Production of pyrophoric alloy for lighter

申请号 JP8683298 申请日 1998-03-31 公开(公告)号 JPH11278976A 公开(公告)日 1999-10-12
申请人 Santoku Kinzoku Kogyo Kk; 三徳金属工業株式会社; 发明人 IRIE TOSHIO; SHIBAMOTO HIROKATSU;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method for easily producing a pyrophoric alloy for lighters at low cost in high production efficiency without impairing ignitability inherent in pyrophoric alloy for lighters. SOLUTION: This method for producing the subject pyrophoric alloy comprises the following three processes: (a) a molten alloy for the objective pyrophoric alloy is cast into a mold under such conditions that the average size of the crystal grains in FeCe phase is >=10 μm but not greater than double the minimum hole diameter of the passages through which an extrusion molding is conducted to make an alloy billet; (b) the alloy billet obtained through the process (a) is extrusion-molded into a rod-like alloy using an extrusion molding machine so designed as to be 8-100 in the ratio of the area (S2) of a die to place the alloy billet on to the total area (S1) of a plurality of the passages for extrusion molding and that the above passages are nearly evenly arranged in the die; and (c) the rod-like alloy thus obtained is cut to a specified length.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 合金ビレットをロッド状に成型するための鉛直方向に延びる通路を備えるダイスと、合金ビレットをダイス上に載置するための貫通縦穴を備える保持部材と、該保持部材に載置される合金ビレットを鉛直方向に押圧して前記ダイスの通路によって押出し成型させるための押圧部材とを備える押出し成型機を用いる発火合金の製造方法であって、 希土類金属(R)及び鉄(Fe)を含むライター用発火合金の合金溶湯を、RとFeとを主成分とする金属間化合物相の結晶粒の平均粒径が、10μm以上で、且つ前記ダイスに設けた通路の最小孔径の2倍長さ以下となる条件で、鋳型に鋳込み合金ビレットとする工程(a)と、 前記押出し成型機において、前記ダイスに設けた通路が複数であり、且つ各通路の最小孔径部分における水平断面の総面積(S1)に対する前記保持部材に設けた貫通縦穴の水平断面積(S2)の割合((S2)/(S
    1))が8〜100であって、前記複数の通路の入口開口をダイス上面に略均等に配置した押出し成型機を用い、該押出し成型機のダイス上面及び保持部材の貫通縦穴の内側面により仕切られた空間に、工程(a)で得られた合金ビレットを載置し、前記押圧部材により合金ビレットを押圧することによって、前記ダイスに設けた複数の通路に合金ビレットを同時に通過させて押出し成型しロッド状合金にする工程(b)と、 前記ロッド状合金を所定長さに切断する工程(c)とを含むライター用発火合金の製造方法。
  • 【請求項2】 前記複数の通路の各々において、入口部分の孔径及び出口部分の孔径が通路内部の孔径より共に広く、且つ通路内部の孔径が一定であって、該通路内部の孔径が通路の最小孔径となっていることを特徴とする請求項1に記載のライター用発火合金の製造方法。
  • 【請求項3】 工程(b)に用いる押出し成型機において、前記ダイス上面における隣合う各通路の開口の中心を結ぶ線分の垂直二等分線同士によって1つの通路を囲むように描かれる面、及び前記垂直二等分線同士と前記保持部材に設けた貫通縦穴の内側面下辺とによって1つの通路を囲むように描かれる面のうち、最大面積を(S
    3)、最小面積を(S4)とした場合、R1=(S3)
    /(S4)の式で示されるR1の値が3以下であり、且つ前記ダイス上面における隣合う各通路の開口中心を結ぶ線分の垂直二等分線同士によって1つの通路を囲むように描かれる面、及び前記垂直二等分線同士と前記保持部材に設けた貫通縦穴の内側面下辺とによって1つの通路を囲むように描かれる面の全てにおいて、各面中における通路の開口中心から、該面を囲む垂直二等分線又は前記保持部材に設けた貫通縦穴の内側面下辺までの最大距離を(D1)、最小距離を(D2)とした場合、R2
    =(D1)/(D2)の式で示されるR2の値が5以下となるように、前記ダイスに開口する複数の通路の入口がダイス上面に略均等に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のライター用発火合金の製造方法。
  • 【請求項4】 工程(b)に用いる押出し成型機において、前記ダイス上面における隣合う各通路の開口の中心を結ぶ線分の垂直二等分線同士によって1つの通路を囲むように描かれる面、及び前記垂直二等分線同士と前記保持部材に設けた貫通縦穴の内側面下辺とによって1つの通路を囲むように描かれる面の各々の面内に存在する通路の開口の位置が、各々の面に存在する開口の中心を通る線分によって各々の面をそれぞれ分割して得られる2つの面の面積比が如何なる場合にも全て3以下となる位置であることを特徴とする請求項3に記載のライター用発火合金の製造方法。
  • 【請求項5】 前記工程(b)において、押出し成型する合金ビレットの温度を350〜700℃に保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のライター用発火合金の製造方法。
  • 【請求項6】 工程(b)において、合金ビレットを押出し成型機のダイスに設けた複数の通路内に押出す際の押出し速度が、いずれの通路においても10cm/s以下になるように制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のライター用発火合金の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、ライター石に使用するライター用発火合金の製造方法に関し、特に生産性に優れるライター用発火合金の製造方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】ライター用発火合金は、当初、合金溶湯を鋳型に鋳込み、棒状の鋳造物を得、該棒状の鋳造物を所望の長さに切断する方法(鋳造法)により製造されていた。 しかし、この方法では、製造時の工程数が多く歩留まりが悪い。 そこで、合理的な方法として、鋳造した合金ビレットを押出し成型によりロッド状に加工し、それを所望の長さに切断する方法(押出し法)が開発され実施されている。 この押出し法では、高温、高圧で押出し成型する必要があるため、従来、押出し成型時の加工性の低下等を改善する試みが為されている。 例えば、特開昭55−79851号公報には、成型加工性を向上させるために合金組成に珪素を添加する方法が提案されており、また特開昭55−152106号公報には、粉末原料の焼結体を押出し成型するライター用発火合金の製造方法が提案されている。

    【0003】一方、前記押出し法に用いる押出し成型機としては、一般に、合金ビレットをロッド状に成型するための1つの通路を備えたダイスと、合金ビレットをダイス上に載置するための貫通縦穴を有するコンテナと、
    載置された合金ビレットを押圧してダイスの通路を通過させるためのポンチとを備える押出し成型機が知られている。

    【0004】

    【発明が解決しようとする課題】合金ビレットをロッド状に成型するための通路が1つだけであるダイスを備えた前述の押出し成型機によりライター用発火合金を大量生産するためには、押出し速度を速くするか、押出し成型機を多数保有する手段が考えられる。 しかしながら、
    押出し速度を速めると、押出しにより得られるロッド状合金の表面が荒れるという問題、ロッド状合金にクラックが入り易いという問題、並びに押し出されたロッド状合金の結晶が小さくなりすぎ、製品の発火性が悪くなるという問題が生じる。 また、押出し後のロッド状合金の結晶粒径を大きくするために、合金ビレットの結晶を予め大きくしすぎると、ダイスに設けた前記通路が閉塞されるか、若しくは得られるロッド状合金の表面が荒れる等の問題が生じる。 従って、押出し速度を速めるにはこれらの問題を解決する必要があり、限界があるのが現状である。 また、押出し成型機を多数保有することは、設置スペースの問題や、コストアップの問題が免れない。

    【0005】ところで、前述のダイスに設けられている通路が通常1つである理由としては、ライター用発火合金を調製するための合金ビレットが、鉄と希土類金属(Ce等)とを主成分とする金属間化合物相を含む極めて硬質の組織を含むために、前記通路を複数設けた場合には、合金ビレットを押圧して、各通路を通過させる際の各通路における押出し条件の制御が困難であることが挙げられる。 前記押出し条件、例えば、押出し速度や押出し量等が各通路毎に略一定に制御されない場合には、
    各通路から押出し成型されてくる押出し成型物(ロッド状合金)の形状や組織が一定にならず、得られる発火合金の形状と発火性とが満足されない不良品が多く発生するという問題が生じる。 従って、ライター用発火合金の生産効率を向上させる有効な方法の開発が望まれているのが実状である。

    【0006】本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ライター用発火合金本来の着火性を損なうことなく、低コストで簡便に製造でき、且つ生産効率に優れるライター用発火合金の製造方法を提供することにある。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために、合金ビレットをロッド状合金に押出し成型するためのダイスに設けられる通路を、複数にした場合の押出し条件及び得られる発火合金の特性について鋭意検討を重ねた結果、押出し成型するための合金ビレット中の鉄と希土類金属とを主成分とする金属間化合物相の結晶粒の平均粒径を特定な範囲とし、合金ビレットをロッド状に成型するためのダイスに設けられる複数の通路の各々における最小孔径部分の平断面の総面積と、前記複数の通路に押圧して通過させる合金ビレットを載置するための貫通縦穴の水平断面積との比を特定な範囲とすると共に、前記ダイスに開口する複数の通路の入口をダイス上面に略均等に配置することによって、各々の通路から押出し成型されてくるロッド状合金の形状及び組織等を略均一にでき、且つ得られる発火合金の外観及び発火率も略均一であり不良品発生率を有効に抑制しうることを見い出し本発明を完成した。

    【0008】即ち、本発明によれば、合金ビレットをロッド状に成型するための鉛直方向に延びる通路を備えるダイスと、合金ビレットをダイス上に載置するための貫通縦穴を備える保持部材と、該保持部材に載置される合金ビレットを鉛直方向に押圧して前記ダイスの通路によって押出し成型させるための押圧部材とを備える押出し成型機を用いる発火合金の製造方法であって、希土類金属(R)及び鉄(Fe)を含むライター用発火合金の合金溶湯を、RとFeとを主成分とする金属間化合物相の結晶粒の平均粒径が、10μm以上で、且つ前記ダイスに設けた通路の最小孔径の2倍長さ以下となる条件で、
    鋳型に鋳込み合金ビレットとする工程(a)と、前記押出し成型機において、前記ダイスに設けた通路が複数であり、且つ各通路の最小孔径部分における水平断面の総面積(S1)に対する前記保持部材に設けた貫通縦穴の水平断面積(S2)の割合((S2)/(S1))が8〜
    100であって、前記複数の通路の入口開口をダイス上面に略均等に配置した押出し成型機を用い、該押出し成型機のダイス上面及び保持部材の貫通縦穴の内側面により仕切られた空間に、工程(a)で得られた合金ビレットを載置し、前記押圧部材により合金ビレットを押圧することによって、前記ダイスに設けた複数の通路に合金ビレットを同時に通過させて押出し成型しロッド状合金にする工程(b)と、前記ロッド状合金を所定長さに切断する工程(c)とを含むライター用発火合金の製造方法が提供される。

    【0009】

    【発明の実施の形態】以下本発明を更に詳細に説明する。 本発明の製造方法は、合金ビレットをロッド状に成型するための鉛直方向に延びる複数の通路の各々が特定な位置関係となるように配設されたダイスと、合金ビレットをダイス上に載置するための貫通縦穴を備える保持部材と、該保持部材に載置される合金ビレットを鉛直方向に押圧して前記ダイスの通路によって押出し成型させるための押圧部材とを備える押出し成型機を用いて行う方法である。 本発明の製造方法では、まず、希土類金属(R)及び鉄(Fe)を含むライター用発火合金の合金溶湯を、RとFeとを主成分とする金属間化合物相の結晶粒の平均粒径が特定の範囲となる条件で、鋳型に鋳込み合金ビレットとする工程(a)を行う。

    【0010】前記合金溶湯は、R及びFeを含むライター用発火合金の原料金属組成の合金溶湯であれば特に限定されず、その組成としては、例えば、希土類金属、
    鉄、マグネシウム、アルミニウム及び珪素を必須に含む組成が挙げられる。 特に、ミッシュメタル71.0〜8
    3.5重量%、鉄15.0〜25.0重量%、マグネシウム0.5〜4.0重量%、アルミニウム0.1〜0.
    2重量%及び珪素0.1〜0.4重量%の範囲で含有する組成等が好ましく挙げられる。 また、合金溶湯の調製は、原料金属の混合物が溶融する温度で溶解しうる方法であれば特に限定されず、公知の方法で行うことができる。

    【0011】工程(a)においては、前記合金溶湯を鋳型に鋳込み合金ビレットとする際の条件を、得られる合金ビレットの断面に観察されるRとFeとを主成分とする金属間化合物相(以下、単に「金属間化合物相」という)、例えばCeFe 2 、CeFe 5等の結晶粒の平均粒径が、10μm以上で、且つ前記ダイスに設けた通路の最小孔径の2倍長さ以下、好ましくは前記最小孔径以下となる条件とする必要がある。 ダイスに設ける通路の最小孔径は通常、1.8〜11mm程度であるので、前記金属間化合物相の結晶粒の平均粒径は、通常、10〜5
    000μmの範囲から選択される。 このような金属間化合物相により押出し成型することにより得られる発火合金中の断面に観察されるRとFeとを主成分とする金属間化合物相の結晶粒の平均粒径は、後述するダイスに設けられた複数の通路のいずれの通路から得られる発火合金も、通常、10〜400μmの範囲であり、着火性の良好な発火合金が得られる。 得られる合金ビレット中の前記金属間化合物相の結晶粒の平均粒径が10μm未満では、得られる製品の着火性に問題が生じ、一方、平均粒径が、通路の最小孔径の2倍長さを超える場合には、
    合金ビレットを押出す際の圧負荷が増大し、押出しが困難となる他、押出されるロッド状合金中に含まれる前記金属間化合物相の偏析が大きくなるため、前記複数の通路から押し出されてくるロッド状合金の組織にバラツキが生じ易く、着火性が低下すると共に、得られるロッド状合金の表面が荒れて外観不良の発生率が高くなり、
    結果として不良品発生率が高くなり、本発明の目的とする生産効率が低下する。 ここで、通路の最小孔径とは、
    通路の入口から出口までの通路の孔径のうち最小のものであり、通路の入口から出口までのどの部分においても孔径が一定の場合は、その孔径を最小孔径と定義する。

    【0012】前記合金溶湯から合金ビレットを得る際の条件は、合金ビレット中の前記金属間化合物相の結晶粒が前述の特定平均粒径となる条件であれば特に限定されず、例えば、鋳型の材質や形状を選択し、合金ビレット鋳造時の合金溶湯の温度や、鋳型の温度等を制御する方法、得られた合金ビレットを後述する工程(b)に供する前に熱処理する工程を採用する場合には、該熱処理温度と時間とを制御する方法又はこれらの組合わせによる通常の合金内の結晶粒径の制御方法に基づいて条件を適宜選択すれば良い。 例えば、合金溶湯を鋳型に鋳込む際の該鋳型を、好ましくは400〜800℃、特に好ましくは500〜700℃の範囲に加熱する方法等により前記平均粒径を特定の範囲に制御することができる。

    【0013】本発明の製造方法では、次に、前記特定の押出し成型機のダイス上面及び保持部材の貫通縦穴の内側面により仕切られた空間に、工程(a)で得られた合金ビレットを載置し、前記押圧部材により合金ビレットを押圧することによって、前記ダイスに設けた複数の通路に合金ビレットを同時に通過させて押出し成型しロッド状合金にする工程(b)を行う。 この工程(b)において用いる押出し成型機を、以下に図面を参照して説明するが、
    この図面の形状等に本発明に用いる押出し成型機が限定されるものではない。

    【0014】図1は、本発明に用いられる押出し成型機10の概略断面図である。 11は、鉛直方向に延びる複数の通路11aを備える円柱形のダイスを示し、12
    は、円柱形の貫通縦穴を有し、ダイス11を図に示すように円柱形の貫通縦穴中に固定することによって、ダイス11上面と共に、工程(a)で調製した合金ビレットを取り囲む円柱形の空間12aを設けることができる合金ビレットの保持部材としてのコンテナである。 13は、
    円柱形の空間12a内に載置される合金ビレットを、コンテナ12の貫通縦穴に沿って、ダイス11の複数の通路11a内に押圧する押圧部材としてのポンチである。
    また、図2Aは、図1におけるダイス11に設けられた通路11aの1つを上方から見た平面図であり、図2B
    は図2Aで示す通路11aの垂直断面図である。 図2A
    において、外側の円は、ダイス11の上面側に位置する入口開口部分に相当する通路区間の平面図を示し、内側の円は通路11a内における最小孔径を有する区間に相当する通路区間の平面図を示す。 図2Bにおいて、20
    は通路11aの入口開口部分に相当する区間の垂直断面図で表される通路区間(以下「アプローチ部」という)
    であり、21は、通路11aの最小孔径を有する区間に相当する垂直断面図で表される通路区間(以下「ベアリング部」という)であり、22は、通路11aにおける前記最小孔径を有する区間の終わりから出口部分までの孔径が広がる区間に相当する垂直断面図で表される通路区間(以下「逃げ部」という)である。

    【0015】ダイス11に設けられた複数の通路11a
    は同様な構造のものであり、通路内の径は一定であっても良いが、合金ビレット押出し時の通路内壁と合金ビレットとの摩擦力を少なくし、得られるロッド状合金外表面にささくれ等が発生しないように、また、得られる発火合金中のRとFeとを主成分とする金属間化合物相の結晶粒の平均粒径が小さくなり過ぎないように、図2B
    に示すアプローチ部(20)、ベアリング部(21)及び逃げ部(22)の構造を有する通路の採用が好ましい。 特に、最小孔径を有する区間に相当するベアリング部(21)の全長が短い方が望ましい。

    【0016】図3及び図4は、ダイス上面に略均等に配置した複数の通路の入口開口の例示を示す平面図であって、図3は通路が19個設けられた場合の通路の配置関係を説明するための図であり、図4は通路が37個も受けられた場合の例示である。 図3及び図4において、3
    0及び40は、ダイス径を示し、31及び41は、コンテナ12に備えられた円柱状の貫通縦穴の内径を示す。
    本発明の工程(b)において用いる押出し成型機において、ダイス11に設けられた各通路の最小孔径部分における水平断面(図2Aにおける内側円の面に相当する)
    の総面積(S1)に対するコンテナ12に設けた貫通縦穴の水平断面積(S2)(図3及び図4における31、
    41で示される円の面の面積に相当)の割合((S2)
    /(S1))(以下「加工比」という)が8〜10
    0、、好ましくは8〜50、特に好ましくは8〜35である。 加工比が、8未満ではダイスの強度が小さくなり、押出し時にダイスが壊れる等のトラブルが発生する。 一方、加工比が100を超える場合には、合金ビレットの押出し量が少なくなり、生産性が低下する他、ロッド状合金の製造速度が速くなるため、得られるロッド状合金中の結晶粒径が小さくなり、着火性が悪くなる。

    【0017】また、本発明の工程(b)において用いる押出し成型機においては、ダイスに設けられる鉛直方向に延びる複数の通路の配置は、複数の通路の入口開口をダイス上面に略均等に配置する必要がある。 この配置が不均一の場合には、この通路によって得られるロッド状合金が螺旋状に曲がったり、ダイス最外郭に近い通路における押出し作業性が低下したり、得られるロッド状合金の外観や着火率が劣り、不良品発生率が多くなり、結果として生産効率の向上につながらない。

    【0018】前記通路の入口開口がダイス上面に略均等に配置されているとは、例えば、前記ダイス上面における隣合う各通路の開口の中心を結ぶ線分の垂直二等分線同士によって1つの通路を囲むように描かれる面(例えば図3のダイス中心に位置する通路及びその回りの通路を囲む点線で囲まれた部分)(以下「通路取り囲み面X」という)、及び前記垂直二等分線同士と前記コンテナ(保持部材)に設けた貫通縦穴の内側面下辺とによって1つの通路を囲むように描かれる面(例えば図3の貫通縦穴内壁31と点線で1つの通路を取り囲んだ部分)
    (以下「通路取り囲み面Y」という)のうち、最大面積を(S3)、最小面積を(S4)とした場合、R1=
    (S3)/(S4)の式で示されるR1の値が3以下、
    好ましくは2以下、特に好ましくはR1の値が1に近い値であり、且つ前記通路取り囲み面X、及び前記通路取り囲み面Yの全てにおいて、各面中における通路の開口中心から、該面を囲む垂直二等分線又は前記保持部材に設けた貫通縦穴の内側面下辺までの最大距離を(D
    1)、最小距離を(D2)(例えば図3参照)とした場合、R2=(D1)/(D2)の式で示されるR2の値が5以下、好ましくは3以下、特に好ましくはR2の値が1に近い値(但しR2>1)となるように、前記ダイスに開口する複数の通路の入口を配置するのが好ましい。

    【0019】更に好ましくは、前記R1及びR2を充足すると共に、前記通路取り囲み面X、及び前記通路取り囲み面Yの各々の面内に存在する通路の開口の位置が、
    各々の面に存在する開口の中心を通る線分によって各々の面をそれぞれ分割して得られる2つの面の面積比(以下「R3」という)が如何なる場合にも全て3以下、特に1に近い値(但しR3>1)となる位置に通路の開口が位置していることが好ましい。

    【0020】要するに、前記R1、R2及びR3の値が全て1に近い値になる場合が、通路を中心として、図3
    に示される円31内の点線同士、並びに円31内の点線と円31の弧とにより囲まれる面の形状及び面積が類似し、略均等な配置となる。 各通路の配置を略均等とする必要があるのは、合金ビレットをダイス上面に載置した場合、図3に示される前記通路取り囲み面X、及び前記通路取り囲み面Yの各々の面内上方に位置する合金ビレットがその面積内にある1つの通路から押し出されるため、この面積を類似させ、しかも形状を相似形にすることによって、ダイス中心部に位置する通路とコンテナの貫通縦穴内壁近くの通路とにおける合金ビレットの押出し速度、押出し量のバランスがとれ、どの通路からも外観及び着火性に優れる発火合金が得られるからであり、
    更には押出し作業性にも優れるからである。

    【0021】本発明の工程(b)においては、例えば、図1に示す押出し成型機10の円柱形の空間12a内のダイス11上面に工程(a)で調製した合金ビレットを載置し、ポンチ13で押圧することによってロッド状合金に押出し成型する。 押出し成型時の円柱状空間12aの温度、即ち押出し時の合金ビレットの温度は、好ましくは350〜700℃、特に好ましくは得られる発火合金の着火率を向上させるために500〜700℃の範囲に制御するのが望ましい。 合金ビレットの押出し時の温度が350℃未満では、押出し圧力が大きくなるため押出し作業性が低下し、一方、700℃を超える場合には、押出し成型時に得られるロッド状合金が自重を支えきれずちぎれてしまう恐れがあるので好ましくない。

    【0022】前記ポンチの押圧力は、適宜選択することができるが、ダイスに設けた複数の通路内に合金ビレットを押出す際の押出し速度が、ダイス中心部に位置する通路であっても、また最外郭に位置する通路であっても、いずれの通路においても押出し速度が10cm/s
    以下、特に2〜10cm/sが好ましい。

    【0023】本発明の製造方法では、前記押出し成型によって押出されたロッド状合金を所定長さに切断する工程(c)を行うことによって、ライター用発火合金を得ることができる。 ロッド状合金を切断する所定長さは適宜選択でき、特に限定されない。

    【0024】本発明の製造方法においては、前記工程
    (a)〜(d)に加えて、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、通常ライター用発火合金の製造において実施する他の工程を追加することができる。 また、得られたライター用発火合金の表面に、更に必要に応じて装飾用塗料、防食用途料等を塗布することも可能である。

    【0025】

    【発明の効果】本発明の製造方法では、合金ビレットを押出し成型するためのダイスに設けた通路を複数にし、
    且つ特定な配置とすると共に、合金ビレット中に存在する、例えばFeCe相の結晶粒の平均粒径を特定なものとして押出し成型するので、一度に複数本のロッド状合金が作製でき、しかもダイス中心部における通路から押出し成型されるロッド状合金と、ダイスの最外郭に位置する通路から押出し成型されるロッド状合金ともに外観や着火性に優れ、不良品発生率も少ないので、生産効率良くライター用発火合金を得ることができる。

    【0026】

    【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

    【0027】 実施例1ミッシュメタル77重量%、鉄20重量%、マグネシウム2.6重量%、アルミニウム0.15重量%、珪素0.25重量%の組成となるように原料金属を混合、溶解して合金溶湯を調製した。 得られた合金溶湯を、50
    0℃に予熱した円柱形の金型に鋳込み、直径30mmの円柱形の合金ビレットを作製した。 合金ビレットの断面を研磨して顕微鏡で観察したところ、FeCe相の平均粒径は815μmであった。 次いで、得られた合金ビレットを図1に示す押出し成型機の貫通縦穴であるコンテナ穴内のダイス上に載置した。 この押出し成型機のコンテナ穴の直径は37mm、ダイスに設けた通路の数は1
    9個、各通路は図2に示すアプローチ部、ベアリング部、逃げ部を備え、通路内の最も狭い部分となるベアリング部の孔径(通路の最小孔径)は19個とも全て2.
    3mm、ダイス上面における通路の入口開口の配置は、
    通路がダイス上面中心部が少なく、外側に向かうほど多くなるように(図3参照)、前述の加工比、R1、R2
    及びR3とが表1に示す値であり、複数の通路が略均等に配置されている。 次にコンテナ内の温度を600℃に保持し、載置した合金ビレットの温度を600℃とし、
    ポンチにより合金ビレットを各通路に同時に押出し、ロッド状合金に成型した。 この押出し成型時のダイス中心部に位置する通路における押出し速度(以下、「押出し速度A」という)及びダイス最外郭に位置する通路における押出し速度(以下、「押出し速度B」という)を測定した。 また、押出し時の作業性、並びに目視によるロッド状合金の外観を観察した。 外観については、ダイス中心部に位置する通路から押出し成型されたロッド状合金(以下「ロッドの外観A」という)及びダイス最外郭に位置する通路から押出し成型されたロッド状合金(以下「ロッドの外観B」という)について観察した。 これらの結果を表1に示す。

    【0028】得られたロッド状合金を6mm長さに切断してライター用発火合金を調製した。 得られた発火合金を、ダイス中心部に位置する通路から得られたもの(以下、「着火率A」という)と、ダイス最外郭に位置する通路から得られたもの(以下、「着火率B」という)とに別け、それぞれをライター石として着火試験を行った。 着火率は、同一条件で1000回着火を行い、着火された回数より求めた。 結果を表1に示す。

    【0029】 実施例2ダイスに設けた複数の通路の位置を、表1に示す加工比、R1、R2及びR3の値となるように変更し、また、実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が822μmの合金ビレットを用いた以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行い、ライター用発火合金を調製した。 また、実施例1で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1に示す。

    【0030】 実施例3実施例1と同一組成の合金溶湯を、700℃に加熱したマグネシアるつぼに鋳込んで、直径30mmの円柱形の合金ビレットを作製した。 この合金ビレットの断面を研磨して顕微鏡で観察したところ、FeCe相の平均粒径は4132μmであった。 この合金ビレットを用いた以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行い、ライター用発火合金を調製した。 また、実施例1で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1に示す。

    【0031】 実施例4実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が8
    10μmである合金ビレットを用い、実施例1で用いた押出し成型機においてダイスに設けた最外郭の通路における押出し速度が8cm/sとなるようにポンチの押圧力を変更した以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行い、ライター用発火合金を調製した。 また、実施例1
    で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1に示す。

    【0032】 実施例5実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が7
    98μmの合金ビレットを用い、コンテナ温度を350
    ℃とし、押出し時の合金ビレットの温度を350℃とした以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行い、ライター用発火合金を調製した。 また、実施例1で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1に示す。

    【0033】 実施例6ダイスに設ける通路の数を3個とし、これらの通路の位置を、表1に示す加工比、R1、R2及びR3の値となるように変更し、また、実施例1と同一組成であり、F
    eCe相の平均粒径が566μmの合金ビレットを用いた以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行い、ライター用発火合金を調製した。 また、実施例1で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1に示す。

    【0034】 実施例7実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が7
    25μmの合金ビレットを用い、図1に示す押出し成型機の貫通縦穴であるコンテナ穴内のダイス上に載置した。 この押出し成型機のコンテナ穴の直径は52mm、
    ダイスに設けた通路の数は37個、各通路は図2に示すアプローチ部、ベアリング部、逃げ部を備え、通路内の最も狭い部分となるベアリング部の孔径(通路の最小孔径)は37個とも全て2.3mm、ダイス上面における通路の入口開口の配置は、通路がダイス上面中心部が少なく、外側に向かうほど多くなるように(図4参照)、
    前述の加工比、R1、R2及びR3とが表1に示す値であり、複数の通路が略均等に配置されている。 次にコンテナ内の温度を600℃に保持し、載置した合金ビレットの温度を600℃とし、ポンチにより合金ビレットを各通路に同時に押出し、ロッド状合金に成型し、その後、実施例1と同様にライター用発火合金を調製した。
    また、実施例1で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1に示す。

    【0035】 比較例1ダイスに設けた複数の通路の位置を、表1に示す加工比、R1、R2及びR3の値となるように不均一とし、
    また、実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が912μmの合金ビレットを用いた以外は実施例1
    と同じ条件で押出し成型を行い、ライター用発火合金を調製した。 また、実施例1で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1に示す。 表1の結果より、ダイス中心部に位置する通路により作製されたロッド状合金及びライター用発火合金は、ライター石として使用できるものであったが、ダイス最外郭に位置する通路により作製されたライター用発火合金は、ライター石として着火率の劣るものであり生産効率が実施例のものに比して低下することが判る。

    【0036】 比較例2ダイスに設けた複数の通路の位置を、表1に示す加工比、R1、R2及びR3の値となるように不均一とし、
    また、実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が1322μmの合金ビレットを用いた以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行い、ライター用発火合金を調製した。 また、実施例1で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1に示す。 表1の結果より、ダイス中心部に位置する通路により作製されたロッド状合金及びライター用発火合金は、ライター石として使用できるものであったが、ダイス最外郭に位置する通路により作製されたロッド状合金にはクラックが発生し、ライター用発火合金とすることができず、生産効率が実施例のものに比して低下することが判る。

    【0037】 比較例3実施例1と同一組成の合金溶湯を、600℃に加熱した水冷銅型に鋳込んで、直径30mmの円柱形の合金ビレットを作製した。 この合金ビレットの断面を研磨して顕微鏡で観察したところ、FeCe相の平均粒径は6μm
    であった。 この合金ビレットを用いた以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行い、ライター用発火合金を調製した。 また、実施例1で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1に示す。 表1の結果より、押出し成型性及び得られたロッド状合金の外観はいずれも良好であったが、着火率が劣り生産性に優れるものではなかった。

    【0038】 比較例4実施例1と同一組成の合金溶湯を、700℃に加熱したマグネシアるつぼに鋳込んで、直径300mmの円柱形の合金ビレットを作成した後、熱処理炉に入れ、600
    ℃で6時間熱処理を行った。 熱処理後の合金ビレットの断面を研磨して顕微鏡で観察したところ、FeCe相の平均粒径は5892μmであった。 この合金ビレットを用いた以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行ったが、押出し時に合金ビレットがダイスに設けた通路を閉塞し、押出し作業が不可能であった。

    【0039】 比較例5実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が6
    88μmである合金ビレットを用い、実施例1で用いた押出し成型機においてダイスに設けた最外郭の通路における押出し速度が13cm/sとなるようにポンチの押圧力を変更した以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行い、ライター用発火合金を調製した。 また、実施例1で行った各測定及び観察も同様に行った。 結果を表1
    に示す。 表1の結果より、押出し作業性は良好であったが、ダイスの最外郭部に設けた通路から押出し成型されたロッド状合金はささくれが発生し、ライター用石に使用できるものではなかった。 従って、生産効率は実施例のものに比して劣るものであった。

    【0040】 比較例6実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が8
    33μmの合金ビレットを用い、コンテナ温度を750
    ℃とし、押出し時の合金ビレットの温度を750℃とした以外は実施例1と同じ条件で押出し成型を行ったところ、ロッド状合金が自重に耐えられず、ある程度の長さでちぎれてしまい、連続的に押し出すことができなかった。

    【0041】 比較例7ダイスに設けた複数の通路の位置を、表1に示す加工比、R1、R2及びR3の値となるように不均一とし、
    また、実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が826μmの合金ビレットを用いた以外は実施例1
    と同じ条件で押出し成型を行ったところ、押出されたロッド状合金が螺旋状に曲がり、外観不良のためライター用石に使用できるものではなかった。

    【0042】 比較例8ダイスに設ける通路の数を3個とし、これらの通路の位置を、表1に示す加工比、R1、R2及びR3の値となるように不均一とし、また、実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が762μmの合金ビレットを用いた以外は実施例1と同じ条件で押出しを行ったところ、押出し時の圧力が増大し、押出しができなかった。

    【0043】 比較例9ダイスに設けた通路の位置を、表1に示す加工比、R
    1、R2及びR3の値となるように不均一とし、また、
    実施例1と同一組成であり、FeCe相の平均粒径が9
    33μmの合金ビレットを用いた以外は実施例7と同じ条件で押出しを行ったところ、押出し時にダイスが破壊されたため、押出しができなかった。

    【0044】

    【表1】

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明に用いることができる押出し成型機の概略断面図である。

    【図2】図2Aは、図1におけるダイス11に設けられた通路11aの1つを上方から見た平面図であり、図2
    Bは図2Aで示す通路11aの垂直断面図である。

    【図3】ダイス上面に略均等に配置した19個の通路の入口開口の例示を示す説明図である。

    【図4】ダイス上面に略均等に配置した37個の通路の入口開口の例示を示す平面図である。

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