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Pearl culture method

阅读:514发布:2021-01-14

专利汇可以提供Pearl culture method专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To obtain a pearl culture method using culture facilities on land.
SOLUTION: The sea water living bivalves or fresh water living bivalves transplanted with the mantle pieces and nuclei or mantle pieces of the shellfishes for nacre layer formation are cultured by feed essentially consisting of skim milk powder in the culture facilities on land having the sea water or the same compsn. as the compsn. of the sea water or in the fresh eater of the culture facilities on land. The sea water living bivalves are preferably pearl oysters, black lips, goldlips, or P. penguin. This breeding method is applicable to the breeding of the larva or spat of the sea water living or fresh water living bivalves and the breeding of the mother shells before the transplantation of the mantle pieces of the shellfishes for nacre layer formation. The skim milk powder is stable in supply and is higher in cost effectiveness that the conventional feed formed by culturing plankton. Since the bivalves are cultured in the culture facilities on land managed to an optimum environment, the growth of the mother shells and the nacre layers are much faster than in the natural sea and further, there are no possibilities of natural hazards, like typhoons and red tides.
COPYRIGHT: (C)1998,JPO,下面是Pearl culture method专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 真珠層形成用の貝の外套膜片及び核、または外套膜片を移植した海水棲2枚貝を、海水または実質的に海水と同一の組成を有する陸上の養殖施設で、脱脂粉乳を主成分とする飼料によって養殖することを特徴とする真珠養殖法。
  • 【請求項2】 真珠層形成用の貝の外套膜片及び核、または外套膜片を移植した海水棲2枚貝を、海水または実質的に海水と同一の組成を有する陸上の養殖施設で、Ac
    inectobactor属及びVibrio属、Flavobacterium属、Pseu
    domonas 属に含まれるバクテリアの存在下において、脱脂粉乳を主成分とする飼料によって養殖することを特徴とする真珠養殖法。
  • 【請求項3】 真珠層形成用の貝の外套膜片及び核、または外套膜片を移植した海水棲2枚貝を、海水または実質的に海水と同一の組成を有する陸上の養殖施設で、脱脂粉乳及びモロヘイヤまたは/及び炭酸カルシウムを含む飼料によって養殖することを特徴とする真珠養殖法。
  • 【請求項4】 海水棲2枚貝がアコヤ貝、クロチョウ貝、シロチョウ貝またはマベ貝である請求項2または3
    記載の真珠養殖法。
  • 【請求項5】 真珠層形成用の貝の外套膜片及び核、または外套膜片を移植した淡水棲2枚貝を、陸上の養殖施設で脱脂粉乳を主成分とする飼料によって養殖することを特徴とする真珠養殖法。
  • 【請求項6】 真珠層形成用の貝の外套膜片及び核、または外套膜片を移植した淡水棲2枚貝を、陸上の養殖施設の淡水中で脱脂粉乳及びモロヘイヤまたは/及び炭酸カルシウムを含む飼料によって養殖することを特徴とする真珠養殖法。
  • 【請求項7】 2枚貝がイケチョウ貝またはヒレイケチョウ貝である請求項5または6記載の真珠養殖法。
  • 【請求項8】 自然の海中で採取し、または人工受精により孵化した海水棲2枚貝の幼生または稚貝、母貝を、
    海水または実質的に海水と同一の組成を有する陸上の養殖施設で、または自然の河川、湖沼で採取しまたは、人工受精により孵化した淡水棲2枚貝の幼生または稚貝、
    母貝を、陸上の養殖施設で、脱脂粉乳を主成分とする飼料によって飼育することを特徴とする真珠養殖用の貝の幼生または稚貝、母貝の飼育方法。
  • 【請求項9】 陸上に設置された真珠養殖用水槽において、槽内液の循環用配管に濾過槽が設けられ、濾材として活性炭または炭素材が含まれていることを特徴とする真珠養殖用水槽。
  • 【請求項10】 真珠養殖用水槽は (A)養殖槽及び (B)
    飼料調製槽、 (C)濾過槽、 (D)環境制御装置を含み、
    (A)養殖槽の内部には水面の上から飼料溶液が降り注ぎ、槽内側面の下部に設けられた循環液抜取口から抜き取られた液は濾過槽で濾過された後、槽内側面の上部に水平方向で且つ槽内の液が槽内壁面に沿って循環する方向に設けられた循環液注入口より噴射され、槽内底面は緩やかな逆円錐形で底部に排水口が設けられ、底部には沈殿物及び下層液抜取用の排出口が設けられ、 (B)飼料調製槽には液及び飼料供給設備及び溶解装置が取り付けられ、(C) 濾過槽に充填された濾材は活性炭及び炭素材、砂、コーラルサンドからなる群より選ばれた少なくとも1種類を含み、 (D)環境制御装置には蛍光灯照明装置及び槽内温度制御装置、空気吹込装置、前記各設備も含めた運転制御装置が含まれてなる真珠養殖用水槽。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は陸上の養殖施設を使用した真珠養殖法に関するもので、更に詳しく述べると、実質的にと同一の組成または淡水中で脱脂粉乳を主成分とする飼料によって、海水棲または淡水棲の2
    枚貝を飼育してその組織内で真珠を養殖する方法である。 本発明は養殖漁業用の大規模な水槽にも、家庭用の鑑賞魚の水槽にも適用される。

    【0002】

    【従来の技術】従来アコヤ貝の採苗は陸上で真珠の養殖は自然の海中で行われているが、いずれもプランクトンを人工培養して、そのプランクトンを飼料として貝を成育させる方法が採用されている。 しかし、プランクトンの人工培養は非常に難しく専門知識を有し経験豊富な技術者が必要とされている。

    【0003】更に特別な設備を有する培養室と、培養時に使用する多量の薬品が必要となる。 そのためこれらの設備等に要する土地取得費、施設費等多額の固定資産を要する。 また、プランクトンは光合成により培養されるため、6,000 〜10,000ルックス程度の光を昼夜連続して照射する必要があり、相当大規模な蛍光灯による照射設備及びこれに要する多額の電費が必要となる。

    【0004】従来真珠の養殖では採苗後自然の海の中で稚貝を或る程度の期間成育させた後、筏またはロープに浮玉をつけ錨により固定敷設し、パールネットに貝を入れて養殖するが、自然の海の中で発生する地震、津波、
    大雨、猛暑、寒波、赤潮等の天災等に対しては有効な防衛手段がなかった。 時によっては養殖設備や成育中の貝が壊滅的な被害を被ることもしばしば発生した。 また自然の海の中では海水温度が15℃以下に低下すると、アコヤ貝等の飼料となるプランクトンは種子となって海底の泥の中にもぐり込んだ状態となる。

    【0005】このため海水中にはプランクトンが殆ど存在しなくなり、アコヤ貝等の飼料がなくなるため、1年の中11月から翌年4月頃までの約6ケ月間は貝も冬眠して、その間貝の生育も真珠層の成長も停止する。 その他海水の状況の変動等のため、養殖中の貝の死亡率を数%
    以下に下げることは困難であった。

    【0006】

    【発明が解決しようとする課題】前述の様に自然の海を利用した真珠の養殖では、海水の温度により1年の中約半年は貝が冬眠すること、地震、津波、大雨、猛暑、寒波、赤潮等の天災等に対しては有効な防衛手段がないこと、またこれらの問題は河川、湖沼でも同様である。 更にその飼料となるプランクトンの培養には技術的困難と多額な費用が必要となる。 これらの問題点を解決するため、自然の河川・湖沼・海洋から隔離されている魚介類養殖用の水域を、2枚貝等真珠養殖用の貝類の成長に適した環境に管理し、その中で貝類を供給が容易な飼料によって飼育し、貝の組織内で真珠を養殖する方法を開発して提供しようとするものである。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】本発明者は前述の様な自然の海において真珠を養殖する場合の多くの問題点にかんがみ、2枚貝等真珠の養殖に使用される貝類の陸上における水槽での飼育を試みた。 その際最も大きな障害となるのは、飼料となるプランクトンの培養である。 プランクトンの培養は技術的にも培養費用の点からも高価である他、プランクトンは培養条件の微妙な変化に対する反応が鋭敏なため、安定した培養が困難であることが最も大きな問題であった。

    【0008】このためプランクトンの代わりに使用できるこれらの貝類の飼料について種々研究した。 その結果脱脂粉乳を水中に分散させて乳化液とした場合、粉乳の微粒子またはその一部が水中に存在するAcinectobactor
    属及びVibrio属、Flavobacterium属、Pseudomonas 属等のバクテリアの作用によって、部分的にこれらの貝類の餌として消化され易い物質に容易に変化すると共に、貝の消化器官の内部にも存在するこれらのバクテリア類が消化を促進することを見出した。 更に水中に分散している脱脂粉乳の粒子は極めて微小なため、貝の幼生や稚貝の餌として好適であることが分かった。

    【0009】また真珠養殖用母貝の他、幼生や稚貝についても脱脂粉乳を水中に分散させた乳化液を飼料として飼育を試みた結果、長期間順調に成長することが確かめられた。 更に、脱脂粉乳にモロヘイヤを加えた飼料を与えると貝の嗜好性が一層高まることを見出し、これの知見に基づいて本発明に到達した。

    【0010】すなわち、真珠層形成用の貝の外套膜片及び核、または外套膜片を移植した海水棲2枚貝を、海水または実質的に海水と同一の組成を有する陸上の養殖施設で、脱脂粉乳を主成分とする飼料によって養殖することを特徴とする真珠養殖法である。 ここで、養殖施設の液中にはAcinectobactor属及びVibrio属、Flavobacteri
    um属、Pseudomonas 属に含まれるバクテリアが存在する環境が好ましく、飼料中には脱脂粉乳の他モロヘイヤ及び炭酸カルシウムが含まれていることが好ましく、また、海水棲2枚貝としてはアコヤ貝、クロチョウ貝、シロチョウ貝またはマベ貝が好ましい。

    【0011】更に、真珠層形成用の貝の外套膜片及び核、または外套膜片を移植した淡水棲2枚貝を、陸上の養殖施設で脱脂粉乳を主成分とする飼料によって養殖することを特徴とする真珠養殖法も本発明に含まれている。 ここで、飼料中には脱脂粉乳の他モロヘイヤ及び炭酸カルシウムが含まれていることが好ましく、また、淡水棲2枚貝としてはイケチョウ貝またはヒレイケチョウ貝が好ましい。

    【0012】また、自然の海中で採取し、または人工受精により孵化した海水棲2枚貝の幼生または稚貝、母貝を、海水または実質的に海水と同一の組成を有する陸上の養殖施設で、または自然の河川、湖沼で採取しまたは、人工受精により孵化した淡水棲2枚貝の幼生または稚貝、母貝を、陸上の養殖施設で、脱脂粉乳を主成分とする飼料によって飼育することを特徴とする真珠養殖用の貝の幼生または稚貝、母貝の飼育方法及び、陸上に設置された真珠養殖用水槽において、槽内液の循環用配管に濾過槽が設けられ、濾材として活性炭または炭素材が含まれていることを特徴とする真珠養殖用水槽も本発明に含まれている。

    【0013】ここで、2枚貝とは貝の組織内に異物が混入した場合それを核としてその周囲に真珠層を形成させる習性を有する2枚貝類で、例えばアコヤ貝の様に真珠養殖用に使用できる貝をいう。 また陸上の養殖施設とは、自然の河川・湖沼・海洋から隔離されている魚介類養殖用の水域で、人工的に環境を制御することが可能な施設をいう。 採苗とは天然または人工受精により孵化した貝の幼生を稚貝に育成するために採集することをいう。 以下、本発明について詳しく説明する。

    【0014】本発明の真珠養殖法には、真珠層形成用の貝の外套膜片及び核、または外套膜片を移植した海水棲2枚貝を使用する必要がある。 本発明方法は外套膜片及び核を移植して真珠層を形成させる有核真珠にも、核は挿入せず外套膜片のみを移植してその周囲に真珠層を形成させる無核真珠のいずれにも適用することができる。

    【0015】真珠層形成用の貝の外套膜片及び核は外部から貝の組織内に移植し、その周囲に真珠層を成長させるために使用するもので、外套膜片には通常同種の貝の外套膜の細片が使用され、また核は一般には厚い貝殻を削って球状として外套膜片と共に貝の組織内に移植される。 核は球状の他洋梨形またはその他種々な形状に加工して使用することもできる。 核の材料となる貝殻には例えば、ミシシッピイ川産のドブ貝等の貝殻の他蝋石、プラスチックを加工したもの等も使用されている。

    【0016】本発明方法の2枚貝には、真珠養殖用に使用できる貝であれば海水棲でも淡水棲でも使用できる。
    海水棲2枚貝としてはアコヤ貝、ベニコチョウ貝、タイワンアコヤ貝、シロチョウ貝、クロチョウ貝、マベ貝等が使用可能であり、これらの中、アコヤ貝、シロチョウ貝、クロチョウ貝、またはマベ貝が好ましい。 また、淡水棲2枚貝としてはイケチョウ貝、カワシンジュ貝、ヒレイケチョウ貝(三貝)、カラス貝、ドブ貝、マルドブ貝等が使用可能であり、これらの中、イケチョウ貝またはヒレイケチョウ貝がより好ましい。

    【0017】本発明の2枚貝の養殖には、自然の海水または実質的に海水と同一の成分を含む様に調製された人工海水を使用する必要がある。 最近海水や河川は汚染されている場所が多いため、自然の海水や河川の水をそのまま使用しても、真珠貝に有害な雑菌その他の成分が含まれていることが多い。 特に外套膜片または核の移植手術後の真珠貝はこれらの環境変化に対する抵抗力が低下するため、貝の斃死率が急激に上昇することがある。 このため海水と同一の成分を有する溶液を人工的に調製するか或いは、清浄な自然の海水を採取し、濾過その他の手段で浄化して使用することが好ましい。 しかし、ここで浄化とは主として微細な塵埃や浮遊物等の不純物を除去する意味であり、海水中に含まれているバクテリアを完全に除去する意味ではない。

    【0018】海水と同一の成分を有する溶液を人工的に調製するとは、無機塩類、pH等化学的成分の組成が海水と同一であるのみでなく、真珠の養殖に適した海水に含まれているバクテリアも含まれている溶液の意味である。 「実質的に海水と同一の組成を有する」とは、この様にして人工的に調製された溶液の意味である。 この様な溶液を調製するには例えば、海水と同一組成の無機塩類を含む様に調製された溶液または、清浄な自然の海水を採取して塵埃や汚物等を濾過して除去した後、或る程度の期間真珠貝を養殖した水槽の溶液を、一部混合することにより得られる。

    【0019】脱脂粉乳を飼料として真珠貝を長期間養殖した海水の試料を採取して細菌の培養試験をすると、Ac
    inectobactor属及びVibrio属、Flavobacterium属、Pseu
    domonas 属に含まれるバクテリアが多量に繁殖していることが認められる。 飼料として脱脂粉乳を使用する場合、無機塩類、pH等の化学的成分の組成のみを海水と同一に調製した液を真珠貝の養殖に使用しても、前述の様なバクテリア類が繁殖した海水を使用した場合と較べると貝の飼料摂取量か少なく成長率も低い。 特に、真珠養殖用移植手術後の真珠貝の斃死率が増加する。

    【0020】これらのバクテリアは養殖槽内の海水中に繁殖しているのみでなく、貝の口から餌と共に飲み込まれて消化器の内部に入って繁殖しており、消化器官の機能と相まって栄養分の摂取を促進する役割を果していると考えられる。

    【0021】養殖槽内の海水中を常にこれらのバクテリアが繁殖した状態に保持するためには、槽内の液の循環系にバクテリアの繁殖し易い環境である多孔性物質を充填したスペースを設けることが好ましい。 多孔性物質充填スペースは養殖用水槽の構成上循環液濾過系との併用が好ましく、濾過及び不純物の吸着機能も持つ必要があることを考慮すれば、充填物には活性炭特に粉末状活性炭が好ましい。

    【0022】本発明の真珠の養殖は陸上の養殖施設でなされる必要がある。 陸上の養殖施設は前述の様に、自然の河川・湖沼・海洋から隔離されている魚介類養殖用の水域で、人工的に環境を制御することが可能な施設である。 ここで、大型施設としては養殖漁業用の池またはプール、水槽から、小型の施設としては家庭で使用される熱帯魚鑑賞用水槽迄広範囲の施設が含まれている。

    【0023】貝類の飼育に必要な水槽内の水質、温度、
    光線照射量等の条件は人為的に制御することが可能である。 また、酸素溶存量、給餌、光線照射量等各種条件も常に貝類の成育に最も好ましい状態に保持できる利点がある。 更に、定期的に排泄物及びその他沈殿物を除去する設備及び、海水中で貝の成長を促進するバクテリアの繁殖も考慮した、循環、濾過設備等を設けることによってクローズドシステムとして、人工養殖が可能となるメリットがあり、これも本発明の大きな特徴の一つである。

    【0024】本発明の真珠養殖法においては、貝類を脱脂粉乳を主成分とする飼料によって養殖する必要がある。 脱脂粉乳は通常スキムミルクと呼ばれ、乳からバターを採取した残液を真空乾燥させて得られたものである。 世界的に大量に生産されて主として家畜の飼料に利用され、安価で供給も安定している。

    【0025】従来の真珠養殖においては貝類の飼料はプランクトンであり、一般に人工培養されたプランクトンが飼料に供されていた。 しかし、前述の様にプランクトンの培養は技術的にも困難なためしばしば供給が不足することがあり、また設備費・操業費等が嵩み経済的にもかなり高価となる。 飼料として脱脂粉乳を使用することは本発明方法の最も大きな特徴である。

    【0026】アコヤ貝等2枚貝は生存しているプランクトンの他、プランクトンの死骸が海中のバクテリアの作用で一部変質した生成物、その他の海中の微小な浮遊有機物(デトリータス) を餌としている。 そこで、プランクトン及びデトリータスに代わり得る2枚貝の餌を種々試みた結果、脱脂粉乳が適していることが見出された。

    【0027】脱脂粉乳は海水中で容易に分散して乳化液となり、分散した脱脂粉乳の微粒子或いは、微粒子の一部がAcinectobactor属及びVibrio属、Flavobacterium
    属、Pseudomonas 属に含まれるバクテリア等の作用で一部変質して生成した物質が、プランクトンと同様にアコヤ貝等2枚貝の餌として、ほぼ同等の適性を有するのである。 これは成長した貝のみでなく、孵化した幼生または稚貝の餌にも適している。 また、イケチョウ貝等淡水棲2枚貝の飼料としても海水棲2枚貝と同様に使用可能である。

    【0028】後述の様に真珠層形成用の外套膜片及び核を移植したアコヤ貝等海水棲2枚貝または、他の貝の外套膜片を移植したイケチョウ貝等淡水棲2枚貝を、海水または淡水中で脱脂粉乳を飼料として与えて長期間飼育し真珠を養殖した結果、母貝及びその組織内における真珠層共に順調に成長することを確認した。 これは脱脂粉乳に含まれる栄養成分がプランクトンによく類似している他、海水或いは淡水中で容易に分散して乳化液状の微粒子となり、粒子の大きさが数μm のプランクトンや微小な浮遊有機物(デトリータス)の粒子とほぼ同じ程度の大きさとなることも、貝の嗜好性を高める一因になっていると考えられる。

    【0029】更に、脱脂粉乳は培養が難しいプランクトンに較べて供給が安定しており、経済性も高くまた過大な培養設備、電力設備及び電力費を必要としない点でも優れている。 更に、アコヤ貝等海水棲2枚貝或いはイケチョウ貝等淡水棲2枚貝の餌として脱脂粉乳にモロヘイヤを加えると、これらの貝類の脱脂粉乳に対する餌の嗜好性が一層高まることが見出された。 その他、炭酸カルシウムを加えると真珠層の成長を著しく促進させる効果が認められる。 炭酸カルシウムは真珠層の主成分となるためと考えられる。

    【0030】脱脂粉乳100 重量部に対するモロヘイヤの比率は、下限として2重量部以上が好ましく、上限として10重量部以下が好ましい。 また、炭酸カルシウムは脱脂粉乳100 重量部に対して下限として15重量部以上が好ましく、上限として40重量部以下がより好ましい。 飼料には更にその他栄養剤等を加えてもよく、場合によっては従来からこれらの貝類の餌となっているプランクトンを併用することもできる。

    【0031】本発明方法には更に自然の海中で採取し、
    または人工受精により孵化した海水棲2枚貝の幼生または稚貝、母貝を陸上の養殖施設で、脱脂粉乳を主成分とする飼料を使用することを特徴とする飼育方法及び、自然の河川、湖沼で採取しまたは、人工受精により孵化した淡水棲2枚貝の幼生または稚貝、母貝を、陸上の養殖施設で、脱脂粉乳を主成分とする飼料を使用することを特徴とする飼育方法も含まれている。

    【0032】真珠の養殖事業において孵化した貝の幼生または稚貝を飼育して成長させ、更に母貝を成長させて、真珠層形成用の貝の外套膜片及び核が移植できる様な強健な母貝に育成することは非常に重要な分野である。 これらの貝の育成にも本発明の脱脂粉乳を主成分とする飼料は適していて、幼生から稚貝へ、また稚貝から更に真珠層形成用の移植ができる強健な母貝に成長させる迄、脱脂粉乳のみで順調に成長させることができる。

    【0033】これらの中、幼生または稚貝の飼育は困難なものとされているが、脱脂粉乳のみで順調に成長させることができるのは、栄養成分がプランクトンに類似していることの他、脱脂粉乳を水に溶かした場合、生成する乳化液中の微粒子が数μmでプランクトンとほぼ同じ程度のためと考えられる。 また、脱脂粉乳にモロヘイヤを加えれば一層幼生や稚貝の餌の嗜好性が高められることは母貝の場合と同様である。 更に、本発明方法による陸上の養殖施設における幼生や稚貝の飼育は、自然の海中や湖沼より成長率の向上や斃死率の低下の点で母貝の場合より一層優れている。

    【0034】本発明には更に陸上に設けられた真珠養殖用水槽の基本的構造に関する発明も含まれている。 養殖用水槽には槽内の液を循環するための配管が設けられており、またその配管には濾過槽が設置されている必要がある。 循環用配管は槽内または槽外のいずれに設けてもよいが、配管に設けられている濾過槽の定期掃除、濾材の交換等を考慮すれば槽外に設置することが好ましい。
    真珠養殖用の2枚貝は水質の影響を受けやすく、汚染した場合には急激に斃死率が高まったり、成長速度も低下することがある。 特に真珠層形成用の移植手術後は抵抗力が低下するためこの影響が顕著であり、また、真珠層の成長速度も著しく低下することが認められる。 このため槽内の下層液を取り出して濾過し、浮遊する汚濁物を除去して後槽内へ戻している。

    【0035】更に、濾過槽に充填されている濾材には活性炭または炭素材が含まれている必要がある。 炭素材は破砕した粒子として使用した場合、水中に浮遊する汚濁物を除去する効果が認められるが、その他表面が多数の微小な細孔となっているため槽内の液に含まれるバクテリアの繁殖の培地となって、真珠貝の成長に有効なAcin
    ectobactor属及びVibrio属、Flavobacterium属、Pseudo
    monas 属に含まれるバクテリアの繁殖を促進する作用がある。

    【0036】また、活性炭は通常1gあたり数100 m 2或いはそれ以上の大きな表面積を有し、高い吸着性を示す炭素材料であれば広範囲に使用できる。 活性炭の原料は通常ヤシ殻または木材等の炭化物或いは石炭が使用されるが何れでもよい。 また賦活法も水蒸気或いは二酸化炭素により高温でまたは塩化亜鉛、リン酸、濃硫酸処理等いづれの方法により得られたものでもよい。

    【0037】活性炭は無極性吸着剤として極めて優れた吸着性を有する特異な物質で、殆どすべてのガス状或いは液状物質に対して高い吸着性を示す。 このため槽内液中の汚濁物の他有害な成分を吸着除去する作用が高く、
    更に活性炭自体は総て細孔構造の集積物からなっているため、前述のバクテリアの繁殖培地としては一層好ましい。

    【0038】濾材には活性炭または炭素材の他、更に砂またはコーラルサンドを加えてもよい。 コーラルサンドは炭酸カルシウムからなっているため濾材としての機能の他、液のpHが低下した場合には一部溶出してpHを上昇させる調節作用もあり、また表面には多数の小孔径の穴があるため、前述の様なバクテリアの培地の機能も持っている。 更にその他の濾材も併用することができる。

    【0039】更に本発明に含まれる陸上に設置された真珠養殖用水槽として、 (A)養殖槽及び (B)飼料調製槽、
    (C)濾過槽、 (D)環境制御装置からなる水槽がある。
    (A)養殖槽の内部には水面の上から飼料溶液が降り注ぎ、槽内側面の下部に設けられた循環液抜取口から抜き取られた液は濾過槽で濾過された後、槽内側面の上部に水平方向で且つ槽内の液が槽内壁面に沿って循環する方向に設けられた循環液注入口より噴射され、槽内で円周方向の水流が発生する様になっている。 槽内底面は緩やかな逆円錐形で底部に排水口が設けられ、底部には沈殿物及び下層液抜取用の排出口が設けられている。

    【0040】(B)飼料調製槽には脱脂粉乳の計量及び供給装置、攪拌溶解装置が設置されている。 飼料溶液の調製及び養殖槽への供給は一定時間毎になされる様に環境制御装置で制御されている。 (C) 濾過槽に充填された濾材は活性炭及び炭素材、砂、コーラルサンドからなる群より選ばれた少なくとも1種類が含まれている。 また濾過層が濾過及びバクテリア繁殖の培地としての作用を有することは前述の通りである。 (D)環境制御装置には蛍光灯照明装置及び槽内温度制御装置、空気吹込装置、その他の養殖槽に関連した設備の運転制御装置が含まれている。 これらの機器により槽内は常に真珠貝の成育に最適な環境に保持されているため、通常の天然の環境で養殖する場合に較べて真珠層の成長速度が速いので層が厚くなり、品質も良好である。

    【0041】養殖は陸上の水槽で温度を最適な条件、例えばアコヤ貝の場合22〜23℃に保持して飼育されるため冬眠することなく、一年中貝の棲息に最も適した環境に保持され、常に成長を持続している。 このため貝の飼料摂取量が多く成長も速いため、真珠層の生成速度も自然の海中で養殖する場合に較べて2〜3倍となり、また直径が大きな真珠が得られ易い。 更に、自然の海水中での養殖にはプランクトン培養の困難性、自然災害による不測の被害等がかなり大きいので、これらのデメリットを考慮すれば、本発明は極めてメリットが大きい真珠養殖法であると言い得る。

    【0042】

    【発明の実施の形態】本発明方法により真珠層形成用の貝の外套膜片及び核を挿入した2枚貝、例えばアコヤ貝で真珠を養殖する場合、養殖用水槽には脱脂粉乳溶解槽、槽内液循環用配管、活性炭及びコーラルサンドを充填した濾過槽及び海水補給槽が付属している。 更に養殖用水槽には水温調節装置、空気吹き込み装置及び蛍光灯照明装置が取り付けられている。 槽内の液は常に循環・
    濾過され、海水温度、pH及び溶存酸素量は、常に一定の条件に管理されている。 採苗後2年のアコヤ貝に真珠層形成用の貝の外套膜片及び核を挿入した後、貝1個当たりの専有海水容積が2〜3リットルの割合で水槽に入れて養殖される。

    【0043】尚、養殖用水槽に使用する海水は天然の海水を活性炭またはコーラルサンド、砂、カキ殻を充填した濾過槽で濾過してゴミや汚物を除去して使用することもできるが、海水と同一の組成の無機塩類を含む人工海水を調製し、長期間真珠を養殖して貝の脱脂粉乳の消化を促進するバクテリアが繁殖している水槽の液を一部混合して使用すればより好ましい。

    【0044】飼料は脱脂粉乳100 重量部に対してモロヘイヤの粉末5重量部、炭酸カルシウム微粉末20重量部の混合物を脱脂粉乳溶解槽で海水中に充分分散させて、定時毎にバルブを開いて養殖用水槽に注入する。 脱脂粉乳及び、アコヤ貝を自然の海中で養殖する場合飼料とされているプランクトンに含まれる栄養成分を表1に示す。
    尚、モロヘイヤの栄養成分も併せて示した。

    【0045】

    【表1】

    【0046】表に示す様に、脱脂粉乳に含まれる栄養成分はプランクトンによく類似している。 しかし、アコヤ貝等貝類の餌に対する嗜好性は栄養成分の組成のみによって判断できるものではない。 生物の習性に基づく固有の選択によると考えられる。 アコヤ貝等2枚貝はプランクトンの他、プランクトンの死骸が海中のバクテリアの作用で一部変質した生成物または、海中に浮遊する微小な有機物 (デトリータス) を餌としている。

    【0047】海水中に分散した脱脂粉乳の微粒子及び、
    その粒子の一部が海水中のAcinectobactor属及びVibrio
    属等のバクテリアの作用で、一部変質した成分も貝の餌になると考えられるが、長期間脱脂粉乳のみで飼育してもアコヤ貝が順調に成長し高品質の真珠が得られるのは、脱脂粉乳に含まれる栄養成分がプランクトンと類似している点も大きな要因と考えられる。

    【0048】アコヤ貝の餌として、脱脂粉乳にモロヘイヤの微粉末を加えると、貝の餌に対する嗜好性が高まり、貝の成長速度ひいては真珠層の生成速度も向上させる効果が認められる。 モロヘイヤの栄養成分はプランクトンとは著しく異なるが、そのゲル状の性状は脱脂粉乳を貝が食べ易い物質に変化させるバクテリアの繁殖の促進或いは、培地の役割を果していることが考えられる。
    更に、炭酸カルシウムは真珠層の成長を著しく促進させる効果があるため加えられている。

    【0049】脱脂粉乳を飼料としてアコヤ貝を養殖した場合、海水中にはAcinectobactor属及びVibrio属、Flav
    obacterium属、Pseudomonas 属に含まれるバクテリアが繁殖していることが培養試験により認められる。 これらのバクテリアは脱脂粉乳の一部を変質させて貝の嗜好性が高い物質に変化させたり、貝の消化器官の内部で消化を促進する作用を有するものと考えられる。 養殖用水槽には活性炭及びコーラルサンドを充填した濾過槽が付属し、水槽内部の海水を循環・濾過している。 濾過槽では汚物やゴミを除去して海水を浄化する他、濾過層となっている活性炭やコーラルサンドが有する無数の細孔は、
    これらのバクテリアの培地となってその繁殖を促進している。 尚、コーラルサンドの主成分は炭酸カルシウムであり、一部は溶出して貝に摂取されて低下した海水中の炭酸カルシウムイオンを補充したり、pHの低下を防止する機能もある。

    【0050】養殖用水槽の底部は逆円錐状に窪み、貝の排泄物等養殖中に槽内に生成した不純物が水槽の底部に沈澱する構造になっている。 定時毎にバルブを開けて沈殿物を取り出すと共に、排泄物の蓄積によるpHの低下を防止する機能を果たしている。 また、養殖用水槽の海水は適宜海水補給槽から補給され常に一定の海水量が保持されている。 その他海水温度はアコヤ貝の成長に最適な
    22〜23℃に調節され、また貝の習性に合わせて飼料供給後一定時間は槽内の液の循環が停止され、また飼料の供給と連動して蛍光灯で所定時間所定の明るさの照明がなされ、その他溶存酸素濃度等環境も制御されている。

    【0051】図1に前記の養殖用水槽で飼育した核挿入済のアコヤ貝の6ケ月間の成育記録として、養殖経過期間、脱脂粉乳、モロヘイヤ及び炭酸カルシウムからなる飼料を投与した場合の貝の重量を示す。 尚、貝の重量は最初成長度合が平均程度の貝10ケを選び、以後その平均値で示した。 また、比較のため飼料として従来から使用されている培養プランクトンを使用した以外は、同様な条件で飼育した場合の成育記録も併せて示した。

    【0052】

    【図1】

    【0053】図に示した結果より、脱脂粉乳を主成分とする飼料によって養殖したアコヤ貝と、プランクトンを飼料とした貝の月平均の重量増加率はそれぞれ 7.0%及び5.4 %で、脱脂粉乳を飼料とした場合の成長速度はプランクトンの場合より却って高くなっている点が注目される。 また、6ケ月飼育後取り出した真珠層の成長度合も肉眼観察の結果、脱脂粉乳を使用し場合の方が良好であった。

    【0054】自然の海中における養殖では、水温が低下する冬季約6ケ月はアコヤ貝の成育及び真珠層の成長も停止される他、それ以外の季節でも最適水温とされる21
    〜25℃から離れるに従って真珠層の成長速度が低下し、
    貝の斃死率が高くなる。 本発明方法によれば常に最適水温23℃に保持されるため、自然の海中に較べて真珠層の成長速度は著しく早く従来法の2〜3倍以上に達する。
    更に貝の死亡率も2〜3%でかなり低くなっている。 自然の海中における養殖では最近は生態系の変化によるためか、死亡率が40〜60%に達する場合も多い。 また、本発明方法では得られた真珠も相当大粒となる他真珠層も均質で良好である。 これらの点も併せて考慮すれば、本発明の真珠養殖法は従来法に較べて著しく優れている。

    【0055】更に、天然の海中で採苗し、または人工受精により孵化した幼生または稚貝を、真珠養殖の場合と同様に脱脂粉乳または充分に粉砕後すりつぶしたモロヘイヤを加えた飼料で飼育した。 いずれも順調に母貝に成長し、斃死率も天然の海中で飼育した場合よりも遙かに低かった。 脱脂粉乳は海水中に充分に分散させた時粒子の直径が0.12μm 程度の極微粒子にもなるため、微小な幼生や稚貝が海水と共に小さな口から吸入するのに適していることも一因と考えられる。

    【0056】次に、シロチョウ貝に真珠層形成用の貝の外套膜片及び核を移植して、前述のアコヤ貝による真珠養殖と同様な陸上の大型水槽中で、実質的に海水と同一の組成を有する液中における養殖について述べる。 養殖用水槽の構成はアコヤ貝の場合と同様であり環境管理の方法もほぼ同じである。 採苗後2年のシロチョウ貝に真珠層形成用の貝の外套膜片及び核を移植した後、貝1個当たりの専有海水容積が10〜12リットルの割合で水槽に入れて養殖した。 尚、海水温度はシロチョウ貝の成長に最適な24〜26℃に調節されている。

    【0057】図2に飼料としてアコヤ貝の場合と同一の組成の脱脂粉乳、モロヘイヤ及び炭酸カルシウムからなる混合物を投与して2ケ年間飼育した場合の、貝の成長の度合いを殻高の変化で示した。 尚、最初成長度合が平均程度の貝10ケを選び、貝の殻高は以後その平均値で示した。 また、比較のため飼料として従来から使用されている培養プランクトンを使用した以外は、同様な条件で1ケ年間飼育した場合の成育記録も併せて示した。

    【0058】

    【図2】

    【0059】貝の斃死率はこの様な最適な条件を選択した環境で、脱脂粉乳を主成分とした飼料で飼育した場合、核移植手術直後の斃死率は10〜12%程度でそれ以後は数%に低下した。 大部分の貝は順調に成長し貝の成長率はプランクトンより3〜4%程度高く、脱脂粉乳はシロチョウ貝の飼料にも適していることが分かった。 2年間飼育後真珠を取り出して肉眼観察した結果、真珠層の成長も順調であり品質も自然の海中で採取したものと較べて遜色がなかった。

    【0060】シロチョウ貝は通常亜熱帯海域に生息しており生存に適した温度も高いため、わが国ではごく一部の海域を除いて養殖は困難であり、養殖された場合も海水の温度が低下する冬季は貝及び真珠層の成長も停止する。 それ以外の季節でも最適水温とされる24〜27℃から離れるに従って真珠層の成長速度が急速に低下する他、
    貝の斃死率が高くなり真珠層の巻きも薄く南洋産の真珠と較べて品質もかなり劣っていた。

    【0061】本発明方法によれば養殖槽内を常に最適水温に保持することは容易であり、脱脂粉乳に対する嗜好性も自然の海中のプランクトンに較べて同等またはそれ以上であるから、真珠層の成長速度も早く従来の養殖方法より遙かに高い。 更に貝の斃死率も移植手術直後は12
    〜15%であるが、それ以後は1年間当たり4〜5%に低下するので、最近自然の海水の汚染を考慮すれば遙かに優れている。 また、得られた真珠も相当大粒となり真珠層も厚く良好で、国内でも南洋産シロチョウ貝真珠に較べて遜色がない品質の真珠が養殖可能となる。

    【0062】次に、クロチョウ貝についても真珠層形成用の貝の外套膜片及び核を移植して、前述のシロチョウ貝と同様な条件で1ケ年養殖して、斃死率、殻高の伸長による成長速度及び1年後取り出して真珠層の成長の度合を調べた。 図4に貝の殻高の変化による成長速度を示す。 養殖後槽内の液の試料をとり培養試験をした結果、
    Acinectobactor属及びVibrio属、Flavobacterium属、Ps
    eudomonas 属に含まれるバクテリアが繁殖していることが認められた。

    【0063】

    【図3】

    【0064】図に示す様に、飼料として脱脂粉乳、モロヘイヤ及び炭酸カルシウムからなる混合物を投与した場合、クロチョウ貝も順調に成長し飼料として脱脂粉乳が適していることが分かった。 貝の斃死率は移植手術直後は約10%であるが、それ以後は1年間当たり3〜4%に低下する。 真珠層の成長も順調で品質も自然の海中で採取したものと較べて遜色がなかった。 本発明方法によれば国内でも南洋産クロチョウ貝真珠に較べて遜色がない品質の真珠が養殖可能となり、その他のメリットも前述のシロチョウ貝の場合とほぼ同様である。

    【0065】次に淡水棲2枚貝の例として、イケチョウ貝に真珠層形成用の貝の外套膜片を移植して小型水槽、
    例えば熱帯魚鑑賞用水槽等を利用して淡水中で養殖する場合について述べる。 熱帯魚鑑賞用水槽には小型の活性炭粒子を含んだコーラルサンドの濾過器、水温調節器、
    空気ブロー器及び照明用蛍光灯が取り付けられている。
    水槽中の淡水は水道水のカルキを抜いた後活性炭粒子を含んだコーラルサンドの濾過器でしばらく循環して使用してもよいが、真珠を養殖して貝の成育に適したバクテリアが繁殖している水槽の水を一部混合して使用すればより好ましい。

    【0066】採苗後2年のイケチョウ貝に真珠層形成用の貝の外套膜片を移植して、水中の1個当たりの専有容積を3〜5リットルになる様な割合で水槽に入れた。 槽内の水温、pH及び溶存酸素量が一定の条件に保持される様になっている。

    【0067】飼料として脱脂粉乳100 重量部に対してモロヘイヤの粉末5重量部、炭酸カルシウム微粉末20重量部の混合物を定時毎に直接水槽内に投入した。 イケチョウ貝の餌は通常プランクトンの他、プランクトンの死骸が水中のバクテリアの作用で一部変質した生成物、または水中に浮遊している微小な有機質 (デトリータス)である。 水中に分散した脱脂粉乳の微粒子及び、バクテリアの作用で一部は変質した生成物が貝の餌になるものと考えられるが、長期間脱脂粉乳のみで養殖してもイケチョウ貝が順調に成長し高品質の真珠が得られるのは、脱脂粉乳に含まれる栄養成分がプランクトンと類似している点も大きな要因である。

    【0068】イケチョウ貝もアコヤ貝の場合と同様に、
    餌として脱脂粉乳にモロヘイヤの微粉末を加えると貝の餌に対する嗜好性が高まり、成長速度ひいては真珠層の形成速度を向上させる効果が認められる。 モロヘイヤの栄養成分は前述の様にプランクトンとは著しく異なるものであるが、貝が脱脂粉乳を摂取する作用を促進するバクテリアの繁殖の促進、或いは培地の役割を果している。 更に、炭酸カルシウムはアコヤ貝の場合と同様に真珠層の成長を著しく促進させる効果があるため加えられている。

    【0069】水槽内部の水を常にイケチョウ貝の生息に適した状態に保持するために、小型の活性炭を含むコーラルサンドの濾過器を通して循環させている。 濾過層となっている活性炭粒子及びコーラルサンドの細孔は、脱脂粉乳の嗜好性を高める作用をするバクテリアの培地に適していて、その繁殖を促進するためにも好ましい。 またコーラルサンドの主成分は炭酸カルシウムであり、一部は溶出して貝に摂取されて低下した海水中の炭酸カルシウム濃度を補給したり、pHの低下を防止する機能もある。

    【0070】水槽の底部には貝の排泄物及びその他浮遊物が沈澱するため、底部が窪んだ形状でそこに沈殿物が溜まる様にし、定時にバルブを開けて取り出すかまたは上部からパイプを挿入して吸引除去する必要がある。 その他水温はイケチョウ貝の成長に最適な22〜23℃に調節され、また貝の習性に合わせて飼料供給後一定時間は槽内の循環が停止され、また蛍光灯で所定時間所定の明るさの照明がなされる様になっている。

    【0071】真珠層形成用の貝の外套膜片を移植したイケチョウ貝16個を、熱帯魚鑑賞用の小型水槽中で6ケ月間飼育した。 その結果、死んだ貝は1個のみでその他は順調に成育し、良好な真珠層が成長し形状もよく直径6
    〜8mmの真珠が貝1個あたり2〜3個づつ得られた。 自然の湖で養殖する場合に較べて真珠層の成長が非常に早いことが本発明方法の大きな特徴で、真珠層の品質も良好である。 この様な小型の水槽は真珠養殖用のみに使用できる他、熱帯魚の鑑賞と併用することも可能である。
    図4にイケチョウ貝を長期間飼育した時の成長曲線の一例を示す。 また、養殖時の槽内の水中にはAcinectobact
    or属及びVibrio属、Flavobacterium属、Pseudomonas 属に含まれるバクテリアが繁殖していることが培養試験の結果認められた。

    【0072】更に、自然の湖沼で採苗し、または人工受精により孵化した幼生または稚貝を、真珠養殖の場合と同様に脱脂粉乳またはそれに一部充分に粉砕後すりつぶしたモロヘイヤを加えた飼料で飼育した。 いずれも順調に母貝に成長し、斃死率も自然の湖沼で飼育した場合よりもかなり低かった。 脱脂粉乳は水中に充分分散させると粒子径が0.12μm 程度の極微粒子とすることも可能であり、微小な幼生や稚貝の小さな口から水と共に吸入するのに適していることも一因と考えられる。

    【0073】

    【発明の効果】本発明は脱脂粉乳を主成分とした飼料により、陸上の水槽中でアコヤ貝等真珠貝を飼育することによる真珠の養殖方法である。 脱脂粉乳は供給が安定し従来のプランクトンを養殖した飼料に較べて経済性も高く、工場化した陸上の大型水槽で貝の成育に最適な条件で養殖することが可能である。 このため母貝及び真珠層の成長が天然の海中における養殖に較べて著しく速く、
    直径10〜12mmの真珠が容易に得られ、真珠層も均質で品質が優れている。 また母貝の死亡率の低下、台風・赤潮等の自然災害のおそれがないこと更に、海水の温度の関係で冬季約6ケ月は貝が冬眠した従来の方法に較べると、大きなメリットがある。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】アコヤ貝を養殖した場合の成長曲線の一例を示す。

    【図2】シロチョウ貝を養殖した場合の成長曲線の一例を示す。

    【図3】クロチョウ貝を養殖した場合の成長曲線の一例を示す。

    【図4】イケチョウ貝を養殖した場合の成長曲線の一例を示す。

    【符号の説明】

    1 アコヤ貝を脱脂粉乳で養殖した場合 2 アコヤ貝をプランクトンで養殖した場合 3 シロチョウ貝を脱脂粉乳で養殖した場合 4 シロチョウ貝をプランクトンで養殖した場合 5 クロチョウ貝を脱脂粉乳で養殖した場合 6 イケチョウ貝を脱脂粉乳で養殖した場合

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