シート用パッドの製造方法

申请号 JP2013255702 申请日 2013-12-11 公开(公告)号 JP6188218B2 公开(公告)日 2017-08-30
申请人 東洋ゴム工業株式会社; 株式会社タチエス; 发明人 茂木 学; 佐々木 祐; 吉川 淳平; 高野 潤; 鈴木 聖吾;
摘要
权利要求

合成樹脂製の軟質フォームの液状原料が注がれる下型の成形面に立設され上端が開口する筒状の下型隔壁に、3次元的に絡み合う複数の繊維で構成される立体網状体を、前記下型隔壁に対して前記立体網状体の側面の一部を露出させて配置する網状体配置工程と、 前記網状体配置工程により立体網状体が配置された下型に上型を被せてキャビティを形成しつつ前記立体網状体を前記キャビティ内に固定するキャビティ形成工程と、 前記キャビティ形成工程により形成されたキャビティ内で前記液状原料を発泡させて前記軟質フォームから構成されるパッド本体を成形し、前記パッド本体の厚さ方向に前記立体網状体を貫設する成形工程とを備え、 前記下型隔壁は、前記成形面に向かう高さ方向に沿って前記上端から切欠された切欠部を備えていることを特徴とするシート用パッドの製造方法。前記網状体配置工程は、前記立体網状体の厚さが2分割された分割網状体の内の一方を前記下型隔壁に挿入する下型配置工程と、 前記上型の成形面に他方の前記分割網状体を配置する上型配置工程とを備え、 前記キャビティ形成工程は、前記下型隔壁に挿入された一方の分割網状体と、前記上型に配置された他方の分割網状体とを突き合わせることを特徴とする請求項1記載のシート用パッドの製造方法。前記上型は、前記成形面に立設されると共に前記キャビティに向けて開口する筒状の上型隔壁を備え、 前記上型配置工程は、前記上型隔壁に対して前記他方の分割網状体の側面の一部を露出させて前記他方の分割網状体を配置することを特徴とする請求項2記載のシート用パッドの製造方法。前記切欠部は、前記下型隔壁の上端から前記成形面に至らない所定の長さに形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシート用パッドの製造方法。

说明书全文

本発明はシート用パッドの製造方法に関し、特に蒸れ感を抑制しつつ立体網状体をずれ難くできるシート用パッドが得られる製造方法に関するものである。

車両や船舶、航空機等の乗物に装備される座席や椅子などに使われるシート用パッドは、クッション性と共に振動吸収性が要求されるので、軟質ポリウレタンフォーム等の合成樹脂製の軟質フォームが用いられる。しかし、軟質フォームは通気性が低いので、着座者の発汗によって蒸れ感が生じ易い。そこで、軟質フォーム製のパッド本体の厚さ方向に貫通する孔部を形成し、その孔部に立体網状体を嵌め込んだシート用パッドがある(特許文献1)。特許文献1に開示される技術では、立体網状体は3次元的に絡み合う複数の繊維で構成されているので、立体網状体によってシート用パッドの厚さ方向の通気性を確保し、着座者の蒸れ感を抑制できる。

特開2012−115515号公報(特に図3)

しかしながら上述した技術では、パッド本体に貫通形成された孔部に立体網状体が嵌め込まれているだけなので、パッド本体(孔部)に対して立体網状体がずれ易く、シート用パッドの組立て作業中に孔部から立体網状体が落下したり、使用中に立体網状体がパッド本体に対して沈み込んで座り心地が悪くなったりするという問題がある。

本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、蒸れ感を抑制しつつ立体網状体をずれ難くできるシート用パッドが得られるシート用パッドの製造方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段および発明の効果

この目的を達成するために 請求項1記載のシート用パッドの製造方法によれば、合成樹脂製の軟質フォームの液状原料が注がれる下型の成形面に、上端が開口する筒状の下型隔壁が立設される。3次元的に絡み合う複数の繊維で構成される立体網状体が、網状体配置工程により、下型隔壁に対して立体網状体の側面の一部を露出させて配置される。キャビティ形成工程により、立体網状体が配置された下型に上型を被せてキャビティが形成され、立体網状体がキャビティ内に固定される。成形工程により、キャビティ内で液状原料を発泡させて軟質フォームから構成されるパッド本体が成形され、パッド本体の厚さ方向に立体網状体が貫設される。

立体網状体は、下型隔壁に対して立体網状体の側面の一部を露出させて配置されるので、露出された立体網状体の側面の一部に、軟質フォームの液状原料が接触する。その結果、液状原料が立体網状体の側面の繊維間で固化することで、立体網状体の側面とパッド本体とを接着させることができる。立体網状体の側面とパッド本体とが接着されるので、パッド本体に対して立体網状体をずれ難くできる効果がある。 下型隔壁は、成形面に向かう高さ方向に沿って上端から切欠された切欠部を備えているので、切欠部が位置する立体網状体または分割網状体(以下「立体網状体等」と称す)の側面に、発泡途中の液状原料を接触させることができる。立体網状体等の側面に液状原料を接触させ固化させることで、立体網状体等の側面とパッド本体とが接着される。よって、切欠部の大きさや数等を適宜設定することで、立体網状体等の側面とパッド本体との接着面積を適宜設定できる効果がある。

請求項2記載のシート用パッドの製造方法によれば、網状体配置工程の下型配置工程により、立体網状体の厚さが2分割された分割網状体の内の一方が、下型隔壁に挿入される。また、網状体配置工程の上型配置工程により、上型の成形面に他方の分割網状体が配置される。下型隔壁に挿入された一方の分割網状体と、上型に配置された他方の分割網状体とが、キャビティ形成工程により突き合わされるので、2つの分割網状体により厚さ方向の通気性を確保できる。分割網状体は立体網状体の厚さが2分割されており、個々の寸法を小さくできるので、請求項1の効果に加え、立体網状体(分割網状体)の取扱性を向上できる効果がある。

請求項3記載のシート用パッドの製造方法によれば、上型は、成形面に立設される筒状の上型隔壁がキャビティに向けて開口する。他方の分割網状体が、上型配置工程により、上型隔壁に対して他方の分割網状体の側面の一部を露出させて配置される。従って、上型隔壁により、軟質フォームの液状原料が接触する分割網状体の側面の面積を制限できる。よって、請求項2の効果に加え、分割網状体の側面とパッド本体との接着面積を適宜設定できる効果がある。

請求項4記載のシート用パッドの製造方法によれば、切欠部は、下型隔壁の上端から成形面に至らない所定の長さに形成されているので、パッド本体の表面側に位置する立体網状体等の側面に液状原料が接触することを防止できる。その結果、パッド本体の表面に、液状原料が固化した硬い部分ができることを防止できる。よって、請求項1から3のいずれかの効果に加え、パッド本体の表面の感触を良くし、着座者が違和感を覚え難くできる効果がある。

(a)は第1実施の形態におけるシート用パッドの平面図であり、(b)はシート用パッドの裏面図である。

(a)は図1のIIa−IIa線におけるシート用パッドの断面端面図であり、(b)は図1のIIb−IIb線におけるシート用パッドの断面端面図である。

図2(b)のIII−III線におけるシート用パッドの断面図である。

(a)は下型および上型に分割網状体が配置された成形型の断面端面図であり、(b)は下型に配置される下型隔壁の斜視図である。

発泡成形中の成形型の断面端面図である。

(a)は第2実施の形態におけるシート用パッドの平面図であり、(b)はシート用パッドの裏面図である。

図6のVII−VII線におけるシート用パッドの断面端面図である。

(a)は下型および上型に分割網状体が配置された成形型の断面端面図であり、(b)は下型に配置される下型隔壁の斜視図である。

発泡成形中の成形型の断面端面図である。

(a)は第3実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁および上型隔壁の斜視図であり、(b)は第4実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁および上型隔壁の斜視図であり、(c)は第5実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁および上型隔壁の斜視図である。

(a)は第6実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁および上型隔壁の斜視図であり、(b)は第7実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁および上型隔壁の斜視図であり、(c)は第8実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁および上型隔壁の斜視図である。

第9実施の形態におけるシート用パッドの発泡成形中の成形型の断面端面図である。

実験例におけるシート用パッドの圧縮たわみ曲線である。

以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本発明の第1実施の形態におけるシート用パッド1について説明する。図1(a)は第1実施の形態におけるシート用パッド1の平面図であり、図1(b)はシート用パッド1の裏面図である。なお、この実施の形態では、自動車のフロントシートにおける着座部に用いられるシート用パッド1について説明する。

図1(a)及び図1(b)に示すようにシート用パッド1は、発泡硬化した合成樹脂製の軟質フォームから構成されるパッド本体2と、パッド本体2の表面および裏面を平面視して矩形状に形成されると共に厚さ方向(図1(a)紙面垂直方向)に貫通する孔部2a,2bと、それら孔部2a,2bに一体的にそれぞれ収装される直方体状の立体網状体3,4とを備えている。シート用パッド1は、表皮材(図示せず)の吊り込み機能等を有するワイヤー(図示せず)がパッド本体2に内蔵され、パッド本体2の損傷や異音を防ぐための不織布等の裏面布(図示せず)がパッド本体2の裏面に積層一体化される。シート用パッド1は、シートカバーとしての表皮材で表面が覆われ、フレーム等の取付鋼材(図示せず)に組み付けられる。

パッド本体2は、シートの外形形状を作ると共に、シートのクッション性や振動吸収性を発揮させるための部材であり、本実施の形態では軟質ポリウレタンフォームにより形成されている。しかし、軟質フォームの材質をポリウレタンに限定するものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等を発泡させて軟質フォームとすることは当然可能である。

孔部2a,2bは、立体網状体3,4が収装される部位であり、パッド本体2の厚さ方向に貫設される。立体網状体3は着座者の臀部から膝までの間に配置され、立体網状体4は立体網状体3の左右外側に配置される。

立体網状体3,4は、3次元的に絡み合う複数の繊維によって形成される立体的な網状構造体である。立体網状体3,4は、熱可塑性ポリエステルエラストマーや熱可塑性ポリウレタンエラストマー等の熱可塑性エラストマー、綿、毛、レーヨン、ナイロン、ポリエステル等の繊維により形成され、通気性および弾性を有する。繊維を絡み合わせる手段としては、蒸気、熱、圧のいずれか1種以上を加えて繊維を縮絨させる手段、ニードルパンチ等のように繊維を機械的に絡め合う手段、各種バインダを用いプレスして繊維相互を接着させる手段、熱プレスして繊維自身を融着させ繊維相互を接着させる手段等が採用される。このように繊維を絡み合わせることで、立体網状体3,4は、剛性が、パッド本体2の剛性より高く設定され、密度が、パッド本体2の密度より小さく設定される。立体網状体3,4としては、固綿、ブレスエアー(登録商標)等が例示される。

次に図2及び図3を参照してシート用パッド1の断面構造について説明する。図2(a)は図1のIIa−IIa線におけるシート用パッド1の断面端面図であり、図2(b)は図1のIIb−IIb線におけるシート用パッド1の断面端面図であり、図3は図2(b)のIII−III線におけるシート用パッド1の断面図である。

図2(a)及び図2(b)に示すように、立体網状体3は、厚さが2分割された2つの分割網状体3a,3bにより構成され、分割網状体3a,3bは、パッド本体2の厚さ方向(図2(a)及び図2(b)上下方向)に貫通形成される孔部2aに、端面を互いに突き合わせて収装される。また、図2(b)に示すように、立体網状体4は、厚さが2分割された2つの分割網状体4a,4bにより構成され、分割網状体4a,4bは、パッド本体2の厚さ方向に貫通形成される孔部2bに、互いに端面を突き合わせて収装される。

立体網状体3,4の厚さを2分割して各々2つの分割網状体3a,3b,4a,4bとするので、分割網状体3a,3b,4a,4bの厚さを薄くすることができる。その結果、分割網状体3a,3b,4a,4bの個々の寸法を小さくできるので、取扱性を向上できる。また、立体網状体3,4及び孔部2a,2bによってパッド本体2の厚さ方向の通気性を確保できるので、着座者の蒸れ感を抑制できる。さらに、立体網状体3,4の密度はパッド本体2の密度より小さく設定されているので、シート用パッド1を軽量化できる。

分割網状体3aは、パッド本体2の表面側に配置され、側面の一部(パッド本体2の裏面側)が、孔部2aの深さ方向の中央付近(パッド本体2)に側面固化層5を介して接着される。分割網状体3bは、パッド本体2の裏面側に配置され、側面の一部(パッド本体2の表面側)が、孔部2aの深さ方向の中央付近(パッド本体2)に側面固化層6を介して接着される。分割網状体4aは、パッド本体2の表面側に配置され、側面の一部(パッド本体2の裏面側)が、孔部2bの深さ方向の中央付近(パッド本体2)に側面固化層7を介して接着される。分割網状体4bは、パッド本体2の裏面側に配置され、側面の一部(パッド本体2の表面側)が、孔部2bの深さ方向の中央付近(パッド本体2)に側面固化層8を介して接着される。

側面固化層5,6,7,8は、分割網状体3a,3b,4a,4bを構成する繊維間で、パッド本体2の液状原料が固化した層である。側面固化層5,6,7,8によって分割網状体3a,3b,4a,4bの側面と孔部2a,2bの内面とが接着されるので、パッド本体2に対して分割網状体3a,3b,4a,4bをずれ難くできる。よって、シート用パッド1の組立て作業中に孔部2a,2bから分割網状体3a,3b,4a,4bが落下したり、使用中に分割網状体3a,3b,4a,4bがパッド本体2に対して沈み込んで座り心地が悪くなったりすることを防止できる。

図3に示すように、側面固化層5は、分割網状体3aの側面の全周に亘って設けられるのではなく、分割網状体3aの側面に点在され、不連続に設けられる。本実施の形態では、パッド本体2の左右に直方体状の一対の分割網状体3aが配置される。その一対の分割網状体3aの側面(4面)の内、互いに近接して対向する面を除く3面の中央部に側面固化層5がそれぞれ形成される。なお、分割網状体3aの裏面側に配置された分割網状体3b(図2(b)参照)も、分割網状体3aと同じ位置に側面固化層6が形成される。

側面固化層5,6によって分割網状体3a,3bの側面と孔部2aの内面とが接着されるので、シート用パッド1の厚さ方向に押し込まれたパッド本体2及び分割網状体3a,3bが復元するときに、パッド本体2に対して分割網状体3a,3bを厚さ方向にずれ難くできる。よって、分割網状体3a,3bの沈み込みを防止でき、着座者が違和感を覚えることを防止できる。

ここで、一対の分割網状体3aの側面(4面)の内、互いに近接して対向する面は、パッド本体2の左右方向中央に位置する。パッド本体2の左右方向中央は、着座者の体重移動によって左右方向の引張力が作用する部位である。その部位にパッド本体2と分割網状体3aとを接着する側面固化層5が形成されると、側面固化層5によって左右方向の引張力がパッド本体2及び分割網状体3aに伝達されるので、パッド本体2又は分割網状体3aが破れるおそれがある。これに対し、パッド本体2の左右方向中央に位置する側面固化層5を省略することにより、側面固化層5によって左右方向の引張力がパッド本体2及び分割網状体3aに伝達されることを防ぎ、パッド本体2又は分割網状体3aが破れることを防止できる。

次に図4及び図5を参照して、シート用パッド1の製造方法について説明する。図4(a)は下型11及び上型14に分割網状体3a,3bが配置された成形型10の断面端面図であり、図4(b)は下型11に配置される下型隔壁12の斜視図であり、図5は発泡成形(キュア)中の成形型10の断面端面図である。なお、図4(a)及び図5では、パッド本体2に内蔵されるワイヤーや、パッド本体2の裏面に積層一体化される不織布等の図示を省略する。

図4(a)に示すように、パッド本体2の表面(着座面)を形成する下型11の成形面11aに、上端が開口した四筒状の下型隔壁12,13が立設される。一対の下型隔壁12は下型11の成形面11aの左右に並設され、その下型隔壁12の左右両側に下型隔壁13が配置される。下型隔壁12,13は分割網状体3a,4aがそれぞれ挿入される部位であり、分割網状体3a,4aがそれぞれ挿入可能な大きさに設定されている。下型隔壁12,13は、高さが、分割網状体3a,4aの高さと略同一であって、パッド本体2の厚さの略1/2に設定されている。下型隔壁12,13に分割網状体3a,4aを挿入することで所定の位置に分割網状体3a,4aを配置できるので、分割網状体3a,4aを配置する位置の間違いや分割網状体3a,4aの配置を忘れる等の作業ミスを防止できる。

下型11と同様に、パッド本体2の裏面を形成する上型14の成形面14aに、縁端が開口した四角筒状の上型隔壁15,16がキャビティCに向かって立設される。一対の上型隔壁15は上型14の成形面14aの左右に並設され、その上型隔壁15の左右両側に上型隔壁16が配置される。上型隔壁15,16は分割網状体3b,4bがそれぞれ挿入される部位であり、分割網状体3b,4bがそれぞれ挿入可能な大きさに設定されている。上型隔壁15,16は、高さが、分割網状体3b,4bの高さと略同一であって、パッド本体2の厚さの略1/2に設定される。

上型隔壁15,16は、上型14を閉じてキャビティCを密閉したときに、各々の下端が、下型隔壁12,13の上端とそれぞれ突き当たるように設けられる。分割網状体3a,4aが下型隔壁12,13に、分割網状体3b,4bが上型隔壁15,16に挿入され、下型隔壁12,13と上型隔壁15,16とが突き当てられると、下型隔壁12,13及び上型隔壁15,16により分割網状体3a,3b,4a,4bの側面に軟質フォームの液状原料が接触することが阻止される。また、上型隔壁15,16内には、ピン等の係止具(図示せず)が突設される。係止具で分割網状体3b,4bを上型隔壁15,16内に止着・仮止めできるので、パッド本体2の成形前に分割網状体3b,4bが上型隔壁15,16から脱落することを防止できる。

なお、上型隔壁15,16内に係止具を設けることは必ずしも必要ではない。例えば、分割網状体3b,4bを側方から圧縮して上型隔壁15,16に圧入するようにすれば、分割網状体3b,4bが上型隔壁15,16に嵌め込まれるので、係止具がなくても分割網状体3b,4bの脱落を防止できる。

図4(b)に示すように下型隔壁12は、高さ方向(図4(b)上下方向)に沿って上端12aから成形面11a(図4(a)参照)に向かってスリット状に切欠された切欠部12bが形成されている。切欠部12bは、分割網状体3a,3b,4a,4bの側面の一部をキャビティC内に露出させるための部位である。切欠部12bは、下型隔壁12の上端12aから成形面11aに至らない所定の長さに形成される。成形面11aから切欠部12bの下端までの高さは、10〜30mmの所定値に設定されている。

切欠部12bは、成形面11aに立設された下型隔壁12の4面の内、隣に位置する下型隔壁12と対向する面を除く3面に形成される。下型隔壁13、上型隔壁15,16も、下型隔壁12と同様に切欠部(図示せず)が形成されている。

この成形型10を用いてシート用パッド1を発泡成形するには、図4(a)に示すように、まず下型隔壁12,13に分割網状体3a,4aをそれぞれ挿入し、下型11の成形面11aに分割網状体3a,4aを配置する。次いで、注入器(図示せず)を用いて下型11に軟質フォームの液状原料を注入した後、上型14を閉じて分割網状体3a,4aと分割網状体3b,4bとを突き合わせつつキャビティCを密閉すると、液状原料は発泡しながらキャビティC内を充填する。このようにキャビティC内で液状原料を発泡充填させることで、図5に示すように、軟質フォームからなるパッド本体2が発泡形成される。

下型11に注入された液状原料および発泡途中の液状原料は、切欠部12bを通じて分割網状体3a,3b,4a,4bの繊維間に浸透し、成形型10が加熱されることにより分割網状体3a,3b,4a,4bの繊維間で固化する。これにより分割網状体3a,3b,4a,4bの側面に、液状原料が固化した側面固化層5,6,7,8が形成される。側面固化層5,6,7,8により、パッド本体2に分割網状体3a,3b,4a,4bが接着され一体化される。成形後、上型14を開いて脱型することにより、パッド本体2の厚さ方向に分割網状体3a,3b,4a,4bが貫設されたシート用パッド1が得られる。

以上のようにシート用パッド1を製造するときには、下型隔壁12,13及び上型隔壁15,16により切欠部12bを通じて分割網状体3a,4a,3b,4bの側面の一部に液状原料を接触させる。その結果、液状原料が分割網状体3a,4a,3b,4bの側面の繊維間で固化することで、分割網状体3a,4a,3b,4bの側面に側面固化層5,6,7,8を形成し接着させることができる。分割網状体3a,4a,3b,4bの側面とパッド本体2とが接着されるので、パッド本体2に対して分割網状体3a,4a,3b,4bがずれたり脱落したりすることを防止できる。また、シート用パッド1の厚さ方向に押し込まれたパッド本体2及び分割網状体3a,4a,3b,4bが復元するときには、側面固化層5,6,7,8により分割網状体3a,4a,3b,4bをパッド本体2に追随させ、パッド本体2に対して分割網状体3a,4a,3b,4bを厚さ方向にずれ難くできる。これにより、分割網状体3a,4a,3b,4bの沈み込みを防止できるので、着座者に違和感を覚えさせ難くできる。

また、パッド本体2の厚さ方向の通気性を確保するため、パッド本体2の厚さ方向に亘る立体網状体を設けるのではなく、立体網状体の厚さを2分割した分割網状体3a,4a,3b,4bを用いている。下型11及び上型14にそれぞれ設けた下型隔壁12,13及び上型隔壁15,16に分割網状体3a,4a,3b,4bを挿入し、キャビティCを密閉することによって、下型隔壁12,13及び上型隔壁15,16により分割網状体3a,4a,3b,4bの側面に液状原料が接触することを抑制する。これにより、キャビティC内の立体網状体3,4(分割網状体3a,4a,3b,4b)の配置作業、及び、脱型作業を容易にすることができる。

仮に、立体網状体3,4が2分割されていない場合には、立体網状体3,4が収容される隔壁は、立体網状体3,4と略同一の高さが必要である。脱型のときには、パッド本体(軟質フォーム)に対して隔壁の高さの分だけ滑らせる必要があるので、パッド本体と隔壁との摩擦によってパッド本体に破れ等の欠陥が生じ易くなる。

これに対し、立体網状体3,4を2分割した分割網状体3a,3b,4a,4bを用いるので、下型隔壁12,13及び上型隔壁15,16の高さを、パッド本体2の厚さの約1/2にできる。そのため、立体網状体3,4が2分割されていない場合と比較して、脱型のときにパッド本体2に対して上型14及び下型11を滑らせる量を約1/2にできる。その結果、脱型のときにパッド本体2に破れ等の欠陥を生じ難くできる。

また、立体網状体3,4を2分割した分割網状体3a,3b,4a,4bとすることにより、下型隔壁12,13及び上型隔壁15,16の高さを、分割網状体3a,3b,4a,4bに応じて小さくすることができる。そのため、下型隔壁12,13及び上型隔壁15,16へ分割網状体3a,3b,4a,4bを挿入し易くできる。よって、分割網状体3a,3b,4a,4bの成形型10への配置作業性を向上できる。

また、下型隔壁12,13及び上型隔壁15,16に形成された切欠部12bを通じて液状原料が分割網状体3a,3b,4a,4bに接触する。よって、分割網状体3a,3b,4a,4bの側面に形成される側面固化層5,6,7,8を、分割網状体3a,3b,4a,4bの側面の周方向に点在させ不連続にすることができる。その結果、側面固化層5,6,7,8が分割網状体3a,3b,4a,4bの側面の周りに連設(連続)される場合と比較して、立体網状体3,4やパッド本体2より硬い側面固化層5,6,7,8によるゴワゴワした感触を抑制できる。よって、着座者の違和感を軽減し、座り心地を向上できる。

また、下型隔壁12,13及び上型隔壁15,16に形成された切欠部12bを通じて液状原料が分割網状体3a,3b,4a,4bの側面に部分的に接触するので、側面固化層5,6,7,8が分割網状体3a,3b,4a,4bの側面(境界)に部分的に形成される。その結果、分割網状体3a,3b,4a,4bによる厚さ方向の通気性が、側面固化層5,6,7,8が形成されることによって損なわれることを防止できる。

また、切欠部12bは、下型隔壁12の上端12aから成形面11aに至らない所定の長さに形成され、成形面11aから切欠部12bの下端までの高さは、10〜30mmの所定値に設定される。下型隔壁12,13に分割網状体3a,4aを挿入した後、軟質フォームの液状原料を下型11に注入すると、注入直後の液状原料と分割網状体3a,4aの側面との接触が、下型隔壁12,13により阻止される。

成形型10の大きさや軟質フォームの材質にもよるが、成形型10に注入された液状原料は、成形型10への注入直後、下型11の成形面11aに10〜20mmの深さで溜まる。発泡前ないしは発泡初期(反応性にもよるが注入後0〜5秒程度)の液状原料は粘性が比較的低いので、分割網状体3a,4aの繊維間に浸透し易い。そこで、成形面11aに溜まる液状原料の液位より、切欠部12bの下端の位置が高くなるようにして、注入直後の液状原料が切欠部12bを通じて下型隔壁12,13内に入らないようにする。具体的には、成形面11aから切欠部12bの下端までの高さを10〜30mmに設定する。これにより、注入直後で発泡前の液状原料が分割網状体3a,4aに浸透することを防止できる。

なお、発泡途中の液状原料は、切欠部12bを通じて分割網状体3a,4aの側面に接触し側面固化層5,7が形成される。側面固化層5,7は、切欠部12bの高さの分だけ分割網状体3a,4aの表面と離間して設けられるので、分割網状体3a,4aの表面と側面固化層5,7との間隔を設けることができる。その結果、側面固化層5,7によるゴワゴワ感や違和感を着座者が覚え難くできる。

次に図6から図9を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、立体網状体3,4(分割網状体3a,3b,4a,4b)の側面に側面固化層5,6,7,8が点在するように形成される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、立体網状体23(分割網状体23a,23b)の側面の周りに連続して側面固化層25,26が形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。まず図6を参照して、第2実施の形態におけるシート用パッド21について説明する。図6(a)は第2実施の形態におけるシート用パッド21の平面図であり、図6(b)はシート用パッド21の裏面図である。なお、第2実施の形態も、自動車のフロントシートにおける着座部に用いられるシート用パッド21について説明する。

図6(a)及び図6(b)に示すようにシート用パッド21は、発泡した合成樹脂製の軟質フォームから構成されるパッド本体22と、パッド本体22の表面から裏面に亘る厚さ方向に貫通して形成される外形が円形状の孔部22aと、孔部22aに一体的に収装される円柱状の立体網状体23とを備えている。

次に図7を参照してシート用パッド21の断面構造について説明する。図7は、図6(a)のVII−VII線におけるシート用パッド21の断面端面図である。図7に示すように、立体網状体23は、パッド本体22の厚さ方向に略等分に2分割される分割網状体23a,23bにより構成され、端面同士を突き合わせた状態で、パッド本体22の厚さ方向に貫通形成される孔部22aに収装される。立体網状体23(分割網状体23a,23b)及び孔部22aによってパッド本体22の厚さ方向の通気性を確保できるので、着座者の蒸れ感を抑制できる。

分割網状体23aは、パッド本体22の表面側(図7上側)に配置され、裏面側(図7下側)の側面が、孔部22aの内面に側面固化層25を介して接着される。分割網状体23bは、パッド本体22の裏面側(図7下側)に配置され、表面側(図7上側)の側面が、孔部22aの内面に側面固化層26を介して接着される。側面固化層25,26は、分割網状体23a,23bを構成する繊維間で、パッド本体22の液状原料が固化した層である。側面固化層25,26によって分割網状体23a,23bの側面と孔部22aの内面とが接着されるので、パッド本体22に対して分割網状体23a,23bをずれ難くできる。

また、分割網状体23aは、裏面側(図7下側)の側面が、孔部22aの内面に側面固化層25を介して接着されるので、パッド本体22の表面に側面固化層25が露出しないようにできる。軟質フォームの液状原料が分割網状体23aの繊維間で固化すると、固化した分割網状体23aの境界(固化層)が硬化するが、分割網状体23aの表面に側面固化層25を設けないようにすることで、シート用パッド21の表面にゴワゴワした感触や違和感が生じることを防止できる。

次に図7、図8(a)、図8(b)及び図9を参照して、シート用パッド21の製造方法について説明する。図8(a)は下型11及び上型14に分割網状体23a,23bが配置された成形型30の断面端面図であり、図8(b)は下型11に配置される下型隔壁32の斜視図であり、図9は発泡成形(キュア)中の成形型30の断面端面図である。なお、図8(a)及び図9では、パッド本体22に内蔵されるワイヤーや、パッド本体22の裏面に積層一体化される不織布等の図示を省略する。

図8(a)に示すように成形型30は、パッド本体22の表面(着座面)を形成する下型11の成形面11aに、上端が開口した略円筒状の下型隔壁31が立設される。下型隔壁31は分割網状体23aが挿入される部位であり、内径が、分割網状体23aの外径より少し大きめに設定されている。図8(b)に示すように、下型隔壁31は、高さが、分割網状体23aの高さより少し小さく設定されている。本実施の形態では、下型隔壁31は、下型11の成形面11aに注入直後の液状原料が乗り越えない高さ(例えば30mm)に設定される。

成形型30は、パッド本体22の裏面を形成する上型14の成形面14aに、下端が開口した略円筒状の上型隔壁32がキャビティCに向かって立設される。上型隔壁32は分割網状体23bが挿入される部位であり、内径が、分割網状体23bの外径より少し大きめに設定されている。下型隔壁31と同様に、上型隔壁32も、高さが、分割網状体23bの高さより少し小さく設定されている。上型隔壁32は、上型14を閉じてキャビティCを密閉したときに、下型隔壁31に配置された分割網状体23aの端面に、上型隔壁32に配置された分割網状体23bの端面が当接可能な位置に設けられている。また、上型隔壁32内には、ピン等の係止具(図示せず)が突設される。係止具で分割網状体23bを上型隔壁32内に止着・仮止めできるので、パッド本体22の成形前に分割網状体23bが上型隔壁32から脱落することを防止できる。なお、係止具が必ずしも必要ないことは、第1実施の形態と同様である。

この成形型30を用いてシート用パッド21を発泡成形するには、図8(a)に示すように、まず下型11の成形面11aに立設された下型隔壁31に分割網状体23aを挿入し、上型14の成形面14aに立設された上型隔壁32に分割網状体23bを挿入する。次いで、注入器(図示せず)を用いて下型11に軟質フォームの液状原料を注入した後、上型14を閉じてキャビティCを密閉すると、液状原料は発泡しながらキャビティC内を充填する。このようにキャビティC内で液状原料を発泡充填させることで、図9に示すように、軟質フォームからなるパッド本体22が発泡形成される。

下型11に注入された液状原料および発泡途中の液状原料は、分割網状体23a,23bの内、下型隔壁31及び上型隔壁32から突出した部分に接触する。これにより、下型隔壁31及び上型隔壁32から露出した分割網状体23a,23bの側面の繊維間で液状原料が固化し、側面固化層25,26が形成され、パッド本体22に分割網状体23a,23bが一体化される。成形後、上型14を開いて脱型することにより、分割網状体23a,23bがパッド本体22の厚さ方向に貫設されたシート用パッド21が得られる。

なお、シート用パッド21は、成形型30内では下型隔壁31及び上型隔壁32の厚さの分だけ分割網状体23a,23bの側面とパッド本体22との間に隙間が形成される。その隙間は、脱型することによりパッド本体22の弾性によって埋められ、分割網状体23a,23bの側面がパッド本体22の弾性によって保持される。

また、下型隔壁31によって分割網状体23aの表面と液状原料とが接することを阻止できるので、分割網状体23aの表面に側面固化層25が現れることを防止できる。よって、シート用パッド21の表面に露出した固化層によるゴワゴワ感や違和感を着座者が覚え難くできる。

なお、本実施の形態によれば、側面固化層25,26が分割網状体23a,23bの全周に亘って連続して帯状に設けられるので、分割網状体23a,23bとパッド本体22との接着面積を大きくすることができる。その結果、分割網状体23a,23bをパッド本体22に強固に接着でき、シート用パッド21の耐久性を向上できる。

次に図10(a)を参照して第3実施の形態について説明する。第2実施の形態では、下型隔壁31及び上型隔壁32が、分割網状体23a,23bの高さより低く設定されることで、分割網状体23a,23bの全周に亘って側面固化層25,26が形成される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、下型隔壁41及び上型隔壁42に切欠部41b,42bを形成し、切欠部41b,42bを通じて側面固化層を形成する場合について説明する。

なお、第3実施の形態は、下型隔壁41及び上型隔壁42以外は第2実施の形態と同一なので、下型隔壁41及び上型隔壁42以外の図示を省略すると共に、第2実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図10(a)は第3実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁41及び上型隔壁42の斜視図であり、キャビティC(図9参照)を密閉したときの下型隔壁41及び上型隔壁42の状態を、隔壁の板厚を無視して模式的に示している(図10(b)、図10(c)、図11(a)〜(c)において同じ)。

図10(a)に示すように、下型隔壁41及び上型隔壁42は、高さが、分割網状体23a,23bの高さとそれぞれ略同一に設定され、高さ方向に沿って上端41a及び縁端42aから成形面11a,14a(図8(a)参照)に至らない所定の長さに切欠された切欠部41b,42bが形成される。切欠部41b,42bは、下型隔壁41及び上型隔壁42の周方向の3箇所に互いに間隔をあけて設けられ、それらはキャビティCを密閉したときに互いに連通する位置に設けられる。また、切欠部41b,42bは、下型隔壁41の上端41a及び上型隔壁42の縁端42aから高さ方向に亘って略同一幅に設定される。

以上のように下型隔壁41及び上型隔壁42は構成されるので、分割網状体23a,23bに対して切欠部41b,42bの位置に側面固化層(図示せず)を形成できる。切欠部41b,42bによって、分割網状体23a,23bの周方向の3箇所に側面固化層が不連続に点在されるので、側面固化層による違和感を着座者に覚えさせ難くできる。

また、切欠部41b,42bによって分割網状体23a,23bの高さ(厚さ)方向に沿って側面固化層が形成されるので、パッド本体22(図7参照)及び分割網状体23a,23bの厚さ方向に荷重が入力された場合に、パッド本体22に対して分割網状体23a,23bがずれて沈み込みが生じることを防止できる。

特に、分割網状体23aの裏面側に側面固化層が形成されるので、分割網状体23aの表面側に硬い側面固化層が現れることを防ぎ、着座者の違和感を抑制できる。また、分割網状体23bの表面側に側面固化層が形成されるので、分割網状体23a,23bの表面側からの着座者の体重による荷重入力に対する分割網状体23bの沈み込みを防止できる。その結果、分割網状体23bの表面側に位置する分割網状体23aの沈み込みも防止できる。

次に図10(b)を参照して第4実施の形態について説明する。第3実施の形態では、下型隔壁41及び上型隔壁42に同じ大きさの切欠部41b,42bが形成される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、下型隔壁51に形成される切欠部51bが、上型隔壁42に形成される切欠部42bより小さい場合について説明する。なお、第4実施の形態は、下型隔壁51以外は第3実施の形態と同一なので、下型隔壁51及び上型隔壁42以外の図示を省略すると共に、第2実施の形態および第3実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図10(b)は第4実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁51及び上型隔壁42の斜視図である。

図10(b)に示すように、下型隔壁51は、高さが、分割網状体23aの高さと略同一に設定され、高さ方向に沿って上端51aから成形面11a(図8(a)参照)に至らない所定の長さに切欠された切欠部51bが形成される。切欠部51bは、周方向の幅が、上型隔壁42に形成された切欠部42bより小さく設定され、キャビティCを密閉したときに切欠部42bと連通する位置に設けられる。

下型隔壁51に形成された切欠部51bの開口面積を、上型隔壁42に形成された切欠部42bの開口面積より小さく設定するので、下型11(図8(a)参照)に注入された軟質フォームの液状原料と分割網状体23aとを接触させ難くできる。よって、切欠部51bを通じて分割網状体23aの繊維間へ浸透する液状原料の浸透量を少なくできる。その結果、分割網状体23aの側面に形成される硬い側面固化層の厚さを薄くすることができる。シート用パッドの表面側に位置する分割網状体23aの側面固化層の厚さを薄くできるので、さらに側面固化層による違和感を着座者に覚えさせ難くできる。

次に図10(c)を参照して第5実施の形態について説明する。第4実施の形態では、下型隔壁51に形成される切欠部51bが、上型隔壁42に形成される切欠部42bより小さい場合について説明した。第5実施の形態では、さらに、上型隔壁52に形成される切欠部52bを高さ方向に延設する場合について説明する。なお、第5実施の形態は、上型隔壁52以外は第4実施の形態と同一なので、下型隔壁51及び上型隔壁52以外の図示を省略すると共に、第2実施の形態および第4実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図10(c)は第5実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁51及び上型隔壁52の斜視図である。

図10(c)に示すように、上型隔壁52は、高さが、分割網状体23bの高さと略同一に設定され、高さ方向に沿って縁端52aから成形面14a(図8(a)参照)に至る長さに切欠された切欠部52bが形成される。切欠部52bは、周方向の幅が、下型隔壁51に形成された切欠部51bより小さく設定され、キャビティCを密閉したときに切欠部51bと連通する位置に設けられる。

切欠部52bが、上型隔壁52の縁端52aから成形面14aに至る長さに形成されるので、側面固化層が、分割網状体23bの高さ方向に亘って形成される。その結果、シート用パッドの裏面側に位置する分割網状体23bを、高さ方向に亘ってパッド本体22に接着できる。これにより分割網状体23bとパッド本体22との接着面積を大きくすることができ、耐久性を確保できる。さらに、切欠部51b,52bが分割網状体23a,23bの周方向に点在されるので、側面固化層による違和感を着座者に覚えさせ難くできる。

次に図11(a)を参照して第6実施の形態について説明する。第5実施の形態では、切欠部52bが、上型隔壁52の高さ方向に亘って形成される場合について説明した。これに対し第6実施の形態では、下型隔壁61に形成される切欠部61bを下型隔壁61の高さ方向に亘って形成する場合について説明する。なお、第6実施の形態は、下型隔壁61以外は第4実施の形態と同一なので、下型隔壁61及び上型隔壁42以外の図示を省略すると共に、第2実施の形態および第4実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図11(a)は第6実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁61及び上型隔壁42の斜視図である。

図11(a)に示すように、下型隔壁61は、高さが、分割網状体23aの高さと略同一に設定され、高さ方向に沿って上端61aから成形面11a(図8(a)参照)に至る長さに切欠された切欠部61bが形成される。切欠部61bは、下型隔壁61の周方向の2箇所(対向位置)に形成され、周方向の幅が、上型隔壁42に形成された切欠部42bより小さく設定される。また、切欠部61bは、キャビティCを密閉したときに切欠部42bと異なる位置(周方向にずれた位置)に設けられる。

切欠部61bが、下型隔壁61の上端61aから成形面11aに至る長さに形成されるので、側面固化層が、分割網状体23aの高さ方向に亘って形成される。その結果、シート用パッドの表面側に位置する分割網状体23aを、高さ方向に亘ってパッド本体22に接着できる。これにより分割網状体23aとパッド本体22との接着面積を大きくすることができ、耐久性を確保できる。

また、切欠部61bの周方向の幅が、上型隔壁42に形成された切欠部42bより小さく設定されるので、分割網状体23aに形成される側面固化層の周方向幅を、分割網状体23bに形成される側面固化層の周方向幅より小さくできる。分割網状体23aはシート用パッドの表面側に位置するが、硬い側面固化層の幅を小さくすることにより、着座者の違和感を軽減できる。

さらに、切欠部61bは、キャビティCを密閉したときに切欠部42bと異なる位置(周方向にずれた位置)に設けられるので、分割網状体23a,23bにそれぞれ形成される側面固化層の位置を、分割網状体23a,23bの高さ方向(厚さ方向)に対して不連続にできる。その結果、分割網状体23a,23bにそれぞれ形成された側面固化層が、分割網状体23a,23bの厚さ方向の入力荷重によって互いに干渉することを防止できる。よって、側面固化層による着座者の違和感を抑制できる。

次に図11(b)を参照して第7実施の形態について説明する。第3実施の形態から第6実施の形態では、下型隔壁41,51,61及び上型隔壁42,52が分割網状体23a,23bと略同一の高さに設定される場合について説明した。これに対し第7実施の形態では、下型隔壁71及び上型隔壁72が分割網状体23a,23bより高く設定される場合について説明する。なお、第7実施の形態は、下型隔壁71及び上型隔壁72以外は第2実施の形態と同一なので、下型隔壁71及び上型隔壁72以外の図示を省略すると共に、第2実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図11(b)は第7実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁71及び上型隔壁72の斜視図である。

図11(b)に示すように、下型隔壁71及び上型隔壁72は、高さが、分割網状体23a,23bの高さより大きく設定され、高さ方向に沿って上端71a及び縁端72aから成形面11a,14a(図8(a)参照)に至らない矩形状に切欠された切欠部71b,72bがそれぞれ形成される。切欠部71b,72bは、下型隔壁71及び上型隔壁72の上端71a及び縁端72aの周方向に亘って等間隔に形成され、キャビティCを密閉したときに、切欠部71b,72bと上端71a及び縁端72aとが交互に噛み合うような大きさに形成される。また、キャビティCを密閉したときに、切欠部71b,72bと上端71a及び縁端72aとにより高さ方向および周方向に隙間が形成される。

その隙間によって、側面固化層が、分割網状体23a,23bの周方向に亘ってジグザグ状に形成される。側面固化層は、具体的には、分割網状体23a,23bを跨いで分割網状体23a,23bの周方向および厚さ方向に交互に直線状に形成される。これにより、シート用パッドへの横方向および縦方向の荷重入力に対して分割網状体23a,23bをずれ難くできる。

次に図11(c)を参照して第8実施の形態について説明する。第7実施の形態では、下型隔壁71及び上型隔壁72に矩形状の切欠部71b,72bが形成される場合について説明した。これに対し第8実施の形態では、下型隔壁81及び上型隔壁82に円弧状の切欠部81b,82bが形成される場合について説明する。なお、第8実施の形態は、下型隔壁81及び上型隔壁82以外は第2実施の形態と同一なので、下型隔壁81及び上型隔壁82以外の図示を省略すると共に、第2実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図11(c)は第8実施の形態におけるシート用パッドを成形する成形型の下型隔壁81及び上型隔壁82の斜視図である。

図11(c)に示すように、下型隔壁81及び上型隔壁82は、高さが、分割網状体23a,23bの高さより大きく設定され、上端71a及び縁端72aから成形面11a,14a(図8(a)参照)に至らない円弧状に切欠された切欠部81b,82bがそれぞれ形成される。切欠部81b,82bは、下型隔壁81及び上型隔壁82の上端81a及び縁端82aの周方向に亘って等間隔に形成され、キャビティCを密閉したときに、切欠部81b,82bと上端81a及び縁端82aとが交互に噛み合うような大きさに形成される。また、キャビティCを密閉したときに、切欠部81b,82bと上端81a及び縁端82aとにより高さ方向に隙間が形成される。

その隙間によって、側面固化層が、分割網状体23a,23bの周方向に亘ってジグザグ状に形成される。側面固化層は、具体的には、分割網状体23a,23bを跨いで分割網状体23a,23bの周方向に蛇行状に形成される。これにより、シート用パッドへの横方向および縦方向の荷重入力に対して分割網状体23a,23bをずれ難くできる。また、切欠部81b,82bが円弧状に形成されているので、下型11と上型14とがヒンジ部材(図示せず)によって連結される成形型であっても、キャビティCを密閉するときに、下型隔壁81と上型隔壁82とが干渉することを防ぎ、型締め作業を容易に行うことができる。

次に図12を参照して第9実施の形態について説明する。第1実施の形態から第8実施の形態では、立体網状体が2分割された分割網状体を用いてシート用パッドを成形する場合について説明した。これに対し第9実施の形態では、パッド本体92の厚さと略等しい厚さの立体網状体93を用いてシート用パッドを成形する場合ついて説明する。なお、第2実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図12は第9実施の形態におけるシート用パッドの発泡成形(キュア)中の成形型100の断面端面図である。

図12に示すように成形型100は、パッド本体92の表面(着座面)を形成する下型11の成形面11aに、上端が開口した略円筒状の下型隔壁31が立設される。下型隔壁31は立体網状体93が挿入される部位であり、内径が、立体網状体93の外径より少し大きめに設定されている。

この成形型100を用いてシート用パッドを発泡成形するには、まず下型11の成形面11aに立設された下型隔壁31に立体網状体93を挿入する。次いで、注入器(図示せず)を用いて下型11に軟質フォームの液状原料を注入した後、上型14を閉じてキャビティCを密閉し、上型14に立体網状体93の端面を密着させる。液状原料は発泡しながらキャビティC内を充填し、軟質フォームからなるパッド本体92が発泡形成される。

下型11に注入された液状原料および発泡途中の液状原料は、立体網状体93の内、下型隔壁31から突出した部分に接触する。これにより、下型隔壁31から露出した立体網状体93の側面の繊維間で液状原料が固化し、側面固化層95が形成され、パッド本体92に立体網状体93が一体化される。成形後、上型14を開いて脱型することにより、立体網状体93がパッド本体92の厚さ方向に貫設されたシート用パッドが得られる。

なお、キャビティCを密閉して上型14に立体網状体93の端面を密着させるので、立体網状体93の端面に、発泡途中の液状原料が接触することを防止できる。その結果、立体網状体93の端面の繊維間で液状原料が固化することを防ぐので、立体網状体93の厚さ方向の通気性を確保できる。

また、下型隔壁31によって立体網状体93の表面と液状原料とが接することを阻止できるので、立体網状体93の表面に側面固化層95が現れることを防止できる。よって、シート用パッドの表面に露出した固化層によるゴワゴワ感や違和感が生じることを防止できる。

次に実験例によって本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこの実験例に限定されるものではない。

(実験例1) 金属製の成形型の下型の成形面に、円筒状の下型隔壁(内径68mm、高さ50mm)が固定される。上型はキャビティに向かって円筒状の上型隔壁(内径68mm、高さ50mm)が突設されている。開口する下型隔壁の上端から高さ方向に沿って長さ35mm、幅3mmのスリット状の切欠部が、周方向の4箇所に等間隔をあけて形成される。同様に開口する上型隔壁の縁端から高さ方向に沿って長さ35mm、幅3mmのスリット状の切欠部が、周方向の4箇所に等間隔をあけて形成される。

下型隔壁および上型隔壁に、外径70mm、高さ50mmの円柱状の分割網状体(固綿製)がそれぞれ嵌入される。上型を閉めてキャビティ(厚さ約100mm)を密閉することにより、下型隔壁および上型隔壁に挿入された分割網状体の端面同士が当接されると共に、切欠部同士が連通する。

下型隔壁および上型隔壁にそれぞれ分割網状体を配置した後、下型の成形面にポリウレタン系の液状原料を注ぎ、上型を閉めた。液状原料を発泡させてキャビティ内に充填させ、成形型を加熱することにより、厚さ約100mmの発泡ポリウレタン製の軟質フォーム(パッド本体)を形成硬化させた。これにより、パッド本体の厚さ方向に分割網状体が貫設された実験例1におけるシート用パッドを得た。

(実験例2) 下型隔壁および上型隔壁が設けられていない以外は実験例1と同様に構成された成形型を用いて、実験例2におけるシート用パッドを得た。実験例2におけるシート用パッドは、パッド本体に分割網状体(立体網状体)が設けられていない点で、実験例1におけるシート用パッドと相違する。

(実験例3) 断面円形状の1つの孔部(内径70mm)が厚さ方向に貫通形成された発泡ポリウレタン製の軟質フォーム(厚さ100mmのパッド本体)の孔部に、直径70mm、高さ100mmの円筒状の立体網状体(固綿製)を挿入することにより、実験例3におけるシート用パッドを得た。なお、このパッド本体の孔部の壁面にはスキンが形成されている。

(実験例4) 成形型の下型の成形面に、直径70mm、高さ100mmの円筒状の立体網状体(固綿製)を立設した後、下型の成形面にポリウレタン系の液状原料を注ぎ、上型を閉めた。液状原料を発泡させてキャビティ内に充填させ、成形型を加熱することにより、厚さ約100mmの発泡ポリウレタン製の軟質フォーム(パッド本体)を形成硬化させた。これにより、パッド本体の厚さ方向に亘って立体網状体が一体化された実験例4におけるシート用パッドを得た。

(密度の測定) 各シート用パッドの単位体積当たりの質量(密度)を測定した。なお、各シート用パッドに含まれる立体網状体の質量であるが、実験例1、実験例3及び4は7g(実験例2は0g)であった。

(硬さの測定) JASO B408(JIS K6401:2011)に準拠して、φ200mmの加圧板で各シート用パッドを垂直方向(厚さ方向)に始めの厚さの75%ひずみ量まで押し込んだ後、直ちに荷重を除き、再び直ちに始めの厚さの25%ひずみ量まで押し込んだ。静止後20秒間経過したときの荷重(25%硬度)を読み取った。続いて、始めの厚さの50%ひずみ量まで押し込み、静止後20秒間経過したときの荷重(50%硬度)を読み取った。

(圧縮たわみ) JASO B408(JIS K6401:2011)に準拠して、φ200mmの加圧板で各シート用パッドに5Nの初荷重を加え、厚さ(初期厚さ)を測定した。このときの加圧面上の中心点を原点とし、150mm/分の速度で加圧を行い、荷重に対するたわみを求めた。

表1は、実験例における各シート用パッドの密度、25%硬度および50%硬度の一覧表であり、図13は、実験例における各シート用パッドを垂直方向(厚さ方向)に押し込んだときの圧縮たわみ曲線である。

表1及び図13から、実験例2は、今回のシート用パッドの中では最も柔らかく、圧縮たわみ曲線の傾きが最も小さいことがわかる。また、実験例4は、今回のシート用パッドの中では最も硬く、圧縮たわみ曲線の傾きが最も大きいことがわかる。実験例2は立体網状体を有しておらず、実験例4は軟質フォームの液状原料が立体網状体に含浸することにより、立体網状体に固化層が形成されてパッド本体の厚さ方向に亘って一体化(接着)されているからである。

また、表1及び図13から、実験例3は実験例4に対して柔らかく、圧縮たわみ曲線の傾きも小さいことがわかる。実験例3は、厚さ方向に孔部が貫通形成された発泡ポリウレタン製の軟質フォーム(パッド本体)の孔部に立体網状体が挿入されているので、実験例4と異なり、軟質フォームの液状原料が立体網状体に含浸して固化した固化層を有しないからである。

実験例1は、実験例3に対して柔らかく、圧縮たわみ曲線の傾きも小さいことがわかる。実験例1は、立体網状体(分割網状体)を下型隔壁および上型隔壁に挿入した状態で液状原料を発泡成形するので、切欠部以外では、分割網状体の側面に液状原料が接触して固化層が形成されることを防止できると共に、立体網状体とパッド本体との境界にスキンが形成されることを防止できるからである。

以上のように実験例1によれば、立体網状体がパッド本体に保持された実験例3及び4と比べて、硬さを、立体網状体を有していない実験例2に近づけることができた。従って、実験例1によれば、切欠部を通じて側面固化層を形成することにより、立体網状体(分割網状体)をパッド本体に一体化させ、通気性だけでなくクッション性および振動吸収性を確保できることが明らかである。

以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、シート用パッド1,21に配置される立体網状体3,23,93の数や位置は、適宜設定することが可能である。

上記各実施の形態では、自動車のフロントシートの着座部に用いられるシート用パッド(フロントクッションパッド)について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他のシート用パッドにこの技術を適用することは当然可能である。他のシート用パッドとしては、例えば、自動車のフロントシートの背もたれ部、リアシートの着座部や背もたれ部に用いられるシート用パッドが挙げられる。また、自動車のシート以外に、船舶、航空機等の乗物のシート、家具用シートに用いられるシート用パッドに適用することは当然可能である。

上記実施の形態では、立体網状体3,23,93が直方体状や円柱状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、シート用パッドの大きさや形状に応じて、任意の形状に設定することは当然可能である。

上記実施の形態では、下型隔壁12,13,31,41,51,61,71,81及び上型隔壁15,16,32,42,72,82が円筒状または角筒状の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、下型隔壁および上型隔壁の形状は、立体網状体(分割網状体)の形状に応じて適宜設定される。

上記実施の形態では、下型隔壁12,13,31,41,51,61,71,81及び上型隔壁15,16,32,42,72,82が下型11及び上型14に一体形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、下型隔壁や上型隔壁を下型11や上型14とは別部材にして、下型11や上型14に下型隔壁や上型隔壁を配置固定することは当然可能である。また、下型隔壁や上型隔壁を下型11や上型14に着脱自在に固定することは当然可能である。下型隔壁や上型隔壁を下型11や上型14に着脱自在に固定する場合には、成形型で成形したシート用パッドを脱型すると、下型隔壁や上型隔壁がシート用パッドと一体化して、成形型から外れるようにすることが可能である。その場合には、脱型したシート用パッドから下型隔壁や上型隔壁を取り外して、シート用パッドを完成させる。

上記第3実施の形態から第5実施の形態では、下型隔壁41,51及び上型隔壁42,52にそれぞれ3つの切欠部41b,51b,42b,52bが形成された場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。切欠部の数は、立体網状体の形状や大きさ等に応じて、適宜設定することが可能である。同様に、第6実施の形態で説明した下型隔壁61の切欠部61bの数も適宜設定することが可能である。

上記実施の形態では説明を省略したが、シート用パッドの種類によっては、上型14に中子型(図示せず)を設けることは当然可能である。中子型は、例えば、上型14に設けられた駆動装置(図示せず)により上下動可能に設けられており、駆動装置によって下方に移動させることにより、中子型が上型14から離脱して型開きされるように設定される。

なお、上記の各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。

なお、上記実施の形態には以下の発明も開示されている。

発泡した合成樹脂製の軟質フォームから構成されるパッド本体と、前記パッド本体の厚さ方向に貫通する孔部(2a,2b,22a)と、3次元的に絡み合う複数の繊維で構成されると共に前記孔部に側面が保持される立体網状体とを備えるシート用パッドにおいて、前記軟質フォームの液状原料が前記立体網状体の繊維間で固化することで前記立体網状体の側面の一部と前記パッド本体とを接着する側面固化層(5,6,7,8,25,26,95)を備えていることを特徴とするシート用パッドA1。

シート用パッドA1において、前記側面固化層は、前記立体網状体の表面から前記立体網状体の裏面に至らない所定の深さまでを除いて形成されていることを特徴とするシート用パッドA2。

シート用パッドA1又はA2において、前記側面固化層は、前記立体網状体の側面に不連続に設けられることを特徴とするシート用パッドA3。

シート用パッドA1によれば、発泡した合成樹脂製の軟質フォームからパッド本体が構成され、パッド本体の厚さ方向に孔部が貫通する。3次元的に絡み合う複数の繊維で構成される立体網状体の側面が孔部に保持されるので、立体網状体によってパッド本体の厚さ方向の通気性を確保できる。よって、蒸れ感を抑制できる。

また、軟質フォームの液状原料が立体網状体の繊維間で固化する側面固化層が、立体網状体の側面の一部とパッド本体とを接着する。よって、パッド本体に対して立体網状体をずれ難くできる効果がある。

シート用パッドA2によれば、側面固化層は、立体網状体の表面から立体網状体の裏面に至らない所定の深さまでを除いて形成される。側面固化層は、液状原料が固化することで立体網状体やパッド本体より硬くなるが、立体網状体の表面から裏面に至らない所定の深さまでは側面固化層が設けられないようにすることで、シート用パッドA1の効果に加え、立体網状体の表面の感触を良くし、着座者が違和感を覚え難くできる効果がある。

シート用パッドA3によれば、側面固化層は、立体網状体の側面に不連続に設けられている。立体網状体やパッド本体が不連続な側面固化層間で変形できるので、シート用パッドA1又はA2の効果に加え、側面固化層が立体網状体の側面に連設される場合と比較して、立体網状体やパッド本体より硬い側面固化層による着座者の違和感を軽減し、座り心地を向上できる効果がある。

1,21 シート用パッド 2,22,92 パッド本体 3,23,93 立体網状体 3a,3b,23a,23b 分割網状体(立体網状体) 11 下型 11a 成形面 12,13,31,41,51,61,71,81 下型隔壁 12a,41a,51a,61a,71a,81a 上端 12b,41b,51b,61b,71b,81b 切欠部 14 上型 14a 成形面 15,16,32,42,72,82 上型隔壁 C キャビティ

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