多光軸光電センサを用いた安全管理システムおよび多光軸光電センサ

申请号 JP2011528850 申请日 2010-08-26 公开(公告)号 JPWO2011024920A1 公开(公告)日 2013-01-31
申请人 オムロン株式会社; 发明人 孝義 高原; 孝義 高原; 一功 尾▲さこ▼; 一功 尾▲さこ▼; 哲也 赤木; 哲也 赤木; 啓作 菊池; 啓作 菊池; 亮 小澤; 亮 小澤; 佐藤 俊孝; 俊孝 佐藤;
摘要 危険領域へのワークWの搬送路Lに沿って2つの多光軸光電センサ100,200を並べて配備し、下流側のセンサ100を安全管理用センサとして機能させ、上流側のセンサ200をミューティング用センサとして機能させる安全管理システムである。このシステムは、少なくともミューティング用センサ200に遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサ200の各光軸の入光/遮光のパターンを表す検出パターン情報を蓄積する検出パターン蓄積手段と、安全管理用センサ100に遮光状態の光軸が存在する間の当該センサ100の各光軸の入光/遮光のパターンの変化が蓄積された検出パターン情報が示す変化に整合するか否かを判定して、双方の変化が整合すると判定したときは安全管理用センサ100からの出 力 をオン状態に設定し、双方の出力が整合しないと判定したときは安全管理用センサ100からの出力をオフ状態に設定する制御手段とを、具備する。
权利要求
  • 危険領域に対する物体の搬送路を挟んで対向する状態にして起立させた投光器および受光器による多光軸光電センサが、少なくとも2台、前記搬送路に沿って並べられたシステムであって、
    前記2台の多光軸光電センサのうち、物体が搬送される方向において下流に位置するセンサを前記危険領域内の機械の駆動を制御するための安全管理用センサとして、当該センサの全ての光軸が入光状態のときにオン状態となり、遮光状態の光軸が存在するときにオフ状態となる信号を出力するように設定し、他方の多光軸光電センサを前記安全管理用センサに対するミューティング用センサとして機能させ、
    少なくとも前記ミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸の入光/遮光のパターンを表す検出パターン情報を蓄積する検出パターン蓄積手段と、
    前記安全管理用センサに遮光状態の光軸が存在する間の当該センサの各光軸の入光/遮光のパターンの変化が前記検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報が示す変化に整合するか否かを判定して、双方の変化が整合すると判定したときは前記安全管理用センサからの出力をオン状態に設定し、双方の変化が整合しないと判定したときは前記安全管理用センサからの出力をオフ状態に設定する制御手段とを、具備する安全管理システム。
  • 前記検出パターン蓄積手段は、前記ミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸の入光/遮光のパターンが変化する都度、その変化後のパターンを表す検出パターン情報を保存し、
    前記制御手段は、前記安全管理用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸における最新の入光/遮光のパターンを照合対象として、前記検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報を古いものから順に照合する処理を、照合対象のパターンに整合するパターンが抽出されるまで繰り返し実行するとともに、前記照合対象のパターンとの整合が得られなかった検出パターン情報を削除し、前記照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出したときは、前記安全管理用センサからの出力をオン状態に設定し、前記照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出する前に前記検出パターン情報蓄積手段の蓄積情報がなくなったときは、前記安全管理用センサからの出力をオフ状態にする、
    請求項1に記載された安全管理システム。
  • 請求項1に記載されたシステムにおいて、
    前記安全管理用センサおよびミューティング用センサでの毎時の各光軸の入光/遮光のパターンに基づき、少なくともミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する状態から各センサの全ての光軸が入光している状態への移行を検出し、この検出に応じて前記検出パターン蓄積手段に蓄積された情報をクリアするリセット手段を、さらに具備する、安全管理システム。
  • 前記検出パターン蓄積手段は、前記ミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸の入光/遮光のパターンが変化する都度、その変化後のパターンを表す検出パターン情報を保存し、
    前記制御手段は、前記安全管理用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸における最新の入光/遮光のパターンを照合対象として、前記検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報のうち、現時点を所定時間遡った時点から蓄積された情報と照合対象のパターンとの照合処理を実行して前記照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出する、請求項1に記載された、安全管理システム。
  • 前記制御手段は、遮光状態の光軸と入光状態の光軸との境界位置に関して、前記照合対象のパターンと検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報との間に所定の許容誤差を設けて、前記照合処理を実行する、請求項4に記載された安全管理システム。
  • 請求項1に記載されたシステムであって、
    前記危険領域への搬入が許可されている物体が前記ミューティング用センサの検出エリアを通過する間に当該センサの各光軸に生じた入光/遮光のパターンの変化を表す検出パターン情報の集合を、基準データとして登録する登録手段を、さらに具備し、
    前記制御手段は、前記ミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する間の当該センサの検出パターン情報を基準データと照合する手段を具備し、この照合により検出パターン情報が基準データに整合していないと判断したとき、前記安全管理用センサからの出力をオフ状態に設定する、安全管理システム。
  • 請求項1に記載されたシステムであって、
    前記検出パターン蓄積手段および前記制御手段が安全管理用センサに設けられると共に、当該安全管理用センサおよび前記ミューティング用センサに、それぞれ両者間で通信を行うための通信手段が設けられ、
    前記ミューティング用センサは、自装置の各光軸の入光/遮光のパターンを表す検出パターン情報を前記通信手段により安全管理用センサに送信し、前記安全管理用センサの検出パターン蓄積手段は、ミューティング用センサから送信された検出パターン情報を入力して蓄積する、安全管理システム。
  • 請求項7に記載されたシステムであって、
    前記安全管理用センサおよびミューティング用センサは、それぞれ自装置の各光軸の最新の入光/遮光のパターンを表す検出パターン情報を保存するための不揮発性メモリを具備すると共に、前記安全管理用センサの不揮発性メモリには、自装置に遮光状態の光軸がある状態下で出力がオン状態に設定されていることを示すミューティング状態フラグがさらに保存されており、
    前記制御手段は、前記安全管理用センサに電源が投入された時点の前記ミューティング状態フラグがオンに設定されているとき、前記安全管理用センサに遮光状態の光軸が存在し、かつ電源投入後の各センサにおける最初の入光/遮光のパターンがそれぞれの不揮発性メモリに保存されている検出パターン情報に整合することを条件に、前記ミューティング状態フラグの設定を維持して前記安全管理用センサの出力をオン状態にする一方、上記の条件が成立しない場合には、前記ミューティング状態フラグをリセットして前記安全管理用センサの出力をオフ状態にする、安全管理システム。
  • 請求項7に記載されたシステムであって、
    前記検出パターン蓄積手段および制御手段ならびに通信手段をそれぞれ具備する複数の多光軸光電センサが、前記安全管理用センサとして前記物体の搬送路に沿って配備されると共に、物体の搬送方向において各安全管理用センサより上流になる位置に、前記通信手段を具備する1台の多光軸光電センサがミューティング用センサとして配備される、安全管理システム。
  • 請求項7に記載されたシステムであって、
    前記検出パターン蓄積手段および制御手段ならびに通信手段を具備する1台の安全管理用センサと、前記通信手段を具備する2台のミューティング用センサとが、安全管理用センサが中央に位置する状態にして危険領域への物体の搬送路に沿って配備され、
    前記検出パターン蓄積手段は、前記2台のミューティング用センサのうち、遮光状態の光軸があることを示す検出パターン情報を先に送信した方のセンサからの検出パターン情報を蓄積する、安全管理システム。
  • 対向配備された投光器と受光器との間に複数の光軸が設定され、全ての光軸が入光状態のときにオン状態となり、遮光状態の光軸が存在するときにオフ状態となる信号を出力する多光軸光電センサにおいて、
    ミューティング用センサとして配置された他の多光軸光電センサと通信を行うことにより、当該ミューティング用センサの各光軸の入光/遮光のパターンを表す検出パターン情報を入力する情報入力手段と、
    自装置に遮光状態の光軸が存在する間の各光軸の入光/遮光のパターンの変化が前記情報入力手段が入力した検出パターン情報が示す入光/遮光のパターンの変化に整合するか否かを判定し、双方の変化が整合すると判定したときは前記出力信号をオン状態に設定し、双方の変化が整合していないと判定したときは前記出力信号をオフ状態に設定する制御手段とを、具備する多光軸光電センサ。
  • 請求項11に記載された多光軸光電センサにおいて、
    前記情報入力手段が前記ミューティング用センサとの通信により入力した検出パターン情報が変化する都度、その変化後の検出パターン情報を保存する検出パターン蓄積手段を、さらに備え、
    前記制御手段は、自装置に遮光状態の光軸が存在する間に、自装置の各光軸の最新の入光/遮光のパターンを照合対象として、前記検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報を古いものから順に照合する処理を、照合対象のパターンに整合する検出パターン情報が抽出されるまで繰り返し実行するとともに、前記照合対象のパターンとの整合が得られなかった検出パターン情報を削除し、前記照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出したときは前記出力信号をオン状態に設定し、前記照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出する前に前記検出パターン情報蓄積手段の蓄積情報がなくなったとき、前記出力信号をオフ状態にする、多光軸光電センサ。
  • 請求項12に記載された多光軸光電センサにおいて、
    情報入力手段が入力した検出パターン情報および自装置の各光軸の入光/遮光のパターンに基づき、少なくともミューティング用センサに遮光状態の光軸がある状態から各センサの全ての光軸が入光している状態への変化を検出し、この検出に応じて前記検出パターン蓄積手段の蓄積情報をリセットするリセット手段を、さらに具備する、多光軸光電センサ。
  • 说明书全文

    本発明は、多光軸光電センサを用いた安全管理システム、およびこのシステムに使用される多光軸光電センサに関する。

    多光軸光電センサは、危険領域に作業者の身体が入った場合に機械を停止させることを目的とするため、一般に、全ての光軸が入光状態のときにオン状態(通常はハイレベル)となり、遮光状態の光軸が生じるとオフ状態(通常はローレベル)となる信号を出するように設定されている。 ただし、危険領域で使用されるワークが搬入される際に機械が停止してしまうのを防止するために、従来のこの種のセンサには、所定の条件下での光軸の遮光状態を無視して、出力をオン状態のまま維持する機能(一般に「ミューティング」と呼ばれる。)が設けられている。

    ミューティングの機能を利用するには、一般に、多光軸光電センサの検出エリアの前後にワーク検出用のセンサ(以下、「ミューティング用センサ」という。)を配置する。 たとえば、下記の特許文献1には、安全領域側、危険領域側に、それぞれ一軸タイプの光電センサを2個ずつ配備し、安全領域側の2個の光電センサが遮光状態となった時点からミューティングを開始し、一番下流にある光電センサがオフ状態になるまでミューティング状態を維持することが記載されている。

    また特許文献2には、多光軸光電センサの光軸の並び方向を危険領域に通じる通路の長さ方向に合わせ、遮光状態の光軸があらかじめ定めた所定のパターンを維持しながら移動しているときにミューティング状態を設定することが、記載されている。

    特開2006−284355号公報

    特開2004−5542号公報

    特許文献1のように、汎用のセンサをミューティング用センサとして利用する場合にはワークの長さや搬送速度に応じてミューティング用センサの間隔を定める必要がある。 また、作業員が意図的にミューティング用センサを遮光状態にする(たとえば、投光器をテープで覆うなど)ことがあるため、各センサの検知出力が一定のパターンで変化したときでなければミューティングが設定されないように、ミューティング用センサ間の間隔を演算により導出する必要がある。 このため、ミューティング用センサの設置に手間がかかり、ワークの長さや搬送速度が変更されると、それまでの設定では対応できなくなる可能性がある。

    また特許文献1,2のいずれの方法も、ワークの一定の高さ位置を検出するものであるため、検出対象位置に穴が開いていたり、検出対象位置の高さに達していないワークの検出に支障が生じる。 このことによっても、形状や高さの異なる複数のワークをミューティングの対象とするのが困難になる。

    本発明は、これらの問題点を考慮してなされたもので、ミューティング用センサの設置に要する労力を軽減し、またミューティング対象のワークの形状や高さの変化に容易に対応できるようにすることを課題とする。

    本発明による安全管理システムは、危険領域に対する物体の搬送路を挟んで対向する状態にして起立させた投光器および受光器による多光軸光電センサを、少なくとも2台具備するもので、2台の多光軸光電センサのうち、物体が搬送される方向において下流に位置するセンサが危険領域内の機械の駆動を制御するための安全管理用センサとして、当該センサの全ての光軸が入光状態のときにオン状態となり、遮光状態の光軸が存在するときにオフ状態となる信号を出力するように設定され、他方の多光軸光電センサが安全管理用センサに対するミューティング用センサとして機能する。

    さらにこの安全管理システムには、少なくともミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸の入光/遮光のパターンを表す検出パターン情報を蓄積する検出パターン蓄積手段と、安全管理用センサに遮光状態の光軸が存在する間の当該センサの各光軸の入光/遮光のパターンの変化が検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報が示す変化に整合するか否かを判定して、双方の変化が整合すると判定したときは安全管理用センサからの出力をオン状態に設定し、双方の変化が整合しないと判定したときは安全管理用センサからの出力をオフ状態に設定する制御手段とを、具備する。

    上記構成によれば、安全管理用センサにおいて物体が検出される間の各光軸の入光/遮光のパターンに所定時間前にミューティング用センサに生じたのと同様の変化が生じたときに、安全管理用センサをミューティング状態に設定することができる。 各センサの投光器および受光器は起立配置されているので、これらの高さより低いワークであれば、各センサにそのワークの形状に応じた入光/遮光のパターンの変化が生じ、これらの変化が整合することによりミューティング状態を設定することが可能になる。 よって、高さや形状が異なる複数のワークが搬送される場合にも、容易に対応することができる。

    一方、人など動きのある対象物が各センサの検出エリアを通過した場合には、センサ間での入光/遮光のパターンの変化が整合しない状態になるので、安全管理用センサにミューティング状態が設定されるのを防止することができる。 また、ミューティング状態を設定するのに必要な入光/遮光のパターンがワークによって異なるので、人為的にミューティング状態を設定するのもきわめて困難になる。

    上記の検出パターン蓄積手段および制御手段は、メモリを含むコンピュータにより構成されるのが望ましい。 また、これらの手段は、安全管理用センサまたはミューティング用センサの機体(投光器または受光器)に組み込むことができるが、これに限らず、各センサとは別体で各センサとの通信が可能な装置内に組み込んでもよい。

    上記の安全管理システムの好ましい一態様では、検出パターン蓄積手段は、ミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸の入光/遮光のパターンが変化する都度、その変化後のパターンを表す検出パターン情報を保存する。 また制御手段は、安全管理用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸における最新の入光/遮光のパターンを照合対象として、検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報を古いものから順に照合する処理を、照合対象のパターンに整合するパターンが抽出されるまで繰り返し実行するとともに、照合対象のパターンとの整合が得られなかった検出パターン情報を削除する。 そして、照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出したときは、安全管理用センサからの出力をオン状態に設定し、照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出する前に検出パターン情報蓄積手段の蓄積情報がなくなったときは、安全管理用センサからの出力をオフ状態にする。

    上記の態様によれば、ミューティング用センサにおける入光/遮光のパターンが変化する都度、その変化後のパターンを表す検出パターン情報が検出パターン蓄積手段に保存されるので、検出パターン情報の蓄積に要するメモリ容量を削減することができる。 また、安全管理用センサ側の最新の入光/遮光のパターンに対し、蓄積情報の古いものから順に照合を行うとともに、照合対象のパターンとの整合が得られなかった検出パターン情報を削除するので、蓄積情報の中に照合対象のパターンに整合する情報がある場合には、この情報を効率良く、確実に抽出して、安全管理用センサからの出力をオン状態にすることができる。 一方、照合対象のパターンに整合する情報を抽出できなかった場合には、検出パターン情報蓄積手段の蓄積情報がすべて消去されるので、各センサ間の入光/遮光のパターンの変化が整合しない場合に無駄な照合が繰り返されるのを防止して、安全管理用センサからの出力をオフ状態で維持することができる。

    さらに好ましい態様のシステムでは、安全管理用センサおよびミューティング用センサでの毎時の各光軸の入光/遮光のパターンに基づき、少なくともミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する状態から各センサの全ての光軸が入光している状態への移行を検出し、この検出に応じて検出パターン蓄積手段に蓄積された情報をクリアするリセット手段が、さらに設けられる。

    上記の態様によれば、ワーク以外の物体がミューティング用センサの検出エリアに入った後に、安全管理用センサの検出エリアに入ることなく、ワークの搬送方向とは逆方向に移動してミューティング用センサの検出エリアから抜けた場合には、検出パターン情報蓄積手段の蓄積情報がクリアされる。 また、この物体が安全管理用センサの検出エリアまで達してから逆戻りした場合も同様に、当該物体がミューティング用センサの検出エリアから抜けた時点で蓄積情報がクリアされる。 よって、搬送方向が逆転した物体により生じた検出パターン情報が蓄積され続けて、最新の入光/遮光のパターンとの照合時間が長くなるのを回避することができ、物体を検出する処理の効率や精度を高めることができる。
    ただし、この態様を適用する場合には、安全管理用センサとミューティング用センサとの間隔がワークの長さを超えることがないように設定する必要がある。

    他の好ましい態様の安全管理システムでは、検出パターン蓄積手段は、ミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸の入光/遮光のパターンが変化する都度、その変化後のパターンを表す検出パターン情報を保存する。 また制御手段は、安全管理用センサに遮光状態の光軸が存在する間に、当該センサの各光軸における最新の入光/遮光のパターンを照合対象として、検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報のうち、現時点を所定時間遡った時点から蓄積された情報と照合対象のパターンとの照合処理を実行して照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出する。 なお、照合のために遡る時間の幅は、センサ間の距離やワークの搬送速度から導き出すことができる。

    上記の態様によれば、検出パターン蓄積手段に相当量の検出パターン情報が蓄積されている場合でも、安全管理用センサで現在検出されている物体がミューティング用センサで検出されていたときに蓄積された検出パターン情報を用いて照合対象のパターンとの照合を行うことができる。 よって、照合に要する時間を短縮して、安全管理用センサの出力を安定して制御することが可能になる。

    さらに好ましい態様の安全管理システムでは、制御手段は、遮光状態の光軸と入光状態の光軸との境界位置に関して、照合対象のパターンと検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報との間に所定の許容誤差を設けて、照合処理を実行する。 このようにすれば、搬送路の振動や各センサの感度の違いなどにより、遮光状態にある光軸と入光状態にある光軸との境界位置が多少ずれても、照合の精度を確保することが可能になる。

    他の好ましい態様の安全管理システムは、危険領域への搬入が許可されている物体がミューティング用センサの検出エリアを通過する間に当該センサの各光軸に生じた入光/遮光のパターンの変化を表す検出パターン情報の集合を、基準データとして登録する登録手段をさらに具備する。 また、制御手段は、ミューティング用センサに遮光状態の光軸が存在する間の当該センサの検出パターン情報を基準データと照合する手段を具備し、この照合により蓄積された検出パターン情報が基準データに整合していないと判断したとき、安全管理用センサからの出力をオフ状態に設定する。

    上記の態様によれば、各センサ間の入光/遮光のパターンの変化が整合する場合でも、その変化が登録手段に登録された基準データに整合していない場合には、安全管理用センサからの出力はオフ状態に設定される。 よって、危険領域への搬入が許可されていない物体に対してミューティング状態が設定されるのを防止することができるから、安全性をより一層高めることが可能になる。

    上記の安全管理システムのさらに好ましい態様では、検出パターン蓄積手段および制御手段が安全管理用センサに設けられると共に、安全管理用センサおよびミューティング用センサに、それぞれ両者間で通信を行うための通信手段が設けられる。 さらにミューティング用センサは、自装置の各光軸の入光/遮光のパターンを表す検出パターン情報を通信手段により安全管理用センサに送信し、安全管理用センサの検出パターン蓄積手段は、ミューティング用センサから送信された検出パターン情報を入力して蓄積するように構成される。

    上記の態様によれば、安全管理用センサ側で、ミューティング用センサから検出パターン情報を受け付けて蓄積を行いつつ、この蓄積情報と自装置での入光/遮光のパターンとの整合性を判別することができるので、処理の効率が高められ、物体検出のタイミングに合わせて出力を制御する処理を安定して行うことが可能になる。

    さらに好ましい態様の安全管理システムでは、安全管理用センサおよびミューティング用センサに、それぞれ自装置の各光軸の最新の入光/遮光のパターンを表す検出パターン情報を保存するための不揮発性メモリを設ける。 また安全管理用センサの不揮発性メモリには、自装置に遮光状態の光軸がある状態下で出力がオン状態に設定されていることを示すミューティング状態フラグがさらに保存される。 また、制御手段は、安全管理用センサに電源が投入された時点のミューティング状態フラグがオンに設定されているとき、安全管理用センサに遮光状態の光軸が存在し、かつ電源投入後の各センサにおける最初の入光/遮光のパターンがそれぞれの不揮発性メモリに保存されている検出パターン情報に整合することを条件に、ミューティング状態フラグの設定を維持して安全管理用センサの出力をオン状態にする。 一方、上記の条件が成立しない場合には、ミューティング状態フラグをリセットして安全管理用センサの出力をオフ状態にする。

    汎用のセンサをミューティング用センサとして使用する従来の製造ラインでは、休憩時や終業時などにラインを停止させた後に再起動する場合には、安全性を確保するため、安全管理用センサからの出力をオフ状態に設定する必要がある。 このため、一般にミューティング状態が設定された状態で搬送路やセンサが停止しても、再起動時にはミューティング状態に復帰せずに、安全管理用センサからの出力をオフ状態にしている。 しかし、このような仕様では、安全管理用センサをミューティング状態にしたままセンサや搬送路が停止すると、ワークをミューティング用センサの検出領域より手前の位置まで戻してから再起動しなければならない。

    これに対し、上記の態様によれば、仮にミューティング状態のままシステムを停止させても、再起動した時の各センサにおける入光/遮光のパターンがシステムの停止直前と同じであれば、ミューティング状態を設定させることができる。 よって、ワークを動かす必要がなくなり、効率や利便性を向上することができる。 なお、上記の不揮発性メモリに検出パターン蓄積手段の蓄積情報を保存する場合には、ミューティング用センサの電源投入直後の入光/遮光のパターンについては、この蓄積情報中の最も新しい情報に対する整合性を判断してもよい。

    さらに、他の好ましい態様による安全管理システムでは、検出パターン蓄積手段および制御手段ならびに通信手段をそれぞれ具備する複数の多光軸光電センサが安全管理用センサとして、物体の搬送路に沿って配備されると共に、物体の搬送方向において各安全管理用センサより上流になる位置に、通信手段を具備する1台のミューティング用センサが配備される。 この場合、各安全管理用センサは、それぞれミューティング用センサとの通信により、ミューティング用センサの検出パターン情報を入力して蓄積することにより、自装置での入光/遮光のパターンの変化がミューティング用センサで生じたものと同様であるか否かを判断し、その判断に基づき自装置からの出力を制御することができる。

    他の好ましい態様による安全管理システムでは、検出パターン蓄積手段および制御手段ならびに通信手段を具備する1台の安全用管理センサと、通信手段を具備する2台のミューティング用センサとが、安全管理用センサが中央に位置する状態にして危険領域への物体の搬送路に沿って配備され、検出パターン蓄積手段は、2台のミューティング用センサのうち、遮光状態の光軸があることを示す検出パターン情報を先に送信した方のセンサからの検出パターン情報を蓄積する。

    上記の構成において、2台のミューティング用センサのうち、危険領域に対して遠い方のセンサを第1のミューティング用センサとし、危険領域に近い方のセンサを第2のミューティング用センサとすると、危険領域に物体が搬入される場合には、第1のミューティング用センサ、安全用センサ、第2のミューティング用センサの順に、遮光状態となる。 よって、安全用センサでは、第1のミューティング用センサから送信された検出パターン情報を蓄積して、自装置における入光/遮光のパターンが蓄積された検出パターンに整合するか否かを判定することにより、出力のオン/オフを制御することができる。 一方、危険領域から物体が搬出される場合には、第2のミューティング用センサ、安全管理用センサ、第1のミューティング用センサの順に遮光状態となる。 よって、安全用センサでは、第2のミューティング用センサから送信された検出パターン情報を蓄積して、自装置における入光/遮光のパターンが蓄積された検出パターンに整合するか否かを判定することにより、出力のオン/オフを制御することができる。
    このように、上記態様のシステムによれば、物体が危険領域から搬入される場合と物体が危険領域から搬出される場合との双方に対応することが可能になる。

    つぎに、本発明では、対向配備される投光器と受光器との間に複数の光軸が設定され、全ての光軸が入光状態のときにオン状態となり、遮光状態になる光軸が存在するときにオフ状態となる信号を出力する多光軸光電センサに、上記システムの安全管理用センサとして機能させるための構成として、以下の情報入力手段および制御手段を設ける。

    情報入力手段は、ミューティング用センサとして配置された他の多光軸光電センサと通信を行うことにより、当該ミューティング用センサの各光軸の入光/遮光のパターンを表す検出パターン情報を入力する。 制御手段は、自装置に遮光状態の光軸がある間の各光軸の入光/遮光のパターンの変化が情報入力手段が入力した検出パターン情報が示す入光/遮光のパターンの変化に整合するか否かを判定し、双方の変化が整合すると判定したときは出力信号をオン状態に設定し、双方の変化が整合していないと判定したときは出力信号をオフ状態に設定する。

    好ましい態様の多光軸光電センサでは、情報入力手段がミューティング用センサとの通信により入力した検出パターン情報が変化する都度、その変化後の検出パターン情報を保存する検出パターン蓄積手段を、さらに備える。 また制御手段は、自装置に遮光状態の光軸が存在する間に、自装置の各光軸の最新の入光/遮光のパターンを照合対象として、検出パターン蓄積手段に蓄積された検出パターン情報を古いものから順に照合する処理を、照合対象のパターンに整合する検出パターン情報が抽出されるまで繰り返し実行すると共に、照合対象のパターンとの整合が得られなかった検出パターン情報を削除し、照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出したときは出力信号をオン状態に設定し、照合対象のパターンに整合する検出パターン情報を抽出する前に検出パターン情報蓄積手段の蓄積情報がなくなったときは、出力信号をオフ状態にする。

    さらに好ましい態様の多光軸光電センサには、情報入力手段が入力した検出パターン情報および自装置の各光軸の入光/遮光のパターンに基づき、ミューティング用センサおよび自装置の少なくとも一方に遮光状態の光軸がある状態から各センサの全ての光軸が入光している状態への変化を検出し、この検出に応じて検出パターン蓄積手段の蓄積情報をリセットするリセット手段がさらに設けられる。

    本発明の安全管理システムおよび多光軸光電センサによれば、ワークの形状や高さの変化に柔軟に対応して、危険領域への出力信号を制御することができる。 また、人為的にミューティング状態を設定することが困難になるから、安全管理用センサとミューティング用センサとの間隔を厳密に定めるなどの対策をとる必要がなく、安全性を高めることが可能になる。

    安全管理システムの設置例を示す図である。

    安全管理システムの電気構成を示すブロック図である。

    各センサで生成される検出パターン情報の例を示す図である。

    各センサの光軸とワークとの関係の時系列的変化を、ミューティング許可フラグおよびミューティング状態フラグの設定期間、ならびにミューティングパターン情報の蓄積期間に対応づけて示す図である。

    ミューティングパターンテーブルの蓄積情報の例を示す図である。

    安全管理用センサの処理の基本の流れを示すフローチャートである。

    処理状態確認処理に関するフローチャートである。

    ミューティングパターン情報の蓄積処理に関するフローチャートである。

    フラグ設定処理に関するフローチャートである。

    出力・表示灯制御に関するフローチャートである。

    ワークと各センサとの位置関係の変化を複数のステージに場合分けして表した図である。

    起動処理に関するフローチャートである。

    危険領域に対するワークの搬出入に対応することを目的とした安全管理システムの構成例を示す図である。

    図1は、本発明が適用された安全管理システムの一例を示す。
    この実施例の安全管理システムは、図示しない危険領域に向かうワークWの搬送路Lに設けた2台の多光軸光電センサ100,200により構成される。
    各多光軸光電センサ100,200は、それぞれ投光器(101または201)と受光器(102または202)とを搬送路Lを挟んで対向させ、かつ起立させた状態にして配備される。 また、いずれのセンサ100,200でも、投光器側の光軸と、受光器側の光軸とが一対一に位置合わせされて、各光軸による2次元の検出エリアが設定される。

    図示例では、ワークWはパレットPに支持された状態で矢印Fの方向に沿って搬送される。 この搬送方向の下流側(危険領域側)に設けられた多光軸光電センサ100は、ワークW以外の物体が危険領域に移動したときに危険領域内の機械を停止させるための安全管理用センサとして、当該機械への電源供給回路に接続される。 一方、安全管理用センサ100より上流の多光軸光電センサ200は、安全管理用センサ100に対するミューティング用センサとして機能する。 また、安全管理用センサ100の投光器101および受光器201の上部には、それぞれミューティング状態であることを報知するための表示灯15,25が設けられる。

    図2は、上記システムの電気構成を示す。 なお、この図2では、各センサ100,200に共通する構成を同一の符号により示す。

    各センサ100,200の投光器101,201には、複数のLED11が発光素子として組み込まれる。 また各発光素子11に対応する複数の駆動回路12、光軸順次選択回路13、処理回路10、通信回路14などが設けられる。 また各センサ100,200の受光器102,202には、複数のフォトダイオード(PD)21が受光素子として設けられるほか、これらの受光素子21に対応する複数の受光回路22、光軸順次選択回路23、処理回路20、通信回路24などが設けられる。 さらに、安全管理用センサ100の投光器101および受光器201には、前出の表示灯15,25およびその駆動回路(図示せず。)が設けられる。

    さらに、安全管理用センサ100の受光器102には、出力回路26が設けられる。 この出力回路26は、電源供給回路内のスイッチ機構(リレーなどによるもの)に接続される。 出力回路26からの出力がハイレベルであれば、スイッチ機構が閉じて危険領域内の機械に電源が供給され、出力がローレベルであれば、スイッチ機構が開いて機械が停止する。

    各処理回路10,20は、図示しないCPUや不揮発性メモリなどにより構成される。 さらに各受光部102,202の処理回路20には、入力した受光量信号をディジタル変換するためのA/D変換回路が含まれる。

    各投光器101,201および各受光器102,202の通信回路14,24は、通信回線Kを介して相互に接続されている。 これにより、各投光器101,201および各受光器102,202の処理回路10,20は、それぞれ同じ機体内の通信回路14,24を介して他の機体の処理回路14,24と通信を行うことができる。 ただし、以下では説明を簡単にするために、対をなす投光器と受光器との間の通信(投光器101と受光器102との間、および投光器201と受光器202との間)のほかは、各センサ100,200の受光器102,202間での通信が実行されるのみとする。

    各投光器101,201および各受光器102,202の光軸順次選択回路13,23は、各光軸を1つずつ順に有効にするためのゲート回路である。 いずれのセンサでも、投光器と受光器との間の通信によりそれぞれの光軸順次選択回路13,23の切り替えタイミングを同期させつつ、投光器101,201側で選択された光軸に対応する発光素子11を点灯し、受光器102,202側で選択された光軸に対応する受光素子21からの受光量信号を処理回路20に入力する。 受光器102,202の処理回路20では、入力した受光量信号をディジタル変換することによって受光量レベルを取得した後、この受光量レベルを所定のしきい値と比較することにより、各光軸が入光/遮光のいずれの状態であるかを判別する。 さらに、入光状態を「0」、遮光状態を「1」とする2値データを生成し、これを前出の不揮発性メモリの作業エリア(以下、「作業メモリ」という。)内に格納する。

    以下、各光軸を順に選択して、選択された光軸での投光および受光を実行し、受光量のレベルから入光/遮光の状態を判別する処理を、「検出処理」という。
    図3は、各センサで実行された検出処理により作業メモリ内に格納されたデータを模式的に示したものである。 この例では、各センサ100,200の光軸数を15として、光軸毎の検出結果を示す2値データを「0」または「1」の数字入りの矩形枠として、実際の光軸の並びに合わせて縦方向に並べて示す。 また下から上に向かう方向に沿って、各データに1〜15の番号(以下、「光軸番号」という。)を対応づけるとともに、遮光状態を表す「1」が設定されたデータの矩形枠に網点パターンを施している(後記する図5も同様である。)。

    上記の2値データの集合は、1サイクル分の検出処理により検出された各光軸の入光/遮光のパターンに相当する。 よって以下では、この2値データの集合を検出パターン情報という。 図3の例では、安全管理用センサ100の検出パターン情報は、全ての光軸が入光状態であること(以下、この状態を「全光軸入光状態」という。)を示し、ミューティング用センサ200の検出パターン情報は、1〜3番目の各光軸および5,6番目の各光軸が遮光状態であることを示す。

    いずれのセンサ100,200でも、上記の検出パターン情報は、1サイクル分の検出処理を実行する毎に、最新の検出結果のものに更新される。 ただし、ミューティング用センサ200で生成された検出パターン情報は、当該センサ200で1サイクル分の検出処理が行われる都度、各受光器102,202間での通信により、ミューティング用センサ200から安全管理用センサ100に送信され、受光器102の処理回路20内の不揮発性メモリに蓄積される。 以下、このミューティング用センサ200から安全管理用センサ100に送信される検出パターン情報を「ミューティングパターン情報」と呼び、ミューティングパターン情報が蓄積されるエリアを、「ミューティングパターンテーブル」と呼ぶ。

    安全管理用センサ100の受光器102の処理回路20では、自装置で生成された検出パターン情報が図3のような全光軸入光状態を示すとき、出力回路26からの出力をオン状態(ハイレベル)に設定する。 これに対し、自装置の検出パターン情報に遮光状態を示す「1」のデータが1つでも含まれる場合には、出力回路26からの出力をオフ状態(ローレベル)に設定する。 よって安全管理用センサ100の光軸が1つでも遮光状態になれば、機械への電源供給路が遮断されて、機械が停止することになる。

    ただし、安全管理用センサ100に遮光状態の光軸が生じても、その検出パターン情報がミューティングパターンテーブルに格納されているミューティングパターン情報に整合する場合には、ミューティング状態として、出力回路26からの出力をオン状態に設定する。 また、このミューティング状態の設定に応じて、各表示灯15,25が点灯状態に設定される。

    図4は、図1に示したワークWとパレットPとの一体物(以下では、この一体物を「ワークW」とする。)が上記2種類のセンサ100、200の検出エリアを通過する間に各センサ100,200の光軸とワークWとの間に生じる関係の変化を模式的に示す。 ここでは、図中の横方向を時間軸として、各光軸に対する検出処理が実行されるタイミングを縦方向に沿う直線(破線)で表現する。 また、各センサの光軸を横方向に沿う直線(点線)により表し、これら縦・横の直線が交差する中にワークWの模式図(パレットPを含む全体像を網点パターンで示したもの)を位置づけている。 また、センサ100,200の少なくとも一方に遮光された光軸が存在するときの検出処理に、a〜vの符号(ただし、l(エル),o(オー)を除く。)を付している。 以下、これらの符号が示すタイミングを、便宜上、「時刻a」のように表現する。

    同図によれば、ミューティング用センサ200では、時刻aから時刻rまでの期間に遮光状態が検出され、安全管理用センサ100では、時刻eから時刻vまでの期間に遮光状態が検出されることになる。 また、安全管理用センサ100の入光/遮光パターンには、ミューティング用センサ200より4サイクル遅れて、ミューティング用センサ200で生じたのと同様の変化が生じている。

    さらに、図4では、上記の各光軸とワークWとの関係の時系列的な変化に対応させて、ミューティングパターン情報が蓄積される期間、ミューティング状態の設定に関わる2種類のフラグ(ミューティング許可フラグ、ミューティング状態フラグ)がオン設定される期間を示す。

    ミューティング許可フラグは、ミューティング状態の設定が可能であることを示すもので、各センサ100,200が起動した後に、各センサ100,200が共に全光軸入光状態で、安全管理用センサ100からの出力がオン状態であることを条件に、オン状態に設定される。 ミューティング状態フラグは、ミューティング状態を設定する旨を示すもので、ミューティング許可フラグがオン状態で、安全管理用センサ100に遮光状態の光軸があり、かつその検出パターン情報に整合するミューティングパターン情報が検出されたときに、オン状態に設定される。 出力回路26からの出力および表示灯15,25の動作は、このミューティング状態フラグの設定状態や安全管理用センサ100の最新の検出パターン情報に基づき制御される。

    図5は、ミューティング用センサ200の各光軸が図4のように遮光される場合に、安全管理用センサ100のミューティングパターンテーブルに蓄積されるミューティングパターン情報の内容を示す。 この図では、各ミューティングパターン情報に、蓄積される順序を表す数値と、当該情報に対応する検出処理が実行された時刻を表す符号(図4に示したものに対応する。)とを対応づけて示している。

    この実施例の安全管理用センサ100では、ミューティング用センサ200での検出処理が実行される都度、その処理によりミューティング用センサ200で生成された検出パターン情報をミューティングパターン情報として受け付ける。 ただし、図4に示すように、ミューティングパターン情報が全光軸入光状態を示す間は蓄積を行わずに、遮光状態を示すミューティングパターン情報が得られる期間のみ蓄積を行う。

    また蓄積期間でも、遮光状態を示すミューティングパターン情報をすべて保存するのではなく、ミューティングパターンテーブル内の最新の情報とは異なる内容の情報を得たとき、言い換えればミューティングパターン情報に変化が生じた場合に、その変化後の情報を保存するようにしている。

    具体的に図4,5を参照して説明すると、この実施例では、ミューティング用センサ200の検出エリアの遮光が開始された時刻aから、ミューティングパターン情報の保存が開始される。 ミューティング用センサ200においては、時刻aのミューティングパターン情報が保存された後のb,c,d,eの各時刻では、いずれも一段階前とは異なる入光/遮光のパターンが検出されるので、これらの時刻に対応するミューティングパターン情報も、ミューティングパターンテーブルに順に保存される。

    その後、f,g,h,i,j,k,mの各時刻では、ミューティング用センサ200で検出される入光/遮光のパターンが時刻eのときと同様になるため、ミューティングパターン情報は保存されない。 しかし、その後のn,p,q,rの各時刻には、ミューティング用センサ200の入光/遮光のパターンが再び変化するので、これらの時刻に対応するミューティングパターン情報は、ミューティングパターンテーブルに順に保存される。

    上記のとおり、ミューティング用センサ200における入光/遮光のパターンが変化した場合のみ、その変化後の状態を表すミューティングパターン情報がミューティングパターンテーブルに格納されるので、ミューティングパターンテーブルの容量を小さくすることができる。 また、後記するように、安全管理用センサ100が自装置の検出パターン情報によりミューティングパターンテーブルを照合する場合には、最も古い情報から順に照合すると共に、整合性が認められなかった情報をミューティングパターンテーブルから削除するので、照合処理の効率や精度を確保することができる。

    図6は、安全管理用センサ100において実行される基本の処理手順を示す。 このフローチャートによれば、安全管理用センサ100では、電源投入に応じて起動処理(ステップA)を実行した後、検出処理(ステップB)、ミューティング用制御(ステップC)、出力・表示灯制御(ステップD)から成る無限ループを繰り返し実行する。

    ステップAの起動処理には、出力回路26からの出力信号や、前出のミューティング許可フラグやミューティング状態フラグを含む各種パラメータを初期設定する処理が含まれる。 この段階では安全性を確保するため、出力信号をオフ状態に設定するとともに、各フラグの初期値も原則としてオフ状態に設定する。

    ステップBでは、各光軸を順に選択して、選択された光軸における投光処理および受光処理を実行し、受光量のレベルを所定のしきい値と比較して入光/遮光を判定する。 これにより、図3に示したような検出パターン情報が生成され、作業用メモリに格納される。

    ステップCのミューティング制御には、ミューティング用センサ200からミューティングパターン情報を入力する処理(ステップC1)、初期状態確認処理(ステップC2)、ミューティングパターン情報の蓄積処理(ステップC3)、フラグの設定処理(ステップC4)が含まれる。 さらにステップDでは、前出のミューティング状態フラグや自装置の検出パターン情報に基づき、出力信号をオン,オフのいずれかに設定する。 またミューティング状態フラグの値に応じて表示灯15,25を点灯または消灯する処理も実行する。

    なお、図示は省略するが、ミューティング用センサ200でも、電源投入に応じて、パラメータの初期設定などを実行した後、ステップBと同内容の検出処理と、この検出処理により生成された検出パターン情報を安全管理用センサ100に送信する処理とによる無限ループを、繰り返し実行する。 ここで送信される情報が、安全管理用センサ100側の処理のステップC1でミューティングパターン情報として受け付けられることになる。

    つぎに、図7はステップC2の初期状態確認処理の詳細な手順(ステップC21〜C26)を、図8はステップC3の蓄積処理の詳細な手順(ステップC31〜C33)を、図9はステップC4のフラグ設定処理の詳細な手順(ステップC41〜48)を、図10はステップDの出力・表示灯制御の詳細な手順(ステップD11〜D16)を、それぞれ示す。
    また、図11は、各センサとワークWとの位置関係を複数のステージに場合分けして示したものである。

    以下、図6〜10の各フローチャートを参照して、図11に示した各ステージにおいて安全管理用センサ100で実行される処理を詳細に説明する。

    <ステージ1>
    ステージ1は、各センサ100,200が起動してからワークWがミューティング用センサ200の検出エリアに到達するまでの期間、すなわち、ミューティング用センサ200、安全管理用センサ100の双方が全光軸入光状態となる期間に相当する。

    まず、電源投入後の起動処理(ステップA)により、ミューティング許可フラグおよびミューティング状態フラグ、ならびに出力回路26からの出力がオフに設定され、最初の検出処理(ステップB)およびミューティングパターン情報の入力(ステップC1)が実行される。 ステップC2の初期状態確認処理(図7)では、ステップC21が「NO」、ステップC22が「YES」、ステップC23が「NO」となって、ステップC27に進み、ミューティング許可フラグをチェックする。 この段階のミューティング許可フラグはオフであるので、ステップC27は「NO」となるが、この場合にはステップC3,C4をスキップしてステップDの出力・表示灯制御に進む。

    この時点の出力・表示灯制御について、図10を参照して説明すると、先の起動処理でミューティング状態フラグがオフに設定されているため、ステップD11が「NO」となってステップD12に進み、表示灯15,25を消灯する。 さらに、全光軸入光状態であることからステップD13が「YES」となってステップD16に進み、出力をオン状態に設定する。

    この後は、無限ループの先頭に戻って、2回目の検出処理(ステップB)およミューティングパターン情報の入力(ステップC1)を実行し、再び初期状態確認処理(図7)に進む。 この時点でも、1回目の処理と同様に、ステップC21が「NO」、ステップC22が「YES」となるが、次のステップC23は「YES」となるため、ステップC24に進み、ミューティング許可フラグをチェックする。 この時点のミューティング許可フラグはオフ状態であるので、ステップC24は「YES」となってステップC25に進み、ミューティング許可フラグをオンに設定する。 さらにステップC26でミューティングパターンテーブルを初期化し(蓄積情報のない状態にする。)、しかる後に、ステップC3のミューティングパターンの蓄積処理に進む。

    図8によれば、ミューティングパターンの蓄積処理では、まず、ミューティング用センサ200から入力した最新のミューティングパターン情報が全光軸入光状態を示すか否かをチェックする(ステップC31)。 ステージ1の段階ではこのステップC31は「YES」となるので、以下のステップC32,C33を実行することなく、ステップC4のフラグ設定処理に進む。

    図9によれば、フラグ設定処理では、まず自装置の最新の検出パターン情報に基づき、自装置が全光軸入光状態であるか否かをチェックする(ステップC41)。 ステージ1の段階では、ステップC41は「YES」となるから、ステップC47に進んでミューティング状態フラグを確認する。 この段階では、まだミューティング状態フラグはオフ状態であるため、ステップC47は「NO」となる。 よって、ステップC42〜48を実行することなく、ステップDの出力・表示灯制御(図10)に進む。

    図10によれば、出力・表示灯制御では、起動直後と同様に、ステップD11が「NO」となって表示灯15,25を消灯する(ステップD12)。 さらに、ステップD13が「YES」となってステップD16に進むので、出力のオン状態が維持される。

    以後も、ステージ1の間は、上記と同様の手順による処理が実行される。 よって、表示灯15,25の消灯状態が維持される。 また、起動直後を除き、出力およびミューティング許可フラグはオン状態に設定される。 一方、ミューティング状態フラグはオフ状態に設定される。

    <ステージ2>
    ステージ2では、ワークWはミューティング用センサ200の検出エリアに入るが、安全管理用センサ100の検出エリアには到達していない。 したがって、ミューティング用センサ200には遮光状態の光軸が生じるが、安全管理用センサ100はまだ全光軸入光状態である。 よってステージ2の初期状態確認処理(図7)では、ステップC21が「NO」、ステップC22が「NO」となった後、ステップC27が「YES」となり、ミューティングパターンの蓄積処理(図8)に進む。

    この段階のミューティングパターンの蓄積処理では、ステップC31が「NO」となるから、ステップC32に進んで、入力したミューティングパターン情報がミューティングパターンテーブルの最新情報と同一か否かをチェックする。 ここで、両者が異なれば(ステップC32が「NO」)、入力した情報をミューティングパターンテーブルの最後尾に追加して(ステップC33)、フラグ設定処理(図9)に進む。 一方、入力したミューティングパターン情報がミューティングパターンテーブルの最新情報と同一であれば(ステップC32が「YES」)、ステップC33をスキップして、フラグ設定処理に進む。

    フラグ設定処理では、ステージ2でも、ステージ1と同様に、ステップC41が「YES」、ステップC47が「NO」となるため、実質的な処理を行うことなく、出力・表示灯制御に進む。 出力・表示灯制御でも、ステージ1と同様の手順で処理を進めるので、表示灯15,25の消灯状態および出力のオン状態が維持される。

    <ステージ3>
    ステージ3は、ワークWが安全管理用センサ100の検出エリアに入り、またミューティング用センサ200の検出エリアからも抜けていない状態になる。 したがって、ミューティング用センサ200、安全管理用センサ100の双方に、遮光状態の光軸が生じる。

    このステージ3に入った直後(図4の時刻eに対応する。)に実行される初期状態確認処理(図7)では、ステップC21が「NO」、ステップC22が「NO」、ステップC27が「YES」となって、ミューティングパターンの蓄積処理(図8)に進む。 ミューティングパターンの蓄積処理では、ステージ2と同様の手順による処理が実行され、フラグ設定処理(図9)に進む。

    フラグ設定処理では、ステップC41が「NO」、ステップC42が「YES」となって、ステップC43に進む。 このステップC43では、ミューティングパターンテーブル内の最も古い情報と自装置の検出パターン情報とを比較する。

    ここで先の図4および図5の例を用いて説明すると、ステージ3に入った直後の時刻eで生成された検出パターン情報はミューティングパターンテーブルの最も古い情報(1番目の情報、すなわち時刻aにミューティング用センサ200で生成された情報)に整合するから、ステップC44は「YES」となる。 よって、ステップC45でミューティング状態フラグをオンに設定した後、出力・表示灯制御(図10)に進む。

    出力・表示灯制御では、この段階で初めてステップD11が「YES」となり、表示灯を点灯する処理(ステップD15)が実行される。 さらにステップD16を実行することにより、出力のオン状態が維持される。

    つぎに、ステージ3での2回目以降の初期状態確認処理(図7)では、ステップC21が「YES」となるため、他のステップを実行することなく、ステップC3のミューティングパターンの蓄積処理(図8)に移行する。 ミューティングパターンの蓄積処理では、これまでと同様に、入力されたミューティングパターン情報をミューティングパターンテーブル内の最新情報と比較し、両者が異なる場合に、入力情報をミューティングパターンテーブルに追加する(ステップC31〜C33)。

    つぎにフラグ設定処理(図9)では、前回と同様に、ステップC41が「NO」、ステップC42が「YES」となり、ミューティングパターンテーブル内の最も古い情報と現在の自装置の検出パターン情報とを比較する処理を実行する。 たとえば、時刻fで生成された検出パターン情報を処理する場合には、まず図5の1番目の情報との比較が行われるが、両者は整合しないため、ステップC44が「NO」となってステップC46に進み、比較対象となった1番目の情報をミューティングパターンテーブルから削除する。 この後はステップC42に戻り、上記の削除により更新されたミューティングパターンテーブルに情報があることを確認して(ステップC42が「YES」)再びステップC43に進み、現時点での最も古い情報(図5の2番目の情報)と検出パターン情報とを比較する。 図4,5によれば、2番目の情報は時刻fに生成された検出パターン情報に整合するから、今回のステップC44は「YES」となってステップC45に進む。 よって、ミューティング状態フラグは引き続きオン状態に維持される。

    上記のようにフラグ設定処理においてミューティング状態フラグのオン状態が維持された場合には、出力・表示灯制御(図10)では、引き続きステップD11が「YES」となって、ステップD15,D16が実行される。 よって、表示灯15,25の点灯状態や出力のオン状態も維持される。

    以下、g,h,iの各時刻がステージ3に含まれるものとすると、これらの時刻でのフラグ設定処理でも、時刻fのときと同様に、ミューティングパターンテーブル内の最初の比較対象の情報(最も古い情報)との間の整合性が認められずに比較対象の情報が削除される。 この後に新たに比較対象となった情報との整合性が確認されるとステップC45に進む。

    一方、j,k,m,n,p,q,rがステージ3に含まれる場合には、これらの時刻に生成された検出パターン情報に対しては、1回目のステップC43で比較対象の情報との整合性を確認することができる。

    上記のように、ステージ3においては、安全管理用センサ100での毎時の検出パターン情報について、ミューティングパターンテーブルから整合する情報を抽出することができるから、ステージ3に入った直後にオン設定されたミューティング状態フラグを維持することができる。 よって、表示灯15,25の点灯状態や出力のオン状態も維持される。

    <ステージ4>
    このステージ4では、ワークWはミューティング用センサ200の検出エリアを抜けるが、安全管理用センサ100の検出エリアにはまだワークWが含まれた状態にある。 よって、ミューティング用センサ200は全光軸入光状態に戻るが、安全管理用センサ100には、遮光状態の光軸が存在する。

    ステージ4でも、初期状態確認処理(図7)では、ステージ3と同様に、ステップC21が「YES」となり、他のステップを実行せずにミューティングパターンの蓄積処理(図8)に進む。 つぎに、ミューティングパターンの蓄積処理では、ステップC31が「YES」となるため、具体的な処理を行うことなくフラグ設定処理(図9)に進む。

    フラグ設定処理では、ステップC41が「NO」となるので、ステージ3と同様に、自装置の現在の検出情報パターンによりミューティングテーブル内の情報を古いものから順に照合し、整合性が確認されると、ミューティング状態フラグのオン状態を維持する(ステップC42,43,44,45)。 また、比較対象のミューティングパターン情報が検出パターン情報に整合しない場合には、これを削除する処理(ステップC46)を実行する。

    上記のフラグ設定処理によりミューティング状態フラグのオン状態が維持されて出力・表示灯制御(図10)に進むと、ステージ3と同様に、ステップD11,D15,D16の流れで処理が進む。 よって、ステージ4でも表示灯15,25の点灯状態および出力のオン状態が維持される。

    <ステージ5>
    ステージ5では、ワークWが安全管理用センサ100の検出エリアから抜けて、安全管理用センサ100およびミューティング用センサ200の双方が全光軸遮光状態になる。 ただし、このステージ5に入った直後の初期状態確認処理(図7)では、まだミューティング状態フラグがオン状態であるため、ステップC21が「YES」となり、ステップC22以下を実行することなくミューティングパターンの蓄積処理に進む。 ミューティングパターンの蓄積処理でも、ステージ4と同様に実質的な処理を実行せずに、フラグ設定処理(図9)に進む。

    フラグ設定処理では、ステージ3,4とは異なり、ステップC41が「YES」となってステップC47に進み、ミューティング状態フラグがオン状態であるか否かをチェックする。 ステージ5に入った直後のステップC47は「YES」となるため、ステップC42に進んでミューティングパターンテーブルに情報が格納されているか否かをチェックする。 この段階のミューティングパターンテーブルには、少なくともステージ4の最後に比較対象となった情報(図5の9番目の情報)が残されているから、ステップC42は「YES」となってステップC43,C44が実行される。 しかし、現在の全光軸入光状態を示す検出パターン情報がミューティングパターン情報と整合することはないから、ステップC44は「NO」となってステップC46に進む。 これにより、ミューティングパターンテーブルに残っていた最後の情報が削除される。

    上記の削除処理によりミューティングパターンテーブルが空状態になると、つぎにステップC42に戻ったときの当該ステップの判定は「NO」となるので、ステップC48に進み、ミューティング状態フラグおよびミューティング許可フラグをオフ状態に設定する。

    上記のステップC48の実行により、その後の出力・表示灯制御では、ステップD11が「NO」となるため、表示灯15,25を消灯する(ステップD12)。 また、ステップD13が「YES」となるからステップD16に進み、出力をオン状態に設定する。

    この次に無限ループを実行したときの初期状態確認処理(図7)では、ステップC21が「NO」となった後、ステップC22,ステップC23,ステップC24が「YES」となる。 よってステップC24からステップC25に進んで、ミューティング許可フラグを再度オンに設定し、ミューティングパターンテーブルを初期化する(ステップC26)。 これにより、安全管理用センサ100は、起動直後の状態、すなわちステージ1に戻る。

    ここまでに説明したとおり、図6〜10に示した手順によれば、安全管理用センサ100の検出エリアが遮光された場合でも、その検出パターン情報に整合するミューティングパターン情報を見つけることができる間は、ミューティング状態が設定され、出力のオン状態が維持される。

    これに対し、動きのある物体が各センサの検出エリアを順に通過する場合には、当該物体が安全管理用センサ100の検出エリアに達するまではステージ1およびステージ2と同様の流れで処理が進められるが、当該物体が安全管理用センサ100の検出エリアに入ると、安全管理用センサ100の検出パターン情報とミューティングパターンテーブルに蓄積されたミューティングパターン情報との整合がとれない状態が生じる。 よって、図9のフラグ設定処理では、ステップC42,C43,C44,およびC46によるループが繰り返し実行され、所定の時点でミューティングパターンテーブルが空の状態となって、ステップC48に進む。 よって、ミューティング状態フラグおよびミューティング許可フラグがともにオフに設定される。 さらにこの後の出力・表示灯制御(図10)では、ステップD11が「NO」となって表示灯15,25を消灯する処理(ステップD12)を実行する。 また次のステップD13が「NO」となってステップD14に進み、出力をオフ状態に設定する。

    さらにこの後、物体により安全管理用センサ100の検出エリアが遮光されている間は、毎時の初期状態確認処理(図7)で、ステップC21,C22,C27がすべて「NO」となり、ミューティングパターンの照合処理やフラグ設定処理を実行することなく、出力・表示灯制御(図10)に移行する。 この制御ではステップD11〜D14が実行されるので、出力のオフ状態および表示灯15,25の消灯状態が維持される。

    このように、安全管理用センサ100の検出パターン情報に、ミューティング用センサ200に生じたのとは異なる変化が表れた場合には、ミューティング状態は設定されずに、出力がオフ状態に設定される。 よって、人体など動きのある物体が危険領域に入った場合にも、安全を確保することが可能になる。

    また、ミューティング用センサ200の検出エリアに何らかの物体が入った後に、当該物体が安全管理用センサ100の検出エリアに入ることなく、進行方向を逆転させてミューティング用センサ200の検出エリアから出た場合には、ミューティングパターンテーブルには物体の動きに応じたミューティングパターン情報が蓄積される。 しかし、このケースではミューティング状態フラグがオンに設定されることはないので、物体がミューティング用センサ200の検出エリアから出て、再び各センサが全光軸入光状態になると、初期状態確認処理(図7)のステップC21が「NO」、ステップC22が「YES」、ステップC23が「YES」、ステップC24が「NO」となった後に、ステップC26に進み、ミューティングパターンテーブルが初期化される。

    上記によれば、ミューティング用センサ200のみが遮光されたことにより、ミューティングパターンテーブルにノイズとなる情報が蓄積された場合には、これを速やかに削除することができる。 よって、その後にワークWまたはワークW以外の物体が各センサ100,200の検出エリアを通過した場合に、安全管理用センサ100において、現時点の自装置の検出パターン情報とは無関係の情報との無駄な照合が行われるのを防止することができる。 また、上記の物体により、ミューティング用センサ200および安全管理用センサ100の双方が遮光された後に、物体が逆戻りした場合も同様に、当該物体がミューティング用センサ200の検出エリアを出たときにミューティングパターンテーブルがクリアされ、ノイズとなる情報が除去される。 よって、安全管理用センサ100で遮光状態の光軸が検出された場合に、ミューティング状態を設定すべきか否かの判定を速やかに精度良く行うことができ、安全性を確保することができる。

    上記の実施例によれば、形状や大きさが異なる複数種のワークWを危険領域に搬入する場合にも、各センサ100,200間の間隔が各ワークWの長さの最小値より短くなるようにしておけば、いずれのワークWが搬入された場合でも、上記の手順でミューティング状態を設定することができる。 よって、搬入されるワークWの種類が変わっても、容易に対応して、ミューティング状態を設定することができる。

    なお、図9のフラグ設定処理のステップC43において、最新の検出パターン情報とミューティングパターン情報とを比較する場合には、両者が完全一致した場合のほか、入光状態の光軸と遮光状態の光軸との境界位置のずれを所定の範囲で許容して、両者の整合性を判断するのが望ましい。 このようにすれば、搬送路の振動などによって、ワークWにより遮光される光軸がずれたり、受光素子の感度のばらつきによって、受光量が入光のレベルに達する光軸がずれた場合などに対応でき、安定した判定処理を行うことができる。
    なお、上記の許容範囲については、あらかじめ複数のワークWをテスト搬送して、各ワークWに対するセンサ間の入光・遮光パターンのずれを検出し、その検出結果に基づき定めることができる。

    一方で、安全性をより高めるには、事前に、危険領域への搬入が許可されたワークWを流して、その間にミューティング用センサ200に生じた検出パターン情報を基準データとして登録し、システムの稼働時にミューティング用センサ200から送信されるミューティングパターン情報の変化が基準データに整合しない状態になったときは、ミューティング状態を設定しないようにするのが望ましい。 たとえば、ミューティングパターンの蓄積処理において、遮光状態を表すミューティングパターン情報を対象に、図9のステップC42〜46に準じたアルゴリズムにより基準データとの照合を行い、ミューティングパターン情報が基準データに整合していないと判断したときに、ミューティングパターンテーブルをクリアすれば、フラグ設定処理においても、安全管理用センサ100側の検出パターン情報に整合するミューティングパターン情報を抽出できない状態になる。
    よって静止物体でも、搬入が許可されていない物体に対してはミューティング状態が設定されるのを防止することが可能になる。

    または、上記の基準データをミューティング用センサ200に登録し、ミューティング用センサ200側で自装置の検出パターン情報と基準データとを照合して、基準データとの整合が確認された検出パターン情報をミューティングパターン情報として安全管理用センサ100に送信してもよい。 いずれの方法をとる場合にも、複数種のワークの基準データを登録することができる。

    つぎに、ここまでは、図6のステップAの起動処理では、出力回路26からの出力および各フラグの初期値をオフ状態にすることを前提として説明したが、実際には、センサ100,200のいずれかの検出エリアにワークWが含まれたまま、各センサ100,200および搬送路Lが停止した場合を考慮して、図12に示すような手順が実行される。

    この起動処理では、電源投入に応じて出力回路26からの出力をオフに設定する(ステップA101)が、ミューティング許可フラグ、ミューティング状態フラグ、およびミューティングパターンテーブルについては、直ちにクリアせずに、前回のデータを維持したまま、以下の処理を実行する。

    まず、自装置の各光軸に対する検出処理およびミューティングパターン情報の入力を1回ずつ実行する(ステップA102,A103)。 ステップA102,A103は、それぞれ図6のステップBおよびステップC1と同様の処理であり、これにより電源投入直後の各センサ100,200における入光/遮光のパターンを示す検出パターン情報が生成される。

    ここで、各センサ100,200とも、全光軸入光状態を示す検出パターン情報が生成された場合には、ステップA104が「YES」となってステップA111に進み、ミューティング許可フラグおよびミューティング状態フラグの双方をオフに設定する。

    一方、前出のステージ2,3,4のいずれかの状態で各センサ100,200が起動した場合には、ステップA104が「NO」となる。 ここで、安全管理用センサ100に遮光状態の光軸があり(ステップA105が「YES」)、ミューティング許可フラグおよびミューティング状態フラグがともにオン状態であれば(ステップA106が「YES」)、前回の電源遮断がミューティング状態下で行われた可能性が高い。 よって、この場合には、ステップA102で得た自装置の検出パターン情報を作業用メモリ内の保存情報と照合する。 またミューティング用センサ200からその作業メモリ内の情報の送信を受け付けて、送信された情報をステップA103で入力したミューティングパターン情報と照合する。 そして、それぞれの照合で各情報の整合が確認されると(ステップA107が「YES」)、ミューティング許可フラグおよびミューティング状態フラグの設定を維持する(ステップA108)。

    安全管理用センサ100は全光軸入光状態であるが、ミューティング用センサ200に遮光状態の光軸がある場合(ステップA105が「NO」)には、ステージ2の状態で電源が遮断された可能性が高い。 よって、この場合には、ミューティング許可フラグがオンで、ミューティング状態フラグがオフであれば(ステップA109が「YES」、ステップA110が「NO」)、ステップA107に進み、前記と同様の照合処理を行う。 そして、各センサ100,200の入光/遮光のパターンがそれぞれの保存情報に整合すれば(ステップA107が「YES」)、ステップA108に進んで、各フラグの設定を維持する。

    上記に対し、入光/遮光のパターンとフラグの設定とが整合しない場合(ステップA106が「NO」、またはステップA109が「NO」、またはステップA110が「YES」の場合)や、各センサ100,200の入光/遮光のパターンが保存情報に整合しない場合(ステップA107が「NO」の場合)には、ステップA111に進み、各フラグをオフに設定する。

    ここで、センサの起動時に、上記図12のような手順を実行する理由について説明する。 ステージ2,3,4の状態で搬送ラインや各センサ100,200の電源が落とされた後の再起動の際に、原則どおりミューティング許可フラグやミューティング状態フラグをオフに設定すると、再起動後の無限ループでは、初期状態確認処理(図7)のステップC21,C22,C27が「NO」となって出力・表示灯制御(図10)に進むため、ミューティング許可フラグをオン状態にする処理(ステップC25)を実行することができない。 このため、ワークWをステージ1の状態にまで戻して各センサ100,200を全光軸入光状態にしてステップC25を実行しなければ、このワークWに対してはミューティング状態が設定されず、出力がオフ状態になってしまう。

    しかし、この実施例の安全管理用センサ100では、ステップBの検出処理で生成された検出パターン情報やステップC1で取得したミューティングパターン情報、ならびに各フラグを処理回路20の不揮発性メモリに保存するので、電源を落としてもこれらのデータは維持される。 よって図12の手順によれば、ステージ2,3,4の状態下で搬送ラインや各センサの電源が落とされても、再起動の直後に、ミューティング許可フラグおよびミューティング状態フラグを電源遮断前の設定に復活させることができる。 よって、再起動後にワークWを逆戻りさせなくとも、ミューティング状態を設定することが可能になり、利便性や作業効率を高めることができる。

    なお、上記の実施例のように、ミューティング用センサ200側で1サイクル分の検出処理を実行する都度、その処理により生成された検出パターン情報をミューティングパターン情報として安全管理用センサ100に送信する場合には、各センサ100,200間の通信により両者の検出処理のタイミングを合わせるように設定するのが望ましい。 ただし、センサ100,200間で検出のタイミングを合わせることは必須ではなく、たとえば、安全管理用センサ100側でステップC1を実行するタイミングになったときに、安全管理用センサ100からミューティング用センサ200に送信要求を出し、その時点のミューティング用センサ200における最新の検出パターン情報をミューティングパターン情報として送信するようにしてもよい。

    また、安全管理用センサ100側でミューティングパターン情報を蓄積する方法に代えて、ミューティング用センサ200で自装置の検出パターン情報を蓄積し、安全管理用センサ100に遮光情報の光軸が生じたときに、安全管理用センサ100からミューティング用センサ200に送信要求を出し、これに応じてミューティング用センサ200からミューティングパターン情報を送信してもよい。 この場合、たとえば、前出の図9のアルゴリズムに準じてミューティング用センサ200から蓄積情報の中で最も古いものを送信し、安全管理用センサ100側で送信された情報と自装置の検出パターン情報とを照合し、両者が整合すると判断した場合にミューティング状態フラグをオンにすればよい。 また、送信情報が安全管理用センサ100側の検出パターン情報に整合しなかった場合には、安全管理用センサ100からミューティング用センサ200に当該情報の削除命令を出し、ミューティング用センサ200でこれに応じた削除処理を行えばよい。

    以下、安全管理用システムについて想定されるその他の実施態様を説明する。
    まず、各センサ100,200の投光器および受光器は、垂直に起立させるのが原則であるが、設置スペースなどの事情によっては、投光器および受光器をやや斜めに傾けた状態で設置してもよい。

    また、上記の実施例では、各センサ100,200の光軸数を同数(15個)としたが、検出対象のワークWの形状が複雑でない場合には、ミューティング用センサ200の光軸数を安全管理用センサ100より少なくしてもよい。 この場合にも、たとえば安全管理用センサ100に、センサ100,200間の光軸の対応関係を示すテーブルを登録しておけば、安全管理用センサ100での検出パターン情報とミューティングパターン情報との整合性の確認に特段の支障は生じない。

    また、上記図9,10の手順によれば、安全管理用センサ100が遮光状態になると同時にミューティング状態を設定することができるが、これに代えて、安全管理用センサ100が遮光状態になった直後はミューティング状態フラグおよび出力をオフとし、複数サイクル分の検出パターン情報につき、それぞれ整合するミューティングパターン情報を抽出することができたときに、ミューティング状態を設定してもよい。

    つぎに、上記の実施例では、各センサ100,200が全光軸状態となったときにミューティングパターンテーブルをクリアするようにしたが、このような処理を適用するには、安全管理用センサ100とミューティング用センサ200との間隔をワークWの想定される長さより短くする必要がある。 センサ100,200間の間隔をワークWの長さを考慮せずに定めたい場合には、ミューティングパターンテーブルの蓄積情報を削除せずに相当期間維持するのが望ましい。 しかし、この場合にも、安全管理用センサ100が遮光状態となった時点を所定期間遡った時点より後に蓄積されたミューティングパターン情報を対象に、安全管理用センサの検出パターン情報との照合を行うことで、処理が遅延するのを回避することができる。 また、ここで遡る期間は、搬送路Lの速度やセンサ100,200間の距離に基づき定めることができる。

    つぎに、上記実施例のシステムでは、安全管理用センサ100、ミューティング用センサ200とも、コンピュータによる処理回路10,20を持たせるようにしたが、これに代えて、安全管理用センサ100側の処理回路10,20でミューチング用センサ200に対する制御まで行うようにしてもよい。 または、各センサ100,200の外部に、これらを制御するコンピュータを設けてもよい。

    また、上記実施例のシステムでは、安全管理用センサ100およびミューティング用センサ200を1つずつ配備したが、安全管理用センサ100を複数配備し、これらの安全管理用センサより上流位置にミューティング用センサ200を1つ設けてもよい。 この場合にも、ミューティング用センサ200から各安全管理用センサ100にミューティングパターン情報を送信し、安全管理用センサ100毎に、自装置の検出パターン情報とミューティングパターン情報との整合性を判定して、ミューティング状態の設定を行うことができる。 また1つの危険領域に対し、ワークWの搬送路が複数設けられる場合には、これらの搬送路毎に安全管理用センサ100およびミューティング用センサ200を配備し、各安全管理用センサ100からの出力信号の論理和により機械への電源供給を制御する。

    また、図13に示すように、危険領域Rへの経路Lにおいて、安全用センサ100の両側にそれぞれミューティング用センサ200A,200Bを配備することにより、危険領域RへのワークWの搬入および危険領域RからのワークWの搬出の双方に対応することもできる。 なお、この実施例でも、各センサ100,200A,200Bは、ワークWの長さより短い間隔をおいて配備される。

    この実施例においては、安全用センサ100は、双方のミューティング用センサ200A,200Bからミューティングパターン情報を入力するが、先に遮光状態を示した方のミューティング用センサからの入力を有効とし、他方のミューティング用センサからの入力を無効として、有効化された入力をミューティングテーブルへの蓄積対象として、図7〜10に準じた処理を実行する。 これにより、安全用センサ100における検出パターン情報が有効化されたミューティング用センサからのミューティングパターン情報に整合すれば、安全用センサ100からの出力およびミューティング状態フラグがオン状態となる。 また、この実施例では、有効化されたミューティング用センサおよび安全管理用センサ100に続いて、有効化されなかったミューティング用センサでも遮光状態が生じるが、この遮光状態を示すミューティングパターン情報がミューティングパターンテーブルに蓄積されることはなく、当該センサが遮光状態から全入光状態に復帰するまで、当該センサからの入力の無効化状態を維持するようにしている。

    図7〜10の手順によれば、有効化された方のミューティング用センサおよび安全管理用センサ100の双方が遮光状態から全入光状態に復帰したときにミューティングパターンテーブルがクリアされた状態になる。 したがって、無効化された方のミューティング用センサの無効化が解除された後に、次に遮光状態となったミューティング用センサからのミューティングパターン情報が有効にされて、ミューティングパターンテーブルに蓄積されることにより、ミューティングパターンテーブルの内容は、最新のワークWの動きに対応したものになる。

    上記の処理に関して、ワークWが危険領域Rに搬入されて処理された後に、危険領域Rから搬出される場合を例に説明すると、搬入時には、ミューティング用センサ200A、安全用センサ100、ミューティング用センサ200Bの順に遮光状態となる。 安全用センサ100では、先に遮光状態となったミューティング用センサ200Aからのミューティングパターン情報を蓄積し、自装置における検出パターン情報と照合することにより、ワークWを判別する。 この後、ワークWがセンサ200A,100の検知エリアを抜けると、ミューティングパターンテーブルがクリアされ、さらに、ワークWがセンサ200Bの検知エリアを通過すると、センサ200Bからの入力の無効化状態が解除される。

    つぎに、物体が危険領域Rから搬出されると、ミューティング用センサ200B、安全用センサ100、ミューティング用センサ200Aの順に遮光状態となるので、安全用センサ100では、先に遮光状態となったミューティング用センサ200Bからのミューティングパターン情報を蓄積し、自装置における検出パターン情報と照合することにより、ワークWを判別する。 この後、ワークWがセンサ200B,100の検知エリアを抜けると、ミューティングパターンテーブルがクリアされ、さらに、ワークWがセンサ200Aの検知エリアを通過すると、センサ200Aからの入力の無効化状態が解除される。

    このように、ワークWが危険領域Rに近づく方向または危険領域Rから離れる方向に移動する都度、その移動を最初に検出したミューティング用センサからのミューティングパターン情報が蓄積されて、安全用センサ100における検出パターン情報と照合される。 よって、両者が整合すると判別されると、ミューティング状態を設定することが可能になる。

    なお、この実施例でも、各ミューティング用センサ200A,200Bから安全センサ100へのミューティングパターン情報の出力は、常時行う必要はなく、ミューティング用センサ200A,200Bにおいて、全光軸入光状態から遮光状態に変化したことを判別したときにミューティングパターン情報の出力を開始するようにしてもよい。
    また、上記の実施例において、ワークWの長さより大きな間隔を隔てて各センサ100,200A,200Bを配備する場合には、ミューティングパターンテーブルの蓄積情報を消去せずに維持し、無効化されたミューティング用センサを含む全てのセンサにおいて遮光状態から全光軸入光状態となったときに、ミューティングパターンテーブルをクリアするとよい。

    100 安全管理用センサ 200 ミューティング用センサ 101,201 投光器 102,202 受光器 10,20 処理回路 11 発光素子(LED)
    21 受光素子(フォトダイオード)
    14,24 通信回路 26 出力回路

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