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Method for producing a lithium concentrate from lithium-containing aqueous solution

申请号 JP2002308650 申请日 2002-10-23 公开(公告)号 JP3883491B2 公开(公告)日 2007-02-21
申请人 財団法人工業技術研究院Industrial Technology Research Institute; 发明人 怡 隆 張; 俊 二 林; 玉 琳 江; 哲 源 許;
摘要
权利要求
  • (a) リチウム含有水溶液を、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンに比してリチウムイオンに対してより高い吸着能を有する吸着剤が充填される吸着床に導入し
    (b)該吸着床に水を導入して、吸着剤に吸着されたナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンを脱離させ;
    (c)さらに該吸着床に酸性溶液を導入して、吸着剤により強く吸着されたリチウムイオンを脱離させて、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液を得;
    (d)該段階(c)で得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオンを第1の電気透析によって6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇し;さらに(e)該段階(d)で得られた6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオンを第2の電気透析によって14000〜18000ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇する段階を有するリチウム含有水溶液からのリチウム濃縮液の製造方法。
  • さらに、(f)該段階(e)での第2の電気透析後に1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する第1の減損リチウム溶液を 集め 、該第1の減損リチウム溶液を供給原料として段階(d)での第1の電気透析に再使用することを有する、請求項1に記載の方法。
  • さらに、(g)該段階(d)での第1の電気透析後に250〜400ppmのリチウムイオン濃度を有する第2の減損リチウム溶液を 集め 、該第2の減損リチウム溶液を残渣回収電気透析によって1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇し、さらに(h)該段階(g)で得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有するリチウム溶液を供給原料として段階(d)での第1の電気透析に再使用することを有する、請求項1または2に記載の方法。
  • さらに、(i)該段階(g)での残渣回収電気透析後に10〜100ppmのリチウムイオン濃度を有する第3の減損リチウム溶液を 集め 、該第3の減損リチウム溶液を供給原料として段階(a)での吸着床に再使用することを有する、請求項3に記載の方法。
  • 該吸着剤は、リチウム含有マンガン酸化物の粉末、及びバインダーとしてのポリマーを含む粒状吸着剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  • 該バインダーは、ポリ塩化ビニルである、請求項5に記載の方法。
  • 該リチウム含有マンガン酸化物の吸着剤は、LiMn 及びLi MnO からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項5または6に記載の方法。
  • リチウム含有水溶液のpHが段階(a)で吸着床に導入される前に10〜11になるように、リチウム含有水溶液にアルカリを添加する段階を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  • 該アルカリは、水酸化ナトリウムである、請求項8に記載の方法。
  • 該リチウム含有水溶液は、海水、または海水から塩を製造するためのプロセス若しくは海水からの純水製造プロセスから得られるかん水を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、リチウム含有溶液、特にかん水または海水からのリチウム濃縮液の製造方法に関するものである。 特に、本発明は、吸着及び電気透析という2種の濃縮技術を組み合わせることによるリチウム含有水溶液、特にかん水または海水からのリチウム濃縮液の製造方法に関するものである。 当該方法によって得られるリチウム濃縮液から炭酸リチウム(Li 2 CO 3 )が効率よく得られる。
    【0002】
    【従来の技術】
    高い電気エネルギー密度、高い動作電圧、長期間のサイクル寿命及び記憶効果がないなどの利点から、リチウムイオン電池は、ノートブック型コンピューター、移動電話、及び電気自動車などにおいて広範に使用され、その使用量は倍増していくであろう。 加えて、多くの異なるリチウム化合物が、セラミック工業、ガラス工業、アルミニウム電解融解工業(aluminum electrolysis melting industry)及び合成ゴム工業等の、様々な工業分野で使用されてきた。 これらのうち、最も一般的なリチウム化合物としては、炭酸リチウムがあり、多くのリチウム化合物は炭酸リチウムから製造される。 したがって、炭酸リチウムは最も重要なリチウム化合物の一つである。
    【0003】
    現在、リチウム鉱石及びかん水という、2種の異なる材料源が主に炭酸リチウムを製造するのに使用されている。 リチウム鉱石の天然資源のない台湾のような国では、海水が炭酸リチウムを製造するための供給源として代わりに使用されている。 海水は、直接あるいは濃縮された後、即ち、かん水として使用できるが、この際、海水は約0.1〜0.5ppmのリチウムイオン濃度であり、かん水は約10ppmというリチウムイオン濃度である。 しかしながら、リチウムイオンを含む水溶液から炭酸リチウム沈殿物を形成するためには、その濃度は、海水やかん水の濃度に比べてかなり高い、15000ppm以上でなければならない。 その結果、海水またはかん水のリチウムイオン濃度を、炭酸リチウムを製造するのに必要な15000ppmのレベルにまで増加するための技術を開発することは、非常に有益である。
    【0004】
    特許文献1には、かん水を多段階の電気透析にかけることによって5:1以下のMg:Li比を有するリチウムイオン濃度が上昇した溶液の製造方法が開示される。 上記方法では、加えて、化合物を濃縮溶液に添加して、含まれるマグネシウム(Mg)イオンの量を減少するために瀘過操作を必要とし、さらに、最終的な電気透析段階を行なうことによって、リチウム含量が15.5g/L(約1.5%)にまで増加できる。 しかしながら、上述したように、この濃度は、炭酸リチウムを製造するのに適する最小濃度であり、この濃度をさらに増加させることが望ましい。
    【0005】
    【特許文献1】
    米国特許第4,636,295号明細書【0006】
    【発明が解決しようとする課題】
    したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、リチウムイオン(Li + )の回収率が高く、固形物(solid waste)を含まないかん水や海水等のリチウム含有水溶液からのリチウム濃縮液の製造方法を提供することを目的とする。
    【0007】
    【課題を解決するための手段】
    上記諸目的は、下記(1)〜(10)によって達成される。
    【0008】
    (1) (a) リチウム含有水溶液を、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンに比してリチウムイオンに対してより高い吸着能を有する吸着剤が充填される吸着床に導入し
    (b)上記吸着床に水を導入して、吸着剤に吸着されたナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンを脱離させ;
    (c)さらに上記吸着床に酸性溶液を導入して、吸着剤により強く吸着されたリチウムイオンを脱離させて、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液を得;
    (d)上記段階(c)で得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオンを第1の電気透析によって6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇し;さらに(e)上記段階(d)で得られた6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオンを第2の電気透析によって14000〜18000ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇する段階を有するリチウム含有水溶液からのリチウム濃縮液の製造方法。
    【0009】
    (2) さらに、(f)上記段階(e)での第2の電気透析後に1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する第1の減損リチウム溶液を集め 、上記第1の減損リチウム溶液を供給原料として段階(d)での第1の電気透析に再使用することを有する、前記(1)に記載の方法。
    【0010】
    (3) さらに、(g)上記段階(d)での第1の電気透析後に250〜400ppmのリチウムイオン濃度を有する第2の減損リチウム溶液を集め 、上記第2の減損リチウム溶液を残渣回収電気透析によって1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇し、さらに(h)上記段階(g)で得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有するリチウム溶液を供給原料として段階(d)での第1の電気透析に再使用することを有する、前記(1)または(2)に記載の方法。
    【0011】
    (4) さらに、(i)上記段階(g)での残渣回収電気透析後に10〜100ppmのリチウムイオン濃度を有する第3の減損リチウム溶液を集め 、上記第3の減損リチウム溶液を供給原料として段階(a)での吸着床に再使用することを有する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
    【0012】
    (5) 上記吸着剤は、リチウム含有マンガン酸化物の粉末、及びバインダーとしてのポリマーを含む粒状吸着剤である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
    【0013】
    (6) 上記バインダーは、ポリ塩化ビニルである、前記(5)に記載の方法。
    【0014】
    (7) 上記リチウム含有マンガン酸化物の吸着剤は、LiMn 24及びLi 2 MnO 3からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、前記(5)または(6)に記載の方法。
    【0015】
    (8) リチウム含有水溶液のpHが段階(a)で吸着床に導入される前に10〜11になるように、リチウム含有水溶液にアルカリを添加する段階を有する、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
    【0016】
    (9) アルカリは、水酸化ナトリウム(NaOH)である、前記(8)に記載の方法。
    【0017】
    (10) 上記リチウム含有水溶液は、海水、または海水から塩を製造するためのプロセス若しくは海水からの純水製造プロセスから得られるかん水を含む、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
    【0018】
    【発明の実施の形態】
    以下、本発明を詳細に説明する。
    【0019】
    本発明は、(a) リチウム含有水溶液を、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンに比してリチウムイオンに対してより高い吸着能を有する吸着剤が充填される吸着床に導入し ;(b)該吸着床に水を導入して、吸着剤に吸着されたナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンを脱離させ;(c)さらに該吸着床に酸性溶液を導入して、吸着剤により強く吸着されたリチウムイオンを脱離させて、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液を得;(d)該段階(c)で得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオンを第1の電気透析によって6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇し;さらに(e)該段階(d)で得られた6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオンを第2の電気透析によって14000〜18000ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇する、段階を有するリチウム含有水溶液からのリチウム濃縮液の製造方法に関するものである。
    【0020】
    すなわち、本発明の方法は、吸着および電気透析という2種の濃縮技術を組み合わせて、かん水または海水等のリチウム含有水溶液、特にかん水中のリチウムイオン濃度を、数ppmから、炭酸リチウムを形成するのに十分高い濃度である、約1.5質量%またはそれ以上にまで増加することができる。 なお、本明細書中において、「かん水」とは、海水から塩を製造するためのプロセス若しくは海水からの純水製造プロセスから得られるものをいう。 本発明の方法では、まず、リチウム含有水溶液に吸着工程を施し、リチウムイオン濃度を1200〜1500ppmにまで増加させた後、電気透析を2段階行なうことによって、リチウムイオン濃度を約1.5質量%またはそれ以上にまで上昇させることができる。
    【0021】
    本発明の方法は、リチウム含有水溶液を使用し、これをリチウムイオンの吸着剤を充填して吸着カラム等の吸着床に導入してリチウムイオンを吸着させるものである。 この際、吸着床には、以下に詳述されるような、リチウムイオンが、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンに比してより強く吸着されるような吸着剤が充填される。 吸着床の形態としては、吸着剤が有効に保持できるものであれば特に制限されないが、例えば、吸着剤が充填されたカラムなどが挙げられる。
    【0022】
    本発明において、リチウム含有水溶液は、リチウムを含むものであればよく、本発明による吸着剤は、水溶液中のリチウムイオン濃度が低くとも、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオン等の他のイオンに比してより高い吸着能をもってリチウムを回収できるため、リチウム含有水溶液中のリチウムイオン濃度が低くてもよい。 具体的には、海水やかん水などが好ましく挙げられ、より好ましくはかん水である。 この際、かん水は、海水から塩を製造するためのプロセスまたは海水からの純水製造プロセスから得られる。
    【0023】
    本発明において、上記したようなリチウム含有水溶液のpHを、より好ましくはアルカリの添加によって、吸着操作(段階(a))前に予め10以上、より好ましくは10〜11にまで上昇させておくことが好ましい。 これによって、吸着剤1g当たりのリチウムイオンの飽和吸着量が有意に向上できるからである。 このような特定のpH範囲は、通常、リチウム含有水溶液の元のpH値によって適宜上記範囲になるように調節されればよく、その調節方法も公知の方法が使用でき特に制限されるものではないが、一般的には、アルカリをリチウム含有水溶液に添加することによって上昇できる。 この際使用できるアルカリとしては、特に制限されず公知のアルカリが使用でき、リチウム含有水溶液のpH値によって適宜選択できる。 このようなアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられ、これらのうち、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。
    【0024】
    本発明の方法において、上記したようにしてリチウム含有水溶液が導入されてリチウムイオン、さらにはナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンを吸着した(段階(a))吸着床は、まず水の導入により水洗されて、吸着剤に吸着されたナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンを脱離させた(段階(b))後、さらに酸性溶液の導入により酸性溶液で洗浄されて、吸着剤により強く吸着されたリチウムイオンを脱離させ、リチウムイオン濃度のより高い、即ち、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する脱離溶液を得る(段階(c))。 この際、水洗により、吸着剤に弱く吸着したナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンが脱離するが、水洗は、水洗後の溶液中のナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの各イオン濃度が10ppm以下になるまで、行なわれることが好ましい。 また、酸性溶液では、吸着剤に比較的強く吸着したリチウムイオンが脱離するが、この酸性溶液による吸着剤の洗浄は、溶出した溶液(流出液)中のリチウムイオン濃度が1200〜1500ppmになるまで行なわれる。 この際、流出液中のリチウムイオン濃度の検出は、特に制限されず、公知の方法によって同様に行なわれるが、一般的には、光学検出器(optical detector)を用いて吸着剤からの流出液のリチウムイオンを検出することができる。 流出液のリチウムイオン濃度は、流出液を通過する光線(light beam)の透過率に関連するので、光学検出器を用いることによって、所定の値より低い透過率を有する流出液のみを集めればよく、これにより集められた溶液は、所定の値以上のリチウムイオン濃度を有しかつ不純物イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオン)量が少ないものとなる。 また、酸性溶液としては、特に制限されず、リチウムイオンの溶出速度やリチウム含有水溶液の種類などによって適宜選択されればよいが、例えば、希釈塩酸(HCl)溶液などが挙げられる。
    【0025】
    このようにして上記段階(a)〜(c)で得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液は、さらに2段階の電気透析にかけられて、即ち、上記段階(c)で得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオン濃度を6000〜10000ppmにまで上昇させる第1の電気透析(段階(d))及び上記段階(d)で得られた6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオン濃度を14000〜18000ppmにまで上昇する第2の電気透析によって、最終的にリチウムイオン濃度を約1.5質量%またはそれ以上にまで増加できる。 したがって、本発明の方法によって、かん水や海水等のリチウム含有水溶液中のリチウムイオンを十分量かつ効率よく回収できる。
    【0026】
    本発明の方法においては、第2の電気透析(段階(e)) 後に集められた 1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液(本明細書中では、「第1の減損リチウム溶液」とも称する)は、第1の電気透析(段階(d))に供給原料として再使用されて(段階(f))もよい。 この際、以降は本発明によるのと同様の処理が施される。 または、第1の電気透析後に集められた低濃度の(例えば、250〜400ppm)のリチウムイオン濃度を有する溶液(本明細書中では、「第2の減損リチウム溶液」とも称する)は、残渣回収電気透析にかけられて、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液を形成し(段階(g))、これを第1の電気透析に供給原料として再使用されて、本発明によるのと同様の第1の電気透析が施されて(段階(h))もよい。 この場合においても、これはさらに本発明によるのと同様の第2の電気透析が施されてもよい。 または、上記残渣回収電気透析後に集められたより低濃度の(例えば、10〜100ppm)のリチウムイオン濃度を有する溶液(本明細書中では、「第3の減損リチウム溶液」とも称する)は、リチウムイオンが他のイオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオン)より強く吸着できる吸着剤が充填された吸着床(段階(a))に供給原料として再使用されて(段階(i))もよく、この場合には、上記したのと同様の水による洗浄(段階(b))及び酸性溶液による洗浄(段階(c))処理がさらに施されて、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液を形成し、これに本発明によるのと同様の処理(即ち、第1の電気透析及び第2の電気透析)を施してもよい。 これらの再使用により、かん水や海水等のリチウム含有水溶液中のリチウムイオンを十分量かつ効率よく回収でき、また、新たに導入されるリチウム含有水溶液の量及び本発明により排出(廃棄)される溶液量を減少でき、経済的にまた環境面で好ましいものである。 なお、上記再使用の工程では、それぞれの態様を単独で用いてもあるいは組み合わせて用いてもよい。
    【0027】
    本発明の方法で使用するのに適当な電気透析装置は、上記したようなリチウムイオン濃度を所定値にまで増加できるものであれば特に制限されず、公知の装置が同様にして使用できる。 例えば、米国特許第3,063,924号公報に開示された電気透析装置などが使用できる。
    【0028】
    本発明に使用できる吸着剤は、リチウムイオンが、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンに比してより強く吸着できるものであれば特に制限されず、公知の吸着剤が使用できるが、リチウム含有マンガン酸化物の粉末、及びバインダーとしてのポリマーを含む粒状吸着剤であることが好ましい。 この際、バインダーとしては、バインダー機能を有するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル共重合体、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、アセチルセルロースなどが挙げられ、これらのうち、ポリ塩化ビニルが好ましい。
    【0029】
    また、本発明において、バインダーの使用量は、リチウム含有マンガン酸化物に対して、5〜60質量%であることが好ましい。 この際、バインダーの使用量が5質量%未満であると、粒状吸着剤中にバインダーが均一に分散されず、得られた粒状吸着剤の破砕や粉末化が起こりやすくなる可能性がある。 これに対して、バインダーの使用量が60質量%を超えると、マンガン酸化物中のリチウムの溶出が困難になり、吸着性能が低下する場合がある。
    【0030】
    また、本発明の方法において使用されるリチウム含有マンガン酸化物の吸着剤を構成するリチウム含有マンガン酸化物は、リチウムを含有するものであれば特に制限されず公知のリチウム含有マンガン酸化物が使用できる。 例えば、式:Li x Mn yzで表わされるものがある。 この際、式:Li x Mn yzで表わされるものは、単一の成分から構成されるものであってもあるいは混合物の形態であってもよい。 このため、上記式において、xは、リチウム含有マンガン酸化物中のリチウム原子の平均原子数を示し、好ましくは1〜2の値であり;yは、リチウム含有マンガン酸化物中のマンガン原子の平均原子数を示し、好ましくは1〜2の値であり;zは、リチウム含有マンガン酸化物中の酸素原子の平均原子数を示し、好ましくは3〜4の値である。 より具体的には、LiMn 24及びLi 2 MnO 3を含むものなどが好ましく挙げられ、これらは単独で使用されてもあるいは混合物の形態で使用されてもよい。 この際、リチウム含有マンガン酸化物は、粉末の形態で使用されることが特に好ましく、この場合の、リチウム含有マンガン酸化物の粒径は、0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜10μmであることが好ましい。
    【0031】
    また、本発明によるリチウム含有マンガン酸化物の調製方法は、特に制限されず、公知の方法によって使用できる。 例えば、本発明による好ましい実施態様である、リチウム含有マンガン酸化物の粉末は、米国特許第4,665,049号公報に記載に開示される方法によって調製できる。 即ち、(a)Li 2 O及びマンガン化合物を混合し;(b)得られた混合物を300〜1200℃の温度で加熱して、リチウム及びマンガンを含む生成物を形成し;さらに(c)酸性溶液で生成物からリチウムを溶出する(leach out)ことによって、リチウム含有マンガン酸化物の粉末が調製される。 または、特開平3−8439号公報に記載される方法が挙げられる。 より詳細に述べると、多孔性のマンガン含水酸化物にリチウムを吸着させた後、500℃以上の温度で加熱処理する方法(特開昭61−171535号公報);及び水酸化酸化マンガンと炭酸リチウムとの混合物を200℃以上の温度で加熱処理する方法(特開昭63−80844号公報)などが使用できる。
    【0032】
    本発明において、好ましくは粒状の、リチウム含有マンガン酸化物の吸着剤の製造方法もまた特に制限されず、公知の方法によって使用できる。 例えば、特開平3−8439号公報に記載される方法が好ましく使用できる。 より詳細に述べると、本発明の好ましい一実施態様によると、バインダーとしてのポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)を有機溶媒中に溶解し、得られた溶液と上記で得られたようなリチウム含有マンガン酸化物(好ましくは、粉末形態)とを混合してスラリーを形成し、このスラリーを、細管を介して、有機溶剤と親和性を有しかつバインダーとしてのポリマーに対して非溶剤性である液体中に通して、粒状体を形成し、さらにこの粒状体を酸の水溶液と接触させて、リチウムを溶出させることによって、本発明のリチウム含有マンガン酸化物の粒状吸着剤が調製できる。
    【0033】
    上記方法において、バインダーを溶解するのに使用される有機溶剤としては、バインダーを溶解できるものであれば特に制限されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンなどが挙げられ、好ましくはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。 また、有機溶剤と親和性を有しかつバインダーとしてのポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)に対して非溶剤性である液体としては、水、アセトン、メタノール、エタノール等のアルコールが挙げられる。 これらの液体は、単独で使用されてもあるいは混合液の形態で使用されてもよい。 これらのうち、水または水とアルコールとの混合液が好ましい。
    【0034】
    このようにして得られる本発明によるリチウム含有マンガン酸化物の大きさは、特に制限されず、上記したような方法における細管の系や供給(滴下)速度によって適宜調節されうる。 例えば、本発明の好ましい実施態様である、粒状吸着剤の場合の粒径は、特に制限されず、水溶液中のリチウムイオンが吸着剤に吸着できるような粒径であればよい。 また、吸着剤の密度もまた、特に制限され、効率よくリチウムイオンを吸着できるように選択される。
    【0035】
    また、本発明において、リチウム含有マンガン酸化物のリチウム含有水溶液への添加量は、リチウム含有水溶液中のリチウムイオンが吸着剤としてのリチウム含有マンガン酸化物に十分吸着できる量であれば特に制限されず、またリチウム含有水溶液中のリチウムイオン濃度やリチウム含有マンガン酸化物の種類などによって異なる。 本発明では、リチウム含有マンガン酸化物の吸着剤は、好ましくはカラムに充填されて使用される。 この際、例えば、このカラムに、かん水を18〜40リットル/時間の流体空間速度で導入する。
    【0036】
    本発明の方法は、上記段階(a)〜(e)、および必要であれば上記段階(f)〜(i)を有するものであるが、本発明をより詳しく説明するために、本発明の方法の好ましい一実施態様を、かん水をリチウム含有水溶液として用いて図1を参照しながら、以下に説明する。 しかしながら、本発明は、上記実施態様に制限されるものではない。
    【0037】
    図1において、上記したように海水を用いてNaCl及びKClの製造プラントから得られた、かん水1を、リチウム含有マンガン酸化物を有する粒状の吸着剤が充填された吸着床としての吸着カラム2に導入して、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの吸着を行なう。 この際、吸着床は、使用される前(かん水1の導入前)に予め脱イオン水や酸性溶液(例えば、希釈塩酸水溶液など)で洗浄して、不純物を除去しておくことが望ましい。 また、吸着剤としては、リチウムイオンが、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンに比して吸着床の吸着剤により強く吸着されるようなものが選択される。 上記吸着段階におけるかん水1の1時間あたりの空間速度は、18〜40L/時間の範囲内に制御されることが好ましい。 この際、かん水1の1時間あたりの空間速度が18L/時間未満であると、かん水を流す速度が低すぎて目的とするリチウムイオンの吸着速度が低くなる場合がある。 逆に、かん水1の1時間あたりの空間速度が40L/時間を超える場合には、かん水が吸着剤中を迅速に流れすぎて、リチウムの回収率が低くなる恐れがある。 吸着カラム2のかん水の流入液及び流出液のリチウムイオン濃度を比べて、これらの濃度が近接する、即ち、吸着カラム2が飽和したら、かん水の導入を停止する。 次に、飽和した吸着カラム2を水で洗浄して、リチウムイオンはほとんど脱離させずに、吸着剤に吸着した大量のナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)の不純物イオンを脱離させる。 さらに、吸着カラム2を0.5〜1.0N 塩酸(HCl)水溶液で洗浄して、光学検出器3で吸着剤からの流出液中のリチウムイオン濃度を検出しながら、吸着剤に残っているリチウムイオンを脱離させる。 この際、図2に示されるように、流出液を通過する760nmの光線(light beam)の透過率が減少すると、流出液のリチウムイオン濃度は高くなることが示される。 透過率が2%を下回って減少して、平坦になったら、流出液を集め始める。 この際、透過率が2%を下回ると、図2に示されるように、流出液中のリチウムイオン濃度は800ppm以上であることを意味する。 流出液の脱離リチウムイオン濃度が減少すると、透過率は増加する。 透過率が2%に到達したら、流出液を集めるのをやめる。 この際、集められた流出液は、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンに比して有意に高い、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する。 また、上記工程で集められなかった吸着床2からの流出液4は、供給原料としてかん水1として再使用されて、上記工程と同様にして含まれるリチウムイオンを回収してもよい。 流出液の収集が終了した後、透過率が96%に到達する、即ち、リチウムイオン濃度が2ppm未満になるまで、0.5〜1.0N HCl水溶液による洗浄を続けてもよい。 これにより、吸着剤の吸着能が回復できる。 または、流出液の収集を終了した直後に、0.5〜1.0N HCl水溶液による洗浄を止めて、かん水1を吸着カラム2に導入して、別の吸着サイクルを行なってもよい。
    【0038】
    このようにして得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する流出液をタンク5中に集める。 次に、この流出液をタンク5から抜き、第1の電気透析装置6に導入して、第1の電気透析を行なった後、タンク7に集める。 この際、電気透析装置6の操作条件(即ち、第1の電気透析条件)は、6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液が電気透析によって形成できる条件であれば、特に制限されないが、例えば、15〜20Vの定電圧で操作される。 さらに、このようにして得られた6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液は、タンク7から抜かられて、第2の電気透析装置8に導入されて、第の電気透析が行なわれた後、タンク9に集められる。 この際、電気透析装置8の操作条件(即ち、第2の電気透析条件)は、14000〜18000ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液が電気透析によって形成できる条件であれば、特に制限されないが、例えば、15〜20Vの定電圧で操作される。 さらに、このようにして得られた14000〜18000ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液に、炭酸ナトリウム10をタンク9の下流で添加して、炭酸リチウム11を沈殿物として形成する。
    【0039】
    本発明において、より低いリチウムイオン濃度、例えば、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する第1の減損リチウム溶液を、上記第2の電気透析装置8での第2の電気透析によって形成し、これをタンク5に導入して、この第1の減損リチウム溶液を供給原料として上記と同様の第1の電気透析装置6に導入して再使用して、第1の電気透析により再度リチウムイオン濃度を6000〜10000ppmにまで上げた溶液を得てもよい。 また、250〜400ppm、好ましくは300〜400ppmのリチウムイオン濃度を有する第2の減損リチウム溶液を、上記第1の電気透析装置6での電気透析によって形成し、これを残渣回収電気透析装置12に供給原料として導入して、残渣回収電気透析により再度リチウムイオン濃度を、タンク5でのリチウムイオン濃度範囲である、1200〜1500ppmにまで上げた溶液を得てもよい。 この際、残渣回収電気透析装置12の操作条件(即ち、残渣回収電気透析条件)は、タンク5でのリチウムイオン濃度に近い濃度に、即ち、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液が電気透析によって形成できる条件であれば、特に制限されないが、例えば、20〜25Vの定電圧で操作される。 このようにして得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液は、タンク5に導入され、第1の電気透析装置6に供給原料として導入された後、上記と同様の第1の電気透析処置、さらには第2の電気透析処置を行なって、所望のリチウムイオン濃度の高い溶液を得るのに使用されてもよい。 さらに、10〜100ppm、好ましくは50〜100ppmのリチウムイオン濃度を有する第3の減損リチウム溶液を、上記残渣回収電気透析装置12での電気透析によって形成し、これをかん水1に合わせて、吸着カラム2に供給原料として導入して再使用して、上記と同様の吸着剤による吸着工程、第1の電気透析及び第2の電気透析処置を行なって、所望のリチウムイオン濃度の高い溶液を得るのに使用されてもよい。 このようにして第1の電気透析、第2の電気透析及び残渣回収電気透析の各工程から得られるより低いリチウムイオン濃度を有する溶液を回収・再使用することによって、かん水や海水等のリチウム含有水溶液中のリチウムイオンを十分量回収でき、かつ有効的に利用できると同時に、新たに導入されるリチウム含有水溶液の量及び本発明により排出(廃棄)される溶液量を減少でき、経済的にまた環境面で好ましいという利点がある。
    【0040】
    本発明の方法では、電気透析中の供給原料におけるリチウムイオン濃度を1200〜1500ppm及び6000〜10000ppmの2種に分けて使用することを特徴の一としている。 これは、供給原料中におけるリチウムイオン濃度と目的とするリチウムイオン濃度との差が大きすぎる場合には、逆浸透が起こり、これにより電気透析効率が低下することを考慮したものである。 ゆえに、本発明の方法では、1電気透析段階での逆浸透現象を防止して、電気透析効率を高めるために、リチウムイオン濃度を段階的に増加するものである。 さらに、本発明の方法によれば、各電気透析工程で生じたリチウムイオン濃度がより低い溶液を、本発明の方法に再使用することができる。 したがって、本発明の方法は、実質的に混入物を含まず、クリーンな方法であるといえる。
    【0041】
    【実施例】
    以下、本発明の実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
    【0042】
    調製例1
    620±20の重合度を有する73gのポリ塩化ビニル(PVC)を、980mlのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解した。 得られたPVC溶液に、300gのスピネル相のLi 1.33 Mn 1.674の粉末を添加した後、この混合物をよく混練した。 次に、この混練混合物を、1200mlのメタノール及び水の混合溶液(1:1の体積比)中に細管(直径3mm)を通して滴下することにより、3.5〜4.3mm直径の粒状体が形成された。 この混合物を、瀘過によって粒状体及び液体(濾液)に分離して、ウェットな粒状体を得た。 このようにして得られたウェットな粒状体を真空中で乾燥して、0.41g/cm 3の密度を有する乾燥粒状吸着剤を得た。
    【0043】
    実施例1
    調製例1で調製された粒状吸着剤40gを、脱イオン水に浸漬した後、カラムに充填して、吸着床を形成した。 この吸着床を、吸着を行なう前に、予め、脱イオン水、1300mlの0.5N HCl及び脱イオン水で洗浄した。 次に、海水からの塩の製造用プラントから得られたかん水を、35L/時間の空間速度で吸着床に導入した。 かん水を導入してから14日後に、吸着床は飽和した。 120mlの脱イオン水を3L/時間の空間速度で、さらには1.0N HClで洗浄することによって、この飽和吸着床からイオンを脱離した。
    【0044】
    脱離後の流出液を光学検出器でモニターした。 なお、この際の光学検出器によって、流出液を通過する760nmを有する光線(light beam)の透過率を測定した。 800ppm以上のリチウムイオン濃度に相当する、2%以下の透過率を有する流出液を集めた。 このようにして集められた流出液及び供給原料であるかん水における金属イオンの濃度を表1に示す。
    【0045】
    【表1】

    【0046】


    ANSANICS Co. , Ltd. (日本)でDS−0の製品名で販売されている電気透析装置を以下の電気透析に用いた。


    【0047】


    第1の電気透析:上記で得られた1484ppmのリチウムイオン濃度を有する流出液を希釈タンクに満たし、5Lの同じ流出液を濃縮タンクに満たし、さらに10Lの0.5N硫酸ナトリウム水溶液を電極洗浄溶液として電極洗浄タンクに満たした。 希釈タンクの流出液を、7.6L/分の流速で電気透析装置の希釈セルの入り口に連続的に導入した後、希釈セルの出口から出して、希釈タンクに戻した。 濃縮タンクの流出液は、7.2L/分の流速で電気透析装置の濃縮セルの入り口に連続的に導入した後、濃縮セルの出口から出して、濃縮タンクに戻した。 電極洗浄タンクの0.5N硫酸ナトリウム水溶液を、6.8L/分の流速で電気透析装置の電極セルの入り口に連続的に導入した後、電極セルの出口から出して、電極洗浄タンクに戻した。 なお、使用された流速は電極装置の仕様に関係した。 23Vの定電圧で300分間、電気透析を行なった。 電気透析中、1484ppmのリチウムイオン濃度を有する流出液を、150ml/分の流速で希釈タンクに補給として供給した。 その結果、同じ流速を有するオーバーフローが希釈タンクから集められた。 300分間の電気透析が終了した際の、濃縮タンクから集められた濃縮液は、9540ppmのリチウムイオン濃度を有し、オーバーフロー及び希釈タンクから集められた第2の減損リチウム溶液は、約290ppmのリチウムイオン濃度を有していた。 この結果、1484ppmのリチウムイオン濃度を有する流出液からのリチウムイオンの回収率は80%以上であった。


    【0048】


    第2の電気透析:第1の電気透析から得られた9540ppmのリチウムイオン濃度を有する濃縮液10Lを、希釈タンクに満たし、10Lの同じ濃縮液を濃縮タンクに満たし、さらに10Lの0.5N硫酸ナトリウム水溶液を電極洗浄溶液として電極洗浄タンクに満たした。 第2の電気透析は、電気透析中補給を希釈タンクに供給せず、電気透析の電圧及び時間をそれぞれ20V及び270分に変更した以外は、第1の電気透析と同様の条件下で行なった。 270分間の電気透析が終了した際の、濃縮タンクで形成された濃縮液は、17250ppmのリチウムイオン濃度を有し、希釈タンクから集められた第1の減損リチウム溶液は、約1320ppmのリチウムイオン濃度を有していた。 この結果、9540ppmのリチウムイオン濃度を有する濃縮液からのリチウムイオンの回収率は約85%であった。


    【0049】


    残渣回収電気透析:上記第1の電気透析で得られた約290ppmのリチウムイオン濃度を有する第2の減損リチウム溶液を、希釈タンクに満たし、5Lの同じ第2の減損リチウム溶液を濃縮タンクに満たし、さらに10Lの0.5N硫酸ナトリウム水溶液を電極洗浄溶液として電極洗浄タンクに満たした。 残渣回収電気透析は、電気透析中補給を希釈タンクに200ml/分の流速で供給し、電気透析の電圧及び時間をそれぞれ30V及び60分に変更した以外は、第1の電気透析と同様の条件下で行なった。 60分間の電気透析が終了した際の、濃縮タンクで形成された濃縮液は、1270ppmのリチウムイオン濃度を有し、オーバーフロー及び希釈タンクから集められた第3の減損リチウム溶液は、約37ppmのリチウムイオン濃度を有していた。 なお、前者は、第1の電気透析工程での供給原料として再使用し、また、後者(第3の減損リチウム溶液)は、吸着床への供給原料として再使用し、かん水と合わせた。 この結果、リチウムイオンの回収率は約85%であった。


    【0050】


    上記各電気透析から得られた濃縮液における金属イオンの濃度を表2に示す。


    【0051】


    【表2】


    【0052】


    【発明の効果】


    本発明は、(a)リチウムイオンが、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンに比して吸着床の吸着剤により強く吸着されるように、リチウム含有水溶液を吸着剤に導入し;(b)該吸着床に水を導入して、吸着剤に吸着されたナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのイオンを脱離させ;(c)さらに該吸着床に酸性溶液を導入して、吸着剤により強く吸着されたリチウムイオンを脱離させて、1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液を得;(d)該段階(c)で得られた1200〜1500ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオンを第1の電気透析によって6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇し;さらに(e)該段階(d)で得られた6000〜10000ppmのリチウムイオン濃度を有する溶液中のリチウムイオンを第2の電気透析によって14000〜18000ppmのリチウムイオン濃度にまで上昇する、段階を有するリチウム含有水溶液からのリチウム濃縮液の製造方法に関する。 本発明の方法によると、炭酸リチウムを製造するのに適する最小濃度である、約1.5%またはそれ以上にまでリチウムイオン濃度を上昇させることができる。


    【0053】


    また、本発明の方法によると、第1の電気透析、第2の電気透析及び残渣回収電気透析の各工程から得られるより低いリチウムイオン濃度を有する溶液を回収・再使用することができるので、かん水や海水等のリチウム含有水溶液中のリチウムイオンを十分量回収でき、かつ有効的に利用できると同時に、新たに導入されるリチウム含有水溶液の量及び本発明により排出(廃棄)される溶液量を減少でき、経済的にまた環境面で好ましいという利点がある。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】は、本発明の好ましい実施態様による方法を示す概略のフローチャートを示すブロック図である。


    【図2】は、0.5N HCL水溶液で吸着床を洗浄する際の吸着床から脱離した流出液のリチウムイオン濃度[黒四(■)で示される]及び透過率[菱形(◆)で示される]を示すグラフである。

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