Polyacrylic acid-based water-absorbing resin powder and a method of manufacturing the same

申请号 JP2011500511 申请日 2010-02-17 公开(公告)号 JP5600670B2 公开(公告)日 2014-10-01
申请人 株式会社日本触媒; 发明人 繁 阪本; 好夫 入江; 幸三 野木; 邦彦 石▲崎▼;
摘要
权利要求
  • 気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、
    界面活性剤不存在下 で、不活性ガスの気泡を、単量体水溶液に懸濁させて単量体を重合する工程と、
    得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、
    細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程と、
    を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
    上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程における気体の溶解および/または分散方法が、下記の(a)〜(c)
    (a)単量体水溶液および気体の加圧による方法 (b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成による方法 (c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合による方法から選ばれる少なくともひとつの方法であることを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。
  • 上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程を必須に含む、請求項1記載の製造方法。
  • 気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、
    上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程と、
    界面活性剤不存在下 で、不活性ガスの気泡を、単量体水溶液に懸濁させて単量体を重合する工程と、
    得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、
    細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程と、
    を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
    上記脱泡する工程を経た気泡含有単量体水溶液を重合することを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。
  • 気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、
    上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程と、
    界面活性剤不存在下 で、不活性ガスの気泡を、単量体水溶液に懸濁させて単量体を重合する工程と、
    得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、
    細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程と、
    を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
    単量体水溶液と不活性ガスとを攪拌レイノルズ数10000以上で混合することを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。
  • アクリル酸系単量体に対して、界面活性剤不存在 下で 、単量体水溶液と不活性ガスとを攪拌レイノルズ数10000以上で混合し、不活性ガスの微細な気泡を単量体水溶液に懸濁させて単量体を重合させることを特徴とするポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。
  • アクリル酸系単量体に対して、界面活性剤不存在 下で 、単量体水溶液と不活性ガスとをマイクロバブル発生装置で混合し、不活性ガスの気泡を単量体水溶液に懸濁させて単量体を重合させることを特徴とするポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。
  • 単量体水溶液のカオリン濁度が0を超えて1000[mg/L(度)]以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 脱泡工程における単量体水溶液の膨張倍率の低下が0.01倍以上、および/または、カオリン濁度の低下が10[mg/L(度)]以上である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、
    界面活性剤不存在下 で、不活性ガスの気泡を、単量体水溶液に懸濁させて単量体を重合する工程と、
    得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、
    細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程と、
    を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
    上記単量体水溶液のカオリン濁度が0を超えて1000[mg/L(度)]以下であることを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。
  • 数平均直径50nm〜500μmを有する不活性ガスの気泡を、単量体水溶液中に懸濁させた状態で、重合を開始させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 吸水性樹脂を連続的に製造する方法であって、
    単量体水溶液を500kg/hr以上で使用する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、アクリル酸系単量体水溶液に、上記気体を過飽和で含有させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、溶解および/または分散させる上記気体が不活性ガスである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、単量体水溶液および気体からなる気液混合物がせん断処理されてなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 上記脱泡する工程において、開放下で10〜3600秒静置または低速攪拌することによって脱泡する、請求項2または3に記載の製造方法。
  • 気体および単量体水溶液を配管内ないし装置内で大気圧を超えて加圧した後、大気圧近傍に開放する請求項1〜1 のいずれか1項に記載の製造方法。
  • T1を大気圧開放から重合開始までの時間とし、Tを、大気圧開放した時点から、気体を単量体水溶液に溶解または分散させる前の値にカオリン濁度が戻るまでの時間としたとき、0<T1<Tをさらに満たす請求項1 6に記載の製造方法。
  • 上記単量体水溶液をタンクに入れて当該単量体水溶液を循環し、
    当該循環ラインにおいて、上記単量体水溶液に対して気体を流入させることによって上記単量体水溶液を得る工程を行い、
    上記循環ラインからタンク内へ流入した上記単量体水溶液を、循環ラインへ再度流出するまでの間タンク内に滞留させることによって上記脱泡する工程を行う、請求項2または3に記載の製造方法。
  • 上記脱泡する工程において、循環式タンク上部の空間の酸素濃度が1容積%以上である、請求項1 に記載の製造方法。
  • 上記単量体水溶液をタンクに入れて当該単量体水溶液を循環し、
    当該循環ラインにおいて、上記単量体水溶液に対して気体を流入させることによって上記単量体水溶液を得る工程を行い、
    上記循環ラインからタンク内へ流入した上記単量体水溶液を、循環ラインへ再度流出するまでの間タンク内に滞留させることによって上記脱泡する工程を行い、
    循環ラインから少なくとも一部の単量体水溶液を中和工程に供給した後、重合工程に供給して重合させる、請求項2または3に記載の製造方法。
  • 上記単量体水溶液を重合する工程において、重合開始時の温度および圧力における単量体水溶液の膨張倍率が、気体を溶解および/または分散させない場合におけるアクリル酸系単量体水溶液に比べて1.0倍以上1.1倍以下である、請求項1〜2 のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 上記単量体水溶液を重合する工程において、単量体水溶液中に体積平均径50nm以上100μm以下のマイクロバブルまたはナノバブルを含有する、請求項1〜2 のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 上記単量体水溶液を重合する工程において、重合開始温度が40℃以上である、請求項1〜2 のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 上記単量体水溶液を重合する工程において、重合時の最高到達温度が100℃以上である、請求項1〜2 のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 上記単量体水溶液を重合する工程において、アクリル酸系単量体の濃度が40重量%以上である、請求項1〜2 のいずれか1項に記載の製造方法。
  • さらに、加熱乾燥する工程後に、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末を表面架橋する工程を含む、請求項1〜2 のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 単量体水溶液および気体にせん断力を加えたのち、0.1〜1mPaに加圧し、さらに該加圧を開放する請求項1〜2 のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 下記式 (吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm ])×(重量平均粒子径[μm])
    で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm ]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法である、請求項1〜2 のいずれか1項に記載の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、ポリアクリル酸系吸性樹脂粉末およびその製造方法に関する。 さらに詳しくは、紙オムツや生理用ナプキン等の衛生用品等に用いられる吸水性樹脂粉末に関するものであり、優れた吸水性能(特に吸水速度の速い)吸水性樹脂粉末およびその製造方法に関するものである。

    吸水性樹脂は、紙オムツや生理用ナプキン、成人向け失禁用製品等の衛生用品、土壌用保水剤等、各種用途に幅広く利用され、大量に生産、消費されている。 かかる吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の鹸化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物又はこれらの架橋体、及びカチオン性モノマーの架橋体等が知られている。 これらの吸水性樹脂は、例えば、親水性単量体を含む水溶液を攪拌により重合ゲルを砕断しながら重合する方法(特許文献1)や、単量体を含む水溶液を静置重合する方法(特許文献2〜6)等により製造されている。

    近年において、綿状パルプ含有量が少ない薄型の衛生用品が市販されているが、その分、吸水性樹脂の使用量が増加し、さらには吸水性樹脂の高物性化が要求されている。 このような状況の下、吸水性樹脂の高吸水速度化が望まれており、各吸水性樹脂メーカーから種々の技術が提案されている(特許文献7〜10)。

    例えば、モノマー水溶液に気泡を懸濁させ、重合開始時までに気泡が消滅しないように界面活性剤を多量に用いる方法(特許文献8)や、モノマー水溶液を低温に保つ方法(特許文献7、9、10)が提案されている。

    しかし、界面活性剤を多量に用いる方法は、その方法により製造した吸水性樹脂を衛生用品に使用した際、体液の界面(表面)張を低下させうるため、衛生用品の吸液特性を阻害するという問題がある。 また、モノマー水溶液を低温に保つ方法は、重合に長時間を要することとなり得るため、生産性が劣るという問題がある。

    すなわち、上記発泡重合において、単量体に使用する発泡剤として、具体的には、炭酸塩を使用する技術(特許文献11〜18)、有機溶媒を使用する技術(特許文献19、20)、不活性ガスを使用する技術(特許文献21〜23)、アゾ化合物を使用する技術(特許文献24、25)、不溶性無機粉末を使用する技術(特許文献26)等が知られ、また重合後に発泡および架橋する技術(特許文献27)等が提案されている。 さらには、水不溶性粒子を重合に使用する技術(特許文献28)も提案されている。

    これらいずれの技術も吸水速度はある程度向上するものの、近年求められる吸水性樹脂の通液性や耐衝撃性(特許文献29、32〜34)、嵩比重(特許文献30、31)が低下する、製造時(特に粉砕時)や使用時に微粉や粉塵が発生するなど、十分な効果を示すものではなかった。

    日本国公開特許公報「特開昭57−034101号公報」

    日本国公開特許公報「特開昭62−156102号公報」

    日本国公開特許公報「特開平01−126310号公報」

    日本国公開特許公報「特開平03−174414号公報」

    日本国公開特許公報「特開平04−175319号公報」

    日本国公開特許公報「特開平04−236203号公報」

    日本国公開特許公報「特開平05−237378号公報」

    日本国公開特許公報「特開2008−024943号公報」

    日本国公開特許公報「特開平10−251310号公報」

    日本国公開特許公報「特開平10−114801号公報」

    米国特許第5118719号明細書

    米国特許第5154713号明細書

    米国特許第5314420号明細書

    米国特許第5399591号明細書

    米国特許第5451613号明細書

    米国特許第5462972号明細書

    国際公開第95/02002号パンフレット

    国際公開第2005/063313号パンフレット

    国際公開第94/022502号パンフレット

    米国特許第4703067号明細書

    国際公開第97/017397号パンフレット

    国際公開第00/052087号パンフレット

    米国特許第6107358号明細書

    米国特許第5856370号明細書

    米国特許第5985944号明細書

    国際公開第2009/062902号パンフレット

    欧州特許第1521601号明細書

    米国特許公開2007/0225422明細書

    米国特許第6414214号明細書

    米国特許第6562879号明細書

    米国特許第7473739号明細書

    米国特許第6071976号明細書

    国際公開第97/019116号パンフレット

    日本国公開特許公報「特開平09−124879号公報」

    上記文献に記載の方法で吸水性樹脂の高吸水速度化が図られているものの、未だ充分ではないのが現状である。 また、吸水性樹脂においては、安定的で効率的な生産の確保が要求されている。 さらには、発泡重合で得られた吸水性樹脂は嵩比重が低く、特許文献29〜34等で求められる耐衝撃性や通液性に劣るのが現状である。

    そこで、本発明が解決しようとする課題は、衛生用品等の吸液特性を阻害することなく、嵩比重の過度の低下もなく、高吸水速度の吸水性樹脂を高効率で製造する方法を提供することにある。

    上記課題を解決するために、重合時の単量体への気泡の分散または溶解方法に着目し、特定の方法を使用することで上記課題を解決し、嵩比重や表面張力の低下もなく、通液性や耐衝撃性にも優れた吸水性樹脂粉末が得られることを見いだし、本発明を完成させた。

    すなわち、上記課題を解決するために、本発明の吸水性樹脂粉末の製造方法(第1の製法)は、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記単量体水溶液を重合する工程と、得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程とを含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程における気体の溶解および/または分散方法が、下記(a)〜(c)
    (a)単量体水溶液および気体の加圧による方法 (b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成による方法 (c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合による方法から選ばれる少なくともひとつの方法である。

    また、上記課題を解決するために、本発明の吸水性樹脂粉末の製造方法(第2の製法)は、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程と、界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記気泡を含有する単量体水溶液を重合する工程と、得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程とを含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、上記脱泡する工程を経た気泡含有単量体水溶液を重合する製造方法である。

    本発明の吸水性樹脂粉末の製造方法(第3の製法)は、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記単量体水溶液を重合する工程と、得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程とを含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程における気体の溶解および/または分散方法が単量体水溶液と不活性ガスとを攪拌レイノルズ数10000以上で混合する製造方法である。

    さらには、本発明の吸水性樹脂粉末の製造方法(第4の製法)は、アクリル酸系単量体に対して、界面活性剤不存在下または0.003重量%以下の界面活性剤の存在下で、単量体水溶液と不活性ガスとを攪拌レイノルズ数10000以上で混合し、不活性ガスの微細な気泡を単量体水溶液に懸濁させて単量体を重合させる製造方法である。

    本発明の吸水性樹脂粉末の製造方法(第5の製法)は、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記気泡を含有する単量体水溶液を重合する工程と、得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程とを含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、上記単量体水溶液のカオリン濁度が0を超えて1000[mg/L(度)]以下である製造方法である。

    また、本発明の吸水性樹脂粉末の製造方法(第6の製法)は、アクリル酸系単量体に対して、界面活性剤不存在下または0.003重量%以下の界面活性剤の存在下で、単量体水溶液と不活性ガスとをマイクロバブル発生装置で混合し、不活性ガスの気泡を単量体水溶液に懸濁させて単量体を重合させる製造方法である。

    本発明の吸水性樹脂粉末は、下記式 (吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm ])×(重量平均粒子径[μm])
    で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm ]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末である。

    また、本発明の吸水性樹脂粉末の製造方法は、下記式(吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm ])×(重量平均粒子径[μm])
    で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm ]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末を表面架橋する製造方法である。

    本発明にかかる吸水性樹脂粉末の製造方法によると、界面活性剤を多量に用いることなく、生産性よく、効率的に吸収速度の大きな吸水性樹脂粉末を製造することができる。 また、粉体の安定性に優れた吸水速度指数90以上の吸水性樹脂を提供し得る。

    図1は、界面活性剤使用量と表面張力との関係をプロットしたグラフである。

    図2は、実施例1における重合前の単量体水溶液の状態を示した写真画像である。

    図3は、比較例5における重合前の単量体水溶液の状態を示した写真画像である。

    図4は、実施例2で得られた吸水性樹脂粉末のSEM(走査電子顕微鏡)写真である。

    図5は、比較例2で得られた比較吸水性樹脂粉末のSEM(走査電子顕微鏡)写真である。

    図6は、不活性気体を含む単量体水溶液を循環式タンクで循環させる脱泡工程の一例を示すフロー図である。

    図7は、不活性気体を含む単量体水溶液を循環式タンクで循環させる脱泡工程の別の一例を示すフロー図である。

    以下、本発明に係るポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末およびその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更、実施し得る。 具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。

    〔1〕用語の定義 (1−1)「吸水性樹脂粉末」
    本発明における「吸水性樹脂粉末」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。 なお、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸水倍率)が5[g/g]以上であることをいい、また、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExt(水可溶分)が0〜50重量%であることをいう。

    上記吸水性樹脂粉末は、その用途に応じて適宜設計可能であり、特に限定されるものではないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた、親水性架橋重合体であることが好ましい。 また、全量(100重量%)が重合体である形態に限定されず、上記性能を維持する範囲内において、添加剤等を含んでもよい。

    (1−2)「ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末」
    本発明における「ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末」とは、繰り返し単位として、アクリル酸および/またはその塩(以下、アクリル酸(塩)と称する)を主成分とする吸水性樹脂粉末を意味する。

    具体的には、重合に用いられる総単量体(架橋剤を除く)のうち、アクリル酸(塩)を50〜100モル%含む重合体をいい、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは実質100モル%を含む吸水性樹脂粉末をいう。

    (1−3)「EDANA」および「ERT」
    「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Assoiations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定方法(EDANA Recommended Test Metods)の略称である。

    なお、本発明においては、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)に準拠して、吸水性樹脂粉末の物性を測定する。

    (a)「CRC」(ERT441.2−02)
    「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、無加圧下吸水倍率(以下、「吸水倍率」と称することもある)を意味する。 具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対する30分間の自由膨潤後さらに遠心分離機で水切りした後の吸水倍率(単位;[g/g])である。

    (b)「AAP」(ERT442.2−02)
    「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、加圧下吸水倍率を意味する。 具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対する1時間、2.06kPaでの荷重下膨潤後の吸水倍率(単位;[g/g])である。

    なお、ERT442.2−02では、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的に同一内容である。

    (c)「Ext」(ERT470.2−02)
    「Ext」は、Extractablesの略称であり、水可溶分(水可溶成分量)を意味する。 具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200gに対して、吸水性樹脂粉末1gを16時間攪拌した後、溶解したポリマー量をpH滴定で測定した値(単位;重量%)である。

    (d)「PSD」(ERT420.2−02)
    「PSD」とは、Particle Size Disributionの略称であり、ふるい分級により測定される粒度分布を意味する。 なお、重量平均粒子径(D50)および粒子径分布幅は欧州公告特許第0349240号明細書7頁25〜43行に記載された「(1) Average Particle Diameter and Distribution of Particle Diameter」と同様の方法で測定する。

    (1−4)「通液性」
    荷重下または無荷重下における膨潤した吸水性樹脂粉末の粒子間を流れる液の流れを「通液性」という。 この「通液性」の代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity)や、GBP(Gel Bed Permeability)がある。

    「SFC(食塩水流れ誘導性)」は、荷重2.07kPaにおける吸水性樹脂粉末に対する0.69重量%食塩水の通液性をいう。 米国特許第5669894号明細書に記載されたSFC試験方法に準じて測定される。

    「GBP」は、荷重下または自由膨張における吸水性樹脂粉末に対する0.69重量%食塩水の通液性をいう。 国際公開第2005/016393号パンフレットに記載されたGBP試験方法に準じて測定される。

    (1−5)その他 本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、「X以上Y以下」であることを意味する。 また、重量の単位である「t(トン)」は、「Metric ton(メトリック トン)」であることを意味し、さらに、特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」を意味する。 また、(メタ)アクリル酸等に用いられる「(メタ)アクリル」はアクリルまたはメタクリルを意味し、特に断らない限り、常温とは25℃を意味し、常圧とは1気圧を意味する。

    〔2〕ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法 本発明に係るポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末は、例えば、以下の方法(I)〜(IV)によって製造することができる。 かかる製造方法は好適には連続製造に適用できる。

    方法(I);気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程(溶解・分散工程)と、
    界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記単量体水溶液を重合する工程(重合工程)と、
    得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程(細分化工程)と、
    細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程(加熱乾燥工程)と、
    を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
    上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程における気体の溶解および/または分散方法が、下記の(a)〜(c)
    (a)単量体水溶液および気体の加圧による方法 (b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成による方法 (c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合による方法から選ばれる少なくともひとつの方法であることを特徴とする方法。

    方法(II);気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程(溶解・分散工程)と、
    上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程(脱泡工程)と、
    界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記気泡を含有する単量体水溶液を重合する工程(重合工程)と、
    得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程(細分化工程)と、
    細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程(加熱乾燥工程)と、
    を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
    上記脱泡工程を経た気泡含有単量体水溶液を重合することを特徴とする方法。

    方法(III);モノマーに対して、界面活性剤不存在下または0.003重量%以下の界面活性剤の存在下で、モノマー水溶液と不活性ガスとを攪拌レイノルズ数10000以上で混合し、不活性ガスの微細な気泡をモノマー水溶液に懸濁させる工程(溶解・分散工程)と、当該モノマー水溶液を重合させる工程(重合工程)とを含むことを特徴とする方法。

    方法(IV);モノマーに対して、界面活性剤不存在下または0.003重量%以下の界面活性剤の存在下で、モノマー水溶液と不活性ガスとをマイクロバブル発生装置で混合し、不活性ガスの微細な気泡をモノマー水溶液に懸濁させる工程(溶解・分散工程)と、当該モノマー水溶液を重合させる工程(重合工程)とを含むことを特徴とする方法。

    方法(V);単量体水溶液のカオリン濁度が0を超えて1000[mg/L(度)]以下であることを特徴とする方法。

    なお、〔課題を解決するための手段〕で挙げた、第3の製法においては、好ましくは上記第4の製法が適用され、第4の製法においては、好ましくは上記第1〜3の製法が適用される。 また、第5の製法においては、好ましくは上記第1〜4の製法が適用される。

    ここで、本発明で使用される気体は、使用前にそれ自身が常温で気体の化合物をさし、重合時などにガスを発生する固体発泡剤(例;炭酸塩、アゾ化合物)とは異なる概念である。 よって、本発明で、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液とは、気体、好ましくは不活性気体と単量体水溶液ないしその原料(個々の単量体や溶媒)と気体とを直接混合させてなる。 固体発泡剤の問題点や比較例は後述する。

    (2−1)溶解・分散工程 溶解・分散工程は、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程である。 以下、具体的に説明する。

    (単量体の組成)
    本発明で用いられるモノマー(単量体)は、重合により吸水性樹脂粉末となり得るものであれば特に限定されないが、以下に示すようなものが挙げられる。 例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等のアニオン性不飽和単量体及びその塩;メルカプト基含有不飽和単量体;フェノール性水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体等が挙げられる。

    これらのモノマーは単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよいが、得られる吸水性樹脂粉末の性能やコストの点から、アクリル酸及び/又はその塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン類等の塩が好ましく、中でもコスト面からナトリウム塩がより好ましい。)を含むアクリル酸系単量体を用いたポリアクリル酸系吸水性樹脂が好ましくは挙げられる。

    ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末としてアクリル酸及び/又はその塩の使用量は、全モノマー成分(後述する内部架橋剤は除く)に対して通常50モル%以上であり、70モル%以上が好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である(上限は100モル%である)。 なお、本発明でポリアクリル酸とはポリアクリル酸塩(特に一価塩)を含む概念である。

    重合時におけるモノマー濃度についても、特に制限はないが、20〜100重量%が好ましく、25〜80重量%がより好ましく、30〜70重量%がさらに好ましい。 重合時におけるモノマー濃度が20重量%未満の場合、生産性が低くなり好ましくない。 なお、重合時におけるモノマー濃度が40重量%以上、さらには45重量%以上、特に50重量%以上という条件においては、微細な気泡の安定性が高まるため、特に、本発明の優位性がある。 単量体の溶媒は水であり、少量(例えば、0重量%を超え30重量%以下の範囲、さらには0重量%を超え10重量%以下の範囲)の有機溶媒を併用してもよい。

    上記モノマーが酸基含有単量体の場合、その中和率には特に制限はないが、必要に応じて、重合後に重合ゲルが中和されてもよい。 衛生用品等人体に触れる可能性のある用途では、重合後の中和は必要とされない。 この中和率は、40〜90モル%が好ましく、50〜80モル%がより好ましい。

    上記重合に際して、必要に応じて、内部架橋剤が用いられる。 このような内部架橋剤としては、従来公知の内部架橋剤を用いることができる。 具体的には、例えば、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。 これらの中から、反応性を考慮して、1種または2種以上を用いることができる。 なかでも、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を用いることが好ましい。

    上記内部架橋剤の使用量は、所望する吸水性樹脂の物性により適宜決定することができるが、通常、上記モノマー成分量に対して、0.001〜5モル%が好ましく、0.005〜2モル%がより好ましく、0.01〜1モル%がさらに好ましい。 内部架橋剤の使用量が0.001モル%未満では、得られる吸水性樹脂粉末の水可溶分の割合が多くなるため、加圧下における吸水量を充分に確保できないおそれがある。 一方、内部架橋剤の使用量が5モル%を超えると、架橋密度が高くなり、得られる吸水性樹脂粉末の吸水量が不充分となるおそれがある。 なお、内部架橋剤は、反応系に一括添加されても、分割添加されてもよい。

    (気体の溶解・分散方法)
    上記方法(III)や(IV)に記載の方法において、不活性ガスの微細な気泡をモノマー水溶液に懸濁させる方法としては、モノマー水溶液と不活性ガスのどちらか一方の流体中に、他方の流体をノズルからの噴出によって、両者を混合させる方法が挙げられる。 ここで、流体は攪拌ないし圧力(加圧や減圧)で移動している液体ないし気体であり、好ましくは加圧で配管を流れる液体ないし気体が使用される。 混合は、液体および気体がそれぞれ流れる各配管を繋ぐことによって行ってもよく、配管を流れる液体および気体の一方を、他方が充填された容器(タンク)へ流すことによって行ってもよい。

    具体的には、例えば、配管または容器を経由してノズルから噴出したモノマー水溶液流体に対し、別のノズルから不活性ガスを並流に投入する方法や、ノズルから噴出した不活性ガス流体に対し、別のノズルからモノマー水溶液を並流に投入する方法が挙げられる。 また、モノマー水溶液流体中に直接不活性ガスを吹き込むこともできる。 流体混合する場合、混合時の流体方向は特に制限されず、並流混合、向流混合あるいは垂直混合させることができるが、気泡を均一に懸濁させることができる並流混合が好ましい。

    また、アクリル酸系単量体水溶液への気泡の含有方法は、調整後のアクリル酸系単量体水溶液に気泡を入れてもよく、アクリル酸系単量体水溶液の原料に個別に気泡を投入して、気泡を含有した原料からアクリル酸系単量体水溶液を調整してもよい。 原料に気泡を投入する場合、アクリル酸、水、アクリル酸塩水溶液、架橋剤等が挙げられ、好ましくは、水、アクリル酸塩水溶液やそれらで調整したアクリル酸系単量体水溶液へ気泡が含有される。

    上記方法(III)や(IV)においては、モノマー水溶液と不活性ガスとを攪拌レイノルズ数10000以上で混合し、不活性ガスの微細な気泡をモノマー水溶液に懸濁させる。 他の方法においても、モノマー水溶液と不活性ガスとを流体混合させる際、所望の攪拌レイノルズ数を得るため、該流体混合物にせん断力を付与し、高乱流下に置くことが望まれる。 そして、所望する攪拌レイノルズ数は10000以上が好ましく、20000以上がより好ましく、30000以上がさらに好ましい。 上限は適宜決定されるが、他の物性ととのバランスから、例えば1000万以下、以下、さらには100万以下、特に50万以下である。 なお、従来、単量体水溶液に不活性ガスを混合して脱気する技術は、日本特許公開2005−162834号など多く知られているが、これらは不活性ガスを混合後の単量体水溶液の乱流混合を開示しない。

    なお、攪拌レイノルズ数の算出については後述する。 単量体の攪拌方法としては、機械的攪拌と静的攪拌とに大別され、攪拌レイノルズ数は、(攪拌翼で)機械的に攪拌する場合には後述の数9の式で規定され、静的攪拌する場合には後述の数8の式で規定される。 ここで、機械的攪拌とは攪拌翼や容器自体の回転などによる回転攪拌であり、静的攪拌とは非機械的攪拌として、流体が配管ないし容器に備わるスパイラルなどの固定物によって流れ自体が回転する攪拌を指し、代表的にはスタティックミキサーやスパイラルミキサーが使用される。

    かような攪拌レイノルズ数を得るために好適な装置としては、特に限定されないが、機械攪拌式ライン混合装置、静的ライン混合装置等が挙げられる。 中でも、攪拌動力等の付帯設備が不要な静的ライン混合装置、いわゆるスタティック型ミキサーが好ましく用いられる。 配管中でのスタティック型ミキサーの設置は一箇所でもよく、複数箇所でもよく、直列または並列に連結してもよい。 スタティック型ミキサーを用いて攪拌レイノルズ数を10000以上とするには、モノマー水溶液の流速を大きくすればよく、500kg/hr以上が好ましく、1000kg/hr以上がより好ましく、2000kg/hr以上がさらに好ましい。 上限は適宜決定されるが、他の物性とのバランスから、例えば300ton/hr以下、さらに好ましくは100ton/hr以下、特に好ましくは80ton/hr以下である。 よって、本発明の製造方法は好ましくは連続製造、特に前記生産量の連続製造に適用できる。

    なお、米国特許7265190号(対応の日本特許2004−155963号)やその図1〜図3では、吸水性樹脂の連続重合において、攪拌状態のモノマー水溶液へ重合開始剤の混合方法を開始し、好ましい攪拌レイノルズ数が50以上(実施例では攪拌レイノルズ数が2280)での重合開始剤の混合方法を開示する。 しかし、該特許は不活性ガスによる発泡重合やモノマー水溶液と不活性ガスとを流体混合する際の攪拌レイノルズ数についてなんら示唆しておらず、不活性ガス混合時の攪拌レイノルズ数を10000以上とする発泡重合を開示しない。 当該特許に開示の攪拌レイノルズ数2280(実施例の最大値)では重合開始剤の混合には効果を示すが、発泡重合による吸収速度の高速化では不十分なことは後述の本願比較例18でも示される。

    また、日本特許公開2001−151804号では重合体粉末や吸水性樹脂の開示はないが、排水処理用生物固定化担体などを目的として、水溶性ビニルモノマー、架橋剤、界面活性剤及び酸を含むモノマー水溶液と、炭酸塩及び重炭酸塩からなる群より選ばれた1種以上の塩及び重合開始剤を含むアルカリ性水溶液とを混合後、直ちに、混合液に対して攪拌レイノルズ数が2.8×104〜6.0×104の機械的攪拌を行うことを特徴とする多孔質体(好ましくは平均孔径0.5〜2.0mm)の製造方法を開示する。 しかし、当該日本特許(排水処理用生物固定化担体)やその他、前記特許文献11〜18などを含め、炭酸塩及び重炭酸塩による発泡では本願気泡の細かい制御、特に100μm以下への制御が困難であり、炭酸塩による発泡重合による吸収速度の高速化では不十分なことは後述の本願比較例5,17でも示される。

    上記方法(I)では、アクリル酸系単量体水溶液を得る工程における気体の溶解および/または分散方法は、下記の(a)〜(c)
    (a)単量体水溶液および気体の加圧による方法 (b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成による方法 (c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合による方法から選ばれる少なくともひとつの方法である。 以下、各方法について説明する。

    なお、本発明の気体の溶解および/または分散について、発泡重合体を得るには気泡は重合開始時または重合途中に存在すればよく、よって、気泡を単量体水溶液に溶解させた後に重合時または重合途中に昇温させて気泡を発生させることで、単量体水溶液や重合ゲルに気泡を分散させてもよい。 本発明で好ましくは気泡を分散させてなり、さらに一部が溶解してもよい。

    (a)単量体水溶液および気体の加圧 第一の気体の溶解および/または分散方法として、好ましくは、単量体水溶液および気体の加圧による加圧溶解方法が用いられる。 具体的には、液中に気体を100〜1000kPa(絶対圧)、さらに好ましくは200〜400kPa、特に好ましくは250〜350kPa程度に絶対圧として加圧して溶解させ、減圧弁を通して液中にフラッシュ操作すると、減圧され過飽和となった気体が液中からマイクロバブルとなり放出される。 気体の液中への溶解度はヘンリーの法則(p=HC)に従い、温度と圧力で決定される。 かかる加圧によって、一旦溶解させた気泡を経て、分散させた気泡が得られる。

    また、上記加圧前または加圧時の単量体水溶液および気体の混合物に、必要により、さらにせん断力を加えて、気泡の溶解や分散を制御することも好ましい。 せん断力を加えるには高速回転のポンプ等が使用される。 気体はせん断力で微分散され、さらに加圧されることが好ましく、単量体水溶液および気体にせん断力を加えたのち、上記0.1〜1MPaに加圧し、さらに後述の如く加圧開放される。

    (過飽和)
    上記加圧溶解方法の一例として、アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、単量体水溶液に、気体を過飽和で含有させる方法が挙げられる。 したがって、上記して得られる、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液における該気体成分の濃度は、該気体の所定温度における飽和溶解度に対して1.01〜10倍が好ましく、1.05〜5倍がより好ましく、1.06〜3倍がさらに好ましい。

    (b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成 上記加圧溶解方法(第一の方法)に加えて、第二の気体の溶解および/または分散方法として、好ましくは、単量体水溶液および気体の旋回流の形成が挙げられる。 該方法は、気液二相流体を旋回させて出口(混合機の吐出口)で気泡を分散させる方法であり、ガス流量と液流量との比は1/7〜1/15が好ましく、旋回速度は毎秒10〜10000回転が好ましく、さらには100〜1000回転であることがより好ましい。

    旋回式微細気泡発生装置は、例えば、国際公開第00/69550号、日本国公開特許公報「特開2003−205228号公報」、同「特開2000−447号公報」、同「特開2006−116365号公報」等に例示されるが、特に限定されない。

    (c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合 第三の気体の溶解および/または分散方法として、各種多孔質物質、膜、フィルター等の細孔から気泡を生成させる方法であり、多孔質ガラス(Na O−CaO−Al −B −SiO 系ガラス)等が使用され、好ましくは、0より高く0.03重量%以下など後述の範囲の界面活性剤が使用される。 上記方法は、例えば、木下理化工業株式会社製木下式ガラスボールフィルター(フィルター粒子No.4)を用いて行うことができる。

    (マイクロバブル発生装置)
    上記方法(IV)では、モノマー水溶液と不活性ガスとをマイクロバブル発生装置で混合させる。 また、上記方法(I)〜(III)においても、モノマー水溶液と不活性ガスとを加圧や旋回流を発生させる機能を有するマイクロバブル発生装置で混合させてもよい。 この操作により、発生したマイクロバブルを、重合開始時までモノマー水溶液内に懸濁、保持させておくことができる。 マイクロバブル発生には上記(a)〜(c)や後述の(1)〜(8)の1種以上の手法が適用でき、好ましくは(a)または(b)、さらに好ましくは(a)が適用され、必要によりさらに上記せん断力が適用される。

    なお、本発明で採用されるマイクロバブル発生装置は、特に限定はされず、市販されているものを使用することができる。 市販品の一例を以下に例示する。 なお、OHRミキサーを用いた具体例は後述の実施例14でも示される。

    OHRラインミキサー(株式会社OHR流体工学研究所)
    M型マイクロバブル発生装置(株式会社ナノプラネット研究所)
    業務用マイクロバブル発生装置SMB−450型(石丸商行有限会社)
    マイクロバブル発生装置Mbelife(関西オートメ機器株式会社)
    球体内蔵型気泡発生装置MBG型(西田鉄工株式会社)
    ポンパレーター(株式会社帝国電機製作所)
    マイクロバブルの発生器には入水口と出水口があり、この入水口に、ある一定以上の圧力で液体(水や単量体)を流入させた場合、内部では水の中に混ざっている気体が密度差により中心部に集められ、気体軸が形成される。 これによってマイクロバブル発生器の内部には外周と中心部の間で圧力勾配が生じる。 この時、気体軸の中心部はほぼ真空状態となり、一方では加圧され噴出しようとする水と、真空状態(超負圧の状態)の気体軸へと流入しようとする水とが衝突し、また旋回しながら気体軸がこの間を通り抜ける時に気体はせん断され微細化してマイクロバブルとなるのである。

    本発明において、マイクロバブル発生装置により発生したマイクロバブルの数平均直径は、50nm(より好ましくは10μm)〜500μmが好ましく、100nm(より好ましくは10μm)〜100μmがより好ましい。 気泡の平均直径が50nm未満の場合、得られる吸水性樹脂粉末内に気泡が閉じ込められる(独立気泡)ため、吸水速度の劣ったものになるおそれがある。 また、平均直径が500μmを超える場合、得られる吸水性樹脂粉末の表面積を大きくすることができず、吸水速度の劣ったものになったり、強度のもろいものとなったりするおそれがある。

    また、マイクロバブル発生装置の処理量は、所望する吸水性樹脂粉末の物性等によって、適宜設定することができるが、モノマー水溶液の流速を大きくすることが望ましい。 該モノマー水溶液の流速としては、好ましくは500[kg/hr]であり、1000[kg/hr]がより好ましく、2000[kg/hr]がさらに好ましい。 なお、かかる時間あたり生産量はマイクロバブル発生装置の使用に限らず、工業的な巨大スケールの生産として、本発明の製造方法が一般に好適に適用できる。 上限は適宜決定されるが、好ましくは上記範囲(例えば300ton/hr以下)である。 よって本発明の製造方法は好ましくは連続製造、特に前記生産量の連続製造に適用できる。

    (その他必要により併用される方法)
    本発明に係る製造方法では、上述した方法(a)〜(c)やマイクロバブル発生装置に加えて、下記(1)〜(8)の方法を使用ないし併用することができる。

    (1)スタティックミキサー方式 可動部分がなく、流体が、管内部に固定されたエレメントを通過する際に混合されるスタティックミキサーや、円管内部に螺旋流誘導部と管内部に取り付けられたキノコ状の突起により旋回状に流れる気液2相流を破砕してマイクロバブルが発生されるOHRミキサーが挙げられる。 なお、スタティックミキサーを用いた具体例は後述の実施例13、15でも示される。

    (2)キャビテーション方式 ガス分散器内に意図的にキャビテーションが発生するように流路を変形させてマイクロバブルを発生させる方法が挙げられる。

    (3)遠心ポンプと旋回流式マイクロバブル発生器の組み合わせ ポンプによる渦流攪拌作用とポンプでの昇圧により、液中に気体を加圧溶解させ、溶解しきれない気体を旋回流式マイクロバブル発生器でマイクロ化させる方法が挙げられる。

    (4)ベンチュリー方式 ストロー部(絞り)に気液を同時に流すと液流速の急激な変化により生成した衝撃波により大気泡が発破させ、マイクロバブルが発生する方法が挙げられる。

    (5)回転式 攪拌翼を高速回転され、ガスを自給させマイクロバブルを発生させる方法が挙げられる。

    (6)超音波式 超音波周波数、圧力振幅などを適宜設定してマイクロバブルを発生させる方法が挙げられる。

    (7)相変化式 気体(窒素ガス)と水蒸気との混合ガスを液中に細いノズルから吹き込むと、水蒸気が凝集し、凝集しない気体(窒素ガス)の気泡が残る。

    (8)電解分解法 水の電気分解でマイクロオーダーの気泡を発生させる方法が挙げられる。

    これらの中でも、効果の面から好ましくは、さらに、アクリル酸系単量体水溶液を得る工程で単量体水溶液および気体からなる気液がせん断処理されてなり、せん断方法としては、(3)遠心ポンプと旋回流式マイクロバブル発生器の組み合わせ、または、OHRミキサーに代表されるせん断と旋回流を併せ持ったスタティックミキサーが使用される。

    なお、上記方法(II)においては、上記(1)〜(8)の方法、および上述した方法の少なくともいずれか1つの気体の溶解および/または分散方法を適宜採用することができる。

    (加圧開放時間)
    気泡含有方法として上記(a)の加圧溶解方法やマイクロバブル発生装置では、気体と単量体水溶液とは大気圧を超えて加圧(好ましくは、上記(a)に記載の範囲、絶対圧として0.1〜1MPa)された後、大気圧(ないし減圧、特に−10mmHg以内の微減圧)に開放されることで、気泡の量や大きさが制御される。 かかる圧力、温度や開放時間、特に開放時間を制御することで、気泡を制御することが好ましい。 かかる制御で目的とする高吸水速度で通液性や耐衝撃性の高い吸水性樹脂を得ることができる。

    かかる好適な気泡含有方法としては、上記アクリル酸やその塩、溶媒、架橋剤、重合開始剤を混合して単量体水溶液を調整する際に、上記(a)〜(c)や各種マイクロバブル発生装置中で加圧状態、すなわち、配管内や装置内で大気圧を超える圧力とし、当該単量体水溶液を重合機へ供給し、重合開始する際に大気圧とすればよい。

    すなわち、各種マイクロバブル発生機構において、圧力開放により分散された気泡の膨張、合一が起こり、その程度により最終的に重合ゲルに残留する気泡の量、大きさが変化する。 よって、加圧した単量体水溶液を大気圧へ開放してから重合開始するまでの時間をT1(秒)とすると、供給反応液が圧力開放された時からゲル化し、気泡が固定されるまでの時間を規定することが重要であり、温度や開始剤などを適宜制御することで、下記のように制御することが好ましい。 すなわち、0<T1<Tが好ましく、0<T1<1/2Tがより好ましい。

    ここで、T1は、大気圧開放から重合開始までの時間である。 また、Tは、大気圧開放した時点から、気体を単量体水溶液に溶解または分散させる前の値にカオリン濁度が戻るまでの時間とする。

    T1は、単量体水溶液の白濁(重合物の生成由来)ないし重合熱での温度上昇(1℃以上)で規定され、また、Tは、後記する100mlのメスシリンダーを用いて、開始剤を含まない単量体水溶液に気泡を分散させ、大気圧下に常温で静置し、気泡由来の白濁が消失するまでの時間(T)で規定できる。 なお、ここで、白濁は通常、可視光の波長以上の大きな泡由来であり、ナノバブルの含有は白濁に実質的に影響しないことは下記濁度(カオリン濁度)でも述べる。

    T1の下限は適宜決定されるが、好ましくは後述の脱泡時間(好ましくは5秒以上、さらに好ましくは10〜3600秒)であり、上限は界面活性剤の量を含めた単量体組成や気泡の含有方法で決定される。

    (気体)
    上記方法(I)〜(II)における溶解・分散工程で用いられる気体としては、酸素、空気、窒素、炭酸ガス、オゾンやそれらの混合物等が挙げられるが、重合性から好ましくは、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスが使用される。 不活性ガスの割合は80vol%以上、さらに好ましくは99vol%以上、より好ましくは99.9vol%以上、特に好ましくは99.99vol%以上であり、圧力は常圧、加圧、減圧で適宜決定される。

    また、上記方法(III)〜(V)における溶解・分散工程で用いられる不活性ガスとしては、特に限定されないが、窒素、アルゴン、ヘリウム、炭酸ガス等が挙げられる。 この中でも、安価である窒素が特に好ましい。 また、本発明では、モノマー水溶液中に微細な気泡を生成させるために必要な不活性ガスの注入量は、従来法よりも少量で済むという特徴を有する。

    (界面活性剤)
    上記方法(I)〜(V)における溶解・分散工程では、モノマー水溶液と不活性ガスとの混合を、界面活性剤の存在下で行ってもよい。 界面活性剤を用いることで気泡を安定的に懸濁させることができる。

    また、界面活性剤の種類や量を適宜調整することにより、所望の物性を有する吸水性樹脂粉末を得ることができるが、本発明においては、界面活性剤の使用は任意であり、不存在下でも適用できる。

    このような界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機金属界面活性剤等が挙げられ、具体的には、特開平10−251310号公報に列記された界面活性剤が挙げられる。

    界面活性剤を用いる場合、これら界面活性剤の使用量は、使用されるモノマーに対して、0より高く0.03重量%以下の範囲内であり、さらに好ましくは0より高く0.015重量%以下の範囲内、より好ましくは0より高く0.01重量%以下の範囲内、最も好ましくは0より高く0.003重量%以下の範囲内である。 かかる界面活性剤量は得られる吸水性樹脂粉末にも同様に適用される。 界面活性剤が多すぎる場合、発泡の制御が困難である場合もあり、また、得られる吸水性樹脂の表面張力を過度に低下させておむつでの実使用の際に好ましくない。 また、極少量の界面活性剤は表面架橋後や粉体輸送後の吸水性樹脂物性を向上させるため、好ましくは、0ppmより多い量の界面活性剤、特に0.1ppm以上、さらには1ppm以上で使用される。

    (単量体水溶液の濁度)
    本発明において、必要により脱泡工程を経て重合される単量体水溶液について、大きな気泡は吸水速度に寄与しないばかりか、粉砕時に微粉の原因ともなる。 さらに、吸水性樹脂粉末に過大な気泡(孔)が少ないため、吸水性樹脂の形状が均一で耐ダメージ性も向上する。 なお、表面架橋後の吸水性樹脂粉末が輸送時やおむつ製造時に表面ダメージを受けて物性が低下することは周知であり、吸水性樹脂粉末の耐ダメージ性(ダメージの物性低下)は、背景技術に記載の特許文献32や特許文献29(何れもペイントシェーカー試験)、特許文献29(Fragibility Index)、特許文献34、特許文献34(SDOV試験)などに記載されている。 そこで、気泡は細かいことが好ましく、マイクロバブルないしナノバブル、好ましくはマイクロバブルを含む。

    一般に多量の気泡を含有する水溶液は白濁しているが、かかるナノバブルの水分散液においてその粒子径が可視光より短い場合、透明な水溶液となる。 このため、気泡の細かさの指標として単量体水溶液の濁度が本発明に適用できる。

    すなわち、本発明において、好ましくは、重合機に投入する単量体水溶液のカオリン濁度が0を超えて1000[mg/L(度)]以下(通常、見た目は白濁状態)であり、さらに好ましくは500[mg/L(度)]以下、300[mg/L(度)]以下、100[mg/L(度)]以下、50[mg/L(度)]以下、20[mg/L(度)]以下(見た目は実質透明)の順に好ましい。 吸水速度の面からの下限は0.001[mg/L(度)]以上、0.1[mg/L(度)]以上、1[mg/L(度)]以上の順に好ましい。

    単量体水溶液の濁度が大き過ぎる場合、吸水速度に寄与が小さく、また、大きな気泡由来で耐衝撃性の低下や粉砕時に微粉の原因ともなる。 すなわち、従来の発泡重合(前記特許文献11〜18)が多量に気泡を導入して単量体水溶液が白濁状態で重合させていたのに対して、本発明では低濁度あるいは実質透明な単量体水溶液を用いることで、前記特許文献より優れた吸水性樹脂が得られることを見いだした。 本発明では、見た目は実質透明の単量体水溶液で発泡重合できること、さらには好適な通液性や嵩比重の向上した吸水性樹脂を提供することが見いだされた。

    また後述の脱泡工程では、大きな泡を除去し、細かい泡を残存させることで、好ましくは、マイクロバブルないしナノバブル、さらに好ましくはマイクロバブルを含む単量体水溶液を得る。 ここで、上記のように大きな泡が選択的に脱泡されることで、透明な水溶液となるため、脱泡の指標として単量体水溶液の濁度が本発明に適用できる。

    すなわち、本発明において、脱泡工程でのカオリン濁度の低下は10[mg/L(度)]以上、さらに好ましくは20[mg/L(度)]以上、50[mg/L(度)]以上、100[mg/L(度)]以上の範囲で濁度を低下(透明化)させればよく、脱泡工程の後の好ましい濁度は上記範囲(0を超えて1000[mg/L(度)]以下)である。

    脱泡工程において濁度の低下幅が小さい場合、吸水速度に寄与が小さく、また、大きな気泡由来で粉砕時に微粉の原因ともなったり、上記吸水性樹脂の耐衝撃性の低下に繋がる。

    すなわち、本発明は、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、必要により上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程と、界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で、上記気泡を含有する単量体水溶液を重合する工程と、得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程と、を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、単量体水溶液のカオリン濁度が0を超えて1000[mg/L(度)]以下であることを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法をも提供する。

    かかる製造方法の効果は上記の通りである。 好ましくは脱泡され、その他詳細な製造条件は前記または後記のものが適用される。
    (2−2)脱泡工程 上記方法(II)では、溶解・分散工程によって得られた上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程を含む。 また、上記方法(I)〜(V)においても上記脱泡工程をさらに含むことが好ましい。 脱泡の有無や大小は、単量体水溶液の濁度や膨張倍率の低下などでも確認できる。

    脱泡工程を含むことで、大きな気泡から順次単量体から除去され、過度の発泡や嵩比重の低下を抑制することができる。 用いられる脱泡時間は5秒以上であることが好ましく、開放系で10秒〜60分であることがより好ましく、さらに好ましくは30秒〜30分、特に好ましくは60秒〜20分であり、目的の細かい泡を単量体水溶液に残すように調整される。 好ましい脱泡方法として、後述する図6や図7の循環タンクを用いる方法が挙げられる。 また、好ましい脱泡方法として、気泡の導入後(好ましくは気体と単量体水溶液を上記加圧後)に常圧で所定時間保持する方法であり、開放される気温も0〜100℃、さらに好ましくは20〜50℃である。

    脱泡工程後の単量体は、気泡の大きさ(好ましくは体積平均径100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、より好ましくは5μm以下)や、気体を溶解および/または分散させない場合におけるアクリル酸系単量体水溶液と比べた後述の膨張倍率で規定される。 膨張倍率は好ましくは1.1倍以下、より好ましくは1.05以下、さらに好ましくは1.02以下、特に好ましくは1.01以下であり、通常、下限は1を超え、さらに好ましくは1.001以上、特に好ましくは1.002以上である。

    すなわち、本発明において、脱泡工程での膨張倍率の低下(脱泡工程前後での膨張倍率の差)は0.001以上、0.01以上、さらに好ましくは0.02以上、を低下(透明化)させればよく、脱泡工程後の好ましい膨張倍率は上記範囲(1.1倍以下)である。 脱泡工程において濁度の低下幅が小さい場合、吸水速度に寄与が小さく、また、大きな気泡由来で粉砕時に微粉の原因になったり、上記吸水性樹脂の耐衝撃性の低下に繋がったりする。

    なお、前記特許文献23(米国特許第6107358号)には、該不活性ガス気泡が分散した該単量体水溶液の体積が非分散状態の体積の1.02〜5倍で重合する吸水性樹脂の製造方法は開示するが、本発明では特許文献23に開示のない手法を用いて低膨潤倍率でより優れた吸水性樹脂を得ることができた。 また、特許文献23については後述の比較例4でも示される。

    本発明で用いられる脱泡工程は公知の技術を採用すればよく、米国特許第6667372号明細書に記載の方法や、株式会社テクノシステム出版「泡のエンジニアリング初版」759〜774頁に記載の方法等がある。

    好ましい脱泡工程は、循環式タンクへ循環気流を含む単量体を循環させることであり、当該脱泡工程では、循環式タンクの上部空間が酸素を1容積%以上含む。 気流を含む単量体を循環させる工程、循環ラインから少なくとも一部の単量体を中和工程または中和工程を経て重合工程に供給し、重合させる。

    このような脱泡工程について、図6および図7にそれぞれ例示する。 なお、図6および図7においては、循環ポンプや熱交換器などについては省略している。

    図6に示すように、タンク1に入った単量体は、タンク1の下部から循環ラインへと流出し、不活性気体が導入されながら循環ラインを流れ、タンク上部からタンク1へ再度流入することによって循環している。 ここで、単量体は、不活性気体が導入されながら循環するため、当該気体が単量体中に溶解および/または分散することになる。 そして、気体が溶解および/または分散した当該単量体は、タンク1へ流入し再度循環ラインへ流出するまでの間、タンク1内に滞留することになり、脱泡が進むことになる。

    また、単量体を中和しながら脱泡する場合も同様に、図7に示すように、タンク1に入った、中和された単量体は、タンク1の底から、不活性気体が導入されながら流出し、上部からタンク1へ再度流入することによって循環して脱泡を行うことができる。

    また、脱泡された単量体は、図6に示すように、そのまま抜き出されて次工程に用いてもよいし、図7に示すように、中和剤や架橋剤を添加した状態で抜き出されてもよい。

    なお、循環タンクは国際公開第2007/28746号、同第2007/28747号、同第2009/123197号にも例示されているが、本発明では、図6および図7に示すように、循環前の単量体水溶液に不活性ガスを溶解または分散させ、さらにタンクに循環することで、気泡を均一化および安定化することができる。 ここで、循環タンク内は不活性ガスで満たされていてもよいが、単量体の安定性から酸素、特に空気で満たされていることが好ましい。

    その他、重合開始までの時間を配管中や重合装置中で、一定時間もたせることで、気泡を集積させて脱泡をしてよい。 また、気泡を含有する単量体を、好ましくは低速攪拌、特に1〜100rpm、さらに好ましくは10〜80rpmで低速攪拌することで、脱泡することができる。 なお、高速攪拌ではかえって、粗大な泡が増加する傾向にあり、脱泡工程としては無攪拌さらには低速攪拌が重要である。

    具体的には、上部が開放された重合装置で気泡を含有した単量体水溶液を投入後、大きな泡を中心に脱泡後、細かい気泡を優先的に含有する単量体水溶液に、所定時間後に重合開始剤の添加や紫外線の照射を行ってもよい。 脱泡工程の好ましい実施態様として、重合装置初期の一定時間(例えば、60秒〜20分)において、連続ニーダー重合によって低速攪拌とする形態や、連続ベルト重合によって無攪拌とする形態が挙げられる。

    過度に大きな泡を含む単量体水溶液を用いる場合、得られた吸水性樹脂は鱗片状となったり、嵩比重が過度に低下(例;特に0.5[g/cm ]以下)したりするうえに、通液性や耐衝撃性も低下する。 また本発明で目的とする、吸水速度指数90以上の吸水性樹脂を得ることが困難となる場合がある。

    これらいずれの脱泡方法でもよいが、大きな泡を中心に脱泡後、細かい気泡を優先的に含有する単量体水溶液を得ることが目的であり、完全なる脱泡は本発明の意図するところではない。 かくして脱泡工程して得られた吸水性樹脂は細かく均一な孔を有する多孔質重合体となる。

    上記で生成したマイクロバブルでは、濃縮したイオン類が気泡界面に作用し、静電気の反発力を生じ、泡内部における気体の散逸が防止される。 また、自己加圧効果や断熱圧縮効果により、マイクロバブルを圧壊させて、ナノバブルを生成させてもよい。

    なお、マイクロバブルの上昇速度および内部圧力はストークスの式およびラプラスの式(Pb=Pf+2σ/r)によってそれぞれ計算される。 その具体例として、気泡径が100μmの場合、上昇速度が5400[μm/s]であり内部圧力1.04×10 Paである。 また、気泡径が10μmの場合には、上昇速度が54[μm/s]であり、内部圧力が1.31×10 Pa、さらに、気泡径1μmの場合では、上昇速度が0.54[μm/s]で内部圧力が3.95×10 Paである。

    重合工程における単量体の常圧下での膨張倍率は、アクリル酸系単量体水溶液に気体を溶解および/または分散させない場合に比べて、好ましくは1.1倍以下、より好ましくは1.05倍以下、さらに好ましくは1.02倍以下、特に好ましくは1.01倍以下、最も好ましくは特に1.00倍(好ましくは1倍を超える、特に1.001倍以上)となり得る。 従来、多量の気泡を分散させて重合する方法は知られていたが、本発明に係る方法では上記手法を用いることで、過度に気泡を分散させることなく重合するので、嵩比重の低下も殆どない。

    すなわち、本発明に係る方法では、好ましくは、重合工程で単量体水溶液中に体積平均径100μm以下のマイクロバブルまたはナノバブルを含有することになる。 含有するマイクロバブルまたはナノバブルは体積平均径100μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは5μm以下である。 バブルの粒子径が大きい場合、吸水速度への寄与が小さく、また嵩比重が過度に低下するが、バブルが小さすぎる場合も吸水速度への寄与が小さくなるため、下限は50nm以上、さらには100nm以上である。 よって、好ましい範囲は、50nm〜100μmであり、さらに好ましくは50nm〜50μm、特に好ましくは50nm〜20μm、最も好ましくは100nm〜5μmである。

    気泡の大きさは、(a)レーザー回折散乱法(別称;静的光散乱法)、(b)動的光散乱法、(c)電気的検知帯法(通称;コールタカンター法)、(d)パーティクルカウンター法(光り散乱方式、光遮断方式)、(e)カメラ撮影による可視化法、(f)レーザー光とCCDカメラによる干渉画像法等が挙げられる。

    個数の測定には、(c)電気的検知帯法や(d)パーティクルカウンター法で可能であり、ナノオーダーの測定には(b)動的光散乱法、(a)レーザー回折散乱法(別称;静的光散乱法)から選ばれる。 適宜使用されるが、好ましくは、光散乱法、特に動的光散乱法が用いられる。

    (2−3)重合工程 重合工程は、単量体水溶液を重合する工程である。 上記方法(I)〜(III)では、界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記気泡を含有する単量体水溶液を重合する。 好ましい界面活性剤量は、方法(IV)の30ppm以下である。 重合は常圧、減圧、加圧で行われ、好ましくは常圧(ないしその近傍、通常±10mmHg)で行われる。

    (重合開始剤)
    本工程で用いられる重合開始剤としては、特に制限はなく、重合させるモノマーの種類、重合条件等に合わせて、通常の吸水性樹脂粉末の製造において利用されているものの中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。

    例えば、熱分解型開始剤(例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;アゾニトリル化合物、アゾアミジン化合物、環状アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキルアゾ化合物、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等のアゾ化合物等)や、光分解型開始剤(例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等)等を挙げることができる。 これらのなかでも、コスト面及び残存モノマー低減能から、熱分解型開始剤が好ましく、過硫酸塩が特に好ましい。

    また、還元剤を併用することで、これら重合開始剤の分解を促進しうる。 そこで、両者を組み合わせたレドックス系開始剤として使用することもできる。 前記の還元剤としては、特に限定されないが、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の(重)亜硫酸(塩)、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、アミン類等が挙げられる。 レドックス系開始剤のように酸化性重合開始剤と還元剤を用いる場合、それぞれを本発明の方法でモノマー液に合流させてもよいし、還元剤を予めモノマー液に混合しておいてもよい。

    (親水性高分子等)
    上記重合に際しては、さらに必要に応じて、重合前または重合途中の反応系に、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜燐酸(塩)等の連鎖移動剤、キレート剤等を添加してもよい。 親水性高分子として、水溶性樹脂または吸水性樹脂が好適に使用され、反応系の粘度を高めたり、気泡発生の沸石として作用させたりすることで発泡を促進してもよい。 親水性高分子の使用量は単量体100重量部に対して、好ましくは0重量部より高く50重量部の範囲内、さらに好ましくは0.01〜20重量部である。

    (重合方法)
    本工程で採用される重合方法としては、特に限定されるものではなく、通常の吸水性樹脂粉末の製造方法で用いられるものが採用される。 例えば、水溶液重合法、逆相懸濁重合法等を挙げることができる。 該水溶液重合法には、モノマー水溶液を静置状態で重合させる静置重合法、攪拌装置内で重合する攪拌重合法等があり、これらの重合法には、各々回分法と連続法がある。 また、これらの重合法では、通常、ベルト重合装置や攪拌重合装置が採用されている。

    本発明に係る吸水性樹脂粉末の製造装置としては、上記方法によって連続供給されるモノマー水溶液を、連続的に重合することができる装置であれば、特に限定されるものではないが、連続ベルト重合装置又は連続攪拌重合装置であることが好ましい。

    なお、連続ベルト重合装置に関しては、特開2000−034305号公報や特開平11−228604号公報、特開昭62−156102号公報等に開示された技術を適用することができる。 例えば、特開2002−212204号公報に開示された高温高濃度重合技術が適用されうる。

    この場合、好ましい重合装置の形態としては、エンドレスベルト式の連続重合装置であって、ベルトがフッ素樹脂製であるか、または表面をフッ素樹脂でコーティングされたベルトであることがよい。 さらに、加熱装置あるいは保温装置が具備され、重合時に発生する水及び/又はモノマー液の蒸気を回収・再利用するシステムを有する装置がよい。 また、ベルトは、モノマー混合液の逆流防止のため、水平またはモノマー混合液供給部が低くなっているのが好ましく、重合ゲルがベルト上から排出されてからモノマー混合液供給口までの間に、ベルト洗浄工程が設置されたものが望ましい。

    さらに、連続攪拌重合装置に関しては、一軸攪拌装置でも、連続ニーダー等の複数攪拌軸を持つ攪拌装置でも採用することができるが、生産性の観点から、複数軸攪拌装置が好ましく用いられる。

    上記重合に際して、重合温度は特に制限されないが、通常、重合中の温度の上下限で10〜140℃の範囲とするのが好ましい。 重合温度が10℃未満であると、重合時間が長くなり生産性が低下するのみならず、吸水性樹脂粉末の物性も低下するおそれがある。 一方、重合の最高到達温度(ピーク温度)が140℃を超えると、吸水性樹脂粉末の物性が低下するおそれがある。 重合時間についても、特に制限されないが、モノマー及び重合開始剤の種類、重合温度等に応じて、適宜決定されればよい。 また、前述の重合は、通常、装置及び操作の容易さ等の観点から常圧下で行われるが、重合系の沸騰温度を下げるために、減圧下で重合を行うことも好ましい態様である。

    前記した連続ベルト重合では、帯状に連続した吸水性樹脂粉末の重合ゲルが得られる。 重合ゲルはそのままで使用することもできるし、細かく解砕して使用することもできる。 通常は、重合ゲルをさらに乾燥・粉砕して吸水性樹脂粉末とし、吸水性樹脂粉末はさらに表面架橋処理されたり、造粒されたりして吸水性樹脂製品として使用される。 重合ゲルの粉砕や乾燥、および表面架橋処理は公知の技術を採用すればよい。

    (特に好適な発泡重合条件)
    上記重合方法が広く適用できるが、課題解決に特に好適な重合は、水溶液重合、中でも連続ベルト重合または連続ニーダー重合であり、水溶液重合または逆相懸濁重合、中でも水溶液重合では下記温度および濃度で行うことが好ましい。 すなわち、特許文献7〜29の発泡重合は知られているが、本発明ではさらに特定の濃度および温度が重要であることが見いだされた。

    重合時の発泡を促進させるため、また重合前の脱泡を促進するためにも、重合は高温で開始することが好ましく、重合工程で重合開始温度を40℃以上、さらには50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上とすることが好ましい。 重合開始温度が過度に高いことは、吸水倍率や可溶分の悪化を招く傾向にあり、よって、上限は単量体水溶液の沸点以下、特に100℃以下、さらには95℃以下である。 一般に気体の溶解度は温度上昇とともに低下するため、重合開始温度や重合の最高到達温度を高めることで、前記単量体水溶液に溶解していた気泡を分散させることも好ましい。

    また、発泡を促進させるため、重合時の最高到達温度は高いことが好ましく、重合工程で重合時の最高到達温度を100℃以上とすることが好ましく、より好ましくは100〜150℃、さらに好ましくは100〜130℃、特に好ましくは105〜120℃である。

    また、発泡を促進させるため、重合工程でアクリル酸系単量体水溶液の濃度は高いほど好ましく、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上である(上限は通常90%以下、さらには80%以下、特に70%以下)。 かかる固形分は重合後の含水ゲル状架橋重合体にも適用される。

    (2−4)細分化工程 上記して得られた含水ゲルは含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化される。

    重合時の細分化にはニーダーや逆相懸濁重合が用いられ、重合後の細粒化にはミートチョパー等が使用される。

    本発明に係る方法においてゲルを細粒化しない場合、本発明の目的の吸水性樹脂粉末が得られないことがあるため、ゲルは重合時または重合後に細分化される。 細分化後のゲルは下記に乾燥工程を経て、好ましくは表面架橋工程とされる。 特許文献19、22のようなシート状吸水性樹脂フォームでは本願の課題を解決せず、乾燥前または乾燥後の粉砕で粉末状の吸水性樹脂を得る。 なお、前記した日本特許公開2001−151804号(排水処理用生物固定化担体)は吸水性樹脂の示唆もなく、また重合体粉末も開示しない。

    (2−5)加熱乾燥工程 加熱乾燥工程では、上記含水ゲル状架橋重合体は乾燥され、乾燥重合体とされる。 その乾燥減量(粉末ないし粒子1gを180℃で3時間加熱)から求められる樹脂固形分は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85〜99重量%、さらに好ましくは90〜98重量%、特に好ましくは92〜97重量%の範囲に調整され乾燥重合体を得る。

    乾燥温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは100〜300℃の範囲内、より好ましくは150〜250℃の範囲内とすればよい。 乾燥工程で得られた凝集物はそのまま粉砕工程に供給されてもよい。 気泡を含有、特に内部に気泡を含有する含水ゲル状架橋重合体を前記温度で加熱することで、乾燥時の発泡を促進させることも好ましい。

    (粒度)
    上記加熱乾燥工程後の吸水性樹脂粉末の重量平均粒子径(D50)としては、好ましくは200〜600μmに調製される。 より好ましくは200〜550μm、さらに好ましくは250〜500μm、特に好ましくは350〜450μmに調整される。

    また、150μm未満の粒子が少ないほどよく、通常0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%、特に好ましくは0〜1重量%に調整される。 さらに、850μm以上(さらには710μm以上)の粒子が少ないほどよく、通常0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%、特に好ましくは0〜1重量%に調整される。 また、本発明では好ましくは850〜150μmの割合、さらには710〜150μmの割合が95重量%以上さらには98重量%以上(上限100重量%)で表面架橋される。

    これらの測定方法については、標準篩を用いる方法が挙げられ、例えば、国際公開第2004/69915号パンフレットやEDANA−ERT420.2−02に記載されている。 上記表面架橋前の粒度は好ましくは表面架橋後さらには最終製品(別称;粒子状吸水剤)にも適用される。

    (2−6)表面架橋工程 本発明に係る製造方法では、上述の方法によって得られた水性樹脂粉末を表面加工する工程をさらに含んでいてもよい。

    (架橋剤)
    乾燥後の表面架橋工程をさらに含むことによって、本発明の製造方法は、高い加圧下吸水倍率(AAP)および通液性(SFC)の吸水性樹脂粉末の製造方法や巨大スケール(特に1t/hr)での連続生産に適用され、特に高温表面架橋を行う吸水性樹脂粉末に好適に適用される。

    本工程では共有結合性表面架橋剤が使用され、好ましくは、共有結合性表面架橋剤およびイオン架橋性の表面架橋剤が併用される。

    (共有結合性表面架橋剤)
    本工程で用いることの出来る表面架橋剤としては、種々の有機または無機架橋剤を例示できるが、有機表面架橋剤が好ましく使用できる。 物性面で好ましくは、表面架橋剤として、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、(モノ、ジ、またはポリ)オキサゾリジノン化合物、アルキレンカーボネート化合物が挙げられ、特に高温での反応が必要な、多価アルコール化合物、アルキレンカーボネート化合物、オキサゾリジノン化合物からなる脱水反応性架橋剤を好ましく使用できる。

    脱水反応性架橋剤を使用しない場合、高加圧下(例えば、4.83kPa)での加圧下吸水倍率が向上しにくいことがある。 使用できる表面架橋剤はより具体的には、米国特許第6228930号、同第6071976号、同第6254990号等に例示されている化合物を挙げることが出来る。 例えば、モノ,ジ,トリ,テトラまたはプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルやグリシドール等のエポキシ化合物;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート化合物;オキセタン化合物;2−イミダゾリジノン等の環状尿素化合物等が挙げられる。

    (イオン結合性表面架橋剤)
    また、上記有機表面架橋剤以外にイオン結合性表面架橋剤としてポリアミンポリマーや多価金属塩を使用して、通液性などを向上させてもよい。 使用される多価金属塩(無機表面架橋剤)は2価以上、好ましくは3価ないし4価値の多価金属の塩(有機塩ないし無機塩)ないし水酸化物が例示できる。 使用できる多価金属としてはアルミニウム、ジルコニウム等が挙げられ、乳酸アルミニムや硫酸アルミニムが挙げられる。

    (溶媒)
    表面架橋剤の使用量は吸水性樹脂粉末100重量部に対して0.001〜10重量部であり、好ましくは0.01〜5重量部で適宜決定される。 表面架橋剤に合わせて好ましくは水が使用され得る。 その際、必要により親水性有機溶媒が併用され、好ましくは水に対して100重量%以下、より好ましくは50重量%以下で少量併用し得る。 親水性有機溶媒は、各種低級アルコールやそのエチレンオキシド付加物など上記米国特許などに例示されるものを用い得るが、特に限定されない。

    使用される水の量は吸水性樹脂粉末100重量部に対して0.5〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。 無機表面架橋と有機表面架橋剤とを併用する場合も吸水性樹脂粉末100重量部に対して各々0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部で併用される。 また、この際、必要により親水性有機溶媒を使用してもよく、その量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、0重量部より高く10重量部以下の範囲内、好ましくは0重量部より高く5重量部以下の範囲内である。

    また吸水性樹脂粉末への架橋剤溶液の混合に際し、本発明の効果を妨げない範囲、例えば、10重量部以下、好ましくは0重量部より高く5重量部以下の範囲内、より好ましくは0重量部より高く1重量部以下の範囲内で、水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよい。 用いられる界面活性剤やその使用量は米国特許第7473739号等に例示されている。

    表面架橋剤を混合した後の吸水性樹脂粉末は加熱処理され、必要によりその後の冷却処理される。 加熱温度は70〜300℃、好ましくは120〜250℃、より好ましくは150〜250℃であり、加熱時間は、好ましくは1分〜2時間の範囲である。

    かかる表面架橋によって、吸水倍率(CRC)を低下させつつ、後述の加圧下吸水倍率(AAP)を後述の範囲、好ましくは20[g/g]以上、さらには23〜30[g/g]にまで向上すればよい。

    (2−7)その他の工程 上記工程以外に、必要により、第2の分級工程、蒸発モノマーのリサイクル工程、造粒工程、微粉除去工程、微粉リサイクル工程等を設けてもよい。 さらには、経時色安定性効果やゲル劣化防止等のために、以下の添加剤を単量体またはその重合物に使用してもよい。

    さらに、目的に応じて、吸水性樹脂粉末には酸化剤、酸化防止剤、還元剤、キレート剤、着色防止剤、水、多価金属化合物、シリカや金属石鹸等の水不溶性無機、または有機粉末、消臭剤、抗菌剤、パルプや熱可塑性繊維等を吸水性樹脂粉末中に0重量%より高く3重量%以下の範囲内、好ましくは0重量%より高く1重量%以下の範囲内で添加してもよい。 吸水性樹脂粉末中の好ましい界面活性剤量は上記範囲である。

    上述した製造方法(言い換えれば、〔課題を解決するための手段方法〕における第1〜第5の製造方法)によって、下記式 (吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm ])×(重量平均粒子径[μm])
    で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm ]であるポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末が得られる。

    また、上述した方法によって得られた、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末をさらに表面架橋してもよい。 つまり、本発明の吸水性樹脂粉末の製造方法では、上記式で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm ]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末を表面架橋する方法であってもよい。

    すなわち、本発明は、吸水速度指数が90以上の吸水性樹脂およびその製造方法として〔課題を解決するための手段方法〕における第1〜第6の製造方法を提供する。

    〔3〕ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の物性 本発明に係るポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末は、下記式 (吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm ])×(重量平均粒子径[μm])。
    で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm ]である。

    本発明の製造方法(言い換えれば、〔課題を解決するための手段方法〕における第1〜第5の製造方法)は下記の吸水性樹脂粉末の製造方法に好適に適用できるが、好ましくは、通液性(SFC)や吸水速度(FSR)の制御および向上に適用できる。 なお、下記および実施例の物性は断りのない限りEDNA法で規定される。

    吸水速度指数は90、95、100、105、110、115、120の順に高いほど好ましく、上限は150さらには140で十分である。 かかる新規な吸水性樹脂粉末は通液性や耐衝性に優れ、紙オムツ等の吸収性物品に好適に使用できる。 吸水速度指数が低い場合や逆に高すぎる場合も実使用に適さない傾向にある。

    なお、吸水性樹脂の耐ダメージ性(耐衝撃性)の向上方法は、背景技術に記載の特許文献32(特定の表面架橋の適用)、特許文献30(表面研磨)、特許文献29や特許文献34(何れも表面架橋後の水の添加)、特許文献33(特定の内部架橋剤の使用)などに記載される。 しかし、かかる特許文献では発泡重合を記載しておらず、本発明では発泡重合で吸水速度を向上させ、かかる特許とは異なる手法で耐ダメージ性の高い(ダメージでの物性低下の少ない)吸水性樹脂が得られる。

    すなわち、本発明では、両立が困難な吸水速度(例えばFSR)と耐ダメージ性(例えば上記特許の試験方法)、または吸水速度(例えばFSR)と通液性(例えばSFC)の両立した吸水性樹脂を提供する。 相反する物性を両立する吸水性樹脂として、上記吸水速度指数を制御した後に表面架橋すればよい。 表面架橋前後の吸水速度指数はほぼ同程度である。

    かかる吸水性樹脂粉末は発泡構造(別称;多孔質構造)を有しており、多孔質構造は電子顕微鏡写真で粒子表面を確認することで判別できる。 粒子表面の平均孔径は100μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜90μm、特に好ましくは1〜50μmである。 個々の粉末の主成分は多孔質粒子である。

    衛生材料、特に紙オムツを目的とする場合、上記重合や表面架橋をもって、下記(3−1)〜(3−7)の少なくとも1つ、さらにはAAPを含め2つ以上、特に好ましくは3つ以上に制御されることが好ましい。 下記要件を満たさない場合、後述の高濃度オムツでは十分な性能を発揮しないことがある。 かかる本発明の吸水性樹脂粉末は、吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.003重量%以下の界面活性剤を含み得る、あるいは、全く含まない。

    (3−1)AAP(加圧下吸水倍率)
    紙オムツでのモレを防止するため、上記重合さらには表面架橋を達成手段の一例として、1.9kPaの加圧下さらには4.8kPaの加圧下での0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液に対する吸水倍率(AAP)が好ましくは20[g/g]以上、より好ましくは22[g/g]以上、さらに好ましくは24[g/g]以上に制御される。 AAPは高いほど好ましく上限値は特に限定されないが、他の物性のバランスから通常40[g/g]以下、より好ましくは35[g/g]以下、さらに好ましくは30[g/g]以下である。

    (3−2)CRC(無加圧下吸水倍率)
    無加圧下吸水倍率(CRC)は、好ましくは10[g/g]以上であり、より好ましくは20[g/g]以上、さらに好ましくは25[g/g]以上、特に好ましくは30[g/g]以上に制御される。 CRCは高いほど好ましく上限値は特に限定されないが、他の物性のバランスから、好ましくは50[g/g]以下、より好ましくは45[g/g]以下、さらに好ましくは40[g/g]以下である。

    (3−3)SFC(食塩水流れ誘導性)
    紙オムツでのモレを防止するため、上記重合を達成手段の一例として、加圧下での液の通液特性である0.69重量%食塩水流れ誘導性(SFC)は1[×10 −7・cm ・s・g −1 ]以上、好ましくは20[×10 −7・cm ・s・g −1 ]以上、より好ましくは50[×10 −7・cm ・s・g −1 ]以上、さらに好ましくは70[×10 −7・cm ・s・g −1 ]以上、特に好ましくは100[×10 −7・cm ・s・g −1 ]以上に制御される。 SFCは周知の測定法であり、例えば、米国特許第5562646号に記載されている方法で規定される。

    一般に吸水速度と通液性とは相反するが、本発明では吸水速度を維持または向上させたままで通液性の向上、中でもSFCの向上、特に上記範囲のSFCへ、特にSFCが20[×10 −7・cm ・s・g −1 ]以上の場合により顕著に効果を発揮するため、かかる高通液性の吸水性樹脂粉末の製法に好適に適用できる。

    (3−4)Ext(水可溶分)
    水可溶分は、好ましくは0〜35重量%以下、より好ましくは25重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。

    (3−5)FSR(吸水速度)
    20gの生理食塩水に対する吸水性樹脂粉末1gでの吸水速度(FSR)は、通常0.05[g/g/sec]以上、0.1[g/g/sec]以上、0.15[g/g/sec]以上、0.20[g/g/sec]以上、さらには0.25[g/g/sec]以上であることが好ましい。

    吸水速度(FSR)は通液性などの他の物性を犠牲にすることがあり、また過度の吸水速度のおむつでは拡散性の低下にもつながるため、FSRの上限は0.1[g/g/sec]、さらには0.50[g/g/sec]であることが好ましい。

    FSRの測定法は国際公開第2009/016055号パンフレットに記載されている方法で規定される。 なお、CRCが20(g/g)未満の吸水性樹脂では、FSR測定時に使用する生理食塩水(絶対量)をCRCに補正すればよいが、通常、CRCが20g/g以上、さらには25g/g以上の吸水性樹脂でFSRは規定される。

    (3−6)嵩比重 吸水性樹脂粉末の嵩比重は、通常、0.6〜0.8[g/cm ]であり、好ましくは0.61〜0.75[g/cm ]、さらに好ましくは0.63〜0.70[g/cm ]である。 本発明では発泡構造(別称;多孔質構造)であるが、従来に比べ、高い嵩比重を有する。 よって、本発明の吸水性樹脂粉末は、おむつ中でもコンパクトで薄型のおむつを実現することができ、さらには、輸送中も容量(袋中の体積)が小さく安価に輸送できるだけでなく、粉末の耐衝撃性にも優れ、優れた物性を維持する。

    (3−7)表面張力 表面張力(実施例の測定法で規定)は、好ましくは60[mN/m]以上、より好ましくは65[mN/m)以上、さらに好ましくは67[mN/m]以上、特に好ましくは70[mN/m)以上、最も好ましくは72[mN/m]以上であり、実質的な表面張力の低下もない。 上限は通常75[mN/m]で十分である。

    〔4〕ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の用途 本発明の吸水性樹脂粉末の用途は特に限定されないが、好ましくは、紙オムツ、生理ナプキン、失禁パット等の吸収性物品に使用され得る。 この吸収性物品中の、任意に他の吸収性材料(パルプ繊維等)を含む吸収体における吸水性樹脂粉末の含有量(コア濃度)は、30〜100重量%、好ましくは40〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%、最も好ましくは75〜95重量%で本発明の効果が発揮される。 本発明の吸水性樹脂粉末を用いる場合、高吸水速度であり、通液性にも優れ、嵩比重も大きいため、コンパクトで薄型のおむつを提供することができる。

    〔5〕実施例 以下、実施例に従って発明を説明するが、本発明は実施例に限定され解釈させるものではない。 また、本発明の特許請求の範囲や実施例に記載の諸物性は、以下の測定例1〜9に従って求めた。 なお、下記測定法は粒子状吸水剤について記述しているが、吸水性樹脂粉末についても粒子状吸水剤を吸水性樹脂粉末と読み替えて測定される。 なお、特に重合工程や脱泡工程は特に断らない限り、常圧で行った。 また粉砕以降も常圧(ないし微減圧例えば−10mmHg以内)で行った。

    [測定例1]重量平均粒子径(D50)および粒度分布の対数標準偏差(σζ)
    粒子状吸水剤を目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩い分けし、残留重量百分率Rを対数確率紙にプロットした。 これにより、R=50重量%に相当する粒子径を重量平均粒子径(D50)として読み取った。 また、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は式1で表され、σζの値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。

    ここで、X1はR=84.1%、X2はR=15.9%の粒子径をそれぞれ意味する。

    重量平均粒子径(D50)および粒度分布の対数標準偏差(σζ)を測定する際の分級方法は、粒子状吸水剤10.0gを、室温(23±2℃)、湿度50RH%の条件下で、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるい(THE IIDA TESTING SIEVE:径8cm)に仕込み、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES−65型(回転数:60Hz 230rpm、衝撃数:60Hz 130rpm)、SER.No.0501)により、5分間、分級した。

    [測定例2]CRC(無加圧下吸水倍率)
    CRC(無加圧下吸水倍率)は、0.90重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水とも称する)に対する無加圧下で30分の吸水倍率を示す。 なお、CRCは、遠心分離機保持容量と称されることもある。

    具体的には、粒子状吸水剤0.2gを不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22)の袋(60mm×85mm)に均一に入れてヒートシールした後、23(±2)℃で大過剰(通常500ml程度)の0.90重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。 30分経過後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H−122)を用いて250Gの遠心力で3分間水切りを行った後、袋の重量W1[g]を測定した。 また、同様の操作を、粒子状吸水剤を用いずに行い、その時の重量W2[g]を測定し、数2に従ってCRC(無加圧下吸水倍率)[g/g]を算出した。

    [測定例3]固形分 粒子状吸水剤において、180℃で揮発しない成分が占める割合を表す。 含水率との関係は以下の様になる。

    固形分[重量%]=100−含水率[重量%]
    固形分の測定方法は、以下のように行った。

    底面の直径が約5cmのアルミカップ(重量W3[g])に、約1gの粒子状吸水剤を量り取り(重量W4[g])、180℃の無風乾燥機中において3時間静置し、乾燥させる。 乾燥後のアルミカップと粒子状吸水剤の合計重量(W5[g])を測定し、数3より固形分を求めた。

    [測定例4]FSR(吸水速度)
    粒子状吸水剤1.00gを25mlガラス製ビーカー(直径32〜34mm、高さ50mm)に入れた。 この際、ビーカーに入れた粒子状吸水剤の上面が水平となるようにした。 (必要により、慎重にビーカーをたたく等の処置を行うことで粒子状吸水剤表面を水平にしてもよい。)次に、23℃±0.2℃に調温した0.90重量%塩化ナトリウム水溶液20gを50mlのガラス製ビーカーに量り取り、上記塩化ナトリウム水溶液とガラス製ビーカーの合計重さ(重量W6[g])を測定した。 量り取った塩化ナトリウムを、粒子状吸水剤の入った25mlビーカーに丁寧に素早く注いだ。

    注ぎ込んだ塩化ナトリウム水溶液が粒子状吸水剤と接触したと同時に時間測定を開始した。 そして、塩化ナトリウム水溶液を注ぎ込んだビーカー中の塩化ナトリウム水溶液上面を約20゜の度で目視した際、始め塩化ナトリウム水溶液表面であった上面が、粒子状吸水剤が塩化ナトリウム水溶液を吸収することにより、塩化ナトリウム水溶液を吸収した粒子状吸水剤表面に置き換わる時点で、時間測定を終了した(時間t [秒])。 次に、塩化ナトリウム水溶液を注ぎ込んだ後の50mlガラス製ビーカーの重さ(重量W7[g])を測定した。 注ぎ込んだ塩化ナトリウム水溶液の重さ(重量W8[g])を数4にしたがって求め、数5に従ってFSRを求めた。

    [測定例5]嵩比重 嵩比重測定器(蔵持科学機器製作所製)を用い、JIS K 3362に準じて測定した。 粒度による偏りを無くすため十分に混合された粒子状吸水剤100.0gを、ダンパーを閉めた漏斗に入れた後、速やかにダンパーを開け、粒子状吸水剤を内容量100mlの受器(重量W9[g])に落とした。 受器から盛り上がった粒子状吸水剤は、ガラス棒ですり落とした後、粒子状吸水剤の入った受器の重さ(重量W10[g])を0.1gまで正確に量り、数6にしたがって嵩比重を算出した。

    なお、測定を行った環境の温度は24.2℃であり、相対湿度は43%RHであった。

    [測定例6]表面張力 十分に洗浄された100mlのビーカーに20℃に調整された生理食塩水50mlを入れ、まず、生理食塩水の表面張力を表面張力計(KRUSS社製のK11自動表面張力計)を用いて測定した。 この測定において表面張力の値が71〜75[mN/m]の範囲でなくてはならない。

    次に、20℃に調整した表面張力測定後の生理食塩水を含んだビーカーに、十分に洗浄された25mm長のフッ素樹脂製回転子、および粒子状吸水剤0.5gを投入し、500rpmの条件で4分間攪拌した。 4分後、攪拌を止め、含水した粒子状吸水剤が沈降した後に、上澄み液の表面張力を再度同様の操作を行い測定した。 なお、本発明では白金プレートを用いるプレート法を採用し、プレートは各測定前に十分脱イオン水にて洗浄し、かつガスバーナーで加熱洗浄して使用した。

    [測定例7]通液性(SFC)
    SFCは周知の測定法であり、米国特許第5562646号に記載の手法にて測定を行った。

    [測定例8]加圧下吸水倍率(AAP)
    内径60mmのプラスチック製支持円筒の底に、400メッシュのステンレス製金網(目開き:38μm)を融着させたものを用意した。 次に、室温(25±2℃)、湿度50RH%の条件下で、この金網上に、吸水性樹脂0.900gを均一に散布した後、その上にピストンとおもりをこの順に載置した。 なお、該ピストンは、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒の内壁面との間に隙間が生じず、かつ、上下の動きが妨げられないものであり、また、該おもりは、吸水性樹脂に対して、4.83kPaの荷重を均一に加えることができるように調整されたものである。 そして、これら測定装置一式の合計重量Wa(g)を測定した。

    次に、直径150mmのペトリ皿の内側に、直径90mm、厚さ5mmのガラスフィルター(株式会社相互理化学硝子製作所製、細孔径:100〜120μm)を置き、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)(20〜25℃)を、ガラスフィルター上面と同じレベルになるように加えた。 このガラスフィルター上面に、直径90mmの濾紙(ADVANTEC東洋株式会社製、品名(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を1枚載せ、表面全体が濡れるようにし、かつ、過剰の液を除いた。

    次に、上記測定装置一式を、前記湿潤した濾紙上に載せ、生理食塩水を荷重下で所定時間吸水させた。 なお、ガラスフィルター上面より液面が低下した場合には、生理食塩水を追加し、液面を一定に保った。 そして、測定開始から1時間経過後、測定装置一式を取り出し、その重量Wb(g)を測定した。 ここで、この重量測定は、できるだけ素早く、かつ、振動を与えないように測定することが必要である。
    次に、測定した重量Wa、Wbから、数7に従って加圧下吸水倍率を算出した。

    [測定例9]攪拌レイノルズ数Reの算出 攪拌レイノルズ数Reは、従来、前記日本特許公開2001−151804号(排水処理用生物固定化担体)など、流体が入った容器(攪拌槽)と攪拌羽根とからなる攪拌装置で攪拌された流体の、流動状態を表すのに用いられるが、本発明においては、米国特許7265190号(対応の日本特許2004−155963号)を参照し、管中を連続的に流れるモノマー液に攪拌操作を加えたときの液の流動状態を、模式的に表すものとして算出し評価した。

    計算例(1)・・・静的攪拌(非機械的攪拌)の場合 長方形の板を右方向あるいは左方向にn回捻ったエレメント(1回ひねりで180度回転する)を有するスタティック型ミキサーを用いて、モノマー混合液を攪拌する場合、攪拌レイノルズ数は以下の式により算出される。

    ただし、u:平均流速(m/s)、ρ:流体密度(kg/m )、μ:粘度(Pa・s)、L:スタティック型ミキサーの全長(m)、d:口径(m)である。

    計算例(2)・・・動的攪拌(機械的攪拌)の場合 管の途中に置かれた攪拌翼を有する小型攪拌機を用いて、毎秒n回転でモノマー混合液を攪拌する場合、攪拌レイノルズ数は以下の式により算出される。

    ただし、d:攪拌翼の翼径(m)、ρ:流体密度(kg/m )、μ:粘度(Pa・s)である。

    [測定例10]単量体水溶液の膨張倍率 単量体水溶液の見かけ比重[g/ml]の変化により膨張倍率を求めた。 すなわち、0.001g単位で測定できる天秤に載せた、100ml(許容誤差±0.50ml)の高精度メスシリンダー(ほうけい酸ガラス製;内径・約3cm)に、重合に使用する所定温度(重合機に投入する温度)の単量体水溶液を100ml投入して、直後にその重量(a)を測定した。 別途、気泡を含有させた単量体水溶液を100ml投入して直後にその重量(b)を測定した。 1Lの単量体水溶液の重量比(以下の式)より、気泡含有による見かけ比重の変化をもって、その気泡する単量体の膨張倍率とした。

    膨張倍率=重量(b)/重量(a)
    単量体水溶液の比重は温度や組成で一義的に決まり、上記のように実測されるが、例えば、濃度43%の部分中和アクリル酸ナトリウム水溶液では約1.2[g/ml]前後である。 なお、脱泡工程前後による膨潤倍率の変化も同様に測定できる。 また、メスシリンダーへの単量体水溶液の投入で温度が有意量に低下する場合、適宜、メスシリンダーは加温してもよい。

    [測定法11]濁度 濁度とは水の濁りの程度を示す指標である。 単量体水溶液の気泡による濁り(白色〜透明)について、濁度色度計を用いて測定した。

    標準物質;カオリン(白陶土)濁度の均一粒子を精製して調整した濁度標準液。 関東化学株式会社のカオリン濁度標準液を使用して検量線を作成した。

    濁度測定法;積分球式測定方法(光が濁度粒子によって生じる散乱光量の積分球で測定すると共に、全光量を測定してその比率から濁度を求める方法)
    測定単位;カオリン濁度[mg/L(度)]
    上記範囲において、測定装置および条件(例えば、セルの大きさ)は適宜選択すればよいが、好適な方法として下記に選択される。

    測定装置;日本電色工業(株) 濁度色度計Water Analyzer−2000
    セル長 ;10mm(濁度 0〜 500)、5mm(濁度500〜)
    [実施例1]
    シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中に、アクリル酸461.5g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液4401.4g、脱イオン水(イオン交換水)588.0g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)11.16gを投入し、溶解(混合)させて単量体水溶液とした。

    次に、上記単量体水溶液を24.5℃に調温しながら窒素ガス雰囲気下で20分間脱気した。 続いて、マイクロバブル発生装置(株式会社オーラテック社製、型式:OM4−GP−040)を用いて、0.25〜0.30Mpaの絶対圧力下で窒素ガスを導入気体として5分間マイクロバブルを該単量体水溶液中に導入した。

    続いて、上記マイクロバブルが導入された単量体水溶液に20重量%過硫酸ナトリウム水溶液14.2gおよび0.1重量%L−アスコルビン酸水溶液23.7gを攪拌しながら添加したところ、およそ30秒後に重合が開始した。 このときの重合開始温度は24.7℃であった。

    そして、生成した含水ゲル状架橋重合体を解砕しながら、25〜95℃で重合を行い、重合が開始して30分経過後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。 得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約10mm以下に細分化されていた。

    この細分化された含水ゲル状架橋重合体を目開き850μmのステンレス製金網上に広げ、180℃で45分間熱風乾燥を行った。 該乾燥により得られた乾燥物をロールミル(有限会社井ノ口技研社製、WML型ロール粉砕機)を用いて粉砕した後、目開き850μmおよび目開き45μmのJIS標準篩を用いて分級した。

    上記の操作により、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)453μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(1)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(1)の諸物性を表1に示す。

    また、マイクロバブル導入後、過硫酸ナトリウム水溶液および%L−アスコルビン酸水溶液添加前の単量体水溶液の様子を図2(写真1)に示す。

    [実施例2]
    界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)0.042gを単量体水溶液中に溶解させたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)459μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.38の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(2)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(2)の諸物性を表1に示す。

    また、得られた吸水性樹脂粉末(2)を目開き425μmおよび目開き300μmのJIS標準篩を用いて分級し、425μmを通過し300μmを通過しない粒子のSEM(走査電子顕微鏡)写真を図4(写真3)に示す。

    [実施例3]
    容量1リットルのポリプロピレン製容器に、アクリル酸421.7g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)2.754g、0.1重量%ジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウム水溶液113.43g、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液140.4g、脱イオン水(イオン交換水)292.3gを混合した溶液(A)を作製した。 この溶液(A)を40℃に調温しながらマイクロバブル発生装置(株式会社オーラテック社製、型式:OM4−GP−040)を用いて、0.25〜0.30Mpaの絶対圧力下で窒素ガスを導入気体として1分間マイクロバブルを該溶液(A)中に導入した。

    次に、40℃に調温した48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液211.9gを素早くマイクロバブルが導入された溶液(A)に加え混合することで単量体水溶液を得た。 また、この時の単量体水溶液の温度は85℃であった。

    次に、この単量体水溶液の温度が82℃に低下した時点でのカオリン濁度は530[mg/L]であり、該白濁した単量体水溶液に4重量%の過硫酸ナトリウム水溶液17.55gを攪拌しながら加え、すぐにホットプレート(株式会社井内盛栄堂社製、NEO HOTPLATE H1−1000)で表面温度を80℃まで加熱したステンレス製バット型容器(底面340×340mm、高さ25mm、内面;テフロン(登録商標)を貼り付け)中に開放系で注いだ。

    単量体水溶液がバットに注がれて間もなく重合は開始した。 水蒸気を発生し上下左右に膨張発泡しながら重合は進行し、その後、ステンレス製バット型容器よりもやや大きなサイズにまで収縮した。 この膨張収縮は約1分以内に終了し3分経過後、含水重合体(含水ゲル)を取り出した。 なお、これら一連の操作は大気中に開放された系で行った。

    得られた含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)をミートチョッパー(飯塚工業株式会社製、MEAT−CHOPPER TYPE:12VR−400KSOX、ダイ孔径:6.4mm、孔数:38、ダイ厚み8mm)により解砕し、細分化された含水ゲル状架橋重合体を得た。 このとき、含水ゲル投入量は約350g/min、含水ゲル投入と並行して90℃に調温した脱イオン水を80g/minで添加しながら解砕を行った。

    この細分化された含水ゲル状架橋重合体を目開き850μmのステンレス製金網上に広げ、180℃で30分間熱風乾燥を行った。 該乾燥により得られた乾燥物をロールミル(有限会社井ノ口技研社製、WML型ロール粉砕機)を用いて粉砕した後、目開き850μmおよび目開き45μmのJIS標準篩を用いて分級した。

    上記の操作により、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)446μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(3)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(3)の諸物性を表1に示す。

    [実施例4]
    株式会社オーラテック社製マイクロバブル発生装置(型式:OM4−GP−040)を、木下理化工業株式会社製木下式ガラスボールフィルター(フィルター粒子No.4)に代え、さらに窒素ガスを溶液(A)に1分間導入した以外は、実施例3と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)442μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(4)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(4)の諸物性を表1に示す。

    [実施例5]
    界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)0.025gを溶液(A)中に溶解させた以外は、実施例3と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)451μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(5)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(5)の諸物性を表1に示す。

    [実施例6]
    容量1リットルのポリプロピレン製容器に、アクリル酸39.75g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液379.07g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.995g、脱イオン水(イオン交換水)176.31g、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)0.004gを混合した単量体水溶液を作製した。 該単量体水溶液を25℃に調温しながら、マイクロバブル発生装置(株式会社オーラテック社製、型式:OM4−GP−040)を用いて、0.25〜0.30Mpaの絶対圧力下で窒素ガスを導入気体として1分間マイクロバブルを導入した。

    続いて、上記単量体水溶液に10重量%過硫酸ナトリウム水溶液2.45g、0.1重量%L−アスコルビン酸水溶液1.02gおよび0.1重量%過酸化水素水0.41gを攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。 このときの重合開始温度は25.2℃であった。

    そして、25〜90℃で重合を行い、重合が開始して1時間経過後に含水ゲル状架橋重合体をポリプロピレン製容器から取り出した。 得られた含水ゲル状架橋重合体をミートチョッパー(飯塚工業社製、MEAT−CHOPPER TYPE:12VR−400KSOX、ダイ孔径:6.4mm、孔数:38、ダイ厚み8mm)により解砕し、細分化された含水ゲル状架橋重合体を得た。

    この細分化された含水ゲル状架橋重合体を目開き850μmのステンレス製金網上に広げ、180℃で45分間熱風乾燥を行った。 該乾燥により得られた乾燥物をロールミル(有限会社井ノ口技研社製、WML型ロール粉砕機)を用いて粉砕した後、目開き850μmおよび目開き45μmのJIS標準篩を用いて分級した。

    上記の操作により、固形分95重量%、重量平均粒子径(D50)460μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.38の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(6)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(6)の諸物性を表1に示す。

    [比較例1]
    実施例1において、マイクロバブルを単量体水溶液中に導入しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)455μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(1)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(1)の諸物性を表1に示す。

    [比較例2]
    実施例2において、マイクロバブルを単量体水溶液中に導入しなかったこと以外は実施例2と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)448μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(2)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(2)の諸物性を表1に示す。

    また、得られた比較吸水性樹脂粒子(2)を目開き425μmおよび目開き300μmのJIS標準篩を用いて分級し、425μmを通過し300μmを通過しない粒子のSEM(走査電子顕微鏡)写真を図5(写真4)に示す。

    [比較例3]
    実施例3において、マイクロバブルを溶液(A)中に導入しなかったこと以外は実施例3と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)442μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.38の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(3)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(3)の諸物性を表1に示す。

    [比較例4]
    実施例6において、マイクロバブルを単量体水溶液中に導入しなかったこと以外は実施例6と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)450μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(4)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(4)の諸物性を表1に示す。

    表1から明らかなように、実施例1〜3、6で得られた吸水性樹脂粉末(1)〜(3)、(6)は、比較例1〜4で得られた比較吸水性樹脂粉末(1)〜(4)に比べ、FSR(吸水速度)が0.03〜0.06ポイント高いことが分かる。 このポイント差はFSR測定時の吸水時間にして7〜14秒に相当する。 マイクロバブルを単量体水溶液等に導入することにより、得られる吸水性樹脂粉末の物性(FSR;吸水速度)が向上する。

    [比較例5]
    上記特許文献11〜18に準じて炭酸塩を用いて発泡重合を行った。 すなわち、比較例3において、4重量%の過硫酸ナトリウム水溶液17.55gを添加する前に炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)5.2gを添加した以外は比較例3と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)436μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(5)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(5)の諸物性を表2に示す。 また、炭酸水素ナトリウムを添加した際の単量体水溶液の様子を図3(写真2)に示す。 なお、特許文献11〜18以外でも、その他、前述の日本特許公開2001−151804号(排水処理用生物固定化担体)なども吸水性樹脂や重合体粉末の開示はないが、炭酸塩による発泡重合を開示する。

    [参考例1]
    比較例3で得られた比較吸水性樹脂粉末(3)を目開き150μmおよび目開き45μmのJIS標準篩を用いて分級し、150μmを通過し45μmを通過しない粒子91重量%と45μmを通過した粒子9重量%からなる参考吸水性樹脂粉末(1)を得た。

    [比較例6]
    特許文献28に準じて吸水性樹脂粉末の存在下で重合を行った。 すなわち、比較例3において、4重量%の過硫酸ナトリウム水溶液17.55gを添加した直後に参考例1で得られた参考吸水性樹脂粉末(1)25.8gを添加した以外は比較例3と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)457μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(6)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(6)の諸物性を表2に示す。

    [比較例7]
    特許文献23に準じて、気泡分散による発泡重合を行った。

    上記発泡重合により得られた含水ゲル状架橋重合体を実施例6と同様の細分化、乾燥、粉砕、分級を行い、固形分95重量%、重量平均粒子径(D50)450μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(7)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(7)の諸物性を表2に示す。

    [比較例8]
    比較例3で得られた比較吸水性樹脂粉末(3)を目開き600μmのJIS標準篩を用いて分級し、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)340μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.32の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(8)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(8)の諸物性を表2に示す。

    表2から明らかなように、公知の発泡重合方法により得られた比較吸水性樹脂粉末(5)〜(7)ではFSRの向上が見られない。 また、吸水性樹脂粉末の重量平均粒子径(D50)を100μm小さくしなければFSRの向上が見られない。 かかる100μmもの平均粒子径の細粒化は、微粉や粉塵の増加や通液性低下を伴う。

    [実施例7]
    実施例3(カオリン濁度;530[mg/L(度)])において、窒素ガスを導入気体として1分間マイクロバブルを溶液(A)中に導入した後、そのままポリプロピレン製容器中で240秒間(無攪拌下で)静置して単量体水溶液を脱泡(カオリン濁度;0.6[mg/L(度)]、実質透明)した以外は実施例3と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)451μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(7)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(7)の諸物性を表3に示す。

    [実施例8]
    実施例5において、窒素ガスを導入気体として1分間マイクロバブルを溶液(A)中に導入した後、そのままポリプロピレン製容器中で240秒間(無攪拌下で)静置して脱泡した以外は実施例5と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)463μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(8)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(8)の諸物性を表3に示す。

    [比較例9]
    比較例5において、炭酸水素ナトリウムの添加後、そのままポリプロピレン製容器中で240秒間(無攪拌下で)静置して脱泡した後に、4重量%の過硫酸ナトリウム水溶液を添加して重合した以外は比較例5と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)450μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.38の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(9)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(9)の諸物性を表3に示す。

    [比較例10]
    比較例7において、窒素気流下で単量体水溶液を3000rpmの高速攪拌を行った後、攪拌回転数を100rpmに低下させて240秒間脱泡した以外は比較例7と同様の操作を行い、固形分95重量%、重量平均粒子径(D50)424μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(10)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(10)の諸物性を表3に示す。

    表3から明らかなように、マイクロバブルを導入することで脱泡工程の有無に関係なく、同等の吸水速度(FSR)および嵩比重が得られる(実施例7、実施例8)。 一方、公知技術による発泡重合では、脱泡工程によって吸水速度(FSR)が低下し、嵩比重が増加する(比較例9、比較例10)。 この現象は、吸水性樹脂粉末中の気泡含有量が少なくなった結果であると考えられる。

    また、実施例3(カオリン濁度;530[mg/L];白濁)と実施例7(カオリン濁度;0.6[mg/L]、実質透明)との対比から、脱泡して透明な単量体水溶液でも重合後に十分な吸水速度(FSR)向上効果を示することが分かる。 また、脱泡することで、吸水性樹脂粉末に過大な気泡(孔)が少ないため、吸水性樹脂の形状が均一であり、前記特許文献29、32〜34等に例示の耐ダメージ性も向上する。

    [実施例9]
    実施例3で得られた吸水性樹脂粉末(3)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.48重量部、プロピレングリコール0.75重量部、脱イオン水4.0重量部からなる表面架橋剤溶液を、該吸水性樹脂粉末(3)に均一にスプレーし、混合した。 表面架橋剤溶液を混合した吸水性樹脂粒子を熱風乾燥機(温度:180℃)で45分間加熱表面架橋処理した。 加熱処理後、得られた吸水性樹脂粒子を目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで粉砕することで、表面が架橋された吸水性樹脂粒子を得た。

    得られた表面が架橋された吸水性樹脂粒子100重量部に対して、硫酸アルミニウム27重量%水溶液(酸化アルミニウム換算で8重量%)0.80重量部、乳酸ナトリウム60重量%水溶液0.134重量部、および、プロピレングリコール0.016重量部からなる混合液を添加した。 添加後、無風条件下、60℃で1時間乾燥した。 次いで、得られた粒子を目開き850μmのJIS標準篩に通過させて、吸水性樹脂粉末(9)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(9)の諸物性を表4に示す。

    [比較例11]
    比較例3で得られた比較吸水性樹脂粉末(3)を実施例9と同様に、表面架橋処理および硫酸アルミニウム水溶液、乳酸ナトリウム水溶液、プロピレングリコールからなる混合液を添加した。 その後も実施例7と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉末(11)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(11)の諸物性を表4に示す。

    [比較例12]
    比較例7で得られた比較吸水性樹脂粉末(7)を比較例11と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉末(12)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(12)の諸物性を表4に示す。

    [比較例13]
    比較例8で得られた比較吸水性樹脂粉末(8)を比較例11と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉末(13)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(13)の諸物性を表4に示す。

    表4において、上記して表面架橋した吸水性樹脂粒子の通液性能(SFC)や吸水速度(FSR)などを示している。
    本実施例9で得られたマイクロバブルを導入したFSR=0.36の吸水性樹脂粒子(9)と、マイクロバブルを導入していないFSR=0.29の比較吸水性樹脂(11)とはSFCが同等である。 また、公知の吸水速度の向上手法を用いた比較吸水性樹脂粒子(12)、(13)では、本発明の方法に比べて通液性能(SFC)が大きく低下する。

    吸水速度と通液性は一般に相反するが、本発明でマイクロバブルを導入することが通液性能を低下させずに、FSRを向上できる技術であることが分かる。

    [実施例10]
    実施例6において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.01gとした以外は、実施例6と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)453μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(10)を得た。 得られた吸水性樹脂粒子(10)の諸物性を表5に示す。

    [実施例11]
    実施例10において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.02gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)469μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(11)を得た。 得られた吸水性樹脂粉末(11)の諸物性を表5に示す。

    [比較例14]
    実施例10において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.03gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)450μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(14)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(14)の諸物性を表5に示す。

    [比較例15]
    実施例10において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.10gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、固形分95重量%、重量平均粒子径(D50)466μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(15)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(15)の諸物性を表5に示す。

    [比較例16]
    実施例10において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.20gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)448μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(16)を得た。 得られた比較吸水性樹脂粉末(16)の諸物性を表5に示す。

    表5において、界面活性剤使用量と表面張力との関係を示した。 (図1に界面活性剤使用量と表面張力との関係をプロットした。)表5および図1より、紙オムツ等に使用するのに適した表面張力を得るには、界面活性剤使用量を300ppm以下とすることが好ましく、100ppm未満とすることがより好ましいことが分かる。

    なお、表5において、吸水性樹脂粉末(10)の嵩比重は0.68であり、吸水速度指数は92であり、本願方法で吸水速度指数90以上の吸水性樹脂が得られることも分かる。

    [実施例12]
    実施例1におけるマイクロバブル(窒素ガス)導入前の単量体水溶液900mLを、容量1000mLのメスシリンダーを用いて測り取った。 次いで、該単量体水溶液に、実施例1と同様のマイクロバブル発生装置を用いて、0.25〜0.30Mpaの絶対圧力下で5分間マイクロバブル(窒素ガス)を導入し、体積変化を確認した。

    その結果、マイクロバブルを導入した後の単量体水溶液の体積は910mLとなり、該単量体水溶液の膨張倍率は1.01倍であった。

    [比較例17]
    比較例5における炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)添加前の単量体水溶液500mLを、容量1000mLのメスシリンダーを用いて測り取った。 次いで、該単量体水溶液に、比較例5と同様、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)2.2gを添加した。 炭酸水素ナトリウム添加後、該単量体水溶液の体積は590mLとなり、該単量体水溶液の膨張倍率は1.18倍であった。

    また、本発明の製造方法では、吸水速度指数が90以上、特に120以上の吸水性樹脂粉末を提供し、かかる表面架橋前、特に表面架橋後に吸水性樹脂は高SFCでかつ耐衝撃性にも優れ、また吸収性物品(特に紙オムツ)でも高性能を示す。

    図2(実施例1の重合前の単量体水溶液)から分かるように、窒素ガスのマイクロバブルが導入された単量体水溶液は容器壁や液表面に大きな気泡が殆ど見られず、極小の気泡が溶液中に分散できている。 それに対して、図3(比較例5の重合前の単量体水溶液)では発生した気泡径が大きい様子が容器壁や液表面を見ると分かる。 こうした大きい気泡径が単量体水溶液中に存在することで、得られる吸水性樹脂粉末の嵩比重の低下や、耐ダメージ性の低下、さらには通液性(SFC)の低下が生じてしまうのである。

    図4(実施例2)では、図5(比較例2)には見られない吸水性樹脂粉末中の気泡が多く導入できていることが明らかである。

    [実施例13]攪拌レイノルズ数41400
    アクリル酸、水酸化ナトリウム、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量487)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および水を原料とするモノマー水溶液を連続的に調整した。 アクリル酸、水酸化ナトリウム、および水については、モノマー濃度が45重量%、アクリル酸の中和率が70モル%となるように調整し、ポリエチレングリコールジアクリレートはアクリル酸に対して0.05モル%、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンはアクリル酸に対して0.01重量%をモノマー水溶液に加えた。 調整後、モノマー水溶液の温度を95±1℃にコントロールした。

    上記モノマー水溶液は、0.5m /hrで窒素ガスを注入した後、8500kg/hrで連続的にスタティック型ミキサーに供給した。 すなわち、前記流量のモノマー水溶液と窒素ガスとが混合された状態で、スタティック型ミキサーに供給した。

    該スタティック型ミキサーは、口径37mmの配管に、全長342mm、直径32mmの6回転のひねりを有するエレメントを挿入したものである。 該ミキサーにおいて、モノマー水溶液と窒素ガスとが攪拌され、モノマー水溶液中に窒素ガスが懸濁した状態となる。 この時、窒素ガスの気泡の直径は100μmであった。 また、攪拌レイノルズ数は、上記の計算式により、41400と計算される(ρ:1160、μ:0.001)。

    その後、該懸濁モノマー水溶液に、過硫酸ナトリウム水溶液をアクリル酸に対して0.12モル/モルの割合で混合し、モノマー混合液とした。

    該モノマー混合液は、連続的にベルト重合装置に供給して、重合を行い、帯状の重合ゲルを得た。 なお、本実施例で使用したベルト重合装置は、表面がフッ素樹脂コーティングされたエンドレスベルトを有し、UVランプ、及び蒸発水を回収するための吸気配管が設置された重合装置である。

    次いで、上記重合装置で得られた帯状の重合ゲルを、連続的にミートチョッパーで解砕し、180℃の熱風で乾燥した。 乾燥物をロールミルで粉砕してベースポリマーを得た。 さらに、ベースポリマーに対してプロピレングリコール0.56重量%、1,4−ブタンジオール0.34重量%、及び水3重量%とからなる溶液と、このベースポリマーとを攪拌機で混合し、パドルドライヤーで熱処理し、パドルクーラーで冷却して、吸水性樹脂(13)を得た。 本発明の吸水性樹脂(13)の物性値は表6に示した通りである。

    [比較例18]攪拌レイノルズ数2280
    上記実施例13(攪拌レイノルズ数41400)について、攪拌レイノルズ数が10000未満の比較例を下記に示す。

    すなわち、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液が5.83g/s、アクリル酸が7.24g/s、30重量%ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量487)水溶液が0.0287g/s、20重量%アクリル酸水溶液の97.4重量部に2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノンの0.989重量部、45重量%ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液の1.08重量部を溶解した溶液が0.0893g/s、水が3.32g/sとなるように、連続的にモノマー水溶液を作製した。 このモノマー水溶液の温度を95±1℃にコントロールした。

    上記モノマー水溶液を、管径6mmの配管に、長さ18.6mm、直径6mmで1.5回転のひねりが加わったエレメントを挿入したスタティック型ミキサーに供給し、攪拌した。 その後、エレメント最後部から下流側へ3cmの位置で、2重量%過硫酸ナトリウム水溶液を0.151g/sで混合し、モノマー混合液とした。 このときの攪拌レイノルズ数は2280と計算される(ρ=1160、μ=0.001)。

    該モノマー混合液は、連続的にベルト重合装置に供給、重合を行い、帯状の重合ゲルを得た。 なお、本比較例で使用したベルト重合装置は、表面がフッ素樹脂コーティングされたエンドレスベルトを有し、UVランプ、及び蒸発水を回収するための吸気配管が設置された、長さ3.8m、幅60cmの重合装置である。

    次いで、上記重合装置で得られた帯状の重合ゲルを、連続的にミートチョッパーで解砕し、180℃の熱風で乾燥した。 乾燥物をロールミルで粉砕してベースポリマーを得た。 さらに、ベースポリマーに対してプロピレングリコール0.56重量%、1,4−ブタンジオール0.34重量%、及び水3重量%とからなる溶液と、このベースポリマーとを攪拌機で混合し、パドルドライヤーで熱処理し、パドルクーラーで冷却して、吸水性樹脂(a)を得た。 吸水性樹脂(a)の物性値は表6に示した通りである。

    米国特許第7265190号(対応の日本特許2004−155963号)は不活性ガスの混合による発泡重合を開示しない。 そして、当該特許の実施例に開示の攪拌レイノルズ数2280(最大)では重合開始剤の混合には効果を示すが、発泡重合による吸収速度の高速化では不十分なことは比較例18でも示される。

    [実施例14]マイクロバブル発生装置の使用 アクリル酸、水酸化ナトリウム(48.5重量%水溶液)、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量487)(30重量%水溶液)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および水を原料とするモノマー水溶液を連続的に調整した。 アクリル酸、水酸化ナトリウム、および水については、モノマー濃度が45重量%、アクリル酸の中和率が70モル%となるように調整し、ポリエチレングリコールジアクリレートはアクリル酸に対して0.05モル%、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンはアクリル酸に対して0.01重量%をモノマー水溶液に加えた。 調整後、モノマー水溶液の温度を95±1℃にコントロールした。 なお、アクリル酸、水酸化ナトリウム、および水については、事前に窒素を吹き込み、脱酸素操作を行った。

    上記モノマー水溶液は、60L/hrで窒素ガスを注入した後、1200kg/hrで連続的にOHRラインミキサーに供給した。 すなわち、モノマー水溶液と窒素ガスとが混合された状態で、OHRラインミキサーに供給した。

    該OHRラインミキサーとして、株式会社OHR流体工学研究所製のMX−E10型を用いた。 該ミキサーにおいて、モノマー水溶液と窒素ガスとが攪拌され、モノマー水溶液中に窒素ガスが懸濁した状態となり、外観上は真っ白に濁った液となる。 この時、窒素ガスの気泡の直径は15μmであった。 なお、カタログには、OHRラインミキサーは静的混合機の1種であり、内部にきのこ状突起物が配してあり、液とガスとがこの突起物に衝突することを繰り返す過程で、マイクロバブルが形成されるとの記載がある。

    その後、該懸濁モノマー水溶液に、過硫酸ナトリウム水溶液をアクリル酸に対して0.12モル/モルの割合で混合し、モノマー混合液とした。

    該モノマー混合液は、連続的にベルト重合装置に供給、重合を行い、帯状の重合ゲルを得た。 なお、本実施例で使用したベルト重合装置は、表面がフッ素樹脂コーティングされたエンドレスベルトを有し、UVランプ、及び蒸発水を回収するための吸気配管が設置された重合装置である。

    次いで、上記重合装置で得られた帯状の重合ゲルを、連続的にミートチョッパーで解砕し、180℃の熱風で乾燥した。 乾燥物をロールミルで粉砕してベースポリマーを得た。 さらに、ベースポリマーに対してプロピレングリコール0.56重量%、1,4−ブタンジオール0.34重量%、及び水3重量%とからなる溶液と、このベースポリマーとを攪拌機で混合し、パドルドライヤーで熱処理し、パドルクーラーで冷却して、吸水性樹脂(14)を得た。 本発明の吸水性樹脂(14)の物性値は表6に示した通りである。

    [比較例19]
    マイクロバブル発生装置としてOHRラインミキサーを使用しなかった以外は、実施例14と同様の操作を行い、吸水性樹脂(b)を得た。 この比較吸水性樹脂(b)の物性値は表6に示した通りである。

    [実施例15]
    モノマー水溶液に窒素ガスを注入した後、連続的にスタティック型ミキサーに供給した後に、図6に従い、(A)で不活性ガスを連続混合してモノマー水溶液の循環を行うことで脱泡を行ったこと以外は、実施例13と同様の操作を行い、吸水性樹脂(15)を得た。 得られた吸水性樹脂(15)の吸水速度は、0.39[g/g/sec]となった。

    表6に示されるように、実施例13(攪拌レイノルズ数41400/FSR=0.33)と比較例18(攪拌レイノルズ数2280/FSR=0.22)との対比、実施例14(マイクロバブル発生装置の使用あり/FSR=0.45)と比較例19(同なし/FSR=0.16)との対比からも明らかであるが、本発明の方法では無加圧下吸水倍率(CRC)および加圧下吸水倍率(AAP)を維持ないし向上させたうえで、吸水速度(FSR)が格段に向上する。

    従来、吸水速度と加圧下吸水倍率も相反する傾向にあったが、この評価結果からも、吸水速度向上方法において、本発明の優位性は明らかである。

    なお、上述した本発明は、以下のように言い換えることもできる。

    (1)気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液得る工程と、必要により上記単量体水溶液を脱泡する工程と、界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記単量体水溶液を重合する工程と、得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程とを含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
    上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程における気体の溶解および/または分散方法が、下記の(a)〜(c)
    (a)単量体水溶液および気体の加圧による方法 (b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成による方法 (c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合による方法から選ばれる少なくともひとつの方法であることを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。

    (2)上記単量体水溶液を脱泡する工程を必須に含む、(1)記載の製造方法。

    (3)気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、必要により上記単量体水溶液を脱泡する工程と、界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記気泡を含有する単量体水溶液を重合する工程と、得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程とを含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
    上記脱泡工程を経た気泡含有単量体水溶液を重合することを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。

    (4)上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、気体が過飽和で含有されてなる、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (5)上記アクリル酸系単量体水溶液を得るにおいて、気体が不活性ガスである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (6)上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、単量体水溶液および気体からなる気液混合物がせん断処理されてなる、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (7)上記脱泡工程において、脱泡時間が10〜3600秒である、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (8)上記脱泡工程において、循環式タンクへ循環気流を含む単量体水溶液を循環させる、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (9)上記脱泡工程において、循環式タンク上部の空間の酸素濃度が1容積%以上である、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (10)上記脱泡工程が気流を含む単量体水溶液を循環させる工程であり、循環ラインから少なくとも一部の単量体水溶液を中和工程または中和工程を経て重合工程に供給し、重合させる、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (11)上記単量体水溶液を重合する工程において、単量体の膨張倍率が、アクリル酸系単量体水溶液を得る工程がない場合に比べて1.1倍以下である、(1)〜(10)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (12)上記単量体水溶液を重合する工程において、単量体水溶液中に体積平均径100μm以下のマイクロバブルまたはナノバブルを含有する、(1)〜(11)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (13)上記単量体水溶液を重合する工程において、重合開始温度が40℃以上である、(1)〜(12)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (14)上記単量体水溶液を重合する工程において、重合時の最高到達温度が100℃以上である、(1)〜(13)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (15)上記単量体水溶液を重合する工程において、アクリル酸系単量体の濃度が40重量%以上である、(1)〜(14)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (16)さらに乾燥後に、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末を表面架橋する工程を含む、(1)〜(15)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (17)下記式 (吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm ])×(重量平均粒子径[μm])
    (ただし、上記FSRは、生理食塩水への20倍膨潤での吸水速度を示す。)
    で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm ]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末である、(1)〜(15)のいずれか1項に記載の製造方法。

    (18)下記式 (吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm ])×(重量平均粒子径[μm])
    で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm ]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末を表面架橋することを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。

    (19)下記式 (吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm ])×(重量平均粒子径[μm])
    で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm ]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末。

    (20)SFC(生理食塩水流れ誘導性)が50[×10 −7・cm ・s・g −1 ]以上である、(19)記載の吸水性樹脂粉末。

    また、以下のように言い換えることもできる。

    (1)モノマーに対して0〜0.003重量%の界面活性剤の存在下で、モノマー水溶液と不活性ガスとを攪拌レイノルズ数10000以上で混合し、不活性ガスの微細な気泡をモノマー水溶液に懸濁させてモノマーを重合させることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。

    (2)モノマーに対して0〜0.003重量%の界面活性剤の存在下で、モノマー水溶液と不活性ガスとをマイクロバブル発生装置で混合し、不活性ガスの微細な気泡をモノマー水溶液に懸濁させてモノマーを重合させることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。

    (3)数平均直径10〜500μmを有する不活性ガスの微細な気泡を、モノマー水溶液中に懸濁させた状態で、重合を開始させることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。

    (4)界面活性剤不存在下で、不活性ガスの微細な気泡を、モノマー水溶液に懸濁させてモノマーを重合させる(1)〜(3)に記載の製造方法。

    (5)モノマー水溶液を500kg/hr以上で、使用する(1)〜(4)に記載の製造方法。

    本発明により得られた吸水性樹脂粉末を紙オムツ等の薄型吸収体に高濃度で使用した場合、従来の吸収体に比べて従来にない優れた吸収能(優れた吸水速度特性)を提供することができる。

    QQ群二维码
    意见反馈