【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の分野】この発明は、航空機座席とともに用いるためのマットレスに関する。 【0002】 【発明の背景】航空機の座席は、布張りをした座席部分および布張りをした背部分を有し、その各々は、その座席に座る占有者の座り心地の良さを促進するよう形作られる。 主にファーストクラスの収容設備のものであるがビジネスクラスなどのより質素なクラスの収容設備においても増えつつある、ある特定の航空機座席は、完全に傾斜可能(reclinable)であり座席の占有者が睡眠のために横臥位置をとることを可能にする。 しかしながら、 座席の直立または着座位置における座り心地の良さを促進する座席部分および背部分の造形により、横たわるには座席部分および背部分が心地の悪いものとなることがある。 この発明はこの問題に取り組むものである。 【0003】 【発明の概要】この発明の一局面によれば、横たわるための上面を座席がもたらすリクライニング位置または横臥位置を占めることが可能である航空機座席とともに用いるためのマットレスであって、座席の上面によりもたらされる形状に相補的なものとなるように形作られる一方の非平面の表面を有するマットレスが提供される。 【0004】すなわち、座席の上面によってどのような形状がもたらされようと、マットレスのその一方の表面は、型と成型品との態様で一致するが逆の形状を有する。 このため、マットレスの厚さは、座席の上面の輪郭に応じて、その区域にわたって場所ごとに異なっており、座席の上面に隆起があるとマットレスのその一方の表面における面した区域において対応する窪みがあることとなり、またその逆も同様である。 【0005】マットレスの他方の表面は好ましくは平面であり、または実質的に平面であるため、マットレスが、その一方の表面が最も下となり座席の表面に載置される状態で座席上に置かれると、マットレスの他方の表面が、睡眠のための平面または実質的に平面の上面をもたらす。 【0006】一実施例では、マットレスは好ましくは横方向折り線を有し、マットレスが収納のためコンパクトな折畳み位置を占めることを可能にする。 2本のこのような折り線があってもよく、これらはマットレスを3つのパネルに分割し、この3つのパネルはたとえばコンセルチーナの態様で、ある1つを別のものの上に折畳むことが可能であってもよい。 折り線は、たとえばスクリムなどの布により形成され、これがマットレスを形成する形作られた発泡体の個別のパネルを覆っていてもよい。 【0007】別の実施例では、マットレスは、発泡パッドを囲むエンクロージャを規定する柔軟な気密の膜により覆われる発泡パッドを含む。 好ましくは、発泡パッドは連続気泡のものである。 マットレスの一方端において、エンクロージャは好ましくは、エンクロージャへの吸気およびエンクロージャからの排気を制御するためのバルブを有する。 発泡パッドの一方の側面は座席によりもたらされる形状に相補的なものとなるように形作られ、他方の側面は好ましくは平面である。 バルブが開いた状態で、マットレスを他方端から始めて巻き上げることができ、巻いている間に発泡パッドから追い出される空気は開かれたバルブを通過し、巻くのが終了した際にバルブが閉じられるため、巻かれたマットレスが収納のためのその完全に巻かれた状態で保たれる。 マットレスを広げるには、バルブを開き、マットレスがその動作状態に戻るまで発泡パッドがバルブを通して空気を吸い込み、その動作状態においてマットレスは航空機座席上に置く準備ができる。 【0008】この発明の別の局面によれば、航空機座席と組合わされた、この発明の上記一局面によるマットレスが提供される。 【0009】次に、この発明の2つの実施例を形成するマットレスを、このマットレスのいずれかをともに用いることが意図される航空機座席とともに、添付の図面に関連して例によって説明する。 【0010】 【詳細な説明】航空機座席は、上部構造1を有し、上部構造1の上に、布張りをした座席クッションを含む座席部分2と、布張りをした背クッションを含む背部分3とが装着される。 また、背部分は布張りをしたヘッドレスト4を含む。 フットレスト5は、座席クッションの前縁に旋回可能に取付けられる。 【0011】座席部分2および背部分3は上部構造1に関して可動であり、これにより、直立位置(図1)、部分的に傾斜させた(reclined)位置(図2)または完全に傾斜させた位置(図3)を占めることが可能となる。 完全に傾斜させた位置では、背部分3、座席部分2およびフットレスト5がほぼ水平の上面をもたらし、座席の占有者が睡眠の目的で完全な横臥位置または横たわった位置をとることを可能にする。 【0012】背部分3および座席部分2の外面はそれぞれ個別に、通常の着座位置における座席占有者の座り心地の良さのため形作られる。 特に、図面に示されるように、座席部分2および背部分3はそれぞれ横断面においてわずかに凹状であり(または皿状に窪んでおり)、それぞれ縦断面において波状にうねった形状を有する。 しかしながら、この発明に関しては、座席部分および背部分のこの造形のため、図3の完全に傾斜させた位置において座席上で眠ることを望む占有者にとってこの座席は心地の悪いものとなる。 この発明により、図4から図7 に示されるマットレス7を完全に傾斜させた座席の上に置いて座席を睡眠のためにより心地の良いものにする。 マットレス7は座席部分および背部分の上面の形状に相補的な形状(図4)を有する一方の表面8(使用において下面となる)を有する。 表面8の形状は、マットレスの長さ方向において波状にうねった形のものであり、平面のフットレスト5に係合するために完全に平面であるマットレスのフットエンドにおける部分を除いて、2つの滑らかに湾曲した凸状部分の間に滑らかに湾曲した凹状部分をもたらし、面取りの性質を帯びた、角をなす長さ方向の端縁を有する。 【0013】マットレス7の他方の表面9(使用において上面である)は実質的に平面である。 これにより、マットレスが座席部分2および背部分3上に置かれる際にマットレス7の表面8が座席の上面に適合し、マットレス7の表面9が睡眠のための実質的に平面の水平表面をもたらす。 この相補的な造形は、座席上でのマットレス7の位置決めおよび保持の助けとなり、マットレス7のそれぞれの端部におけるクリップまたはベルクロのパッドによりさらなる保持をもたらしてもよく、このようなクリップまたはパッドは座席上の相補要素と協働する。 【0014】マットレス7は2本の横方向折り線10を有し、この2本の横方向折り線10は、各々が発泡体でできており必要な形状に成形される3つのパネルにマットレスを分割する。 発泡パネルはスクリムで覆われ、スクリムは折り線10を形成するのに十分な柔軟性を有し、図7に示されるコンパクトな状態にマットレスをコンセルチーナの態様で折畳むことを可能にする。 マットレス7は通常、この折畳まれたコンパクトな状態において航空機内に収納されることとなり、睡眠の目的のため、この折畳まれたコンパクトな状態からマットレス7 を容易に広げ、完全に傾斜させた座席上に置くことができる。 マットレス7は使用後に単純に座席から取外され、再び折畳まれ収納される。 【0015】マットレス7の第2の実施例は、マットレスのフットエンドにおいて手動可能なバルブ14を有するエンクロージャ13を形成する柔軟な気密の膜内の発泡パッド12を有する。 発泡パッド12の一方の表面(図8において見える表面)は、航空機座席の形状を補うように形作られ、発泡パッドの他方の表面は平面である。 【0016】図8は、開かれた動作状態にあるマットレス7の第2の実施例を示し、その開かれた動作状態において、非平面形状の表面を航空機座席上に置く準備ができており、このときマットレスの他方の表面は最も上にあり実質的に水平の平面な表面をもたらし、この上に座席占有者が横たわることができる。 マットレスを仕舞うために、バルブ14をあけ、バルブ14を有する端部とは反対の端部から始めてマットレスを巻く(図9)。 マットレスを巻いている間、空気が発泡パッド12の連続気泡から追い出される。 マットレスが完全に巻かれると、バルブ14が閉められ、マットレスはその巻かれた状態(図10)のままとなり格納される準備ができる。 【0017】いずれの実施例においても、マットレス7 はこのように座席の非平面の上面を睡眠のために心地の良い実質的に平面な表面に変える。 【図面の簡単な説明】 【図1】 航空機座席の斜視図である。 【図2】 部分的に傾斜させた位置における図1の座席を示す図である。 【図3】 完全に傾斜させたまたは横臥位置における図1の座席を示す図である。 【図4】 広げられた状態での第1のマットレスの斜視図である。 【図5】 完全に傾斜させた座席の上で用いられている際の図4のマットレスを示す斜視図である。 【図6】 わかりやすくするためにマットレスおよび座席の背がわずかに離されて示される、図5の線VI−V Iでの断面図である。 【図7】 コンパクトな折畳まれた状態での図4から図6のマットレスを示す図である。 【図8】 第2のマットレスを示す図である。 【図9】 第2のマットレスを示す図である。 【図10】 第2のマットレスを示す図である。 【符号の説明】 1 上部構造、2 座席部分、3 背部分、4 ヘッドレスト、5 フットレスト、7 マットレス、8 一方の表面、9 他方の表面、10 横方向折り線、12 発泡パッド、13 エンクロージャ、14 バルブ。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジェフリー・ハーコート イギリス、オゥ・エックス・10 6・エ ス・エフ オックスフォードシャー、ベン ソン、ジ・オールド・ビカレージ(番地な し) |