動物相および植物相の成長を促進するための方法およびマトリックス

申请号 JP2015557568 申请日 2014-02-13 公开(公告)号 JP6359036B2 公开(公告)日 2018-07-18
申请人 イーコンクリート テク リミテッド; ECOncrete Tech LTD.; 发明人 フィンケル,シムリト; セラ,イド;
摘要
权利要求

コンクリートマトリックスを含む海洋インフラにおいて、前記コンクリートマトリックスが、少なくとも1つのタイプのセメントと、少なくとも1種の骨材である4.75mm未満の微細グレード砂およびまたは0mm超2mm未満の天然骨材もしくは粉砕骨材と、1000百万分率超の塩化物または硫酸塩を含有しない、かつ鉛、銅、亜鉛(<5ppm)、またはリン酸塩(<5ppm)を含まない、上と、を含み、前記コンクリートマトリックスが、水域環境で動物相および植物相の成長を促進すべく使用するために12未満のpHを有し、前記コンクリートマトリックスが、30〜80Mpaの平均圧縮強度、7bar下で5〜50mmの水浸透深さ、および500〜2000クーロンの塩化物浸透抵抗を有することを特徴とする海洋インフラ。請求項1に記載の海洋インフラにおいて、前記pHが11未満であることを特徴とする海洋インフラ。請求項1または2に記載の海洋インフラにおいて、前記pHが9〜10.5であることを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至3の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、前記コンクリートマトリックスの前記pHが前記インフラの頂部の表面材の表面のpHであることを特徴とする海洋インフラ。請求項4に記載の海洋インフラにおいて、前記表面材の厚さが5cm以上であることを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至5の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、水域環境の塩分が0〜45pptであることを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至6の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、前記インフラが少なくとも12の粗さグレードの表面粗さを有することを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至7の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、前記インフラが少なくとも50ミクロンのRA値の表面粗さおよび5〜20mmのRA値の表面テクスチャーを有することを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至8の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、前記コンクリートマトリックスが1100〜2500Kg/m3の単位体積あたりの重量を有することを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至9の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、前記コンクリートマトリックスが1100〜1800Kg/m3の単位体積あたりの重量を有することを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至10の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、前記コンクリートマトリックスが0〜90%のポルトランドセメントを含むことを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至11の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、前記コンクリートマトリックスがマイクロシリカ/シリカヒュームおよびメタカオリンおよび/またはアルミン酸カルシウムセメントの少なくとも1つを含むことを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至12の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、海洋の動物相および植物相が、エンジニア種および生息地形成種およびサンゴおよび濾過摂食生物から選択されることを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至13の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、海洋の動物相および植物相の前記促進により、構造物の表面上への無機物の堆積が促進されて、12ヶ月後、0〜10メートルの深さ範囲で50〜1000gr/m2の値に達することが可能であることを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至14の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、海洋の動物相および植物相の成長の前記促進により、構造物の表面上のクロロフィル濃度が、12ヶ月後、0〜10メートルの深さ範囲で100〜800μgr/m2の値に達することが可能であることを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至15の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、海洋の動物相および植物相の成長の前記促進により、構造物の表面上のサンゴの加入数が、12ヶ月後、0〜10メートルの深さ範囲で、15cm×15cmの表面積あたり5〜25の加入数であることを特徴とする海洋インフラ。請求項1乃至16の何れか1項に記載の海洋インフラにおいて、海洋の動物相および植物相の前記増大により、構造物の表面上の実験室条件下のサンゴの着床率が、1ヶ月後未満で5〜60%であることを特徴とする海洋インフラ。請求項1に記載の海洋建設インフラを提供することを含む、水域環境で動物相および植物相の成長を促進するための方法。

说明书全文

本発明は、陸域環境および域環境で植物相および動物相の成長を促進するための方法を提供する。

このたび開示された主題の背景として妥当であると考えられる参照文献を以下に列挙する。 BULLERI,F.&CHAPMAN,M.G.(2010)The introduction of coastal infrastructure as a driver of change in marine environments.Journal of Applied Ecology,47,26−35. CHAPMAN,M.G.&UNDERWOOD,A.J.(2011)Evaluation of ecological engineering of“armoured”shorelines to improve their value as habitat.Journal of Experimental Marine Biology and Ecology,400,302−313. CONNELL,S.D.&GLASBY,T.M.(1999)Do urban structures influence local abundance and diversity of subtidal epibiota?A case study from Sydney Harbour,Australia.Marine Environmental Research,47,373−387. DUGAN,J.E.,AIROLDI,A.,CHAPMAN,M.G.,WALKER,S.&SCHLACHER,T.(2011)Estuarine and coastal structures:environmental effects.A focus on shore and nearshore structures.IN WOLANSKI,E.,ELLIOTT,M.&DUGAN,J.E.(Eds.)Treatise on Estuarine and Coastal Science:8.Human−induced problems(uses and abuses).New York,Elsevier DYSON,K.L.(2009)Habitat Enhancing Marine Structures: Creating habitat in urban waters.Master of Marine Affairs Thesis.School of Marine Affairs,College of Ocean and Fishery Sciences,University of Washington. GLASBY,T.M.,CONNELL,S.D.,HOLLO WAY,M.G.&HEWITT,C.L.(2007)Nonindigenous biota on artificial structures:could habitat creation facilitate biological invasions?Marine Biology,151,887−895. GOFF,M.(2010)Evaluating Habitat Enhancements of an Urban Intertidal Seawall:Ecological Responses and Management Implications.MSc Thesis University of Washington JAYAKUMAR,S.&SARAVANANE,R.(2010)Biodeterioration of Coastal Concrete Structures by Marine Green Algae.International Journal of Civil Engineerng,8,352−361. JONES,C.G.,LAWTON,J.H.&SHACHAK,M.(1994)Organisms as ecosystem engineers.Oikos,69,373−386. LAM,N.W.Y.,HUANG,R.&CHAN,B.K.K.(2009)Variations in Intertidal assemblages and zonation patterns between vertical artificial seawalls and natural rocky shores:A case study from Victoria Harbour,Hong Kong.Zoological Studies,48,184−195. LI,B.,REEVE,D.E.&FLEMING,C.A.(2005)Design for enhanced marine habitats in coastal structures. Proceedings of the Institution of Civil Engineers−Maritime Engineering,158,115−122. LUKENS,R.R.&SELBERG.,C.(2004)Guidelines for Marine Artificial Reef Materials.A Joint Publication of the Gulf and Atlantic States Marine Fisheries Commissions. NAYLOR,L.A.,VENN,O.,COOMBES,M.A.,JACKSON,J.THOMPSON,R.C.(2011)Including Ecological Enhancements in the Planning,Design and Construction of Hard Coastal Structures:A process guide.Report to the Environment Agency(PID 110461).University of Exeter PERKOL−FINKEL,S.,FERRARIO,F.,NICOTERA,V.&AIROLDI,L.(2012)Conservation challenges in urban seascapes: promoting the growth of threatened species on coastal infrastructures.Journal of Applied Ecology,49,1457−1466. RISINGER,J.D.(2012)Biologically Dominated Engineered Coastal Breakwaters. PhD Thesis,.Department of Biological and Agricultural Engineering.Louisiana State University and Agricultural and Mechanical College. SCOTT,P.J.B.,MOSER,K.A.&RISK,M.J.(1988)Bioerosion of Concrete and Limestone by Marine Organisms:A 13 year Experiment from Jamaica.Marine Polhttion Bulletin,19,219−222. WIECEK,D.(2009)Environmentally Friendly Seawalls:A Guide to Improving the Environmental Value of Seawalls and Seawall−lined Foreshores in Estuaries,Department of Environment and Climate Change NSW on behalf of Sydney Metropolitan Catchment Management Authority. US7,144,196 US6,186,702 US556,436 US2006/147,656

本明細書の以上の参照文献の承認は、これらがこのたび開示された主題の特許性になんらかの関連があることを意味すると推測すべきものではない。

海岸線に沿って生活するヒト集団の約2/3に関しては(Creel,2003)、輸送(港湾)、エネルギー(パイプライン、発電所、掘削装置)、都市化(マリーナ、防潮壁、防波堤など)などの種々の社会的需要を満たす海岸および海洋のインフラ(CMI)の増設が不可避である。現在、地中海の海岸線の>50%は、コンクリート構造物が優位を占め(EEA,1999)、いくつかの地域では、海岸線の90%超で、都市、港湾、および産業の成長が進められてきた(Cencini,1998)。その結果、海岸を補強して自然海岸線を置き換える傾向が継続的に増加している(Bulled and Chapman,2010,Dugan et al.,2011)。

地球全体にわたり沿岸線の補強および防護の優位性が増加しているにもかかわらず、CMI上の種群集に関して、とくにその環境影響に関して、我々の理解は限られている(Connell and Glasby,1999,Dugan et al.,2011)。この知識ギャップにより、都市化海岸環境に対する我々の管理能が著しく損なわれる(Bulled and Chapman,2010)。ポンツーンや防波堤などのCMI上での海洋生物の成長を調べた数少ない研究では、近接する自然生息地とは大きく異なる群集が見いだされた(たとえば、Connell,2000,Lam et al.,2009)。CMI上で発生する群集は、典型的には、自然群集ほど多様性がなく、通常、迷惑種および侵入種が優位である(Glasby et al.,2007)。これは、CMIのユニークな物理的特性、主に、組成およびデザインが原因であることがほとんどである。CMIは、表面の複雑性を最小限に抑えた急傾斜均一表面を含むことが多いので、潮間域が狭域に圧縮され、高耐性種のみが支援されることになる(Chapman and Underwood,2011)。さらに、CMIの50%超は、ポルトランドセメントで作製されている。このポルトランドセメントは、生物加入に関して貧基質として知られており、その理由は、おそらく、表面のアルカリ性が高いこと(海水のpH約8に対してpH約13)および海洋生物に有毒な化合物が存在することである(Lukens and Selberg.,2004,EBM,2004)。したがって、自然生息地により提供されるものに類似した生態系サービスを提供するCMIの能力は、大幅に損なわれ、ほとんどの都市/産業の海岸環境は、環境活動との関連では犠牲域と考えられる。

過去数年間、CMIの生物学的および生態学的な価値を向上させるために生態工学の原理(Bergen et al.,2001)を利用したさまざまな方法が出現してきた(たとえば、Li et al.,2005,Naylor,2011)。これまで、デザインまたはテクスチャーの側面に重点を置いた向上手段は、より豊富かつ多様な自然群集を引き寄せて生態学的および構造的な利点を得ることをめざした(Wiecek,2009,Goff,2010,Dyson,2009)。これらの利点は、主に、生物起源の堆積、すなわち、カキ、カンザシゴカイ、フジツボ、およびサンゴのようなエンジニア種が硬質表面上に炭酸カルシウム(CaCO3)骨格を堆積することにより種々の生物に価値ある生息地を形成する(Jones et al.,1994)と同時に構造の強度および安定性にも寄与する(Risinger,2012)自然過程に関連付けられる。それにもかかわらず、CMIの組成を改変して生態系エンジニアなどの生態学的価値を有する種に有利になるように試みた研究は、少ない。

本出願の発明者らは、組成およびデザインの両方を対象とする統合方法を提供する。このために、自然生物群集を増大させると同時に依然として海洋建設の公式要件を遵守することをめざして、一連の5つの革新的コンクリートマトリックスを試験した。新しいマトリックスは、ポルトランドセメントと比較して低減されたアルカリ性を有し、混合物中のポルトランドセメントの優位性を減少させる種々の添加材を含むので、海洋生物にとってより好適なものとなる可能性がある。それに加えて、生物発生を促進することが知られている表面の複雑性の増加の影響およびそれとコンクリートマトリックスとの相互作用を試験した(Perkol−Finkel et al.,2012およびそこに記載の参照文献)。

本明細書の以下に詳述されているのは、熱帯(紅海)および温帯(地中海)の両方の環境で標準的ポルトランドセメントと比較して革新的コンクリートマトリックスの生物学的性能を評価した1年間にわたる実験の結果である。一連の長期にわたる野外実験および制御された実験室試験を用いて、組成および複雑性の影響を実験的に評価した。標準的ポルトランドセメントと比較して、異なるコンクリートマトリックスは、異なる種群集(標的種の群集、バイオマス、および加入能力に関して)の異なる加入を示した。それに加えて、表面の複雑性の増加は、自然生物群集の成長の増大および生態系エンジニアによる炭酸カルシウムの堆積をもたらした。コンクリートの組成およびデザインのわずかな改変により、海洋の動物相および植物相の増大を支援して価値ある生態系サービスを提供するコンクリート系CMIの能力を改善可能であることが、結果から示唆される。そのような自然生物群集の増大は、コンクリートの耐久性を損なわないどころか、重量増加および生物保護を介して、経時的に物理的保護を提供可能である。

本発明は、水域環境で動物相および植物相の成長を促進すべく使用するための、12未満のpHを有するコンクリートマトリックスを含む請求項1に記載の海洋インフラを提供する。

さらなる態様では、本出願は、12未満のpHを有するコンクリートマトリックスで構成された請求項1に記載の海洋建設インフラを提供することを含む、水域環境で動物相および植物相の成長を促進するための方法を提供する。

「水域環境」が参照される場合、限定されるものではなく、海洋(海洋域、底生域、潮間域、浅海域、河口域、塩性沼沢、サンゴ礁、ラグーン、およびマングローブ沼地を含む)ならびに淡水(静水、動水、湿地、および池を含む)を含めて、任意のタイプの水域が包含されることを理解すべきである。この用語は、任意の温度、年間の任意の時期または天候条件、および任意の流速における、任意の深さの前記水域環境を意味する。

「動物相および植物相」が参照される場合、関係する水域環境生態系に典型的な任意のタイプの植物、生物、または動物が包含されることを理解すべきである。

いくつかの実施形態では、海洋の動物相および植物相は、次のもの、すなわち、(i)方解石骨格を堆積することにより構造物の構造複雑性を増大させて他の生物のための生息地を形成するエンジニア種、たとえば、サンゴ、カキ、カンザシゴカイ、サンゴモ、およびフジツボ、(ii)濾過器官を用いて摂食すると同時にその過程で水から栄養素および有機粒子を取り込む濾過摂食生物、たとえば、カキ、イガイ、被嚢動物、およびスポンジ、(iii)岩内生/岩表生の藍藻、コンクリート表面が水レベルを超える特定の場合にはさらに、地衣類、菌類、および蘚類、の少なくとも1つを含む。

「動物相および植物相の成長の促進」が参照される場合、水域環境生態系ですでに成長しているかまたは成長可能であるかのいずれかである動物相および植物相の安定性、成長、健康、および繁殖の任意の定性的または定量的な促進、増大、補強、防御、強化、支援、加入、または支援が、当技術分野で公知の任意のパラメーター(個体または種の数、生活環、成長物または表面の被覆率など)により測定可能であることが包含されることを理解すべきである。

いくつかの実施形態では、海洋の動物相および植物相の前記促進により、前記構造物の表面上への無機物の堆積が促進されて、12ヶ月後、1〜10メートルの深さ範囲で約50〜1000gr/m2の値に達することが可能である。一方、前記構造物の表面上のクロロフィル濃度は、12ヶ月後、1〜10メートルの深さ範囲で約100〜800μgr/m2の値に達することが可能である。

他の実施形態では、海洋の動物相および植物相の前記促進により、12ヶ月後、前記構造物の表面上へのサンゴの加入数が、1〜10メートルの深さ範囲で15×15の表面積あたり約5〜25の加入数になり、<1ヶ月後、前記構造物の表面上への実験室条件下でのサンゴの着床率が約5〜60%になる。

「海洋建設インフラ」という用語は、海岸防御構造物、たとえば、防波堤、防潮壁、護岸、および防砂堤、隔壁、埠頭、停泊地、および関連インフラ、たとえば、港湾、マリーナ、ウォーターフロント、プロムナードなどを含めて、海洋建設に好適であることが明らかな任意のタイプ、形状、またはサイズのインフラが包含されることを理解すべきである(http://ia600208.us.archive.org/14/items/shoreprotectionm01unit/shoreprotectionm01uriit.pdf中のArmy corps−SHORE PROTECTION MANUALをも参照されたい)。そのような海洋建設インフラの例としては、強化防潮壁、防護ユニット、潮溜り、パイル、橋梁基礎、海側バーム、コンクリートマットレス、水中ケーブルおよびパイプケーシング、係留ユニットが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

「コンクリートマトリックス」という用語は、典型的には、少なくとも1つのタイプのセメント(たとえば、ポルトランドセメント、アルミン酸カルシウムセメントなど)と、少なくとも1種の骨材(たとえば、石灰石、青石など)の砂(4.75mm未満の微細グレード骨材およびまたは0〜2mm未満の天然骨材もしくは粉砕骨材)と、水(飲料に適したもので、1000百万分率超の塩化物や硫酸塩を含有せず、鉛、銅、亜鉛(<5ppm)、リン酸塩(<5ppm)などの有害物質を含まないものとする)と、を含むコンクリート組成物を意味する。

さらなる態様では、本発明は、12未満の表面pHを有するコンクリートマトリックスで構成されたインフラを提供することを含む、岩内生および岩表生の植物相の成長を促進する方法を提供する。そのようなインフラはまた、地中海生物活性陸域構造物(すなわち、水レベルを超えるが、自然系と同様に陸域植物相の成長を促進するのに十分な湿度および降水を有する生物活性構造物)でありうることに留意すべきである。

「岩内生および岩表生の植物相」という用語には、地衣類、菌類、蘚類、さらには藍藻が包含されることを理解すべきである。

そのような岩内生および岩表生の植物相は、十分な湿度および降水を有する陸域環境で成長可能であることに留意すべきである。

いくつかの実施形態では、本明細書の以上に挙げられたそのようなインフラは、内陸建築物の迅速植物壁被覆を誘導するように設計された「生物活性壁」部材である。緑色植物被覆は、都市景観を有意に改良し、清浄かつ健康的な空気を提供し、しかも都市開発のエコロジカルフットプリントを低減する。壁基質の物理的および化学的な性質は、成長の支援および増大を行うその能力に強い影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、そのような生物活性壁構造物は、壁付着植物、岩内生藻類、地衣類、および蘚類の自然成長を誘導する。いくつかのさらなる実施形態では、前記生物活性壁構造物は、複雑な土壌系を必要とすることなく、植物相を支援する湿潤ニッチの形成を可能にする、高い複雑性および多孔性を有する。

その態様の他の一実施形態では、本発明は、12未満のpHを有するコンクリートマトリックスで構成された構造物を提供することを含む、岩内生および岩表生の嫌気性および好気性の植物相および動物相の成長を促進する方法を提供する。

いくつかの実施形態では、本明細書の以上に挙げられた前記構造物は、「ライブロック」構造物、すなわち、分離された閉じた海洋環境、たとえば、水槽(たとえば、塩水の水槽)中に配置された本発明に係る構造物である。そのようなライブロック構造物は、塩水の水槽の愛好家により望まれる多くの利点を閉じた海洋環境に付与する。本発明に係るライブロック構造物は、廃物を処理する窒素循環に必要とされる好気性および嫌気性の両方の硝化細菌をホストする優れた生物学的濾過器を提供する。したがって、前記ライブロックは、塩水の水槽の主要な生物学的硝化基質または生物学的濾過器になる。そのほかに、本発明に係るライブロック構造物はまた、水の化学性に対して、特定的には、炭酸カルシウムの放出により一定のpHを維持する支援に対して、安定化効果を有しうる。さらに、ライブロック構造物は、水槽の装飾部材であり、かつ生息動物のための隠れ家を提供する。

岩内生および岩表生の嫌気性および好気性の植物相および動物相、たとえば、硝酸菌、硝化細菌などの成長を促進することに留意すべきである。

いくつかの実施形態では、前記コンクリートマトリックスは、約11未満のpHを有する。他の実施形態では、前記コンクリートマトリックスは、約9〜約10.5のpHを有する。

いくつかの実施形態では、前記コンクリートマトリックスの前記pHは、実質的に全コンクリートインフラのpHである。他の実施形態では、前記コンクリートマトリックスの前記pHは、前記インフラの実質的に頂部表面のpHである。そのほかのさらなる実施形態では、前記頂部表面の厚さは、約5cm以上である。

いくつかの実施形態では、前記水域環境の塩分は、約0〜45pptである(すなわち、塩分は、0、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45pptでありうる)。

植物相および動物相の増大は、十分な光に暴露される領域すなわち有光層(0〜100メートルの最大深さ)および海底から飛沫域までの領域、または陸域植物相を支援する生物活性構造物ではそれよりも上の領域における、水域環境を対象とする。

いくつかの実施形態では、前記インフラは、少なくとも12の粗さグレードの表面粗さを有する。他の実施形態では、前記インフラは、少なくとも50ミクロンのRA値を有する。それに加えて、前記インフラは、5〜20mmのRA値の表面テクスチャーを有する。

いくつかの他の実施形態では、前記コンクリートマトリックスは、単位体積あたりの重量が約1100〜約2500Kg/m3である。そのほかのさらなる実施形態では、前記コンクリートマトリックスは、単位体積あたりの重量が約1100〜約1800Kg/m3である。

さらなる実施形態では、前記コンクリートマトリックスは、ポルトランドセメント重量の0〜約90%の重量でまたはそれを完全に置き換えて、添加材およびセメントを含む。

他の実施形態では、前記コンクリートマトリックスは、少なくともの1種のマイクロシリカ/シリカヒュームおよびメタカオリンおよびアルミン酸カルシウムセメントを含む。いくつかの実施形態では、マトリックス中のポルトランドセメントの任意の等価重量%の量を置き換えるべく、上述のシリカおよび/またはメタカオリンおよび/またはカルシウムアルミナセメントがコンクリートマトリックスに添加される。

いくつかのさらなる実施形態では、前記コンクリートマトリックスは、約30〜80Mpa(すなわち、約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80Mpa)の平均圧縮強度を有する。(ASTM C39(AASHTO T22))

いくつかのさらなる実施形態では、前記コンクリートマトリックスは、7barの圧力下で約5〜50mm(すなわち、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50mm)の水圧浸透抵抗を有する。(EN12390−8)

他の実施形態では、前記コンクリートマトリックスは、約500〜2000クーロン(すなわち、約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000クーロン)の塩化物浸透抵抗を有する。(ASTM c1202)

次に、本明細書に開示された主題の理解を深めるためにおよびそれを実際にどのように実施しうるかを例証するために、添付の図面を参照しながら実施形態を説明するが、ただし、これらに限定されるものではなく、単なる例であるにすぎない。

図1は、配置の3ヶ月後(それぞれ、Red3、Med3で示される)、6ヶ月後(それぞれ、Red6、Med6で示される)、および12ヶ月後(それぞれ、Red12、Med12で示される)に対応する2つの野外試験地(紅海=四、地中海=三角)の群集データの2D−MDSを示している。各点は、1つのタイル(プールされたタイル面)を表す。

図2は、典型的な群集データの2D−MDSを示している。各点は、1つのタイル(プールされた面)を表す。紅海の例では、配置の6ヶ月後、プロットの右側に本発明に係る種々のコンクリートマトリックス(それぞれ、M1、M2、M3、M4、M5で示される)が示され、左側にクラスターを形成したポルトランドセメントタイルが示される。

図3A〜3Bは、ポルトランドセメントと比較して、本発明に係る種々の革新的コンクリートマトリックス(それぞれ、M1、M2、M3、M4、およびM5で示される)上における配置の3、6、および12ヶ月後(それぞれ、3M、6M、および12Mで示される)の生物被覆パーセントの模式的比較を提供する。図3Aは、紅海(Redで示される)における生物被覆を提供する。図3Bは、地中海(Medで示される)における生物被覆を提供する。実線は、平滑タイル面(Sで示される)を表し、点線は、テクスチャー面(Tで示される)を表す。

図4A〜4Cは、本発明に係るコンクリートマトリックス上への底生生物の典型的な加入を示している(紅海における配置の6ヶ月後のM4の例)。図4Aは、完全に100%被覆されたテクスチャー面を示している。図4Bは、限定さたれ加入を有する同一タイルの平滑面を示している。図4Cは、群集データの2D−MDSを示している。各点は、1つのタイル面(テクスチャー面=四角、平滑面=丸)を表す。紅海におけるタイルの例では、配置の6ヶ月後、テクスチャータイル面(上側)と平滑タイル面(下側)との分離が示される。

図5A〜5Bは、配置の6および12ヶ月後(それぞれ、6Mおよび12Mで示される)、ポルトランドセメントと比較して、本発明に係るコンクリートマトリックス(それぞれ、M1、M2、M3、M4、およびM5で示される)上に蓄積された有機(点線、Oで示される)および無機(実線、Iで示される)のバイオマスの模式的比較を提供する。図5Aは、紅海(Redで示される)における比較を示している。図5Bは、地中海(Medで示される)における比較を示している。

図6は、ポルトランドセメントと比較して、地中海(Medで示される)および紅海(Redで示される)の試験地における配置の6ヶ月後(6Mで示される)および12ヶ月後(12Mで示される)の本発明に係るコンクリートマトリックス(それぞれ、M1、M2、M3、M4、およびM5で示される)上のクロロフィルa濃度の模式的比較を提供する。

図7A〜7Bは、配置の3ヶ月後(3Mで示される)、6ヶ月後(6Mで示される)、および12ヶ月後(12Mで示される)、ポルトランドセメントと比較して、本発明に係るコンクリートマトリックス(それぞれ、M1、M2、M3、M4、およびM5で示される)上へのサンゴの加入数の模式的比較を提供する。値は、コンクリートマトリックス(タイルおよびプールされたタイル面)1つあたりの全加入数を表す。図7Aは、ソフトサンゴの加入数を示している。図7Bは、イシサンゴの加入数を示している。

図8A〜8Cは、ポルトランドセメントと比較して、本発明に係るコンクリートマトリックス(それぞれ、M1、M2、M3、M4、およびM5で示される)上へのD.ヘンプリキ(D.hemprichi)断片の自然付着(図8A)、H.フセッセンス(H.fuscescens)幼生の着床(図8B)、およびB.ネリチナ(B.neritina)幼生の着床(図8C)の模式的比較を提供する。

図9は、M4タイルで示される本発明に係るコンクリートマトリックス上に蓄積された生物起源方解石成長物で構成されたスクレープ材料を示している(配置の3ヶ月後の図)。

材料および方法 野外実験 5つの異なるコンクリートマトリックスの加入能力(植物相および動物相の両方に関して)を標準的ポルトランドセメントと比較して試験した。試験されたマトリックスはすべて、30〜50MPaの圧縮力を耐えるので、海洋建設のさまざまな要件を満たす(「コンクリートマトリックスの作製」の節を参照されたい)。加入に及ぼすコンクリート組成の影響を試験する以外に、海洋の植物相および動物相の加入に及ぼす表面テクスチャーの影響、すなわち、平滑表面対テクスチャー表面を試験した。Inter University Institute in Eilatに位置する紅海の熱帯環境およびIsraelのAshdod近郊の地中海の温帯水域で、同時に加入を試験した。

15×15×4cmのコンクリートタイルを野外実験に使用した。約2.5kgの重量の各タイルは、1つの平滑面および1つをテクスチャー面を有していた。プラスチックフォームライナーを用いてテクスチャーを形成し、サンゴポリプ様テクスチャーを作製した。5つの各試験マトリックス(M1〜M5)およびポルトランド対照に対して、10個のレプリケートを作製した。マトリックス組成を明らかにしないID番号(1、2、3…)を各タイルにタグ付けした。各タイル番号に対するマトリックスタイプを独立に列挙して「盲検」サンプリングを可能にし(すなわち、調査者は、それらのコンクリート組成を知ることなくタイルをサンプリングした)、データ収集の偏りを排除した。海に配置された金属メッシュテーブル上にタイルを載せた。紅海の試験地では、タイルを10mの深さに配置し、一方、地中海の試験地では、より浅い海底条件のため、6mの深さに配置した。テクスチャー面を海側に向けて、種々のマトリックスのタイルをメッシュテーブル上にランダムに置いた。

配置の3、6、および12ヶ月後、各マトリックスの5つのタイルをサンプリングした。各モニターイベントで、タイルを海から一時的に取り出して、完全に浸漬した状態で実験室に移動した。解剖顕微鏡を用いて各タイルの両面を注意深く検査し、写真撮影し、サンプリングし、その後、再配置した。Perkol−Finkel et al.(2008)に従って、1×1cmグリッドを用いて、各タイル面上の加入タクソンの被覆の定量を行った。記載のデータには、タクソン組成、コロニー生物(コケムシ、被嚢動物、およびスポンジ)の被覆パーセント、および単生生物(被嚢動物、二枚貝、およびフジツボ)の数が含まれていた。個体としてカウントできなかったタクソン(すなわち、カンザシゴカイのクラスター)または密度が異なるタクソン(芝状藻およびサンゴモ)を次のようにランク付けした。0−不在、1−疎分布、2−密分布、および3−密均一。

それに加えて、配置の6および12ヶ月後のモニタリング時、Perkol−Finkel et al.(2006)に従って、各タイルの平滑面の1/4から注意深くすべての底生生物および藻類をスクレープすることにより、クロロフィル濃度およびバイオマス(有機および無機の乾燥重量)を測定した。Greenberg(1995)に従ってクロロフィル含有率分析を行うために、各平滑面の1/4をさらにサンプリングした。

データ解析には、有機および無機のバイオマス、クロロフィル濃度、および生物被覆パーセントに対するユークリッド距離類似度指数に基づく単変量1元配置PERMONOVA検定、さらにはブレイ・カーティス類似度指数に基づくパラメトリックPERMANOVA検定によるタクソン群集の多変量データ解析が含まれていた。それに加えて、妥当な場合、事後ペアワイズ検定を適用した。2D−MDSプロットを用いて多変量データで傾向をグラフに表した。PRIMER/PERMANOVAプログラム(Anderson et al.,2008,Clarke and Gorley,2006)を用いて、すべての解析を行った。図中のデータは、とくに異なる記載がないかぎり、平均±SEとして提示される。

実験室実験 標準的ポルトランドセメントのものと比較して、5つの異なるコンクリートマトリックスの加入増大能力を定量するために、in−vitro実験室実験を行った。これらには、2つのソフトサンゴ種、すなわち、ヘテロキセニア・フセッセンス(Heteroxenia fuscescens)およびデンドロネフチア・ヘンプリキ(Dendronephthya hemprichi)、さらには濾過摂食コケムシブグラ・ネリチナ(Bugula neritina)の幼生が含まれていた。実験室でコロニーをインキュベートすることによりH.フセッセンス(H.fuscescens)およびB.ネリチナ(B.neritina)の幼生採取を行い、一方、D.ヘンプリキ(D.hemprichi)については、シーザーを用いて成体コロニーから手作業で微小断片を作製した。着床過程がより遅いため実験開始の1ヶ月後に検査されたH.フセッセンス(H.fuscescens)の着床以外は、実験開始の1週間後に幼生/断片の着床をモニターした。モニター時、各キューブ上に着床された幼生/断片の数を決定した。

試験ユニットは、ポルトランドセメント対照と比較して野外で試験された5つのマトリックス(M1〜M5)に対応する2.5×2.5×2.5cmのコンクリートキューブからなっていた。各実験時、各マトリックスの5〜8個のレプリケート(幼生入手可能性に依存する)を試験した。このために、新しい流海水が充填された個別の250mlビーカー内に各コンクリートキューブを配置して、順化のために3日間放置した。順化後、ユニークな番号の幼生を各ビーカーに添加した。各ビーカーに導入された幼生の数は、幼生入手可能性に応じて異なり、ビーカー1つあたり最小5個〜ビーカー1つあたり最大40個の範囲内の幼生であった。水温を自然条件のものに類似した状態に維持した。良好な循環を有する流水テーブル中にビーカーを完全に浸漬された状態で配置した。移動幼生を検査する場合、幼生の初期着床(典型的には24〜72時間)までビーカーをその高さの3/4まで流水系内に浸漬し、その後、それを完全に浸漬した。

データ解析には、ユークリッド距離類似度指数に基づく単変量1元配置PERMONOVA検定、およびPRIMER/PERMANOVAプログラムを用いた事後ペアワイズ検定が含まれていた(Anderson et al.,2008、Clarke and Gorley,2006)。

コンクリートマトリックスの作製 この研究で試験されたマトリックスは、混合物中のポルトランドセメントの量、他のセメントの使用、空気含有率、および添加ミキサーがさまざまである。亀裂防止用25mmマイクロファイバーをすべてのマトリックスに組み込んだ。マトリックスを80リットル水平ミキサーにより混合し、プラスチックフォームライナーを用いて10×60×160cmフォーム内にキャストした。28日後、ウォータージェットマーブルソーによりコンクリートシートを15×15cm実験タイルにカットした。フォームライナーをフォームの底面にのみ適用したので、各タイルは、1つテクスチャー面および1つの平滑面を有していた。

圧縮強度−ASTM C39(AASHTO T22)、水圧浸透抵抗−EN12390−8、塩化物イオン浸透抵抗−ASTM C1202−12を含めて、ASTM規格またはEN規格に準拠して、すべてのマトリックスを試験した。コンクリート表面上の深さ0.5cmのドリル孔から5grのドリル加工残渣を捕集し、それを50mlの蒸溜水(pH7)中に混合することにより、コンクリートのpH値を検査した。試験されたコンクリートマトリックス(M1〜M5)はすべて、ポルトランドセメント系混合物よりも低いpH値を示した(それぞれ、12.5〜13.5と比較して9〜10.5、表1)。圧縮強度に関して、M1〜M5は、ポルトランドセメント系混合物のものと類似のまたはそれよりも大きい強度を有し、値は39.3MPa(M2)程度に達する。高い空気含有率を有するM4およびM5を除くすべてのマトリックスは、類似の密度(2300〜2500kg/m3)を有するポルトランドセメント系混合物よりも高い塩化物イオン浸透抵抗(<1500クーロン)および水圧浸透抵抗(<20mm)を呈した。

結果 野外実験 群集データの統計解析から、場所(紅海対地中海:df=1、擬f=177.47、P=0.001)、配置後の月数(3、6、12m:df=2、擬f=83.38、P=0.001)、マトリックスタイプ(M1〜M5、ポルトランド:df=5、擬f=2.45、P=0.001)、およびプレート面(平滑対テクスチャー:df=1、擬f=11.12、P=0.001)の間で種群集の有意差が明らかにされた。図1は、紅海および地中海の試験地の異なる群集構造、さらには明確な時間パターンを例示しており、MDS上でさらに離れて現れる3および6ヶ月後のクラスター(より薄い色調)と比較して配置の12ヶ月後のクラスター(暗い色調)の相対近接度から示唆されるように、このことから、群集構造が経時的に類似性を獲得することが示唆される。

異なるコンクリートマトリックスに加入するタクソン組成もまた、場所および時間によって異なっていた(有意な場所×マトリックス相互作用項:df=5、擬f=1.50、P=0.049、および月数×マトリックス:df=10、擬f=1.37、P=0.037)。それにもかかわらず、図2に見られるように、ポルトランドセメントで構成されたタイルは、他のコンクリートマトリックス(M1〜5)とは独立してクラスターを形成することが一般的傾向として示唆された。種々のマトリックス間の類似性のレベルは、時間および場所によって異なっていた。

生物被覆パーセントの解析(図3)は、多変量群集データ解析の結果を裏付けるものであることから、生物被覆は、場所(df=1、擬f=6.77、P=0.009)、月数(df=2、擬f=133.36、P=0.001)、タイル面(df=1、擬f=20.58、P=0.001)、およびマトリックス(df=5、擬f=27.57、P=0.001)によって異なることが明らかにされた。種々のマトリックスの被覆パーセントの傾向は、場所間では一貫性があるが、時間およびタイル面との関連では変化した(有意な相互作用項:月数×マトリックス、df=10、擬f=4.64、P=0.001、および月数×面、df=2、擬f=9.00、P=0.001)。配置の3ヶ月後という早い時期に、ポルトランドセメントタイルは、他のマトリックス、主に、最も高い生物被覆パーセントの加入を示したM1、M4、およびM5と比較して、より低い生物被覆を有していたことが、ペアワイズ比較から示される。

タイル表面の複雑性に関連付けられる傾向を検査した場合、紅海の試験地では、平滑面とテクスチャータイル面との差は、経時的に一貫性があったが、地中海の試験地では、プレート面間の差は、初期は有意であったが(配置の3ヶ月後)、配置の6および12ヶ月後は有意でなかったことが、明らかである。これらの結果は、紅海の多変量群集データ解析と一致することから、全体的に、複雑な表面テクスチャーは、平滑とは対照的に、より多様な高密度の底生群集の加入を示したことが明確に示唆される(図4)。

ポルトランドセメントタイルと比較した種々の革新的コンクリートマトリックスの加入能力の差は、配置の6および12ヶ月後に行われたバイオマス分析から、とくに、無機材料との関連で、きわめて明白であった(図5)。タイル上に加入した有機物の量は、場所によって異なっていたが(df=1、擬f=4.93、P=0.029)、配置後の月数または種々のマトリックスとの関連では、有意な傾向は現れなかった。それにもかかわらず、無機物の濃度は、場所間で有意に異なっていた(df=1、擬f=83.53、P=0.001)、月数(df=1、擬f=11.16、P=0.002)、およびマトリックス(df=5、擬f=7.28、P=0.001)。これらの差は、場所間で経時的に変化し(有意な場所×月数相互作用:df=1、擬f=4.23、P=0.039)、紅海の試験地では、他のマトリックスと比較して最高値を有するM5およびM4が、マトリックス間の差を主導するものであったが、地中海の試験地では、M1、M4、およびM5が、残りのマトリックスと比較して無機物に関して最高値を有していたことが、ペアワイズ比較から示唆された。

地中海で試験タイル上に加入した無機材料の量は、紅海で加入したものよりも一貫して多かった。それにもかかわらず、値は、一般的には、両方の試験地で高く、平均すると地中海の試験地では413.51±25.63gr/m−2および紅海の試験地では201.14±10.28であった。浸漬の1年後、類似のマトリックスは、紅海および地中海の両方の試験地で無機材料の最大の蓄積を呈し、M1、M4、およびM5は、地中海では、それぞれ、547±107.58、659.51±65.844、および553.95±94.94gr/m2、ならびに紅海では、272.31±33.84、249.79±37.00、および257.03±+39.34gr/m2の値を有していた。

クロロフィルa含有率もまた、場所(df=1、擬f=52.62、P=0.001)、配置の後の月数(df=1、擬f=9.09、P=0.001)、およびマトリックス(df=5、擬f=4.86、P=0.001)によって有意に異なっていた。図6に見られるように、ほとんどの場合、クロロフィルaの濃度は、2つの研究試験地で月数およびマトリックスによって異なっていたが(有意な場所×月数×マトリックス相互作用項:df=5、擬f=2.84、P=0.015)、M1タイルのクロロフィルaの濃度がポルトランドセメントタイルのものよりも有意に高い傾向は、両方の試験地で一貫性が挙げられる多(両方の試験地でP<0.05)。

熱帯紅海環境でのみ見いだされたサンゴの加入は、一般的には、配置後の最初の6ヶ月間は少なく、最後のモニタリング時に大きく増加した(図7)。1年後、主に、ソフトサンゴの加入の結果に起因して、加入能力の有意差が種々のマトリックス間で同定された(df=5、擬f=3.74、P=0.015)。M5およびM1は、配置面にかかわらず、ポルトランドセメントタイルよりも有意に高い加入を有していたことが、ソフトサンゴデータのペアワイズ解析から示される。

実験室実験 D.ヘンプリキ(D.hemprichi)断片の自然付着は、種々のマトリックス間で有意に異なっており(図8A、df=5、擬f=2.75、P=0.042)、ポルトランドセメントは、最も低い付着率(16±9.42%の付着)を有し、M1およびM5は、最も高い付着率(それぞれ、44±11.86%および36±6.69%)を有していた。有意ではないが、類似の傾向はまた、H.フセッセンス(H.fuscescens)幼生の実験からも明白であった(図8C)。ポルトランドは、生態学的活性マトリックスと比べて最も低い平均を示したが、結果の変動が大きいため、これは統計学的検定により裏付けらされなかった。それにもかかわらず、ペアワイズ比較では、M5とポルトランドセメントとの間にかろうじて有意差が見いだされた(P=0.067)。しかしながら、B.ネリチナ(B.neritina)幼生の実験では、有意な結果が得られ(図8C、df=4、擬f=4.05、P=0.009)、ポルトランドセメントは、最も低い着床率(2.35±1.25%の付着)を有していたが、M1は、最も高い加入率(14.14±7.20%)を有していた。技術的エラーが原因でM5を実験に含めなかったので、ここではM5の結果が含まれなかったことに留意されたい。

考察 海岸の人口増加が全世界で予測されており、海岸都市の海岸の補強および拡張の傾向は、さらに増加することが予想される。さらに、全世界の気候変動に関連付けられる過程を考えると、海岸線は、海面の上昇および暴風雨の増加に関連付けられる脅威の増大に直面しているので、現在の海岸防御手段の即時修正が必要とされる(Dugan et al.,2011およびそこに記載の参照文献)。本研究では、海洋生物の成長の促進および生物起源堆積の増大の促進をめざして、コンクリートの組成および表面テクスチャーにわずかな改変を適用する革新的手法を調べる。試験された5つのマトリックスのうちの3つ(M1、M4、およびM5)は、標準的ポルトランドセメントと比較して、生態学的活性があり、加入能力の増大を呈することが見いだされた。このことは、実験室ならびに野外の両方のサンプリング試験地で調べた生物学的パラメーターのほとんどから明白であった。全体的に、これらの生態学的活性マトリックスは、標準的ポルトランドセメント系混合物よりも、大きい生物被覆(図1)、より多くの無機物(図5)の加入を示し、サンゴおよび標的生物のより高い着床率(図7〜8)を有していた。コンクリート系CMI上への海洋の植物相および動物相の自然群集の加入能力の増大により、構造上、環境上、および社会経済上の価値ある利点が得られる。

構造上の利点に関して、CMIは、多くの場合、海岸防御に使用されるので(たとえば、防波堤および防潮壁)、重量および安定性は、構造上の性能に主要な役割を果たす。この研究では、生態学的活性コンクリートマトリックスは、ポルトランドセメントよりも多くの無機物を有意に蓄積した。カキ、カンザシゴカイ、フジツボ、サンゴのような生態系エンジニアの生物起源堆積は、構造物の重量を増加させて、その安定性および強度に寄与する(Risinger,2012)。我々の結果によれば、平均で413(地中海)〜201(紅海)gr/m2が12ヶ月以内に生態学的活性コンクリート表面に追加され、地中海では1kg/m2の最大値および紅海では0.5kg/m2の近傍値に達しうる。

海洋生物、主に、穴掘りスポンジまたは特定の緑藻種の成長は、コンクリート表面を劣化させる可能性があるが(Jayakumar and Saravanane,2010,Scott et al.,1988)、我々の結果によれば、有益な生物保護作用が示唆された。CMIの全重量に寄与することに加えて、サンゴモ、カキ、サンゴ、およびカンザシゴカイの生物起源成長は、コンクリート表面を強化することが可能である。たとえば、コンクリート強度に及ぼすカキの成長の影響を調べたRisinger(2012)は、海洋生物の成長により覆われたコンクリートが2年間にわたり曲げ強度を有意に10倍に増加させることを示した。重量増加以外に、海洋生物の成長は、波のエネルギーを吸収して構造物へのサージ作用の低減を支援しうる生物起源の接着剤として作用するので、生物起源の堆積はまた、近接するインフラ部材(防護ユニット、防潮壁プレキャスト部材など)間の結合を増加させる。経時的に方解石層で表面を覆うことが可能なそのような生物起源の堆積(図9)はまた、流体力を吸収し、かつ塩化物攻撃およびチッピングからコンクリートを保護することにより、構造物の耐久性を増加させる。

そのような強力な成長は、インフラの状態に関する視覚的調査を撹乱する可能性があるが、成長物の切片(典型的には表面の10%以下)をランダムにスクレープして取り出すことにより、検査を行うことが可能である。この切片は、経時的に再成長する。以上を考えると、CMIに生態学的活性コンクリートマトリックスを適用することにより、より持続性を高めて保守作業の必要性およびコストを低減するのに役立てることが可能である。

構造上の利点以外に、生態学的活性コンクリートマトリックスはまた、実質的な環境上の利点に関連付けられる。結果から明らかなように、生態学的活性であることが証明されたマトリックスは、標準的ポルトランドセメントよりも有意に高い生物被覆を有していた(M1、M4、およびM5のタイルの平均被覆は、配置の12ヶ月後、両方の試験地で100%に近かったが、ポルトランドタイルは、平均で82%〜92%であった)。生物被覆の多くは、一方では、生物起源堆積に寄与する生態系エンジニア(カキ、サンゴ、フジツボ、およびカンザシゴカイ)からなっており、他方では、水の品質および透明性を上昇させうる濾過摂食生物(たとえば、被嚢動物、スポンジ、カキ、およびイガイ)からなっていた。さらに、in−situおよびin vitroの両方の着床実験から明らかなように、サンゴおよび他の典型的な潮間域生物、たとえば、B.ネリチナ(B.neritina)は、生態学的活性マトリックス、主に、M1およびM5への明確な選好性を示した。サンゴおよび価値ある生態系サービスを提供する種、たとえば、濾過摂食動物およびバイオビルダーの加入を増大させる能力を有するCMIを形成することは、生態学的な重要性が大きい。CMIの生物学的生産性および生態学的価値を増大させることにより、そのエコロジカルフットプリントを低減し、犠牲になった「都市化産業砂漠」として見る代わりに都市自然域として利用することが可能である。

試験した革新的コンクリートマトリックスのいくつかの他の環境上の利点は、低減されたカーボンフットプリントである。マトリックスは、高いカーボンフットプリントで知られる混合物中のポルトランドセメントの量を有意に低減可能な種々の添加材を含むので(Matthews et al.,2008)、そのようなマトリックスは、より生態学的であると考えることが可能である。たとえば、M2およびM3は、所与の時間枠内で標準的ポルトランドセメントとそれほど異なった挙動をしなかったが、カーボンフットプリントが低減されるので、依然として標準的コンクリート混合物よりも生態学的であると考えることが可能である。それにもかかわらず、種々のコンクリートマトリックスのカーボンフットプリントを評価することは、現在の研究の範囲内ではなく、さらなる研究を必要とする。

最後に、CMIは、地球全体にわたりウォーターフロントの必須部分であるので、その社会経済学的意味は、無視できない。環境意識が絶え間なく高まっている現在、環境機関は、生態学的な補償および緩和の指針を必要としている(Puig and Villarroya,2013)。持続可能な「グリーンブルー」海洋建設技術は、管理者および政策決定者のために効率的ツールを提供して、CMIの環境フットプリントを低減することが可能である。また、この点を理解して、複雑なテクスチャーおよびデザインをCMIに組み込めば、自然海洋群集が促進され、都市海洋自然域を形成する審美的品質の増大が促進され、海岸コミュニティー間で環境意識を高めることが可能である。

まとめ コンクリート組成、表面テクスチャー、およびマクロデザインを考慮して、コンクリート系CMIにわずかな改変を行うことは、生物起源堆積物を形成するエンジニア種さらには関連する濾過摂食群集を支援する能力を高める可能性を有する。その結果、ユニークな底生群集により、経済上の利点、たとえば、水質の向上、運転寿命の増加、構造の安定性、および流体力の吸収と共に、生態系サービスの増大が提供される。これらの利点は、腐食性塩水環境に対処しなければならないCMIに非常に重要である。

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