【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は新聞広告割付システムにおいて、広告主または広告会社から依頼された広告掲載をコンピュータを使用して新聞紙面へ割付作業する際に、過去の実績情報を反映させて、同一場所に広告が競合した場合でも自動的に新聞広告の紙面の割付を行う新聞広告割付作業方式に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の新聞広告割付システムでは、特開昭６２−２４２９４４号公報に開示されているように新規紙面の割付の場合や、何らかの理由で対象とする紙面に空きができた場合に、申込のあった掲載広告全体の中から対象となる広告種別、掲載希望日、掲載希望面、広告寸法などの条件に合ったものをシステムで自動抽出すると共に、一定の規則に従った順序で一覧形式にディスプレイで表示していた。

【０００３】すなわち上述した紙面割付の条件を割付のノウハウ情報としてマスタファイル化することによって割付作業の大半を自動化させていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来の方式では、掲載広告の実績情報として過去に作業した際に考慮された各要因の情報を蓄積して反映していないため、毎回最初から条件検索を開始しなければならない。 また同一の場所に条件に合致する対象が複数存在して競合する場合には、最終的な割付決定は操作者の過去の実績情報の管理能力に依存する部分が大きくなり、結果的に操作者の豊富な経験と高度な熟練が要求されている。 このため操作者による割付作業の品質にバラつきが生じ、時間もかかるという問題点があった。

【０００５】以上の点に鑑みて、掲載広告の実績情報として過去に作業した際に考慮された各要因の情報を蓄積して広告の紙面割付に反映することによって、同一の場所に条件に合致する対象が複数存在して競合する場合でも、操作者の介入を減らし掲載広告の紙面割付作業の自動化を進めることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】広告主または広告会社の広告掲載申込情報を入力する申込情報入力端末と、この申込情報入力端末からの入力を受け付ける入力処理手段と、前記広告掲載申込情報を格納して蓄積する申込情報入力データファイルと、申込情報の検索条件の入力指示や検索結果の表示、掲載紙面の広告割付状況の表示、広告割付位置の入力指示の表示、既に割り付けられている広告の解除や未割付にする指示の表示、広告の割付場所の変更と移動の指示の表示を行う割付作業端末と、前記申込情報入力データファイルの申込情報を条件のもとに検索して前記割付作業端末に表紙させる申込情報表示処理手段と、割付作業の対象となる掲載紙面の広告割付状況を前記割付作業端末に表示する割付情報表示処理手段と割付作業結果の広告割付情報を格納する割付情報出力データファイルと、前記割付作業端末からの割付作業指示の結果を前記割付情報出力データファイルに出力する割付結果出力処理手段と、割付状況を前記割付情報出力データファイルを元に紙面レイアウトにイメージ出力する紙面レイアウト出力処理手段と、前記割付情報出力データファイルの割付情報を元に掲載の確定した広告の実績情報を広告主／広告会社別実績ファイルに出力する掲載確定・実績出力処理手段と、広告の優先順位を決定する項目を基本材料として重量付けしている基本材料重量付けマスタファイルと、前記申込情報入力データファイルの申込情報と前記基本材料重量付けマスタファイルと前記広告主／広告会社別実績ファイルの実績情報を基本材料として各項目から広告の割付優先度を算出する割付優先度算出処理手段とを備えている。

【０００７】

【実施例】本発明について図面を参照して説明する。

【０００８】図１は本発明の一実施例のブロック構成図であり、次のような構成要素を含んでいる。

【０００９】広告主１−１及び広告会社１−２からの広告掲載申込情報１−３を入力する申込情報入力端末１−
４。

【００１０】この申込情報入力端末１−４からの入力を受け付ける入力処理手段１−５。

【００１１】広告掲載申込情報１−３を格納して蓄積する申込情報入力データファイル１−６。

【００１２】この申込情報入力データファイル１−６の申込情報を条件に基づいて検索して表示する申込情報表示処理手段１−７。

【００１３】申込情報の検索条件の入力指示や検索結果の表示、掲載紙面の広告割付状況の表示、広告割付位置の入力指示の表示、既に割り付けられている広告を解除して未割付にする指示の表示、広告の割付場所の変更と移動の指示の表示などを行う割付作業端末１−８。

【００１４】割付作業の対象となる掲載紙面の広告割付状況を表示する割付情報表示処理手段１−９。

【００１５】割付作業端末１−８からの割付作業指示の結果を出力する割付結果出力処理手段１−１０。

【００１６】この割付作業結果の広告割付情報を格納する割付情報出力データファイル１−１１。

【００１７】割付状況を紙面レイアウト１−１３にイメージ出力する紙面レイアウト出力処理手段１−１２。

【００１８】割付情報出力データファイル１−１１の割付情報を元に掲載の確定した広告の実績情報を広告主／
広告会社別実績ファイル１−１５に出力する掲載確定・
実績出力処理手段１−１４。

【００１９】広告の優先順位を決定する項目を基本材料として重量付けしている基本材料重量付けマスタファイル１−１６。

【００２０】申込情報入力データファイル１−６の申込情報及び広告主／広告会社別実績ファイル１−１５の実績情報を基本材料として各項目から広告の割付優先度を算出する割付優先度算出処理手段１−１７。

【００２１】上述の申込情報入力端末１−４と入力処理手段１−５は同一のキーボードとディスプレイと制御装置から成る装置に対応する。

【００２２】上述の申込情報表示処理手段１−７と割付作業端末１−８と割付情報表示処理手段１−９と割付結果出力処理手段１−１０と割付優先度算出処理手段１−
１７とは同一のキーボードとディスプレイと制御装置から成る装置に対応する。

【００２３】また上述の紙面レイアウト出力処理手段１
−１２と掲載確定・実績出力処理手段１−１４は、同一あるいは別個の制御装置に対応している。

【００２４】上述の申込情報入力データファイル１−６
と割付情報出力データファイル１−１１と広告主／広告会社別実績ファイル１−１５と基本材料重量付けマスタファイル１−１６とは同一あるいは個別の記憶装置にそれぞれ対応する。

【００２５】図２は本発明の割付作業の処理動作を示すフローチャートである。

【００２６】図３は本発明の割付作業中のディスプレイ表示のイメージ図であり、掲載広告の割付を行っている年月日の紙面の割付状態が一画面に表示されている。

【００２７】この表示は、実際の紙面に対する広告が相似大になるように割付状況を１頁から順に表示している実紙面表示領域３−１と、同一位置に広告掲載が競合してしまい再検討が必要となった広告が縮小固定大で位置によって優劣を表している作業面表示領域３−２と、予め申込情報入力データファイル１−６に蓄積されている掲載申込内容を検索条件により抽出した結果を一覧形式で表示する検索ウィンドウ表示領域３−３の表示領域から構成されている。

【００２８】割付作業の操作は、各領域に表示されている広告、面、位置等にキーボードまたはマウスまたはトラックボールなどの入力装置（以下、入力装置と称する）を用いて指示を与えることによって対象を選択して行う。 また小さい広告や微妙な調整作業に関する操作は、実紙面表示領域３−１や作業面表示領域３−２を拡大表示して行う。

【００２９】図４は本発明の実紙面表示領域３−１の拡大したディスプレイ表示のイメージ図と作業面表示領域３−２の拡大したディスプレイ表示のイメージ図である。

【００３０】実紙面表示領域３−１の拡大したディスプレイ表示のイメージ図４−１の表示内容としては、面の名称、頁、カラー面か否か等の内容を表示する表題部４
−１−１と、紙面の広告掲載領域４−１−２と、記事領域４−１−３とから構成されており、広告掲載領域４−
１−２と記事領域４−１−３の境界を示す広告掲載予定段数４−１−４も表示されている。

【００３１】広告掲載領域４−１−２には割り付けられた相似大の広告領域が表示され、広告主名、原稿名、広告の寸法、カラー面か否か等、広告の管理情報が表示する。

【００３２】作業面表示領域の拡大したディスプレイ表示のイメージ図４−２の表示内容としては、作業面であることを示す表題部４−２−１と広告割付領域４−２−
２とから構成されている。

【００３３】この広告割付領域４−２−２には、同一位置に他の広告と広告掲載が競合してしまい紙面に割り付けられずに再検討の必要となった広告が広告主名、広告寸法等の管理情報と共に、縮小固定大で広告領域に表示される。 （図４の４−２−２−１〜５参照） 広告割付領域４−２−２の広告領域の位置は、上下左右で各広告優先順位を表している。 また実紙面表示領域４
−１から作業面表示領域４−２へ広告の移動が発生した場合、対象となる広告は相似大の広告領域を縮小固定大の広告領域に表示置換し、他の広告との優劣を比較して割付位置を決定し、割付を行う。

【００３４】逆に作業面表示領域４−２から実紙面表示領域４−１へ広告の移動が発生した場合、対象となる広告は縮小固定大の広告領域を相似大の広告領域に表示変換して割付を行う。

【００３５】尚、対象となる広告領域を入力装置で指定することにより、広告の申込内容や過去の実績等の詳細情報の表示を行うこともできる。

【００３６】以下に図２〜図４を用いて本発明の処理動作について説明する。

【００３７】まず広告主１−１または広告会社１−２からの広告掲載申込要求を受けると申込情報入力端末１−
４から広告掲載申込情報１−３を入力し、入力処理手段１−５でこの入力処理を受け付けて申込情報入力データファイル１−６に格納する。

【００３８】この広告掲載申込情報１−３は、具体的には広告主のコード及び名称、広告会社のコード及び名称、広告掲載の希望年月日、広告掲載を希望する希望面、広告種別、縦の段数と横のセンチまたは横幅の比率で表した広告の寸法、広告原稿の内容名、広告原稿のカラー種別、掲載回数、広告主の業種、広告掲載の各希望に対する必須度等を含む。

【００３９】以下、広告割付作業を開始してからの処理を割付作業端末１−８における操作例をあげながら説明する。

【００４０】広告割付作業が開始され（ステップ２−
１）、入力装置から広告割付作業の対象となる広告掲載年月日が入力されると、該掲載日の全頁の紙面割付状況が一画面内に図３に示すイメージで，割付作業端末１−
８に表示される（ステップ２−２）。

【００４１】割付作業端末１−８の入力装置から掲載対象の広告を含む検索条件や表示順序を入力しすると、申込情報表示処理１−７が申込情報入力データファイル１
−６から検索して、検索ウィンドウ表示領域３−３に前記表示順序に従って一覧表形式で表示する（ステップ２
−３）。

【００４２】検索ウィンドウ表示領域３−３に表示された掲載申込情報の中から割付対象の掲載申込情報を選択し、入力装置で指示する（ステップ２−４）。

【００４３】ここで割付情報表示処理手段１−９で割付対象の掲載申込情報の掲載希望場所と同一の場所に既に他の広告の割付がなされているかどうかチェックする（ステップ２−５）。

【００４４】もし割り付けられていなければ実紙面表示領域３−１の該当する掲載面の希望位置を入力装置で指示し、対象とする掲載広告を相似大のイメージで割付作業端末１−８に画面表示して割付操作を行い、この結果を割付結果出力処理手段１−１０から割付情報出力データファイル１−１１へ格納し、この結果が掲載確定・実績出力処理手段１−１４から広告主／広告会社別実績ファイル１−１５に格納されて広告割付作業を終了する（ステップ２−６、ステップ２−１３）。

【００４５】一方、同一の場所に既に他の広告の割付がなされている場合には、割付を希望した広告と既に割付られていた広告について広告主／広告会社別実績ファイル１−１５や基本材料重量付けマスタファイル１−１６
を参照することによってそれぞれの広告の割付優先度の算出を割付優先度算出処理手段１−１７で行う。 この際、申込内容や過去の実績を基本材料として重量付けしたマスタファイル１−１６からそれぞれの広告のポイントを算出し、その結果を優劣の比較ができるように作業面表示領域３−２に基本材料毎や全体の合計点として、
数値あるいはグラフのイメージで表示する（ステップ２
−７）。

【００４６】この表示を参考に希望の掲載場所に掲載する広告を決定し、実紙面表示領域３−１の該当する掲載面の希望位置を入力装置で指示し、対象とする掲載広告を相似大のイメージで割付作業端末１−８に画面表示して割付操作を行い、この結果を割付結果出力処理手段１
−１０から割付情報出力データファイル１−１１へ格納すると共に、この割付結果を掲載確定・実績出力処理手段１−１４から広告主／広告会社別実績ファイル１−１
５に格納する（ステップ２−８）。 希望の紙面に割り付けられなかった広告の扱いをその申込希望の強さ（優先度の高さ）から考慮して同一面内あるいは同一掲載日内の割り付けの必要があるかを判断する（ステップ２−
９）。

【００４７】同一面内あるいは同一掲載日内での割付検討の必要がなければ、割付情報出力データファイル１−
１１から削除し、申込情報入力データファイル１−６からの検索ウィンドウ表示領域３−３の広告掲載の申込内容を未割付に戻して、広告割付作業を終了する（ステップ２−１０、ステップ２−１３）。

【００４８】同一面内あるいは同一掲載日内での割付検討の必要があれば、ステップ２−７及びステップ２−８
で行ったのと同様の処理を繰り返して割付作業を完了する（ステップ２−１１、２−１２、２−１３）。

【００４９】尚、基本材料重量付けマスタファイル１−
１６には、割付優先度を算出するための基本データが格納されており、具体的には申込広告の寸法、掲載回数、
各希望に対する必須度や広告主／広告会社の過去の実績としての掲載量、金額、単価、増加率の各値に対して重量付け値を設定してそれぞれ格納している。 この内容は端末からの操作で変更可能である。

【００５０】また紙面レイアウト１−１３は、紙面レイアウト出力処理手段１−１２から割付情報出力データファイル１−１１の内容を元に出力することが可能である。

【００５１】

【発明の効果】以上説明したように、過去の実績情報に基づいた割付優先度を一定の条件の元で算出することによって自動的に過去のデータを反映した継続的な割付作業が可能となる。 このため割付作業時に操作者が個別に管理している情報を別途用意して参照し広告の割付判断に介入する必要がなくなり作業効率が向上する。

【００５２】また自動化の促進により割付作業の標準化がさらに進むことにもなる。

【００５３】さらに作業面表示領域に割付の再検討が必要な広告が存在している状態では、その掲載日の紙面内容を確定する事ができないため紙面内容の確定のチェックにも使用でき、正確で漏れのない新聞広告割付システムを提供できるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のブロック構成図である。

【図２】本発明の割付作業の処理動作を示すフローチャートである。

【図３】本発明の割付作業中のディスプレイ表示のイメージ図である。

【図４】図３の実紙面表示領域の拡大したディスプレイ表示のイメージ図と作業面表示領域の拡大したディスプレイ表示のイメージ図である。

【符号の説明】

１−１ 広告主 １−２ 広告会社 １−３ 広告掲載申込情報 １−４ 申込情報入力端末 １−５ 入力処理手段 １−６ 申込情報入力データファイル １−７ 申込情報表示処理手段 １−８ 割付作業端末 １−９ 割付情報表示処理手段 １−１０ 割付結果出力処理手段 １−１１ 割付情報出力データファイル １−１２ 紙面レイアウト出力処理手段 １−１３ 紙面レイアウト １−１４ 掲載確定・実績出力処理手段 １−１５ 広告主／広告会社別実績ファイル １−１６ 基本材料重量付けマスタファイル １−１７ 割付優先度算出処理手段 ３−１ 実紙面表示領域 ３−２ 作業面表示領域 ３−３ 検索ウィンドウ表示領域 ４−１ 実紙面表示領域の拡大したディスプレイ表示のイメージ図 ４−１−１ 表題部 ４−１−２ 広告掲載領域 ４−１−３ 記事領域 ４−１−３−１ 記事領域（ａ社） ４−１−３−２ 記事領域（ｚ社） ４−１−４ 広告掲載領域と記事領域の境界を示す広告掲載予定段数 ４−２ 作業面表示領域の拡大したディスプレイ表示のイメージ図 ４−２−１ 表題部 ４−２−２ 広告割付領域 ４−２−２−１ 広告領域 ４−２−２−２ 広告領域 ４−２−２−３ 広告領域 ４−２−２−４ 広告領域 ４−２−２−５ 広告領域