Heat utilization in the refrigeration equipment

申请号 JP2002572326 申请日 2002-03-13 公开(公告)号 JP2004521307A 公开(公告)日 2004-07-15
申请人 アプライド デザイン アンド エンジニアリング リミテッド; 发明人 イアン・デイビッド・ウッド;
摘要 【課題】正確かつ可変の 温度 湿度管理が可能な冷蔵機器を提供する。
【解決手段】冷蔵機器(2)は、外面を画定するとともに上部が開放された断熱容器(16)と、この容器(16)の開放された上部を閉鎖するようになされた断熱蓋(22)と、容器(16)の内部を冷却するようになされた冷却手段(24)と、これらの容器(16)、蓋(22)及び冷却手段を支持する構造体(4、6)とを含んでおり、容器(16)を開放してその内部へのアクセスを与えるため、又は、容器(16)を閉鎖するために、容器(16)は、構造体(6)及び蓋(22)に対して移動するよう構造体(4)に取り付けられている。 循環ファン(340)又はヒータ(346)は、箱(16)の外面を暖めるための空気流を作り出す。 また、加熱要素(380)を用いて外面を暖める。
【選択図】図4
权利要求
  • 外面を画定する少なくとも一つの容器と、
    その容器を開放してその内部へのアクセスを与えるために当該容器を引き出したり、その容器を閉鎖して当該容器内の品物を冷蔵するためにその容器を戻したりすることが可能な容器貯蔵室を画定する構造体と、
    その容器が上記容器貯蔵室内にあるとき、当該容器外面を暖めるための加熱手段とを含むことを特徴とする冷蔵機器。
  • 上記加熱手段が、上記容器外面を周囲温度より高い温度まで暖めるようになされていることを特徴とする請求項1に記載の機器。
  • 上記加熱手段が、当該機器の放熱部から回収した熱を利用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の機器。
  • 上記放熱部が、冷蔵庫エンジン、熱交換器又はモータを含むことを特徴とする請求項3に記載の機器。
  • 上記容器貯蔵室が、上記容器外部と対面する加熱要素又は加熱パッドを含むことを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の機器。
  • 上記容器外部が加熱要素又は加熱パッドを含むことを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の機器。
  • 上部が開放された、外面を画定する断熱容器と、
    開放された容器上部を閉鎖するようになされた断熱蓋と、
    その容器内部を冷却するようになされた冷却手段と、
    これらの容器、蓋及び冷却手段を支持する構造体とを含んでおり、
    その容器を開放してその内部へのアクセスを与えるため、又は、上記容器を閉鎖するために、当該容器が上記構造体と蓋に対して移動するよう当該構造体に取り付けられており、
    上記容器が蓋によって閉鎖されているとき、当該容器外面が周囲温度より高い温度の空気に曝されることを特徴とする冷蔵機器。
  • 外面を画定する少なくとも一つの容器と、
    その容器を開放してその内部へのアクセスを与えるために当該容器を引き出したり、その容器を閉鎖して当該容器内の品物を冷蔵するためにその容器を戻したりすることが可能な容器貯蔵室を画定する構造体と、
    上記容器貯蔵室の周囲に空気を循環させ、この循環している空気に当該容器貯蔵室内の容器外面を曝すための循環手段とを含むことを特徴とする冷蔵機器。
  • 上記循環手段がファンを含むことを特徴とする請求項8に記載の機器。
  • 上記循環手段が、容器貯蔵室内に対流を作り出すヒータを含むことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の機器。
  • 上記容器が上記容器貯蔵室内にあるとき、上記ヒータが当該容器の下に位置することを特徴とする請求項10に記載の機器。
  • 上記循環手段が当該機器の発熱部から暖気を引き出すことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の機器。
  • 上記容器と蓋の界面を局部的に加熱するためのヒートトレーシング手段をさらに備えることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の機器。
  • 上記ヒートトレーシング手段が、流体用導管及び/又は複数の電気的要素を使用することを特徴とする請求項13に記載の機器。
  • 上記流体用導管内に冷媒又は高温ガスが導入されることを特徴とする請求項14に記載の機器。
  • 上記ヒートトレーシングが連続的に行われることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の機器。
  • 上記容器の開放が望まれるときのみ上記ヒートトレーシングが行われることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の機器。
  • 说明书全文

    【技術分野】
    【0001】
    本発明は、食料品及びその他の生鮮食品を貯蔵するための冷蔵庫及び冷凍庫などの機器を含む冷蔵技術に関する。 本発明の他の応用例は、化学薬品及び医療検体又は生物試料の貯蔵を含む。 また、本発明は移動を伴う用途(例えば、生鮮食品の輸送と貯蔵)においても使用される。
    【背景技術】
    【0002】
    本発明は、本発明者による同時係属中の特許文献1の様々な特徴を発展させ追加を行うものである。 また、本発明は特許文献2にも由来している。
    【0003】
    特許文献1の導入部を簡潔に要約すると、食料品及びその他の生鮮食品を分離して冷蔵状態で貯蔵することの利点は、ずいぶん前から知られている。 すなわち、冷蔵がそのような品物の劣化を遅らせるとともに、分離が交差汚染の予防を手助けする。 したがって、通常(ただし、効果的でない場合も多い)、最新の冷蔵機器(冷蔵庫や冷凍庫など)は複数の貯蔵室に仕切られており、使用者は、それぞれの貯蔵室に異なる種類の食品を貯蔵することができる。 このような機器のすべてには、最高のエネルギー効率を達成するという別の目的もある。
    【0004】
    本発明、並びに特許文献1及び特許文献2の発明は、典型的な冷蔵機器の背景に対抗して発明されたものである。 このような冷蔵機器の大部分は、垂直に封止されるヒンジ付きドアを正面にそれぞれ有する一つ以上の直立型キャビネットを備えている。 このキャビネット内部の実質的に全体によって貯蔵容量が定められ、キャビネット内部は、貯蔵食品を収容する棚又は引き出しによって区切られるのが最も一般的である。 ドアを開けることによって、キャビネット内のすべての棚又は引き出しにアクセスできる。
    【0005】
    冷却ユニットはキャビネット内に循環ループを作り出す。 この循環ループにおいて、冷却ユニットで冷却された空気はキャビネットの底に向かって沈降する。 この空気は下降中に熱を吸収するため、空気は暖まって冷却ユニットまで上昇し、そこで再び冷却される。 また、ファンをキャビネット内に設けるか、キャビネットと連通させることにより、空気を強制循環させることも可能である。 一般的に、棚又は引き出しは針金でできているため、このような空気の循環にほとんど抵抗を与えない。
    【0006】
    直立型の冷蔵庫と冷凍庫が組み合わせられて、単一キャビネットの「冷凍冷蔵庫」ユニットとして販売されることも多い。 この場合、上側の貯蔵室が冷蔵庫で下側の貯蔵室が冷凍庫であるか、あるいはその逆である。 これら二つの貯蔵室は異なる温度とする必要があるため、中実の分割材によって区切られており、各貯蔵室は専用のドアと冷却ユニット(蒸発器型のものが慣例)を有する。
    【0007】
    通常、家庭用冷蔵冷凍庫には圧縮器が一つしかなく、冷蔵庫用蒸発器と冷凍庫用蒸発器は直列に設けられる。 この場合、温度制御と温度測定は冷蔵室に限られるのが普通である。 両方の貯蔵室で温度制御が必要な場合、蒸発器を並列に設け、それぞれの蒸発器に各貯蔵室における冷却物質のオン/オフ制御を行うソレノイド弁と温度スイッチを設ける。 しかし、いずれにせよ、それぞれの貯蔵室内の温度は同じでありえない。 つまり、一方の貯蔵室は冷却(チルド)用であるので、他方の貯蔵室よりも断熱性が低く、その温度は摂氏零度よりも高い範囲で調節することができる。 また、もう一つの貯蔵室は冷凍用であるので、他方の貯蔵室よりも断熱性が高く、(仮に温度調節が可能であるならば)その温度は摂氏零度よりも低い範囲で調節することができる。 どちらの貯蔵室も、他方の貯蔵室の仕事をすることはできない。
    【0008】
    特許文献1は、直立型の冷蔵庫と冷凍庫、すなわち、直立型ドアの主な問題点に触れている。 この直立型ドアは、開放時にキャビネットから冷気を自由に流出させ、上部から流入する暖かい周囲空気と入れ替えてしまう。 このように周囲空気がキャビネットに流入するとキャビネット内の温度が上昇するため、冷却ユニットを稼動させてこの上昇を修正することに一層多くのエネルギーが消費される。 流入する周囲空気は空中浮遊物質による汚染の可能性をもたらす。 さらに、この空気中の分はキャビネット内で凝縮と着氷を発生させる。 特に商業用の冷蔵機器に起こり得るように、キャビネットを開く頻度が増えれば増えるほど、これらの問題は悪化する。
    【0009】
    直立型ドアの構成において、垂直封止部の境界部分では、ドアが閉鎖されている時でさえ、冷気の損失と暖気の誘導が起こり得ることになる。 最も冷たい空気は、暖かい空気よりも密度が高いためキャビネットの底に集まり、封止界面に圧を加える。 そのため、封止材がドアとキャビネットの間を完全に封止しない限り、その空気が漏れることになる。
    【0010】
    また、本発明と特許文献1は、周知の横置き型冷凍庫に固有の諸問題にも触れている。 横置き型冷凍庫の場合、上部が開放されたキャビネットは、水平にヒンジ付けされ上方向に開く蓋で閉じられるのが一般的である。 このような横置き型冷凍庫は、蓋を開けることができるように冷凍庫の真上の空間を残しておかなければならず、その空間を利用できないので、不便であり空間を無駄にしている。 上方向に開く蓋の代わりにスライド式の蓋を用いたとしても、蓋の上には品物を便宜的に置くことができない。 さらに、大型の横置き型冷凍庫では、冷凍室の底にある品物を手にするために、身をかがめて、重たい上に手が痛くなるほど冷たい品物をたくさん移動させる必要があり、内容物へのアクセスを極めて困難としうることも良く知られている。
    【0011】
    最後に、本発明と特許文献1は、交差汚染を防ぐことを目的として異なる種類の食料品や他の生鮮食品を分離する上での問題点に触れている。 典型的な冷蔵機器において、食品の分離は、それらの冷蔵機器が依存する対流原理及び/又は強制空気循環の原理によって脅かされている。 貯蔵室間の空気の対流循環を促進するよう設計された実質的に開放型のバスケットや棚は、水分、酵素及び有害な細菌の循環も合わせて促進する。 さらに、開放型のバスケットや棚では、こぼれたり漏れたりする恐れのある液体(未調理の肉から出る肉汁など)を受け止められないだろう。
    【0012】
    先行技術の興味深い開示は、直立型冷蔵庫や横置き型冷凍庫を例とする従来の冷蔵機器に限られない。 例えば、一つの冷蔵庫を複数の貯蔵室に区切り、それぞれに専用のドア又は蓋を設けることは長年知られている。 この発想の例は、キャビネット型冷蔵庫を説明するEarleの特許文献3、特許文献4及び特許文献5に開示されている。
    【0013】
    以上のEarleの文献において、キャビネット前部には引き出しを収容するための複数の矩形開口部が設けられる。 各引き出しの前面パネルはそれぞれの開口部より大きくされており、引き出しが閉鎖位置にあるときに重なる部分の周囲には垂直封止材が形成される。 引き出し及びその内容物は、すでに説明された種類の冷蔵庫と同様に、対流によって冷気をキャビネット内で循環させる冷却ユニットによって冷却される。 この空気の循環をすべての引き出しの間で促進するために、引き出しの上部が開放され、底部には穴が設けられる。 また、各引き出しの後部が冷却ユニットから下降する冷気流に曝されるように、引き出しは階段状に配置され、冷蔵庫上段の引き出しは、下段の引き出しよりもキャビネット内の奥行きが短い。
    【0014】
    引き出しは一度に一つしか開ける必要がないけれども、開いた引き出しの底部に設けられた穴から冷気は自由に流出する。 この冷気は湿った暖かい周囲空気と入れ替わり、エネルギー効率の損失と交差汚染の可能性の上昇を招く。 実際に、一つの引き出しが開かれると、その引き出しの高さより上ではキャビネット内の冷気が流れ出し、周囲空気がキャビネット内に引き込まれる。 さらに、引き出しは開放と同時に周囲空気を冷蔵庫のキャビネット内部に引き込むピストンとして作用するため、周囲空気の冷蔵庫内部への流入を助長する。 暖気は一旦キャビネットの中に入ると、本来そこにあるべき冷気と同等に自由に循環することができる。
    【0015】
    閉鎖時であっても、キャビネット底部に向かう冷気の蓄積により、最下部の引き出しの垂直封止材にはより大きな圧力がかかり、封止材に欠陥があれば漏れの可能性が高くなる。
    【0016】
    上記種類の冷蔵庫の別の例は、やはりEarleの特許文献6に開示されている。 これに開示される冷蔵庫は上記諸問題の多くをかかえているが、冷却されたキャビネット内部に設けられる個々の引き出しが断熱された側部と基部から成る点でさらに興味深い。 先に概説した変形形態とは対照的に、この側部と基部は、空気が通過できないよう中実で穴が形成されていない。 引き出しが閉じられたとき、キャビネット内の水平部材が引き出しと一緒に貯蔵室を画定し、このようにして水平部材が引き出しの蓋となる。 この貯蔵室には、水平部材の真下に専用の冷却コイルが設けられる。
    【0017】
    水平部材は下方に突出する後端部を有し、斜めの端縁が引き出しの後壁とぴったり嵌合する。 しかし、この点を除けば、引き出しと水平部材の間に形成される封止材の詳細はほとんど示されていない。 引き出しと水平部材の間の接合部についても、引き出しが閉鎖位置にあるとき水平部材に対して「相当ぴったりと」当て嵌まるようになされているという一般的な陳述以外には何も言われていない。 引き出しと水平部材が互いに当接しているだけであるということは、推論としてしか言えない。 この構造は、引き出し内外への空気の通過を妨げるが、不浸透性の封止部は形成しないだろう。 さらに、蒸気を封じるものではないので、引き出しが閉じているときでさえ、着氷や交差汚染が発生する可能性が高い。
    【0018】
    説明された引き出し構成によって作られる貯蔵室には、冷蔵庫の残りの部分に本質的に共通する温度とは別の温度を設定することが可能である。 特に、その引き出しが冷凍室として作用できることが予想される。 ここで、冷凍庫の引き出しが閉じられ、冷却された内部にあるとき、キャビネット内の引き出しの外面が冷蔵庫の温度まで冷却されることを、出願人はこの配置の欠点として理解している。 したがって、引き出しが開かれると、冷却された外面は水分を含む周囲空気に曝され、この水分が冷却された表面で凝縮して、望まれない水分の蓄積につながる。 凝縮は水蒸気から引き出しへの潜熱の移動を伴なうので、引き出しがキャビネット内の閉鎖位置に戻されたときに、引き出しを再冷却する負担が増す。
    【0019】
    さらに、引き出しが閉じられたとき、凝縮した水分は冷蔵庫内部に運ばれる。 上述したように、水の存在は細菌の活動を促進する。 また、水が冷蔵庫内部に運び込まれることには、その水が凍結するかもしれないというもう一つの欠点がある。 つまり、周囲を囲まれた貯蔵室の引き出しが断熱された上部と接する場合、氷が形成されると、引き出しを永久に閉鎖位置に固定する封止部となるため、特に問題となりうる。 実際、氷の形成は、引き出しと上部の界面における水分の移動が原因である。 特許文献6には、封止部に形成される氷、又は引き出しのレールや他の支持面に形成される氷を破砕するためのカム機構が述べられているように、Earleはこの欠点を認識していた。 また、氷の蓄積は、接合する封止面の正しい接合を妨げて、封止材の封止能力に影響を及ぼす可能性もある。 また、引き出し機構の可動部への氷の蓄積が引き出しの移動を妨げるので望ましくないことは言うまでもない。
    【0020】
    特許文献1に対する背景技術として引用された別の興味深い先行技術文献として、Ewenの米国特許番号1,337,696がある。 Ewenは、周囲を包囲するキャビネットに収容される冷蔵状態の引き出し同士を分離することに触れており、使用する冷蔵ユニットは「各引き出しの真上に密接に配置され、引き出しが事実上冷蔵ユニットに当たって閉鎖されると言ってもよい」ものである。 しかし、引き出しを開けるつもりならば、引き出しと冷蔵ユニットの間に隙間を残しておく必要がある。 Earleと同様に、この隙間によって、キャビネット内の湿り空気が引き出しの中へ移動し、水蒸気が凝縮して凍結するので、着氷が促進されることになる。 この隙間が小さければ小さいほど、蓄積する氷は一層短時間のうちに引き出しの移動を妨げることになる。 一方、隙間を大きくしてみると、より多くの空気が漏れるため、冷蔵庫のエネルギー効率が低くなり、さらに交差汚染を受け易くなる。
    【0021】
    さらにEwenにおいては、冷気が漏れることにより、キャビネット内の温度が引き出しの周囲で下がり、その結果、開放時に引き出しに凝縮が起こる可能性が高くなる。 また、このようにして漏れる冷気は、キャビネット内で引き出しの後ろを自由に下降することができ、引き出しの外側を実質的に周囲温度より低い温度に曝すことができることが注目される。 Ewenにおける細部の具体的な設計は、この効果を悪化させている。 例えば、Ewenのユニットの底壁は、引き出しの表面温度を大きく下げる効率的な断熱材である。 また、引き出し間の内部間仕切りは、引き出しに周囲の熱を伝達させず、引き出し間の熱伝達のみを可能にしており、このようにして引き出し同士の温度の均等化を長期にわたって促進する。 各引き出しの外面の大部分は、長時間あるいはわずか一晩放置するだけで、周囲の露点を大きく下回る温度まで下がるだろう。 したがって、引き出しが開かれるや否や、その表面には凝縮又は着氷が発生する。 また同様に、引き出しを取り外して機器の外に放置した場合、引き出しは凝縮により「汗」をかき始める。
    【0022】
    Earleと同様に、Ewenの封止キャビネット内での引き出しの開閉は、ピストンのように作用し、隣接する部分に正圧と負圧の両方を交互に与える。 これによってキャビネット前部で引き出し開口部を通じて空気の移動が促進され、引き出しの中やキャビネット自体の中の冷却処理された空気が追い出される可能性がある。 特大のキャビネットであればピストン効果が小さくなるが、空間の無駄にもなるだろう。 逆に、空間効率が良く密接に嵌合するキャビネットは、冷却処理された空気の移動を減らして、この冷気と入れ替わる暖気を冷却する負担を軽くするかもしれないが、引き出しの開閉に対する抵抗が大きくなるだろう。
    【0023】
    冷気の漏れはさておき、先行技術の構成において引き出しとそれに関連する蓋の間に必然的に残される隙間は、酵素、胞子及び他の空中を浮遊する汚染物質を通過させるのに十分な大きさである。 また、Ewenは、互いに連結された共通の排水管を開示しているが、これも、特に上記ピストン作用の下に、引き出し同士の間で汚染物質の自由な移動を許すだろう。
    【0024】
    Ewenは引き出し毎に温度を異ならせることに触れているが、複数の冷却蓋は直列に連結されており、各引き出しを独立して温度管理するための手段は設けられていない。 温度を異ならせることは、一部の引き出しに他の引き出しよりも多くの冷却要素を設けることによって設計に組み込まれている。 また、これ以前の先行技術の貯蔵室と同様に、Ewenの各引き出しは機能が固定されている(すなわち、冷凍庫又は冷蔵庫のどちらかになる)。
    【0025】
    機器から取り外すとしても、Ewenの引き出しは、引き出し前部とレールに取り付けられたままになる。 そのため、これらの引き出しは一時貯蔵や輸送には供されない。 さらに、Earleと同様に、Ewenの引き出しは全開できず、機器構造体によって支持された状態で半分すら開くことができない。 これでは、内容物にアクセスしたり、内容物を視認したり明るく照らしたりする上で不利である。
    【特許文献1】国際公開第01/20237号パンフレット【特許文献2】英国特許出願公開第2367353号明細書【特許文献3】英国特許第602590号明細書【特許文献4】英国特許第581121号明細書【特許文献5】英国特許第579071号明細書【特許文献6】英国特許第602329号明細書【特許文献7】米国特許第1337696号明細書【発明の開示】
    【発明が解決しようとする課題】
    【0026】
    本発明はこのような背景に鑑みて発明されたものである。
    【課題を解決するための手段】
    【0027】
    一つの側面によると、本発明は、上部が開放された、外面を画定する断熱容器と;開放された容器上部を閉鎖するようになされた断熱蓋と;容器内部を冷却するようになされた冷却手段と;これらの容器、蓋及び冷却手段を支持する構造体とを含む冷蔵機器に存在し;容器を開放してその内部へのアクセスを与えるため、又は、容器を閉鎖するために、容器が構造体と蓋に対して移動するよう構造体に取り付けられており;容器が蓋によって閉鎖されているとき、容器外面が周囲温度より高い温度の空気に曝される。 さらに、本発明のこの側面は、容器外部に関連する着氷と凝縮を低減する。
    【0028】
    本発明は、冷蔵製品用車両内のような冷却環境におけるあらゆる品物の貯蔵に適用することができる。 したがって、用語「機器」は、家庭用の固定装置を超えて、産業上の用途、科学的用途及び移動に関わる用途まで拡張される幅広い意味で解釈される。
    【発明を実施するための最良の形態】
    【0029】
    出願人による同時係属中の特許文献1は、その開示が本明細書に組み込まれるが、本発明の文脈を整える手助けとして、本明細書の添付図面に特許文献1の図1〜図4を再掲し、これらについて以下に説明する。
    【0030】
    図1から図4は、特許文献1による冷蔵庫/冷凍庫機器2を示す。 機器2は直立の立方体型であり、前面が矩形の五つの引き出し4が縦に積み重ねられて、上面パネル8、底面パネル10、側面パネル12及び背面パネル14を備えるキャビネット6の中に収容されている。 機器2を他の支持構造体の間の隙間に作り込むことが所望される場合、これらのパネルはいずれも省略することができる。 特に、側面パネル12の機能を果たす支持体等として隣接する食器棚を頼れる場合、側面パネル12を省略することができる。 パネル8、10、12、14は構造を支える要素であってもなくてよいが、構造を支える要素でない場合、機器の多様な部材は枠体(図示せず)によって支持される。 枠体を設ける場合、パネルは構造上不要である。
    【0031】
    引き出し4は、引き出し4の側面に設けられる軌道又はレール(後でより詳しく説明する)によってキャビネット6の内外に水平に摺動することができる。 背面パネル14がない場合、図2に示されるように、引き出し4はキャビネット6から複数の方向に取り外すことが理論上可能である。
    【0032】
    各引き出し4は、上部が開放されたバケツ状の断熱容器16を備えており、その内容量を異ならせるため、少なくとも一つの容器16(この場合、中央の引き出し4の容器)の深さが他の容器16の深さとは異なっている。 この具体的な説明において、これらの容器16を、貯蔵箱、又はより簡単に箱16と称することにする。 下段の箱16は、キャビネット6の底面パネル10との間に狭い空間しか残していないが、上段の箱16は機器2の上部において上面パネル8との間にかなりの空間を残しており、冷蔵庫エンジン20(例えば、周知の凝縮器手段及び圧縮器手段を含む)を収容する貯蔵室18を設ける余地がある。
    【0033】
    中央の引き出し4の相対的に深い箱16は、直立状態で貯蔵されるビン及び他の相対的に背の高い品物を収容することが意図されており、一方、これ以外の相対的に浅い箱16はこれに相当する背の低い品物用である。 従来の直立型冷蔵機器の主要貯蔵容量を定める棚や他の貯蔵室と比較すると、アクセス用開口部の実質的な幅と、これによってアクセスされる貯蔵室の深さに関するアスペクト比は、すべての箱16において好ましい。 したがって、引き出し4が開かれたとき、箱16の内部のあらゆる部分まで非常に容易に手が届く。
    【0034】
    キャビネット6の内部は、全体が平面状で水平に置かれる五つの断熱蓋22(各引き出し4に一つ)によって分割される。 引き出し4が閉じられると、それに関連する箱16において、開放されている上部は、後述する方法でこれらの蓋22のうち適切な一つにより閉じられる。 蓋22によって閉じられる箱16の内容物を冷却するため、蓋22は、既知の型の蒸発器要素であって各蓋22の下面26に配置される冷却手段24を備えている。
    【0035】
    各箱16の前面28は全体に平らで、引き出し4が閉じられたとき露出している。 前面28には周知のように装飾用パネルを設けてもよい。 引き出し4が閉じられたとき、箱16の前面28の上部は、前面28と同一平面をなすこの箱16専用の制御表示パネル30と境界を接している。 パネル30は、適切な蓋22の前端部32によって支持され、蓋22の前端部32に埋め込まれる。
    【0036】
    制御表示パネル30は、多数のディスプレイ、スイッチ及び可聴音を発する警報器を含み、このようにして各箱16にユーザインタフェースを提供する。 例えば、インタフェースは、箱16の冷却温度の選択に使用するのが最も一般的だろうが、温度ディスプレイ、オン/オフスイッチ、急速冷凍スイッチ、引き出し4が開いていることを示すライト、及び引き出し4が所定時間を超えて開いていること、又は箱16の内部温度が上限値もしくは下限値に到達したことを示す可聴音を発する警報器も包含する。
    【0037】
    箱16の内部にアクセスする必要があるときに引き出し4を引っ張り出せるように、丸みを帯びたハンドル34が前面28上部のほぼ全幅にわたって形成される。
    【0038】
    各箱16の前面28の下部は、後述するように、周囲空気をキャビネット6の中に入れる長穴36と境界を接している。 これを行うために、各長穴36は、関連する箱16の底面40全体の下に広がり、各箱16の後ろに維持される空隙42と出合うエアギャップ38と連通している。 この空隙42は、キャビネット6の背面パネル14と側面パネル12の内面、及び箱16の後面44によって画定されている。 特に図4から分かるように、空隙42は、キャビネット6の底面パネル10から各箱16の後ろを通って、キャビネット6上部の冷蔵庫エンジン室18と連通する。
    【0039】
    箱16の下側のエアギャップ38と箱16の後ろの空隙42は、箱16の側面48のエアギャップ38とも連通している。 また、箱16に隣接するキャビネット6の側面パネル12には任意の通気孔46が設けられ、周囲空気はこの通気孔46からも流入することができる。 図3と図4に最も良く示されるように、エアギャップ38は各箱16の上側を除く全周に形成されているため、長穴36を通ってキャビネット6に入る周囲空気は、各箱16の側面48、底面40、及び背面44の周囲を自由に循環することができる。 また、周囲空気は、各蓋22の上面50の上を自由に循環できることにも注目される。 最上段の蓋22の上には箱16がないので、この蓋の上側をこのように空気が流れるように、冷蔵庫エンジン室18の前面52の下に長穴36が設けられる。
    【0040】
    なお、引き出し4を開くことによって生じ、機器2の内部に周囲空気を吸い込むピストン作用は、本発明では問題にならない。 実際、この作用は、キャビネット6の内側における周囲空気の循環を促進するので有利である。
    【0041】
    図4に示されるように、冷蔵庫エンジン室18は、冷蔵庫エンジン室18の前面52に設けられた開口56を介して排気を行うインペラー54を含んでいる。 図1から最も良く分かるように、これらの開口56は、前面52の幅全体に水平に形成される。 インペラー54は、空隙42から空気を引き込むために箱16の後ろの空隙42と連通しており、これによって、長穴36及び任意の側面通気孔46を通る周囲空気の誘導を連続的に促進する。 この空気は、冷蔵庫エンジン室18に入ると、凝縮器の熱交換マトリックス58を通過するようになっている。
    【0042】
    したがって、前面の長穴36(及び、側面通気孔46が設けられている場合にはその側面通気孔46)を通ってキャビネット6に入る周囲空気は、冷蔵庫エンジン室18の前面52に設けられた開口56を介してキャビネット6から排気される。 このようにして周囲空気はキャビネット6の中で循環される。 より具体的には、周囲空気は機器2に入ると直ちに箱16の外面40、44、48と接触する。 そして、空気が空隙42の方へ引き寄せられ空気の循環によって空隙42を上昇する前に、これらの外面を周囲温度まで暖める。 (又は実質的にそこまで暖める。これは、表面抵抗効果によって、箱壁面の厚みにわたる温度勾配が原因となり周囲温度以下の境界層が残るためである。)図4の矢印は、機器2を通るこのような空気の循環を示す。 したがって、キャビネット6の内部は周囲温度近くに保たれ、各箱16の内部だけが冷却される。
    【0043】
    箱16の外面28、40、44、48を、箱に含まれているよりも暖かい空気に曝すことによって、外面28、40、44、48の凝縮にまつわる問題がなくなる。 そのため、箱16への潜熱の伝達にまつわる問題や、キャビネット6に侵入する凝縮水による着氷及び交差汚染の障害にまつわる問題は存在しない。
    【0044】
    いずれにせよ、引き出し4が閉じられたとき各箱16はきつく密封されるため、交差汚染が発生する可能性は低いと考えられる。 したがって、たとえ細菌がキャビネット6に入っても、他の箱16には容易に接近できない。 また、いつ何時たりとも、二つの箱16が同時に開いている可能性は低い。 これを実施する手段(例えば、傾斜防止目的でファイルキャビネットに用いられる機構に近い機構を用いて、複数の引き出し4が一度に開かないようにする手段)を含めることも可能である。 そのような機構については後述する。
    【0045】
    箱16が開いているとき、その開放された上部から冷気はそれほど流出しない。 また、箱16が閉じているとき、本発明での使用に適した水平封止材60は、直立型冷蔵庫及び冷凍庫で一般的に使用される垂直封止材よりも本質的に良く冷気を封止する。 水平封止材は横置き型冷凍庫において知られているが、本発明は横置き型冷凍庫における不便や空間問題に悩まされることがなく、むしろそのような点においては、はるかに広く普及している直立型機器に近い。 封止材60は、磁性を有していてもよく、例えば、永久磁石又は電磁石によって動作するものであってもよい。 あるいは、油圧又は空気圧を利用して拡張や収縮を行うものであってもよい。
    【0046】
    各箱16において、冷却された内面62と外面28、40、44、48との間には大きな温度勾配が必要である。 そのため、外面28、40、44、48が周囲温度に近い状態のままでこの勾配が容易に維持されるように、箱16は効率的な断熱材料から構築される。 箱16を構築する材料としては、フェノールフォーム又はポリウレタンフォームなど(任意で、ガラス繊維強化プラスチック又はポリカーボネートを被覆した複合体構造としてもよい)が特に好ましい。
    【0047】
    ある特定の箱16において内容物を分離する必要がある場合、その箱16に取り外し可能なインサート64を取り付けてもよい。 インサート64の形状と寸法は様々であり、多種の貯蔵室を画定するために使用できる。 例えば、インサート64は、インサートが収められる箱16の長さ又は幅に相当する長さを持つ薄い間仕切りでもよい。 インサート64は蓋付き又は蓋無しのボックスであってもよい。 あるいは、インサート64はビンを所定位置に収容するためのクリップ、又は卵等を収容するためのトレイを含んでいてもよい。 インサート64は、針金製のバスケット又は棚とすることもできる。
    【0048】
    図2から分かるように、一つ以上の箱16を機器2から取り外し、断熱性の輸送カバー66を嵌め付けることが可能である。 その後、箱16を機器2から持ち去ったとしても、この断熱構造は、限られた時間、箱の内容物を確実に冷却状態に保持する。 例えば、内部をできるだけ長く冷却状態に保持するため、できればアイスパックを併用して、箱16を冷却ボックスとして使用してもよい。 あるいは、輸送カバー66を付けた箱16を機器2の近くに置き、別の箱16を機器2に嵌めて、一時的に冷蔵容量を追加してもよい。 輸送カバーの構成については、後で詳細に説明する。
    【0049】
    また、輸送カバー66には、電池又はガスの供給によって内部から動力が供給されるか、商用電源又は車両用電源によって外部から動力が供給される冷蔵庫エンジンを含めることも可能である。
    【0050】
    図1〜図4の全体図には示されていないが、出願人による同時係属中の国際特許出願PCT/GB00/03521(WO 01/20237)には、箱16の内部にアクセスするための水平方向の移動主動作と、このアクセス移動の最中に蓋22を離すための垂直方向の移動副動作による箱16の移動を可能とする方法が開示されている。
    【0051】
    図5(a)及び図5(b)には、箱16が機器2に嵌め込まれたときに箱16を封止する蓋22の好ましい詳細が示されている。 図18(a)に示されるように、蓋22は平面視において横長である。 蓋22の下にある特徴についても、横長の輪郭が破線で明確にされている。 これらの特徴は、内側から外側の順で、蓋22の下面中央に配置された蒸発器194、蒸発器194の下に配置され、蒸発器194から滴下する水を受けるためのドレンパン196、及び蓋22の下面に設けられ、ドレンパン196と蒸発器194の両方を収容する凹部198である。
    【0052】
    図5(a)の線A−Aについての横断面図である図5(a)から最も良く理解されるように、凹部198の境界は蓋22の周縁から垂下する裾部200によって定められる。 この裾部200の下端面202には、一対の横長の圧縮性封止材60が、一方が他方を取り囲むように設けられる。 これらの封止材60は、ドレンパン196から後方へ導かれる断面横長の排水管204を収容する開口部を除いて連続している。 排水管204の方へ水を導くため、ドレンパン196の基部206は傾斜しており、図6に説明されるように、水はこの排水管を通って蓋22から排出される。 箱16と蓋22により封止された空洞内の温度を測定するため、封止材60の上の裾部200に温度センサ(図示せず)を貫通させることもできる。
    【0053】
    図6は、多数の箱を備えた機器2において、各ドレンパン196から個々のドレン管208をどのように配設することが好ましいかを示している。 これによって交差汚染の危険が最小になる。 それぞれの管208は、封止用ウォータートラップを画定するU字型屈曲部210を含み、共通のトレイ212へ個別に排水する。 図示するように、このトレイ212は機器2の圧縮器214の上に置いてもよい。 そうすれば、時間が経過するうちに、圧縮器214から発する熱によって、水がトレイ212に溜まるのと少なくとも同じ速さでトレイ212から水が蒸発する。 これに加えて、又はこれに代えて、トレイ212内の水の蒸発を促進するために、機器2の凝縮ファン(図示せず)で水面に送風することも可能である。
    【0054】
    図7(a)及び図7(b)に示す別の蓋デザインは、遠隔ファンコイルユニットを介して箱16に対する空気の供給と抜取りを行うファンコイル冷却システムでの使用に適している。 このようなシステムは、強制空気システムとしても知られている。 図7(a)及び図7(b)に示す蓋22は、中空で、そのようなシステムが依存する空気の流れを統制するよう仕切られている。 よって、熱交換器(図示せず)によって冷却された冷気は、ファン(図示せず)からの圧力により、パイプを通って、蓋22の周縁に沿ってこの蓋の内側に設けられた供給空気室216へ送り込まれる。 この空気は、蓋22の下面を画定する底パネル220の周囲に形成された供給空気拡散孔218を通って、供給空気室から箱の中に入る。 中央に配置された返送空気室222は、底パネル220の中央の穴224を介して箱16と連通するとともに、周囲を包囲する供給空気室216を貫通する管226を介してファンと連通しており、より暖かい空気は返送空気室222を通って箱16から抜き取られる。 より暖かい空気は、ファンが作り出す低圧によって返送空気室222に引き込まれ、その後、熱交換器へ送られて冷却され、供給空気室216を通って再循環される。
    【0055】
    以上で説明した態様では、共通して引き出し4を縦列に配置しているが、この他に、図8(a)、図8(b)及び図8(c)に示されるように、引き出し4を横並びとすることも熟慮される。 図8(a)の正面図は、二段の引き出し4が隣り合わせに二列に並べられた、四つの引き出しを備える台下型機器268を示している。 このように、機器268は、二列の引き出し4を跨ぐ作業台270を引き出し4の上に設けられる程度の低さである。 そのため、本発明のこの実施例は、冷蔵食品の調理ユニット及び/又は配膳ユニットとして使用するのに適している。
    【0056】
    この場合、利用できる高さは制限されているが、冷蔵庫エンジン272と制御盤274を図示するように機器268の一方の側面に横掛け位置で搭載することにより、引き出し4の深さを最大とする。 また、図8(b)の側面図及び図8(c)の詳細な拡大横断面図(図8(a)の線X−Xについての断面図)に示されるように、作業台270の前縁には隆起した唇部276が設けられ、作業台270にこぼれたものがその下の引き出し4に沿って滴り落ちたり、引き出し4の中に入ったりしないようにするのに役立つ。
    【0057】
    また、図8(a)及び図8(b)には、本発明の機器268をどのようにキャスター278に搭載できるかが示されている。 これらのキャスター278は、水平でない床280の上で機器268を水平にするため、高さ調節が可能である。
    【0058】
    次に、冷蔵機器332の正面立面図である図9(a)を参照する。 この冷蔵機器332は、上述したEwenの先行技術と機能的に類似している(すなわち、箱の外部の大半が、周囲温度より低い温度の空気に曝される可能性がある点において類似している)が、その問題点の多くに対処するものである。 図9(a)の機器の外観は、図8(a)及び図8(b)の台下型機器と同様であり、作業台270の下の同様の位置に引き出し4、制御盤274及び冷蔵庫エンジン272を有する。 また、図9(a)の線A−Aについての断面図である図9(b)に示されるように、各引き出し4は、キャビネット内にある蓋22と、入れ子式レール74に載ってキャビネットから前方へ移動可能な箱16とを備える。 図9(a)の線B−Bについての断面図である図9(c)には、箱16の横に位置するそれらのレール74が示されている。
    【0059】
    しかし、Ewenと同様に、箱16を蓋22に対して垂直移動させる装備が設けられていない点が、上述の実施態様とは異なる。 代わりにこの機器では、箱16は単に水平方向に摺動して、密接に嵌合する蓋22から離れるだけである。 そのために必要となる箱16と蓋22の間の隙間には、関連する水分伝達や交差汚染の問題を克服する目的で、各引き出しを収容する貯蔵室の周囲に完全な外部防湿層(ベイパーバリア)を形成することが求められる。 よって、図9(b)に示すように、各引き出しの前面パネル118は、蓋22同士の間又は蓋22と底面パネル334の間に画定される対応する引き出し開口部を越えて延設される。 各前面パネル118の裏面の重合部には、垂直磁気封止材336が設けられる。 引き出し4が閉じられたとき、封止材336は、可撓性のある弾力と磁気吸引力によって、適宜、蓋22及び/又は底面パネル334の対向する前面と当たって封止する。 また、引き出し貯蔵室自体も他の引き出し貯蔵室から封止されており、特にこれは、隣り合う引き出し貯蔵室の間に配される貫通管及び供給接続管に当てはまる。 また、これは引き出し貯蔵室からの排水にも当てはまる。 つまり、上記図6の排水構成と同様に、各引き出し貯蔵室からの排水管(図示せず)はそれぞれ独立させるべきであり、各排水管の管内にウォータートラップを設けるべきである。
    【0060】
    さらに図9(c)には、レール74から垂下する断面L字型の箱支持体338が示されている。 これは箱16を取り外し可能に受け支えるためのものである。 各引き出し貯蔵室の容量は、箱16とこれに関連するレール74へのアクセスを可能とする最小限の容量とすべきである。
    【0061】
    各引き出し貯蔵室の壁は、低断熱性の薄型材料で作られ、すべての外面が周囲空気に曝されることが理想的である。 この理想は事実上達成不可能であるけれども、引き出し貯蔵室の外から熱を伝導し、引き出し貯蔵室内での熱の対流を促す薄型材料の使用が推奨される。 現実には、外壁と箱16の周囲の空洞による断熱効果と、箱16と蓋22の間の隙間の冷蔵効果とが誘因となり、時間の経過とともに、封止された貯蔵室の中で温度勾配が生じる。 さらに、ある貯蔵室の外面が別の貯蔵室に隣接している場所には、断熱トラップが形成される。 これによって、箱16の周囲の空気がさらに冷却され、温度勾配が大きくなる。
    【0062】
    このため、図10(a)、図10(b)及び図10(c)は、温度勾配の影響を最小にして、図9(a)、図9(b)及び図9(c)の機器の各引き出し貯蔵室の内側を冷却する三つの異なる方法を提案している。 図10(a)は、引き出し貯蔵室344の後ろの導管342に設けられ、空気を一旦貯蔵室344から抜き取り、再び貯蔵室344へ圧送する循環ファン340を示している。 このようにして貯蔵室344内に生まれる空気循環によって、箱16の外面が均一温度に保たれる。 図10(b)は、貯蔵室344内に空気の対流を作り出し、箱16の外面の大半を周囲温度近く、周囲温度、又は周囲温度を超える温度まで暖めるために、箱16の下に設けられた電気ヒータ又は高温ガスヒータ346を示す。 図10(c)は、図1〜図4を参照して上述したものと同様のエアギャップ348を示しているが、エアギャップ348が、箱16自体の周囲ではなく、引き出し貯蔵室334の周囲や引き出し貯蔵室334同士の間にある点が異なる。 エアギャップ348は、図10(c)に示すように引き出し貯蔵室334の下面及び後面にわたって形成するだけでなく、図示していないが、引き出し貯蔵室334の側面にわたって形成することができる。 この場合も、必要であれば、エアギャップ348内の空気を温めてもよい。
    【0063】
    図面の図11に示すように、箱と蓋の界面376における着氷を防ぐため、蓋22から垂下する裾部に対して局部的にヒートトレーシングを行ってもよい。 加熱は電気的要素378又は高温ガス手段によって行ってもよく、さらに、連続的に行っても、箱16の開放が望まれるときのみ行ってもよい。
    【0064】
    図11のヒートトレーシング設備は、本発明の多くの変種のうち、蓋22と箱16の相対的移動(好ましくは、垂直移動)によって封止を解除して蓋22から箱16を離す(又は、箱16から蓋22を離す)ことにより、箱16を全開してアクセスできるようする上記構成のいずれに対しても適用できるだろう。
    【0065】
    また、冷蔵庫エンジンの様々な放熱部(例えば、熱交換器、モータなど)から熱を回収し、箱と蓋の界面、又は引き出し貯蔵室内にある箱16の外面を暖めるためにその熱を利用することも可能である。 このように、さもなければ大気中に放出されるであろう廃熱を利用して、エネルギーを節約する。
    【0066】
    引き出し貯蔵室内の箱16の外面を暖めるという発想は、箱16の一方の外側面に接するか、これと対面する蛇行加熱要素380を示す図12において発展される。 対応する加熱要素(図示せず)を、箱16の他方の外側面に接するか、これと対面するように設けたり、さらに、箱16の下側及び後側において、箱16の外底面及び外背面に接するか、これらと対面するように設けたりすることも可能だろう。 要素380は、冷媒管から摂氏約40度で供給を受けるか、高温ガス管から摂氏約80度で供給を受けることが可能である。 この点については、図14(a)、図14(b)及び14(c)を参照のこと。 これに代えて、要素380を低電力の電気抵抗素子とするか、ヒートトレースパッドに置き換えることも可能だろう。
    【0067】
    図13は、箱16の外面の周囲に暖気を送るために、タンジェンシャルファン382又は遠心羽根車をどのように利用できるかを示している。 この暖気は、例えば、機器内の冷却器/熱交換器マトリックス、あるいは、機器の発熱部(ファン又は圧縮器モータなど)に由来するものでもよい。 ファンにより補助される空気流の別の利点は、加熱の有無にかかわらず、さもなければ箱16の底とその下の箱16の蓋22との間のエアギャップに発生するかもしれない凝縮を防ぐのに役立つことである。
    【0068】
    空気の圧縮によってなされる仕事は、その空気の温度を若干上昇させると予測できる。 しかしながら、箱の外面を周囲温度より高い温度まで暖めるという目的から見れば、その効果は一般的に無視できるほどわずかだろう。
    【0069】
    図14(a)、図14(b)及び図14(c)は、タンジェンシャルファン382又は遠心羽根車を、どのようにして箱16の後ろに搭載されたファンコイルユニット384の一部とすることができるかを詳細に示す断面図である。 ファンコイルユニット384の構成要素は、図14(a)から最も良く理解され、箱16の後ろにおいて引き出し貯蔵室の後部を横切って延設される略立方体の断熱性ケーシング386を備えている。 ケーシング386からは、蓋22を通って箱16と連通する導管(すなわち、中央の供給空気管388、及び隣接する二本の返送空気管390)が前方に延びている。
    【0070】
    中央の供給空気管388は、略円筒形のタンジェンシャルファン382と一直線上に設けられる。 このファン382は、モータ392から動力を与えられ、ケーシング386の上部近くの水平軸を中心に回転するものである。 ファン382がこのように回転するとき、冷気はケーシング386から追い出され、中央の供給空気管388を通り、蓋22の中の導管(図示せず)を介して箱16に入る。
    【0071】
    ケーシング386の内部において、ファン382のすぐ下に位置する冷却コイル394は、返送空気管390の下側かつコイル394の両端の先に隙間を残すように支持される。 冷却コイル394はフィン付きの蛇行要素で構成されており、相対的に暖かい空気はファン382によって引き寄せられ、この蛇行要素を通って上昇する。 そしてこの空気は、蛇行要素によって冷却されてから、ファン382によって箱16の中に押しやられる。 なお、この相対的に暖かい空気は、箱16から返送空気管390を通ってケーシング386に引き込まれたものである。 図14(a)に示されるように、この空気は、二つの流れとして、まず冷却コイル394の両端の先にある隙間を通り、ケーシング386の底に向かって降下する。 次に、この二つの流れは内側へ向かい、ある程度合流しながら、冷却コイル394のマトリックスに向かって上昇する。 ケーシング386の一方又は両方の内側面に設けられる任意の空気転向羽根(片側のみ図示する)によって、この方向転換を補助する。
    【0072】
    また図14(a)は、冷却コイル394への接続管、すなわち、コイル394の上端部に冷媒を供給するための冷媒管398と、同じくコイル394の上端部に連結された高温ガス導入管400と、コイル394から冷媒を抜き取るためコイル394の下端部に連結された吸引管402とを示している。
    【0073】
    また図14(a)は、冷却コイル394から滴り落ちる水分を受けるためのドレンパン404が、ケーシング386の底部にどのように支持されるかを示している。 水分は、ドレンパン404からドレン管406を通って排出される。 ドレンパン404を除霜し、それによって水が自由にドレンパン404を流れてドレン管406から排出されることを促すため、図示するように、高温ガス導入管400をドレンパン404に沿って延設することが有利である。
    【0074】
    以上の図10〜図14に説明される解決策は、Ewenに例示される先行技術と類似する冷蔵庫にまつわる問題点の解決を主に意図しているが、これらの解決策の一部又は全部を、出願人による同時係属中の国際特許出願番号PCT/GB00/03521(国際公開番号WO 01/ 20237)に従って設計された冷蔵庫に適用することが可能である。
    【0075】
    なお、一般的に、発明の範囲を示すものとしては、上記特定の記述よりも、むしろ添付の請求項及び本明細書の他の一般的記述を参照するべきである。 発明を解釈する際には、例示された実施態様の特徴は互いに組み合わせて説明されていること、そしてこのような組み合わせが独自の利点を有する可能性があること、しかしながら、そのような特徴の多くは独立して適用可能であることを理解しておくべきである。 したがって、そのような特徴は、本明細書に明記される発明概念の範囲内であろうと、それを超えていようと、独立して特許権を受けることができると見なされる。
    【0076】
    また、本明細書では、食料品を貯蔵する家庭用又は商業用の冷蔵機器について具体的に説明したが、本発明は、本発明者による同時係属中の特許文献1の様々な特徴を発展させ追加を行うものであり、前記出願の内容はこの言及により本明細書に組み込まれる。 また、本発明は特許文献2にも由来しており、特に、本願はこの出願に基づく優先権を主張している。 前記出願の内容も、この言及により本明細書に組み込まれる。
    【産業上の利用可能性】
    【0077】
    本発明は、適切な状態における品物の貯蔵、取扱い、分配、輸送及び配達に関して広範な用途と利益があり、特に以下の点が挙げられる。
    【0078】
    正確かつ可変の温度湿度管理(冷却だけでなく、加熱まで含めることも可能であろう);
    貯蔵品の機械的保護;
    交差汚染の危険を最小とした滅菌貯蔵;
    部分的真空条件における貯蔵(任意);
    保存料含有ガス環境における貯蔵(任意);
    振動及び撹乱からの貯蔵品の隔離;及び放射線及び生物災害の封じ込め、並びにこれらからの保護【図面の簡単な説明】
    【0079】
    【図1】出願人による同時係属中の国際特許出願PCT/GB00/03521(WO 01/20237)に開示される冷蔵庫/冷凍庫機器の正面図であり、それぞれが一つの箱を含む縦一列の引き出しを示す。
    【図2】図1の機器の側面図であり、引き出しの側面を見ることができるように側面パネルの下側部分を取り外した状態で示す。
    【図3】引き出しが閉じられた状態における図2の線III−IIIについての断面図である。
    【図4】図1の線IV−IVについての断面図である。
    【図5】図5(a)及び図5(b)は、それぞれ蓋の封止機構、冷却機構及び排水機構の詳細を示す平面図及び横断面図である。
    【図6】図5(a)及び図5(b)に示す複数の蓋に対する個別の排水構成を示す線図である。
    【図7】図7(a)及び図7(b)は、それぞれファンコイル冷却システム用になされた蓋を示す底平面図及び横断面図である。
    【図8】図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、それぞれ図1〜図4に示す配置の代わりとなる配置を有する台下型冷蔵機器の正面図、横立面図及び詳細を拡大して示す部分横断面図である。
    【図9】図9(a)、図9(b)及び図9(c)は、上述したEwenの先行技術と機能的に類似しているが、その問題点の多くに対処する冷蔵機器をそれぞれ示す正面立面図と二つの側面図である。
    【図10】図10(a)、図10(b)及び図10(c)は、図9(a)、図9(b)及び図9(c)の機器の各貯蔵室内における温度勾配を防ぐ様々な方法を示す部分横断面図である。
    【図11】箱とその蓋の界面における凍結を防ぐための、箱と蓋の間のヒートトレーシングを示す部分横断面図である。
    【図12】蓋をされた二つの箱の略側面図であり、それぞれの箱は、露出される外面を暖める加熱要素を有するものである。
    【図13】図12に対応する略断面図であるが、箱の露出される外面に空気(任意で加熱されていてもよい)を送るためのファンを示している。
    【図14】図14(a)、図14(b)及び図14(c)は、ファンコイルの配置を示す断面図であり、図14(a)は、図14(b)の線Y−Yについて箱を後ろから見た断面図、図14(b)は、図14(a)の線Z−Zについてファンコイルユニットを横から見た部分断面図、そして図14(c)は、図14(a)の線X−Xについてファンコイルユニットを上から見た部分断面図である。

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