ノート及び用紙

申请号 JP2016140937 申请日 2016-07-16 公开(公告)号 JP2018008501A 公开(公告)日 2018-01-18
申请人 コクヨ株式会社; 株式会社BBSTONEデザイン心理学研究所; 发明人 中村 ちえ子; 村上 智子; 衣川 忍; 日比野 好恵;
摘要 【課題】使用者の視線誘導をさりげなく促し、仕事効率及び学習効率を高めることのできるノート及び用紙を提供する。 【解決手段】第一の観点に係るノートは、用紙の紙面に使用者の視線が一部の領域に停滞するのを抑制するための視線誘導用の目印を付してなる。また、第二の観点に係るノートは、紙面に行を示唆する罫線を施した用紙を具備してなるノートであって、罫線に斜めに交差する傾斜領域に沿って視線誘導用の目印を付してなる。また、第三の観点に係るノートは、紙面に左右方向に伸びる複数本の罫線を施した用紙を具備してなるノートであって、紙面の右上から左下に延びる傾斜領域に沿って視線誘導用の目印を付してなる。また、第四の観点に係る用紙は、紙面に、行を示唆する罫線と、前記罫線に斜めに交差する傾斜領域に沿って配置された視線誘導用の目印とを施してなる。 【選択図】図1
权利要求

用紙の紙面に使用者の視線が一部の領域に停滞するのを抑制するための視線誘導用の目印を付してなるノート。紙面に行を示唆する罫線を施した用紙を具備してなるノートであって、 前記罫線に斜めに交差する傾斜領域に沿って視線誘導用の目印を付してなるノート。紙面に左右方向に伸びる複数本の罫線を施した用紙を具備してなるノートであって、 前記紙面の右上から左下に延びる傾斜領域に沿って視線誘導用の目印を付してなるノート。前記視線誘導の目印が、少なくとも三本の罫線にそれぞれ重ねて配置されたものであって、 第一の目印が上段側に位置する罫線の右端に配置され、第二の目印が下段側に位置する罫線の左端に配置され、第三の目印が前記両罫線の中間に位置する罫線の左右方向中央に配置されている請求項3記載のノート。前記目印が、前記罫線の線幅よりも大きな直径を有する円形ドット状のものである請求項2乃至4のいずれかに記載のノート。前記罫線が、線部と空白部とを交互に配置してなる罫線本体と、この罫線本体に交差することなく前記空白部にそれぞれ対応させて前記罫線本体に近接配置された複数の補助線部とを備えたものである請求項5記載のノート。紙面に、行を示唆する罫線と、前記罫線に斜めに交差する傾斜領域に沿って配置された視線誘導用の目印とを施してなる用紙。紙面に使用者の視線が一部の領域に停滞するのを抑制するための視線誘導用の目印を付してなる印刷物。

说明书全文

本発明はノート及び用紙に関する。

ノートは、打合せや会議等の仕事内容、授業や勉強等の学習内容を書き記す用紙を複数束ねた文房具であって、現代の社会生活において欠くことのできないものである。また、用紙そのものについては、上記の通り束ねられてノートとして販売されているだけでなく、例えば束ねられていない状態、いわゆるルーズリーフとして販売されている。なおルーズリーフは、必要事項が記入された後、バインダー等の綴じ具によって束ねられて使用される。

一般に、ノートの用紙には、罫線と呼ばれる線が配置されており、使用者はこの罫線に沿って文字や図形等を記入していくことで文字等の大きさや向き等を整えながら記入していくことが可能となっている。

この種のノートとして、白紙の用紙、横罫線若しくは縦罫線を施した用紙、更には、罫線にドットを重畳させたノートが開発されている(例えば非特許文献1参照)。特に、下記非特許文献1に記載のノートは、文字を揃え、図形や表が描きやすくなり非常に有用な学習等の効果がある。

コクヨ株式会社、“ドット入り罫線とは−ドット入り罫線シリーズ−コクヨステーショナリー”、[online]、平成28年、コクヨ株式会社、[平成28年2月1日検索]、インターネット

確かに、上記非特許文献1に記載のノートの用紙は、文字を揃え、図形や表が描きやすくなり非常に有用な学習等の効果があるが、記入後の使用者における読み返し等の確認作業効率を向上させようとする試みについては未だ検討の余地が残る。

より具体的に説明すると、記入後の使用者のノートの読み返しは確認作業であるため、使用者の視線は無意識のうちに、用紙の一部の領域に集中してしまう可能性がある。視線が一部に集中してしまうと、その部分以外の部分には注意が行き届かず、読み返し回数の増加してしまうなどの原因により、確認作業の非効率性が生ずる。

一方で、使用者に視線誘導を促そうとする場合において、使用者に強く視線誘導を意識させてしまうと、その視線誘導に注意が向けられてしまう分、確認作業効率が悪くなってしまうといった課題がある。

そこで、本発明は、上記課題に鑑み、使用者の視線誘導をさりげなく促し、仕事効率及び学習効率を高めることのできるノート及び用紙を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行ったところ、用紙全体を満遍なく見ることができるように視線を誘導すること、これにより読み返しなどの確認作業効率を向上させることができる、具体的には仕事や学習をはかどらせることができる構成を見出し、本発明を完成させるに至った。

すなわち、本発明の第一の観点に係るノートは、用紙の紙面に使用者の視線が一部の領域に停滞するのを抑制するための視線誘導用の目印を付してなることを特徴とする。

また、本発明の第二の観点に係るノートは、紙面に行を示唆する罫線を施した用紙を具備してなるノートであって、罫線に斜めに交差する傾斜領域に沿って視線誘導用の目印を付してなることを特徴とする。

また、本発明の第三の観点に係るノートは、紙面に左右方向に伸びる複数本の罫線を施した用紙を具備してなるノートであって、紙面の右上から左下に延びる傾斜領域に沿って視線誘導用の目印を付してなることを特徴とする。

なお、本観点において、視線誘導の目印が、少なくとも3本の罫線にそれぞれ重ねて配置されたものであって、第一の目印が上段側に位置する罫線の右端に配置され、第二の目印が下段側に位置する罫線の左端に配置され、第三の目印が前記両罫線の中間に位置する罫線の左右方向中央に配置されていることが好ましい。

また、上記第二、第三の観点においては、目印が、前記罫線の線幅よりも大きな直径を有する円形ドット状のものであることが好ましい。さらに、この場合において、罫線が、線部と空白部とを交互に配置してなる罫線本体と、この罫線本体に交差することなく前記空白部にそれぞれ対応させて前記罫線本体に近接配置された複数の補助線部とを備えたものであることが好ましい。

また、本発明の第四の観点に係る用紙は、紙面に、行を示唆する罫線と、前記罫線に斜めに交差する傾斜領域に沿って配置された視線誘導用の目印とを施してなることを特徴とする。

以上、本発明は、使用者の視線誘導をさりげなく促し、仕事効率及び学習効率を高めることのできるノート及び用紙となる。

実施形態に係るノートの用紙の概略を示す図である。

実施形態に係るノートの用紙の一部拡大図である。

実施形態に係るノートの用紙における傾斜領域のイメージ図である。

実施形態に係るノートの用紙の他の一例を示す図である。

実施形態に係るノートの用紙の罫線の他の例を示す図である。

実施形態に係る用紙をルーズリーフとした場合の一例を示す図である。

実施例において用いた用紙(比較例)の概略を示す図である。

実施例におけるChangeBlindnessの結果を示す図である。

実施例における眼球運動測定の結果を示す図である。

実施例における眼球運動測定の結果を示す図である。

実施例における眼球運動測定の結果を示す図である。

実施例における作業検査で用いた比較用紙を示す図である。

実施例における作業検査で用いた比較用紙を示す図である。

実施例における作業検査の検査用紙を示す図である。

実施例における作業検査の結果を示す図である。

以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に記載された具体的な例示にのみ限定されるわけではない。

図1は、本実施形態に係るノート(以下「本ノート」という。)の用紙(以下「本用紙」という。)全体の概略を示す図である。

本図で示すように、本ノートは、一の観点から表現すると、用紙を備えており、本用紙の紙面には、使用者の視線が一部の領域に停滞するのを抑制するための視線誘導用の目印が付されている。

また、本ノートを別の観点から表現すると、紙面に行を示唆する罫線を施した用紙を具備してなるノートであって、罫線に斜めに交差する傾斜領域に沿って視線誘導用の目印が付されている。

また、本ノートを更に別の観点から表現すると、紙面に左右方向に伸びる複数本の罫線を施した用紙を具備してなるノートであって、紙面の右上から左下に延びる傾斜領域に沿って視線誘導用の目印が付されている。

図2に、本用紙の罫線及び視線誘導用の目印の一例の一部拡大図を示す。

まず、本用紙は、複数の罫線を等間隔で均等に配置している。これにより使用者は罫線に合わせて文字や図形、表等の位置や大きさを整えながら記入していくことができる。罫線の本数や長さ、各々の太さについては特に制限されず、通常市販されている程度の罫線配置を採用することができる。

また上記の通り、本用紙は、所定の位置に視線誘導用の目印が付されている。使用者はさりげなく視線誘導用の目印を追うことができ、視線が一部の領域に停滞するのを抑制し、視線の偏りを抑えて用紙全体を見渡すことができるよう改善されている。

本実施形態において、視線誘導用の目印としては、使用者が認識できる目印となるものである限りにおいて限定されるわけではないが、例えばドット(点)であることが好ましい。また、ドットの形状としては、限定されることなくさまざまな形状、例えば円形、三形や四角形等の多角形、星やキャラクターの図形等を用いることができるが、使用者に強く認識させずにさりげなく視線誘導を促すためには円形(円形ドット状)であることが好ましい。

また、視線誘導用の目印の大きさとしては、限定されるわけではないが、罫線とは異なることを意識させるため、例えば罫線の線幅よりも大きい長さ(円形状の場合は直径)を備えていることが好ましく、より好ましくは5倍以上である。一方で、あまりに大きすぎると使用者が強く認識してしまうため、罫線の線幅の30倍以下であることが好ましく、より好ましくは20倍以下である。又、複数の目印を付す場合に、目印の大きさを同じ大きさで構成しても良いが、異なる大きさで構成しても良い。

また上記の通り、本用紙において、視線誘導用の目印は、罫線に斜めに交差する傾斜領域に沿って付されていることが好ましい。傾斜領域の一例のイメージ図を図3に示しておく。

本用紙における傾斜領域は、上記の通り、罫線に対し斜めに交差する領域をいい、この領域を使用者にさりげなく意識させることで、視線が一部の領域に停滞するのを抑制し、視線の偏りを抑えて用紙全体を見渡すよう促すことができる。

またこの傾斜領域は、本用紙紙面の右上から左下に延びる形状となっていることが好ましい。この効果については後述の実験から明らかとなる一方、理論は推測の域にあるが以下のとおりと考える。

まず記入作業において、使用者は文字等を左から右に横方向(行)に沿って記載し、用紙の右端まで記載し終わったらその下の行の左端から改めて右端に向かって文字を記入していく。すなわち、この作業の軌跡はいわゆるジグザグとなっている。一方、この作業において使用者の視線は筆先に集中しているものであり、その視線も当然この軌跡と同じ軌跡をたどることになる。これは、記入された文字を読む場合も同様である。すなわち、視線を動かす方向は右上から左下への斜め方向であり、これを促進させることで、視線誘導を促すことができる。より具体的に説明すると、本用紙では、用紙全体として右上から左下に延びる傾斜領域を使用者に認識させることで、この使用者の右上から左下への視線の動きを促しやすくし、結果的に、視線が一部の領域に停滞するのを抑制し、視線の偏りを抑えて用紙全体を見渡すよう促すことができると考えられる。

また本用紙は、使用者に強く傾斜領域を意識させるのではなく、所定本数の罫線又はその近傍のみに視線誘導の目印を配置し、さりげなく傾斜領域を意識させる手法を採用している。具体的に説明すると、本用紙は、視線誘導の目印が、少なくとも3本の罫線上又は罫線の延長線上に配置されたものであって、第一の目印が、上段側に位置する罫線の右端に配置され、第二の目印が下段側に位置する罫線の左端に配置され、第三の目印が両罫線の中間に位置する罫線の左右方向中央に配置されている。このようにすることで、使用者は、右上から左下に傾斜が存在しているとさりげなく認識することが可能となる。又、第一及び第二の目印よりも第三の目印を若干小さく(例えば、第一及び第二の目印は直径1mm、第三の目印はそれよりも若干小さい直径0.8mm)している。このようにすることで、本用紙に記入する際や記入した内容を見返す際に、目印が使用者の目障りとはならないようにしている。更に、本用紙の線幅は、0.05mmを採用しており、第一及び第二の目印は線幅の20倍、第三の目印は線幅の16倍となっている。

本用紙は、上記傾斜領域を認識させることができればよく、これに限定されるわけではないが、例えば、視線誘導の目印が、少なくとも三本の罫線にそれぞれ重ねて配置されたものであって、第一の目印が上段側に位置する罫線の右端に配置され、第二の目印が下段側に位置する罫線の左端に配置され、第三の目印が前記両罫線の中間に位置する罫線の左右方向中央に配置されていることが好ましい。この場合において、第一の目印が配置された罫線と第二の目印が配置された罫線の間、第二の目印が配置された罫線と第三の目印が配置された罫線の間には他の罫線が複数配置されていてもよい。目印間に複数の罫線を配置させることで傾斜領域の罫線の遠心方向に対する角度を所望の範囲に調整させることができ、効果をより高める調整が可能となる。なお本用紙において、傾斜領域の角度としては、限定されるわけではないが、罫線の延伸方向と傾斜領域のなす角度として40度以上80度以下であることが好ましく、より好ましくは70度以下である。

以上、本ノート及び本用紙は、使用者の視線誘導をさりげなく促し、仕事効率及び学習効率を高めることができる。

ところで、本実施形態では、わかりやすく説明する観点から、罫線を単純な直線のみのものを用いて説明したが、本用紙の効果を達成することができる限りにおいて罫線には様々な形状を採用することができる。例えば、図4で示すように、罫線が、線部と空白部とを交互に配置してなる罫線本体と、この罫線本体に交差することなく空白部に対応させて罫線本体に近接配置された複数の補助線部とを備えたものとすることも好ましい一例である。このようにすれば、ドットを用いずとも補助線部によって文字等の配置をより整えることができるとともに、視線誘導の目印と明確に区別することが可能となる。また、罫線本線と補助線とはともに線であるため、ドットと線の間の物理的輝度差をできる限り抑えることができ視覚的負担を少なくできるといった効果がある。より具体的に説明すると、記入後の使用者のノートの読み返しは確認作業であるため、使用者の視線は無意識のうちに、用紙の一部の領域に集中してしまう可能性がある。視線が一部に集中してしまうと、その部分以外の部分には注意が行き届かず、読み返し回数の増加につながるなどの原因により、確認作業の非効率性が生ずるため、本実施形態ではこれを軽減することができる。なお、補助線においても、本図で示すものに限られず、上記の応用として補助線部の他の例について図5に示しておく。例えば図5(a)は、補助線部が罫線本体の空白部の下側に横の短線を配置したことによる例であり、(b)は、補助線部が罫線本体の空白部の上下両側に縦の短線をそれぞれ配置したことによる例であり、(c)は、補助線部が罫線本体の空白部の上下両側に縦の線を配置し、方形の領域を形成した例であり、(d)は、補助線部が罫線本体の空白部の上下両側に横の短線をそれぞれ配置したことによる例である。すなわち、罫線本体と、この罫線本体に交差することなく空白部に対応させて罫線本体に近接配置された複数の補助線部とを備えたものとすることで様々な応用が可能となる。

また、本実施形態では、わかりやすく説明する観点からノートを基本に説明しているが、用紙を複数枚束ねたノートだけではなく、リングで綴じたノート、バインダーで綴じることができるよう用紙自体に複数の孔を空けたいわゆるルーズリーフやレポートパッドとしても用いることができ、その他の形態の用紙としても用いることができるのはいうまでもない。なおルーズリーフの一例を図6に示しておく。更に、帳票類や原稿用紙、テスト用紙その他の1枚の用紙、又、製本に供される用紙にも適用することができる。更に、横書きのノートや用紙に限られず、縦書きのノートや用紙にも適用することができる。また、広告紙、教材やビジネス書のような印刷物に適用しても良い。

ここで、上記ノート、用紙の効果を確認するため、様々な実験を行った。この実験について以下具体的に説明する。

(用紙の準備) まず、本発明の効果を確認するために、(1)紙面に複数の罫線(29行(上端及び下端の太罫線を除く))が配置された市販の用紙(用紙1)、(2)上記(1)と同様であるが、第5行目の右端、第15行目の中央、第25行目の左端にそれぞれ円形ドット形状の視線誘導用の目印を付した用紙(用紙2)、(3)上記(2)と同様であるが、各罫線に線部と空白部とを交互に配置してなる罫線本体と、この空白部の下方に近接して配置された補助線部とを備えた用紙(用紙3)をそれぞれ準備した。なお、用紙2は上記図1で示されるものであり、用紙3は上記図4で示されるものである。また、用紙1については図7に示しておく。

(Change Blindness及び眼球運動測定) ここで、上記用紙1、2、3を用い、Change Blindness及び眼球運動の測定を18歳から20歳までの男女各10名の合計20名に対して行った。具体的には、Change Blindnessに関しては、用紙1、2、3それぞれの罫線上に英単語等の文字群や数式を20個程度全体に分散させて配置し、(A)被験者に対しこの記入された用紙を短時間(0.8秒程度)見せ、その後(B)ブランクを短時間表示させた(0.3秒程度)後、(C)一度見せた用紙の一部の文字等を変化させた用紙を短時間(0.8秒程度)見せ、(D)再びブランクを短時間(0.3秒程度)入れ、上記(A)〜(D)の作業を繰り返し、(A)と(C)の違いに気づくまでの時間を測定した。また、その際の眼球運動(視線がどの位置にあるのか)についても測定を行った。図8に、用紙1、2、3におけるChange Blindnessの結果を、図9に用紙1における眼球運動測定の結果を、図10に用紙2における眼球運動測定の結果を、図11に用紙3における眼球運動測定の結果を、それぞれ示しておく。

まず、Change Blindnessの結果によると、用紙1の場合は12.3秒であったのに対し、用紙2の場合は9.9秒、用紙3の場合は9.1秒と、大幅に短縮されている。すなわちより集中して答えを出せていることが確認できた。

また、眼球運動測定の結果では、用紙2、3の場合には全体的に視線は横方向の動きの傾向が強いのに対し、用紙1の場合には縦方向の動きの傾向が強いという結果が得られた。一方、用紙2、3では、用紙1に比して、文字に対する視点の停留時間が長く、よりじっくり見るという傾向も見られた。この結果によると、用紙2、3のように斜線領域を設けて視線誘導を行った結果、視線の誘導をうまく促すことができていることを確認した。

(作業検査) 一方、上記準備した用紙3、罫線にドットを用いた図12に示す既存のノート用紙(比較用紙1)罫線の態様を図13に示す既存のノート用紙(比較用紙2)、を用い、被験者に対し内田クレペリン検査を基本としてこれに改良を加えた作業検査を18歳から20歳までの男女各10名の合計20名に対して行った。この作業検査では、作業の開始からその終了までの時間と誤答数を測定し、作業効率と集中度の指標として確認した。より具体的には、例えば図14で示されるように、用紙の最上段の行に左端から間隔をおいて一桁の数字を複数配置し、この下の行に上段の隣り合う数字同士の和をそれら二つの数字の間にあたる箇所に記入させ(和が二桁になる場合は一の位の数字のみを記入)、その下の行もこれと同様に隣り合う数字の和を記入させる。例えば、最上段の行に「4536764891378926」と記載されているならば、被験者はその次の行である二行目に「989330270405718」と記入する。以降、被験者が記入を終えた行の数字の列について、同様の計算及びその次の行への結果の数字の記入を反復的に行わせる。最終的に、被験者はある行に一つの数値を記入して作業を終える。この結果を図15に示しておく。

この結果、比較用紙2においては、132.3秒、誤答数は7となった。また、比較用紙1において131.9秒、誤答数は3となった。これに対し、用紙3においては、127.2秒であり、誤答数は0回であった。この検査では、各用紙において2000回以上行われたことになるが、比較用紙1で多少の効率上昇が見られたものの、用紙3では間違いがなかったという驚異的な結果となった。また比較用紙1、2の誤答に関し、誤答数そのものではなく、誤答をした被験者の数に注目して分析(カイ2乗検定)を試み、誤答のなかった用紙3と比較用紙を比較したところ、用紙3の方が誤答をした被験者が統計的に有意に少ないといった結果(p=0.017)を得ることができた。この結果は、用紙3の方がより集中を高めていることができるのを意味している。

以上の結果から、本発明に係る用紙及びこれを用いたノートは、公知の罫線を配置した用紙に比べ、作業効率、集中力の向上があると認められた。また、本実施例の用紙は視線誘導用の目印を数点配置するだけの構成であり、被験者はストレスを感じることなく、さりげなく視線誘導を促されていることを確認した。

本発明は、ノート及び用紙として産業上利用可能性がある。

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