Nitrile rubber-metal laminated gasket material

申请号 JP2004182070 申请日 2004-06-21 公开(公告)号 JP2005180682A 公开(公告)日 2005-07-07
申请人 Nok Corp; Nok株式会社; 发明人 FUKAZAWA KIYOBUMI; KAISE TOMOHIRO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a nitrile rubber-metal laminated gasket material superior in water resistance, LLC resistance and heat resistance without performing harmful coating-type chromate treatment onto metal, and free from peeling-off of the laminated gasket, for example, even in a water-resistant testing method under consideration of actual use environment of an engine cylinder head gasket, in forming the rubber-metal laminated gasket material composed of a complex of stainless steel plate and nitrile rubber.
SOLUTION: This nitrile rubber-metal laminated gasket material is formed by successively laminating a surface treatment agent layer including organic metallic compound and silica, a phenol resin-containing vulcanized adhesive agent layer, a nitrile rubber layer, and further preferably an anti-adhesion layer on the stainless steel plate.
COPYRIGHT: (C)2005,JPO&NCIPI
权利要求
  • ステンレス鋼板上に、有機金属化合物およびシリカを含有する表面処理剤層、フェノール樹脂含有加硫接着剤層およびニトリルゴム層を順次積層してなるニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • 表面処理剤層を形成する有機金属化合物とシリカとが、固形分比率として90:10〜60:40の重量比で用いられた請求項1記載のニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • 有機金属化合物が少くとも1個のアルコキシル基を有する化合物である請求項1または2記載のニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • 有機金属化合物が、少くとも1個のキレート環およびアルコキシル基を含有する化合物である請求項1または2記載のニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • 有機金属化合物が少くとも1個のキレート環を有する化合物と金属アルコキシドとの混合物である請求項1または2記載のニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • 有機金属化合物が有機チタン化合物である請求項1または2記載のニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • シリカがコロイダルシリカである請求項1記載のニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • フェノール樹脂含有加硫接着剤が、ノボラックフェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂およびゴムポリマーを含有してなる加硫接着剤である請求項1記載のニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • ニトリルゴム層上にさらに粘着防止剤層を積層させた請求項1記載のニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • エンジンシリンダーヘッドガスケットとして用いられる請求項1乃至9のいずれかに記載のニトリルゴム-金属積層ガスケット素材。
  • 说明书全文

    本発明は、ニトリルゴム-金属積層ガスケット素材に関する。 更に詳しくは、エンジンシリンダーヘッドガスケットなどとして好適に用いられるニトリルゴム-金属積層ガスケット素材に関する。

    性、耐LLC(ロングライフクーラント)性および耐熱性が必要とされるエンジン用シリンダヘッドガスケット素材の金属材料としては、主にステンレス鋼が用いられているが、ステンレス鋼に直接加硫接着剤を適用し、ゴムと接着させても耐液接着耐久性が悪く、このゴム金属積層板について水、LLC等に浸漬試験を実施すると、接着剥離を生ずるようになる。

    このための対策として、本出願人は先に加硫接着剤を塗布する前処理として、ステンレス鋼上に塗布型クロメート処理を施し、水、LLC等に対する耐性を向上させることを提案している。 しかしながら、塗布型クロメート処理では、Cr 6+イオンが含まれるため、環境対策上からみて好ましくない。

    特開2000−006307号公報

    特開平11−221875号公報

    これに対して、フェノール系樹脂をベースとする各種加硫接着剤用下塗り剤も市販されているが、ステンレス鋼との接着においては、十分なる接着性、耐水性を示さない。

    そこで本出願人はさらに、ゴム-金属積層ガスケット素材を製造するに際し、金属とゴムとの接着剤としてアルコキシシランをベースとする種々の加硫接着剤組成物を提案している。 これらの加硫接着剤組成物は、予め化学的または物理的表面処理している金属表面との接着に特に適しているが、無処理の金属表面に適用した場合には、例えば塗布型クロメート処理を施したステンレス鋼の場合程の密着性を得ることはできない。

    特開平7−34054号公報

    特開平7−216309号公報

    特開平8−209102号公報

    特開平9−3432号公報

    特開平9−40916号公報

    特開平9−132758号公報

    特開平10−7990号公報

    特開平10−8021号公報

    特開平11−1672号公報

    特開2001−226642号公報

    また、ガスケットの実使用環境においては、同時に異種金属が同一液に接触している場合が多く、このような場合ゴム-金属積層ガスケット素材と異種金属間に電位が発生し、接着剥れが促進されてしまうが、このような環境下においても接着剥れの発生しないクロムフリーステンレス鋼とゴムとの積層体が望まれている。

    本発明の目的は、ステンレス鋼板とニトリルゴムとの複合体よりなるゴム-金属積層ガスケット素材を形成するに際し、有害な塗布型クロメート処理などを金属に施さなくとも耐水性、耐LLC性、耐熱性に優れ、例えばエンジンシリンダーヘッドガスケットの実使用環境下を考慮した耐水試験方法においても、接着剥がれの生じないニトリルゴム-金属積層ガスケット素材を提供することにある。

    かかる本発明の目的は、ステンレス鋼板上に、有機金属化合物およびシリカを含有する表面処理剤層、フェノール樹脂含有加硫接着剤層およびニトリルゴム層、好ましくはさらに粘着防止層を順次積層してなるニトリルゴム-金属積層ガスケット素材によって達成される。

    本発明にかかるニトリルゴム-金属積層ガスケット素材は、ステンレス鋼板、有機金属化合物およびシリカを含有する表面処理剤層、フェノール樹脂含有加硫接着剤層およびニトリルゴム層よりなる積層構造を有することにより、水、LLC液に対して優れた耐久耐液性を示すばかりではなく、すぐれた耐熱性をも有している。 かかる耐久耐液性は、ガスケットと異種金属とが同一液に接触している場合にも有効に発揮され、異種金属間に発生する電位によって接着剥がれを生ずることもないといったすぐれた接着性を示す。

    ステンレス鋼とニトリルゴムとを積層させた複合体を、水やLLCのような電解質に接触させて使用する場合、同一液にアルミニウムや鉄などの腐食し易い金属が存在すると、複合体との間に電位が発生し、それらの金属が腐食反応(アノード反応)を起すと同時に、複合体のステンレス鋼表面にカソード反応が起り、これによって接着剥れが発生するという現象を発見した。

    このような現象の顕著な例として、アルミニウム製エンジンシリンダのヘッドガスケットとして、ニトリルゴム-ステンレス鋼積層ガスケットを使用すると、同じような温度条件で水、LLC溶液等の電解質に浸漬試験したものと比べ、短時間でブリスターや接着剥れが発生することが確認されるが、本発明に係るガスケット素材は、実使用環境下において、電解質中で異種金属と同時に使用されても、接着剥れを発生させないという効果を奏するものである。 同時に、エンジンシリンダヘッドガスケットとして必要な耐熱性および耐LLC性を兼ね備えている。

    ステンレス鋼板としては、SUS301、SUS301H、SUS304、SUS430等が用いられる。 その板厚は、ガスケット用途であるので、一般に約0.1〜2mm程度のものが用いられる。 これらのステンレス鋼板上には、まず有機金属化合物およびシリカを含有する表面処理剤が塗布される。

    有機金属化合物としては、例えばトリイソプロポキシアルミニウム、モノ-sec-ブトキシジプロポキシアルミニウム、トリ-sec-ブトキシアルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウム、ジイソプロポキシアルミニウムモノ(メチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシアルミニウムモノ(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシアルミニウムモノ(プロピルアセトアセテート)、ジイソプロポキシアルミニウムモノ(ブチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシアルミニウムモノ(ヘキシルアセトアセテート)、ジn-プロポキシアルミニウムモノ(メチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシアルミニウムモノ(エチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシアルミニウムモノ(プロピルアセトアセテート)、ジn-プロポキシアルミニウムモノ(ブチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシアルミニウムモノ(ヘキシルアセトアセテート)、ジブトキシアルミニウムモノ(メチルアセトアセテート)、ジブトキシアルミニウムモノ(エチルアセトアセテート)、ジブトキシアルミニウムモノ(プロピルアセトアセテート)、ジブトキシアルミニウムモノ(ブチルアセトアセテート)、ジブトキシアルミニウムモノ(ヘキシルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(プロピルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ブチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ヘキシルアセトアセテート)、アルミニウム-モノアセチルアセトネート-ビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、ジイソプロポキシアルミニウムモノ(アセチルアセトネート)などの有機アルミニウム化合物、テトラi-プロポキシチタン、テトラn-プロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、ジイソプロポキシチタンビス(メチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタンビス(プロピルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタンビス(ブチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタンビス(ヘキシルアセトアセテート)、ジn-プロポキシチタンビス(メチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシチタンビス(プロピルアセトアセテート)、ジn-プロポキシチタンビス(ブチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシチタンビス(ヘキシルアセトアセテート)、ジn-ブトキシチタンビス(メチルアセトアセテート)、ジn-ブトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジn-ブトキシチタンビス(プロピルアセトアセテート)、ジn-ブトキシチタンビス(ブチルアセトアセテート)、ジn-ブトキシチタンビス(ヘキシルアセトアセテート)、1,3-プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトネート)、ジn-プロポキシチタンビス(アセチルアセトネート)、ジn-ブトキシチタンビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンテトラエチルアセトアセテート、チタンテトラプロピルアセトアセテート、チタンテトラブチルアセトアセテートなどの有機チタン化合物、テトラi-プロポキシジルコニウム、テトラn-プロポキシジルコニウム、テトラn-ブトキシジルコニウム、ジイソプロポキシジルコニウムビス(メチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシジルコニウムビス(プロピルアセトアセテート)、ジイソプロポキシジルコニウムビス(ブチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシジルコニウムビス(ヘキシルアセトアセテート)、ジn-プロポキシジルコニウムビス(メチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシジルコニウムビス(プロピルアセトアセテート)、ジn-プロポキシジルコニウムビス(ブチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシジルコニウムビス(ヘキシルアセトアセテート)、ジn-ブトキシジルコニウムビス(メチルアセトアセテート)、ジn-ブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、ジn-ブトキシジルコニウムビス(プロピルアセトアセテート)、ジn-ブトキシジルコニウムビス(ブチルアセトアセテート)、ジn-ブトキシジルコニウムビス(ヘキシルアセトアセテート)、1,3-プロパンジオキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシジルコニウムビス(アセチルアセトネート)、ジn-プロポキシジルコニウムビス(アセチルアセトネート)、ジn-ブトキシジルコニウムビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラプロピルアセトアセテート、ジルコニウムテトラブチルアセトアセテートなどの有機ジルコニウム化合物、テトラi-プロポキシ錫、テトラn-プロポキシ錫、テトラn-ブトキシ錫、ジイソプロポキシ錫ビス(メチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシ錫ビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシ錫ビス(プロピルアセトアセテート)、ジイソプロポキシ錫ビス(ブチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシ錫ビス(ヘキシルアセトアセテート)、ジn-プロポキシ錫ビス(メチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシ錫ビス(エチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシ錫ビス(プロピルアセトアセテート)、ジn-プロポキシ錫ビス(ブチルアセトアセテート)、ジn-プロポキシ錫ビス(ヘキシルアセトアセテート)、ジn-ブトキシ錫ビス(メチルアセトアセテート)、ジn-ブトキシ錫ビス(エチルアセトアセテート)、ジn-ブトキシ錫ビス(プロピルアセトアセテート)、ジn-ブトキシ錫ビス(ブチルアセトアセテート)、ジn-ブトキシ錫ビス(ヘキシルアセトアセテート)、1,3-プロパンジオキシ錫ビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシ錫ビス(アセチルアセトネート)、ジn-プロポキシ錫ビス(アセチルアセトネート)、ジn-ブトキシ錫ビス(アセチルアセトネート)、錫テトラアセチルアセトネート、錫テトラエチルアセトアセテート、錫テトラプロピルアセトアセテート、錫テトラブチルアセトアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物などがあげられ、好ましくは、下記2つの一般式

    R:CH

    3 、C

    2 H

    5 、nC

    3 H

    7 、iC

    3 H

    7 、nC

    4 H

    9 、iC

    4 H

    9 、iC

    8 H

    17などの低


    級アルキル基


    R´:CH

    3基またはOR


    M

    1 :Ti、Zr、Sn


    M

    2 :Al


    n:0〜3の整数


    m:0〜2の整数で表される少くとも1個のアルコキシル基または少くとも1個のキレート環およびアルコキシル基を有する有機金属化合物、あるいは少くとも1個のキレート環を有する化合物と金属アルコキシドとの混合物が用いられる。 有機金属化合物の中では、好ましくは有機チタン化合物が用いられ、有機金属化合物は1種または2種以上の混合物としても用いられる。

    シリカ(酸化けい素)としては、SiO 2含有量が85%以上の乾式および湿式シリカを有機溶剤または水中にて分散させたもの、好ましくは高純度の無水シリカの微粒子を有機溶剤または水中にて分散させ、コロイド状としたいわゆるコロイダルシリカが用いられる。 コロイダルシリカとしては、平均粒径が1〜50nm、好ましくは10〜30nmのものであって、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶剤に分散されているものが用いられ、例えば市販品であるメタノールシリカゾル(日産化学工業製品:メタノール中に固形分濃度30重量%で分散したもの)、スノーテックスMEK-ST(同社製品;メチルエチルケトン中に固形分濃度30重量%で分散したもの)、スノーテックスMIBK-ST(同社製品;メチルイソブチルケトン中に固形分濃度30重量%で分散したもの)などが用いられる。

    有機金属化合物とシリカとは、特にガスケット用途には固形分比率で90:10〜60:40の重量比で用いられる。 ここで、有機金属化合物の固形分量は、これを135℃で1時間蒸発乾固させたときの蒸発残分量であり、実際に表面処理したとき、基板上に残る有機金属化合物量の指標となる量である。 また、これら全体の固形分濃度が約0.01〜5重量%になるような有機溶剤溶液として調製される。 シリカが40%よりも多い割合で用いられると、耐熱性の低下が起こり、高温空気加熱後の屈曲試験によって接着剥がれが生ずるようになる。 一方、シリカがこれよりも少ない割合で用いられると、水、LLCなどに対する耐液耐久性が悪化するようになる。 有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノブチルエーテル、モノエチルエーテルアセテートなどの多価アルコールまたはその誘導体が用いられる。

    なお、シランカップリング剤またはそのオリゴマー、有機金属化合物およびシリカからなる表面処理剤を用いた場合には、例えば有機金属化合物に対して等重量のシランカップリング剤オリゴマーの添加により(後記比較例9)、耐水性、耐LLC性の低下が顕著に現れ、本発明の目的を達成することが困難となり、表面処理剤配合物の保存安定性も極端に悪くなる。 このことから、本発明においては、表面処理剤中にシランカップリング剤またはそのオリゴマーを配合することは許容されず、このような先行技術が本出願前に存在していたとしても、それらとは区別されるべきものである。

    以上の各成分を必須成分とする表面処理剤は、アルカリ脱脂処理されたステンレス鋼板上に浸漬、噴霧、はけ刷り、ロールコートなどの方法によって10〜1000mg/m 2 、好ましくは50〜500mg/m 2の片面目付量(皮膜量)で塗布され、室温または温風で乾燥された後、100〜250℃で0.5〜20分間焼付け処理される。

    ステンレス鋼板上に塗布され、乾燥処理を行った表面処理剤層上には、フェノール樹脂含有加硫接着剤が塗布される。 フェノール樹脂含有加硫接着剤としては、ニトリルゴム用の加硫接着剤が用いられ、一般には市販品、例えば東洋化学研究所製品メタロックN31、ロームアンドハース社製品シクソン715、ロードファーイースト社製品TS1677-13、同社製品ケムロック205等を用いることができるが、好ましくはノボラックフェノール樹脂およびレゾールフェノール樹脂が9:1〜1:9の割合で配合されているもの、さらに好ましくはこれらの接着剤に、ニトリルゴム、フッ素ゴム、塩化ゴム等のゴムポリマー成分を含有させたものが用いられる。 この場合には、フェノール樹脂固形分に100重量部に対して、ゴムポリマー成分が0〜50重量部の割合で配合されて用いられる。 ゴムポリマー成分がこれより多い割合で用いられると、下地処理層との接着性が悪化し、耐液耐久性が悪化するようになる。 ゴムポリマーは、単独あるいはゴムコンパウンドとして配合される。

    これらのフェノール樹脂含有加硫接着剤は、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系有機溶剤またはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤を単独または混合溶剤として、その成分濃度が約0.1〜10重量%の有機溶剤溶液として調製され、表面処理剤の場合と同様の塗布方法により50〜2000mg/m 2の片面目付量(皮膜量)で塗布され、室温または温風で乾燥された後、100〜250℃で1〜20分間焼付処理される。

    このようにして形成された加硫接着剤層上には、未加硫のニトリルゴムコンパウンドが約5〜120μm程度の片面厚さの加硫物層を両面に形成せしめるように、ニトリルゴムコンパウンドの有機溶剤溶液として塗布される。 ニトリルゴムとしては、その硬化物の硬度(デュロメーターA)が80以上で、圧縮永久歪(100℃、22時間)が50%以下のものであればよく、特に配合内容によって制限されるものではないが、イオウ、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のイオウ系加硫剤を用いたコンパウンドとして使用することもできるものの、好ましくは有機過酸化物を架橋剤として使用した未加硫ニトリルゴムコンパンドとして用いられる。 かかるパーオキサイド架橋系の未加硫ニトリルゴムコンパウンドとしては、例えば次のような配合例が示される。
    (配合例)
    NBR(JSR製品N235S) 100重量部
    SRFカーボンブラック 80 〃
    炭酸カルシウム 80 〃
    粉末状シリカ 20 〃
    酸化亜鉛 5 〃
    老化防止剤(大内新興化学製品ノクラック224) 2 〃
    トリアリルイソシアヌレート 2 〃
    1,3-ビス(第3ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン 2.5 〃
    可塑剤(バイエル社製品ブカノールOT) 5 〃

    塗布された未加硫ゴム層は、室温乃至約100℃の温度で約1〜15分間程度乾燥し、有機溶剤として用いられたメタノール、エタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類またはこれらの混合溶剤などを揮発させた後、約150〜230℃で約0.5〜30分間加熱加硫し、必要に応じて加圧して加硫することも行われる。 加硫されたニトリルゴム層は、ガスケットとしての用途上、硬度(デュロメーターA)が80以上で、圧縮永久歪(100℃、22時間)が50%以下であることが望ましく、粘着防止が必要な場合には、その表面に粘着防止剤を塗布することもできる。

    粘着防止剤は、ゴム同士やゴムと金属との粘着を防止する目的で使用され、加硫ニトリルゴム層上に皮膜を形成し得るものであれば任意のものを用いることができ、例えばシリコーン系、フッ素系、グラファイト系、アミド、パラフィン等のワックス系、ポリオレフィン系またはポリブタジエン系のもの等が挙げられるが、好ましくは液状の1,2-ポリブタジエン水酸基含有物、1,2-ポリブタジエンイソシアネート基含有物およびポリオレフィン系樹脂の有機溶剤分散液からなる粘着防止剤が用いられる。

    特開平7−165953号公報

    次に、実施例について本発明を説明する。

    実施例1〜19
    SUS301鋼板(厚さ0.2mm)の表面をアルカリ脱脂した後、後記配合成分よりなる表面処理剤1〜19を皮膜量(片面目付量)120mg/m 2となるように塗布し、200℃で1分間の乾燥を行った。

    次に、
    ノボラックフェノール樹脂およびレゾールフェノール樹脂 含有加硫接着剤
    ロームアンドハース社製品シクソン715-A 100重量部
    ロームアンドハース社製品シクソン715-B 3 〃
    ニトリルゴムコンパウンド(前記配合例) 12.5 〃
    トルエン 34 〃
    メチルエチルケトン 2305 〃
    よりなる加硫接着剤Aを塗布し、室温で乾燥させた後、220℃で5分間の焼付処理を行った。

    この接着剤層上に、ニトリルゴムコンパウンド(前記配合例)の25重量%混合有機溶剤溶液(トルエン:メチルエチルケトン=重量比9:1)を塗布し、60℃、15分間乾燥させて片面厚さ20μmの未加硫ゴム層を形成させた後、220℃、60kgf/m 2 (5.88MPa)、2分間の加圧加硫を行って、ニトリルゴム金属積層ガスケット素材を得た。

    有機金属化合物(前記一般式参照;比較例使用物を含む):
    有機金属化合物構造固形分
    記号 M R R′ n m (重量%)
    A Ti iC 3 H 7 - 0 - 40
    B 〃 C 4 H 9 - 0 - 40
    C 〃 C 8 H 17 - 0 - 40
    D 〃 iC 3 H 7 OC 2 H 5 2 - 42.1
    E 〃 〃 CH 3 2 - 62.7
    F Al 〃 OC 2 H 5 - 2 42
    G 〃 C 4 H 9 - - 0 40
    H Zr 〃 - 0 - 40
    I 〃 〃 OC 2 H 5 3 - 42
    J 〃 〃 CH 3 2 - 63
    K Ti - OC 2 H 5 4 - 40
    L 〃 - CH 3 4 - 36.2
    注) ここで固形分とは、有機金属化合物を135℃で1時間蒸発乾固させたときの蒸発残分 を指し、有機金属化合物の固形分は構造によって異なるが、成分全体の約30〜70重 量%程度である

    表面処理剤組成(No.22〜27は比較例である):
    表面処 有機金属 シリカゾル・配合量(重量部)成分比 固形分
    理剤No. 化合物 溶剤 有機金属 シリカ 溶媒 率(%) 比率(%)
    1 A IPA 100 45 5205 88:12 75:25
    2 B 〃 〃 〃 〃 〃 〃
    3 C 〃 〃 〃 〃 〃 〃
    4 D 〃 〃 46 5464 〃 〃
    5 〃 MeOH 〃 〃 〃 〃 〃
    6 〃 IPA 〃 94 10931 〃 〃
    A 105 〃
    7 E MeOH 100 70 8200 59:41 〃
    8 〃 IPA 〃 140 16343 86:14 〃
    A 157 〃
    9 F MeOH 100 40 4680 89:11 〃
    10 G IPA 〃 〃 〃 〃 〃
    11 H 〃 〃 45 5205 88:12 〃
    12 I 〃 〃 〃 〃 〃 〃
    13 J 〃 〃 〃 〃 〃 〃
    14 A 〃 〃 15 4335 96:4 90:10
    15 〃 〃 〃 89 6511 79:21 60:40
    16 D MeOH 〃 16 4564 96:4 90:10
    17 〃 〃 〃 94 6817 78:22 60:40
    18 〃 IPA 〃 31 9713 96:4 90:10
    A 106
    19 D 〃 100 187 16151 79:21 60:40
    A 105
    20 K MeOH 100 46 5464 88:12 75:25
    21 L 〃 〃 44 5176 92:8 〃
    22 A (IPA) 〃 − 3900 100:0 100:0
    23 〃 IPA 〃 7 4103 98:2 95:5
    24 〃 〃 〃 134 7786 71:29 50:50
    25 D (MeOH) 〃 − 4110 88:12 100:0
    26 〃 MeOH 〃 7 4303 98:2 95:5
    27 〃 〃 〃 140 8170 70:30 50:50
    注1) シリカゾル・溶剤欄で、IPAはイソプロパノールシリカゾル(日産化学工業製品)お よびイソプロパノール溶剤が用いられたことを示しており、MeOHはメタノールシリ カゾル(同社製品)およびメタノール溶剤が用いられたことを示している(ただし、
    No.22、25はシリカが用いられていないので、溶剤の種類のみを示している)
    注2) 成分比率とは、表面処理剤中の有機金属化合物とシリカ固形分との重量割合を示 している 注3) 固形分比率とは、表面処理剤中の有機金属化合物固形分とシリカ固形分との重量 割合を示している

    実施例20〜38
    実施例1〜19において、加硫接着剤Aの代りに、その配合成分としてフッ素ゴムポリマー(昭和電工デュポン社製品バイトンE-60C)9.5重量部がさらに追加して用いられ、メチルエチルケトン量が2844重量部に変更された加硫接着剤Bが用いられた。

    実施例39〜40
    実施例20〜38において、表面処理剤として前記No.20〜21のものが用いられた。

    比較例1〜6
    実施例20〜38において、表面処理剤として前記No.22〜27のものが用いられた。

    比較例7
    実施例20〜38において、表面処理剤28として下記配合のものが用いられた。
    ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート) 100重量部 γ-アミノプロピルトリエトキシシラン 50 〃
    メタノール 6350 〃

    比較例8
    実施例20〜38において、表面処理剤29として下記配合のものが用いられた。
    ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート) 100重量部 γ-アミノプロピルトリエトキシシラン 50 〃
    メタノールシリカゾル 80 〃
    メタノール 8670 〃

    参考例 攪拌機、加熱ジャケットおよび滴下ロートを備えた三口フラスコに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン40重量部および水20重量部を仕込み、pHが4〜5になる迄酢酸を加えてpHを調整し、数分間攪拌した。 さらに攪拌を続けながら、ビニルトリエトキシシラン40重量部を滴下ロートを使って徐々に滴下し、滴下終了後約60℃で5時間加熱還流を行い、室温迄冷却してシラン共重合オリゴマーを得た。

    比較例9
    実施例20〜38において、表面処理剤30として下記配合のものが用いられた。
    ジイソプキシチタンビス(エチルアセトアセテート) 100重量部 参考例で得られた共重合オリゴマー 100 〃
    メタノールシリカゾル 80 〃
    メタノール 8120 〃

    比較例10
    実施例20〜38において、表面処理剤31として下記配合のものが用いられた。
    参考例で得られた共重合オリゴマー 100重量部 メタノールシリカゾル 80 〃
    メタノール 4720 〃

    比較例11
    実施例20〜38において、表面処理剤32として下記配合のものが用いられた。
    参考例で得られたシラン共重合オリゴマー 100重量部 メタノール 2400 〃

    以上の各実施例および比較例で得られたガスケット素材について、耐水性試験、耐LLC性試験および耐熱性試験を行った。
    耐水性試験:ガラス製容器内に入れた95℃の1重量%炭酸水素ナトリウム水溶液中に70時間、ゴム-金属積層ガスケット素材とアルミニウム板とを逆V字形で頂部が接するようにクリップなどで押さえながら浸漬し、その際頂部付近は液面より上部に位置するようにし、また接触部分のゴム金属積層板はゴム部分を削り取り、ステンレス鋼板部分がアルミニウム板とが直接接触するようにして浸漬試験を行った後、ゴバン目剥離試験(JIS K5600-5-6塗膜の付着性試験方法=クロスカット法=準拠)を実施した なお、この浸漬試験は、異種金属間の電位差を考慮した浸漬試験であり、本出願人によって提案されているものである(特願2003-282441号)
    耐LLC性試験:ゴム-金属積層ガスケット素材を、50重量%LLC(日本ケミカル工業製品JCC310)水溶液に150℃、100時間浸せき後、ゴバン目剥離試験(JIS K5600-5-6塗膜の付着性試験方法=クロスカット法=準拠)を実施した 耐熱性試験:ゴム-金属積層ガスケット素材を、165℃、100時間空気加熱暴露した後、直径4mmのマンドレルを使用して耐屈曲性試験(JIS K5600-5-1準拠)を実施し、以下の基準に従って評価を行った 評点5:割れ、剥がれなし 〃 4:端面に小さなひび割れあり 〃 3:全体的に小さなひび割れあり 〃 2:全体的にひび割れあり 〃 1:完全に剥がれている

    得られた結果は、次の表に示される。

    表面 加硫
    処理剤 接着剤 耐水性試験 耐LLC性試験 耐熱性試験
    実施例1 1 A 0 0 4
    〃 2 2 〃 3 2 4
    〃 3 3 〃 0 0 4
    〃 4 4 〃 2 0 3
    〃 5 5 〃 0 0 5
    〃 6 6 〃 0 0 4
    〃 7 7 〃 1 0 4
    〃 8 8 〃 0 0 4
    〃 9 9 〃 1 0 5
    〃 10 10 〃 0 0 4
    〃 11 11 〃 0 0 4
    〃 12 12 〃 0 0 4
    〃 13 13 〃 1 0 5
    〃 14 14 〃 1 0 5
    〃 15 15 〃 0 0 3
    〃 16 16 〃 2 0 5
    〃 17 17 〃 0 0 3
    〃 18 18 〃 1 0 5
    〃 19 19 〃 0 0 3
    〃 20 1 B 0 0 5
    〃 21 2 〃 0 0 5
    〃 22 3 〃 0 0 5
    〃 23 4 〃 2 0 4
    〃 24 5 〃 0 0 5
    〃 25 6 〃 0 0 5
    〃 26 7 〃 1 0 5
    〃 27 8 〃 0 0 5
    〃 28 9 〃 0 0 5
    〃 29 10 〃 0 0 5
    〃 30 11 〃 0 0 5
    〃 31 12 〃 2 0 4
    〃 32 13 〃 1 0 5
    〃 33 14 〃 1 0 5
    〃 34 15 〃 0 0 4
    〃 35 16 〃 2 0 5
    〃 36 17 〃 0 0 4
    〃 37 18 〃 1 0 5
    〃 38 19 〃 0 0 4
    〃 39 20 〃 3 1 3
    〃 40 21 〃 3 2 3
    比較例1 22 〃 5 5 4
    〃 2 23 〃 4 1 5
    〃 3 24 〃 3 2 2
    〃 4 25 〃 5 5 2
    〃 5 26 〃 4 1 4
    〃 6 27 〃 3 2 1
    〃 7 28 〃 5 5 5
    〃 8 29 〃 5 5 5
    〃 9 30 〃 4 5 4
    〃 10 31 〃 5 5 5
    〃 11 32 〃 5 5 4

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