン8の形成とレーザー光の照射のタイミングを同期させるには、プローブ3の振動の周波数および位相と、レーザー光の制御信号の周波数および位相を調整することにより行うことができる。 プローブ3の振動をモニタした信号と、レーザー光の照射タイミングを制御する信号を、同期回路を使用して同期することが望ましい。

    本実施形態に係るイオン化装置では、電極10の電圧印加が定常的に行われるが、本発明に係るイオン化装置では、プローブ3の振動のタイミングと、電極10への電圧印加のタイミングを同期させてもよい。 このことにより、液架橋6が形成されている期間に発生する不要なイオンを検出することがなくなり、得られる計測データのノイズを軽減することが可能になる。 これに加えて、前述したプローブの振動のタイミングと、レーザー光の照射のタイミングの同期を合わせて実施してもよい。 (図4)

    図4では、電極10およびプローブ3への電圧印加の設定は印加ありと無しの2条件であることが示されているが、エレクトロスプレーが発生する状態と発生しない状態の2状態を実施できる電圧に設定することもできる。 すなわち、電極10およびプローブ3への電圧印加の設定はエレクトロスプレーが発生する電圧と、エレクトロスプレーが発生しない電圧の2条件を設定して、印加することもできる。

    液架橋6の形成、レーザー光の照射、および電極10の電圧印加のタイミングを同期させるには、プローブ3の振動、レーザー光の制御信号、電極10への電圧印加制御信号の周波数および位相を調整することで行うことができる。 このような場合、各々の信号を同期回路で同期することが望ましい。

    液架橋6の形成、レーザー光の照射、および電極10の電圧印加のタイミングを同期させる場合、より正確には、プローブの振動、レーザー光の照射、イオン引出電極の電圧印加、プローブの印加電圧、試料を保持する保持部の移動、データの取得と保存、のタイミングを正確に調整することが必要である。 そのような調整を行うことができる同期回路、および同期回路の出力信号により制御される装置の一例を図6に示す。

    図6において、101は基準クロック発生回路、102はプローブ振動制御信号生成回路、106は光源制御信号生成回路、108はイオン引出電極電圧制御信号生成回路、110はプローブ電圧制御信号生成回路、111は試料を保持する保持部制御回路、113はイオン数計測器トリガ信号生成回路、103は振動付与部、104はプローブ、105は振動検出装置、107は光源、109はイオン引出電極、112は試料を保持する保持部、114はデータ取得装置、115はイオン数計測器、116は一次メモリ、117はデータフィルタ、118はストレージを示す。

    上記には、ここで示す同期回路を実装する場合として、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(application specific integrated circuit)を使用した例を示した。 これらを用いることで、複数の制御回路(101、102、106、108、110、111)を集積回路上に実装し、それらの制御タイミングを高速かつ正確に調整することが可能になる。

    プローブ振動制御信号生成回路102、光源制御信号生成回路106、およびイオン引出電極電圧制御信号生成回路108、プローブ電圧制御信号生成回路110、および保持部制御回路111、イオン数計測器トリガ信号生成回路113では、後段に接続されている各々の装置を制御する電圧信号が生成される。 各々、すなわち振動付与部103、光源107、イオン引出電極109、プローブ104、保持部112、イオン数計測器115へ出力される。 この電圧信号は三波、矩形波、サイン波、コサイン波のいずれかである。

    プローブ振動制御信号生成回路102には、プローブ104の実際の振動を検出することで得られる電圧信号と、基準クロック発生回路101から発生する基準クロックに基づいて生成される電圧信号との間の位相差をゼロにするために、フィードバック回路が内蔵されており、この回路が駆動することで、一定の周波数でプローブ104を振動させる。

    実際のプローブ104の振動の検出には、振動検出装置105が用いられ、振動検出装置105からの出力信号は、プローブ振動制御信号生成回路102へ入力される。 このような駆動機構は、一般的にPLL(Phase Locked Loop)として知られている。 PLL用の回路内部に遅延補償回路を設けることによって、基準信号に対して任意の遅延時間をもつ電圧信号を生成することもできる。

    振動検出装置105からの出力信号は、光源制御信号生成回路106、イオン引出電極電圧制御信号生成回路108、プローブ電圧制御信号生成回路110、保持部制御回路111、イオン数計測器トリガ信号生成回路113にも入力される。 入力された電圧信号のうち、プローブが液架橋を形成しているタイミング、プローブ先端部分でイオン化が発生しているタイミング、液架橋とイオン化の間のタイミングといった、特定の時間を抽出し、その期間内で、各々の回路と接続されている装置の駆動が制御される。

    例えば、図4のプローブの変位の信号が、振動検出装置105の出力信号であり、これが光源制御信号生成回路106、イオン引出電極電圧制御信号生成回路108、プローブ電圧制御信号生成回路110、保持部制御回路111に入力された場合に、特定の電圧の閾値を設定し、閾値よりも小さい電圧である期間を液架橋の形成タイミングとして設定したり、閾値よりも大きい電圧である期間をイオン化が発生しているタイミングとして設定することができる。 このようにして決定されるタイミングと同期するように、プローブ104への電圧印加のタイミング、光源107の光照射タイミング、イオン引出電極109の電圧印加のタイミング、保持部112の移動タイミングが制御される。 また、基準クロック発生回路101からの信号を用いることで、プローブ104の電圧印加のタイミング、光源107の光照射タイミング、イオン引出電極109の電圧印加のタイミング、保持部112の移動タイミングを定量的に計測および制御することも可能になる。

    イオン数計測器トリガ信号生成回路113で生成される出力信号は、イオン数計測器115のゲート電圧信号として入力される。 イオン数計測器115は、通常、質量分析装置のトリガ信号を断続的に受信し、トリガ信号受信後に、質量分析装置の検出器に到達したイオン数を計測するように動作する。

    トリガ信号は、質量分析装置のイオン分離部の構成により異なり、質量分析装置として、四重極型質量分析計、飛行時間型質量分析計、磁場偏向型質量分析計、イオントラップ型質量分析計などを用いた場合には、質量分析ごとに特定のタイミングをトリガ信号として用いることができる。

    例えば、四重極型質量分析計では四重極電極への高周波電圧の印加を開始する時のタイミングを示す信号を、飛行時間型質量分析計では、イオンの飛行時間を計測する装置のイオンを加速するためのパルス電圧を印加する時のタイミングを示す信号を、磁場偏向型質量分析計では、セクタ型電極への磁場の印加を開始するタイミングを示す信号を、イオントラップ型質量分析計では、イオントラップへイオンを導入するタイミングを示す信号を、それぞれトリガ信号として用いることができる。 一般的には、飛行時間型質量分析計のパルス電圧、およびイオントラップ型質量分析計のイオン取込みの周波数はプローブの振動周波数よりも高いことが多い。

    また、プローブ先端部分でイオン化が発生しているタイミングに同期するように、ゲート電圧信号が出力される。 このような場合には、ゲート信号が出力されている期間に対応して、イオン数計測器115が動作するように設定されている。 ここで、ゲート信号は正電圧・負電圧・0ボルトのいずれかであり、イオン数計測器により異なる。 プローブからイオンが発生している時間のみイオン数計測器を動作することができるため、液架橋が形成されている間、および液架橋が形成されてからイオン化が発生するまでの間のノイズ信号を計測することが無くなり、計測データの信号に含まれるノイズ信号を減少することができるようになる。

    次に、イオン数計測器115からの電圧信号をデジタルデータとして収録する方法を述べる。 イオン数計測器115からの信号はアナログ/デジタル変換を経て、一次メモリ116に一定時間保存される。 計測すべきイオン種に対応した計測データを選別し、HDDやSSDなどのストレージ118に保存される。 このデータを選別する工程はデータフィルタ117内でプログラム的に処理された後に、新しいデータがメモリに上書きされる。 データを選別した後にストレージに保存することで、データの総量を削減することができ、事前に計測対象のイオンが決まっている場合には適用することができる。 一方、未知のイオンの検出を行う場合には、イオン数計測器115で得られた全データをストレージ118に保存することもできる。

    被計測対象物の広範囲を計測する際には、保持部112を移動させることが必要である。 保持部制御回路111は基準クロックに基づいて、保持部112の位置を制御するための信号を生成し、保持部112に出力する。 この際に、振動検出装置105からの信号に基づいて、プローブ先端部分でイオン化が発生しているタイミング、および特定の時間内のイオン化の回数を計測することで、試料位置ごとのイオン化の回数を定量的にそろえることができる。 保持部112を移動させながら、上記データの取得と保存の工程を連続的に実施することもできる。 このことにより、計測対象物の二次元データを連続的に保存することができる。

    以上は、各々の信号生成回路が、閾値に対する出力信号をそれぞれ生成する実施形態について述べたが、本発明においてはこの形態に限るものではなく、共通の信号生成回路を別途設け、105の信号に対する特定の時間を抽出し、この時間に対応する電圧信号を、各々の信号生成回路106、108、110、111、113に入力してもよい。

    また、信号生成回路106、108、110、111、113はすべて駆動させても、一部のみを駆動させてもよい。 一部のみを駆動させる場合には、同期回路内に信号生成回路106、108、110、111、113のうち必要な回路のみを実装してもよい。

    また、上記の同期方法は、第二の実施形態におけるプローブが振動している場合の同期方法をしめすものであるが、第一の実施形態のようにプローブが停止している場合には、プローブの振動に関するプローブ振動制御信号生成回路102、振動付与部103、振動検出装置105を停止し、各々の制御回路には基準クロック発生回路101からの信号を用いて各種制御信号を生成すればよい。

    1 保持部 2 試料 3 プローブ 4 液供給部 5 電圧印加部 6 液架橋 7 光源 8 テイラーコーン 9 帯電した液滴 10 電極 11 電圧印加部 12 質量分析部 13 移動部 14 分析位置特定部 15 画像表示部 16 振動付与部 17 試料の表面 18 プローブの端部表面に存在し電極表面に向かって錐状に伸びた形状の溶液 19 プローブを伸長させたと仮定した場合にある領域の溶液 20 電極表面 27 振動付与部 28 電圧印加部 101 基準クロック発生回路 102 プローブ振動制御信号生成回路 103 振動付与部 104 プローブ 105 振動検出装置 106 光源制御信号 107 光源 108 イオン引出電極電圧制御信号生成回路 109 イオン引出電極 110 プローブ電圧制御信号生成回路 111 保持部制御回路 112 保持部 113 イオン数計測器トリガ信号生成回路 114 データ取得装置 115 イオン数計測器 116 一次メモリ 117 データフィルタ 118 ストレージ

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