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多孔質体の製造方法

阅读:291发布:2020-05-08

专利汇可以提供多孔質体の製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】より一層誘電率が低い低誘電の樹脂多孔質体を、工業的に低コストで製造する方法を提供する。 【解決手段】多孔化剤を含む多孔質体用前駆体から、超臨界状態の媒体を用いて多孔化剤を抽出する、多孔質体の製造方法であって、多孔質体用前駆体のシートの間に、媒体の流路を提供する 媒体流 路用材が挟持され、ロール状に巻回されたロール状巻回体を用意する工程、及びロール状巻回体に、超臨界状態の前記媒体を流通させる工程を具備し、媒体流路用材が媒体を流通させる性能を示す、下記評価方法によるエタノール排出時間が900秒以下である多孔質体の製造方法。内径20mm、外径40mm、幅170mmの、媒体流路用材のロール状巻回体を準備する。準備したロール状巻回体を直立させ、直立したロール状巻回体の上部からエタノール60g、赤色浸透液10gの 混合液 を流し込む。混合液を流し込んでから、混合液が直立したロール状巻回体の底部まで到達するまでの時間を、エタノール排出時間として測定する。 【選択図】図2A,下面是多孔質体の製造方法专利的具体信息内容。

多孔化剤を含む多孔質体用前駆体から、超臨界状態の媒体を用いて前記多孔化剤を抽出する、多孔質体の製造方法であって、 前記多孔質体用前駆体のシートの間に、前記媒体の流路を提供する媒体流路用材が挟持され、ロール状に巻回されたロール状巻回体を用意する工程、及び 前記ロール状巻回体に、超臨界状態の前記媒体を流通させる工程 を具備し、 前記媒体流路用材が前記媒体を流通させる性能を示す、下記評価方法によるエタノール排出時間が900秒以下であることを特徴とする多孔質体の製造方法。 ・内径20mm、外径40mm、幅170mmの、前記媒体流路用材のロール状巻回体を準備する。 ・準備した前記ロール状巻回体を直立させ、直立した前記ロール状巻回体の上部からエタノール60g、赤色浸透液10gの混合液を流し込む。 ・前記混合液を流し込んでから、該混合液が直立した前記ロール状巻回体の底部まで到達するまでの時間を、前記エタノール排出時間として測定する。前記媒体流路用材の厚みが400μm以下であり、前記エタノール排出時間が60秒以下であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔質体の製造方法。前記媒体流路用材の厚みd1と、前記多孔質体用前駆体のシートの厚みd2とが下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1又2に記載の多孔質体の製造方法。 0.1 ≦ d1/d2 ≦ 10 (1)前記媒体流路用材に対する二酸化炭素の溶解性S(温度:200℃、圧:30MPa)が下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の多孔質体の製造方法。 S ≦ 0.3 (2)前記多孔質体用前駆体のシートが基材の上に設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の多孔質体の製造方法。前記基材が金属箔であることを特徴とする請求項5に記載の多孔質体の製造方法。

说明书全文

本発明は、低誘電基板材料として有用な多孔質体を製造する方法に関し、詳しくは、超臨界状態を利用した多孔質体の製造方法に関する。

現在、いわゆる「第三世代(3G)」や「第四世代(4G)」と言われる規格の無線通信が広く利用されている。しかしながら、近年、画像データ等の通信容量がより一層増加傾向にあり、より大容量のデータをより高速で伝送できる、いわゆる「第五世代(5G)」の規格の無線通信の開発がすすめられている。

この第五世代(5G)の無線通信の規格では、ミリ波を含む高周波が用いられる。このミリ波は、大気中の分で減衰しやすいという特性を有している。そのため、ミリ波を放出する高周波アンテナの基板として、誘電率が低いものが求められている。すなわち、アンテナ用基板として、低誘電のものを用いると、効率よくミリ波の電波を放出することができるため、通信距離が延び、アンテナ部材の小面積化を図ることができ、しかも、低消費電にもつながる。

また、近年、FPC(フレキシブルプリント回路基板)についても、高速に伝送させることができるものが求められている。

このような無線通信のアンテナやFPCの基板材料として、誘電率の低い低誘電基板の開発が進められており、ポリイミド系樹脂やフッ素系樹脂などの低誘電樹脂材料を用いた基板が開発されている。

また、基板として多孔質体のものも検討されている。多孔質体は、最も低い誘電率1である空気を孔内に有することから、多孔質体は誘電率が比較的低くなる。このような多孔質体を用いた金属箔積層板として、例えば、絶縁材である樹脂多孔質層と、その厚み方向両側に配置される金属箔とを備える金属箔積層板が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。

特許文献1では、金属箔積層板における2つの金属箔をパターンニングすることにより、樹脂多孔質層の表側に信号線と、樹脂多孔質層の裏側にグランド層とを形成して、高周波用配線基板を製造している。

特開2004−82372号公報

しかしながら、従来の多孔質体としての樹脂多孔質層としては、空孔率が低く、より一層低い低誘電率のものが求められている。 また、低誘電の樹脂多孔質体について、工業的に製造(具体的には、量産)する方法が確立しておらず、低コストで製造する方法が求められている。

すなわち、本発明の課題は、より一層誘電率が低い低誘電の樹脂多孔質体を、工業的に低コストで製造する方法を提供することにある。

本発明者らは、鋭意検討した結果、空孔率として60%以上の高空孔率の樹脂多孔質体を開発したが、空孔が基本的に独立孔でなければ、金属箔積層板として有用でないことが分かった。

また、低誘電の樹脂多孔質体を工業的な生産条件にて低コストで製造するために、単数乃至数十個程度の金属箔積層板の集合体ではなく、多数の金属箔積層体からなるシート状のもので製造することを新たに考えた。

そして、この工業的な生産条件での製造方法(量産製法)を確立させるために、樹脂多孔質体の製造方法、金属箔積層体の製造方法を詳細に検討し、本発明を完成させた。

すなわち、本発明は、多孔化剤を含む多孔質体用前駆体から、超臨界状態の媒体を用いて前記多孔化剤を抽出する、多孔質体の製造方法であって、 前記多孔質体用前駆体のシートの間に、前記媒体の流路を提供する媒体流路用材が挟持され、ロール状に巻回されたロール状巻回体を用意する工程、及び 前記ロール状巻回体に、超臨界状態の前記媒体を流通させる工程 を具備し、 前記媒体流路用材が前記媒体を流通させる性能を示す、下記評価方法によるエタノール排出時間が900秒以下であることを特徴とする多孔質体の製造方法である。 ・内径20mm、外径40mm、幅170mmの、前記媒体流路用材のロール状巻回体を準備する。 ・準備した前記ロール状巻回体を直立させ、直立した前記ロール状巻回体の上部からエタノール60g、赤色浸透液10gの混合液を流し込む。 ・前記混合液を流し込んでから、該混合液が直立した前記ロール状巻回体の底部まで到達するまでの時間を、前記エタノール排出時間として測定する。

上記媒体流路用材の厚みが400μm以下であり、上記エタノール排出時間が60秒以下であるのが望ましい。

また、上記媒体流路用材の厚みd1と、上記多孔質体用前駆体のシート(溶媒含有)の厚みd2とが下記式(1)を満たすのが望ましい。 0.1 ≦ d1/d2 ≦ 10 (1)

さらに、上記媒体流路用材の二酸化炭素に対する溶解性S(温度:100℃、圧力:30MPa)が下記式(2)を満たすのが望ましい。

S ≦ 0.3 (2)

上記多孔質体用前駆体のシートが基材の上に設けられているのが望ましい。 さらに、前記基材が金属箔であるのが望ましい。

このような本発明の多孔質体の製造方法によれば、空孔率が低く、より一層低い低誘電率の樹脂多孔質体を、低コストで工業的に製造(具体的には、量産)することができる。しかも、樹脂多孔質体として、空孔が基本的に独立孔であるものを効率よく製造することができ、金属箔積層板の低誘電基板として有用である。

本発明の多孔質体の製造方法の一態様を示すフローである。

本発明で使用するロール状巻回体を構成する積層体の例を示す図である。

本発明で使用するロール状巻回体を構成する積層体の他の例を示す図である。

本発明で使用するロール状巻回体を構成する積層体のさらに他の例を示す図である。

本発明で使用するロール状巻回体の例を示す図である。

本発明で使用する媒体流路用材のエタノール排出時間の評価方法を示す図である。

本発明で使用する媒体流路用材のエタノール排出時間の評価方法を示す図である。

本発明で使用する媒体流路用材のエタノール排出時間の評価方法を示す図である。

本発明の多孔質体の製造方法は、図1に示すように、多孔化剤その他の成分(例えば、ポリイミドワニスや核剤、N−メチルピロリドン等の溶媒など)を含む多孔質体用前駆体のワニス(混合液)を配合し、これを基材に塗工して乾燥して多孔化前の樹脂シートとした後、超臨界状態の二酸化炭素等の媒体を用いて多孔化前の樹脂シートから多孔化剤を抽出して樹脂シートを多孔化する超臨界抽出を行い、必要に応じて真空条件下で多孔化後の樹脂シートを硬化させ、その上に金属層を積層することにより多孔質体を製造する方法等とすることができるものである。 そして、本発明の多孔質体の製造方法では、多孔質体用前駆体のシートの間に、上記評価方法によるエタノール排出時間が900秒以下である、媒体の流路を提供する媒体流路用材が挟持され、ロール状に巻回された形態のロール状巻回体を用いている。 多孔質体用前駆体のシートの間に、媒体流路用材が挟持されるような積層構造とする場合、例えば、図2Aに示すように、ポリイミド前駆体層などの多孔質体用前駆体のシート1(厚さ120μm)の一方の表面に、媒体流路用材2(厚さ240μm)を積層し、このようにして得られた積層体をロール状に巻回すればよい。あるいは、図2Bに示すように、多孔質体用前駆体のシート1(厚さ120μm)の一方の表面に、第1の媒体流路用材2(厚さ240μm)を積層し、さらに第2の媒体流路用材3(厚さ180μm)を積層し、このようにして得られた積層体をロール状に巻回してもよい。さらには、図2Cに示すように、多孔質体用前駆体のシート1(厚さ120μm)が銅箔などの基材4(厚さ12μm)の上に設けられ、多孔質体用前駆体のシート1の基材5が接していない方の表面に、媒体流路用材2(厚さ240μm)を積層し、このようにして得られた積層体をロール状に巻回してもよい。 そして、このようにして得られた積層体をロール状に巻回すには、例えば、図3に示すように、積層体4(幅500mm)を、積層体の幅と同程度の幅を有する巻芯5(外径85mm)の周りに、全体の直径が所定のサイズ(図では170mm)となるまで巻き回すようにすればよい。

1.<多孔質体用前駆体シート> 本発明における多孔質体用前駆体シートは、多孔化前の樹脂シート(多孔質体用前駆体シート)であれば特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂による多孔質体用前駆体シート、熱硬化性樹脂による多孔質体用前駆体シート(熱硬化性樹脂系多孔材用前駆体シート)などから適宜選択して用いることができる。本発明では、熱硬化性樹脂系多孔質体用前駆体シートを好適に用いることができる。この場合、熱硬化性樹脂は、未反応物、完全反応物(実質的に完全に反応が終了しているもの)、部分反応物(反応状態が未反応物と完全反応物との中間状態のもの)の何れであってもよいが、シート状への成形性や多孔化性などの観点より部分反応物が好適である。

なお、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素樹脂、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエステル・ポリエステルエラストマー、ポリエステル・ポリエーテルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、これらを単独で又は2種以上混合して用いることができる。

また、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド、ジアリルフタレート樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上混合して用いることができる。

このような熱硬化性樹脂系多孔質体用前駆体シートとしては、特に、ポリイミド系樹脂による多孔質体用前駆体シート(ポリイミド系多孔質体用前駆体シート)が好ましく、中でも、ポリイミド樹脂による多孔質体用前駆体シート(ポリイミド多孔質体用前駆体シート)であることが好ましい。

1.1.<ポリイミド系樹脂組成物> ポリイミド多孔質体用前駆体シートは、ポリイミド樹脂組成物により形成することができる。このポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド樹脂と、多孔化剤、核剤などを含有している。なお、このポリイミド樹脂組成物には、公知ないし慣用の添加剤が含まれていても良く、たとえば、可塑剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、滑剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、難燃剤、帯電防止剤などが挙げられる。また、ポリイミド系樹脂組成物には、ポリイミド系樹脂以外の樹脂が、本発明の目的等を阻害しない範囲で1種又は2種以上含まれていても良く、例えば、上記熱可塑性樹脂や上記熱硬化性樹脂などを用いることができる。

1.1.1.<ポリイミド樹脂> ポリイミド多孔質体用前駆体シートに関するポリイミド樹脂としては、公知ないし慣用のポリイミド樹脂を用いることができる。このようなポリイミド樹脂は、多価カルボン酸又はその無水物と、多価アミン系化合物との反応物であり、部分反応物であるポリイミド前駆体を利用することもできる。

具体的には、ポリイミド前駆体としては、イミド化反応によりポリイミドに変換可能な中間体であればよく、公知乃至慣用の方法により得ることができる。例えば、ポリイミド前駆体は、有機テトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物(ジアミン)とを反応させることにより得ることができる。

上記有機テトラカルボン酸二無水物としてはピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等が挙げられる。これらの有機テトラカルボン酸二無水物は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。

上記ジアミノ化合物としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−2,2−ジメチルビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル等が挙げられ、単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。

なお、多価カルボン酸又はその無水物と、多価アミン系化合物との割合は、特に制限されず、多価カルボン酸又はその無水物の種類、多価アミン系化合物の種類、目的とする反応物の種類、その他の添加剤の種類などに応じて適宜選択できる。具体的には、通常、同一又はほぼ同一のモル数であるが、特に制限されない。

前記ポリイミド前駆体は、有機テトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物(ジアミン)とを、公知乃至慣用の反応に供することにより得ることができる。具体的には、例えば、有機溶媒中で部分的に反応させることにより得ることができる。この反応時の温度としては、多価カルボン酸又はその無水物や、多価アミン系化合物の種類などに応じて、0〜90℃の範囲から適宜選択できる。また、反応時の時間としては、特に制限されないが、例えば、1〜24時間の範囲から適宜選択できる。

なお、前記有機溶媒としては、特に制限されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が挙げられる。有機溶媒として、例えば、N−メチル−2−ピロリドンを用いると、高い空孔率で平均孔径が小さいポリイミド多孔質体用前駆体シートを有効に得ることができる。

1.2.<多孔化剤> 多孔化剤としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;前記ポリアルキレングリコールの末端封鎖物(片末端封鎖物、両末端封鎖物、両方の末端が異なる基により封鎖されている封鎖物の何れであってもよく、例えば、片末端もしくは両末端アルキル封鎖物、片末端もしくは両末端アリール封鎖物、片末端もしくは両末端(メタ)アクリレート封鎖物などの他、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールの一方の末端がアルキル基又はアリール基で封鎖され、他方の末端が(メタ)アクリレートで封鎖されている化合物など);ウレタンプレポリマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールポリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物などが挙げられる。これらは、その一種で又は複数を同時に選択してもよい。

本発明では、多孔化剤としてポリオキシエチレンジメチルエーテルを用いると、独泡構造を有する多孔質体を有効に得ることができる。

1.3.<核剤> 核剤としては、公知ないし慣用の核剤から適宜選択して用いることができるが、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用することにより、独泡構造を有する多孔質体を有効に得ることができる。

このようなポリテトラフルオロエチレンとしては、粉末状の形態、顆粒状の形態など、その形態は特に制限されない。ポリテトラフルオロエチレンの平均粒径としては、特に制限されないが、例えば、10μm以下(好ましくは8μm以下)の範囲から適宜選択できる。ポリテトラフルオロエチレンの平均粒径が10μmを超えると、多孔質体の孔の平均孔径が大きくなる傾向がある。なお、リテトラフルオロエチレンの平均粒径の下限値としては、特に制限されないが、例えば、0.5μm以上(好ましくは1μm以下)の範囲から適宜選択できる。ポリテトラフルオロエチレンの平均粒径の下限値が0.5μm未満であると、多孔質体の誘電率の調整が困難になる。

1.4.<組成> ポリイミド系樹脂組成物としては、ポリイミド系樹脂(特にポリイミド樹脂)と、多孔化剤や核剤などとを混合して得ることができる。

前記多孔化剤の添加量は、空孔の平均孔径を十分に小さなものとする観点から、例えば、ポリイミド前駆体100重量部に対して200重量部以下(好ましくは150重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下)の範囲から適宜選択することができる。また、多孔質体の誘電率を十分に小さなものとする観点から、多孔化剤の添加量の下限値は、ポリイミド前駆体100重量部に対して10重量部以上(好ましくは20重量部以上、さらに好ましくは30重量部以上)の範囲から適宜選択することができる。

前記核剤は、空孔の平均孔径を十分に小さなものとする観点から、例えば、ポリイミド前駆体100重量部に対して20重量部以下(好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下)の範囲から適宜選択することができる。また、多孔質体の誘電率を十分に小さなものとする観点から、多孔化剤の添加量の下限値は、ポリイミド前駆体100重量部に対して5重量部以上(好ましくは10重量部以上、さらに好ましくは15重量部以上)の範囲から適宜選択することができる。

1.5.<特性> 前記ポリイミド前駆体の弾性率(引張弾性率)は、好ましくは1.5GPa〜6.0GPaであり、より好ましくは1.7〜6.0GPaであり、さらに好ましくは1.7〜5.5GPaである。ポリイミド前駆体の弾性率が6.0GPaを超える場合、ポリイミド多孔質体が反る傾向がある。

前記ポリイミド前駆体のガラス転移温度は、多孔質体への硬化の観点から、100〜400℃が好ましく、150〜350℃がより好ましく、200〜300℃がさらに好ましい。

前記ポリイミド前駆体シートの厚みは、耐久性の観点から、20μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、80μm以上がさらに好ましい。また、生産効率の観点から、250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、150μm以下がさらに好ましい。

1.6.<前駆体シートの製造方法> ポリイミド多孔質体用前駆体シートは、ポリイミド系樹脂組成物を、基材上に塗布し、必要に応じて乾燥等することにより得ることができる。ポリイミド系樹脂組成物は、上述のように、ポリイミド系樹脂(特にポリイミド樹脂)と、多孔化剤や核剤などとを混合して得ることができる。この混合方法としては、特に制限されず、有機溶媒に、各種成分を別々に又は同時に投入する方法などが利用できる。また、混合する際には、各成分を一括に投入してもよく、徐々に又は分割して投入してもよい。この際、有機溶媒といては、多価カルボン酸又はその無水物や、多価アミン系化合物を溶解させることができるもの(上述のN−メチル−2−ピロリドンなど)を好適に用いることができる。このような有機溶媒に混合する場合は、有機溶媒は、後の工程(ポリイミド系樹脂の熱硬化工程など)で除去することができる。

ポリイミド系樹脂組成物は、基材上に塗布する前に予め、部分的に反応させていてもよく、未反応の状態であってもよい。なお、通常、シート形状を維持させるために、予め部分的に反応させた部分反応物が用いられる。

より具体的には、ポリイミド前駆体シートは、例えば、以下のような製造方法により得ることができる。すなわち、有機溶媒(N−メチル−2−ピロリドンなど)に、ポリイミド前駆体や前駆体の前の成分(多価カルボン酸又はその無水物や、多価アミン系化合物)や、多孔化剤、核剤などの成分を投入し、ポリイミド樹脂組成物を得て、このポリイミド樹脂組成物を基材に塗布するなどして所望の形状(例えば、シート又はフィルム等)に成形した後、乾燥により溶媒を少なくとも部分的に除去し、多孔化剤等をポリイミド前駆体中で不溶化させることにより、ポリイミド前駆体の連続相に多孔化剤等からなる非連続相が分散したミクロ相構造を有する、ポリイミド前駆体シートを得ることができる。

この際、多孔化剤や核剤は、予め分散液に分散させたものや、溶媒に溶解させたものを用いることができる。

基材としては、有機フィルムや金属箔等を用いることができる。有機フィルムを構成する樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。また、金属箔を構成する金属成分としては、金、銀、銅、アルミニウムなどが挙げられる。なお、金属箔として銅箔を用いることにより、銅箔上に多孔質体が形成された銅箔積層体を効率よく製造することができる。

ポリイミド前駆体を含有するポリイミド系樹脂組成物を基材上に塗布する方法は特に制限されず、連続的に塗布する方法としては、例えば、ワイヤーバー、キスコート、及びグラビアなどが挙げられ、バッチで塗布する方法としては、例えば、アプリケーター、ワイヤーバー、及びナイフコーターなどが挙げられる。

塗布時の温度は、特に制限されず、ポリイミド前駆体の反応温度以下であることが重要である。

また、塗布後の乾燥時の温度は、ポリイミド前駆体の状態などにより適宜決定でき、例えば、室温(23℃)〜120℃程度の範囲から適宜選択できるが、好ましくは100℃以下(さらに好ましくは60〜80℃)である。

乾燥時間は特に制限されず、例えば、0.3〜10時間(好ましくは0.5〜5時間、さらに好ましくは1〜3時間)の範囲から適宜選択できる。

2.<媒体流路用材> 本発明における媒体流路用材は、具体的には下記のように実施することのできる評価方法によるエタノール排出時間が900秒以下である。

2.1.<評価方法> 図4Aを参照して、幅170mmに調整した媒体流路用材12を、直径20mmの巻芯11(幅170mm、内部に空洞なし)に、全体の直径が40mmになるように巻回し、さらにその外面側に、幅が170mmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム13を巻回させて、全体の直径が50mmとなるようにして、媒体流路用材12のロール状巻回体を得る。この媒体流路用材12のロール状巻回体を、直径50mmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム製の筒14(高さ250mm)に、当該筒14の下面側と、媒体流路用材12のロール状巻回体の下面側とが一致するように入れる。なお、この形態では、筒14の内面と媒体流路用材12のロール状巻回体の外面との間に隙間は無い。媒体流路用材12のロール状巻回体を入れた筒14は、圧力が高まらないように底部が開放状態となっており、媒体流路用材12のロール状巻回体の下面が、筒14の底面から上30cmの位置になるように調整する。 次いで、媒体流路用材12のロール状巻回体を入れた筒14を、媒体流路用材12のロール状巻回体が無い方を上側にして直立させる。その後、エタノール60g、染色浸透液10gの混合液15を、上側(筒の開放端側)から筒内に一括して流し込む。

混合液15を流し込んでから(図4B)、混合液15が媒体流路用材12のロール状巻回体の底部にまで達する(図4C)までの時間を測定する。前記測定は、室温(25℃)、湿度50%の条件下で行う。なお、測定は開放型の室内で行っている為、ほぼ標準大気圧(1013.25hPa±30hPa)下での測定となっている。混合液浸透の進度確認は、媒体流路用材の着色の目視確認により行う。 染色浸透液としては、太陽物産(株)製NRC−ALII(JIS Z 2343適合)を用いることができる。なお、染色浸透液としては、上記商品が入手困難な場合は、JIS Z 2343「非破壊試験−浸透探傷試験」に適合した他の商品の染色浸透液を使用してもよい。

前記評価方法により、液体の浸透性が高い媒体流路用材を特定することができるが、その意義を以下にて説明する。 本願では、媒体流路用材の液体の浸透性が高いほど、多孔化剤の抽出効率が高くなり、特に、ポリイミド前駆体層側の媒体流路用材の液体の浸透性が高いと、更に多孔化剤の抽出効率が高くなることを見出している。この理由は、媒体流路用材の液体の浸透性が高いと、超臨界二酸化炭素が媒体流路用材中を流れる速度が高くなり、より一層効率良く、ポリイミド前駆体層内の多孔化剤を抽出できるためであると考えられる。従って、前期評価方法で液体の浸透性が高い媒体流路用材を特定することで、多孔化剤の抽出効率向上に寄与する媒体流路用材を特定することができ、本願の課題の解決に寄与する。

このように、媒体流路用材は、上記評価方法によるエタノール排出時間が900秒以下であるので、超臨界状態の媒体が、一方の面から他方の面に流れる経路を有しているものであれば特に制限されないが、貫通空隙部や連続孔を有していることが重要である。貫通空隙部や連続孔は、単独で一方の面から他方の面に空隙が形成された形態を有していても良く、2次元的、3次元的に空隙部が繋がることにより一方の面から他方の面に空隙が形成された形態を有していてもよい。 本発明で使用する媒体流路用材のエタノール排出時間は、60秒以下であるのが望ましい。

この媒体流路用材における部材を形成するための材料としては、有機材料、無機材料などの各種材料を用いることができる。なお、このような材料としては、単独で又は2種以上混合して用いることができる。

有機材料としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィドロ、ポリエチレンナフタレン、またはこれらの混合体等が挙げられる。

なお、媒体流路用材は、超臨界状態の媒体を通すために用いられるため、耐熱性の観点から、ポリエステルなどの耐熱樹脂を好適に用いることができる。

なお、無機材料としても、公知の無機材料(アルミニウム材料など)から適宜選択して用いることができ、例えば、セラミックスまたは金属が挙げられる。

この媒体流路用材の厚みとしては、どのような厚みであっても多孔化剤の抽出効率を損なわないため特に限定されないが、ロール状巻回体の生産効率の観点から、800μm以下が好ましく、400μm以下がさらに好ましく、200μm以下が特に好ましい。

また、媒体の流量を充分なものにするため、20μm以上が好ましく、50μm以上がさらに好ましく、100μm以上が特に好ましい。

このような媒体流路用材は、単層体であってもよく、積層体であってもよい。積層体としては、連続孔の孔径が異なるものを組合わせたものであってもよく、また、材料が異なるものを組合わせたものであってもよい。

媒体流路用材が連続孔を有している場合、各孔の平均孔径としては、1μm以上(好ましくは2μm以上)であることが望ましい。各孔の平均孔径が小さすぎると、上記エタノール排出時間が長くなる傾向がある。なお、各孔の平均孔径の最大値としては、特に制限されないが、実質的には、例えば、50μm以下(好ましくは30μm、さらに好ましくは20μm以下)であってもよい。

媒体流路用材の孔径は、厚み方向で均一であってもよく、異なっていてもよい。媒体流路用材の孔径は、例えば、一方の表面側から他方の表面側にかけて、孔径が大きくなるような形態やその逆であってもよく、また、大小が不規則又は規則的に変化する形態などであってもよい。媒体流路用材の孔径の変化(一方の面から他方の面への孔径の変化)は、連続的に変化していてもよく、非連続的に変化していてもよく、これらが組み合わさっていても良い。

本発明では、特に、媒体流路用材としては、多孔質体用前駆体シートに接触する表面側のほうが、孔径が大きく、エタノール排出時間が短いほうが好ましい。媒体流路用材として、多孔質体用前駆体シートに接触する表面側にエタノール排出時間が短いものを用いると、多孔化剤などの抽出効率を高めることができる。もちろん、この場合、媒体流路用材としては、全体的にエタノール排出時間が短いものも含まれる。

媒体流路用材の空隙率としては、30%以上100%未満の範囲から適宜選択できるが、好ましくは35%以上(さらに好ましくは40%以上)である。

なお、媒体流路用材の空隙部の形状としては、特に限定されず、無定形状、直線状、曲線状、繊維が絡み合った際の空隙形状、平板状、楕円体状、球状等であってもよい。

媒体流路用材は、超臨界状態の媒体のための流路としての機能を有しているが、多孔質体用前駆体シートの表面を保護する機能も有している。

このような媒体流路用材の表面は、多孔質体用前駆体シートの表面を保護する機能を発揮するためには、表面粗さRaは、例えば、0.05μm〜5μm(好ましくは0.01μm〜3μm、更に好ましくは、0.1μm〜2μm)の範囲から適宜選択できる。媒体流路用材の厚みは、超臨界状態の媒体の流量や、多孔質体用前駆体シートの表面を保護する観点などから、例えば、10μm以上(好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上)の範囲から適宜選択できる。なお、多孔質体の製造効率の観点などからは200μm以下(好ましく150μm以下、さらに好ましくは100μm以下)の範囲から適宜選択できる。

媒体流路用材の厚みd1と、前記多孔質体用前駆体のシートの厚みd2との比(d1/d2)は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上が特に好ましい。また、多孔化剤の抽出効率の観点から、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、5以下が特に好ましい。前記多孔質体用前駆体のシートの厚みd2に対する流路用材の厚みd1の比(d1/d2)の値が小さい程(例えば10以下)、系内の多孔質体前駆体シートの量を増加させることができる。一方、前記多孔質体用前駆体のシートの厚みd2に対する流路用材の厚みd1の比(d1/d2)の値が0.1以上であると、充分な量の二酸化炭素を流通させることができる。したがって、上記範囲内であると、多孔質体用前駆体のシート中の多孔化剤をより一層効率良く抽出することができる。

媒体流路用材に対する二酸化炭素の溶解性S(温度:200℃、圧力:30MPa)は、0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.1以下が特に好ましい。なお、二酸化炭素の溶解性Sの下限値は特に制限されず、低ければ低いほど良く、例えば、0であってもよいが、または、0.001以上であってもよい。二酸化炭素の溶解性が、上記範囲内であると、超臨界状態の二酸化炭素(超臨界二酸化炭素)を媒体流路用材に溶ける量が少なく、媒体流路用材中を、充分に流通させることができる。したがって、多孔質体用前駆体のシート中の多孔化剤をより一層効率良く抽出することができる。

上記二酸化炭素の溶解性は、媒体流路用材を十分に乾燥させた後、成形機(例えば、井元製作所社製、卓上型成型プレス)を使用して、所定温度(例えば180℃〜280℃)で、加圧、脱圧して気泡のない試験片(例えば、20mmφ、厚み1mm〜3mm)を作成し、磁気浮遊天秤測定装置(ドイツ国、RUBOTHERM社製、BEL P/O 152)を用いて、温度200℃、圧力30MPaの二酸化炭素雰囲気下で、試料に二酸化炭素が含有される際の質量変化を測定することにより求めることができる。

3.<ロール状巻回体> 本発明におけるロール状巻回体は、多孔質体用前駆体シートと、上記評価方法によるエタノール排出時間が900秒以下である媒体流路用材とがロール状に巻回された形態である。この際、ロール状に巻回するため、媒体流路用材は、薄層状の形態を有していることが重要である。

例えば、長尺帯状の多孔質体用前駆体シートと、長尺帯状の薄層状媒体流路用材とを積層させながら、ロール状に巻回させる方法などが挙げられる。

ロールに巻回する際には、張力をかけてもよい。この張力は、巻回当初から終点にかけて、均一な大きさであってもよく、徐々に変化してもよく、非連続に変化してもよく、大きくなったり小さくなったりするような変化をしてもよい。

前記張力としては、例えば、1N/m以上であってもよく、巻き取り時のしわや隙間の発生を有効に抑制する観点などから、10N/m以上、30N/m以上、50N/m以上などの範囲より適宜選択できるが、より好ましくは100N/m以上(特に好ましくは120N/m以上)である。一方、多孔質体用前駆体シートがロール状に巻回する際に裂けることを抑制する観点などから、例えば、300N/m以下(好ましくは250N/m以下、さらに好ましくは200N/m以下)の範囲から適宜選択できる。

ロール状巻回体における多孔質体用前駆体シートの長さとしては、例えば、500m以下(好ましくは300m以下、さらに好ましくは100m以下)であってもよい。

ロール状巻回体における幅としては、例えば、10m以下(好ましくは50m以下、さらに好ましくは30m以下)であってもよい。

ロール状巻回体におけるロール径としては、例えば、1〜50mm(好ましくは2〜30mm、さらに好ましくは3〜20mm)であってもよい。

ロール状巻回体における巻き数としては、例えば、100回以上(好ましくは150回以上、さらに好ましくは200回以上)であってもよく、その上限は特に制限されないが、通常、1000回以下である。

なお、ロール状巻回体における巻芯は、有機材による巻芯であってもよいが、金属等による金属系巻芯が好適である。

4.<多孔質体の製造方法> 本発明では、上記ロール状巻回体を、いわゆる「超臨界抽出装置」に導入し、超臨界状態の媒体を超臨界抽出装置に導入し、多孔化剤等を超臨界状態の媒体により抽出し、空隙部が形成されたロール状巻回体(空隙部形成ロール状巻回体)を得て、この空隙部形成ロール状巻回体をイミド化することにより、多孔質体を得ることができる。

なお、超臨界状態の媒体としては、二酸化炭素を好適に用いることができる。

この製造方法では、多孔質体用前駆体シート又はロール状巻回体は、乾燥していてもよく、この乾燥は低温で且つ短時間で行うことにより、有機溶媒を敢えて残存させた状態で用いることが重要である。このように、ロール状巻回体中に有機溶媒を敢えて残存させた状態で、超臨界状態二酸化炭素などによる多孔化剤の抽出を行うことにより、所望の空孔率及び空孔の平均孔径を有するフィルムを有効に得ることができる。

上記超臨界状態二酸化炭素などによる多孔化剤の抽出について詳説する。まず、超臨界状態二酸化炭素が媒体流路用材を経由して、ポリイミド前駆体シートの表面に接触したり、内部に浸透したりすると、ポリイミド前駆体シート中の多孔化剤や有機溶媒等が、超臨界状態二酸化炭素に溶解することになり、その後、溶解した多孔化剤や有機溶媒等は、超臨界状態二酸化炭素とともに拡散移動し、その後、ポリイミド前駆体シート外に排出されることになる。

ここで、上記媒体流路用材を使用することにより、超臨界状態二酸化炭素の流速や流量を適正な範囲に調整することができる。特に、本発明では、このように超臨界状態の経路を規定し、且つその流速や流量などを調整することにより、ポリイミド前駆体シートの表面に存在する多孔化剤や有機溶媒を拡散移動させ、これにより、ポリイミド前駆体シートの表面における多孔化剤や有機溶媒の濃度が低くなり、表面から内部にかけて濃度勾配がつくことで、内部に存在する多孔化剤や有機溶媒が表面に移動させることができ、これにより効果的な抽出効率で、かつ、ポリイミド前駆体シート表面の損傷を抑制しつつ、多孔化剤や有機溶媒を効果的に抽出し、多孔化させることができる。

5.<金属箔積層体> 前記多孔質体の厚み方向の一方又は両方の面に金属箔を配置することで、金属箔積層体を得ることができる。

上記金属箔に使用される金属としては、ステンレス、銅、アルミニウムなどが挙げられる。

金属箔の厚さとしては、特に制限されないが、1μm以上が好ましく、3以上がさらに好ましく、5μm以上が特に好ましく、また、50μm以下が好ましく、30μm以下がさらに好ましく、20μ以下が特に好ましい。

長尺帯状の金属箔を用いることにより、長尺帯状の金属箔積層体を製造することができ優れた生産性で金属箔積層体を得ることができる。

金属箔積層体の厚さは、特に制限されないが、通常、用いられる金属箔の厚さと、多孔質体の厚さの和と同じ又はほぼ同じ値となる。

金属箔積層体は、ロール状に巻回された形態、所定の長さのものに調整された形態、所定の長さのものを複数重ね合わせて積んだ形態などのいずれの形態を有していても良い。

6.<用途> 本発明の多孔質体の製造方法により得られた多孔質体や金属箔積層体は、多孔質体の誘電率を低くすることができるため、低誘電基板や、低誘電基板を含む金属箔積層体として好適に用いられる。具体的には、金属箔積層体は、半導体装置や電子部品などに好適に用いられる。従って、多孔質体は、半導体装置や電子部品などの基板(特に低誘電基板)として好適に用いられる。

より具体的には、金属箔積層体は、アンテナ部品の材料の他、回路基板やプリント配線基板などとして好適に用いることができる。

なお、多孔質体や金属箔積層体には、例えば、他の部材を積層する積層処理、接着剤層等の他の層形成処理、エッチング等のパターニング処理、表面改質等の表面処理、金属部材への加工処理など、各種用途に応じて適宜な処理を施してもよい。

以下、実施例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、部は重量部を意味する。

(多孔質体用前駆体シートの合成) 撹拌機および温度計を備えた1000mlのフラスコに、p-フェニレンジアミン(PDA)43.2 gおよびジアミノジフェニルエーテル(DPE)20gをいれ、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)768.8gを加えて撹拌し、溶解させた。次いで、この溶液にビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147gを徐々に添加し、40℃にて2時間撹拌し、反応促進した。さらに75℃にて12時間撹拌し、エージング処理を行い、固形分濃度20wt%のポリイミド前駆体溶液を得た。このポリイミド前駆体の組成は物質量比でPDA:DPE:BPDA=0.8mol:0.2mol:1molである。

上記で得られたポリイミド前駆体溶液に、多孔化剤として重量平均分子量が400のポリオキシエチレンジメチルエーテル(日油(株)製グレード:MM400)をポリイミド樹脂前駆体100重量部に対し200重量部添加し、さらにNMPを150重量部加え、撹拌して透明な均一溶液を得た。得られた溶液にイミド化触媒として2-メチルイミダゾールを4.2重量部添加し、配合液とした。この配合液をダイ方式で銅箔(厚さ12μm)に塗工し、120℃で30分間熱風乾燥させて、銅箔上に、相分離構造を有するポリイミド前駆体層(厚さ120μm)を形成し、多孔質体用前駆体シート(厚さ132μm、幅500mm、長さ50m)を作製した。

<媒体流路用材> 各実施例や各比較例では、媒体流路用材として、表1に示すものを用いた。 なお、連続孔材Aや連続孔材Bとしては、下記を用いた。 連続孔材A:ポリエステルメッシュ KBセーレン株式会社製 (厚さ:240μm、二酸化炭素の溶解性S(温度:200℃、圧力:30MPa):0.06) 連続孔材B:商品名「サンマップ」日東電工社製 (厚さ:180μm、二酸化炭素の溶解性S(温度:200℃、圧力:30MPa):0.17)

なお、表1における「エタノール排出時間」は、下記の「エタノール排出時間評価方法」により評価した値である。

<エタノール排出時間評価方法> 幅170mmに調整した媒体流路用材1〜4を直径20mmの巻芯(幅170mm、内部に空洞なし)に、全体の直径が40mmになるように巻回し、さらにその外面側に、幅が170mmのポリエチレンテレフタレートフィルムを巻回させて、全体の直径が50mmとなるようにして、媒体流路用材のロール状巻回体を得た。この媒体流路用材のロール状巻回体を、直径50mmのポリエチレンテレフタレートフィルム製の透明な筒(高さ250mm)に、当該筒の下面側と、媒体流路用材のロール状巻回体の下面側とが一致するように入れた。なお、この形態では、筒内面と媒体流路用材のロール状巻回体の外面との間の隙間が無い。媒体流路用材のロール状巻回体を入れた筒では、圧力が高まらないように底部は開放状態となっている。

そして、媒体流路用材のロール状巻回体を入れた筒を、媒体流路用材のロール状巻回体が無い方を上側にして直立させた。その後、エタノール60g、赤色浸透液10gの混合液を、上側(筒の開放端側)から筒内に一括して流し込み、混合液を流し込んでから底部にまで達するまでの時間を測定した。なお、媒体流路用材3および4については、混合液が、各媒体流路用材の左側を占める連続孔材の底部に達するまでの時間を測定し、「エタノール排出時間」とした。その理由は、媒体流路用材3および4の左側を占める連続孔材は、超臨界状態の二酸化炭素による多孔化剤の抽出工程において、ポリイミド前駆体層に接触し、多孔化剤の抽出効率に直接的に影響するためである。エタノール排出の進度確認は、媒体流路用材の着色の目視確認により行った。

<実施例1> 上記にて作製した多孔質体用前駆体シートのポリイミド前駆体層側の面に、表1に示す媒体流路用材1を、ポリイミド前駆体層と連続孔体Aの一方の面とが接触する形態で重ね合わせて、媒体流路用材1が内側となる形態で、巻芯(外径:85mm)に巻回させて、ロール巻回体を得た。

多孔質体用前駆体シートと連続孔体Aの積層ロール巻回体(巻芯外径:85mm、積層ロール外径:170mm)を、超臨界抽出装置の抽出槽(高圧装置部:内径170mm)に挿入した。温度を40℃とし、30MPaに昇圧した二酸化炭素(超臨界状態の二酸化炭素)を30kg/hの流速で8時間流通することで、多孔化剤を抽出除去及び残存NMPの相分離、空孔形成を促進した。その後、二酸化炭素を5時間かけて減圧し、大気開放した後、積層ロール巻回体を回収した。ここで、抽出槽を循環する二酸化炭素は抽出槽(高圧装置部)から出た後、一度4.5MPaまで減圧されガス状態となることで、多孔化剤と分離された。分離された多孔化剤は多孔化剤蓄積部に蓄積された。 前記積層ロール巻回体から連続孔体Aを除去したものを、真空下、380℃で2時間熱処理し、残存成分の除去およびイミド化を促進することで、ポリイミド多孔フィルムと銅箔の積層フィルムを得た。

<実施例2〜4> 実施例2〜4では、実施例1の媒体流路用材1に代えて、表1に示す媒体流路用材2〜4をそれぞれ用いること以外は、実施例1と同様にして、ロール巻回体を得た。 得られたロール巻回体を用いて、実施例1と同様にして、超臨界状態の二酸化炭素を用いて多孔化剤であるポリオキシエチレンジメチルエーテルを抽出し、多孔質体を作製した。 <比較例1> 比較例1では、実施例1の媒体流路用材1を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ロール巻回体を得た。 <比較例2> 比較例1では、実施例1の媒体流路用材1の代わりにポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み:240μm;非多孔質体)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ロール巻回体を得た。

なお、実施例3では、媒体流路用材3を、その連続孔体A側の面が、ポリイミド前駆体層と接触する形態で用いた。また、実施例4では、媒体流路用材4を、その連続孔体B側の面が、ポリイミド前駆体層と接触する形態で用いた。

<ポリオキシエチレンジメチルエーテル抽出評価> 実施例1〜4における多孔化剤であるポリオキシエチレンジメチルエーテルの抽出除去工程において、ポリオキシエチレンジメチルエーテルの残存率が20%となるまでの、超臨界二酸化炭素の透過時間を測定した。結果を表2に示す。なお、ポリオキシエチレンジメチルエーテルの残存率は以下の通り算出した。

ポリオキシエチレンジメチルエーテル残存率(%) =(1−多孔化剤抽出量(g)/多孔化剤仕込量(g))×100

ここで、多孔化剤抽出量は、抽出の完了後に超臨界装置の多孔化剤蓄積部に蓄積された多孔化剤の質量を測定することで求められる。

表2の結果から、実施例1、3においては、透過する超臨界二酸化炭素の流速が速い連続孔体Aがポリイミド前駆体層に接触しているため、ポリイミド前駆体層表面の超臨界二酸化炭素の流速が高くなり、多孔化剤の抽出効率が特に良好となったことが分かる。 一方、比較例1においては、多孔質体用前駆体シートのポリイミド前駆体層側の面が、巻回により重ね合わされた銅箔層の面と密着し、巻回体中の超臨界二酸化炭素の流路がなく、超臨界状態の二酸化炭素を用いた多孔化剤の抽出を実施すること自体が不能であった。 同様に、比較例2においては、多孔質体用前駆体シートのポリイミド前駆体層側の面に、ポリエチレンテレフタレート製フィルムが密着しており、巻回体中の超臨界二酸化炭素の流路がなく、超臨界状態の二酸化炭素を用いた多孔化剤の抽出を実施すること自体が不能であった。

以上より、多孔化剤の超臨界二酸化炭素による抽出効率(所定の多孔化剤残存率に達するまでに要する超臨界二酸化炭素透過時間)は、多孔質体用前駆体層表面の超臨界二酸化炭素の流速に依存することが理解される。

<実施例5、6> 実施例5、6では、実施例1の媒体用流路用材1に代えて、表3に示す媒体流路用材5、6をそれぞれ用いること以外は、実施例1と同様にして、ロール巻回体を得た。 得られたロール巻回体を用いて、実施例1と同様にして、超臨界状態の二酸化炭素を用いて多孔化剤であるポリオキシエチレンジメチルエーテルを抽出し、多孔質体を作製した。 その際、実施例1と同様に、多孔化剤であるポリオキシエチレンジメチルエーテルの抽出除去工程において、ポリオキシエチレンジメチルエーテルの残存率が20%となるまでの、超臨界二酸化炭素の透過時間を測定した。結果を表3に示す。

なお、実施例5、6で用いた媒体流路用材5、6について、上記の「エタノール排出時間評価方法」により「エタノール排出時間」の評価を行った。結果を表4に示す。

実施例1、5、6のポリオキシエチレンジメチルエーテル抽出評価の結果を比較することで、ポリオキシエチレンジメチルエーテル抽出効率は、媒体流路用材の厚みの影響を受けないことが理解される。よって、媒体流路用材の厚みを減らすことで、巻回数がより多いロール状巻回体を作製することでき、多孔質体の生産効率を向上できるものと期待される。

1 多孔質体用前駆体のシート 2 (第1の)媒体流路用材 3 第2の媒体流路用材 4 基材 11 巻芯 12 媒体流路用材 13 ポリエチレンテレフタレートフィルム 14 筒 15 混合液

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