Method for producing hexafluorophosphate salt

申请号 JP2007029405 申请日 2007-02-08 公开(公告)号 JP2008195547A 公开(公告)日 2008-08-28
申请人 Stella Chemifa Corp; ステラケミファ株式会社; 发明人 WAKI MASAHIDE; MIYAMOTO KAZUHIRO; AOKI KENJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method for producing a hexafluorophosphate salt (GPF 6 : G=Li, Na, K, Rb, Cs, NH 4 , Ag) having excellent workability at low cost from easily available raw materials, and the reaction can be controlled in this method. SOLUTION: Disclosed is a method for producing a hexafluorophosphate salt (MPF 6 : M=Li, Na, K, Rb, Cs, NH 4 , Ag), which uses at least an aqueous H x PO y F z solution, an aqueous hydrofluoric acid solution and MF r(HF) as raw materials, wherein 0≤x≤3, 0≤y≤4, 0≤z≤6, and r≥0. COPYRIGHT: (C)2008,JPO&INPIT
权利要求
  • 少なくともH PO 水溶液とフッ酸水溶液とMF・r(HF)とを原料とする六フッ化リン酸塩(MPF :M=Li,Na,K,Rb,Cs,NH ,Ag)の製造方法。
    (但し、r≧0、0≦x≦3、0≦y≦4、0≦z≦6)
  • 式1に従い、H PO 水溶液とフッ酸水溶液とを反応させた後、一旦固体として六フッ化リン酸水和物結晶(HPF ・qH O)を取り出し、次いで式2に従って取り出したHPF ・qH OとMF・r(HF)の反応によってMPF を合成する請求項1記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
    PO +pHF→HPF ・qH O (式1)
    (但し、q≧1)
    HPF ・qH O+MF・r(HF)→MPF +(r+1)HF+qH O (式2)
  • 式3に従い、H PO 水溶液とフッ酸水溶液とMF・r(HF)とを一度に反応させMPF を合成する請求項1記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
    MF・r(HF)+H PO +sHF→MPF +yH O (式3)
    (但し、s,yは1以上)
  • PO の濃度は、50〜98重量%である請求項1ないし3のいずれか1項記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
  • PO の濃度は75〜85重量%である請求項1ないし4のいずれか1項記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
  • 使用するフッ酸水溶液中のフッ酸濃度は、40重量%以上である請求項1ないし5のいずれか1項記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
  • 使用するフッ酸水溶液中のフッ酸濃度は、50重量%以上75重量以下である請求項1ないし6のいずれか1項記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
  • PO とHFとMF・r(HF)の少なくとも2種以上を反応させた後のフッ酸水溶液中のフッ酸濃度を40重量%以上に保つ請求項1ないし7のいずれか1項記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
  • PO とHFとMF・r(HF)の少なくとも2種以上を反応させた後のフッ酸水溶液中のフッ酸濃度を45重量%以上65重量%未満に保つ請求項8記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
  • HPF ・qH Oを晶析させる請求項1ないし9のいずれか1項記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
  • 晶析を−50℃以上0℃以下で行う請求項10記載の六フッ化リン酸塩の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、電池用電解質や、有機合成反応の触媒等として有用な六フッ化リン酸塩の製造方法に関する。

    六フッ化リン酸塩DPF (D=Li,Na,K等)は電池の電解液として使用されている。 さらにD=Agの場合は、光重合の開始・増殖反応に必要な酸を発生させるカウンターイオンとして注目されている。 さらにD=NH の場合、医薬中間体の製造に用いられる原料として有用である。

    固体状態の六フッ化リン酸塩DPF は、一般的にに対して不安定な化合物であり、反応系に水分が存在するとオキシフッ化リン酸塩(DPO )が副生され、さらに六フッ化リン酸塩がDFあるいはDF・c(HF)に分解される。 その中でも特に六フッ化リン酸リチウムや六フッ化リン酸銀などを空気中に放置すると極微量の水分によって白煙(POF とHF)を発生しながら徐々に分解する。 この分解は僅か数十ppmの水分でも起こり、水分は2倍当量以上の酸分(HF,HPO ,H PO Fなど)に変わる。

    そのため、従来、一般的には、無水フッ化水素とハロゲン化リン、例えば五塩化リン(PCl )を反応させて、五フッ化リン(PF )を生成させ、さらに無水フッ化水素中で発生したPF とフッ化金属(DF、あるいはDF・c(HF))とを反応させることで得ていた。
    しかし、この方法では五塩化リンという吸湿性で発煙性の固体を用いるとともに、反応時に塩化水素ガスが大量に発生するため、その処理を行わなければならないなど作業性が悪いという欠点を有していた。

    一方、解離した六フッ化リン酸アニオン(PF )は、水溶液中においても安定であることが知られている。 これは水のような安定な配位化合物が存在する場合は、水分子との錯体が形成されているためである。 しかし溶液中では水が存在することによって安定な六フッ化リン酸アニオンも、無水物の固体である六フッ化リン酸塩として取り出すことは難しい。

    例えば、NaPF は、水に溶解させると溶液中では安定なPF として存在しているが、これを再結晶などの方法で結晶として取り出す場合、無水物であるNaPF としてではなく、水和物であるNaPF ・H Oの状態で析出してくる。 さらにこのNaPF ・H Oの水分を脱水するために加熱あるいは減圧下で乾燥を行うと、六フッ化リン酸塩の一部がオキシフッ化リン酸塩に分解されてしまう。 同様なことがNH PF ,AgPF ,LiPF でも起こり、特にLiPF ,AgPF の場合は顕著であり、少量の水和物が存在していてもオキシフッ化リン酸塩に分解されてしまう。 そのため、LiPF ,NaPF ,NH PF ,AgPF を水溶液系で合成した報告は未だ無い。

    このように水に対して不安定な六フッ化リン酸塩DPF であるが、D=K(カリウム)の場合(KPF )は、少量の水存在下からでも、固体として結晶を取り出すことに成功している。 例えば、下記特許文献1には、無水フッ化水素に五酸化リンを反応させて六フッ化リン酸溶液を製造後、フッ化カリウムや水酸化カリウム等のカリウム塩を反応させて製造する方法が記載されている。
    しかしこの方法では、五酸化リンと無水フッ化水素との反応が激烈であるため、非常に危険であり反応のコントロールも困難を極める。 さらに吸湿性が極めて強い五酸化リンを扱うという作業性の悪い欠点を有している。

    そこで下記特許文献2では、無水フッ化水素を使用しなくとも、60〜97重量%のフッ酸を用い、リン酸のカリウム化合物(第一リン酸カリウムあるいはポリリン酸カリウム)とを反応させることによって、六フッ化リン酸カリウムを合成している。 しかし、この方法は、五酸化リンほど反応は激しくないものの、フッ酸中にカリウム塩を添加する際、反応の進行とともに溶液の温度が上昇すると記載されている。 さらに六フッ化リン酸ルビジウム、六フッ化リン酸セシウムもこの方法を応用すれば合成が可能かもしれないが、その場合、第一リン酸ルビジウム、第一リン酸セシウム、ポリリン酸ルビジウム、ポリリン酸セシウムが容易に入手出来ないため、実用的な方法とは言い難い。

    一方、六フッ化リン酸(HPF )は、下記特許文献3によれば、下記化学反応式4、又は5のように合成されている。 これはHPF に水が配位し安定化しているためである。
    PO +6HF→HPF +4H O (式4)
    +12HF→2HPF +5H O (式5)
    しかし、この技術では、HPF を結晶(固体)として取り出すことは行っておらず、HPF の溶液としてのみ議論されている。
    さらに下記特許文献4では、HPF を利用しPF ガスを発生させているが、その技術においても結晶(固体)として取り出すことは行っていない。
    さらに下記特許文献3、特許文献4等において、HPF ・6H O、HPF ・4H O、HPF ・2H Oとの表記があるものの、これらが結晶(固体)とは記載されておらず、文面から溶液中の配位数であるものと読み取ることが出来る。 つまり、六フッ化リン酸アニオン(PF )水溶液から、容易に六フッ化リン酸を結晶(固体)として取り出すことは非常に難しいと考えられる。

    USP2488299号公報

    特公平5−72324号公報

    特開2004−75413号公報

    特表2005−507849号公報

    本発明は前記のような問題点を解決するために提案されたもので、その目的とするところは、原料の入手が容易で、さらに反応の制御が可能であり、且つ作業性に優れた六フッ化リン酸塩(APF :A=Li,Na,K,Rb,Cs,NH ,Ag)を安価で製造することが可能な六フッ化リン酸塩の製造方法を提供するところにある。

    上述の課題を解決するために、本発明者等が鋭意研究を行なったところ、H PO 水溶液、フッ酸水溶液、MF・r(HF)の三種を原料として使用し、これら原料の添加割合と溶液の濃度を最適化することにより、水溶液系でも、六フッ化リン酸塩(MPF :M=Li,Na,K,Rb,Cs,NH ,Ag)を安価で製造することが可能となる。
    本発明は、少なくともH PO 水溶液とフッ酸水溶液とMF・r(HF)とを原料とする六フッ化リン酸塩(MPF :M=Li,Na,K,Rb,Cs,NH ,Ag)の製造方法である。
    (但し、r≧0、0≦x≦3、0≦y≦4、0≦z≦6)

    本発明によれば、安価な原料が使用出来、取り扱いも非常に容易なため、簡易・且つ安価に六フッ化リン酸塩MPF (M=Li,Na,K,Rb,Cs,NH ,Ag)の合成を行うことが出来る。

    本発明においては、H PO 水溶液、フッ酸水溶液、MF・r(HF)の少なくとも三種を原料として使用しMPF (M=Na,K,Rb,Cs,NH ,Ag)を合成することが可能である。 但し、r≧0、0≦x≦3、0≦y≦4、0≦z≦6、好ましくは、0≦x≦3、0≦y≦3、0≦z≦5、好ましくは0≦z≦3である。 なお、自明のことながら、あらかじめ所望の組成に混合したH PO 水溶液とフッ酸水溶液を使用しても目的が達成できるのである。

    本発明を実施する際、次の二種類の方法によることが好ましい。

    まず一番目の方法として、下記化学反応式1により、H PO 水溶液とフッ酸水溶液を反応させた後、一旦固体として六フッ化リン酸水和物結晶(HPF ・qH O)を取り出す。 さらに下記化学反応式2に従い、取り出したHPF ・qH OとMF・r(HF)の反応によってMPF を生成させる。 (但しq≧1、pは化学量論以上使用する。)

    PO +pHF→HPF ・qH O (式1)

    HPF ・qH O+MF・r(HF)→MPF +(r+1)HF+qH O (式2)

    二番目の方法として、下記化学反応式3に従って、H PO 水溶液とフッ酸水溶液及びMF・r(HF)を一度に反応させMPF を合成する方法である。

    MF・r(HF)+H PO +sHF→MPF +yH O (式3)
    (但しs、yは1以上で、sは化学量論以上使用する。)

    本発明に使用するH PO 水溶液は、例えば、P ,H PO ,HPO ,H ,H 10 ,H 13 ,H PO F,HPO ,POF ,PF 等の五価のリン化合物のうちの一種以上を水又はフッ酸の何れか一方に溶解させたもの、あるいはPOCl 、POBr 等のオキシハロゲン化リンとHFの反応によって生じたもの、さらにEPF (E=H,Li,Na,K,Rb,Cs,Ag)の分解により生じたものなども挙げられる。 さらに、上記化学反応式1〜3にて未反応のもの、あるいは化学反応式1〜3の濾液などを濃縮して回収した後のH PO などを再利用しても構わない。 但し、0≦x≦1、1≦y≦3、0≦z≦5、さらに好ましくは0≦z≦3である。

    PO の濃度は、50〜98重量%が好ましい。 濃度が低い場合、系中の水分量が多くなり、収率低下に繋がる。 さらに濃度が高い場合、固体に近づき吸湿性などの点から取り扱いが難しくなることがある。 さらに、固体にならなくとも粘性が高くなるため、75〜85重量%が特に好ましい。 またこの範囲であれば、x=3、y=4、z=0のオルトリン酸は、食品添加用などで一般的であり、さらに高純度品を安価に入手することが可能である。

    上記化学反応式1、化学反応式2、化学反応式3の反応時に使用する、フッ酸の濃度は特に限定されないが、フッ酸の濃度が低すぎると、PF アニオンの生成が困難になり、代わりにHPO アニオンなどのオキシリン酸アニオンが優先的に生成するため、40重量%以上が好ましい。 また取り扱いの点からは85重量%以下が好ましい。 さらにその中でも50重量%以上75重量%が好ましく、特に好ましくは55重量%以上75重量%以下である。

    さらに、本発明においてH PO とHFとMF・r(HF)の少なくとも2種以上を反応させた後のフッ酸水溶液中のフッ酸濃度を40重量%以上に保つことが重要である。 40重量%未満の場合、過剰な水が、PF アニオンの加水分解を促進するためである。 従って、反応後の水溶液中のフッ酸濃度は40重量%以上80重量%未満が好ましく、さらに収率および濾過などの取り扱い性から45重量%以上65重量%未満が特に好ましい。 一方、上記化学反応式1では、使用するH PO 水溶液またはHF水溶液さらに反応によって生じる水成分が、結晶水として固体側に分離されるため、反応前よりフッ酸濃度を高くすることが出来る。

    前記フッ酸については、グレードは特に限定されるものではなく、市販の工業用グレード・一般グレード・半導体グレード等がそのまま、あるいは適宜濃度調整して使用できる。 その中でも、不純物量の少ない半導体グレードの使用が好ましいが、コストの面からは、工業用グレード、一般グレード等が特に好ましい。 不純物濃度としては、各金属不純物が1重量ppm以下であれば十分である。

    一方、MF・r(HF)の製法も特に限定されず、M=Li,Na,K,Rb,Cs,Agを含んだ酸化物・水酸化物・炭酸塩・塩化物など、あるいはNH とフッ酸あるいはフッ化アンモニウムを反応させたもの、さらにこれらとフッ酸を過剰に反応させ金属フッ化物MF・r(HF)としたもの(r≧0)を使用する。 加えて、下記化学反応式6の反応により副生したMF・r(HF)を再利用しても構わない。

    MPF +HF→PF +MF・r(HF) (式6)
    (但しHFは化学量論以上使用する。)

    五塩化リンや五酸化リンは吸湿性の大きな固体であるため取り扱いが難しく、特に、製造設備への原料投入等においてその作業性が悪く、機械化も図りにくいという問題がある。 一方、LiF,LiF・(HF),NaF,NaF・(HF),KF・(HF),RbF・(HF),CsFなどは、五塩化リン、五酸化リンの様に激しく吸湿することは無く、流動性に優れた結晶であるため、原料の投入は容易である。 さらにH PO ,HF共に室温で液体(水溶液)であり、五塩化リンや五酸化リンを原料に使用する場合と比較して、製造設備への原料投入等においてその作業性が飛躍的に向上し、機械化も容易に図れるというメリットを有する。 このことは、当然ながら、六フッ化リン酸塩の生産性を向上させることになる。

    上記化学反応式1または化学反応式3において、H PO に対するHFの添加割合は、1当量以上であれば問題ないが、添加割合が少ない場合、反応後のフッ酸濃度が低くなるため1.5当量以上が好ましい。 さらに添加割合を増やせば反応後のフッ酸濃度を高めることが出来るが、工業的に不経済となるため10当量未満が好ましい。 一方、生成するMPF 溶解度はHF濃度の増加に伴い低くなるため収率を高めることが可能である。 しかし溶解度が低くともHF量が多いことによってMPF の溶解量が増え、収率が低下するため、その中でも2当量以上7.5当量以下が特に好ましい。

    また上記化学反応式2または化学反応式3において、H PO に対するMF・r(HF)の添加割合は、1〜3当量であれば定量的に反応が進行する。 しかし、添加割合が多くなるとMF・r(HF)がHFと反応し、rの大きな化合物となることで系中のフッ酸濃度が低下し、収率も低下するため、好ましくは1.01〜2当量、その中でも工業性・経済性を加味すると1.05〜1.5当量が特に好ましい。

    上記化学反応式1において、原料の添加方法としては、特に限定されず、H PO 水溶液およびフッ酸水溶液を一気に加える方法、H PO 水溶液、またはフッ酸水溶液を同時滴下する方法、H PO 水溶液あるいはフッ酸水溶液のどちらか一方を先に反応容器に入れ、他方を滴下する方法の何れの方法を用いても構わない。 しかし、H PO 水溶液、およびフッ酸水溶液との反応において、反応時、ほとんど発熱しないため、生産性を考慮すると、H PO 水溶液、フッ酸水溶液を一気に加える方法が好ましい。

    また、上記化学反応式3における原料の添加方法も特に限定されず、MF・r(HF)を溶解させたH PO 水溶液およびフッ酸水溶液を一気に加える方法、MF・r(HF)を溶解させたH PO 水溶液またはフッ酸水溶液を同時滴下する方法、MF・r(HF)を溶解させたH PO 水溶液あるいはフッ酸水溶液のどちらか一方を先に反応容器に入れ、他方を滴下する方法の何れの方法を用いても構わない。 さらにMF・r(HF)を先ず反応容器に入れた中へH PO 水溶液およびフッ酸水溶液を一気に加える方法や、MF・r(HF)を先ず反応容器に入れた中へH PO 水溶液またはフッ酸水溶液を同時滴下する方法を用いても構わない。 またこれらの溶液中にあらかじめMPF が溶解された液を用いても構わない。

    しかし、H PO 水溶液、およびフッ酸水溶液との反応において、反応時、ほとんど発熱しないが、MF・r(HF)がHFと反応する際、若干発熱するため、HFを5〜15℃に冷却した中へ攪拌しながらMF・r(HF)をゆっくり添加したMF・r(HF)/HF水溶液を用いることが好ましい。 このMF・r(HF)/HF水溶液とH PO 水溶液の反応においては、反応時、ほとんど発熱しないため、生産性を考慮すると、H PO 水溶液とMF・r(HF)を溶解させたフッ酸水溶液を一気に加える方法が好ましい。

    さらに上記化学反応式2において取り出したHPF ・qH O結晶(固体)とMF・r(HF)を反応させてMPF (M=Na,K,Rb,Cs,NH ,Ag)を合成するが、この時の反応方法も特に限定されない。 この時、HPF ・qH O結晶、またはMF・k(HF)に水あるいはHFの少なくとも何れか一方を加え、攪拌を行い溶解させた後、これらの溶液同士を、一気にあるいは、同時滴下、又は一方を他方に加える方法のいずれで行っても構わない。
    しかし、化学反応式2の様に反応の進行とともに水およびHFが副生するため、必ずしも水あるいはHFの添加を必要とせず、固体同士を反応容器に入れ攪拌を行うのみでも構わない。 しかし液量の増加は溶解度と密接に関係し、液量は少ない方が良いことから、これらの中で固体同士を反応容器に入れ攪拌を行う方法が最も好ましい。

    上記化学反応式1〜3において、反応温度は特に限定されないが、反応温度が70℃以上になると、上記化学反応式1、3においては逆反応の加水分解反応が起こり、化学反応式2においてもPF の加水分解が起こるため、収率低下の原因となる。 また反応温度が高いとHFの飛散も起こるため、好ましくは50℃以下で行う。 さらに低温の場合は反応速度が遅くなるため、好ましくは−40℃以上である。 さらに生産性を考慮した場合、−20℃〜+30℃の範囲で行うことが特に好ましい。

    さらに上記化学反応式1〜3において、晶析温度も特に限定されるものではないが、低温ほど収率が向上するものの、付帯設備あるいは生産性の面でコスト上昇に繋がる。 そのため、好ましくは−40℃以上+30℃以下、さらに好ましくは−20℃以上+20℃以下、その中でも特に好ましくは−5℃以上+20℃以下である。 またHPF ・qH Oは溶解度が高いため、0℃以上では結晶が得られない。 つまりHPF ・qH Oの場合、反応後のHF濃度が40重量%以上且つ、温度を0℃以下にすることでHPF ・qH Oを結晶として取り出すことが可能となる。 そこで、HPF ・qH Oの晶析を行う場合、−50℃以上0℃以下、その中でも好ましくは−40℃以上−5℃以下とすることが非常に重要である。

    化学反応式1〜3における反応、あるいは晶析時間も特に限定されないが、短い場合は収率が低下する可能性がある。 一方、長い場合は生産性が低下する。 そのため、反応、あるいは晶析時間として、0.5時間以上72時間未満、好ましくは1時間以上48時間以下、さらに好ましくは1.5時間以上8時間以下、その中でも特に好ましくは2時間以上6時間以下である。

    化学反応式1では反応後、例えば晶析によって、HPF ・qH O結晶(固体)を反応系から系外に取り出すことが本発明の特徴である。 但しqは1以上であり、好ましくは2以上、さらに好ましくは6以上である。 つまりこのHPF ・qH O結晶(固体)は水和物であるため、系中の水分が結晶側へ移行し、溶液中のフッ酸濃度を高めることが出来る。 さらにこの濾液に濃度の高いHFを加えることで、初期の濃度、あるいは初期の濃度に近づけることが出来、母液を連続して次のバッチの反応に使用出来るため、コストダウンが可能となる。

    反応の際には攪拌を行なうことが好ましいが、攪拌の程度は特に限定されない。

    上記の一連の操作で得られるHPF ・qH OまたはMPF は固液分離される。 固液分離の方法としては濾過が挙げられ、濾過方法としては、自然濾過、加圧濾過、遠心濾過等、公知で一般的なろ過方法が採用できる。

    化学反応式2又は3の固液分離後は、洗浄操作により、MPF の純度を高めることが好ましい。 洗浄操作としては、MPF を再度洗浄剤に分散させて行う方法、分離装置内に直接洗浄剤を導入し、MPF 接触させて行う方法など公知の方法を単独で、あるいは組み合わせて行うことができる。
    また、濾過後の濾液には、余剰のMPF 塩溶液、又は酸が多量に含まれている場合がある。 この場合、濾液に対し蒸留等を行い、MPF 塩溶液、又は酸を回収すれば、廃水処理の負荷削減によるコスト低減と有価物の回収で二重の効果をあげることができる。

    ここで洗浄剤としては特に限定されず、無水HF,高濃度HF,希HF,純水等の何れを用いても構わない。 さらに酸を中和する目的で、同一カチオンのアルカリ塩(例えばKPF 合成の場合、K CO あるいはKHCO 等を使用)で洗浄を行っても構わない。 このようにアルカリ中和を行うことで後工程での酸による腐食・製品への金属不純物汚染などの影響を抑えることが出来る。

    また濾過・洗浄時の温度も特に限定されるものではないが、−40℃以上+30℃以下、さらに好ましくは−20℃以上+20℃以下、その中でも特に好ましくは−5℃以上+20℃以下で行う。

    固液分離により得られたMPF は乾燥するのが好ましい。 乾燥方法としては、風乾、温熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。 乾燥時間は、特に限定されないが、一般には0.5〜72時間である。 乾燥温度は120℃未満で行うのが好ましい。 120℃以上の温度で行うと、乾燥設備が高価になり、大きな熱量が必要となり製造コスト高となる。 また高温になるほど微量の水分によってMPF が分解する可能性があるため、85〜110℃で行うことが特に好ましい。

    上記の方法によって、簡易的に水分含量1000重量ppm以下であるMPF を製造することが出来る。 またこの方法は安価な原料が使用出来、さらに製造方法も簡易なため、コスト低減が図れる。

    さらに上記化学反応式1〜3の方法で得られた六フッ化リン酸塩(MPF :M=Li,Na,K,Rb,Cs,NH ,Ag)をさらに下記化学反応式7に従って塩交換を行っても構わない。

    MPF +JF・k(HF)→JPF +MF・k(HF) (式7)
    (但しJ=Li,Na,K,Rb,Cs,NH ,Ag k≧0)

    ここで塩交換の時に使用する溶媒としては特に限定されず、無水HF,高濃度HF,希HF,純水,有機溶媒等の何れを用いても構わないが、好ましくは無水HF,高濃度HFである。

    さらに、化学反応式7において、MPF に対するJF・k(HF)の割合として、1〜2当量が好ましいが、割合が増えると未反応のJF・k(HF)が製品であるJPF に混入するため、好ましくは1.0〜1.1当量が特に好ましい。

    使用する溶媒量も特に限定されないが、溶媒量が増えることで溶解量が増加し収率が低下する。 しかし溶媒量が少ないと未反応のJF・k(HF)あるいは副生するMF・k(HF)が製品であるJPF に混入するため、MPF 重量に対して0.5〜10倍が好ましく、その中でも1〜5倍が特に好ましい。

    塩交換においても原料の添加方法は、特に限定されず、MPF あるいはJF・k(HF)を溶媒で溶解させた溶液を一気にあるいは同時滴下、また一方を他方に加える方法でも構わない。 さらに反応容器に先に溶媒を入れた中にMPF あるいはJF・k(HF)をゆっくり添加しても構わない。 さらにこの逆の操作であっても構わない。 しかし、原料等の未反応物が生成したJPF 中に取り込まれないための方法として、一旦原料を溶解させた後に反応を行うことが好ましい。

    反応・晶析・濾過・洗浄・乾燥方法も特に限定されず、上記、段落(0035)〜(0044)の条件で行うことが出来る。

    上記、段落(0046)〜(0052)によっても簡易に水分含量1000重量ppm以下であるMPF を製造することが出来る。

    上記の一連の操作において全てフッ酸水溶液を使用するため、容器はフッ素樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン製のもの、あるいはこれらでライニングされたものを使用することが好ましい。

    以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。 但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。

    (実施例1)
    酸性フッ化カリウム(KF・(HF))160gと半導体グレードの75重量%フッ酸(HF)700gを回転子と共に3Lフッ素樹脂(PFA)製反応槽に入れ、氷浴下攪拌しKF(HF)を溶解させた。 さらに分液ロートに85重量%リン酸(H PO )175gを測りとり、氷浴下30分かけてゆっくり滴下させ、6時間攪拌下反応させた。

    その後、−5℃に冷却して24時間晶析を行った。 次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 この時濾液のHF濃度を定量したところ、55重量%であった。 一方回収した結晶は純水400gで洗浄した。 さらにその後、105℃で12時間乾燥を行った。 得られた結晶の収量は156g(収率56%)であった。 更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、KPF であることが分かった。 また得られたKPF の水分含量を水分計により測定を行ったところ、350重量ppmであった。 (濾液のイオンクロマトグラフ分析を行った結果、F アニオン及びPF 6−アニオンが検出されたのみである。結晶として取り出すことが出来たのは56%であるが、純水で洗浄した後の洗浄濾液中には100gのKPF が溶解していたため、ほぼ定量的に反応が進行していることが分かる。)

    (実施例2)
    実施例1の濾液を120℃で24時間かけ完全に濃縮させた。 濃縮後の液は若干粘性があり白く濁った液であった。 3L−PFA製反応槽にこの液を加え、さらに75重量%H PO 200gを加え溶解させた。 一方別の容器に、半導体グレードの75重量%HF 550gを入れ、氷浴で冷却しながら、ゆっくりKF・(HF) 145gを加え、攪拌下溶解させた。 このフッ酸溶液と、リン酸水溶液をそれぞれ分液ロートに移しかえ、氷浴攪拌下、同時に15分かけて滴下を行った。 この溶液を―40℃に冷却し、48時間晶析を行った。
    次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 この時濾液のHF濃度を定量したところ、48重量%であった。 一方回収した結晶を純水400gで洗浄した。 さらにその後、105℃で8時間乾燥を行った。 得られた結晶の収量は155gであった。 更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、KPF であることが分かった。 これより収率が55%であることが分かる(洗浄液中に溶解していたKPF の収量は含めない)。 また得られたKPF の水分含量を水分計により測定を行ったところ、500重量ppmであった。

    (実施例3)
    KF・(HF) 160gと工業用グレードの55重量%HF 940gを回転子と共に3L−PFA製反応槽に入れ、氷浴下攪拌しKF・(HF)を溶解させた。 さらに別の容器に85重量%H PO 175gを測りとり、20℃のウォーターバス内で攪拌しながら一気にリン酸水溶液を加えた。 そのまま、4時間反応・晶析を行った。 次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 この時濾液のHF濃度を定量したところ、42重量%であった。 一方回収した結晶は純水400gで洗浄した。 さらにその後、105℃で24時間乾燥を行った。 得られた結晶のXRD測定を行ったところ、KPF であることが分かった。 得られた結晶の収量は53gであることから収率は19%であった(洗浄液中に溶解していたKPF の収量は含めない)。 更に、得られたKPF の水分含量を水分計により測定を行ったところ、200重量ppmであった。

    (実施例4)
    酸性フッ化アンモニウム(NH F・(HF))80gと75重量%H PO 115gを回転子と共に3L−PFA製反応槽に入れ、氷浴下攪拌しながら半導体グレードの80重量%HF 500gをゆっくり加えた。 そのまま、24時間氷浴下で反応・晶析を行った。 次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 この時濾液のHF濃度を定量したところ、63重量%であった。 一方、回収した結晶を純水400gで洗浄した。 さらにその後、95℃で24時間乾燥を行った。 得られた結晶のXRD測定を行ったところ、NH PF であることが分かった。 得られた結晶の収量が82gであったため収率は58%であった(洗浄液中に溶解していたNH PF の収量は含めない)。 また得られたNH PF の水分含量を水分計により測定を行ったところ、800重量ppmであった。

    (実施例5)
    フッ化セシウム(CsF)210gと半導体グレードの75重量%HF 700gを回転子と共に3L−PFA製反応槽に入れ、氷浴下攪拌しながら、CsFを溶解させた。 さらに分液ロートに85重量%H PO 175gを測りとり、氷浴下30分かけてゆっくり滴下させ、12時間攪拌下反応させた。 その後、−5℃に冷却して36時間晶析を行った。 次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 この時濾液のHF濃度を定量したところ、55重量%であった。 一方、回収した結晶を純水400gで洗浄した。 さらにその後、105℃で12時間乾燥を行った。 得られた結晶のXRD測定を行ったところ、CsPF であることが分かった。 得られた結晶の収量が368gであることから収率は96%であった(洗浄液中に溶解していたCsPF の収量は含めない)。 また、得られたCsPF の水分含量を水分計により測定を行ったところ、200重量ppmであった。

    (実施例6)
    メタリン酸(HPO )120gを純水50gに分散させメタリン酸水溶液を作成した。 さらにKF・(HF) 160gと工業用グレードの75重量%HF 700gを回転子と共に3L−PFA製反応槽に入れ、氷浴下攪拌しKF・(HF)を溶解させた。 これらの溶液をそれぞれ分液ロートに移しかえ、20℃のウォーターバス中で、3L−PFA反応槽に15分かけて同時に滴下させ、1時間攪拌下反応させた。 その後、10℃に冷却して3時間晶析を行った。 次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 この時濾液のHF濃度を定量したところ、55重量%であった。 一方、回収した結晶は純水400gで洗浄した。 さらにその後、100℃で18時間乾燥を行った。 得られた結晶のXRD測定を行ったところ、KPF であることが分かった。 得られた結晶の収量が134gであることから収率は48%であった(洗浄液中に溶解していたKPF の収量は含めない)。 また、得られたKPF の水分含量を水分計により測定を行ったところ、420重量ppmであった。

    (実施例7)
    3L−PFA製反応槽に工業用グレードの80重量%HF 600gと回転子を入れ、氷浴で攪拌下、オキシフッ化リン(POF )120gを吸収させた。 このPOF を溶解させた溶液中に、フッ化ナトリウム(NaF)60gをゆっくり添加し、攪拌下溶解させた。 この溶液を−20℃で48時間冷却晶析させた。 次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 この時濾液のHF濃度を定量したところ、73重量%であった。 一方、回収した結晶を3L−PFA反応槽に戻し、そこへ無水HF100gを加え分散させ、30分攪拌を行った。 その後、静置し、上澄み液を抜き取り、N を3L/分でボトル内に導入し、風乾を行った。 さらにその後、100℃で6時間乾燥を行った。 得られた結晶のXRD測定を行ったところ、NaPF であることが分かった。 得られた結晶の収量が62gであることから収率は32%であった(洗浄液の無水HF中に溶解していたNaPF の収量は含めない)。 また、得られたNaPF の水分含量を水分計により測定を行ったところ、650重量ppmであった。

    (実施例8)
    半導体グレードの75重量%HF 2000gを回転子と共に5L−PFA製反応槽に入れ氷浴下、攪拌を行った。 さらに分液ロートに85重量%H PO 420gを測りとり、氷浴下15分かけて滴下を行い、攪拌下3時間反応させた。 その後、この溶液を−40℃で48時間冷却晶析させた。 次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 Wet状態の結晶重量は1080gであった。 HPF (結晶水無)の場合、100%収量は532gとなるが、実際の重量は含水・含HF量を加算しても明らかに多い。 このことから結晶水をもったHPF ・qH Oの形態となっているものと考えられる。 一方、この時濾液のHF濃度を定量したところ、71重量%であった。 水が結晶水として結晶側へ移行しない場合のHF濃度は計算56重量%であるが、実際は71重量%であったことから、やはり結晶水を含んだ形態となっており、qは2以上と考えられる。

    次に、NaF 330gを2L−PFA製反応槽に入れ、そこへ無水HF1050gを氷浴で冷却しながら加え、NaF/HF溶液を調整した。 一方、上記で得られたHPF ・qH Oを3L−PFA製反応槽に全量入れ、氷浴下、攪拌させながら20分かけて、調整したNaF/HF溶液を添加した。 反応後、−10℃に冷却し、48時間晶析を行った。 次に、3L−PFA反応槽の上澄み液をゆっくり抜き取り、固液分離を行った。 分離後、N を3L/分でボトル内に導入し、風乾を行った。 さらにその後、105℃で3時間乾燥を行った。 得られた結晶のXRD測定を行ったところ、NaPF であることが分かった。 得られた結晶の収量が205gであることから収率は33%であった。 また、得られたNaPF の水分含量を水分計により測定を行ったところ、420重量ppmであった。

    (実施例9)
    HFの再利用を行うため、3L−PFA製反応槽に実施例8で回収した71重量%のHF濾液700gに無水HF140gを足し、75重量%HF840gを調整した。 さらに別途ポリエチレン容器に85重量%H PO 120gを測りとり、氷浴攪拌下、フッ酸中へ一気に添加し、氷浴下30分間、攪拌を行った。 その後、この溶液を−20℃で24時間冷却晶析させた。 次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 Wet状態の結晶重量は250gであった。 このWet状態の結晶を回転子の入った1L−PFA反応槽へ全量移しかえた。 一方、この時濾液のHF濃度を定量したところ、72重量%であった。

    次に、KPF +HF→PF +KF・(HF)の反応を行った後のHF溶液を完全に濃縮・乾固させ、白色粉末125gを回収した。 この粉末のXRD分析を行ったところ、KPF とKF・(HF)の混合物であり、90%がKF・(HF)であった。 得られたKPF /KF(HF)混合物を上記1L−PFA反応槽へゆっくり添加し、20℃で48時間反応を行った。 反応初期は固体同士の反応であったため攪拌が困難であったが、反応30分後には徐々に結晶中からH O/HFが生じ、容易に攪拌出来る状態となった。

    次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。 回収した結晶は純水400gで洗浄した。 さらにその後、105℃で24時間乾燥を行った。 得られた結晶のXRD測定を行ったところ、KPF であることが分かった。 得られた結晶の収量が105gであることから収率は55%であった(洗浄液中に溶解していたKPF の収量は含めない)。 また、得られたKPF の水分含量を水分計により測定を行ったところ、400重量ppmであった。

    (比較例)
    KF・(HF) 120gと工業用グレードの50重量%HF 600gを回転子と共に3L−PFA製反応槽に入れ、氷浴下攪拌しKF・(HF)を溶解させた。 さらに別の容器に85重量%H PO 120gを測りとり、氷浴下攪拌しながら一気にリン酸水溶液を加えた。 そのまま、48時間反応・晶析を行ったが、結晶は全く析出しなかった。 溶液のHF濃度を測定したところ、36重量%であった。 さらにイオンクロマトグラフにてアニオン分析を行ったところ、PF 6−アニオンは全く検出されず、HPO 等のオキシリン酸アニオン及びPO 3−のみであった。

    (従来例)
    本例は、特許文献4記載の方法である。
    5L−PFA製反応槽にポリリン酸790g(9.4モル)を添加し、無水HF 1235g(61.7モル)を冷却により25℃に保持しながら、攪拌下加えた。 さらに25℃で3時間攪拌を行った後、−40℃に冷却し、24時間晶析を行ったが結晶は得られなかった。 さらに溶液のHF濃度を測定したところ、11重量%であった。

    以上のことから、反応後のHF濃度を40重量%以上にすることで、簡易にMPF の合成が可能となった。 さらに、何れの方法においてもH PO 水溶液、フッ酸水溶液、MF・r(HF)の少なくとも三種の原料を使用するのみである。 z=0の場合はリン酸水溶液であり、且つ75重量%H PO は食品添加用として大量に流通している。 さらにフッ酸水溶液も半導体あるいは工業用で非常に多くの量が使用されている。 加えてMF・r(HF)は酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物等とフッ酸との反応で容易に合成することが出来るため、いずれの原料も入手が容易であり、これまでの方法に比べて優れた方法である。

    本発明により得られたMPF は、ハイブリッド自動車用として今後さらに発展が見込まれる電池の電解液として使用することが出来る。
    本発明により製造される六フッ化リン酸塩は、電池用電解質や、有機合成反応の触媒等として利用される。
    六フッ化リン酸塩MPF (M=Li,Na,K等)は電池の電解液として使用される。 さらにM=Agの場合は、光重合の開始・増殖反応に必要な酸を発生させるカウンターイオンとして利用される。 さらにM=NH の場合、医薬中間体の製造に用いられる原料として有用である。

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