【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、分離することが求められる1種乃至複数種のイオンに対するイオン交換物質の選択率が実質的な温度依存性を有する状況において、1種乃至複数種のイオンを別の1種乃至複数種イオンから分離するための方法及び装置に関係するするものであり、特には本発明は、リチウムを含有しそしてまた他の種のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属イオンを含有する水溶液からリチウムイオンを回収する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ゼオライト吸着剤(モレキュラーシーブ)は、気体を分離しそして精製するための圧力変化式(pressure-swing)プロセスにおける吸着剤として工業的に使用されている。 酸素及び/或いは窒素の製造のために、Li +イオンを含有するゼオライト(例えばLi X或いはLiCaXゼオライト)が特に望ましい性質を有することが見いだされていた。 こうしたリチウム含有ゼオライト(Li +ゼオライト)は、相当するNa +ゼオライトからイオン交換により調製される。 代表的に、 濃縮されたLi + Cl -水溶液が、Na +ゼオライトを収納するカラムに通される。 ゼオライト中のNa +イオンはLi +イオンと交換されて所望のLi +ゼオライトを生成する。 ゼオライトは一般にNa +イオンに対してLi +イオンに対してよりも大きな親和力を有するから、かなりの量の濃縮Li + Cl -水溶液が必要とされそして廃棄液(ブライン)は高濃度のNa +イオン及びLi +イオン両方を含有している。 ここに含有されるリチウムはなお価値があるものであり、従って廃液からのその回収が非常に望まれる。 【0003】追加的に、イオン交換後、リチウム交換ゼオライトは洗浄されそして乾燥されねばならない。 洗浄水廃液もまた、Li +イオンを含有している。 現行のプロセスにおいては、これらは回収されずに放出廃水中に失われていた。 或る量のリチウムはまた仕様に合格しないLi−交換ゼオライトとしても失われる。 このリチウムもまた溶解状態で放出されうるが(例えばNa +との置換により)、これは主として実際上関与するコストが高いことにより行われていない。 【0004】現在の実施状況に従えば、濃縮されたブライン(すなわち少なくとも1.8イオン当量/リットルを含有するブライン)のみが、リチウム回収のために処理されている。 現行の実施の下では、ブラインは、蒸発による濃縮と分別結晶化処理の下に置かれて、NaCl の大半を沈殿により除去した後、比較的汚染されていない、イオン交換プロセスにおいて再使用しうるLi + C l -溶液を残すものとされる。 稀釈なLi +含有溶液(代表的に、約1.3イオン当量/リットル未満を含有するもの)は、この態様で処理するのに大量のエネルギーを必要とし、従って廃棄物として放出されることになる。 現行の実施態様では、蒸発による濃縮と分別結晶化処理と関与するので、溶液中の有価値イオンの量がリチウム回収を進めるかどうかを決定するに当たっての主たる考慮因子である。 豊富でかつ廉価なNaClと異なり、LiClは希少で且つ高価である。 こうして、廃棄物として失われる合計リチウムがゼオライト製造プロセスの全体コストに相当に加わっているのが現状である。 【0005】かくして、Li +及びNa +だけを或いは他の種アルカリ及びアルカリ土類元素の陽イオンをも含有しそしてゼオライト(もしくは他の種イオン交換された媒体)の製造において発生せしめられる濃縮及び稀釈ブラインからLi +イオンを回収するためのプロセスの改善への必要性が存在する。 消耗リチウム電池の流体のようなリチウム及び他の種の陽イオンを含有する水性混合物から有価Li +を回収するためのプロセスへの必要性もまた存在する。 蒸発もしくは分別結晶化処理を使用することなく、溶液から有価イオンを回収しまた有価イオンを含有する濃縮溶液を生成する方法への必要性もまた存在する。 【0006】イオン交換物質へのまたそこからのイオンの吸着と脱着をもたらすために温度変化方式が、次のようにさまざまの他の分野において過去に使用されてきた。 【0007】1)米国特許第5,176,885号「イオン交換樹脂の熱的再生の利用による弱酸形成元素のアイソトープ分離」−ウエスチングハウス・エレクトリック・コーポレーション−:この特許に記載される方法は、酸性溶液中でのボロンアイソトープ(ボロン−1 0)の分離と濃縮に関係しそして一つのイオン交換器を通して高温で溶液を循環しそして後溶液を冷却しそしてそれを別のイオン交換器に通液することと関与する。 そのアブストラクトは、「分離は酸性溶液の温度変動により吸着及び脱着のための平衡定数をシフトすることにより達成される」と述べている。 しかしながら、溶液中でのボロン−10の富化は非常に遅くそして有意の富化を達成するにはこのプロセスでは数カ月かかる。 更に組成において意味ある変化を有する2つの異なった流れは生成されず、そしてこのプロセスは平衡差よりむしろ移行速度差に主に依存しているように思われる。 【0008】2)米国特許第4,523,998号「熱再生液体イオン交換器を使用する連続イオン交換プロセス」−ゼネラル・エレクトリック・カンパニー−この特許は、水性流れからミネラルイオン種の除去のために液体イオン交換物質の使用を記載する。 濃縮段階は、ミネラルイオン種を除かれるべき溶液を低温に維持されている容器に導入しそしてイオン交換物質にイオンを吸着することにより実施される。 その後、ミネラル種は、イオン交換物質を高温に維持されている第2の容器に導入することにより放出され(ここではイオン交換容量は低い)、ミネラル種は水性相中に放出せしめられる。 このプロセスは、液体からミネラル種の除去をもたらすが、 イオン種を互いに分離しない。 更に、このプロセスは、 液体イオン交換物質を必要とし(結局大きな流体−流体界面を必要とする)そして所望されざるミネラルを運び去るのに必要とされる熱水量を減じるためには2つの温度間での平衡の大きなシフトを必要とする。 【0009】3)米国特許第4,293,423号「熱再生樹脂の使用によるイオン交換方法及び装置」−ローム・アンド・ハース・カンパニー−脱塩のようなイオン交換処理が、異なった領域に分割された床において不均質熱再生イオン交換樹脂で充填されたカラムを利用することにより達成される。 樹脂は一つの領域においてイオンを除去する。 それはその後異なった領域に移され、ここで加熱されてイオンを放出する。 やはり、一つのイオン種の別のものからの分離は起こらない。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、所望されるイオン(例えばリチウムイオン)をそうしたイオンのみを含む溶液もしくは他の所望されざるイオン種と一緒に含有する溶液から回収するための一層簡易で、低コストでそして一層エネルギー効率的なプロセスを開発することである。 【0011】本発明のまた別の目的は、イオン含有(例えばリチウム含有)溶液の品質を汚染イオン(ナトリウムやカルシウムのような)を除去することによりそして/又はそうした溶液のイオン含有量を富化する(例えばリチウム含有量を増加する)ことによりグレードアップするための方法を提供することである。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は、第1組の1種以上の所望されるイオンを第2組の1種以上の異なった(所望されない)イオンをも含有する溶液から分離するための方法として、第1組の(若しくは第2組の)イオンのためのイオン交換物質の選択係数Kが温度依存性であり、それにより一方の組のイオンに対する選択係数K が第1の温度においてそれとは異なる第2の温度におけるより高い(ごくわずかでさえ高い)ものとした分離方法を提供する。 【0013】すなわち、イオン(例えばリチウム)は、 これらイオンと随意的に単数乃至複数の他のイオン(例えば他の種のアルカリ金属イオン)を含有するブラインからイオン交換物質を使用する温度変化式(temperatur e-swing )イオン交換プロセスの使用により除去もしくは回収されうる。 このプロセスは、温度の変化に伴っての、回収することを所望されるイオンに対するイオン交換物質の選択係数における変化に依存しており、その結果所望されるイオンは一つの温度において相対的に選択的に放出され、他方所望されないイオンはまた別の温度において相対的に選択的に放出される。 本発明プロセスは、或るイオン(もしくはイオン組)の別のイオン(もしくはイオン組み)からの分離をもたらすのに使用され、この場合或るイオン(もしくはイオン組)に対する選択係数は別のイオン(もしくはイオン組)に対する選択係数に比較して実質上の温度依存性(すなわち強い温度感受性)を有する。 【0014】本発明は、広い概念において、少なくとも1種の所望されるイオン(DI)と少なくとも1種の所望されないイオン(UI)を含有する供給溶液から該少なくとも1種の所望されるイオンDIで富化された溶液を生成する方法として、サイクルの第1期間において、 (i)第1温度において該第1温度とは異なる第2温度に比較してDIに対する一層高い温度依存選択率を有するイオン交換物質の少なくとも一つの床を含む第1帯域を通して、該第1温度において、前記DIで富化された生成物の還流部分を構成する溶液を流し、そして該第1 帯域からの流出液として前記DIが欠乏した生成物を得る段階と、(ii)前記第2温度において前記第1温度に比較してDIに対して一層低い温度依存選択率を有するイオン交換物質の少なくとも一つの床を含む第2帯域を通して、該第2温度において、前記段階(i)からのDIが欠乏した生成物の還流部分を構成する溶液を流し、そして該第2帯域からの流出液として前記DIで富化された生成物を得る段階とを包含する。 更に、DI富化生成物及びDI欠乏生成物の少なくとも一方がDIに対する所定の純度及び回収率仕様の少なくとも一方を満たさないDI量を含有するようになるまで段階(i)及び(ii)を継続し、それによりサイクルの第1期間を完了する。 本発明はまた、サイクルの第2期間において、(iv)前記第1帯域を通して前記DIが欠乏した生成物の還流部分を構成する溶液を前記第2温度に実質上等しい第3温度において流し、そして該第1帯域からの流出液としてDI富化生成物を得る段階と、(v)前記第2帯域を通して段階(iv)からの前記DI富化生成物の還流部分を構成する溶液を前記第1温度に実質上等しい第4温度において流し、そして該第2帯域からの流出液として前記段階(iv)におけるDI欠乏生成物を得る段階を更に包含し、その場合前記第2期間中段階(iV)及び(v)により創出される流れ模様がサイクルの第1期間中段階(i)及び(ii)により創出される流れ模様と逆転される。 更に、DI富化生成物及びD I欠乏生成物の少なくとも一方がDIに対する所定の純度及び回収率仕様の少なくとも一方を満たさないDI量を含有するようになるまで段階(iv)及び(v)を継続し、それによりサイクルの第2期間を完了する。 また別の様相において、本発明は、当該プロセスを実施するための装置にも関係する。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明は、単一の処理ユニットにおいて濃縮もしくは稀釈ブラインからLi +を回収することのできる熱推進式のイオン交換プロセスから成る。 本発明プロセスは、蒸発及び分別結晶法よりも一層エネルギー効率的でありそして簡単でありそして例えばリチウム含有溶液がリチウムで富化されるようになりそして/または(適用可能であるなら)リチウム含有溶液中の所望されないイオンが低減することを許容する。 【0016】本発明のイオン交換プロセスの使用はまた、特製ゼオライト吸着剤の製造において通常は廃棄されているリチウムのコスト及びエネルギー効率的な回収を可能ならしめ、全体的な製造コストの認めうるほどの節約をもたらす。 追加的に、本発明プロセスは、ゼオライト製造において、出発物質として低コスト低純度のリチウム塩の使用を可能とする。 その理由は、汚染物イオンが本発明プロセスによりこれらリチウム含有物質の溶液がゼオライト製造に使用される前に除去しうるからである。 【0017】(用語の定義) (a)「濃縮ブライン」とは、少なくとも約0.5イオン当量/リットルの合計イオン濃度を有するブラインを云う。 (b)「稀釈ブライン」とは、最大で約0.5イオン当量/リットルの合計イオン濃度しか有しないブラインを云う。 (c)「DI」は所望されるイオン(Desirable Ion ) を略称する。 「UI」は所望されないイオン(Undesira ble Ion )を略称する。 「DIリッチ溶液(ブライン)」もしくは「DI富化溶液(ブライン)」とは、供給溶液より高い、好ましくは陽イオン及び陰イオン合計の50等量%を超える、最も好ましくは90等量%を超える、DI濃度(陽イオン及び陰イオン合計の等量%における)を有する溶液(ブライン)である。 逆に、「D Iが低減した乃至乏しい乃至欠乏した溶液(ブライン)」とは、供給溶液より低いDI濃度を有する溶液(ブライン)である。 (d)特定のイオンに対するイオン交換物質の選択率は、そのイオンに対する選択率が温度が周囲温度から水の沸点近傍まで変化するとき少なくとも約1.4倍変化するとき、「強い温度依存性を有する」ものとされる。 (e)或るイオンの「充填量」とは、イオン交換物質の1m 3において実際に「吸着された」(イオン交換状態に保持された)当該イオンのモル当量の数である。 (f)或るイオンの「蓄積量」とは、充填量とイオン交換物質の1m 3内部に収蔵される溶液、すなわちイオン交換物質の結晶構造、内部細孔中にまた粒子間スペースに収蔵される溶液中の当該イオンのモル当量の数の和である。 (g)「帯域(ゾーン)」とは、本発明のプロセスの一部を行う環境を云う。 「低温帯域」とは、本発明のプロセスの一部を行う低い操業温度に維持された環境を云う。 「帯域」は、プロセスサイクル中異なった相において高温の場合も低温の場合もありうる。 つまり、「低温帯域」は「低温の相」が存在する帯域である。 (h)「床」とは、代表的に一つの容器(カラムの場合もある)内に収納されるイオン交換物質の1バッチである。 (i)「系列(train )」とは同じ帯域内で直列に接続されるイオン交換物質の2つ以上の床の組」である。 【0018】以下は、リチウムを単独でもしくは他の種のアルカリ乃至アルカリ土類金属イオンと一緒に含有する溶液からリチウムを回収するべく、ゼオライトの使用に主に言及することにより説明するが、本発明はまた、 イオン交換樹脂を含む広く様々のイオン交換媒体並びに様々の陽イオン及び陰イオンに対しても応用しうるものである。 【0019】ここで、「所望されるイオン」及び「所望されないイオン」という表示は、状況によって高温放出イオン及び低温放出イオンの両方が有価値でありそしてそれらの回収が所望される場合もあるから、単に便宜上使用される。 同様に、プロセス及び装置の様々の部分に適用される「頂部」及び「底部」という表示も、各イオン乃至イオン混合物に対する収集地点が逆になる場合もあるから、単に便宜上使用される。 更に、プロセスを垂直配列で実施することが好ましいが、プロセスは水平に操業される場合もある。 プロセスが垂直配列で実施される場合には、頂部において軽い方のイオン(例えばLi + )を収集しそして底部で重い方のイオン(例えばNa + )を収集することが好ましい。 【0020】本発明の一つの具体例に関して記載される特徴は、所望なら別の具体例においても適用しうるものとみなすべきである。 【0021】本発明は、リチウム交換ゼオライトの製造のためにまた有価値イオンで富化される可能性を有し、 特定の固体吸着剤に対するその選択率が上述したように温度と共に変化する(そして同じ溶液中に含まれる所望されないイオンの選択率とは異なる)イオン溶液を使用する他のすべてのプロセスのためにリチウム陽イオンを回収するのに使用されうる。 そうした溶液を富化するのに使用されうるイオン交換媒体としては、限定されるわけではないが、交換可能な陽イオンを有するゼオライト、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂並びに交換可能な陽イオン乃至陰イオンを有する繊維乃至組織を挙げることができる。 各部類でのイオン交換媒体は市販入手することができる。 【0022】好ましい具体例において、本発明は、プロセスブライン流れにおいてLi +イオンをNa +及びK +イオン(そして、それに加えてもしくは別にCa ++及びもっと重いアルカリ土類元素イオン)から分離するための「温度変化式イオン交換プロセス」にある。 本発明プロセスは、ゼオライトX(或いは別の適当なイオン交換物質)のイオン選択性は少なくともLi +イオンに対して他の種アルカリ及びアルカリ土類元素イオンに対してよりも強い温度感受性を示すとの事実を基礎としている。 この温度感受性は、周期的な可逆プロセスの構成を可能とし、最終的にLi +イオンのNa +イオン(及び他の種のアルカリ及びアルカリ土類金属イオン)からのほぼ完全な分離を可能ならしめる。 回収率及び純度の点での分離の程度は、プロセスにおいて使用される還流の量により制御でき、これが結局システムの寸法と容量を決定する。 【0023】Li + −Na +ブラインの存在において、 ブライン中でのそしてゼオライト床でのイオンの全体蓄積は最終的には一定でありそして温度に依存しない。 しかしながら、ゼオライトのイオン選択率は温度依存性である。 ゼオライトはすべての温度においてLi +に比較してNa +を優先吸着するが、ゼオライトのリチウムに比較してのナトリウムに対する選択性は、高温におけるより低温において大きい。 両イオンを含有するブラインと最初平衡状態にあるゼオライト床が加熱されるとき、 ゼオライトからブラインへのNa +イオンの交換が起こると同時に、Li +イオンがブラインからゼオライトへと移動する。 床が冷却されるとき、逆の現象が起こる。 Li +がゼオライトからブラインへと移動し、Na +イオンにより交換される。 ブライトからゼオライトへのそしてその逆のこのイオンの交換が本発明において使用される分離の基礎である。 【0024】ゼオライトのイオン選択性はLi +に比較してNa +を優先吸着するから、床の温度を単に降下するだけでほどほどの量のLi +のみがブライン中に濃化されうる。 しかし、この効果は、床内でゼオライトを散開し或いは幾つかの床の系列としてゼオライトを分離しそしてブラインの流れ方向及び単数乃至複数の床の温度を交互することにより、増幅されうる。 その結果が、気体の分離のために使用されている温度変化式及び圧力変化式吸着プロセスに類似の「温度変化式イオン交換プロセス」である。 操作において、イオン交換床は、イオン濃度勾配を発現し、ここでは吸着されたLi +が床の一端で濃縮されそしてNa +は他端で濃縮されている。 そうした濃度勾配の一例が図2に示されている。 図2において、横軸はリチウムをイオン交換媒体床により採取している段階中液体(ブライン)流れの方向においてイオン交換媒体床における位置を表す。 この例において、供給ブラインの合計イオン濃度は床内に最初存在するブラインのそれに等しい。 供給ブラインは、床内に最初存在するブラインよりリチウムに富んでいる。 数千モルにおけるリチウム及びナトリウムイオン両方に対する合計蓄積量(液体中のイオン+イオン交換媒体に保持されているイオン)は好ましくは図2に示されるように一定にとどまる。 しかし、供給ブラインはリチウムに富み、吸着されたリチウムは床の供給端において高くそして吸着されたナトリウムは供給端とは反対側の床端において高い。 【0025】特に好ましい具体例において、本発明プロセスは、図1に示されたような「複式温度変化式(dupl ex, tenperature-swing )イオン交換プロセスから成る。 ゼオライト−Xイオン交換物質を充填した、2系列の直列対(A−B及びC−D)としての4つのイオン交換床(A〜D)が図1には特に好ましい具体例を表すものとして示されているが、本プロセスは一対の床のみで実施することができ(2部サイクルの各部中一方が高温に保持されそして他方が低温に保持される)、また図9 におけるように温度が変化されている間供給ブラインを貯蔵しまた還流として使用されうる生成物部ラインを貯蔵するための適当なサージタンク(901−903)を伴って単一床でも実施することができる(単一床が交互に加熱及び冷却される)。 【0026】図1において、床の2つ(温度変化サイクルの第1期間においてC及びD)は比較的低い平均温度に維持される、すなわち低温帯域を構成し、同時に他の2つ(同じ期間におけるA及びB)は比較的高い平均温度に維持される、すなわち高温帯域を構成する。 【0027】図1に示したプロセスにおいては、図2に示した型式の勾配を有する帯域は2つの床A及びBに分割されているから、2つの床の間の連結部における流体組成は供給ブライン101の組成に比較的近い。 供給ブラインは高温帯域においても(101)また低温帯域においても(111)いずれでも導入することができ、その選択は供給流れの温度に主に依存する。 供給物が高温帯域の温度に近い温度にあるときは、高温帯域が供給物導入に好ましい。 もちろん、供給物の温度をそして所望ならその組成を変更することも可能でありそして低温帯域と高温帯域とが交替される時には供給物導入地点を交替することもまた好ましい。 更に、供給物は、連続的にも(高温期間及び低温期間両方中)また間欠的にも(一つの期間の少なくとも一部中)導入することができ、その選択はプロセス操作者の判断でありそして生成物仕様並びに本発明分野で知られている他の生成物制御パラメータに依存する。 【0028】図1に示されるように、Li +リッチ還流すなわちリサイクル流れ102は、床Aの頂部に導入される。 リチウムイオン勾配は、床A及びBを通して下方に移動しそしてNa +リッチブラインが床Bの底部10 3から出現する。 同時に、Na +リッチ還流(Na +リッチ底部生成物の一部)104が、好ましくは冷却後(図示なし)床Dの底部に導入される。 【0029】低温帯域において、Li +濃度勾配は床D 及びCにおいて上方に移動しそしてLi +リッチブラインが床Cの頂部から出現する。 頂部生成物105の純度が落ち始める時、温度はサイクルの第2期間用に変化される。 第2期間中、床A及びBは冷却され(低温帯域) そして床C及びDは加熱され(高温帯域)そして流れの方向が逆転される(これは図1において床A及びCと床B及びDを相互に交換することにより容易に想像することができる)。 還流比に依存して、Li +リッチ生成物及びNa +リッチ生成物の純度がこの問題により指定される仕様に適合するように制御されうる。 例えば、Li +リッチ生成物の純度を増加することが所望されるなら、還流比が増大されうるし、そして/または床A及びCの寸法が増大されうるし、そして/または床A及びC におけるイオン交換物質の粒寸が減少されうる(これは表面積を増大しそして拡散行路長さを減少し、共に純度向上に都合が良い)。 他方、もしLi +リッチ生成物の回収を増加することが所望されるなら、還流比が増大されうるし、そして/または床B及びDの寸法が増大されうるし、そして/または床B及びDにおけるイオン交換物質の粒寸が増大されうる。 【0030】高温帯域と低温帯域とが切り替えられる時、サイクルの前半の期間中の高温帯域の(或いは低温帯域の)操作温度(より正確には平均操作温度)がサイクルの後半期間中正確に再現される必要がないことは理解されよう。 高温帯域の平均温度が実質上同じ、すなわち約10℃以下しか異ならなければ十分である。 同じことは低温帯域についても云える。 【0031】検知される必要のある他のパラメータは当業者にはよく知られておりそして次のものを挙げることができる:(a)流動化をもたらす流量より低くかつチャンネリング(断面全体に流れない)をもたらす流量より高い流量、(b)所望されるイオンに対するイオン交換物質の選択率の温度感受性を活用するために適当に高い低温帯域と高温帯域との温度差、(c)所望されるイオンに対してその分離を許容する温度依存選択性を示しかつ操作温度に耐えるイオン交換物質の選択、(d)高温帯域での高い平均温度及び低温帯域での低い平均温度の維持、並びに(e)生成物流れにおける所望されるイオンの純度及び/又は回収率が低下する時流れの迅速な遮断。 【0032】本発明プロセスは、随意的に、2床より多い床数を持つ系列を使用しても実施されうる。 図1においては、各2床(A及びBとC及びD)の2系列が存在する。 【0033】供給ブラインは好ましくは、系列を通しての途中の地点で添加される(もしその系列がただ一つの床を有する場合には、供給物は好ましくは床の中間地点で導入され、図1の床A及びBのごとく2つの床であるかのごとく機能する。図9参照)。 供給ブラインは、サイクルの低温期間中のみ或いはサイクルの高温期間中のみ或いは低温期間及び高温期間両方中一方のもしくは両方の系列に添加されうる。 高温放出イオンの純度が重要でなければ、その場合供給物は低温放出イオンで富化された生成物の収集地点からなるたけ離れた系列地点において導入されうる。 低温放出イオンの純度が重要でなければ、その場合供給物は高温放出イオンで富化された生成物の収集地点からなるたけ離れた系列地点において導入されうる。 斯界で周知のように、供給物の導入態様はシステムの一層の最適化への対象でありうる。 【0034】複数の帯域の一つに対する低温期間中、低温放出イオン(例えばリチウム)で富化された生成物が生成される。 この生成物の一部が最終製品として回収されそして一部が他の帯域の一つ乃至複数の高温期間の一部乃至全部中還流として使用される(そのサイクルが高温に切り替えられた時には同じ帯域において)。 複数の帯域の一つに対する高温期間中、高温放出イオン(例えばナトリウム)で富化された生成物が生成される。 この生成物の一部が最終製品として回収されそして一部が他の帯域の一つ乃至複数の低温期間の一部乃至全部中還流として使用される(そのサイクルが低温に切り替えられた時には同じ帯域において)。 【0035】高温放出イオンで富化された生成物或いは低温放出イオンで富化された生成物のいずれかの還流比は上述したようにより効果的になるよう調整されうる。 還流比はよく知られるように相互依存することが理解されよう。 【0036】陽イオン分離のために、一般的に、適当なイオン交換物質として、限定されるわけではないが、上述のゼオライトX、ゼオライトA、モルデナイト、クリノプチロライト、エリオナイト等並びに熱再生型或いは熱可逆型イオン交換樹枝として文献に広く記載されるさまざまの有機イオン交換物質を挙げることができる。 ゼオライトXが好ましい。 最も好ましいのは、2.0〜 3.0のシリカ/アルミナ比を有するゼオライトXである。 様々のゼオライトが、米国特許第2,882,24 4号、第3,140,932号、第3,140,933 号、第4,859,217号、第5,266,102号及び第5,152,813号に記載されている。 非ゼオライト型陽イオン交換物質としては、「Perry's Chem. Eng. handbook 」14版(Mcgraw Hill Book Co.出版) 16章、特にその表16−2を参照されたい。 好ましい非ゼオライト型陽イオン交換物質は、Amberlite (Rohm & Hass 社)及びDOWEX 50(Dow Chemical Co.社)のようなさまざまのスルホン化ポリスチレン樹脂であり、これらは非常に高い最大作動温度を有している。 例えば、 米国特許第4,229,545号、第4,184,94 8号、第4,139,449号及び第3,957,69 8号を参照されたい。 【0037】陰イオン分離のためには、一般に、適当なイオン交換物質として、限定されるわけでないが、ポリスチレンマトリックスを有するトリメチル・ベンジル・ アンモニウム型樹脂、トリメチルアミノエチル・セルロース、アミノエチル・セルロース、エポキシ−ポリアミン、並びに他の陽イオン交換物質を挙げることができる。 上記「Perry's Chem. Eng. handbook 」の16章、 特にその表16−3を参照されたい。 好ましいものは、 AMBERLITE IR45もしくはIMAC19のような弱塩基性のアミノポリスチレン樹脂であり、いずれも市販入手できる。 【0038】イオン交換物質の選択は、目的とするイオンを吸着するためのその容量と異なった操作温度水準内で存在する他のイオンに対する当該目的イオンに対する選択率における所定の増加能力とにより指定される。 この情報は様々のイオン交換物質に対して得られる(例えばゼオライトに対してはDW Breck著「Zeorite Molecu lar Sieves」7章(Wiley & Sons社出版(1974)において、或いはイオン交換樹脂に対しては「Perry's Ch em. Eng. handbook 」14版(Mcgraw Hill Book Co.出版)16−6〜16−7頁において、或いはイオン交換物質の製造業者からも得られる)。 【0039】こうして、広く様々のイオン交換物質が、 それらのイオン選択性が温度依存性でありそしてその温度依存性が分離されるべき2種のイオン間でわずかでも変化するかぎり、本発明に従うイオン分離をもたらすのに使用されうる。 分離することのできる陽イオンの例として、限定されるわけでないが、次のものを挙げることができる: 1. Li +の1種以上の他のアルカリ金属陽イオンからの分離、 2. Na +のK +からの分離、 3. Rb +及び/又はCs +の1種以上のアルカリ金属陽イオンからの分離、 4. Ba ++及び/又はSr ++のCa ++及び/又はMg ++ からの分離、 5. ウラニル(酸化ウラン陽イオン)の他の種陽イオンからの分離。 分離することのできる陰イオンの例として、限定されるわけでないが、次のものを挙げることができる: 1. F -の1種以上の他のハロゲン化物イオンからの分離、 2. I -の1種以上の他のハロゲン化物イオンからの分離。 【0040】プロセスのすべてのステージ(すなわち床及び系列)において同じイオン交換物質の使用が好ましいが、必須ではないことを銘記すべきである。 もちろん、複数種のイオン交換物質が使用されるなら、特定のイオンに対するこの選択性は温度に対して定量的に同じ関係を有さねばならない、すなわち使用されるすべてのイオン交換物質は、低温期間中同じ単数乃至複数種のイオンを放出しそして高温期間中残りの単数乃至複数種のイオンを保持しなければならない。 【0041】本発明に従う所定のイオンのイオン溶液からの分離方法のための設計は、次の事項を考慮しなければならない: (A.イオン交換の温度依存性)陽イオン交換物質の床は様々の塩及びそれらの陽イオンを含有するブラインと平衡状態に持ちきたすことができる。 陽イオンの各対、 V及びWとして表示すると、V及びWに対して、ブライン溶液中でのV対Wの濃度比率とイオン交換物質中でのV対Wの充填(吸着)比率との間には平衡関係が存在する。 この関係は、ブライン組成及びイオン交換物質の性質に依存しよう。 また、本発明の実施のために必要とされるように、ゼオライト中及び溶液中でのV及びWの比率間の平衡関係は温度に依存しよう。 幾つかのイオン交換物質及び陽イオン対(上に例示したような)に対して、平衡関係への温度の影響は顕著であり、強い差引のイオン交換エンタルピーを反映する。 その場合、温度における増加は、平衡関係を陽イオンの一方をブラインからイオン交換物質内へと移動して他方と交換するのを促進する方向に変え、それにより全エンタルピーを減じる。 【0042】ゼオライトにおけるイオン交換平衡への温度の影響に関する情報は、先に引用したDW Breck著「Zeorite Molecular Sieves」7章(Wiley & Sons社出版(1974)に記載されている。ゼオライトXについてのNa +の他のアルカリ及びアルカリ土類元素イオンとの交換に対する標準自由エネルギー及びエンタルピーに対する幾つかの値を上記の文献の543頁、表7.4 から抜粋して以下に呈示する: 【0043】 【表1】 【0044】これら値を使用して異なったイオンに対するゼオライトXの充填(吸着)選択率についての温度の影響を計算することができる。 充填選択係数Kは、次式によりイオン交換プロセスの自由エネルギー△G oに熱力学的に関連づけられる: 【0045】 【数1】 【0046】一価のイオンの交換に対しては、Kは分離係数と同等である。 温度TによるKの変動は次式によりエンタルピー△Hから決定される: 【0047】 【数2】 【0048】表1の第1列の値を使用して、298K (室温)及び370K(水の沸点近傍)における充填K −値を計算すると、次の値が得られる: 【0049】 【数3】 【0050】選択率が示すように、ゼオライトは両方の温度でLi +に比較してNa +を優先吸着するが、温度を298Kから370Kへと変化することによりNa + に対する選択率は1.8の係数で(すなわち1/1.8 倍)減少する。 逆に言うと、冷却に際して、溶液からのNa +はゼオライトにおけるLi +と置換する。 加熱と冷却がブライン流れなしに行われるなら合計イオン貯蔵量(溶液中のイオンとゼオライトにおけるイオンの和) は一定にとどまるが、ゼオライトと溶液間でのLi +とNa +の分配は変化する。 【0051】表1のデータは、熱変化式プロセスは、大きなエンタルピー差によりLi +のNa +からの分離を容易にもたらすことを示している。 Li +のK +からの分離はこのイオン対に対する陽イオン交換のエンタルピー差が一層大きいことにより更に一層容易である。 熱変化式プロセスにおいてLi +をCa ++から分離することはこのイオン対に対するエンタルピー差がNa + /Li +対に対するそれよりもっと小さいから、逆にもっと困難となる。 にもかかわらず、例えばLi +のNa +からの分離に必要とされるより大きな還流(従って一層大きな容量のシステム)を使用して、Li +をCa ++から分離することができる。 【0052】他の種の陽イオングループの同様の濃度シフトは、他の種の陽イオン交換物質を使用して加熱或いは冷却により生み出すことができる。 【0053】陰イオングループの濃度シフトは、陰イオン交換物質を使用して加熱或いは冷却により同態様で生み出すことができる。 要は、上に説明したように、一組のイオン交換平衡が所定の温度感受性を持ちさえすればよい。 【0054】(B.二成分分離イオン交換システム)一対のイオンのきれいな分離(即ち、高純度生成物の生成)をなすために、イオン交換物質の一つの床或いは床系列を逆転されるブライン流れと共に使用することができる。 相対的に低温のブライン流れが床を通して一方向に(この論議目的で順方向と呼ぶ)床を通して強制流通せしめられそして後相対的に高温のブラインが反対方向に(この論議目的で逆方向と呼ぶ)床を通して強制流通せしめられる。 床系列は2つの温度水準間で2つのブライン流れを使用して連続的にサイクルされる。 【0055】床系列のある地点において、イオン交換物質は、分離されるべきイオンの1種、例えばイオンVに対して高温側において低温側より高い分離率を持たなければならない。 イオンVに対するイオン交換物質の選択率は、選択率が高温側において低温側より大きい限り、 1未満かもしくは1を超える。 これらの条件の下で、系列におけるある地点でイオン交換物質は低温において順方向流れ中にイオンVを放出し(低温放出イオン)そして高温において逆方向流れからそれを取り込む作用をなす。 こうして、イオン交換物質は、逆方向流れからイオンVを取り除きそして順方向流れにそれを送り込むポンプ作用をなす。 イオン交換物質は他方のイオンWを逆方向に送り込むポンプ作用をなして、順方向流れからイオンWを取り去りそして逆方向流れに放出する。 もし系列のすべての点が同じポンプ作用をなすなら、順方向流れが系列を通して流れるにつれ定常的にイオンVで富化されそしてイオンWが欠乏する。 逆方向流れが系列を通して流れるにつれ定常的にイオンWで富化されそしてイオンVが欠乏する。 【0056】3種以上の陽イオン(もしくは陰イオン) が関与するなら、これらイオンは、低温放出イオン(もしくはイオン組)と高温放出イオン(もしくはイオン組)とに分離されうる。 この分離プロセスは、単一のイオン対に対するのと同様と見ることができ、例えば低温放出生成物の純度は、低温放出生成物流れ中の総計イオン量に対する低温放出イオンの当量分率である。 この分離プロセスは、系列の両端から離れた系列内の地点に分離されるべき混合物を供給することによって完結されうる。 その場合、系列内の流れ(その系列を含む帯域の温度が変化される時には逆転される)は、イオン組を系列の両端に運ぶ。 順方向流れは、系列を通して移動するにつれ定常的にイオン(もしくはイオン組)Vで富化される。 系列からの順方向流れの出口が供給地点から十分に離れているなら、その場合順方向流れの純度はその出口においてほぼ100%イオン(もしくはイオン組)Vである。 逆方向流れは、系列を通して移動するにつれ定常的にイオン(もしくはイオン組)Wで富化される。 系列からの逆方向流れの出口が供給地点から十分に離れているなら、その場合逆方向流れの純度はその出口においてほぼ100%イオン(もしくはイオン組)Wである。 もし高純度のイオン(もしくはイオン組)Wが所望されないなら、逆方向流れの供給地点から出口までの系列部分(床の数、床の大きさもしくは両者)は減縮もしくは省略されうる。 もし高純度のイオン(もしくはイオン組) Vが所望されないなら、順方向流れの供給地点から出口までの系列部分は減縮もしくは省略されうる。 【0057】多成分分離の一つの重要な用途は、リチウムイオンのナトリウム及びカリウムイオン混合物からの分離である。 好ましいイオン交換物質は、任意の床もしくは系列に対してゼオライトXである。 低温放出生成物はリチウムで富化され、他方高温放出生成物においてはリチウムが欠乏する。 【0058】低温放出イオンは、高温放出イオンに比較して正のイオン交換熱を有する。 例えば表1を参照されたい。 イオン交換選択率と温度の影響についての追加情報は文献から得られる。 例えば、Helfferich, F 著「Io n Exchange」5章(McGraw-Hill 社、1962年)、特のその159頁及び168頁を参照されたい。 Helfferi chにより呈示された、選択率の減少の順番での通常の陽イオンの選択率リストは次の通りである:Ba ++ 、Pb ++ 、Sr ++ 、Ca ++ 、Ni ++ 、Cd ++ 、Cu ++ 、C o ++ 、Zn ++ 、Mg ++ 、UO 2 ++ 、Tl + 、Ag + 、C s + 、Rb + 、K + 、NH 4 + 、Na + 、Li + 。 Helf ferichにより呈示された、汎用陰イオン交換物質に対する通常の陰イオン選択率の減少順でのリストは次の通りである:シトレート、スルフェート、オキサレート、ヨージド、ナイトレート、クロメート、ブロミド、チオシアネート、クロリド、ホルメート、アセテート、フルオリド。 選択率は、常にではないが通常、温度と共に予想通りに変化するから、これらリストは本発明に従う分離プロセスを設計するための出発点として使用できる。 一般に、イオン交換物質の選択率は、若干の例外はあるが、温度の増加と共に減少する。 ある温度において他の種イオン(イオン組)に比較して吸着剤により強く保持されるイオン(イオン組)は、もっと低い温度において更に一層強く保持される。 温度が低いほど一層強く保持されるイオン(組)は高温放出イオン(組)である。 逆に、温度が低いほど弱く保持されるイオン(組)は低温放出イオン(組)である。 ある種のイオンは温度変化にともない異常な選択率の変動を持つ場合があるから、本発明に従う分離プロセスが実施されるに先立って日常試験が必要とされよう。 【0059】高温サイクルと低温サイクルとの間での温度差は、ある与えられたイオン(組)に対する温度依存選択率のシフトが絶対温度の逆数におけるシフトにおおよそ比例するから、実施可能な範囲で大きいことが望ましい。 この観点から、高い温度に耐えることのできるイオン交換物質が好ましい。 【0060】高温に対するまた別の実際的な制約は流体の沸点である。 流体或いは床温度を上昇するコストもまた設計選択における重要な因子である。 従って、高温サイクルに対する代表的な操作温度範囲は、約80〜15 0℃、好ましくは約90〜110℃の範囲にある。 ほどほどの塩濃度の水溶液に対しては、周囲圧力での沸点は100℃を超えて、約120℃までである。 プロセスの操作圧力を増加して、溶液の沸騰を防止することができる。 圧力が高温操作温度での溶剤(例えば水)の蒸気圧より約10kPa高くそしてまた100kPaより高く維持されることが好ましい。 約480kPaを超えての操作圧力は、稀釈水溶液の沸点を約150℃に抑制しよう。 圧力の上限はプロセスにより指定されないが、設備とコストへの考慮により決定される。 【0061】高温に対する第3の実際的な制約は、所望されるイオンの分解点である。 もしこれが問題化するなら、高温操作温度範囲は当業者に知られるように下方に調整されうる。 【0062】低温操作温度への実際的な制限は溶液の凍結によりまた冷凍コストへの考慮により賦課される。 また、液体層とイオン交換物質との間での移行速度は温度が非常に低いときかなり遅くなる。 従って、低温操作温度は約−10℃から+40℃の範囲内であることが好ましく、約0℃〜+30℃の範囲が特に好ましい。 【0063】所望されるイオンで富化された流れは生成物全体量を提供する。 全体生成物の一部は還流として別の床もしくは床系列に戻して送られる。 残りが正味の生成物として回収される。 所望されるイオンが欠乏した流れもまた、全体生成物を提供し、その価値に応じて回収されるか廃棄される。 この流れもまた還流として使用される。 所望されるイオンで富化された流れの還流量が十分に多くされたなら、その場合正味の生成物の純度は非常に高くなしうる。 これは、各方向において床の各々におけるイオンポンプ作用が累積的にその方向での所望されるイオンを付加しそして所望されないイオンを除去するからである。 本プロセスのポンプ作用は、高温と低温の間での選択率の差が大きくない場合でも、十分量の還流が使用されるかぎり、分離をもたらすことができる。 もし選択率が高温側と低温側とでわずかしか違わないなら、順方向流れと逆方向流れとはほとんど同じ濃度のイオンVを有するが、濃度における程々のシフトがあれば、イオンVを一方の流れから他方の流れへと送り込むのに十分である。 あるイオンに対する選択係数が、一方の温度において他方の温度におけるより少なくとも約4 0%高いことが好ましい。 【0064】Na +により汚染されたLi + −ブラインからNa +イオンを除去する特定の場合において、実質上完全な除去のために必要とされる最小還流比は次のようにして計算することができる。 K値(選択係数)は、 次式により充填量とイオン濃度に関係づけられる。 ここで、L Na及びL Liはゼオライトにおけるナトリウムとリチウムとの充填量であり、そして〔Na + 〕及び〔Li + 〕はそれぞれのよう液中での濃度である。 【0065】 【数4】 【0066】床における貯蔵量Xは充填量とゼオライトの空洞スペース内に収蔵された溶液におけるイオン量との和である。 これは、ゼオライト空洞分率εに対して次の通り表すことができる: 【0067】 【数5】 【0068】 【数6】 【0069】 【数7】 【0070】これら関係を使用して、温度が変化される時点で床における特定の地点で起こっている物質移動を推定することができる。 合計貯蔵量は一定に維持されるが、充填量と溶液濃度は変化しうる。 簡単な反復的コンピュータ計算過程を使用して、所定の温度変化から生じる新たな充填量及び濃度を上記式4〜7並びに以下に呈示する拡散(移行速度)についての考察に基づいて確認することができる。 【0071】非常に稀釈な溶液に対しては、貯蔵量は流入量に等しくそして更に充填量は温度が変化する時ごくわずか変化するだけである。 この近似は、各イオンの濃度(モル/m 3 )がイオン交換物質におけるのと同じく溶液中で1%未満である時有用である。 この近似を式(3)及び(4)に適用すると次の関係が得られる: 【0072】 【数8】 【0073】式(8)における係数1.8は、温度シフトにより生じたナトリウム濃度対リチウム濃度の比率における計算されたシフトである。 この濃度シフトは、イオン対、この場合は低温放出生成物におけるナトリウムに対するリチウム、に対してのサイクル選択率である。 同じ係数は、高温放出生成物におけるリチウム対ナトリウムに対してのサイクル選択率ともなる。 かくして、或るイオンの別のイオンに対するサイクル選択率は、当該或るイオンが選択的に放出される流れと温度との関数である。 これが式(8)における計算に例示される。 【0074】温度の298Kから370Kへの増大は、 溶液中のナトリウム濃度をほぼ2倍とする。 反復的コンピュータ計算過程は濃度変化の一層正確な値を与えそして稀釈溶液近似に依存しないものとなろう。 【0075】順方向に流れるLi + −ブラインからNa +の全量を除去するためには、Na +富化還流流れは一層高いNa +濃度を有さねばならない。 Na +についての物質バランス(図1での床B及びD周辺)が必要とされる最小還流量を決定する。 式(8)を得るのに使用された近似の下では、Na + −リッチ最大還流流れは順方向流れの約60%であることが見いだされている。 【0076】(C.複式(Duplex)イオン交換プロセス)図1に示されるように、2つの床A及びBが一つの系列において直列に付設されて複式ユニットを構成する。 このユニットは、供給点が2床の中間にあり、それにより順方向流れがその出口に向かって流れるにつれイオン(イオン組)で富化されそして逆方向流れがそれが供給点からその出口に向かって移動するにつれ別のイオン(イオン組)で富化される点で「複式」である。 複式ユニットの利点は、例えばリチウムがほぼ100%の純度でほぼ100%回収しうることである。 熱変化式プロセスの全体を示すために第2の複式ユニットC及びDが含まれている。 図1において、第1期間中、床A及びB が高温帯域でありそして床C及びDが低温帯域である。 ただし、温度を制御するための手段は簡略化のため図1 には示していない。 【0077】一般に、温度変化式プロセスを構成するには2つの方式が存在する。 一つの方式は、イオン交換床を加熱若しくは冷却するものである。 流れによりまたは電気的に加熱される埋設コイル及び/又は外部ジャケットのような床を加熱しそして冷却するための周知の手段が存在する。 冷却は、冷水を使用して或いは標準的な冷媒及び技術を使用して達成することができる。 図3には、加熱或いは冷却のために内部コイル302を備えるイオン交換床の例が示してある。 【0078】温度を制御するまた別の手段は、床に流入する溶液を加熱及び/又は冷却することである。 そうしたプロセスが図4に概略的に示されている。 床A及びB 内へと下方に流れるブラインは、床A及びBの高温期間中、還流のためのヒータ406と床に流入するに先立っての供給ブラインのためのヒータ407において加熱される。 同様に、床C及びD内へと上方に流れる流体は、 床C及びDに対する冷却期間中、還流のためのクーラ4 08においてまたもし供給ブラインが供給されるのならそのためのクーラ409において冷却される。 還流される生成物は加熱或いは冷却前の流体における顕熱をそれぞれ回収するために熱交換器(図示なし)に通すこともできる。 ブロック406'〜409'は高温帯域としてイオン帯域とが切り替えられたとき使用されるクーラ4 06'、407'及びヒータ408'、409'を示し、その時ヒータ406、407及びクーラ408、4 09は使用されない。 【0079】温度を制御しそして温度変化をもたらすいずれのまた両方の手段も本発明の範囲内である。 【0080】代表的な2床式温度変化イオン交換プロセスのための、温度制御を含む一層完全なプロセス流れ図が図5に示されている。 図示のプロセスにおいては、供給ブライン501は、低温帯域の床(第1期間におけるC及びD)に流入する前に(冷却)要素502において冷却されるかもしくは(加熱)要素502が高温帯域の床(第1期間におけるA及びB)に流入する前にブラインを加温する。 熱交換器503が、高温帯域と低温帯域との間を通過する還流流れ504と505からの熱を交換するのに使用される。 必要なら、追加クーラ506及びヒータ507を追加することもできる。 必要ならまた所望に応じ、また別の熱交換器(図示なし)が供給流れ501の冷却を助成するべくNa + −リッチ生成物流れからの冷気を回収するのに使用されうる。 更に、外部熱交換流体を使用してブライン流れの加熱及び冷却の替わりに或いはそれに加えて図3に示したような埋設コイル或いはジャケットにより床を加熱/冷却することが所望されよう。 温度制御は従来からの任意の温度制御手段によって提供される。 【0081】プロセス流体ではなく、床自体が加熱(冷却)されるなら、イオン交換を行う前に高温及び低温は迅速に確立することができる。 これは各側での適正水準に温度が達する時間を減少する点で有益であるが、温度が変化されている間ブライン流れを中断することを必要とする。 また、床自体がブラインの温度を変えるに必要な熱或いは冷気を供給しなければならず、これはコスト高となる。 逆に、プロセスブラインが加熱(冷却)されるとき、これら流体が自身で床温度を変更するに必要なエネルギーを供給しなければならない。 この場合、床を通しての温度変化に先行する温度変化が確立される。 この過程の主たる欠点は、一部の期間、温度変化が弱まり、その結果効率の減少をもたらすことである。 好ましい操作態様は、経済的に実施可能であるなら、ブライン及び床両方を加熱(冷却)することであるが、上述した方法のいずれかが実際上使用される。 【0082】本発明プロセスはサイクルプロセスである。 所望されないイオンが生成物流れに破過する時、すなわちその生成物流れに対する仕様を超えるとき、床を通しての流れは逆転されねばならずそして床(系列)温度も変化されねばならない。 図5における各流れには、 必要なポンプ(好ましくは二方向の)そして弁その他の従来からの流れ制御手段が装備される。 簡略化のため、 ポンプ例は図1に示してある。 【0083】図5に示した設備に適用可能な最も簡単なプロセスが次の表に呈示される2段階プロセスである: 【0084】 【表2】 【0085】これら条件は、図5において弁509〜5 13及び509'〜513'の適宜の切り替えにより達成することができる。 生成物は弁514及び515それぞれを通して回収される。 【0086】2段階サイクルの欠点は、床温度が各段階の開始において所望の温度から逆転されねばならないことである。 加熱及び冷却はすべて流れているブライン自体により或いはブラインが流れている間外部手段により達成されねばならない。 この欠点は、表3に示されるような4段階プロセスを使用することにより軽減されうる。 【0087】 【表3】 【0088】この4段階サイクルにおいては、ブライン流れが段階2及び4の間中断されるから床の外部加熱が使用されねばならない。 図3に示したような埋設コイルがこれら段階において作動されうる。 【0089】(D.リチウム回収のための単式(simple x )プロセス)複式プロセスは各2つのイオン交換床を有する2つの半部分から成る。 上半分(例えば図1乃至4参照)は流体相から低い温度でイオン交換物質への一層高い吸収性を有する不純物(所望されない)イオン(組)を除去するよう作用する精製区画であり、高い温度でイオン交換物質への一層高い吸収性を有する生成物(所望される)イオンを生成する。 下半分は(再度例えば図1乃至4参照)は、上部生成物イオンをシステム内に維持しそして底部放出流れとして放出する回収区画である。 上に述べた方法は、指定された回収比、すなわちリチウム含有量/生成物単位量をチウム含有量/供給物単位量で割った値に対して必要とされる底部還流比を決定するのに使用することができる。 【0090】単式プロセスにおいては、リチウムの損失が重要でないなら、(B)節で決定したような還流の量が十分であるなら、生成物を精製するのに上半部分のみで十分となしうる。 そうした2床精製プロセスが図7に示される。 リチウム損失が小さく抑えられねばならない場合、複式プロセス全体が使用されねばならない。 加えて、外部リチウムが仕様に合うように生成物のリチウム含有量を調整するべくシステム(或いは生成物)に添加されうる。 もしリチウム生成物純度が重要でないなら、 図8におけるように下半分のみが使用されうる。 【0091】 【実施例】 (リチウム回収のための複式プロセスの例)表1のデータを使用して、7/8Li +イオンと1/8Na +イオンとを有しそして1000モル/m 3のオーダの合計イオン蓄積濃度を有するブラインからLi +の97%回収のため298Kおよび370Kの間で作動する複式イオン交換プロセスに応用することのできる相対流れを推定することができる。 第1期間に対するプロセス流れのための相対流れが図6(その他の点では図1と同等)に示され、そして供給物は111において導入されている。 頂端Li +生成物の純度は99.8%に指定される。 指定された回収率を得るには、底部(放出)Na富化ブラインは82.4等量%Na +及び17.6等量%Li + である。 この例において、頂端還流/生成物比は2.3 8であり、順方向流れの70%の還流に相当する。 底部において、還流/廃棄物比は12.50であり、逆方向流れの92.6%の還流に相当する。 【0092】リチウム純度を落とすことなくリチウム回収率を増大するには、還流流れを増大しうるし、床寸法を増大しうるし、そして/またはイオン交換物質の表面積を増大することができる。 その場合、リチウム富化生成物流量は回収率の増加に対応するように増大されよう。 例えば回収率が97%から99.9%まで増大されるのなら、リチウム富化生成物流量は99.9/97 (約1.030)の比率だけ増大されねばならない。 【0093】上記例においてナトリウムイオンの一部がカリウムイオンにより或いはカリウム、ルビジウム及び/又はセシウムイオンにより置換されたなら、その場合上記例と同じ流れが使用され、幾分良好な結果を与える。 これは、リチウムイオンがナトリウムイオンに比較してよりもカリウム、ルビジウム及びセシウムイオンに比較して一層大きなサイクル選択率を有するからである。 【0094】これら例に対してカルシウム及び/又はストロンチウムイオンが他のイオンに加えて存在するなら、それらは2つの生成物流れ間に分配される傾向がある。 その理由は、リチウムはそれらに対するサイクル選択率を有するが、そのサイクル選択率はナトリウムに対するサイクル選択率より少ないからである。 これらアルカリ土類元素イオンの存在は一層高いアルカリ金属イオンからのリチウムの分離を直接妨げないであろう。 【0095】もしマグネシウムイオンが存在するなら、 それらはリチウムイオンと一緒に順方向流れに行く傾向がある。 もし大量のマグネシウムが供給ブライン中に存在するなら、順方向生成物流量はマグネシウムの分離に適合するにちょうど十分増加されるべきである。 【0096】この例は、複式温度変化式イオン交換プロセスが既知のイオン交換物質を使用して本発明に従い構成できることそして混合リチウム−ナトリウムブラインからリチウムの実質すべてを回収しそして高純度リチウムブラインを生成することができることを示す。 こうしたプロセスは、気体分離における吸着剤として使用されるリチウム含有ゼオライトの製造に非常に有用である。 【0097】本発明プロセスは、主として特殊ゼオライト吸着剤の製造からのプロセス流れから有価Li +イオンを回収するために開発された。 この状況において、L i +の損失が最小限とされそして複式プロセスが好ましい。 低温期間中、床A及びBの機能は、Li +をNa + リッチ廃棄流れ中に放出せしめることなく、Li +をシステム中に保持することである。 【0098】本発明は、Li +を回収することができる他の状況においても使用されうる。 本発明は、海水からリチウムイオンを回収するのに使用されうる(リチウム除去後の海水は廃棄される)。 稀釈ブラインは、溶液単位m 3当たり500〜0.1未満の当量濃度の陽イオンを含有している。 稀釈な低価値Li +リッチブラインが使用される場合、リチウムの大半を回収するのに複式プロセスは必要とされない。 そうした場合、ここでは単式プロセスと呼ぶ、もっと簡単なプロセスが使用されうる。 そうしたプロセスが図7に概略的に示されている。 このプロセスは図5の2床プロセスの上半分を丁度使用するプロセスであることが明らかであろう。 この単式プロセスの操作は複式プロセスと同様である。 主たる差異は、廃棄ブラインが、ナトリウムその他のイオンと共に、まだなお僅かのリチウムを回収する価値のない低濃度で含有している可能性があることである。 【0099】微量のLi +を他の種イオンを有するブラインから除去することが必要とされる別の状況が存在する(すなわちリチウム生成物純度は重要でない)。 これは図8に示されるような逆式単式プロセス(inverted s implex process)を使用して達成することができる。 このプロセスは、図5の2床プロセスの下半部分に相当する。 【0100】本発明に従うプロセスは、図9におけるような単一帯域を使用してさえも実施することができる(図9は全体プロセスであって、もっと大きなシステムの一部ではないもの考えられたい)。 この帯域は、最初第1操作温度に持ちきたされそしてプロセスは102を通しての還流の代わりに所望されるイオンで富化された外部溶液を使用して実施される。 底部生成物の一部は第2温度での期間中還流として使用するべくタンク903 に貯蔵される。 ひとたび底部生成物に対する仕様を超えると、還流ブライン102は中断され(ブラインはタンク902に貯蔵されうる)そして床は第2の操作温度に持ちきたされる。 この第2期間中、還流104がタンク903から使用されそして頂部生成物105の一部は将来の還流としてタンク902内に貯蔵される。 頂部生成物の仕様を超えると第2期間が終了される。 還流ブライン104は停止され(ブラインはタンク903に貯蔵することができる)そして床は再度第1操作温度に持ちきたされる。 図9において、供給物は床内へと中間位置で導入されものとして示され、これがこのプロセスを複式プロセス(一系列)たらしめる。 底部生成物の純度が重要でないなら、供給物は底部において導入されうる(1 01')。 もし頂部生成物の純度が重要でないなら、供給物は床の頂部において導入されうる(101”)。供給物は、高温期間及び低温期間の一方乃至両方の少なくとも一部中連続的にも、間欠的にも導入されうる。これは、生成物仕様並びに他の生成物制御パラメータに基づいてプロセス操作者によりなされる選択である。 【0101】 【発明の効果】本発明は、単一の処理ユニットにおいて濃縮もしくは稀釈ブラインからLi +を回収することのできる熱推進式のイオン交換プロセスから成る。 本発明プロセスは、蒸発及び分別結晶法よりも一層エネルギー効率的でありそして簡単であり、そして例えばリチウム含有溶液がリチウムで富化されるようになりそして/または(適用可能であるなら)リチウム含有溶液中の所望されないイオンが低減することを許容する。 本発明のイオン交換プロセスの使用はまた、特別品ゼオライト吸着剤の製造において通常は廃棄されているリチウムのコスト及びエネルギー効率的な回収を可能ならしめ、全体的な製造コストの認めうるほどの節約をもたらす。 追加的に、本発明プロセスは、ゼオライト製造において、出発物質として低コスト低純度のリチウム塩の使用を可能とする。 その理由は、汚染物イオンが本発明プロセスによりこれらリチウム含有物質の溶液がゼオライト製造に使用される前に除去しうるからである。 本プロセスはまた、アルカリ若しくはアルカリ土類元素の塩を含むブラインからLi +イオンを回収若しくは除去される他の工業操作において使用される。 また別の例として、本発明は、ルビジウム及びセシウムをナトリウムから分離するのに使用することができる。 ルビジウム及びセシウムはナトリウムに対して大きな負の交換熱を有しているからである。 交換熱が負であるから、プロセスは、同じプロセスがリチウム−ナトリウム分離のために使用されるときナトリウムに富んだブライン流れを放出する場合、ルビジウム及びセシウムに富んだブライン流れを放出する。 本発明はまた、ストロンチウム及びバリウム(そして適用しうるならラジウム)の混合物をカルシウムから分離するのにも適応しうる。 【0102】以上、本発明を特定に具体例を参照して説明したが、本発明の範囲内で多くの変更や省略及び追加をなしうることを銘記されたい。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に従うイオン交換プロセスの複式プロセス具体例のプロセス流れ図であり、ここでは各2つのイオン交換床を持つ2系列がLi +とNa +を含有する溶液からLi +の分離のために使用される。 【図2】Li +をイオン交換床により取り込むプロセス段階中一定の合計(Li +及びNa + )イオン貯蔵量においてイオン交換床内での液体流れ方向における位置(%長さ)の関数としての、イオン交換床単位容積当たりのイオン当量においてのLi +貯蔵量及び充填量の濃度勾配を表すグラフである。 【図3】本発明のプロセスにおいて使用されうるイオン交換床内で埋設される熱交換コイルを備えた温度制御手段(冷却及び加熱)の一型式の該略図である。 【図4】各2床の2系列を使用する本発明に従う複式リチウム分離(回収)プロセスのプロセス流れ図でありそしてイオン交換床の加熱と冷却の代わりに流体の加熱と冷却を使用する温度制御のための別の方法を示す。 【図5】流体の加熱と冷却を使用する本発明の好ましい複式プロセスの具体例の流れ図であり、随意的な熱交換使用例を示す。 【図6】本発明に従う特定の複式プロセス流れ図である。 【図7】本発明に従う単式−2床分離プロセスのプロセス流れ図であり、これは比較的稀釈な比較的低いイオン価値のブラインからイオン(例えばLi + )が除去される場合に好ましい。 【図8】微量のリチウムを他のイオン種を有するブラインから除去する、本発明に従う逆転式単式−2床分離プロセスのプロセス流れ図であり、ここでは生成物流れ(Li +欠乏流れ)が低温床から放出されて回収される。 【図9】本発明に従う複式単一床(ただし中間点供給) 分離プロセスにおける単一帯域のプロセス流れ図である。 【符号の説明】 A、B、C、D 床 101、111 供給ブライン 102 Li +リッチ還流 103 底部 104 Na +リッチ還流 105 頂部生成物(Li +リッチブライン) 302 内部コイル 406、407 ヒータ 408、408 クーラ 406'、407' クーラ 408'、409' ヒータ 501 供給ブライン 502 加熱/冷却要素 503 熱交換器 504、505 還流流れ 506 クーラ 507 ヒータ 509、510、511、512、513 弁 902、903 タンク |