首页 / 专利库 / 复合材料 / 发光团 / Polymeric compound and polymeric light emitting element using the same

Polymeric compound and polymeric light emitting element using the same

阅读:63发布:2024-01-09

专利汇可以提供Polymeric compound and polymeric light emitting element using the same专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a novel polymeric compound which is usable as a material of a light emitting layer, a hole injection layer, a hole transporting layer and the like, and to provide a polymeric light emitting element using the same. SOLUTION: The polymeric compound is characterized by comprising a repeating unit represented by formula (1) wherein X denotes an atom or divalent group which forms a five-membered ring or six-membered ring together with two atoms on A ring and two atoms on B ring, the atom or the divalent group contains at least one atom selected from the group consisting of oxygen atom, sulfur atom, selenium atom and silicon atom, A ring and B ring denote an aromatic hydrocarbon ring or heterocyclic ring, Ar1 denotes a divalent organic group having a divalent aromatic hydrocarbon group or heterocyclic ring skeleton, Ar2 and Ar3 denote a monovalent organic group having a monovalent aromatic hydrocarbon group or heterocyclic ring skeleton, R * denotes a linkage group and h denotes 0 or 1. COPYRIGHT: (C)2007,JPO&INPIT,下面是Polymeric compound and polymeric light emitting element using the same专利的具体信息内容。

  • 下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする高分子化合物。

    〔式中、XはA環上の2個の原子とB環上の2個の原子と一緒になって5員環または6員環を形成する原子または2価の基を表し、該原子または2価の基は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子および珪素原子からなる群から選ばれる原子を少なくとも一つ含む。 A環およびB環は独立に置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環または置換基を有していてもよい複素環を表し、複数の置換基が存在する場合には互いに結合して環を形成してもよく、Ar1は置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または複素環骨格を有する2価の有機基を表し、複数の置換基が存在する場合には互いに結合して環を形成してもよい。 Ar2およびAr3は独立に置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基または複素環骨格を有する1価の有機基を表し、複数の置換基が存在する場合には互いに結合して環を形成してもよい。 R *は連結基を表し、hは0又は1を表す。 複数存在するR *は同一であっても異なっていてもよい。 〕
  • 前記Xが、−O−、−S−、−Se−、−SiR 2 −または−CR 2 O−〔式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、または複素環骨格を有する1価の有機基を表し、Rは互いに結合して環を形成していてもよい。 Rが複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。 〕であることを特徴とする請求項1に記載の高分子化合物。
  • 前記Xが、−O−、−S−または−CR 2 O−〔式中、Rは前記のとおりである。 〕であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子化合物。
  • 前記A環とB環が、独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環、または置換基を有していてもよい複数個のベンゼン環が縮合した芳香族炭化水素環であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
  • 前記A環とB環が、独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環、置換基を有していてもよいアントラセン環、置換基を有していてもよいテトラセン環、置換基を有していてもよいペンタセン環、置換基を有していてもよいピレン環および置換基を有していてもよいフェナントレン環からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
  • 前記A環とB環が、共に、置換基を有していてもよいベンゼン環であることを特徴とする請求項4または5に記載の高分子化合物。
  • 前記Ar1が、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセン−ジイル基、置換基を有していてもよいテトラセン−ジイル基、置換基を有していてもよいペンタセン−ジイル基、置換基を有していてもよいピレン−ジイル基および置換基を有していてもよいフェナントレン−ジイル基からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の高分子化合物。
  • 前記Ar1が下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項7に記載の高分子化合物。

    〔式中、R 1 〜R 4は、独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、複素環骨格を有する1価の有機基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、R 1 〜R 4は互いに結合して環を形成していてもよい。 〕
  • ポリスチレン換算の重量平均分子量が10 3 〜10 8であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の高分子化合物。
  • 正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料と請求項1〜9のいずれかに一項に記載の高分子化合物とを含有することを特徴とする高分子組成物。
  • 下記一般式(4):

    〔式中、Ar1、Ar2、Ar3、R *及びhは、上記のとおりである。 〕
    で表される2級アミン化合物と、下記一般式(5):

    〔式中、Xは上記のとおりであり、Zはハロゲン原子または−SO 25 (ここで、R 5は、アルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を表す。)を表す。 〕
    で表される化合物とを、金属縮合剤および脱酸剤の存在下で反応させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
  • 前記金属縮合剤がパラジウム触媒であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
  • 請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物または請求項10に記載の高分子組成物と、溶媒とを含有することを特徴とする液状組成物。
  • 請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物または請求項10に記載の高分子組成物を含有することを特徴とする薄膜。
  • 請求項14に記載の薄膜を有することを特徴とする有機トランジスタ。
  • 陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物または請求項10に記載の高分子組成物を含む有機層とを有することを特徴とする高分子発光素子。
  • 前記有機層が発光層であることを特徴とする請求項16に記載の高分子発光素子。
  • 陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた発光層ならびに請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物または請求項10に記載の高分子組成物を含む正孔輸送層とを有することを特徴とする請求項16に記載の高分子発光素子。
  • 陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた発光層および正孔輸送層と、該正孔輸送層および該陽極の間に設けられた請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物または請求項10に記載の高分子組成物を含む正孔注入層とを有することを特徴とする請求項16に記載の高分子発光素子。
  • 陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた発光層および正孔注入層と、該発光層および正孔注入層の間に設けられた請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物または請求項10に記載の高分子組成物を含む正孔輸送層とを有することを特徴とする請求項16に記載の高分子発光素子。
  • 請求項16〜20のいずれか一項に記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とする面状光源。
  • 請求項16〜20のいずれか一項に記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置。
  • 請求項16〜20のいずれか一項に記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
  • 請求項16〜20のいずれか一項に記載の高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
  • 说明书全文

    本発明は、高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子に関する。

    高分子量の発光性材料や電荷輸送材料は、通常、溶媒に可溶であり、塗布法により発光素子の有機層を形成できるので、種々検討されている。 その中で、アミン含有ポリマーは、素子性能を向上させるため、発光層、正孔注入層等に使用されている(特許文献1、非特許文献1)。

    特開2005−302567号公報

    月間ディスプレイ 2005年 9月号 第3頁

    本発明の目的は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層等の材料として使用可能な新規な高分子化合物および該高分子化合物を用いた高分子発光素子を提供することにある。

    本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を成すに到った。 即ち、本発明は第一に、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする高分子化合物を提供する。


    〔式中、XはA環上の2個の原子とB環上の2個の原子と一緒になって5員環または6員環を形成する原子または2価の基を表し、該原子または2価の基は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子および珪素原子からなる群から選ばれる原子を少なくとも一つ含む。 A環およびB環は独立に置換基を有していてもよい芳香族炭化素環または置換基を有していてもよい複素環を表し、複数の置換基が存在する場合には互いに結合して環を形成してもよく、Ar1は置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または複素環骨格を有する2価の有機基を表し、複数の置換基が存在する場合には互いに結合して環を形成してもよい。 Ar2およびAr3は独立に置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基または複素環骨格を有する1価の有機基を表し、複数の置換基が存在する場合には互いに結合して環を形成してもよい。 R

    *は連結基を表し、hは0又は1を表す。 複数存在するR

    *は同一であっても異なっていてもよい。 〕

    本発明は第二に、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光性材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と上記高分子化合物とを含有することを特徴とする高分子組成物を提供する。

    本発明は第三に、下記一般式(4):


    〔式中、Ar1、Ar2、Ar3、R

    *及びhは、上記のとおりである。 〕


    で表される2級アミン化合物と、下記一般式(5):



    〔式中、Xは上記のとおりであり、Zはハロゲン原子または−SO

    2

    9 (ここで、R

    9は、アルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を表す。)を表す。 〕


    で表される化合物とを、金属縮合剤および脱酸剤の存在下で反応させることを特徴とする上記高分子化合物の製造方法を提供する。

    本発明は第四に、上記高分子化合物および/または上記高分子組成物と、溶媒とを含有することを特徴とする液状組成物を提供する。

    本発明は第五に、上記高分子化合物および/または上記高分子組成物を含有することを特徴とする薄膜を提供する。

    本発明は第六に、上記薄膜を有することを特徴とする有機トランジスタを提供する。

    本発明は第七に、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた上記高分子化合物および/または上記高分子組成物を含む有機層とを有することを特徴とする高分子発光素子を提供する。

    本発明は第八に、上記高分子発光素子を用いたことを特徴とする面状光源を提供する。

    本発明は第九に、上記高分子発光素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置を提供する。

    本発明は第十に、上記高分子発光素子を用いたことを特徴とするドットマトリックス表示装置を提供する。

    本発明は第十一に、上記高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置を提供する。

    本発明の高分子化合物および該高分子化合物を含有する高分子組成物は、最大電流効率が優れており、発光素子の有機層(発光層、正孔輸送層、正孔注入層等)、インターレイヤー材料等として有用である。 したがって、この高分子化合物および/または高分子組成物を用いて、高分子発光素子を作製することができる。 こうして作製された本発明の高分子発光素子は、液晶ディスプレイのバックライトまたは照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイなどに好適に使用できる。 また、本発明の製造方法を適用することにより、前記高分子化合物を容易に製造することができる。 さらに、本発明の液状組成物を適用することにより、本発明の高分子化合物を含有する薄膜を容易に作製することができる。

    以下、本発明について詳細に説明する。
    <高分子化合物>
    本発明の高分子化合物は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むものである。

    −Xについて−
    上記一般式(1)中、XはA環上の2個の原子とB環上の2個の原子と一緒になって5員環または6員環を形成する原子または2価の基(あるいは原子群)を表す。 Xの具体例としては、下記のものが挙げられる。


    (式中、Rは独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、置換シリル基、シアノ基、ニトロ基、または複素環骨格を有する1価の有機基を表す。)

    Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが例示される。 以下、同様に、Rで表される基を具体的に説明する。

    アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよく、炭素数が通常1〜20程度である。 その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが挙げられる。

    アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよく、炭素数が通常1〜20程度である。 その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが挙げられる。

    アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよく、炭素数が通常1〜20程度である。 その具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられる。

    アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。 アリール基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48である。 その具体例としては、フェニル基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル基(「C 1 〜C 12 」は、炭素数1〜12であることを示し、以下同様である。)、C 1 〜C 12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点から、C 1 〜C 12アルコキシフェニル基、C 1 〜C 12アルキルフェニル基が好ましい。 C 1 〜C 12アルコキシフェニル基として具体的には、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、i−プロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、i−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基などが挙げられる。 C 1 〜C 12アルキルフェニル基として具体的には、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。

    アリールオキシ基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48である。 その具体例としては、フェノキシ基、C 1 〜C 12アルコキシフェノキシ基、C 1 〜C 12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点から、C 1 〜C 12アルコキシフェノキシ基、C 1 〜C 12アルキルフェノキシ基が好ましい。 C 1 〜C 12アルコキシフェノキシ基として具体的には、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、i−プロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、i−ブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基などが例示される。 C 1 〜C 12アルキルフェノキシ基として具体的には、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。

    アリールチオ基は、芳香環上に置換基を有していてもよく、炭素数が通常3〜60程度である。 その具体例としては、フェニルチオ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニルチオ基、C 1 〜C 12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが挙げられる。

    アリールアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数が通常7〜60程度である。 その具体例としては、フェニル−C 1 〜C 12アルキル基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキル基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキル基、1−ナフチル−C 1 〜C 12アルキル基、2−ナフチル−C 1 〜C 12アルキル基などが挙げられる。

    アリールアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、炭素数が通常7〜60程度である。 その具体例としては、フェニル−C 1 〜C 12アルコキシ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルコキシ基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルコキシ基、1−ナフチル−C 1 〜C 12アルコキシ基、2−ナフチル−C 1 〜C 12アルコキシ基などが挙げられる。

    アリールアルキルチオ基は、置換基を有していてもよく、炭素数が通常7〜60程度である。 その具体例としては、フェニル−C 1 〜C 12アルキルチオ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキルチオ基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキルチオ基、1−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルチオ基、2−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルチオ基などが挙げられる。

    アルケニル基は、炭素数が通常2〜20程度である。 その具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、3−プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、へキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。 また、アルケニル基には1,3−ブタジエニル基などのアルカジエニル基も含まれる。

    アルキニル基は、炭素数が通常2〜20程度である。 その具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプテニル基、オクチニル基、シクロヘキシルエチニル基が挙げられる。 また、アルキニル基には1,3−ブタジイニル基などのアルキジエニル基も含まれる。

    アリールアルケニル基は、炭素数が通常8〜50程度である。 アリールアルケニル基を構成するアリール基(即ち、アリール部位)、アルケニル基(即ち、アルケニル部位)としては、上記のアリール基、アルケニル基と同様である。 アリールアルケニル基の具体例としては、1−アリールビニル基、2−アリールビニル基、1−アリール−1−プロペニル基、2−アリール−1−プロペニル基、2−アリール−2−プロペニル基、3−アリール−2−プロペニル基などが挙げられる。 また、4−アリール−1,3−ブタジエニル基などのアリールアルカジエニル基も含まれる。

    アリールアルキニル基は、炭素数が通常8〜50程度である。 アリールアルキニル基を構成するアリール基(即ち、アリール部位)、アルキニル基(即ち、アルキニル部位)としては、上記のアリール基、アルキニル基と同様である。 アリールアルキニル基の具体例としては、アリールエチニル基、3−アリール−1−プロピオニル基、3−アリール−2−プロピオニル基等が挙げられる。 また、4−アリール−1,3−ブタジイニルなどのアリールアルカジイニル基も含まれる。

    アシル基は、炭素数が通常2〜20程度である。 その具体例として、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが挙げられる。

    アシルオキシ基は、炭素数が通常2〜20程度である。 その具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。

    アミド基は、炭素数が通常2〜20程度である。 その具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基などが挙げられる。

    酸イミド基としては、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基が挙げられ、通常炭素数2〜60程度であり、好ましくは2〜20である。 酸イミド基の具体例としては、以下に示す基が挙げられる。 なお、具体例において「Me」はメチル基を表し、以下、同じである。

    イミン残基とは、イミン化合物(即ち、分子内に−N=C−を持つ有機化合物のことをいう。その例として、アルジミン、ケチミン及びこれらのN上の水素原子がアルキル基等で置換された化合物等が挙げられる。)から水素原子1個を除いた残基が挙げられ、通常炭素数2〜60程度であり、好ましくは2〜20である。 具体的には、以下の構造式で示される基などが例示される。


    (式中、Meはメチル基を表す。)

    置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、および複素環骨格を有する1価の有機基から選ばれる1または2個の基で置換されたアミノ基が挙げられる。 なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または複素環骨格を有する1価の有機基は置換基を有していてもよい。 置換アミノ基は炭素数が通常1〜40程度である。 その具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ビス(トリフルオロメチル)アミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニルアミノ基、ビス(C 1 〜C 12アルコキシフェニル)アミノ基、ビス(C 1 〜C 12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基、ビス(C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキル)アミノ基、ビス(C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基などが挙げられる。

    置換シリルオキシ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、および複素環骨格を有する1価の有機基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルオキシ基(H 3 SiO−)等が挙げられる。 なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、複素環骨格を有する1価の有機基を有していてもよい。 置換シリルオキシ基は、炭素数が通常1〜60程度、好ましくは3〜30である。 その具体例としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−プロピルシリルオキシ基、トリ−i−プロピルシリルオキシ基、t−ブチルシリルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基などが挙げられる。

    置換シリルチオ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、および複素環骨格を有する1価の有機基から選ばれる1〜3個の基で置換されたシリルチオ基(H 3 SiS−)等が挙げられる。 なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、複素環骨格を有する1価の有機基は、置換基を有していてもよい。 置換シリルチオ基は、炭素数が通常1〜60程度、好ましくは3〜30である。 その具体例としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリ−n−プロピルシリルチオ基、トリ−i−プロピルシリルチオ基、t−ブチルシリルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、t−ブチルジフェニルシリルチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基などが挙げられる。

    置換シリルアミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および複素環骨格を有する1価の有機基から選ばれる1〜6個の基で置換されたシリルアミノ基(即ち、H 3 SiNH−または(H 3 Si) 2 N−)等が挙げられる。 なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、複素環骨格を有する1価の有機基は置換基を有していてもよい。 置換シリルアミノ基は、炭素数が通常1〜120程度、好ましくは3〜60である。 その具体例としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリ−n−プロピルシリルアミノ基、トリ−i−プロピルシリルアミノ基、t−ブチルシリルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、t−ブチルジフェニルシリルアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(トリエチルシリル)アミノ基、ビス(トリ−n−プロピルシリル)アミノ基、ビス(トリ−i−プロピルシリル)アミノ基、ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基、ビス(トリフェニルシリル)アミノ基、ビス(トリ−p−キシリルシリル)アミノ基、ビス(トリベンジルシリル)アミノ基、ビス(ジフェニルメチルシリル)アミノ基、ビス(t−ブチルジフェニルシリル)アミノ基、ビス(ジメチルフェニルシリル)アミノ基などが挙げられる。

    置換シリル基とは、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリル基を表す。 炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは3〜30である。 なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または複素環骨格を有する1価の有機基は置換基を有していてもよい。 置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが挙げられる。

    Rの説明において、複素環骨格を有する1価の有機基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数が通常2〜60程度である。 その具体例としては、チエニル基、C 1 〜C 12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C 1 〜C 12アルキルピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、チアゾール基、チアジアゾール基などが挙げられる。

    Xの中では、−O−、−S−、−Se−、−SiR 2 −または−CR 2 O−が好ましく、−O−、−S−、−CR 2 O−がより好ましく、−O−、−S−がさらに好ましい。

    −A環・B環について−
    上記一般式(1)中、A環およびB環は、独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環または複素環を表し、複数の置換基が存在する場合には互いに結合して環を形成してもよい。

    芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環単独または複数個のベンゼン環が縮合したものが好ましく、その例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましい。

    A環とB環との組合せとして、好ましくはベンゼン環とナフタレン環、ベンゼン環とアントラセン環、ベンゼン環とフェナントレン環、ナフタレン環とアントラセン環、ナフタレン環とフェナントレン環、アントラセン環とフェナントレン環の組合せ等が挙げられ、ベンゼン環とナフタレン環の組合せがより好ましく、共にベンゼン環である組合せがさらに好ましい。 これらのA環とB環との組合せの例示において、各々の環は置換基を有していてもよい。

    芳香族炭化水素環が置換基を有する場合には、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点から、該置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、複素環骨格を有する1価の有機基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。

    芳香族炭化水素環が置換基を有する場合のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、複素環骨格を有する1価の有機基の定義、具体例は、上記Rの記載と同様である。

    芳香族炭化水素環が置換基を有する場合の置換カルボキシル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、または複素環骨格を有する1価の有機基で置換されたカルボキシル基等が挙げられ、炭素数が通常2〜60程度、好ましくは2〜48である。 この置換カルボキシル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基などが挙げられる。 なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または複素環骨格を有する1価の有機基は、置換基を有していてもよく、この場合、置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。

    上記A環、B環の複素環としては、環に含まれる炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた構造のもの等が例示され、具体的には、置換基を有していてもよいC 4 〜C 20複素環が例示される。 このC 4 〜C 20複素環を選択すると、得られる化合物の薄膜状態での蛍光強度、青色から赤色までの可視光領域での発光色の制御性がより優れる。

    上記A環、B環の複素環は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。 アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが挙げられる。 アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが挙げられる。 アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられる。 ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。

    上記A環、B環の複素環の具体例としては、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、フェノチアジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロインドール環、テトラヒドロピラン環、ヘキサヒドロピリジン環、テトラヒドロチオピラン環、オキソカン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、クラウンエーテル類などが挙げられる。

    −Ar1について−
    上記一般式(1)中、Ar1は置換基を有していてもよい2価芳香族炭化水素基または複素環骨格を有する2価の有機基を表し、複数の置換基が存在する場合には互いに結合して環を形成してもよい。

    上記Ar1の2価芳香族炭化水素基または複素環骨格を有する2価の有機基とは、芳香族炭化水素環または複素環から水素原子2個を除いてなる原子団をいう。

    芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環単独または複数個のベンゼン環が縮合したものが好ましく、その例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましい。 即ち、2価芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセン−ジイル基、テトラセン−ジイル基、ペンタセン−ジイル基、ピレン−ジイル基およびフェナントレン−ジイル基から選ばれる基が挙げられ、好ましくはフェニレン基、ナフチレン基である。

    芳香族炭化水素環(あるいは、2価芳香族炭化水素基)が置換基を有する場合には、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点から、該置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、複素環骨格を有する1価の有機基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。 これらの置換基は、前記A環およびB環の項で芳香族炭化水素環が置換基を有する場合の置換基として具体的に説明し、例示したものと同じである。

    上記Ar1は、下記一般式(3):


    〔式中、R

    1 〜R

    4は独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、複素環骨格を有する1価の有機基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、R

    1 〜R

    4は互いに結合して環を形成していてもよい。 〕


    であることがより好ましい。

    これらR 1 〜R 4で表されるこれらの基は、前記A環およびB環の項で芳香族炭化水素環が置換基を有する場合の置換基として具体的に説明し、例示したものと同じである。

    Ar1の複素環骨格を有する2価の有機基を構成する複素環としては、環に含まれる炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた構造のもの等が例示され、具体的には、置換基を有していてもよいC 4 〜C 20複素環が例示される。 より具体的には、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、フェノチアジン環等が例示される。

    Ar1で表される2価芳香族炭化水素基または複素環骨格を有する2価の有機基が置換基を有する場合には、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。 これらの置換基は、前記A環およびB環の項で芳香族炭化水素環が置換基を有する場合の置換基として具体的に説明し、例示したものと同じである。

    −Ar2、Ar3について−
    上記一般式(1)中、Ar2およびAr3は独立に、置換基を有していてもよい1価芳香族炭化水素基または複素環骨格を有する1価の有機基を表し、複数の置換基が存在する場合には互いに結合して環を形成してもよい。

    Ar2、Ar3の1価芳香族炭化水素基または複素環骨格を有する1価の有機基とは、芳香族炭化水素環または複素環から水素原子1個を除いてなる原子団をいう。 芳香族炭化水素環および複素環は、上記Ar1の項で具体的に説明し例示したものと同じである。

    また、R *で表される連結基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基などがあげられ、その中の4級炭素原子が−O−、−S−、―CO−、−CO 2 −、−SO−、―SO 2 ―、−SiR 12 −、NR 3 −、−BR 4 −、−PR 5 −、及び−P(=O)―で置換されていてもよい。

    −高分子化合物の具体例−
    上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらの例示は本発明の範囲を限定するものではない。 なお、これらの例示において、nは正の整数であり、通常、該高分子化合物が後述するポリスチレン換算の重量平均分子量の範囲内となる正の整数である。 Rは前記の通りであり、aは0〜3、bは0〜4、cは0〜5、dは0〜7、eは0〜2、fは0〜6の整数を表す。 a〜fが複数存在する場合には、各々、同一であっても異なっていてもよい。

    −高分子化合物の分子量−
    本発明の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、10 3 〜10 8程度であり、成膜性の観点および素子に用いた場合の電流効率の観点から、5×10 4 〜5×10 6が好ましく、10 5 〜5×10 6がさらに好ましい。 前記重量平均分子量がかかる好ましい範囲を満たすと、得られる高分子化合物は、単独で素子に用いた場合でも2種類以上を混合して素子に用いた場合でも高電流効率の素子が作製できるものとなる。

    −高分子化合物の用途−
    本発明の高分子化合物は、通常、固体状態で蛍光または燐光を発し、高分子発光体(高分子量の発光性材料)として用いることができる。 また、該高分子化合物は優れた電荷輸送能を有しており、高分子発光素子用材料や電荷輸送材料として好適に用いることができる。

    さらに、本発明の高分子化合物はレーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜などの伝導性薄膜用材料;蛍光や燐光を発する発光性薄膜材料;高分子電界効果トランジスタの製造に用いられる材料としても好ましく使用できる。

    本発明の高分子化合物は、上記の用途を始めとする様々な用途に如何なる状態で用いてもよく、例えば、高分子化合物の状態で用いても、後述の高分子組成物、液状組成物等の状態としてから用いてもよい。 以下、具体的に説明する。

    −高分子化合物の製造方法−
    本発明の高分子化合物は、如何なる方法で製造されたものであってもよいが、好ましくは、以下の方法で製造することできる。 即ち、下記一般式(4):


    〔式中、Ar1、Ar2およびAr3は、上記のとおりである。 〕


    で表される2級アミン化合物と、下記一般式(5):


    〔式中、Xは上記のとおりであり、Zはハロゲン原子または−SO

    2

    5 (ここで、R

    5は、アルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を表す。)を表す。 〕


    で表される化合物とを、金属縮合剤および脱酸剤の存在下で反応させることにより、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む本発明の高分子化合物を作製することができる。

    上記一般式(5)中、Zは、ハロゲン原子であることが好ましい。 ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、反応性の点で、塩素原子、臭素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。

    また、前記R 5で表されるアルキル基、アリール基およびアリールアルキル基は、前記Xの項において、Rで表されるアルキル基、アリール基およびアリールアルキル基として具体的に説明し例示したものと同じものである。

    前記金属縮合剤としては、Cu、Fe、Co、Ni、Cr、V、Pd、Pt、Ag等の遷移金属または遷移金属化合物が用いられるが、Cu、Pdおよびその化合物が好ましく、Pdおよびその化合物がより好ましく、パラジウム触媒がさらに好ましい。

    前記金属縮合剤の使用量は、通常、前記2級アミン化合物1モルに対して、0.001モル以上である。 上限は限定的ではないが、原料費の観点から、0.1モル以下であることが好ましい。

    前記脱酸剤としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、アルコキシドなどが挙げられ、これらの中でも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、炭酸セシウム等が好ましい。

    前記脱酸剤の使用量は、特に限定されないが、通常、前記式(4)で表される2級アミン化合物1モルに対して、2〜20モルである。

    また、本反応には、中性配位子を添加することが、重合度向上の観点から好ましい。 この中性配位子とは、アニオンやカチオンを有していない配位子であり、具体的には、2,2'−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N'−テトラメチルエチレンジアミン等の含窒素配位子、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン、1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパン等の第三級ホスフィン配位子などが例示される。 前記金属縮合剤としてPd、その化合物を使用する場合には、重合度の点で、中性配位子としては第三級ホスフィン配位子が好ましい。

    本反応は、通常、溶媒中で行われる。 使用される溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、n−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラリン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチルなどのエステル系溶媒、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒などが例示される。 これらの中でも、高分子量化の観点から、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。

    本反応の反応温度は、特に限定されず、通常、0〜200℃程度であり、低加熱費の観点から、20〜160℃程度が好ましい。 また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。

    本反応の反応時間は、通常、0.25〜200時間程度であり、生産性等の観点から、0.25〜50時間程度が好ましい。

    −高分子組成物−
    本発明の高分子化合物は、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光性材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と混合して高分子組成物とすることができる。 即ち、本発明の高分子組成物は、本発明の高分子化合物と、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光性材料から選ばれる少なくとも1種類の材料とを含有してなるものである。 なお、正孔輸送性材料、電子輸送性材料、発光性材料は、詳細には、後述の高分子発光素子の項で述べるとおりである。 この高分子組成物は、特に膜質を安定させる等の効果でプロセス性を改良する場合や、電荷の注入性、輸送性等の素子性能改良する場合に好適である。

    この高分子組成物において、前記材料の合計の配合量および割合は、特に限定されず、該高分子組成物の用途によって異なる。 例えば、高分子発光素子の材料として用いる場合には、後述の高分子発光素子の項で説明する配合量および割合とすればよい。

    −インターレイヤー−
    本発明の高分子化合物および/または高分子組成物は、インターレイヤー材料として使用することができる。 即ち、該インターレイヤー材料は、本発明の高分子化合物および/または高分子組成物を含有してなるものである。 本明細書において、「インターレイヤー材料」とは、インターレイヤー層に使用される材料を意味する。 「インターレイヤー層」とは、後述の高分子発光素子において、該高分子発光素子が正孔注入層と発光層とを有するものである場合に該正孔注入層と発光層との間に設けられる層(通常、正孔輸送層)を意味するものである。

    インターレイヤー材料には、前記高分子化合物、高分子組成物以外の任意成分を配合してもよく、例えば、架橋剤、電荷輸送材料、発光材料、界面活性剤、安定剤などの添加物を配合してもよい。 この任意成分は、前記高分子化合物および高分子組成物の合計量100重量部に対して、好ましくは0〜400重量部、より好ましくは0〜150重量部である。

    −液状組成物−
    本発明の高分子化合物および/または高分子組成物は、溶媒(液状組成物の説明において、「溶媒」とは、溶媒のみならず分散媒をも含む。)に溶解または分散させることにより、液状組成物として調製することができる。 即ち、本発明の液状組成物は、本発明の高分子化合物および/または高分子組成物と、溶媒とを含有してなるものであり、25℃において液状のものである。 この高分子化合物、高分子組成物は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。 また、本発明の液状組成物は、前記高分子化合物および/または高分子組成物が溶媒に完全に溶解した状態が好ましいが、本発明の作用・効果を損なわない範囲であれば、溶媒に分散した状態あるいは一部が未溶解の状態であっても差し支えない。 なお、本発明の液状組成物はインク組成物と呼ばれることもある。 この液状組成物は、高分子発光素子用の薄膜の作製に有用であり、該薄膜を印刷法、スピンコート法等の方法で成膜することができる点で特に有用である。

    液状組成物に含まれる本発明の高分子化合物、高分子組成物は、1種類でも2種類以上でもよく、素子特性等を損なわない範囲で本発明の高分子化合物以外の高分子化合物を含んでいてもよい。

    液状組成物に含まれる溶媒としては、本発明の高分子化合物、高分子組成物を溶解または均一に分散できるものが好ましい。 この溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコールおよびその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。 これらの有機溶媒は、一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。 これらの溶媒の中でも、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ融点が0℃以下(典型的には0〜−100℃)、沸点が100℃以上(典型的には100〜200℃)である有機溶媒を1種類以上含むことが好ましい。

    溶媒の種類としては、有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。 また、液状組成物に含まれる溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましい。

    本発明の液状組成物は、本発明の高分子化合物、高分子組成物以外にも、任意成分として、例えば、正孔輸送性材料、電子輸送性材料、発光性材料、安定剤、粘度および/または表面張を調節するための添加剤等を含んでいてもよい。 この添加剤としては、粘度を高めるための増粘剤(通常、高分子量の化合物、貧溶媒等)、粘度を下げるための低分子量の化合物、表面張力を下げるための界面活性剤等を適宜組み合わせて使用することができる。

    前記増粘剤である高分子量の化合物としては、本発明の高分子化合物、高分子組成物と同じ溶媒に可溶性であり、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよい。 例えば、高分子量のポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等を用いることができる。 なお、本発明の高分子化合物として分子量が大きいもの(例えば、ポリスチレン換算の重量平均分子量が2×10 5 〜2×10 6程度のもの)を用いると、液状組成物の粘度をより高くすることができる。

    前記増粘剤として貧溶媒を用いる場合には、液状組成物中の固形分(即ち、組成物中に含まれる溶媒以外の固体成分(25℃において固体の成分)であって、通常、高分子化合物、高分子組成物、および場合によっては含まれる添加剤等の任意成分を意味する。)に対して貧溶媒を少量添加することで、粘度を高めることができる。 この目的で貧溶媒を添加する場合には、液状組成物中の固形分が析出しない範囲で溶媒の種類と添加量を選択すればよい。 具体的には、保存時の安定性も考慮すると、貧溶媒の量は、液状組成物の全重量に対して50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることが更に好ましい。

    また、液状組成物は、保存安定性を改善するために酸化防止剤を含有していてもよい。 酸化防止剤としては、本発明の高分子化合物、高分子組成物と同じ溶媒に可溶性であり、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが例示される。

    さらに、液状組成物は、水、金属およびその塩を、得られる液状組成物に対して重量基準で1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。 金属の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、クロム、マンガン、コバルト、白金、イリジウム等が挙げられる。 また、珪素、リン、フッ素、塩素、臭素を、得られる液状組成物に対して重量基準で1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。

    液状組成物中における本発明の高分子化合物および高分子組成物の全重量は、溶媒以外の成分(即ち、高分子組成物、高分子化合物および場合によっては添加される任意成分であって、該任意成分に貧溶媒が含まれる場合には貧溶媒は溶媒以外の成分に含まれない。)の全重量に対して、通常、20重量%〜100重量%であり、好ましくは40重量%〜100重量%である。

    液状組成物中の必須成分である溶媒の割合は、該液状組成物の全重量に対して、通常、1重量%〜99.9重量%であり、好ましくは60重量%〜99.5重量%であり、さらに好ましく80重量%〜99.0重量%である。

    液状組成物の粘度は、適用する印刷法によって異なるが、インクジェットプリント法等、該液状組成物が吐出装置を経由する方法に適用する場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために、25℃において2〜20mPa・sの範囲であることが好ましく、5〜20mPa・sの範囲であることがより好ましく、7〜20mPa・sの範囲であることがさらに好ましい。

    −薄膜−
    次いで、本発明の薄膜について説明する。
    本発明の薄膜は、本発明の高分子化合物および/または高分子組成物を含有するものである。 この薄膜は、如何なる方法によって製造されたものであってもよいが、好ましくは、上述で説明した液状組成物を用いて印刷法により製造することができる。 また、薄膜の種類としては、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜等が例示される。 なお、「薄膜」とは、通常、0.1〜10000nm、好ましくは1〜1000nmの厚さを持つ膜を意味する。

    前記液状組成物を用いて薄膜を製造する場合には、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等により薄膜を作製することができる。 これらの中でも、液状組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法により成膜することが好ましく、インクジェットプリント法で成膜することがより好ましい。

    発光性薄膜は、素子の輝度や発光電圧等の観点から、発光の量子収率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。

    導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましい。 下限は特に限定されないが、典型的には1Ω/□程度である。 薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物などをドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。

    有機半導体薄膜は、電子移動度または正孔移動度のいずれか大きいほうが、10 -5 cm 2 /V/秒以上であることが好ましく、10 -3 cm 2 /V/秒以上であることがより好ましく、10 -1 cm 2 /V/秒以上であることがさらに好ましい。 上限は特に限定されないが1000cm 2 /V/秒程度である。

    本発明の薄膜を有機半導体薄膜として用いることにより、該薄膜を有する有機トランジスタを作製することができる。 その作成方法は特に限定されないが、例えば、SiO 2などの絶縁膜とゲート電極とを形成させたSi基板上に有機半導体薄膜を形成させ、Auなどでソース電極とドレイン電極を形成させることにより、有機トランジスタを作製することができる。

    −高分子発光素子−
    次に、本発明の高分子発光素子(なお、高分子LEDということもある。)について説明する。

    本発明の高分子発光素子は、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本発明の高分子化合物および/または高分子組成物を含む有機層とを有するものである。 有機層とは、有機物を含む層を意味し、特に限定されないが、具体的には、例えば、発光層、正孔注入層、電子注入層(本明細書において、正孔注入層および電子注入層を総称して「電荷注入層」ということがある。)、正孔輸送層、電子輸送層(本明細書において、正孔輸送層および電子輸送層を総称して「電荷輸送層」ということがある。)等が挙げられる。 本発明の高分子化合物は、これらの発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等の一種または二種以上の層に用いることができ、特には、正孔の注入、輸送性に優れるので、正孔注入層、正孔輸送層に用いることが好ましい。

    本発明の高分子発光素子は、素子の輝度等の観点から、陽極と陰極との間に3.5V以上(典型的には、3.5〜15V程度、より典型的には5V)の電圧を印加したときの最大外部量子収率が1%以上であることが好ましく、1.5%以上であることがより好ましい。

    本発明の高分子発光素子の構造は、特に限定されず、例えば、(1)陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた発光層ならびに本発明の高分子化合物および/または高分子組成物を含む正孔輸送層とを有する高分子発光素子、(2)陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた発光層、正孔輸送層と、該正孔輸送層と該陽極との間に設けられた本発明の高分子化合物および/または高分子組成物を含む正孔注入層とを有する高分子発光素子、(3)陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた発光層および正孔注入層と、該発光層および正孔注入層の間に設けられ本発明の高分子化合物および/または高分子組成物を含む正孔輸送層とを有する高分子発光素子等が代表的なものとして挙げられる。

    その他にも、例えば、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子発光素子;陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子発光素子;陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子発光素子等が挙げられる。

    また、電子注入層および正孔注入層を設けた高分子発光素子であってもよく、例えば、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子発光素子;陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子発光素子等が挙げられる。

    さらに、電荷注入を容易にする機能を有する絶縁層を設けた高分子発光素子であってもよく、例えば、陰極に隣接して絶縁層を設けた高分子発光素子;陽極に隣接して絶縁層を設けた高分子発光素子等が挙げられる。 本発明の高分子発光素子において、絶縁層の平均膜厚は、下限が0.5mm、上限が4.0mmであることが好ましい。

    本発明の高分子発光素子の構造に関して、積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜調整すればよい。 また、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、絶縁層は、それぞれ独立に2層以上から構成されていてもよい。

    より詳細には、例えば、以下のとおりである。
    a)陽極/発光層/陰極b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極e)陽極/正孔注入層/発光層/陰極f)陽極/発光層/電子注入層/陰極g)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極h)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極k)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極l)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極m)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極n)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極p)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極q)陽極/絶縁層/発光層/陰極r)陽極/発光層/絶縁層/陰極s)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極u)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極x)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極(ここで、「/」は各層が隣接することを意味する。)

    以下、高分子発光素子が有し得る層について、具体的に説明する。

    ・発光層 発光層とは、発光する機能を有する層を意味する。 前記発光層が本発明の高分子化合物を含有する場合(即ち、前記有機層が発光層である場合)には、該発光層がさらに正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光性材料から選ばれる一種または二種以上の材料を含んでいてもよい。 ここで、発光性材料とは、蛍光および/または燐光を示す材料を意味する。

    本発明の高分子発光素子が発光層を有する場合、該発光層には本発明の高分子化合物以外の発光性材料を用いてもよい。

    また、前記正孔輸送性材料は後述の正孔輸送層の項で説明するとおりであり、電子輸送性材料は後述の電子輸送層の項で説明するとおりである。

    本発明の高分子化合物と正孔輸送性材料とを混合する場合には、得られる混合物全体に対して、正孔輸送性材料の混合割合は、通常、1重量%〜80重量%であり、好ましくは5重量%〜60重量%である。

    本発明の高分子化合物と電子輸送性材料とを混合する場合には、得られる混合物全体に対して、電子輸送性材料の混合割合は、通常、1重量%〜80重量%であり、好ましくは5重量%〜60重量%である。

    本発明の高分子化合物と発光性材料とを混合する場合には、得られる混合物全体に対して、発光性材料の混合割合は、通常、1重量%〜80重量%であり、好ましくは5重量%〜60重量%である。

    本発明の高分子化合物と発光性材料、正孔輸送性材料および電子輸送性材料から選ばれる二種以上の材料を混合する場合には、得られる混合物全体に対して、発光性材料の混合割合は、通常、1重量%〜50重量%であり、好ましくは5重量%〜40重量%であり、正孔輸送性材料と電子輸送性材料の混合割合はそれらの合計で、通常、1重量%〜50重量%であり、好ましくは5重量%〜40重量%であり、本発明の高分子化合物、高分子組成物の含有量は、得られる混合物全体に対して99重量%〜20重量%である。

    発光層は、如何なる方法で形成させてもよい。 例えば、高分子化合物を溶媒に溶解させてなる溶液(例えば、上記液状組成物)からの成膜による方法が挙げられる。 該溶液(例えば、上記液状組成物)からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができ、パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。

    本発明の高分子発光素子が有する発光層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適切な値となるように選択すればよいが、例えば、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

    ・正孔輸送層 正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層を意味する。 本発明の高分子発光素子が正孔輸送層を有する場合、該正孔輸送層には本発明の高分子化合物以外の正孔輸送性材料を用いてもよい。 該正孔輸送性材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。

    具体的には、該正孔輸送性材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。

    これらの中でも、正孔輸送層に用いる正孔輸送性材料として、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送性材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。

    また、正孔輸送性材料は低分子化合物であってもよい。 該低分子化合物としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等が例示される。 正孔輸送性材料として低分子化合物を用いる場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。

    高分子バインダーとしては、電荷輸送を著しく阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。 高分子バインダーとしては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。

    ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えば、ビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。

    ポリシランもしくはその誘導体は、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。 合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。

    ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子量の正孔輸送性材料の構造を有するものが好適に用いられる。 特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。

    正孔輸送層の作製において、本発明の高分子化合物と正孔輸送性材料とを混合する場合には、得られる混合物全体に対して、正孔輸送性材料の混合割合は、通常、0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜60重量%である。

    正孔輸送層として用いられる薄膜は如何なる方法によって製造されたものでもよいが、例えば、低分子量の正孔輸送性材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示され、高分子量の正孔輸送性材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。 また、本発明の高分子化合物が正孔輸送層に用いられる場合には、該高分子化合物を溶媒に溶解させてなる溶液(例えば、上記液状組成物)からの成膜による方法が例示される。

    前記溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送性材料および高分子バインダーを溶解または均一に分散できるものが好ましい。 該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコールおよびその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。 該溶媒は、単独で、または複数組み合わせて用いることができる。

    前記溶液からの成膜の方法としては、特に限定されず、例えば、溶液からの、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。

    正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適切な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、厚過ぎると、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。 従って、正孔輸送層の膜厚としては、例えば、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

    ・電子輸送層 電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層を意味する。 本発明の高分子発光素子が電子輸送層を有する場合、該電子輸送層には本発明の高分子化合物以外の電子輸送性材料を用いてもよい。 電子輸送性材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。

    具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。

    これらの中でも、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。

    電子輸送性層の作製において、本発明の高分子化合物と電子輸送性材料とを混合する場合には、得られる混合物全体に対して、電子輸送性材料の混合割合は、通常、0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜60重量%である。

    電子輸送層として用いられる薄膜は如何なる方法によって製造されたものでもよいが、例えば、低分子量の電子輸送性材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が例示され、高分子量の電子輸送性材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法が例示される。 溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。

    高分子バインダーとしては、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等が例示される。

    溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送性材料および高分子バインダーを溶解または均一に分散できるものが好ましい。 該溶媒としては、前記の正孔輸送層の項で正孔輸送性材料および高分子バインダーを溶解または均一に分散できるものとして、具体的に説明し例示したものと同じである。 該溶媒は、単独で、または複数組み合わせて用いることができる。

    溶液または溶融状態からの成膜の方法としては、特に限定されず、例えば、前記の正孔輸送層の項で正孔輸送性材料の溶液または溶融状態からの成膜の方法として、具体的に説明し例示したものと同じである。

    電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適切な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、厚過ぎると、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。 従って、該電子輸送層の膜厚は、例えば、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

    また、電極に隣接して設けた電荷輸送層(正孔輸送層、電子輸送層)のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。

    さらに、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。

    ・電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)
    電荷注入層は、電極との密着性向上や電極からの電荷注入を改善する機能を有する層を意味する。 電荷注入層である正孔注入層および電子注入層には、本発明の高分子化合物および/または高分子組成物を含有させることができる。 電荷注入層の膜厚としては、例えば、1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。

    本発明の高分子化合物が正孔注入層に用いられる場合には、電子受容性化合物と同時に用いられることが好ましい。 また、本発明の高分子化合物が電子輸送層に用いられる場合には、電子供与性化合物と同時に用いられることが好ましい。 ここで、同時に用いるためには、混合、共重合、側鎖として導入するなどの方法がある。

    正孔注入層・電子輸送層として作用する電荷注入層の具体例としては、導電性高分子を含む層;陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送性材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層;陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送性材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが挙げられる。

    電荷注入層が導電性高分子を含む層である場合には、該導電性高分子の電気伝導度は、10 -5 S/cm以上10 3 S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10 -5 S/cm以上10 2 S/cm以下がより好ましく、10 -5 S/cm以上10 1 S/cm以下がさらに好ましい。 通常は該導電性高分子の電気伝導度を10 -5 S/cm以上10 3 S/cm以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。

    ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。 アニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。

    電荷注入層に用いられる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、本発明の高分子化合物以外には、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。 また、架橋剤として、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)等を配合してもよい。

    電荷注入層の作製において、本発明の高分子化合物をその他の材料(例えば、電子受容性化合物、電子供与性化合物、電荷注入層に用いられる本発明の高分子化合物以外の材料、架橋剤等)と混合する場合には、得られる混合物全体に対して、本発明の高分子化合物の混合割合は、通常、20〜99.9重量%であり、好ましくは40〜99重量%である。

    ・絶縁層 絶縁層とは、電極との密着性向上や電極からの電荷注入を改善する機能を有する層を意味する。 絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。

    ・基板 本発明の高分子発光素子を形成するために用いられる基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の材料の基板が例示される。 不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。

    ・電極(陽極、陰極)
    本発明の高分子発光素子を構成する電極のうち、陽極および陰極の少なくとも一方は、通常、透明または半透明である。 特に陽極側が透明または半透明であることが好ましい。

    前記陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられ、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(例えば、NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。 これらの材料を用いて陽極を作製する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。 また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。

    陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。

    また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよい。

    前記陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。 例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2種以上の合金、あるいはそれらのうち1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。 合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。 陰極を2層以上の積層構造としてもよい。

    陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。

    陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。 また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。 該高分子発光素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。

    保護層としては、ポリパラキシリレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物、金属窒化物、有機無機ハイブリッド材料などを用いることができる。 保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該保護カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。 スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。 該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。 これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。

    ・特性、用途 本発明の高分子発光素子は、低電圧、高電流効率で駆動できる高性能の高分子発光素子である。 この高分子発光素子は、例えば、面状光源(例えば、照明用としての曲面状や平面状の光源)、セグメント表示装置(例えば、セグメントタイプの表示素子を用いた装置)、ドットマトリックス表示装置(例えば、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ)、液晶表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)のバックライト等として用いることができる。 高分子発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。 パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法等がある。 これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。 更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。 複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。 ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。 これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。 さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。 また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。

    −高分子電界効果トランジスタ−
    次に、本発明の高分子化合物を高分子電界効果トランジスタの製造に用いる場合を説明する。
    高分子電界効果トランジスタは、構造としては、ソース電極とドレイン電極とゲート電極と本発明の高分子化合物を含有してなる活性層と絶縁層とを有するものであり、具体的には、通常、ソース電極およびドレイン電極が、本発明の高分子化合物を含有してなる活性層に接して設けられており、さらに活性層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられている。 本発明の高分子化合物および/または高分子組成物は、前記活性層に用いることができる。

    高分子電界効果トランジスタは、通常、支持基板上に形成される。 支持基板の材質としては、該高分子電界効果トランジスタとしての特性を阻害しなければ特に制限されないが、ガラス基板、フレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板等が挙げられる。

    高分子電界効果トランジスタは、公知の方法、例えば、特開平5−110069号公報に記載の方法により製造することができる。

    活性層を形成させる際に、有機溶媒可溶性の高分子材料(例えば、本発明の高分子化合物)を用いることが製造上非常に有利であり好ましい。 該高分子材料を有機溶剤に溶解した溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の塗布法を用いることができる。

    前記高分子電界効果トランジスタとしては、未封止の高分子電界効果トランジスタを作製後、封止してなる封止高分子電界効果トランジスタが好ましい。 これにより、高分子電界効果トランジスタが、大気から遮断されるので、特性の低下を抑えることができる。

    封止方法としては、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂や無機のSiONx膜などでカバーする方法、ガラス板やフィルムをUV硬化樹脂、熱硬化樹脂などで張り合わせる方法などが挙げられる。 大気との遮断を効果的に行うため、未封止の高分子電界効果トランジスタを作製後、封止するまでの工程を大気に曝すことなく、例えば、乾燥した窒素雰囲気中、真空中などで、行うことが好ましい。

    以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

    −数平均分子量・重量平均分子量−
    数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;島津製作所製、商品名:LC−10Avp)によりポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を求めた。 測定する化合物は、約0.5重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。 GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。 カラムは、TSKgel SuperHM−H(商品名、東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(商品名、東ソー製)1本を直列に繋げた。 検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。

    <合成例1>
    −高分子化合物1の合成に用いるモノマー(化合物2E)の合成−
    ・化合物2A

    不活性雰囲気下、300ml三つ口フラスコに1−ナフタレンボロン酸5.00g(29mmol)、2−ブロモベンズアルデヒド6.46g(35mmol)、炭酸カリウム10.0g(73mmol)、トルエン36ml、イオン交換水36mlを入れ、室温で撹拌しつつ20分間アルゴンバブリングした。 次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム16.8mg(0.15mmol)を入れ、さらに室温で撹拌しつつ10分間アルゴンバブリングした。 その後、系中を100℃に昇温し、25時間反応させた。 室温まで冷却後、トルエンで有機層を抽出した。 得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。 トルエン:シクロヘキサン=1:2の混合溶媒を展開溶媒としたシリカゲルカラムで精製することにより、化合物2A5.18g(収率86%)を白色結晶として得た。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ7.39〜7.62(m、5H)、7.70(m、2H)、7.94(d、2H)、8.12(dd、2H)、9.63(s、1H)
    MS(APCI(+)):(M+H) + 233

    ・化合物2B

    不活性雰囲気下、300mlの三つ口フラスコに化合物2A8.00g(34.4mmol)と脱水THF46mlを入れ、−78℃まで冷却した。 次いで、n−オクチルマグネシウムブロミド(1.0mol/lTHF溶液)52mlを30分かけて滴下した。 滴下終了後0℃まで昇温し、1時間撹拌後、室温まで昇温して45分間撹拌した。 氷浴して1N塩酸20mlを加えて反応を終了させ、酢酸エチルで有機層を抽出した。 得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。 次いで、乾燥させた有機層から溶媒を留去した後、トルエン:ヘキサン=10:1の混合溶媒を展開溶媒としたシリカゲルカラムで精製することにより、化合物2B7.64g(収率64%)を淡黄色のオイルとして得た。 HPLC測定では2本のピークが見られたが、LC−MS測定では同一の質量数であることから、異性体の混合物であると判断した。

    ・化合物2C

    不活性雰囲気下、500ml三つ口フラスコに化合物2B(異性体の混合物)5.00g(14.4mmol)と脱水ジクロロメタン74mlを入れ、室温で撹拌、溶解させた。 次いで、三フッ化ホウ素のエーテラート錯体を室温で1時間かけて滴下し、滴下終了後、室温で4時間撹拌した。 撹拌しながらエタノール125mlをゆっくりと加え、発熱がおさまったらクロロホルムで有機層を抽出し、該有機層を2回水洗し、水洗後の有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。 次いで、乾燥させた有機層から溶媒を留去した後、ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムで精製することにより、化合物2C3.22g(収率68%)を無色のオイルとして得た。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ0.90(t、3H)、1.03〜1.26(m、14H)、2.13(m、2H)、4.05(t、1H)、7.35(dd、1H)、7.46〜7.50(m、2H)、7.59〜7.65(m、3H)、7.82(d、1H)、7.94(d、1H)、8.35(d、1H)、8.75(d、1H)
    MS(APCI(+)):(M+H) + 329

    ・化合物2D

    不活性雰囲気下、200ml三つ口フラスコにイオン交換水20mlを入れ、撹拌しながら水酸化ナトリウム18.9g(0.47mol)を少量ずつ加え、溶解させた。 得られた水溶液を室温まで冷却した後、トルエン20ml、化合物2C5.17g(15.7mmol)、臭化トリブチルアンモニウム1.52g(4.72mmol)を加え、50℃に昇温した。 次いで、臭化n−オクチルを滴下し、滴下終了後、50℃で9時間反応させた。 反応終了後、トルエンで有機層を抽出し、該有機層を2回水洗した。 水洗した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。 乾燥させた有機層から溶媒を留去した後、ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムで精製することにより、化合物2D5.13g(収率74%)を黄色のオイルとして得た。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ0.52(m、2H)、0.79(t、6H)、1.00〜1.20(m、22H)、2.05(t、4H)、7.34(d、1H)、7.40〜7.53(m、2H)、7.63(m、3H)、7.83(d、1H)、7.94(d、1H)、8.31(d、1H)、8.75(d、1H)
    MS(APCI(+)):(M+H) + 441

    ・化合物2E

    空気雰囲気下、50mlの三つ口フラスコに化合物2D4.00g(9.08mmol)と、酢酸:ジクロロメタン=1:1の混合溶媒57mlを入れ、室温で撹拌し、溶解させた。 次いで、三臭化ベンジルトリメチルアンモニウム7.79g(20.0mmol)を加えて撹拌しつつ、塩化亜鉛を三臭化ベンジルトリメチルアンモニウムが完全に溶解するまで加えた。 室温で20時間撹拌後、5重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10mlを加えて反応を停止させた。 次いで、クロロホルムで有機層を抽出し、該有機層を炭酸カリウム水溶液で2回洗浄した。 洗浄した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。 乾燥させた有機層から溶媒を留去した。 次いで、ヘキサンを展開溶媒とするフラッシュカラムで2回精製した後、エタノール:ヘキサン=1:1の混合溶媒で再結晶し、次いで、エタノール:ヘキサン=10:1の混合溶媒で再結晶することにより、化合物2E4.13g(収率76%)を白色結晶として得た。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ0.60(m、2H)、0.91(t、6H)、1.01〜1.38(m、22H)、2.09(t、4H)、7.62〜7.75(m、3H)、7.89(s、1H)、8.20(d、1H)、8.47(d、1H)、8.72(d、1H)
    MS(APPI(+)):(M+H) + 598

    <実施例1>
    −高分子化合物1の合成−
    化合物2E22.5gと2,2'−ビピリジル17.6gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。 これに、予めアルゴンガスでバブリングして脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)1500gを加えた。 次に、得られた混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を31g加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応させた。 なお、この反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。

    前記反応後、得られた反応溶液を冷却し、次いで、この溶液に25重量%アンモニア水200mlとメタノール900mlとイオン交換水900mlとの混合溶液を注ぎ込み、約1時間攪拌した。 次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。 この沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解させた。 こうして得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、このトルエン溶液を、アルミナを充填したカラムを通過させることにより精製した。 次に、このトルエン溶液を、1規定塩酸水溶液で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。 次に、この回収したトルエン溶液を、約3重量%アンモニア水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。 次に、この回収したトルエン溶液をイオン交換水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。 次に、この回収したトルエン溶液を、メタノール中に注ぎ込み、再沈生成した。

    次に、生成した沈殿を回収し、該沈殿をメタノールで洗浄した後、この洗浄した沈殿を減圧乾燥して、重合体6.0gを得た。 この重合体を高分子化合物1と呼ぶ。 こうして得られた高分子化合物1のポリスチレン換算の重量平均分子量は、8.2×10 5であり、数平均分子量は1.0×10 5であった。

    −高分子化合物1の蛍光特性評価−
    得られた高分子化合物1の0.8重量%トルエン溶液を石英板上にスピンコートして高分子化合物1の薄膜を作製した。 この薄膜の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計(JOBINYVON―SPEX社製、商品名:Fluorolog)を用い、励起波長350nmで測定した。 薄膜での相対的な蛍光強度を得るために、水のラマン線の強度を標準に、波数プロットした蛍光スペクトルをスペクトル測定範囲で積分して、分光光度計(Varian社製、商品名:Cary5E)を用いて測定した、励起波長での吸光度で割り付けた値を求めた。
    こうして得られた高分子化合物1の蛍光ピーク波長は450nmであり、蛍光強度は5.4であった。

    <合成例2>
    −高分子化合物2の合成に用いるモノマー(化合物3E)の合成−
    ・化合物3A

    不活性雰囲気下1lの四つ口フラスコに2,8−ジブロモジベンゾチオフェン7gとTHF280mlを入れ、室温で撹拌し、溶解させた後、−78℃まで冷却した。 n−ブチルリチウム29ml(1.6mol/lヘキサン溶液)を滴下した。 滴下終了後、温度を保持したまま2時間撹拌し、トリメトキシボロン酸13gを滴下した。 滴下終了後、ゆっくり室温まで昇温した。 3時間室温で撹拌後、TLCで原料の消失を確認した。 5重量%硫酸100mlを加えて反応を終了させ、室温で12時間撹拌した。 水を加えて洗浄し、有機層を抽出した。 溶媒を酢酸エチルに置換した後、30重量%過酸化水素水5mlを加え、40℃で5時間撹拌した。 その後、有機層を抽出し、10重量%硫酸アンモニウム鉄(II)水溶液で洗浄後乾燥、溶媒を除去することにより、茶色の固体4.43gを得た。 LC−MS測定からは二量体などの副生成物も生成しており、化合物3Aの純度は77%であった(LC面積百分率;以下、化合物の純度を単に「LC面百」と示す。)。

    MS(APCI(−)):(M−H) - 215

    ・化合物3B

    不活性雰囲気下で200mlの三つ口フラスコに化合物3A4.43g、臭化n−オクチル25.1g、および炭酸カリウム12.5g(23.5mmol)を入れ、溶媒としてメチルイソブチルケトン50mlを加えて125℃で6時間加熱還流した。 反応終了後、溶媒を除き、クロロホルムと水で有機層と水層に分離し、有機層を抽出し、該有機層をさらに水で2回洗浄した。 無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(展開溶媒:トルエン/シクロヘキサン=1/10)で精製することにより、8.49g(LC面百97%、収率94%)の化合物3Bを得た。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ0.91(t、6H)、1.31〜1.90(m、24H)、4.08(t、4H)、7.07(dd、2H)、7.55(d、2H)、7.68(d、2H)

    ・化合物3C

    100ml三つ口フラスコに化合物3B6.67gと酢酸40mlを入れ、オイルバスでバス温度140℃まで昇温した。 次いで、30重量%過酸化水素水13mlを冷却管から加え、1時間激しく撹拌した後、冷水180mlに注いで反応を終了させた。 クロロホルムで抽出し、得られた有機層を乾燥後、溶媒を除去することによって、6.96g(LC面百90%、収率97%)の化合物3Cを得た。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ0.90(t、6H)、1.26〜1.87(m、24H)、4.06(t、4H)、7.19(dd、2H)、7.69(d、2H)、7.84(d、2H)
    MS(APCI(+)):(M+H) + 473

    ・化合物3D

    不活性雰囲気下200ml四つ口フラスコに化合物3C3.96gと酢酸/クロロホルム=1:1混合液(容量基準)15mlを加え、70℃で撹拌し、溶解させた。 次いで、臭素6.02gを酢酸/クロロホルム=1:1混合液(容量基準)3mlに溶解させて加え、3時間撹拌した。 得られた溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて未反応の臭素を除き、クロロホルムと水で有機層と水層に分離し、該有機層を抽出し、乾燥させた。 乾燥させた有機層から溶媒を除去し、シリカゲルカラム(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン=1/4)で精製することにより、4.46g(LC面百98%、収率84%)の化合物3Dを得た。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ0.95(t、6H)、1.30〜1.99(m、24H)、4.19(t、4H)、7.04(s、2H)、7.89(s、2H)
    MS(FD + )M + 630

    ・化合物3E

    不活性雰囲気下200ml三つ口フラスコに化合物3D3.9gとジエチルエーテル50mlを入れ、40℃まで昇温し、撹拌した。 得られた溶液に、水素化アルミニウムリチウム1.17gを少量ずつ加え、5時間反応させた。 水を少量ずつ加えることによって過剰な水素化アルミニウムリチウムを分解させ、36重量%塩酸5.7mlで洗浄した。 クロロホルム、水で有機層と水層に分離し、該有機層を抽出後、乾燥させた。 乾燥させた有機層から溶媒を除去し、シリカゲルカラム(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン=1/5)で精製することにより、1.8g(LC面百99%、収率49%)の化合物3Eを得た。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ0.90(t、6H)、1.26〜1.97(m、24H)、4.15(t、4H)、7.45(s、2H)、7.94(s、2H)
    MS(FD + )M + 598

    MS(APCI(+))法によれば、615、598にピークが検出された。

    <実施例2>
    −高分子化合物2の合成−
    N,N'−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン0.52g、化合物3E1.22g、およびt−ブトキシナトリウム0.58gを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。 これに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.05gを加えた後、この混合液に、トリ−t−ブチルホスフィンを0.02g加え、100℃で8時間反応させた。 なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。 反応終了後、この溶液を室温まで冷却した後、イオン交換水20mlとメタノール20mlの混合液に該冷却後の溶液を注加し、撹拌した。 撹拌後、水層を除去し、ラヂオライト1g加え撹拌し、得られた混合液をシリカ−活性アルミナ上でろ過し、ろ液を回収した。 回収したろ液を、メタノール45gに注ぎ込み、攪拌した。 次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収し、減圧乾燥した。 乾燥後、重合体0.86gを得た。 この重合体を高分子化合物2と呼ぶ。 高分子化合物2のポリスチレン換算の重量平均分子量は、3.7×10 4であり、数平均分子量は、1.0×10 4であった。

    −高分子化合物2の蛍光特性評価−
    こうして得られた高分子化合物2の蛍光特性評価を実施例1と同様にして行った。 高分子化合物2の蛍光ピーク波長は462nmであり、蛍光強度は1.2であった。

    <合成例3>
    −高分子化合物3の合成に用いるモノマー(化合物4D)の合成−
    ・化合物4A

    不活性雰囲気下、1lの三つ口フラスコにベンゾフラン23.2g(137.9mmol)と酢酸232gを入れ、室温で撹拌し、溶解させた後、75℃まで昇温した。 昇温後、臭素92.6g(579.3mmol)を酢酸54gで希釈したものを滴下した。 滴下終了後、温度を保持したまま3時間撹拌し、放冷した。 TLCで原料の消失を確認した後、チオ硫酸ナトリウム水を加え反応を終了させ、室温で1時間撹拌した。 撹拌後、ろ過を行い、ケーキをろ別し、さらにチオ硫酸ナトリウム水、水で洗浄した後、乾燥した。 得られた粗生成物をヘキサンにて再結晶し、化合物4Aを得た。 収量は21.8gであり、収率は49%であった。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ7.44(d、2H)、7.57(d、2H)、8.03(s、2H)

    ・化合物4B

    不活性雰囲気下で500mlの四つ口フラスコに化合物4A16.6g(50.9mmol)とテトラヒドロフラン293gを入れ、−78℃まで冷却した。 得られた溶液に、n−ブチルリチウム80ml(<1.6mol/lヘキサン溶液、127.3mmol)を滴下した後、温度を保持したまま1時間撹拌した。 得られた反応液を、不活性雰囲気下で1000mlの四つ口フラスコにトリメトキシボロン酸31.7g(305.5mmol)とテトラヒドロフラン250mlを入れ、−78℃まで冷却したものに滴下した。 滴下終了後、ゆっくり室温まで戻し、2時間室温で撹拌後、TLCで原料の消失を確認した。 反応終了後、得られた反応溶液を、2000mlビーカーに濃硫酸30gと水600mlを入れたものに注入し、反応を終了させた。 得られた溶液にトルエン300mlを加え、有機層を抽出し、さらに水を加えて洗浄した。 溶媒を留去後、そのうち8gと酢酸エチル160mlを300mlの四つ口フラスコに入れ、次いで30重量%過酸化水素水7.09gを加え、40℃で2時間撹拌した。 こうして得られた反応液を、1000mlのビーカー中の硫酸アンモニウム鉄(II)71gおよび水500mlの水溶液に注入した。 得られた溶液を撹拌後、有機層を抽出し、有機層を水で洗浄した。 洗浄後の有機層から溶媒を除去することにより、化合物4Bの粗製物6.72gを得た。

    MSスペクトル:M + 200.0

    ・化合物4C

    不活性雰囲気下で200mlの四つ口フラスコに化合物4B2.28g(11.4mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド23gを入れ、室温で撹拌、溶かした後、炭酸カリウム9.45g(68.3mmol) を入れ60℃まで昇温した。 昇温後、臭化n−オクチル6.60g(34.2mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド11gで希釈したものをを滴下した。 滴下終了後、60℃まで昇温し、温度を保持したまま2時間撹拌し、TLCで原料の消失を確認した。 水20mlを加え反応を終了させ、次いでトルエン20mlを加え、有機層を抽出し、該有機層を水で2回洗浄した。 洗浄した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。 得られた粗生成物をシリカゲルカラムで精製することにより、化合物4Cを得た。 収量は1.84gであり、収率は38%であった。

    MSスペクトル:M + 425.3

    ・化合物4D

    不活性雰囲気下500ml四つ口フラスコに化合物4C7.50g(17.7mmol)とN,N−ジメチルホルムアミドを入れ、室温で撹拌し、溶解させた後、氷浴で冷却した。 冷却後、N−ブロモスクシンイミド6.38g(35.9mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド225mlで希釈したものを滴下した。 滴下終了後、氷浴で1時間攪拌し、室温で18.5時間攪拌し、40℃まで昇温し、温度を保持したまま6.5時間撹拌し、液体クロマトグラフィーで原料の消失を確認した。 得られた反応液から溶媒を除去し、そこにトルエン75mlを加えて溶解させた後、有機層を水で3回洗浄した。 無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。 得られた粗生成物の約半量をシリカゲルカラムおよび液体クロマトグラフィー分取で精製することにより、化合物4Dを得た。 収量は0.326gであった。

    1 H−NMR(300MHz/CDCl 3 ):
    δ0.90(t、6H)、1.26〜1.95(m、24H)、4.11(t、4H)、7.34(s、2H)、7.74(s、2H)

    MSスペクトル:M + 582.1

    <実施例3>
    −高分子化合物3の合成−
    N,N'−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン0.52g、化合物4D1.19g、およびt−ブトキシナトリウム0.58gを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。 これに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.05gを加えた後、次に、この混合液に、トリ−t−ブチルホスフィンを0.02g加え、100℃で8時間反応した。 なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。 反応後、この溶液を室温まで冷却した後、イオン交換水20mlとメタノール20mlの混合液に該冷却後の溶液を注加し、撹拌した。 撹拌後、水層を除去し、ラヂオライト1g加え撹拌し、シリカ−活性アルミナ上でろ過し、ろ液を回収した。 回収したろ液を、メタノール45gに注ぎ込み、攪拌した。 次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収し、減圧乾燥した。 乾燥後、重合体0.97gを得た。 この重合体を高分子化合物4と呼ぶ。 高分子化合物3のポリスチレン換算の重量平均分子量は、2.8×10 4であり、数平均分子量は、6.1×10 3であった。

    −高分子化合物3の蛍光特性評価−
    こうして得られた高分子化合物4の蛍光特性評価を実施例1と同様にして行った。 高分子化合物3の蛍光ピーク波長は467nmであり、蛍光強度は1.1であった。

    −正孔注入層1の作製−
    高分子化合物2をトルエンに対して2重量%、さらに架橋剤としてDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製、商品名:KAYARAD DPHA))を高分子化合物1に対して25重量%添加し、得られた溶液を0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調製した。 スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を設けたガラス基板に、この塗布溶液を1000rpmでスピンコートにより製膜した。 こうして得られた膜を窒素雰囲気下において300℃/20分のベーク条件でベークし、ベーク後の膜厚が約50nmの正孔注入層1を得た。

    −正孔注入層2の作製−
    高分子化合物3をトルエンに対して2重量%、さらに架橋剤としてDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製、商品名:KAYARAD DPHA))を高分子化合物1に対して25重量%添加し、得られた溶液を0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調製した。 スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を設けたガラス基板に、この塗布溶液を1000rpmでスピンコートにより製膜した。 こうして得られた膜を窒素雰囲気下において300℃/20分のベーク条件でベークし、ベーク後の膜厚が約50nmの正孔注入層2を得た。

    −PEDOT正孔注入層の作成−
    スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、PEDOT:ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(スタルク社製、商品名:Baytron)を用いてスピンコートにより成膜し、こうして得られた膜を大気中においてホットプレート上で200℃で10分間乾燥させて50nmの厚みのPEDOT正孔注入層を得た。

    <実施例4>
    −発光層用溶液組成物1の調製−
    高分子化合物1をトルエンに対して0.5重量%、さらに電荷輸送性添加物としてDCBP(4,4'-ビス(9-カルバゾイル)-ビフェニル((株)同仁化学研究所製))を高分子化合物1に対して160重量%混合し溶解させた後、得られた溶液を0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して発光層用組成物1を調製した。

    <実施例5、6、比較例1>
    −発光素子の作成および評価−
    陽極の上に、表1に示すとおりに正孔注入層を積層し、その上に発光層用溶液組成物をスピンコートにより約70nmの厚みでコーティングした。 これを減圧下90℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層としてフッ化リチウムを4nm、陰極としてカルシウムを5nm、次いでアルミニウムを100nm蒸着して、高分子発光素子を作製した。 蒸着のときの真空度は、いずれの場合も1×10 -3 〜9×10 -3 Paの範囲内であった。 こうして得られた、発光部が2mm×2mm(面積4mm 2 )の高分子発光素子に電圧を段階的に印加することにより、高分子発光体からのEL発光の輝度を測定し、この測定結果から電流効率値を得た。 得られた高分子発光素子の電流効率の最大値、EL発光のCIE色度座標のy値を表1に示す。

    <評価>
    表1から分かるように、本発明の高分子化合物を含む正孔注入層を有する実施例5、6で作製した高分子発光素子は、本発明の高分子化合物を含む正孔注入層を用いなかった比較例1の高分子発光素子に比べて、著しい最大電流効率の向上が認められた。 従って、本発明の高分子化合物は、正孔注入層等として好ましく用いることができる。

    高效检索全球专利

    专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

    我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

    申请试用

    分析报告

    专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

    申请试用

    QQ群二维码
    意见反馈