Hinge sheet, radio communication information holding sheet body, radio communication information holding booklet, and method of manufacturing the hinge sheet

申请号 JP2012042537 申请日 2012-02-28 公开(公告)号 JP2013176918A 公开(公告)日 2013-09-09
申请人 Keiwa Inc; 恵和株式会社; 发明人 SAWADA KOICHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a hinge sheet having relatively high tensile strength and tearing strength, and difficult to be restored to an original state when damage is inflicted thereon.SOLUTION: A hinge sheet includes a pair of resin films, and a sheet made of fiber arranged between the pair of resin films in which each fiber of the resin films and the sheet formed of fiber includes the same polymer as a main constituent. A difference between the refractive index of the resin film and the refractive index of the sheet made of fiber is preferably ≤0.1, each main constituent of the resin film and the sheet made of fiber is preferably an urethane-based resin, a part of the resin film preferably enters spaces of the fibers of the sheet formed of fiber, an average thickness is preferably 50-300 μm, the pair of resin films contain coloring agents, and the sheet formed of fiber preferably has a color identical to a color of the coloring agent.
权利要求
  • 一対の樹脂フィルムと、
    この一対の樹脂フィルムの間に配設される繊維製シートと を備え、
    上記樹脂フィルムと上記繊維製シートの繊維とが同一のポリマーを主成分としているヒンジシート。
  • 上記樹脂フィルムと上記繊維製シートとの屈折率差が0.1以下である請求項1に記載のヒンジシート。
  • 上記樹脂フィルム及び上記繊維製シートの主成分がウレタン系樹脂である請求項1又は請求項2に記載のヒンジシート。
  • 上記繊維製シートの繊維の隙間に上記樹脂フィルムの一部が入り込んでいる請求項1、請求項2又は請求項3に記載のヒンジシート。
  • 上記繊維製シートの繊維の隙間に上記樹脂フィルムが入り込まない空隙を有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載のヒンジシート。
  • 平均厚さが50μm以上300μm以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のヒンジシート。
  • 上記一対の樹脂フィルムが色料を含有し、上記繊維製シートが上記色料と同色である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のヒンジシート。
  • 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のヒンジシートと、
    このヒンジシートの一方の面に積層され、アンテナを内蔵する無線通信層と、
    この無線通信層の一方の面側に積層されるレーザ印刷層と を備え、
    上記ヒンジシートが、他の層よりも平面方向に突設した突設部を有する無線通信情報保持シート体。
  • 上記ヒンジシートの他方の面に積層されアンテナを内蔵する無線通信層と、
    この無線通信層の他方の面側に積層されるレーザ印刷層と をさらに備える請求項8に記載の無線通信情報保持シート体。
  • 上記ヒンジシートの突設部の突設端部付近に、
    上記無線通信層と離間しかつ上記ヒンジシートの一方の面に積層されアンテナを内蔵する他の無線通信層と、
    上記他の無線通信層の一方の面側に積層される他のレーザ印刷層と を備える請求項8に記載の無線通信情報保持シート体。
  • 上記無線通信層が、アンテナと、このアンテナに接続されたICチップとを内蔵する請求項8、請求項9又は請求項10に記載の無線通信情報保持シート体。
  • 上記請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の無線通信用積層シート体を有する無線通信情報保持冊子。
  • 一方の面に離型性を有する基材を用い、この基材の一方の面に熱可塑性樹脂組成物を積層し、基材及び熱可塑性樹脂組成層を有する一次積層シートを得る積層工程と、
    一対の上記一次積層シート及び繊維製シートを用い、一対の一次積層シートの互いの熱可塑性樹脂組成層を対向させかつ一対の一次積層シート間に繊維製シートを配設した状態で熱圧着し、二次積層シートを得る圧着工程と を有し、
    上記熱可塑性樹脂組成層と上記繊維製シートの繊維とが同一のポリマーを主成分としているヒンジシートの製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、ヒンジシート、無線通信情報保持シート体、無線通信情報保持冊子及びヒンジシートの製造方法に関する。

    上記のような無線通信情報冊子としては、例えばICチップを内蔵したIC旅券(電子パスポート)が存在する。 このIC旅券は、偽造や改竄を防止すべく氏名や国籍等の個人情報を印字した積層シート(プラスチックシート)にICチップを内蔵させ、このICチップにも個人情報を記憶させている。

    このIC旅券に用いられる積層シートは、ICチップの交換等によるデータの改竄を防止するために、高い引っ張り強度及び引裂き強度が必要とされる。 これらの強度の向上を図った積層シートとしては、織物状シートの両面に熱可塑性樹脂層を積層したものが提案されている(特開2011−079285号公報参照)。

    上記積層シートは、上記織物状シートが開口部を有し、この開口部に熱可塑性樹脂層の一部が侵入することにより、織物状シートと熱可塑性樹脂層との界面の一部を一体化させてシートの強度を向上させるとともに、シートを平坦化させる工夫がなされている。

    しかし、上記の積層シートにおいては、改竄者がシートを破断や分離等してICチップを交換し、その後シートを接合修復してもその痕跡が見つけにくく、改竄が発見できないおそれがある。 そのため、IC旅券等の無線通信情報冊子の改竄防止手段には改善の余地がある。

    特開2011−079285号公報

    本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、比較的高い引っ張り強度及び引裂き強度を有するとともに、損傷を加えた場合に元の状態に復元することが困難であるヒンジシート、このヒンジシートを用いた無線通信情報保持シート体及び無線通信情報保持冊子並びにヒンジシートの製造方法を提供することを目的とする。

    上記課題を解決するためになされた発明は、
    一対の樹脂フィルムと、
    この一対の樹脂フィルムの間に配設される繊維製シートと を備え、
    上記樹脂フィルムと上記繊維製シートの繊維とが同一のポリマーを主成分としているヒンジシートである。

    当該ヒンジシートは、繊維製シートを備えることで比較的高い引っ張り強度及び引裂き強度を有する。 特に、樹脂フィルムと繊維製シートとは同一のポリマーを主成分としているため、樹脂フィルムと繊維製シートとの密着性に優れ、樹脂フィルムと繊維製シートとの界面が一体的になりやすい。 このため、この界面が認識されにくく、当該ヒンジシートが単層素材のように視認されやすい。 また、上述のように樹脂フィルムと繊維製シートとは密着性に優れるため、樹脂フィルムと繊維製シートとの界面で剥離することは困難である。 さらに、仮にこの界面で剥離したとしても、樹脂フィルム及び繊維製シートの一方に他方の部分が追従して残存しやすく、その後加熱等によって修復しようとしても、上記残存部分が不良部分として認識されやすく、高い復元困難性を有する。 このため、当該ヒンジシートを用いた無線情報保持シートを当該ヒンジシート部分における剥離等によって改竄しようとしても、当該ヒンジシートは復元しがたいため、結果として改竄防止効果を有する。

    当該ヒンジシートは、上記樹脂フィルムと上記繊維製シートとの屈折率差が0.1以下であることが好ましい。 このように上記樹脂フィルムと上記繊維製シートとの屈折率差を上記範囲とすることによって、上記樹脂フィルムから進入した光が上記繊維製シートの界面で反射しにくくなり、この界面が視認されにくくなるため、当該ヒンジシートを単層素材のように視認させやすくすることができる。

    当該ヒンジシートは、上記樹脂フィルム及び上記繊維製シートの主成分がウレタン系樹脂であることが好ましい。 このように樹脂フィルム及び繊維製シートの主成分がウレタン系樹脂であることによって、樹脂フィルムの耐摩耗性及び柔軟性を向上させることができ、当該ヒンジシートの強度を高めることができる。

    当該ヒンジシートは、上記繊維製シートの繊維の隙間に上記樹脂フィルムの一部が入り込んでいることが好ましい。 このように繊維の隙間に上記樹脂フィルムが入り込むことによって、樹脂フィルムと繊維製シートとの密着性が向上し、樹脂フィルムと繊維製シートとの界面がより一体的になりやすく、またこの界面で剥離することを困難にすることができる。

    当該ヒンジシートは、上記繊維製シートの繊維の隙間に上記樹脂フィルムの一部が入り込む構成としてもよいが、上記繊維製シートの繊維の隙間に上記樹脂フィルムが入り込まない空隙を有する構成とすることもできる。 このように繊維製シートが空隙を有することによって、界面を一体的にしながらも、繊維製シートが樹脂フィルムと全体で一体的になることを防ぐことができる。 結果として、当該ヒンジシートの引裂き強度の低下を防止することができる。

    当該ヒンジシートは、平均厚さが50μm以上300μm以下であることが好ましい。 このように当該ヒンジシートの平均厚さを上記範囲とすることによって、当該ヒンジシートに一定の引っ張り強度及び引裂き強度、取扱い性等を与えつつ、繊維製シートと一対の樹脂フィルムとの界面が認識されにくくすることができる。

    当該ヒンジシートは、上記一対の樹脂フィルムが色料を含有し、上記繊維製シートが上記色料と同色であることが好ましい。 このように一対の樹脂フィルムが色料を含有し、繊維製シートがこの色料と同色であることによって、当該ヒンジシートは、表裏面にレーザ印刷層が積層された場合に、表面側からレーザ光を照射し表面側のレーザ印刷層を印刷した際に、この表面側からのレーザ光が色料を含有する樹脂フィルム及び着色された繊維製シートによって遮蔽されるので、裏面側のレーザ印刷層の印刷不良を防止することができる。 同様に、裏面側からレーザ光を照射して裏面側のレーザ印刷層を印刷しても、表面側のレーザ印刷層の印刷不良を防ぐことができる。 また、樹脂フィルムと繊維製シートとが同色に着色されていることにより、これらの界面をさらに認識されにくくすることができる。

    また、本発明に係る無線通信情報保持シート体は、
    当該ヒンジシートと、
    このヒンジシートの一方の面に積層され、アンテナを内蔵する無線通信層と、
    この無線通信層の一方の面側に積層されるレーザ印刷層と を備え、
    上記ヒンジシートが、他の層よりも平面方向に突設した突設部を有するものである。

    当該無線通信情報保持シート体にあっては、無線通信層を有するので、他の外部無線端末に対して保持する情報を発信することができ、このため例えば電子パスポート等に利用することができる。 また、当該無線通信情報保持シート体は、当該ヒンジシートを有するものであるので、引っ張り強度及び引裂き強度に優れ、改竄防止効果も有する。

    当該無線通信情報保持シート体は、上記ヒンジシートの他方の面に積層されアンテナを内蔵する無線通信層と、この無線通信層の他方の面側に積層されるレーザ印刷層とをさらに備える構成を採用することが可能である。 これにより、表裏一対の無線通信層によって、より多くの情報を保持することができる。

    当該無線通信情報保持シート体は、上記ヒンジシートの突設部の突設端部付近に、上記無線通信層と離間しかつ上記ヒンジシートの一方の面に積層されアンテナを内蔵する他の無線通信層と、上記他の無線通信層の一方の面側に積層される他のレーザ印刷層とを備える構成を採用することが可能である。 これにより、左右(突設部の突設方向を横とした場合)一対の無線通信層によって、より多くの情報を保持することができる。

    当該無線通信情報保持シート体は、無線通信層が、上記アンテナに接続されたICチップを内蔵する構成を採用することが可能である。 これによって、ICチップによって、より多くの情報を保持することができる。

    本発明に係る無線通信情報保持冊子は、当該無線通信情報保持シート体を有するものである。 このため、当該無線通信情報保持シート体の無線通信層によって、他の外部無線端末に対して保持する情報を発信することができ、このため例えば電子パスポート等に好適に採用することができる。 また、当該無線通信情報冊子は、当該ヒンジシートを有するものであるので、引っ張り強度及び引裂き強度に優れ、改竄防止効果も有する。

    また、本発明に係るヒンジシートの製造方法は、
    一方の面に離型性を有する基材を用い、この基材の一方の面に熱可塑性樹脂組成物を積層し、基材及び熱可塑性樹脂組成層を有する一次積層シートを得る積層工程と、
    一対の上記一次積層シート及び繊維製シートを用い、一対の一次積層シートの互いの熱可塑性樹脂組成層を対向させかつ一対の一次積層シート間に繊維製シートを配設した状態で熱圧着し、二次積層シートを得る圧着工程と を有し、
    上記熱可塑性樹脂組成層と上記繊維製シートの繊維とが同一のポリマーを主成分としているヒンジシートの製造方法である。

    当該ヒンジシートの製造方法によれば、予め一次積層シートを形成し、この一次積層シートを用いて二次積層シートを形成でき、つまり基材の一方の面に熱可塑性樹脂組成物を積層することにより予め熱可塑性樹脂層(一次積層シート)を形成し、この熱可塑性樹脂層を繊維製シートに熱圧着によって積層接着することができるため、繊維製シートと熱可塑性樹脂層との間の接着は従来のものに比して低温で行うことができる。 これにより、当該製造方法によって製造されたヒンジシートにあっては、従来のヒンジシートに比べて、繊維製シートの繊維の熱劣化が軽減され、十分な引っ張り強度を得ることができる。 さらに、上記熱可塑性樹脂組成層と上記繊維製シートの繊維とが同一のポリマーを主成分としているため、熱可塑性樹脂層と繊維製シートとの密着性が高いためにその界面が認識されにくく、当該ヒンジシートの製造方法で得られるヒンジシートは、単層素材であるかのように視認される。 また、これらのシート間の密着性が高く剥離しにくいため、シートの剥離の形跡が残存しやすい復元困難性を有し、結果として当該ヒンジシートを用いたIC旅券等の改竄防止効果を有する。

    ここで、「同一のポリマー」とは、ポリマーを構成する主のモノマーが同一であることを意味する。

    以上説明したように、本発明のヒンジシートは、比較的高い引っ張り強度及び引裂き強度を有するとともに、損傷を加えた場合に元の状態に復元することが困難である。 このため、このヒンジシートを用いた無線通信情報保持シート体及び無線通信情報保持冊子は高い改竄防止性が得られる。

    本発明の一実施形態に係るヒンジシートの製造方法の概略的説明図であって、(a)は積層工程後の概略的断面図、(b)は圧着工程後の概略的断面図、(c)は剥離工程後の概略的断面図である。

    図1の製造方法に用いられる製造装置の概略構成図である。

    (a)は本発明の一実施形態に係るヒンジシートの概略的断面図であり、(b)は(a)とは異なる実施形態に係るヒンジシートの概略的断面図である。

    図1の製造方法によって得られたヒンジシートを用いた無線通信情報保持シート体の概略的断面図である。

    図4の無線通信情報保持シート体を用いた無線通信情報保持冊子の概略的断面図である。

    本発明の他の実施形態に係る無線通信情報保持シート体の概略的断面図である。

    図6の無線通信情報保持シート体を用いた無線通信情報保持冊子の概略的断面図である。

    本発明の他の実施形態に係る無線通信情報保持シート体の概略的断面図である。

    [第一実施形態]
    以下、本発明の実施形態について説明するが、まず、本発明の第一実施形態のヒンジシートの製造方法について、図1及び図2を参照しつつ説明する。

    <ヒンジシート1の製造方法>
    本実施形態のヒンジシート1の製造方法(以下、単に製造方法ということがある)は、一次積層シート1Aを得る第一積層工程、この第一積層工程によって得た一次積層シート1Aを用いて多層積層体(二次積層シート1B)を得る圧着工程、及び圧着工程後に一部の層を剥離する剥離工程を有している。

    具体的には、積層工程は、一方の面に離型性を有するシート状の基材3を用い、この基材3の一方の面に熱可塑性樹脂組成物を積層し、基材3及び熱可塑性樹脂層5(樹脂フィルム)を有する一次積層シート1Aを得る工程である。 また、圧着工程は、上記積層工程によって得られる一対の一次積層シート1A及び繊維製シート7を用い、一対の一次積層シート1Aの互いの熱可塑性樹脂層5を対向させかつ一対の一次積層シート1A間に繊維製シート7を配設した状態で熱圧着し、二次積層シート1Bを得る工程である。 さらに、剥離工程は、上記圧着工程によって得られた二次積層シート1Bの外面に配設される一対の基材3を剥離する工程である。 なお、この圧着工程及び剥離工程は、図2に示すように、連続的に各工程が施されている。

    (積層工程)
    積層工程は、上述のように基材3に熱可塑性樹脂層5を積層して一次積層シート1Aを形成する工程である。 この積層工程は、主原料である熱可塑性樹脂組成物に顔料(色料)を添加して熱可塑性樹脂層5の形成材料を調製する積層材料調製工程(添加工程)と、この積層材料調製工程によって調整された上記形成材料を基材3に積層する工程とを有している。 また、この積層工程の後の一次積層シート1Aは原反状に捲回され、次工程(図2参照)に送られている。

    この積層工程において用いられる基材3としては、合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布(不織布等)、ネット、発泡シート、金属箔、又はこれらのラミネート体等からなる適当なシート状体を用いることができる。 特に基材3としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムを好適に用いることができる。 この基材3の表面には、熱可塑性樹脂層5との剥離性を高めるため、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を施すことが好ましい。 剥離シートの剥離性は、剥離処理に用いる薬剤の種類及び/又はその塗工量等の調節によって制御することができる。

    また、積層工程においては、熱可塑性樹脂の積層方法としては種々の積層手法を採用することができ、例えば連続的にシート状の基材3を供給し、この基材3の上に溶融した熱可塑性樹脂を積層し、これを硬化させて、基材3上に熱可塑性樹脂層5を積層した一次積層シート1Aを得ることができる。

    また、熱可塑性樹脂組成物は、主成分の熱可塑性樹脂がウレタン系樹脂であるものが好適に用いられ、その他低温接着性樹脂であるものも用いることができる。

    ウレタン系樹脂としては、ポリヒドロキシル化合物、ジイソシアネート及びジイソシアネートと反応する原子を少なくとも2個含有する低分子量の鎖伸長剤とから合成することができるポリウレタン等が挙げられる。 製造方法としては、例えば、溶剤中で比較的高分子量のポリウレタンを合成した後、水を少しずつ加えて転相乳化し、減圧により溶剤を除く方法や、ポリマー中に親水性基としてポリエチレングリコールやカルボキシル基等を導入させたウレタンプレポリマーを水に溶解あるいは分散させた後、鎖伸長剤を添加して反応させる方法等がある。

    上記ウレタン系樹脂の製造に用いられるポリヒドロキシル化合物の例としては、例えばフタル酸、アジピン酸、二量化リノレイン酸、マレイン酸等のカルボン酸類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどから脱水縮合反応によって得られるポリエステルポリオール類;ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、シュクローズ、スターチ、リン酸などの無機酸を開始剤としたポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール等のポリエーテルポリオール;アクリルポリオール、ヒマシ油の誘導体、トール油誘導体、その他水酸基化合物等が挙げられる。 これらのポリヒドロキシル化合物は、単独又は複数種のものを組み合わせて用いることができる。

    上記ウレタン系樹脂の製造に用いられるジイソシアネートの例としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジクロロ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。 これらのジイソシアネートは、単独又は複数種のものを組み合わせて用いることができる。

    ウレタン系樹脂の製造に用いられる鎖伸長剤の例としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、ヒドロキノン−ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル、レゾルシノール−ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル等のポリオール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン等のポリアミン類、ヒドラジン類、及び水が挙げられる。 これらの鎖伸長剤は、単独又は複数種のものを組み合わせて用いることができる。

    また、低温接着性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル共重合体;又はポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリアミノウンデカン酸(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸(ナイロン−66)、ポリヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−610)、ポリヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−612)等のポリアミド単独重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ナイロン−6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ナイロン−6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカン二酸共重合体(ナイロン−6/66/612)等のポリアミド共重合体等が挙げられる。 これらのポリアミド系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。

    また、熱可塑性樹脂層5の形成材料に添加される顔料としては、白色顔料が好適に用いられ、白色顔料としては例えば無機顔料を用いることができる。 この白色顔料としては、例えば炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸鉛、硫酸バリウムなどを使用することができる。 中でも、合成樹脂層を形成する樹脂材料中への分散性に優れ、合成樹脂層の耐久性、耐熱性、強度等の向上効果が比較的大きい炭酸カルシウムが好ましい。 この炭酸カルシウムは、カルサイト、アラゴナイト、バテライトなどの結晶タイプがあり、どの結晶タイプでも使用できる。 この炭酸カルシウムは、ステアリン酸、ドデジシルベンゼンスルホン酸ソーダ、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等で表面処理されていてもよく、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン等の不純物が10%以下程度含まれていてもよい。

    この白色顔料の平均粒子径は、500nm以上30μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下が特に好ましい。 白色顔料の平均粒子径が上記範囲より小さいと、凝集等により合成樹脂層中への均一な分散が困難になり、白色顔料の特性が十分に発揮されないおそれがあり、逆に、白色顔料の平均粒子径が上記範囲を超えると、熱可塑性樹脂層5の強度等が低下するおそれがある。

    また、熱可塑性樹脂層5中の白色顔料の含有量としては、10質量%以上20質量%以下配合されていることが好ましく、13質量%以上17質量%以下であることがより好ましい。 これにより、熱可塑性樹脂層5によってレーザ光を十分反射できるとともに、白色顔料の添加による樹脂フィルムの強度の劣化が低く、当該ヒンジシート1が十分な耐久性を有することになる。

    上記白色顔料を含有している熱可塑性樹脂層5の平均厚さは5μm以上200μm以下であることが好ましく、15μm以上100μm以下であることがより好ましく、30μm以上50μm以下であることが特に好ましい。 これにより、繊維製シートと一対の樹脂フィルムとの界面を認識されにくくすることができる。 また当該ヒンジシート1が厚くなり過ぎない。

    上述のように白色顔料を含有する熱可塑性樹脂層5において、白色顔料の周囲にボイドを有するとよい。 このように白色顔料の周囲にボイドを有することで、熱可塑性樹脂層5中での白色顔料の均一分散性が向上し、当該熱可塑性樹脂層5の生産性や耐久性、耐候性、強度等の諸特性を向上させることができる。

    かかるボイドの含有による熱可塑性樹脂層5の見掛け密度としては、0.99g/cm 以上1.37g/cm 以下が好ましく、1.18g/cm 以上1.33g/cm 以下が特に好ましい。 上記熱可塑性樹脂層5の見掛け密度が上記下限より小さいと、白色顔料の周囲のボイドの容積が大きくなり、熱可塑性樹脂層5の生産性や強度特性が低下するおそれがある。 一方、熱可塑性樹脂層5の見掛け密度が上記上限を超えると、白色顔料の周囲のボイドの容積が少なくなり、上記耐久性、強度等の向上効果が小さくなるおそれがある。

    なお、上記熱可塑性樹脂層5の形成材料には、上記白色顔料のほか、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。 この添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、フィラー、白色顔料以外の顔料、可塑剤、劣化防止剤、分散剤等が挙げられる。

    (圧着工程)
    圧着工程は、上述のように一対の一次積層シート1Aの間に白色の繊維製シート7を介在させて圧着して二次積層シート1Bを得る工程である。 ここで、圧着工程において一対の上記一次積層シート1Aは同一構成のものを用いており、具体的には、一対の一次積層シート1Aの各熱可塑性樹脂層5には、それぞれ白色顔料が含有されている。

    上記繊維製シート7は、繊維を含みシート状に形成されたものであれば種々のものを採用することができ、例えば繊維を網目状に編んだメッシュクロスから構成することも可能であるが、繊維を織らずにシート状に形成した不織布から構成することが好ましい。 これにより、加工性に優れるとともに、製造されるヒンジシート1に十分な強度を持たせることが可能となる。

    また、繊維製シート7の繊維としては、熱可塑性樹脂層5の主成分と同一のポリマーであるウレタン系樹脂製の合成繊維が用いられる。 この繊維の繊度及び繊維長は、特に限定されるものではないが、繊度が0.55デシテックス以上3.3デシテックス以下、繊維長が20mm以上51mm以下のものが好適に用いられる。 上記不織布の製造方法としては、水流交絡(スパンレース)法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法等の一般的な方法を採用することができる。

    繊維シート7の屈折率は、熱可塑性樹脂層5の屈折率に対して±0.1以内であることが好ましく、±0.05以内であることがさらに好ましい。 繊維シート7の屈折率と熱可塑性樹脂層5の屈折率との差が上記範囲を超えると、繊維シート7と熱可塑性樹脂層5との界面での光の反射が大きくなり、界面の視認率が向上し界面の一体性が低下するおそれがある。

    また、白色の繊維製シート7としては、繊維自体が白色のものを用いて製造する方法のほか、繊維製シート7を白色塗料で着色したものであっても良く、例えば繊維製シート7に白色塗料をコーティングしたものや、また繊維製シート7を白色塗料に含浸させたものを用いることも可能である。

    なお、この繊維製シート7は、平均厚さが25μm以上60μm以下、好ましくは30μm以上50μm以下に形成されていることが好ましい。 これにより、当該ヒンジシートに一定の引っ張り強度及び引裂き強度、取扱い性等を与えつつ、繊維製シートと一対の樹脂フィルムとの界面を認識されにくくすることができる。

    圧着工程においては、加熱手段及び一対の挟持ロールを有する熱圧着装置が用いられ、具体的には、一対の加熱ロール10(挟持ロール)を有する熱圧着装置が用いられる(図2参照)。 なお、この熱圧着装置の加熱ロール10としては、種々のものが採用可能であり、例えば金属ロールやシリコンロールを用いることができる。

    上記圧着工程における熱圧着の圧着温度は、80℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以上180℃以下、特に好ましくは100℃以上170℃以下である。 圧着温度が上記下限値未満であると、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7との接着強度が不十分となるおそれや、繊維製シート7の繊維の隙間に熱可塑性樹脂層5の一部が入り込まないおそれがある。 また、圧着温度が上記上限値を超えると、繊維製シート7の繊維の熱劣化が生ずるおそれがある。

    また、圧着工程における熱圧着の圧着圧は、0.1MPa以上であることが好ましく、より好ましくは0.3MPa以上、特に好ましくは0.5Mpa以上である。 圧着圧力が上記下限値未満であると、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7との接着強度が不十分となるおそれや、繊維製シート7の繊維の隙間に熱可塑性樹脂層5の一部が入り込まないおそれがある。 また、熱圧着の圧着圧力の上限値は特に限定されるものではないが、10Mpa以下が好ましく、より好ましくは5MPa以下、特に好ましくは1Mpa以下である。 圧着圧力が上記上限値を超えると、繊維製シート7の性能劣化が懸念されるばかりか、圧力付与のために製造ラインの複雑化を招くおそれがある。

    さらに、圧着工程における熱圧着の熱圧着速度は、0.5m/min以上30m/min以下であることが好ましく、より好ましくは1m/min以上20mm/min以下である。 圧着速度が上記下限値未満であると、繊維製シート7の性能劣化が懸念され、また大量生産に不適となるおそれがある。 また、圧着速度が上記上限値を超えると、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7との接着強度が不十分となるおそれや、繊維製シート7の繊維の隙間に熱可塑性樹脂層5の一部が入り込まないおそれがある。

    (剥離工程)
    剥離工程は、上述のように、圧着工程後の二次積層シート1Bから外面の各基材3を剥離する工程である。 ここで、この基材3の剥離は、上記二次積層シート1Bの表裏面の略同一箇所から剥離するよう設けられていることが好ましい。 具体的には、図2に示すように、剥離案内ロール11が上下流の略同一箇所に配設されていることが好ましい。 これにより、表裏面からバランス良く基材3を剥離することができる。

    (ヒンジシート1)
    上記製造方法によって形成されたヒンジシート1は、一対の熱可塑性樹脂層5と、この一対の熱可塑性樹脂層5の間に配設される繊維製シート7とを備える構造からなる。 この一対の熱可塑性樹脂層5はウレタン系樹脂を主成分としており、繊維製シート7は、ウレタン系樹脂製の合成繊維によって形成されている。 また当該ヒンジシート1は、図3(a)に示すように、繊維製シート7が有する繊維7aの隙間に熱可塑性樹脂層5の一部が入り込んでいる。

    また、当該ヒンジシート1は、平均厚さが、50μm以上300μm以下、好ましくは80μm以上200μm以下、より好ましくは110μm以上130μm以下に形成されていることが好ましい。 これにより、当該ヒンジシートに一定の引っ張り強度及び引裂き強度、取扱い性等を与えつつ、繊維製シートと一対の樹脂フィルムとの界面を認識されにくくすることができる。

    (電子パスポート用シート体40)
    次に、本発明の一実施形態の無線情報保持シート体として、上述した構成からなる当該ヒンジシート1を用いた電子パスポート用シート体40を図4を参酌しつつ、以下説明する。

    当該電子パスポート用シート体40は、当該ヒンジシート1と、当該ヒンジシート1の一方の面(以下の説明において表面ということがある)に積層されアンテナ(図示省略)を内蔵する無線通信層20と、この無線通信層20の一方の面側に積層される印刷層30とを備えている。 また、当該電子パスポート用シート体40は、上記ヒンジシート1の他方の面(以下の説明において裏面ということがある)も上記表面と略同様の構成を有している。 具体的には、当該ヒンジシート1の裏面側にアンテナ(図示省略)を内蔵する他の無線通信層20が積層され、この無線通信層20の他方の面側に他の印刷層30が積層されている。 つまり、本実施形態の電子パスポート用シート体40にあっては、ヒンジシート1の両面にそれぞれ、無線通信層20及び印刷層30が形成されている。 そして、当該電子パスポート用シート体40にあって、ヒンジシート1は、他の層(無線通信層20及び印刷層30)よりも平面方向一側から突設した突設部1aを有している。

    上記表裏の無線通信層20は、ICチップ(図示省略)を内蔵するICチップ内蔵層21と、上記アンテナを内蔵するアンテナ内蔵層23とを有している。 上記ICチップはアンテナに電気的に接続され、このアンテナを介してICチップが保有する情報を無線通信できるよう構成されている。 なお、表裏一方の無線通信層のみがICチップ内蔵層を有し、他方の無線通信相がアンテナ内蔵層のみでICチップ内蔵層を有さない構成を採用することも可能である。

    ICチップ内蔵層21に内蔵されるICチップは、半導体素子を含む集積回路であり、各種データを保存可能に設けられている。 ICチップは、電極部(図示省略)を有しており、この電極部は、アンテナの接点部と電気的に接続するように配設されている。

    上記ICチップはICチップ内蔵層21を形成する樹脂によって囲堯状態にされている。 このICチップ内蔵層21を形成する樹脂は、種々のものを採用できるが、非結晶性ポリエレテレンテレフタレートコポリマー(以下、PETGということがある)を好適に用いることができる。 ここで、ICチップ内蔵層21は、平均厚さが150μm以上350μm以下に設けられていることが好ましく、より好ましくは200μm以上300μm以下である。

    上記アンテナ内蔵層23は、アンテナが形成されたアンテナ回路フィルム(図示省略)と、アンテナ回路フィルムが積層される基材フィルム(図示省略)とを備えている。 このアンテナ内蔵層23は、平均厚さが90μm以上200μm以下に設けられていることが好ましく、より好ましくは100μm以上150μm以下である。

    上記基材フィルムの素材は、特に限定されるものではないが、例えばポリカーボネートを採用することが可能である。 また、この基材フィルムの平均厚さは30μm以上200μm以下に設けられていることが好ましく、より好ましくは50μm以上100μm以下である。

    また、上記アンテナ回路フィルムは、樹脂フィルムにアンテナが形成されて構成されているものであり、ここでアンテナ形成方法は種々の公知の方法を採用でき、例えば印刷等によってアンテナを形成することが可能である。 また、このアンテナ回路フィルムを構成する樹脂フィルムの素材は、特に限定されるものではないが、例えばPETGを採用することが可能である。 また、この樹脂フィルムの平均厚さは30μm以上200μm以下に設けられていることが好ましく、より好ましくは50μm以上100μm以下である。

    上記表裏面の印刷層30は、レーザ光の照射により印刷されるレーザ印刷層35を有するとともに、写真等の画像が印刷される受像層31を有している。 具体的には、上記無線通信層20の外面に上記受像層31が積層され、この受像層31の外面に接着剤層33を介して上記レーザ印刷層35が積層されている。

    受像層31は、インクジェット方式、熱転写方式、電子写真方式等により種々の情報を画像として形成するための層である。 受像層31は、画像記録用インクを受容、拡散、密着、固定等させることで画像の形成を可能とする。 画像記録用インクをインクジェット方式に適用する方法としては、例えば、特開2000−44857号公報や特開平9−71743号公報で記載されているような方法が挙げられる。 また、画像記録用インクを熱転写方式に適用する方法としては、例えば、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式等が挙げられる。

    受像層31を形成する材料としては、特に限定されるものではなく、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他のモノマー(例えばイソブチルエーテル、プロピオン酸ビニル等)との共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、三酢酸セルロース、ポリスチレン、スチレンと他のモノマー(例えばアクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化エチレン等)との共重合体、ビニルトルエンアクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、及びそれらの変性物などを挙げることができる。

    受像層31には、ブロッキング、タック防止の点から各種フィラーを添加することができる。 このようなフィラーとしては、フッ素系粒子、メラミン樹脂粒子、シリコン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等が挙げられる。 また、受像層31には、製膜助剤、塗液安定剤、レベリング剤、消泡剤等の各種添加剤を添加してもよい。

    なお、受像層31は、平均厚さが4μm以上8μm以下に設けられていることが好ましく、より好ましくは5μm以上7μm以下である。

    レーザ印刷層35は、遮光インキ層(図示省略)と、レーザ印刷される遮光インキ層の領域を少なくとも隠蔽するように形成された背景インキ層(図示省略)とを有している。 ここで、背景インキ層の形成領域(平面方向)は遮光インキ層の形成領域よりもやや広く設けられ、遮光インキ層を隠蔽するように構成されている。

    上記遮光インキ層の形成にあっては、レーザ光をする金属粒子を含有する印刷インキを用いることができ、具体的には例えばインキ重量に対し平均粒径5μm以上20μm以下のアルミニウム粒子を5重量%以上20重量%以下になるように、アルミニウムペーストをメジウムに分散させた銀インキを用いることができる。

    また、背景インキ層の形成にあっては、顔料を含む印刷インキを用いることができ、具体的には例えば白色顔料を含有する白インキを用いて背景インキ層を形成することが好ましく、これによりレーザ印刷される印刷パターンの色は黒色を呈するため、印刷パターンのコントラストが高くなる。 この白インキとしては、種々のものを用いることができるが、酸化チタン等の白色顔料を用いることが好ましい。

    レーザ印刷層35は、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等の印刷手法によってレーザ印刷層35の基層に遮光インキ層を印刷し、その後遮光インキ層の上に背景インキ層を重ね刷りすることでることで形成できる。

    なお、レーザ印刷層35は、平均厚さが50μm以上150μm以下に設けられていることが好ましく、より好ましくは70μm以上110μm以下である。

    上記レーザ印刷層35と上記受像層31とは接着剤層33を介して接着されている。 この接着剤の種類は特に限定されるものではなく、種々の接着剤を採用することが可能である。 また、接着剤層33の平均厚さは4μm以上8μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上7μm以下である。

    上記構成からなる当該電子パスポート用シート体40は、平均厚さが1mm以下に設けられていることが好ましく、より好ましくは900μm以下であり、さらに好ましくは800μm以下である。

    (電子パスポート50)
    次に、本発明の無線情報保持冊子の一実施形態として、上述した構成からなる当該無線情報保持シート体40を用いた電子パスポート50を図5を参酌しつつ説明する。

    当該電子パスポート50は、当該電子パスポート用シート体40を有する冊子であり、電子パスポート用シート体40は、冊子51の背の部位の折り返し部の内側に接合されている。 ここで、電子パスポート用シート体40は、ヒンジシート1の突出部1aの自由端が接合されており、このヒンジシート1の熱可塑性樹脂層5が熱溶着によって冊子51に接合されている。

    (利点)
    当該ヒンジシート1は、繊維製シート7を備えることで比較的高い引っ張り強度及び引裂き強度を有する。 特に、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7とは同一のポリマーを主成分としているため、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7との密着性に優れ、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7との界面が一体的になりやすい。 このため、この界面が認識されにくく、当該ヒンジシート1が単層素材のように視認されやすい。 また、上述のように熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7とは密着性に優れるため、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7との界面で剥離することは困難である。 さらに、仮にこの界面で剥離したとしても、熱可塑性樹脂層5及び繊維製シート7の一方に他方の部分が追従して残存しやすく、その後加熱等によって修復しようとしても、上記残存部分が不良部分として認識されやすく、高い復元困難性を有する。 このため、当該ヒンジシート1を用いた無線情報保持シートを当該ヒンジシート部分における剥離等によって改竄しようとしても、当該ヒンジシート1は復元しがたいため、結果として改竄防止効果を有する。 特に、当該ヒンジシート1は、繊維製シート7の繊維7aの隙間に熱可塑性樹脂層5の一部が入り込んでいるため、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7との界面がより一体化される。 さらに、上記熱可塑性樹脂層5と上記繊維製シート7との屈折率差が0.1以下であることによって、界面の認識性がさらに低減されている。

    また、当該ヒンジシート1の熱可塑性樹脂層5の主成分は、ウレタン系樹脂であるため、熱可塑性樹脂層5の耐摩耗性及び柔軟性が向上し、当該ヒンジシート1の強度が強くなる。

    さらに、当該ヒンジシート1は、熱可塑性樹脂層5が色料を含有し、さらに繊維製シート7がこの色料と同色であることによって、表裏面にレーザ印刷層が積層された場合に、表面側からレーザ光を照射し表面側のレーザ印刷層を印刷した際に、この表面側からのレーザ光が色料を含有する熱可塑性樹脂層5及び同色に着色された繊維製シート7によって遮蔽されるので、裏面側のレーザ印刷層の印刷不良を防止することができる。 同様に、裏面側からレーザ光を照射して裏面側のレーザ印刷層を印刷しても、表面側のレーザ印刷層の印刷不良を防ぐことができる。 また、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7とが同色に着色されていることにより、これらの層及びシートの界面をさらに認識されにくくすることができる。 しかも、当該ヒンジシート1は、熱可塑性樹脂層5及び繊維製シート7が白色であるため、他の色を呈する場合に比して、ヒンジシート1自体に焼けむら等が生じにくい。 つまり、当該ヒンジシート1にあっては、熱可塑性樹脂層5等を比較的明度が低い色(例えば黒色)とすることも可能であるが、その場合、入射したレーザ光を吸収してしまい、そのレーザ光によって当該ヒンジシート1が変色してしまうおそれがあり、このため上述のように白色に設けることで、レーザ光を的確に反射し、変色しにくいという利点を有する。

    また、当該ヒンジシート1の製造方法は、予め一次積層シート1Aを形成し、この一次積層シート1Aを用いて二次積層シート1Bを形成でき、つまり基材3の一方の面に熱可塑性樹脂組成物を積層することにより予め熱可塑性樹脂層5(一次積層シート1A)を形成し、この熱可塑性樹脂層5を繊維製シート7に熱圧着によって積層接着することができるため、繊維製シート7と熱可塑性樹脂層5との間の接着は従来のものに比して低温で行うことができる。 これにより、当該ヒンジシート1にあっては、従来のヒンジシート1に比べて、繊維製シート7の繊維の熱劣化が軽減され、十分な引っ張り強度を得ることができる。

    [第二実施形態]
    次に、本発明の第二実施形態の無線情報保持シート体として、図6に示す電子パスポート用シート体40を説明する。 なお、この第二実施形態の電子パスポート用シート体40においても上記第一実施形態のヒンジシート1を用いている。 また、第一実施形態と同一構成を有する部分については同一符号を用い、その詳細な説明を省略する場合がある。

    第二実施形態の電子パスポート用シート体40も、第一実施形態と同様に、ヒンジシート1の一方の面に積層されアンテナを内蔵する無線通信層20と、この無線通信層20の一方の面側に積層される印刷層30とを備え、ヒンジシート1が、他の層よりも平面方向に突設した突設部1aを有する構造からなる。 第二実施形態の電子パスポート用シート体40は、ヒンジシート1の突設部1aの突設端部付近において、上記無線通信層20と離間しかつヒンジシート1の一方の面に積層されアンテナを内蔵する他の無線通信層20と、他の無線通信層20の一方の面側に積層される他の印刷層30とを備えている。 換言すれば、第二実施形態の電子パスポート用シート体40は、ヒンジシート1の一方の面に一対の無線通信層20が互いに離間して積層され、この各無線通信層20の一方の面に印刷層30が積層されている。

    次に、この第二実施形態の電子パスポート用シート体40を用いた電子パスポートについて、本発明の無線通信情報保持冊子の第二実施形態として図7を参酌しつつ説明する。 なお、第一実施形態と同一構成を有する部分については同一符号を用い、その詳細な説明を省略する場合がある。

    第二実施形態の電子パスポート50は、第一実施形態と同様に、冊子の背の部位の折り返し部の内側に接合された第一実施形態の電子パスポート用シート体40を有するとともに、上述した第二実施形態の電子パスポート用シート体40を有している。 この第二実施形態の電子パスポート用シート体40は、冊子の表紙(表表紙及び裏表紙)の外側に配設されており、一方の面側が内側となった状態(印刷層30が内側となった状態)で冊子の表紙に貼着されている。

    この第二実施形態の電子パスポート50によれば、上記第一実施形態の電子パスポート用シート体40の無線通信層20のみならず、冊子の表紙に配設された第二実施形態の電子パスポート用シート体40の無線通信層20によっても情報を保持することができるので、より多くの情報を保持することができる。

    [その他の実施形態]
    なお、上記した各実施形態は上記構成によって上記利点を奏するものであったが、本発明は上記各実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。

    つまり、本発明の無線通信情報保持シート体は、複数の無線通信層20を有するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも一つの無線通信層を有するものであれば本発明の意図する範囲内である。

    また、当該ヒンジシート1の表裏面それぞれに無線通信層20を配設する場合であっても、上記第一実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば図8に示すような無線通信情報保持シート体にすることも適宜設計変更可能な事項である。 この図8に示す無線通信情報保持シート体は、ヒンジシート1の表面にアンテナ内蔵層23の一層からなる無線通信層20が積層され、この無線通信層20の表面にレーザ印刷層35の一層からなる印刷層30が積層されている。 また、この無線通信情報保持シート体は、ヒンジシート1の裏面にアンテナ保持層一層からなる無線通信層20が積層され、この無線通信層20の裏面に印刷層30が積層されており、この印刷層30が無線通信層20の裏面に積層されたレーザ印刷層35とこのレーザ印刷層35の裏面に積層された受像層31とから構成されている。

    さらに、上記実施形態においては、ヒンジシート1の表裏の熱可塑性樹脂層5が同一構成のものを説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表裏の熱可塑性樹脂層が異なる構成(例えば、素材、厚み等)を有するものであっても本発明の意図する範囲内である。

    また、上記実施形態においては、ヒンジシート1の熱可塑性樹脂層5が色料を含有し、繊維製シート7がこの色料と同色の色を有するものを説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱可塑性樹脂層5が色料を有さず、繊維製シート7が着色されていない構成も本発明の意図する範囲内である。 ただし、熱可塑性樹脂層5が色料を有している場合に繊維製シート7が無着色または上記色料とは異なる色に着色されている構成や、熱可塑性樹脂層5が色料を有さない場合に繊維製シート7が着色されている構成は、熱可塑性樹脂層5と繊維製シート7との界面が認識しやすくなって本発明の効果が発揮されないおそれがあるため好ましくない。

    また、ヒンジシート1の熱可塑性樹脂層5及び繊維製シート7の主成分のポリマーは、ウレタン系樹脂に限定されるものではなく、例えば、オレフィン系樹脂等を用いることも可能である。

    また、ヒンジシート1は、図3(b)に示すように、繊維製シート7の繊維7aの隙間に上記樹脂フィルムが入り込まない空隙7bを有していてもよい。

    また、当該無線通信用積層シート体にあっては、アンテナ内蔵層が、アンテナの外面側(表面側のアンテナ内蔵層の場合にはアンテナの表面側)にレーザ光を反射するレーザ光反射層をさらに備えるものも採用可能である。

    また、本発明のヒンジシート1は、電子パスポートに好適に用いられるものであるが、用途はこれに限定されるものではなく、例えば無線通信情報を保持するためのその他のシート体にも採用することが可能である。

    以上のように、本発明のヒンジシートは、比較的高い引っ張り強度及び引裂き強度を有するとともに、損傷を加えた場合に元の状態に復元することが困難であるため偽造防止性が高く、電子パスポート等に好適に用いることができる。

    1 ヒンジシート 1A 一次積層シート 1B 二次積層シート 3 基材 5 熱可塑性樹脂層 7 繊維製シート 7a 繊維 7b 空隙 10 加熱ロール 11 剥離案内ロール 20 無線通信層 21 ICチップ内蔵層 23 アンテナ層 30 印刷層 31 受像層 33 接着剤層 35 レーザ印刷層 40 電子パスポート用シート体 50 電子パスポート 51 冊子

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