【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はバッテリー収納部構造に係り、より詳細には電子機器のケースに設けたバッテリーを収納する収納部にスライドして嵌合するカバーを有したバッテリー収納部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のバッテリー収納部構造は、電子機器（例えば、ＰＨＳ電話機、携帯電話機などの移動体通信端末）のケース本体にバッテリーの収納部を一体に形成し、この収納部にカバーをスライド嵌合することで収納するバッテリー収納部構造を備えていた。 特に、例えば、携帯電話機においては、携帯することを目的としているため、小型化、薄型化が要求されており、この狭いケース内の設置スペースに電子部品とともにバッテリーを配置してカバーをスライド嵌合させるためのスペースを効率よく設けることが重要になる。 図４は、このような携帯電話機に採用した従来のバッテリー収納部構造を示す斜視図である。 また、図５は、図４に示したカバー４０の嵌合動作を示す動作説明図である。

【０００３】図４に示すように、携帯電話機に採用した従来のバッテリー収納部構造は、アンテナ部材３９などの内部部品とバッテリーとを収納可能に設けた携帯電話機のケース３０と、このケース３０にスライドして嵌合するカバー４０とを備えている。 ここで、ケース３０
は、バッテリー（図示せず）を収納するために凹状に形成した収納部３１を一体に形成している。 この収納部３
１は、図４に示した左右方向の両側壁に、複数対称に突出する嵌合凹部３２ａ、３２ｂ、３２ｃ、３２ｄと、凹状の溝が対称に平行して延在するレール３８とを一体に形成してる。 また、収納部３１の周壁には、図４に示した左右中心の後方に後端嵌合凹部３５と、前方の端部に矩形状に開口する係合穴３６を形成している。

【０００４】一方、カバー４０は、矩形で薄板状に形成した外周の左右両端と後端とに各々側壁を備え、この側壁の両側に端部から対称に内側に複数突出して延在する凸部４２ａ、４２ｂ、４２ｃ、４２ｄと、後部の中心から内側に突出する後端凸部４５とを一体に形成している。 また、カバー４０は、ケース３０に設けたレール３
８に挿入してスライド動作を案内するスライド凸部４８
を一体に形成している。 さらに、カバー４０は、後端凸部４５の前方端部にツメ形状を備えた係止ツメ４６を形成し、ケース３０にスライド嵌合する際に係合穴３６に係合してロックするように形成している。

【０００５】このように形成された携帯電話機に採用した従来のバッテリー収納部構造は、カバー４０をケース３０の収納部３１にスライドさせて嵌合する場合、まず、図５に示すように、レール３８の後部にスライド凸部４８を合わせて挿入する。 この際、凸部４２ａ、４２
ｃは、嵌合凹部３２ａ、３２ｃと嵌合凹部３２ｂ、３２
ｄとの間に配置される。 このようにスライド凸部４８と凸部４２とを所定の位置に設置することにより、ケース３０とカバー４０とを嵌合する。 そして、ケース３０とカバー４０とを嵌合すると、カバー４０を図４に示した前方向にスライドさせる。 これにより、凸部４２及び後端凸部４５は、嵌合凹部３２及び後端嵌合凹部３５に嵌合してカバー４０をケース３０に固定することができる。 この際、カバー４０は、係止ツメ４６がケース３０
の係合穴３６に挿入されてツメ部が係合することによりロックされる。

【０００６】このように従来のバッテリー収納部構造は、カバー４０の両側に対称に突出する複数の凸部４２
ａ、４２ｂ、４２ｃ、４２ｄを設け、ケース３０に設けた複数の嵌合凹部３２ａ、３２ｂ、３２ｃ、３２ｄにスライドさせて嵌合することによりカバー４０とケース３
０とを固定していた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のバッテリー収納部構造では、図４に示すように、例えば、アンテナ部材３９を収納部３１内に移動させてケース３０の全長Ｄを小型化する場合、アンテナ部材３９と収納部３１との間に嵌合凹部３２ｃが位置してアンテナ部材３９を移動できないため、ケース３０の小型化が困難になる。 また、このようにケース３０の側面に嵌合凹部３２のスペースを確保しているため、ケース３０内のスペース効率が悪くなるという不具合があった。 また、
従来のバッテリー収納部構造では、図４に示すように、
嵌合凹部３２に凸部４２を複数回スライドさせて嵌合することにより、左右方向のガタ付きが発生して効果的に固定することが困難になるという不具合があった。 本発明はこのような従来の間題点を解決して、電子機器ケースのバッテリー収納部で発生するカバーのガタ付きを防止し、内部の配置スペース効率を向上するバッテリー収納部構造を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解決するために、電子機器のケースにバッテリーを収納する収納部を備え、この収納部の両側に沿って複数対象に延在する嵌合凹部を設け、この嵌合凹部にスライドして嵌合する複数の凸部を形成したカバーを有し、このカバーをケースの収納部にスライドさせて固定することでバッテリーを収納するバッテリー収納部構造において、ケースの収納部内にカバーのスライド方向と平行して延在するリブを設け、カバーの両側に対称に形成した凸部のいずれか一方を収納部のリブに沿ってスライドして端部で係合する突起部に形成することにより、嵌合凹部を削減して収納部の配置スペースを確保するとともに、カバーの挿入嵌合時にガイドの役目をしてガタ付きを防止するように設ける。

【０００９】ここで、カバーには、両側に対称に形成した凸部のいずれか一方に突起部を設け、他方側には収納部の側面にスライドして内側に突出することなく嵌合する係合凸部を更に設けて収納部の配置スペースを確保することが好ましい。 また、カバーには、ケースにスライド嵌合する際にケースに係合してロックする係止ツメを設けることが好ましい。 また、カバーには、後端中央部に突出する後端凸部を設け、ケースにスライド嵌合する際に凸部と同時に係合するように設けることが好ましい。 また、ケースには、スライド嵌合する際に誘導するレールを形成し、カバーから延在するスライド凸部を係合して案内するように設けることが好ましい。 また、電子機器は、ＰＨＳ電話機、リモコン、携帯電話機などの電子機器であることが好ましい。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して本発明によるバッテリー収納部構造の実施の形態を詳細に説明する。 図１は、本発明によるバッテリー収納部構造を携帯電話機に適用した実施の形態を示す斜視図である。 また、図２は、図１に示したＡ部の詳細を示す拡大図である。 また、図３は、図１に示したＢ部の詳細を示す拡大図である。

【００１１】図１に示すように、本発明によるバッテリー収納部構造を携帯電話機に採用した実施の形態は、図４に示した従来のバッテリー収納部構造と同様に、アンテナ部材１９などの内部部品とバッテリーとを収納可能に形成した携帯電話機のケース１０と、このケース１０
にスライドして嵌合するカバー２０とを備えている。 また、ケース１０には、バッテリー（図示せず）を収納するため、凹状に形成した収納部１１を一体に形成している。 この収納部１１の周壁には、図１に示した左右中心の後方に後端嵌合凹部１５と、前方向の端部に矩形状に開口する係合穴１６とを形成するととに、左右方向の両側に凹状の溝が平行して延在させたレール１８を一体に形成している。

【００１２】また、本発明によるバッテリー収納部構造は、図４に示した従来のバッテリー収納部構造と異なり、収納部１１の図１に示した左側前方に開口する開口穴１４ａを設け、この開口穴１４ａの開口面に垂直に延在するリブ１４を形成している。 このリブ１４の端部近傍には、側壁に沿って配置された嵌合凹部１２ｂが設けてある。 これと同様に、収納部１１の図１に示した右側前方には、側壁に沿って配置された嵌合凹部１２ａが設けてある。 また、この嵌合凹部１２ａの後方には、側面を一部切り欠いた係合凹部１３が設けてある。

【００１３】一方、カバー２０は、図４に示した従来のカバーと同様に、矩形で薄板状に形成した外周の左右両端と後端とに各々側壁を備え、この後部側壁の中心から内側に突出する後端凸部２５と、この後端凸部２５と対向する前方端部にケース１０にスライド嵌合する際に係合穴１６に係合してロックするツメ形状を備えた係止ツメ２６とを一体に形成している。 また、カバー２０には、ケース１０に設けたレール１８に挿入してスライド動作を案内するスライド凸部２８が一体に形成されている。

【００１４】また、カバー２０には、図４に示した従来のカバーと異なり、左右の両側壁に突出するように、凸部２２ａ、２２ｂ、突起部２４、及び係合凸部２３が一体に形成されている。 そして、カバー２０の前方には凸部２２ｂと突起部２４とが形成され、後方には凸部２２
ａと突起部２４とが各々形成されている。

【００１５】ここで、突起部２４は、ケース１０とカバー２０とを嵌合してスライド嵌合する際、図２に示すように、ケース１０に設けたリブ１４の側面に当接させ、
この側面に沿ってスライドするように形成されている。
従って、突起部２４は、リブ１４に沿ってスライド嵌合するため、スライドする際の案内の役割をするとともにカバー１０のガタ付きを防止することができる。 また、
突起部２４は、ケース１０とカバー２０とを嵌合した際、ケース１０に設けた開口穴１４ａに挿入して固定するため、左右方向にカバー２０がガタ付くことを防止し、ケース１０からカバー２０が浮いてしまうことを矯正することができる。

【００１６】また、ケース１０に形成した係合凹部１３
は、図３に示すように、係合凸部２３が挿入される方向に切り欠いた切り欠き部１３ａと、この切り欠き部１３
ａに近接して突出する係合部１３ｂとを形成している。
従って、カバー２０の係合凸部２３を係合凹部１３に係合した際、係合凸部２３が係合凹部１３の内部に収納されて側面から突出しないため、収納部１１内の配置スペースを広く設けることができる。

【００１７】また、ケース１０の収納部１１には、図１
に示したように、前方端部にリブ１４と開口穴１４ａとを形成してカバー２０の突起部２４を嵌合する構造に形成して嵌合凹部１２ａのような嵌合部を排除しているため、この位置に配置スペースを確保でき、アンテナ部材１９などの部品を配置することができる。 従って、ケース１０は、図１に示した全長Ｃを図４に示した従来のケースの全長Ｄに比べて小型化することが可能になる。

【００１８】このように形成された本発明によるバッテリー収納部構造を携帯電話機に採用した実施の形態は、
カバー２０をケース１０の収納部１１にスライドさせて嵌合する場合、まず、図１に示したように、レール１８
の後部にスライド凸部２８を合わせて挿入するとともに、図２に示したように突起部２４をリブ１４に当接させる。 これと同時に、カバー２０の係合凸部２３は、図３に示したように係合凹部１３の切り欠き部１３ａに挿入させる。

【００１９】このようにケース１０とカバー２０とを嵌合すると、カバー２０を図１に示した前方向にスライドさせる。 この際、カバー２０は、スライド凸部２８と突起部２４とがレール１８及びリブ１４によって案内されてスライドする。 そして、カバー２０は、凸部２２及び後端凸部２５が、嵌合凹部１２と後端嵌合凹部１５とに各々嵌合することでケース１０に固定される。 また、カバー２０の係止ツメ２６は、凸部２２及び後端凸部２５
が嵌合凹部１２と後端嵌合凹部１５とに各々嵌合すると同時に、ケース１０の係合穴１６に挿入されてツメ部が係合することによりロックする。 このようにカバー２０
は、ケース１０の収納部１１にスライドして嵌合させることで固定される。

【００２０】以上、本発明によるバッテリー収納部構造の実施の形態を詳細に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。 例えば、本発明によるバッテリー収納部構造を携帯電話機に適用した実施の形態を説明したが、本発明は特に携帯電話機などの移動体通信端末に限定されるものではなく、リモコンなどの電子機器にも適用可能である。

【００２１】

【発明の効果】このように、本発明によるバッテリー収納部構造によれば、ケース側面に形成される嵌合凹部の構造を突起部及びリブにすることにより、内部スペースの利用が可能になり設置スペースを効率よく改善することができるとともに、電子機器のケース全体を小型化することができる。 また、本発明によるバッテリー収納部構造によれば、カバーの突起部がリブに沿って案内されてケースにスライド嵌合するように設けているため、この突起部がカバーの左右方向のガタ付きを効果的に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるバッテリー収納部構造を携帯電話機に適用した実施の形態を示す斜視図。

【図２】図１に示したＡ部の詳細を示す拡大図。

【図３】図１に示したＢ部の詳細を示す拡大図。

【図４】携帯電話機に採用した従来のバッテリー収納部構造を示す斜視図。

【図５】図４に示したカバーの嵌合動作を示す動作説明図。

【符号の説明】

１０ ケース １１ 収納部 １２ａ、１２ｂ 嵌合凹部 １３ 係合凹部 １４ リブ １４ａ 開口穴 １５ 後端嵌合凹部 １６ 係合穴 １８ レール １９ アンテナ部材 ２０ カバー ２２ａ、２２ｂ 凸部 ２３ 係合凸部 ２４ 突起部 ２５ 後端凸部 ２６ 係止ツメ ２８ スライド凸部