リチウム金属リン酸化物の製造方法

申请号 JP2015526457 申请日 2013-05-10 公开(公告)号 JP2015525735A 公开(公告)日 2015-09-07
申请人 サムスン ファイン ケミカルズ カンパニー リミテッドSamsungfine Chemicals Co.,Ltd; サムスン ファイン ケミカルズ カンパニー リミテッドSamsung Fine Chemicals Co.,Ltd; 发明人 ヒュン・ア・ソン; ドン・ギュ・チャン; ウー・ヨン・ヤン;
摘要 本発明はリチウム金属リン 酸化 物の製造方法に関し、鉄塩溶液とリン酸塩溶液を反応器において混合するステップ、前記混合ステップ中、前記反応器内の混合溶液に剪断 力 を印加して、ナノサイズの鉄リン酸塩析出粒子を含有するサスペンションを形成するステップ、および前記サスペンションからナノサイズの鉄リン酸塩粒子を収得するステップ、および前記鉄リン酸塩をリチウム原料と混合して焼成するステップを含み、本発明によるリチウム金属リン酸化物はLiMnFePO4式を有することを特徴とする。ここで、MはNi、Co、Mn、Cr、Zr、Nb、Cu、V、Ti、Zn、Al、GaおよびMgからなる群から選択され、nは0〜1の範囲である。本発明によれば、従来の他の方法よりさらに低温においてか焼が行われることによって工程費用節減の効果があり、本発明の方法により製造して得られたリチウム金属リン酸化物はオリビン構造型を有する。
权利要求

鉄塩溶液とリン酸塩溶液を反応器において混合するステップ、 前記混合ステップ中、前記反応器内の混合溶液に剪断を印加して、ナノサイズの鉄リン酸塩析出粒子を含有するサスペンションを形成するステップ、 前記サスペンションからナノサイズの鉄リン酸塩粒子を収得するステップ、および 前記鉄リン酸塩をリチウム原料と混合して焼成するステップを含む、下記式の構造を有する、リチウム金属リン酸化物の製造方法: 式I LiMnFePO4 ここで、MはNi、Co、Mn、Cr、Zr、Nb、Cu、V、Ti、Zn、Al、GaおよびMgからなる群から選択され、nは0〜1の範囲である。前記鉄塩溶液は、酢酸鉄(III)、ハロゲン化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、これらの和物および混合物からなる群から選択された1種以上を含む、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。酢酸鉄(II)、ハロゲン化鉄(II)、硝酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、これらの水和物および混合物からなる群から選択された1種以上を含む、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記剪断力を印加するステップは、前記混合溶液を攪拌器で攪拌するステップを含む、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記攪拌器は密閉されたチャンバー内に位置する充填層を含み、前記充填層は回転軸を中心に回転する、請求項4に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記充填層はシリンダー形状であり、少なくとも1つのメッシュ層を含む、請求項5に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記剪断力によって前記反応器内にレイノルズ数(Reynolds number)2,000〜200,000の流れ条件が形成される、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記剪断力の印加は、ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩および結晶質鉄リン酸塩粒子のうち少なくとも1つが形成される条件下で行われる、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記ナノサイズの鉄リン酸塩析出粒子は、尖度が3より小さい、幅の狭い粒度分布を有する、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記混合は、鉄リン酸塩の中間体種が形成されない条件下で行われる、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記ナノサイズの鉄リン酸塩析出粒子は非晶質である、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。結晶質鉄リン酸塩粒子が形成される条件下で前記サスペンションをエイジングするステップをさらに含む、請求項11に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩析出粒子をエイジングするステップをさらに含む、請求項11に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記エイジングステップ中、ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子を含有する混合物に剪断力を印加し、前記剪断力および前記混合物内の条件を調節して結晶質ナノサイズの鉄リン酸塩粒子を形成するステップさらに含む、請求項13に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。ナノサイズの鉄リン酸塩粒子を含有する混合物から結晶質鉄リン酸塩粒子を分離するステップ、および 結晶質鉄リン酸塩粉末を形成するために結晶質鉄リン酸塩粒子を乾燥するステップをさらに含む、請求項14に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記鉄リン酸塩は、金属ドープされた鉄リン酸塩を含む、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記金属ドープされた結晶質鉄リン酸塩は非結晶鉄リン酸塩を結晶化しつつ異種金属をドープさせたものであり、以下の式を有する、請求項16に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。 式II MFePO4 ここで、MはNi、Co、Mn、Cr、Zr、Nb、Cu、V、Ti、Zn、Al、GaおよびMgからなる群から選択される。[Fe]と[M]のモル比が1−x:xであり、ここで、xは0.01〜0.05である、請求項17に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記焼成温度は500℃〜700℃である、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記リチウム原料物質としては、LiOH、Li2CO3およびLiClからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記結晶質鉄リン酸塩または金属ドープされた結晶質鉄リン酸塩とリチウム原料物質は、[FP]:[Li]のモル比が1:0.5〜1.5になるように混合される、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。前記結晶質鉄リン酸塩または金属ドープされた結晶質鉄リン酸塩とリチウム原料物質を混合するステップにおいて、スクロースまたはグルコースから選択されるカーボンコーティング原料物質をさらに含む、請求項1に記載のリチウム金属リン酸化物の製造方法。

说明书全文

本発明は、リチウム金属リン酸化物の製造方法に関し、より詳しくは、鉄リン酸塩(FePO4、以下、FP)または金属ドープされた結晶質鉄リン酸塩(MFePO4、以下、MFP)を前駆体として用いてリチウム金属リン酸化物(LiMPO4、以下、LMP)を製造する方法に関する。

リチウム金属リン酸化物(LMP)は、リチウム2次電池の正極活物質として用いられると期待されている物質である。

このようなLMPの製造方法としては、例えば、固相法およびゾル−ゲル法がある。

前記固相法は固相の反応原料を混合し熱処理してLMPを製造する方法であり、熱処理温度が高く均一なナノ粒子の製造のためには、数百ナノメートル以下の微粒の反応原料を用いなければならないので、反応原料に対する依存度が高くなって価格競争が落ちるという問題点がある。また、固相法の場合は、熱処理そのものも還元雰囲気で行われなければならないので格別の注意が要求される。また、LMPは、素材の特性上、電気伝導度が低いので、電池特性の実現のためには、LMP粒子の表面に導電性素材をコーティングする必要があり、固相法を用いる場合は、このような表面コーティングが難しいという問題点がある。

前記ゾル−ゲル法(Sol−Gel)は、金属アルコキシド原料をゾル状態に作った後、縮合反応によってゲル化した後、これを乾燥および熱処理してLMPを製造する方法であり、用いられる反応原料の価格が高く、有機溶媒に基づいた反応であるので製造費用が高い。

そこで、本発明者らは、前記のような問題点を解決できる新しい合成方法を研究し、高重力レベル(high−gravity level)の剪断力を加えて製造された結晶質鉄リン酸塩(FP)または金属ドープされた結晶質鉄リン酸塩(MFP)を前駆体として用いてリチウム金属リン酸化物を合成する場合、前駆体および生成物の構造的な類似性により、非晶質鉄リン酸塩和物を前駆体として用いる時より遥かに低温で結晶質リチウム金属リン酸化物の合成が可能であり、低か焼温度において粒子の成長を制御することができるので、工程費用を節減できることを明らかにして本発明を完成するに至った。

本発明が解決しようとする課題は、低温で結晶質リチウム金属リン酸化物(LMP)の合成が可能であり、低か焼温度において粒子の成長を制御することができるので工程費用が節減できるリチウム金属リン酸化物(LMP)の製造方法を提供することにある。

前記課題を解決するために、本発明は、 鉄塩溶液とリン酸塩溶液を反応器において混合するステップ、 前記混合ステップ中、前記反応器内の混合溶液に剪断力を印加して、ナノサイズの鉄リン酸塩析出粒子を含有するサスペンションを形成するステップ、 前記サスペンションから鉄リン酸塩粒子を収得するステップ、および 前記鉄リン酸塩をリチウム原料と混合して焼成するステップを含むリチウム金属リン酸化物の製造方法を提供する。

前記鉄リン酸塩は金属ドープされた鉄リン酸塩であることができる。

前記ドープされた鉄リン酸塩は非結晶鉄リン酸塩を結晶化しつつ異種金属をドープさせたものであり、以下の式を有する: 式I MFePO4 ここで、MはNi、Co、Mn、Cr、Zr、Nb、Cu、V、Ti、Zn、Al、GaおよびMgからなる群から選択されることができる。 前記式I中、[Fe]と[M]のモル比が1−x:xであり、ここで、xは0.01〜0.05の範囲であることが好ましい。

本発明により結晶質鉄リン酸塩または金属ドープされた結晶質鉄リン酸塩を前駆体としてリチウム金属リン酸化物を製造する方法は、従来の他の方法より低温においてか焼が行われるので工程費用節減の効果がある。

また、本発明の方法により製造して得られたリチウム金属リン酸化物は、従来の方法により製造されるリチウム金属リン酸化物に比べ、リチウム2次電池用の正極活物質として用いられた時に電池特性およびその他の物性に優れる。

本発明の実現例によるリチウム鉄リン酸化物の製造に用いられる非晶質あるいは結晶質鉄リン酸塩製造用の反応器に関する模式図である。

本発明の実現例により製造された結晶質鉄(III)リン酸塩をXRDで観察した回折パターンである。

本発明の実現例により製造された結晶質鉄(III)リン酸塩をSEMで撮影したイメージである。

本発明の実現例により結晶質鉄(III)リン酸塩から製造されたリチウム鉄リン酸化物をXRDで観察した回折パターンである。

本発明の実現例により結晶質鉄(III)リン酸塩から製造されたリチウム鉄リン酸化物をSEMで撮影したイメージである。

本発明の実現例により製造された結晶質鉄(II)リン酸塩をXRDで観察した回折パターンである。

本発明の実現例により製造された結晶質鉄(II)リン酸塩をSEMで撮影したイメージである。

本発明の実現例により結晶質鉄(II)リン酸塩から製造されたリチウム鉄リン酸化物をXRDで観察した回折パターンである。

本発明の実現例により結晶質鉄(II)リン酸塩から製造されたリチウム鉄リン酸化物をSEMで撮影したイメージである。

本発明の実現例によりクロムドープされた結晶質鉄リン酸塩から製造されたリチウムクロム鉄リン酸化物をXRDで観察した回折パターンである。

本発明の実現例によりクロムドープされた結晶質鉄リン酸塩から製造されたリチウムクロム鉄リン酸化物をSEMで撮影したイメージである。

本発明の実現例によりアルミニウムドープされた結晶質鉄リン酸塩から製造されたリチウムアルミニウム鉄リン酸化物をXRDで観察した回折パターンである。

本発明の実現例によりアルミニウムドープされた結晶質鉄リン酸塩から製造されたリチウムアルミニウム鉄リン酸化物をSEMで撮影したイメージである。

本発明の一実施形態は、鉄塩溶液とリン酸塩溶液を反応器において混合するステップ、前記混合ステップ中、前記反応器内の混合溶液に剪断力を印加して、ナノサイズの鉄リン酸塩析出粒子を含有するサスペンションを形成するステップ、前記サスペンションからナノサイズの鉄リン酸塩粒子を収得するステップ、および前記鉄リン酸塩をリチウム原料と混合して焼成するステップを含む、下記式の構造を有するリチウム金属リン酸化物の製造方法である。

式I LiMnFePO4、ここで、MはNi、Co、Mn、Cr、Zr、Nb、Cu、V、Ti、Zn、Al、GaおよびMgからなる群から選択され、nは0〜1の範囲である。

以下、本発明をステップ別により詳細に説明する。

鉄塩溶液とリン酸塩溶液を反応器において混合 鉄塩溶液(iron salt solution)は鉄塩(iron salt)が溶媒に溶解しているものを意味し、溶媒は水溶媒、有機溶媒(例えば、エタノール)、水溶媒および有機溶媒の混合物、または有機溶媒の混合物であることができる。鉄塩溶液の陰イオンはハロゲン化物(halides)、硫酸塩(sulphates)、硝酸塩(nitrates)、および酢酸塩(acetate)からなる群から選択された1種以上を含むことができる。これらに制限されるものではないが、具体的な例として、陰イオンはCl、Br、SO42−、CH3COO、NO3、OHからなる群から選択された1種以上を含むことができる。

鉄塩(iron salt)は少なくとも1つの陰イオンおよび少なくても1つの陽イオンを含む化合物であることができる。鉄塩(iron salt)内の陽イオンおよび陰イオンはFe2+、Fe3+、Clのような単一イオン(単原子イオン)であるか、またはCH3COO、NO32−、SO42−、OHのような複合イオン(多原子イオン)であることができる。鉄塩(iron salt)内の陽イオンのうち少なくとも1つはFe3+またはFe2+であっても良い。鉄塩は、選択された溶媒に完全にまたは部分的に溶解されるものであれば特に制限されないが、好ましくは、酢酸鉄(iron acetate salt)、ハロゲン化鉄(iron halide salt)、硝酸鉄(iron nitrate salt)、硫酸鉄(iron sulphate salt)、水酸化鉄(iron hydroxide salt)、これらの水和物およびこれらの混合物から選択されることができる。

リン酸塩溶液(phosphate salt solution)はPO43−を含有する溶質が溶媒に溶解している溶液を意味し、鉄塩溶液に添加されれば、析出粒子が形成されるかまたは成長する。リン酸塩溶液はリン酸塩を含む固体塩を溶媒に溶解させて製造することができ、溶媒は水、有機液体(例えば、アルコール)およびこれらの混合物を含むことができる。リン酸塩の陰イオンはHPO42−、H2PO4またはPO43−、これらの水和物およびこれらの混合物からなる群から選択された1種以上を含むことができるが、リン酸塩内の陰イオンのうち少なくとも1つはPO43−であっても良い。

鉄塩溶液とリン酸塩溶液を混合すれば、鉄塩溶液中の鉄イオンとリン酸塩溶液中のリン酸塩イオンが反応して鉄リン酸塩を形成して析出され、析出された鉄リン酸塩粒子は混合溶液中に均一に分散してサスペンションを形成することができる。

本実施形態において、鉄塩溶液およびリン酸塩溶液の混合は、ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子および結晶質鉄リン酸塩粒子のうち少なくとも1つ以上が析出される条件下で行われることができる。すなわち、鉄塩溶液およびリン酸塩溶液を混合すれば、ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子が析出されるか、またはナノサイズの結晶質鉄リン酸塩粒子が析出されるか、またはナノサイズの非晶質および結晶質粒子が共に析出されることができる。

本実施形態において、鉄塩溶液およびリン酸塩溶液の混合は、鉄リン酸塩を含有する析出物が形成される条件下で行われることができる。前記条件下では鉄リン酸塩の中間体種が形成されることを防止することができる。鉄リン酸塩中間体種(intermediate iron phosphate species)には、鉄塩および析出溶液の析出過程中に形成される金属水酸化物酸化物化合物が含まれることができる。例えば、析出溶液のpH値が7より大きい場合、水酸化イオン(OH)は溶液内で鉄塩(すなわち塩化鉄(FeCl3、FeCl2))の鉄陽イオン(Fe3+、Fe2+)と反応して直ちに析出物を形成することができる。析出物は、単一の鉄水酸化物または単一の鉄酸化物相ではなく水酸化物および酸化物の組み合わせとして存在することができる。前記中間体種は、焼結またはエイジングステップにおいて熱を加えれば、反応がさらに進行して完全な鉄酸化物の結晶を形成することができ、または空気や酸素をバブリングすれば、反応がさらに進行してFe2O3粒子を形成することができる。しかし、前記中間体種が形成されず、陽イオン(Fe3+、Fe2+)がリン酸塩イオン(PO43−)と直接反応して鉄リン酸塩を形成することがより好ましい。

反応器は鉄塩溶液とリン酸塩溶液が反応して鉄リン酸塩を形成する領域を意味し、これについては分子レベル混合装置および製造システムに関する部分において詳述する。

前記混合ステップ中、前記反応器内の混合溶液に剪断力を印加して、ナノサイズの鉄リン酸塩析出粒子を含有するサスペンションを形成 次に、混合ステップの間、反応器内の混合溶液に剪断力を加えることができる。混合溶液に剪断力を加えれば、析出されたナノサイズの鉄リン酸塩粒子は相対的に狭い粒子サイズ分布(particle size distribution)を有することができる。粒子サイズ分布の広狭は尖度比(steepness ratio)で表すことができる。尖度比(steepness ratio)は、75質量パーセントに対応する粒子の平均直径を25質量パーセントに対応する粒子の平均直径で割った値と規定することができる。尖度比が大きければ、粒度分布曲線の幅が広く、尖度比が小さければ、粒度分布曲線の幅が狭くより尖った形態を示すことができる。粒子大きさ分布はSediGraph(登録商標)によって表示されることができ、SediGraphは粒子大きさに応じた累積質量パーセント(cumulative mass percent)を図示する。累積質量パーセントは、粒子径が特定値と同一であるかこれより小さい部分が占めるパーセント(質量)を意味する。平均粒子径は、SediGraph 50%地点での析出粒子径である。本実施形態において、尖度比(steepness ratio)は3未満であっても良い。好ましくは、2未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、または1.5未満、さらには1.3未満であっても良い。

剪断力は反応器内の混合溶液を攪拌器で攪拌することによって発生され、反応器の構造およびその作動原理などに関しては後述する。剪断力を加えれば、反応器内にはレイノルズ数(Reynolds number)が2,000〜200,000、5,000〜150,000または8,000〜100,000の流体流れが形成されることができる。これにより、反応器内の物質は混合がよく行われ、本質的に均質な混合物が形成されることができる。

本実施形態により形成されたナノサイズの非晶質または結晶質鉄リン酸塩析出粒子の平均粒子サイズは1〜100nmであっても良く、好ましくは1〜20nm、5〜30nm、5〜50nm、10〜20nm、10〜50nm、20〜50nm、15〜30nm、10〜100nm、10〜60nmまたは15〜20nmであっても良い。

本実施形態において、ナノサイズの鉄リン酸塩析出粒子は非晶質であっても良い。

本実施形態は、結晶質鉄リン酸塩粒子が形成される条件下で前記サスペンションをエイジングするステップをさらに含むことができる。エイジング(aging)は、析出粒子が本質的に結晶質構造を有するように析出粒子のサスペンションを特定条件(温度、圧力、pHおよび攪拌速度)下で一定時間維持する工程を意味する。析出粒子の結晶質構造は、速い核生成または析出粒子の部分的な溶解および再結晶化によって形成されることができ、未溶解粒子上に溶解された粒子が再結晶化されて完全な結晶質粒子が形成されるか、より大きい析出粒子が形成されることができる。化学的エイジング(chemical aging)は、エイジング工程を促進するために、エイジング工程中に酸または塩基のような化学物質を反応混合物に添加する工程を意味する。

ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子から結晶質鉄リン酸塩粒子が形成される条件は、例えば、次のような(1)(2)(3)工程を含むことができる。(1)サスペンションを一定に攪拌しながら温度を徐々に上げて析出粒子サスペンションを加熱(例えば、一定に攪拌しながら25℃から約95℃まで一定の速度で加熱);(2)約95℃で約1〜5時間サスペンションのpHを適切な範囲(例えば、約pH3〜5または2〜4)に維持;および(3)常温(i.e.,25℃)までサスペンションを冷却。ここで、加熱ステップ(1)は溶媒の飽和量を変化させることができ、これは再結晶を強化するかオストワルド熟成(Ostwald ripening)現象を誘発することができ、析出粒子が成長するか再結晶化されることによって結晶構造を有する粒子を形成するかまたはより大きいサイズの粒子を形成することができる。

前記サスペンションからの鉄リン酸塩粒子の収得 次に、鉄リン酸塩粒子が浮遊しているサスペンションから鉄リン酸塩粒子を得ることができる。鉄リン酸塩粒子の収得は分離工程(isolating or isolation)によって行われ、分離は反応媒体から析出粒子を除去するのと関連した工程を意味する。例えば、濾過、遠心分離、噴霧乾燥、凍結乾燥またはその他の液体から固体を除去する他の公知の方法などがある。但し、反応媒体は分離ステップ後にも析出粒子上に残存し得ることのように、分離は必ずしも析出粒子が完全に反応媒体から除去されることを意味するのではない。しかし、分離は粒子から反応媒体を完全に除去する場合を含むことができる。

本実施形態において、鉄塩溶液は酢酸鉄(II)または(III)(iron(IIまたはIII) acetate salt)、ハロゲン化鉄(II)または(III)(iron(IIまたはIII) halide salt)、硝酸鉄(II)または(III)(iron(IIまたはIII) nitrate salt)、硫酸鉄(II)または(III)(iron(IIまたはIII) sulfate salt)、これらの水和物および混合物からなる群から選択された1種以上を含むことができる。形成された鉄リン酸塩析出粒子は鉄(第二鉄または第一鉄)リン酸塩を含むことができ、前記鉄(第二鉄または第一鉄)リン酸塩は非晶質鉄(第二鉄または第一鉄)リン酸塩、結晶質鉄(第二鉄または第一鉄)リン酸塩、これらの水和物およびこれらの混合物からなる群から選択された1種以上を含むことができる。

一方、前記鉄リン酸塩は金属ドープされた鉄リン酸塩であることができる。 前記ドープされた鉄リン酸塩は非結晶鉄リン酸塩を結晶化しつつ異種金属をドープさせたものであり、以下の式を有する:

式II MFePO4、ここで、MはNi、Co、Mn、Cr、Zr、Nb、Cu、V、Ti、Zn、Al、GaおよびMgからなる群から選択されることができる。

前記式II中、[Fe]と[M]のモル比が1−x:xあり、ここで、xは0.01〜0.05の範囲であることが好ましい。

前記式IIの金属ドープされた結晶質鉄リン酸塩は、非晶質鉄リン酸塩に異種金属塩を混合した後、異種金属塩が混合された非晶質鉄リン酸塩を結晶化して製造することができる。前記非晶質鉄リン酸塩を形成するステップは、本分野で一般的に用いられる方法により製造することができる。例えば、原料物質として、FeCl3と(NH4)2HPO4またはNH4H2PO4を液相状態で混合した後に反応させて製造することができる。この場合、[Fe]:[P]モル比は1:0.9〜1.1の範囲であっても良く、固形分の溶媒に対する体積比率は5〜15%であることが好ましい。この時、反応物のpHを4〜7に調整することが好ましく、25〜70℃の温度で10〜30分間攪拌して反応させることができる。反応物は、減圧フィルタまたは遠心分離機を用いて2〜5回洗浄した後に乾燥することが好ましい。

前記非晶質鉄リン酸塩に異種金属を混合するのは、異種金属のドープを誘導するために非晶質鉄リン酸塩の結晶化前に混合させるものである。ここで、ドープを誘導するために添加される金属としてはNi、Co、Mn、Cr、Zr、Nb、Cu、V、Ti、Zn、Al、Ga、およびMgなどが挙げられ、この時、[Fe]と[M]のモル比が1−x:xになるように混合されることができ、ここで、xは0.01〜0.05の範囲内である。また、前記異種金属塩としては、次の構造、MX3(ここで、MはNi、Co、Mn、Cr、Zr、Nb、Cu、V、Ti、Zn、Al、Ga、およびMgからなる群から選択され、Xはハロゲンを含む陰イオン)を有することが好ましい。また、前記非晶質鉄リン酸塩はスラリー形態で異種金属塩水溶液と液相において混合し均一に混合されることができる。

最後に、異種金属塩が混合された非晶質鉄リン酸塩を結晶化するステップにおいては、強酸下で加熱することによって結晶化することができる。ここで、強酸としてはリン酸または塩酸のようなものを添加し、90〜100℃下で1〜6時間攪拌しながら加熱することができる。反応の終了は反応物の色が明るくなる時点でなされる。同様に、反応物は、減圧フィルタまたは遠心分離機を用いて2〜5回洗浄した後に乾燥することが好ましい。

前記鉄リン酸塩をリチウム原料と混合して焼成 前記リチウム原料物質としてはLiOH、Li2CO3およびLiClからなる群から選択されることができるが、これらに制限されるものではない。この時、鉄リン酸塩とリチウム原料物質は[FP]:[Li]モル比が1:0.5〜1.5になるように混合されることが好ましい。前記結晶質鉄リン酸塩(FP)または金属ドープされた結晶質鉄リン酸塩(MFP)とリチウム原料物質の混合は本分野で一般的に用いられる方法により混合されることができ、例えば、乾式ボールミルをするか、ミキサーを用いた混合および粉砕をすることができる。前記原料物質は約10nm〜1μmの粒子大きさに粉砕されることが好ましい。

一方、結晶質鉄リン酸塩または金属ドープされた結晶質鉄リン酸塩とリチウム原料物質が混合される過程において、カーボンコーティング物質としてスクロース、グルコース、アスコルビン酸またはオレイン酸が含まれることができるが、これらに限定されるものではない。この場合、カーボンコーティング物質は[Li]の重量対比20〜40%の間で含まれることができる。前記混合原料は500〜700℃の温度で熱処理されることができる。この場合、1〜5% H2/N2混合ガス雰囲気で4〜12時間熱処理されることができる。

反応器 図1は本発明で用いた反応器100を概略的に示す図である。図1を参照すれば、反応器100は密閉された空間を囲むチャンバーからなることができる。反応器100の材質はチタンおよびその合金であっても良い。密閉された空間の内部において鉄塩溶液とリン酸塩溶液の反応が発生する。流入流路11,12を通して鉄塩溶液およびリン酸塩溶液が反応器100内の分配器(図示せず)に供給され、流出流路13を通して反応後のサスペンションが反応器100から流出されることができる。

反応器100は充填層(packed bed)30形態の攪拌器を含むことができる。充填層30は本質的にシリンダー形状であっても良く、特定構造をなして配列されることができ、メッシュの大きさが0.05mmの複数のワイヤーメッシュ層を含むことができる。充填層30は100〜3000m2/m3の表面積を有することができる。充填層30はシリンダー形状のスクロールメッシュの形態であっても良く、シリンダー形状部分は複数の重畳メッシュ層によって形成された側面を有することができる。メッシュサイズは0.05〜3mmまたは0.1〜0.5mmであることができる。メッシュ気孔率は少なくとも90%または95%を超過することができる。充填層30は一定の構造を有しても良く、一定の構造を有しなくても良い。充填層30はステンレススチール、一般金属合金、チタン金属またはプラスチックのような相対的に不活性な材料から作られた金網(wire mesh)タイプであることができる。充填層30のシリンダー内部の中心部に分配器があり、分配器を通して鉄塩溶液およびリン酸塩溶液が充填層30に供給されることができる。分配器は充填層30の内側面に鉄塩溶液およびリン酸塩溶液を噴出し、鉄塩溶液およびリン酸塩溶液は混合および反応して充填層30および反応器100内において混合物を形成することができる。充填層30は縦に位置した回転シャフトに取り付けられることができる。シャフトおよび充填層30が回転するため、反応器100内の混合物に遠心力形態の高い剪断力が作用することができる。充填層30内の混合物に作用する遠心力の大きさは、シャフトおよび充填層30の回転速度に応じて異なる。シャフトおよび充填層30の回転速度が高いほど、混合物に作用する高重力レベルまたは剪断力の大きさはより大きくなる。混合物は充填層30を放射方向に貫通して充填層30の外部表面に移動することができる。充填層30内の混合物は遠心力によって形成された高重力フィールド下で広がったり割れたりしてマイクロメートル〜ナノメートルの非常に微細な小滴の糸状の膜または薄膜になって、鉄塩溶液およびリン酸塩溶液間に物質伝達(mass transfer)および熱伝達(heat transfer)が活発に行われる。また、これは、鉄塩およびリン酸塩溶液間の強烈なマイクロ混合を引き起こし、高均一の過飽和溶液を非常に短時間(10ms未満)内に形成することができる。この過程においてナノサイズの鉄リン酸塩析出物が形成されることができる。

反応器、鉄塩溶液供給タンク(図示せず)およびリン酸塩溶液供給タンク(図示せず)の温度は加熱ジャケット(図示せず)を用いて調節することができる。加熱された流体が流入口を通して流入され、流出口を通して流出される循環過程によって温度を調節することができる。

攪拌器を反応器内において速く回転させることによって反応器内の液体に高い剪断力を加えることができるため、十分な高重力レベル(high gravity level)gr(m/s2)を得ることができる。これにより、非常に短時間内にマイクロ混合(micro−mixing)要件を満たすことができる。高重力レベルは以下の式によって調節することができる:

ここで、Nは攪拌器の回転速度(rpm)、dinは攪拌器の内径、doutは外径である。高重力レベルは100〜15,000m/s2、500〜2,000m/s2、1,000〜5,000m/s2または800〜5000m/s2であることができる。強い高重力レベルの攪拌器を用いるため、反応器内に注入されると、反応器内の液体は直ちに強い剪断力を受けることができる。

攪拌器が反応器内において回転する時、鉄塩溶液およびリン酸塩溶液は渦巻きによって形成された空いた空間に注入されることができる。注入速度は最小1m/s、最小2m/s、最小3m/s、最小4m/sまたは最小5m/sであることができる。

反応器は乱流状態で運転することができる。2つの溶液は乱流によってさらに速く混合されることができる。噴出フラックスは0.1〜3000m3/hrが好ましく、より好ましくは0.1〜800m3/hrである。噴出圧力は30〜3000kg/cm2が好ましく、より好ましくは50〜1000kg/cm2である。レイノルズ数Reは2,000〜200,000が好ましく、より好ましくは8,000〜100,000である。レイノルズ数が前記範囲である場合、反応器内においては核が生成される前に分子レベルの化学的均質性を得ることができるため、短時間内に高い過飽和状態(super−saturation)を得ることができるので、析出の初めてのステップにおいて数多くの核が生成され、粒子サイズ分布が均一な微細な析出粒子を製造することができる。また、反応器内の分子レベルの化学的均質性を非常に短時間内に得ることができるため、鉄リン酸塩の合成時に大きい中間凝集体の形成および水酸化鉄(iron hydroxide)、含水酸化第二鉄(hydrous ferric oxides)および酸化第一鉄(ferrous oxides)または非晶質オキシ水酸化第二鉄(amorphous ferric oxyhydroxide)のような中間体種の形成を防止することができ、これによって析出物は主に鉄リン酸塩からなることができる。

レイノルズ数は次のような式に基づいて調節することができる。

ここで、dは反応溶液を分子レベル混合装置に供給するパイプ(または分配器)の直径、uは液体の流速、ρは液体の密度、μは液体の粘度である。 分配器の直径、流速およびフラックス間の関係は以下の式の通りである。

ここで、Qはフラックスである。

一旦分配器の直径が決まれば、流速はフラックスによって決定される。噴出フラックスを維持するためには圧力が必要である。分配器の直径、フラックス、圧力およびレイノルズ数は互いに連関している。

本発明の様々な態様 本発明は、次のように様々な態様で実現されることができる。

(第1態様) 鉄塩溶液およびリン酸塩溶液を反応器において混合するステップ、 前記混合ステップ中、前記反応器内の混合溶液に剪断力を印加して、ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子を含有するサスペンションを形成するステップ、 前記サスペンションからナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子を収得するステップ、 前記ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子をエイジングしてナノサイズの結晶質鉄リン酸塩粒子を形成するステップ、および 前記ナノサイズの結晶質鉄リン酸塩をリチウム原料と混合して焼成するステップを含むリチウム金属リン酸化物の製造方法。

(第2態様) 鉄塩溶液およびリン酸塩溶液を反応器において混合するステップ、 前記混合ステップ中、前記反応器内の混合溶液に剪断力を印加して、ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子を含有するサスペンションを形成するステップ、 前記サスペンションからナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子を収得するステップ、 前記ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子をエイジングしてナノサイズの結晶質鉄リン酸塩粒子を形成するステップ、 前記エイジングステップ中、ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子を含有する混合物に剪断力を印加して、ナノサイズの結晶質鉄リン酸塩粒子を形成するステップ、および 前記ナノサイズの結晶質鉄リン酸塩をリチウム原料と混合して焼成するステップを含むリチウム金属リン酸化物の製造方法。

(第3態様) 鉄塩溶液およびリン酸塩溶液を反応器において混合するステップ、 前記混合ステップ中、前記反応器内の混合溶液に剪断力を印加して、ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子を含有するサスペンションを形成するステップ、 前記サスペンションからナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子を収得するステップ、 前記ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子をエイジングしてナノサイズの結晶質鉄リン酸塩粒子を含有する混合物を形成するステップ、 前記エイジングステップ中、ナノサイズの非晶質鉄リン酸塩粒子を含有する混合物に剪断力を印加して、ナノサイズの結晶質鉄リン酸塩粒子を形成するステップ、 ナノサイズの結晶質鉄リン酸塩粒子を含有する混合物から結晶質鉄リン酸塩粒子を分離および乾燥して結晶質鉄リン酸塩粒子を収得するステップ、および 前記ナノサイズの結晶質鉄リン酸塩をリチウム原料と混合して焼成するステップを含むリチウム金属リン酸化物の製造方法。

実施例および比較例 以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明が下記の実施例によって限定されるものではない。図1に示されたシステムを利用してナノサイズの鉄リン酸塩粒子を製造した。

実施例1 非晶質鉄(III)リン酸塩(ferric phosphate)(FePO4・2H2O)の合成 塩化鉄(ferric chloride)を蒸留水に溶解させて濃度が0.32mol/L(リットル)である2.52Lの塩化鉄溶液を準備した。リン酸水素2アンモニウム(diammonium phosphate)を蒸留水に溶解させて濃度が0.32mol/Lであるリン酸水素2アンモニウム溶液2.52リットルを準備した。分配器を通して前記鉄およびリン酸塩溶液を各々0.4L/minの流速で分子レベル混合装置の反応器100内に同時にポンピングした。反応物は混合および反応ステップの間に常温(25℃)に維持した。この時、充填層30の高重力レベルは1579m/s2にし、2つの溶液の注入速度は5m/sにした。分子レベル混合装置内の滞留時間は20sにした。黄色の析出物が浮遊したサスペンションを生成物タンクに集め、水酸化アンモニウム溶液(5.82wt%)を添加し、大気条件下で15分間攪拌した。遠心分離法による分離および洗浄後、70℃で16時間乾燥して非晶質鉄(ferric)リン酸塩ナノ粒子を製造した。本実施例により製造されたサンプルに対するXRDパターンおよびSEM分析の結果によれば、非晶質の球状の鉄(ferric)リン酸塩ナノ粒子であり、平均粒子径は15nmであり、尖度比(steepness ratio)は1.42である。

結晶質鉄(III)リン酸塩(crystalline ferric phosphate)(FePO4・2H2O)の合成 前記非晶質鉄(ferric)リン酸塩粒子を水中に分散してpH3.7の非晶質鉄(ferric)リン酸塩サスペンションを製造した。タンク内のスラリーサスペンションの温度は25℃から95℃に変化させた。リン酸(85%)を添加することによってpH値を2.41に維持した。温度が変化する間、熱伝達を促進し粒子の沈殿を防ぐためにタンクを激烈に攪拌した。95℃で90分間処理した後に黄色いサスペンションは白色に変わった。白色の鉄リン酸塩粒子を遠心分離および洗浄して上清(supernatant)のpH値が3.27になるようにした。遠心分離されたケーキを70℃で16時間乾燥した後、乾燥粉末146gを得た。走査電子顕微鏡イメージによれば、平均粒子サイズは43nmであり、粒子の形態は不完全なタマゴ形状であることを確認することができる。粒子サイズ分布によれば、尖度比(steepness ratio)(D75/D25)が1.35である。XRDパターンによれば、メタ−ストレンジャイトI(meta−strengite I)相を有することを確認することができる。元素分析の結果、誘導結合プラズマ発光分析(Inductively Coupled Plasma−Optical Emission Spectroscopy(ICP−OES))によれば、Fe=28.5wt%、P=17.5wt%であり、イオンクロマトグラフィー(Ion Chromatography(IC))(検出限界=50ppm)によれば、Clは検出されなかった。

リチウム鉄リン酸化物の合成 前記結晶質鉄リン酸塩をLiOHおよびスクロースを共に乳鉢で処理して混合および粉砕した。この場合、結晶質鉄リン酸塩とLiOHは[FP]:[Li]モル比が1:1になるように混合し、スクロースの比率は[Li]の重量対比30%になるように混合した。前記混合粉末を3% H2/N2混合ガス雰囲気下で650℃の温度で10時間熱処理してリチウム鉄リン酸化物を合成した。

実施例2 結晶質鉄(III)リン酸塩(ferric phosphate)(FePO4・2H2O)の合成 リン酸(phosphoric acid)(85%)6.36gを黄色サスペンションに添加し、80℃で90分間熱処理したことを除いては、実施例1と同様な方法によって鉄(ferric)リン酸塩粒子を製造した。鉄(ferric)リン酸塩粒子は平均粒子サイズが28.7nmであり、尖度比が1.47である。XRD回折パターンによれば、メタ−ストレンジャイトI(meta−strengite I)相に結晶化されて鉄(ferric)リン酸塩が形成されたことを確認することができる。

リチウム鉄リン酸化物の合成 前記結晶質鉄リン酸塩をLiOHおよびスクロースを共に混合し、これを16時間乾式ボールミルした。この場合、結晶質鉄リン酸塩とLiOHは[FP]:[Li]モル比が1:1になるように混合し、スクロースの比率は[Li]の重量対比30%になるように混合した。前記混合粉末を3% H2/N2混合ガス雰囲気下で660℃の温度で8時間熱処理してリチウム鉄リン酸化物を合成した。

実施例3 結晶質鉄(III)リン酸塩(ferric phosphate)(FePO4・2H2O)の合成 濃度0.32mol/Lの(NH3)2HPO4溶液75mlと水酸化アンモニウム溶液(NH3として5.82wt%)8.75gを予め混合および濾過してタンクに貯蔵したことを除いては、結晶質鉄(ferric)リン酸塩粒子は実施例1と同様に製造された。鉄(ferric)リン酸塩粒子は平均粒子サイズが33.4nmであり、尖度比が1.39である。XRD回折パターンによれば、メタ−ストレンジャイトI(meta−strengite I)相に結晶化されて鉄(ferric)リン酸塩が形成されたことを確認することができる。

リチウム鉄リン酸化物の合成 前記結晶質鉄リン酸塩を炭酸リチウムおよびオレイン酸と共に混合し、これを20分間家庭用ミキサーで粉砕した。この場合、結晶質鉄リン酸塩と炭酸リチウムは[FP]:[Li]モル比が1:1になるように混合し、オレイン酸の比率は[Li]の重量対比30%になるように混合した。前記混合粉末を3% H2/N2混合ガス雰囲気下で650℃の温度で8時間熱処理してリチウム鉄リン酸化物を合成した。

実施例4 結晶質鉄(III)リン酸塩(ferric phosphate)(FePO4・2H2O)の合成 濃度が3wt%である75ml H3PO4溶液75mlと水酸化アンモニウム溶液(NH3として25wt%)7.7gを予め混合、濾過してタンクに貯蔵したことを除いては、結晶質鉄(ferric)リン酸塩粒子は実施例1と同様な方法によって製造された。 鉄(ferric)リン酸塩粒子は平均粒子サイズが38.7nmであり、尖度比が1.42である。XRD回折パターンはメタ−ストレンジャイトI(meta−strengite I)相に結晶化されて鉄(ferric)リン酸塩が形成されることを示している。

リチウム鉄リン酸化物の合成 実施例1と同様な方法によってリチウム鉄リン酸化物を合成した。

実施例5 結晶質鉄(III)リン酸塩(ferric phosphate)(FePO4・2H2O)の合成 濃度が3wt%である75ml H3PO4溶液75mlにアンモニアガスをバブリングしてpH9.87の混合溶液を製造したことを除いては、結晶質鉄(ferric)リン酸塩粒子は実施例1と同様な方法によって製造した。混合溶液は予め濾過してタンクに貯蔵した。鉄(ferric)リン酸塩粒子は平均粒子サイズが35.9nmであり、尖度比(steepness ratio)が1.46である。XRD回折パターンによれば、メタ−ストレンジャイトI(meta−strengite I)相に結晶化されて鉄(ferric)リン酸塩が形成されたことを確認することができる。

リチウム鉄リン酸化物の合成 実施例1と同様な方法によってリチウム鉄リン酸化物を合成した。

実施例6 鉄(II)リン酸塩(ferrous phosphate)(Fe3(PO4)2・8H2O)の合成 鉄塩溶液タンク(Iron salt tank)に硫酸アンモニウム鉄(ammonium iron(II) sulfate)(Fe(NH4)2(SO4)2・7H2O)水溶液を入れ、他のタンクにリン酸二カリウム(dipotassium phosphate)(K2HPO4)水溶液を入れて攪拌した。この時、原料のモル比は[Fe]:[P]=3:2になるようにし、固形分の溶媒に対する比率は25%であった。上記の溶液を反応器にポンプ速度(pump speed)は0.4L/min、注入速度は5m/sになるように同時に注入し、タンクおよび反応器の温度は常温(25℃)であった。この時、充填層(packed bed)の高重力レベル(high gravity level)は1579m/s2であり、分子レベル混合装置(molecular mixing unit)での滞留時間は20秒になるようにした。原料注入が終わった後、飽和水酸化アンモニウム(ammonium hydroxide)(NH4OH)水溶液を添加してpHが6.5になるようにした。次に、反応器の温度を70℃にセットした後、15分間追加作動させた。結果の反応スラリーを減圧フィルタを用いて3回洗浄した。洗浄されたケーキを90℃オーブンにおいて乾燥して鉄(II)リン酸塩を合成した。XRD回折パターンによれば、藍鉄鉱(vivianite)相に結晶化されて鉄(ferrous)リン酸塩が形成されたことを確認することができる。

リチウム鉄リン酸塩(lithium iron phosphate)(LiFePO4)の合成 前記結晶質鉄(II)リン酸塩(Fe3(PO4)2・8H2O)をリン酸リチウム(Li3PO4)およびスクロースを共に乳鉢で処理して混合および粉砕した。この場合、各々の原料はモル比が1:1になるように混合し、スクロースの比率はリン酸リチウムの重量対比40%になるように混合した。前記混合粉末を3% H2/N2混合ガス雰囲気下で670℃の温度で8時間熱処理してリチウム鉄リン酸化物を合成した。

実施例7 鉄(II)リン酸塩(ferrous phosphate)(Fe3(PO4)2・8H2O)の合成 前記実施例7と同様な方法によって製造した。

リチウム鉄リン酸塩(lithium iron phosphate)(LiFePO4)の合成 前記結晶質鉄(II)リン酸塩(Fe3(PO4)2・8H2O)を炭酸リチウム(Li2CO3)とリン酸2アンモニウム(NH4HPO4)およびグルコースと共に混合し、固形分に対して30%になるように純水を添加した後、1時間ビーズミルを行った。この場合、前記原料のモル比は鉄(II)リン酸塩:炭酸リチウム:リン酸2アンモニウム=2:3:2になるように混合し、グルコースの比率は炭酸リチウムの重量対比40%になるように混合した。前記混合スラリーを噴霧型乾燥器で乾燥した後、3% H2/N2混合ガス雰囲気下で680℃の温度で10時間熱処理してリチウム鉄リン酸化物を合成した。

実施例8 鉄(II)リン酸塩(ferrous phosphate)(Fe3(PO4)2・8H2O)の合成 前記実施例7と同様な方法によって製造した。

リチウム鉄リン酸塩(lithium iron phosphate)(LiFePO4)の合成 前記結晶質鉄(II)リン酸塩(Fe3(PO4)2・8H2O)を水酸化リチウム(LiOH・H2O)とリン酸2アンモニウム(NH4HPO4)およびオレイン酸と共に混合し、これを16時間乾式ボールミルした。この場合、前記原料のモル比は鉄(II)リン酸塩:水酸化リチウム:リン酸2アンモニウム=1:3:1になるように混合し、オレイン酸の比率は水酸化リチウムの重量対比30%になるように混合した。前記混合粉末を3% H2/N2混合ガス雰囲気下で650℃の温度で8時間熱処理してリチウム鉄リン酸化物を合成した。

実施例9 クロムドープされた結晶質鉄リン酸塩の合成 前記実施例1で得られた非結晶質鉄リン酸塩水和物と三塩化クロム(CrCl3)を[Fe]:[Cr]モル比が1−x:x、x=0.02になるように取り、純水を入れて混合してスラリーを形成した。この場合、固形分の溶媒に対する体積比率は10%であった。タンク内のスラリーサスペンションの温度は25℃から95℃に変化させた。前記スラリーにリン酸(H3PO4)を添加してpHを2〜3に調整した。温度が変化する間、熱伝達を促進し粒子の沈殿を防ぐためにタンクを激烈に攪拌した。95℃で90分間処理した後に黄色いサスペンションは白色に変わった。白色の鉄リン酸塩粒子を遠心分離および洗浄した。

リチウムクロム鉄リン酸化物を合成 前記クロムドープされた結晶質鉄リン酸塩をLiOHおよびスクロースと共に混合し、これを16時間乾式ボールミルした。この場合、クロムドープされた結晶質鉄リン酸塩とLiOHはモル比が1:1になるように混合し、スクロースの比率は[Li]の重量対比30%になるように混合した。前記混合粉末を3% H2/N2混合ガス雰囲気下で660℃の温度で8時間熱処理してリチウムクロム鉄リン酸化物を合成した。

実施例10 アルミニウムドープされた結晶質鉄リン酸塩の合成 前記実施例1で得られた非結晶質鉄リン酸塩と三塩化アルミニウム(AlCl3)を[Fe]:[Al]モル比が1−x:x、x=0.02になるように取り、純水を入れて混合してスラリーを形成した。この場合、固形分の溶媒に対する体積比率は10%であった。タンク内のスラリーサスペンションの温度は25℃から95℃に変化させた。前記スラリーにリン酸(H3PO4)を添加してpHを2〜3に調整した。温度が変化する間、熱伝達を促進し粒子の沈殿を防ぐためにタンクを激烈に攪拌した。95℃で90分間処理した後に黄色いサスペンションは白色に変わった。白色の鉄リン酸塩粒子を遠心分離および洗浄をした。

リチウムアルミニウム鉄リン酸化物の合成 前記で製造されたアルミニウムドープされた結晶質鉄リン酸塩を炭酸リチウムおよびグルコースを共に乳鉢で処理して混合および粉砕した。この場合、アルミニウムドープされた結晶質鉄リン酸塩と炭酸リチウムはモル比が1:1になるように混合し、グルコースの比率は[Li]の重量対比30%になるように混合した。前記混合粉末を3% H2/N2混合ガス雰囲気下で650℃の温度で10時間熱処理してリチウムアルミニウム鉄リン酸化物を合成した。

比較例1 Li2CO3、FeC2O4、(NH4)2HPO4およびスクロースを水に入れ、16時間ボールミルした。この場合、溶媒としては水の他にアセトン、エタノール、イソプロパノールが用いられることができる。Li2CO3、FeC2O4、(NH4)2HPO4の混合時、[Li]:[Fe]:[P]モル比が1:1:1になるように混合し、スクロースは[Li]の重量対比30%になるように混合した。この時、固形分の溶媒に対する体積比率は30%であった。前記混合物を3% H2/N2還元ガス雰囲気下で750℃で8時間熱処理してリチウム鉄リン酸化物を合成した。

比較例2 非結晶質鉄リン酸塩水和物(Amorphous FePO4・2H2O)をLiOHおよびスクロースと共に混合し、これを16時間乾式ボールミルした。この場合、非結晶質鉄リン酸塩水和物とLiOHの混合時、[FP]:[Li]モル比が1:1になるように混合し、スクロースは[Li]の重量対比30%になるように混合した。前記混合物を3% H2/N2還元ガス雰囲気下で800℃で8時間熱処理してリチウム鉄リン酸化物を合成した。

分析例 前記実施例1で原料物質として用いられた結晶質鉄リン酸塩とそれにより製造されたリチウム鉄リン酸化物に対するXRD回折パターンおよびSEM観察の結果を図4および図5に示す。

用いられたXRDおよびSEMの仕様および分析条件は次の通りである。 XRD:Rikagu社製のD/Max−2500VK/PCで分析 (分析条件:CuKa radiation、速度4°min−1) SEM:JEOL社製のJSM−7400Fで撮影(分析条件:20kV)

図4は、本発明の方法により製造されたリチウム鉄リン酸塩のXRD回折パターンとして、そのナノ粒子が結晶質オリビン(Olivine)構造をなしていることを確認することができた。

また、図4のSEMで観察した結晶質リチウム鉄リン酸塩の粒子形状として、これらの粒子がナノサイズを有することが分かった。

評価例 本発明の実施例1により製造されたリチウム鉄リン酸化物と比較例1および2により製造されたリチウム鉄リン酸化物に対する各々の放電容量を評価し、その結果を下記表1に示す。

正極活物質として実施例1で製造されたリチウム鉄リン酸化物と比較例1および2で製造されたリチウム鉄リン酸化物を各々用いて、活物質:導電剤(カーボンブラック):バインダー(PVdF)の比率を85:5:10wt%にしてNMP(N−メチルピロリドン)溶媒に入れ、混合してスラリーを製造した。次に、アルコールやアセトンで消毒したガラス板上にアルミニウムプレートを敷き、その上に前記混合されたスラリーをドクターブレードで20〜25μmの厚さで均一に塗布した。オーブンにおいて(約90〜100℃)8時間乾燥して溶媒を除去した。次に、プレス機を用いて圧力を加え、正極板として好適な厚さ50〜70μmに作り、コインセルの規格に合わせてパンチングして正極板を準備した。次に、不活性気体で充填されたグローブボックス内でリチウム金属を極板に結合して負極板を準備した。前記リチウム負極板をコインセルの下部ケースに置き、セパレータ(セルガード社製、Celgard 2300、厚さ:25μm)、電解質(EC/EMC=3/7中の1.3M LiPF6)、正極板、上部ケースの順に入れて組み立てしてコインセルを準備した。充放電試験機(Toyo、T475−HR)を用いて放電容量を評価し、その結果を表1に示す。

前記表1の放電容量の評価結果から確認できるように、本発明により製造されるオリビン構造型リチウム鉄リン酸化物の放電容量が従来の方法により製造されたリチウム鉄リン酸化物より優れることが分かる。

本発明は実施例を参考にして説明したが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野の通常の知識を有した者であれば、これより様々な変形および均等な他の実施例が可能であるということを理解するであろう。したがって、本発明の真の技術的な保護範囲は添付された特許請求の範囲の技術的思想によって定めなければならない。

11,12 流入流路 13 流出流路 100 反応器

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