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マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置

阅读:1026发布:2020-07-29

专利汇可以提供マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且,下面是マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置专利的具体信息内容。

共通端子と、 互いに異なる通過帯域を有する第1弾性波フィルタおよび第2弾性波フィルタと、 インダクタンス素子と、を備え、 前記第1弾性波フィルタは、 2つの入出端子と、 前記2つの入出力端子を結ぶ経路上に配置された1以上の直列腕共振子と、 前記経路およびグランドの間に配置された2以上の並列腕共振子と、を備え、 前記第1弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスの周波数は、前記第2弾性波フィルタの通過帯域に含まれ、 前記第2弾性波フィルタは、前記共通端子に直接接続され、 前記2つの入出力端子のうちの前記共通端子側の入出力端子は、一端が当該入出力端子に接続され、他端が前記共通端子に接続された前記インダクタンス素子を介して前記共通端子に接続され、かつ、前記2以上の並列腕共振子のうちの一の並列腕共振子と直接接続されており、 前記一の並列腕共振子は、前記2以上の並列腕共振子のうちで最も容量が大きい、 マルチプレクサ。前記第1弾性波フィルタを構成する圧電基板は、 前記1以上の直列腕共振子および前記2以上の並列腕共振子のそれぞれを構成するIDT(InterDigital Transducer)電極が一方面上に形成された圧電膜と、 前記圧電膜を伝搬する弾性波音速よりも、伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板と、 前記高音速支持基板と前記圧電膜との間に配置され、前記圧電膜を伝搬するバルク波音速よりも、伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜と、を備える、 請求項1に記載のマルチプレクサ。前記第1弾性波フィルタの通過帯域は、前記第2弾性波フィルタの通過帯域よりも低周波数側に位置し、 前記第1弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスは、高次モード起因のスプリアスである、 請求項2に記載のマルチプレクサ。前記第1弾性波フィルタの通過帯域は、前記第2弾性波フィルタの通過帯域よりも高周波数側に位置し、 前記第1弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスは、レイリー波起因のスプリアスである、 請求項2に記載のマルチプレクサ。前記1以上の直列腕共振子および前記2以上の並列腕共振子のそれぞれは、 LiNbO3の圧電単結晶基板と、 前記圧電単結晶基板上に形成されたIDT電極と、 前記圧電単結晶基板上および前記IDT電極上に形成された誘電体膜と、で構成されている、 請求項1に記載のマルチプレクサ。前記第1弾性波フィルタの通過帯域は、前記第2弾性波フィルタの通過帯域よりも低周波数側に位置し、 前記第1弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスは、高次モード起因のスプリアスである、 請求項5に記載のマルチプレクサ。前記第2弾性波フィルタは、2つの入出力端子を結ぶ経路上に配置された1以上の直列腕共振子と、前記経路およびグランドの間に配置された1以上の並列腕共振子と、を備え、 前記共通端子は、前記1以上の直列腕共振子および前記1以上の並列腕共振子のうちの一の直列腕共振子のみと直接接続されている、 請求項1〜6のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。前記第1弾性波フィルタを含む2つのフィルタを備える第1デュプレクサ、および、前記第2弾性波フィルタを含む2つのフィルタを備える第2デュプレクサによって構成されている、 請求項1〜7のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。前記第1弾性波フィルタの通過帯域は、LTE(Long Term Evolution)のBand66における上り周波数帯であり、 前記第2弾性波フィルタの通過帯域は、前記LTEのBand30における上り周波数帯である、 請求項2または3に記載のマルチプレクサ。請求項1〜9のいずれか1項に記載のマルチプレクサと、 前記マルチプレクサに接続された増幅回路と、を備える、 高周波フロントエンド回路。アンテナ素子で送受信される高周波信号を処理するRF信号処理回路と、 前記アンテナ素子と前記RF信号処理回路との間で前記高周波信号を伝達する請求項10に記載の高周波フロントエンド回路と、を備える、 通信装置。

说明书全文

本発明は、弾性波フィルタを備えるマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置に関する。

近年の携帯電話には、一端末で複数の周波数帯域および複数の無線方式、いわゆるマルチバンド化およびマルチモードに対応することが要求されている。これに対応すべく、1つのアンテナの直下には、複数の無線搬送周波数を有する高周波信号を分波するマルチプレクサが配置される。マルチプレクサを構成する複数の帯域通過フィルタとしては、通過帯域内における低損失性を有する弾性波フィルタが用いられる。

特許文献1には、複数の弾性表面波フィルタがアンテナ端子に共通に接続された弾性表面波装置(SAWデュプレクサ)が開示されている。

国際公開第2016/208670号

弾性波フィルタにおいて、フィルタ通過帯域よりも高周波数側には、例えば高次モードに起因する不要波が発生し、また、フィルタ通過帯域よりも低周波数側には、例えばレイリー波に起因する不要波が発生する場合がある。

特許文献1に記載された、複数の弾性波フィルタが共通端子に接続されたマルチプレクサにおいて、一の弾性波フィルタの不要波の発生周波数が、他の弾性波フィルタの通過帯域に含まれる場合が想定される。この場合、上記不要波により上記一の弾性波フィルタの反射特性が劣化することで、当該他の弾性波フィルタの通過帯域内の挿入損失が増大してしまう。これにより、マルチプレクサ全体の通過特性も劣化するという課題がある。

そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、共通端子に複数の弾性波フィルタが接続されたマルチプレクサであって、一の弾性波フィルタの低損失性を確保しつつ、当該一の弾性波フィルタが発生する不要波により他の弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制できるマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るマルチプレクサは、共通端子と、互いに異なる通過帯域を有する第1弾性波フィルタおよび第2弾性波フィルタと、インダクタンス素子と、を備え、前記第1弾性波フィルタは、2つの入出端子と、前記2つの入出力端子を結ぶ経路上に配置された1以上の直列腕共振子と、前記経路およびグランドの間に配置された2以上の並列腕共振子と、を備え、前記第1弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスの周波数は、前記第2弾性波フィルタの通過帯域に含まれ、前記第2弾性波フィルタは、前記共通端子に直接接続され、前記2つの入出力端子のうちの前記共通端子側の入出力端子は、前記インダクタンス素子を介して前記共通端子に接続され、かつ、前記2以上の並列腕共振子のうちの一の並列腕共振子と直接接続されており、前記一の並列腕共振子は、前記2以上の並列腕共振子のうちで最も容量が大きい。

上記構成によれば、第1弾性波フィルタと共通端子との間には、インダクタンス素子が直列接続され、かつ、共通端子に最近接の共振子が並列腕共振子であるので、共通端子から第1弾性波フィルタを見た場合の第2弾性波フィルタの通過帯域における反射損失の増大を抑制できる。これは、第1弾性波フィルタの共通端子に近い枝ほど、共通端子から第1弾性波フィルタを見た反射特性への影響が大きいことに起因するものである。上記構成では、共通端子に最も近い枝は、インダクタンス素子となる。インダクタンス素子は、第1弾性波フィルタを構成する各弾性波共振子と異なり、不要波スプリアスを発生せずフラットな周波数特性となる反射特性を有している。このため、共通端子から第1弾性波フィルタを見た場合の第2弾性波フィルタの通過帯域における反射係数の低下を抑制できる。よって、第1弾性波フィルタが発生する不要波により第2弾性波フィルタの通過特性が劣化することを抑制できる。

また、共通端子から第1弾性波フィルタ単体を見た場合の、所定の通過帯域における複素インピーダンスと、共通端子から前記第1弾性波フィルタ以外の弾性波フィルタの合成回路を見た場合の、上記所定の通過帯域における複素インピーダンスとが、複素共役の関係にあることで、マルチプレクサのインピーダンス整合を最適化できる。並列腕共振子から始まる第1弾性波フィルタの上記複素インピーダンスと、上記合成回路の容量性の複素インピーダンスとを複素共役の関係とするためには、共通端子から第1弾性波フィルタ単体を見た場合の複素インピーダンスを誘導性とすべく、直列挿入された上記インダクタンス素子のインダクタンス値が大きいことが好ましい。しかし、この反面、上記インダクタンス素子のインダクタンス値が小さいほど、第1弾性波フィルタの通過帯域内の挿入損失を低減できる。この観点から、上記インダクタンス素子のインダクタンス値を大きくする替わりに、第1弾性波フィルタを構成する並列腕共振子のうち、上記インダクタンス素子に直接接続された並列腕共振子の容量を大きくすることで、上記インダクタンス素子のインダクタンス値を大きくすることなく、共通端子から第1弾性波フィルタ単体を見た場合の複素インピーダンスを効果的に誘導性とできる。一方、第1弾性波フィルタの通過特性を最適化すべく、インダクタンス素子に直接接続された並列腕共振子以外の並列腕共振子の容量値を相対的に小さく設定する。

以上により、共通端子に複数の弾性波フィルタが接続されたマルチプレクサにおいて、第1弾性波フィルタの低損失性を確保しつつ、第1弾性波フィルタが発生する不要波により第2弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することが可能となる。

また、前記第1弾性波フィルタを構成する圧電基板は、前記1以上の直列腕共振子および前記2以上の並列腕共振子のそれぞれを構成するIDT(InterDigital Transducer)電極が一方面上に形成された圧電膜と、前記圧電膜を伝搬する弾性波音速よりも、伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板と、前記高音速支持基板と前記圧電膜との間に配置され、前記圧電膜を伝搬するバルク波音速よりも、伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜と、を備えてもよい。

第1弾性波フィルタの共通端子側にインダクタンス素子が直列接続された場合など、複数の弾性波フィルタ間でのインピーダンス整合をとるため、各弾性波共振子にはインダクタンス素子やキャパシタンス素子などの回路素子が付加される。この場合、各弾性波共振子のQ値が等価的に小さくなる場合が想定される。しかしながら、上記圧電基板の積層構造によれば、各弾性波共振子のQ値を高い値に維持できる。よって、帯域内の低損失性を有する弾性波フィルタを形成することが可能となる。

また、前記第1弾性波フィルタの通過帯域は、前記第2弾性波フィルタの通過帯域よりも低周波数側に位置し、前記第1弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスは、高次モード起因のスプリアスであってもよい。

これにより、第1弾性波フィルタの通過帯域よりも高周波数側に発生する、圧電膜の厚み方向にエネルギーが閉じこもることで発生する高次モードスプリアスにより第2弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することが可能となる。

また、前記第1弾性波フィルタの通過帯域は、前記第2弾性波フィルタの通過帯域よりも高周波数側に位置し、前記第1弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスは、レイリー波起因のスプリアスであってもよい。

これにより、第1弾性波フィルタの通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波スプリアスにより第2弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することが可能となる。

また、前記1以上の直列腕共振子および前記2以上の並列腕共振子のそれぞれは、LiNbO3の圧電単結晶基板と、前記圧電単結晶基板上に形成されたIDT電極と、前記圧電単結晶基板上および前記IDT電極上に形成された誘電体膜と、で構成されていてもよい。

これにより、第1弾性波フィルタは、良好な周波数温度特性を有することが可能となる。

また、前記第1弾性波フィルタの通過帯域は、前記第2弾性波フィルタの通過帯域よりも低周波数側に位置し、前記第1弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスは、高次モード起因のスプリアスであってもよい。

これにより、第1弾性波フィルタの通過帯域よりも高周波数側に発生する、誘電体膜内にエネルギーが閉じこもることで発生する高次モードスプリアスにより第2弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することが可能となる。

また、前記第2弾性波フィルタは、2つの入出力端子を結ぶ経路上に配置された1以上の直列腕共振子と、前記経路およびグランドの間に配置された1以上の並列腕共振子と、を備え、前記共通端子は、前記1以上の直列腕共振子および前記1以上の並列腕共振子のうちの一の直列腕共振子のみと直接接続されていてもよい。

これにより、共通端子から第2弾性波フィルタを見た場合の、上記所定の通過帯域における複素インピーダンスは容量性となる。よって、共通端子から第1弾性波フィルタを見た場合の誘導性の複素インピーダンスと、共通端子から第2弾性波フィルタを見た場合の、容量性の複素インピーダンスとを、高精度の複素共役の関係とすることが可能となる。

また、前記第1弾性波フィルタを含む2つのフィルタを備える第1デュプレクサ、および、前記第2弾性波フィルタを含む2つのフィルタを備える第2デュプレクサによって構成されていてもよい。

これにより、複数のデュプレクサを備えるマルチプレクサについて、第1弾性波フィルタの低損失性を確保しつつ、第1弾性波フィルタが発生する不要波により第2弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することが可能となる。

また、前記第1弾性波フィルタの通過帯域は、LTE(Long Term Evolution)のBand66における上り周波数帯であり、前記第2弾性波フィルタの通過帯域は、前記LTEのBand30における上り周波数帯であってもよい。

第1弾性波フィルタの通過帯域がLTEのBand66における上り周波数帯であり、第2弾性波フィルタの通過帯域がLTEのBand30における上り周波数帯である場合、第1弾性波フィルタの高次モードスプリアスの発生周波数が、第2弾性波フィルタの通過帯域内に位置する。上記構成によれば、共通端子から第1弾性波フィルタを見た場合の第2弾性波フィルタの通過帯域における反射損失の増大を抑制できる。よって、第1弾性波フィルタが発生する高次モードスプリアスにより第2弾性波フィルタの通過特性が劣化することを抑制できる。

また、本発明の一態様に係る高周波フロントエンド回路は、上記いずれかに記載のマルチプレクサと、前記マルチプレクサに接続された増幅回路と、を備える。

これにより、第1弾性波フィルタの低損失性を確保しつつ、第1弾性波フィルタが発生する不要波により第2弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することができる高周波フロントエンド回路を提供できる。

また、本発明の一態様に係る通信装置は、アンテナ素子で送受信される高周波信号を処理するRF信号処理回路と、前記アンテナ素子と前記RF信号処理回路との間で前記高周波信号を伝達する請求項10に記載の高周波フロントエンド回路と、を備える。

これにより、第1弾性波フィルタの低損失性を確保しつつ、第1弾性波フィルタが発生する不要波により第2弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することができる通信装置を提供できる。

本発明に係るマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置によれば、一の弾性波フィルタの低損失性を確保しつつ、当該一の弾性波フィルタが発生する不要波により他の弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することができる。

実施の形態1に係るマルチプレクサの回路構成図である。

実施の形態1に係る共振子の一例を模式的に表す平面図および断面図である。

実施の形態1の変形例に係る共振子を模式的に表す断面図である。

実施の形態1に係るマルチプレクサを構成するBand25の送信側フィルタの回路構成図である。

実施の形態1に係るマルチプレクサを構成するBand25の受信側フィルタの回路構成図である。

実施の形態1に係るマルチプレクサを構成するBand66の送信側フィルタの回路構成図である。

実施の形態1に係るマルチプレクサを構成するBand66の受信側フィルタの回路構成図である。

実施の形態1に係るマルチプレクサを構成するBand30の送信側フィルタの回路構成図である。

実施の形態1に係るマルチプレクサを構成するBand30の受信側フィルタの回路構成図である。

実施の形態1に係る縦結合型の弾性表面波フィルタの電極構成を示す概略平面図である。

比較例に係るマルチプレクサの回路構成図である。

比較例に係るマルチプレクサを構成するBand25の受信側フィルタの回路構成図である。

比較例に係るマルチプレクサを構成するBand66の送信側フィルタの回路構成図である。

実施の形態1および比較例に係るBand30の送信側フィルタの通過特性を比較したグラフである。

比較例に係るマルチプレクサを構成するBand66の送信側フィルタの反射特性を示すグラフである。

実施の形態1に係るマルチプレクサを構成するBand66の送信側フィルタの反射特性を示すグラフである。

ラダー型弾性波フィルタの枝と反射特性との関係を説明する図である。

比較例に係るBand66の送信側フィルタの枝を説明する回路構成図である。

実施の形態1に係るBand66の送信側フィルタの枝を説明する回路構成図である。

実施の形態2に係る通信装置の構成図である。

以下、本発明の実施の形態について、実施の形態および図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。

(実施の形態1) [1.マルチプレクサの基本構成] 本実施の形態では、LTE(Long Term Evolution)のBand25(送信通過帯域:1850−1915MHz、受信通過帯域:1930−1995MHz)、Band66(送信通過帯域:1710−1780MHz、受信通過帯域:2010−2200MHz)、およびBand30(送信通過帯域:2305−2315MHz、受信通過帯域:2350−2360MHz)に適用されるヘキサプレクサについて例示する。

本実施の形態に係るマルチプレクサ1は、Band25用デュプレクサとBand66用デュプレクサとBand30用デュプレクサとが共通端子70で接続されたヘキサプレクサである。

図1は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1の回路構成図である。同図に示すように、マルチプレクサ1は、送信側フィルタ11、13および15と、受信側フィルタ12、14および16と、インダクタンス素子21と、共通端子70と、送信入力端子10、30および50と、受信出力端子20、40および60とを備える。送信側フィルタ11、13、15、受信側フィルタ12、14、16は、弾性表面波フィルタである。また、マルチプレクサ1は、共通端子70においてアンテナ素子2に接続されている。共通端子70とアンテナ素子2との接続経路と、基準端子であるグランドとの間には、インダクタンス素子31が接続されている。なお、インダクタンス素子31は共通端子70とアンテナ素子2との間に直列に接続されてもよい。また、マルチプレクサ1は、インダクタンス素子31を備えない構成であってもよい。また、インダクタンス素子31は、マルチプレクサ1に含めた構成としてもよいし、マルチプレクサ1に外付けされた構成であってもよい。

送信側フィルタ11は、送信回路(RFICなど)で生成された送信波を、送信入力端子10を経由して入力し、当該送信波をBand25の送信通過帯域でフィルタリングして共通端子70へ出力する帯域通過型フィルタである。

受信側フィルタ12は、共通端子70から入力された受信波を入力し、当該受信波をBand25の受信通過帯域でフィルタリングして受信出力端子20へ出力するフィルタである。

送信側フィルタ13は、送信回路(RFICなど)で生成された送信波を、送信入力端子30を経由して入力し、当該送信波をBand66の送信通過帯域でフィルタリングして共通端子70へ出力する第1弾性波フィルタである。送信側フィルタ13は、2つの入出力端子と、当該2つの入出力端子を結ぶ経路上に配置された1以上の直列腕共振子と、上記経路およびグランドの間に配置された2以上の並列腕共振子と、を備える。

また、送信側フィルタ13と共通端子70との間には、インダクタンス素子21が直列接続されている。インダクタンス素子21が送信側フィルタ13の共通端子70側に接続されることにより、送信側フィルタ13の複素インピーダンスを誘導性の方向へシフトさせることが可能となる。

送信側フィルタ13(第1弾性波フィルタ)が発生する高次モードに起因した不要波の周波数は、送信側フィルタ15(第2弾性波フィルタ)の通過帯域内に位置する。しかしながら、本実施の形態に係るマルチプレクサ1では、共通端子70と送信側フィルタ13との間にインダクタンス素子21が直列接続されていることにより、送信側フィルタ13が発生する不要波が送信側フィルタ15に影響を与えるのを抑制することができる。つまり、インダクタンス素子21は、送信側フィルタ13の複素インピーダンスを誘導性の方向へシフトする機能と、送信側フィルタ13が発生する不要波が送信側フィルタ15の通過特性に与える影響を抑制する機能とを兼用している。

受信側フィルタ14は、共通端子70から入力された受信波を入力し、当該受信波をBand66の受信通過帯域でフィルタリングして受信出力端子40へ出力するフィルタである。

送信側フィルタ15は、送信回路(RFICなど)で生成された送信波を、送信入力端子50を経由して入力し、当該送信波をBand30の送信通過帯域でフィルタリングして共通端子70へ出力する第2弾性波フィルタである。

受信側フィルタ16は、共通端子70から入力された受信波を入力し、当該受信波をBand30の受信通過帯域でフィルタリングして受信出力端子60へ出力するフィルタである。

送信側フィルタ11および15、ならびに受信側フィルタ12、14および16のそれぞれは、2つの入出力端子と、当該2つの入出力端子を結ぶ経路上に配置された少なくとも1つの直列腕共振子と、上記経路およびグランドの間に配置された少なくとも1つの並列腕共振子とを有している。

なお、本実施の形態では、送信側フィルタ11、13および15、ならびに受信側フィルタ12、14および16を構成する直列腕共振子および並列腕共振子は、弾性表面波共振子である。

送信側フィルタ11および15、ならびに、受信側フィルタ12、14および16は、共通端子70に、他の素子を介することなく直接接続されている。また、送信側フィルタ13は、インダクタンス素子21を介して共通端子70に接続されている。

なお、本実施の形態に係るマルチプレクサ1では、インダクタンス素子21が直列接続されたフィルタは送信側フィルタ13であるが、これに限られない。インダクタンス素子21が直列接続される一のフィルタは、当該一のフィルタが発生する不要波の周波数が、共通端子70に接続された他のフィルタの少なくともいずれかの通過帯域に含まれる関係にあればよい。

[2.弾性表面波共振子の構造] ここで、送信側フィルタ11、13および15ならびに受信側フィルタ12、14および16を構成する弾性波共振子の構造について説明する。

図2Aは、本実施の形態に係る弾性波共振子の一例を模式的に表す概略図であり、(a)は平面図、(b)および(c)は、(a)に示した一点鎖線における断面図である。図2Aには、送信側フィルタ11、13および15ならびに受信側フィルタ12、14および16を構成する複数の直列腕共振子および並列腕共振子のうち、送信側フィルタ11の直列腕共振子101を構成する共振子100の構造を表す平面摸式図および断面模式図が例示されている。なお、図2Aに示された共振子100は、上記複数の共振子の典型的な構造を説明するためのものであって、電極を構成する電極指の本数および長さなどは、これに限定されない。

共振子100は、圧電基板5と、櫛歯状電極101aおよび101bとで構成されている。

図2Aの(a)に示すように、圧電基板5の上には、互いに対向する一対の櫛歯状電極101aおよび101bが形成されている。櫛歯状電極101aは、互いに平行な複数の電極指110aと、複数の電極指110aを接続するバスバー電極111aとで構成されている。また、櫛歯状電極101bは、互いに平行な複数の電極指110bと、複数の電極指110bを接続するバスバー電極111bとで構成されている。複数の電極指110aおよび110bは、X軸方向と直交する方向に沿って形成されている。

また、複数の電極指110aおよび110b、ならびに、バスバー電極111aおよび111bで構成されるIDT(InterDigital Transducer)電極54は、図2Aの(b)に示すように、密着層541と主電極層542との積層構造となっている。

密着層541は、圧電基板5と主電極層542との密着性を向上させるための層であり、材料として、例えば、Tiが用いられる。密着層541の膜厚は、例えば、12nmである。

主電極層542は、材料として、例えば、Cuを1%含有したAlが用いられる。主電極層542の膜厚は、例えば162nmである。

保護層55は、櫛歯状電極101aおよび101bを覆うように形成されている。保護層55は、主電極層542を外部環境から保護する、周波数温度特性を調整する、および、耐湿性を高めるなどを目的とする層であり、例えば、二酸化ケイ素を主成分とする誘電体膜である。保護層55の厚さは、例えば25nmである。

なお、密着層541、主電極層542および保護層55を構成する材料は、上述した材料に限定されない。さらに、IDT電極54は、上記積層構造でなくてもよい。IDT電極54は、例えば、Ti、Al、Cu、Pt、Au、Ag、Pdなどの金属又は合金から構成されてもよく、また、上記の金属又は合金から構成される複数の積層体から構成されてもよい。また、保護層55は、形成されていなくてもよい。

次に、圧電基板5の積層構造について説明する。

図2Aの(c)に示すように、圧電基板5は、高音速支持基板51と、低音速膜52と、圧電膜53とを備え、高音速支持基板51、低音速膜52および圧電膜53がこの順で積層された構造を有している。

圧電膜53は、50°YカットX伝搬LiTaO3圧電単結晶または圧電セラミックス(X軸を中心軸としてY軸から50°回転した軸を法線とする面で切断したタンタル酸リチウム単結晶、またはセラミックスであって、X軸方向に弾性表面波が伝搬する単結晶またはセラミックス)からなる。圧電膜53は、例えば、厚みが600nmである。なお、各フィルタの要求仕様により、圧電膜53として使用される圧電単結晶の材料およびカットが適宜選択される。

高音速支持基板51は、低音速膜52、圧電膜53ならびにIDT電極54を支持する基板である。高音速支持基板51は、さらに、圧電膜53を伝搬する表面波および境界波などの弾性波よりも、高音速支持基板51中のバルク波の音速が高速となる基板であり、弾性表面波を圧電膜53および低音速膜52が積層されている部分に閉じ込め、高音速支持基板51より下方に漏れないように機能する。高音速支持基板51は、例えば、シリコン基板であり、厚みは、例えば200μmである。

低音速膜52は、圧電膜53を伝搬するバルク波よりも、低音速膜52中のバルク波の音速が低速となる膜であり、圧電膜53と高音速支持基板51との間に配置される。この構造と、弾性波が本質的に低音速な媒質にエネルギーが集中するという性質とにより、弾性表面波エネルギーのIDT電極外への漏れが抑制される。低音速膜52は、例えば、二酸化ケイ素を主成分とする膜であり、厚みは、例えば670nmである。

なお、圧電基板5の上記積層構造によれば、圧電基板を単層で使用している従来の構造と比較して、共振周波数および反共振周波数におけるQ値を大幅に高めることが可能となる。すなわち、Q値が高い弾性波共振子を構成し得るので、当該弾性波共振子を用いて、挿入損失が小さいフィルタを構成することが可能となる。

また、送信側フィルタ13の共通端子70側にインダクタンス素子21が直列接続された場合など、複数のフィルタ間でのインピーダンス整合をとるため、インダクタンス素子およびキャパシタンス素子などの回路素子が付加される。これにより、共振子100のQ値が等価的に小さくなる場合が想定される。しかしながら、このような場合であっても、圧電基板5の上記積層構造によれば、共振子100のQ値を高い値に維持できる。

なお、高音速支持基板51は、支持基板と、圧電膜53を伝搬する表面波および境界波などの弾性波よりも、伝搬するバルク波の音速が高速となる高音速膜とが積層された構造を有していてもよい。この場合、支持基板は、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、晶等の圧電体、アルミナ、マグネシア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等の各種セラミック、ガラス等の誘電体またはシリコン、窒化ガリウム等の半導体及び樹脂基板等を用いることができる。また、高音速膜は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、DLC膜またはダイヤモンド、上記材料を主成分とする媒質、上記材料の混合物を主成分とする媒質等、様々な高音速材料を用いることができる。

また、図2Bは、実施の形態1の変形例に係る共振子100を模式的に表す断面図である。図2Aに示した共振子100では、共振子100を構成するIDT電極54が、圧電膜53を有する圧電基板5上に形成された例を示したが、当該IDT電極54が形成される基板は、図2Bに示すように、圧電体層の単層からなる圧電単結晶基板57であってもよい。圧電単結晶基板57は、例えば、LiNbO3の圧電単結晶で構成されている。本変形例に係る共振子100は、LiNbO3の圧電単結晶基板57と、IDT電極54と、圧電単結晶基板57上およびIDT電極54上に形成された保護層55と、で構成されている。

上述した圧電膜53および圧電単結晶基板57は、弾性波フィルタ装置の要求通過特性などに応じて、適宜、積層構造、材料、カット角、および、厚みを変更してもよい。上述したカット角以外のカット角を有するLiTaO3圧電基板などを用いた共振子100であっても、上述した圧電膜53を用いた共振子100と同様の効果を奏することができる。

ここで、弾性波共振子を構成するIDT電極の電極パラメータの一例(実施例)について説明する。

弾性波共振子の波長とは、図2Aの(b)に示すIDT電極54を構成する複数の電極指110aまたは110bの繰り返し周期である波長λで規定される。また、電極ピッチは、波長λの1/2であり、櫛歯状電極101aおよび101bを構成する電極指110aおよび110bのライン幅をWとし、隣り合う電極指110aと電極指110bとの間のスペース幅をSとした場合、(W+S)で定義される。また、一対の櫛歯状電極101aおよび101bの交叉幅Lは、図2Aの(a)に示すように、電極指110aと電極指110bとのX軸方向から見た場合の重複する電極指長さである。また、各共振子の電極デューティーは、複数の電極指110aおよび110bのライン幅占有率であり、複数の電極指110aおよび110bのライン幅とスペース幅との加算値に対する当該ライン幅の割合であり、W/(W+S)で定義される。また、櫛歯状電極101aおよび101bの高さをhとしている。なお、波長λ、交叉幅L、電極デューティー、IDT電極54の高さh等、共振子100の形状および大きさを決定するパラメータを、共振子パラメータという。

[3.実施の形態に係る各弾性波フィルタの構成] 以下、図3A〜図6を用いて、各弾性波フィルタの回路構成について説明する。

図3Aは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1を構成するBand25の送信側フィルタ11の回路構成図である。図3Aに示すように、送信側フィルタ11は、直列腕共振子101、102、103、104および105と、並列腕共振子151、152、153および154と、インダクタンス素子141、161および162とを備える。

直列腕共振子101〜105は、送信入力端子10と送信出力端子61とを結ぶ経路上に配置され、互いに直列接続されている。また、並列腕共振子151〜154は、上記経路と基準端子(グランド)との間に配置され、互いに並列となるように接続されている。直列腕共振子101〜105および並列腕共振子151〜154の上記接続構成により、送信側フィルタ11は、ラダー型のバンドパスフィルタを構成している。インダクタンス素子141は、送信入力端子10と直列腕共振子105との間に直列接続されている。なお、インダクタンス素子141は、送信入力端子10および直列腕共振子105の接続経路と基準端子との間に接続されていてもよい。インダクタンス素子141を有することにより、インダクタンス素子141と他のインダクタンス素子161、162との結合を利用して、送信側フィルタ11のアイソレーションを大きくすることができる。また、インダクタンス素子161は、並列腕共振子152、153および154の接続点と基準端子との間に接続されている。インダクタンス素子162は、並列腕共振子151と基準端子との間に接続されている。

送信出力端子61は、共通端子70(図1参照)に接続されている。また、送信出力端子61は、直列腕共振子101に接続されており、並列腕共振子151〜154のいずれにも直接接続されていない。

図3Bは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1を構成するBand25の受信側フィルタ12の回路構成図である。図3Bに示すように、受信側フィルタ12は、例えば、縦結合型の弾性表面波フィルタ部を含む。より具体的には、受信側フィルタ12は、縦結合型フィルタ部203と、直列腕共振子201および202と、並列腕共振子251および252とを備える。

図6は、実施の形態1に係る縦結合型フィルタ部203の電極構成を示す概略平面図である。同図に示すように、縦結合型フィルタ部203は、IDT211、212、213、214および215と、反射器220および221と、入力ポート230および出力ポート240とを備える。

IDT211〜215は、それぞれ、互いに対向する一対のIDT電極で構成されている。IDT212および214は、IDT213をX軸方向に挟み込むように配置され、IDT211および215は、IDT212〜214をX軸方向に挟み込むように配置されている。反射器220および221は、IDT211〜215をX軸方向に挟み込むように配置されている。また、IDT211、213および215は、入力ポート230と基準端子との間に並列接続され、IDT212および214は、出力ポート240と基準端子との間に並列接続されている。

また、図3Bに示すように、直列腕共振子201および202、ならびに、並列腕共振子251および252は、ラダー型フィルタ部を構成している。

受信入力端子62は、共通端子70(図1参照)に接続されている。また、図3Bに示すように、受信入力端子62は、直列腕共振子201に接続されており、並列腕共振子251および252のいずれにも直接接続されていない。

図4Aは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1を構成するBand66の送信側フィルタ13の回路構成図である。図4Aに示すように、送信側フィルタ13は、直列腕共振子301、302、303および304と、並列腕共振子351、352、353および354と、インダクタンス素子341、361および362とを備える。

直列腕共振子301〜304は、送信入力端子30と送信出力端子63とを結ぶ経路上に配置され、互いに直列接続されている。また、並列腕共振子351〜354は、それぞれ、上記経路と基準端子(グランド)との間に配置され、互いに並列となるように接続されている。直列腕共振子301〜304および並列腕共振子351〜354の上記接続構成により、送信側フィルタ13は、ラダー型のバンドパスフィルタを構成している。インダクタンス素子341は、送信入力端子30と直列腕共振子304との間に直列接続されている。なお、インダクタンス素子341は、送信入力端子30および直列腕共振子304の接続経路と基準端子との間に接続されていてもよい。インダクタンス素子341を有することにより、インダクタンス素子341と他のインダクタンス素子361、362との結合を利用して、送信側フィルタ13のアイソレーションを大きくすることができる。また、インダクタンス素子361は、並列腕共振子352と基準端子との間に接続されている。インダクタンス素子362は、並列腕共振子353および354の接続点と基準端子との間に接続されている。

つまり、送信側フィルタ13では、2つの入出力端子のうちの共通端子70側の入出力端子である送信出力端子63は、インダクタンス素子21を介して共通端子70に接続され(図1参照)ている。また、送信出力端子63は、並列腕共振子351〜354のうちの並列腕共振子351と直接接続されている。つまり、送信出力端子63は、直列腕共振子301〜304を介さずに、並列腕共振子351と接続されている。さらに、並列腕共振子351は、並列腕共振子351〜354のうちで最も容量が大きい。

図4Bは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1を構成するBand66の受信側フィルタ14の回路構成図である。図4Bに示すように、受信側フィルタ14は、直列腕共振子401、402、403、404および405と、並列腕共振子451、452、453および454と、インダクタンス素子461とを備える。

直列腕共振子401〜405は、受信出力端子40と受信入力端子64とを結ぶ経路上に配置され、互いに直列接続されている。また、並列腕共振子451〜454は、上記経路と基準端子(グランド)との間に配置され、互いに並列に接続されている。直列腕共振子401〜405および並列腕共振子451〜454の上記接続構成により、受信側フィルタ14は、ラダー型のバンドパスフィルタを構成している。また、インダクタンス素子461は、並列腕共振子452、453および454の接続点と基準端子との間に接続されている。

受信入力端子64は、共通端子70(図1参照)に接続されている。また、図4Bに示すように、受信入力端子64は、直列腕共振子401に接続されており、並列腕共振子451〜454のいずれにも直接接続されていない。

図5Aは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1を構成するBand30の送信側フィルタ15の回路構成図である。図5Aに示すように、送信側フィルタ15は、直列腕共振子501、502、503および504と、並列腕共振子551、552および553と、インダクタンス素子561および562とを備える。

直列腕共振子501〜504は、送信入力端子50と送信出力端子65とを結ぶ経路上に配置され、互いに直列接続されている。また、並列腕共振子551〜553は、上記経路と基準端子(グランド)との間に配置され、互いに並列となるように接続されている。なお、直列腕共振子502は、互いに直列接続された3つの分割共振子で構成されている。直列腕共振子501〜504および並列腕共振子551〜553の上記接続構成により、送信側フィルタ15は、ラダー型のバンドパスフィルタを構成している。また、インダクタンス素子561は、並列腕共振子552と基準端子との間に接続されている。インダクタンス素子562は、並列腕共振子553と基準端子との間に接続されている。

送信出力端子65は、共通端子70(図1参照)に接続されている。また、送信出力端子65は、直列腕共振子501に接続されており、並列腕共振子551〜553のいずれにも直接接続されていない。

図5Bは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1を構成するBand30の受信側フィルタ16の回路構成図である。図5Bに示すように、受信側フィルタ16は、直列腕共振子601、602、603および604と、並列腕共振子651、652および653と、インダクタンス素子661とを備える。

直列腕共振子601〜604は、受信出力端子60と受信入力端子66とを結ぶ経路上に配置され、互いに直列接続されている。また、並列腕共振子651〜653は、上記経路と基準端子(グランド)との間に配置され、互いに並列に接続されている。なお、直列腕共振子602は、互いに直列接続された3つの分割共振子で構成されている。直列腕共振子601〜404および並列腕共振子651〜653の上記接続構成により、受信側フィルタ16は、ラダー型のバンドパスフィルタを構成している。また、インダクタンス素子661は、並列腕共振子653と基準端子との間に接続されている。

受信入力端子66は、共通端子70(図1参照)に接続されている。また、図5Bに示すように、受信入力端子66は、直列腕共振子601に接続されており、並列腕共振子651〜653のいずれにも直接接続されていない。

なお、本実施の形態に係るマルチプレクサ1が備える各弾性波フィルタにおける共振子および回路素子の配置構成は、上記に示した送信側フィルタ11、13および15ならびに受信側フィルタ12、14および16で例示した配置構成に限定されない。上記弾性波フィルタにおける共振子および回路素子の配置構成は、各周波数帯域(Band)における通過特性の要求仕様により異なる。上記配置構成とは、例えば、直列腕共振子および並列腕共振子の配置数であり、また、ラダー型および縦結合型などのフィルタ構成の選択である。

[4.弾性表面波フィルタの動作原理] ここで、本実施の形態に係るラダー型の弾性波フィルタの動作原理について説明する。

例えば、図3Aに示された並列腕共振子151〜154は、それぞれ、共振特性において共振周波数frpおよび反共振周波数fap(>frp)を有している。また、直列腕共振子101〜105は、それぞれ、共振特性において共振周波数frsおよび反共振周波数fas(>frs>frp)を有している。なお、直列腕共振子101〜105の共振周波数frsは、略一致するように設計されるが、必ずしも一致していない。また、直列腕共振子101〜105の反共振周波数fas、並列腕共振子151〜154の共振周波数frp、および、並列腕共振子151〜154の反共振周波数fapについても同様であり、必ずしも一致していない。

ラダー型の共振子によりバンドパスフィルタを構成するにあたり、並列腕共振子151〜154の反共振周波数fapと直列腕共振子101〜105の共振周波数frsとを近接させる。これにより、並列腕共振子151〜154のインピーダンスが0に近づく共振周波数frp近傍は、低域側阻止域となる。また、これより周波数が増加すると、反共振周波数fap近傍で並列腕共振子151〜154のインピーダンスが高くなり、かつ、共振周波数frs近傍で直列腕共振子101〜105のインピーダンスが0に近づく。これにより、反共振周波数fap〜共振周波数frsの近傍では、送信入力端子10から送信出力端子61への信号経路において信号通過域となる。さらに、周波数が高くなり、反共振周波数fas近傍になると、直列腕共振子101〜105のインピーダンスが高くなり、高周波側阻止域となる。つまり、直列腕共振子101〜105の反共振周波数fasを、信号通過域外のどこに設定するかにより、高周波側阻止域における減衰特性の急峻性が大きく影響する。

送信側フィルタ11において、送信入力端子10から高周波信号が入力されると、送信入力端子10と基準端子との間で電位差が生じ、これにより、圧電基板5が歪むことでX方向に伝搬する弾性表面波が発生する。ここで、櫛歯状電極101aおよび101bの波長λと、通過帯域の波長とを略一致させておくことにより、通過させたい周波数成分を有する高周波信号のみが送信側フィルタ11を通過する。

以下では、本実施の形態に係るマルチプレクサ1の特徴的な構成および効果を、比較例に係るマルチプレクサ500と比較しながら説明する。

[5.比較例に係る各弾性波フィルタの構成] 図7は、比較例に係るマルチプレクサ500の回路構成図である。同図に示すように、マルチプレクサ500は、送信側フィルタ511、513および515と、受信側フィルタ512、514および516と、インダクタンス素子521と、共通端子70と、送信入力端子10、30および50と、受信出力端子20、40および60とを備える。同図に示されたマルチプレクサ500は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1と比較して、マルチプレクサを構成する6つのフィルタのうち、Band25の受信側フィルタ512およびBand66の送信側フィルタ513の回路構成が異なる。以下、比較例に係るマルチプレクサ500について、実施の形態1に係るマルチプレクサ1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。

受信側フィルタ512と共通端子70との間には、インダクタンス素子521が直列接続されている。インダクタンス素子521が受信側フィルタ512の共通端子70側に接続されることにより、受信側フィルタ512の複素インピーダンスを誘導性の方向へシフトさせることが可能となる。

また、送信側フィルタ513は、インダクタンス素子を介さずに共通端子70と接続されている。

マルチプレクサ500の送信側フィルタ511は、マルチプレクサ1の送信側フィルタ11と同じ回路構成である。マルチプレクサ500の受信側フィルタ514は、マルチプレクサ1の受信側フィルタ14と同じ回路構成である。マルチプレクサ500の送信側フィルタ515は、マルチプレクサ1の送信側フィルタ15と同じ回路構成である。マルチプレクサ500の受信側フィルタ516は、マルチプレクサ1の受信側フィルタ16と同じ回路構成である。

図8Aは、比較例に係るマルチプレクサ500を構成するBand25の受信側フィルタ512の回路構成図である。図8Aに示すように、受信側フィルタ512は、縦結合型フィルタ部206と、直列腕共振子205と、並列腕共振子255〜257とを備える。

なお、縦結合型フィルタ部206の電極構成は、受信側フィルタ12を構成する縦結合型フィルタ部203の電極構成と同様である。直列腕共振子205および並列腕共振子255〜257は、ラダー型フィルタ部を構成している。

ここで、受信入力端子62は、並列腕共振子255と接続されている。さらに、並列腕共振子255は、並列腕共振子255〜257のうちで最も容量が大きい。これにより、インダクタンス素子521のインダクタンス値を大きくせずとも、並列腕共振子255の容量値が並列腕共振子255〜257の中で最大であるので、共通端子70から受信出力端子20への伝送ロスを低減しつつ、受信側フィルタ512の複素インピーダンスを誘導性の方向へシフトできる。

図8Bは、比較例に係るマルチプレクサ500を構成するBand66の送信側フィルタ513の回路構成図である。図8Bに示すように、送信側フィルタ513は、直列腕共振子305〜308と、並列腕共振子355〜357と、インダクタンス素子345、365および366とを備える。

直列腕共振子305〜308は、送信入力端子30と送信出力端子63とを結ぶ経路上に配置され、互いに直列接続されている。また、並列腕共振子355〜357は、それぞれ、上記経路と基準端子(グランド)との間に配置され、互いに並列となるように接続されている。直列腕共振子305〜308および並列腕共振子355〜357の上記接続構成により、送信側フィルタ513は、ラダー型のバンドパスフィルタを構成している。インダクタンス素子345は、送信入力端子30と直列腕共振子308との間に直列接続されている。また、インダクタンス素子365は、並列腕共振子356と基準端子との間に接続されている。インダクタンス素子366は、並列腕共振子357と基準端子との間に接続されている。

ここで、送信側フィルタ513が発生する高次モードに起因した不要波の周波数は、送信側フィルタ515の通過帯域内に位置する。

送信出力端子63は、共通端子70(図1参照)に接続されている。また、図8Bに示すように、送信出力端子63は、直列腕共振子305に接続されており、並列腕共振子355〜357のいずれにも直接接続されていない。

[6.実施の形態および比較例に係るマルチプレクサの特性比較] 図9は、実施の形態1および比較例に係るBand30の送信側フィルタの通過特性を比較したグラフである。同図には、実施の形態1に係るマルチプレクサ1を構成する送信側フィルタ15の通過特性と、比較例に係るマルチプレクサ500を構成する送信側フィルタ515の通過特性とが表されている。

ここで、実施の形態1に係るマルチプレクサ1と比較例に係るマルチプレクサ500との構成の差異について示しておく。

いずれのマルチプレクサにおいても、Band66の送信側フィルタの高次モードに起因する不要波の発生周波数が、Band30の送信側フィルタの通過帯域内に位置する、という課題を有している。

これに対して、マルチプレクサ1のBand66の送信側フィルタ13と共通端子70との間にはインダクタンス素子21が直列挿入され、並列腕共振子351が共通端子70に最近接しており、並列腕共振子351の容量値は並列腕共振子351〜354の中で最も大きい。また、Band25の受信側フィルタ12と共通端子70との間にはインダクタンス素子は介在しておらず、直列腕共振子201が共通端子70に最近接している。

一方、マルチプレクサ500のBand66の送信側フィルタ513と共通端子70との間にはインダクタンス素子が介在しておらず、直列腕共振子305が共通端子70に最近接している。また、マルチプレクサ500のBand25の受信側フィルタ512と共通端子70との間にはインダクタンス素子521が直列挿入され、並列腕共振子255が共通端子70に最近接しており、並列腕共振子255の容量値は並列腕共振子255〜257の中で最も大きい。

図9に示されるように、比較例に係るBand30の送信側フィルタ515に対して、実施の形態に係るBand30の送信側フィルタ15は、通過帯域(2305−2315MHz)内の挿入損失が大幅に改善されている。より具体的には、比較例に係る送信側フィルタ515では、通過帯域内の最大挿入損失が3.2dBであるのに対し、実施の形態に係る送信側フィルタ15では、通過帯域内の最大挿入損失が2.2dBとなり、1.0dB改善されている。

以下、上記改善効果の要因について説明する。

図10Aは、比較例に係るマルチプレクサ500を構成するBand66の送信側フィルタ513の反射特性を示すグラフである。より具体的には、図10Aには、Band66の送信側フィルタ513単体(他のフィルタと共通端子70で共通接続されていないBand66の送信側フィルタ513)を、共通端子70側から見た場合の反射特性が示されている。また、図10Bは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1を構成するBand66の送信側フィルタ13の反射特性を示すグラフである。より具体的には、図10Bには、インダクタ21とBand66の送信側フィルタ13との直列接続回路単体(他のフィルタと共通端子70で共通接続されていない直列接続回路)を、共通端子70側から見た場合の反射特性が示されている。つまり、図10Bにおいて、実施の形態1に係る送信側フィルタ13の特性は、インダクタンス素子21を含んだ反射特性である。

図10Aに示すように、比較例に係る送信側フィルタ513では、通過帯域よりも高周波数側であって、Band30Txの通過帯域(2305−2315MHz)に相当する領域(図10Aの破線部)に、反射損失の極大点(不要波レスポンス)が発生していることがわかる。この不要波レスポンスは、例えば、図2Aに示した積層構造を有する圧電性の基板を使用した弾性波フィルタにおいて、圧電膜および低音速膜にエネルギーが閉じこもることで発生する高次モード起因のスプリアスである。なお、この不要波レスポンスは、高次モード起因のスプリアスだけでなく、レイリー波起因のスプリアスとしても発生し、この場合には、当該スプリアスは通過帯域よりも低周波数側に発生する。

これに対して、図10Bに示すように、実施の形態に係る送信側フィルタ13では、通過帯域よりも高周波数側であって、Band30Txの通過帯域(2305−2315MHz)に相当する領域(図10Bの破線部)に、反射損失の極大点(不要波レスポンス)が発生するが、反射損失の極大値は、比較例と比べて大幅に低減されている。

図11は、ラダー型弾性波フィルタの枝と反射特性との関係を説明する図である。図11には、5つの直列腕共振子s1〜s5と、4つの並列腕共振子p1〜p4とで構成されたラダー型の弾性波フィルタが示されている。ここで、共通端子から見た反射特性を評価した場合、共通端子から見た反射損失には、共通端子に最も近い枝(図11では直列腕共振子s1)自体の反射損失はほぼそのまま影響し、2番目に近い枝(図11では並列腕共振子p1)の反射損失は、約1/6だけ影響し、3番目に近い枝(図11では直列腕共振子s2)の反射損失は、ほとんど影響しない。

なお、本明細書に記載された「枝」とは、ラダー型フィルタを構成する直列腕素子または並列腕素子の1単位を表すものとして使用される。また、複数の直列腕素子が連続して接続された場合、当該複数の直列腕素子の間に並列腕素子が介在しない場合には、当該複数の直列腕素子が1つの枝と定義される。また、複数の並列腕素子が連続して接続された場合、当該複数の並列腕素子の間に直列腕素子が介在しない場合には、当該複数の並列腕素子が1つの枝と定義される。

図12Aは、比較例に係るBand66の送信側フィルタ513の枝を説明する回路構成図である。また、図12Bは、実施の形態1に係るBand66の送信側フィルタ13の枝を説明する回路構成図である。

図12Aに示すように、比較例に係る送信側フィルタ513では、共通端子70から見て、共通端子70に最も近い枝1には、直列腕共振子305が含まれる。この場合、共通端子70から送信側フィルタ513を見た反射損失には、直列腕共振子305自体の反射損失がほぼそのまま影響し、直列腕共振子305の高次モード起因の不要波レスポンスが大きく影響する。また、図12Aに示すように、共通端子70と送信出力端子63との間にインダクタンス素子521が直列挿入された場合には、インダクタンス素子521および直列腕共振子305が共通端子70に最も近い枝1となる。この場合であっても、共通端子70から送信側フィルタ513を見た反射損失には、直列腕共振子305自体の反射損失がほぼそのまま影響し、直列腕共振子305の高次モード起因の不要波レスポンスが大きく影響する。

これに対して、図12Bに示すように、実施の形態1に係る送信側フィルタ13では、共通端子70から見て、共通端子70に最も近い枝1には、インダクタンス素子21のみが含まれる。この場合、共通端子70から送信側フィルタ13を見た反射損失には、ほぼフラットな周波数特性の反射損失がほぼそのまま影響するが、枝2の並列腕共振子351が発生する高次モード起因の不要波については約1/6しか影響しない。

上記結果より、送信側フィルタ13と共通端子70との間にインダクタンス素子を直列接続することで不要波による反射損失の増大を抑制するには、実施の形態1に係るマルチプレクサ1のように、共通端子70に最も近い共振子は並列腕共振子とする必要がある。

さらに、インダクタンス素子21を直列接続し、共通端子70に最も近い共振子を並列腕共振子とした場合、送信側フィルタ13の複素インピーダンス(自帯域および共通端子に接続された他のフィルタの通過帯域の全て)を誘導性とし、送信側フィルタ13以外のフィルタが共通端子70に接続された合成回路の複素インピーダンス容量性とし、これらを複素共役によるインピーダンス整合をとる必要がある。この場合、送信側フィルタ13の通過帯域挿入損失を悪化させないために、共通端子70に最も近い並列腕共振子351の容量値を、他のフィルタ特性に影響を与えない範囲でできるだけ大きくし、インダクタンス素子21のインダクタンス値をできるだけ小さくして、送信側フィルタ13の複素インピーダンスの誘導性を確保する。なお、並列腕共振子351の容量値を大きくした分、減衰特性および通過特性のバランスを考慮し、他の並列腕共振子352〜354の容量値を小さくする必要がある。

表1に、実施の形態1に係る送信側フィルタ13の電極パラメータを示す。また、表2に、比較例に係る送信側フィルタ513の電極パラメータを示す。

表1の電極パラメータから、容量値は、対数×交叉幅として算出できる。具体的には、実施の形態1に係る送信側フィルタ13の並列腕共振子351の容量値を1で規格化した場合、並列腕共振子352の規格化容量値は0.212、並列腕共振子353の規格化容量値は0.871、並列腕共振子354の規格化容量値は0.607となっている。これにより、送信側フィルタ13の通過帯域挿入損失の劣化が抑制される。

さらに、高次モード起因の不要波スプリアスは、共振子の容量が大きくなるにつれ小さくなるので、並列腕共振子351の容量値を他の並列腕共振子352〜354の容量値よりも大きくすることで、Band30の送信側フィルタ15の通過帯域挿入損失の劣化を、更に抑制できるという副次的効果もある。

なお、本実施の形態では、マルチプレクサ1を、図2Aに示された積層構造を有する基板で作製し、その際に発生する高次モード起因の不要波レスポンスに対応する構成を示した。しかしながら、本発明に係るマルチプレクサは、基板の種類や不要波の種類には限定されない。例えば、上記積層構造を有する基板で作製した一の弾性波フィルタには、レイリー波起因のスプリアス(主モード発生周波数の0.7〜0.8倍の周波数)も発生するが、当該一の弾性波フィルタとともに共通端子に接続され、通過帯域が一の弾性波フィルタよりも低周波数側に位置する他のフィルタの通過帯域挿入損失を改善することが可能である。

また、図2Bに示すように、LiNbO3の単結晶基板上にIDT電極を形成し、当該単結晶基板上およびIDT電極上に誘電体膜(例えばSiO2)が形成された構成を有する弾性波フィルタにおいて、誘電体膜にエネルギーが閉じこもることで高次モード起因のスプリアスが発生する。この場合においても、上記実施の形態と同様の特徴的な構成を用いることによりにより、同様の効果が得られる。

また、本実施の形態では、Band25+Band66+Band30のヘキサプレクサの例を示したが、本発明は、この組み合わせに限らず、例えば、Band25+Band66のクワッドプレクサ、Band1+Band3のクワッドプレクサ、Band1+Band3+Band7のヘキサプレクサ等にも適用される。

[7.実施の形態1のまとめ] 実施の形態1に係るマルチプレクサ1は、共通端子70と、互いに異なる通過帯域を有する送信側フィルタ13(第1弾性波フィルタ)および送信側フィルタ15(第2弾性波フィルタ)と、インダクタンス素子21とを備える。送信側フィルタ13は、送信入力端子30および送信出力端子63と、直列腕共振子301〜304と、並列腕共振子351〜354とを備える。また、送信側フィルタ13が発生する不要波スプリアスの周波数は、送信側フィルタ15の通過帯域に含まれる。また、送信側フィルタ15は、共通端子70に直接接続され、送信出力端子63は、インダクタンス素子21を介して共通端子70に接続される。ここで、送信出力端子63は、並列腕共振子351〜354のうちの並列腕共振子351と直接接続されており、並列腕共振子351は、並列腕共振子351〜354のうちで最も容量が大きい。

マルチプレクサ1において、送信側フィルタ13の不要波スプリアスの周波数が送信側フィルタ15の通過帯域に含まれると、共通端子70から送信側フィルタ13を見た場合の送信側フィルタの通過帯域における反射係数が低下することで、送信側フィルタ15の通過帯域挿入損失が増大することが懸念される。

これに対して、上記構成によれば、送信側フィルタ13と共通端子70との間には、インダクタンス素子21が直列接続されており、かつ、共通端子70に最近接の共振子が並列腕共振子351であるので、共通端子70から送信側フィルタ13を見た場合の送信側フィルタの通過帯域における反射損失の増大を抑制できる。これは、送信側フィルタ13の共通端子70に近い枝ほど、共通端子70から送信側フィルタ13を見た反射特性への影響が大きいことに起因するものである。すなわち、上記構成では、送信側フィルタ13と共通端子70との間には、共通端子70に最も近い枝としてインダクタンス素子21が配置されている。インダクタンス素子21は、送信側フィルタ13を構成する各弾性波共振子と異なり、不要波スプリアスを発生せずフラットな周波数特性となる反射特性を有している。このため、共通端子70から送信側フィルタ13を見た場合の送信側フィルタ15の通過帯域における反射損失の増大を抑制できる。よって、送信側フィルタ13が発生する不要波により送信側フィルタ15の通過特性が劣化することを抑制できる。

また、共通端子70から送信側フィルタ単体を見た場合の、所定の通過帯域における複素インピーダンスと、共通端子70から送信側フィルタ13以外の弾性波フィルタの合成回路を見た場合の、上記所定の通過帯域における複素インピーダンスとが、複素共役の関係にあることで、マルチプレクサ1のインピーダンス整合を最適化できる。並列腕共振子351から始まる送信側フィルタ13の上記複素インピーダンスと、送信側フィルタ13以外の容量性の複素インピーダンスを有する弾性波フィルタの合成回路の複素インピーダンスとを複素共役の関係とするためには、共通端子70から送信側フィルタ13単体を見た場合の複素インピーダンスを誘導性とすべく、直列挿入されたインダクタンス素子21のインダクタンス値が大きいことが好ましい。しかし、この反面、インダクタンス素子21のインダクタンス値が小さいほど、送信側フィルタの通過帯域挿入損失を低減できる。この観点から、インダクタンス素子21のインダクタンス値を大きくする替わりに、送信側フィルタ13を構成する並列腕共振子351〜354のうち、インダクタンス素子21に直接接続された並列腕共振子351の容量値を大きくすることで、インダクタンス素子21のインダクタンス値を大きくすることなく、共通端子70から送信側フィルタ13単体を見た場合の複素インピーダンスを効果的に誘導性とできる。一方、送信側フィルタ13の通過特性を最適化すべく、インダクタンス素子21に直接接続された並列腕共振子351以外の並列腕共振子352〜354の容量値を相対的に小さく設定する。

以上により、共通端子70に複数の弾性波フィルタが接続されたマルチプレクサ1において、送信側フィルタ13の低損失性を確保しつつ、送信側フィルタ13が発生する不要波により送信側フィルタ15の通過特性が劣化するのを抑制することが可能となる。

また、送信側フィルタ13を構成する圧電基板5は、直列腕共振子301〜304および並列腕共振子351〜354のそれぞれを構成するIDT電極54が一方面上に形成された圧電膜53と、圧電膜53を伝搬する弾性波音速よりも、伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板51と、高音速支持基板51と圧電膜53との間に配置され、圧電膜53を伝搬するバルク波音速よりも、伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜52とを備えてもよい。

送信側フィルタ13の共通端子70側にインダクタンス素子21が直列接続された場合など、複数の弾性波フィルタ間でのインピーダンス整合をとるため、各弾性波共振子にはインダクタンス素子やキャパシタンス素子などの回路素子が付加される。この場合、各弾性波共振子のQ値が等価的に小さくなる場合が想定される。しかしながら、圧電基板5の積層構造によれば、各弾性波共振子のQ値を高い値に維持できる。よって、帯域内の低損失性を有する弾性波フィルタを形成することが可能となる。

また、送信側フィルタ13の通過帯域は、送信側フィルタ15の通過帯域よりも低周波数側に位置し、送信側フィルタ13が発生する不要波スプリアスは、高次モード起因のスプリアスであってもよい。

これにより、送信側フィルタの通過帯域よりも高周波数側に発生する、圧電膜の厚み方向にエネルギーが閉じこもることで発生する高次モードスプリアスにより送信側フィルタ15の通過特性が劣化するのを抑制することが可能となる。

また、一の弾性波フィルタの通過帯域は、他の弾性波フィルタの通過帯域よりも高周波数側に位置し、当該一の弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスは、レイリー波起因のスプリアスであってもよい。

これにより、上記一の弾性波フィルタの通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波スプリアスにより上記他の弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することが可能となる。

また、第1弾性波フィルタを構成する1以上の直列腕共振子および2以上の並列腕共振子のそれぞれは、LiNbO3の圧電単結晶基板57と、圧電単結晶基板57上に形成されたIDT電極54と、圧電単結晶基板57上およびIDT電極54上に形成された保護層55とで構成されていてもよい。

これにより、第1弾性波フィルタは、良好な周波数温度特性を有することが可能となる。

また、上記圧電単結晶基板57で構成されたマルチプレクサにおいて、一の弾性波フィルタの通過帯域は、他の弾性波フィルタの通過帯域よりも低周波数側に位置し、上記一の弾性波フィルタが発生する不要波スプリアスは、高次モード起因のスプリアスであってもよい。

これにより、上記一の弾性波フィルタの通過帯域よりも高周波数側に発生する、保護層55内にエネルギーが閉じこもることで発生する高次モードスプリアスにより上記他の弾性波フィルタの通過特性が劣化するのを抑制することが可能となる。

また、送信側フィルタ13以外のフィルタは、2つの入出力端子を結ぶ経路上に配置された1以上の直列腕共振子と、当該経路およびグランドの間に配置された1以上の並列腕共振子とを備え、共通端子70は、上記1以上の直列腕共振子および上記1以上の並列腕共振子のうちの一の直列腕共振子のみと直接接続されていてもよい。

これにより、共通端子70から送信側フィルタ13以外のフィルタが共通端子70に接続された合成回路を見た場合の、上記所定の通過帯域における複素インピーダンスは容量性となる。よって、共通端子70から送信側フィルタ13を見た場合の誘導性の複素インピーダンスと、共通端子70から上記合成回路を見た場合の容量性の複素インピーダンスとを、高精度の複素共役の関係とすることが可能となる。

(実施の形態2) 上述した実施の形態1に係るマルチプレクサ1は、高周波フロントエンド回路、さらには当該高周波フロントエンド回路を備える通信装置に適用することもできる。そこで、本実施の形態では、このような高周波フロントエンド回路および通信装置について説明する。

図13は、実施の形態2に係る通信装置90の構成図である。通信装置90は、高周波フロントエンド回路80と、RF信号処理回路3と、ベースバンド信号処理回路4とを備える。なお、同図には、通信装置90と接続されるアンテナ素子2も図示されている。

高周波フロントエンド回路80、実施の形態1に係るマルチプレクサ1と、インダクタンス素子31と、受信側スイッチ27および送信側スイッチ26と、ローノイズアンプ回路29と、パワーアンプ回路28と、を備える。

送信側スイッチ26は、マルチプレクサ1の送信入力端子10、30および50に個別に接続された3つの選択端子、ならびに、パワーアンプ回路28に接続された共通端子を有するスイッチ回路である。

受信側スイッチ27は、マルチプレクサ1の受信出力端子20、40および60に個別に接続された3つの選択端子、ならびに、ローノイズアンプ回路29に接続された共通端子を有するスイッチ回路である。

これら送信側スイッチ26および受信側スイッチ27は、それぞれ、制御部(図示せず)からの制御信号にしたがって、共通端子と所定のバンドに対応する信号経路とを接続し、例えば、SP3T(Single Pole 3 Throw)型のスイッチによって構成される。なお、共通端子と接続される選択端子は1つに限らず、複数であってもかまわない。つまり、高周波フロントエンド回路80は、キャリアアグリゲーションに対応してもかまわない。

パワーアンプ回路28は、RF信号処理回路3から出力された高周波信号(ここでは高周波送信信号)を増幅し、送信側スイッチ26およびマルチプレクサ1を経由してアンテナ素子2に出力する送信増幅回路である。

ローノイズアンプ回路29は、アンテナ素子2、マルチプレクサ1および受信側スイッチ27を経由した高周波信号(ここでは高周波受信信号)を増幅し、RF信号処理回路3へ出力する受信増幅回路である。

RF信号処理回路3は、アンテナ素子2から受信信号経路を介して入力された高周波受信信号を、ダウンコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をベースバンド信号処理回路4へ出力する。また、RF信号処理回路3は、ベースバンド信号処理回路4から入力された送信信号をアップコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された高周波送信信号をパワーアンプ回路28へ出力する。RF信号処理回路3は、例えば、RFICである。

ベースバンド信号処理回路4で処理された信号は、例えば、画像信号として画像表示のために、または、音声信号として通話のために使用される。

なお、高周波フロントエンド回路80は、上述した各構成要素の間に、他の回路素子を備えていてもよい。

以上のように構成された高周波フロントエンド回路80および通信装置90によれば、上述した実施の形態1に係るマルチプレクサ1を備えることにより、送信側フィルタ13の低損失性を確保しつつ、送信側フィルタ13が発生する不要波により送信側フィルタ15の通過特性が劣化するのを抑制することができる。

また、通信装置90は、高周波信号の処理方式に応じて、ベースバンド信号処理回路(BBIC)4を備えていなくてもよい。

(その他の変形例など) 以上、実施の形態1に係るマルチプレクサ1および実施の形態2に係る高周波フロントエンド回路80および通信装置90について、実施の形態を挙げて説明したが、本発明は、上述した実施の形態には限定されない。例えば、上述した実施の形態に次のような変形を施した態様も、本発明に含まれ得る。

例えば、上記説明では、マルチプレクサ1として、ヘキサプレクサを例に説明したが、本発明は、例えば、3つのフィルタのアンテナ接続端子が共通化されたトリプレクサや、2つのデュプレクサが共通端子で共通接続されたクワッドプレクサについても適用することができる。つまり、マルチプレクサは、2以上のフィルタを備えていればよい。

また、本発明に係るマルチプレクサは、送信側フィルタおよび受信側フィルタの双方を備える構成に限らず、複数の送信側フィルタのみ、または、複数の受信側フィルタのみを備える構成であってもよい。

また、実施の形態1では、送信側フィルタ13が第1弾性波フィルタに相当し、送信側フィルタ15が第2弾性波フィルタに相当するとして説明した。つまり、実施の形態1では、第1弾性波フィルタおよび第2弾性波フィルタの双方が送信フィルタであった。しかし、本発明は、第1弾性波フィルタが発生する不要波の周波数が第2弾性波フィルタの通過帯域内に位置するマルチプレクサであれば、第1弾性波フィルタおよび第2弾性波フィルタの用途等に限定されず、適用することができる。

本発明は、マルチバンド化およびマルチモード化された周波数規格に適用できる低損失のマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路または通信装置等として、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。

1、500 マルチプレクサ 2 アンテナ素子 3 RF信号処理回路 4 ベースバンド信号処理回路 5 圧電基板 10、30、50 送信入力端子 11、13、15、511、513、515 送信側フィルタ 12、14、16、512、514、516 受信側フィルタ 20、40、60 受信出力端子 21、31、141、161、162、341、345、361、362、365、366、461、521、531、561、562、661 インダクタンス素子 26 送信側スイッチ 27 受信側スイッチ 28 パワーアンプ回路 29 ローノイズアンプ回路 51 高音速支持基板 52 低音速膜 53 圧電膜 54 IDT電極 55 保護層 57 圧電単結晶基板 61、63、65 送信出力端子 62、64、66 受信入力端子 70 共通端子 80 高周波フロントエンド回路 90 通信装置 100 共振子 101、102、103、104、105、201、202、205、301、302、303、304、305、306、307、308、401、402、403、404、405、501、502、503、504、601、602、603、604 直列腕共振子 101a、101b 櫛歯状電極 110a、110b 電極指 111a、111b バスバー電極 151、152、153、154、251、252、255、256、257、351、352、353、354、355、356、357、451、452、453、454、551、552、553、651、652、653 並列腕共振子 203、206 縦結合型フィルタ部 211、212、213、214、215 IDT 220、221 反射器 230 入力ポート 240 出力ポート 541 密着層 542 主電極層

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