Excellent affinity between the inorganic filler and polymer

申请号 JP2005516243 申请日 2004-12-15 公开(公告)号 JP4739025B2 公开(公告)日 2011-08-03
申请人 旭化成ケミカルズ株式会社; 发明人 裕一 北川; 春夫 山田;
摘要
权利要求
  • ( A ) アルカリ金属− 炭素結合またはアルカリ土類金属― 炭素結合を有する炭化水素系重合体;
    ( B ) アルカリ金属− 窒素結合またはアルカリ土類金属−窒素結合を有する低分子化合物、アルカリ金属− 炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物から選ばれる少なくとも1 種の分子量20 0 0 以下の低分子化合物; 及び ( C ) 多官能性変性剤を 該( A ) 金属−炭素結合のモル数(a)、該(B)の金属− 窒素結合と金属− 炭素結合の合計モル数(b)、該( C ) の多官能性変性剤の官能基のモル数(c)として、(a+ b ) / c が0 . 0 5 〜 1 . 5 の割合で、
    反応させて得られる、少なくとも1 つの変性基を有し、重量平均分子量が10 , 0 0 0以上の変性炭化水素系重合体であって、該変性基の窒素原子モル数( N ) と、多官能変性剤( C ) の官能基モル数( c ) の比( N / c ) が1 / 2 を超える変性炭化水素系重合体。
  • 炭化水素系重合体(A)が、リチウム−炭素結合を有する共役ジエン系重合体である請求項1に記載の変性炭化水素系重合体。
  • 多官能性変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である多官能変性剤である請求項1または2に記載の変性炭化水素系重合体。
  • 低分子化合物(B)が、リチウム−窒素結合またはマグネシウム−窒素結合を有する低分子化合物、リチウム−炭素結合またはマグネシウム−炭素結合を有するアミノ基含有炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の変性炭化水素系重合体。
  • 炭化水素系重合体(A)が、末端にリチウム-炭素結合を有する共役ジエン系重合体であり、
    低分子化合物(B)が、リチウム−窒素結合またはマグネシウム−窒素結合を有する低分子化合物、リチウム−炭素結合またはマグネシウム−炭素結合を有するアミノ基含有炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種であり、
    多官能性変性剤(C)が、分子中に官能基としてジグリシジルアミノ基を2個以上有する多官能性変性剤であり、
    N/cが1/2を越える変性基を重合体の少なくとも1つの末端に有する、請求項1に記載の変性炭化水素系重合体。
  • (A)アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する重量平均分子量10,000以上の炭化水素系重合体;
    (B)アルカリ金属−窒素結合、アルカリ土類金属−窒素結合を有する低分子化合物、アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物から選ばれる少なくとも1種の金属との結合を有する分子量2,000以下の低分子化合物;
    (C)分子量が2,000以下である多官能性変性剤を不活性溶剤中で反応させる工程からなる、変性炭化水素系重合体の製造方法。
  • 炭化水素系重合体(A)がリチウム−炭素結合を有する共役ジエン系重合体である請求項6に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。
  • 多官能性変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である多官能変性剤である請求項6または7に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。
  • 低分子化合物(B)が、リチウム−窒素結合またはマグネシウム−窒素結合を有する低分子化合物、リチウム−炭素結合またはマグネシウム−炭素結合を有するアミノ基含有炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。
  • 炭化水素系重合体(A)が、末端にリチウム-炭素結合を有するリビングアニオン重合によって得られる共役ジエン系重合体であり、
    低分子化合物(B)が、リチウム−窒素結合またはマグネシウム−窒素結合を有する低分子化合物、リチウム−炭素結合またはマグネシウム−炭素結合を有するアミノ基含有炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種であり、
    多官能性変性剤(C)が、分子中に官能基としてジグリシジルアミノ基を2個以上有する多官能性変性剤である、請求項6に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。
  • 請求項1に記載の変性炭化水素系重合体100重量部、および 該変性炭化水素系重合体に分散した、シリカ系無機充填剤、金属酸化物及び金属水酸化物からなる群から選ばれる充填剤1〜200部からなる組成物。
  • 充填剤が、50nm以下の一次粒子径を有する合成ケイ酸である請求項11に記載の組成物。
  • 請求項1に記載の変性炭化水素系重合体100重量部と50nm以下の一次粒子径を有する合成ケイ酸を120℃以上250℃以下の温度で混練し、該変性炭化水素系重合体に該合成ケイ酸を分散させる工程からなる組成物の製造方法。
  • 請求項5に記載の変性炭化水素系重合体100重量部にシリカ系無機充填剤1〜100重量部、カーボンブラック1〜50重量部を配合した加硫ゴム用組成物。
  • 说明书全文

    本発明は、無機充填剤との親和性に優れた官能基を有する炭化素系重合体、その製造方法ならびにその無機充填剤との組成物に関するものである。

    従来から有機高分子材料と無機充填剤の組み合わせによる優れた樹脂組成物あるいはエラストマー組成物が得られている。
    例えば、特許文献1には、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とのブロック共重合体に無水マレイン酸を付加して無機充填材との親和性を改善した組成物が開示されている。

    また、特許文献2には、ゴム状重合体の活性末端と、分子中にエポキシ基をもつ多官能性化合物を反応させて得られる変性重合体のシリカ組成物が開示されている。

    特公昭62−54140号公報

    WO01−23467号公報

    しかしながら有機高分子材料と無機充填剤の組み合わせにおいて、その混練方法、条件によって、その分散状態に大きな差が生じ、常に一定した高性能な性能を得ることは工業的に大きな課題であった。

    本発明者らは、前記課題を解決するため、金属−炭素結合を有する高分子量炭化水素系重合体に、多官能低分子化合物を反応させる際に、同時に、金属−窒素結合を有する低分子量化合物、またはアミノ基および金属−炭素結合を有する低分子化合物を反応させる方法によって、特定の構造の変性基を重合体に導入すること、および複数の高分子量炭化水素系重合体が多官能低分子化合物と反応することによる多分子によるカップリング反応を抑え、高分子量炭化水素系重合体に均等に官能基変性がおこなわれることを見出し、そのゆえ有機高分子材料と無機充填剤の組み合わせにおいて、常に一定した高性能な性能を得ることを見出し、本発明をなすに至ったのである。

    すなわち、本発明は次のものである。
    (1)( A ) アルカリ金属− 炭素結合またはアルカリ土類金属― 炭素結合を有する炭化水素系重合体;
    ( B ) アルカリ金属− 窒素結合またはアルカリ土類金属−窒素結合を有する低分子化合物、アルカリ金属− 炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物から選ばれる少なくとも1 種の分子量20 0 0 以下の低分子化合物; 及び ( C ) 多官能性変性剤を該( A ) 金属−炭素結合のモル数(a)、該(B)の金属− 窒素結合と金属− 炭素結合の合計モル数(b)、該( C ) の多官能性変性剤の官能基のモル数(c)として、(a+ b ) / c が0 . 0 5 〜 1 . 5 の割合で、
    反応させて得られる、少なくとも1 つの変性基を有し、重量平均分子量が10 , 0 0 0以上の変性炭化水素系重合体であって、該変性基の窒素原子モル数( N ) と、多官能変性剤( C ) の官能基モル数( c ) の比( N / c ) が1 / 2 を超える変性炭化水素系重合体。

    (2) 炭化水素系重合体(A)が、リチウム−炭素結合を有する共役ジエン系重合体である上記(1)に記載の変性炭化水素系重合体。
    (3) 多官能性変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である多官能変性剤である上記(1)または(2)に記載の変性炭化水素系重合体。

    (4) 低分子化合物(B)が、リチウム−窒素結合またはマグネシウム−窒素結合を有する低分子化合物、リチウム−炭素結合またはマグネシウム−炭素結合を有するアミノ基含有炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種である上記(1)に記載の変性炭化水素系重合体。

    (5) 炭化水素系重合体(A)が、末端にリチウム-炭素結合を有する共役ジエン系重合体であり、
    低分子化合物(B)が、リチウム−窒素結合またはマグネシウム−窒素結合を有する低分子化合物、リチウム−炭素結合またはマグネシウム−炭素結合を有するアミノ基含有炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種であり、
    多官能性変性剤(C)が、分子中に官能基としてジグリシジルアミノ基を2個以上有する多官能性変性剤であり、
    N/cが1/2を越える変性基を重合体の少なくとも1つの末端に有する、上記(1)に記載の変性炭化水素系重合体。

    (6) (A)アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する重量平均分子量10,000以上の炭化水素系重合体;
    (B)アルカリ金属−窒素結合、アルカリ土類金属−窒素結合を有する低分子化合物、アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物から選ばれる少なくとも1種の金属との結合を有する分子量2,000以下の低分子化合物;
    (C)分子量が2,000以下である多官能性変性剤を不活性溶剤中で反応させる工程からなる、変性炭化水素系重合体の製造方法。

    (7) 炭化水素系重合体(A)がリチウム−炭素結合を有する共役ジエン系重合体である上記(6)に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。
    (8) 多官能性変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である多官能変性剤である上記(6)または(7)に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。

    (9) 低分子化合物(B)が、リチウム−窒素結合またはマグネシウム−窒素結合を有する低分子化合物、リチウム−炭素結合またはマグネシウム−炭素結合を有するアミノ基含有炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種である上記(6)に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。

    (10) 炭化水素系重合体(A)が、末端にリチウム-炭素結合を有するリビングアニオン重合によって得られる共役ジエン系重合体であり、
    低分子化合物(B)が、リチウム−窒素結合またはマグネシウム−窒素結合を有する低分子化合物、リチウム−炭素結合またはマグネシウム−炭素結合を有するアミノ基含有炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種であり、
    多官能性変性剤(C)が、分子中に官能基としてジグリシジルアミノ基を2個以上有する多官能性変性剤である、上記(6)に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。

    (11) 上記(1)に記載の変性炭化水素系重合体100重量部、および 該変性炭化水素系重合体に分散した、シリカ系無機充填剤、金属酸化物及び金属水酸化物からなる群から選ばれる充填剤1〜200部からなる組成物。

    (12) 充填剤が、50nm以下の一次粒子径を有する合成ケイ酸である上記(11)に記載の組成物。
    (13) 上記(1)に記載の変性炭化水素系重合体100重量部と50nm以下の一次粒子径を有する合成ケイ酸を120℃以上250℃以下の温度で混練し、該変性炭化水素系重合体に該合成ケイ酸を分散させる工程からなる組成物の製造方法。

    (14) 上記(5)に記載の変性炭化水素系重合体100重量部にシリカ系無機充填剤1〜100重量部、カーボンブラック1〜50重量部を配合した加硫ゴム用組成物。

    本発明によって得られる官能基を有する炭化水素系重合体は、無機充填剤との組み合わせにおいて、マイルドで広い混練条件下で一定して高性能な高分子−無機材料組成物を提供することができる。 具体的には、混練時の粘度が高すぎず、適度なトルクでトラブルなく混練作業がおこなわれ、得られた配合組成物において高分子量炭化水素系重合体マトリクス中で無機充填剤が均一かつ微細な粒子径で分散するものであり、その結果、高度な性能が発現されるのである。

    さらに具体的には、高分子量炭化水素系重合体がゴム状重合体の場合、シリカ、カーボンブラックなどの無機充填剤が均一に分散し、加硫ゴムとした場合に、タイヤトレッド用途においては従来以上の低転がり抵抗性と耐ウエットスキッド性のバランスの向上および耐摩耗性の向上、さらに、強度の向上、高温でのモジュラス低下率の改善等がはかられ、タイヤ用ゴム、防振ゴム、履物用などに好適な組成物となる。

    また、高分子量炭化水素系重合体が熱可塑性エラストマーの場合、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物などの無機充填剤が均一に分散し、従来以上の強度の向上、難燃性の向上、伸びの向上、透明性の向上などの効果が得られ、アスファルト組成物にもちいられると、骨材把握性が向上するなどの効果が得られる。

    さらに、高分子量炭化水素系重合体が熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性樹脂である場合、他の極性樹脂との配合組成物において、相容性の向上とともに均一、微細な分散が得られる。

    図1は実施例及び比較例の変性共重合体組成物の低温と高温でのTanδバランスを示すグラフである。

    図2は実施例及び比較例の変性共重合体組成物の低温と高温でのTanδバランスを示すグラフである。

    いずれも本発明の変性共重合体組成物の改良効果を示したものである。

    本発明について、以下具体的に説明する。
    本発明のアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する炭化水素系重合体(A)としては、アルカリ金属系開始剤及び/またはアルカリ土類金属系開始剤により重合され、アニオン重合反応で成長して得られる、片末端または複数の末端にアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する炭化水素系重合体が挙げられる。 また、他の方法で重合された炭化水素系重合体であって、公知の方法によってアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を導入したものでもよい。

    アルカリ金属系開始剤またはアルカリ土類金属系開始剤としては、重合開始の能がある全てのアルカリ金属系開始剤またはアルカリ土類金属系開始剤が使用可能であり、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物が好ましくもちいられる。 有機アルカリ金属化合物としては、特に有機リチウム化合物が好適である。 有機リチウム化合物としては、低分子量のもの、可溶化したオリゴマーの有機リチウム化合物、また、1分子中に単独のリチウムを有するもの、1分子中に複数のリチウムを有するもの、有機基とリチウムの結合様式において、炭素−リチウム結合からなるもの、窒素−リチウム結合からなるもの、錫−リチウム結合からなるもの等を含む。 具体的には、モノ有機リチウム化合物としてn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどが、多官能有機リチウム化合物として1,4−ジリチオブタン、sec−ブチルリチウムとジイソプロペニルベンゼンの反応物、1,3,5−トリリチオベンゼン、n−ブチルリチウムと1,3−ブタジエンおよびジビニルベンゼンの反応物、n−ブチルリチウムとポリアセチレン化合物の反応物などが、さらに、3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−(N,N−ジエチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−モルフォリノ−1−プロピルリチウム、3−イミダゾ−ル−1−プロピルリチウム、n−ブチルリチウムとp−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)スチレンの反応物、及びこれらを用いブタジエン、イソプレン、スチレンなどを重合した低分子オリゴマーなどのアミノ基含有炭化水素化リチウム、また、窒素−リチウム結合からなる化合物としてジメチルアミノリチウム、ジヘキシルアミノリチウム、ジイソプロピルアミノリチウム、ヘキサメチレンイミノリチウムなどが挙げられる。 さらに、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用することができる。

    特に好ましいものは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムである。 これらの有機リチウム化合物は1種のみならず2種以上の混合物としても用いられる。
    他の有機アルカリ金属化合物としては有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機ルビジウム化合物、有機セシウム化合物などがある。 具体的には、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンがあり、その他にリチウム、ナトリウム、カリウムのアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、アミドなどが用いられる、また他の有機金属化合物と併用して用いられることもある。

    アルカリ土類金属系開始剤としては、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機ストロンチウム化合物が代表的なものである。 具体的には、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、プロピルブチルマグネシウムなどが挙げられる。 また、アルカリ土類金属のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、アミドなどの化合物が用いられる、これらの有機アルカリ土類金属化合物は有機アルカリ金属系開始剤その他有機金属化合物と併用して用いられることもある。

    本発明の製造方法において重合体(A)がアルカリ金属系開始剤及び、またはアルカリ土類金属系開始剤により重合され、アニオン重合反応で成長して得られる重合体である場合、重合は回分式あるいは連続式等の重合様式でおこなわれる。

    本発明の製造方法において重合体(A)がリビングアニオン重合による成長反応によって得られる活性末端を有する重合体であることが好ましい。 重合体を形成するための単量体としてはリビングアニオン重合によって重合可能なあらゆるものを用いることができる。 例えば、スチレン、α―メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなどがあり、それらは単独で、または共重合で用いられる。

    また、得られた活性金属を有する重合体は、直ちに次の反応に用いられることが好ましい。 特に活性リチウムを有する重合体を高温で放置すると、リチウムハイドライドを生成して活性金属が減少する恐れがある。 その場合は、重合体の変性率が低下する場合がある。 好ましくは、実質的にモノマーが消費された時点で直ちに次の反応に供すべきであり、少なくとも80℃以上では5分以内に次の反応に供すべきである。

    他の方法で重合された炭化水素系重合体であって、公知の方法でアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を導入したものとしては、炭化水素系重合体の主鎖の途中部位または末端部位に可溶性有機アルカリ金属化合物または可溶性アルカリ土類金属化合物を反応させる方法などによって得られる。 この方法によればハイシスポリブタジエン、EPDMなどにアルカリ金属−炭素結合を導入することが可能である。 具体的には、二重結合を分子中の主鎖中、側鎖中、末端部等のどこかに有する炭化水素系重合体の不活性溶剤による溶液に、有機アルカリ金属化合物および/または有機アルカリ土類金属化合物、さらに好ましくは活性化剤としてエーテル類、3級アミン類から選ばれる極性物質を併用し、好ましくは30〜200℃の温度で反応させる方法によっておこなわれる。 さらに、sec−ブチルリチウムにN,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンを用い、50〜100℃で反応させてリチウム化した重合体を、直ちに用いることがより好ましい。

    本発明において炭化水素系重合体としてはアルカリ金属−炭素結合、アルカリ土類金属―炭素結合を失活させない重合体であればいずれでも良い。 炭化水素系重合体としては好適には分子中に二重結合を有する炭化水素系重合体あるいは飽和炭化水素系重合体が用いられる。
    分子中に二重結合を有する炭化水素系重合体としては、共役二重結合化合物の重合体および2種以上の共役二重結合からなる共重合体、共役二重結合化合物と該共役二重結合化合物と共重合可能な単量体との共重合体がもちいられる。 具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体が挙げられる。 ブタジエン単位、イソプレン単位の結合様式は1,4結合、1,2または3,4結合のいずれでもよい。 また、共重合体の結合様式としてはランダム結合、ブロック結合のいずれでもよい。 重合体の構造としては、直鎖状重合体、分岐状重合体のいずれでもよい。 分岐状重合体としては、放射型(ラジアル型)やくし型などがある。 分子量分布は狭いものから広いものまであり、いずれでもよい。 具体的にはMw/Mnで示される分子量分布において通常1.0から10の範囲でもちいられる。

    ランダム共重合体としては、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体が挙げられる。 ランダム共重合体としては統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、テーパ−状に組成に分布があるテーパーランダム共重合体などがある。 また、単一モノマー組成のホモ重合体であっても、そのモノマー結合様式、すなわち1,4結合と1,2結合などにより均一な組成の重合体であったり、組成に分布があったり、ブロック状であったり、種々の構造が可能である。

    ブロック結合としてはホモポリマーブロックが結合したもの、ランダムポリマーからなるブロックが結合したもの、テーパーランダムポリマーからなるブロックが結合したものなどがある。 また、これらのブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、4個からなる4型ブロック共重合体などがある。 ブロックポリマーの例としてスチレン等のビニル芳香族化合物からなるブロックをSで、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物からなるブロック及び/又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体からなるブロックをBであらわすと、S−B2型ブロック共重合体、S−B−S3型ブロック共重合体、S−B−S−B4型ブロック共重合体、(S−B)m−Xであらわされるブロック共重合体などがある。

    より一般的には、例えば次の一般式で表されるような構造が挙げられる。 (S−B)n、 S−(B−S)n、B−(S−B)n、 [(S−B)n]m−X、 [(B−S)n−B]m−X、 [(S−B)n−S]m−X
    (上式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。ブロックBがビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の場合、ブロックB中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。またブロックBには、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。またブロックBには、ビニル芳香族炭化水素含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。又、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は同一でも、異なっていても良い。また、Xに結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)本発明において、上記一般式で表される構造を有するものの任意の混合物でも良い。

    他の炭化水素系重合体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPM,EPDM、ポリブテンが挙げられる。 また、これらの重合体において、主モノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。 例えば、ポリスチレンにあっては、スチレンと共重合可能な他のモノマー、具体的には、p−メチルスチレン、α―メチルスチレン、ジフェニルエチレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、炭素数1〜10のアルコールとメタアクリル酸またはアクリル酸のエステル、アクリロニトリルが挙げられる。

    以上のように種々の構造の重合体が使用可能であるが、官能基によって最適な性能を導き出すために必要な、当該分野での最適な重合体構造であることが好ましい。
    本発明のアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する高分子量の炭化水素系重合体(A)としては、重量平均分子量10,000以上の重合体である。 分子量が高いと各種性能が発現しやすい。 一方、分子量が高すぎると混練し難くなり、性能が発現されにくい場合がある。 一般的には、分子量が高く単独で混練しにくいものはオイル等の可塑化物質を加えて粘度を下げてもちいられる。 重量平均分子量は混練性のため200万以下が好ましい。 好ましい分子量は、3万〜150万、更に好ましくは5万〜120万である。 なお、分子量はGPCで測定された標準ポリスチレン換算の重量平均分子量として表される。

    本発明において、炭化水素系重合体の変性基としては、低分子化合物(B)及び多官能性変性剤(C)に由来する酸素、硫黄、燐、窒素、ハロゲンなどの官能基を有する化合物の残基である。

    本発明において、低分子化合物(B)としてアルカリ金属−窒素結合またはアルカリ土類金属−窒素結合を有する低分子化合物、アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物から選ばれる少なくとも1種の分子量2000以下の低分子化合物がもちいられる。

    アルカリ金属−窒素結合またはアルカリ土類金属−窒素結合を有する低分子化合物としては、低分子量2級アミンにアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物から選択される金属類を反応させて得られるものが好ましい。 具体的には、ジメチルアミノリチウム、ジヘキシルアミノリチウム、ジイソプロピルアミノリチウム、ヘキサメチレンイミノリチウムなどが挙げられる。 さらに、ビスジイソプロピルアミノマグネシウム、および、これらの混合物が好適に用いられる。 また、低分子量アミド化合物とアルカリ金属化合物の反応物としてもアルカリ金属−窒素結合を有する化合物を得ることが出来る。 具体的には、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンとn−ブチルリチウムの反応物などである。

    アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物としては、例えば、3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−(N,N−ジエチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−モルフォリノ−1−プロピルリチウム、3−イミダゾ−ル−1−プロピルリチウム、ビス−3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−プロピルマグネシウム、ビス−3−モルフォリノ−1−プロピルマグネシウム、ビス−3−イミダゾ−ル−1−プロピルマグネシウムなど、また、アルカリ金属−窒素結合またはアルカリ土類金属−窒素結合を有する低分子化合物またはアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物を用いブタジエン、イソプレン、スチレンなどを重合したの低分子オリゴマーなどのアミノ基含有炭化水素化リチウムが、また、n−ブチルリチウムとp−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)スチレンの反応物などがある。

    これらの低分子化合物(B)としては、総炭素数4〜140の炭化水素基または、アルカリ金属−窒素結合に対して不活性な基を有する総炭素数4〜140の炭化水素基が結合したアミノ基又はイミノ基の金属置換化合物が好ましい。 より好ましくは炭素数が20以下である。

    本発明において、低分子化合物(B)の分子量は2,000以下である。 好ましくは1,000以下である。 分子量が大きすぎると本発明の効果が得られない。 より好ましくは分子量は300以下である。

    本発明において、低分子化合物(C)として、分子量が2,000以下である多官能性変性剤がもちいられる。 多官能性変性剤としては好適にはエポキシ基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、酸無水物基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル其、エピチオ基、チオカルボニル基、チオカルボン酸エステル基、ジチオカルボン酸エステル基、チオカルボン酸アミド基、イミノ基、エチレンイミン基、ハロゲン基、アルコキシシラン基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、共役ジエン基、アリールビニル基から選択される1種以上の官能基を有する化合物がもちいられる。

    なお、官能基のモル数の計算において、エポキシ基、カルボニル基、エピチオ基、チオカルボニル基、イミノ基、エチレンイミン基、ハロゲン基、共役ジエン基、アリールビニル基、アルコキシシラン基の1個当たりのアルコキシ基は1官能として、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、酸無水物基、チオカルボン酸エステル基、ジチオカルボン酸エステル基、チオカルボン酸アミド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基は2官能として、リン酸エステル基、亜リン酸エステル基は3官能として計算されるべきである。 本発明において用いられる多官能性変性剤(C)としては、1分子中の上記の官能基の官能数の和が2以上のものである。 好ましくは官能数の和が3以上の多官能性変性剤である。

    具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ジグリシジル化ビスフェノールAなどの芳香族化合物のポリグリシジルエーテル、1,4―ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエンなどのポリエポキシ化合物、4,4'−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4'−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミンなどのエポキシ基含有3級アミン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、エポキシ変成シリコーン、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油などのエポキシ基と他の官能基を有する化合物が挙げられる。

    また、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、アルキルトリフェノキシシランなどのアルコキシシラン化合物、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリブトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールなどのイミノ基とアルコキシシラン基を有する化合物が挙げられる。

    また、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエタンジイソ シアネート、1,3,5−ベンゼントリイソシアネートなどのイソシアネート化合物が挙げられる。

    さらに、例えば、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、モノメチルトリクロロケイ素、 モノエチルトリクロロケイ素、モノブチルトリクロロケイ素、モノヘキシルトリクロロケイ素、モノメチルトリブロモケイ素、ビストリクロロシリルエタンなどのハロゲン化シラン化合物、モノクロロトリメトキシシラン、モノブロモトリメトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジブロモジメトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリブロモメトキシシランなどのアルコキシハロゲン化シラン化合物などが挙げられる。

    さらに、例えば、 四塩化錫、四臭化錫、モノメチルトリクロロ錫、モノエチルトリクロロ錫、モノブチルトリクロロ錫、モノフェニルトリクロロ錫、ビストリクロロスタニルエタンなどのハロゲン化錫化合物、トリクロルフォスフィン、トリブロモフォスフィンなどのポリハロゲン化燐化合物など、さらに、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなどの亜リン酸エステル化合物、トリメチルフォスフェイト、トリエチルフォスフェイトなどのリン酸エステル化合物が挙げられる。 また、例えば、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチルなどのカルボン酸エステル化合物、無水ピロメリット酸、スチレン−無水マレイン酸共重合体などの酸無水物基含有化合物、アジピン酸ビスジメチルアミド、ポリメタクリル酸ジメチルアミドなどのアミド基含有化合物、4,4'−ジアセチルベンゾフェノン、3−アセチルプロポキシトリメトキシシランなどのカルボニル基含有化合物、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼンオリゴマーなどのアリールビニル基含有化合物、トリクロロプロパン、トリブロモプロパン、テトラクロロブタン、3−クロロプロポキシトリメトキシシランなどのハロゲン化炭化水素基含有化合物が挙げられる。 これらは、単独でも、複数種を組み合わせてもちいてもよい。

    好ましい多官能性変性剤(C)としては、ポリエポキシ化合物である。 特に好ましくは、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である多官能変性剤である。 また、さらに好ましくは1分子中にジグリシジルアミノ基を2個または3個有する化合物である。 例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどである。

    本発明において、多官能性変性剤(C)の分子量は2,000以下である。 好ましくは1,000以下である。 分子量が大きすぎると本発明の効果が得られない。
    本発明において、不活性溶剤としては、高分子量の炭化水素系重合体(A)、低分子化合物(B)、及び多官能性変性剤(C)の反応を阻害せず、重合体(A)を十分溶解する溶剤が好ましく、炭化水素系溶剤が好ましい。 重合体(A)がアルカリ金属系開始剤及び、またはアルカリ土類金属系開始剤により重合され、アニオン重合反応で成長して得られるものである場合は、重合の際の溶媒が好ましくもちいられる。 好適には、n-ブタン、n-ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどでの1種または混合物が好ましい。 また、1−ブテン、シス−2−ブテン、2−ヘキセンなど有機金属化合物との反応性が低い不飽和炭化水素が混入していてもよい。 不活性溶剤の使用量としては、通常、高分子量の炭化水素系重合体(A)が1重量%から50重量%の濃度になる量である。

    高分子量の炭化水素系重合体(A)の重合反応に際して、アルカリ金属系開始剤またはアルカリ土類金属系開始剤をもちいる場合、重合反応を活性化し、モノマー単位の結合様式を変更、あるいは共重合に際してはモノマーの反応性比を変更するために極性化合物を加えてもよい。 また、高分子量の炭化水素系重合体(A)、低分子化合物(B)及び多官能性変性剤(C)の反応に際して、同様に極性化合物を加えてもよい。 極性化合物としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンなどのようなエーテル類、テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどのような第三級アミン化合物、カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラートなどのようなアルカリ金属アルコキシド化合物、トリフェニルホスフィンなどのようなホスフィン化合物等がもちいられる。 これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。 極性化合物の使用量は、目的と効果の程度に応じて選択される。 通常、開始剤1モルに対して通常0.01〜100モルである。

    本発明の変性炭化水素系重合体の重量平均分子量は10,000以上である。 好ましくは200万以下であり、より好ましくは3万〜150万である。
    本発明において、重合体に導入される特定の構造の変性基としては、(N)を変性基の窒素原子モル数、(c)を多官能変性剤の官能基モル数として、(N)/(c)が1/2を超える変性基である。 その場合、本発明の特徴である無機充填剤との親和性に優れた重合体が得られる。

    本発明において、変性基を有する炭化水素系重合体の構造は、一般式:P−(C)−NR またはP−(C)−R−NR で表される(ここで、P:炭化水素系重合体、(C):多官能性変性剤の残基、R,R ,R :炭化水素基)。

    変性基の多官能性変性剤(C)としてポリエポキシ化合物を用いる場合、得られる変性基を有する炭化水素系重合体の構造は、一般式:P−CR −C(OH)R −R −C(OH)R −R−NR で表される(ここで、P:炭化水素系重合体、R,R ,R ,R :炭化水素基またはO,S,Nから選ばれる置換基を有する炭化水素基、R ,R ,R ,R :水素、炭化水素基またはO,S,Nから選ばれる置換基を有する炭化水素基から選ばれる化合物基)。

    特に好ましくは、低分子化合物(B)として、有機アミノリチウムをもちい、多官能性変性剤(C)として分子中に官能基としてジグリシジルアミノ基を2個以上有する多官能性変性剤をもちいる場合であり、特に本発明の優れた効果が得られる。 その場合は、>N−CH −CH(OH)−N<なる官能基が変性基の中に生成する。 加えて、グリシジルアミノ基も存在し、さらにこれらの官能基を含む変性基を介して複数の重合体(A)が結合し、その一部は分岐構造をもって、結合するものとなる。

    本発明において、高分子量の炭化水素系重合体(A)、低分子化合物(B)及び多官能性変性剤(C)の反応において、(A)の金属−炭素結合aモル、(B)の金属−窒素結合と金属−炭素結合の合計bモル、(C)の多官能性変性剤の官能基cモルとして、(a+b)/cが0.05〜1.5が好ましく、a:bが1:0.05〜20である条件で反応させることが好ましい。 この範囲内において本発明の優れた効果がさらに発揮される。 (a+b)/cは、より好ましくは0.2〜1の範囲であり、最も好ましくは0.3〜0.9であり、これらの範囲において、さらに効果が発揮される。 また、a:bは、より好ましくは1:0.5〜8、最も好ましくは1:1〜4であり、これらの範囲において、さらに効果が発揮される。 (a+b)/cが1.5を越える場合は、未反応の(A)および(B)が増加する。 なお、(C)の多官能性変性剤の官能基cモルの計算は、(C)の多官能性変性剤の使用モル量に1分子当たりの官能数を乗じた値を官能基cモルとしてもちいるものとする。

    本発明において、好ましくはa:cが1:1.2〜10であり、さらに好ましくはa:cが1:1.8〜6である。 その範囲において、本発明の優れた効果がさらに発揮される。

    本発明に用いる高分子量の炭化水素系重合体(A)としては、その重合体分子全体の60重量%を超える分子がアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有するものであることが好ましい。 その場合は、得られる重合体分子の60重量%を超える分子に本発明の官能基成分を含有する、優れた変性重合体が得られる。 より好ましくは高分子量の炭化水素系重合体(A)の分子70重量%以上に金属結合を有するものをもちい、官能基成分を得られる分子の70重量%以上に含有する重合体である。 官能基成分を有する重合体の定量方法としては、官能基含有の変性成分と非変性成分を分離できるクロマトグラフィーによって測定可能である。 このクロマトグラフィーの方法としては、官能基成分を吸着するシリカ等の極性物質を充填剤としたGPCカラムを使用し、非吸着成分の内部標準を比較にもちいて定量する方法が好適である。

    本発明において、高分子量の炭化水素系重合体(A)の不活性溶媒による溶液、低分子化合物(B)および多官能性変性剤(C)を同時に添加して反応させても、順番に反応させても良い。 好ましくは、高分子量の炭化水素系重合体(A)の不活性溶媒による溶液に、低分子化合物(B)またはその不活性溶媒による溶液を加えて、均一に攪拌した混合物に、多官能性変性剤(C)またはその不活性溶媒による溶液を、所定の比率で瞬時に攪拌して反応させることが好ましい。 反応は、回分式または連続式でおこなわれる。

    重合体(A)が、分子中に二重結合を有する炭化水素系重合体である場合、得られた、官能基を有する炭化水素系重合体を、さらに不活性溶剤中で水素化することによって、二重結合の全部または一部を飽和炭化水素に変換することができる。 具体的には、重合体(A)が、共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物から選ばれる1種以上の単量体成分から成る重合体である場合、二重結合の全部または一部を飽和炭化水素に変換することができる。 その場合、耐熱性、耐候性が向上し、高温で加工する場合の製品の劣化を防止することができ、得られる製品は、自動車用途など耐候性が必要な用途で優れた性能を発揮する。

    より具体的には、本発明において、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。 耐熱性、熱安定性及び耐候性の良好な熱収縮性フィルムを得る場合、重合体中の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の70%を超える、好ましくは75%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上が水添されていることが推奨される。 また、熱安定性の良好な重合体を得る場合、重合体中の水素添加率は3〜70%、さらに好ましくは5〜65%、特に好ましくは10〜60%にすることが好ましい。 なお、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、水添率を50%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下にすることが好ましい。 水添添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。

    水素化の方法としては公知の方法が利用できる。 特に好適なのは、触媒の存在下に、重合体溶液に気体状水素を吹き込む方法で水素化する方法である。 触媒としては、不均一系触媒として、貴金属を多孔質無機物質に担持させた触媒、ニッケル、コバルト等の塩を可溶化し有機アルミニウム等と反応させた触媒、チタノセン等のメタロセンを用いた触媒が用いられる。 このうち、特にマイルドな水素化条件を選択できるチタノセン触媒が好適である。 また、芳香族基の水素化は貴金属の担持触媒をもちいることによって可能である。

    水添触媒の具体例としては、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。 例えば、水添触媒として特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53851号公報、特公平2-9041号公報、特開平8-109219号公報に記載された水添触媒を使用することができる。 好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物があげられる。

    本発明において、変性基を有する重合体の不活性溶剤の溶液に、必要により反応停止剤を添加することができる。 反応停止剤としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノ−ルなどのアルコール類、ステアリン酸、ラウリン酸、オクタン酸などの有機酸、水などが使用される。

    本発明において、必要により、重合体に含まれる金属類を脱灰することができる。 通常、脱灰の方法としては水、有機酸、無機酸、過酸化水素等の酸化剤などを重合体溶液に接触させて金属類を抽出し、その後、水層を分離する方法で行なわれる。

    本発明において、変性基を有する重合体の不活性溶剤の溶液に、酸化防止剤を添加することができる。 酸化防止剤としては、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などがある。

    重合体溶液から重合体を取得する方法は、 公知の方法でおこなうことができる。 例えば、スチームストリピングなどで溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水および乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機などで脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法などが採用できる。

    本発明の特定の変性基を有する重合体は、無機充填剤との親和性に優れており、無機充填剤を分散する際に、その効果を発揮する。 また、無機化合物との接着においても効果がある。

    無機充填剤としては、天然シリカ、湿式法または乾式法で製造した合成シリカ、カオリン、マイカ、タルク、クレイ、モンモリロナイト、ゼオライト、天然ケイ酸塩、ガラス粉、グラスファイバー、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、種々の表面処理炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の金属硫酸塩、アルミニウム、ブロンズ等の金属粉、カーボンブラック等である。

    本発明の特定の変性基を有する重合体と無機充填剤の組成物を製造する方法としては、本発明の特定の変性基を有する重合体に無機充填剤を予め混合したマスターバッチを利用することが可能である。 マスターバッチの製造方法としては、溶液中で混合する方法やミキサーによる混練などの方法が可能である。
    本発明において、本発明の変性基を有する重合体に、シリカ系無機充填剤、金属酸化物及び金属水酸化物からなる群から選ばれる充填剤を分散する場合に、より優れた効果が得られる。

    好ましくは本発明の方法で得られた変性基を有する炭化水素系重合体100重量部にシリカ系無機充填剤、金属酸化物及び金属水酸化物からなる群から選ばれる充填剤1〜200部を分散させた組成物である。

    特に好ましくはシリカ系無機充填剤として一次粒子径が50nm以下である合成ケイ酸をもちいる場合である。 その場合に、充填材は短時間の混練によって速やかに均一かつ微粒子状に、再現性よく分散し、得られる物性は極めて好ましいものとなる。

    さらに好ましい方法としては、本発明の方法で得られた変性基を有する炭化水素系重合体100重量部に一次粒子径が50nm以下である合成ケイ酸を分散させるに際し、120℃以上250℃以下の温度で混練する方法である。

    本発明について、好ましい形態のひとつとして共役ジエン系ゴムの場合について、さらに詳細に説明する。
    モノマーとして共役ジエンまたは、共役ジエンとスチレンの組み合わせを用い、有機モノリチウム化合物を開始剤として不活性溶媒中でリビング共役ジエンホモ重合体または共役ジエンとスチレンのリビングランダム共重合体を得る。 これを重合体(A)とする。 重合体(A)は、ガラス転移温度が−100℃から−20℃の範囲であり、共役ジエン部の1,4−結合対1,2または3,4結合の比率は10%〜90%対90%〜10%である。 共重合体のスチレンの連鎖分布は完全ランダム構造である。 すなわち、単離スチレン(スチレンが1個単位)が全結合スチレンの50重量%以上で、かつ連鎖スチレン(スチレンが8個以上の連なりとなっている)が全結合スチレンの5重量%以下、好ましくは2.5重量%以下である。 リビング重合体(A)の溶液に、好ましくはリチウムアミド化合物を(B)として加え、攪拌して均一に混合する。 さらに、3官能以上、好ましくは4〜6官能のポリエポキシ化合物を(C)として所定量加え、瞬時に攪拌して反応させる。 得られた重合体は、末端に水酸基、アミノ基、エポキシ基を任意の比率で有する重合体となる。

    重合体の分子量は用途、目的に応じて、コントロールされる。 通常、加硫ゴム用の原料ゴムとしては、ムーニー粘度(100℃ 1+4分)20〜100にコントロールされる。 ムーニー粘度が高い場合は、通常伸展油で油展してこの範囲とする。 伸展油としては、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油、さらに、Kautschuk Gummi Kunststoffe52(12)799(1999)に示されるTDAE、MESなどの伸展油が好ましくもちいられ、これらは、IP346に規定されるポリサイクリックアロマ成分3重量%以下のオイルである。 伸展油の使用量は任意であるが、通常は、重合体100重量部に対し、10〜50重量部である。 一般的には20〜37.5重量部もちいられる。

    タイヤ、防振ゴムなどの自動車部品、靴等の加硫ゴム用途にもちいられる場合は、補強剤としては、シリカ系無機充填剤が好適にもちいられ、特に一次粒子径が50nm以下である合成ケイ酸が好適である。 合成ケイ酸としては、湿式シリカ、乾式シリカが好ましくもちいられる。

    補強剤としては、また、カーボンブラックをもちいることができる。 カーボンブラックとしては、特に制限されず、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。 これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましい。

    本発明において、本発明の重合体100重量部に1〜100重量部のシリカ系粒子、0〜50重量部のカーボンブラックを配合した加硫ゴム組成物が好ましい。 さらに好ましくは本発明の重合体100重量部に1〜100重量部のシリカ系粒子、1〜50重量部のカーボンブラックを配合した加硫ゴム組成物である。

    本発明の効果として、無機充填剤の分散性がよく、安定して加硫ゴムの性能が優れる。 具体的には、無機充填剤特にシリカが均一に分散し、加硫ゴムとした場合に、貯蔵弾性率のひずみ依存性が少ないゴムが得られる。 タイヤトレッド用途においては従来以上の低転がり抵抗性と耐ウエットスキッド性のバランスの向上および耐摩耗性の向上、さらに、強度の向上、高温でのモジュラス低下率の改善等がはかられ、タイヤ用ゴム、防振ゴム、履物用などに好適な組成物となる。

    本発明において、本発明の重合体は単独で、または必要に応じて他のゴムと混合して用いられる。 他のゴムと混合して用いられる場合、本発明の重合体の割合が過度に少ないと、本発明の改質の効果が十分に発揮されず好ましくない。 他のゴムとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン結合単位部分の1,2−ビニル結合量10〜80%)、高トランスSBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、低シスポリブタジエンゴム、高シスポリブタジエンゴム、高トランスポリブタジエンゴム(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、溶液重合ランダムスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、乳化重合ランダムスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、およびポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体などのようなブロック共重合体等が挙げられる。 これらは、要求特性に応じて適宜選択できる。

    ゴム成分として本発明の重合体と他のゴムがもちいられる場合における各成分の割合は、 重量比で、通常10〜95:90〜5、好ましくは20〜90:80〜10、より好ましくは30〜80:70〜20の範囲である。 他のゴムとしては、本発明以外のあらゆるゴムがもちい得るが、好ましくは、ハイシスポリブタジエンゴム、溶液重合SBR、溶液重合SIBR、乳化重合SBR、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、VCR、IIR、ハロゲン化IIR、などである。

    ゴム配合剤としては、例えば、さらにシランカップリング剤、補強剤、加硫剤、加硫 促進剤、加硫助剤、オイルなどを用いることができる。
    シランカップリング剤としては、分子中にアルコキシシランを有し、さらにポリスルフィド結合を有する化合物が好ましくもちいられる。 例えばビス−(3−トリエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィド(TESPT)、ビス−(3−トリエトキシシリル−プロピル)ジスルフィドなどがもちいられる。

    加硫剤としては、特に限定はないが、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などのような硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄などのようなハロゲン化硫黄、ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどのような有機過酸化物などが挙げられる。 これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄が特に好ましい。


    加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、 通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。

    加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チオウレア系、チアゾール系、ジチオカルバミン酸系、キサントゲン酸系加硫促進剤などが挙げられる。 加硫促進剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。

    加硫助剤としては、特に制限はないが、例えばステアリン酸や酸化亜鉛などを用いることができる。
    オイルとしては、例えば、アロマ系、ナフテン系、パラフィン系、シリコーン系などの伸展油が用途に応じて選択される。 伸展油の使用量は、ゴム成分100重量部あたり、通常1〜150重量部、好ましくは2〜100重量部、更に好ましくは3〜60重量部の範囲である。 オイルの使用量がこの範囲にある時には、補強剤の分散効果、
    引張強度、耐摩耗性、耐熱性等が高値にバランスされる。

    本発明のゴムをもちいる組成物は、上記成分以外に、常法に従って、炭酸カルシウム、タルク等のような充填剤、アミン系やフェノール系の老化防止剤、オゾン劣化防止剤、シランカップリング剤、ジエチレングリコールなどの活性剤、加工助剤、粘着付与剤、ワックス等のその他の配合剤をそれぞれ必要量含有することができる。

    本発明のゴムをもちいる組成物は、上記各成分を公知のゴム用混練機械、例えばロール、バンバリーミキサー等を用いて混合することによって製造される。


    以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。


    共重合体(試料A〜試料J)の調製 内容積10リットルで、撹拌機及びジャケットを付けた温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、不純物を除去したブタジエン625g、スチレン225g、シクロヘキサン5500g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを1.10gを反応器へ入れ、反応器内温を30℃に保持した。 重合開始剤としてn−ブチルリチウムを9.14mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。 反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇をはじめた。 重合開始剤添加後8分〜13分にわたって、ブタジエン50gを10g/分の速度で供給した。 最終的な反応器内の温度は77℃に達した。 重合反応終了後、ジイソプロピルリチウムアミドを9.14mmolを添加した。 1分間混合した後に、反応器に4官能ポリエポキシ化合物であるテトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを9.14mmolgを添加し、75℃で5分間攪拌して変性反応を実施した。 この重合体溶液に酸化防止剤(BHT)を1.8gを添加後、溶媒を除去し、変性成分を有するスチレン−ブタジエン共重合体(試料A)を得た。

    試料Aを分析した結果、結合スチレン量は25重量%、結合ブタジエン量は75%であり、重合体のムーニー粘度は70であった。 赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造の1,2−結合量は61%であり、GPC測定によるポリスチレン換算分子量は重量平均分子量(Mw)は59.4万であり、数平均分子量(Mn)は40.2万であり分子量分布はトリモーダルで、(Mw/Mn)は1.48であった。 またシリカ系吸着カラムを用いるGPCから求めた変性率は84%であった。

    さらに、試料Aを得たのと同様な方法で重合を実施し、n−ブチルリチウムの量、極性物質の量、及び重合終了時に添加するアルカリ金属−窒素結合化合物、多官能変性剤の種類及び反応に用いた量の異なる各種スチレン−ブタジエン共重合体を得た。 各種共重合体のうち、(試料J)はアルカリ金属−窒素結合化合物として、ヘキサメチレンイミンとnーブチルリチウムとの等モル反応物を、又、(試料I)はDMI(ジメチルイミダゾリジノン)とn−ブチルリチウムとの当モル反応物を反応後、速やかに重合器内に添加してその後、多官能変性剤を添加して試料を調製した。 調製結果を表1に示した。

    表1における試料のうち本願発明の共重合体は試料(A),(C),(D),(E),(F),(G),(I),(J)であり、試料(B),(H)はアルカリ(或いはアルカリ土類金属)−窒素結合を有する化合物を使用しなかった、本発明外の共重合体である。

    共重合体(試料K〜試料T)の調製 内容積10リットルで、底部に入り口、頂部に出口を有し、攪拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを反応器として2基直列に連結、又、2基の反応器の中間にスタテックミキサーを設置した。 予め不純物を除去したブタジエンを13.0g/分、スチレンを7g/分、n−ヘキサンを97.6g/分で混合し、この混合溶液を活性アルミナを充填した脱水用カラムを経由し、更に不純物を除去するために、1基目反応器に入る直前で0.003g/分(0.0469mmol)の速度でn−ブチルリチウムとスタテックミキサ−で混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給し、更に、極性物質として2,2ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.015g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.009g/分(0.141mmol)の速度で1基目反応器底部へ供給し、反応器内温度を85℃に保持した。 1基目頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目の反応器へ供給した。 1基目の反応器の状態が安定した状態で1基目の出口からサンプリングし、活性点を失活させるに充分なエタノ−ルを添加し、安定剤を加えて溶媒を除去し、ムーニー粘度を測定した。 得られた、変性前の共重合体のムーニー粘度は85であった。 なを、1基目出口での重合率は約100%に達していた。 2基目の反応器の温度を80℃に保ち、4官能ポリエポキシ化合物であるテトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを0.071mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、変性反応を実施した。 この変性重合体溶液に酸化防止剤(BHT)を0.05g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了させ、その後溶媒を除去し、変性共重合体を得た。 この変性後の共重合体のムーニー粘度は165であった。 更にこの共重合体溶液にアロマチック油(ジャパンエナジー(株)製X−140)を重合体100重量部あたり37.5重量部添加し、油展共重合体(試料L)を得た。 得られた油展共重合体のムーニー粘度は73であった。 又、試料(L)を分析した結果、この共重合体の結合スチレン量は35%であり、結合ブタジエンは65%であった。 赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分の1、2−結合量は38%であった。 THFを溶媒としたGPC測定による重量平均分子量(Mw)は90万であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.00であった。 変性共重合体の変性率は82%であった。

    高分子量、即ちムーニー粘度の高いものをあらかじめ油展することは、得られた共重合体の製造を容易にするため、或いは、その後の加工において、充填剤との混合性等の加工性向上や充填剤の分散向上による性能の向上に効果があり、従来からゴム工業界ではひろく、応用されている。

    試料(L)を得たのち、1基目と2基目の中間に設置したスタテックミキサー中に連続的に流れる共重合体溶液にジイソプロピルリチウムアミドを0.0469mmol/分の速度で添加、スタテックミキサー内で混合した。 2基目におけるテトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンによる変性反応は継続した。 反応が安定した状態でこの変性重合体溶液に酸化防止剤(BHT)を連続的に添加し、変性反応を終了させ、その後溶媒を除去し、変性共重合体を得た。 この変性後の共重合体のムーニー粘度は144であった。 更にこの共重合体溶液にアロマチック油(ジャパンエナジー(株)製X−140)を重合体100重量部あたり37.5重量部添加し、油展共重合体(試料K)を得た。 得られた油展共重合体のムーニー粘度は63であった。 結合スチレン量、ブタジエン部分の1,2−結合量は試料(L)と同一であった。 THFを溶媒としたGPC測定による重量平均分子量(Mw)は80万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.90であった。 変性共重合体の変性率は81%であった。 ジイソプロピルリチウムアミドの添加によって低分子量のアミノ基が変性剤と結合し、カップリング反応が抑制されて結果としてムーニー粘度の低下が生じたことがわかる。

    さらに、試料(K)を得たのと同様な方法で重合及び変性反応を実施し、スチレン量、ブタジエン量、n−ブチルリチウムの量、極性物質の量、及び重合終了時に添加するアルカリ金属−窒素結合化合物、多官能変性剤の種類及び反応に用いた量の異なる各種スチレン−ブタジエン共重合体を得た。 各種共重合体のうち、(試料Q)はアルカリ金属−窒素結合化合物として、ヘキサメチレンイミンとnーブチルリチウムとの等モル反応物を、又、(試料T)はDMI(ジメチルイミダゾリジノン)とn−ブチルリチウムとの当モル反応物を反応後、速やかにスタテックミキサーに添加してその後、多官能変性剤を添加して試料を調製した。 調製結果を表2に示した。

    表2における試料のうち本願発明の共重合体は試料(K),(M),(N),(O),(P),(Q),(R),(T)であり、試料(L),(S)は本願発明外である。

    共重合体(U〜Z)の調製 1)内容積10Lの温度調整用のジャケット及び攪拌機付きオートクレーブ内を充分に窒素置換し活性アルミナで処理したシクロヘキサン4.5kgとスチレン0.25kg及び1.3−ブタジエン0.75kgを装填した。 攪拌しつつ52℃まで昇温し、n−ブチルリチウム11.875mmol(20%シクロヘキサン溶液、以下同)を添加して重合を開始した。 重合温度は91℃に達し、その2分後テトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを11.875mmol含有するシクロヘキサン溶液を添加して10分間変性反応をした。 変性剤添加時の重合転化率は約100%であった。 このようにして得られた変性ゴム重合溶液に活性リチウム分解剤としてメタノールを10ml添加、混合しその後安定剤としてBHTを2g添加して混合し、脱溶媒して固形変性ゴム(試料U)を得た。

    重合途中に数点のモノマー転化率測定サンプルをオートクレーブからサンプリングして転化率、結合スチレン量、スチレンブロック量を分析し、転化率約80%の時点で生成している共重合体は結合スチレン9.5重量%、スチレンブロック0.0重量%のランダム共重合体である事を確認した。

    次に、最終的に得られた変性ゴムの分析を行なった結果、結合スチレン量が25.0重量%、スチレンブロック量が15.5重量%、ビニル結合量が13.2%であった。 このことから最終的に得られた変性ゴムの重合体末端の約20%が、スチレンの結合量が漸増して末端スチレンブロックを形成するテーパー型ブロック共重合体であることを確認した。

    GPC測定で、変性前の共重合体分子量が19.1万であり、スチレンブロック分析サンプルの1分子変性スチレンブロックの分子量が22100、共重合体の変性率が74%であった。

    2分子カップリング変性と3分子カップリング変性及び4分子カップリング変性の合計であるカップリング率は61%であり、共重合体の1分子変性が13%であった。
    また、この変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は72であった。

    またスチレンブロックのGPCでは1分子変性スチレンブロックの他に2倍分子量スチレンブロック、3倍分子量スチレンブロックが合計56%存在し、スチレンブロック末端が確実に変性剤のテトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンと結合している事が確認された。

    (試料U)を得たのと同じ方法で重合を実施し、重合転化率が約100に達したのを確認後、重合器内にジイソプロピルリチウムアミドを11.875mmolを添加した。 1分間混合した後に、反応器にテトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを11.875mmolを添加し10分間変性反応をした。 その後(試料U)を得たのと全く同じ操作を実施し、(試料V)を得た。 変性率は74%であり、ムーニー粘度は52であった。 (試料U)と比較して、GPC測定から、4分子或いは3分子カップリングが極めて少ないことが認められた。

    2)(試料U)と同様の調製方法において、スチレン量とブタジエン量、n−ブチルリチウム量、テトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサン量を変え、重合開始前にテトラヒドロフラン16gを添加した以外は(試料U)を得たのと同じ方法で(試料W)を得た。 重合途中のモノマー転化率測定と結合スチレン分析及びスチレンブロックの分析により重合体前半の約70%が結合スチレン30.9%、スチレンブロックが0%の共重合体を形成していることを確認した。 重合反応終了後のスチレンブロック分析により、重合体の後半約30%がテーパー型末端スチレンブロック共重合体であることが確認された。 変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は73であった。

    (試料X)は(試料W)と同様に重合し、重合終了後、重合器内にジイソプロピルリチウムアミドを8.333mmolを添加後、テトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを6.284mmolを添加し10分間変性反応させて得られた変性共重合体である。 変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は62であった。 ジイソプロピルリチウムアミドの添加によってリチウムアミドの低分子量の残基のアミノ基が変性剤と結合し、結果としてムーニー粘度の低下が生じたことがわかる。

    3)内容積10Lの温度調整用のジャケット及び攪拌機付きオートクレーブ内を充分に窒素置換し活性アルミナで処理したシクロヘキサン4.5kgと一段目モノマーの1.3−ブタジエン0.90kgを装填した。 攪拌しつつ56℃まで昇温し、n−ブチルリチウム14.844mmolを含有するシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。 重合温度が82℃となりブタジエンの重合を終了した。 次に第二段目モノマーのスチレン0.10kgを添加して重合した。 重合温度は最高89℃に達し、その5分後テトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを7.422mmol添加して8分間変性反応をした。 変性剤添加時の重合転化率は約100%であった。 このようにして得られた変性ゴム重合溶液に活性リチウム分解剤としてメタノールを10ml添加、混合しその後安定剤としてBHTを2g添加して混合し、脱溶媒して(試料Y)を得た。

    この変性ゴムの分析値は結合スチレン量が10.0重量%、スチレンブロック量が9.9重量%、ビニル結合量が13.3%であった。 GPC測定で、変性前の共重合体分子量が12.2万、スチレンブロックの分子量が9500、共重合体の変性率が86%であった。

    2分子カップリング変性と3分子カップリング変性及び4分子カップリング変性の合計であるカップリング率は79%であり、共重合体の1分子変性が7%であった。 また、この変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は60であった。

    (試料Z)は(試料Y)と同様に重合し、重合終了後、重合器内にジイソプロピルリチウムアミドを7.422mmolを添加後、テトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを7.422mmolを添加し10分間変性反応させて得られた変性共重合体である。 変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は54であった。 ジイソプロピルリチウムアミドの添加によってリチウムアミドの低分子量の残基のアミノ基が変性剤と結合し、結果としてムーニー粘度の低下が生じたことがわかる。

    表3における試料のうち本願発明の共重合体は試料(V),(X),(Z)であり、試料(U),(W),(Y)は本願発明外である。

    なお試料の分析は以下に示す方法によっておこなった。
    (1)結合スチレン量 試料をクロロホルム溶液とし、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(wt%)を測定した。
    (2)スチレンブロック量 酸化オスミウム分解法で求めた(3)ブタジエン部分のミクロ構造 試料を二硫化炭素溶液とし、溶液セルを用いて赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して所定の吸光度よりハンプトンの方法の計算式に従いブタジエン部分のミクロ構造を求めた。
    (4)ムーニー粘度 JIS K 6300によって100℃、予熱1分で4分後の粘度を測定。
    (5)分子量及び分子量分布 ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム3本連結して用いたGPCを使用してクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレン使用して検量線により分子量及び分子量分布を計算。 溶媒はテトラヒドロフランを使用した。
    (6)変性率 シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用し、試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液に関して、上記5のポリスチレン系ゲル(昭和電工製:Shodex)のGPCと、シリカ系カラムGPC(デュポン社製Zorbax)の両クロマトグラムを測定し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。

    共重合体A1,A2,A3の調製 内容積10リットルで、底部に入り口、頂部に出口を有し、攪拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを反応器として2基直列に連結、又、2基の反応器の中間にスタテックミキサーを設置した。 予め不純物を除去したブタジエンを16.4g/分、スチレンを3.6g/分、n−ヘキサンを97.6g/分で混合し、この混合溶液を活性アルミナを充填した脱水用カラムを経由し、更に不純物を除去するために、1基目反応器に入る直前で0.003g/分(0.0469mmol)の速度でn−ブチルリチウムとスタテックミキサ−で混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給し、更に、極性物質として2,2ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.017g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.035g/分(0.547mmol)の速度で1基目反応器底部へ供給し、反応器内温度を85℃に保持した。 1基目頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目の反応器へ供給した。 なを、1基目出口での重合率は約100%に達していた。 2基目の反応器の温度を80℃に保ち、4官能ポリエポキシ化合物であるテトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを0.273mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、変性反応を実施した。 この変性重合体溶液に酸化防止剤(BHT)を0.05g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了させ、その後溶媒を除去し、変性共重合体を得た。 これを分析した結果、この共重合体の結合スチレン量は18%であり、結合ブタジエンは82%であった。 赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分の1、2−結合量は31%であった。 THFを溶媒としたGPC測定による重量平均分子量(Mw)は32.1万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.95であった。 変性共重合体の変性率は86%であった。 この変性共重合体に酸化防止剤を添加せず、変性共重合体溶液を水添反応器(10リットル)に7.5リットル受け入れ、後述の水添触媒を変性共重合体100重量部あたり、Tiとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃の条件下で水添反応を行い、その後、重合に使用したn−ブチルリチウムの10倍モルのメタノールを添加、更に酸化防止剤(BHT)を2gをn−ヘキサン溶液で添加、その後脱溶媒し、水添された変性共重合体(A1)を得た。 ブタジエン部分の水添率は85%であった。
    重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.469mmol/分、極性物質として2,2ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.015g/分の速度で供給した以外は(試料A1)と同じ方法で共重合体を得た後、1基目と2基目の中間に設置したスタテックミキサー中に連続的に流れる共重合体溶液にジイソプロピルリチウムアミドを0.469mmol/分の速度で添加、スタテックミキサー内で混合した。 2基目におけるテトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンによる変性反応は0.469mmol/分の速度で実施した。 反応が安定した状態でこの変性重合体溶液に酸化防止剤(BHT)を連続的に添加し、変性反応を終了させ、その後溶媒を除去し、変性共重合体を得た。 この変性共重合体の結合スチレン量、ブタジエン部分の1,2−結合量は試料(A1)と同一であった。 重量平均分子量(Mw)は28.5万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.89であった。 変性共重合体の変性率は85%であった。 この変性共重合体を試料(A1)を得たのと同じ方法で水添し、脱溶媒を実施し、水添率83%の水添された変性共重合体(A2)を得た。

    (試料A3)は重合に使用するn−ブチルリチウムと極性物質の量を変えて重合し、変性反応を実施せず、(試料A1及び試料A2)を得たのと同じ方法で水添し、脱溶媒して得られた水添された非変性共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は33.9万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.80、水添率は82%であった。 調製結果を表4に示した。

    本願発明の水添変性共重合体は試料(A2)であり、試料(A1),(A3)は本願発明外である。

    尚、水添触媒の調製、ブタジエン部分の水添率の測定は以下の方法で実施した。
    (1)水添触媒の調製 窒素置換した反応容器に乾燥及び精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、充分に撹拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ水添触媒を得た。
    (2)水添率の測定 核磁気共鳴装置(ドイツ国、BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。


    実施例1〜9及び比較例1〜3
    表1に示す試料(試料A〜試料J)を原料ゴムとして、表5に示す配合を用い下記の混練方法でゴム配合物を得た。 実施例1〜8,比較例1〜2は試料単独で、実施例9及び比較例3はゴム分として(試料A)及び(試料B)を75重量部、ポリブタジエンゴム25重量部の配合で実施した。
    [混練方法]
    外部より循環水による温度制御装置を付属した密閉混練機(内容量1.7リットル)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数66/77rpmの条件で、原料ゴム、充填材(シリカおよびカーボンブラック)、有機シランカップリング剤、アロマチックオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。 この際、密閉混合機の温度を制御し、排出温度(配合物)は155〜160℃でゴム組成物を得た。

    ついで、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。 この場合も、混合機の温度制御により排出温度(配合物)を155〜160℃に調整した。

    冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を混練した。
    これを成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫し、物性を測定した。 物性測定結果を表6に示した。

    表5配合処方(配合処方−1)

    ゴム 100.0部 シリカ(Degussa社製ウルトラジルVN3) 45.0部 カーボン(東海カーボン社製シーストKH) 5.0部 シランカップリング剤(Degussa社製Si69) 4.5部 アロマチックオイル(ジャパンエナジー社製X149) 5.0部 亜鉛華 3.0部 ステアリン酸 2.0部 老化防止剤 (N-イソフ゜ロヒ゜ル-N'-フェニル-P-フェニレンシ゛アミン ) 1.0部 硫黄 1.4部 加硫促進剤(N-シクロヘキシル-2-ヘ゛ンソ゛チアシ゛ルスルフェンアミト゛) 1.0部 加硫促進剤(ジフェニルグアニジン) 1.5部





    合計 169.4部

    各物性の測定方法は以下の方法で実施した。
    (1)バウンドラバー 第2段混練り終了後の配合物約0.2グラムを約1mm状に裁断し、ハリスかご(100メッシュ金網製)へ入れ、重量を測定。 その後トルエン中に24時間浸せき後、乾燥、重量を測定し、非溶解成分を考慮し、充填剤に結合したゴムの量を計算し、最初の配合物中のゴム量に対する充填剤と結合したゴムの割合を求めた。
    (2)引張試験 JIS−K6251の引張試験法により測定した。
    (3)粘弾性特性の測定 レオメトリックス社製のアレス粘弾性試験器を使用し、ねじり方式によって周波数10Hzで測定した。

    ペイン効果(△G')は歪み0.1%から10%における最小値と最大値の差で示した。 ペイン効果が小さいほどシリカ等充填剤の分散性が良い低温のTanδの高いものほど、ウェットスキッド(グリップ)性能が優れ、高温のTanδの低いものほどヒステリシスロスが少なく、タイヤの低転がり抵抗性、即ち、低燃費性に優れる。
    (4)反発弾性の測定 JIS K6255によるリュプケ式反発弾性試験法で50℃での反発弾性を測定した。

    表6に示されるように結合スチレン量とビニル結合量の異なる実施例1〜5と比較例1,及び実施例6〜8と比較例2の結果から本発明の組成物は高温(50℃)でのTanδが比較例に比べて低く、ヒステリシスロスが小さく、タイヤの転がり抵抗を低減し、低燃費性を向上させることができる。 又、低温(0℃)Tanδと高温(50℃)Tanδのバランスも良好でありタイヤのウェットスキッド抵抗と低燃費性のバランスが優れている。

    又、高温(50℃)の反発弾性が高く高温(50℃)でのTanδの低下とよく相関している。 本願発明の効果は共重合体単独でも実施例9と比較例3に示されるように、他のゴムをブレンドした場合でも発揮される。

    比較例と比較して、弾性率が低く、かつその歪み依存性が非常に小さく、シリカの分散性が改良されていることがわかる。 この効果によって上記のタイヤの転がり抵抗を低減できるとともに、シリカ等の充填剤の分散性が要求される用途、或いは、低ヒステリシスロスを要求される全ての用途、或いは、分散性が大きく影響する耐摩耗性が要求される用途に応用できる。 用途としては、タイヤはもとより、靴用途、防振ゴム用途他工業用品用途に幅広く応用できる。

    実施例10〜18及び比較例4〜6
    表2に示す試料(試料K〜試料T)を原料ゴムとして、表7に示す配合でゴム組成物を得た。 実施例10〜17,比較例4〜5は試料単独で、実施例18及び比較例6はゴム分として(試料M)及び(試料L)を75重量部、ポリブタジエンゴム25重量部の配合で実施した。

    混練方法及び成型、加硫は実施例1〜9と全く同じ方法で実施した。 物性測定結果を表8及び9に示した。

    表7配合処方(配合処方−2)

    ゴム 100.0部 シリカ(Degussa社製ウルトラジルVN3) 63.0部 カーボン(東海カーボン社製シーストKH) 7.0部 シランカップリング剤(Degussa社製Si69) 6.3部 アロマチックオイル(ジャパンエナジー社製X149) 37.5部 亜鉛華 2.5部 ステアリン酸 1.0部 老化防止剤 (N-イソフ゜ロヒ゜ル-N'-フェニル-P-フェニレンシ゛アミン ) 2.0部 硫黄 1.1部 加硫促進剤(N-シクロヘキシル-2-ヘ゛ンソ゛チアシ゛ルスルフェンアミト゛) 1.7部 加硫促進剤(ジフェニルグアニジン) 2.0部





    合計 224.1部

    各物性の測定方法は実施例1〜9と全く同じ方法で実施した。
    実施例10〜18及び比較例4〜6は連続重合における高分子量の共重合体に油展した試料を用いて、比較的高充填剤配合で本願発明の効果を見たものである。

    表8及び表9に示されるように結合スチレン量とビニル結合量の異なる実施例10〜15と比較例4,及び実施例16〜17と比較例5の結果から本願発明の組成物は高温(50℃)でのTanδが比較例に比べて低く、ヒステリシスロスが小さく、タイヤの転がり抵抗を低減し、低燃費性を向上させることができる。 又、低温(0℃)Tanδと高温(50℃)Tanδのバランスも良好でありタイヤのウェットスキッド抵抗と低燃費性のバランスが優れている。

    又、高温(50℃)の反発弾性が高く高温(50℃)でのTanδの低下とよく相関している。 本願発明の効果は共重合体単独でも実施例18と比較例6に示されるように、他のゴムをブレンドした場合でも発揮される。

    本願発明の組成物は比較例と比較して、弾性率の歪み依存性が非常に小さく、シリカの分散性が改良されていることがわかる。 シリカの分散性の向上により、更にシリカの配合量を多くして、多種の配合、多種の用途に応用できる。 タイヤをはじめ、ベルトなど各種工業用品用途に好適である。

    実施例19〜21及び比較例7〜9
    表3に示す試料(試料U〜試料Z)を原料ゴムとして、表10に示す配合でゴム組成物を得た。

    混練方法及び成型、加硫は実施例1〜9と全く同じ方法で実施した。 物性測定結果を表11に示した。

    表10配合処方(配合処方−3)

    ゴム 100.0部 シリカ(Degussa社製ウルトラジルVN3) 40.0部
    シランカップリング剤(Degussa社製Si69) 2.0部 ナフテンオイル(Shellflex 371J) 5.0部 亜鉛華 5.0部 ステアリン酸 2.0部 老化防止剤 (スチレン化フェノール) 1.0部 硫黄 1.7部 加硫促進剤(シ゛ヘ゛ンソ゛チアシ゛ル・シ゛スルフィト゛) 1.5部 加硫促進剤(シ゛フェニルク゛アニシ゛ン) 1.5部





    合計 159.7部

    なお、粘弾性特性値及び圧縮永久歪みの測定は以下の方法で実施した。
    (1)Tanδの歪み依存性と温度依存性について 0℃、50℃、70℃のTanδをレオメトリックス社製のアレス粘弾性試験器を使用し、ねじり方式によって周波数10Hzで測定し下記式で計算した。

    歪み依存性は(50℃に於ける10%tanδ−0.1%tanδ)×100(%)/0.1%tanδで計算した数値。
    温度依存性は (0℃の3%tanδ−50℃3%tanδ)×100(%)/50℃3%tanδ で計算した数値(2)圧縮永久歪み(c−set)
    JIS−K6262の圧縮永久歪み試験法に準じて70℃−22時間の条件で測定した。
    (3)発熱性 グッドリッチ・フレクソメーターを使用、回転数1800rpm、ストローク0.225インチ、荷重55ポンド、測定開始温度50℃、20分後の温度と開始温度との差で示した。
    (4)アクロン摩耗量 耐摩耗性はアクロン摩耗試験機を使用し、荷重6ポンド、1000回転の摩耗量を測定した。

    表−11に示されるように、本願発明の共重合体はスチレンブロックを有するスチレン−ブタジエン共重合体においても優れた性能を有する。 実施例19と比較例7、実施例20と比較例8、実施例21と比較例9を比較すると、本願発明の共重合体を用いた組成物は弾性率(G')やTanδの歪み依存性が小さく、温度依存性が小さい。 又、発熱性や耐摩耗性が良好であり、更には、圧縮永久歪みが小さいなどシリカの分散性向上による優れた特性を有する。 本発明の変性ゴム組成物は、このような特性を利用し、防振ゴム用途や、シリカを配合した透明配合を含め、履き物用途に好適である。 このような優れた特性を有する本発明の変性ゴム組成物はその他工業用品等にも好適に使用できる。

    実施例22及び比較例10,11
    表4に示す試料(試料A1〜試料A3)を原料ゴムとして、表12に示す配合でゴム組成物を得た。 混練方法及び成型、加硫は実施例1〜9と全く同じ方法で実施した。 物性測定結果を表13に示した。


    表12配合処方(配合処方−4)

    ゴム 100.0部 シリカ(Degussa社製ウルトラジルVN3) 50.0部
    シランカップリング剤(Degussa社製Si69) 4.0部 パラフィンオイル(出光興産(株)製PW−380) 20.0部 亜鉛華 5.0部 ステアリン酸 1.0部
    硫黄 1.5部 加硫促進剤(テトラメチルチウラムシ゛スルフィト゛) 1.5部 加硫促進剤(2-メルカフ゜トヘ゛ンソ゛チアソ゛ール) 0.5部





    合計 183.5部

    なお、この物性評価においては下記に示す方法で物性を測定した。
    (1)圧縮永久歪み(c−set)
    JIS−K6262の圧縮永久歪み試験法に準じて100℃−70時間の条件で測定した。
    (2)加硫ゴムの接着性 JIS K−6256に準拠した180度剥離試験を行い、金属と接着したゴムの剥離強度を測定した。 プライマーは、メタロックG及びメタロックPH−50(日本国、株式会社東洋化学研究所製)を用いた。

    その他の物性測定は実施例1〜9と同じ方法で測定した。
    表13に示されるように、本願発明の水添変性共重合体は粘弾性特性における弾性率の歪み依存性が更に改良され、優れた圧縮永久歪みや反発弾性が良好であり、又金属との接着性も良好である。 これらの特性は防振ゴムやベルト、ホース、靴用途など幅広い工業用品分野に有効に使用することが出来る。

    本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。

    本出願は、2003年12月15日出願の日本特許出願(特願2003−415855)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

    本発明によって得られる官能基を有する炭化水素系重合体は、高分子量炭化水素系重合体マトリクス中で無機充填剤が均一かつ微細な粒子径で分散するものであり、その結果、高度な性能が発現されるのである。
    高分子量炭化水素系重合体がゴム状重合体の場合、シリカ、カーボンブラックなどの無機充填剤が均一に分散し、加硫ゴムとした場合に、タイヤトレッド用途においては従来以上の低転がり抵抗性と耐ウエットスキッド性のバランスの向上および耐摩耗性の向上、さらに、強度の向上、高温でのモジュラス低下率の改善等がはかられ、タイヤ用ゴム、防振ゴム、履物用などに好適な組成物となる。 また、高分子量炭化水素系重合体が熱可塑性エラストマーの場合、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物などの無機充填剤が均一に分散し、従来以上の強度の向上、難燃性の向上、伸びの向上、透明性の向上などの効果が得られ、アスファルト組成物にもちいられると、骨材把握性が向上するなどの効果が得られる。 さらに、高分子量炭化水素系重合体が熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性樹脂である場合、他の極性樹脂との配合組成物において、相容性の向上とともに均一、微細な分散が得られる。

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