Magnetic head

阅读:371发布:2021-09-18

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【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 スライダと、第1の磁気シールド膜と、
    第2の磁気シールド膜と、少なくとも一つの磁気変換素子とを含む磁気ヘッドであって、 前記第1の磁気シールド膜及び第2の磁気シールド膜は、前記スライダ上に、互いに絶縁間隔を隔てて配置されており、 前記磁気変換素子は、強磁性トンネル接合部を含んでおり、 前記強磁性トンネル接合部は、絶縁膜と、第1の強磁性膜と、第2の強磁性膜とを含み、前記第1の強磁性膜と前記第2の強磁性膜とが前記絶縁膜を介して積層され、
    前記第1の磁気シールド膜及び前記第2の磁気シールド膜の間に配置されており、 前記強磁性トンネル接合部の前記絶縁膜によるバリアポテンシャルが0.5〜3eVの範囲にある。
  • 【請求項2】 請求項1に記載された磁気ヘッドであって、 前記絶縁膜によるバリアポテンシャルは1.5〜2.5
    eVの範囲にある。
  • 【請求項3】 請求項1または2の何れかに記載された磁気ヘッドであって、 前記強磁性トンネル接合部の接合面積が10μm 2以下である。
  • 【請求項4】 スライダと、第1の磁気シールド膜と、
    第2の磁気シールド膜と、少なくとも一つの磁気変換素子とを有する磁気ヘッドであって、 前記第1の磁気シールド膜及び第2の磁気シールド膜は、前記スライダ上に、互いに絶縁間隔を隔てて配置されており、 前記磁気変換素子は、強磁性トンネル接合部を含んでおり、 前記強磁性トンネル接合部は、絶縁膜と、第1の強磁性膜と、第2の強磁性膜とを含み、前記第1の強磁性膜と前記第2の強磁性膜とが前記絶縁膜を介して積層され、
    前記第1の磁気シールド膜及び前記第2の磁気シールド膜の間に配置されており、 前記強磁性トンネル接合部は、接合面積が10μm 2以下である。
  • 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載された磁気ヘッドであって、 前記第1の強磁性膜の保磁力と、前記第2の強磁性膜の保磁力とが異なる。
  • 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかに記載された磁気ヘッドであって、 前記第1の強磁性膜および前記第2の強磁性膜が、前記絶縁膜を介して、反強磁性的結合している。
  • 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載された磁気ヘッドであって、 前記絶縁膜は、成膜後に大気中において40〜100℃
    で熱処理して形成した酸化アルミニウム膜である。
  • 【請求項8】 請求項1乃至7の何れかに記載された磁気ヘッドであって、 前記絶縁膜は、ダイアモンド状炭素膜である。
  • 【請求項9】 請求項1乃至8の何れかに記載された磁気ヘッドであって、 前記第1の強磁性膜及び前記第2の強磁性膜の何れか一方に、磁区固定膜が設けられている。
  • 【請求項10】 請求項9に記載された磁気ヘッドであって、 前記磁区固定膜は、硬質強磁性膜である。
  • 【請求項11】 請求項9に記載された磁気ヘッドであって、 前記磁区固定膜は、反強磁性膜である。
  • 【請求項12】 請求項9に記載された磁気ヘッドであって、 前記第1の強磁性膜及び前記第2の強磁性膜のうち、前記磁区固定膜の設けられていない強磁性膜は、両端部に磁区制御膜を有する。
  • 【請求項13】 請求項12に記載された磁気ヘッドであって、 前記磁区制御膜は、硬質強磁性膜である。
  • 【請求項14】 請求項12に記載された磁気ヘッドであって、 前記磁区制御膜は、反強磁性膜であり、前記第1の強磁性膜または前記第2の強磁性膜と前記反強磁性膜の間で交換結合を生じる。
  • 【請求項15】 請求項1乃至14の何れかに記載された磁気ヘッドであって、 更に、誘導型磁気変換素子を含む。
  • 【請求項16】 請求項15に記載された磁気ヘッドであって、 第1の磁気シールド膜及び第2の磁気シールド膜を有しており、 前記強磁性トンネル接合部は、前記第1の磁気シールド膜及び前記第2の磁気シールド膜の間に配置されており、 前記第2の磁気シールド膜は、前記誘導型磁気変換素子に備えられた磁性膜である。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、強磁性トンネル接合を感磁部として用いた磁気ヘッドに関する。

    【0002】

    【従来の技術】高密度磁気記録における再生磁気ヘッドとして、異方性磁気抵抗(以下AMRと称する)効果を用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下MR磁気ヘッドと称する)が商品化されている。 しかしながら、磁性膜にNiFe等のAMR効果膜を用いているため、磁気抵抗(MR)変化率が約2%、感度が0.5%/Oeと低い。 このため、さらに高MR変化率、高感度なMR膜が望まれている。

    【0003】このような要望に応える技術として、近年、巨大磁気抵抗効果(GMR効果)という新しい現象が見出され、従来のAMR効果より大きな磁気抵抗変化率が得られるということから、研究が進められている。
    その中でも、スピンバルブ(SV)膜を用いたGMR効果が注目されている。 スピンバルブ膜は、強磁性膜/非磁性金属膜/強磁性膜/反強磁性膜の膜構成からなる多層膜であり、2〜5%/Oeの高感度な特性を示すため、次世代磁気ヘッドの再生素子として注目され、実用化研究が始められている。

    【0004】一方、GMR効果とは別に、強磁性膜/絶縁膜/強磁性膜の接合構造を持ち、両強磁性膜の磁化の相対度に依存してトンネル効果があらわれる強磁性トンネル効果という現象が見出され、この現象を利用した磁気抵抗効果素子の研究及び開発が進められている。 強磁性トンネル効果膜は非常に高い磁場感度を有するため、10Gbit/inch 2以上の超高密度磁気記録における再生磁気ヘッドとして可能性がある。 S.Maekawa and V.Ga
    fvert等は、IEEE Trans. Magn., MAG-18, 707(1982)において、磁性体/絶縁体/磁性体接合で両磁性膜の磁化の相対角度に依存してトンネル効果が現れることが期待されることを理論的、実験的に示した。

    【0005】特開平4-42417号公報は、強磁性トンネル効果膜を有する磁気ヘッドを開示しており、従来のMR
    磁気ヘッドにくらべ、微小な漏洩磁束の変化を高感度、
    かつ、高分解能に検出できること、接合面積を狭めることにより、絶縁膜におけるピンホ−ルの発生確率を小さくして、再生感度を一層向上させることができる旨述べられている。

    【0006】また、特開平4-103014号公報は、磁性膜に反強磁性体からのバイアス磁界を印加する強磁性トンネル効果膜およびそれを用いた磁気ヘッドを開示している。

    【0007】更に、T.Miyazaki及びN.Tezuka等は、J.Ma
    gn.Magn.Mater.139(1995)L231において、Fe/Al 2 O 3 /Feトンネル接合で室温においてMR変化率18%が得られたと報告している。 また、M.Pomerantz,JCSloczewski及びE.Spiller等は、Fe/a-Carbon/Fe膜について開示している。

    【0008】しかしながら、これまで報告された強磁性トンネル接合には、磁気ヘッドとして利用するに当たり、種々の解決すべき課題が存する。 その最大の課題は、高いMR変化率を再現性よく得ることができる磁気ヘッドの実現である。

    【0009】また、シールド型磁気ヘッドを高密度記録再生に適用するためには、ABS面でのシールド間隔を狭める必要がある。 シールド型磁気ヘッドにおいて、通常、シールド間には強磁性トンネル接合部の他、強磁性トンネル接合部とシールド膜との絶縁性を保つためのアルミナなどの絶縁膜が存在するから、シールド間隔を狭めるためには、絶縁膜や強磁性トンネル接合部の厚みをできる限り薄くしなければならない。 しかしながら、公知文献に示されるように、電極膜が、ABS面に露出するようにすると、絶縁膜や強磁性トンネル接合部の厚みを薄くしても、電極膜とシールド膜との間に、依然として間隔が必要であるため、シールド間隔を狭めることができず、高密度記録再生に適さない。

    【0010】公知文献では、全ての電流が強磁性トンネル接合部を流れるようにするため、電極膜の面積を大きくしている。 しかし、強磁性トンネル接合部とシールド膜との間では一定レベル以上の絶縁耐電圧をとる必要があるため、公知文献に示されているよう広い電極膜面積にしてABS面に露出させると、静電気による絶縁破壊などが起こりやすくなるため、望ましくない。

    【0011】なお、本発明における強磁性トンネル接合は上記の強磁性トンネル効果膜と同一のものである。

    【0012】

    【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高いMR変化率を、再現性よく得ることができる強磁性トンネル接合型磁気ヘッドを提供することである。

    【0013】

    【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するため、本発明に係る磁気ヘッドは、スライダと、第1の磁気シールド膜と、第2の磁気シールド膜と、少なくとも一つの磁気変換素子とを含む。 前記第1の磁気シールド膜及び第2の磁気シールド膜は、前記スライダ上に、
    互いに絶縁間隔を隔てて配置されている。

    【0014】前記磁気変換素子は、強磁性トンネル接合部を含んでいる。 前記強磁性トンネル接合部は、絶縁膜と、第1の強磁性膜と、第2の強磁性膜とを含み、前記第1の強磁性膜と前記第2の強磁性膜とが前記絶縁膜を介して積層され、前記第1の磁気シールド膜及び前記第2の磁気シールド膜の間に配置されている。 前記強磁性トンネル接合部の前記絶縁膜によるバリアポテンシャルが0.5〜3eVの範囲にある。

    【0015】もう一つの態様として、前記強磁性トンネル接合部は、接合面積が10μm 2以下となるように設定される。

    【0016】

    【発明の実施の形態】図1は本発明に係る磁気ヘッドの斜視図である。 図において、寸法は誇張されている。 図示された本発明に係る磁気ヘッドは、スライダ1と、強磁性トンネル接合を利用した磁気変換素子(以下強磁性トンネル接合型磁気変換素子と称する)2と、更に、誘導型磁気変換素子3とを含む。 スライダ1は媒体対向面側にレール部11、12を有し、レール部11、12の表面が空気ベアリング面13、14を構成している。 レール部11、12は2本に限らない。 1〜3本のレール部を有することがあり、レール部を持たない平面となることもある。 また、浮上特性改善等のために、空気ベアリング面(以下ABS面と称する)に種々の幾何学的形状が付されることもある。 何れのタイプのスライダであっても、本発明の適用が可能である。

    【0017】磁気変換素子2、3は、レール部11、1
    2の一方または両者の媒体移動方向a1の端部に設けられている。 媒体移動方向a1は、媒体が高速移動した時に連れ回る空気の流出方向と一致する。 スライダ1の媒体移動方向a1の端面には、強磁性トンネル接合型磁気変換素子2に接続された取り出し電極41、42及び磁気変換素子3に接続された取り出し電極43、44が設けられている。

    【0018】図2は図1に示した強磁性トンネル接合型磁気ヘッドの磁気変換素子部分の拡大断面図である。 強磁性トンネル接合型磁気変換素子2は再生素子であり、
    誘導型磁気変換素子3は書き込み素子である。 強磁性トンネル接合型磁気変換素子2及び誘導型磁気変換素子3
    は、スライダ1を構成するセラミック基体101の上に設けられた絶縁膜102の上に積層されている。 セラミック基体101は、通常、Al 2 O 3 -TiCで構成される。 Al 2
    O 3 -TiCは導電性があるので、電気絶縁をする手段として、例えばAl 2 O 3でなる絶縁膜102が付着されている。 セラミック基体101が高い絶縁性を有する場合は、絶縁膜102は省略できる。

    【0019】図3は強磁性トンネル接合型磁気変換素子2の部分の拡大断面図、図4はその拡大斜視図である。
    これらの図に示すように、強磁性トンネル接合型磁気変換素子2は、強磁性トンネル接合部21と、電極膜2
    2、23とを含み、スライダ1の一部を構成する絶縁支持膜24、25によって支持されている。 強磁性トンネル接合部21は、絶縁膜210と、第1の強磁性膜21
    1と、第2の強磁性膜212とを含んでいる。 第1の強磁性膜211と第2の強磁性膜212とは、絶縁膜21
    0を介して積層されている。

    【0020】電極膜22、23は、第1の電極膜22
    と、第2の電極膜23とを含んでいる。 第1の電極膜2
    2は第1の強磁性膜211に接続され、第2の電極膜2
    3は第2の強磁性膜212に接続されている。

    【0021】これらの第1の電極膜22及び第2の電極膜23は、ABS面13(または14)に露出しないように設けられている。 その具体的手段として、実施例では、強磁性トンネル接合部21において、外部磁界を検出する先端をABS面13(または14)に位置させると共に、第1の電極膜22及び第2の電極膜23を、強磁性トンネル接合部21の先端の位置するABS面13
    (または14)から、間隔D1だけ後退させてある。

    【0022】強磁性トンネル接合型磁気変換素子2は、
    第1の磁気シールド膜51と、第2の磁気シールド膜5
    2との間において、絶縁支持膜24、25の内部に配置されている。 第1の磁気シールド膜51はセラミック基体101に設けられた絶縁膜102の上に付着され、絶縁支持膜24は第1の磁気シールド膜51の上に付着されている。

    【0023】上述のように、ABS面13(または1
    4)に第1の電極膜22及び第2の電極膜23が露出しない構造にすることにより、第1の磁気シールド膜51
    及び第2の磁気シールド膜52と、強磁性トンネル接合型磁気変換素子2、特に、第1の電極膜22及び第2の電極膜23との間で、静電破壊が起こりにくくなり、耐電圧が改善されることが解った。

    【0024】しかも、ABS面13(または14)における第1の磁気シールド膜51及び第2の磁気シールド膜52と、感磁部となる強磁性トンネル接合部21との間の間隔を狭くできるため、従来より高密度記録再生が可能になる。

    【0025】実施例には、再生素子となる強磁性トンネル接合型磁気変換素子2と共に、書き込み素子となる誘導型磁気変換素子3を有する複合型磁気ヘッドが図示されている。 誘導型磁気変換素子3は、強磁性トンネル接合型磁気変換素子2に対する第2の磁気シールド膜を兼ねている下部磁性膜52、上部磁性膜32、コイル膜3
    3、アルミナ等でなるギャップ膜34、ノボラック樹脂等の有機樹脂で構成された絶縁膜35及びアルミナ等でなる保護膜36などを有している。 下部磁性膜52及び上部磁性膜32の先端部は微小厚みのギャップ膜34を隔てて対向する下部ポール部P1及び上部ポール部P2
    となっており、下部ポール部P1及び上部ポール部P2
    において書き込みを行なう。 下部磁性膜52及び上部磁性膜32は、そのヨーク部が下部ポール部P1及び上部ポール部P2とは反対側にあるバックギャップ部において、磁気回路を完成するように互いに結合されている。
    絶縁膜35の内部には、ヨーク部の結合部のまわりを渦巻状にまわるように、コイル膜33を形成してある。 コイル膜33の両端は、取り出し電極43、44に導通されている。 コイル膜33の巻数および膜数は任意である。

    【0026】次に、図5〜図17を参照して本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する。

    【0027】まず、膜厚30μmのアルミナ絶縁膜10
    2が形成されたAlTiC基板101(図5参照)上に、センダストをDCスパッタ法でスパッタして、膜厚2μm
    の第1の磁気シールド膜51を形成し(図6参照)、次に、真空中において、約450℃の温度条件で約2時間の磁場中熱処理を行なった後、フォトリソ及びArイオンエッチングにより所定の形状にした。

    【0028】次に、絶縁膜24として膜厚100nmのアルミナ膜をRFスパッタ法で成膜(図7参照)し、続いて第1の電極膜22としてTa/Cu/Ta膜をDC
    スパッタ法で成膜した(図8参照)。 その後、レジストを用いてパターニングを行ない、次に、Arイオンエッチングにより所定の形状に加工し、第1の電極膜22とした(図9参照)。

    【0029】次に、強磁性トンネル接合部21を形成する手段として、Co-50at%Fe(10nm)/酸化アルミニウム(5n
    m)/Fe(5nm)及びその表面酸化防止膜Ta(5nm)を以下のように作成した。 まず、第1の電極膜22の上にCo-50at%
    Fe(10nm)/Al(5nm)をDCスパッタ法で連続成膜した。 その後、サンプルを大気中に取り出し、約60℃の大気中に24時間放置してアニールし、Al(5nm)を自然酸化させた。 これにより、第1の強磁性膜211と、中間の絶縁膜210となるCo-50at%Fe(10nm)/酸化アルミニウム
    (5nm)膜とを形成した(図10参照)。

    【0030】その後、短絡防止用絶縁膜213を形成するため、形成すべきトンネル接合部以外のところをレジストカバーし、RFスパッタ法でアルミナ絶縁膜(膜厚
    50nm)を成膜した。 その後に、レジストをリフトオフし、短絡防止用絶縁膜213を形成した(図11参照)。 絶縁膜213は、強磁性トンネル接合部21以外でトンネル電流が流れないようにするために形成されるものである。

    【0031】次に、サンプルを再びDCスパッタ装置内にセットし、Fe(5nm)及びTa(5nm)を連続成膜し、第2の強磁性膜212を形成した(図12及び13参照)。 なお、Ta(5nm)膜はプロセス遂行中に表面が酸化されるのを防止する保護膜となる。

    【0032】次に、レジストを用いてパターニングし、
    Arイオンエッチングをした後、レジストを剥離して、
    強磁性トンネル接合部21を形成した。 次に再び、レジストを用いてパターニングし、続いてTa/Cu/Ta
    膜を成膜し、その後、リフトオフ法により、第2の電極膜23を形成した(図14参照)。

    【0033】次に、上部の絶縁膜25として、膜厚12
    0nmのアルミナ膜をRFスパッタ法で形成(図15)した。 次に、第2の磁気シールド膜52として、NiFe(膜厚2μm)をDCスパッタ法で成膜し、その後、フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、所定の形状にパターンニングした(図16参照)。

    【0034】この後、図1及び図2に示した磁気ヘッドを得るために必要な工程を実行し、更に、図17のX1
    ーX1線に沿って、ウエハ切断、加工研磨を施すことにより、ABS面に強磁性トンネル接合部21を露出させた。 以上のようにして、接合面積1μm×2μm(接合高1μm、接合幅2μm)の強磁性トンネル接合部21を有する磁気ヘッドを得た。

    【0035】比較として、電極膜22、23がABS面に露出している強磁性トンネル接合型磁気ヘッドも作製した。

    【0036】<特性評価>作製した磁気ヘッドを磁気ヘッドジンバルに取り付け、静電破壊試験を行なった。 静電破壊試験に当たっては、表面を研磨した金属板を用意し、この金属板に電源を接続し、金属板に磁気ヘッドを載せた。 磁気ヘッドをアースに接続し、磁気ヘッド及び金属板の間の抵抗と、金属板に印加された電圧との関係を調べた。 その結果、電極膜22、23がABS面に露出している従来の磁気ヘッドでは、印加電圧が50Vで抵抗が急激に上昇し、静電破壊を生じた。 これに対し、
    本発明の磁気ヘッドでは約150Vではじめて静電破壊が起こり、従来の磁気ヘッドの約3倍の耐電圧を有することがわかった。

    【0037】第1の強磁性膜211及び第2の強磁性膜212の間に備えられた絶縁膜210は、高いMR変化率を再現性良く得ること、及び、磁気ヘッド構造を簡素化するために、きわめて重要な役割を担っている。 特に、絶縁膜210によるバリアポテンシャルを0.5〜
    3eVの範囲に設定した場合、高いMR変化率を再現性良く得るとともに、磁気ヘッド構造を簡素化できる。 次にこの点について述べる。

    【0038】強磁性トンネル接合において、電子eがスピンの向きを保ったまま、第1の強磁性膜211から、
    絶縁膜210を介して、第2の強磁性膜212に通り抜けるとき、電子eの透過率はスピンを考慮して求めた波動関数を用いて、入射波と透過波の振幅自乗比から求められ、そのトンネルコンダクタンスGは、 G=G 0 ′(1+P 1 ′・P 2 ′)COSθ と表される。 ここで、 P 1 ′=[(K 1↑ -K 1↓ )/(K 1↑ +K 1↓ )]α 1 P 2 ′=[(K 2↑ -K 2↓ )/(K 2↑ +K 2↓ )]α 2 G 0 ′:両強磁性膜内での電子の波数K 1↑ 、K 1↓ 、K 2↑ 、K
    2↓及びバリアポテンシャルの高さで定まる定数 α 1 、α 2 :バリアポテンシャルの高さに依存する係数 P 1 ′、P 2 ′:両強磁性膜1、2の有効スピン偏極度 P 1 、P 2 :両強磁性膜1、2のスピン偏極度(有効スピン偏極度P 1 ′、P 2 ′の分数部分) である。 トンネルコンダクタンスの変化率△G/G 0は、 △G/G 0 =2・P 1 ′・P 2 ′ となる。 トンネルコンダクタンスの変化率△G/G 0はMR
    変化率と同義である。

    【0039】バリアポテンシャルの高さが低いと、それに依存する係数α 1 、α 2が小さくなるため、両強磁性膜の有効スピン偏極度P 1 ′、P 2 ′も小さくなり、MR変化率が低くなる。 逆に、バリアポテンシャルが充分に高いと、有効スピン偏極度P 1 ′、P 2 ′が、スピン偏極度P 1 、P
    2に近づき、高いMR変化率が得られる。

    【0040】バリアポテンシャルが0.5〜3eVの範囲にある場合、高いMR変化率を、再現性よく得ることができる。 その理由の一つは、バリアポテンシャルを0.
    5〜3eVの範囲に保つことにより、均一性が良好で、ピンホールの非常に少ない絶縁膜210の形成が保証されるためと推測される。

    【0041】もう一つの理由は、上述したバリアポテンシャルの範囲では、第1の強磁性膜211と第2の強磁性膜212との間に、絶縁膜210を介して、安定した反強磁性的結合を生じるためと推測される。 バリアポテンシャルが1.5〜2.5eVの範囲では、特に好ましい結果が得られた。

    【0042】バリアポテンシャルが3eVを越えると、高いMR変化率を得ることができなくなる。 原因は明確ではないが、3eVを越えるバリアポテンシャルの範囲では、トンネル電流が流れなくなるためではないかと推測される。

    【0043】バリアポテンシャルが0.5eVよりも小さくなると、この種の強磁性トンネル接合において期待される高いMR変化率を得ることができなくなる。 その理由は、絶縁膜210の均一性が劣化し、ピンホールが増えるためと推測される。

    【0044】次に、バリアポテンシャルが0.5〜3eV
    となる範囲において、第1の強磁性膜211と第2の強磁性膜212との間に、絶縁膜210を介して、安定した反強磁性的結合を生じさせ得る可能性は、この強磁性トンネル接合を、磁気ヘッドの読み取り用磁気変換素子に用いる場合に大きな利点をもたらす。

    【0045】図18は反強磁性的結合を生じている場合の磁場ー磁気抵抗変化率特性を示す図である。 図18に示すように、反強磁性的結合を生じている場合、磁場ー磁気抵抗曲線L1、L2が零磁場付近の領域△Hで、M
    R変化率が最も高い値を示すようになる。 従って、この強磁性トンネル接合を磁気ヘッドの読み取り用磁気変換素子として用いた場合、バイアス磁場を印加する必要がなく、形状効果のみで、零磁場付近で直線領域が得られる。 このため、磁気ヘッドの構造を簡素化することができる(図3、図4参照)。

    【0046】上述のようなバリアポテンシャルを確保し得る絶縁膜210の一例は、大気中で40〜100℃アニールした酸化アルミニウム膜である。 かかる酸化アルミニウム膜は、金属アルミニウムが局部的に存在しなくなったため、上下の強磁性膜211−212間でブリッジができなくなり、その結果、高いバリアポテンシャルを有する極薄絶縁膜210を有する強磁性トンネル接合が実現できる。

    【0047】絶縁膜210の他の例としては、ダイアモンド状炭素膜(Diamond-like carbon膜、以下DLC膜と称する)も、高いバリアポテンシャルを有する極薄の絶縁膜210を実現するのに有効である。 特に、プラズマCVD法で作製したDLC膜は、数十Åという非常に薄い膜厚においても、均一、かつ、ピンホ−ルのない良好な絶縁膜210が得られる。

    【0048】なお、M.Pomerantz,JCSloczewski及びE.
    Spiller等が開示した中間膜のC膜は、MBE法で作製したアモルファス−C膜であり、プラズマCVD法で作製したDLC膜とは異なる。 具体的には、アモルファス−C膜は炭素同士がネットワ−ク状に結合しているものであるが、本発明のDLC膜は炭素と素がネットワ−
    ク状に結合しており、本質的に異なるものである。

    【0049】本発明において、通常、第1の強磁性膜2
    11の保磁と、第2の強磁性膜212の保磁力とは、
    互いに異ならせる。 図19は第1の強磁性膜211の保磁力H1と、第2の強磁性膜212の保磁力H2とを、
    H1>H2(またはH2>H1)のように異ならせた場合の磁化曲線を示している。 図示するように、磁化曲線は二段ループになっている。 図19中、円内に示された2つの矢印は、第1の強磁性膜211の磁化の向き、及び、第2の強磁性膜212の磁化の向きをそれぞれ示している。

    【0050】第1の強磁性膜211の磁化の向きと、第2の強磁性膜212の磁化の向きは、印加磁界が保磁力H2(絶対値)より大きく、かつ、保磁力H1(絶対値)よりも小さい場合は、反平行になり、印加磁界が保磁力H1よりも大きい場合は、平行になる。 電気抵抗は、磁化の向きが反平行状態のとき大きく、磁化の向きが平行状態であるとき小さくなる。 磁化の向きが平行である時の抵抗値Rsとし、磁化の向きが反平行から平行へ変化した時の抵抗の変化分を△Rとすると、MR変化率は△R/Rsとなる。 これにより、外部印加磁界を検出することができる。

    【0051】別の例として、第2の強磁性膜212の磁化の向きを固定する。 こうすることにより、第1の強磁性膜211の磁化の向きだけを変化させることにより、
    第2の強磁性膜212に対する第1の強磁性膜211の磁化の向きを平行または反平行にすることができる。

    【0052】次に、強磁性トンネル接合部21の接合面積及び絶縁膜210について、実施例を挙げて説明する。

    【0053】<実施例1>図5〜図17に示した製造方法において、酸化アルミニウム膜でなる絶縁膜210
    は、アルミニウム膜を大気中において60℃、24時間の熱処理を行なって形成した。 強磁性トンネル接合の接合面積は0.25〜2500μm 2とした。

    【0054】上述した接合面積を持つ強磁性トンネル接合を、各20個ずつ作製し、各接合面積毎のバリアポテンシャル、MR変化率の平均値及びそのばらつきを調べた。 また、歩留りについても調べた。 次に、強磁性トンネル接合の作製方法を具体的に説明する。

    【0055】まず、第1の強磁性膜211として、膜厚10nmのNiFe膜をRFスパッタ法で成膜し、レジストフォトリソ、Arイオンミリング、レジスト剥離の微細加工技術を用いて、0.5〜50μm×0.5mmの矩形状にパタ−
    ニングした。

    【0056】その後、レジストパタ−ニングをおこない、第1の強磁性膜211を構成するNiFe膜の表面酸化膜を逆スパッタにより除去したあと、電子ビーム加熱式真空蒸着法により、膜厚5nmのアルミニウム膜を成膜した。

    【0057】その後、サンプルを真空蒸着装置から取り出して、大気中において60℃、24時間の熱処理を行なった後、リフト・オフ・プロセスを経て、酸化アルミニウム膜でなる絶縁膜210を形成した。

    【0058】次に、再びレジストパタ−ニングをおこなった後、第2の強磁性膜212として膜厚100nmのC
    o膜をRFスパッタ法で成膜し、続いて、リフトオフプロセスを経て、第1の強磁性膜211と直角方向に0.5
    〜50μm×0.5mmの矩形状パタ−ンを持つ第2の強磁性膜212を形成した。 これにより、接合面積0.25〜2
    500μm 2の強磁性トンネル接合が得られた。

    【0059】また、比較として、従来用いられている自然酸化アルミニウム膜(成膜後、大気中において24時間放置)を絶縁膜210としたNiFe/酸化アルミニウム/Co強磁性トンネル接合も同様に作製した。

    【0060】実施例及び比較例において採用された第1
    の強磁性膜211および第2の強磁性膜212の成膜条件は以下に示す通りである。 また、アルミニウム膜は、
    到達圧力3×10 -5 Pa、蒸着速度0.05nm/secで作製した。

    【0061】<強磁性膜成膜条件> 到達圧力:1×10 -5 Pa タ−ゲット:Ni 80 Fe 20 at%、 Co(4インチφ) スパッタガス:Ar 5 sccm スパッタ圧力:0.5 Pa 投入パワ−:150 W 成膜レ−ト:NiFe 45nm/min、 Co 40nm/min 基板温度:水冷 このようにして作製したサンプルについて、直流4端子法で磁気抵抗(MR)曲線を測定した。 なお、測定時の最大印加磁場は±1kOeとし、−1kOeの磁場を印加させたのち、磁場を徐々に大きくして+1kOeまでかけ、再び−1kOeに戻した。 また、バリアポテンシャルはトンネル接合のV−I特性を測定し、直線領域からのずれをもとめた。

    【0062】図20に本発明に係る接合面積50×50
    μm 2の強磁性トンネル接合の磁気抵抗曲線を示す。 印加磁場を−1kOeより大きくしていくと、+5Oeにおいて、第1の強磁性膜211の磁化反転がおこり、第1の強磁性膜211と第2の強磁性膜212のスピンが反平行になるため、電気抵抗が大きくなる。 バリアポテンシャルを求めた結果0.5eVであり、作製した20個のうち16個において同様のMR曲線が得られた。 MR変化率は6.6〜8.1%であり、MR変化率の平均値は7.6%で、変化率ばらつきは±7%であった。

    【0063】一方、自然酸化アルミニウム膜を絶縁膜2
    10とした比較例の強磁性トンネル接合においては、バリアポテンシャルは0.2eVしか得られなかった。 また、4個しかMR曲線が観測できず、MR変化率平均値は1.5%と低く、平均値ばらつき±88%と非常に大きかった。 種々の接合面積についても同様の評価を行なった。 これらの結果を表1ー1、1ー2に示す。

    【0064】表1から明らかなように、大気中60℃熱処理により形成した酸化アルミニウム膜を絶縁膜210
    としての用いることにより、0.5〜3eVの高いバリアポテンシャルと高いMR変化率が得られ、しかもばらつきが少なく、高い歩留まりが得られる。 特にバリアポテンシャルが1.5〜2.5eVのとき歩留りが高い。 また、30〜250℃の温度範囲で大気中熱処理して得られた酸化アルミニウム膜を絶縁膜210とした強磁性トンネル接合のMR特性を調べた結果、40〜100℃熱処理した場合に、高いMR変化率が得られ、しかも、ばらつきが少なく、高い歩留まりが得られることがわかった。

    【0065】<実施例2>第1の強磁性膜211はCo 50
    Fe 50によって構成し、第2の強磁性膜212はCoによって構成した。 接合面積は0.25〜2500μm 2とした。 第1の強磁性膜211及び第2の強磁性膜212は実施例1と同様の方法で作製した。 絶縁膜210を構成するDLC膜は、プラズマCVD法により、膜厚5nmになるよう成膜し、リフトオフ法によりパタ−ニングした。 DLC膜の成膜条件は以下に示す。

    【0066】<DLC膜成膜条件> 到達圧力:2×10 -3 Pa 導入ガス:メタン 5 sccm スパッタ圧力:3.5 Pa RFパワ−:50 W 自己バイアス:−150 V 成膜レ−ト:10nm/min 基板温度:加熱および水冷なし また、比較例として、自然酸化アルミニウム膜を絶縁膜210としたCo 50 Fe 50 /酸化アルミニウム/Co強磁性トンネル接合を作製した。

    【0067】上記実施例及び比較例のサンプルについて、直流4端子法でMR特性を測定して得られた結果を表2ー1、2ー2に示す。

    【0068】上記実施例及び比較例のサンプルについて、直流4端子法でMR特性を測定して得られた結果を表2ー1、2ー2に示す。

    【0069】表2から明らかなように、プラズマCVD
    法で作製したDLC膜を、絶縁膜210として用いることにより、高いバリアポテンシャルおよび高いMR変化率が得られ、しかも、ばらつきが少なく、高い歩留まりが得られることがわかる。 例えば、本実施例による接合面積50×50μm 2のサンプルについて、作製した20
    個のうち、15個でMR曲線が得られた。 MR変化率の平均値は18.9%で、変化率のばらつきは±12%であった。 また、実施例1と同様に、バリアポテンシャル1.5〜2.5eVのとき特に歩留りが高かった。 これに対して、自然酸化アルミニウム膜を絶縁膜210とした比較例の強磁性トンネル接合においては、バリアポテンシャルは小さく、5個しかMR曲線が観測できず、MR
    変化率平均値は3.3%と低く、ばらつきは±88%と非常に大きかった。

    【0070】次に、接合面積と反転磁場との関係について述べる。 接合面積が小さいほど絶縁膜210のピンホールなどの欠陥が少なくなるため高い歩留まりが得られることは報告されている。 表1および表2からわかるように、本実施例の強磁性トンネル接合において、接合面積が小さいほどMR変化率は高く、また高い歩留まりが得られる。 特にバリアポテンシャル1.5〜2.5eVのときに歩留りが高くなる。

    【0071】また、図20に示す磁場Hab、即ち、第1
    の強磁性膜211の磁化が反転する磁場が、負の方向にシフトしていくことがわかった。 特に、接合面積が10
    μm 2より小さくバリアポテンシャルが1.5〜2.5eV
    のとき、零磁場において第1の強磁性膜211と第2の強磁性膜212の各々の磁化が反平行状態になる。 このことは、両磁性膜間に反強磁性的結合力が作用していることを示している。 接合面積が10μm 2より小さい場合に高いMR変化率と高い歩留まりが得られたのは、均一でピンホールの非常に少ない絶縁膜210を用い、かつ、接合面積を小さくすることにより、両磁性膜間に反強磁性的結合が生じたためと考えられる。 また実施例1
    −7及び実施例2−8に示すように、接合面積が10μ
    m 2以下でもバリアポテンシャルが2.5eVより大きいと、両磁性膜間で反強磁性的接合は得られず、歩留りも若干低下する。

    【0072】次に、本発明に係る磁気ヘッドと従来のA
    MR磁気ヘッドについて、特性評価を示す。

    【0073】<本発明の磁気ヘッド>実施例2によるCo
    50 Fe 50 /DLC/Co強磁性トンネル接合を用いた磁気ヘッドを作製し、磁気記録媒体に書き込まれた記録信号を読み出し、再生感度および再生出力を調べ、従来のAMR磁気ヘッドと比較した。 本発明にかかる磁気ヘッドは、強磁性トンネル接合部21の幅1μm 、長さ1μm とした。
    すなわち、磁気ヘッドのトラック幅は1μmおよびMR
    ハイトは1μmである。 MRシ−ルド間隔は0.27μm
    とした。

    【0074】<従来のAMR磁気ヘッド:比較例>比較のため、SALバイアス方式のNiFe膜をMR膜としたトラック幅1μm、MRハイト1μm、MRシ−ルド間隔0.27μmの従来のAMR磁気ヘッドも作製した。 作製方法を以下に示す。 下部絶縁膜の形成までは本発明の強磁性トンネル接合型MR磁気ヘッドと同じである。 下部絶縁膜を形成した後、まずSAL膜としてNiFeRh膜、
    磁気分離膜としてTa膜及び、MR膜としてNiFe膜をD
    Cスパッタ法で成膜し、微細加工技術により矩形状に加工した。 その後、電極膜、上部絶縁膜及び上部シ−ルド膜を薄膜及び微細加工技術で形成した。

    【0075】この磁気ヘッドを用いて、保磁力2500
    Oe、膜厚50nmの磁気記録媒体に書き込まれた記録信号を再生し、特性を調べた。

    【0076】図21は、単位トラック幅当たりの再生出力と記録密度を比較した図である。 曲線L3は本発明に係る強磁性トンネル接合を用いた磁気ヘッドの特性、曲線L4は従来のAMR磁気ヘッドの特性をそれぞれ示している。 図21に示すように、本発明の強磁性トンネル接合型磁気ヘッドによれば、従来のAMR磁気ヘッドより4〜5倍の再生出力が得られた。

    【0077】次に、本発明に係る強磁性トンネル接合型磁気ヘッドにおいて、強磁性トンネル接合部21は、第1の強磁性膜211または第2の強磁性膜212に、磁気的制御手段を備えることもある。 そのような手段の一つは、第1の強磁性膜211または第2の強磁性膜21
    2の何れか一方の磁化の向きを固定することであり、もう一つの手段は、第1の強磁性膜211または第2の強磁性膜212のうち、磁化固定を受けていない強磁性膜に磁区制御を与えることである。 これらの手段は、通常は、併用されるが、単独で用いることもできる。

    【0078】<磁化固定手段>まず、磁化固定手段について説明する。 強磁性トンネル接合部21の磁気抵抗変化は、第1の強磁性膜211の磁化の向きと第2の強磁性膜212の磁化の向きとの相対角度に依存するから、
    微小磁場で高い再生出力を得るためには、外部磁場が零のときに、第1の強磁性膜211または第2の強磁性膜212は、磁化の向きが、互いに平行でないことが望ましい。 例えば、第1の強磁性膜211及び第2の強磁性膜212の磁化の向きを、互いに直交する方向にとる。

    【0079】特に、外部磁場に対し、第1の強磁性膜2
    11の磁化の向きが垂直となり、第2の強磁性膜212
    の磁化の向きが平行となるように方向付けするのが好ましい。

    【0080】更に、第1の強磁性膜211は外部磁場に対して磁化の向きが自由に変化する自由強磁性膜として動作させ、第2の強磁性膜212は外部磁場に対して磁化の向きが固定されているピン止め強磁性膜として動作させることが望ましい。 こうすることにより、自由強磁性膜である第1の強磁性膜211の磁化の動きのみで、
    両強磁性膜211、212の間に、磁化の向きに関して、相対角度変化を生じさせることができる。 この場合、外部磁場に対して、自由強磁性膜を構成する第1の強磁性膜211の磁化容易軸が垂直となり、ピン止め強磁性膜を構成する第2の強磁性膜212の磁化容易軸が平行となるように設定するのがよい。 こうすることにより、自由強磁性膜である第1の強磁性膜211の磁化の方向が、外部磁場により磁化回転モードで変化するため、高いMR感度が得られると共に、スムーズな磁化反転が行なわれ、磁壁移動に伴うバルクハウゼンノイズの発生を低減できる。

    【0081】外部磁場に対して、自由強磁性膜である第1の強磁性膜211の磁化容易軸が垂直、ピン止め強磁性膜である第2の強磁性膜212の容易軸が平行になるように方向付ける手段としては、次のような方法がある。 第1の方法は、自由強磁性膜である第1の強磁性膜211を低保磁力の軟質強磁性膜を用い、ピン止め強磁性膜である第2の強磁性膜212に高保磁力の硬質磁性膜を用いる方法である。 第2の方法は、第1の強磁性膜211及び第2の強磁性膜212の両者共、軟質強磁性膜によって構成し、ピン止め強磁性膜である第2の強磁性膜212に磁化固定膜を積層し、第2の強磁性膜21
    2の磁化の向きを固定する方法である。

    【0082】次に、上述したような要求を充たすための磁化固定手段の具体例について、図22〜図24を参照して説明する。

    【0083】図22は本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部21を示す断面図、図23は強磁性トンネル接合部21の斜視図である。 この実施例では、第2
    の強磁性膜212の面上に磁化固定膜216を有する。
    磁化固定膜216は第2の強磁性膜212と、第2の電極膜23との間に設けられており、第2の強磁性膜21
    2がピン止め強磁性膜となり、第1の強磁性膜211が自由強磁性膜となる。 図示は省略するけれども、磁化固定膜216は第1の強磁性膜211と第1の電極膜22
    との間に設けてもよい。 この場合は、第1の強磁性膜2
    11がピン止め強磁性膜となり、第2の強磁性膜212
    が自由強磁性膜となる。

    【0084】実施例において、第1の強磁性膜211の磁化の向きM1がABS面13(または14)と平行であり、第2の強磁性膜212の磁化の向きM2は、磁化固定膜216によりABS面13(または14)に垂直となる方向に固定されている。

    【0085】磁化固定膜216としては、高保磁力の硬質強磁性膜または反強磁性膜の何れかを用いることができる。 磁化固定膜216として、硬質強磁性膜を用いた場合には、磁化固定膜216及び第2の強磁性膜212
    の間に強磁性膜ー強磁性膜による交換結合が生じ、第2
    の強磁性膜212の磁化の向きが固定され、ピン止め強磁性膜となる。 磁化固定膜216として、反強磁性膜を用いた場合には、磁化固定膜216及び第2の強磁性膜212の間に反強磁性膜ー強磁性膜による交換結合が生じ、第2の強磁性膜212の磁化の向きが固定され、ピン止め強磁性膜となる。

    【0086】硬質強磁性膜としては、 Co合金、例えば、CoPt,CoPtCr,CoPtTa,CoPtTaCrを用いることができる。 反強磁性膜としては、金属系反強磁性材料あるいは酸化物系反強磁性材料の用いることができる。 金属系反強磁性材料の例はMn合金である。 利用できるMn合金としてはFeMn,NiMn,PtMn,RuMn,RhMn,IrMn,PdMn
    及びそれらの合金を挙げることができる。 酸化物系反強磁性材料の例は、NiO,NiCoO,Fe 2 O 3 ,CoOである。

    【0087】図24は図22及び図23に示した磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部21の動作を説明する図である。 印加磁場Hが零のとき、第2の強磁性膜212の磁化の向きM2は、磁化固定膜216(図22、23参照)により、ABS面13(または14)に垂直になる方向に制御されている。 第1の強磁性膜211の磁化の向きM1はABS面13(または14)と平行となる方向である。 この状態で、磁気ディスク等の磁気記録媒体から磁場Hが印加された場合、磁化固定膜216によりピン止めされている第2の強磁性膜212の磁化の向きM2は変化しないが、第1の強磁性膜211の磁化の向きM1は、例えば角度θだけ変化する。 これにより磁気抵抗効果が生じる。

    【0088】<磁区制御手段>次に、磁化固定を受けていない自由強磁性膜に対する磁区制御手段について説明する。 この種の磁気ヘッドにおいて、強磁性トンネル接合部21は、微細な矩形状パターンとして形成される。
    かかるパターンでは、パターン端部に磁気的な不安定部分が発生し、磁区が形成されてしまうのを回避することができない。 このため、磁壁移動モードでの磁化反転が部分的に発生し、ノイズを発生する。 そこで、自由強磁性膜の端部に磁区制御膜を設け、自由強磁性膜での磁区形成を抑制する。 磁区制御膜は磁気バイアス膜である。

    【0089】図25は本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部21を示す平面図、図26は図25の2
    6ー26線に沿った断面図である。 この実施例は、第2
    の強磁性膜212を自由強磁性膜とした例を示し、第2
    の強磁性膜212の両端部に、磁区制御膜となるバイアス磁性膜214、215を形成し、第2の強磁性膜21
    2を単一磁区状態に保持する。 バイアス磁性膜214、
    215としては、硬質強磁性膜または反強磁性膜を用いることができる。 このようなバイアス磁性膜214、2
    15を配置することにより、それが備えられた第2の強磁性膜212を単一磁区状態にすることができるため、
    出力波形歪みの原因となるバルクハウゼンノイズの発生を抑えることができる。

    【0090】バイアス磁性膜214、215を構成する硬質強磁性膜としては、CoPt,CoPtCr,CoPtTa等の材料を用いることができる。 また、反強磁性膜としてはFeM
    n,NiMn,PtMn,PdMn,RhMn,CrAl,CrSbなどの反強磁性材料やNiO,α-Fe 2 O 3などの酸化物系反強磁性などを用いることができる。

    【0091】図27は本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部21の別の例を示す断面図である。 この実施例は、第1の強磁性膜211を自由強磁性膜とした例を示し、第1の強磁性膜211の両端部に、磁区制御膜となるバイアス磁性膜214、215を形成し、第1
    の強磁性膜211を単一磁区状態に保持する。

    【0092】図25〜図27に示したように、磁区制御膜となるバイアス磁性膜214、215を設ける場合も、第1の強磁性膜211または第2の強磁性膜212
    は、磁化の向きが、互いに平行でないことが望ましい。
    例えば、印加磁場が零の場合に、第1の強磁性膜211
    または第2の強磁性膜212のうちの一方の磁化の向きが、ABS面13(または14)に平行であり、もう一方の強磁性膜の磁化の向きがABS面に垂直になるように制御する。

    【0093】図25及び図26に示した構造の強磁性トンネル接合型磁気ヘッドにおいて、Fe(20nm)/酸化アルミニウム(4nm)/Co-10at%Fe(10nm)の膜構成でなる強磁性トンネル接合部21を感磁部に用いた。 Co-10at%Feでなる第2の強磁性膜212の両端に、バイアス磁性膜21
    4、215として、CoPtでなる硬質磁性膜を配置した。

    【0094】この磁気ヘッドを用いて、実施例1と同様の静電破壊試験を行なった結果、金属板への印加電圧が約180Vで静電破壊が起こり、従来の磁気ヘッドより耐電圧が高かった。 また、保磁力2500Oe、膜厚50
    nmの磁気記録媒体に書き込まれた信号を再生し、出力波形を調べた結果、図28に示すように歪みのない良好な波形が得られた。

    【0095】<磁化固定及び磁区制御の併用>図29は本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部21の別の例を示す断面図である。 この実施例は、第1の強磁性膜211を自由強磁性膜とし、第2の強磁性膜212
    をピン止め強磁性膜とした例を示している。 第1の強磁性膜211の両端には磁区制御膜214、215が設けられており、また、第2の強磁性膜212の上には磁化固定膜216が設けられている。

    【0096】図30は図29に示した磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部21の動作を説明する図である。 印加磁場Hが零のとき、第2の強磁性膜212の磁化の向きM2は、磁化固定膜216により、ABS面13(または14)に垂直になる方向に固定されている。 第1の強磁性膜211の磁化の向きM1はABS面13(または14)と平行となる方向である。 この状態で、磁気ディスク等の磁気記録媒体から磁場Hが印加された場合、磁化固定膜216によりピン止めされている第2の強磁性膜212の磁化の向きM2は変化しないが、第1の強磁性膜211の磁化の向きM1は、例えば角度θだけ変化する。 これにより磁気抵抗効果が生じる。

    【0097】

    【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、高いMR変化率を、再現性よく得ることの可能な強磁性トンネル接合型磁気ヘッドを提供することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明に係る磁気ヘッドの斜視図である。

    【図2】図1に示した磁気ヘッドの磁気変換素子部分の拡大断面図である。

    【図3】MR磁気変換素子の部分の拡大断面図である。

    【図4】MR磁気変換素子の拡大斜視図である。

    【図5】本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図6】図5の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図7】図6の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図8】図7の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図9】図8の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図10】図9の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図11】図10の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図12】図11の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図13】図12の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図14】図13の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図15】図14の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図16】図15の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図17】図16の工程の後の工程であって、本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。

    【図18】反強磁性的結合を生じている場合の磁場ー磁気抵抗変化率特性を示す図である。

    【図19】第1の強磁性膜の保磁力H1と、第2の強磁性膜の保磁力H2とを、H1>H2のように異ならせた場合の磁化曲線を示している。

    【図20】接合面積50×50μm 2の強磁性トンネル接合の磁気抵抗曲線を示す。

    【図21】単位トラック幅当たりの再生出力と記録密度を比較した図である。

    【図22】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部を示す断面図である。

    【図23】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部の斜視図である。

    【図24】図22及び図23に示した磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部の動作を説明する図である。

    【図25】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部を示す平面図である。

    【図26】図25の26ー26線に沿った断面図である。

    【図27】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部の別の例を示す断面図である。

    【図28】本発明に係る磁気ヘッドの再生波形図である。

    【図29】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部の別の例を示す断面図である。

    【図30】図29に示した磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部の動作を説明する図である。

    【符号の説明】

    1 スライダ 21 強磁性トンネル接合部 211 第1の強磁性膜 212 第2の強磁性膜 210 絶縁膜 214、215 磁区制御膜 216 磁化固定膜 22 第1の電極膜 23 第2の電極膜 24、25 絶縁膜 13、14 ABS面

    【手続補正書】

    【提出日】平成12年6月6日(2000.6.6)

    【手続補正1】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】請求項9

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【手続補正2】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】請求項10

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【手続補正3】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】請求項11

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【手続補正4】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】請求項12

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 学 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 佐野 正志 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

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