【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、継目なしFRP箱体の製造方法に関するもので、上水道の屋上タンク、耐薬品性の各種容器、あるいは土中に埋設する各種タンク類や墓地における納骨箱等の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】樹脂層とガラス繊維層とを交互に積層するFRP躯体の製造方法は、船体の製造や各種タンク類の製造で実施されている。 その製造方法は船体とかタンクの形状に作られた内型又は外型に対して不飽和ポリエステル樹脂等の液状樹脂を塗布し、ガラス繊維をそれに接着すると共に樹脂を含浸させて硬化させる工程を多数回繰返して所定の厚みの壁面を形成する方法である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に上水道の屋上タンクや墓地における納骨箱等に用いるFRP製の箱体であって、なかでも箱体内面に装飾機能をもたせたもの等の継目なし躯体を、樹脂層とガラス繊維層とを交互に積層して製造する場合の簡易かつ新規な方法を提供しようとするものである。 加えて、従来の固定成形型を用いる樹脂層とガラス繊維層との交互積層による製造方法が有している最大径線のナット締めや結合線の存在、二分割して作成された成形品を接着して製造する方法が有している接着合部の存在による強度面での不安定性を解消しようとするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】棒材1と接続具2とで所定形状の枠体3の形成工程、枠体外方に布帛等の縫製等により箱体膜4を形成する工程、箱体膜の表面に樹脂層5とガラス繊維層6とを交互に積層する工程、積層途中において枠体3を解体除去する工程とからなる継目なしFRP箱体の製造方法とした。 この継目なしFRP箱体の製造方法は、枠体3の外周に枠体解体時の樹脂との剥離可能な皮膜を形成すると共に、箱体膜4を伸縮性布帛被覆にするのが好ましい。 【0005】 【作用】このような製造方法によると、内型を用いないでも、所定形状の枠体3へ布帛等で形成された箱体膜4 が樹脂層の形成過程では内型に代わる機能を持つ。 このとき、箱体膜4が伸縮性布帛被覆であると、枠体外周に密着して添う。 また、樹脂層5とガラス繊維層6の積層過程または積層後は、枠体3を解体除去すると箱体膜4 が箱体内面に一体化されて装飾機能を持つこととなる。 更に、枠体3の外周に樹脂との剥離可能な皮膜を形成していると、枠体が容易に解体できる。 解体された枠体3 は再び組立ててその外方へ布帛等で箱体膜4を形成すると、同じ継目なしFRP箱体を次々と必要なだけ量産することができる。 【0006】 【実施例】 (i)枠体の形成工程 図1に示したように、三方へ接続腕を有する8個のコーナー部接続具2と、箱体の縦横の各長辺と短辺とを形成する両側に接続手を有する長短12本の棒材1によって矩形の枠体3を形成した。 接続具2の接続腕には枠体の内側となる位置へ前記棒材1へ突出して設けられた接続手 1aのための接続凹部2a〜2cがあって、接続手1aを宛がってねじ止めした。 この枠体3のコーナーの三方外側面部分にはパラフィンを塗付け、バーナーによる加熱によって溶融し、パラフィン皮膜による枠体解体時の樹脂との剥離可能な皮膜を形成させた。 また、枠体3の外周には、図2に示したようにテープ9を貼って箱体を積層製作する過程で積層材と枠体の硬着を防止するようにした。 【0007】(ii)箱体膜の形成工程 上記枠体3の外方を美しい模様と経文を印刷した伸縮性のある(ニット地)化繊100%布帛によって、図3のように箱体外形となるように覆い、必要箇所を伸縮糸で縫合して箱体膜4とした。 この箱体膜4の被覆は予め箱体外形となるように縫製されたものの一部にフアスナーを設けておいて、枠体3に被覆した後、これを閉じるようにしてもよい。 【0008】(iii)樹脂の積層工程 (i),(ii)の作業後、箱体全面の布製箱体膜に透明性のある不飽和ポリエステル樹脂で硬化剤を配合したものを刷毛を用いて塗布浸透させた。 塗布した樹脂が硬化後に、 箱内への出入口7を除いた箱体全面にガラス繊維マットを密着させ、更に樹脂を含浸させて樹脂層5とガラス繊維層6の積層作業を行った。 この時、布帛等の美粧印刷を鮮明にするために使用樹脂に白色色素を混入する場合も可能である。 積層に使用するガラス繊維マットは正確に事前裁断し、その寸法は枠体外面の曲面において接続面と接合されるものとし、積層作業によるマットの伸展を曲面範囲で重層させるようにした。 また、樹脂の積層工程の作業時に出入口の口部材(別途製作の積層樹脂製品)8を所定位置に圧着(接着部分をグラインダー研磨) した。 接着部分は事後の積層によって重積層した。 【0009】(iv)枠体の解体除去工程 1回目のガラス繊維マットの積層後に枠体を解体除去した。 解体は内側のねじを外すと、総ての接続具2と棒材1が分解されるので出入口7から取り出した。 【0010】(v)仕上げ工程 その後に必要回数の樹脂層5とガラス繊維層6を積層し、積層終段は細い繊維のガラス繊維マットの使用、着色樹脂の混入によって製品外面の優美性を保ったものとし、全体の厚みをほぼ6mmとした。 【0011】 【発明の効果】本発明によって、継目なしFRP箱体、 すなわち、耐薬品性の各種容器、あるいは上水道の屋上タンクや土中に埋設する各種タンク類、墓地における納骨箱等を容易に製造可能とした。 特に、箱体の内面へ美粧を必要とする例えば納骨箱等では、効果的に絵や経文の装飾を箱内部の壁面へ施したものが製造できるようになった。 【図面の簡単な説明】 【図1】枠体の組立状態を示す斜視図である。 【図2】枠体の外周にテープを貼る工程の斜視図である。 【図3】枠体へ布製箱体膜を形成した様子を示す一部破断斜視図である。 【図4】完成品の一部破断斜視図である。 【符号の説明】 1 棒材 2 接続具 3 枠体 4 箱体膜 5 樹脂層 6 ガラス繊維層 7 出入口 8 口部材 9 テープ |