エーテル含有カルビノール末端化ポリマー

申请号 JP2013539205 申请日 2011-11-10 公开(公告)号 JP5877846B2 公开(公告)日 2016-03-08
申请人 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー; 发明人 ノルベルト・シュタインハウザー;
摘要
权利要求

末端基によって官能化されたポリマーであって、前記ポリマーが、ジエンポリマーであるか、またはジエンをビニル芳香族モノマーと共重合させることを介して得ることが可能なジエンコポリマーであり、鎖の末端に、式(I)のエーテル含有カルビノール基を有することを特徴とする、末端基によって官能化されたポリマー。 [式中、Aは、CおよびHに加えて、O、N、S、およびSiからなる群から選択されるヘテロ原子を含んでいてよい、二価の有機残基である。]前記ポリマーの前記末端基が、式(II)の金属塩の形態をとっていることを特徴とする、請求項1に記載の、末端基によって官能化されたポリマー。 [式中、Aは、CおよびHに加えて、O、N、S、およびSiからなる群から選択されるヘテロ原子を含んでいてよい、二価の有機残基であり、nは、1〜4の整数であり、Mは、原子価1〜4の金属または半金属である。]前記ジエンポリマーが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレンコポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、イソプレン−スチレンコポリマー、またはブタジエン−イソプレン−スチレンターポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の、末端基によって官能化されたポリマー。官能化反応剤として使用される1種または複数のシクロペルオキシドとの反応を介して得られることを特徴とする、請求項3に記載の、末端基によって官能化されたポリマー。前記シクロペルオキシドが、一般式(III)の化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の、末端基によって官能化されたポリマー。 [式中、Aは、CおよびHに加えて、ヘテロ原子を含んでいてよい、二価の有機残基である。]前記ポリマーの平均モル質量(数平均)が、10 000〜2 000 000g/molであることを特徴とする、請求項5に記載の、末端基によって官能化されたポリマー。前記ポリマーのガラス転移温度が、−110℃〜+20℃であることを特徴とする、請求項6に記載の、末端基によって官能化されたポリマー。前記ポリマーのムーニー粘度[ML 1+4(100℃)]が、10〜200ムーニー単位であることを特徴とする、請求項7に記載の、末端基によって官能化されたポリマー。ジエンポリマーであるか、またはジエンをビニル芳香族モノマーと共重合させることを介して得ることが可能なジエンコポリマーである、反応性のポリマー鎖末端を有するポリマーに対して、1種または複数のシクロペルオキシド(官能化反応剤)を添加することを特徴とする、末端基によって官能化されたポリマーを製造するための方法。重合反応の完了後に、前記官能化反応剤の添加を実施することを特徴とする、請求項9に記載の方法。過剰の官能化反応剤を使用することを特徴とする、請求項9に記載の方法。化学量論量または準化学量論量の官能化反応剤を使用することを特徴とする、請求項9に記載の方法。官能化反応剤の量が、反応性のポリマー鎖末端を有するポリマーの量を基準にして、0.005〜2重量%であることを特徴とする、請求項11または12のいずれかに記載の方法。前記反応性のポリマー鎖末端との反応のために、カップリング剤を使用し、前記カップリング剤を、前記官能化反応剤の後に添加することを特徴とする、請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。加硫可能なゴム組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の、末端基によって官能化されたポリマーの使用。請求項1または2に記載の末端基によって官能化されたポリマーを含む、加硫可能なゴム組成物。タイヤを製造するための、請求項16に記載の加硫可能なゴム組成物の使用。成形物を製造するための、請求項16に記載の加硫可能なゴム組成物の使用。請求項17に従って得ることが可能な、タイヤ。請求項18に従って得ることが可能な、成形物。

说明书全文

本発明は、末端基によって官能化されたポリマー、ならびにそれらの製造および使用に関する。

タイヤトレッドにおいて望まれる重要な性質は、乾燥表面および湿潤表面に対する良好なグリップ(adhesion)、低い転がり抵抗性、さらには高い摩耗抵抗性であるが、同時に転がり抵抗性および摩耗抵抗性を損なうことなく、タイヤの横滑り抵抗性を改良するのは、極めて困難である。転がり抵抗性が低いことは、燃料消費量を下げるためには重要であり、また摩耗抵抗性が高いことが、タイヤの寿命を長引かせるための決定的要因である。

タイヤトレッドの湿時における横滑り抵抗性および転がり抵抗性は、その混合物を製造したときに使用されたゴムの動的な機械的性質に大きく依存する。転がり抵抗性をより低くするために、タイヤトレッドでは、比較的に高い温度(60℃〜100℃)において高い反発弾性を有するゴムが使用される。その一方で、低温(0℃〜23℃)で高い減衰率を有する、したがって0℃〜23℃の範囲で低い反発弾性を有するゴムが、湿時の横滑り抵抗性を改良するには有利である。この込み入った組合せの要求性能に適合させるために、タイヤトレッドでは、各種のゴムから得られる混合物を使用している。通常使用される混合物は、比較的高いガラス転移温度を有する1種または複数のゴム、たとえば、スチレン−ブタジエンゴムと、比較的低いガラス転移温度を有する1種または複数のゴム、たとえば、高1,4−cis含量を有するポリブタジエン、または低スチレン含量および低ビニル含量を有するスチレン−ブタジエンゴム、または中程度の1,4−cis含量および低ビニル含量を有する溶液法で製造されたポリブタジエンと、から製造される。

低い転がり抵抗性を有するタイヤトレッドを製造するためには、アニオン重合された二重結合を含む溶液法のゴム、たとえば、溶液法ポリブタジエンおよび溶液法スチレン−ブタジエンゴムが、それらに相当するエマルション法のゴムよりも利点を有している。それらの利点は、特に、ビニル含量、ならびにそれに伴うガラス転移温度および分子の分岐度の調節のしやすさにある。このことが、タイヤの湿時の横滑り抵抗性と転がり抵抗性との間の関係に、特に実用的な利点を与える。遊離のポリマー鎖末端から、ならびに、タイヤトレッド混合物の中において使用される充填剤(多くの場合、シリカおよび/またはカーボンブラック)によって形成される充填剤のネットワークが可逆的に形成されたり分離されたりすることから、タイヤトレッドにおけるエネルギーの散逸、したがって転がり抵抗性に対する顕著な貢献がもたらされる。

ポリマー鎖末端に官能基を導入することによって、前記鎖末端を充填剤の表面に物理的または化学的に結合させることが可能となる。このことによって、それらの運動の自由が制限され、そのために、タイヤトレッドを動的な応力にかけたときに、エネルギーの散逸が低下することになる。それと同時に、前記官能性末端基が、それらの充填剤のタイヤトレッド中への分散性を改良することも可能であって、このことによって、充填剤のネットワークを弱め、そのために転がり抵抗性がさらに低下するようにすることができる。

したがって、末端基を変性するための各種の方法が開発されてきた。例を挙げれば、(特許文献1)には、官能化反応剤として4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンまたはN−メチルカプロラクタムを使用することが記載されている。エチレンオキシドおよびN−ビニルピロリドンを使用することもまた、(特許文献2)から公知である。(特許文献3)には、多数のその他可能な官能化反応剤がリストアップされている。

シラン、特にケイ素の上に、全部で少なくとも2個のハロゲン置換基および/またはアルキルオキシ置換基および/またはアリールオキシ置換基を有するシランは、ジエンゴムの末端基を官能化させるための良好な適合性を有しているが、その理由は、Si原子上の上述の置換基の一つが、アニオン重合ジエンポリマー鎖末端によって容易に置換されうるし、Si上のまた別な上述の置換基(1個または複数)が、場合によっては加分解の後に、タイヤトレッド混合物の充填剤と相互作用することが可能な官能基として利用できるからである。このタイプのシランの例は、(特許文献4)、(特許文献5)、および(特許文献6)において見出される。

しかしながら、上述の官能化反応剤の多くは、たとえばプロセス溶媒中への溶解性が低い、毒性が高い、または揮発性が高いなどの欠点を有しており、これが原因で回収溶媒の汚染が起こりうる。さらに、前記官能化反応剤の多くは、二つ以上のアニオン性のポリマー鎖末端と反応することが可能であり、そのために、カップリング反応が起きるが、それは多くの場合、邪魔であり、調節することが困難である。このことは、上述のシランの場合に特にあてはまる。その上に、それらは、前記シランをアニオン性のポリマー鎖末端と反応させると、たとえばハロゲン化物またはアルコキシ基のような成分の開裂が生じ、後者は、容易にアルコールに転化するという、さらなる欠点を有している。ハロゲン化物は腐食を促進させるし、アルコールは、プロセス溶媒の汚染につながる可能性がある。官能化反応剤としてシランを使用することのさらなる欠点は、官能化プロセスの後に、得られたシロキサン末端化ポリマーが、ポリマー鎖末端におけるSi−OR基による(または、Si−OR基が加水分解された後のSi−OH基による)カップリングが起きてSi−O−Si結合が生成する可能性があり、それによって、仕上げ工程および貯蔵の間にゴムの粘度の望ましくない上昇が起きるということである。シロキサン末端化ポリマーにおける前記の粘度上昇を抑制するための方法が、多数記載されてきたが、例を挙げれば以下のようなものがある:酸およびハロゲン化アシルをベースとする安定化剤の添加(特許文献7)、シロキサンの添加(特許文献8)、長鎖アルコールの添加(特許文献9)、およびpH調節剤の添加(特許文献10)。

欧州特許出願公開第0 180 141A1号明細書

欧州特許出願公開第0 864 606A1号明細書

米国特許第4,417,029号明細書

米国特許第3,244,664号明細書

米国特許第4,185,042号明細書

欧州特許出願公開第0 890 580A1号明細書

欧州特許出願公開第0 801 078A1号明細書

欧州特許第1 198 506B1号明細書

欧州特許第1 237 934B1号明細書

欧州特許第1 726 598号明細書

したがって、末端基によって官能化され、従来技術の欠点を有さないポリマーを提供することが、目標であったが、そのような欠点の例を挙げれば、官能化反応剤1分子あたり複数のアニオン性ポリマー鎖末端が反応したり、仕上げ工程および貯蔵の際にSi−O−Si結合を形成するような問題の多い成分およびカップリングを排除したりすることである。

前記の問題を解決するための、末端基によって官能化されたポリマーが提案されるが、このものはポリマー鎖末端に式(I)のエーテル含有カルビノール基を有している。

[式中、Aは、CおよびHに加えて、ヘテロ原子たとえばO、N、S、Siを含んでいてよい、二価の有機残基である。]

末端基によって官能化された、本発明によるポリマーは、好ましくは、式(II)の末端基を有する金属塩の形態を取ることができる。

[式中、Aは、CおよびHに加えて、ヘテロ原子たとえばO、N、S、Siを含んでいてよい、二価の有機残基であり、nは、1〜4の整数であり、Mは、原子価1〜4の金属または半金属、好ましくは、Li、Na、K、Mg、Ca、Fe、Co、Ni、Al、Nd、Ti、Si、Snである。]

末端基によって官能化された、本発明によるポリマーを製造するために好ましいポリマーは、ジエンポリマー、およびジエンをビニル芳香族モノマーと共重合させることを介して得ることが可能なジエンコポリマーである。

好ましいジエンは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、および/または1,3−ヘキサジエンである。1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンを使用するのが、特に好ましい。

使用することが可能なビニル芳香族コモノマーの例としては、以下のものが挙げられる:o−、m−および/またはp−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、および/またはジビニルナフタレン。スチレンを使用するのが特に好ましい。

これらのポリマーは、アニオン溶液重合によるか、または配位触媒を使用した重合によって製造するのが好ましい。この文脈における配位触媒とは、Ziegler−Natta触媒、または一金属触媒系を意味している。好適な配位触媒は、Ni、Co、Ti、Zr、Nd、V、Cr、Mo、W、またはFeをベースとするものである。

アニオン溶液重合プロセスのための重合開始剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属をベースとするもので、たとえば以下のものが挙げられる:メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、オクチルリチウム、デシルリチウム、2−(6−リチオ−n−ヘキソキシ)テトラヒドロピラン、3−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−1−プロピルリチウム、フェニルリチウム、4−ブチルフェニルリチウム、1−ナフチルリチウム、p−トルイルリチウム、二級アミンのリチウムアミド、たとえば、リチウムピロリダイド、リチウムピペリダイド、リチウムヘキサミチレンイミド、リチウムジフェニルアミド。これらのリチウムアミドは、インサイチューで有機リチウム化合物を二級アミンと反応させることによって生成させることも可能である。二官能および多官能の有機リチウム化合物、たとえば、1,4−ジリチオブタン、およびジリチウムピペラジドを使用することもまた可能である。n−ブチルリチウムおよびsec−ブチルリチウムを使用するのが好ましい。

ポリマーの微細構造のための公知のランダマイザー(randomizer)および調節剤を使用することもまた可能であって、そのようなものとしては、たとえば以下のものが挙げられる:ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−tert−ブチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)−2−メチルプロパン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ヘキシルテトラヒドロフルフリルエーテル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)プロパン、ジオキサン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,2−ジピペリジノエタン、1,2−ジピロリジノエタン、1,2−ジモルホリノエタン、ならびにさらに、アルコール、フェノール、カルボン酸、およびスルホン酸カリウムおよびナトリウム塩。

このタイプの溶液重合プロセスは公知であり、例えば以下の文献に記載がある:I.Franta,Elastomers and Rubber Compounding Materials,Elsevier,1989,pp.113〜131;Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry],Thieme Verlag,Stuttgart,1961,Volume XIV/1、pp.645〜673もしくはVolume E 20(1987),pp.114〜134およびpp.134〜153;ならびに、Comprehensive Polymer Science,Vol.4,Part II(Pergamon Press Ltd.,Oxford,1989),pp.53−108。

好適なジエンのホモポリマーおよびコポリマーは、溶媒中で製造するのが好ましい。重合プロセスのために使用される好適な溶媒は、不活性な非プロトン性溶媒、たとえば、パラフィン系炭化水素たとえば、異性体を含めたブタン類、ペンタン類、ヘキサン類、ヘプタン類、オクタン類、およびデカン類、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、または1,4−ジメチルシクロヘキサン、または芳香族炭化水素たとえば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ジエチルベンゼン、またはプロピルベンゼンなどである。これらの溶媒は、個別に使用しても、組み合わせて使用してもよい。好ましいのは、シクロヘキサンおよびn−ヘキサンである。極性溶媒とブレンドすることも、同様に可能である。

本発明によるプロセスのための溶媒の量は、使用したゴム全体量100gを規準にして、通常は100〜1000g、好ましくは200〜700gである。しかしながら、溶媒を存在させずに、使用したモノマーを重合させることも可能である。

重合プロセスを実施するために可能な方法においては、モノマーおよび溶媒を最初の仕込み物として使用し、次いで重合開始剤または触媒を添加することによって、重合プロセスを開始させる。フィードプロセスにおいて原料を重合させることもまた可能であり、その場合、モノマーおよび溶媒を重合反応器に加えるが、重合開始剤または触媒は、初期仕込み物として使用するか、またはモノマーおよび溶媒と共に添加する。いくつかの変法も可能であって、たとえば、反応器中への初期仕込み物として溶媒を使用し、重合開始剤または触媒を添加し、次いでモノマーを添加する。重合プロセスを連続法で実施することもまた可能である。いずれの場合においても、その重合プロセスの途中または終了時に、さらなるモノマーおよび溶媒を添加することも可能である。

重合時間は、数分間〜数時間と、広く変化させることができる。通常は、重合時間は約10分間から8時間まで、好ましくは20分間〜4時間である。重合プロセスは、大気圧あるいは高圧(1〜10bar)のいずれでも実施することができる。

驚くべきことには、官能化反応剤として1種または複数のシクロペルオキシドを使用することによって、末端基によって官能化されており、従来技術の欠点を有さないポリマーを製造することができるということが見出された。例を挙げれば、官能化反応剤のところでの多重の反応によるカップリングプロセスが全く起き得ないこと、問題が多い成分の開裂が全く起き得ないこと、ならびに、仕上げ工程および貯蔵の際に、Si−O−Si結合の生成によるカップリングプロセスが起きえないことである。

シクロペルオキシドは、一般式(III)の化合物である。

[式中、Aは、CおよびHに加えて、ヘテロ原子たとえばO、N、S、Siを含んでいてよい、二価の有機残基である。]

式(III)の化合物としては、以下のものが挙げられる: ジメチルジオキシラン

1,2−ジオキソラン

3,5−ジメチル−1,2−ジオキソラン

3,3,5,5−テトラメチル−1,2−ジオキソラン

1,2−ジオキサン

3,3,6,6−テトラメチル−1,2−ジオキサン

1,2,4−トリオキサン

1,2,4−トリオキシン

1,2−ジオキセパン

3,3,5,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン

1,2−ジオキソカン

3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソノナン

1,4−ジメチル−2,3−ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン

ヘキサヒドロ−3,3−ジメチル−1,2,4−ベンゾトリオキシン

末端基によって官能化された、本発明によるポリマーは、反応性のポリマー鎖末端をシクロペルオキシドと反応させ、場合によっては、次いでその末端アルコラート基をプロトン化させてアルコールとすることによって製造することが可能であるということが見出された。

したがって、本発明はさらに、末端基によって官能化され、式(I)または(II)の末端基を有する本発明によるポリマーを製造するための、官能化反応剤としてのシクロペルオキシドの使用もまた提供する。

本発明によるポリマーの平均モル質量(数平均)は、好ましくは10 000〜2 000 000g/mol、より好ましくは100 000〜1 000 000g/molであり、それらのポリマーのガラス転移温度は、−110℃〜+20℃、好ましくは−110℃〜0℃であり、そしてそれらのポリマーのムーニー粘度のML 1+4(100℃)は、10〜200ムーニー単位、好ましくは30〜150ムーニー単位である。

本発明はさらに、末端基によって官能化された、本発明によるポリマーを製造するための方法も提供するが、この場合、純物質、溶液または懸濁液の形態にある式(III)の1種または複数の化合物を、反応性のポリマー鎖末端を有するポリマーに添加する。その添加は、重合反応が完結した後に実施するのが好ましいが、モノマーの転化が完了するより前に実施することもまた可能である。式(III)の化合物と反応性のポリマー鎖末端を有するポリマーとの反応は、重合反応のために通常使用される温度で起きる。式(III)に従う化合物を反応性のポリマー鎖末端と反応させるための反応時間は、数分間〜数時間とすることができる。

前記化合物の量は、反応性のポリマー鎖末端の全部が式(III)の化合物と反応するように選択することができるか、または前記化合物の準化学量論量が使用できるようにする。式(III)に従う化合物の使用量は、広い範囲をカバーできる。好ましい量は、ポリマーの量を基準にして、0.005〜2重量%、特には0.01〜1重量%である。

式(III)に従う化合物に加えて、アニオン性のジエン−重合プロセスのために典型的に使用されるカップリング剤を、反応性のポリマー鎖末端と反応させるために使用することもまた可能である。それらのカップリング剤の例としては以下のものが挙げられる:四塩化ケイ素、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、四塩化スズ、ジブチルスズジクロリド、テトラアルコキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、および1,2,4−トリス(クロロメチル)ベンゼン。これらのカップリング剤は、式(III)の化合物よりも前に、またはそれらと同時に、またはそれらの後に添加することができる。

式(III)の成分および場合によってはカップリング剤を添加した後で、慣用される抗酸化剤たとえば、立体障害フェノール、芳香族アミン、ホスファイト、およびチオエーテルを、本発明によるエーテル含有カルビノール末端化ポリマーの仕上げ工程より前またはその途中に添加するのが好ましい。ジエンゴムに対して使用するのに慣用されるエクステンダーオイル、たとえば、DAE(Distillate Aromatic Extract(留出油からの芳香族系抽出物))オイル、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract(留出油からの芳香族系抽出物を処理した))オイル、MES(Mild Extraction Solvate(軽度抽出溶媒和物))オイル、RAE(Residual Aromatic Extract(残油からの芳香族系抽出物))オイル、TRAE(Treated Residual Aromatic Extract(残油からの芳香族系抽出物を処理した))オイル、ならびにナフテン系オイルおよび重質ナフテン系オイルを添加することもまた可能である。充填剤たとえば、カーボンブラックおよびシリカ、ならびにゴムおよびゴム助剤を添加することもまた可能である。

溶媒を重合プロセスから、慣用される方法たとえば、蒸留、水蒸気ストリッピング、または場合によっては高温で真空をかけることによって除去することができる。

本発明はさらに、末端基によって官能化された、本発明によるポリマーを、加硫可能なゴム組成物を製造するために使用することも提供する。

前記の加硫可能なゴム組成物が、さらなるゴム、充填剤、ゴム用薬品、加工助剤、およびエクステンダーオイルを含んでいるのが好ましい。

追加のゴムの例は天然ゴムであるが、合成ゴムでもよい。それらが存在している限りにおいては、それらの量は通常、混合物中のポリマーの全量を基準にして0.5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%の範囲である。追加で添加されるゴムの量は、したがって、本発明によるゴム組成物のそれぞれ意図された用途に依存する。

文献から公知の合成ゴムのリストを、例として以下に示す。それらには、特に以下のものが含まれる。 BR:ポリブタジエン ABR:ブタジエン/アクリル酸C1〜C4−アルキル・コポリマー IR:ポリイソプレン ESBR:スチレン−ブタジエンコポリマー(乳化重合で製造され、スチレン含量が1〜60重量%、好ましくは20〜50重量%のもの) SSBR:スチレン−ブタジエンコポリマー(溶液重合で製造され、スチレン含量が1〜60重量%、好ましくは15〜45重量%のもの) IIR:イソブチレン−イソプレンコポリマー NBR:ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー(アクリロニトリル含量が、5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%のもの) HNBR:部分水素化または完全水素化NBRゴム EPDM:エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー ならびに前記ゴムの混合物。自動車用タイヤを製造するために興味のある材料は、特に、天然ゴム、ガラス転移温度が−60℃よりも高いESBRおよびSSBR、高cis含量(>90%)を有するポリブタジエンゴム(Ni、Co、Ti、またはNdをベースとする触媒を使用して製造されたもの)、さらには80%までのビニル含量を有するポリブタジエンゴム、ならびにそれらの混合物である。

本発明によるゴム組成物において使用することが可能な充填剤は、ゴム産業において使用される公知の充填剤のいずれでもよい。それらには、活性充填剤と不活性充填剤とが含まれる。

例としては、以下のようなものが挙げられる: ・ 微粒子シリカ、たとえばシリケートの溶液からの沈降法またはハロゲン化ケイ素の火炎加水分解法で製造され、比表面積(BET表面積)が5〜1000m2/g、好ましくは20〜400m2/gであり、一次粒径が10〜400nmであるもの。それらのシリカは、適切であるならば、他の金属の酸化物たとえばAl酸化物、Mg酸化物、Ca酸化物、Ba酸化物、Zn酸化物、Zr酸化物、またはTi酸化物との混合酸化物の形態をとることもできる; ・ 合成シリケート、たとえばケイ酸アルミニウム、またはアルカリ土類金属シリケート、たとえば、ケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸カルシウムで、BET表面積が20〜400m2/gで、一次粒径が10〜400nmのもの; ・ 天然シリケート、たとえばカオリン、およびその他各種の天然のシリカの形態のもの; ・ ガラス繊維およびガラス繊維製品(マット、ストランド)、またはガラスマイクロビーズ; ・ 金属酸化物たとえば、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または酸化アルミニウム; ・ 金属炭酸塩たとえば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、または炭酸亜鉛; ・ 金属水酸化物たとえば、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム; ・ 金属硫酸塩たとえば、硫酸カルシウムまたは硫酸バリウム; ・ カーボンブラック:ここで使用されるカーボンブラックは、火炎法、チャンネル法、ファーネス法、ガス法、加熱法、アセチレン法、またはアーク法によって調製されたものであって、それらのBET表面積が9〜200m2/gであり、例を挙げれば、SAF、ISAF−LS、ISAF−HM、ISAF−LM、ISAF−HS、CF、SCF、HAF−LS、HAF、HAF−HS、FF−HS、SPF、XCF、FEF−LS、FEF、FEF−HS、GPF−HS、GPF、APF、SRF−LS、SRF−LM、SRF−HS、SRF−HM、およびMTカーボンブラック、またはASTMに従って下記のように分類される以下の種類:N110、N219、N220、N231、N234、N242、N294、N326、N327、N330、N332、N339、N347、N351、N356、N358、N375、N472、N539、N550、N568、N650、N660、N754、N762、N765、N774、N787、およびN990カーボンブラックである; ・ ゴムゲル、特にBR、ESBRおよび/またはポリクロロプレンをベースとした、5〜1000nmの粒径を有するもの。

使用される好適な充填剤は、微粒子シリカおよび/またはカーボンブラックである。

上述の充填剤は、単独で使用しても、あるいは混合物の形で使用してもよい。一つの特に好ましい実施態様においては、そのゴム組成物には、充填剤として、淡色の充填剤たとえば微粒子シリカとカーボンブラックとからなる混合物が含まれていて、ここで淡色の充填剤のカーボンブラックに対する混合比が、(0.01:1)から(50:1)まで、好ましくは(0.05:1)から(20:1)までである。

ここで使用される充填剤の量は、100重量部のゴムを規準にして、10〜500重量部の範囲である。20〜200重量部を使用するのが好ましい。

本発明のまた別な実施態様においては、そのゴム組成物には、ゴム助剤もまた含まれるが、それらは例えば、ゴム組成物の加工性能を改良したり、あるいはゴム組成物の架橋に役立ったり、あるいは本発明のゴム組成物から製造される加硫物の、前記加硫物が意図されている特別な目的のための物理的性質を改良したり、あるいはゴムと充填剤との間の相互作用を改良したり、あるいはゴムの充填剤に対するカップリングに役だったりする。

ゴム助剤の例としては以下のものが挙げられる:架橋剤たとえば、硫黄もしくは硫黄供与化合物、さらには反応促進剤、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、抗オゾン剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、エクステンダー、有機酸、シラン、加硫遅延剤、金属酸化物、エクステンダーオイルたとえば、DAE(Distillate Aromatic Extract(留出油からの芳香族系抽出物))オイル、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract(留出油からの芳香族系抽出物を処理した))オイル、MES(Mild Extraction Solvate(軽度抽出溶媒和物))オイル、RAE(Residual Aromatic Extract(残油からの芳香族系抽出物))オイル、TRAE(Treated Residual Aromatic Extract(残油からの芳香族系抽出物を処理した))オイル、およびナフテン系オイルおよび重質ナフテン系オイル、ならびに活性化剤。

ゴム助剤の総量は、ゴム全体100重量部を基準にして、1〜300重量部の範囲である。5〜150重量部のゴム助剤を使用するのが好ましい。

加硫可能なゴム組成物は、単一段プロセスでも、あるいは多段プロセスでも製造することができるが、本明細書においては、2〜3段の混合段が好ましい。したがって、例を挙げれば、硫黄および加硫促進剤の添加は、個別の混合段、たとえば、ロール上で実施することができるが、この場合、30℃〜90℃の範囲の温度とするのが好ましい。硫黄と加硫促進剤の添加は、最後の混合段で実施するのが好ましい。

加硫可能なゴム組成物を製造するのに好適な装置の例としては、ロール、ニーダー、インターナルミキサー、および混合エクストルーダーが挙げられる。

したがって、本発明はまた、式(I)または(II)の末端基を有する、末端基によって官能化されたポリマーを含む加硫可能なゴム組成物も提供する。

本発明はさらに、ゴム加硫物を製造するため、特にタイヤ、特にタイヤトレッドを製造するための本発明による加硫可能なゴム組成物の使用も提供するが、ここでこれらのものは、高い湿時の横滑り抵抗性および摩耗抵抗性と共に、特に低い転がり抵抗性を有している。

本発明による加硫可能なゴム組成物はさらに、成形物を製造するため、たとえばケーブル外装、ホース、伝動ベルト、コンベア用ベルト、ロール被覆、靴底、シールリング、および制振要素を製造するためにも好適である。

以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つが、いかなる限定効果をもたらすものでもない。

例1a:スチレン−ブタジエンコポリマーの合成(比較例) 以下のものを、不活性環境とした20Lの反応器に仕込んだ:8.5kgのヘキサン、1125gの1,3−ブタジエン、375gのスチレン、28mmolの2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)プロパン、さらには10mmolのブチルリチウム。その内容物を加熱して70℃とした。その混合物を、撹拌しながら70℃で1時間かけて重合させた。次いでそのゴム溶液を取り出し、3gのIrganox(登録商標)1520(2,4−ビス(オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール)を添加することによって安定化させ、水蒸気ストリッピングによって溶媒を除去した。真空中65℃で、そのゴム片を乾燥させた。

ビニル含量(IR分光光度法による):51.5重量%;スチレン含量(IR分光光度法による):24.7重量%;ガラス転移温度(DSC):−16℃;数平均モル質量Mn(GPC、PS標準):242kg/mol;Mw/Mn:1.30;ムーニー粘度(ML 1+4、100℃):71MU。

実施例1b:エーテル含有カルビノール末端化スチレン−ブタジエンコポリマーの合成(本発明による) 以下のものを、不活性環境とした20Lの反応器に仕込んだ:8.5kgのヘキサン、1125gの1,3−ブタジエン、375gのスチレン、29mmolの2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)プロパン、さらには10mmolのブチルリチウム。その内容物を加熱して70℃とした。その混合物を、撹拌しながら70℃で1時間かけて重合させた。その後で、10mmol(1.74g)の3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパンを添加し、その反応器の内容物を70℃でさらに20分間加熱した。次いでそのゴム溶液を取り出し、3gのIrganox(登録商標)1520を添加することによって安定化させ、水蒸気ストリッピングによって溶媒を除去した。真空中65℃で、そのゴム片を乾燥させた。

ビニル含量(IR分光光度法による):51.3重量%;スチレン含量(IR分光光度法による):24.8重量%;ガラス転移温度(DSC):−16℃;数平均モル質量Mn(GPC、PS標準):254kg/mol;Mw/Mn:1.20;ムーニー粘度(ML 1+4、100℃):73MU。

実施例1c:エーテル含有カルビノール末端化スチレン−ブタジエンコポリマーの合成(本発明による) 以下のものを、不活性環境とした20Lの反応器に仕込んだ:8.5kgのヘキサン、1125gの1,3−ブタジエン、375gのスチレン、29mmolの2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)プロパン、さらには10mmolのブチルリチウム。その内容物を加熱して70℃とした。その混合物を、撹拌しながら70℃で1時間かけて重合させた。その後で、10mmol(2.64g)の3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソノナン(イソパラフィン系炭化水素中41%溶液の形態)を添加し、その反応器の内容物を70℃でさらに20分間加熱した。次いでそのゴム溶液を取り出し、3gのIrganox(登録商標)1520を添加することによって安定化させ、水蒸気ストリッピングによって溶媒を除去した。真空中65℃で、そのゴム片を乾燥させた。

ビニル含量(IR分光光度法による):51.4重量%;スチレン含量(IR分光光度法による):24.8重量%;ガラス転移温度(DSC):−15℃;数平均モル質量Mn(GPC、PS標準):257kg/mol;Mw/Mn:1.20;ムーニー粘度(ML 1+4、100℃):75MU。

例2a〜c:ゴム組成物 タイヤトレッドゴム組成物を製造したが、それには、比較例としての例1からのスチレン−ブタジエンコポリマー(ゴム組成物2a)、さらには、実施例1bおよび1cからの本発明によるエーテル含有カルビノール末端化スチレン−ブタジエンコポリマー(ゴム組成物2bおよび2c)が含まれる。表1にそれらの構成成分を列記した。ゴム組成物(硫黄および加硫促進剤なし)は、1.5Lのニーダー中で製造した。次いで、構成成分の硫黄および加硫促進剤を、40℃でロール上で混ぜ込んだ。

例3a〜c:加硫物の物性 表1に記載の例2a〜cのタイヤトレッドゴム組成物を、160℃で20分かけて加硫させた。それらに相当する加硫物の物性を、表2の例3a〜cとして列記した。

タイヤ用途では、低い転がり抵抗性が要求されるが、これが存在するのは、加硫物において測定した数値において、60℃における反発弾性が高く、高い温度(60℃)での動的減衰におけるtanδが低く、そして振幅掃引に最大tanδが低いような場合である。表2に見られるように、本発明による実施例3bおよび3cの加硫物は、60℃における高い反発弾性、60℃の動的減衰における低いtanδ、および振幅掃引における低い最大tanδを特徴としている。

タイヤ用途ではさらに、高い湿時の横滑り抵抗性が要求されるが、これが存在するのは、加硫物が低い温度(0℃)での動的減衰において高いtanδ値を有している場合である。表2に見られるように、本発明による実施例3bおよび3cの加硫物は、0℃での動的減衰において高いtanδ値を特徴としている。

タイヤ用途ではさらに、高い摩耗抵抗性も必要とされる。表2に見られるように、本発明による実施例3bおよび3cの加硫物は、低いDIN摩耗性を特徴としている。

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