サーモグラフィ蛍光体を組み込む物品、ならびにそのような物品を認証するための方法および装置

申请号 JP2014552367 申请日 2013-01-14 公开(公告)号 JP2015505111A 公开(公告)日 2015-02-16
申请人 ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド; 发明人 ラポポート,ウィリアム・ロス; ケーン,ジェームズ; ラウ,カーステン; パテール,チラグ; クロイター,ジャック・スティーヴン;
摘要 実施形態は、物品上または物品内に組み込まれているサーモグラフィ蛍光体(例えば、Er:YIG)を識別するための方法および装置を含む。方法および装置の実施形態は、サーモグラフィ蛍光体の吸収帯内の励起エネルギに物品を選択的にさらす励起エネルギジェネレータを含む。放出された放射検出器は、物品が第1の 温度 を有するときに、サーモグラフィ蛍光体の放出帯内で、物品からの第1の放出された放射の第1の放出特性を検出し、物品が第1の温度とは異なる第2の温度を有するときに、放出帯内で、物品からの第2の放出された放射の第2の放出特性を検出するように構成される。温度調節要素は、物品の温度を調節するように構成される。実施形態は、第1の放出特性が第2の放出特性から十分に異なるかどうかを決定する処理システムをさらに含む。
权利要求
  • 物品上に、または前記物品内に組み込まれた発光材料を識別するための方法であって、
    前記物品を前記発光材料の吸収帯内の励起エネルギに選択的にさらすステップと、
    前記物品が第1の温度を有するときに、前記発光材料の放出帯内で、前記物品からの第1の放出された放射の第1の放出特性を検出するステップと、
    前記物品が前記第1の温度とは異なる第2の温度を有するときに、前記放出帯内で、前記物品からの第2の放出された放射の第2の放出特性を検出するステップと、
    前記第1の放出特性が前記第2の放出特性から十分に異なるかどうかを決定するステップとを含む方法。
  • 前記物品を前記励起エネルギに選択的にさらすステップが、
    前記第1の温度を有する前記物品の部分と一致する前記物品の前記部分を、第1の時間期間の間、前記励起エネルギに第1にさらすステップと、
    前記第1の放出特性を検出するステップの前に、前記第1にさらすステップを停止するステップと、
    前記第2の温度を有する前記物品の前記部分と一致する前記物品の前記部分を、第2の時間期間の間、前記励起エネルギに第2にさらすステップと、
    前記第2の放出特性を検出するステップの前に、前記第2にさらすステップを停止するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
  • 前記第1の温度および前記第2の温度のうちの少なくとも1つが、温度調節要素の能動的な制御を介して達成される温度であり、
    前記温度調節要素を能動的に制御して、前記第1の温度および前記第2の温度のうちの前記少なくとも1つに到達するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  • 前記第1の温度と前記第2の温度が、摂氏約±5度から摂氏約±15度の範囲の温度差で、互いと異なっている、請求項1に記載の方法。
  • 前記第1の放出特性が前記第2の放出特性から十分に異なるかどうかを決定するステップが、前記第1の温度と前記第2の温度の間で1度の差毎に、前記第1の放出された放射の第1の強度が、前記第2の放出された放射の第2の強度から少なくとも約1パーセント異なるかどうかを決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  • 前記第1の放出特性が前記第2の放出特性から十分に異なるかどうかを決定するステップが、前記第1および前記第2の放出された放射(344)の強度が温度に対して反比例関係を呈するかどうかを決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  • 前記第1の放出特性が前記第2の放出特性から十分に異なるかどうかを決定するステップが、前記第1および前記第2の放出された放射(344)の減衰時定数が、温度に対して反比例関係を呈するかどうかを決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  • 前記吸収帯が鉄の吸収帯であり、前記放出帯がエルビウムの放出帯である、請求項1に記載の方法。
  • 温度調節要素(314)に近接した物品(100)の温度を調節するように構成される、温度調節要素(314)と、
    前記物品(100)に励起エネルギ(342)を提供するように構成される励起エネルギジェネレータ(304)であって、前記励起エネルギ(342)が、前記物品(100)が本物であるときに存在することが期待される発光材料の吸収帯に対応する、励起エネルギジェネレータ(304)と、
    前記物品(100)が第1の温度を有するときに、前記発光材料の放出帯内で、第1の放出された放射(344)の第1の放出特性を検出し、
    前記物品(100)が前記第1の温度とは異なる第2の温度を有するときに、前記放出帯内で、第2の放出された放射(344)の第2の放出特性を検出する ように構成される、放出された放射検出器(306)と、
    前記第1の放出特性が前記第2の放出特性から十分に異なるかどうかを決定するように構成される処理システム(302)とを備える装置。
  • 媒体と、
    前記媒体内に分散されたサーモグラフィ蛍光体の粒子(130)とを含む、認証の特徴(110、120)
    を備える物品(100)。
  • 说明书全文

    優先権主張
    [0001]本出願は、2012年1月17日に出願された、米国特許仮出願第61/587,427号の利益を主張する。

    [0001]本発明は、一般的に、放射線放出化合物ならびにセキュリティ材料としてそれらを使用するための方法および装置に関する。

    [0002]発光蛍光体化合物は、外部エネルギ源による化合物の励起の際に、赤外、可視、および/または紫外スペクトルで、検知可能な量の放射線を放出することができる化合物である。 典型的な発光蛍光体化合物は、少なくとも母材(例えば、結晶格子)、(例えば、希土類金属の)放出イオン、および場合によって、(例えば、エネルギを吸収し、エネルギを放出する希土類金属イオンに伝達することができる、遷移金属または異なる希土類金属の)「増感」イオンを含む。 蛍光体化合物による放射線の生成は、放出イオン(複数可)または母材および増感イオン(複数可)のいずれかもしくは両方により入射放射線を吸収することと、その後に続く、母材/増感イオン(複数可)から放出イオン(複数可)にエネルギを伝達すること、放出イオン(複数可)により伝達されたエネルギを放射することによって達成される。

    [0003]蛍光体化合物の選ばれた構成要素が、化合物の励起エネルギに関する特定の波長、および蛍光体化合物の放出イオンにより放出されるより高いスペクトルエネルギ出に関する特定のスペクトル位置(複数可)(「放出」)を含む、特定の放出特性を化合物に持たせることができる。 しかし、全ての母材内のあらゆるイオンが放出を生ずるわけではない。 放出のためのポテンシャルを有する放射が消失する例、または吸収イオンもしくは母材から放出イオンへのエネルギ伝達が乏しいので、放射作用がほとんど観察できない例といった多くの例がある。 他の母材では、放射作用が非常に大きく、量子効率が「1」に近い場合がある。

    [0004]観察できる放出を生ずる特定の蛍光体化合物について、その放出中の、より高いスペクトルエネルギ成分(または、発光出力)のスペクトル位置(複数可)(すなわち、その「スペクトル的特徴」)を使用して、蛍光体化合物を他の化合物から一意に識別することができる。 主に、スペクトル的特徴は、希土類イオン(複数可)に起因する。 しかし、様々な放出イオンへの母材の影響に起因して、典型的には結晶場強度および結晶場分裂を介して、スペクトル的摂動が存在する場合がある。 このことは、放出の時間的な挙動についても同様に当てはまる。

    [0005]いくつかの蛍光体化合物の一意のスペクトル特性が、蛍光体化合物を、特定の価値または重要性を持つ物品(例えば、銀行紙幣、パスポート、生体試料など)の認証または識別で使用するのに、好適にする。 したがって、知られているスペクトル的特徴を有する発光蛍光体化合物は、様々なタイプの物品上に、または様々なタイプの物品内に組み込まれて、そのような物品の偽造物または偽の複製物を検知する能力を高め、または物品を識別して追尾してきた。 例えば、発光蛍光体化合物は、物体を認証または追尾するプロセスで分析されうる、添加物、被覆物、および印刷または他の塗布された特徴の形で、様々なタイプの物品上に、または様々なタイプの物品内に組み込まれてきた。

    [0006]発光蛍光体化合物を含む物品は、特別に設計された認証機器を使用して認証されうる。 より具体的には、製造業者は、その「本物の」物品内に、知られている蛍光体化合物(例えば、「認証」蛍光体化合物)を組み込むことができる。 そのような物品の信ぴょう性を検出するように構成される認証機器は、認証蛍光体化合物に関連する、吸収可能な励起エネルギの波長および放出のスペクトル特性の知識(例えば、記憶される情報および/または様々なスペクトルフィルタ)を有することになる。 認証用の試料物が提供されると、認証機器は、発光蛍光体化合物の吸収特徴を持つ知られた波長に対応する波長を有する励起エネルギに物品をさらし、このことによって、直接的または間接的に所望の放出がもたらされる。 認証機器は、物品により生成されうる任意の放出についてのスペクトルパラメータを、検知して特徴づける。 検知された放出のスペクトル信号が、認証蛍光体化合物に対応する検出装置の(「検出パラメータ空間」と呼ばれる)認証パラメータ範囲内であるとき、物品は本物であると考えられうる。 逆に、認証機器が検出パラメータ空間内に期待される信号を検知することができないとき、物品は、本物でない(例えば、偽造されたまたは偽の物品)と考えられうる。

    [0007]上記の技法は、比較的高度でない偽造物および偽の行為を検出して阻止することに、大いに効果的である。 しかし、適切な資源および機器を有する個人は、いくつかの蛍光体化合物の構成要素を決定するために、分光分析技法を採用することができる場合がある。 次いで、蛍光体化合物が再生されて、本物でない物品とともに使用され、したがって、さもなければ特定の蛍光体化合物により提供されうる、認証の利益を脅かす可能性がある。 したがって、いくつかの蛍光体化合物が開発され、上記のやり方で物品の認証を容易にしてきたが、偽造物および偽の行為をより困難にすることができ、かつ/または特に関心のある物品を識別し追尾するため、有利であることを証明することができる、さらなる化合物、そのような化合物を物品とともに使用する一意のやり方、および物品を認証するための技法を開発することが望ましい。 さらに、本発明の他の望ましい特徴および特性は、添付図面およびこの発明の背景技術と一緒に行えば、本発明の以下の詳細な説明および添付される請求項から明らかとなるであろう。

    [0008]物品上に、または物品内に組み込まれた発光材料を識別するための方法の実施形態は、物品を発光材料の吸収帯内の励起エネルギに選択的にさらすステップと、物品が第1の温度を有するときに、発光材料の放出帯内で、物品からの第1の放出された放射の第1の放出特性を検出するステップと、物品が第1の温度とは異なる第2の温度を有するときに、放出帯内で、物品からの第2の放出された放射の第2の放出特性を検出するステップとを含む。 方法の実施形態は、第1の放出特性が第2の放出特性から十分に異なるかどうかを決定するステップをさらに含む。

    [0009]装置の実施形態は、温度調節要素、励起エネルギジェネレータ、放出された放射検出器、および処理システムを含む。 温度調節要素は、温度調節要素に近接した物品の温度を調節するように構成される。 励起エネルギジェネレータは、物品に励起エネルギを提供するように構成され、励起エネルギは、物品が本物であるときに存在することが期待される発光材料の吸収帯に対応する。 放出された放射検出器は、物品が第1の温度を有するときに、発光材料の放出帯内で、第1の放出された放射の第1の放出特性を検出し、物品が第1の温度とは異なる第2の温度を有するときに、放出帯内で、第2の放出された放射の第2の放出特性を検出するように構成される。 処理システムは、第1の放出特性が第2の放出特性から十分に異なるかどうかを決定するように構成される。

    [0010]物品の実施形態は、媒体と、媒体内に分散されたサーモグラフィ蛍光体の粒子とを含む、セキュリティの特徴を含む。 サーモグラフィ蛍光体は、少なくとも1つの放出イオンの原子が置換されている、母体の結晶格子を含む。 実施形態では、母体の結晶格子は、化学成分Y Fe 12を有するイットリウム鉄ガーネット(YIG)であり、上式で、Yはイットリウム、Feは鉄、Oは酸素であり、少なくとも1つの放出イオンは、置換パーセントで母体の結晶格子内に置換されるエルビウムイオンを含む。

    [0011]本発明の実施形態は、以降で、以下の図面とともに記載されることになり、図面中では、同様の番号は同様の要素を表す。

    [0012]例示的な実施形態にしたがった、基板およびサーモグラフィ蛍光体を含む認証の特徴を含む物品の垂直断面図である。

    [0013]例示的な実施形態にしたがった、サーモグラフィ蛍光体を含む物品を製造する方法の流れ図である。

    [0014]例示的な実施形態にしたがった、物品を認証するためのシステムの略図である。

    [0015]例示的な実施形態にしたがった、物品の認証を実施する方法の流れ図である。

    [0016]いくつかの例示的な実施形態にしたがった、温度に対する複数のサーモグラフィ蛍光体試料の放出強度を示すグラフである。

    [0017]例示的な実施形態にしたがった、温度に対するサーモグラフィ蛍光体試料のスペクトル放出特性を示す図である。

    [0018]いくつかの例示的な実施形態にしたがった、温度に対する複数のサーモグラフィ蛍光体試料の減衰時定数を示すグラフである。

    [0019]本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、発明の主題または発明の主題の応用および使用を制限する意図はない。 さらに、上述の背景技術または以下の詳細な説明に提示されるいかなる理論にも拘束される意図はない。

    [0020]下で詳細に議論される実施形態は、サーモグラフィ蛍光体を含む物品、そのような物品を製造するための方法、ならびに物品認証に関連してサーモグラフィ蛍光体を検出および識別するための方法を含む。 下に記載されるサーモグラフィ蛍光体を含む物品を認証するための方法および装置は、認証に使用されうる利用可能な材料の多様性を増加させる。 本明細書で議論されるサーモグラフィ蛍光体の実施形態からの放出を特徴づけるスペクトル的特徴および減衰時定数は、認証のために測定可能な量として使用されうる。

    [0021]本明細書で使用する、用語「サーモグラフィ蛍光体」とは、著しく熱依存性の放出強度および/または著しく熱依存性の減衰時定数を有する、発光材料を意味する。 「著しく熱依存性」とは、それが発光材料の放出強度および/または減衰時定数に関連するときに、発光材料が、サーモグラフィ蛍光体の温度に対して、放出強度および/または減衰時定数に検出可能な差異を呈する(例えば、本明細書で図3とともに記述される認証装置などの認証装置によって変化が検出可能である)ことを意味する。

    [0022]図1は、例示的な実施形態にしたがった、基板102および1つまたは複数のサーモグラフィ蛍光体を含む物品100の垂直断面図を図示する。 例えば、物品100の実施形態は、サーモグラフィ蛍光体粒子(認証の特徴110、120内には図示されない)を含む、表面に塗布される、かつ/または埋め込まれる認証の特徴110、120を含むことができ、かつ/または物品100は、物品100の1つまたは複数の構成要素内に(例えば、基板102および/または物品の1つもしくは複数の層または他の構成要素内に)均一または不均一に分散されたサーモグラフィ蛍光体粒子130を含むことができる。 物品100は、表面に塗布される、かつ/または埋め込まれる認証の特徴110、120および粒子130の両方を含むように示されるが、他の物品は、埋め込まれる認証の特徴、表面に塗布される認証の特徴、基板に分散されるサーモグラフィ蛍光体粒子、および/または物品100の1つまたは複数の層(図示せず)内に分散されるサーモグラフィ蛍光体粒子のうちの1つまたはこれらの組合せを含むことができる。 最後に、ただ1つの表面に塗布される認証の特徴110および1つの埋め込まれる認証の特徴120が図1に示されているが、物品は、1よりも多くの、いずれかのタイプの認証の特徴110、120を含むことができる。 認証の特徴110、120、および粒子130の様々な相対的な寸法は、図1では原寸に比例していない。

    [0023]様々な実施形態では、物品100は、限定するものではないが、識別カード、運転免許証、パスポート、身元証明書、有価文書(例えば、銀行紙幣、小切手、文書、書類、株券など)、包装構成要素、クレジットカード、銀行カード、ラベル、シール、(例えば、ギャンブルで使用する、かつ/またはゲームまたは自動販売機で使用する)トークン、切手、液体、人間、動物、および生体試料を含むグループから選択された任意のタイプの物品であってよい。 基板102は、様々なタイプの基板のいずれかであってよく、限定するものではないが、紙、ポリマ、ガラス、金属、織物、および繊維を含むグループから選択された1つまたは複数の材料を含む。 無生物で固体の物品が本明細書では議論されているが、「物品」とは、その上にまたはその中に実施形態のサーモグラフィ蛍光体が含まれうる任意の他の対象物または材料をほぼ含むことができることを理解されたい。

    [0024]基板102は、様々な実施形態で、剛性または可撓性であってよく、1つまたは複数の層または構成要素から形成されうる。 様々な実施形態のサーモグラフィ蛍光体は、異なるタイプの物品の膨大な配列とともに使用されうるので、基板102の構成の多様性が多すぎるので、本明細書で記載することができない。 したがって、図1では、簡単な単体基板102が示されているが、基板102は、様々な異なる構成のいずれかを有しうることが理解されよう。 例えば、基板は、同一または異なる材料の複数の層またはセクションを含む、「複合」基板であってよい。 例えば、限定としてではなく、基板は、積層される、あるいは一緒に結合される、1つもしくは複数の紙の層もしくはセクション、および1つもしくは複数のプラスチックの層もしくはセクションを含み、複合基板(例えば、紙の層/プラスチックの層/紙の層、またはプラスチックの層/紙の層/プラスチックの層の複合基板)を形成することができる。

    [0025]表面に塗布される認証の特徴110は、例えば、限定としてではなく、その中にまたはその上に実施形態のサーモグラフィ蛍光体が含まれる、印刷された認証の特徴、または1つもしくは複数の剛性もしくは可撓性の材料を含む認証の特徴であってよい。 例えば、限定としてではなく、表面に塗布される認証の特徴110は、実施形態のサーモグラフィ蛍光体の粒子を含む、インク、顔料、コーティング、または塗料を含むことができる。 あるいは、表面に塗布される認証の特徴110は、その中にまたはその上に実施形態のサーモグラフィ蛍光体の粒子が含まれる、1つまたは複数の剛性または可撓性の材料を含むことができ、ここで、次いで基板が、物品の基板102の表面に付着あるいは取り付けられる。 様々な実施形態によれば、表面に塗布される認証の特徴110は、約1ミクロン以上の厚さ112を有することができ、表面に塗布される認証の特徴110は、基板102の幅および長さ以下である幅および長さを有することができる。

    [0026]埋め込まれる認証の特徴120は、その中にまたはその上に実施形態のサーモグラフィ蛍光体が含まれる、1つまたは複数の剛性または可撓性の材料を含む。 例えば、限定としてではなく、埋め込まれる認証の特徴120は、個別の、剛性または可撓性の基板、セキュリティスレッド、または別のタイプの構造の形で構成されうる。 様々な実施形態によれば、埋め込まれる認証の特徴120は、約1ミクロンから基板102の厚さ104までの範囲の厚さ122を有することができ、埋め込まれる認証の特徴120は、基板102の幅および長さ以下である幅および長さを有することができる。

    [0027]前述のように、サーモグラフィ蛍光体粒子130は、図1に示されるように、基板102(もしくは基板102の部分)内、または他の実施形態における、物品100の1つもしくは複数の他の構成要素内(例えば、物品の1つもしくは複数の層または他の構成要素内)に、均一または不均一に分散されうる。 以前に議論したように、サーモグラフィ蛍光体粒子130は、例えば限定としてではなく、基板102または他の構成要素用の基材内に粒子130を混合すること、および/または粒子130のコロイド分散で基板102または他の構成要素を含浸することにより、基板102または他の構成要素内に分散されうる。

    [0028]実施形態によれば、サーモグラフィ蛍光体粒子130が形成されるサーモグラフィ蛍光体は、母体の結晶格子、および母体の結晶格子の結晶学的部位内に置換される1つまたは複数の放出イオンを含む。 放出イオン(複数可)は、放出イオン(複数可)の吸収帯(複数可)内の励起エネルギを受け取ると、検出可能な放射を生成することができる。 放出イオン(複数可)は、複数のメカニズムのうちの1つまたは複数を介して、以降の放射のためにエネルギを受け取ることができる。 例えば、放出イオンは、放出イオンの吸収帯内の励起エネルギを直接吸収可能であってよく、放出イオンは、その後、吸収したエネルギの少なくとも一部を(典型的には、励起エネルギとは異なる、より長い波長で)放射することができる。 あるいは、下に記載されるように、放出イオンが、母体の結晶格子から、かつ/または母体の結晶格子の結晶学的部位内に置換される1つまたは複数の他のイオンから励起エネルギを間接的に吸収することが可能であってよい。

    [0029]例えば、いくつかの実施形態では、母体の結晶格子が励起エネルギを吸収し、そのエネルギの一部を放出イオン(複数可)(および/または1つまたは複数の増感またはカスケードイオン(複数可))に伝達することができる。 加えて、様々な実施形態では、サーモグラフィ蛍光体は、母体の結晶格子の結晶学的部位内に置換される、1つまたは複数の増感イオンおよび/またはカスケードイオンも含むことができる。 各増感イオンは、含まれている場合、増感イオンの吸収帯内の励起エネルギを吸収することができ、そのエネルギの少なくとも一部を放出イオン(複数可)および/またはカスケードイオン(複数可)に伝達することができる。 各カスケードイオンは、含まれている場合、増感イオン(複数可)から励起エネルギを吸収することができ、そのエネルギの少なくとも一部を放出イオン(複数可)に伝達することができる。 「吸収イオン」とは、適切な励起エネルギを吸収すること、その後吸収したエネルギの一部を放射すること、および/またはエネルギの一部を別のイオンに(例えば、最終的には放出イオンに)伝達することができる、サーモグラフィ蛍光体のイオンのことを言う。 様々な実施形態では、放出イオン、増感イオン、および/またはカスケードイオンは、吸収イオンであると考えることができる。 本明細書で使用する、「適切な励起エネルギ」とは、サーモグラフィ蛍光体の吸収イオンの吸収帯に対応する波長の範囲を有する励起エネルギのことを言う。

    [0030]上に記載されるように、母体の結晶格子は、放出イオン(複数可)(および、含まれている場合には、増感およびカスケードイオン(複数可))が組み込まれている(すなわち、母体の結晶格子の1つまたは複数の置換可能な要素を置換されている)材料を含む。 より具体的には、母体の結晶格子は、異なる化学成分が、格子内の様々な結晶学的位置または部位で置換することができる結晶格子である。 本明細書で使用する、用語「置換可能な要素」とは、結晶格子内の特定の部位を占有する母体の結晶格子の要素のことを言い、別の要素(例えば、放出、増感、および/またはカスケードイオン)が、サーモグラフィ蛍光体の形成の期間に、これらの部位内に置換されうる。 放出、増感、またはカスケードイオンとの交換を可能にする、母体の結晶格子の各原子は、それが交換されることになるイオンと、同様のサイズ、同様の装荷、および同様の配位選好を有する。 サーモグラフィ蛍光体の形成の期間に、母体の結晶格子内の各位置における原子は、原子パーセントにより説明されることになる。

    [0031]実施形態によれば、母体の結晶格子は、エルビウム(Er)イオンが置換された、イットリウム鉄ガーネット(YIG)である。 この組合せは、本明細書では、Er:YIGと呼ばれる。 YIGは、化学成分Y Fe 12を有し、上式で、Yはイットリウム、Feは鉄、Oは酸素である。 イットリウムは、置換要素として機能し、エルビウムは、(本明細書では、原子パーセントで記載される)特定の置換パーセントでイットリウムの部位の一部に置換される。 実施形態によれば、サーモグラフィ蛍光体は、約0.5原子パーセントから約50原子パーセントの範囲の置換パーセンテージでエルビウムが置換されたYIGを含むが、エルビウムは、この範囲よりも高いまたはこの範囲よりも低い置換パーセンテージで同様に置換されうる。 本質的に、エルビウムは、検出可能な放出を生ずるのに十分高く、放出の完全な濃度消光を回避するのに十分低い、任意のパーセンテージで置換されうる。

    [0032]下に、記載では、母体の結晶格子の例としてYIG、様々なサーモグラフィ蛍光体の実施形態で使用する好適な放出イオンの例としてエルビウムを主に使用するが、YIG以外の母体の結晶格子および/またはエルビウム以外の放出イオンも使用される場合があり、そのような代替実施形態は、本発明の主題の範囲内であると考えられることを理解されたい。 例えば、エルビウム置換されたYIG/YAG母体の結晶格子(例えば、YAG構成要素が材料の約30パーセント未満)は、様々な他の母体の結晶格子および/または放出イオンとともに、好適なサーモグラフィ蛍光体となる可能性がある。 より具体的には、温度に対して、放出強度および/または減衰時定数で検出可能な変化を呈する任意のサーモグラフィ蛍光体は、様々な実施形態の使用に好適となる可能性がある。

    [0033]適切な励起エネルギが実施形態のサーモグラフィ蛍光体に向けられると、励起エネルギがサーモグラフィ蛍光体内の1つまたは複数の「吸収体」により吸収され、サーモグラフィ蛍光体内の放出イオンは、検出可能な放出を生じることができる。 放出イオンが吸収体であってよく、かつ/または放出イオン以外の原子が吸収体として機能することができる。 例えば、サーモグラフィ蛍光体がEr:YIGである実施形態では、鉄が適切な励起エネルギ(例えば、鉄吸収帯内の励起エネルギ)の主な吸収体として機能することができ、鉄は、吸収したエネルギの一部をエルビウムに伝達することができる。 加えて、エルビウムが、適切な励起エネルギ(例えば、エルビウム吸収帯内の励起エネルギ)を直接吸収することができる、吸収イオンとして機能することができる。 いずれにしても、エルビウムは、その後、1つまたは複数のエルビウム放出帯内で検出可能な放射を放出することができる。 以降でより詳細に議論されるように、エルビウムは、約1460ナノメートル(nm)から約1660nmの範囲の波長で、この範囲内に複数の放出ピークが存在する、比較的強い放出を生じる。 本明細書で使用する、「放出帯」とは、集中し、無視できない(例えば、検出可能な)放出がサーモグラフィ蛍光体の1つまたは複数の放出イオンから発生する、電磁スペクトルの波長の連続した範囲を意味する。 任意の特定の放出イオンについて、「放出帯」は、その波長より下ではそのイオンについて放出が無視できる下側の波長、およびその波長より上ではそのイオンについて放出が無視できる上側の波長により画定される。

    [0034]図2は、例示的な実施形態にしたがい、サーモグラフィ蛍光体(例えば、図1の物品100で使用されるサーモグラフィ蛍光体)、サーモグラフィ蛍光体を含む媒体、およびサーモグラフィ蛍光体含有媒体を含む物品(例えば、図1の物品100)を製造する方法の流れ図である。 方法は、実施形態にしたがい、Er:YIGを含む、予備的なサーモグラフィ蛍光体を調整することにより、ブロック202で始まる。 一般的に発光材料(例えば、サーモグラフィ蛍光体)は、当業者に知られているいくつかの従来型のプロセスのうちのいずれかを使用して作成されうる。 例えば、様々な実施形態の予備的なサーモグラフィ蛍光体の形成は、下に記載されるように、固体化学を使用して達成されうる。 より具体的には、実施形態にしたがって、予備的なサーモグラフィ蛍光体は、サーモグラフィ蛍光体の要素の全てを典型的には酸化物の形で含む構成要素を使用して、結晶を成長させることにより調整される。

    [0035]例えば、式Y Fe 12を有するサーモグラフィ蛍光体は、固体化学を使用して調整されうる。 より具体的には、予備的なサーモグラフィ蛍光体にイットリウムおよび鉄を組み込むために、酸化イットリウム(Y )および酸化鉄(Fe )は、予備的なサーモグラフィ蛍光体を成長させるために使用される構成要素のうちの2つである。 加えて、結晶格子中のイットリウムの原子対原子交換は、予備的なサーモグラフィ蛍光体を成長させるために使用される追加の構成要素として酸化エルビウム(Er )を含むことにより達成されうる。 予備的なサーモグラフィ蛍光体のイットリウムの部位内にエルビウムを置換するために、酸化イットリウムの一部または全てが、酸化エルビウムの所望の量で交換され、交換量は、(すなわち、エルビウム原子で交換されたイットリウム原子のパーセンテージを表す)原子数の点から規定される。 例えば、予備的なサーモグラフィ蛍光体のイットリウムの部位内のエルビウムの12パーセントの置換をすることが望まれる場合、酸化イットリウムの12パーセントが酸化エルビウムで交換されることになる。

    [0036]一度適切な量で(例えば、石英ボートおよび/またはアルミナるつぼ内で)結合されると、サーモグラフィ蛍光体は、1つまたは複数の規定の温度(例えば、摂氏約500〜1200度の範囲、または異なる範囲の温度)で1つまたは複数の規定の時間(例えば、1時間または複数時間)、1回または複数回結合された構成要素を焼成させることにより、ブロック204で活性化される。 いくつかの実施形態では、焼成ステップの一部または全部の後で、粉末化プロセスが実施されうる。 加えて、融剤が使用される実施形態では、最後の焼成ステップの後で、予備的なサーモグラフィ蛍光体から融剤が洗い流されうる。 したがって、結果として得られる、粉末化された結晶は、予備的なサーモグラフィ蛍光体を形成する。 最終的には、実施形態によれば、エルビウムは、+3の原子価状態を有する。

    [0037]上で議論したように、予備的なサーモグラフィ蛍光体を作り出すために固体化学が使用されうるが、他の場合には、溶液化学技法が使用されうる。 溶液化学を使用して、様々な材料が、溶解、沈殿、および焼成される。 サーモグラフィ蛍光体を作り出すために使用される特定のプロセスに依存して、他の材料が、予備的なサーモグラフィ蛍光体の形成に含まれうる。 例えば、様々な融剤および他の前駆体が、予備的なサーモグラフィ蛍光体内に含まれうる。

    [0038]ブロック206では、予備的なサーモグラフィ蛍光体がさらに粉砕および/またはフィルタ処理され、工程から製造された、より大きい粒子から、所望のサイズの結晶粒子を製造することができる。 例えば、本明細書に記載されるサーモグラフィ蛍光体の様々な実施形態の効率は、サーモグラフィ蛍光体粉末が、約10ミクロン未満の粒子サイズを有する粒子、いくつかの場合では約1ミクロン以下程度に小さいサイズを有する粒子を含むときでさえ、比較的高く維持できることが見出された。 本明細書で使用する、用語「粒子サイズ」とは、粒子の平均直径(例えば、PA、MontgomeryvilleのMicrotrac Inc.により製造されるデバイスなどのレーザ光回折タイプの測定デバイスにより測定されるように、質量容積50パーセント点(D50)の粒子サイズ平均直径)として規定される。

    [0039]ブロック208では、サーモグラフィ蛍光体粒子は、媒体中に組み込まれる。 例えば、限定としてではなく、媒体は、物品(例えば、プラスチック、プラスチックベース樹脂、ガラス、セラミック、金属、織物、木材、繊維、紙パルプ、紙、およびこれらの混合物)の基板に対応することができ、または、媒体は、物品の基板の表面に塗布(例えば、印刷、コーティング、スプレー、あるいは付着もしくは結合)されうる材料(例えば、インク、インク添加物、糊、液体、ゲル、プラスチック、およびプラスチックベース樹脂)、もしくは基板内に埋め込まれる特徴(例えば、埋め込まれる特徴、セキュリティスレッドなど)に対応することができる。 前者の場合、サーモグラフィ蛍光体粒子は、例えば、基板用にサーモグラフィ蛍光体粒子を基材(例えば、紙、紙パルプ、ポリマ、プラスチック、プラスチックベース樹脂、ガラス、金属、織物、繊維、セラミック、木材、スラリ、これらの混合物など)と組み合わせること、および/または基板をサーモグラフィ蛍光体粒子のコロイド分散と含浸することにより、基板材料内に組み込まれうる。 含浸は、例えば、印刷、滴下、コーティング、またはスプレープロセスにより実施されうる。

    [0040]基板の表面に塗布されうる材料内にサーモグラフィ蛍光体粒子が組み込まれる実施形態では、サーモグラフィ蛍光体粒子は、組成物(例えば、インク、インク添加物または他の担体)とともに混合される。 基板内に埋め込まれる特徴内にサーモグラフィ蛍光体粒子が組み込まれる実施形態では、特徴内へのサーモグラフィ蛍光体粒子の組込みは、上に議論されたように、基板内へのサーモグラフィ蛍光体の組込みと同様のやり方で実施されうる。 より具体的には、サーモグラフィ蛍光体粒子は、それから埋め込まれる特徴が形成される基材と混合されうる。 さらに他の実施形態では、サーモグラフィ蛍光体粒子は、他の媒体(例えば、糊、様々な液体、ゲルなど)に組み込まれ、または組み合わされうる。

    [0041]ブロック210では、物品は、サーモグラフィ蛍光体を含んで製造される。 例えば、このことは、サーモグラフィ蛍光体含有媒体または特徴を、(例えば、図1の物品100といった)物品内または物品上に組み込むことにより達成されうる。 サーモグラフィ蛍光体含有媒体が基板用の基材である実施形態では、このステップはバイパスされうる。 逆に、サーモグラフィ蛍光体含有材料が基板の表面に塗布可能である実施形態では、サーモグラフィ蛍光体含有材料は、所定の場所で、基板の1つまたは複数の表面上に印刷されうる。 逆に、サーモグラフィ蛍光体含有材料が埋め込まれる特徴に対応するとき、埋め込まれる特徴は、基板材料が展性のある形であるとき(例えば、材料がスラリ、溶融、または未硬化の形であるとき)、基板材料と一体化される。 上に記載したやり方のうちのいずれか1つでは、サーモグラフィ蛍光体の実施形態は、物品内に組み込まれうる。

    [0042]本明細書で記載されるサーモグラフィ蛍光体の実施形態は、物品のセキュリティまたは認証の特徴(例えば、物品の信ぴょう性を決定するために分析されうる物品の特徴)とともに使用するのに特に好都合であるが、それらは、同様に他の目的に使用されうる。 より具体的には、本明細書で議論されるサーモグラフィ蛍光体の実施形態の吸収および放出特性は、セキュリティおよび認証の特徴とともにサーモグラフィ蛍光体を使用するのに好適である。

    [0043]例えば、図3とともに下で記載されるような認証機器を使用して、物品が認証機器に提示されてよく、その上にまたはその中にサーモグラフィ蛍光体が任意選択で組み込まれる物品の一部は、第1の温度に加熱または冷却されてよい。 あるいは、物品の部分は、認証機器により検知されうる、周囲の第1の温度のままであってよい。

    [0044]第1の結果を生じるため、物品の部分は、次いで適切な励起エネルギにさらされうる。 例えば、Er:YIGサーモグラフィ蛍光体が物品上にまたは物品内に組み込まれている実施形態では、物品のさらされた部分内のサーモグラフィ蛍光体は、鉄および/またはエルビウム吸収帯内の励起エネルギで励起されうる。 そのような実施形態では、エルビウムは、1つまたは複数のエルビウム放出帯(例えば、約1460nmから約1660nmの範囲の放出帯)内で、検出可能な放出を生じることができる。 励起エネルギの提供を停止すると、認証機器は、第1の温度でエルビウム放出の(そのスペクトル範囲の全てまたは一部の)放出強度および/または減衰時定数を検出し、この第1の結果を記憶する。

    [0045]実施形態によれば、第2の結果を生じるために、認証機器は、次いで物品の部分を第2の温度に加熱または冷却する(または、物品の部分の能動的な加熱または冷却を停止することにより、受動的に物品の部分を第2の温度に調節させる)。 物品の部分は、再び適切な励起エネルギにさらされうる。 励起エネルギの提供を停止すると、認証機器は、再び、第2の温度でエルビウム放出の(第1の結果を生じた検出と同じスペクトル範囲で)放出強度および/または減衰時定数を検出し、結果を記憶する。 実施形態によれば、次いで、第1および第2の結果に関連する放出強度の変化および/または減衰時定数の変化が、検出パラメータ空間に入るのに十分有意であるかどうかを認証機器が決定する。

    [0046]図3は、例示的な実施形態にしたがった、物品350を認証するためのシステム300である。 実施形態によれば、システム300は、処理システム302、少なくとも1つの励起エネルギジェネレータ304、少なくとも1つの放出された放射検出器(または光検出器)306ならびに関連する光フィルタ308、温度コントローラ312、少なくとも1つの温度調節要素314、少なくとも1つの温度センサ316、データ記憶装置318、およびユーザインターフェイス320を含む。 システム300の様々な構成要素は、図3では原寸に比例して描かれていない場合があることを理解されたい。

    [0047]物品(例えば、物品350)を認証することとともに、下でより詳細に記載されるように、実施形態によれば、処理システム302は、励起エネルギジェネレータ304による励起エネルギ342の提供、放出された放射検出器306により検出される放出された放射344の分析、ならびに温度コントローラ312により調節される温度調節および検知動作のタイミングを制御することができる。 処理システム302は、様々な実施形態にしたがって、下でより詳細に記載されるように、そのような制御および分析プロセスを(例えば、実行可能なソフトウェアアルゴリズムの形で)実装するように構成される、1つまたは複数のプロセッサおよび関連する回路を含むことができる。 同様に、温度コントローラ312は、温度調節要素314および温度センサ316により実施される温度調節ならびに検知動作を制御することに特に関連し、それぞれが、処理システム302からの入力に基づく、制御および分析プロセスを(例えば、実行可能なソフトウェアアルゴリズムの形で)実装するように構成される、1つまたは複数のプロセッサおよび関連する回路を含むことができる。 実施形態によれば、処理システム302は、温度コントローラ312に制御コマンド(例えば、タイミングコマンド、温度設定など)を通信し、温度コントローラ312は、処理システム302に動作データ(例えば、検知された温度など)を通信する。 代替実施形態では、処理システム302および温度コントローラ312は、共通のハードウェアを使用して実装されうる。 しかし、明快のために、それらは別個の要素として描かれている。

    [0048]システム300は、物品350に励起エネルギを向けること、複数の温度で物品350から(もしある場合には)放出を検出すること、および複数の温度で放出の特性間で(もしある場合には)違いを分析することにより、物品(例えば、物品350)を認証するように構成される。 (図1とともに記載される物品の実施形態を含む)システム(例えばシステム300)の様々な実施形態は、様々な異なる形状で構成される、実質的に2次元および/または3次元の物品のいずれかを認証するように構成されうるが、実質的に2次元の物品(例えば、図3の物品350)を認証するように構成されるシステム300の例が本明細書で提供される。

    [0049]例では、物品350は、基板356、および任意選択で、表面に塗布される、または埋め込まれる認証の特徴358を含む。 図1とともに上で記載されたように、基板356、表面に塗布されるもしくは埋め込まれる認証の特徴358、物品350の層もしくは他の構成要素、またはこれらの任意の組合せのいずれかは、サーモグラフィ蛍光体を含むことができる。 認証システム300の実施形態を説明するために、下の記述では、表面に塗布される認証の特徴358がサーモグラフィ蛍光体を含む例を使用する。 提供される例が限定的であると考えるべきでないことを理解されたい。 加えて、本明細書で議論される例示的な方法および物品の実施形態が、図4とともに記載される方法の1回の実行を使用して検出される、単一のサーモグラフィ蛍光体を含む物品を議論しているが、図4とともに記載される方法の複数回の繰り返しを使用して検出される、(例えば、各々が異なる放出特性を有する)複数の異なるサーモグラフィ蛍光体を物品が含みうることを理解されたい。

    [0050]以前に記載した構成要素に加えて、システム300は、システム300の様々な構成要素のために構造支持を提供し、システム300の様々な構成要素の一部または全てが実質的に封入されうる筐体330も含むことができる。 一定の構成を有する筐体330が図3に図示され、本明細書に記載されているが、筐体330は、他の実施形態では著しく異なって構成されるが、筐体330の所望の機能性を依然として提供できることを理解されたい。 例えば、示されている単体筐体330の代わりに、他の実施形態では、物品に関してシステム構成要素の所望の並置(例えば、物品350に関する温度調節要素314と窓340の並置)をもたらすようにヒンジ結合される、さもなければ構成可能な、複数の部分(例えば、上部および下部筐体部分)を有する構造を含むことができる。

    [0051]実施形態によれば、筐体330は、内部チャンバ334への開口332を含む。 開口332およびチャンバ334は、認証のために(例えば、手動または自動で)提示される物品(例えば、物品350)を収容するように構成される。 例えば、チャンバ334は、少なくとも部分的に、チャンバ下面336およびチャンバ上面338によって画定されてよい。 チャンバ下面336は、物品350の底面352の少なくとも一部が、温度調節要素314および温度センサ316が配置される、チャンバ下面336の一部に近接するように構成されうる。 温度調節要素314が物品350の底面352に直接接触し、したがって、温度調節要素314と物品350の間で良好な熱伝達を実現するように、温度調節要素314が配向されうる。

    [0052]温度コントローラ312の制御下で、温度コントローラ312に知られている目標温度に物品350の一部(例えば部分360)を加熱および/または冷却するように、温度調節要素314が構成される。 後でより詳細に記載されるように、目標温度は、データ記憶装置318に記憶される温度設定に基づき、かつ/またはシステム300のユーザによりユーザインターフェイス320を介して指定される温度設定に基づき、処理システム302により温度コントローラ312に指定されうる。 加えて、処理システム302は、温度調節要素314により行われる温度調節のタイミング(例えば、開始時間、停止時間、および/または期間)に影響を及ぼす制御信号を温度コントローラ312に提供することができる。

    [0053]様々な実施形態によれば、温度調節要素314は、別個の加熱要素および/または別個の冷却要素を含むことができる。 例えば、温度調節要素314は、実施形態において、少なくとも1つのコンデンサに結合される少なくとも1つの抵抗素子を含む、抵抗タイプの加熱器を含むことができる。 動作期間に、コンデンサ(複数可)は、物品350についての所望の温度上昇に対応する量のエネルギで充電され、コンデンサ(複数可)に蓄えられたエネルギが抵抗素子(複数可)を介して放電されると、抵抗素子(複数可)で生成される熱が物品350に伝達することができる。 代替実施形態では、コンデンサに蓄えられたエネルギを抵抗素子を介してダンプするのではなく、物品350についての所望の温度上昇に対応するエネルギの量を提供するために、システムが所定の時間(所与の供給電圧で)、抵抗素子(複数可)を介して電流を加えることができる。

    [0054]あるいは、温度調節要素314は、ヒートポンプを含むことができる。 例えば、温度調節要素314は、熱をデバイスの一方の側から他方の側に伝達する、熱電加熱器/冷却器(TEC)を含むことができ、熱伝達の方向は、TECに加えられる電流の流れの極性に依存する。 したがって、TECは物品(例えば、物品350)の一部(例えば、部分360)を加熱することおよび冷却することの両方が可能である。 より具体的には、TECを通る第1の方向の電流の流れは、TECの物品に面する側を、物品の部分の温度よりも高い温度に加熱させることができる。 これが、熱をTECから物品の部分に伝達させることになり、このことが、物品の部分の温度の上昇(すなわち、物品の部分の加熱)をもたらすことができる。 逆に、TECを通る反対の方向の電流の流れは、TECの物品に面する側を、物品の部分の温度よりも低い温度に冷却させることができる。 これが、熱を物品の部分からTECに伝達させることになり、このことが、物品の部分の温度の減少(すなわち、物品の部分の冷却)をもたらすことができる。

    [0055]実施形態によれば、温度センサ316は、物品の部分の温度を検知するように構成される。 温度センサ316は、検知した温度測定値を温度コントローラ312にフィードバック信号として提供することができ、温度コントローラ312は、検知した温度測定値を分析して、例えば、物品の部分の温度が目標温度に到達したかどうかを決定することができる。 温度コントローラ312は、物品350の部分360が目標温度に到達したことを示す信号を処理システム302に提供することができ、かつ/または温度コントローラ312は、様々な時間に物品350の部分360の検知された温度を示す信号を処理システム302に提供することができる。 温度調節要素314および温度センサ316は、互いに一体であってよく、または温度調節要素314および温度センサ316は、互いに接触して(例えば、温度調節要素314および温度センサ316の両方が物品350と熱接触して並んで)配置されてよい。 代替実施形態では、システム300は、温度センサ316を含まない。

    [0056]チャンバ上面338は、1つまたは複数の窓340を含むことができる。 下でより詳細に議論されるように、1つまたは複数の窓340を通して、励起エネルギ342が、励起エネルギジェネレータ304により物品の上面(例えば、上面354)の一部に提供されてよく、1つまたは複数の窓340を通して、物品の上面の部分から発せられる、放出された放射344が、放出された放射検出器306およびその関連するフィルタ308により受け取られてよい。 実施形態によれば、窓340は、温度調節要素314および温度センサ316から直接チャンバ334にわたって配置され、そのため、励起エネルギ342は、温度調節要素314により加熱および/または冷却される物品の同じ部分(例えば部分360)に提供されてよく、そのため、物品350からの任意の放出された放射344は、温度調節要素314により加熱および/または冷却される物品の同じ部分(例えば部分360)から発する。 実施形態によれば、窓340および温度調節要素314は、チャンバ上面338およびチャンバ下面336に対してそれぞれ配向され、そのため、比較的小さい空気間隙(図示せず)が、絶縁をもたらすために、窓340と物品350の上面354との間に維持される。

    [0057]代替実施形態では、温度調節要素314および/または温度センサ316が放出された放射344が発する物品350の同じ部分360を加熱および/または冷却する(物品350のその部分360の温度を検知する)ことができるように、また温度調節要素314および/または温度センサ316が窓340を通って進む放出された放射344をブロックまたは干渉しないように、温度調節要素314および/または温度センサ316が置かれているかぎり、温度調節要素314および/または温度センサ316のいずれかまたは両方は、チャンバ334の窓340と同じ側に(例えば、チャンバ上面338に)置かれてよい。

    [0058]実施形態によれば、処理システム302は、励起エネルギジェネレータ304に励起エネルギ342を窓340を通して物品350に向けさせる、制御信号を励起エネルギジェネレータ304に提供するようにも構成される。 より具体的には、処理システム302は、制御信号を励起エネルギジェネレータ304に提供し、励起エネルギ342を物品350に十分な期間向けて、もしある場合には、窓340の下の、物品350の部分360内に組み込まれている、本物のサーモグラフィ蛍光体内の放出イオン(例えば、基板356および/または認証の特徴358内の放出イオン)を励起させる。 次いで、処理システム302が励起エネルギジェネレータ304を制御し、励起エネルギ342の提供を停止して、窓340を通って進む物品350の部分360からの放出された放射344が、フィルタ308および放出検出器306を使用して検出される。

    [0059]励起エネルギジェネレータ304への制御信号中に、処理システム302が、励起エネルギ342の提供のタイミング(例えば、開始時間、停止時間、および/または期間)、および/または生成される特定の励起エネルギ342に関連する他のパラメータ(例えば、強度および/または他のパラメータ)を指定することができる。 典型的には、励起エネルギ342の帯域は、励起エネルギジェネレータ304の部分として含まれる、励起光源(例えば、選択された発光ダイオードまたはレーザダイオードにより生成される励起エネルギの帯域)に基づいて予め定められる。 以前に議論したように、様々な実施形態で、実施形態のサーモグラフィ蛍光体用の適切な励起エネルギは、鉄および/またはエルビウム吸収帯内であってよい。 様々なタイミングおよび/または放射生成パラメータは、例えば、データ記憶装置318から取り出されてよい。 励起エネルギジェネレータ304は、例えば、1つまたは複数のレーザ、レーザダイオード、発光ダイオード(LED)、白熱フィラメント、ランプ、または他の励起光源を含むことができる。

    [0060]励起エネルギジェネレータ304を制御することに加えて、処理システム302は、放出検出器306に制御入力を提供するように構成されており、制御入力は、励起エネルギ342の少なくとも一部を(直接的または間接的のいずれかで)吸収した、サーモグラフィ蛍光体の放出イオンに応答して、物品350の部分360から発する放出された放射344を検出することを放出検出器306に試みさせる。 例えば、実施形態では、物品350の部分360は、エルビウム放出に対応する放出を生じることができる。 他の実施形態では、物品350の部分360は、他の放出イオンからの放出に対応する放出を生じることができる。

    [0061]放出検出器306は、例えば、スペクトルフィルタ308、1つまたは複数の電気光学センサ、光電子倍増管、アバランシェフォトダイオード、フォトダイオード、電荷結合デバイス、電荷注入デバイス、写真用フィルム、または他の検出デバイスを含むことができる。 特定の実施形態では、放出検出器306は、窓340と光検出器の間に配置されたスペクトルフィルタ308を含む。 スペクトルフィルタ308は、放出された放射344が検出器306に提供される前に放出された放射344をフィルタ処理するように構成され、そのため、放出帯(すなわち、全スペクトルのサブセット)内の放出のみが、検出器306のアクティブ領域に実際に入射する。 スペクトルフィルタ308は、例えば、対象のスペクトル帯内の光のみを通過させ、全ての他の光を阻止するように構成される、ロングパスフィルタ、バンドパスフィルタ、または他のタイプのフィルタを含むことができる。

    [0062]検出器306は、対象のスペクトル帯内で感度を有し、したがって、そのスペクトル帯内であるスペクトルフィルタ308を通過する光を検出することができる。 実施形態によれば、検出器306は、エルビウム放出帯に対応するチャンネル内の放出を検出するように構成される。 実施形態によれば、検出器306は、インジウム−ガリウム−ヒ素(InGaAs)検出器(例えば、テレコムタイプまたは拡張InGaAs)を含む。 検出されることが望ましい放出の波長に依存して、対象の帯域内の放出を検出することが可能な他のタイプの検出器が他の実施形態で使用されうる(例えば、シリコン、硫化鉛、セレン化鉛、ゲルマニウム、アンチモン化インジウム、ヒ化インジウム、ケイ化プラチナ、アンチモン化インジウムなど)。

    [0063]検出器306は、検出器306のアクティブ領域に入射する、収集された放射の強度に比例する電気信号を生成する。 より具体的には、検出器306は、検出器306により受け取られる、放出された放射344の部分の積算強度を表す信号(例えば、1つまたは複数のデジタル化強度値)を、処理システム302に提供する。 本明細書で使用する、用語「強度」とは、波長の範囲にわたって検出される積算強度を意味することができるが、用語「強度」は、特定の波長(例えば、ピーク強度)で検出される強度としても解釈されうる。

    [0064]実施形態によれば、励起エネルギ342の停止の際に、放出検出器306は、1つまたは複数の積算強度値をデジタル化する。 例えば、放出検出器306は、およそt=0で検出された積算強度を表す第1の値を生成することができ、次いで、その後、1つまたは複数の予め選択された間隔で(例えば、本物のサーモグラフィ蛍光体の減衰時定数に対応する時間に、かつ/または1つまたは複数の追加の時間に)検出された積算強度を表す1つまたは複数の追加の値を生成することができる。 放出検出器306により処理システム302に提供される強度値は、処理システム302が1つまたは複数の放出特性(例えば、放出された放射344の、1つまたは複数の時間特性および/またはスペクトル特性)を決定することを可能にする。 例えば、物品350を認証する状況で、放出検出器306は、エルビウム放出帯内の放出された放射の単一の積算強度に対応する1つの値を生成することができ、またはエルビウム放出帯内の放出された放射の、複数の時間的に間隔をあけた積算強度に対応する一連の値(例えば、2つ以上の値)を生成することができる。 検出器306からの各値または値の組は、放出が検出された時間(例えば、対応する励起エネルギ342の提供の停止からの時間)を示す情報で、タグ付け、あるいは関連付けされてよい。

    [0065]前述のように、また以下でより詳細に説明されるように、認証方法の実施形態は、物品(例えば、物品350)に検出可能な放出を2つ以上の異なる温度で生じさせることを試みるステップと、その後、2つ以上の異なる温度で放出の特性間に、もしある場合には、差異を分析するステップとを含む。 以下に記載され、図4に描かれている実施形態では、方法は、温度調節要素(例えば温度調節要素314)の能動的な制御を介して達成される第1および第2の温度で、検出可能な放出を物品に生じさせることを試みるステップを含む。 別の実施形態では、第1の温度または第2の温度のいずれかが周囲温度であってよく、したがって第1の温度または第2の温度のうちのただ1つが、温度調節要素の能動的な制御を介して生成される。 さらに他の実施形態では、方法は、検出可能な放出を2つ以上の温度で物品に生じさせることを試みるステップと、2つ以上の温度で放出の特性間の差異を分析するステップとを含むことができる。 そのような実施形態では、温度のうちの任意の1つは、周囲温度であってよい。 この後者の実施形態は、本明細書では詳細に記載されないが、記載される実施形態の範囲に含まれることが意図される。

    [0066]認証システム(例えば、図3のシステム300)を使用して、物品認証を実施するための方法の様々な実施形態は、ここで、図4とともに記載されることになる。 認証方法の実施形態を理解することは、図3への参照を続けることによって容易となる。 しかし、認証方法の実施形態が、図3とともに記載される認証システムの実施形態とは異なって構成されるシステムを使用して実行されうることを理解されたい。 同様に、図3とともに記載される認証システムの実施形態は、図4とともに記載される認証方法の実施形態とは異なる認証方法を実行できる。

    [0067]ここで図4を参照し、図3への参照を続けると、物品(例えば、図1の物品100、図3の物品350)の認証を実施するための方法の流れ図が、例示的な実施形態にしたがって記載される。 方法は、ブロック402で、認証プロセスに関連する1つまたは複数の温度の設定を確立するステップにより始まることができる。 本明細書で使用する、認証プロセスに関連する「温度」とは、(例えば、温度センサ316により)検知される実際の温度であってよい。 例えば、温度は、温度センサ(例えば、温度センサ316)と接触する物品(例えば、物品350)の一部(例えば、部分360)の検知される温度に対応しうる。 代替実施形態では、「温度」は、実際の検知される温度ではなく、設定に基づいて規定される温度であってよい。 後者の実施形態では、認証システム(例えば、システム300)は、温度センサ(例えば、温度センサ316)を除外することができる。 本明細書で使用する、用語「周囲温度」とは、(例えば、温度調節要素314による)温度調節の結果でない、定常状態の温度を意味する。

    [0068]ブロック402では、システムは、最初に、認証プロセス期間に使用される認証温度用の1つまたは複数の設定を確立するステップにより構成されうる。 実施形態によれば、認証温度設定(複数可)は、システムのユーザによるユーザインターフェイス(例えば、ユーザインターフェイス320)の操作を介して確立されうる。 ユーザインターフェイスは、ユーザに温度(複数可)の指定を可能にする、1つまたは複数のキー、ダイアル、ディスプレイ、および他のユーザインターフェイス構成要素を含むことができる。 一度指定されると、温度(複数可)は、データ記憶装置(例えば、データ記憶装置318)に記憶される。 実施形態では、温度(複数可)は、絶対温度(例えば、摂氏または華氏の度数の温度の値)で指定されうる。 代替実施形態では、温度(複数可)は、温度差で指定されうる。 例えば、様々な実施形態で、温度は、別の予め規定された温度またはユーザ指定された温度からの温度差として、または周囲温度(例えば、認証プロセスが実施される時間に検知される周囲温度)からの温度差として指定されうる。

    [0069]実施形態によれば、ユーザにより指定されるか、または予め規定されるかに関わらず、第1の温度および第2の温度は、摂氏約±5度から摂氏約±15度の範囲の温度差で、互いと異なっている。 より具体的な実施形態では、第1の温度および第2の温度は、摂氏約±10度の温度差で互いと異なっている。 例えば、実施形態では第1の温度は摂氏約33度であってよく、第2の温度は摂氏約23度または摂氏約43度のいずれかであってよいが、第1の温度と第2の温度は、同様に異なりうる。 温度がユーザ指定される実施形態では、ブロック402の実行期間に、システムは、可能な範囲(例えば、摂氏約±5度から約±15の範囲)内の温度差で、互いに異なる、第1の温度および第2の温度をユーザが選択することを制限することができる。 別の実施形態によれば、ユーザにより指定されるか予め規定されるかに関わらず、第1の温度が、摂氏約15度から摂氏約35度の範囲内の温度であり、第2の温度が、摂氏約10度から摂氏約20度の範囲内の温度である。 上に与えられる例示の値および範囲より大きいまたは小さい絶対温度および/または温度差が、同様に使用されうる。

    [0070]ユーザが温度を指定することを可能にすることに加えて、実施形態では、ユーザインターフェイスは、ユーザに、システムによりサポートされうる複数のテストモードのうちの1つを指定することを可能にすることができる。 例えば、システムは、認証温度のうちの1つが周囲温度である(例えば、下に記載される「第1の温度」または「第2の温度」のいずれかが周囲温度である)第1のテストモードをサポートすることができる。 あるいは、システムは、認証温度の全てが、温度調節要素(例えば、温度調節要素314)の能動的な制御を介してシステムにより達成される温度に対応する、第2のテストモードをサポートすることができる。 さらに別の実施形態では、システムは、様々な精度のテストモードをサポートすることができる。 例えば、比較的低精度のテストモードは、2つの温度で検出される放出に認証決定が基づくことができ、一方、比較的高精度のテストモードは、2つよりも多い温度で検出される放出に認証決定が基づくことができる。 実施形態によれば、ユーザは、そのようなテストモードを指定することができる。

    [0071]さらに他の実施形態では、ユーザインターフェイスは、ユーザに、認証プロセスに関連する他のパラメータ(例えば、温度調節期間、励起提供期間、励起エネルギ波長および/または強度、励起差認証閾値など)を指示することを可能にすることができ、構成可能なパラメータの各々用に指示された値は、データ記憶装置(データ記憶装置318)内に記憶される。 代替実施形態では、システムは、認証温度および/または他のパラメータおよび/またはテストモード選択のユーザ構成をサポートしない場合がある。 そのような実施形態では、認証パラメータおよび他のパラメータは、予め規定され、データ記憶装置(例えば、データ記憶装置318)に記憶されてよく、かつ/または単一のテストモードがシステムに実装されてよい。

    [0072]説明のため、以下で議論される実施形態は、認証決定が2つの温度(例えば、以下で記載される「第1の温度」および「第2の温度」)で検出される放出に基づいて行われるテストモードを記載する。 さらに、以下で議論される実施形態は、第1の温度および第2の温度が周囲のものではない、絶対温度であり、温度調節要素(例えば、温度調節要素314)の能動的な制御を介してシステムが第1の温度および第2の温度を達成する、認証プロセスを記載する。 認証プロセスの他の実施形態の実施をもたらす、以下に記載される実施形態の変形形態は、本開示の範囲内であることが意図される。

    [0073]物品(例えば、物品350)の認証を開始するため、ブロック404で、物品がシステムにより「受け取られる」。 例えば、ユーザが物品をシステムのチャンバ(チャンバ334)内に挿入すると、あるいはユーザが、(認証物品内の)実施形態のサーモグラフィ蛍光体が存在するはずの物品の一部(例えば、部分360および/または認証の特徴358)を、システムの温度調節要素(例えば、温度調節要素314)と熱接触させ、物品と励起窓との間に空気間隙をもうけて励起窓(例えば、窓340)と近接させると、システムは、認証されるべき物品を受け取ることができる。 代替実施形態では、システムは、物品が温度調節要素および励起窓に近接する位置に、物品を自動的に送る自動ルーティング構成要素を含むことができる。 どちらにしても、システムは、様々な実施形態で、物品の存在を検出するように構成されてよく、以下に記載される認証プロセスを自動的に開始することができ、またはユーザがユーザインターフェイスを介して(例えば、開始ボタンを押すことまたは同様の入力を提供することにより)認証プロセスを開始することができる。

    [0074]実施形態によれば、認証プロセスは、物品の温度調節ステップ、励起エネルギ提供ステップ、および放出検出ステップ(例えば、ブロック406、408、410、412、414、416)、もしもある場合には、異なる温度における物品からの放射が、本物の物品を示すため十分に異なるかどうかを決定する、その後の検出された放出の分析(例えば、ブロック418、420)のシーケンスを含む。 認証方法の様々なステップの制御および放出分析は、実施形態にしたがって、処理システム(例えば、処理システム302)により実施される。 より具体的には、処理システムは、様々なシステム構成要素(例えば、温度コントローラ312、励起エネルギジェネレータ304、および放出された放射検出器306)に制御信号を提供することにより様々なステップの実行のタイミングを制御し、このことが、様々なシステム構成要素に、様々なステップの開始および実行を行わせる。

    [0075]実施形態では、システムにより受け取られた物品を認証するため、ブロック406で、温度調節要素(例えば、温度調節要素316)が能動的に制御され、第1の温度に到達する。 例えば、処理システムがデータ記憶装置(例えば、データ記憶装置318)から第1の温度を取得することができ、処理システムは、第1の温度を示す制御信号を温度コントローラ(例えば、温度コントローラ312)に送ることができる。 制御信号を受け取ることに応答して、温度コントローラは、第1の温度に到達するため、温度調節要素(例えば、温度調節要素314)を制御することができる。 例えば、温度調節要素が抵抗タイプの加熱器である実施形態では、温度コントローラは、物品の温度を所望の温度に、または所望の温度差だけ上昇させるのに十分な、ある量のエネルギを(例えば、コンデンサを充電することまたは所定の期間電流を提供することにより)加熱器の抵抗素子(複数可)に提供させることができる。 あるいは、温度調節要素がTECである実施形態では、温度コントローラがTECを通して電流を提供することができ、電流の極性は、TECの物品に面する面から熱を除去するために(例えば、TECの物品に面する面に近接する物品350の部分360を冷却するために)TECが使用されるのか、TECの物品に面する面に熱を提供するために(例えば、TECの物品に面する面に近接する物品350の部分360を加熱するために)TECが使用されるのかに依存する。

    [0076]システムが温度調節要素に近接した温度センサ(例えば、温度センサ316)を含む実施形態によれば、温度センサは、温度(例えば、物品350の部分360の温度、抵抗タイプの加熱器の抵抗素子の温度、またはTECの物品に面する面の温度)を検知することができ、温度センサにより検知される現在の温度を示す信号を温度コントローラに、継続的に、周期的に、または時々提供することができる。 そのような実施形態では、温度コントローラは、第1の温度に到達するため、現在の温度と第1の温度との間の差に基づいて、温度調節要素に対する温度コントローラの制御を調節することができる。

    [0077]加えて、実施形態では、温度コントローラ(または温度センサ)は、現在の温度を示す信号を、処理システム、および/または、もしもシステムに含まれている場合に、ユーザインターフェイスの温度監視構成要素(図示せず)に提供することができる。 実施形態では、温度監視構成要素は、システムのユーザに現在の温度を表示することができる。 加えて、または代替的に、温度コントローラは、現在の温度が容認できる許容範囲内の第1の温度に到達したこと(例えば、現在の温度が第1の温度と「実質的に等しい」こと)を示す制御信号を処理システムに送ることができる。 (例えば、温度コントローラおよび/または温度センサから信号(複数可)を受け取ることに応答して)現在の温度が第1の温度と実質的に等しいことを処理システムが決定すると、処理システムは、認証プロセスの次の部分(すなわち、後で記載される、ブロック408)に進むことができる。

    [0078]第1の温度が周囲温度である実施形態によれば、ブロック406は、周囲温度検知ステップで置き換えられうる。 あるいは、ブロック406は、まったく除外されうる。 前者の実施形態(すなわち、プロセスが周囲温度検知ステップを含む)では、温度センサ(温度センサ316)は、周囲温度(例えば、物品350の部分360の温度、抵抗タイプの加熱器の抵抗素子の温度、またはTECの物品に面する面の温度)を検知することができ、周囲温度を示す信号を温度コントローラ、処理システム、および/または温度監視構成要素に提供することができ、信号は検知された周囲温度を示し、検知された周囲温度は、データ記憶装置(例えば、データ記憶装置318)内に「第1の温度」として記憶されうる。 処理システムが検知された周囲温度を受け取ると、処理システムは、認証プロセスの次の部分(すなわち、ブロック408)に進むことができる。

    [0079]第1の温度が到達された後に実施されるブロック408で、様々な実施形態では、周囲温度が検知され、または所定の時間期間が経過すると、物品は、適切な励起エネルギ(すなわち、本物のサーモグラフィ蛍光体の吸収帯内の励起エネルギ)にさらされる。 例えば、処理システムは、励起エネルギジェネレータが適切な励起エネルギの提供を開始するべきであること、励起エネルギの波長、および/または励起エネルギジェネレータが励起エネルギを提供するべき期間(または開始時間および停止時間)を示す制御信号を励起エネルギジェネレータ(例えば、励起エネルギジェネレータ304)に送ることができる。 制御信号を受け取ることに応答して、励起エネルギジェネレータは、制御信号に指定される任意のパラメータにしたがって、励起エネルギ(例えば、励起エネルギ342)を生成する。 例えば、Er:YIGサーモグラフィ蛍光体が本物の物品内に組み込まれている実施形態では、励起エネルギジェネレータは、鉄および/またはエルビウム吸収帯内で励起エネルギを提供することができる。 他のサーモグラフィ蛍光体が本物の物品上にまたは本物の物品内に組み込まれている実施形態では、励起エネルギジェネレータは、サーモグラフィ蛍光体にとって適切であるいずれかの吸収帯で励起エネルギを提供してよい。

    [0080]励起エネルギジェネレータは、(例えば、処理システムにより示される、または制御されるような)時間期間の間、励起エネルギを提供する。 その時間期間の終わりに、ブロック410で、励起エネルギへの物品の露出が停止され、システムは、物品から放出された放射(例えば、放出された放射344)を検出することを試みる。 例えば、処理システムは、制御信号を放出検出器(例えば、放出検出器306)に送ることができ、このことが、励起エネルギの少なくとも一部を(直接的または間接的のいずれかで)吸収した本物のサーモグラフィ蛍光体の放出イオンに応答して、物品の一部(例えば、物品350の部分360)から発する放出された放射(例えば、放出された放射344)を検出することを放出検出器に試みさせる。 例えば、Er:YIGサーモグラフィ蛍光体が本物の物品上にまたは本物の物品内に組み込まれている実施形態では、放出検出器は、エルビウム放出帯(例えば、約1460nmと約1660nmとの間の帯域)内でエルビウム放出に対応する放出された放射を検出することを試みることができる。 本物の物品上または本物の物品内に他の放出イオンを用いる他のサーモグラフィ蛍光体が組み込まれている他の実施形態では、放出検出器は、他の放出イオンに対応する放出された放射を検出することを試みることができる。

    [0081]以前に議論したように、実施形態では、励起エネルギの停止の際に、放出検出器は、1つまたは複数の積算強度値をデジタル化することができ、放出検出器は、第1の温度において放出された放射の1つまたは複数の積算強度(例えば、「第1の強度値」)を表す信号を処理システムに提供することができる。 放出検出器により提供される第1の強度値から、処理システムは、1つまたは複数の放出特性(例えば、放出された放射の、1つまたは複数の時間的特性および/またはスペクトル特性)を決定することができる。 例えば、処理システムは、検出される放出の第1の減衰時定数を決定することができる。

    [0082]励起エネルギを除去すると、任意の放出イオンの放出の強度が経時的に減衰し、放出イオンの減衰速度は、減衰時定数により特徴づけられうる。 例えば、放出強度の単純な指数関数的減衰に関して、減衰時定数は、式:
    I(t)=I −t/τ (式1)
    中の定数τにより表されうる。 ここで、tは時間を意味し、I(t)は時間tにおける放出強度を意味し、I はt=0における放出強度を意味する(例えば、t=0とは、励起エネルギの提供が停止される瞬間に対応することができる)。 いくつかのサーモグラフィ蛍光体の放出強度は、上の単純な指数関数の式にしたがって減衰する場合があるが、他のサーモグラフィ蛍光体の放出強度は、(例えば、減衰に影響を及ぼす複数の機構が存在するとき)複数の指数関数的な減衰により影響を受ける場合がある。 いくつかの場合では、サーモグラフィ蛍光体は、特に、エネルギ伝達が機構の部分であるとき、単純な単一の指数関数的減衰を呈さない場合がある。

    [0083]実施形態によれば、処理システムは、第1の温度を、第1の温度で放出された放射の、時間的特性および/またはスペクトル特性と相関させる。 例えば、処理システムは、第1の温度に関連して、強度値および/または第1の減衰時定数を(データ記憶装置318内に)記憶することができる。

    [0084]ブロック406、408、および410は、次いで第2の温度で(すなわち、ブロック412、414、および416として)実質的に繰り返される。 より具体的には、実施形態では、ブロック412で温度調節要素が能動的に制御され、第2の温度に到達する。 例えば、処理システムは、データ記憶装置(例えば、データ記憶装置318)から第2の温度を取得することができ、処理システムは、第2の温度を示す制御信号を温度コントローラに送ることができる。 以前に記載したように、制御信号を受け取ることに応答して、温度コントローラは、第2の温度に到達するため、温度調節要素(例えば、温度調節要素314)を制御することができる。 実施形態によれば、第2の温度は、第1の温度よりも(例えば、摂氏約−5度から摂氏約−15度の範囲の温度差または何らかの他の差だけ)低い温度である。 代替実施形態では、第2の温度は、第1の温度よりも(例えば、摂氏約5度から摂氏約15度の範囲の温度差または何らかの他の差だけ)高い温度である。

    [0085]やはり以前に記載したように、実施形態では、温度コントローラ(または温度センサ)は、現在の温度を示す信号を、処理システム、および/または、もしもシステムに含まれている場合に、ユーザインターフェイスの温度監視構成要素(図示せず)に提供することができる。 加えて、または代替的に、温度コントローラは、現在の温度が容認できる許容範囲内の第2の温度に到達したこと(例えば、現在の温度が第2の温度と「実質的に等しい」こと)を示す制御信号を処理システムに送ることができる。 (例えば、温度コントローラおよび/または温度センサから信号(複数可)を受け取ることに応答して)現在の温度が第2の温度と実質的に等しいことを処理システムが決定すると、処理システムは、認証プロセスの次の部分(すなわち、後で記載される、ブロック414)に進むことができる。

    [0086]第2の温度が周囲温度である実施形態によれば、ブロック412は、温度正規化ステップで置き換えられうる。 例えば、物品が周囲温度に戻ることを可能にするために、温度コントローラは、温度調節要素を能動的に制御することをやめてよく、システムは、物品の温度が周囲温度に正規化するまたは周囲温度に向かうのを、ある期間の時間待ってよい。

    [0087]時間の期間の終わりにおいて、温度センサは、現在の温度(例えば、物品350の部分360の温度、抵抗タイプの加熱器の抵抗素子の温度、またはTECの物品に面する面の温度)を検知することができ、現在温度を示す信号を温度コントローラ、処理システム、および/または温度監視構成要素に提供することができる。 この「検知された」周囲温度は、データ記憶装置(例えば、データ記憶装置318)内に「第2の温度」として記憶されうる。 処理システムは、次いで、認証プロセスの次の部分(すなわち、ブロック414)に進むことができる。

    [0088]ブロック408とともに以前に記載したように、第2の温度が到達された後に実施されるブロック414で、様々な実施形態では、周囲温度が検知され、または所定の時間期間が経過すると、物品は、適切な励起エネルギ(すなわち、本物のサーモグラフィ蛍光体の吸収帯内の励起エネルギ)に再度さらされる。 励起エネルギジェネレータは、(例えば、処理システムにより示される、または制御されるような)時間期間の間、励起エネルギを提供する。 ブロック410とともにやはり以前に記載したように、その時間期間の終わりに、ブロック416で、励起エネルギへの物品の露出が停止され、システムは、物品から放出された放射(例えば、放出された放射344)を検出することを試みる。 実施形態によれば、励起エネルギジェネレータは、第1の励起エネルギへの露出を実施することとともに励起エネルギを提供するために使用されたものと同じパラメータを使用して(すなわち、ステップ408と同じ時間期間、および同じ波長で)励起エネルギを提供する。

    [0089]以前に議論したように、実施形態では、励起エネルギの停止の際に、放出検出器は、1つまたは複数の積算強度値をデジタル化することができ、放出検出器は、第2の温度において放出された放射の1つの積算強度値(または複数の積算強度)(例えば、「第2の強度値」)を表す信号を処理システムに提供することができる。 放出検出器により提供される第2の強度値(複数可)から、処理システムは、1つまたは複数の放出特性(例えば、放出された放射の、1つまたは複数の時間的特性および/またはスペクトル特性)を再び決定することができる。 例えば、処理システムは、検出される放出の第2の減衰時定数を決定することができる。 実施形態によれば、処理システムは、第2の温度を、第2の温度で放出された放射の、時間的特性および/またはスペクトル特性と相関させる。 例えば、処理システムは、第2の温度に関連して、第2の強度値および/または第2の減衰時定数を(データ記憶装置318内に)記憶することができる。

    [0090]ブロック418で、任意の検出された放射の時間的特性および/またはスペクトル特性が本物の物品の時間的特性および/またはスペクトル特性に対応するかどうかを決定するため、処理システムは、次いで、第1および第2の放出の時間的特性および/またはスペクトル特性を分析する。 実施形態によれば、処理システムは、第1の放出と第2の放出の時間的特性および/またはスペクトル特性を比較する。 例えば、第1放出と第2の放出のスペクトル特性を比較するため、処理システムは、第1温度における第1の積算強度と第2の温度における第2の積算強度の比を決定することができる。 第1の積算強度と第2の積算強度の比は、各測定に関連する励起エネルギが停止された(すなわち、t=0)とき、または励起エネルギの停止後の所与の時間に、次式:
    =I(T )/I(T ) (式2)
    のように測定される。 ここで、R は強度比であり、I(T )は、第1の強度測定に関連して励起エネルギの停止に対する所与の時間に第1の温度T において測定された強度であり、I(T )は、第2の強度測定に関連して励起エネルギの停止に対する同じ所与の時間に第2の温度T において測定された強度である。

    [0091]逆に、(励起エネルギの停止に対する異なる時間における)積算強度の複数の測定が第1の温度および第2の温度で行われる実施形態では、温度の各々において生成される放出に対応する減衰時定数を計算するために、第1および第2の放出の時間的特性が、数式内の変数として複数の積算強度値を使用することができる。 第1の減衰時定数と第2の減衰時定数の間の差の大きさが次いで決定される。 例えば、処理システムは、以下のように、第1の温度における放出の第1の減衰時定数を決定し(下の式3a)、第2の温度における放出の第2の減衰時定数を決定し(下の式3b)、第1の減衰時定数と第2の減衰時定数の間の差を決定する(下の式3c)ことができる。
    τ T1 =−(t −t )/ln(I(T (t )/I(T (t )) (式3a)
    τ T2 =−(t −t )/ln(I(T (t )/I(T (t )) (式3b)
    Δτ=τ T1 −τ T2 (式3c)
    ここで、τ T1は第1の温度T における第1の減衰時定数を表す値であり、τ T2は第2の温度T における第2の減衰時定数を表す値であり、Δτは、第1の減衰時定数と第2の減衰時定数の間の差である。

    [0092]あるいは、第1の放出と第2の放出のスペクトル特性を比較するため、処理システムは、以下のように第1の強度値と第2の強度値の間の差を決定することができる。
    Δ =I(T )−I(T ) (式4)
    ここで、Δ は強度差である。 逆に、第1の放出と第2の放出のスペクトル特性を比較するため、処理システムは、第1の温度における第1の減衰時定数と第2の温度における第2の減衰時定数の比を以下のように決定することができる。
    τ =τ T1 /τ T2 (式5)
    ここで、R τは第1の減衰時定数と第2の減衰時定数の比である。

    [0093]他の実施形態では、第1の放出と第2の放出の時間的特性および/またはスペクトル特性の差を示すために他の数式が使用されてよい。 加えて、温度調節、励起エネルギ露出、および放出された放射の検出プロセスの3回以上の繰り返しが実施される実施形態では、強度または減衰時定数の変化速度を温度の関数として決定するのに、数式が3つ以上の測定された強度および/または減衰時定数を考慮にいれることができ、それらの決定された変化速度は、どのように温度が強度および/または減衰時定数に影響を及ぼすかを示すために検討されてよい。

    [0094]以前に議論したように、サーモグラフィ蛍光体の時間的特性および/またはスペクトル特性は、温度で変化する。 したがって、本物のサーモグラフィ蛍光体を有する物品について、システムは、物品から検出される任意の放出の時間的特性および/またはスペクトル特性が第1および第2の温度で異なることを予期する。 実施形態によれば、時間的特性および/またはスペクトル特性が「十分に異なる」とき、物品は本物であると考えられてよい。 逆に、時間的特性および/またはスペクトル特性が「十分に異ならない」とき、物品は本物でないと考えられてよい。

    [0095]ブロック420で、処理システムは、第1の放出と第2の放出の時間的特性および/またはスペクトル特性に検出可能な差があるかどうかを決定する。 例えば、処理システムは、本物の物品を示すため、第1の放出と第2の放出の時間的特性および/またはスペクトル特性が「十分に異なる」かどうか決定することができる。 この決定は、(例えば、上の式2〜5で計算されるように)強度および/または減衰時定数を反映する比率および/または差のうちの1つまたは複数を、対応する認証閾値(例えば、それぞれ「強度に関連する認証閾値」および「減衰時定数に関連する認証閾値」)と比較することを含むことができる。

    [0096]減衰時定数に関連する認証閾値に関し、実施形態によれば、第1の温度と第2の温度の間で、摂氏10度の差毎に、第1の減衰時定数と第2の減衰時定数が、互いに少なくとも5パーセントの差であることを、減衰時定数に対応する計算(例えば、上の式3および式5)が示す(例えば、減衰時定数に関連する認証閾値が、摂氏10度の差に対して、約1.05または約0.95のいずれかである)とき、処理システムは、時間的特性が十分に異なることを決定する。 別の実施形態によれば、第1の温度と第2の温度の間で、摂氏10度の差毎に、第1の減衰時定数と第2の減衰時定数が、互いに少なくとも10パーセントの差であることを、減衰時定数に対応する計算が示す(例えば、減衰時定数に関連する認証閾値が、摂氏10度の差に対して、約1.1または約0.9のいずれかである)とき、処理システムは、時間的特性が十分に異なることを決定する。 さらに別の実施形態によれば、第1の温度と第2の温度の間で、摂氏10度の差毎に、第1の減衰時定数と第2の減衰時定数が、互いに少なくとも20パーセントの差であることを、減衰時定数に対応する計算が示す(例えば、減衰時定数に関連する認証閾値が、摂氏10度の差に対して、約1.2または約0.8のいずれかである)とき、処理システムは、時間的特性が十分に異なることを決定する。 さらに別の実施形態によれば、第1の温度と第2の温度の間で摂氏10度の差毎に、第1の減衰時定数と第2の減衰時定数が、互いに少なくとも30パーセントの差であることを、減衰時定数に対応する計算が示す(例えば、減衰時定数に関連する認証閾値が、摂氏10度の差に対して、約1.3または約0.7のいずれかである)とき、処理システムは、時間的特性が十分に異なることを決定する。 第1の温度と第2の温度の間で、より小さいまたはより大きい差に関し、それぞれ、比例する、より小さいまたはより大きい減衰時定数に関連する認証閾値が実装されうる。

    [0097]さらに別の実施形態によれば、処理システムは、温度(例えば、x軸)−減衰時定数(例えば、y軸)曲線の傾きの方向および大きさに基づいて、時間的特性が十分に異なるかどうかを決定することができる。 例えば、より高い温度(すなわち、第1の温度または第2の温度の一方)に対応する減衰時定数が、より低い温度(第1の温度または第2の温度の他方)に対応する減衰時定数よりも、少なくとも所定のパーセンテージ低いとき、処理システムは、時間的特性が十分に異なると決定することができる。 すなわち、温度−減衰時定数曲線の傾きが負であり、十分な大きさ(例えば、摂氏1度当たり少なくとも−0.1ミリ秒の大きさ、または何らかの他の大きさ)を有するとき、処理システムは、時間的特性が十分に異なると決定する。

    [0098]強度に関連する認証閾値に関し、別の実施形態によれば、第1の温度と第2の温度の間で、摂氏10度の差毎に、第1の強度と第2の強度が、互いに少なくとも10パーセントの差であることを、第1の強度と第2の強度の比または差(例えば、上の式2および式4)が示す(例えば、強度に関連する認証閾値が、摂氏10度の差に対して、約1.1または約0.9のいずれかである)とき、処理システムは、スペクトル特性が十分に異なることを決定する。 別の実施形態によれば、第1の温度と第2の温度の間で、摂氏10度の差毎に、第1の強度と第2の強度が、互いに少なくとも20パーセントの差であることを、第1の強度と第2の強度の比または差が示す(例えば、強度に関連する認証閾値が、摂氏10度の差に対して、約1.2または約0.8のいずれかである)とき、処理システムは、スペクトル特性が十分に異なることを決定する。 さらに別の実施形態によれば、第1の温度と第2の温度の間で、摂氏10度の差毎に、第1の強度と第2の強度が、互いに少なくとも30パーセントの差であることを、第1の強度と第2の強度の比または差が示す(例えば、強度に関連する認証閾値が、摂氏10度の差に対して、約1.3または約0.7のいずれかである)とき、処理システムは、スペクトル特性が十分に異なることを決定する。 第1の温度と第2の温度の間で、より小さいまたはより大きい差に関し、それぞれ、比例する、より小さいまたはより大きい強度に関連する認証閾値が実装されうる。

    [0099]さらに別の実施形態によれば、処理システムは、温度(例えば、x軸)−強度(例えば、y軸)曲線の傾きの方向および大きさに基づいて、スペクトル特性が十分に異なるかどうかを決定することができる。 例えば、サーモグラフィ蛍光体のいくつかの実施形態(例えば、Er:YIGの実施形態)は、(例えば、図5〜図7に示されるように)温度と減衰時定数および強度の両方との間で、反比例関係を呈する。 したがって、それらのサーモグラフィ蛍光体の実施形態について、第1の温度が第2の温度よりも高いとき、本物のサーモグラフィ蛍光体の、第1の減衰時定数および第1の強度は、第2の減衰時定数および第2の強度よりも小さくなる。 そのようなサーモグラフィ蛍光体の認証を実施するとき、より高い温度に対応する強度が、より低い温度に対応する強度よりも少なくとも所定のパーセンテージ低いとき、処理システムは、スペクトル特性が十分に異なると決定することができる。 サーモグラフィ蛍光体の他の実施形態は、温度と強度の間の、直接的な比例関係を呈する場合がある(例えば、図5のトレース507により表されるような、Cr:Er:YGGの実施形態の、温度対強度の関係)。 したがって、それらのサーモグラフィ蛍光体の実施形態について、第1の温度が第2の温度よりも高いとき、本物のサーモグラフィ蛍光体の、第1の強度は、第2の強度よりも大きくなる。 そのようなサーモグラフィ蛍光体の認証を実施するとき、より高い温度に対応する強度が、より低い温度に対応する強度よりも少なくとも所定のパーセンテージ高いとき、処理システムは、スペクトル特性が十分に異なると決定することができる。 どちらにしても、温度−強度曲線の傾きが期待される所定のパラメータ内に入る(例えば、傾きが本物のサーモグラフィ蛍光体について期待される符号に対応する符号を有し、傾きが十分な大きさ(例えば、摂氏1度当たり少なくとも0.1任意単位の大きさ、または何らかの他の大きさ)を有する)とき、処理システムは、スペクトル特性が十分に異なると決定することができる。

    [00100]さらに他の実施形態では、強度間の比較値(例えば、比または差)を計算するのではなく、各温度における放出が、本物のサーモグラフィ蛍光体に対応する、所定の異なる範囲(すなわち、オーバーラップしない範囲)に入る、時間的特性および/またはスペクトル特性を有するかどうかを決定するため、処理システムは、第1の放出および第2の放出の時間的特性および/またはスペクトル特性を別個に分析することができる。

    [00101]ブロック420で、第1の温度および第2の温度における放出の時間的特性および/またはスペクトル特性が十分に異なる(または、適切であるが異なる範囲内である)と処理システムが決定したとき、ブロック422で、処理システムは、物品を本物であると識別することができる。 例えば、処理システムは、物品を本物の物品として識別することに関連する何らかのアクションをとることができる。 例えば、処理システムは、ユーザインターフェイス(例えば、ユーザインターフェイス320)に信ぴょう性に関連する信号を送ることができ、このことが、ユーザインターフェイスに、信ぴょう性のユーザ知覚可能な表示(例えば、表示されるしるし、光、音など)を生成させる。 あるいは、処理システムは、システムのルーティング構成要素(図示せず)に、本物の物品用に割り当てられた経路または置き場へ、物品を経路指定させることができる。

    [00102]逆に、第1の温度および第2の温度における放出の時間的特性および/またはスペクトル特性が十分に異ならないと処理システムが決定したとき、ブロック424で、処理システムは、物品を本物でないと識別することができる。 例えば、検出された放射の時間的特性および/またはスペクトル特性が本物の物品に対応しないとき、処理システムは、物品を本物でない物品として識別することに関連する何らかのアクションをとることができる。 例えば、処理システムは、ユーザインターフェイスに本物でないことに関連する信号を送ることができ、このことが、ユーザインターフェイスに、本物でないことのユーザ知覚可能な表示(例えば、表示されるしるし、光、音など)を生成させる。 あるいは、処理システムは、システムのルーティング構成要素(図示せず)に、本物でない物品用に割り当てられた経路または置き場へ、物品を経路指定させることができる。

    [00103]上に議論された実施形態は、物品が本物のサーモグラフィ蛍光体を含むことをシステムが検出するかどうかの決定に基づいて、システムが認証の決定を行うことを示す。 他のシステムおよび方法の実施形態が、認証の決定を行う際に、追加の検討事項を使用することもできる。 例えば、限定としてではなく、物品の別の実施形態は、1つもしくは複数の追加のセキュリティの特徴、ならびに/または1つもしくは複数の追加のサーモグラフィ蛍光体および/もしくは非サーモグラフィ蛍光体材料(例えば、1つまたは複数の「基準」蛍光体材料)を含むことができる。 したがって、他のシステムの実施形態は、認証用に提示された物品が追加のセキュリティの特徴(複数可)および/または追加の蛍光体(複数可)を含むかどうかを決定するように試みることができる。 物品が全ての期待されるセキュリティの特徴を含むことをシステムが決定すると、システムは、物品が本物であると決定することができる。 逆に、物品が期待されるセキュリティの特徴のうちの1つまたは複数を含まないことをシステムが決定すると、システムは、物品が本物でないと決定することができる。

    [00104]図5〜図7は、物品に組み込まれるサーモグラフィ蛍光体(および他の蛍光体)の、様々な実施形態の放出特性を図示するグラフを含む。 例えば、図5は、いくつかの例示的な実施形態にしたがった、温度に対する、複数のサーモグラフィ蛍光体および他の(非サーモグラフィ)蛍光体試料の放出特性を示すグラフである。 図5に描かれた結果を生成するため、様々なサーモグラフィ蛍光体および他の蛍光体試料が、紙製の手漉き物品基板上に印刷されるインク内に含められた。 より具体的には、いくつかの実施形態にしたがった、インク基材および様々なEr:YIG試料を含むインク材料が作成された。 加えて、比較するために、インク基材ならびにEr:YOS(イットリウム酸硫化物)試料、Cr:Er:YGG(イットリウムガリウムガーネット)試料、およびEr:YAG(イットリウムアルミニウムガーネット)試料を含む追加のインク材料が作成された。 インク材料の各々は、紙製の手漉き物品基板の表面上に印刷された。

    [00105]例えば、トレース501を生成するために使用された試料を作るために、(YIGの母体格子材料内に32パーセントのErを有する)Er:YIGを含む第1のインク材料が作成された。 トレース502を生成するために使用された試料を作るために、(YIGの母体格子材料内に12パーセントのErを有する)Er:YIGを含む第2のインク材料が作成された。 トレース503を生成するために使用された試料を作るために、(YIGの母体格子材料内に6パーセントのErを有する)Er:YIGを含む第3のインク材料が作成された。 トレース504を生成するために使用された試料を作るために、(YIGの母体格子材料内に3パーセントのErを有する)Er:YIGを含む第4のインク材料が作成された。 トレース505を生成するために使用された試料を作るために、(YIGの母体格子材料内に1パーセントのErを有する)Er:YIGを含む第5のインク材料が作成された。 トレース506を生成するために使用された試料を作るために、(YOSの母体格子材料内に20パーセントのErを有する)Er:YOSを含む第6のインク材料が作成された。 トレース507を生成するために使用された試料を作るために、(YGGの母体格子材料内に20パーセントのCrおよび3パーセントのErを有する)Cr:Er:YGGを含む第7のインク材料が作成された。 最後に、トレース508を生成するために使用された試料を作るために、(YAGの母体格子材料内に3パーセントのErを有する)Er:YAGを含む第8のインク材料が作成された。

    [00106]試料501から試料505について、LEDが使用され、印刷された特徴を鉄吸収帯内で(例えば、約630nmで)励起させた。 試料506について、LEDが使用され、印刷された特徴をEr吸収帯内で(例えば、約660nmで)励起させた。 試料507について、LEDが使用され、印刷された特徴をクロム吸収帯内で(例えば、約630nmで)励起させた。 最後に、試料508について、LEDが使用され、印刷された特徴をEr吸収帯内で(例えば、約660nmで)励起させた。 サンプルの各々について、励起を停止した後、結果として得られる放出強度が、摂氏約0度から摂氏約50度の範囲にわたって、摂氏5度の増分で認証システムにより検出された。 より具体的には、試料の各々について、検出された放出は、約1460nmと約1660nmの間の(すなわち、エルビウム放出帯内の)放出を含んでいた。

    [00107]図5に示されるように、Er:YIG蛍光体(すなわち試料501〜試料505)は、高いサーモグラフィ特性を呈し、温度が増加するとエルビウム放出の強度が著しく減少した。 別の言い方で言えば、温度が減少すると、エルビウム放出の強度が著しく増加した。 したがって、Er:YIG蛍光体内のエルビウム放出の強度は、試料501〜試料505の温度に反比例した。 逆に、Er:YOSおよびEr:YAG蛍光体(すなわち、試料506および試料508)は、温度プロファイルに対し実質的に平坦な強度を呈した。 最後に、Cr:Er:YGG蛍光体(すなわち、試料507)は、何らかのサーモグラフィ特性を呈し、温度が増加すると、エルビウム放出の強度がわずかに増加した(すなわち、Cr:Er:YGG蛍光体内のエルビウム放出の強度は、試料507の温度に直接比例した。)。 しかし、Cr:Er:YGG蛍光体(すなわち、試料507)についての、温度−強度曲線の傾きは、Er:YIG蛍光体(すなわち、試料501〜試料505)についての、温度−強度曲線の傾きよりも、著しく小さい大きさを有する。 したがって、Er:YIG蛍光体は、Cr:Er:YGG蛍光体よりもより容易に検出可能な場合がある(またはEr:YIG蛍光体が存在しないことは、より容易に明らかとなる場合がある)。

    [00108]さらなる説明として、図6は、例示的な実施形態にしたがった、温度に対するサーモグラフィ蛍光体試料のスペクトル放出特性を図示する。 より具体的には、図6は、紙製の手漉き物品基板の表面上に印刷されたインク材料に含まれた、(YIGの母体格子材料内に3パーセントのErを有する)Er:YIG試料の、複数の温度における、スペクトル放出特性を示す。 トレース601は、物品基板が摂氏約33.0度の温度であったときの、1460nmから1660nmに及ぶエルビウム放出帯内の放出の強度に対応する。 トレース602は、物品基板が摂氏約22.3度の温度であったときの、エルビウム放出帯内の放出の強度に対応する。 最後に、トレース603は、物品基板が摂氏約11.6度の温度であったときの、エルビウム放出帯内の放出の強度に対応する。 繰り返して言うと、Er:YIG蛍光体試料は、高いサーモグラフィ特性を呈した。 比較的高温における放出の強度(すなわち、トレース601)は、比較的低温における放出の強度(すなわち、トレース603)よりも著しく低い。

    [00109]図7は、いくつかの例示的な実施形態にしたがった、温度に対する複数のサーモグラフィ蛍光体試料の減衰時定数を示すグラフである。 トレース701〜トレース708は、図5の対応するトレース501〜トレース508を生成するために使用されるものと同じ試料を使用して生成された。 より具体的には、トレース701は、第1のインク材料内に、(YIGの母体格子材料内に32パーセントのErを有する)Er:YIGを含む試料に対応する。 トレース702は、第2のインク材料内に、(YIGの母体格子材料内に12パーセントのErを有する)Er:YIGを含む試料に対応する。 トレース703は、第3のインク材料内に、(YIGの母体格子材料内に6パーセントのErを有する)Er:YIGを含む試料に対応する。 トレース704は、第4のインク材料内に、(YIGの母体格子材料内に3パーセントのErを有する)Er:YIGを含む試料に対応する。 トレース705は、第5のインク材料内に、(YIGの母体格子材料内に1パーセントのErを有する)Er:YIGを含む試料に対応する。 トレース706は、第6のインク材料内に、(YOSの母体格子材料内に20パーセントのErを有する)Er:YOSを含む試料に対応する。 トレース707は、第7のインク材料内に、(YGGの母体格子材料内に20パーセントのCrおよび3パーセントのErを有する)Cr:Er:YGGを含む試料に対応する。 最後に、トレース708は、第8のインク材料内に、(YAGの母体格子材料内に3パーセントのErを有する)Er:YAGを含む試料に対応する。

    [00110]試料701から試料705について、LEDが使用され、印刷された特徴を鉄吸収帯内で(例えば、約630nmで)励起させた。 試料706について、LEDが使用され、印刷された特徴をEr吸収帯内で(例えば、約660nmで)励起させた。 試料707について、LEDが使用され、印刷された特徴をクロム吸収帯内で(例えば、約630nmで)励起させた。 最後に、試料708について、LEDが使用され、印刷された特徴をEr吸収帯内で(例えば、約660nmで)励起させた。 サンプルの各々について、励起を停止した後、結果として得られる減衰時定数が、摂氏約0度から摂氏約50度の範囲にわたって、摂氏5度の増分で認証システムにより計算された。 より具体的には、各減衰時定数は、温度の各々における試料の各々について、約1460nmと約1660nmの間の(すなわち、エルビウム放出帯内の)検出された放出の強度の、複数の時間増分測定に基づいて計算された。

    [00111]図7に示されるように、Er:YIG蛍光体(すなわち試料701〜試料705)は、高いサーモグラフィ特性を呈し、温度が増加するとエルビウム放出の減衰時定数が著しく減少した(または、温度が減少するとエルビウム放出の減衰時定数が著しく増加した)。 したがって、Er:YIG蛍光体内のエルビウム放出の減衰時定数は、試料701〜試料705の温度に反比例した。 逆に、Er:YOS、Cr:Er:YGG、およびEr:YAG蛍光体(すなわち、試料706から試料708)は、温度プロファイルに対し実質的に平坦な減衰時定数を呈した。

    [00112]少なくとも1つの例示的な実施形態が上記の詳細な説明に提示されてきたが、多数の変形実施形態が存在することを理解されたい。 1つの例示的な実施形態または複数の例示的な実施形態は、単なる例であり、本発明の主題の範囲、適用性、または構成を何らかのやり方で限定する意図がないことも理解されたい。 むしろ、上記の詳細な記述は、本発明の例示的な実施形態を実装するための便利なロードマップを当業者に提供することになり、添付の請求項およびそれらの法的な等価物に記載されるような、本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載された要素の機能および配置に、様々な変更がなされうることが理解される。

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