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Carbon fiber bundle and method for treating surface of carbon fiber bundle

阅读:164发布:2021-09-14

专利汇可以提供Carbon fiber bundle and method for treating surface of carbon fiber bundle专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a carbon fiber bundle which comprises ≥24,000 monofilaments, can uniformly be subjected to an electrolytic oxidation treatment in the radial direction, to achieve the uniform and sufficient impregnability of a matrix resin and adhesivity to the matrix resin, and to provide a method for treating the surface of the carbon fiber bundle.
SOLUTION: This method for treating the surface of the carbon fiber bundle, characterized by subjecting the carbon fiber bundle comprising ≥24,000 monofilaments as an anode to an electrolytic oxidation treatment using a quantity of electricity of 7.5 to 45 C/g for ≥4 sec. The obtained carbon fiber bundle has a surface oxygen concentration O/C of 0.05 to 0.15 measured by X-ray photoelectron spectroscopy, an irregularity of carbon fiber surface characteristic ipa of ≤8% measured by Cyclic Voltammetry method, and a contact angle irregularity of ≤10%.
COPYRIGHT: (C)2002,JPO,下面是Carbon fiber bundle and method for treating surface of carbon fiber bundle专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 単繊維本数が24000フィラメント以上の炭素繊維束であって、X線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cが0.05〜0.15であり、サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammet
    ry)法により測定される炭素繊維の表面特性ipaのバラツキが8%以下であることを特徴とする炭素繊維束。
  • 【請求項2】 ウィルヘルミー(Wilhelmy)法によって測定される接触角のバラツキが10%以下であることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維束。
  • 【請求項3】 単繊維本数が24000フィラメント以上の炭素繊維束であって、X線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cが0.05〜0.15であり、ウィルヘルミー(Wilhelmy)法によって測定される接触角のバラツキが10%以下であることを特徴とする炭素繊維束。
  • 【請求項4】 単繊維本数が24000フィラメント以上の炭素繊維束を陽極として、7.5〜45C/gの電気量をもって4秒以上電解酸化処理することを特徴とする炭素繊維束の表面処理方法。
  • 【請求項5】 前記炭素繊維束は、陰極漕に対し炭素繊維束の進行方向上流側に配された電解液中において、複数本のロールに掛けまわされてなることを特徴とする請求項4記載の炭素繊維束の表面処理方法。
  • 【請求項6】 前記炭素繊維束はトウ幅が3.0mm以上で電解酸化処理されてなることを特徴とする請求項4
    記載の炭素繊維束の表面処理方法。
  • 【請求項7】 前記炭素繊維束は、24000フィラメント当たりの張力が4Kg以下で電解酸化処理されてなることを特徴とする請求項4記載の炭素繊維束の表面処理方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、電解酸化処理法により表面処理がなされた炭素繊維束と、炭素繊維束の表面処理方法とに関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】炭素繊維を補強材とする複合材料は、軽量で、且つ強度及び弾性率にも優れていることから、スポーツやレジャー用品の構成部材として、或いは宇宙航空機用部材として幅広い分野にわたり用途開発がなされ、また、実用化されている。

    【0003】しかしながら、従来、複合材料の補強材として用いられる炭素繊維は、マトリックス樹脂との接着性が必ずしも十分ではない。 炭素繊維のマトリックス樹脂との接着性を高めるべく、その繊維表面を活性化させるため、炭素繊維には薬剤酸化処理、気相酸化処理、電解酸化処理等の表面処理が施されている。 これらの表面処理方法の中でも特に、電解酸化処理方法は操作性の良さ、反応制御の容易さ等の観点から、実用的な表面処理方法である。

    【0004】ところで、最近では生産性を向上させる観点からプレカーサー繊維を構成する単繊維の本数、いわゆるフィラメント数が増加する傾向にあり、また、同時に焼成する炭素繊維束の糸条本数も増えており、それに伴い表面処理の均一性も求められている。 フィラメント数の多い炭素繊維束では、電解酸化処理するに際し、繊維束の外周の単繊維が、繊維束内部の単繊維よりも電解酸化処理されやすいため、炭素繊維束はその内外で電解酸化処理が不均一になり、複合材料特性を低下させる惧れがある。

    【0005】すなわち繊維束の内部に位置する単繊維では酸化が進みにくく、繊維束の外周に位置する単繊維では酸化が進みすぎる。 そのために繊維束の内部に位置する単繊維は、電解酸化処理が不十分となりマトリックス樹脂との接着が小さく、一方、繊維束の外周に位置する単繊維は酸化が十分であるため、マトリックス樹脂との接着力が十分に得られるものの、酸化の進みすぎによる繊維強度の低下を招く。

    【0006】電解酸化処理による効果としては、炭素繊維のマトリックス樹脂との接着性の向上だけでなく、炭素繊維に対するマトリックス樹脂の含浸性(濡れ性)の向上も重要である。 炭素繊維に対するマトリックス樹脂の含浸性が、繊維束の内外で不均一であると、繊維束では炭素繊維の強度を伝達する界面が存在しない部分を生じやすく、複合材料の性能に悪影響を与えることとなる。

    【0007】この電解酸化処理の不均一は、電解液が繊維束の内部まで十分に拡散しないために生じると考えられる。 この問題を解決するために、炭素繊維束をパルス的に印加して陽極酸化し、繊維束内部への電解質の拡散効率を上げる方法が提案されている。

    【0008】例えば、特開昭63−264967号公報に開示されている炭素繊維の表面処理方法によれば、炭素繊維を陽極として、酸性電解質溶液中で前記炭素繊維に断続的に給電し、具体的な実施例では5秒通電5秒停電を60回繰り返して、電解酸化処理を施している。 このように断続的に給電することにより、炭素繊維の結合酸素量を増加させると共に、酸素の結合状態を制御することができるとしている。

    【0009】また、例えば特開平1−298275号公報に開示されている炭素繊維の表面処理方法によれば、
    印加電圧を10V以上とし、パルス給電間隔を、給電時間が0.02秒以下、給電停止時間が給電時間の5倍以上となるように設定している。 このように炭素繊維束に間欠的にパルス給電を行うことにより、炭素繊維束の中心部へのOH -イオンの補給(無通電)と電解酸化(通電)とが交互に行われ、これにより炭素繊維束の中心部にも十分にOH -イオンが存在して酸化反応がなされ、
    均一な処理が得られるとしている。

    【0010】更に、特開平7−207573号公報に開示されている炭素繊維の表面処理方法によれば、処理電流波形を、炭素繊維表面電位が基準電極に対してプラスになる電流値Aとマイナスになる電流値Bとからなる矩形波とし、且つ、電流値A及びBの印加時間を所定の値として表面処理を施している。 このように、炭素繊維の表面電位を間欠的に変化させることによって、炭素繊維表面に形成される濃度分極層を薄くすることができ、電気力線が前記表面に均一に分散しやすくなるため、表面の脆弱層が形成されにくくなる。 更には、炭素繊維表面電位をマイナスにすることによって、生成された微量の脆弱層を除去することができる。 また、電解液が繊維束の内部まで拡散しやすくなる。

    【0011】また、特開平10−266066号公報の炭素繊維束の表面処理方法によれば、還元電気量を、酸化電気量と還元電気量との和で除した値である還元率が、0.001〜0.5では、陽極酸化と陰極還元を周期的に繰り返して表面処理することにより均一な表面処理効果が得られるとしている。

    【0012】しかしながら、いずれの公報に開示されている方法にあっても、繊維束の内部と外周部との間で電解酸化処理が未だ不均一である。 特に、特開平10−2
    66066号公報では、得られた繊維束は、界面せん断力で示される接着力のバラツキが30%以下であるに過ぎず、繊維束の電解酸化処理のバラツキは未だ不十分である。

    【0013】更に、特開昭63−264967号公報及び特開平1−298275号公報に開示されている方法にあっては、具体的な実施例として、単一の繊維束を構成する単繊維の本数が4000〜5000フィラメントと少ない炭素繊維束の表面処理に適用さているにすぎない。 また、特開平7−207573号公報でも具体的な実施例で使用されている炭素繊維束の構成単繊維数は1
    2000フィラメントであり、上述の2つの公報よりはフィラメント数が多いものの、近年では炭素繊維の製造効率を向上させるために単一の繊維束を構成するフィラメント数は更に増加しており、構成単繊維が24000
    フィラメント以上のものも製造されている。 このように構成単繊維本数の多い炭素繊維束に、上述した公報に開示されている方法を適用した場合には、同繊維束の内部と外周部との間での処理の均一性は更に低下するものと考えられる。

    【0014】また、特開平10−266066号公報では炭素繊維束の構成単繊維数が18000フィラメントの繊維束を表面処理する実施例と、24000フィラメントの繊維束を表面処理する実施例とが挙げられており、いずれの場合であっても、単繊維間での接着力のバラツキは24%であり、繊維束の径方向での電解酸化処理は十分に均一であるとはいえない。

    【0015】そこで本発明は、特にフィラメント数が2
    4000本以上の炭素繊維束であっても、その内部と外周部とで均一な電解酸化処理がなされ、且つ、マトリックス樹脂の含浸性(濡れ性)及び同樹脂との接着性も均一且つ十分であり、複合材料としたときに炭素繊維の強度が十分に発揮でき、安定した機械的特性が得られる炭素繊維束と、同炭素繊維束の表面処理方法とを提供することを目的としている。

    【0016】

    【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明者らが電解酸化処理の諸条件、特に電気量及び処理時間と、処理斑との関係を検討した結果、それらの条件を適正化することによって、フィラメント数が多い炭素繊維束であっても特に繊維束の内部と外周部との間、すなわち繊維束の径方向での処理斑を低く抑え、且つ、マトリックス樹脂との含浸性斑も低く抑えることができることを見いだした。

    【0017】また、炭素繊維束内部への電解液の拡散効率を向上させる簡便な方法について検討した結果、電解液中での繊維束のロールとの接触や、繊維束のトウ幅、
    張力の条件を適正化することで、処理斑やマトリックス樹脂との含浸性斑の低減効果を更に高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。

    【0018】即ち、本件請求項1に係る発明は、単繊維本数が24000フィラメント以上の炭素繊維束であって、X線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O
    /Cが0.05〜0.15であり、サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry)法により測定される炭素繊維の表面特性ipaのバラツキが8%以下であることを特徴としている。

    【0019】本発明の炭素繊維束はX線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cが0.05〜0.1
    5である。 表面酸素濃度O/Cが0.05より低いと表面処理効果が十分ではなく、即ち、酸化が不十分であるため、マトリックス樹脂との含浸性、接着性が不足する。 一方、表面酸素濃度O/Cが0.15を越えると炭素繊維の表面が過度に酸化され、同繊維に脆弱な表面層が形成されてしまい、結果として複合材料は安定した機械的特性が得られない。

    【0020】本発明の炭素繊維束は、サイクリックボルタンメトリー法により測定される炭素繊維の表面特性i
    paのバラツキが8%以下である。 炭素繊維の表面特性ipaが8%を越えると、同繊維束により製造される複合材料は、十分且つ安定した曲げ強度を得ることができない。

    【0021】なお、表面酸素濃度O/Cは、特開平9−
    31841号公報に開示されている方法と同一の方法で求めた。 すなわち、先ず、炭素繊維束をカットして試料ホルダーに両面テープを用いて固定した後、光電子脱出速度を90°とし、装置の測定チャンバー内を1×10
    -6 Paの真空に保つ。 測定時の帯電に伴うピークの補正として先ずC 1Sの主ピークの結合エネルギー値を28
    5.6eVに合わせる。 C 1Sのピーク面積は282〜2
    96eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、O 1Sのピーク面積は528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。 表面酸素濃度O/Cは、O 1Sのピーク面積とC 1Sのピーク面積の比を装置固有の感度補正値で除すことにより算出した原子数比で表した。

    【0022】炭素繊維の表面特性ipaは、特開昭60
    −246864号公報に開示されているサイクリックボルタンメトリー法によって測定した。 本発明でいうサイクリックボルタンメトリーとは、ポテンシオスタットとファンクションゼネレータとからなる分析装置において、作動電極として炭素繊維を用い、その電流と電極電位(電圧)との関係を測定する方法である。

    【0023】本発明では、5%リン酸溶液を用いてp
    Hを3.0に設定し、窒素をバブリングさせ容存酸素を除去する。 参照電極としてはAg/AgCl電極を用い、対極には充分な表面積を有する白金電極を用い、炭素繊維を作動電極として測定する。 電位操作範囲は−
    0.2〜0.8Vとし、電位操作速度は2mV/sec
    とする。 X−Yリコーダーにより電位−電流曲線を描き、3回以上掃引させ、曲線が安定した段階で、Ag/
    AgCl電極に対して、+0.4Vでの電位を標準にとって電流を読みとり、次式に従ってipaを算出した。 ipa=電流値(μA)/試料長(cm)×{4π・目付(g/m) ・フィラメント数/密度(g/cm 3 ) } 1/2

    【0024】本発明におけるipaのバラツキを求めるため、先ず、表面処理を施した炭素繊維束を4本に分繊し、それぞれの束について長さ方向に5点、合計して2
    0点で、ipaを測定した。 この測定値からipaのバラツキとして、その標準偏差の平均値に対する割合、すなわちCV値を求めた。

    【0025】本件請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明に加え、ウィルヘルミー(Wilhelmy)法によって測定される接触のバラツキが10%以下であることを特徴としている。

    【0026】炭素繊維束の表面特性の一つである接触角は、以下の方法で求めた。 すなわち、純水の入った容器を1本の単繊維の下端に近づける。 純水の水面を単繊維の下端に接触させ、さらに単繊維を純水に沈めていくと、単繊維の受ける力は平衡に達する。 この時の単繊維の受ける力Fを電子天秤で測定する。 この値を用いて次式で接触角θを算出する。 COS θ= 単繊維が受ける力F/(単繊維の円周×純水の表面張力)

    【0027】接触角のバラツキを求めるために、先ず、
    表面処理を施した炭素繊維束を4 本に分繊し、それぞれの束から10本の単繊維を取り出し、この10本の単繊維それぞれについて接触角を測定した。 すなわち、一の繊維束に対して合計40本の単繊維について接触角を測定した。 この測定値から接触角のバラツキとして、その標準偏差の平均値に対する割合、すなわちCV値を求めた。

    【0028】また、本件請求項3に係る発明によれば、
    単繊維本数が24000フィラメント以上の炭素繊維束であって、X線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cが0.05〜0.15であり、ウィルヘルミー(Wilhelmy)法によって測定される接触角のバラツキが10%以下であることを特徴としている。

    【0029】上記請求項1〜3に係る本発明の炭素繊維束にあっては、それを構成する単繊維の本数が2400
    0フィラメント以上、さらに好ましくは30000フィラメント以上である。 一の炭素繊維束を構成する単繊維本数が24000フィラメント未満と少ない場合には、
    後述する本発明による特定の表面処理方法を用いなくても、サイクリックボルタンメトリー法によって測定される炭素繊維の表面特性ipaのバラツキや、ウィルヘルミー法によって測定される接触角のバラツキを比較的小さなものとできることもある。

    【0030】しかしながら、構成単繊維本数が2400
    0フィラメント以上と多い炭素繊維束にあっては、前記表面特性ipaのバラツキが8%以下であり、及び/又は、接触角のバラツキが10%以下である、繊維束の径方向に均一な表面処理を施すためには、以下の本発明の方法を採用する必要がある。

    【0031】本件請求項4に係る発明によれば、単繊維本数が24000フィラメント以上の炭素繊維束を陽極として、7.5〜45C/gの電気量をもって4秒以上電解酸化処理することを特徴としている。

    【0032】電解酸化の処理斑と電解酸化条件との関係について検討したところ、より短時間で、且つより多い電気量で処理するほど、その処理斑は大きくなる傾向が認められた。 これは、より短時間で、或いはより多い電気量で処理するほど電解酸化処理を受けやすい炭素繊維束の外周部と、電解酸化処理を受けにくい炭素繊維束の内部とで、表面酸化の程度の差が大きくなるためと考えられる。 しかし、逆にある程度の処理時間と少ない電気量とで電解酸化処理することにより、すなわち、適正な電解酸化処理の条件を選択することによって処理斑やマトリックス樹脂との含浸性斑を小さく抑えることができる。

    【0033】電解酸化処理時間が4秒より短いと、十分な電解酸化処理効果を確保するために電気量を多くせざるを得ず、結果的に繊維束の径方向での処理斑が大きくなってしまう。 また、電気量を7.5C/gより少なくすると十分な電解酸化処理効果があられず、一方、電気量を15C/gより多くすると処理斑を低く抑えるために表面処理時間を著しく長くしなければない。 従って、
    工程の生産速度の低下を招き、更には、電解酸化処理装置を大きくする必要があり、炭素繊維束の製造コストを上げる結果となる。

    【0034】また、前記電解酸化処理時間及び電気量が上述の範囲外の場合には、炭素繊維束への電解液の拡散効率を高めるための以下に述べる簡便な方法を採用しても、処理斑やマトリックス樹脂との含浸性斑を低く抑えることはできない。 逆に、前記電解酸化処理時間及び電気量が上述した本発明の範囲内にある場合に、炭素繊維束への電解液の拡散効率を高めるための以下に述べる簡便な方法を用いれば、処理斑やマトリックス樹脂との含浸性斑を更に低く抑えることができる。

    【0035】炭素繊維束への電解液の拡散効率を高めるための簡便な方法としては、本件請求項5に係る発明によれば、前記炭素繊維束は、陰極漕に対し炭素繊維束の進行方向上流側に配された電解液中において、複数本のロールに掛けまわされてなることを特徴としている。 陰極槽にて電解酸化処理を施すのに先だって、同陰極槽の上流側に配された電解液中で炭素繊維を複数本のロールに掛けまわすことにより、繊維束内部の空隙に電解液が十分に行き渡るため、繊維束の内部でも外周部と同等に電解酸化がなされ、繊維束は径方向に均一な電解酸化処理が施される。

    【0036】炭素繊維束への電解液の拡散効率を高めるための他の簡便な方法として、本件請求項6に係る発明によれば、前記炭素繊維束はトウ幅が3.0mm以上で電解酸化処理されてなることを特徴としている。 単繊維本数が24000フィラメント以上の炭素繊維束を電解酸化処理する際に、陰極槽で電解酸化処理がなされる際の繊維束のトウ幅を3.0mm以上に広げることにより、炭素繊維束の内部まで電解液が十分に拡散できる。
    構成単繊維数が24000フィラメント以上の炭素繊維束に電解酸化処理を施す場合に、トウ幅が3.0mm未満では繊維束の内部まで電解液が拡散しにくい。

    【0037】炭素繊維束への電解液の拡散効率を高めるための更に他の簡便な方法として、本件請求項7に係る発明によれば、前記炭素繊維束は、24000フィラメント当たりの張力が4Kg以下で電解酸化処理されてなることを特徴としている。 構成単繊維数が24000フィラメント以上である炭素繊維束は、表面処理工程での張力を24000フィラメント当たり4.0Kg以下とすることが好ましい。 このときの繊維束の張力が240
    00フィラメント当たり4.0Kgより高いと、炭素繊維束の内部まで電解液が拡散しにくい。

    【0038】

    【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。 図1は、本発明の炭素繊維束の表面処理方法を行うために好適な電解酸化処理装置の概略図である。

    【0039】電解酸化処理装置は、炭素繊維束Fの走行方向に沿って、電解液が充填されている3つの電解液槽1,2,3が配されている。 3つの電解液槽のうち中央の電解液槽2は陰極槽であり、同陰極槽2の上流側及び下流側に配されている電極層1,3はそれぞれ陽極槽である。 前記陽極槽1,3にはそれぞれ陽極4,4が、前記陰極槽2には陰極5が、電解液の中に配されている。
    そして、前記陽極4,4、と陰極5とは直流電源6に接続されている。

    【0040】前記陰極槽2よりも上流側の陽極槽1は、
    前記陽極4と対向して電解液中に3つのロール7が繊維束Fの走行方向に配されている。 前記繊維束Fは、同陽極槽1においては電解液中の前記ロール7に掛けまわされて走行する。 この陽極槽1を走行する際、炭素繊維束Fに電解液が含浸されるが、本実施形態の処理装置にあっては、繊維束が同陽極槽1の電解液中において複数のロール7に掛けまわされているため、同繊維束には内部まで十分に電解液が含浸される。

    【0041】その後、前記繊維束Fは陰極槽2、次いで下流側の陽極槽3へと導かれる。 これら陰極槽2及び陽極槽3では前記繊維束Fは電解液中には浸漬されず、電解液の液面に接触しながら走行する。 同繊維束Fは、前記陰極槽2では陽極として作用し、同繊維束F自身には電解酸化処理がなされる。 本発明にあっては、7.5〜
    45C/gの電気量をもって4秒以上電解酸化処理がなされ、即ち、前記陰極槽2の通過時間が4秒以上であり、且つ同陰極槽2において7.5〜45C/gの電気量で電解酸化処理がなされる。

    【0042】更に、この陰極槽2を走行している炭素繊維束Fはトウ幅が3.0mm以上であることが好ましく、更に、同陰極槽2を走行する繊維束Fの24000
    フィラメント当たりの張力は4Kg以下であることが好ましい。

    【0043】以下、本発明について具体的な実施例及び比較例を挙げて説明する。 なお、以下の実施例及び比較例では、炭素繊維束として、ポリアクリロニトリル系の繊維束(単繊維デニール:1.1d、フィラメント数:
    48000)を空気中で耐炎化し、さらに不活性雰囲気中、最高処理温度1400℃で炭素化した炭素繊維束を採用している。

    【0044】各実施例及び比較例では、電解酸化処理後の炭素繊維束について、上述した方法により表面酸素濃度O/C、表面特性ipaのバラツキ、及び接触角のバラツキを測定した。 また、電解酸化処理後の炭素繊維束を用い、マトリックス樹脂として三菱レイヨン(株) 製#350エポキシ樹脂を用いて、炭素繊維束の含有量が体積含有率で60%である、板厚が2mmの繊維強化プラスチック板材を製造した。

    【0045】この板材について、ASTM D790に準じて3点曲げショートビーム法により繊維方向に対して直角方向の曲げ強度(FS⊥) を測定すると共に、A
    STM D2344に準じて層間せん断強度(ILS
    S) を測定した。 この結果を表1に示す。 なお、表1においてFS⊥及びILSSのカッコ内の数字はCV値を表す。

    【0046】<実施例1〜3>電解酸化処理の電解液として重炭酸アンモニウム水溶液(5wt%)を使用し、
    上述した図1に示す装置を用いて、表1に示す条件で電解酸化処理を施した。 但し、実施例1では上流側の陽極槽1にロール7を配していない処理装置を使用しており、実施例2及び3では図1に示すように上流側の陽極槽1の電解液中に3本のロール7を配し、繊維束Fを同ロール7に掛け回している。

    【0047】<比較例1〜5>電解酸化処理の電解液として重炭酸アンモニウム水溶液(5wt%)を使用し、
    上述した図1に示す装置において上流側の陽極槽1にロール7を配していない処理装置を使用して、電解酸化処理を施した。 なお、炭素繊維束のトウ幅は、溝形状の異なる溝ロールを使用して変更した。

    【0048】<実施例4〜5>電解酸化処理の電解液として硝酸水溶液(8wt%)の電解液を用いて、表1に示す条件で電解酸化処理を施した。 なお、実施例4では上述した図1に示すように上流側の陽極槽1の電解液中に3本のロール7を配した装置を用いて繊維束Fを同ロール7に掛け回し、実施例5は図1に示す装置における上流側の陽極槽1にロール7を配していない処理装置を使用した。

    【0049】<比較例6〜10>電解酸化処理の電解液として硝酸水溶液(8wt%)の電解液を用い、図1に示す装置における上流側の陽極槽1にロール7を配していない処理装置を使用して、表1に示す条件で電解酸化処理を施した。 なお、炭素繊維束のトウ幅は、溝形状の異なる溝ロールを使用して変更した。

    【0050】

    【表1】

    【0051】電解酸化処理時間が4秒以上であり、且つ電解酸化処理の電気量が7.5〜45C/gの範囲内にある実施例は、表面特性ipaのCV値は8%以下であり、接触角のCV値が10%以下と小さく、繊維束の径方向に均一な処理がなされている。 これに対し、電解酸化処理時間及び/又は電気量が本発明の範囲外である比較例では、表面特性ipaのCV値及び接触角のCV値がいずれも10%より大きく、繊維束の内部と外周部とで処理斑が大きいことがわかる。

    【0052】更に、繊維束の径方向に均一な電解酸化処理がなされている実施例では、曲げ強度(FS⊥)及び層間せん断強度(ILSS)が比較例に比べて高く、且つそのCV値は小さく均一な強度を有していることがわかる。

    【0053】また、実施例1と実施例2とでは、陰極槽の上流側の電解液槽にてロールに掛け回しているか否かが異なるだけであり、その他の条件は全て同一である。
    また、実施例4と実施例5との相違も同様である。 これらの実施例から、陰極槽の上流側の電解液槽においてロールに掛け回している実施例1及び実施例4は、ロールに掛け回していない実施例2及び実施例5とそれぞれ比較すると、表面酸素濃度O/Cは同一であるが、表面特性ipaのCV値及び接触角のCV値がいずれも、ロールに掛け回している方が小さく、即ち、繊維束の内部と外周部との間で処理斑が小さいことがわかる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 本発明の表面処理方法に好適に用いられる表面処理装置の概略を示す図である。

    【符号の説明】

    1 陽極槽(上流側) 2 陰極槽 3 陽極槽(下流側) 4 陽極 5 陰極 6 直流電源 7 ロール

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