造形装置及び造形方法

申请号 JP2017049496 申请日 2017-03-15 公开(公告)号 JP2018149778A 公开(公告)日 2018-09-27
申请人 株式会社ミマキエンジニアリング; 发明人 越智 和浩; 岡島 正和;
摘要 【課題】着色された造形物を造形する場合において、造形物の着色をより適切に行う。 【解決手段】立体的な造形物50を造形する造形装置であって、光反射材料用ヘッドと、複数の着色材料用ヘッドと、クリア材料用ヘッドと、制御部110とを備え、造形物50は、光反射領域154と、着色領域156とを有し、着色領域156は、内側領域174と、外側領域172とを含み、着色領域156の各領域の形成時に使用する造形の材料の合計に対する着色用の材料の比率を着色材料比率と定義した場合、制御部は、外側領域172における着色材料比率が内側領域174における着色材料比率よりも大きくなるように、複数の着色材料用ヘッド及びクリア材料用ヘッドに造形の材料を吐出させる。 【選択図】図2
权利要求

立体的な造形物を造形する造形装置であって、 光反射性の材料を吐出する吐出ヘッドである光反射材料用ヘッドと、 互いに異なる色の着色用の材料をそれぞれ吐出する複数の吐出ヘッドである複数の着色材料用ヘッドと、 着色されていない透光性の材料であるクリア材料を吐出する吐出ヘッドであるクリア材料用ヘッドと、 前記光反射材料用ヘッド、前記複数の着色材料用ヘッド、及び前記クリア材料用ヘッドの動作を制御する制御部と を備え、 前記造形物は、 前記光反射性の材料を用いて形成される光反射性の領域である光反射領域と、 前記着色用の材料及び前記クリア材料を用いて前記光反射領域よりも外側に形成される領域である着色領域と を有し、 前記着色領域は、 前記光反射領域に近い側の領域である内側領域と、 前記内側領域よりも外側に形成される領域である外側領域と を含み、 前記着色領域の各領域の形成時に使用する造形の材料の合計に対する前記着色用の材料の比率を着色材料比率と定義した場合、前記制御部は、前記外側領域における前記着色材料比率が前記内側領域における前記着色材料比率よりも大きくなるように、前記複数の着色材料用ヘッド及び前記クリア材料用ヘッドに造形の材料を吐出させることを特徴とする造形装置。前記着色領域の形成時において、前記着色領域内での前記着色用の材料及び前記クリア材料に配置について、前記制御部は、前記光反射領域から前記造形物の外側に向かう直線上で、前記クリア材料が内側になり、前記着色用の材料が外側になって並ぶように、前記クリア材料用ヘッド及び前記複数の着色材料用ヘッドに、前記着色領域を形成させることを特徴とする請求項1に記載の造形装置。前記造形物は、前記クリア材料を用いて前記着色領域の外側に形成される領域である外側クリア領域を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の造形装置。立体的な造形物を造形する造形装置であって、 光反射性の材料を吐出する吐出ヘッドである光反射材料用ヘッドと、 着色用の材料を吐出する吐出ヘッドである着色材料用ヘッドと、 前記光反射材料用ヘッド及び前記着色材料用ヘッドの動作を制御する制御部と を備え、 前記造形物は、 前記光反射性の材料を用いて形成される光反射性の領域である光反射領域と、 前記着色用の材料を用いて前記光反射領域よりも外側に形成される領域である着色領域と を有し、 前記光反射材料用ヘッドは、前記光反射性の材料として、光沢性の材料を吐出することを特徴とする造形装置。前記光反射性の材料は、光沢性の顔料を含むインクであることを特徴とする請求項4に記載の造形装置。前記光反射領域の形成時において、前記制御部は、前記着色材料用ヘッドに前記着色用の材料を吐出させ、前記光反射材料用ヘッドに前記光沢性の材料を吐出させることにより、前記着色材料用ヘッド及び前記光反射材料用ヘッドに、着色された光沢性の前記光反射領域を形成させることを特徴とする請求項4又は5に記載の造形装置。立体的な造形物を造形する造形装置であって、 光反射性の材料を吐出する吐出ヘッドである光反射材料用ヘッドと、 着色用の材料を吐出する吐出ヘッドである着色材料用ヘッドと、 前記光反射材料用ヘッド及び前記着色材料用ヘッドの動作を制御する制御部と を備え、 前記造形物は、 光反射性の領域である光反射領域と、 前記着色用の材料を用いて前記光反射領域よりも外側に形成される領域である着色領域と を有し、 前記制御部は、前記光反射材料用ヘッドに前記光反射性の材料を吐出させ、前記着色材料用ヘッドに前記着色用の材料を吐出させることにより、少なくとも一部が前記着色用の材料で着色された前記光反射領域を前記光反射材料用ヘッド及び前記着色材料用ヘッドに形成させることを特徴とする造形装置。前記制御部は、前記光反射領域の少なくとも一部へ前記着色用ヘッドに前記着色用の材料を吐出させることにより、前記着色領域と前記光反射領域とが重なることで表現される色を、前記造形物に着色すべき色に合わせることを特徴とする請求項7に記載の造形装置。前記制御部は、前記光反射領域の一部のみについて、前記着色用ヘッドに前記着色用の材料で着色させ、 当該光反射領域の一部は、前記造形物の表面において着色すべき色の濃さが予め設定された濃さよりも濃い部分に対応する領域であることを特徴とする請求項7又は8に記載の造形装置。立体的な造形物を造形する造形装置であって、 光反射性の材料を吐出する吐出ヘッドである光反射材料用ヘッドと、 着色用の材料を吐出する吐出ヘッドである着色材料用ヘッドと、 着色されていない透光性の材料であるクリア材料をそれぞれ吐出する複数の吐出ヘッドである複数のクリア材料用ヘッドと、 前記光反射材料用ヘッド、前記着色材料用ヘッド、及び前記複数のクリア材料用ヘッドの動作を制御する制御部と を備え、 前記複数のクリア材料用ヘッドのそれぞれは、光に対する透過特性が互いに異なる前記クリア材料をそれぞれ吐出し、 前記造形物は、 前記光反射性の材料を用いて形成される光反射性の領域である光反射領域と、 前記複数のクリア材料用ヘッドのそれぞれから吐出される複数種類の前記クリア材料を用いて前記光反射領域よりも外側に形成される領域である透光性領域と、 前記着色用の材料を用いて前記光反射領域よりも外側に形成される領域である着色領域と を有し、 前記透光性領域は、 第1の前記クリア材料で形成される第1クリア領域と、 前記第1のクリア材料と異なる第2のクリア材料で形成される第2クリア領域と を有することを特徴とする造形装置。前記透光性領域は、前記光反射領域と前記着色領域との間に形成されることにより、前記着色領域を介して前記造形物の外部から入射する光が前記光反射領域で反射されて前記造形物の外部へ出射する光の経路において、光を変調することを特徴とする請求項10に記載の造形装置。前記第1クリア領域と、前記第2クリア領域との境界面の法線方向は、当該境界面の外側における前記造形物の表面の法線方向と非平行であることを特徴とする請求項10又は11に記載の造形装置。前記第1クリア領域は、前記透光性領域における前記光反射領域の側に形成され、 前記第2クリア領域は、前記第1クリア領域に接した状態で、前記第1クリア領域の外側に形成され、 前記第1クリア領域と、前記第2クリア領域との境界面は、前記造形物の表面からの距離が位置によって変化する波状の面であることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の造形装置。前記透光性領域は、前記第1クリア領域及び前記第2クリア領域を有することにより、前記透光性領域内で光を屈折又は分散させることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の造形装置。立体的な造形物を造形する造形装置であって、 光反射性の材料を吐出する吐出ヘッドである光反射材料用ヘッドと、 着色用の材料を吐出する吐出ヘッドである着色材料用ヘッドと、 前記光反射材料用ヘッド及び前記着色材料用ヘッドの動作を制御する制御部と を備え、 前記造形物は、 前記光反射性の材料を用いて形成される光反射性の領域である光反射領域と、 前記着色用の材料を用いて前記光反射領域よりも外側に形成される領域である着色領域と を有し、 前記造形物の法線方向における前記着色領域の厚さは、前記着色領域で表現しようとする色の彩度に応じた厚さ設定されていることを特徴とする造形装置。前記造形装置は、造形しようとする前記造形物の断面を示すデータであるスライスデータに基づいて前記造形物を造形し、 前記スライスデータは、前記彩度に応じた厚さの前記着色領域を含む前記断面を示すことを特徴とする請求項15に記載の造形装置。立体的な造形物を造形する造形方法であって、 請求項1から16のいずれかに記載の造形装置を用いて前記造形物を造形することを特徴とする造形方法。

说明书全文

本発明は、造形装置及び造形方法に関する。

従来、インクジェットヘッドを用いて造形物を造形する造形装置(3Dプリンタ)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような造形装置においては、例えば、インクジェットヘッドにより形成するインクの層を複数層重ねることにより、積層造形法で造形物を造形する。

また、近年、造形物の表面を着色用のインク(カラーインク)で形成することで、着色された造形物を造形することが検討されている。この場合、例えば、白色のインク等で光反射性の領域を形成して、その周囲に着色用のインクで着色領域を形成することで、減法混色法で様々な色を表現する。

特開2015−71282号公報

着色された造形物を造形する場合、高い精度でより適切に着色を行うためには、造形物の構成により適した方法で着色を行うことが望ましい。より具体的に、この場合、例えば、造形物の構成を活かして、所望の色での着色をより適切に行うことや、より多様な着色を行うこと等が考えられる。このように、従来、着色された造形物を造形する場合において、より適切に着色を行うこと等が望まれている。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる造形装置及び造形方法を提供することを目的とする。

本願の発明者は、着色された造形物を造形する場合において、より適切に着色を行う方法等について、鋭意研究を行った。そして、造形物の構成を活かして、以下のように着色を行うことを考えた。

上記の課題を解決するために、本発明は、立体的な造形物を造形する造形装置であって、光反射性の材料を吐出する吐出ヘッドである光反射材料用ヘッドと、互いに異なる色の着色用の材料をそれぞれ吐出する複数の吐出ヘッドである複数の着色材料用ヘッドと、着色されていない透光性の材料であるクリア材料を吐出する吐出ヘッドであるクリア材料用ヘッドと、前記光反射材料用ヘッド、前記複数の着色材料用ヘッド、及び前記クリア材料用ヘッドの動作を制御する制御部とを備え、前記造形物は、前記光反射性の材料を用いて形成される光反射性の領域である光反射領域と、前記着色用の材料及び前記クリア材料を用いて前記光反射領域よりも外側に形成される領域である着色領域とを有し、前記着色領域は、前記光反射領域に近い側の領域である内側領域と、前記内側領域よりも外側に形成される領域である外側領域とを含み、前記着色領域の各領域の形成時に使用する造形の材料の合計に対する前記着色用の材料の比率を着色材料比率と定義した場合、前記制御部は、前記外側領域における前記着色材料比率が前記内側領域における前記着色材料比率よりも大きくなるように、前記複数の着色材料用ヘッド及び前記クリア材料用ヘッドに造形の材料を吐出させることを特徴とする。

このように構成した場合、例えば、造形物を観察した場合において、着色領域内での着色用の材料の位置(深さ)について、色によらないより均一な状態にすることができる。また、これにより、例えば、造形物の表面における光の反射の仕方等について、色によって違いが生じること等を適切に防ぐことができる。そのため、このように構成すれば、例えば、着色された造形物を造形する場合において、造形物の着色をより適切に行うことができる。

また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する造形方法等を用いることも考えられる。この場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。また、この造形方法について、例えば、造形物の製造方法と考えることもできる。また、本発明の構成として、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成等を考えることもできる。これらの場合も、着色された造形物を造形する場合において、造形物の着色をより適切に行うことができる。

本発明によれば、例えば、着色された造形物を造形する場合において、造形物の着色をより適切に行うことができる。

本発明の一実施形態に係る造形システム10の一例を示す図である。図1(a)は、造形システム10の構成の一例を示す。図1(b)は、造形装置12の要部の構成の一例を示す。図1(c)は、ヘッド部102の構成の一例を示す。

本例の造形装置12により造形する造形物50について説明をする図である。図2(a)は、造形物50の構成の一例を示す図である。図2(b)は、本例における着色領域156の構成の一例を示す図である。

光反射領域154の形成の仕方の更なる変形例について説明をする図である。図3(a)は、本変形例における光反射領域154の構成の一例を示す図である。図3(b)は、光反射領域154への着色の仕方の変形例を模式的に示す。図3(c)は、光反射領域154への着色の仕方の更なる変形例を模式的に示す。

造形物50を造形する場合に用いるヘッド部102の構成の変形例を示す。

本変形例における造形物50の構成の一例を示す図である。図5(a)は、造形物50の構成の一例を、サポート層52とともに示す。図5(b)は、プリズム領域160の構成の一例を模式的に示す。図5(c)は、プリズム領域160の構成の変形例を示す。

制御PC14において行う色変換の変形例について説明をする図である。図6(a)は、造形装置12で造形物50を造形する場合に表現可能な色の範囲であるガマット502の一例について説明をする図である。図6(b)は、彩度を考慮して行う色変換の一例を示す。

プルーフ70の造形に関して説明を行う図である。図7(a)は、最終的な成果物として造形しようとする造形物50の構成の一例を示す図である。図7(b)は、図7(a)に示した造形物50を縮小したプルーフ70の構成の一例をサポート層52と共に示す。

以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形システム10の一例を示す。図1(a)は、造形システム10の構成の一例を示す。本例において、造形システム10は、立体的な造形物を造形する造形システムであり、造形装置12及び制御PC14を備える。

造形装置12は、造形物の造形を実行する装置であり、制御PC14の制御に応じて、造形物を造形する。また、より具体的に、造形装置12は、フルカラーでの着色がされた造形物を造形可能なフルカラー造形装置であり、造形しようとする造形物を示すデータを制御PC14から受け取り、このデータに基づいて、造形物を造形する。また、本例において、造形装置12は、造形物を示すデータとして、造形物の断面を示すスライスデータを受け取り、スライスデータに基づき、造形物の造形を行う。

制御PC14は、造形装置12の動作を制御するコンピュータ(ホストPC)である。本例において、制御PC14は、造形装置12に造形をさせる造形物を示すスライスデータを生成して、造形装置12へ供給する。また、これにより、制御PC14は、造形装置12による造形の動作を制御する。

尚、上記のように、本例において、造形システム10は、複数の装置である造形装置12及び制御PC14により構成されている。しかし、造形システム10の変形例において、造形システム10は、一台の装置により構成されてもよい。この場合、例えば、制御PC14の機能を含む一台の造形装置12により造形システム10を構成すること等が考えられる。

続いて、造形装置12の具体的な構成について、説明をする。図1(b)は、造形装置12の要部の構成の一例を示す。本例において、造形装置12は、立体的な造形物50を造形する造形装置であり、ヘッド部102、造形台104、走査駆動部106、及び制御部110を有する。

尚、以下に説明をする点を除き、造形装置12は、公知の造形装置と同一又は同様の構成を有してよい。より具体的に、以下に説明をする点を除き、造形装置12は、例えば、インクジェットヘッドを用いて造形物50の材料となる液滴を吐出することで造形を行う公知の造形装置と同一又は同様の構成を有してよい。また、造形装置12は、図示した構成以外にも、例えば、造形物50の造形や着色等に必要な各種構成を更に備えてよい。また、本例において、造形装置12は、積層造形法により立体的な造形物50を造形する造形装置(3Dプリンタ)である。この場合、積層造形法とは、例えば、複数の層を重ねて造形物50を造形する方法である。造形物50とは、例えば、立体的な三次元構造物のことである。

ヘッド部102は、造形物50の材料を吐出する部分である。また、本例において、造形物50の材料としては、インクを用いる。この場合、インクとは、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体のことである。また、より具体的に、ヘッド部102は、造形物50の材料として、複数のインクジェットヘッドから、所定の条件に応じて硬化するインクを吐出する。そして、着弾後のインクを硬化させることにより、造形物50を構成する各層を重ねて形成して、積層造形法で造形物を造形する。また、本例では、インクとして、紫外線の照射により液体状態から硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる。

また、ヘッド部102は、造形物50の材料に加え、サポート層52の材料を更に吐出する。また、これにより、造形装置12は、造形物50の周囲に、必要に応じて、サポート層52を形成する。サポート層52とは、例えば、造形中の造形物50の外周を囲むことで造形物50を支持する積層構造物のことである。サポート層52は、造形物50の造形時において、必要に応じて形成され、造形の完了後に除去される。

造形台104は、造形中の造形物50を支持する台状部材であり、ヘッド部102におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、造形中の造形物50を上面に載置する。また、本例において、造形台104は、少なくとも上面が積層方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、走査駆動部106に駆動されることにより、造形物50の造形の進行に合わせて、少なくとも上面を移動させる。この場合、積層方向とは、例えば、積層造形法において造形の材料が積層される方向のことである。また、より具体的に、本例において、積層方向は、主走査方向(図中のY方向)及び副走査方向(図中のX方向)と直交する方向である。

走査駆動部106は、造形中の造形物50に対して相対的に移動する走査動作をヘッド部102に行わせる駆動部である。この場合、造形中の造形物50に対して相対的に移動するとは、例えば、造形台104に対して相対的に移動することである。また、ヘッド部102に走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部102が有するインクジェットヘッドに走査動作を行わせることである。また、本例において、走査駆動部106は、主走査動作(Y走査)、副走査動作(X走査)、及び積層方向走査(Z走査)をヘッド部102に行わせる。

主走査動作とは、例えば、主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作のことである。本例において、走査駆動部106は、主走査方向における造形台104の位置を固定して、ヘッド部102の側を移動させることにより、ヘッド部102に主走査動作を行わせる。また、走査駆動部106は、例えば、主走査方向におけるヘッド部102の位置を固定して、例えば造形台104を移動させることにより、造形物50の側を移動させてもよい。

副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ造形台104に対して相対的に移動する動作のことである。また、より具体的に、副走査動作は、例えば、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形台104に対して相対的に移動する動作である。本例において、走査駆動部106は、主走査動作の合間に、副走査方向におけるヘッド部102の位置を固定して、造形台104を移動させることにより、ヘッド部102に副走査動作を行わせる。また、走査駆動部106は、副走査方向における造形台104の位置を固定して、ヘッド部102を移動させることにより、ヘッド部102に副走査動作を行わせてもよい。

積層方向走査とは、例えば、積層方向へヘッド部102又は造形台104の少なくとも一方を移動させることで造形物50に対して相対的に積層方向へヘッド部102を移動させる動作のことである。また、走査駆動部106は、造形の動作の進行に合わせてヘッド部102に積層方向走査を行わせることにより、積層方向において、造形中の造形物50に対するインクジェットヘッドの相対位置を調整する。また、より具体的に、本例において、走査駆動部106は、積層方向におけるヘッド部102の位置を固定して、造形台104を移動させる。走査駆動部106は、積層方向における造形台104の位置を固定して、ヘッド部102を移動させてもよい。

制御部110は、例えば造形装置12のCPUであり、造形装置12の各部を制御することにより、造形物50の造形の動作を制御する。また、本例において、制御部110は、制御PC14から受け取るスライスデータに基づき、造形装置12の各部を制御する。この場合、制御部110は、例えば、ヘッド部102における各インクジェットヘッドの動作を制御することにより、造形物の造形に用いるインクを各インクジェットヘッドに吐出させる。本例によれば、造形物50を適切に造形できる。

続いて、造形装置12におけるヘッド部102の構成や、造形装置12が造形する造形物50の構成の例について、更に詳しく説明をする。図1(c)は、ヘッド部102の構成の一例を示す。

本例において、ヘッド部102は、複数のインクジェットヘッド、複数の紫外線光源204、及び平坦化ローラ206を有する。また、複数のインクジェットヘッドとして、図中に示すように、インクジェットヘッド202s、インクジェットヘッド202mo、インクジェットヘッド202w、インクジェットヘッド202y、インクジェットヘッド202m、インクジェットヘッド202c、インクジェットヘッド202k、及びインクジェットヘッド202tを有する。これらの複数のインクジェットヘッドは、例えば、副走査方向における位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。また、それぞれのインクジェットヘッドは、造形台104と対向する面に、所定のノズル列方向へ複数のノズルが並ぶノズル列を有する。また、本例において、ノズル列方向は、副走査方向と平行な方向である。

また、これらのインクジェットヘッドのうち、インクジェットヘッド202sは、サポート層52の材料を吐出するインクジェットヘッドである。サポート層52の材料としては、例えば、サポート層用の公知の材料を好適に用いることができる。インクジェットヘッド202moは、造形材インク(Moインク)を吐出するインクジェットヘッドである。この場合、造形材インクとは、例えば、造形物50の内部(内部領域)の造形に用いる造形専用のインクである。

尚、造形物50の内部については、造形材インクに限らず、他の色のインクを更に用いて形成してもよい。また、例えば、造形材インクを用いずに、他の色のインク(例えば白色のインク等)のみで造形物50の内部を形成することも考えられる。この場合、ヘッド部102において、インクジェットヘッド202moを省略してもよい。また、造形物50の内部については、これらのインクに限らず、例えば、サポート層52に材料以外の任意のインクを用いて形成してもよい。

インクジェットヘッド202wは、白色(W色)のインクを吐出するインクジェットヘッドである。また、本例において、白色のインクは、光反射性のインクの一例であり、例えば造形物50において光を反射する性質の領域(光反射領域)を形成する場合に用いられる。また、インクジェットヘッド202wは、光反射材料用ヘッドの一例である。

インクジェットヘッド202y、インクジェットヘッド202m、インクジェットヘッド202c、インクジェットヘッド202k(以下、インクジェットヘッド202y〜kという)は、着色された造形物50の造形時に用いられる着色用のインクジェットヘッドである。より具体的に、インクジェットヘッド202yは、イエロー色(Y色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202mは、マゼンタ色(M色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202cは、シアン色(C色)のインクを吐出する。また、インクジェットヘッド202kは、ブラック色(K色)のインクを吐出する。

また、本例において、YMCKの各色は、減法混色法によるフルカラー表現に用いるプロセスカラーの一例である。また、これらの各色のインクは、着色用の材料の一例である。この場合、着色用の材料とは、例えば、造形物50の着色に用いる有色の材料のことである。また、インクジェットヘッド202y〜kは、複数の着色材料用ヘッドの一例である。

インクジェットヘッド202tは、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドである。クリアインクとは、例えば、無色の透明色(T)であるクリア色のインクのことである。また、本例において、クリアインクは、着色されていない透光性の材料であるクリア材料の一例である。また、インクジェットヘッド202tは、クリア材料用ヘッドの一例である。

複数の紫外線光源204は、インクを硬化させるための光源(UV光源)であり、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を発生する。また、本例において、複数の紫外線光源204のそれぞれは、間にインクジェットヘッドの並びを挟むように、ヘッド部102における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。紫外線光源204としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源204として、メタルハライドランプや銀ランプ等を用いることも考えられる。

平坦化ローラ206は、造形物50の造形中に形成されるインクの層を平坦化するための平坦化手段である。平坦化ローラ206は、例えば主走査動作時において、インクの層の表面と接触して、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクの層を平坦化する。

以上のような構成のヘッド部102を用いることにより、造形物50を構成するインクの層を適切に形成できる。また、複数のインクの層を重ねて形成することにより、造形物50を適切に造形できる。

尚、ヘッド部102の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変形することもできる。例えば、ヘッド部102は、着色用のインクジェットヘッドとして、上記以外の色用のインクジェットヘッドを更に有してもよい。また、ヘッド部102における複数のインクジェットヘッドの並べ方についても、様々に変形可能である。例えば、一部のインクジェットヘッドについて、他のインクジェットヘッドと副走査方向における位置をずらしてもよい。

続いて、本例の造形装置12により造形する造形物50の構成について、更に詳しく説明をする。図2は、本例の造形装置12により造形する造形物50について説明をする図である。図2(a)は、造形物50の構成の一例を示す図であり、積層方向(Z方向)と直交する造形物50の断面であるX−Y断面の構成の一例を、サポート層52とともに示す。また、この場合、Y方向やZ方向と垂直な造形物50のZ−X断面やZ−Y断面の構成も、同様の構成になる。

上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12(図1参照)は、インクジェットヘッド202y〜k(図1参照)等を用いて、着色された造形物50を造形する。この場合、着色された造形物50とは、例えば、少なくとも表面が着色された造形物50のことである。また、造形物50の表面が着色されるとは、例えば、造形物50において外部から色彩を視認できる領域の少なくとも一部が着色されることである。また、より具体的に、本例において、造形装置12は、例えば図中に示すように、内部領域152、光反射領域154、着色領域156、及び保護領域158を有する造形物50を造形する。また、必要に応じて、造形物50の周囲等にサポート層52を形成する。

内部領域152は、造形物50の内部を構成する領域である。また、内部領域152については、例えば、造形物50の形状を構成する領域と考えることもできる。本例において、造形装置12は、インクジェットヘッド202mo(図1参照)から吐出する造形材インクを用いて、内部領域152を形成する。

光反射領域154は、着色領域156等を介して造形物50の外側から入射する光を反射するための光反射性の領域である。本例において、造形装置12は、インクジェットヘッド202w(図1参照)から吐出する白色のインクを用いて、内部領域152の周囲に光反射領域154を形成する。

着色領域156は、インクジェットヘッド202y〜kから吐出する着色用のインクにより着色がされる領域である。本例において、造形装置12は、インクジェットヘッド202y〜kから吐出する着色用のインクと、インクジェットヘッド202t(図1参照)から吐出するクリアインクとを用いて、光反射領域154の周囲に着色領域156を形成する。また、これにより、造形物50において、着色領域156を、光反射領域154よりも外側に形成する。また、この場合、例えば、各位置への各色の着色用のインクの吐出量を調整することにより、様々な色を表現する。また、色の違いによって生じる着色用のインクの量(単位体積あたりの吐出量が0%〜100%)の変化を一定の100%に補填するために、クリアインクを用いる。このように構成すれば、例えば、着色領域156の各位置を所望の色で適切に着色できる。

保護領域158は、造形物50の外面を保護するための透明な領域である。また、本例において、保護領域158は、外側クリア領域の一例である。造形装置12は、インクジェットヘッド202tから吐出するクリアインクを用いて、着色領域156の周囲に保護領域158を形成する。このように構成すれば、例えば、透明な材料を用いて、着色領域156の外側を覆うように、保護領域158を適切に形成できる。また、以上のように各領域を形成することにより、本例によれば、表面が着色された造形物50を適切に形成できる。

尚、造形物50の構成の変形例においては、造形物50の具体的な構成について、上記と異ならせることも考えられる。この場合、例えば、内部領域152と光反射領域154とを区別せずに、白色のインク等を用いて、光反射領域154の機能を兼ねた内部領域152を形成すること等が考えられる。また、造形物50において、一部の領域を省略すること等も考えられる。この場合、例えば、保護領域158を省略すること等が考えられる。また、造形物50において、上記以外の領域を更に形成すること等も考えられる。この場合、例えば、光反射領域154と着色領域156との間に分離領域を形成すること等が考えられる。分離領域とは、例えば、光反射領域154を構成するインクと着色領域156を構成するインクとが混ざり合うことを防ぐための透明な領域(透明層)である。この場合、造形装置12は、例えば、インクジェットヘッド202tから吐出するクリアインクを用いて、光反射領域154の周囲に分離領域を形成する。

続いて、本例における着色領域156の形成の仕方について、更に詳しく説明をする。図2(b)は、本例における着色領域156の構成の一例を示す図であり、着色領域156の構成の一例について、光反射領域154及び保護領域158と共に模式的に示す。

上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12は、制御PC14(図1参照)から受け取るスライスデータに基づき、造形物50の造形を行う。また、この場合、各位置の断面を示すスライスデータに基づき、造形物50を構成するそれぞれのインクの層を形成する。また、この場合、スライスデータは、各位置の断面の構成として、図2(a)に示した各領域に対応する部分を含む構成を示す。

また、上記においても説明をしたように、本例において、造形物50の着色領域156は、インクジェットヘッド202y〜kから吐出する着色用のインクであるYMCKの各色のインクと、クリアインクとを用いて形成される。そして、この場合、着色領域156内で各色のインクを吐出する位置は、スライスデータにより指定される。また、本例においては、着色領域156内において、クリアインクの吐出量を単に調整するのみでなく、着色領域156内に各色のインクを吐出する位置等についても調整を行うことで、より適切に造形物50の着色を行っている。

より具体的に、本例において、造形装置12は、造形物50の表面に着色する色に合わせて、着色領域156内で造形の解像度に応じて決まるそれぞれの吐出位置(ボクセル位置)に対し、YMCKの各色のインクやクリアインクを吐出する。また、これにより、着色部302及び透明部304を有する着色領域156を形成する。この場合、着色部302は、着色領域156内において着色用のインク(YMCKの各色のインク)で形成される部分である。また、透明部304は、着色領域156内においてクリアインクで形成される部分である。

そして、本例においては、着色領域156内での着色部302及び透明部304の分布について、少なくとも、図中に示すように、着色領域156における外側領域172に着色部302が多くなり、着色領域156における内側領域174において透明部304が多くなるように設定する。この場合、着色領域156における外側領域172とは、着色領域156において造形物50の外側に近い領域のことである。また、外側領域172については、例えば、着色領域156の中で保護領域158に近い側の領域と考えることもできる。また、外側領域172については、例えば、着色領域156において内側領域174よりも外側に形成される領域等と考えることもできる。また、着色領域156における内側領域174とは、着色領域156において造形物50の内側に近い領域のことである。また、内側領域174については、例えば、着色領域156の中で光反射領域154に近い側の領域と考えることもできる。

尚、本例において、外側領域172及び内側領域174は、光反射領域154内において明確に分かれている領域ではなく、着色領域156を便宜上に分けた領域である。外側領域172と内側領域174との境界は、例えば、着色領域156の厚さを2分するように分けること等が考えられる。

また、着色領域156内での着色部302の分布については、より具体的に、例えば図中に示すように、着色領域156の表面(最表面)に着色部302が並ぶように設定する。この場合、着色領域156の表面とは、着色領域156における最も外側の面のことである。そして、この場合、例えば図中の矢印402で示すような、造形物50の法線方向において、着色部302及び透明部304は、着色部302が外側になり、透明部304が内側になるように並ぶことになる。この場合、造形物50の法線方向とは、造形物50の表面の各位置において造形物50の表面と直交する方向のことである。

ここで、造形物50に対して様々な色による着色を行う場合、光反射領域154の各位置に対して吐出される着色用のインクの量は、位置によって異なることになる。そのため、着色領域156の各位置に形成される着色部302について、法線方向における長さを考えた場合、その長さは、着色領域156の位置によって差が生じることになる。そして、この場合、例えば着色領域156の各位置に対して着色する色の色彩や色の濃度のみを考慮して、着色領域156内に単に着色部302を形成するのみであると、着色領域156の表面と着色部302との間に透明部304が形成される場合がある。また、この場合、着色領域156の各位置に着色する色の色彩や色の濃さ等の違いにより、表面と着色部302との間に挟まれる透明部304の長さが様々に変化することが考えられる。

しかし、この場合、造形物50の表面から着色部302までの距離(深さ)が着色領域156における位置によって変化することになり、造形物50の表面の見え方に影響が生じるおそれがある。より具体的には、例えば、このような場合、造形物50の表面の各位置での光の反射のされ方が不均一になり、造形物50の表面の見え方に影響が生じるおそれがある。また、この場合、例えば、着色部302の外側に余分な透明部304が形成されることにより、色がくすむこと等も考えられる。また、余分な透明部304による光の屈折や吸収等の影響により、発色の鮮明さが損なわれるおそれもある。

これに対し、本例においては、着色領域156の表面に着色部302が並ぶように着色領域156を形成することにより、造形物50の表面から着色部302までの距離(深さ)を適切に均一化することができる。また、これにより、例えば、着色領域156の表面側に形成される着色部302について、着色する色の色彩や濃度の違いによって生じる深さの違い(凹凸)を適切に低減して、造形物50の表面の各位置での光の反射のされ方を均一化することができる。また、着色部302の外側に余分な透明部304が形成されることを防ぐこと等により、色のくすみ等を抑制し、鮮やかな色での着色をより適切に行うことができる。

また、本例の構成については、例えば、着色領域156の表面に着色部302が並ぶように着色領域156を形成することで着色領域156の表面側における着色部302の位置(深さ)を揃えた上で、色彩や濃度に応じて、光反射領域154に近い側の着色部302の位置(深さ)を異ならせた構成等と考えることもできる。この場合、着色領域156の表面における着色部302の位置とは、着色部302における最も外側の部分の位置の(高さ)ことである。また、光反射領域154に近い側の着色部302の位置とは、着色部302における最も内側の部分の位置のことである。

また、本例の構成に関し、外側領域172及び内側領域174のそれぞれの形成時に使用するインクの合計に対する着色用のインクの比率を着色材料比率と定義した場合、外側領域172における着色材料比率を内側領域174における着色材料比率よりも大きくする構成等と考えることもできる。この場合、外側領域172及び内側領域174のそれぞれの形成時に使用するインクの合計とは、例えば、各領域の形成時に使用するYMCKの各色のインク(YMCKインク)の量とクリアインクの量との合計のことである。また、着色材料比率については、例えば、各領域におけるYMCKインクの量の割合等と考えることもできる。また、この場合、上記のような着色部302及び透明部304の配置については、例えば、光反射領域154から造形物50の外側に向かう直線上で、クリアインクにより形成される透明部304が内側になり、着色用のインクにより形成される着色部302が外側になって並ぶ配置等と考えることもできる。

また、本例の構成おいて、着色領域156における着色部302は、着色領域156における透明部304と保護領域158との間に挟まれることになる。そのため、この構成については、例えば、着色領域156における着色部302について、クリアインクで形成された透明の領域に挟まれた構成等と考えることもできる。また、この場合、着色部302の外側に透明な保護領域158を形成することにより、造形物50の表面の各位置での光の反射のされ方について、より適切に均一化することもできる。そのため、本例によれば、例えば、造形物50に対し、鮮明な着色をより適切に行うことができる。また、この場合、着色部302の外側に保護領域158を形成することで、例えば、着色された状態に奥行き感を発現させること等もできる。

このように、本例においては、着色領域156における着色部302及び透明部304の形成の仕方を調整することにより、鮮明な着色を実現している。また、造形システム10(図1参照)の構成の変形例においては、更に他の方法で鮮明な着色や多様な着色等を行うこと等も考えられる。そこで、以下、造形システム10において造形する造形物50の構成の様々な変形例について、説明をする。尚、以下において説明をする各変形例においては、着色領域156について、必ずしも図2(b)に示した構成のように形成せず、公知の造形物における着色領域と同一又は同様に形成してもよい。また、着色領域156について、図2(b)に示した構成と同一又は同様に形成してもよい。

先ず、光反射領域154の形成の仕方について、変形例を説明する。上記においては、造形物50における光反射領域154について、白色のインクを用いて形成する場合について、説明をした。しかし、光反射領域154については、白色のインクに限らず、他の色の光反射性のインクで形成してもよい。また、この場合、例えば、白色のインクよりも光を反射しやすいインクを用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、より反射率の高い光反射領域154を形成することができる。また、この場合、着色領域156の下地となる層として反射率の高い光反射領域154を形成することで、例えば、造形物50において生じる光の吸収を低減し、より鮮やかな色表現を実現することができる。また、これにより、例えば、着色領域156により表現する色について、発色性や色再現性を適切に向上させることができる。

また、この場合、光反射領域154について、例えば鏡面のような高い反射率の領域に形成することが考えられる。また、このような光反射領域154を形成するためのインクとしては、例えば、光沢性のインクを用いることが考えられる。この場合、光沢性のインクは、光沢性の材料の一例である。また、この場合、造形装置12におけるヘッド部102(図1参照)は、光反射材料用ヘッドとして、インクジェットヘッド202w(図1参照)に代えて、光沢性のインク用のインクジェットヘッドを有する。また、ヘッド部102は、インクジェットヘッド202wに加え、光沢性のインク用のインクジェットヘッドを更に有してもよい。

また、この場合、光沢性のインクとしては、例えば、光沢性の顔料を含むインク等を好適に用いることができる。また、より具体的に、このようなインクとしては、例えば、金属片等のメタリック顔料を含むメタリック色のインクや、光を反射する性質のガラスビーズ素子を顔料として含むインク等を用いることが考えられる。

また、この場合、メタリックインク等を用いることで単に光反射領域154の反射率を高めるのではなく、着色用のインク(YMCKの各色のインク)を更に用いることで、着色された高反射率の光反射領域154を形成すること等も考えられる。この場合、光反射領域154の形成時において、インクジェットヘッド202y〜k(図1参照)に着色用のインクを吐出させ、光反射材料用ヘッドとして用いるインクジェットヘッドにメタリックインク等の光沢性のインクを吐出させることにより、着色された光沢性の光反射領域154を形成する。

より具体的に、この場合、シルバー色等の無色のメタリックインクと、YMCKインクとを組み合わせることにより、ゴールド色等の様々な色の光沢性の色で光反射領域154を形成することが考えられる。また、この場合、造形物50の外部から視認される色は、ゴールド色等の光反射領域154の色と、着色領域156の色との合成色になる。そのため、このように構成すれば、例えば、造形物50に対し、より多様な着色を行うことができる。また、この場合、YMCKインクを用いて行う光反射領域154への着色は、例えば、光反射領域154の一部に対する着色であってもよい。また、光反射領域154へ着色する色について、光反射領域154の位置によって異ならせてもよい。

また、光反射領域154の形成の仕方の更なる変形例においては、例えば、白色のインクを用いて光反射領域154を形成する場合において、YMCKインクを更に用いて、光反射領域154への着色を行うこと等も考えられる。また、この場合、例えば、光反射領域154における着色領域156側の領域の少なくとも一部について、YMCKインクを用いて着色を行ってもよい。

図3は、光反射領域154の形成の仕方の更なる変形例について説明をする図である。図3(a)は、本変形例における光反射領域154の構成の一例を示す図であり、光反射領域154の構成の一例について、着色領域156と共に模式的に示す。尚、以下に説明をする点を除き、図3において、図1、2と同じ符号を付した構成は、図1、2における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。

本変形例においては、光反射領域154の形成時において、インクジェットヘッド202w(図1参照)に白色のインクを吐出させ、インクジェットヘッド202y〜k(図1参照)に着色用のインクを吐出させることにより、少なくとも一部が着色用のインクで着色された光反射領域154を形成する。この場合、例えば、着色領域156において着色する色に合わせて光反射領域154の各位置を着色することにより、着色領域156のみで色を表現する場合よりも濃い色を表現すること等が考えられる。

より具体的に、この場合、造形装置12における制御部110(図1参照)は、光反射領域154の少なくとも一部に対してインクジェットヘッド202y〜kにインクを吐出させる。この場合、インクジェットヘッド202y〜kにインクを吐出させるとは、例えば、着色する色に合わせて、インクジェットヘッド202y〜kの少なくとも一つにインクを吐出させることである。また、この場合、着色領域156のみで所望の色を表現するのではなく、着色領域156と光反射領域154とが重なることで表現される色について、造形物50に着色すべき色に合わせる。このように構成すれば、例えば、造形物50に着色する色について、より発色性を高め、鮮やかな色をより適切に表現できる。

また、更に具体的に、図3(a)に示した場合、光反射領域154の各位置のうち、着色領域156がC色に着色される部分と重なる位置は、白色(W色)のインクとC色のインクとを用いて、C色に着色される。また、着色領域156がM色に着色される部分と重なる位置は、白色のインクとM色のインクとを用いて、M色に着色される。着色領域156がY色に着色される部分と重なる位置は、白色のインクとY色のインクとを用いて、Y色に着色される。

また、この場合、光反射領域154にも着色を行うことにより、例えば、着色領域156の厚さを薄くした場合にも、濃い色等を適切に表現できる。そのため、本変形例によれば、例えば、着色領域156の厚さを適切に低減することもできる。また、これにより、例えば、着色領域156内のクリアインクの影響で色のくすみ等が生じること等を適切に防ぐこともできる。そのため、本変形例によれば、この点でも、造形物50に対し、より鮮明な着色を行うことができる。

ここで、上記においても説明をしたように、造形システム10においては、例えば、制御PC14(図1参照)において、スライスデータを生成する。また、この場合、例えば、造形に使用するインクの色等に合わせて、色変換等の処理を行う。より具体的に、この場合、汎用の形式の3Dデータに基づき、スライスデータを生成する。また、この3DデータにおいてRGB表色系で表現されている色について、CMYK表色系への色変換を行う。そして、本変形例のように光反射領域154に対しても着色を行う場合、制御PC14で行うスライスデータの生成時には、光反射領域154に対して行う着色も考慮して、色変換等の処理を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、光反射領域154及び着色領域156により、造形物50の表面を適切に着色することができる。

また、本変形例のように光反射領域154への着色を行う場合において、光反射領域154への着色は、必ずしも光反射領域154の全体に行うのではなく、光反射領域154の一部のみに対して行ってもよい。この場合、造形物50の表面に対して濃い色の着色を行う部分に対応する光反射領域154の領域に対してのみ、その表面の色に合わせた着色を行うことが考えられる。濃い色の着色を行う部分とは、例えば、造形物50の表面において着色すべき色の濃さが予め設定された濃さよりも濃い部分のことである。このように構成した場合、例えば、必要に応じて光反射領域154を着色することにより、表現可能の色の範囲について、より広い範囲を適切に実現できる。また、これにより、例えば、造形物50への多様な着色をより適切に実現できる。

また、光反射領域154への着色の仕方については、更に様々な変形を行うことも考えられる。図3(b)は、光反射領域154への着色の仕方の変形例を模式的に示す。この場合、光反射領域154への着色について、光反射領域154における着色領域156側の領域に対してのみ、着色を行う。

より具体的に、図示した構成において、光反射領域154は、着色反射領域176及び白色反射領域178を有する。着色反射領域176は、光反射領域154における着色領域156側の領域であり、図3(a)に示した光反射領域154と同一又は同様にして、白色のインク以外に着色用のインクを更に用いて、着色された状態で形成される。また、白色反射領域178は、光反射領域154における着色領域156から遠い側の領域であり、着色領域156との間に着色反射領域176を挟んだ位置において、着色用のインクを用いずに、白色のインクで形成される。

このように構成した場合も、例えば、光反射領域154に対する着色を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、造形物50に着色する色について、より発色性を高め、鮮やかな色をより適切に表現できる。また、この場合も、光反射領域154における着色反射領域176に対する着色は、例えば造形物50の表面に着色する色の濃さ等に応じて、着色反射領域176の一部のみに行ってもよい。

また、光反射領域154への着色の仕方の更なる変形例においては、例えば、光反射領域154における位置によって着色の仕方を異ならせてもよい。図3(c)は、光反射領域154への着色の仕方の更なる変形例を模式的に示す。

この場合、例えば、光反射領域154の一部に対して、例えば図中の光反射領域154における右側の領域のように、図3(a)に示した場合と同一又は同様に着色を行い、光反射領域154の他の一部に対して、例えば図中の光反射領域154における中央の領域のように、図3(b)に示した場合と同一又は同様に着色を行うこと等が考えられる。また、この場合も、光反射領域154の更なる他の一部に対しては、着色を行わず、例えば図中の光反射領域154における左側の領域のように、白色のインクのみで形成してもよい。このように構成した場合も、例えば、光反射領域154に対する着色を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、造形物50に着色する色について、より発色性を高め、鮮やかな色をより適切に表現できる。

また、造形物50に対して多様な着色を行うという観点で考えた場合、造形物50の構成の変形例においては、例えば、光反射領域154により反射する光に対して様々な光学的な作用を及ぼす透光性の領域等を更に形成すること等も考えられる。また、この場合、例えば、光学的な特性が異なる複数種類のクリアインクを組み合わせて、このような領域を形成することが考えられる。

図4及び図5は、造形物50の構成の変形例について説明をする図である。本変形例においては、例えば、図1(b)に示した場合と一部が異なる構成のヘッド部102を有する造形装置12(図1参照)を用いて、造形物50の造形を行う。また、この場合、以下において説明する以外の点については、例えば図1〜3を用いて説明をした場合と同一又は同様の動作により、造形物50の造形を行う。また、以下に説明をする点を除き、図4以降の図面において、図1〜3と同じ符号を付した構成は、図1〜3における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。

図4は、本変形例の造形物50を造形する場合に用いるヘッド部102の構成の一例を示す。本変形例において、ヘッド部102は、クリアインク用のインクジェットヘッドとして、複数のインクジェットヘッドであるインクジェットヘッド202t1及びインクジェットヘッド202t2を有する。インクジェットヘッド202t1及びインクジェットヘッド202t2のそれぞれは、クリア材料用ヘッドの一例であり、光に対する透過特性が互いに異なるクリアインクをそれぞれ吐出する。また、より具体的に、本変形例において、インクジェットヘッド202t1及びインクジェットヘッド202t2のそれぞれは、光(可視光)に対する屈折率が互いに異なるクリアインクをそれぞれ吐出する。また、この場合、インクジェットヘッド202t1から吐出されるクリアインクは、第1のクリア材料の一例である。インクジェットヘッド202t2から吐出されるクリアインクは、第2のクリア材料の一例である。

図5は、本変形例における造形物50の構成の一例を示す図である。図5(a)は、造形物50のX−Y断面の構成の一例を、サポート層52とともに示す。本変形例において、造形装置12は、造形物50として、内部領域152、光反射領域154、プリズム領域160、着色領域156、及び保護領域158を有する造形物50を造形する。また、必要に応じて、造形物50の周囲にサポート層52を形成する。

造形物50における各領域のうち、内部領域152、光反射領域154、着色領域156、及び保護領域158は、図2(a)に示した造形物50の各領域と同一又は同様の領域である。また、本変形例において、造形物50におけるプリズム領域160は、インクジェットヘッド202t1及びインクジェットヘッド202t2のそれぞれから吐出される複数種類のクリアインクを用いて光反射領域154よりも外側に形成される領域である透光性領域の一例であり、光反射領域154と着色領域156との間に形成される。

図5(b)は、プリズム領域160の構成の一例を模式的に示す。本変形例において、プリズム領域160は、第1クリア領域182及び第2クリア領域184を有する。第1クリア領域182は、図中に符号Aを付して示した領域であり、インクジェットヘッド202t1から吐出されるクリアインクで形成される。第2クリア領域184は、図中に符号Bを付して示した領域であり、インクジェットヘッド202t2から吐出されるクリアインクで形成される。

また、図中に示すように、第1クリア領域182は、プリズム領域160における光反射領域154の側に形成される。また、第2クリア領域184は、第1クリア領域182に接した状態で、第1クリア領域182の外側に形成される。また、本変形例において、第1クリア領域182及び第2クリア領域184は、互いに異なる種類のクリアインクで形成されることで、互いに異なる屈折率を有する透光性の領域になっている。

また、第1クリア領域182と第2クリア領域184との境界面は、図中に示すように、波状に変化する面になっている。この場合、境界面が波状に変化するとは、例えば、造形物50の表面からの距離が位置によって変化することである。また、その結果、この境界面の法線方向は、その境界面の外側における造形物50の表面の法線方向と非平行になっている。この場合、境界面の法線方向とは、例えば図中に矢印414で示すような、第1クリア領域182と第2クリア領域184との境界面と直交する方向のことである。また、造形物50の表面の法線方向とは、造形物50の表面と直交する方向である。また、図5(a)に示したような構成の造形物50の場合、造形物50の表面の法線方向は、保護領域158の外側の面に対して直交する方向になる。また、この方向は、実質的に、例えば図中に矢印412で示すような、着色領域156の表面に対して直交する方向と同じである。

尚、第1クリア領域182と第2クリア領域184との境界面の法線方向について、造形物50の表面の法線方向と非平行になっているとは、例えば、プリズム領域160による光学的な作用が得られる範囲で、境界面の多くの部分で非平行になっていることである。そのため、例えば図中に示した場合とは異なる曲面状の境界面を形成した場合等において、曲面状の部分の一部において、これらの法線方向が例外的に平行になる場合等を含んでもよい。また、第1クリア領域182と第2クリア領域184との境界面については、例えば、造形物50の表面と非平行になっていると考えることもできる。

本変形例によれば、例えば、上記のような第1クリア領域182及び第2クリア領域184を形成することにより、プリズム領域160を光学的にプリズムとして機能させることができる。この場合、プリズム領域160を光学的にプリズムとして機能させるとは、例えば、プリズム領域160内で光を屈折又は分散させることである。また、本変形例におけるプリズム領域160の光学的な機能については、例えば、着色領域156を介して造形物50の外部から入射する光が光反射領域154で反射されて造形物50の外部へ出射する光の経路において、光を変調していると考えることもできる。

本変形例によれば、例えば、造形物50において、着色領域156の内側で光反射領域154により光を反射するのみでなく、視覚的な効果を様々に変化させるように光を反射させることができる。また、これにより、例えば、造形物50に対してより多様な着色を行うことができる。より具体的には、プリズム領域160を設けることにより、例えば、キラキラとした状態で光を反射させること等が考えられる。また、プリズム領域160を設けることにより、光の反射率を高めること等も考えられる。

また、プリズム領域160の具体的な構成については、図5(b)に示した構成に限らず、様々に変更すること等も考えられる。図5(c)は、プリズム領域160の構成の変形例を示す。この場合も、例えば、第1クリア領域182と第2クリア領域184との境界面を波状に変化させること等により、プリズム領域160を光学的にプリズムとして機能させることができる。また、これにより、造形物50に対して多様な着色を行うことができる。また、上記以外にも、プリズム領域160の具体的な構成として、第1クリア領域182及び第2クリア領域184を有する様々な構成を用いることが考えられる。

尚、上記においても説明をしたように、本変形例においては、インクジェットヘッド202t1から吐出するクリアインクで第1クリア領域182を形成し、インクジェットヘッド202t2から吐出するクリアインクで第2クリア領域184を形成している。しかし、プリズム領域160の構成の更なる変形例においては、複数のクリアインクを組み合わせて、第1クリア領域182や第2クリア領域184を形成してもよい。この場合、例えば、それぞれのクリアインクの含有比率を異ならせることで、第1クリア領域182と第2クリア領域184との間で屈折率等を異ならせることが考えられる。また、この場合、第1クリア領域182及び第2クリア領域184のそれぞれは、異なる比率で組み合わせた複数種類のクリアインクで形成されることになる。そして、この場合、第1クリア領域182を構成する複数種類のクリアインクの組み合わせについて第1のクリア材料と考え、第2クリア領域184を構成する複数種類のクリアインクの組み合わせについて第2のクリア材料と考えてもよい。

また、第1クリア領域182及び第2クリア領域184については、少なくとも、プリズム領域160において必要な光学的な効果が得られる程度以上の大きさの領域にすることが考えられる。より具体的に、第1クリア領域182及び第1クリア領域182については、人間の視覚で区別可能な大きさの領域にすることが好ましい。

また、上記においては、プリズム領域160について、光反射領域154と着色領域156との間に形成する場合の構成を説明した。このように構成すれば、例えば、プリズム領域160について、光反射領域154と着色領域156との間を分離する分離領域としても機能させることができる。

また、プリズム領域160については、例えば、光反射領域154と着色領域156との間以外の位置に形成すること等も考えられる。より具体的には、例えば、プリズム領域160について、着色領域156の外側に形成すること等も考えられる。このように構成した場合も、造形物50に対して多様な着色を行うことができる。また、この場合、保護領域158とプリズム領域160の機能を兼ねた透光性の領域を形成してもよい。

また、上記においては、造形物50により適切又は多様な着色を行うための構成について、主に、造形物50の構成に着目して説明をした。しかし、造形物50への着色をより適切に行うためには、例えば、制御PC14(図1参照)でのスライスデータの生成時に行う色変換の処理を変更すること等も考えられる。

より具体的に、図1に関連して上記においても説明をしたように、スライスデータの生成時には、例えば、汎用の形式の3Dデータに基づき、スライスデータを生成する。また、この場合、この3DデータにおいてRGB表色系で表現されている色について、CMYK表色系への色変換を行う。そして、この色変換においては、例えば公知の方法により、RGB表色系の色とLab表色系の色とを対応付けたプロファイルを用いて、RGB表色系の色を一旦Lab表色系の色に変換する。そして、変換後のLab表色系の色に対し、例えばLab表色系の色とCMYK表色系の色とを対応付けたプロファイルを用いて、CMYK表色系の色へ更に変換する。

しかし、より高い色再現性で造形物50の着色を行おうとする場合、例えば、公知の方法とは異なる方法で色変換を行うこと等も考えられる。また、この場合、より具体的に、造形物50に着色する色の彩度に着目して、色変換を行うこと等が考えられる。

図6は、制御PC14において行う色変換の変形例について説明をする図である。図6(a)は、造形装置12で造形物50を造形する場合に表現可能な色の範囲であるガマット502の一例について説明をする図であり、Lab表色系でのガマット502の一例を簡略化して示す上記においても説明をしたように、造形装置12で造形物50を造形する場合、光反射領域154や着色領域156等(図2参照)を形成することで、造形物50の表面への着色を行う。そして、この場合、表現可能な色の範囲は、例えば着色領域156の厚さ等により変化する。

より具体的に、例えば着色領域156の厚さを薄くした場合、より明るい色を表現可能になる。しかし、この場合、通常、より厚い着色領域156を形成する場合と比べ、表現可能な色の範囲が狭くなる。この場合、表現可能な色の範囲とは、図中でL軸と直交する面内でのガマット502の範囲である。また、着色領域156の厚さを厚くした場合、表現可能な色の範囲は広くなる。しかし、この場合、より薄い着色領域156を形成する場合と比べ、明るい色を表現することが難しくなる。

そのため、造形物50の造形時のガマット502の範囲は、着色領域156の厚さ等によって様々に変化することになる。例えば、図中に示す場合において、着色領域156の厚さをより薄くすると、ガマットは、実線示したガマット502の上側に破線で示した範囲のようになる。また、着色領域156の厚さをより厚くすると、ガマットは、例えば、実線示したガマット502の下側に破線で示した範囲のようになる。

そして、この場合、例えば制御PC14で行う色変換において、予め設定された一定の変換のみを行うとすると、造形物50において高い色再現性で表現可能な色や明るさの範囲が限定的になるおそれがある。これに対し、制御PC14において、より高い精度での色変換を行うためには、例えば、造形物50に対して実際に着色する色を考慮して、造形物50毎に個別のパラメータに基づく色変換を行うこと等が考えられる。この場合、例えば、造形物50の着色しようとする色の彩度に着目して、色変換を行うこと等が考えられる。

より具体的に、例えば、造形物50に対して薄い色での着色を行う場合等において、着色領域156により表現可能な色の彩度は、着色領域156が薄いほど高くなる。そして、この場合、例えば表現しようとする色の彩度をパラメータに用いて着色領域156の厚さを設定することで、表現しようとする色の彩度に対してより適切な厚さの着色領域156を形成できる。また、この場合、着色領域156の厚さに応じて決まるガマット502を考慮して色変換を行うことで、制御PC14での色変換について、色再現域を十分に広くして、適切な色変換を行うことができる。

図6(b)は、彩度を考慮して行う色変換の一例を示す。この場合、例えば、RGB色空間からHSV色空間への色変換と、HSV色空間からCMYK色空間への色変換とを行う。また、これらの色変換を行った状態でスライスデータを生成して、造形物50の造形を行う。この場合、RGB色空間からHSV色空間への色変換とは、例えば、造形しようとする造形物50を示す3DデータにおいてRGB表色系で示された色について、HSV表色系の色への色変換を行うことである。また、HSV色空間からCMYK色空間への色変換とは、例えば、HSV表色系で示された色について、CMYK表色系の色への色変換を行うことである。

また、この場合、例えば、HSV表色系の色への色変換時において、着色領域156の厚さを決定する。この場合、着色領域156の厚さとは、造形物50の法線方向における着色領域156の厚さである。このように構成すれば、例えば、着色領域156の厚さについて、着色領域156で表現しようとする色の彩度に応じた厚さに適切に設定できる。

また、CMYK表色系の色への色変換時には、着色領域156の厚さを考慮して、色変換を行う。また、この場合、制御PC14において生成するスライスデータは、例えば、彩度に応じた厚さの着色領域156を含む断面を示すことになる。このように構成すれば、例えば、制御PC14での色変換について、彩度を考慮した色変換を適切に行うことができる。また、これにより、造形物50に対し、高い色再現性での着色を適切に行うことができる。

尚、図6においては、図示及び説明の便宜上、制御PC14で行う色変換に関し、RGB色空間からHSV色空間への色変換、及びHSV色空間からCMYK色空間への色変換について、直接的に色変換をするように図示をしている。しかし、実際の制御PC14の動作において、RGB色空間からHSV色空間への色変換や、HSV色空間からCMYK色空間への色変換は、例えば、間にLab表色系を挟んで行ってもよい。

また、上記においても説明をしたように、造形物50の造形時において、着色領域156の形成は、例えば、YMCKの各色のインクと、クリアインクとを用いて行う。しかし、この場合において、クリアインクは、通常、完全に無色透明ではなく、例えば薄い黄色等の、ある程度の地色を有している。そのため、例えば厚い着色領域156を形成すると、クリアインクの地色の影響等で、着色領域156の色にズレ等が生じる場合もある。そして、このような点を考慮した場合、着色領域156については、できるだけ薄く形成することが好ましいともいえる。そのため、上記のように彩度を考慮して色変換を行う構成については、例えば、必要な彩度を考慮して着色領域156の厚さを設定することで、着色領域156の厚さをできるだけ薄くする構成等を考えることもできる。

また、制御PC14において行う色変換の更なる変形例においては、例えば、彩度以外のパラメータに基づいて色変換を行うこと等も考えられる。より具体的には、例えば、表現しようとする色の明度に着目して、明度をパラメータとして用いて色変換を行うこと等が考えられる。また、表現しようとする色の色相に着目して、色相をパラメータとして用いて色変換を行うこと等が考えられる。また、より具体的に、この場合、例えば、表現しようとする色相に応じて、着色領域156の厚さを変化させること等が考えられる。この場合、例えば、赤色系の色を表現する場合に着色領域156を厚くして、黄色系の色を表現する場合には着色領域156を薄くすること等が考えられる。また、この場合、例えば、造形物50の各位置に着色する色の違いに応じて、着色領域156の厚さを位置によって異ならせてもよい。

続いて、造形装置12により造形物50を造形することに関連する補足説明を行う。造形装置12により造形物50を造形する場合、実際の造形物50を造形する前に、確認用の造形物であるプルーフとして、より短時間で造形可能な構成の造形物を造形する場合がある。この場合、例えば、造形しようと造形物50を縮小した形状のプルーフ等を造形することが考えられる。

図7は、プルーフ70の造形に関して説明を行う図である。図7(a)は、最終的な成果物として造形しようとする造形物50の構成の一例を示す図であり、図2(a)に示した場合と同じ造形物50のX−Y断面をサポート層52と共に示す。図7(b)は、図7(a)に示した造形物50を縮小したプルーフ70のX−Y断面の構成の一例をサポート層52と共に示す。

上記においても説明をしたように、表面が着色された造形物50を造形する場合、例えば、光反射領域154及び着色領域156等を有する造形物50を造形する。この点に関し、より忠実なプルーフ70を造形することが望まれる場合、例えばプルーフ70の造形時にも、造形物50と同じ着色がされたプルーフ70を造形することが考えられる。

しかし、プルーフ70の造形時においては、例えば、より短時間でプルーフ70を造形することが望ましい場合もある。また、例えば縮小したプルーフ70を造形する場合、光反射領域154及び着色領域156に対応する領域の厚さの設定により、色の見え方が変化する場合もある。そのため、この場合、着色されたプルーフ70を造形したとしても、造形物50の色を適切に予測できない場合がある。また、例えば縮小しない同サイズのプルーフ70を造形する場合、着色を行ってプルーフ70を造形すると、プルーフ70の造形に要する時間が大きく増大するおそれがある。

そのため、プルーフ70の造形時には、例えば造形物50に着色される色を考慮せずに、プルーフ70を造形することが好ましい場合がある。また、この場合、プルーフ70の全体について、例えば複数のインクジェットヘッド202y〜k(図1参照)で形成することが考えられる。この場合、プルーフ70の全体を複数のインクジェットヘッド202y〜k等で形成するとは、プルーフ70の内部等を含めた全体について、複数のインクジェットヘッド202y〜k等からYMCKの各色のインク等を吐出して形成することである。このように構成すれば、例えば、造形材インク(Moインク)用のインクジェットヘッド202mo(図1参照)のみを用いてプルーフ70の内部を形成する場合等と比べ、より高速にプルーフ70を造形できる。

尚、この場合、プルーフ70の造形は、例えば、サポート層52の材料用のインクジェットヘッド202s(図1参照)以外の任意のインクジェットヘッドを用いて行うことが考えられる。また、この場合、例えば、造形物50の造形時におけるインクの使用量が少ないインクジェットヘッドのみでプルーフ70を造形すること等も考えられる。より具体的に、この場合、例えば、着色用のインクジェットヘッドであるインクジェットヘッド202y〜kのみを用いてプルーフ70を造形すること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、プルーフ70及び造形物50を造形する動作の全体の中で、各インクジェットヘッドでのインクの使用量をより均一化できる。

また、インクジェットヘッド202y〜k等を用いてプルーフ70を造形する動作は、縮小されたプルーフ70の造形時に限らず、造形物50と同一サイズのプルーフ70を造形する場合にも行うことが考えられる。この場合も、インクジェットヘッド202y〜k等の多くのインクジェットヘッドを用いてプルーフ70を形成することで、プルーフ70の造形をより高速に行うことができる。

本発明は、例えば造形装置に好適に利用できる。

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