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電池用正極活物質、および、電池用正極活物質を用いた電池

申请号 JP2017140183 申请日 2017-07-19 公开(公告)号 JP2018085324A 公开(公告)日 2018-05-31
申请人 パナソニックIPマネジメント株式会社; 发明人 池内 一成; 夏井 竜一; 名倉 健祐;
摘要 【課題】高容量の電池の提供。 【解決手段】空間群Fm−3mに属する結晶構造を有し、組成式(1)で表される化合物を含む、電池用正極活物質。Li x Me y O α X β ・・・式(1)(Meは、Mn、Ni、Co、Fe、Al、Sn、Cu、Nb、Mo、Bi、Ti、V、Cr、Y、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、Ag、Ru、Ta、W、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Dy、Erから選択される一種以上の元素;XはCl、Br、I、N、Sから選択される一種の元素;0.5≦x≦1.5;0.5≦y≦1.0;1≦α 【選択図】図1
权利要求

空間群Fm−3mに属する結晶構造を有し、下記の組成式(1)により表される化合物を含む、電池用正極活物質。 LixMeyOαXβ ・・・式(1) ここで、前記Meは、Mn、Ni、Co、Fe、Al、Sn、Cu、Nb、Mo、Bi、Ti、V、Cr、Y、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、Ag、Ru、Ta、W、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Dy、Erからなる群より選択される一種または二種以上の元素であり、 前記Xは、Cl、Br、I、N、Sからなる群より選択される一種の元素であり、 かつ、下記の条件、 0.5≦x≦1.5、 0.5≦y≦1.0、 1≦α<2、 0<β≦1、 を満たす。前記化合物を、主成分として含む、 請求項1に記載の電池用正極活物質。前記Meは、Mnを含む、 請求項1または2に記載の電池用正極活物質。前記Xは、Clを含む、 請求項1から3のいずれかに記載の電池用正極活物質。0.5≦x/y≦3.0、を満たす、 請求項1から4のいずれかに記載の電池用正極活物質。1.5≦x/y≦2.0、を満たす、 請求項5に記載の電池用正極活物質。1.8≦α≦1.97、を満たす、 請求項1から6のいずれかに記載の電池用正極活物質。0.03≦β≦0.2、を満たす、 請求項1から7のいずれかに記載の電池用正極活物質。2≦α/β≦100、を満たす、 請求項1から8のいずれかに記載の電池用正極活物質。9≦α/β≦66、を満たす、 請求項9に記載の電池用正極活物質。0.75≦(x+y)/(α+β)≦1.15、を満たす、 請求項1から10のいずれかに記載の電池用正極活物質。請求項1から11のいずれかに記載の電池用正極活物質を含む正極と、 負極と、 電解質と、を備える、 電池。前記負極は、リチウムを吸蔵および放出しうる負極活物質を含み、 前記電解質は、非電解液である、 請求項12に記載の電池。前記負極は、リチウムを吸蔵および放出しうる負極活物質を含み、 前記電解質は、固体電解質である、 請求項12に記載の電池。

说明书全文

本開示は、電池用正極活物質、および、電池用正極活物質を用いた電池に関する。

特許文献1には、空間群R−3mに属する結晶構造を有し、式LiwMxOyXz(MはCo又はNi又はMn又はV又はFe又はTi、Xは少なくとも1種以上のハロゲン元素、0.2≦w≦2.5、0.8≦x≦1.25、1≦y≦2、0

特開平7−037617号公報

従来技術においては、高容量の電池の実現が望まれる。

本開示の一様態における電池用正極活物質は、空間群Fm−3mに属する結晶構造を有し、下記の組成式(1)により表される化合物を含む。 LixMeyOαXβ ・・・式(1) ここで、前記Meは、Mn、Ni、Co、Fe、Al、Sn、Cu、Nb、Mo、Bi、Ti、V、Cr、Y、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、Ag、Ru、Ta、W、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Dy、Erからなる群より選択される一種または二種以上の元素であり、 前記Xは、Cl、Br、I、N、Sからなる群より選択される一種の元素であり、 かつ、下記の条件、 0.5≦x≦1.5、 0.5≦y≦1.0、 1≦α<2、 0<β≦1、 を満たす。

本開示の包括的または具体的な態様は、電池用正極活物質、電池、方法、または、これらの任意な組み合わせで実現されてもよい。

本開示によれば、高容量の電池を実現できる。

図1は、実施の形態2における電池の一例である電池10の概略構成を示す断面図である。

図2は、実施例1の正極活物質の粉末X線回折チャートを示す図である。

以下、本開示の実施の形態が、説明される。

(実施の形態1) 実施の形態1における電池用正極活物質は、空間群Fm−3mに属する結晶構造を有し、下記の組成式(1)により表される化合物を含む。

LixMeyOαXβ ・・・式(1) ここで、前記Meは、Mn、Ni、Co、Fe、Al、Sn、Cu、Nb、Mo、Bi、Ti、V、Cr、Y、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、Ag、Ru、Ta、W、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Dy、Erからなる群より選択される一種または二種以上の元素である。

また、前記Xは、Cl、Br、I、N、Sからなる群より選択される一種の元素である。

かつ、実施の形態1における電池用正極活物質においては、上述の化合物は、組成式(1)において、下記の条件、 0.5≦x≦1.5、 0.5≦y≦1.0、 1≦α<2、 0<β≦1、 を満たす。

以上の構成によれば、高容量の電池を実現できる。

上述の化合物を含む正極活物質を用いて、例えばリチウムイオン電池を構成する場合、このリチウムイオン電池は、3.3V程度の酸化還元電位(Li/Li+基準)を有する。また、このリチウムイオン電池は、概ね、3200Wh/L以上のエネルギー密度を有する。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、前記Xは、Cl、Br、I、N、Sからなる群より選択される一種の元素である。これらの電気陰性度が高い元素によって酸素を置換することで、放電容量または作動電圧が向上する。また、イオン半径の大きなアニオンで酸素を置換することで、結晶格子が広がり、構造が安定化する。このため、実施の形態1における電池用正極活物質を用いることで、高容量の電池を実現できる。

なお、上述の化合物は、組成式(1)において、xが0.5よりも小さい場合、利用できるLi量が少なくなる。このため、容量が不十分となる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、xが1.5よりも大きい場合、利用できる遷移金属の酸化還元反応が少なくなる。この結果、酸素の酸化還元反応を多く利用することになる。これにより、結晶構造が不安定化する。このため、容量が不十分となる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、yが0.5よりも小さい場合、利用できる遷移金属の酸化還元反応が少なくなる。この結果、酸素の酸化還元反応を多く利用することになる。これにより、結晶構造が不安定化する。このため、容量が不十分となる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、yが1.0よりも大きい場合、利用できるLi量が少なくなる。このため、容量が不十分となる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、αが1よりも小さい場合、酸素の酸化還元による電荷補償量が低下する。このため、容量が不十分となる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、αが2以上の場合、酸素の酸化還元による容量が過剰となり、Liが脱離した際に構造が不安定化する。このため、容量が不十分となる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、βが0の場合、電気陰性度の高いXの影響が無くなるため、カチオン−アニオンの相互作用が低下する。これにより、Liが脱離した際に構造が不安定化する。このため、容量が不十分となる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、βが2よりも大きい場合、電気陰性度の高いXの影響が大きくなるため、電子伝導性が低下する。このため、容量が不十分となる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、1.8≦α≦1.97、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、0.03≦β≦0.2、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、2≦α/β≦100、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

α/βが2.0以上の場合、酸素の酸化還元による電荷補償量が増える。また、電気陰性度の高いXの影響が小さくなるため、電子伝導性が高くなる。このため、容量が十分となる。

α/βが100以下の場合、酸素の酸化還元による容量が過剰となることを抑制し、Liが脱離した際に構造が不安定化することを抑制することができる。また、電気陰性度の高いXの影響が大きくなるため、カチオン−アニオンの相互作用が増大する。これにより、Liが脱離した際に構造が不安定化することを抑制することができる。このため、容量が十分となる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、9≦α/β≦66、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、0.5≦x/y≦3.0、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

x/yが0.5以上の場合、利用できるLi量が多くなる。また、Liの拡散パスが阻害されない。

x/yが3.0以下の場合、利用できる遷移金属の酸化還元反応が多くなる。この結果、酸素の酸化還元反応の利用を少なくすることができる。また、充電時におけるLi脱離時に結晶構造が不安定化することを抑制し、放電時のLi挿入効率が低下することを抑制することができる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、1.5≦x/y≦2.0、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、1.5≦x/y≦1.56、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

なお、実施の形態1における電池用正極活物質においては、組成式(1)で表される化合物は、LiとMeが同じサイトに位置していると考えられる。

このため、組成式(1)で表される化合物は、1.0

2よりも、Me1原子あたりに、より多くのLiを挿入および脱離させることが可能である。

したがって、組成式(1)で表される化合物は、1.0

しかし、例えば、空間群R−3mで規定される層状構造では、Liを多く引き抜いた際に、層状を維持できずに構造崩壊する。

一方で、実施の形態1における電池用正極活物質のように、空間群Fm−3mで規定される立方晶岩塩型の結晶構造であれば、Liを多く引き抜いても、構造崩壊せずに、構造を安定に維持できる。また、空間群Fm−3mで規定される立方晶岩塩型の結晶構造であれば、イオン半径が異なる元素が混ざり易いと考えられる。これらの理由により、高容量の電池を実現できる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、0.75≦(x+y)/(α+β)≦1.15、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

(x+y)/(α+β)が0.75以上の場合、合成時に分相することを抑制し、不純物の生成を抑制することができる。このため、容量が十分となる。

(x+y)/(α+β)が1.15以下の場合、アニオンが欠損した構造となることを抑制し、充電時におけるLi脱離時に結晶構造が不安定化することを抑制し、放電時のLi挿入効率を高くすることができる。このため、容量が十分となる。

言い換えれば、上述の化合物は、組成式(1)において、α+β=2の場合、1.5≦x+y≦2.3、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、α+β=2の場合、1.9≦x+y≦2.0、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、x+y=α+β=2、を満たしてもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、前記Meは、Mnを含んでもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

Mnは、CoまたはNiなどと比べ、酸素との軌道の重なりが大きいため、酸素の酸化還元反応による容量の増加が得られると考えられる。

また、上述の化合物は、組成式(1)において、前記Xは、Clであってもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

Clは、他の元素と比べ、イオン半径が小さく、電気陰性度が高いため、電池の容量の増加がさらに得られると考えられる。

また、実施の形態1における電池用正極活物質は、上述の化合物を、主成分として、含んでもよい。

以上の構成によれば、より高容量の電池を実現できる。

ここで、「主成分」とは、実施の形態1の電池用正極活物質が、例えば、90重量%以上の割合で、上述の化合物を含んでいる状態を意味する。

なお、実施の形態1の電池用正極活物質は、上述の化合物を主成分として含みながら、さらに、不可避的な不純物、または、上述の化合物を合成する際に用いられる出発原料および副生成物および分解生成物など、を含んでいてもよい。

<化合物の作製方法> 以下に、実施の形態1の電池用正極活物質に含まれる上述の化合物の製造方法の一例が、説明される。

組成式(1)で表される化合物は、例えば、次の方法により、作製されうる。

Liを含む原料、Xを含む原料、および、Meを含む原料を用意する。

例えば、Liを含む原料としては、Li2O、Li2O2等の酸化物、LiF、Li2CO3、LiOH等の塩類、LiMeO2、LiMe2O4等のリチウム複合遷移金属酸化物、など、が挙げられる。

また、Xを含む原料としては、ハロゲン化リチウムや遷移金属ハロゲン化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物など、が挙げられる。

また、Meを含む原料としては、Me2O3等の各種の酸化状態の酸化物、MeCO3、MeNO3等の塩類、Me(OH)2、MeOOH等の酸化物、LiMeO2、LiMe2O4等のリチウム複合遷移金属酸化物、など、が挙げられる。

例えば、MeがMnの場合には、Mnを含む原料としては、Mn2O3等の各種の酸化状態の酸化マンガン、MnCO3、MnNO3等の塩類、Mn(OH)2、MnOOH等の水酸化物、LiMnO2、LiMn2O4等のリチウム複合遷移金属酸化物、など、が挙げられる。

これらの原料が、組成式(1)に示したモル比となるように、当該原料を秤量する。

これにより、組成式(1)における「x、y、α、および、β」を、組成式(1)で示す範囲において変化させることができる。

秤量した原料を、例えば、乾式法または湿式法で混合し、10時間以上メカノケミカルに反応させることで、組成式(1)で表される化合物を得ることができる。この混合には、例えば、ボールミルなどの混合装置を使用することができる。

用いる原料、および、原料混合物の混合条件を調整することにより、実質的に、組成式(1)で表される化合物を得ることができる。

前駆体にリチウム遷移金属複合酸化物を用いることで、各種元素のミキシングのエネルギーを、より低下させることができる。これにより、より純度の高い、組成式(1)で表される化合物が、得られる。

得られた組成式(1)で示される化合物の組成は、例えば、ICP発光分光分析法および不活性ガス溶融−赤外線吸収法により決定することができる。

また、粉末X線分析によって結晶構造の空間群を決定することにより、組成式(1)で示される化合物を同定することができる。

以上のように、実施の形態1のある一様態における電池用正極活物質の製造方法は、原料を用意する工程(a)と、原料をメカノケミカルに反応させることにより電池用正極活物質を得る工程(b)と、を包含する。

また、上述の工程(a)は、LiおよびXおよびMeを含む原料を、Meに対してLiが1.31以上2.33以下のモル比となる割合で混合し、混合原料を調整する工程を、包含してもよい。

このとき、上述の工程(a)は、原料となるリチウム遷移金属複合酸化物を、公知の方法で作製する工程を、包含してもよい。

また、上述の工程(a)においては、Meに対してLiが1.7以上2.0以下のモル比となる割合で混合し、混合原料を調整する工程を、包含してもよい。

また、上述の工程(b)においては、ボールミルを用いてメカノケミカルに原料を反応させる工程を、包含してもよい。

以上のように、組成式(1)で表される化合物は、前駆体(例えば、LiCl、Li2O、酸化遷移金属、リチウム複合遷移金属、など)を、遊星型ボールミルを用いて、メカノケミカルの反応をさせることによって、合成され得る。

このとき、前駆体の混合比を調整することで、より多くのLi原子を含ませることができる。

一方、上記の前駆体を固相法で反応させる場合は、より安定な化合物に分解される。

すなわち、前駆体を固相法で反応させる作製方法などでは、空間群Fm−3mに属する結晶構造を有し、かつ、組成式(1)で表される化合物を、得ることはできない。

(実施の形態2) 以下、実施の形態2が説明される。なお、上述の実施の形態1と重複する説明は、適宜、省略される。

実施の形態2における電池は、上述の実施の形態1における電池用正極活物質を含む正極と、負極と、電解質と、を備える。

以上の構成によれば、高容量の電池を実現できる。

実施の形態2における電池は、例えば、リチウムイオン二次電池、非水電解質二次電池、全固体電池、など、として、構成されうる。

すなわち、実施の形態2における電池において、例えば、負極は、リチウムを吸蔵および放出しうる負極活物質を含んでもよい。

また、実施の形態2における電池において、電解質は、非水電解質(例えば、非水電解液)であってもよい。

また、実施の形態2における電池において、電解質は、固体電解質であってもよい。

図1は、実施の形態2における電池の一例である電池10の概略構成を示す断面図である。

図1に示されるように、電池10は、正極21と、負極22と、セパレータ14と、ケース11と、封口板15と、ガスケット18と、を備えている。

セパレータ14は、正極21と負極22との間に、配置されている。

正極21と負極22とセパレータ14とには、例えば、非水電解質(例えば、非水電解液)が含浸されている。

正極21と負極22とセパレータ14とによって、電極群が形成されている。

電極群は、ケース11の中に収められている。

ガスケット18と封口板15とにより、ケース11が閉じられている。

正極21は、正極集電体12と、正極集電体12の上に配置された正極活物質層13と、を備えている。

正極集電体12は、例えば、金属材料(アルミニウム、ステンレス、アルミニウム合金、など)で作られている。

なお、正極集電体12を省略し、ケース11を正極集電体として使用することも可能である。

正極活物質層13は、上述の実施の形態1における電池用正極活物質を含む。

正極活物質層13は、必要に応じて、例えば、添加剤(導電剤、イオン伝導補助剤、結着剤、など)を含んでいてもよい。

負極22は、負極集電体16と、負極集電体16の上に配置された負極活物質層17と、を備えている。

負極集電体16は、例えば、金属材料(アルミニウム、ステンレス、アルミニウム合金、など)で作られている。

なお、負極集電体16を省略し、封口板15を負極集電体として使用することも可能である。

負極活物質層17は、負極活物質を含んでいる。

負極活物質層17は、必要に応じて、例えば、添加剤(導電剤、イオン伝導補助剤、結着剤、など)を含んでいてもよい。

負極活物質として、金属材料、炭素材料、酸化物、窒化物、錫化合物、珪素化合物、など、が使用されうる。

金属材料は、単体の金属であってもよい。もしくは、金属材料は、合金であってもよい。金属材料の例として、リチウム金属、リチウム合金、など、が挙げられる。

炭素材料の例として、天然黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、人造黒鉛、非晶質炭素、など、が挙げられる。

容量密度の観点から、珪素(Si)、錫(Sn)、珪素化合物、錫化合物、を使用してもよい。珪素化合物および錫化合物は、それぞれ、合金または固溶体であってもよい。

珪素化合物の例として、SiOx(ここで、0.05

xの一部の珪素を他の元素で置換することによって得られた化合物(合金又は固溶体)も使用できる。ここで、他の元素とは、ホウ素、マグネシウム、ニッケル、チタン、モリブデン、コバルト、カルシウム、クロム、銅、鉄、マンガン、ニオブ、タンタル、バナジウム、タングステン、亜鉛、炭素、窒素及び錫からなる群より選択される少なくとも1種である。

錫化合物の例として、Ni2Sn4、Mg2Sn、SnOx(ここで、0

2、SnSiO

3、など、が挙げられる。これらから選択される1種の錫化合物が、単独で使用されてもよい。もしくは、これらから選択される2種以上の錫化合物の組み合わせが、使用されてもよい。

また、負極活物質の形状は特に限定されない。負極活物質としては、公知の形状(粒子状、繊維状、など)を有する負極活物質が使用されうる。

また、リチウムを負極活物質層17に補填する(すなわち、吸蔵させる)ための方法は、特に限定されない。この方法としては、具体的には、(a)真空蒸着法などの気相法によってリチウムを負極活物質層17に堆積させる方法、(b)リチウム金属箔と負極活物質層17とを接触させて両者を加熱する方法がある。いずれの方法においても、熱によってリチウムを負極活物質層17に拡散させることができる。また、リチウムを電気化学的に負極活物質層17に吸蔵させる方法もある。具体的には、リチウムを有さない負極22およびリチウム金属箔(正極)を用いて電池を組み立てる。その後、負極22にリチウムが吸蔵されるように、その電池を充電する。

正極21および負極22の結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、など、が使用されうる。または、結着剤として、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエン、からなる群より選択される2種以上の材料の共重合体が、使用されてもよい。さらに、上述の材料から選択される2種以上の材料の混合物が、結着剤として、使用されてもよい。

正極21および負極22の導電剤としては、グラファイト、カーボンブラック、導電性繊維、フッ化黒鉛、金属粉末、導電性ウィスカー、導電性金属酸化物、有機導電性材料、など、が使用されうる。グラファイトの例としては、天然黒鉛および人造黒鉛が挙げられる。カーボンブラックの例としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックが挙げられる。金属粉末の例としては、アルミニウム粉末が挙げられる。導電性ウィスカーの例としては、酸化亜鉛ウィスカーおよびチタン酸カリウムウィスカーが挙げられる。導電性金属酸化物の例としては、酸化チタンが挙げられる。有機導電性材料の例としては、フェニレン誘導体が挙げられる。

セパレータ14としては、大きいイオン透過度および十分な機械的強度を有する材料が使用されうる。このような材料の例としては、微多孔性薄膜、織布、不織布、など、が挙げられる。具体的に、セパレータ14は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンで作られていることが望ましい。ポリオレフィンで作られたセパレータ14は、優れた耐久性を有するだけでなく、過度に加熱されたときにシャットダウン機能を発揮できる。セパレータ14の厚さは、例えば、10〜300μm(又は10〜40μm)の範囲にある。セパレータ14は、1種の材料で構成された単層膜であってもよい。もしくは、セパレータ14は、2種以上の材料で構成された複合膜(または、多層膜)であってもよい。セパレータ14の空孔率は、例えば、30〜70%(又は35〜60%)の範囲にある。「空孔率」とは、セパレータ14の全体の体積に占める空孔の体積の割合を意味する。「空孔率」は、例えば、水銀圧入法によって測定される。

非水電解液は、非水溶媒と、非水溶媒に溶けたリチウム塩と、を含む。

非水溶媒としては、環状炭酸エステル溶媒、鎖状炭酸エステル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状エーテル溶媒、環状エステル溶媒、鎖状エステル溶媒、フッ素溶媒、など、が使用されうる。

環状炭酸エステル溶媒の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、など、が挙げられる。

鎖状炭酸エステル溶媒の例としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、など、が挙げられる。

環状エーテル溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキソラン、など、が挙げられる。

鎖状エーテル溶媒としては、1、2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、など、が挙げられる。

環状エステル溶媒の例としては、γ−ブチロラクトン、など、が挙げられる。

鎖状エステル溶媒の例としては、酢酸メチル、など、が挙げられる。

フッ素溶媒の例としては、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピオン酸メチル、フルオロベンゼン、フルオロエチルメチルカーボネート、フルオロジメチレンカーボネート、など、が挙げられる。

非水溶媒として、これらから選択される1種の非水溶媒が、単独で、使用されうる。もしくは、非水溶媒として、これらから選択される2種以上の非水溶媒の組み合わせが、使用されうる。

非水電解液には、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピオン酸メチル、フルオロベンゼン、フルオロエチルメチルカーボネート、フルオロジメチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素溶媒が含まれていてもよい。

これらのフッ素溶媒が非水電解液に含まれていると、非水電解液の耐酸化性が向上する。

その結果、高い電圧で電池10を充電する場合にも、電池10を安定して動作させることが可能となる。

また、実施の形態2における電池において、電解質は、固体電解質であってもよい。

固体電解質としては、有機ポリマー固体電解質、酸化物固体電解質、硫化物固体電解質、など、が用いられる。

有機ポリマー固体電解質としては、例えば高分子化合物と、リチウム塩との化合物が用いられうる。

高分子化合物はエチレンオキシド構造を有していてもよい。エチレンオキシド構造を有することで、リチウム塩を多く含有することができ、イオン導電率をより高めることができる。

酸化物固体電解質としては、例えば、LiTi2(PO4)3およびその元素置換体を代表とするNASICON型固体電解質、(LaLi)TiO3系のペロブスカイト型固体電解質、Li14ZnGe4O16、Li4SiO4、LiGeO4およびその元素置換体を代表とするLISICON型固体電解質、Li7La3Zr2O12およびその元素置換体を代表とするガーネット型固体電解質、Li3NおよびそのH置換体、Li3PO4およびそのN置換体、など、が用いられうる。

硫化物固体電解質としては、例えば、Li2S−P2S5、Li2S−SiS2、Li2S−B2S3、Li2S−GeS2、Li3.25Ge0.25P0.75S4、Li10GeP2S12、など、が用いられうる。また、これらに、LiX(X:F、Cl、Br、I)、MOy、LixMOy(M:P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか)(x、y:自然数)などが、添加されてもよい。

これらの中でも、特に、硫化物固体電解質は、成形性に富み、イオン伝導性が高い。このため、固体電解質として、硫化物固体電解質を用いることで、より高エネルギー密度の電池を実現できる。

また、硫化物固体電解質の中でも、Li2S−P2S5は、電気化学的安定性が高く、よりイオン伝導性が高い。このため、固体電解質として、Li2S−P2S5を用いれば、より高エネルギー密度の電池を実現できる。

なお、固体電解質層は、上述の非水電解液を含んでもよい。

固体電解質層が非水電解液を含むことで、活物質と固体電解質との間でのリチウムイオン授受が容易になる。その結果、より高エネルギー密度の電池を実現できる。

なお、固体電解質層は、固体電解質に加えて、ゲル電解質、イオン液体、など、を含んでもよい。

ゲル電解質は、ポリマー材料に非水電解液を含ませたものを用いることができる。ポリマー材料として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビニリデン、およびポリメチルメタクリレート、もしくはエチレンオキシド結合を有するポリマーが用いられてもよい。

イオン液体を構成するカチオンは、テトラアルキルアンモニウム、テトラアルキルホスホニウムなどの脂肪族鎖状4級塩類、ピロリジニウム類、モルホリニウム類、イミダゾリニウム類、テトラヒドロピリミジニウム類、ピペラジニウム類、ピペリジニウム類などの脂肪族環状アンモニウム、ピリジニウム類、イミダゾリウム類などの含窒ヘテロ環芳香族カチオンなどであってもよい。イオン液体を構成するアニオンは、PF6-、BF4-、SbF6-、AsF6-、SO3CF3-、N(SO2CF3)2-、N(SO2C2F5)2-、N(SO2CF3)(SO2C4F9)-、C(SO2CF3)3-などであってもよい。また、イオン液体はリチウム塩を含有してもよい。

リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiC(SO2CF3)3、など、が使用されうる。リチウム塩として、これらから選択される1種のリチウム塩が、単独で、使用されうる。もしくは、リチウム塩として、これらから選択される2種以上のリチウム塩の混合物が、使用されうる。リチウム塩の濃度は、例えば、0.5〜2mol/リットルの範囲にある。

なお、実施の形態2における電池は、コイン型、円筒型、型、シート型、ボタン型、扁平型、積層型、など、種々の形状の電池として、構成されうる。

<実施例1> [正極活物質の作製] MnCl2とLiMnO2とLi2MnO3とLi2OをMnCl2:LiMnO2:Li2MnO3:Li2O=1:16:15:1のモル比でそれぞれ秤量した。

得られた原料を、適量のφ3mmのジルコニア製ボールと共に、45ccジルコニア製容器に入れ、アルゴングローブボックス内で密閉した。

アルゴングローブボックスから取り出し、遊星型ボールミルで、600rpmで30時間処理した。

得られた化合物に対して、粉末X線回折測定を実施した。

測定の結果が、図2に示される。

得られた化合物の空間群は、Fm−3mであった。

また、得られた化合物の組成を、ICP発光分光分析法および不活性ガス溶融—赤外線吸収法により求めた。

その結果、得られた化合物の組成は、Li1.2Mn0.8O1.95Cl0.05であった。

[電池の作製] 次に、70質量部の上述の化合物と、20質量部の導電剤と、10質量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、適量の2−メチルピロリドン(NMP)とを、混合した。これにより、正極合剤スラリーを得た。

20μmの厚さのアルミニウム箔で形成された正極集電体の片面に、正極合剤スラリーを塗布した。

正極合剤スラリーを乾燥および圧延することによって、正極活物質層を備えた厚さ60μmの正極板を得た。

得られた正極板を、直径12.5mmの円形状に打ち抜くことによって、正極を得た。

また、厚さ300μmのリチウム金属箔を、直径14.0mmの円形状に打ち抜くことによって、負極を得た。

また、フルオロエチレンカーボネート(FEC)とエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、1:1:6の体積比で混合して、非水溶媒を得た。

この非水溶媒に、LiPF6を、1.0mol/リットルの濃度で、溶解させることによって、非水電解液を得た。

得られた非水電解液を、セパレータ(セルガード社製、品番2320、厚さ25μm)に、染み込ませた。

セルガード(登録商標)2320は、ポリプロピレン層とポリエチレン層とポリプロピレン層とで形成された、3層セパレータである。

上述の正極と負極とセパレータとを用いて、露点が−50℃に管理されたドライボックスの中で、CR2032規格のコイン型電池を、作製した。

<実施例2〜16> 上述の実施例1から、Meの種類、Xの種類、および、各元素の比率を、それぞれ、変えた。

表1に、実施例2〜16の正極活物質の組成が示される。

これ以外は、上述の実施例1と同様にして、実施例2〜16の正極活物質を合成した。

また、実施例2〜16の正極活物質を用いて、上述の実施例1と同様にして、コイン型電池を作製した。

<比較例1> MnCl2とLiMnO2とLi2MnO3とLi2OをMnCl2:LiMnO2:Li2MnO3:Li2O=1:16:15:1のモル比でそれぞれ秤量した。

得られた原料混合物を、不活性気中かつ800℃で焼成した。これにより、リチウムマンガン複合化合物の粒子を得た。

得られたリチウムマンガン複合化合物の粒子の空間群は、R−3mであった。

得られたリチウムマンガン複合化合物の粒子を正極活物質として用いて、上述の実施例1と同様にして、コイン型電池を作製した。

<比較例2> 公知の手法を用いてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。

得られたコバルト酸リチウムの空間群は、R−3mであった。

得られたコバルト酸リチウムを正極活物質として用いて、上述の実施例1と同様にして、コイン型電池を作製した。

<電池の評価> 正極に対する電流密度を0.5mA/cm2に設定し、5.2Vの電圧に達するまで、実施例1の電池を充電した。

その後、放電終止電圧を1.5Vに設定し、0.5mA/cm2の電流密度で、実施例1の電池を放電させた。

得られた初回エネルギー密度は、4500 Wh/Lであった。

正極に対する電流密度を0.5mA/cm2に設定し、5.2Vの電圧に達するまで、比較例1の電池を充電した。

その後、放電終止電圧を1.5Vに設定し、0.5mA/cm2の電流密度で、比較例1の電池を放電させた。

比較例1の電池の初回エネルギー密度は、2000Wh/Lであった。

また、正極に対する電流密度を0.5mA/cm2に設定し、4.3Vの電圧に達するまで、比較例2の電池を充電した。

その後、放電終止電圧を2.5Vに設定し、0.5mA/cm2の電流密度で、比較例2の電池を放電させた。

比較例2の電池の初回エネルギー密度は、2500Wh/Lであった。

また、実施例1と同様にして、実施例2〜16のコイン型電池の容量を測定した。

以上の結果が、表1に示される。

表1に示されるように、実施例1〜16の電池は、3200〜4500Wh/Lの初回エネルギー密度を有する。

すなわち、実施例1〜16の電池の初回エネルギー密度は、比較例1および比較例2の電池の初回エネルギー密度よりも、高い。

この理由としては、実施例1〜16では、空間群がFm−3mであるため、Liを多く引き抜いても構造崩壊せず、構造を安定に維持でき、高エネルギー密度の電池を実現できたと考えられる。

また、実施例1〜16では、Liを結晶構造内に多く含む、もしくは電気陰性度が高い元素によって酸素を置換することによって、放電容量または作動電圧が向上し、エネルギー密度が増加したことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例2〜3の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例2〜3では、塩素よりイオン半径の大きなハロゲン元素で置換したことにより、Liイオンの拡散パスが阻害されたことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例4〜5の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例4〜5では、塩素より電気陰性度の低い元素で置換したことにより、作動電圧が低下したことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例6〜8の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例6〜8では、Mnより酸素との軌道の重なりが少ないCoまたはNiを用いたため、酸素の酸化還元反応による容量が十分に得られなかったことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例9の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例9では、α/βの値が大きいことが考えられる。すなわち、酸素の酸化還元による容量が過剰となることや、電気陰性度の高いXの影響が小さくなり、カチオン−アニオンの相互作用が低下することで、Liが脱離した際に構造が実施例1と比較して不安定化したことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例10の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例10では、α/βの値が小さいことが考えられる。すなわち、酸素の酸化還元による電荷補償量が低下することや、電気陰性度の高いXの影響が大きくなり、電子伝導性が低下したことが考えられる。また、酸素と比べてイオン半径の大きな塩素の置換量が増加したことで、Liイオンの拡散が阻害されたことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例11の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例11では、Li/Mn比が1であるため、Liのパーコレーションパスが適切に確保されず、Liイオン拡散性が低下したことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例12の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例12では、Li/Mn比が3であるため、利用できる遷移金属の酸化還元反応が少なくなり、酸素の酸化還元反応が多く利用されたことが考えられる。また、初回充電時に結晶構造内のLiを過剰に引き抜いたことにより、結晶構造が実施例1と比較して不安定化し、放電で挿入されるLi量が低下したことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例13の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例13では、Li/Mn比が0.5であるため、Li欠損によりMnが規則配列することで、Liイオンのパーコレーションパスが十分に確保できず、Liイオン拡散性が低下したことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例14の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例14では、初期構造のアニオン欠陥により、充電時における酸素脱離が進行して結晶構造が不安定化し、放電時のLi挿入効率が低下したことが考えられる。

また、表1に示されるように、実施例15の電池の初回エネルギー密度は、実施例1の電池の初回エネルギー密度よりも、低い。

この理由としては、実施例15では、Li/Mn比が2であるため、利用できる遷移金属の酸化還元反応が少なくなり、酸素の酸化還元反応が多く利用されたことが考えられる。また、初回充電時に結晶構造内のLiを過剰に引き抜いたことにより、結晶構造が不安定化し、放電で挿入されるLi量が低下したことが考えられる。

以上の実施例の結果から、組成式LixMeyOαXβにおいて、1.5≦x/y≦2.0、かつ、9≦α/β≦66、かつ、0.75≦(x+y)/(α+β)≦1.15、を満たすことで、電池の初回エネルギー密度をより高めることができることがわかった。

これらの結果について、組成式LixMeyOαXβのMeをMn以外の元素にした場合や、Xの一部をCl以外の元素にした場合においても、同様の効果が得られることは推定できる。

本開示の電池用正極活物質は、二次電池などの電池の正極活物質として利用されうる。

10 電池 11 ケース 12 正極集電体 13 正極活物質層 14 セパレータ 15 封口板 16 負極集電体 17 負極活物質層 18 ガスケット 21 正極 22 負極

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