【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、温水循環式床暖房用パネル及びそれを用いた温水循環式床暖房装置とその組立方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の建物の床暖房施設に、図１２に示すようにスラブコンクリート２０の上に断熱材２１を配し、その上に打設するセメントコンクリート２２中にワイヤーメッシュ２３を介して温水パイプ２４を並列に往復させて埋設し、セメントコンクリート２２上に仕上げ床２５を敷設し、前記温水パイプ２４に温水を循環させる床暖房施設がある。

【０００３】ところで上記床暖房施設は、施工時に、セメントコンクリート２２の打設前に温水パイプ２４を決められたピッチで、墨だし及びワイヤーメッシュ２３に緊結しなければならず、セメントコンクリート２２を打設するときは温水パイプ２４を傷付けたり、温水パイプ２４を踏まないように作業者の注意が必要である。 従って、工数が多く、工事期間が長く、施工費が高いなどの問題があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、コンクリートに温水パイプを埋め込まないで施工でき、またユニット化されて施工精度の向上、施工の簡易化、工期短縮を図ることができると共にコストダウンを図ることができ、さらに住宅の小規模なものから大規模な建物まで任意の間取りに対応でき、建物の竣工後でも施工可能で、部分的な施工も可能な温水循環式床暖房用のパネル及びそれを用いた温水循環式床暖房装置とその組立方法を提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明の温水循環式床暖房用パネルの１つは、下層に断熱材，中間層に蓄熱材，上層に仕上げ材を配した一体の平面矩形の三層構造になされ、蓄熱材の中間層に可撓性ホースを通す孔が設けられていることを特徴とするものである。 可撓性ホースを通す孔は、平面直線状のものと、平面９０度カーブのものとの２種類ある。

【０００６】本発明の温水循環式床暖房用パネルの他の１つは、下層に断熱材，上層に蓄熱材を配した一体の平面矩形の二層構造になされ、蓄熱材の上層に可撓性ホースを嵌め込む溝が設けられ、この溝が仕上げ材にて塞がれることを特徴とするものである。 可撓性ホースを嵌め込む溝は、平面直線状のものと、平面９０度カーブのものとの２種類ある。

【０００７】本発明の温水循環式床暖房装置の１つは、
スラブ又は床材の上に、可撓性ホースを通す孔が平面直線状に有する平面矩形の温水循環式床暖房用パネルと、
可撓性ホースを通す孔が平面９０度カーブに有する平面矩形の温水循環式床暖房用パネルとが、可撓性ホースを通す孔が連通して適宜に配列設置され、その連通された孔に可撓性ホースが挿通され、可撓性ホースに温水が循環流通されることを特徴とするものである。

【０００８】本発明の温水循環式床暖房装置の他の１つは、スラブ又は床材の上に、可撓性ホースを嵌め込む溝が平面直線状に有する平面矩形の温水循環式床暖房用パネルと、可撓性ホースを嵌め込む溝が平面９０度カーブに有する平面矩形の温水循環式床暖房用パネルとが、可撓性ホースを嵌め込む溝が連通して適宜に配列設置され、その連通された溝に可撓性ホースが嵌め込まれ、その上に仕上げ材が敷設されて前記溝が塞がれ、前記可撓性ホースに温水が循環流通されることを特徴とするものである。

【０００９】前記本発明の温水循環式床暖房装置の１つを組立てる組立方法は、平面直線状の孔を有する平面矩形の温水循環式床暖房用パネルと、平面９０度カーブの孔を有する平面矩形の温水循環式床暖房用パネルとを、
適宜選択の上、それらの孔に可撓性ホースを貫通させながら、前記パネルを順次スラブ又は床材の上に配列並置していき、然る後可撓性ホースの両端を温水源に連繋することを特徴とするものである。

【００１０】前記本発明の温水循環式床暖房装置の他の１つを組立てる組立方法は、スラブ又は床材の上に、平面直線状の溝を有する平面矩形の温水循環式床暖房用パネルと、平面９０度カーブの溝を有する平面矩形の温水循環式床暖房用パネルとを、適宜選択の上、それらの溝を連通しながら配列並置していき、次に連通した溝に可撓性ホースを嵌め込み、次いでその上に仕上げ材を敷設して溝を塞ぎ且つ可撓性ホースを陰蔽し、然る後前記可撓性ホースの両端を温水源に連繋することを特徴とするものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明の温水循環式床暖房用パネル及びそれを用いた温水循環式床暖房装置とその組立方法の実施形態について説明する。 先ず温水循環式床暖房用パネルの１つについて説明すると、図１，図２に示すように下層に断熱材１，中間層に蓄熱材２，上層に仕上げ材３を配した一体の平面矩形本例では正方形の三層構造になされ、蓄熱材２の中間層に可撓性ホースを通す孔４が設けられている。 かかる構造の温水循環式床暖房用パネルは、可撓性ホースを通す孔４が図２に示すように平面直線状のパネル５と、図３に示すように平面９０度カーブの孔４′を有するパネル５′の２種類がある。

【００１２】次に上記の２種類の温水循環式床暖房用パネル５，５′を用いて温水循環式床暖房装置を組立てる組立方法について説明すると、図４の（ａ）に示すように可撓性ホース、本例の場合ゴムホース６を、温水循環式床暖房用パネル５の直線状の孔４に通す。 次に孔４から引き出したゴムホース６を図４の（ｂ）に示すように温水循環式床暖房用パネル５の孔４に貫通させる。 以後順次同じパネル５の孔４にゴムホース６を貫通させながら図４の（ｃ）に示すようにパネル５をスラブ又は床材７上に配列していき、端部に至ったならば９０度カーブの孔４′を有するパネル５′の孔４′にゴムホース６を貫通させて図４の（ｄ）に示すように配列し、その隣りに９０度カーブの孔４′を有するパネル５′を９０度向きに変えてその孔４′にゴムホース６を貫通させて図４
の（ｅ）に示すように配列し、以後適宜パネル５，５′
を図４の（ｆ）に示すように配列並置して、所要の面積のスラブ又は床材７の全面に施工して並列に往復する温水循環経路８を形成したならば、ゴムホース６の両端を図５に示すように温水源９に連繋する。

【００１３】このように組立てられた温水循環式床暖房装置１０は、スラブ又は床材７の上に、平面直線状の孔４を有する平面正方形の温水循環式床暖房用パネル５
と、平面９０度カーブの孔４′を有する平面正方形の温水循環式床暖房用パネル５′とが、孔４，４′を連通して適宜に配列設置され、その連通した孔４，４′にゴムホース６が挿通されているので、このゴムホース６に温水源８から温水を循環流通することにより床暖房が行われる。

【００１４】本発明の温水循環式床暖房用パネルの他の１つについて説明すると、図６，図７に示すように下層に断熱材１，上層に蓄熱材２を配した一体の平面矩形，
本例では正方形の二層構造になされ、蓄熱材２の上層に可撓性ホースを嵌め込む溝１１が設けられ、この溝１１
が仕上げ材３′にて塞がれるようになっている。 かかる構造の温水循環式床暖房用パネルは、可撓性ホースを嵌め込む溝１１が図７に示すように平面直線状のパネル１
２と、図８に示すように平面９０度カーブの溝１１′を有するパネル１２′の２種類がある。

【００１５】次に上記の２種類の温水循環式床暖房用パネル１２，１２′を用いて温水循環式床暖房装置を組立てる組立方法について説明すると、図９の（ａ）に示すようにスラブ又は床材７上に、平面直線状の溝１１を有する平面正方形のパネル１２と、平面９０度カーブの溝１１′を有する平面正方形のパネル１２′とを適宜選択の上、それらの溝１１，１１′を連通しながら配列並置していき、次に連通した溝１１，１１′に図９の（ｂ）
に示すように可撓性ホース、本例の場合ゴムホース６を嵌め込み、次いでその上に図９の（ｃ）に示すように適宜な大きさの仕上げ材３′を複数のパネル１２，１２′
にわたって敷設して溝１１，１１′を塞ぎ且つゴムホース６を陰蔽する。 こうして所要の面積のスラブ又は床材７の全面に、図９（ｄ）に示すようにパネル１２，１
２′を配列並置し、溝１１，１１′にゴムホース６を嵌め込んで並列に往復する温水循環経路１３を形成し、仕上げ材３′を敷設したならば、ゴムホース６の両端を図１０に示すように温水源９に連繋する。

【００１６】このように組立てられた温水循環式床暖房装置１４は、スラブ又は床材７の上に、平面直線状の溝１１を有する平面正方形の温水循環式床暖房用パネル１
２と、平面９０度カーブの溝１１′を有する平面正方形の温水循環式床暖房用パネル１２′とが、溝１１，１
１′を連通して適宜に配列設置され、その連通した溝１
１，１１′にゴムホース６が嵌め込まれ、その上に仕上げ材３′が敷設されて前記溝１１，１１′が塞がれ、且つゴムホース６が陰蔽されているので、このゴムホース６に温水源９から温水を循環流通することにより床暖房が行われる。

【００１７】尚、上記図５，図１０に示す温水循環式床暖房装置１０，１４における温水循環経路８，１３は、
並列に往復する経路であるが、パネルの配列と向きを適宜に選定することにより、図１１の（ａ），（ｂ），
（ｃ）に示すような温水循環経路１５，１６，１７を形成することができる。

【００１８】

【発明の効果】以上の説明で判るように本発明の温水循環式床暖房用パネルは、可撓性ホースを通す直線状と９
０度カーブの孔又は溝を有するので、これを適宜に孔又は溝を連通するようにスラブ又は床材の上に配列設置することにより、床暖房用の構造体が構成できるので連通した孔又は溝に可撓性ホースを配することにより、従来のようにコンクリートを打設して温水パイプを埋め込む必要がない。 また構成された床暖房用の構造体は、ユニット化された温水循環式床暖房用パネルを主要素としているので、本発明の温水循環式床暖房装置の組立方法の実施において、施工精度が向上し、施工が簡易化し、工期が短縮すると共にコストダウンできる。 さらに、本発明の温水循環式床暖房装置は、住宅の小規模なものから大規模なものまで任意の間取りに対応でき、建物の竣工後でも施工でき、居室の部分的な施工も可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の温水循環式床暖房用パネルの１つを示す縦断面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】可撓性ホースを通す孔を９０度カーブとした温水循環式床暖房用パネルの平面図である。

【図４】（ａ）〜（ｆ）は図２，図３の温水循環式床暖房用パネルを用いて温水循環式床暖房装置を組立てる本発明の組立方法の１つの工程を示す図である。

【図５】図４の組立方法により組立てられた本発明の温水循環式床暖房装置の１つを示す平面図である。

【図６】本発明の温水循環式床暖房用パネルの他の１つを示す縦断面図である。

【図７】図６の平面図である。

【図８】可撓性ホースを嵌め込む溝を９０度カーブとした温水循環式床暖房用パネルの平面図である。

【図９】（ａ）〜（ｄ）は図７，図８の温水循環式床暖房用パネルを用いて温水循環式床暖房装置を組立てる本発明の組立方法の他の１つの工程を示す図である。

【図１０】図９の組立方法により組立てられた本発明の温水循環式床暖房装置の他の１つを示す平面図である。

【図１１】（ａ），（ｂ），（ｃ）は夫々本発明の温水循環式床暖房装置の温水循環経路の他の例を示す図である。

【図１２】従来の建物の床暖房施設を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 下層の断熱材 ２ 中間層の蓄熱材 ３ 上層の仕上げ材 ３′ 仕上げ材 ４ 可撓性ホースを通す平面直線状の孔 ４′ 可撓性ホースを通す平面９０度カーブの孔 ５，５′ 温水循環式床暖房用パネル ６ 可撓性ホース（ゴムホース） ７ スラブ又は床材 ９ 温水源 １０ 温水循環式床暖房装置 １１ 可撓性ホースを嵌め込む平面直線状の溝 １１′ 可撓性ホースを嵌め込む平面９０度カーブの溝 １２，１２′ 温水循環式床暖房用パネル １４ 温水循環式床暖房装置