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Li含有燐酸化合物焼結体およびスパッタリングターゲット、並びにその製造方法

申请号 JP2012090543 申请日 2012-04-11 公开(公告)号 JP5969799B2 公开(公告)日 2016-08-17
申请人 株式会社コベルコ科研; 发明人 武富 雄一; 田尾 幸樹; 金丸 守賀;
摘要
权利要求

不純物としてLi4P2O7相を含むLi3PO4相からなるLi含有燐酸化合物焼結体であって、焼結体内部の断面1mm2領域中に50μm以上の欠陥がなく、平均結晶粒径が15μm以下であり、相対密度が85%以上であることを特徴とするLi含有燐酸化合物焼結体。前記焼結体の粉末X線回折における前記Li3PO4相の(011)面の回折強度(P314)と前記Li4P2O7相の(1-11)面の回折強度(P427)の強度比が、P314/P427≧1.1である請求項1に記載のLi含有燐酸化合物焼結体。請求項1または2に記載のLi含有燐酸化合物焼結体を用いて得られるスパッタリングターゲット。請求項1または2に記載のLi含有燐酸化合物焼結体を製造する方法であって、 平均粒径10μm以下のLi含有燐酸化合物を含む原材料を、露点−30℃以下の雰囲気に維持しながら仮焼せずにホットプレス炉に導入した後、ホットプレス法によって焼結することを特徴とするLi含有燐酸化合物焼結体の製造方法。前記ホットプレス法による焼結は、真空または不活性雰囲気下、ホットプレス温度700〜1000℃、圧10〜100MPaで行うものである請求項4に記載の製造方法。

说明书全文

本発明は、全固体型二次電池などの固体電解質物質として有用なLi含有燐酸化合物薄膜を、スパッタリング法によって成膜するときに用いられるLi含有燐酸化合物焼結体、およびスパッタリングターゲットに関するものである。詳細には本発明は、上記薄膜を、スパッタリング法によって安定して高い成膜速度で成膜することが可能な、Li含有燐酸化合物焼結体およびスパッタリングターゲット、並びに上記Li含有燐酸化合物焼結体の製造方法に関するものである。

全固体薄膜リチウム二次電池(以下、「Li系薄膜二次電池」という)は、薄膜太陽電池や、薄膜熱電素子、無線充電素子などの各種デバイスに用いられ、その需要が急速に高まっている。Li系薄膜二次電池は、代表的には、Liと遷移金属を含むLi含有遷移金属酸化物薄膜からなる正極と、Liを含む燐酸化合物薄膜からなる固体電解質と、Li金属薄膜などからなる負極と、から構成されている。

上記Li含有燐酸化合物薄膜の成膜には、当該膜とほぼ同じ材料のスパッタリングターゲット(以下、ターゲットと略記する場合がある。)をスパッタリングするスパッタリング法が好適に用いられている。スパッタリング法によれば、成膜条件の調整が容易であり、半導体基板上に容易に成膜できるなどの利点がある。

このスパッタリングターゲットに関して、例えば特許文献1には、CIP(冷間制静圧加圧)とHIP(熱間静水圧加圧)を順次行うことによって、相対密度が90%以上であって、Li4P2O7相の割合を低減させたターゲットが開示されている。

また、特許文献2では、水分を含む微細なLi3PO4粉末を仮焼することによってLi3PO4粉末の水分率を低減させてから焼結する製造方法が開示されている。この製造方法によれば、気孔などの欠陥(空隙)の形成が抑制された焼結体を得ることができる。

米国特許出願公開第2008/0173542A1号明細書

特許第4843582号公報

しかしながら、スパッタリングによる成膜の際、異常放電(アーキング)や、アーク放電による放電痕が発生するなどし、安定した放電ができず、スパッタリング中にターゲットの割れが生じたり、ノジュールが発生するなどの問題がある。

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、Li系薄膜二次電池などの固体電解質として有用なLi含有燐酸化合物薄膜を、異常放電が発生することなく安定して、高い成膜速度で成膜することができるLi燐酸化合物焼結体(更に該焼結体を用いたターゲット)、およびその製造方法を提供することである。詳細には、高い相対密度と、微細な結晶粒径とを兼備すると共に、気孔などの欠陥(空隙)が抑制されたLi含有燐酸化合物焼結体、およびLi含有燐酸化合物ターゲット、並びにその製造方法を提供することにある。更に好ましくは不純物相(Li4P2O7相)を低減させた上記焼結体、およびターゲット、並びにその製造方法を提供することにある。

上記課題を解決した本発明のLi含有燐酸化合物焼結体は、焼結体内部の断面1mm2領域中に50μm以上の欠陥がなく、平均結晶粒径が15μm以下であり、相対密度が85%以上であることに要旨を有する。

また前記焼結体の粉末X線回折におけるLi3PO4相の(011)面の回折強度(P314)とLi4P2O7相の(1-11)面の回折強度(P427)の強度比が、P314/P427≧1.1であることも望ましい実施態様である。

本発明には上記Li含有燐酸化合物焼結体を用いて得られるスパッタリングターゲットも含まれる。

また本発明は上記Li含有燐酸化合物焼結体を製造する方法であって、平均粒径10μm以下のLi含有燐酸化合物を含む原材料を、露点−30℃以下の雰囲気に維持しながら仮焼せずにホットプレス炉に導入した後、ホットプレス法によって焼結することに要旨を有する。

上記ホットプレス法による焼結は、真空または不活性雰囲気下、ホットプレス温度700〜1000℃、圧10〜100MPaで行うものであることも望ましい実施態様である。

本発明によれば、高い相対密度と、微細な結晶粒径とを兼備すると共に、欠陥が抑制され、更には不純物相(Li4P2O7相)の割合が低減されたLi含有燐酸化合物焼結体、およびLi含有燐酸化合物ターゲットを提供できたため、固体電解質として有用なLi含有燐酸化合物薄膜を、異常放電などを発生することなく安定して、高い成膜速度で成膜することができた。

本発明者らは、高い相対密度と、微細な結晶粒径とを兼備すると共に、欠陥が抑制され、更には不純物相(Li4P2O7相)割合が低減されたLi含有燐酸化合物焼結体およびLi燐酸化合物焼結体ターゲット(以下、単にターゲットと呼ぶ場合がある。)を提供するため、検討を重ねてきた。

その結果、平均粒径10μm以下のLi含有燐酸化合物を含む原材料を、露点−30℃以下の雰囲気下に維持しながら仮焼せずにホットプレス炉に導入した後、ホットプレス法によって焼結(例えば、真空または不活性雰囲気下、温度700〜1000℃、圧力10〜100MPaにて焼結する)することによって、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。

以下、本発明の製造方法について説明する。

本発明の製造方法は、(ア)微細な原材料粉末を使用すること、(イ)原材料粉末に水分が吸着しない雰囲気とすること、(ウ)仮焼せずにホットプレス法によって焼結することに特徴を有しており、好ましくは、(エ)焼結時のホットプレス温度を適切に制御することにある。

上記、本発明の製造方法に到達した経緯について説明すると以下の通りである。

まず、本発明では、(ア)微細な原材料粉末を用いることが重要である。これは、主に不純物相であるLi4P2O7相の低減と高密度化(相対密度)を考慮したためである。すなわち、原材料粉末の粒子径が粗いと、不純物相が生成する高温で焼結しないと緻密な焼結体が得られない。そこで、本発明では平均粒径10μm以下の原材料粉末を用いることにした。また平均粒径10μm以下の原材料粉末であれば、本発明の製造方法によって平均結晶粒径が15μm以下の焼結体を得ることができる。

次に、本発明では(イ)原材料粉末に水分が吸着しない雰囲気とする。具体的には原材料粉末を微細化した後、ホットプレス炉に導入するまでの雰囲気を露点−30℃以下とすることが重要である。原材料として使用するLi3PO4粉末は吸湿性を有しており、Li3PO4粉末を微細化すると吸湿性が更に高くなる傾向がある。したがって微細なLi3PO4粉末を用いても、焼結するまでに大気中の水分などを吸着して水分量が高くなると、得られる焼結体には気孔あるいは微細なひび割れなどの欠陥(空隙)が生じてしまう。そこで本発明では、微細な原料粉末を用いても、水分を吸着しない雰囲気とした。露点−30℃以下の雰囲気下であれば、原材料粉末が水分を吸着することがないため、焼結体中の水分に起因して形成される欠陥(空隙)の発生も抑制できる。また焼結して得られる焼結体の結晶粒も微細化(平均結晶粒径15μm以下)することができる。

更に、本発明では(ウ)仮焼せずにホットプレス法によって焼結する。本発明の原材料粉末は、上記したように水分を吸着していないため、焼結前に仮焼をおこなって原材料粉末から水分を除去する処理を行う必要がない。したがって微細な原材料粉末のまま焼結できるため、仮焼結による結晶粒の粗大化を防ぐことができる。また本発明では高い相対密度を有する焼結体とするために、ホットプレス法を採用する。ホットプレス法による焼結条件は、例えば不活性雰囲気下(例えば、窒素、アルゴン)、温度700〜1000℃、圧力10〜100MPaにて行うことが推奨される。

また、本発明では(エ)焼結時のホットプレス温度を適切に制御する。Li4P2O7相は高温で焼結すると生成するため、その生成を抑制するためには、1000℃以下の温度で焼結することが好ましい。

以下、上記製造方法について、工程順に詳述する。

(原材料) 原材料は、焼結体中の不純物相(Li4P2O7相)の低減、焼結体の高密度化、および焼結体を構成する結晶粒の微細化を図る観点からは平均粒径10μm以下、好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下の微細な原材料粉末を用いることが望ましい。一方、原材料粉末の平均粒径の下限は特に限定されないが、製造容易性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上である。

原材料の調製方法は、所望とする粒径(平均粒径:10μm以下)が得られるよう、公知の調製方法を適用することができる。例えば、炭酸リチウムと燐を混合し、所定の温度まで昇温することで、Li含有燐酸化合物(Li3PO4)を得てもよく、またはLiとPが溶解した水溶液中から得られる沈殿物を所定の温度に昇温してLi含有燐酸化合物(Li3PO4)を得てもいい。

このようにして得られたLi含有燐酸化合物をボールミル等の粉砕装置で微細に粉砕して平均粒径10μm以下の原材料粉末とする。微細な粉末を得るためには、一定時間の粉砕が必要であるが、粉砕に用いるボールからのコンタミネーションが発生する。コンタミネーションの抑制の観点からは、粉砕前の粉末の粒子径が小さいほうが望ましく、水溶液から得られた沈殿物を昇温して得られる粉末のほうが、コンタミネーションが少なく微細な原材料粉末を得ることができる。

(雰囲気) 更に本発明では上記原材料(Li3PO4粉末)をホットプレス炉に導入するまでの雰囲気を露点−30℃以下とする。詳細には、10μm以下の原材料粉末を製造した直後から雰囲気を露点−30℃以下とし、この雰囲気下で所定の黒鉛型に充填した後、ホットプレス炉に導入する。後記するようにホットプレス炉内は真空または不活性雰囲気であるため、炉内導入後は基本的に露点の制御が不要である。

なお、原材料を黒鉛型に充填するまでに保管・運搬する場合は、露点−30℃以下の雰囲気で包装することにより、原材料への水分の吸着を防止することができる。

(ホットプレス法による焼結) 上記原材料を焼結するにあたっては、まず、上記露点雰囲気下で上記原材料粉末を黒鉛型に充填する。黒鉛型への充填に当たっては、上記原材料粉末を、予備成形することなく直接、充填しても良いし、或いは、別の金型に一旦充填し、金型プレスで予備成形した後、黒鉛型に充填しても良い。後者の予備成形は、ホットプレス工程で所定の型にセットする際のハンドリング性を向上させる目的で行なわれるものであり、例えば、約0.5〜1.0tonf/cm2程度の加圧力を加えて予備成形体とすることが好ましい。

ホットプレスによる焼結条件は、真空または不活性雰囲気、温度700〜1000℃、圧力10〜100MPaに制御することが好ましい。焼結温度が700℃未満の場合、焼結体の相対密度が85%未満と低くなり、スパッタリング時に割れなどが生じやすくなる。一方、焼結温度が1000℃を超えると、焼結体の平均結晶粒径が大きくなると共に、不純物相(Li3PO4相)を低く保つことができなくなり、強度比(P314/P427)が1.1を下回るようになる。不純物相を低減させる観点からは、焼結温度は、好ましくは900℃以上、950℃以下である。

同様に、焼結時の圧力が10MPa未満の場合、焼結体の相対密度が低くなり、所望とする高い相対密度が得られない。一方、焼結時の圧力が100MPaを超えると、黒鉛型の型が破損するなどし、ホットプレスの実施が困難になる。より好ましい圧力は、20〜50MPaである。

真空または不活性雰囲気下で焼結することとしたのは、炉内に導入された原材料粉末に水分が吸着するのを防止すると共に、本発明で用いられる黒鉛型の黒鉛の酸化や消失を抑制するためである。不活性雰囲気に用いられるガスとしては、例えば、Ar、N2などの不活性ガスが挙げられる。雰囲気制御方法は特に限定されず、例えば炉内にArガスやN2ガスを導入することによって雰囲気を調整すればよい。

また、焼結の際、最高温度域に達したときに所定の温度に保持しても良い。このときの保持時間は、焼結時の温度や圧力などによっても相違するが、おおむね、100時間以下であることが好ましい。上記保持時間が100時間を超えると、焼結による重量減少が顕著になり、良好な焼結体(特に高い相対密度を有する焼結体)が得られない。上記保持時間は0時間(保持なし)も含むものであり、例えば、原材料などとの関係で焼結温度が最適な範囲に設定されている場合は、保持時間はゼロとすることが可能である。

上記のようにして得られる酸化物焼結体は、高い相対密度と、微細な平均結晶粒径を有すると共に、欠陥(空隙)がない。また焼結時の温度を適切に制御することで、不純物相の低い焼結体が得られる。

更に、上記の酸化物焼結体を、常法により、加工→ボンディングを行なうと本発明のスパッタリングターゲットが得られる。このようにして得られるスパッタリングターゲットも高い相対密度と、微細な結晶粒径を有すると共に、欠陥がなく、また好ましくは低い不純物相であり、焼結体と同様に非常に良好なものである。

(本発明のLi含有燐酸化合物焼結体) 本発明のLi含有燐酸化合物焼結体は、(1)平均結晶粒径が15μm以下であること、(2)焼結体内部の断面に50μm以上の欠陥(空隙)がないこと、(3)相対密度が85%以上であること、また好ましくは(4)の粉末X線回折におけるLi3PO4相とLi4P2O7相の強度比(Li3PO4相/Li4P2O7相)が1.1以上である。

本発明のLi含有燐酸化合物焼結体は、(1)平均結晶粒径は15μm以下である。平均結晶粒径が15μmを超えると、該焼結体を用いて得られるターゲットのスパッタリング中に異常放電やノジュールの発生が多くなる。好ましい平均結晶粒径は、12μm以下、より好ましくは10μm以下である。焼結体の平均結晶粒径は微細なほど、安定したスパッタリングを行うことができるため、下限は限定されないが、製造容易性の観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上である。

また(2)焼結体内部の断面に50μm以上の欠陥がないことである。焼結体に50μm以上の欠陥(空隙)が生じていると、スパッタリング中に異常放電が発生することがある。欠陥と評価される空隙は、焼結体の縦断面SEM写真によって測定することができる。具体的には焼結体縦断面の任意の領域をSEM観察し、SEM写真から欠陥(空隙)を特定し、その長さ(最大径)を測定する。本発明の焼結体は1mm2領域中に50μm以上の欠陥が存在しないものである。

更に(3)焼結体の相対密度は85%以上である。相対密度を高めることによってスパッタリング時の成膜電力を増加できるため、成膜速度も向上し、生産性が高められるようになる。一方、相対密度が85%未満だと、スパッタリング中にターゲットに割れが生じることがある。好ましい相対密度は90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。

本発明の焼結体は上記(1)〜(3)の条件を満たしていれば、上記所期の目的を達成できるが、好ましくは(4)粉末X線回折におけるLi3PO4相とLi4P2O7相の強度比(P314/P427)が1.1以上であることが望ましい。Li3PO4相とLi4P2O7相の強度比が1.1以上であれば、均一な焼結体が得られるため、成膜安定性が向上すると共に、成膜したLi含有燐酸化合物膜の固体電解質膜としての特性も向上する。

Li3PO4相とLi4P2O7相の強度比は、Li3PO4相の(011)面の粉末X線回折強度(P314)とLi4P2O7相の(1−11)面の粉末X線回折強度(P427)をXRDチャートに表し、該チャートに基づいてP314/P427の強度比を算出すればよい。P314/P427の強度比は好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上である。

(スパッタリングターゲット) 本発明には、上記焼結体を用いて得られるスパッタリングターゲット(Li含有燐酸化物焼結体ターゲット)も、本発明の範囲内に包含される。スパッタリングターゲットの製造方法は特に限定されず、通常用いられる方法を用いることができる。このようにして得られるスパッタリングターゲットも、上記Li含有燐酸化物焼結体と同様の特性(高い相対密度、空隙がない、微細な平均粒径、更に好ましくは低い不純物相)が得られる。

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。

実験1 (Li含有燐酸化合物焼結体の作製) 原材料粉末としてLi3PO4粉末(純度:99.9%以上、平均粒径:表1記載の「粒径」)を用いた。 上記の原材料粉末を、直接、黒鉛型にセットし、表1に示す条件で、ホットプレスによる焼結を行ない、焼結体を得た。なお、表1のNo.1〜6、8は原料粉末を黒鉛型にセットし、ホットプレス炉に導入するまでは露点−30℃以下の雰囲気とした。またNo.1〜7は仮焼を行わずに焼結を行った。なお、No.7は露点を管理せず、露点−30℃超の雰囲気で黒鉛型にセットし、ホットスタンプ炉に導入した。No.8は原料粉末を黒鉛型にセットする前に大気中で750℃、3時間仮焼した。

(焼結体の相対密度の測定) 上記各焼結体の相対密度を、アルキメデス法によって測定した。

(焼結体の粉末X線回折による強度比の測定) 上記各焼結体のLi3PO4相の(011)面のX線回折強度(P314)とLi4P2O7相の(1−11)面のX線回折強度(P427)を、CuKα線を用いた粉末X線回折により測定し、そのX線回折チャートから強度比(P314/P427)を求めた。

(焼結体の平均結晶粒径の測定) 上記各焼結体の縦断面における任意の位置を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、破面写真(SEM写真)より、切断法にて求めた。

(焼結体の欠陥個数の測定) 上記各焼結体の縦断面のSEM写真の任意の1mm2領域において、欠陥の最大径をスケールから求め、目視にて最大径が50μm以上の欠陥の個数を測定した。

これらの結果を表2に示す。

表1および表2より、以下のように考察することができる。

まず、表1のNo.2〜4は、本発明で規定する製造方法によって製造したLi含有燐酸化物焼結体であり、本発明で規定する50μm以上の欠陥(空隙)が無く、また平均結晶粒径が15μm以下、且つ、85%以上の高い相対密度を有していた。また強度比(P314/P427)は、No.2は1.2、No.3は1.5、No.4は2.9であり、いずれも本発明の規定を満足していた。

これに対し、表1のNo.1は焼結温度が低いため、相対密度が低下した。No.5は焼結温度を高くしたため、高い相対密度が得られたが、粉末原料の平均粒径が大きいため、本発明で規定する結晶粒径を満たさなかった。No.6は粉末原料の平均粒径が大きいため、本発明で規定する平均結晶粒径を満たさなかった。No.7は露点制御を行わなかったため、50μm以上の欠陥が発生した。No.8は仮焼したため、本発明で規定する平均結晶粒径を満たさなかった。

実験2 (スパッタリングターゲットの作製) 次に、上記No.1、No.3、No.5、No.7、No.8の焼結体を用いてスパッタリングターゲットを製造した。スパッタリングターゲットは、上記の各焼結体を機械加工して4インチφ×5mmt(t=厚み)に仕上げ、Cu製バッキングプレートにインジウムを用いてボンディングすることによって得た。No.1、No.3、No.5、No.7、No.8の上記焼結体を用いて得られたスパッタリングターゲットを、それぞれターゲットA〜Eと呼ぶ。

次に、上記のターゲットA〜Eを用い、以下の成膜実験を行った。

成膜装置:RFマグネトロンスパッタ装置を使用 成膜条件:基板温度室温、RF放電パワー600W、スパッタガス圧3mTorr、スパッタガスとしてArと窒素の混合ガスを使用、成膜膜厚500nm 成膜手順: 各ターゲットを上記のスパッタ装置に装着し、ターゲットに対向する基板ステージ上にガラス基板を装着した。チャンバー内を真空ポンプで5×10-4Pa以下の真空に引き、基板ステージを加熱して基板温度を500℃に調整した。次に、マスフローを用いて上記のスパッタガスをチャンバー内に供給した。スパッタガス圧を3mTorrに調整した後、RF(交流)電源を用いてターゲットに高電圧を印加し、プラズマ放電させた。このときの放電パワーは600Wで行い、500nmの膜厚になるよう成膜を実施した。

その結果、相対密度の低いターゲットA(相対密度:76.6%)では、成膜途中にターゲットが割れた。平均結晶粒径が大きいターゲットC(平均結晶粒径:35μm)、欠陥があるターゲットD(欠陥:2個)、平均結晶粒径が大きいターゲットE(平均結晶粒径:25μm)では、成膜途中に異常放電が発生し安定した放電を維持することができなかった。

これに対し、本発明の規定を全て満足するターゲットBでは、成膜途中にターゲットは割れず、安定した放電を維持することができた。

上記の結果より、本発明の要件を満足するLi含有燐酸化物焼結体およびスパッタリングターゲットを用いれば、Li系二次電池などの電解質薄膜に有用なLi含有燐酸化物薄膜を、スパッタリング法により、ターゲットの割れや異常放電などの発生もなく、安定して高い成膜速度で成膜することができることが確認された。よって、上記スパッタリングターゲットを用いれば、高い成膜レートで上記薄膜を提供できる点で、極めて有用である。

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