転写型画像形成方法、転写型画像形成装置、及びそれに用いられる中間転写体

申请号 JP2014017769 申请日 2014-01-31 公开(公告)号 JP6324093B2 公开(公告)日 2018-05-16
申请人 キヤノン株式会社; 发明人 大西 徹; 小板橋 規文; 寺井 晴彦;
摘要
权利要求

インクを中間転写体に付与して中間画像を形成するインク付与手段と、前記中間転写体に少なくとも赤外線を照射して前記中間画像を加熱する加熱手段と、前記中間画像が形成された前記中間転写体に記録媒体を圧着して前記中間画像を前記記録媒体へ転写する転写手段と、を有する転写型画像形成装置であって、 前記中間転写体が、支持体と、前記支持体上に順に少なくとも、第3層と、第2層と、金属層と、表層である第1層と、を有し、 前記第2層の熱伝導率は、前記第1層の熱伝導率より小さく、かつ、前記第3層の熱伝導率より小さいことを特徴とする転写型画像形成装置。前記インクを高粘度化させる処理液を付与する処理液付与手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の転写型画像形成装置。中間画像は樹脂を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の転写型画像形成装置。インクを中間転写体に付与して中間画像を形成するインク付与手段と、前記中間転写体に少なくとも赤外線を照射して前記中間画像を加熱する加熱手段と、前記中間画像が形成された前記中間転写体に記録媒体を圧着して前記中間画像を前記記録媒体へ転写する転写手段と、を有する転写型画像形成装置用の中間転写体であって、 支持体と、前記支持体上に順に少なくとも、第3層と、第2層と、金属層と、表層である第1層と、を有し、 前記第2層の熱伝導率は、前記第1層の熱伝導率より小さく、かつ、前記第3層の熱伝導率より小さいことを特徴とする中間転写体。インクを中間転写体に付与することにより中間画像を形成する中間画像形成工程と、前記中間転写体に少なくとも赤外線を照射して前記中間画像を加熱する加熱工程と、前記中間画像が形成された前記中間転写体に記録媒体を圧着して前記中間画像を前記記録媒体へ転写する転写工程と、を有する転写型画像形成方法であって、 前記中間転写体が、支持体と、前記支持体上に順に少なくとも、第3層と、第2層と、金属層と、表層である第1層と、を有し、 前記第2層の熱伝導率は、前記第1層の熱伝導率より小さく、かつ、前記第3層の熱伝導率より小さいことを特徴とする転写型画像形成方法。前記インクを高粘度化させる処理液を付与する処理液付与工程を更に有することを特徴とする請求項5に記載の転写型画像形成方法。中間画像は樹脂を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の転写型画像形成方法。

说明书全文

本発明は、転写型画像形成方法、転写型画像形成装置、及びそれに用いられる中間転写体に関する。

インクジェット方式による画像形成時の問題として、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディング、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングが存在する。また、記録媒体がインク中の液体分を過剰に吸収することによるカール、コックリングといった問題もある。

当該問題の解決のために、転写型インクジェット印刷方法が考案されている。この印刷方法は、以下の工程からなる。 (1)インクジェットデバイスを用いて、中間転写体上に、色材成分を含有するインクを付与して中間画像を形成する中間画像形成工程。 (2)中間画像が形成された中間転写体を、記録媒体に圧着して中間画像を記録媒体へ転写する転写工程。

ここで、上述の転写型インクジェット印刷方法においては、中間画像の記録媒体に対する転写性向上が重要課題である。

特許文献1には、転写型のインクジェット記録装置が例示されている。この装置を用いた印刷方法では、濡れ性向上成分を中間転写体に付与した後、濡れ性向上成分の上に更にインク流動性低下成分を付与し、インクジェット描画した画像を記録媒体へ圧転写する。特許文献2には中間転写体が金属の素管に弾性層が積層されたものであり、弾性層上に形成されたインク像を光照射によって加熱し、その後転写するものである。

特開2004−114675号公報

特開平6−122194号公報

先に示した従来の技術においては以下のような問題点がある。すなわち、特許文献1における転写型のインクジェット記録装置では、基本的な転写型の記録装置の構成が記載されている。しかし、特許文献1には、中間転写体からのインク画像の転写性・剥離性の向上技術に関しては何も記載されていない。特に、この転写性・剥離性は、高速に連続印字する際に問題となっており、従来技術ではこのような問題点について十分に検討されていなかった。

特許文献2の中間転写体の構成では厚い金属の素管に対して薄い弾性層を積層したものであるため、転写すべきインク層が1〜3μm程度の薄いものでは転写時に紙表面の凹凸に対して弾性層が追従できず転写不良を発生する。

本発明者らは、従来技術の上記問題点について鋭意検討した。この結果、中間転写体をより弾性を有する構成とし、中間画像を転写するまでは中間画像および中間転写体が昇温しやすく、中間画像の転写時には中間転写体が冷却しやすいように中間転写体を構成すればよいことを発見した。従って、本発明の目的は、中間画像の転写性・剥離性が向上した中間転写体、それを用いた転写型画像形成方法、および、それを備えた転写型画像形成装置を提供することにある。

本発明者らは先述した従来技術の課題に深く鑑み、鋭意検討した。この結果、以下に示す構成の転写型画像形成方法、転写型画像形成装置、及びそれに用いられる中間転写体により課題を解決できることを発見し、本発明を成すに至った。すなわち、一実施形態は、インクを中間転写体に付与して中間画像を形成するインク付与手段と、前記中間転写体に少なくとも赤外線を照射して前記中間画像を加熱する加熱手段と、前記中間画像が形成された前記中間転写体に記録媒体を圧着して前記中間画像を前記記録媒体へ転写する転写手段と、を有する転写型画像形成装置であって、前記中間転写体が、支持体と、前記支持体上に順に少なくとも、第3層と、第2層と、金属層と、表層である第1層と、を有し、前記第2層の熱伝導率前記第1層熱伝導率より小さく、かつ、前記第3層の熱伝導率より小さいことを特徴とする転写型画像形成装置に関する。

他の実施形態は、インクを中間転写体に付与して中間画像を形成するインク付与手段と、前記中間転写体に少なくとも赤外線を照射して前記中間画像を加熱する加熱手段と、前記中間画像が形成された前記中間転写体に記録媒体を圧着して前記中間画像を前記記録媒体へ転写する転写手段と、を有する転写型画像形成装置用の中間転写体であって、支持体と、前記支持体上に順に少なくとも、第3層と、第2層と、金属層と、表層である第1層と、を有し、前記第2層の熱伝導率前記第1層熱伝導率より小さく、かつ、前記第3層の熱伝導率より小さいことを特徴とする中間転写体に関する。

他の実施形態は、インクを中間転写体に付与することにより中間画像を形成する中間画像形成工程と、前記中間転写体に少なくとも赤外線を照射して前記中間画像を加熱する加熱工程と、前記中間画像が形成された前記中間転写体に記録媒体を圧着して前記中間画像を前記記録媒体へ転写する転写工程と、を有する転写型画像形成方法であって、前記中間転写体が、支持体と、前記支持体上に順に少なくとも、第3層と、第2層と、金属層と、表層である第1層と、を有し、前記第2層の熱伝導率前記第1層熱伝導率より小さいく、かつ、前記第3層の熱伝導率より小さいことを特徴とする転写型画像形成方法に関する。

インク像の転写性・剥離性が向上した転写型画像形成方法、転写型画像形成装置、及びそれに用いられる中間転写体を提供することができる。

本発明の転写型画像形成装置の一例を表す模式図である。

本発明の中間転写体の一例を表す断面図である。

本発明の中間転写体の他の一例を表す断面図である。

本発明の中間転写体の他の一例を表す断面図である。

本発明の中間転写体の他の一例を表す断面図である。

本発明の転写型画像形成装置の一例は、インク付与手段、加熱手段、転写手段を有する。インク付与手段は、色材成分を含有するインクを、中間転写体上に付与することにより中間画像を形成する。加熱手段は、中間転写体に少なくとも赤外線を照射して中間画像を加熱する。転写手段は、中間画像が形成された中間転写体上に記録媒体を圧着して、中間画像を記録媒体へ転写する。この中間転写体は、順に少なくとも、支持体と、支持体上に第2層、金属層および表層である第1層を有する。中間転写体の第2層は、第1層に比べて熱伝導率が小さくなっている。

また、本発明の中間転写体の一例は、上記の転写型画像形成装置用の中間転写体である。

本発明の転写型画像形成方法の一例は、中間画像形成工程、加熱工程、および転写工程を有する。中間画像形成工程では、色材成分を含有するインクを中間転写体に付与することにより中間画像を形成する。加熱工程では、中間転写体に少なくとも赤外線を照射して加熱する。転写工程では、中間画像が形成された中間転写体に記録媒体を圧着して、中間画像を記録媒体へ転写する。この転写型画像形成方法に用いられる中間転写体は、上記転写型画像形成装置に用いられる中間転写体と同様のものとなっている。

本発明の上記転写型画像形成方法、転写型画像形成装置、及び中間転写体を用いた画像の形成時には、以下の作用効果を奏する。すなわち、画像形成時にはまず、中間転写体上にインク像(中間画像)が形成される。次に、その中間転写体上のインクに対して赤外線を照射して、加熱する。この際、表層である第1層の下層の金属層により赤外線が反射して短時間で急激に表層の温度が上昇するため、中間転写体上のインク像の温度が上昇しやすくなる。このため、インク像が軟化しやすくなる。

しかし、一方で、転写工程までの間に表層の熱が支持体側に伝導していく。このため、もし、転写時の表層の温度が低下すれば、インク像(中間画像)の軟化が不十分となり、記録媒体への粘着性が低下して転写性の低下を招く。これに対して、本発明の上記中間転写体は、金属層上の表層の熱伝導率よりも、金属層の下の第2層の熱伝導率を小さくした構成としている。従って、熱が第2の層側に逃げず、表層の温度が低下しにくいため、インク像の熱軟化が十分となり、記録媒体に対する粘着性が増大する。

また、転写時に、中間転写体が記録媒体と接触する際、第2層は熱伝導率が小さいため、第2層から表層に向かって熱伝導が起こりにくくなる。従って、転写時には、表層の熱が記録媒体側に伝導することにより表層の温度が急峻に低下する。この結果、インク像の急峻な温度低下が起こり、これに伴いインク像の凝集力が大きくなることで、中間転写体からのインク像の剥離が容易となり、転写性・剥離性が向上する。更に、本発明の転写型画像形成方法等が高速化されると、中間転写体がドラムやローラ形状の場合、転写時の中間転写体と記録媒体の接触時間は短くなり、中間転写体の表層の温度低下はより急激となる。従って、高速化した本発明の転写型画像形成方法等では、中間画像の転写性・剥離性はより向上される。

インク付与手段としては例えば、インクジェットデバイスを用いることができる。 好ましくは、上記転写型画像形成方法および上記転写型画像形成装置はそれぞれ、インクを高粘度化させる処理液を付与する処理液付与工程および処理液付与手段を有するのが良い。また、好ましくは、上記転写型画像形成方法および上記転写型画像形成装置はそれぞれ、転写後に、中間転写体の表面を冷却する冷却工程および冷却手段を有するのが良い。

図1は、本発明の転写型画像形成装置の一例を表す模式図である。図1の装置を用いた転写型画像形成方法では、下記(1)〜(6)の工程により、画像形成を行う。 (1)処理液付与工程:中間転写体11の表層上に、処理液を付与する。 (2)中間画像形成工程:処理液が付与された中間転写体11の表層上に、インクを選択的に付与する。これにより、中間転写体11の表層上に中間画像を形成する。 (3)加熱工程:中間転写体11および中間画像を加熱する。 (4)転写工程:中間転写体11上に形成された中間画像を、記録媒体18上に転写する。 (5)冷却工程:中間画像の転写後の中間転写体11を冷却する。 (6)洗浄再生工程:転写工程後の中間転写体11を洗浄して、繰り返し使用可能なように再生する。

以下では、図1の転写型画像形成装置の各部を参照して、上記(1)〜(6)の工程を詳細に説明する。

図1の転写型画像形成装置において、中間転写体11は、回転可能なドラム状の支持体12と、支持体12の最外層に形成された表層(第1層)と、それらの間に位置する複数の層からなっている。表層(第1層)と、その下の複数の層の具体的な構成については、図2を参照して後述する。

転写時の加圧に耐え得る剛性・寸法精度の向上や、回転のイナーシャを軽減して制御の応答性の向上を満たすように、支持体12はアルミニウム合金からなる円筒形のドラムからなっている。なお、支持体12の形状はドラムに限定されるわけではなく、適用する画像形成装置の形態ないしは記録媒体への転写態様に合わせ、例えばローラ状、ベルト状の支持体12も好適に使用することができる。何れの形状の支持体12を用いても、同一の中間転写体11を連続して繰り返し使用することが可能となり、画像形成の生産性を向上させることができる。支持体12は、軸13を中心として矢印方向に回転駆動し、その回転と同期して、周辺に配置された各デバイスが作動するようになっている。

処理液を付与するデバイスとして、中間転写体11の表層の外周面に接するようにローラ式塗布装置(処理液付与手段)14が配置されている。これにより、処理液が中間転写体11の外周面に連続的に付与される(処理液付与工程)。

次に、中間転写体11の表層の外周面に対向するように配置されたインクジェットデバイス(インク付与手段)15から、中間画像形成用のインクが吐出される。これにより、中間転写体11上では、処理液とインクが作用して中間画像(最終形成する所望の画像とミラー反転している画像)が形成される(中間画像形成工程)。図1の転写型画像形成装置では、電気熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェットデバイス15を使用した。

次に、中間転写体11の表層の外周面に対向するように配置された赤外線照射装置及び送風装置(加熱手段)16により、中間転写体11の表面側から中間転写体11及び中間画像を加熱する(加熱工程)。これにより、中間転写体11上の中間画像を構成するインク中の液体分が減少して乾燥されると共に中間画像中の樹脂分が軟化する。なお、図1の装置では、小型化の観点から、同一の装置16が乾燥と加熱を兼用している。また、図1では、赤外線照射装置と送風装置16を設けたが、併用した形で赤外線照射装置と温風装置を設けても良い。しかし、乾燥と加熱の機能を分離させる観点から、乾燥と加熱をそれぞれ、別の装置により行っても良い。

次に、中間転写体11の表層の外周面と対向するように配置された加圧ローラ19の間に記録媒体18を通しながら、中間転写体11と加圧ローラ19を回転させる。加圧ローラはアルミやアルミナ等の金属ロールで構成され、表層がアルマイト処理されたものを用いればよい。これにより、中間転写体11上に形成された中間画像を記録媒体18に接触させ、記録媒体18上に画像を転写形成させる。図1の装置では、支持体12と加圧ローラ19の間に中間画像と記録媒体18を挟み込むように加圧するため、中間転写体11上の中間画像は効率的に記録媒体18上に転写される。

次に、中間転写体11の表層の外周面に接触するように配置された図示しない冷却ベルト(冷却手段)により、中間画像を転写後の中間転写体11は冷却される(冷却工程)。冷却ベルトは25℃〜50℃になるように温度設定されていることが好ましい。例えば、冷却ベルトを25℃に設定した場合、比較的短時間、中間転写体11に接触させただけで転写工程後、80℃であった中間転写体11の表面温度は50℃まで低下する。なお、冷却ベルトの温度は、上記のように転写工程後の中間転写体11の温度、中間転写体11と冷却ベルトが接触する時間等の条件に応じて適宜、設定すれば良い。

次に、中間転写体11の表層の外周面に対向するように配置されたクリーニングユニット20により、転写工程後の中間転写体11を洗浄する。図1のクリーニングユニット20は、イオン交換により常時、湿潤されたモルトンローラが間欠的に、中間転写体11の表層の外周面に当接するようになっている。これにより、中間転写体11には繰り返し使用(中間画像形成)が可能となる。

赤外線照射装置及び送風装置(加熱手段)16での加熱により、中間転写体11上のインク像中の液体分は減少しインク像は軟化している。このため、ペットフィルムのようなインク吸収をほとんどしないような記録媒体18上に画像を形成する場合であっても、中間転写体11から記録媒体18に優れた転写性・剥離性で中間画像を転写することができる。この結果、良好な画像を形成することができる。

図2〜5は、図1の中間転写体11の具体的な層構成を表す部分断面図である。図2の中間転写体は、中間転写体の表面側から、第1層としての表層1、金属層2、第2層としての断熱層3および支持体4の層構成となっている。 図3の中間転写体は、中間転写体の表面側から、第1層としての表層1、金属層2、第2層としての断熱層3、第3層としての圧力緩和層5および支持体4の層構成となっている。

図4の中間転写体は、中間転写体の表面側から、第1層としての表層1、金属層2、第2・第3共通層としての断熱層・圧力緩和層6、支持体4の層構成となっている。ここで、第2・第3層共通層としての断熱層・圧力緩和層構成は、第3層である圧力緩和層における表層部分の圧縮率を小さくして、熱伝導率を小さくしたものであり、断熱層としても機能するものである。 図5の中間転写体は、第1層としての表層1、金属層2、第2層としての断熱層3、第3層としての(布層7a、圧力緩和層5、布層7b)の複合層、支持体4の層構成となっている。

1.転写型画像形成装置および中間転写体 以下では、本発明の一実施形態に係る転写型画像形成装置および中間転写体について詳細に説明する。

<中間転写体> 本実施形態における中間転写体は、インクまたはインクと処理液を保持し、中間画像を形成する基材となる。中間転写体は、中間転写体をハンドリングし必要な力を伝達するための支持体と、支持体上に順に少なくとも、第2層と、金属層と、表層である第1層を有する。第2層、金属層および第1層は、画像を形成するための表層部材を構成する。支持体、第1層、金属層及び第2層はそれぞれ、均一な材料の一層から形成されていても良いし、独立した複数の層から形成されていても良い。また、第2層は、第1層に比べて熱伝導率が小さくなっている。

中間転写体の形状としては特に限定されないが、シート形状、ローラ形状、ドラム形状、ベルト形状、無端ウエブ形状等が挙げられる。また、中間転写体のサイズは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択する事ができる。

以下では、中間転写体を構成する各層について更に詳細に説明する。

(一)支持体 搬送精度や耐久性の観点から、中間転写体の支持体にはある程度の構造強度が求められる。支持体の材質としては特に限定されないが、金属、セラミック、樹脂などが好適である。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために要求される特性から、下記の材料が極めて好適に用いられる。 アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミック、アルミナセラミック、またはこれらの組み合わせ。

(二)第1層(表層) 中間転写体の第1層(表層)は、第2層に比べて熱伝導率が大きい事に加えて、紙などの記録媒体に画像を圧着させて画像を転写させるため、ある程度の弾性を有していることが望ましい。例えば、記録媒体として紙を用いる場合には、第1層の硬度はデュロメータ・タイプA(JIS・K6253準拠)硬度10°以上100°以下のものが好ましく、特に20°以上60°以下のものがより好適である。

第1層の材質としては樹脂、セラミックなど各種材料を適宜用いる事ができるが、前記特性および加工特性より各種エラストマー材料、およびゴム材料が好ましく用いられる。ゴム材料としては例えば、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴムは寸法安定性、耐久性、耐熱性等の面から極めて好適に用いる事ができる。また、第1層は、複数材料を積層して形成された複数の層から構成することも好適である。例えば、ポリウレタンゴムにシリコーンゴムを薄く被膜させた積層材料は、第1層として極めて好適に用いることができる。

また、第1層には適当な表面処理を施すことができる。表面処理の例として、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理(UV・IR・RFなど)、オゾン処理、界面活性剤処理が挙げられる。また、これらの表面処理を複数、組み合わせて施しても良い。

(三)金属層 加熱手段から放射される赤外光を金属層によって反射することによって、中間転写体及びインク像(中間画像)をより効率的に加熱することができる。また、金属層の下層に位置する第2層との相乗効果により、中間転写体から記録媒体への中間画像の転写性能を向上させることが可能となる。

金属層の材料は金、アルミニウム、銀、クロム、ニッケル等が好ましい。また、これら以外にも、ステンレスやアルミ合金、鉄合金などの金属合金材料を用いても良い。金属層が薄すぎると膜としての実質密度が不足して反射特性が低下してしまうため、金属層の厚みは0.3μm以上が好ましい。また、金属層は中間転写体の弾性等に大きく影響を与えない程度の厚みを有するのが良く、実質的には0.3μm以上200μm以下が好ましい。

(四)断熱層(第2層) 断熱層は表層よりも小さな熱伝導率を有するため、中間画像の転写前は表層から断熱層への熱伝導を抑制し、中間画像の転写時には断熱層から表層への熱伝導を抑制することができる。従って、加熱手段による加熱時に、中間転写体および中間画像を急峻に昇温させると共に、中間画像を転写するまでその温度を維持することができる。また、中間画像の転写時には、中間画像を急峻に降温させて、記録媒体への良好な転写性・剥離性を得ることができる。この結果、中間転写体を繰り返し使用し、高速で画像形成を行った場合であっても、良好な転写性・剥離性を安定的に維持できる。断熱層としては、0.1mm以上0.2mm以下の厚さの発泡ポリスチレン(熱伝導率:0.03W/m・K)や硬質ウレタンフォーム(熱伝導率:0.026W/m・K)等からなるものが好ましい。また、断熱層の熱伝導率は0.08W/m・K以下のものが好ましい。また、断熱層の下層の圧力緩和層を設けなくてもよいが、その場合は断熱層がある程度の弾力性を有しているので0.5mm以上の厚みがあれば圧力緩和層として機能するため好ましい。

(五)他の層 中間転写体は、上記(一)〜(四)の部材以外の他の層を有することができる。例えば、他の層として圧力緩和層や布層を有することができる。

圧力緩和層は、中間画像を記録媒体へ転写する際の圧力のばらつきを緩和させるために設ける層であり、これにより転写ムラを低減することできる。また、紙の表面の凹凸に対して表層が追従するために第2層を含めて弾力性を有することが好ましい。中間転写体において圧力緩和層を設ける位置は特に限定されないが、断熱層と支持体の間に設けるのが好ましい。圧力緩和層の熱伝導率(第3層の熱伝導率)は特に限定されないが、断熱層(第2層)よりも大きくするのが好ましい。また、圧力緩和層の材料はゴムや樹脂等からなり、具体的にはNBRや発泡ウレタン等が好ましく、その厚みは1mm以上2mm以下が好ましい。

布層は、圧力緩和層と同様に、中間画像を転写する際の圧力のばらつきを緩和させるために設ける層である。布層により転写ムラを低減することできるが、圧力緩和層とは異なり、その材料は布となっている。中間転写体において布層を設ける位置は特に限定されないが、断熱層と支持体の間に設けるのが好ましい。布層の熱伝導率(第3層の熱伝導率)は特に限定されないが、断熱層(第2層)よりも大きくするのが好ましい。また、布層の材料は布からなり、具体的には通常のオフセット印刷に用いられるブランケットを用いることができる。

圧力緩和層と布層は両方、設けても良いし、何れか一方を設けても良いし、何れも設けなくても良い。また、圧力緩和層が断熱層(第2層)としての機能を有する場合がある。

<インク> 本発明に用いるインクとしては、インクジェットデバイス用インクとして広く用いられているインクを用いることができる。具体的には、染料やカーボンブラック、有機顔料といった色材を溶解および/または分散させた各種インクを用いることができる。中でも特にカーボンブラックや有機顔料インクは、耐候性や発色性の良い画像が得られるため好適である。また、環境に対する負荷や、使用時の臭気の観点から、成分に水を含む水性インクが好適である。特に成分中に水分を45質量%以上、含むインク、特に溶媒の主成分が水であるインクが非常に好ましい。さらに、該インクは色材含有量が0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、15.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましい。

色材としては染料やカーボンブラック、有機顔料、及びそれに付随する樹脂等が含まれ、以下に示すものが使用可能である。

染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、8、22、34、70、71、76、78、86、142、199、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83、227、C.I.アシッドレッド1、4、8、13、14、15、18、21、26、35、37、249、257、289、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142、C.I.アシッドイエロー1、3、4、7、11、12、13、14、19、23、25、34、44、71、C.I.フードブラック1、2、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、112、118等が挙げられる。上記以外でも公知の染料を用いることができる。

カーボンブラックは、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック顔料で、例えば、以下の市販品などを用いることができる。なお、本発明で用いることができるカーボンブラックは、これらに限定されるものではなく、公知のカーボンブラックを用いることができる。また、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子やチタンブラックなどを用いても良い。

レイヴァン:7000、5750、5250、5000、3500、2000、1500、1250、1200、1190ULTRA−II、1170、1255(以上コロンビア製)。 ブラックパールズ:L、リーガル:400R、330R、660R、モウグル:L、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、ヴァルカン:XC−72R(以上キャボット製)。 カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上デグッサ製)。 No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学製)。

有機顔料は、例えば、以下のものを用いることができる。 トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。 リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。 アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。 フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。 キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。 ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。 イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。 ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。 インジゴ系顔料。 縮合アゾ系顔料。 チオインジゴ系顔料。 フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。

また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、以下のものを用いることができる。 C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168。 C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61。 C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、170、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240。 C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50。 C.I.ピグメントブルー:15、15:3、15:1、15:4、15:6、22、60、64。 C.I.ピグメントグリーン:7、36。 C.I.ピグメントブラウン:23、25、26。 上記以外でも公知の有機顔料を用いることができる。

これらの顔料は、形態としての限定を受けず、例えば、自己分散タイプ、樹脂分散タイプ、マイクロカプセルタイプ等のものをいずれも使用することが可能である。その際に使用する顔料の分散剤としては、水溶性で、重量平均分子量が1,000以上15,000以下の分散樹脂が好適に使用できる。具体例としては、ビニル系水溶性樹脂、スチレンおよびその誘導体、ビニルナフタレンおよびその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸およびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸およびその誘導体、フマル酸およびその誘導体からなるブロック共重合体或いはランダム共重合体、または、これらの塩等が挙げられる。

また、最終的に形成された画像の堅牢性を向上させるために、水溶性樹脂や水溶性架橋剤を添加することもできる。用いる材料としてはインク成分と共存できるものであれば制限は無い。水溶性樹脂としては上に例示した分散樹脂をそのまま用いることができる。水溶性架橋剤としては、オキザゾリンやカルボジイミドがインク安定性の面で好適に用いられる。また、ポリエチレングリコールジアクリレートやアクリロイルモルフォリンのような反応性オリゴマーも好適に用いることができる。

また、本発明では、中間転写体から記録媒体へ中間画像を転写するときのインクはほぼ色材と高沸点有機溶剤だけとなるため、転写性向上のために適量の有機溶剤を含有させることが有効である。使用する有機溶剤としては、高沸点で蒸気圧の低い水溶性の材料であることが好ましい。例えば、下記の有機溶剤を挙げることができる。 1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルカンジオール類。 ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどのグリコールエーテル類。 エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第2ブタノール、第3ブタノールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。 N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類。 アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン、又は、ケトアルコール。 テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。 グリセリン。 エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルキレングリコール類。 チオジグリコール、1,2,6−ヘキサントリオールなどの多価アルコール類。 2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物。また、これらの中から2種類以上の物を選択して混合して用いることもできる。

また、本発明で用いるインクは、上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂の中和剤、塩などの、種々の添加剤を含有しても良い。

また、必要に応じて界面活性剤を加えてインクの表面張力を適宜、調整して用いることも好ましい。界面活性剤としては、インクに対して保存安定性等の悪影響を及ぼさないものであれば限られるものではない。例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール類、アセチレングリコール類等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。またこれらの2種以上を適宜、選択して使用することもできる。

インクを構成する成分の配合比については限定を受けることなく、選択したインクジェットヘッドの吐出力、ノズル径等から吐出可能な範囲で、適宜に調製することが可能である。

<処理液> 本発明では、インクと処理液から中間画像を形成する場合、インクと処理液を同時にまたは異なる時期に、中間転写体の画像形成面上に付与する。これにより、中間転写体の表面で処理液とインクが接触する。この際、インクは、処理液と反応や物理的相互作用等を起こして凝集し高粘度化する。これにより、高粘度化したインク像が、中間画像として形成される。なお、中間画像形成時には、中間転写体上に所望の画像が反転した画像(ミラー画像)として、中間画像を形成する。

本発明における処理液は、インクを高粘度化させる成分(インク高粘度化成分)を含有する。ここで、インクの高粘度化は、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応する場合、あるいは物理的に吸着すること等によって起こる。また、これ以外にも、インクの高粘度化は、色材などインク組成物の一部が凝集する事により局所的に粘度上昇を生じることによっても起こる。

処理液は中間転写体上でのインクおよび/又はインク組成物の一部の流動性を低下させて、画像形成時のブリーディング、ビーディングを抑制する効果がある。すなわち、本発明の転写型画像形成装置を用いた画像形成では単位面積当たりのインク付与量が多量となる場合があり、そのような時にはインクの滲みや混じり合いであるブリーディング、ビーディングが起こりやすい。しかし、このようにインク付与量が多量の場合であっても、処理液が中間転写体上に付与されている事によって、画像形成時にインクの流動性が低下する。このため、ブリーディングやビーディングが起こりにくく、結果として画像が良好に形成・保持されることとなる。

処理液中に使用するインク高粘度化成分は、画像形成に使用するインクの種類によって適切に選択するのが望ましい。例えば、染料系のインクに対しては高分子凝集剤を用いることが有効である。また、微粒子が分散された顔料系のインクに対しては、多価の金属イオンを含有する液体や、酸緩衝液などのpH調整剤を用いることが有効である。また、別のインク高粘度化成分の例として、カチオンポリマーなど複数のイオン性基を有する化合物を用いるのも良い。更に、これらの化合物を2種類以上、併用するのも有効である。

インク高粘度化成分として使用できる高分子凝集剤としては例えば、陽イオン性高分子凝集剤、陰イオン性高分子凝集剤、非イオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられる。

また、インク高粘度化成分として使用できる金属イオンとしては、例えば、二価の金属イオンや、三価の金属イオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。二価の金属イオンとしては例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+、三価の金属イオンとしては例えば、Fe3+、Cr3+、Y3+およびAl3+を挙げることができる。そして、これらの金属イオンを含有する処理液を中間転写体上に付与する場合には、金属塩水溶液として付与することが望ましい。金属塩の陰イオンとしては、Cl、NO3、CO32−、SO42−、I、Br、ClO3、HCOO、RCOO(Rはアルキル基)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属塩水溶液の金属塩濃度は0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、20質量%以下が好ましい。

また、インク高粘度化成分として使用できるpH調整剤としてはpHが7未満の酸性溶液が好適に用いられる。pH調整剤の例としては塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、ホウ酸等の無機酸、蓚酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、レブリン酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸等の有機酸が挙げられる。また、これらの化合物の誘導体、又はこれらの塩の溶液も同様に好ましく用いることができる。

pH緩衝能を有する酸緩衝液(バッファー)は、インクとの接触により、処理液中の見かけ上のインク高粘度化成分の濃度が低下しても、pHの変動が少ないためインクとの反応性等が衰えないので、極めて好適に用いられる。従って、pH緩衝能を得るためには、処理液中に緩衝剤を含有させることが好ましい。緩衝剤の具体例としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム等の酢酸塩、りん酸水素塩、炭酸水素塩、或いは、フタル酸水素ナトリウム、フタル酸水素カリウム等の多価カルボン酸の水素塩を挙げることができる。更に、多価カルボン酸の具体例としては、フタル酸以外にも、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等が挙げられる。これら以外でも、添加することによってpHに対して緩衝作用を発現させる従来公知の化合物は、いずれも好適に用いることができる。

また、本発明に用いる処理液は、適量の水や有機溶剤を含有しても良い。処理液は、水性媒体を含有しても良い。水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。具体的には、例えば、下記の水性媒体を挙げることができる。 1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルカンジオール類。 ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどのグリコールエーテル類。 エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第2ブタノール、第3ブタノールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。 N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類。 アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン、又は、ケトアルコール。 テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。 グリセリン。 エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルキレングリコール類。 チオジグリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体などの多価アルコール類。 2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物。 また、これらの中から2種類以上の物を選択して混合して用いることもできる。

必要に応じて所望の性質を持たせるため、処理液には上記成分のほかに消泡剤、防腐剤、防黴剤などを適宜に添加することができる。

また、転写性を向上させるため、もしくは最終的に形成された画像の堅牢性を向上させるため、処理液には各種樹脂を添加することもできる。樹脂を添加しておくことで転写時の記録媒体への接着性を良好なものとしたり、インク被膜の機械強度を高めたりすることが可能となる。また、適切な樹脂を選択することによって、画像の耐水性を向上させることもできる。樹脂に用いられる材料としては、インク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。樹脂の例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの有機ポリマーが好適に用いられる。また、インクに含まれる成分と反応し架橋するような樹脂も好適である。このような架橋する樹脂の例としては、インク中での色材分散のために頻繁に用いられるカルボン酸と反応し架橋する、オキザゾリンやカルボジイミドが挙げられる。これらの樹脂は処理液を構成する溶媒に溶解させて使用しても良いし、処理液中にエマルション状態やサスペンション状態で添加して使用しても良い。

また、処理液は、界面活性剤を加えてその表面張力を適宜、調整して用いることができる。界面活性剤としては、イオン性、非イオン性、カチオン性、アニオン性等の公知の物を必要に応じて適宜、選択し使用することができる。

<記録媒体> 記録媒体の材料および形状としては特に限定されないが、例えば、一般的な印刷で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック、フィルムその他の印刷媒体、記録メディアも使用することができる。また、長尺・ロール状のシートや、規定の形状にカットされた枚葉シートを使用することもできる。

2.転写型画像形成方法 以下では、本発明の一実施形態に係る転写型画像形成方法について詳細に説明する。

<処理液付与工程> 処理液付与工程には、従来知られている各種手法を適宜、用いることができる。処理液付与工程の例としてはダイコーティング、ブレードコーティング、グラビアローラー、またこれらにオフセットローラーを組み合わせた物などが挙げられる。また、高速高精度に付与できる手法としてインクジェットデバイスを用いるのも極めて好適である。

<中間画像形成工程> インク付与手段により、中間転写体上にインクを付与することにより、中間画像が形成される。なお、中間転写体上で、インクと処理液を接触させる場合は例えば、予め処理液付与手段により中間転写体上に処理液を付与した後、インク付与手段により処理液と接触するように、中間転写体上にインクを付与する。インク付与手段としては例えば、インクジェットデバイスを挙げることができる。インクジェットデバイスとしては、インクジェット液体吐出技術で提案される各種インクジェットデバイスをいずれも用いることができる。具体的には、電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを付与する形態のものを挙げることができる。また、これ以外にもインクジェットデバイスとしては、電気−機械変換体によってインクを付与する形態や、静電気を利用してインクを吐出する形態等を挙げることができる。中でも、特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。また、インクジェットデバイスの装置構成としては特に制限されない。例えば、中間転写体の進行方向(ドラム形状の場合は軸方向)にインク吐出口を配列してなるラインヘッド形のインクジェットヘッドを用いることができる。また、中間転写体の進行方向と垂直にヘッドを走査しながら記録を行うシャトル形のインクジェットヘッドを用いることもできる。

<液体分除去工程> 本発明の転写型画像形成方法では、中間転写体上への中間画像の形成後、中間画像から液体分を減少させる工程を設けることが好ましい。中間画像中の液体分が過剰であると、後工程の転写工程において余剰液体がはみ出したり溢れ出したりして中間画像を乱し、結果的に転写不良を引き起こす場合がある。なお、液体分除去の手法としては、旧来から用いられている各種の手法を何れも好適に適用できる。具体的には、液体分除去工程として、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、吸収体を接触させる方法、またこれらを組み合わせる手法がいずれも好適に用いられる。また、自然乾燥による方法も使用可能である。液体分除去工程は、後述する加熱工程と兼用して行っても良い。

<加熱工程> 中間転写体上に、インクにより形成された中間画像を加熱することで、中間転写体から記録媒体に中間画像を転写させやすくする。この際、特にインク中の高分子成分の含量が多ければ、熱により高分子成分が軟化して、記録媒体に対する中間画像の付着力が大きくなる。加熱工程としては中間転写体の表面に対して外側から加熱させる方法を用い、具体的には、中間転写体に赤外線を照射して加熱する工程を実施する。この理由は以下の通りである。

すなわち、本発明のように中間転写体上に中間画像を形成した後、中間画像を記録媒体に転写する転写型画像形成方法では、中間画像を構成するインクの加熱時間が短くなる。特に、高速画像形成を行った場合には、インクの加熱時間はより顕著に短くなる。この一方で、後工程である転写工程で中間画像の転写性を向上したり、転写時に中間画像を冷却するためには、中間転写体の表面を加熱して中間画像を高温にする必要がある。従って、短時間で中間転写体上の中間画像を急峻に昇温させる加熱方法とする必要がある。そこで、本発明では、赤外線照射による加熱工程を採用することにより、短時間で中間転写体上の中間画像を急峻に昇温させることが可能となる。

また、赤外線照射による中間画像の加熱を行う際には、表層の熱容量が実質的に小さいことが好ましく、そのために表層の厚みが比較的、薄い方が良い。但し、中間画像の転写性を向上させるためには、記録媒体に対する中間転写体の表層の密着性が要求されるため、ある程度の厚みの表層部分とする必要である。

<転写工程> 転写工程では、中間転写体上の中間画像を記録媒体に圧着させて、中間転写体上から記録媒体上へ中間画像を転写する。これにより、画像印刷物を得る。転写工程では、加圧ローラを用いて中間転写体と記録媒体の両側から加圧すると、効率良く中間画像が記録媒体に転写形成されるため好適である。転写工程の際、インク像(中間画像)は加熱され、軟化した状態で記録媒体の表面に付着する。その後、記録媒体に熱を奪われることでインク凝集体の凝集力が上がり、中間転写体の表面から剥離しやすくなる。ここで、本発明では、中間転写体を構成する金属層の下の第2層は第1層よりも熱伝導率を低くしたため、転写時に、中間転写体の表層および表層上の中間画像の温度は急峻に低下することが可能となる。すなわち、中間転写体を構成する第2層は第1層よりも熱伝導率が小さいため、第2層から第1層への熱の流れを抑えつつ、第1層中の熱は、より記録媒体側に伝導しやすくすることができる。この結果、中間転写体から記録媒体への中間画像の転写性をより向上させることが可能となる。

更には、第2層の熱伝導率を厚みで割った値(第2層の熱伝導率/第2層の厚み)が、第1層の熱伝導率を厚みで割った値(第1層の熱伝導率/第1層の厚み)以下であることが、好ましい。上記の関係式を満足することで、転写性の向上効果がより高いレベルで得られ、更に、連続的に印字動作を稼働させた場合に、中間転写体の温度管理がより安定となる。

<洗浄再生工程> 上記工程により画像形成を完了させることができるが、中間転写体は生産性の観点から繰り返し連続的に用いる場合がある。この際には、次の画像形成を行う前に、中間転写体表面を洗浄再生することが好ましい。中間転写体の洗浄再生を行う手段としては、旧来用いられている各種手法を好適に適用できる。具体的には、中間転写体の表面にシャワー状に洗浄液を当てる方法、濡らしたモルトンローラを中間転写体の表面に当接させ払拭する方法が好適に用いられる。また、中間転写体の表面を洗浄液面に接触させる方法、中間転写体の表面をワイパーブレードで掻き取る方法、中間転写体の表面に各種エネルギーを付与する方法など、が好適に用いられる。また、これらの方法を複数、組み合わせる手法も好適である。

<冷却工程> 本発明の方法を用いた高速印字を行う場合、中間転写体が加熱された後の冷却性能が重要となる。すなわち、高速印字を行うと、転写工程後の中間転写体の表面温度は、インクや処理液を付与する前の中間転写体の表面温度よりも高くなっている。このため、この中間転写体に再びインクや処理液を付与すると付与条件が変化してしまい、描画(中間画像形成)工程で形成される画像に悪影響を及ぼす可能性がある。また、高速印字を繰り返し行うと、中間転写体の表面温度が印字を行うたびに上昇する場合がある。

そこで、高速印字を繰り返し行う場合などには、中間転写体の冷却工程を設けることが好ましい。しかし、転写工程から冷却工程までの時間が長いと、中間転写体を構成する支持体側が蓄熱して温度が上昇してしまう。この結果、中間転写体が所望の温度より高くなってしまうなど、安定した状態に制御することが難しくなる。従って、冷却工程を設ける場合には、転写工程が終了後、すぐに中間転写体を冷却することで、中間転写体の表面温度を初期化することが好ましい。ここで、本発明では、中間転写体を構成する第2層が第1層よりも熱伝導率が小さくなっている。このため、中間転写体の表層部分を直接、冷却することで、急速に中間転写体の表面温度を冷却・初期化することができる。これにより、高速で連続印字しても安定した画像を得ることができる。

具体的な冷却方法としては、冷却ベルトが直接、中間転写体の表層に一定時間、接触する構成が好ましい。冷却ベルトとしてはシリコーンゴムを用いると熱伝導率も高く、冷却性能が良く、好ましい。また、冷却工程と上記の洗浄再生工程を同時に行うことも可能である。

(中間転写体の温度管理) 上記したように、中間転写体表面の温度を、所定範囲内に管理することが転写性を向上させる観点から好ましい。具体的には、中間転写体の表面温度を、以下のような温度に設定する。 (1)処理液付与(塗布)時:50〜60℃程度、 なお、処理液の付与により、中間転写体の表面には若干の温度低下が発生するが、特に問題ない。 (2)描画(中間画像形成)時:50〜60℃程度、 (3)加熱時:中間転写体は金属層の上に比較的、低熱容量の表層と、金属層の下に断熱層を有するため、表層の温度を急激に上昇させることができる。具体的には、表層の温度を、短時間で80〜90℃程度まで上昇させることができる。 (4)転写時:表層が低熱容量化されているため、紙(記録媒体)との接触により表層の温度が低下しやすくなる。実際には、転写時に表層の温度は5〜10℃程度、低下する。 (5)冷却時:処理液付与前の50〜60℃まで低下させる。表層が低熱容量化されているため、比較的、早く中間転写体の表層温度を低下させることができる。中間転写体の表層温度をモニターし、50〜60℃程度の温度まで初期化されていなければ、記録サイクルを中断して、所定温度に安定するまで待機することが好ましい。

<定着工程> 追加工程として、転写工程の後、画像形成が行われた記録媒体をローラで加圧し、その表面平滑性を高めるようにしても良い。また、この際、ローラを加熱しておくと画像の堅牢性が向上する場合もある。従って、定着工程を好適に設けることができる。

なお、本発明の転写型画像形成方法で用いる条件は、以下の実施例で例示することにより詳細に説明する。

以下では、実施例、および比較例を挙げて、本発明の転写型画像形成方法、転写型画像形成装置、及び中間転写体をさらに具体的に説明する。もちろん、本発明は下記実施例に限られるものではない。

(実施例1) 本実施例では、図1に示した転写型画像形成装置を用いた。この転写型画像形成装置の中間転写体11は、図3の層構成に相当するものを用いた。すなわち、中間転写体11は、中間転写体11の表面側から、表層(第1層)、金属層、断熱層(第2層)、圧力緩和層および支持体12が配置されている。支持体12としては、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムを用いた。以下では、支持体12上の各層の構成を説明する。

(一)表層(第1層) 本実施例では、厚さ0.5mmのPETシートにゴム硬度40°のシリコーンゴム(信越化学製 KE12)を0.2mmの厚さにコーティングした後、PETシートから剥離したものを用いた。表層の熱伝導率は0.16(W/m・K)とした。表層の表面に、大気圧プラズマ処理装置(キーエンス社製 ST−7000)を用いて、下記条件により表面改質を施した。 処理距離: 5mm プラズマモード: High 処理速度: 100mm/sec。

更に、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる市販の中性洗剤が3質量%となるように純水で希釈した界面活性剤水溶液中に、この表面を10秒間、浸漬させた後、水洗し、乾燥させたものを用いた。

(二)金属層 100μm厚のステンレス箔を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.1mmの厚みの硬質ウレタンフォーム(熱伝導率:0.026W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層 熱伝導率が0.2W/m・K、厚みが1mmのNBRを用いた。上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは260(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)以下の値となる。

本実施例では処理液として、金属塩の水溶液、具体的には塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)の10質量%水溶液に界面活性剤を適宜、添加して表面張力を調整したものを使用した。なお、金属種及び濃度は適宜、条件に応じて変更可能である。

本実施例では、インクとして樹脂分散型顔料インクを調製して用いた。インクの組成を以下に示す。なお、下記組成において、「部」は質量部を表す。 顔料色材:C.I.ピグメントブルー15 3.0部 分散樹脂:スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体(酸価240、重量平均分子量5000) 1.0部 非水溶剤1:グリセリン 10.0部 非水溶剤2:エチレングリコール 5.0部 界面活性剤:アセチレノールE100(商品名) 0.5部 イオン交換水: 80.5部。

(参考例1) 中間転写体11を、図2の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) 実施例1と同じものを使用した。

(二)金属層 厚さが30μmの金を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.5mmの厚みの発泡ポリスチレン(熱伝導率:0.03W/m・K)を使用した。ここでは、圧力緩和層を設けていないが断熱層として発泡性の材料を用いているため弾力性を有する。

上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは60(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)以下の値となる。

(実施例3) 中間転写体11を、図3の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) 実施例1と同じものを使用した。

(二)金属層 厚さが30μmの金を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.1mmの厚みの発泡ポリスチレン(熱伝導率:0.03W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは300(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)以下の値となる。

(実施例4) 中間転写体11を、図3の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) 実施例1と同じものを使用した。

(二)金属層 厚さが60μmのアルミ箔を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.1mmの厚みの発泡ポリスチレン(熱伝導率:0.03W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは300(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)以下の値となる。

(実施例5) 中間転写体11を、図3の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) 実施例1と同じものを使用した。

(二)金属層 厚さが30μmの金を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.1mmの厚みの発泡シリコーン(熱伝導率:0.06W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは600(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)以下の値となる。

(実施例6) 中間転写体11を、図3の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) ここでは実施例1のシリコーンゴムの厚みを0.1mmとした。

(二)金属層 厚さが30μmの金を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.1mmの厚みの発泡シリコーン(熱伝導率:0.06W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは600(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの1600(W/m2・K)以下の値となる。

(実施例7) 中間転写体11を、図3の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) 実施例1と同じものを使用した。

(二)金属層 厚さが20μmの金を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.1mmの厚みの発泡シリコーン(熱伝導率:0.06W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは600(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)以下の値となる。

(実施例8) 中間転写体11を、図3の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) 実施例1と同じものを使用した。

(二)金属層 厚さが10μmの金を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.1mmの厚みの発泡シリコーン(熱伝導率:0.06W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは600(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)以下の値となる。

(実施例9) 中間転写体11を、図3の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) 実施例1と同じものを使用した。

(二)金属層 厚さが1μmの金を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.1mmの厚みの発泡シリコーン(熱伝導率:0.06W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは600(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)以下の値となる。

(実施例10) 中間転写体11を、図3の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) 実施例1と同じものを使用した。

(二)金属層 厚さが0.3μmの金を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.1mmの厚みの実施例9と発泡性の違う発泡シリコーン(熱伝導率:0.08W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは800(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)と同じ値となる。

(実施例11) 中間転写体11を、図3の層構成に相当する下記のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層(第1層) 実施例1と同じものを使用した。

(二)金属層 厚さが10μmの金を用いた。

(三)断熱層(第2層) 0.2mmの厚みの実施例9と同じ発泡シリコーン(熱伝導率:0.08W/m・K)を使用した。

(四)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

上記構成によれば、第2層の熱伝導率/厚みは400(W/m2・K)となり、第1層の熱伝導率/厚みの800(W/m2・K)以下の値となる。

(比較例1) 中間転写体11の支持体上の層を、下記の層構成のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層 実施例1と同じものを使用した。

(二)中間層 0.1mmの厚みのエポキシ樹脂(熱伝導率:0.21W/m・K)を使用した。

(三)圧力緩和層 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

(比較例2) 中間転写体11の支持体上の層を、下記の層構成のものに変更した以外は、実施例1と同様の装置を使用した。

(一)表層 実施例1と同じものを使用した。

(二)断熱層 0.1mmの厚みの発泡ポリスチレン(熱伝導率:0.03W/m・K)を使用した。

(三)圧力緩和層(第3層) 1mmの厚みのNBR(熱伝導率:0.2W/m・K)を使用した。

上記実施例1、311、比較例1〜2、および、参考例1の中間転写体を備えた図1の装置を用いて、転写実験を行った。なお、実施例1、311、比較例1〜2、および、参考例1の支持体は同じものを使用した。記録媒体には、オーロラコート紙(日本製紙社製)および表面親水処理化ペットフィルム(厚さ150μm)を用いた。そして、転写性を、下記の評価基準に従って判断した。 ◎:目視で、中間転写体の表層に転写残りがまったくないもの、 ○:目視で、中間転写体の表層に若干インクが残っているが画像に影響がないもの、 △:目視で、中間転写体の表層に若干のインクが残っていて、画像に若干の欠けがあるもの、 ×:目視で、中間転写体の表層にはっきりとインクが残っているもの。

転写性は、印字初期から1時間まで連続印字後のものと、印字開始から1時間から2時間までの連続印字のものを評価した。評価結果を表1に示す。

実施例1、3〜11比較例1〜2、および、参考例1では、冷却ベルトは25〜50℃に温度設定されており、転写工程後に80℃になっていた中間転写体の表面温度は50℃まで下がった。

実施例1、3〜11、及び、参考例1では転写性(初期〜1時間)および転写性(1時間〜2時間)の何れも「○」または「◎」となったのに対して、比較例1〜2では「△」または「×」となり「○」はなかった。表1の結果から明らかなように、本発明では、連続印字を行っても初期から2時間まで連続して良好な転写性が得られたことが分かる。

1 表層(第1層) 2 金属層 3 断熱層(第2層) 4 支持体 5 圧力緩和層 6 断熱・圧力緩和層 7a、7b 布層 11 中間転写体 12 支持体 13 軸 14 ローラ式塗布装置 15 インクジェットデバイス 16 乾燥・加熱装置 18 記録媒体 19 加圧ローラ 20 クリーニングユニット

QQ群二维码
意见反馈