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Magnetic recording and reproducing head and magnetic storage device using the same as well as its production

阅读:724发布:2021-09-21

专利汇可以提供Magnetic recording and reproducing head and magnetic storage device using the same as well as its production专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To embody a large-capacity magnetic storage device by making it possible to apply an MR(magneto-resistance) head to a magnetic storage device which frequently gives rise to thermal asperity and for which the use of the MR head is heretofore impossible. SOLUTION: The reproducing head section, which constitutes a magnetic recording and reproducing head 200 of the magnetic storage device comprising a magnetic recording medium and the head 200 which is arranged and set apart a prescribed spacing from this magnetic recording medium and executes magnetic recording and reproducing, is composed of a ferromagnetic tunnel junction magneto-resistance effect film 100 comprising a first ferromagnetic layer 11, a second ferromagnetic layer 14 and a tunnel barrier layer 13 held between the first and second ferromagnetic layers 11 and 14. In addition, this ferromagnetic tunnel junction magneto-resistance effect film 100 is so composed that the resistance value of this film 100 exhibits an approximately specified value below 5×10-5 Ωcm2.,下面是Magnetic recording and reproducing head and magnetic storage device using the same as well as its production专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 磁気記録媒体と当該磁気記録媒体と所定の間隔を介して配置設定される磁気記録再生を行うヘッドとから構成された磁気記憶装置に於て、当該磁気記録再生ヘッドを構成する再生ヘッド部は、第1の強磁性層と第2の強磁性層と当該第1と第2の強磁性層間に狭持されたトンネルバリア層とから構成された強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜で構成されており、且つ当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜は、温度変化にもかかわらず、当該膜の抵抗値が5×10 -5 Ωcm 2以下の略一定値を呈するものである事を特徴とする磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項2】 当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の温度係数が、±0.15%/℃以内である事を特徴とする請求項1記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項3】 当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の温度係数が、±0.04%/℃以内である事を特徴とする請求項1記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項4】 当該トンネルバリア層の膜厚が5nm以下である事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項5】 当該トンネルバリア層の膜厚が2nm以下である事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項6】 当該磁気記録媒体が、合成樹脂などの基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体であることを特徴とした請求項1乃至5の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項7】 当該磁気記録媒体が、硬質な基体上に磁気記録層を形成した硬質磁気記録媒体であることを特徴とした磁気記憶装置に使用する、請求項1乃至5の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項8】 当該磁気記録再生ヘッドは、当該記録媒体との間隙が40nm以下となる状態での動作を許容されている事を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項9】 当該磁気記憶装置に使用する磁気記録再生ヘッドにおいて、当該磁気再生ヘッドは、当該第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁するものである事を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項10】 当該磁気記憶装置に使用する磁気記録再生ヘッドにおいて、当該磁気記録再生ヘッドは、更に励磁コイルを挟んだ磁気コアの磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッドを含んでいる事を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項11】 当該トンネルバリア層は、金属または半金属からなる導電層の少なくとも表面に、酸素によって形成された自然酸化膜が存在していることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項12】 当該自然酸化膜は、真空状態下で供給される酸素により形成されたものである事を特徴とする請求項11に記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項13】 当該トンネルバリア層を構成する当該金属または半金属からなる導電層は、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層である事を特徴とする請求項11又は12に記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項14】 当該トンネルバリア層は、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層を真空中で酸素の存在下に自然酸化処理して形成されたものである事を特徴とする請求項11乃至13
    の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項15】 当該磁気記録再生ヘッドに於ける当該磁気再生ヘッドのトンネルバリア層が、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層を窒素によって自然窒化して形成されたものであることを特徴とする、請求項11乃至13の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項16】 当該トンネルバリア層を構成する当該金属または半金属からなる層は、アルミニウム(A
    l)、Mg或いはランタノイドから選択された一つであることを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項17】 当該磁気記録媒体が、円盤形状であることを特徴とした磁気記憶装置に使用する、請求項1乃至16の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項18】 当該磁気記録媒体が、テープ状であることを特徴とした磁気記憶装置に使用する、請求項1乃至16の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項19】 当該磁気記録再生ヘッドに於て、スライダとなるセラミック上に、積層された2枚の対向する第1の磁気シールド及び第2の磁気シールドと、当該二枚の対向する第1及び第2の磁気シールド間に存在する前記強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子による再生ヘッドと、前記した第1と第2の磁気シールド膜の内の一方の磁気シールドを第1の磁極膜と兼用し、当該第1の磁極膜の前記磁気抵抗効果再生素子と反対側に、絶縁体で挟まれたコイルと第2の磁極膜とが当該第1の磁極に対して積層され、当該第1と第2の磁極間に設けられた磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッドとからなることを特徴とする請求項1乃至18の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項20】 当該記録媒体を構成する磁気記録層が、物理的気相成長法により形成された磁性薄膜である事を特徴とする請求項1乃至19の何れかに記載の磁気記録再生ヘッド。
  • 【請求項21】 磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置において、前記磁気記録再生ヘッドが、磁気抵抗効果を発生させる第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドと、励磁コイルを挟んだ磁気コアの磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッドとからなる磁気ヘッドにより記録再生を行う磁気記録再生ヘッドであり、当該磁気記録再生ヘッドの強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の抵抗が5×10 -5 Ωcm 2以下であることを特徴とした磁気記憶装置。
  • 【請求項22】 当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の温度係数が、±0.15%/℃以内である事を特徴とする請求項21記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項23】 当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の温度係数が、±0.04%/℃以内である事を特徴とする請求項21記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項24】 当該トンネルバリア層の膜厚が5nm
    以下である事を特徴とする請求項21乃至23の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項25】 当該トンネルバリア層の膜厚が2nm
    以下である事を特徴とする請求項21乃至23の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項26】 当該磁気記録媒体が、合成樹脂などの基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体であることを特徴とした請求項21乃至25の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項27】 当該磁気記録媒体が、硬質な基体上に磁気記録層を形成した硬質磁気記録媒体であることを特徴とした磁気記憶装置に使用する、請求項21乃至25
    の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項28】 当該磁気記録再生ヘッドは、当該記録媒体との間隙が40nm以下となる状態での動作を許容されている事を特徴とする請求項21乃至27の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項29】 当該トンネルバリア層は、金属または半金属からなる導電層の少なくとも表面に、酸素によって形成された自然酸化膜が存在していることを特徴とする請求項21乃至28の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項30】 当該自然酸化膜は、真空状態下で供給される酸素により形成されたものである事を特徴とする請求項29に記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項31】 当該トンネルバリア層を構成する当該金属または半金属からなる導電層は、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層である事を特徴とする請求項29又は30に記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項32】 当該トンネルバリア層は、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層を真空中で酸素の存在下に自然酸化処理して形成されたものである事を特徴とする請求項29乃至31
    の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項33】 当該磁気記録再生ヘッドに於ける当該磁気再生ヘッドのトンネルバリア層が、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層を窒素によって自然窒化して形成されたものであることを特徴とする、請求項21乃至28の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項34】 当該トンネルバリア層を構成する当該金属または半金属からなる層は、アルミニウム(A
    l)、Mg或いはランタノイドから選択された一つであることを特徴とする請求項21乃至33の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項35】 当該磁気記録媒体が、円盤形状であることを特徴とした磁気記憶装置に使用する、請求項21
    乃至34の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項36】 当該磁気記録媒体が、テープ状であることを特徴とした磁気記憶装置に使用する、請求項21
    乃至34の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項37】 当該磁気記録再生ヘッドに於て、スライダとなるセラミック上に、積層された2枚の対向する第1の磁気シールド及び第2の磁気シールドと、当該二枚の対向する第1及び第2の磁気シールド間に存在する前記強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子による再生ヘッドと、前記した第1と第2の磁気シールド膜の内の一方の磁気シールドを第1の磁極膜と兼用し、当該第1の磁極膜の前記磁気抵抗効果再生素子と反対側に、絶縁体で挟まれたコイルと第2の磁極膜とが当該第1の磁極に対して積層され、当該第1と第2の磁極間に設けられた磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッドとからなることを特徴とする請求項21乃至36の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項38】 当該記録媒体を構成する磁気記録層が、物理的気相成長法により形成された磁性薄膜である特徴とする、請求項21乃至36の何れかに記載の磁気記憶装置。
  • 【請求項39】 磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置において使用される当該磁気記録再生ヘッドであって、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを製造するに際し、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に酸素を導入し、前記金属または半金属からなる層を自然酸化させる事を特徴とする磁気記録再生ヘッドの製造方法。
  • 【請求項40】 磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置において使用される当該磁気記録再生ヘッドであって、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを製造するに際し、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に窒素を導入し、前記金属または半金属からなる層を窒化させる事を特徴とする磁気記録再生ヘッドの製造方法。
  • 【請求項41】 磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置を製造するに際し、前記磁気記録再生ヘッドが、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを使用するものであり、かつ、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に酸素を導入し、前記金属または半金属からなる層を自然酸化させる事を特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
  • 【請求項42】 磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置を製造するに際し、前記磁気記録再生ヘッドが、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを使用するものであり、かつ、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に窒素を導入し、前記金属または半金属からなる層を窒化させる事を特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録再生ヘッドならびに磁気記憶装置に関し、特に、強磁性トンネル接合による磁気抵抗効果を利用した磁気記録再生ヘッド、ならびにそれを用いた磁気記憶装置に関する。

    【0002】

    【従来の技術】磁気記憶装置の小型化、大容量化にともなって、再生出が大きい磁気抵抗効果型ヘッド(以下、MRヘッドと記す)が実用化されている。 このMR
    ヘッドについては、「IEEE Trans.on M
    agn,. MAG7(1971)150」において「A
    Magnetoresistivity Reado
    ut Transducer」として論じられている。
    ここで用いられているMR効果は、NiFe合金膜による異方性MR(以下、AMRと記す)効果であり、これによるMRヘッドをAMRヘッドという。

    【0003】近年、このAMRヘッドに対して、大幅な高出力化により記録密度の向上が実現できる巨大磁気抵抗効果(以下、GMRと記す)を用いたGMRヘッドが注目されている。 このGMRに於いて、特に、抵抗の変化が2枚の隣接する磁性層の磁化方向間の余弦と対応する、一般にスピンバルブ効果と呼ばれる磁気抵抗効果は、小さな動作磁界で大きな抵抗変化をすることから、
    次世代のMRヘッドとして期待されている。 このスピンバルブ効果を用いたMRヘッドについては「IEEE
    Trans. on Magn,. Vol. 30,No.
    6(1994)3801」において「Design,F
    abrication&Testing of Spi
    n−Valve Read Heads for Hi
    gh DensityRecording」として論じられている。

    【0004】しかしながら、GMRヘッドを含め、一般にMRヘッドの最大の欠点は、再生MR素子の抵抗が、
    磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束により変化するのみならず、素子の温度変化によっても容易に変化する点である。 すなわち、MRヘッドは、磁気センサであるとともに、温度センサでもある。 この温度センサとしての特徴は、磁気ディスク装置のように、ガラスやアルミニウム等の硬度の高い基体を用いた磁気媒体を高速回転している際に、MRヘッドが媒体表面に接触した場合の温度の上昇によって顕著に現れ、サーマルアスペリティと呼ばれ、磁気ディスク装置のトラブル発生の原因として問題となっている。

    【0005】サーマルアスペリティについては、「IE
    EE Trans. on Magn. ,MAG−10
    (1974)899」において「Magnetores
    istive Reading of 」として、また、「IEEE Trans.on Magn.,MA
    G−11(1975)1224」において「Analy
    sis of Thermal Noise Spik
    e Cancellation」などとして論じられている。

    【0006】磁気記録密度の向上に伴って、磁気媒体と磁気ヘッドとの間隙が狭くなるに従い、このサーマルアスペリティの発生は顕著となる。 特に、この間隙が40
    nm以下の領域では、サーマルアスペリティの発生が顕著となり、磁気媒体表面を特別に平滑化したり、複雑な補償回路を設けるなどの必要が発生している。 その結果、磁気記憶装置としては製造コストの増大を招くこととなっていた。

    【0007】また、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体を用いる、磁気テープ装置やフロッピーディスク装置等では、積極的に磁気記録媒体と磁気ヘッドとを接触させたり、また、エアベアリングで間隙を設けるにしても、柔軟な媒体であるためにヘッドの接触が頻繁となる。 その結果、サーマルアスペリティの発生が著しく、特に、フロッピーディスク装置では、MRヘッドが採用された例はない。

    【0008】一方、近年、トンネルバリア層にAlの表面酸化膜を用いることによって、20%近い磁気抵抗変化率を示すTMR素子が得られる報告がなされている。
    こうした大きな磁気抵抗変化率を報告している例として、「1996年4月、ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス、79巻、4724〜4729頁(Journal of Appli
    ed Physics, vol.79, 4724〜4729, 1996)」がある。

    【0009】この内容は、蒸着マスクを用いてガラス基板上にCoFeからなる第1の強磁性層を真空蒸着し、
    引き続きマスクを交換して1.2〜2.0nm厚のAl
    層を蒸着する。 このAl層表面を酸素グロー放電に曝すことによって、アルミナからなるトンネルバリア層を形成する。 最後に、このトンネルバリア層を介して第1の強磁性層と重なるようにCoからなる第2の強磁性層を成膜して十字電極型の強磁性トンネル接合素子を完成させる。 この方法では、磁気抵抗変化率として最大18%
    という大きな値が得られている。

    【0010】その他の公知例として、特開平5−632
    54号公報、特開平6−244477号公報、特開平8
    −70148号公報、特開平8−70149号公報、特開平8−316548号公報及び1997年、日本応用磁気学会誌、21巻、493〜496頁などの報告がある。 ここでは、トンネルバリア層の形成方法として、A
    l層を成膜した後、大気中に曝してアルミナを成長させる方法が提案されている。

    【0011】処で、TMR素子を磁気ヘッドや磁気メモリなどのデバイスに適用するためには、熱雑音の影響を低減するために、実用素子寸法である程度低い抵抗値が必要であるが、前述した従来のトンネルバリア形成法ではその実現が不可能であった。 例えば、磁気ヘッドに適用される2μm×2μm程度の面積での抵抗値は10k
    Ω近くにもなってしまい、50Ω程度の抵抗値である必要がある磁気ヘッドとしては全く使えない。

    【0012】また、高密度化に対応した磁気ヘッドへの応用では信号出力電圧の大きさが鍵を握るが、従来技術では素子特性を損なうことなく十分な電流密度が得られないという課題もあった。 さらに、従来技術ではウエーハ内やロット間の素子特性のばらつきが大きく、実用に供するだけの十分な製造歩留まりを得ることは難しかった。

    【0013】これらの課題は、主に従来のトンネルバリア層の形成方法に起因すると考えられる。 酸素グロー放電を用いる方法では、イオンやラジカル状態の活性酸素を導電層の酸化に用いるため薄い酸化膜厚の制御すなわち素子抵抗の制御が難しいといった問題や、同時に発生する活性化された不純物ガスによってトンネルバリア層が汚染され接合品質が劣化するという問題がある。

    【0014】一方、大気中自然酸化による方法では、大気中の粉塵でトンネルバリア層にピンホールを生じたり、分、炭素酸化物、窒素酸化物等の汚染を受けることによって酸素グロー放電と同様に多くの問題を抱えていた。 更に、日本応用磁気学会誌(22巻、No.2−
    4、頁561〜564(1998)には、TMRが温度に依存しないことを示す実験結果が報告されている。

    【0015】然しながら、上記報告に於いては、当該上下電極とその間に挿入された、トンネル障壁層としての酸化されたアルミニウム層とからなるトンネル磁気抵抗効果膜に於いて、その製造工程に於けるアニール時の温度によってはTMR比と抵抗Rの値が変化しない事を示してはいるが、当該磁気再生ヘッドの使用時点に於ける発熱に対する影響に関しては開示が見られない。

    【0016】更に、当該日本応用磁気学会誌に於いては、得られたトンネル磁気抵抗効果膜の抵抗値は、一般的に磁気記録再生装置のヘッドに使用しえる限界抵抗値よりも2桁〜3桁も大きな抵抗値を示しており、従って、係る日本応用磁気学会誌の記載により得られた当該トンネル磁気抵抗効果膜は、磁気記録再生装置のセンサとして使用しえるものではなく、またそれを示唆する記載も無い。

    【0017】その他、特開平10−208218号公報或いは特開平10−93159号公報等が見られるが、
    何れもトンネルバリアに発生するピンホールを減少させて、より大きな磁気変化率を得る様に、当該バリア層に下部強磁性体層と非磁性体層の何れとも合金を形成しない不活性金属層を介挿させるか、非磁性体層と下部強磁性体層との接合領域の直下で当該下部強磁性体層を基板に直接接触させる構成を採用する技術が示されているが、温度依存性のないトンネル磁気抵抗効果膜に関しては開示は無い。

    【0018】

    【発明が解決しようとする課題】一般に、MRヘッドはその高出力特性により、磁気記憶装置の記録密度を向上させることができることから、大容量記憶装置におけるキーデバイスであると言える。 しかしながら、前述した通り、温度センサとしての側面を併せ持つために、サーマルアスペリティの顕著な領域、すなわち、磁気媒体とヘッドとの間隙が40nmを下回る場合や、柔軟な磁気記録媒体を用いる場合では、使用することが極めて困難であった。

    【0019】そのため、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体を用いる、磁気テープ装置やフロッピーディスク装置等では、顕著なサーマルアスペリティのためにMRヘッドの使用が困難、あるいは不可能であったために、記録密度を向上させることが困難となっていた。

    【0020】また、高硬度な磁気媒体を用いる磁気ディスク装置であっても、磁気媒体とヘッドとの間隙が40
    nmを下回る高密度記録領域では、特別な対策をしない限り、MRヘッドの使用が困難、あるいは不可能であった。 従って、本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を改良し、以上のような従来使用されているMRヘッドの本質的な欠点であるサーマルアスペリティの問題を解決し、従来使用されているMRヘッドを用いることが出来なかった領域にも当該MRヘッドを適用することを可能とすることによって、大容量な磁気記憶装置を実現するためのものである。

    【0021】

    【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を達成するため、基本的には、以下に記載されたような技術構成を採用するものである。 即ち、本発明に係る第1
    の態様は、磁気記録媒体と当該磁気記録媒体と所定の間隔を介して配置設定される磁気記録再生を行うヘッドとから構成された磁気記憶装置に於て、当該磁気記録再生ヘッドを構成する再生ヘッド部は、第1の強磁性層と第2の強磁性層と当該第1と第2の強磁性層間に狭持されたトンネルバリア層とから構成された強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜で構成されており、且つ当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜は、温度変化にもかかわらず、当該膜の抵抗値が5×10 -5 Ωcm 2以下の略一定値を呈する様に構成された磁気記録再生ヘッドであり、
    又、本発明に係る第2の態様としては、磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置において、前記磁気記録再生ヘッドが、磁気抵抗効果を発生させる第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドと、励磁コイルを挟んだ磁気コアの磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッドとからなる磁気ヘッドにより記録再生を行う磁気記録再生ヘッドであり、当該磁気記録再生ヘッドの強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の抵抗が5×10
    -5 Ωcm 2以下である様に構成された磁気記憶装置である。

    【0022】更に、本発明に於ける第3の態様としては、磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置において使用される当該磁気記録再生ヘッドであって、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを製造するに際し、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に酸素若しくは窒素を導入し、前記金属または半金属からなる層を自然酸化又は自然窒化させる様に構成された磁気記録再生ヘッドの製造方法であり、更には、磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置を製造するに際し、前記磁気記録再生ヘッドが、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを使用するものであり、かつ、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に酸素若しくは窒素を導入し、前記金属または半金属からなる層を自然酸化若しくは自然窒化させる様に構成された磁気記憶装置の製造方法である。

    【0023】更に、本発明に係る別の態様としては、当該磁気記録再生ヘッドは、特に当該記録媒体が硬質の記録媒体である場合には、当該記録媒体と当該磁気記録再生ヘッドとの間の間隙が40nm以下となる状態での動作を許容されている磁気記録再生ヘッドであるか、更には当該記録媒体が硬質の記録媒体である場合には、当該磁気記録再生ヘッドが、当該記録媒体と当該磁気記録再生ヘッドとの間の間隙を40nm以下となる条件で駆動可能となる様に設定されている磁気記憶装置である。

    【0024】

    【発明の実施の形態】つまり、本発明に於いては、磁気記録再生ヘッドの内特に磁気再生ヘッドは、強磁性トンネル接合は二つの強磁性層の間に数nm厚の薄い絶縁体からなるトンネルバリア層を挟んだ構造を持ち、且つ当該トンネルバリア層は、抵抗値が低く且つ当該抵抗値の温度依存性が実質的にない特性を有するもので構成したものである。

    【0025】即ち、この構成では強磁性層間に一定の電流を流した状態で強磁性層面内に外部磁界を印加した場合、両磁性層の磁化の相対度に応じて抵抗値が変化する磁気抵抗効果現象が現れることから、強磁性トンネル接合磁気抵抗効果(TMR)と呼ばれおり、この磁化の向きが平行である場合には抵抗値は最小となり、反平行である場合には抵抗値が最大となる。 従って、両磁性層に保磁力差を付与することによって、磁界の強さに応じて磁化の平行及び反平行状態を実現できるため、抵抗値の変化による磁界検出が可能となるが、本発明に於ける上記したトンネル磁気抵抗効果膜を使用する事によって、サーマルアスペリティの発生が少なく、従って当該磁気再生ヘッドを記録媒体に極めて接近させても、信号の誤検出の恐れがないと言う磁気再生ヘッド或いは当該磁気再生ヘッドを使用した磁気記録再生装置を容易に得る事が可能となる。

    【0026】

    【実施例】以下に、本発明に係る磁気再生ヘッド及び磁気記録再生装置の一具体例の構成を図面を参照しながら詳細に説明する。 即ち、図1(d)及び図2(f)は、
    本発明に係る磁気再生ヘッドの一具体例の構成を示したものであって、図中、磁気記録媒体と当該磁気記録媒体と所定の間隔を介して配置設定される磁気記録再生を行うヘッドとから構成された磁気記憶装置に於て、当該磁気記録再生ヘッドを構成する再生ヘッド部は、第1の強磁性層11と第2の強磁性層14と当該第1と第2の強磁性層11、14間に狭持されたトンネルバリア層1
    3、24とから構成された強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100で構成されており、且つ当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100は、温度変化にもかかわらず、当該膜の抵抗値が5×10 -5 Ωcm 2以下の略一定値を呈する様に構成された気記録再生ヘッド200が示されている。

    【0027】尚、本発明に係る当該磁気再生ヘッドの全体の構成の一具体例は、図3或いは図4に示されている通りであって、上記した強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100は、図3の33若しくは図4の33で示される部分に使用されるものである。 本発明に於て使用される当該磁気再生ヘッド200に使用される当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100の温度係数は、例えば±0.15%/℃以内である事が好ましく、より好ましくは、当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100の温度係数が、±0.04%/℃以内である。

    【0028】更に、本発明に於て使用される当該トンネルバリア層の膜厚は出来るだけ薄い事が必要であり、一般的には数nm以下、具体的には、例えば、5nm以下、より好ましくは2nm以下である。 本発明に於ける当該磁気再生ヘッド200が対象として使用する当該磁気記録媒体(図示せず)は、ポリエチレンテレフタレート系等の合成樹脂などの基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体であっても良く、又、ガラス或いはアルミニウム或いは硬質合成樹脂等の基板で構成された硬質磁気記録媒体であっても良い。

    【0029】本発明に於ける当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100は、上記した様に低抵抗性を有すると同時に、当該抵抗の温度依存性が殆ど無いので、当該磁気再生ヘッド200が、記録再生操作を実行中に、記録媒体等と接触して、当該磁気再生ヘッド200が発熱した場合でも、当該抵抗値の変化が少ないので、従来問題となっていたサーマルアルペリティの発生が有効に抑制されるので、特に柔軟性を有する記録媒体に対して記録再生操作を実行する場合に有効であり、又当該記録媒体が、硬質記録媒体である場合には、記録再生操作が実行されている間に於ける、当該磁気再生ヘッド部200
    と図示されていない当該記録媒体との間隙を従来よりも小さな間隙に設定する事が可能となる。

    【0030】より具体的には、当該間隙は例えば40n
    m若しくはそれ以下に設定する事が可能となる。 本発明に係る当該磁気再生ヘッド部200は、前記した図1
    (d)及び図2(f)に示す様に、第1の強磁性層11
    と第2の強磁性層14と当該第1と第2の強磁性層1
    1、14間に狭持されたトンネルバリア層13、24とから構成された強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜10
    0で構成されており、当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁するものである。

    【0031】本発明に係る当該磁気再生ヘッド部200
    は、上記した強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100
    を例えば図3に33として示す部分に配置されるものであり、更には、当該磁気再生ヘッド200の全体の構成としては、図3若しくは図4に示す様に、更に励磁コイル38を挟んだ磁気コア37の磁気ギャップから発生する漏れ磁束により図示しない磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッド部300を含んでいるものである。

    【0032】本発明に於ける当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100の一部を構成する当該トンネルバリア層13又は24は、金属または半金属からなる導電層の少なくとも表面に、酸素によって形成された自然酸化膜が存在していることが望ましい。 本発明に於ける当該自然酸化膜は、真空状態下で供給される酸素により形成されたものである事が好ましい。

    【0033】本発明に於ける当該トンネルバリア層13
    又は24を構成する当該金属または半金属からなる導電層は、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層である事が望ましい。 更に、
    本発明に於て、当該トンネルバリア層13又は24は、
    真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層を、当該真空状態を破壊することなく、継続して真空中で酸素の存在下に自然酸化処理して形成されたものである事が望ましい。

    【0034】一方、本発明に於いては、当該金属または半金属からなる層に自然酸化膜を形成する方法の他に、
    例えば、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層を窒素によって自然窒化して形成されたものであっても良い。 その場合にも真空中で窒化処理する事が望ましい。

    【0035】又、本発明に於ける当該トンネルバリア層を構成する当該金属または半金属からなる層は、アルミニウム(Al)であることが好ましい。 更に、本発明に於いては、当該トンネルバリア層を構成する当該金属または半金属からなる層としてアルミニウム(Al)の他に、Mg或いはランタノイドを使用する事も可能である。

    【0036】本発明に於ける当該磁気再生ヘッド200
    が使用される当該磁気記録媒体の形状としては特に限定されるものではないが、例えば当該記録媒体の形状は、
    円盤形状であっても良く、更には、テープ状であっても良い。 此処で、本発明に係る当該磁気再生ヘッド200
    の全体の構成の一例を図3若しくは図4を参照しながらより詳細に説明する。

    【0037】即ち、当該磁気記録再生ヘッド200に於て、スライダとなるセラミック上に、順に積層された2
    枚の対向する第1の磁気シールドS1および第2の磁気シールドS2と、この二枚の対向する第1と第2の磁気シールドS1およびS2間に存在する前記強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100を用いた再生素子による再生ヘッド200で有って、更に当該二枚の第1の磁気シールド膜S1および第2の磁気シールド膜S2の内の一方の磁気シールド、例えば、第2の磁気シールドS2を一方の磁極膜、例えば第1の磁極膜P1と兼用し、この第1の磁極膜P1の前記磁気抵抗効果再生素子100と反対側に、絶縁体(図示せず)で挟まれたコイル38ともう一方の磁極、つまり第2の磁極膜P2とが前記第1
    の磁極膜P1に対して積層され、当該第1と第2の磁極膜P1およびP2間に設けられた磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッド300とからなる磁気記録再生ヘッドである。

    【0038】尚、本発明に於て使用される当該記録媒体を構成する磁気記録層の構成は特に限定されるものではないが、例えば、当該磁気記録層は、物理的気相成長法により形成された磁性薄膜である事が望ましい。 従来の欠点を除去する事を目的として、実用に必要な抵抗値及び信号出力電圧特性を備え、製造歩留まりを改善した強磁性トンネル接合素子100を有する磁気再生ヘッド2
    00の製造方法の基本的な構成の一具体例を以下に説明する。

    【0039】即ち、第1の強磁性層11と第2の強磁性層14の間にトンネルバリア層13を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合素子100の製造方法において、第1の強磁性層11、トンネルバリア層13、第2の強磁性層14を真空中で連続形成する工程に於て、第1の強磁性層11を形成した後、金属または半導体からなる導電層を成膜した後、真空中に酸素を導入し、この導体層表面を自然酸化してトンネルバリア層を形成する工程、
    及びその後に第2の強磁性層14を形成する工程とを含むことを特徴とする。

    【0040】また、本発明に於いては、第1の強磁性層11と第2の強磁性層14の間にトンネルバリア層13
    を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100(TMR膜)の製造方法において、第1の強磁性層11、トンネルバリア層100、第2の強磁性層14
    を真空中で連続形成する工程に於て、前記第1の強磁性層11を成膜した後、真空中に酸素を導入してこの第1
    の強磁性層11表面を酸化する工程、及び金属または半導体からなる導電層を成膜した後、真空中に酸素を導入し、この導体層表面を自然酸化してトンネルバリア層を形成する工程、及びその後に第2の強磁性層14を形成する工程とを含むことを特徴とする。

    【0041】以下に本発明にかかる上記磁気再生ヘッド200の製造方法に付いて詳細に説明する。 図1に示すように、下地層(10)、第1の強磁性層(11)、導電層(12)を真空中で連続成膜した後(図1
    (a))、真空を破ることなく純酸素を導入し、導電層12の表面を自然酸化してトンネルバリア層13を形成する(図1(b))。

    【0042】図1(b)には導電層の酸化後でも第1の強磁性層(11)との界面に導電層の未酸化部分が残されている場合を示しているが、当然、酸化条件次第で完全に酸化させることも可能である。 酸素を排気した後、
    第2の強磁性層(14)を成膜する(図1(c))。 図1(d)では更に、第2の強磁性層上に反強磁性層(1
    5)を形成している。

    【0043】この反強磁性層と第2の強磁性層との界面に発生する交換結合磁界によって、第2の強磁性層の磁化が固定される。 外部磁界に対しては第1の強磁性層のみが感度を持つようになり、第1の強磁性層と第2の強磁性層との磁化の方向の変化に対応した磁気抵抗効果が得られる。 以上の方法では、不純物ガスの影響を受けない清浄な雰囲気で熱平衡状態を保ったまま酸化層の成長が可能であるため、高品質のトンネルバリア層を制御性よく形成することができる。 また、酸素圧力や基板温度の制御によって磁気ヘッドなどのデバイス応用に必要な低抵抗値及び高電流密度の素子を得ることができる。 さらに、ウエーハ内の素子特性の均一性やロット間の再現性に優れた素子が得られる。

    【0044】強磁性層にFe、Co、Niまたはそれらを含む合金を用いた場合には、導電層として強磁性層の表面自由エネルギーより小さな値を持つAlを選択することにより、下地となる第1の強磁性層に対して良好な被覆性が可能となる。 その結果、完成された素子ではピンホールによる強磁性層間の電気的ショートのない良好な特性が得られる。 また、Alの酸素一原子当たりの生成自由エネルギーはFe、Co、Niよりも大きいため、トンネルバリア層となるアルミナは接合界面で熱的に安定である。

    【0045】導電層にMgやランタノイドに属する金属を選択した場合には、同様な理由から下地となる第1の強磁性層(11)に対する良好な被覆性とともに、さらに熱的に安定なトンネルバリア層が得られる。 以上の方法で得られたTMR膜の抵抗値の素子寸法依存性の1例を図5に示す。

    【0046】図5でトラック幅とは、TMRを磁気ヘッドに適用した場合を想定しており、実質、TMR膜の寸法を示す。 この場合、例えば、トラック幅2μmは2μ
    m×2μmの寸法を、10μmは10μm×10μmを意味する。 2μm×2μmの寸法で抵抗値は数十Ωと実用的である。 また、本方法によれば、不純物ガスの影響を受けない清浄な雰囲気で熱平衡状態を保ったままトンネルバリア酸化層の成長が可能であるため、高品質のトンネルバリア層を制御性よく形成することができることから、酸素圧力や基板温度の制御によって、さらに抵抗の低い薄いトンネルバリア層を持ったTMR膜を得ることが出来る。

    【0047】本方法ではまた、図1に示すように、下地層(10)、第1の強磁性層(11)、導電層(12)
    を真空中で連続成膜した後(図1(a))、真空を破ることなく純窒素を導入し、導電層12の表面を自然窒化してトンネルバリア層13を形成する(図1(b))ことも出来る。 窒化膜も酸化膜同様、トンネルバリア層となり得る。

    【0048】この場合も、酸化の場合と同様、強磁性層にFe、Co、Niまたはそれらを含む合金を用いた場合には、導電層として強磁性層の表面自由エネルギーより小さな値を持つAlを選択することにより、下地となる第1の強磁性層に対して良好な被覆性が可能となる。
    その結果、完成された素子ではピンホールによる強磁性層間の電気的ショートのない良好な特性が得られる。

    【0049】また、Alの窒素一原子当たりの生成自由エネルギーはFe、Co、Niよりも大きいため、トンネルバリア層となる窒化アルミニウムは接合界面で熱的に安定である。 導電層にMgやランタノイドに属する金属を選択した場合には、同様な理由から下地となる第1
    の強磁性層(11)に対する良好な被覆性とともに、さらに熱的に安定なトンネルバリア層が得られる。

    【0050】次に本発明の第2の実施形態について図2
    を参照して説明する。 図2に示すように、第1の強磁性層(11)を成膜した後、真空中に酸素を導入してこの表面に酸化層(21)を形成する工程を加えると、次の工程で導電層(12)を成膜する際に第1の強磁性層(11)から導電層(12)に酸素拡散が起こり、導電層(12)側にも酸化層(23)が形成される。

    【0051】この方法では、強磁性層に接する両方の界面に導電層(12)の酸化層(24)が形成されるため、より熱安定性に優れた素子が実現される。 導電層(12)側に安定な酸化層を形成するためには、導電層(12)の酸素一原子当たりの生成自由エネルギーが第1の強磁性層(11)を構成する元素よりも大きいことが必要である。

    【0052】強磁性層にFe、Co、Niまたはそれらを含む合金を用いた場合には、導電層(12)としてA
    l、Mg、ランタノイドに属する金属を用いることが有効である。 また、この方法の場合も、酸素に代えて窒素を用いることが出来る。 以上の製造方法により形成されたTMRを用いたヘッドを初めて作製し、その磁気抵抗効果特性を詳細に調べた。

    【0053】1μm×1μmのTMR膜の寸法でも、トンネルバリア膜を調整することによって数十Ωの素子が得られ実用的であった。 本方法によるTMR膜の抵抗値は、トンネルバリア膜の制御により、5×10 -5 Ωcm
    2以下であった。 更に、驚くべきことに、この実用的な抵抗値を有する素子は、温度を変化させても抵抗値が変化しないことが明らかとなった。

    【0054】これは、従来、TMR膜の抵抗値が高いことからヘッドとしての開発が実際には全くなされておらず、実用的な抵抗値のヘッドが報告されていないことから、TMRヘッドとしては全く指摘されていなかった新しい発見である。 図6はその実験結果、および、従来報告されていたスピンバルブヘッドでの結果である。 今回試作した素子では、低温領域から100℃を超える実用的な領域まで、抵抗値がほとんど一定であることが確認された。

    【0055】抵抗値の温度係数は±0.15%/℃以内、良好には±0.04%/℃以内と極めて小さいのもであった。 それに対して、従来から知られているスピンバルブヘッドでは、図6のように温度とともに抵抗は単調増加し、サーマルアスペリティを裏付ける特性を示している。 抵抗値の温度係数は+0.27%/℃と大きい。

    【0056】スピンバルブではない通常のMRヘッドでは、抵抗値の温度係数は「IEEETrans.on
    Magn. ,Vol. 32,No. 1(1996)3
    8」において+0.15%/℃の値が述べられている。
    また、従来のTMR素子では、抵抗値が2桁から3桁大きく、そもそも磁気ヘッドへの適用は考えられず、当然のことながら、MRヘッドの大きな問題であるサーマルアスペリティの解決には成り得なかった。

    【0057】これに対して、今回、本発明に於いて作製したヘッドでは、初めて純粋なトンネルバリアによる電気伝導が実現したことにより、サーマルアスペリティを無くするMRヘッドが実現した。 次に、本発明に於ける当該磁気再生ヘッド200のサーマルアスペリティ特性を従来技術の磁気再生ヘッドと比較する為、比較実験を行った結果を図7及び図8に示す。

    【0058】即ち、図7(A)は、従来技術で製造された磁気再生ヘッドに於ける磁気再生ヘッドの浮上量を、
    例えば20nmの浮上量に設定した場合での、スピンバルブヘッドに於ける抵抗値についての再生波形の一部の形態を示すものであり、図から明らかな様に、再生波形は、当該磁気再生ヘッドが一旦記録媒体に接触すると、
    初期には一旦抵抗値が低下するが、直ぐに当該接触の結果発生する熱の影響で、抵抗値が急増し、以後抵抗値は次第に減少するカーブを描いている。

    【0059】尚、図7(A)に於ける波形に見られる突起状波形部は、磁気信号を検出した状態を示すものである。 従って、当該磁気再生ヘッドが、記録媒体と接触する事によって当該磁気再生ヘッドの温度が上昇すると、
    当該磁気信号部の検出に誤動作が生じ、情報エラーが発生する事になる。

    【0060】従って、従来に於いては、磁気再生ヘッドを柔軟性のある記録媒体に使用する場合には、当該磁気再生ヘッドを当該記録媒体にあまり接近させる事が出来ず、情報の記録密度を向上させる事が不可能であり、又誤検出も多かった。 又、同様に、硬質記録媒体を使用する場合でも、同様の理由から、当該磁気再生ヘッドを当該記録媒体に極端に接近させて記録再生操作を行う事が不可能であり、情報の記録密度を大幅に向上させることが困難であった。

    【0061】それに対し、本発明に係る当該磁気再生ヘッド200に於いては、図7(B)に示す様に、当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100の抵抗値は温度依存性は全く見られず、仮に当該磁気再生ヘッド200
    が当該記録媒体に接触して当該磁気再生ヘッド200の温度が上昇した場合でも、抵抗値が変化しない事を示すものであり、その結果、本発明に於ける磁気再生ヘッド200は、柔軟性のある記録媒体に使用する事も可能であり、且つ硬質記録媒体を使用する場合には、当該磁気再生ヘッドを当該記録媒体により極端に接近させて記録再生操作を行う事が可能であり、逆には、当該記録媒体に於ける記録密度を大幅に向上させる事が可能である事を示している。

    【0062】よって、従来、サーマルアスペリティの問題でMRヘッドが使えなかった領域にTMR膜を用いたMRヘッドを適用することによって、記録容量を大幅に増大させた磁気記憶装置を実現させることが可能となった。 具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体を用いる、磁気媒体と磁気ヘッドとの接触が頻繁な磁気テープ装置やフロッピーディスク装置等、あるいはまた、高硬度な磁気媒体を用いる磁気ディスク装置であっても、磁気媒体とヘッドとの間隙が40nmを下回る高密度記録領域である。

    【0063】すなわち、本発明の形態としては、磁気記録再生を行うヘッドと磁気記録媒体との間隙が40nm
    以下の、通常のMRヘッドではサーマルアスペリティが頻発する領域での磁気記憶装置に使用する磁気記録再生ヘッドにおいて、前記磁気記録再生ヘッドが、磁気抵抗効果を発生させる第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドと、励磁コイルを挟んだ磁気コアの磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッドとからなる磁気記録再生ヘッドである。

    【0064】係る磁気記録再生を行うヘッドと磁気記録媒体との間隙の変化とベースライン変動量に関して、従来の磁気再生ヘッドと本発明に係る磁気再生ヘッドとを使用して測定した結果を図8に示す。 即ち、図8は、当該磁気再生ヘッドの浮上量に対するサーマルアスペリティとの関連を示す比較実験であって、実験に使用された記録媒体は、アルミニウム基板上にNiPメッキ層を形成した後に、Cr/CoCrPtとからなる保磁力が2
    200エルステッド(Oe)の記録層を形成し、カーボン保護膜を形成したディスク媒体を用いた。

    【0065】媒体表面のグライトハイトは30nmである。 前記の媒体を回転数を変える事によって、磁気ヘッドスライダとの間隙を変化させた。 図8は、この浮上量とヘッド信号のベースラインの変動量(変動の発生しない浮上量でのノイズ分に対するdB表示)との関係を示したものである。

    【0066】図中、本発明に係る磁気再生ヘッド(TM
    R)と従来の磁気再生ヘッド(MR)との双方をグラフで示している。 図8から明らかな様に、当該磁気再生ヘッドの浮上量が40nmを下回る所から、従来の磁気再生ヘッド(MR)でのベースラインの変動量が急激に増大する事が判る。

    【0067】係る原因は、当該従来の磁気再生ヘッド(MR)に於いては、記録媒体と接触する頻度が急激に増加する結果、従来の磁気再生ヘッド(MR)素子の温度変化に対応した出力が検出される為であり、一般にサーマルアスペリティと呼ばれる現象である。 これに対し、本発明に係る磁気再生ヘッド(TMR)では、従来の磁気再生ヘッド(MR)に見られたベースラインの変動が殆ど発生しない事が判る。

    【0068】また、本発明に係る磁気記録再生ヘッド2
    00の強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100の抵抗が5×10 -5 Ωcm 2以下であることを特徴とした、磁気記録再生ヘッドである。 本発明に於ける当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100が上記の様な低抵抗値を有しているのは、例えば、前記の磁気記録再生ヘッド200のトンネルバリア層13が、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に酸素を導入し、前記金属または半金属からなる層を自然酸化して形成されている事によるものと考えられる。

    【0069】更に、本発明に於いては、他の態様として、上記した磁気再生ヘッド200を使用した磁気記録再生ヘッド400がある。 つまり、図3及び図4に示す様に、磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶再生ヘッド400において、
    当該磁気記憶再生ヘッド400は、磁気抵抗効果を発生させる第1の強磁性層11と第2の強磁性層14の間にトンネルバリア層13を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する磁気再生ヘッド200と、励磁コイル38を挟んだ磁気コア37の磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する磁気記録ヘッド300とから構成されており、当該磁気記録再生ヘッド200の強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の抵抗が5×10 -5 Ω
    cm 2以下である磁気記憶再生ヘッド400である。

    【0070】本発明に係る当該磁気記録再生ヘッド40
    0に於いては、当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の温度係数が、±0.15%/℃以内である事が望ましく、より望ましくは、当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の温度係数が、±0.04%/℃以内である。 更に、本発明に係る当該磁気記録再生ヘッド400において使用される当該トンネルバリア層の膜厚が5nm以下である事が望ましく、より望ましくは、2nm以下である事が望ましい。

    【0071】又、上記した本発明に係る態様と同様に、
    本発明に係る当該磁気記録再生ヘッド400に於て使用される当該磁気記録媒体が、合成樹脂などの基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体であっても良く、又、当該磁気記録媒体が、硬質な基体上に磁気記録層を形成した硬質磁気記録媒体であっても良い。 従って、本発明に係る当該磁気記録再生ヘッド400に於いては、当該磁気記録再生ヘッドは、当該記録媒体との間隙が40nm以下となる状態での動作を許容されているものである。

    【0072】更に、本発明に於て使用される当該トンネルバリア層13は、金属または半金属からなる導電層の少なくとも表面に、酸素によって形成された自然酸化膜が存在している事が好ましく、当該自然酸化膜は、真空状態下で供給される酸素により形成されたものである事望ましい。 一方、当該トンネルバリア層を構成する当該金属または半金属からなる導電層は、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層である事が好ましい。

    【0073】又、上記したと同様に、当該トンネルバリア層13は、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層を真空中で酸素の存在下に自然酸化処理して形成されたものであっても良く、
    又は、当該磁気記録再生ヘッドに於ける当該磁気再生ヘッドのトンネルバリア層が、真空中での物理的気相成長法により形成された金属または半金属からなる層を窒素によって自然窒化して形成されたものであっても良い。

    【0074】更に、本発明に係る当該磁気記録再生ヘッド400に於いても、当該磁気記録再生ヘッドに於て、
    スライダとなるセラミック上に、積層された2枚の対向する第1の磁気シールド及び第2の磁気シールドと、当該二枚の対向する第1及び第2の磁気シールド間に存在する前記強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子による再生ヘッドと、前記した第1と第2の磁気シールド膜の内の一方の磁気シールドを第1の磁極膜と兼用し、当該第1の磁極膜の前記磁気抵抗効果再生素子と反対側に、絶縁体で挟まれたコイルと第2の磁極膜とが当該第1の磁極に対して積層され、当該第1と第2の磁極間に設けられた磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッドとからなることが望ましい。

    【0075】同様に、本発明に係る本具体例に於て使用される当該記録媒体を構成する磁気記録層が、スパッタ法などによる物理的気相成長法により形成された磁性薄膜であるが望ましい。 以下、本発明の具体例を図を参照しながら更に詳細に説明する。 実施例1 図9を用いて、本発明の第1の実施例を説明する。 図9
    は本発明による強磁性トンネル接合磁気抵抗効膜を用いた磁気記録再生ヘッドを示す。

    【0076】スライダを構成するAl 23 −TiO複合セラミック基体29に記録再生素子30が形成され、
    アルミナ保護膜32によって保護されている。 さらに記録、再生おのおのの電極31が形成されている。 この記録再生素子の構成の例は図3に示されている様な構成が適用出来る。 図3に示す素子は、スライダを構成するA
    23 −TiO複合セラミック基体上に形成される。
    平行した2枚の磁性膜からなる磁気シールド36(第1
    の磁気シールドS1及び第2の磁気シールドS2)において、下側の磁気シールドS1は、スパッタ法により膜厚1μmのCo−Ta−Zr−Cr膜を形成しパタン化した。

    【0077】このCo−Ta−Zr−Cr膜の形成時には図9の左右方向に一方向性の磁界を印加した。 この後、このCo−Ta−Zr−Cr膜の磁化容易軸方向に500Oeの一方向磁界を印加しつつ350℃で1時間の初期熱処理を行った。 上側の磁気シールドS2はフレームめっき法によりNi−Fe膜をパタン形成した。 この2枚の磁気シールドS1及びS2を上下の電極として、2枚の磁気シールドS1及びS2の間に強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100(TMR膜)のパタン3
    3、および、このフリー層の磁区を制御するための磁界印加膜34、35を形成した。

    【0078】強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜(TM
    R膜)としては、図1に示すように、まず下シールド側から順に、30nm厚の下地Ta膜10、媒体磁界に対して感度を持つフリー層として10nm厚のNi−Fe
    膜からなる第1の強磁性層11、2nm厚のAl膜からなる導電層12を連続してスパッタ蒸着した。 この成膜には4インチφターゲット4基を備えた高周波マグネトロンスパッタ装置を用いた。 スパッタ条件はすべてバックグランド圧力1x10 -7 Torr以下、Ar圧力3mTo
    rr、高周波電力200Wであった。

    【0079】次に、スパッタ装置内に純酸素を導入し、
    酸素圧力を10mTorr〜200Torrの範囲で1
    0分間保持して、Al導電層表面を酸化してトンネルバリア層13を形成した。 酸素を排気してバックグランド圧力に到達した後、20nm厚のCo−Fe膜からなる第2の強磁性層14、20nm厚のPt−Mn膜からなる反強磁性膜15をスパッタ蒸着し、TMR膜を完成させた。

    【0080】この方法では、不純物ガスの影響を受けない清浄な雰囲気で熱平衡状態を保ったまま酸化層の成長が可能であるため、高品質のトンネルバリア層を制御性よく形成することができる。 また、酸素圧力や基板温度の制御によって必要な低抵抗値及び高電流密度の素子を得ることができる。 さらに、ウエハ内の素子特性の均一性やロット間の再現性に優れた素子が得られる。 さらに、上記の酸化層を形成する際に、ウエハ表面に、活性種であるオゾンや酸素イオンなどを、適量を制御性良くアシストすることも有効である。 活性種の発生手法としては、紫外線照射や、X線照射などが有効である。 これらは酸化させようとするウエハの面内に均一に、かつ、
    制御性、再現性良く照射されること、また、この際、これらによって真空チャンバ壁から不純物ガスが放出されないことが必要である。 そのためには高度に制御された装置システムとしなければならない。 従来、酸素グロー放電を用いることによって直接に酸化を行った場合には、低抵抗で良質なトンネルバリア層を形成することが出来なかった。 これは、この方法がもともと、酸化の制御が難しいことに加えて、不純物ガスの発生、ウエハ面内での不均一な酸化なども大きな原因となっていたと考えられる。 表1に、本方法によるTMR膜とその特性、
    および、従来方法でのTMR膜、AMR膜、GMR(スピンバルブ)膜とその特性を一覧した。 本方法のTMR
    膜では、従来のTMR膜に比較して低抵抗であり、かつ、抵抗の温度依存性が極めて小さい。 バリア層厚としては、5nm以下で5×10 -5 Ωcm 2以下の低抵抗が得られる。 さらに好ましくは、2nm以下で低抵抗と高MR比とが得られる。 また、1×10 -8 Ωcm 2を下回る低抵抗が実現する領域では、MR比が小さくなる傾向となる。

    【0081】

    【表1】

    【0082】この後、第2の強磁性層14と反強磁性層15との間に交換結合磁界を発生させ、第2の強磁性層14の磁化を図9のABS面に対して垂直方向に固定するために、ABS面に対して垂直方向に3kOeの一方向磁界を印加しつつ230℃で3時間の熱処理を行った。 この磁界の方向は先に下シールドを熱処理した時の磁界の方向とは直交している。

    【0083】しかしながら、下シールドであるCo−T
    a−Zr−Cr膜は予め350℃で熱処理されているため、この熱処理を行っても、その磁化容易軸方向は変化することなく、異方性磁界Hkとしては8Oe(8エルステッド)と磁気シールドとしては十分な大きさを保っていた。 次に、当該強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜(TMR膜)をパタン化して形成する中央領域とその両端にあって強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜(TMR
    膜)のフリー層の磁区を制御するための磁界印加膜3
    4、35による端部領域を形成した。

    【0084】磁界印加膜34、35はCo−Cr−Pt
    からなる永久磁石膜である。 この永久磁石膜がTMRパタンの側壁に接することで、トンネルバリア膜を介した第1の磁性層と第2の磁性層とが短絡しないようにすることが重要であった。 また、永久磁石膜はその上下の磁気シールドとは磁気的に分離するよう、永久磁石膜と磁気シールド間に非磁性体を挿入することが必要であった。 こののち、前述のように、電極としても兼用される磁気シールドとして、フレームめっき法により膜厚3μ
    mのNi−Fe膜をパタン形成した。

    【0085】さらに図3を用いて、本発明に於ける以後の工程、つまり磁気記録再生装置を製造する工程を説明する。 フレームメッキ法により、上シールドを構成する膜厚3μmのNi−Fe膜を形成した後、アルミナによる磁気ギャップを形成後、記録磁界発生用コイル38を形成した。 このコイルはフォトレジストにより上下を挟まれて絶縁されている。

    【0086】まず、下側の絶縁体となるフォトレジストパタンを前記のアルミナ磁気ギャップ上に形成し、これを250℃で1時間熱硬化した。 次にフレームメッキ法によりCuコイルを形成し、上側の絶縁体となるフォトレジストパタンを形成した。 この熱硬化の際にも250
    ℃で1時間熱処理した。 更に、記録磁極P2を構成する膜厚4μmのNi−Fe膜をフレームめっき法で形成した。 記録磁極P2である上磁極37を形成後、磁気シールドの磁化容易軸方向に磁界を1kOe印加し、200
    ℃で1時間熱処理した。 これにより上磁極37の磁気異方性が安定化した。

    【0087】次に再生部や記録部の電極の引き回しパタン39、40を形成した後、図9に示すように素子全体をアルミナスパッタ膜により保護した。 この後に、再度、前記のTMR膜の反強磁性層およびこれと接する第2の強磁性層の磁化を揃えるために、ABS面に垂直方向に3kOeの一方向磁界を印加しつつ250℃で1時間の熱処理を行った。

    【0088】以上の素子をウエハから切り出し、図9に示す磁気ディスク装置用のスライダ形状に加工し、ジンバルバネ付きのアームに組み込み、記録再生評価を行った。 本ヘッドでは1μm×1μmのTMR膜の寸法でも、トンネルバリア膜を調整することによって数十Ωの素子が得られ実用的であった。 本方法によるTMR膜の抵抗値は、トンエルバリア膜の制御により、5×10 -5
    Ωcm 2以下であった。

    【0089】記録再生評価の結果、磁気記録媒体と本ヘッドとの間隙を変化させ、その大きさが40nm以下の領域となっても、従来のMRヘッドでは顕著となったサーマルアスペリティと呼ばれる、媒体とヘッドとの接触によりMR素子温度が変化することに起因する誤り信号の発生が、本ヘッドでは認められないことが明らかとなった。

    【0090】この原因を明らかにするために本ヘッドの再生素子の抵抗の温度変化を測定した。 その結果、驚くべきことに、この素子は温度を変化させても抵抗値が変化しないMR素子であることが明らかとなった。 これは実用的な抵抗値を有するTMRヘッドとしては、従来全く指摘されていなかった新しい発見である。 図6はその実験結果、および、従来報告されていたスピンバルブ素子での結果である。 今回試作した素子では、液体ヘリウム温度から100℃を超える実用的な領域まで、抵抗値がほとんど一定であることが確認された。 抵抗値の温度係数は−0.01%/℃程度と極めて小さいのもであった。

    【0091】それに対して、従来から知られているスピンバルブヘッドでは、図6のように温度とともに抵抗は単調増加し、サーマルアスペリティの発生を裏付ける特性を示している。 抵抗値の温度係数は+0.27%/℃
    と大きい。 スピンバルブではない通常のMRヘッドでは、抵抗値の温度係数は「IEEETrans.on
    Magn. ,Vol. 32,No. 1(1996)3
    8」において+0.15%/℃の値が述べられている。

    【0092】また、従来のTMR素子では、抵抗値が2
    桁から3桁大きく、そもそも磁気ヘッドへの適用は考えられず、当然のことながら、MRヘッドの大きな問題であるサーマルアスペリティの解決には成り得なかった。
    それに対して、今回作製したヘッドでは、初めて純粋なトンネルバリアによる電気伝導が実現したことにより、
    サーマルアスペリティを無くするMRヘッドが実現する。

    【0093】以上のように、磁気記録再生を行うヘッドと磁気記録媒体との間隙が40nm以下の磁気記憶装置に使用する磁気記録再生ヘッドにおいて、前記磁気記録再生ヘッドが、磁気抵抗効果を発生させる第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドと、励磁コイルを挟んだ磁気コアの磁気ギャップから発生する漏れ磁束により磁気媒体上に磁気信号を記録する記録ヘッドとからなる磁気記録再生ヘッドが実現する。

    【0094】本ヘッドの特徴は、磁気記録再生ヘッドの強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜の抵抗が5×10 -5
    Ωcm 2以下であることであり、これを実現するためには磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層が、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に酸素を導入し、前記金属または半金属からなる層を自然酸化して形成されたトンネルバリア層であることである。 さらに好ましくは、前記の金属または半金属からなる層が、アルミニウム(Al)
    であることである。

    【0095】また、TMR膜のトンネルバリア層が、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に窒素を導入し、前記金属または半金属からなる層を自然窒化して形成されたトンネルバリア層である場合でも同様の効果が得られる。
    さらに好ましくは、前記のTMR膜の金属または半金属からなる層が、アルミニウム(Al)であることである。

    【0096】また、本磁気ヘッドと組み合わせられる磁気記録媒体が、ポリエチレンテレフタレートなどの基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体であり、
    ヘッドと媒体との間隙が40nm以下であることである。 また、前記の磁気記録層が磁性粒子を塗布した磁気記録層であることである。 また、前記の磁気記録媒体が、円盤形状であることである。 あるいは、前記の磁気記録媒体が、テープ状であることである。

    【0097】また、前記の磁気記録層が、スパッタ法などによる物理的気相成長法により形成された磁性薄膜であることである。 前記の磁気記録媒体が、円盤形状であることである。 あるいは、前記の磁気記録媒体が、テープ状であることである。 また、前記の磁気記録媒体が、
    ガラスやアルミニウムなどの高硬度な基体上に磁気記録層が形成されている磁気記録媒体であることである。 また、前記の磁気記録媒体の磁気記録層が、スパッタ法などによる物理的気相成長法により形成された磁性薄膜であることである。 また、前記の磁気記録媒体が、円盤形状であることである。

    【0098】本発明の結果、本磁気ヘッドと組み合わせられる磁気記録媒体がポリエチレンテレフタレートなどの基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体の場合、1平方インチ当たり500Mbを超える高密度な記録再生ヘッドが実現する。 また、磁気記録媒体が、ガラスやアルミニウムなどの高硬度な基体上に磁気記録層が形成されている磁気記録媒体の場合、サーマルアスペリティに対処するための特別な工夫をしなくとも、1平方インチ当たり10Gbを超える高密度な記録再生ヘッドが実現する。

    【0099】本発明の磁気ヘッドの構造として、図4に示す構造でも同様の結果が得られる。 すなわち、図4では対向する2枚の磁気シールド36の間隙に、シールドとは兼用されない個別の電極41を持つTMR素子を形成した場合である。 本具体例に於て、当該下シールド層S1の膜厚としては、例えば0.3μmから3μmの範囲で選択する事が可能であり、又強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜(TMR)としては、下地Ta膜10の膜厚が2nmから200nm、フリー層11の膜厚は1n
    mから50nmの範囲で適宜選択する事が可能である。

    【0100】一方、トンネルバリア層13として使用されるアルミニウム(Al)の膜厚は、0.3nmから3
    nmの範囲、当該磁化固定層14の膜厚は1nmから5
    0nmの範囲、当該反強磁性膜15の膜厚は、5nmから200nmの範囲からそれぞれ任意に選択する事が可能である。 又、CoCrPtからなる磁界印加膜34、
    35の膜厚は3nmから300nm、磁気シールドS2
    の膜厚は、0.3μmから4μmの範囲でそれぞれ任意に選択可能である。

    【0101】又、記録磁極37の膜厚は0.5μmから5μmの範囲内で任意に選択する事が可能である。 実施例2 図10に、実施例1で示した磁気ヘッド(図9)を用いた磁気記憶装置を示す。

    【0102】図10において、駆動用のモータ1で回転する磁気媒体2の、磁気記憶面に対向して本発明の磁気記録再生ヘッド3が、サスペンション4、アーム5により取り付けられ、ヴォイスコイルモータ(VCM)6でトラッキングされる。 記録再生動作は、ヘッドへの記録再生チャネル7からの信号により行われ、この記録再生チャネル、ヘッドの位置決めを行うVCM、および媒体を回転させる駆動モータは、制御ユニット8により連動している。

    【0103】以上の基本構成を持つ磁気記憶装置において、磁気記録媒体が、ポリエチレンテレフタレートなどの基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体である装置を図11に示す。 磁気媒体26は磁気ヘッドを組み込んだアセンブリ25により記録再生され、装置2
    7に対して、取り出すことも出来る。

    【0104】実施例1で示した磁気ヘッド(図9)を用いることによって、媒体とヘッドとの間隙が40nm以下の領域で、サーマルアスペリティのない記録再生系をもつ記憶装置が実現する。 また、前記の磁気記録層が磁性粒子を塗布した磁気記録層であることである。 また、
    前記の磁気記録層が、スパッタ法などによる物理的気相成長法により形成された磁性薄膜であることでもよい。

    【0105】実施例3 図10に、実施例1で示した磁気ヘッド(図9)を用いた磁気記憶装置を示す。 図10において、駆動用のモータ1で回転する磁気媒体2の、磁気記憶面に対向して本発明のヘッド3が、サスペンション4、アーム5により取り付けられ、ヴォイスコイルモータ(VCM)6でトラッキングされる。

    【0106】記録再生動作は、ヘッドへの記録再生チャネル7からの信号により行われ、この記録再生チャネル、ヘッドの位置決めを行うVCM、および媒体を回転させる駆動モータは、制御ユニット8により連動している。 以上の基本構成を持つ磁気記憶装置において、磁気記録媒体が、ガラスやアルミニウムなどの高硬度な基体上に磁気記録層が形成されている磁気記録媒体であり、
    また、前記の磁気記録媒体の磁気記録層が、スパッタ法などによる物理的気相成長法により形成された磁性薄膜であり、また、前記の磁気記録媒体が、円盤形状である装置を図12に示す。

    【0107】磁気媒体57は磁気ヘッドを組み込んだアセンブリ58により記録再生される。 実施例1で示した磁気ヘッド(図9)を用いることによって、媒体とヘッドとの間隙が40nm以下の領域で、サーマルアスペリティのない記録再生系をもつ記憶装置が実現する。 実施例4 図13に、磁気記録媒体がポリエチレンテレフタレートなどの基体上に磁気記録層を形成した柔軟な磁気記録媒体であり、ヘッドと媒体との間隙が40nm以下であり、磁気記録媒体がテープ状である磁気記憶装置の構成を示す。

    【0108】前記の磁気記録層は、磁性粒子を塗布した磁気記録層であることでも、また、前記の磁気記録層は、スパッタ法などによる物理的気相成長法により形成された磁性薄膜であることでもよい。 本装置では、テープ供給リール45から供給されたテープ状の磁気記録媒体44が、ローラ46、ローラ47、ローラ48、ローラ49、およびキャプスタンモータ51により回転数を制御されたキャプスタン50等で走行を制御されて、磁気ヘッド43の装着された回転ドラム42の側面に安定に接触し、最終的に巻き取りリール52に巻き取られる。

    【0109】本装置に適用される磁気ヘッドは、図14
    に示す形状である。 記録再生を行う素子54は、実施例1で述べた構成であり、スライダとなる基体53上に形成され、アルミナによる保護膜56で保護されている。
    また、記録電流、再生電流を流すための端子55が形成されている。 図14の上面の曲線部がテープ状の磁気媒体と滑らかに接触するが、ヘッドと媒体との相対速度により、薄い空気相が形成される。 本装置では、この空気相厚を40nm以下としても、サーマルアスペリティのない記録再生系をもつ記憶装置が実現する。

    【0110】本発明に係る更に他の態様としては、上記した各具体例の説明から明らかな様に、例えば、磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置において使用される当該磁気記録再生ヘッドであって、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを製造するに際し、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に酸素を導入し、前記金属または半金属からなる層を自然酸化させる様に構成された磁気記録再生ヘッドの製造方法であり、又、磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置において使用される当該磁気記録再生ヘッドであって、第1の強磁性層と第2
    の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを製造するに際し、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、
    真空中に窒素を導入し、前記金属または半金属からなる層を窒化させる様に構成された磁気記録再生ヘッドの製造方法である。

    【0111】更に、本発明にかかる更に別の態様としては、磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置を製造するに際し、前記磁気記録再生ヘッドが、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを使用するものであり、かつ、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、
    真空中に酸素を導入し、前記金属または半金属からなる層を自然酸化させる様に構成された磁気記憶装置の製造方法であり、更には、磁気記録媒体と磁気記録再生ヘッドとによって情報記録再生を行う磁気記憶装置を製造するに際し、前記磁気記録再生ヘッドが、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜を用いた再生素子により磁気媒体上に記録された磁気信号からの磁束を感磁する再生ヘッドを使用するものであり、かつ、当該磁気記録再生ヘッドのトンネルバリア層を、真空中での物理的気相成長法により金属または半金属からなる層を形成した後に、真空中に窒素を導入し、前記金属または半金属からなる層を窒化させる様に構成された磁気記憶装置の製造方法である。

    【0112】

    【発明の効果】本発明に係る磁気再生ヘッド及び磁気記録再生装置は、上記したような技術構成を採用しているので、従来技術の欠点を改良し、温度依存性の無い然も低抵抗であると言う特性を有し、その結果、従来使用されているMRヘッドの本質的な欠点であるサーマルアスペリティの問題が解決でき、従来使用されているMRヘッドを用いることが出来なかった領域にも当該MRヘッドを適用することを可能になると言う効果を得る事が出来る。

    【0113】更に、本発明に於いては、サーマルアスペリティの問題が解決できるので、磁気媒体とヘッドとの間隙が40nmを下回る高密度磁気記録領域で、媒体表面を極度に平滑化したり、補償回路を設けるなどの特別な対策をせずに、MRヘッドを適用し、大容量な磁気記憶装置を実現することを可能とした。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】図1は、本発明による磁気再生ヘッドの製造方法の一具体例に於ける工程手順を説明する断面図である。

    【図2】図2は、本発明による磁気再生ヘッドの製造方法の他の具体例に於ける工程手順を説明する断面図である。

    【図3】図3は、本発明に於ける磁気再生ヘッドの一具体例に於ける全体の構成の概略を説明する斜視図である。

    【図4】図4は、本発明に於ける磁気再生ヘッドの他の具体例に於ける全体の構成の概略を説明する斜視図である。

    【図5】図5は、本発明による強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜100を用いた磁気記録再生ヘッド(TM
    R)の抵抗値とトラック幅の関係を示すグラフである。

    【図6】図6は、本発明の磁気記録再生ヘッド(TM
    R)および従来のスピンバルブヘッドの抵抗値の温度依存性を示すグラフである。

    【図7】図7(A)は、従来の磁気再生ヘッド(MR)
    に於ける抵抗値の再生波形の例を示し、図7(B)は、
    本発明の磁気記録再生ヘッド(TMR)に於ける抵抗値の再生波形の例を示すグラフである。

    【図8】図8は、従来の磁気再生ヘッド(MR)と本発明の磁気記録再生ヘッド(TMR)に於ける浮上量とベースライン変動量との関係を示すグラフである。

    【図9】図9は、本発明による磁気記録再生ヘッドの一具体例に於ける構成の例を示す斜視図である。

    【図10】図10は、本発明による磁気記録再生ヘッド(TMRヘッド)を用いた磁気記憶装置の一具体例の構成を示す概略図である。

    【図11】図11は、本発明による磁気記録再生ヘッド(TMRヘッド)を用いた磁気記憶装置の一具体例の構成を示す概略図である。

    【図12】図12は、本発明による磁気記録再生ヘッド(TMRヘッド)を用いた磁気記憶装置の一具体例の構成を示す概略図である。

    【図13】図13は、本発明による磁気記録再生ヘッド(TMR)を用いたテープ等の細幅記録媒体を使用する為の磁気記憶装置の概略図である。

    【図14】図14は、本発明によるTMRを用いたテープ等の細幅記録媒体を使用する為磁気記録再生ヘッドの一具体例の構成を示す斜視図である。

    【符号の説明】

    1…駆動用のモータ 2…磁気媒体 3…磁気記録再生ヘッド 4…サスペンション 5…アーム 6…ヴォイスコイルモータ(VCM) 7…記録再生チャネル 8…制御ユニット 25…磁気ヘッドを組み込んだアセンブリ 26…磁気媒体 27…装置 43…磁気ヘッド 42…回転ドラム 44…テープ状の磁気記録媒体 45…テープ供給リール 46…ローラ 47、48、49…ローラ 50…キャプスタン 51…キャプスタンモータ 52…巻き取りリール 53…基体 54…記録再生素子 55…端子 56…保護膜 57…磁気媒体 58…アセンブリ 29…複合セラミック基体 30…記録再生素子 32…アルミナ保護膜 31…電極 100…強磁性トンネル接合磁気抵抗効果膜 200…磁気記録再生ヘッド 300…記録ヘッド 400…磁気記録再生装置 11…第1の強磁性層 14…第2の強磁性層 13、24…トンネルバリア層 33、41…磁気再生ヘッド部 34、35…磁界印加膜 36…磁気シールド電極(S1、S2) 37…磁気コア(P2) 38…励磁コイル

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