効率向上型エネルギー回収型換気コア

申请号 JP2015521681 申请日 2013-07-08 公开(公告)号 JP6106272B2 公开(公告)日 2017-03-29
申请人 クレイトン・ポリマーズ・ユー・エス・エル・エル・シー; 发明人 タン,クイティエン;
摘要
权利要求

内部を通過する空気流間での熱と湿気の交換を許容するコアユニットを有するエネルギー回収システムであって、前記コアユニットは2つ以上の多層複合構造体を含んでおり、前記多層複合構造体は、 第1の表面から第2の表面に通じる複数の穴を有する多孔質で剛性または半剛性のフレーム、および 前記フレームの前記第1および第2の表面上の少なくとも一方に接合されて前記複数の穴を覆っているスルホン化ブロックコポリマーを含む第1のポリマー膜、 表面上に形成されたチャネルを有する複数の波形スペーサープレートであって、前記チャネルは頂部と底部を有する波形スペーサープレート、ならびに 前記チャネルの頂部と底部を含む前記波形スペーサープレートの表面に接合したスルホン化ブロックコポリマーを含む第2のポリマー膜、 を備えており、 該スルホン化ブロックコポリマーは少なくとも1つの末端ブロックAと少なくとも1つの内部ブロックBを有しており、ここで、各Aブロックには本質的にスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基が含まれておらず、各Bブロックは、モノマー単位の数に対して約10から約100モルパーセントのスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基を含むポリマーブロックであり、 前記複数の多層複合構造体の各々が前記複数の波形スペーサープレートの各面上に固定されており、 第2のポリマー膜と該第2のポリマー膜に固定された前記複数の多層複合構造体の間の該チャネルに空間が存在する、 エネルギー回収システム。第1の表面から第2の表面に通じる複数の穴を有する多孔質で剛性または半剛性のフレームであって、表面上に形成されたチャネルを有する形状に形成されたフレーム、ここで、該チャネルは頂部と底部を有するものであり、および 前記フレームの前記第1および第2の表面上の少なくとも一方に接合されて前記複数の穴を覆っているスルホン化ブロックコポリマーを含む第1のポリマー膜、 表面上に形成されたチャネルを有する複数の波形スペーサープレートであって、前記チャネルは頂部と底部を有する波形スペーサープレート、ならびに 前記チャネルの頂部と底部を含む前記波形スペーサープレートの表面に接合したスルホン化ブロックコポリマーを含む第2のポリマー膜 を備えており、 前記スルホン化ブロックコポリマーは少なくとも1つの末端ブロックAと少なくとも1つの内部ブロックBを有しており、ここで、各Aブロックには本質的にスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基が含まれておらず、各Bブロックは、モノマー単位の数に対して約10から約100モルパーセントのスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基を含むポリマーブロックである、潜熱および顕熱の交換のための多層複合構造体。内部を通過する空気流間での熱と湿気の交換を許容するコアユニットを有するエネルギー回収システムであって、 表面内にチャネルが形成された波形スペーサープレートであって、前記チャネルは頂部と底部を有する波形スペーサープレート、 前記チャネルの頂部に接合されて前記膜と前記チャネルの底部との間に空気の流れのための空間を形成しているスルホン化ブロックコポリマーを含む実質的に平面状の膜、ならびに 該頂部と底部を含む前記波形スペーサープレートのチャネルの表面に接合したスルホン化ブロックコポリマーを含む第2のポリマー膜であって、第2のポリマー膜と前記実質的に平面状のフィルムとの間に空気の流れのための空間が形成されている第2のポリマー膜、 を備えており、 前記スルホン化ブロックコポリマーは少なくとも1つの末端ブロックAと少なくとも1つの内部ブロックBを有しており、ここで、各Aブロックには本質的にスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基が含まれておらず、各Bブロックは、モノマー単位の数に対して約10から約100モルパーセントのスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基を含むポリマーブロックである、 エネルギー回収システム。スペーサープレートを熱回収型換気装置のコアから取り出すこと、 多層構造体を挿入すること を含む、熱回収型換気システムをエネルギー回収システムに変換するための方法であって、前記多層構造体が、 第1の表面から第2の表面に通じ、成形した複数の穴を有する多孔質で剛性または半剛性のフレーム、および 前記フレームの前記第1および第2の表面上の少なくとも一方に接合されて前記複数の穴を覆っているスルホン化ブロックコポリマーを含む第1のポリマー膜、 表面上に形成されたチャネルを有する複数の波形スペーサープレートであって、前記チャネルは内部の空気の流れを許容するための頂部と底部を有する波形スペーサープレート、ならびに 前記チャネルの頂部と底部を含む前記波形スペーサープレートの表面に接合したスルホン化ブロックコポリマーを含む第2のポリマー膜 を備えたものであり、 該スルホン化ブロックコポリマーは少なくとも1つの末端ブロックAと少なくとも1つの内部ブロックBを有しており、ここで、各Aブロックには本質的にスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基が含まれておらず、各Bブロックは、モノマー単位の数に対して約10から約100モルパーセントのスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基を含むポリマーブロックであり、 前記複数の多層複合構造体の各々が前記複数の波形スペーサープレートの各面上に固定されており、 第2のポリマー膜と該第2のポリマー膜に固定された前記複数の多層複合構造体の間の該チャネルに空間が存在する、 方法。

说明书全文

本開示は、エネルギー回収型換気コアユニットにおける使用のための剛性または半剛性のフレームに関する。特に、本開示は、スルホン化ブロックコポリマー製の湿気透過性膜が接合されたフレームを、空気流と該膜とのより多くの直接接触がもたらされるように適用することに関する。スルホン化ブロックコポリマーは、スルホン酸官能部またはスルホネート官能部がほとんど、または全く含まれていない少なくとも2つのポリマー末端ブロックと、有効量のスルホン酸官能部またはスルホネート官能部を含む少なくとも1つのポリマー内部ブロックとを有する。フレームは、空気などのガスの通過を許容し、これにより湿気透過性膜とのさらなる直接接触をもたらす多孔質のシートであり得る。さらに、本開示は、かかるフレームが使用されたコアを有する効率向上型エネルギー回収型換気ユニットに関する。

建物および種々の住宅の温度調節に冷暖房システムが使用されていることはよく知られている。かかるシステム内では、新鮮な空気が建物または家の外から導入されるとともに、屋内の新鮮でない空気が屋外に排出される。一般的に、かかる冷暖房システムでは大量のエネルギーが消費される。このエネルギー消費のコストを節約するための方法の1つは、空気流が該構造体を出入りする際に該空気流間で熱と湿気を一部交換することによるものである。

従って、空気流の熱と湿分を交換するためのかかるシステムは、エネルギー回収型換気(ERV)システムとして知られるようになってきている。ERVは、内部の排出空気の屋外の新鮮な空気との顕熱および潜熱の交換を伴う。かかる交換の原理は、排出空気の流れと吸入空気の流れが異なる蒸気圧を有し、さらに温度が異なるということである。例えば、夏の吸入空気の流れが温かくて多湿である場合では、顕熱と潜熱の両方が冷たい低湿分の排出空気と交換されることによりエネルギーが回収される。または、冬の屋外の空気が冷たくて乾燥している場合では、乾燥しており、冷たい空気が、より温かくてより多湿の排出空気と交換されることによりエネルギーが回収される。

ERVシステムは、通常、暖房および/または冷房システムと併せて使用され、ERVコアユニットを有する装置で構成される。コアユニットは、一般的に、ある種の型のスペーサーによって隔てられた種々の積層メンブレンで構成される。吸入空気流と排出空気流は、積層プレート上の各面で相互混合することなく、一般的には交互の交差流パターンでコアユニットに輸送され、互いのそばを通るようになっている。薄層により熱がかなり容易に移動し得るため、一般的には顕熱交換の方が簡単に行われる。他方、潜熱の移動は、空気流間での湿気の変化によって行われ、より有効な熱交換がもたらされる。熱回収型換気(HRV)は、吸入空気流と排出空気流の両者間に湿気交換がないため顕熱交換がもたらされるシステムをいう。しかしながら、ERVシステムには両空気流間での湿気の移動を可能にするメンブレンが設けられており、従って、顕熱と潜熱の両方の交換特性を利用するものである。

ERVシステムの一例がUS特許公開公報番号2012/0073791に開示されている。これには、繊維状の微多孔質支持基材、およびこの上面にラミネート加工されたスルホン化ブロックコポリマーが使用されたエネルギー回収システムのコアが開示されている。このスルホン化ブロックコポリマーは、空気は通さないが効率的な水蒸気輸送は許容し、従って、非常に好都合な熱交換特性が得られる。微多孔質支持体は、空気の通過を許容するとともに、スルホン化ブロックコポリマーに対する機械的支持ももたらす。ERVコアの形成においてメンブレンの積層および空気流の分離が可能となるようにスペーサーが使用される。

本明細書において本発明者が認定しているように、必要とされていることは、吸入流と排出流間でのより効率的な水分移動のための空気流と湿気透過性メンブレンとのより多くの接触のための方法である。

米国特許出願公開第2012/0073791号明細書

一部の実施形態では、本明細書において、内部を通過する空気流間での熱と湿気の交換を許容するコアユニットを有するエネルギー回収システムであって、該コアユニットは2つ以上の多層複合構造体を有しており、前記多層複合構造体は、 第1の表面から第2の表面に通じる複数の穴を有する多孔質で剛性または半剛性のフレーム、および 前記フレームの前記第1および第2の表面上の少なくとも一方に接合されて前記複数の穴を覆っているスルホン化ブロックコポリマーを含むポリマー膜 で構成されており、 該スルホン化ブロックコポリマーは少なくとも1つの末端ブロックAと少なくとも1つの内部ブロックBを有しており、ここで、各Aブロックには本質的にスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基が含まれておらず、各Bブロックは、モノマー単位の数に対して約10から約100モルパーセントのスルホン酸官能基またはスルホン酸エステル官能基を含むポリマーブロックである エネルギー回収システムを開示する。

さらなる実施形態では、該膜が、多孔質の編織材または不織材を含む多孔質基材上に接合され、その後、前記フレームの前記第1および第2の表面上の少なくとも一方に接合されて多層構造体が形成される。

さらなる実施形態では、フレームが平面状のシートであり得るか、または表面内にチャネルが形成された連続形状に熱、機械により、もしくは化学的に形成されたものであり得、前記チャネルは頂部と底部を有する。フレームがチャネルを有する形状(例えば、波形)に形成されるかかる実施形態では、かかるフレームは、HRVシステムをERVシステムに変換するために使用され得る。これは、プレートまたはスペーサーをHRVシステムから取り出し、成形した(即ち、剛性で波形の)該フレームを有する多層構造体を内蔵させることにより行われ得る。

さらに、フレームは、穿孔または焼結によって内部に細孔が形成されたものであり得る。

フレームまたは多層構造体が平面状のシートである実施形態では、これ自体が多孔質であり、また、上面にスルホン化ブロックコポリマーがラミネート加工されたスペーサーが使用され得る。

図1a、1b、および1cは、3種類の異なる押出し加工されたポリマー製網型フレームを示す。

図2a、2b、2cは、3種類の異なる穿孔アルミニウムプレートを示す。

不織セルロース系基材を示す。

焼結多孔質基材を示す。

ERVコアユニットの斜視図を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

ERVコア内の層の構成の一実施形態を示す。

隣接しているクリンピングフレーム層を示す。

隣接しているクリンピングフレーム層を示す。

エネルギー交換に関する実験結果を示す。

本発明の実施形態の詳細な説明を本明細書に開示している。しかしながら、開示した実施形態は例示にすぎないこと、および本発明は開示した実施形態の種々の択一的な形態に具体化され得ることは理解されよう。従って、本明細書に開示した実施形態で取り上げた構造および機能の具体的な詳細は、限定としてではなく、単に特許請求の範囲の根拠として、および当業者が本発明を種々に使用するための教示の代表的な根拠として解釈されるべきである。

本明細書に挙げた刊行物、特許出願および特許はすべて、参照によりこの全体が組み込まれる。矛盾する場合は本明細書(定義など)に支配されることを意図する。

特に記載のない限り、本明細書で用いる専門用語はすべて、当業者に一般的に理解されている意味を有する。

さらに、特に記載のない限り、以下の表現は、本明細書で用いる場合、以下の意味を有すると理解されたい。

特に記載のない限り、表現「コートされた」または「コーティング」とは、基材または他の物質への溶液または液状形態のポリマーの適用または接合を意味し、この場合、該ポリマーは、基材表面上に存在しているか、または基材構造内に包埋されているかのいずれかである。

「コートされた」とは対照的に、特に記載のない限り、表現「ラミネート加工」とは、基材または他の物質へのキャストポリマーメンブレンまたはポリマー膜の適用または接合を意味する。

用語「接合された」または「接合する」は、コーティングまたはラミネート加工または他の手段のいずれかによる基材または他の物質へのポリマーの付着であって、ポリマーメンブレンと基材または他の物質間に接合が形成される付着を包含する。

当業者には、本明細書に「開示している」膜という用語はまた、湿気透過性であるが空気不透過性であるメンブレンにも言及している場合があり得ることが理解されよう。

本明細書において、吸入空気流の流れと排出空気流の流れ間での顕熱および潜熱の交換のための効率向上型ERVシステムを開示する(以下、本明細書において、「空気流」は、吸入流と排出流の両方をいう。)。ERVシステムには、湿気透過性だが空気は非浸透性の膜が剛性または半剛性のフレームとともに使用され、これにより、ERVコア内での空気流のより多くの接触が可能になる。フレームは、波形形態などの形状に形成され得る。多孔質であり得る。湿気透過性膜は、フレームならびに支持基材に接合され得る。

さらなる実施形態では、該膜は剛性または半剛性のフレームに接合されて多層構造体が形成され得、該多層構造体が種々の形状、例えば波形パターンに形成され得る。また、かかる実施形態には、HRVユニットをERVユニットに変換することも包含され得る。かかる場合では、HRVの湿気不透過性のスペーサーまたはフレームが取り出され、多層の湿気透過性だが空気は非浸透性の多層構造体、択一的には、本明細書に開示した多孔質で剛性または半剛性のフレームが内蔵され、ERVコアが形成され得る。

種々の実施形態において、本明細書に開示したERVコアは、幾つかの構成要素、例えば、(1)スルホン化ブロックコポリマー膜、(2)剛性または半剛性のフレーム、(3)メンブレン基材、(4)スペーサーを含むものであり得る。

エネルギー回収型換気構成要素 スルホン化ブロックコポリマー膜 本明細書に開示したERVユニットにおける使用のためのポリマー膜は、スルホン化ブロックコポリマーで構成されたもの、またはスルホン化ブロックコポリマーを含むものである。一部の実施形態において、本開示の組成物としては、Willisらに対するUS7,737,224に記載されたスルホン化ブロックコポリマーが挙げられる。さらに、US7,737,224に記載のものなどのスルホン化ブロックコポリマーは、Dadoらに対するWO2008/089332の方法またはHandlinらに対するUS8,012,539の方法に従って調製され得る。

1.スルホン化ブロックコポリマー スルホン化ブロックコポリマーを調製するために必要なブロックコポリマーは、幾つかの異なる方法、例えば、アニオン重合、減速型アニオン重合、カチオン重合、チーグラー・ナッタ重合、およびリビング連鎖または安定フリーラジカル重合によって作製され得る。アニオン重合は、以下により詳細に記載しており、参照文献にも記載されている。スチレン系ブロックコポリマーを作製するための減速型アニオン重合法は、例えば、US6,391,981、US6,455,651およびUS6,492,469(これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されている。ブロックコポリマーを調製するためのカチオン重合法は、例えば、US6,515,083およびUS4,946,899(これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されている。

ブロックコポリマーを作製するために使用され得るリビングチーグラー・ナッタ重合法は、最近、G.W.Coates,P.D.Hustad、およびS.ReinartzによりAngew.Chem.Int.Ed.,41,2236−2257(2002)に総説が示され、H.ZhangおよびK.Nomuraによるその後の刊行物(J.Am.Chem.Soc.,Comm.,2005)には、スチレン系ブロックコポリマーを作製するためのリビングチーグラー・ナッタ手法が具体的に記載されている。ニトロオキシド媒介性リビングラジカル重合化学反応の分野における広範な研究により総説が示されている。C.J.Hawker,A.W.Bosman,and E.Harth,Chem.Rev.,101(12),3661−3688(2001)参照。この総説に概略が示されているように、スチレン系ブロックコポリマーは、リビングまたは安定フリーラジカル手法によって合成され得る。ニトロオキシド媒介性重合方法は、前駆体ポリマーを調製する場合に好ましいリビング連鎖または安定フリーラジカル重合法である。

2.ポリマー構造 本開示の一態様はスルホン化ブロックコポリマーのポリマー構造に関する。一実施形態では、中和型ブロックコポリマーは少なくとも2つのポリマー末端または外側ブロックAと少なくとも1つの飽和型ポリマー内部ブロックBを有しており、ここで、各Aブロックはスルホン化に対して抵抗性のポリマーブロックであり、各Bブロックはスルホン化され易いポリマーブロックである。

好ましいブロックコポリマー構造は、一般構成A−B−A、(A−B)n(A)、(A−B−A)n、(A−B−A)nX、(A−B)nX、A−B−D−B−A、A−D−B−D−A、(A−D−B)n(A)、(A−B−D)n(A)、(A−B−D)nX、(A−D−B)nXまたはこの混合物を有するものであり、ここで、nは2から約30の整数であり、Xはカップリング剤の残基であり、A、BおよびDは、本明細書において以下に規定するものである。

最も好ましい構造体は、線状構造体、例えば、A−B−A、(A−B)2X、A−B−D−B−A、(A−B−D)2X、A−D−B−D−A、および(A−D−B)2Xならびに放射状構造体、例えば、(A−B)nXおよび(A−D−B)nX(ここで、nは3から6である。)である。かかるブロックコポリマーは、典型的にはアニオン重合、安定フリーラジカル重合、カチオン重合またはチーグラー・ナッタ重合によって作製される。好ましくは、該ブロックコポリマーはアニオン重合によって作製されるものである。当業者には、任意の重合において、ポリマー混合物に線状および/または放射状ポリマー(いずれか)に加えて一定量のA−Bジブロックコポリマーが含まれていることは理解されよう。それぞれの量が有害であることは見つかっていない。

Aブロックは、重合型の(i)パラ−置換スチレンモノマー、(ii)エチレン、(iii)3から18個の炭素原子のαオレフィン、(iv)1,3−シクロジエンモノマー、(v)水素化前に35モルパーセント未満のビニル含有量を有する共役ジエンのモノマー、(vi)アクリル酸エステル、(vii)メタクリル酸エステル、および(viii)この混合物から選択される1つ以上のセグメントである。Aセグメントが1,3−シクロジエンまたは共役ジエンのポリマーである場合、該セグメントは、ブロックコポリマーの重合後、ブロックコポリマーのスルホン化の前に水素化される。

パラ−置換スチレンモノマーは、パラ−メチルスチレン、パラ−エチルスチレン、パラ−n−プロピルスチレン、パラ−イソ−プロピルスチレン、パラ−n−ブチルスチレン、パラ−sec−ブチルスチレン、パラ−イソ−ブチルスチレン、パラ−t−ブチルスチレン、パラ−デシルスチレン異性体、パラ−ドデシルスチレン異性体ならびに上記のモノマーの混合物から選択される。好ましいパラ−置換スチレンモノマーはパラ−t−ブチルスチレンおよびパラ−メチルスチレンであり、パラ−t−ブチルスチレンが最も好ましい。モノマーは、具体的な供給源にもよるが、モノマー混合物であってもよい。パラ−置換スチレンモノマーの全純度は、所望のパラ−置換スチレンモノマーの少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、さらにより好ましくは少なくとも98重量%であることが望ましい。

Aブロックがエチレンのポリマーセグメントである場合、これは、上記のG.W.Coates et alによる参考文献の総論(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に教示されているように、エチレンをチーグラー・ナッタ法によって重合させるのに有用であり得る。エチレンブロックは、US3,450,795(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に教示されているようなアニオン重合手法を用いて作製することが好ましい。かかるエチレンブロックのブロック分子量は、典型的には約1,000から約60,000である。

Aブロックが3から18個の炭素原子のαオレフィンのポリマーである場合、かかるポリマーは、G.W.Coatesらによる参考文献の上記の総論に教示されているようなチーグラー・ナッタ法によって調製され、好ましくは、α−オレフィンはプロピレン、ブチレン、ヘキサンまたはオクタンであり、プロピレンが最も好ましい。かかる各α−オレフィンブロックのブロック分子量は、典型的には約1,000から約60,000である。

Aブロックが1,3−シクロジエンモノマーの水素化ポリマーである場合、かかるモノマーは、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエンおよび1,3−シクロオクタジエンからなる群より選択される。好ましくは、シクロジエンモノマーは1,3−シクロヘキサジエンである。かかるシクロジエンモノマーの重合はUS6,699,941(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されている。シクロジエンモノマーを使用する場合、水素化されていない重合型シクロジエンブロックはスルホン化され易いため、Aブロックを水素化することが必要である。従って、1,3−シクロジエンモノマーを用いたAブロックの合成後、該ブロックコポリマーは水素化される。

Aブロックが水素化前に35モルパーセント未満のビニル含有量を有する非環式共役ジエンの水素化ポリマーである場合、該共役ジエンは1,3−ブタジエンであることが好ましい。水素化前のポリマーのビニル含有量は35モルパーセント未満、好ましくは30モルパーセント未満であることが必要である。一部の特定の実施形態では、水素化前のポリマーのビニル含有量は25モルパーセント未満、さらにより好ましくは20モルパーセント未満、さらには15モルパーセント未満であり、水素化前のポリマーのより好都合なビニル含有量の一例は10モルパーセント未満である。このように、Aブロックは、ポリエチレンと同様の結晶性構造を有する。かかるAブロックの構造は、US3,670,054およびUS4,107,236(これらの開示内容は各々、参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されている。

また、Aブロックは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのポリマーセグメントであってもよい。かかるポリマーブロックは、US6,767,976(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に開示された方法に従って作製され得る。メタクリル酸エステルの具体例としては、第1級アルコールとメタクリル酸のエステル、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリフルオロメチルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、第2級アルコールとメタクリル酸のエステル、例えば、イソプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよびイソボルニルメタクリレート、ならびに第3級アルコールとメタクリル酸のエステル、例えば、tert−ブチルメタクリレートが挙げられる。アクリル酸エステルの具体例としては、第1級アルコールとアクリル酸のエステル、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、第2級アルコールとアクリル酸のエステル、例えば、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびイソボルニルアクリレート、ならびに第3級アルコールとアクリル酸のエステル、例えば、tert−ブチルアクリレートが挙げられる。必要な場合は、原料(1種類または複数種)として、1種類以上の他のアニオン重合性モノマーを該(メタ)アクリル酸エステルと一緒に使用してもよい。場合により使用され得るアニオン重合性モノマーの例としては、メタクリル系またはアクリル系モノマー、例えば、トリメチルシリルメタクリレート、N−,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジイソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−メチルエチルメタクリルアミド、N,N−ジ−tert−ブチルメタクリルアミド、トリメチルシリルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジ−イソプロピルアクリルアミド、N,N−メチルエチルアクリルアミドおよびN,N−ジ−tert−ブチルアクリルアミドが挙げられる。さらに、分子内に2つ以上のメタクリル系またはアクリル系構造、例えば、メタクリル酸エステル構造またはアクリル酸エステル構造(例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレート)を有する多官能性アニオン重合性モノマーを使用してもよい。

アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのポリマーブロックを作製するために使用される重合法において、1種類のモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸エステル)だけ使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。2種類以上のモノマーを組み合わせて使用する場合、ランダム、ブロック、テーパードブロックなどの共重合形態から選択される任意の共重合形態が、条件、例えば、モノマーの組合せおよび重合系にモノマーを添加するタイミング(例えば、2種類以上のモノマーの同時添加、または所与の時間間隔での別々の添加)を選択することにより行なわれ得る。

また、Aブロックは、15モルパーセントまでの芳香族ビニルモノマー、例えば、以下により詳細に取り上げるBブロックに存在するものを含むものであってもよい。一部の実施形態では、Aブロックは、Bブロックについて記載する芳香族ビニルモノマーを10モルパーセントまで含むものであり得、好ましくは、5モルパーセントまでしか、特に好ましくは2モルパーセントまでしか含まないものである。しかしながら、最も好ましい実施形態では、Aブロックには、Bブロックに存在するビニルモノマーが含まれていない。Aブロックのスルホン化レベルは、Aブロック内の全モノマーの0から15モルパーセントまでであり得る。当業者には、好適な範囲に、具体的な組合せおよび範囲が本明細書に列挙されていない場合であっても、明示したモルパーセントの任意の組合せが包含されていることが理解されよう。

Bブロックは、各場合において、非置換スチレンモノマー、オルト−置換スチレンモノマー、メタ−置換スチレンモノマー、α−メチルスチレンモノマー、1,1−ジフェニルエチレンモノマー、1,2−ジフェニルエチレンモノマー、およびこの混合物から選択される1種類以上の重合型芳香族ビニルモノマーのセグメントを含むものである。また、上記のモノマーおよびポリマーに加え、Bブロックは、かかるモノマー(1種類または複数種)と、1,3−ブタジエン、イソプレンおよびこの混合物から選択される20から80モルパーセントのビニル含有量を有する共役ジエンとの一部または完全に水素化されたコポリマーを含むものであってもよい。一部または完全に水素化されたジエンを有するこのようなコポリマーは、ランダムコポリマー、テーパードコポリマー、ブロックコポリマーまたは分布制御型コポリマーであり得る。好ましい一実施形態では、Bブロックは、選択的に一部または完全に水素化されており、共役ジエンとこの段落に記載の芳香族ビニルモノマーのコポリマーを含むものである。別の好ましい実施形態では、Bブロックは非置換スチレンモノマーブロックであり、これは該モノマーの性質のおかげで飽和型であり、水素化するさらなる処理工程が必要とされない。分布制御型構造を有するBブロックはUS7,169,848(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されている。また、US7,169,848にはスルホン化ブロックコポリマーの調製も開示されている。スチレンブロックを含むBブロックは本明細書に記載している。好ましい一実施形態では、Bブロックは、非置換スチレンで構成されたものであり、別途の水素化工程が必要とされない。

本開示の別の態様では、該ブロックコポリマーは、20℃より下のガラス転移温度を有する少なくとも1つの耐衝撃性改良剤ブロックDを含むものである。一実施形態では、耐衝撃性改良剤ブロックDは、イソプレン、1,3−ブタジエンおよびこの混合物から選択される共役ジエンの水素化ポリマーまたはコポリマーを含むものであり、該ポリマーブロックのブタジエン部分は20から80モルパーセントの水素化前ビニル含有量を有し、該ポリマーブロックは1,000から50,000の数平均分子量を有する。別の実施形態では、耐衝撃性改良剤ブロックDは、1,000から50,000の数平均分子量を有するアクリレートポリマーまたはシリコーンポリマーを含むものである。さらに別の実施形態では、耐衝撃性改良剤ブロックDブロックは、1,000から50,000の数平均分子量を有するイソブチレンのポリマーブロックである。

各Aブロックは独立して、約1,000から約60,000の数平均分子量を有し、各Bブロックは独立して、約10,000から約300,000の数平均分子量を有する。好ましくは、各Aブロックは、2,000から50,000、より好ましくは3,000から40,000、さらにより好ましくは3,000から30,000の数平均分子量を有する。好ましくは、各Bブロックは、15,000から250,000、より好ましくは20,000から200,000、さらにより好ましくは30,000から100,000の数平均分子量を有する。当業者には、好適な範囲に、具体的な組合せおよび範囲が本明細書に列挙されていない場合であっても、明示した数平均分子量の任意の組合せが包含されていることが理解されよう。このような分子量は、光散乱測定によって最も正確に測定され、数平均分子量として表示される。好ましくは、該スルホン化ポリマーは、約8モルパーセントから約80モルパーセント、好ましくは約10から約60モルパーセントのAブロック、より好ましくは15モルパーセントより多くのAブロック、さらにより好ましくは約20から約50モルパーセントのAブロックを有する。

スルホン化ブロックコポリマー内の非置換スチレンモノマー、オルト−置換スチレンモノマー、メタ−置換スチレンモノマー、α−メチルスチレンモノマー、1,1−ジフェニルエチレンモノマーおよび1,2−ジフェニルエチレンモノマーである芳香族ビニルモノマーの相対量は約5から約90モルパーセント、好ましくは約5から約85モルパーセントである。択一的な実施形態では、該量は約10から約80モルパーセント、好ましくは約10から約75モルパーセント、より好ましくは約15から約75モルパーセントであり、最も好ましいのは約25から約70モルパーセントである。当業者には、好適な範囲に、具体的な組合せが本明細書に列挙されていない場合であっても、明示したモルパーセントの任意の組合せが包含されていることが理解されよう。

好ましい一実施形態では、各Bブロック内の非置換スチレンモノマー、オルト−置換スチレンモノマー、メタ−置換スチレンモノマー、α−メチルスチレンモノマー、1,1−ジフェニルエチレンモノマーおよび1,2−ジフェニルエチレンモノマーである芳香族ビニルモノマーのモルパーセントは約10から約100モルパーセント、好ましくは約25から約100モルパーセント、より好ましくは約50から約100モルパーセント、さらにより好ましくは約75から約100モルパーセント、最も好ましくは100モルパーセントである。当業者には、好適な範囲に、具体的な組合せおよび範囲が本明細書に列挙されていない場合であっても、明示したモルパーセントの任意の組合せが包含されていることが理解されよう。

典型的なスルホン化レベルは、各Bブロックが1つ以上のスルホン酸官能基を含むようなものである。好ましいスルホン化レベルは、各Bブロック内の非置換スチレンモノマー、オルト−置換スチレンモノマー、メタ−置換スチレンモノマー、α−メチルスチレンモノマー、1,1−ジフェニルエチレンモノマーおよび1,2−ジフェニルエチレンモノマーである芳香族ビニルモノマーのモルパーセントに対して10から100モルパーセント、より好ましくは約20から95モルパーセント、さらにより好ましくは約30から90モルパーセントである。当業者には、スルホン化の好適な範囲に、具体的な組合せおよび範囲が本明細書に列挙されていない場合であっても、明示したモルパーセントの任意の組合せが包含されていることが理解されよう。スルホン化レベルは、アルコールと水の混合溶媒中にNaOHを含む標準液を用いた乾燥ポリマー試料(該試料は、テトラヒドロフラン中に再溶解させておく。)の滴定によって測定される。

3.ポリマーを調製するための全般的なアニオン法 アニオン重合法は、適当なモノマーを溶液中で、リチウム開始剤を用いて重合させることを含むものである。重合媒体として使用される溶媒は、形成中のポリマーのリビングアニオン鎖末端と反応せず、市販の重合ユニットでの取り扱いが容易であり、生成物ポリマーに適切な溶解度特性をもたらす任意の炭化水素であり得る。例えば、無極性の脂肪族炭化水素(これは、一般的に、イオン化性の水素原子がないものである。)が特に好適な溶媒となる。多くの場合で使用されるのは、環状アルカン、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタン(これらはすべて比較的無極性である。)である。他の好適な溶媒は当業者に知られており、所与の組の処理条件において有効に行われるように選択され得、重合温度は考慮される主要な要素の1つである。

本開示のブロックコポリマーを調製するための出発物質としては、上記の初期モノマーが挙げられる。アニオン共重合のための他の重要な出発物質としては、1種類以上の重合開始剤が挙げられる。本開示において、好適な開始剤としては、例えば、アルキルリチウム化合物、例えば、s−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、アミルリチウムなど、および他の有機リチウム化合物、例えば、ジ−型開始剤、例えば、m−ジイソプロペニルベンゼンのジ−sec−ブチルリチウム付加物が挙げられる。他のかかるジ−型開始剤はUS6,492,469(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されている。種々の重合開始剤のうち、s−ブチルリチウムが好ましい。開始剤は、重合混合物(モノマーおよび溶媒を含む。)中に、所望のポリマー鎖あたり1分子の開始剤の基準で計算される量で使用され得る。リチウム開始剤による方法はよく知られており、例えば、US4,039,593および米国再発行特許第27,145号(各々の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に記載されている。

本開示のブロックコポリマーを調製するための重合条件は、典型的には、アニオン重合全般に使用されるものと同様である。重合は、好ましくは約−30℃から約150℃、より好ましくは約10℃から約100℃、最も好ましくは、産業上の制限に鑑みて約30℃から約90℃の温度で行われる。重合は不活性雰囲気中、好ましくは窒素下で行われ、また、約0.5から約10バールの範囲内の圧下で行ってもよい。この共重合に必要とされるのは一般的に約12時間未満であり、温度、モノマー成分の濃度および所望されるポリマーの分子量にもよるが、約5分間から約5時間で行われ得る。2種類以上のモノマーを組み合わせて使用する場合、ランダム、ブロック、テーパードブロック、分布制御型ブロックなどの共重合形態から選択される任意の共重合形態が使用され得る。

当業者には、アニオン重合法がルイス酸、例えば、アルキルアルミニウム、アルキルマグネシウム、アルキル亜鉛またはこの組合せの添加によって減速され得ることが理解されよう。該重合法に対するルイス酸の添加の効果は、 1)リビングポリマー溶液の粘度が下がり、高ポリマー濃度で操作される方法が可能になり、従って、使用する溶媒が少なくなること、 2)リビングポリマー鎖末端の熱安定性が向上し、これにより高温での重合が可能になり、この場合もポリマー溶液の粘度が下がり、溶媒の使用を少なくすることが可能なこと、および 3)反応速度が遅くなり、これにより、標準的なアニオン重合法で使用されていた反応熱除去のための同じ技術を使用しつつ、より高温での重合が可能になること である。

アニオン重合手法を減速させるためのルイス酸の使用の方法処理上の有益性はUS6,391,981、US6,455,651およびUS6,492,469(各々の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されている。関連情報はUS6,444,767およびUS6,686,423(各々の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されている。かかる減速型アニオン重合法によって作製され得るポリマーは、慣用的なアニオン重合法を用いて調製されるものと同じ構造を有するものであり得、このため、この方法は本開示のポリマーの作製に有用であり得る。ルイス酸による減速型アニオン重合法では100℃から150℃の反応温度が好ましく、これは、この温度では非常に高いポリマー濃度での反応の実施を利用することが可能なためである。化学量論的過剰のルイス酸を使用してもよいが、ほとんどの場合、方法処理の改善において、過剰のルイス酸の追加コストを納得するのに充分な有益性はみられない。減速型アニオン重合手法を用いた方法のパフォーマンスにおける改善を得るためには、リビングアニオン鎖末端1モルあたり約0.1から約1モルのルイス酸を使用することが好ましい。

放射状(分枝状)ポリマーの調製には、「カップリング」と称される重合後工程が必要とされる。上記の放射状の形式では、nは、3から約30、好ましくは約3から約15、より好ましくは3から6の整数であり、Xはカップリング剤の残余部または残基である。さまざまなカップリング剤が当該技術分野で知られており、該ブロックコポリマーの調製に使用され得る。このようなものとしては、例えば、ジハロアルカン、ハロゲン化ケイ素、シロキサン、多官能性エポキシド、シリカ化合物、一価アルコールとカルボン酸とのエステル(例えば、メチルベンゾエートおよびジメチルアジペート)ならびにエポキシ化油が挙げられる。星型形状のポリマーは、例えば、US3,985,830、US4,391,949およびUS4,444,953、ならびにCA716,645(各々の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されているようなポリアルケニルカップリング剤を用いて調製される。好適なポリアルケニルカップリング剤としてはジビニルベンゼン、好ましくはm−ジビニルベンゼンが挙げられる。好ましいのは、テトラ−アルコキシシラン、例えば、テトラ−メトキシシラン(TMOS)およびテトラ−エトキシシラン(TEOS)、トリ−アルコキシシラン、例えば、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、脂肪族ジエステル、例えば、ジメチルアジペートおよびジエチルアジペート、ならびにジグリシジル芳香族エポキシ化合物、例えば、ビス−フェノールAとエピクロロヒドリンの反応により誘導されるジグリシジルエーテルである。

また、線状ポリマーも重合後「カップリング」工程によって調製され得る。しかしながら、放射状ポリマーとは異なり、上記の式中の「n」は整数2であり、Xはカップリング剤の残余部または残基である。

4.水素化ブロックコポリマーを調製するための方法 記載のように、一部の場合では、即ち、(1)B内部ブロック内にジエンが存在する場合、(2)Aブロックが1,3−シクロジエンのポリマーである場合、(3)耐衝撃性改良剤ブロックDが存在する場合、および(4)Aブロックが、35モルパーセント未満のビニル含有量を有する共役ジエンのポリマーである場合では、ブロックコポリマーを選択的に水素化し、いかなるエチレン性不飽和もスルホン化前に除去することが必要である。水素化により、一般的に、熱安定性、紫外光安定性、酸化安定性が改善され、従って、最終ポリマーの耐候性が改善され、AブロックまたはDブロックのスルホン化のリスクが低減される。

水素化は、先行技術において知られた幾つかの水素化方法または選択的水素化方法のいずれかによって行われ得る。かかる水素化は、例えば、US3,595,942、US3,634,549、US3,670,054、US3,700,633、および米国再発行特許第27,145号(各々の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に教示されたものなどの方法を用いて行われている。これらの方法は、エチレン性不飽和を含むポリマーが水素化されるように操作され、適当な触媒の作用に基づいたものである。かかる触媒または触媒前駆体は、好ましくは第8から10族の金属、例えば、ニッケルまたはコバルトを含むものであり、適当な還元剤、例えば、アルキルアルミニウムまたは元素の周期表の第1、2および13族から選択される金属、特に、リチウム、マグネシウムまたはアルミニウムの水素化物と併用される。この調製は、好適な溶媒中または希釈剤中で、約20℃から約80℃の温度にて行われ得る。有用な他の触媒としてはチタン系の触媒系が挙げられる。

水素化は、共役ジエン二重結合の少なくとも約90パーセントが還元され、アレーン二重結合のゼロから10パーセントが還元されるような条件下で行われ得る。好ましい範囲は、共役ジエン二重結合の少なくとも約95パーセントが還元され、より好ましくは共役ジエン二重結合の約98パーセントが還元されるものである。

水素化が終了したら、ポリマー溶液を比較的大量の水性の酸(好ましくは、1から30重量パーセントの酸)とともに、1部のポリマー溶液に対して約0.5部の水性の酸の容量比で撹拌することにより触媒を酸化して抽出することが好ましい。この酸の性質は重要でない。好適な酸としては、リン酸、硫酸および有機酸が挙げられる。この撹拌は、酸素と窒素の混合物をスパージングしながら約50℃で約30から約60分間継続する。この工程では、酸素と炭化水素の爆発性の混合物が形成されることが回避されるように注意を払わなければならない。

5.スルホン化ポリマーの作製方法 本明細書に開示した多くの実施形態によれば、上記で調製されるブロックコポリマーをスルホン化し、液状でミセル形態のスルホン化ポリマー生成物を得る。このミセル形態では、スルホン化ブロックコポリマーは、メンブレンにキャスティングされる前に中和され得、同時に、スルホン化ブロックコポリマーは液状のまま、ゲル化および/または析出のリスクが低減される。

なんら特定の理論に拘束されないが、スルホン化ブロックコポリマーのミセル構造は、相当な量の消費されたスルホン化剤残基を有するスルホン化ブロック(1つまたは複数)を含むコアを有しており、該コアはスルホン化抵抗性ブロック(1つまたは複数)によって囲まれており、該スルホン化抵抗性ブロックがさらに有機非ハロゲン化脂肪族溶媒によって膨潤すると説明され得ることが本発明における確信である。以下により詳細にさらに記載するように、スルホン化ブロックはスルホン酸官能基および/またはスルホン酸エステル官能基の存在のため極性が高い。従って、かかるスルホン化ブロックはコア内に封鎖され、一方、外側のスルホン化抵抗性ブロックはシェルを形成し、これが非ハロゲン化脂肪族溶媒によって溶媒和される。離散型ミセルの形成に加え、ポリマー凝集体の形成もみられ得る。なんら特定の理論に拘束されないが、ポリマー凝集体は、離散型の構造、またはミセルについて示される説明以外の様式でのポリマー鎖の会合により生じた非離散型の構造、および/または疎性に凝集した2つ以上の離散型ミセル群であると説明され得る。従って、ミセル形態の溶媒和されたスルホン化ブロックコポリマーは、離散型ミセルおよび/またはミセル凝集体を含むものであり得、かかる溶液には、場合により、該ミセル構造以外の構造を有する凝集ポリマー鎖も含まれている場合があり得る。

ミセルは、スルホン化過程の結果として形成され得るか、またはブロックコポリマーをスルホン化前にミセル構造に配列させてもよい。

一部の実施形態では、ミセルの形成に、WO2008/089332に記載のスルホン化法が使用され得る。該方法は、US2007/021569に記載のようなスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの調製に有用である。

重合後、該ポリマーは、スルホン化試薬、例えば硫酸アシルを少なくとも1種類の非ハロゲン化脂肪族溶媒中で用いてスルホン化され得る。一部の実施形態では、前駆体ポリマーが、該前駆体ポリマーの作製により生じた反応混合物から単離し、洗浄し、乾燥させた後にスルホン化され得る。他の一部の実施形態では、前駆体ポリマーが、該前駆体ポリマーの作製により生じた反応混合物から単離せずにスルホン化され得る。

(i)溶媒 有機溶媒は好ましくは非ハロゲン化脂肪族溶媒であり、該コポリマーの1つ以上のスルホン化抵抗性ブロックまたは非スルホン化ブロックを溶媒和させる機能を果たす第1の非ハロゲン化脂肪族溶媒を含むものである。第1の非ハロゲン化脂肪族溶媒としては、約5から10個の炭素を有する置換または非置換の環状脂肪族炭化水素が挙げられ得る。非限定的な例としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタンおよびこの混合物が挙げられる。最も好ましい溶媒はシクロヘキサン、シクロペンタンおよびメチルシクロヘキサンである。また、第1の溶媒は該ポリマーブロックのアニオン重合の重合媒体として使用されるものと同じ溶媒であってもよい。

一部の実施形態では、該ブロックコポリマーは、第1の溶媒のみを使用する場合であってもスルホン化前にミセル形態であり得る。第2の非ハロゲン化脂肪族溶媒を、第1の非ハロゲン化脂肪族溶媒での前駆体ポリマーの溶液に添加することにより、ポリマーミセルおよび/または他のポリマー凝集体の「予備形成」がもたらされ得るか、または該予備形成が補助され得る。他方、第2の非ハロゲン化溶媒は、好ましくは、第1の溶媒と混和性であるが前駆体ポリマーの易スルホン化ブロックに対しては該過程の温度範囲内で貧溶媒であり、また、スルホン化反応を障害しないように選択される。換言すると、好ましくは、前駆体ポリマーの易スルホン化ブロックは、該過程の温度範囲内で第2の非ハロゲン化溶媒に実質的に不溶性のものである。前駆体ポリマーの易スルホン化ブロックがポリスチレンである場合、ポリスチレンに対して貧溶媒であり、第2の非ハロゲン化溶媒として使用され得る好適な溶媒としては、炭素数が約12までの線状および分枝状の脂肪族炭化水素、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2−エチルヘキサン、イソオクタン、ノナン、デカン、パラフィンオイル、パラフィン混合溶媒などが挙げられる。第2の非ハロゲン化脂肪族溶媒の好ましい一例はn−ヘプタンである。

ポリマーミセルおよび/または他のポリマー凝集体の予備形成により、第2の該溶媒の添加なしで実施可能な場合よりかなり高い濃度で本質的にゲル化が無効になることなく、ポリマーのスルホン化を進行させることが可能になる。また、このアプローチにより、極性の高い硫酸アシル、例えばC3硫酸アシル(硫酸プロピオニル)の実用性が、ポリマーのスルホン化変換率および副生成物の最小限化という点で相当改善され得る。換言すると、このアプローチにより、極性の高いスルホン化試薬の実用性が改善され得る。かかる硫酸アシルを以下にさらに説明する。

(ii)ポリマー濃度 一部の実施形態によれば、少なくともスルホン化の初期段階の間、前駆体ポリマーの濃度を該前駆体ポリマーの限界濃度未満に維持することにより、高レベルのスチレンスルホン化が、反応混合物、反応生成物または両方において実質的にポリマーの析出がなく、ゲル化が無効になることがない様式で行われ得る。当業者には、実質的にポリマーの析出がない混合物中において、方法処理の過程での局所溶媒蒸発の結果、微量のポリマーが表面上に被着している場合があり得ることが理解されよう。例えば、一部の実施形態によれば、混合物中に析出したポリマーが5%以下である場合、該混合物を実質的にポリマーの析出がないとみなす。

スルホン化が行われ得るポリマー濃度は出発ポリマーの組成に依存する。これは、限界濃度が該ポリマー組成に依存するためであり、限界濃度未満では、ポリマーのゲル化が無効化または無視可能でなくなる。上記のように、限界濃度はまた、他の要素、例えば、使用される溶媒または溶媒混合物の具体物および所望のスルホン化度にも依存性であり得る。一般的に、ポリマー濃度は、好ましくは実質的にハロゲン化溶媒無含有である反応混合物の総重量に対して約1重量%から約30重量%、または約1重量%から約20重量%、または約1重量%から約15重量%、または約1重量%から約12重量%、または約1重量%から約10重量%の範囲内である。当業者には、好適な範囲に、具体的な組合せおよび範囲が本明細書に列挙されていない場合であっても、明示したモルパーセントの任意の組合せが包含されていることが理解されよう。

本記載の技術の一部の実施形態によれば、前駆体ブロックポリマーまたは前駆体ブロックポリマー混合物の初期濃度は、該前駆体ポリマー(1種類もしくは複数種)の限界濃度未満、または反応混合物の総重量に対して約0.1重量%から該前駆体ポリマー(1種類もしくは複数種)の限界濃度未満である濃度まで、または約0.5重量%から該前駆体ポリマー(1種類もしくは複数種)の限界濃度未満である濃度まで、または約1.0重量%から該前駆体ポリマー(1種類もしくは複数種)の限界濃度より約0.1重量%低い濃度まで、または約2.0重量%から該前駆体ポリマー(1種類もしくは複数種)の限界濃度より約0.1重量%低い濃度まで、または約3.0重量%から該前駆体ポリマー(1種類もしくは複数種)の限界濃度より約0.1重量%低い濃度まで、または約5.0重量%から該前駆体ポリマー(1種類もしくは複数種)の限界濃度より約0.1重量%低い濃度までの範囲に維持されるのがよい。当業者には、好適な範囲に、具体的な組合せおよび範囲が本明細書に列挙されていない場合であっても、明示したモルパーセントの任意の組合せが包含されていることが理解されよう。

少なくとも一部の実施形態では、ポリマー濃度を限界濃度未満に維持することにより、ゲル化がもたらされる高濃度条件と比べて、副生成物であるカルボン酸の濃度が低い反応混合物が得られ得る。

しかしながら、当業者には、本技術の一部の実施形態のスルホン化ポリマーの作製時、特に、半バッチ式または連続作製過程では、反応混合物中のポリマー(1種類または複数種)の総濃度が前駆体ポリマーの限界濃度より高くなる場合があり得ることが理解されよう。

(iii)スルホン化剤 多くの実施形態によれば、重合型ブロックコポリマーのスルホン化のために硫酸アシルが使用され得る。アシル基は、好ましくは、C2−C8、またはC3−C8、またはC3−C5の線状、分枝状または環状カルボン酸、無水物もしくは酸塩化物、またはこの混合物に由来するものである。好ましくは、このような化合物は、非芳香族炭素−炭素二重結合、ヒドロキシル基、または硫酸アシルと反応性であるか、もしくはスルホン化反応条件下で容易に分解される任意の他の官能部を含まないものである。例えば、カルボニル官能部のα−位に脂肪族の第4級炭素を有するアシル基(例えば、無水トリメチル酢酸に由来する硫酸アシル)は、ポリマーのスルホン化反応時に容易に分解されるようであり、好ましくは本記載の技術において避けるのがよい。また、本技術における硫酸アシルの創出に有用なアシル基の範囲には、芳香族のカルボン酸、無水物および酸塩化物、例えば、無水安息香酸および無水フタル酸に由来するものが含まれる。より好ましくは、アシル基は、アセチル、プロピオニル、n−ブチリルおよびイソブチリルの群から選択される。さらにより好ましくは、アシル基はイソブチリルである。硫酸イソブチリルでは、高いポリマースルホン化度がもたらされ得、副生成物の形成が比較的最小限となり得ることがわかった。

無水カルボン酸と硫酸からの硫酸アシルの形成は、以下の反応

によって表され得る。硫酸アシルはスルホン化反応の過程で低速分解に供され、以下の式

のα−スルホン化カルボン酸が形成される。

本記載の技術の一実施形態では、硫酸アシル試薬を無水カルボン酸と硫酸から、別途の「予備創出」反応において行われる反応で、非ハロゲン化脂肪族溶媒でのポリマー溶液に添加する前に得る。予備創出反応は溶媒を用いて行ってもよく、なしで行ってもよい。硫酸アシルを予備創出するために溶媒を使用する場合、溶媒は好ましくは非ハロゲン化のものである。または、硫酸アシル試薬は、非ハロゲン化脂肪族溶媒でのポリマー溶液中で、インサイチュ反応において得てもよい。本技術のこの実施形態によれば、硫酸に対する無水物のモル比は約0.8から約2、好ましくは約1.0から約1.4であり得る。この好ましい方法に使用される硫酸は、好ましくは、重量基準で、約93%から約100%の濃度を有するものより好ましくは約95%から約100%の濃度を有するものである。当業者には、硫酸アシルを創出するためのインサイチュ反応において硫酸の代替物として発煙硫酸が使用され得るが、発煙硫酸の強度は、意図しない反応混合物の炭化が回避されるか、または最小限となるように充分に低いものとすることが理解されよう。

本技術の別の実施形態では、硫酸アシル試薬を無水カルボン酸と発煙硫酸から、別途の「予備創出」反応において行われる反応で、脂肪族溶媒でのポリマー溶液に添加する前に得てもよく、この場合、発煙硫酸の強度は、約1%から約60%三酸化硫黄無含有、または約1%から約46%三酸化硫黄無含有、または約10%から約46%三酸化硫黄無含有の範囲であり、発煙硫酸中に存在させる硫酸に対する無水物のモル比は約0.9から約1.2である。

さらに、硫酸アシル試薬は無水カルボン酸から、硫酸、発煙硫酸または三酸化硫黄の任意の組合せとの反応によって調製され得る。さらに、硫酸アシル試薬はカルボン酸から、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄またはこの任意の組合せとの反応によって調製され得る。さらに、硫酸アシル試薬はまた、カルボン酸塩化物から、硫酸との反応によってによっても調製され得る。または、硫酸アシルは、カルボン酸、無水物および/または酸塩化物の任意の組合せから調製され得る。

ポリマーのスチレン系反復単位の硫酸アシルでのスルホン化は、以下の反応

によって表され得る。

硫酸アシル試薬は、ポリマー溶液中に存在する易スルホン化モノマー反復単位のモル数に対して、軽度スルホン化ポリマー生成物に対する非常に低いレベルから重度スルホン化ポリマー生成物に対する高レベルに及ぶまでの範囲の量で使用され得る。硫酸アシルのモル量は、所与の方法により創出され得る硫酸アシルの理論量と定義され得、該量は、反応における限定試薬によって支配される。本技術の一部の実施形態によるスチレン反復単位(即ち、易スルホン化単位)に対する硫酸アシルのモル比は約0.1から約2.0、または約0.2から約1.3、または約0.3から約1.0の範囲であり得る。

本記載の技術の少なくとも一部の実施形態によれば、ブロックポリマー内のスルホン化され易い芳香族ビニルモノマーのスルホン化度は、スルホン化ポリマー1グラムあたりのスルホン酸が約0.4ミリ当量(meq)(0.4meq/g)より多く、または、スルホン化ポリマー1グラムあたりのスルホン酸が約0.6meq(0.6meq/g)より多く、または、スルホン化ポリマー1グラムあたりのスルホン酸が約0.8meq(0.8meq/g)より多く、または、スルホン化ポリマー1グラムあたりのスルホン酸が約1.0meq(1.0meq/g)より多く、または、スルホン化ポリマー1グラムあたりのスルホン酸が約1.4meq(1.4meq/g)より多い。例えば、上記の前駆体ポリマーを本記載の技術の方法に従ってスルホン化した後、典型的なスルホン化レベルは各Bブロックが1つ以上のスルホン酸官能基を含む状態である。好ましいスルホン化レベルは、各Bブロック内の易スルホン化芳香族ビニルモノマーのモルパーセントに対して約10から約100モルパーセント、または約20から95モルパーセント、または約30から90モルパーセント、およびまたは約40から約70モルパーセントであり、該モノマーは、例えば、非置換スチレンモノマー、オルト−置換スチレンモノマー、メタ−置換スチレンモノマー、α−メチルスチレンモノマー、1,1−ジフェニルエチレンモノマー、1,2−ジフェニルエチレンモノマー、この誘導体、またはこの混合物であり得る。当業者には、スルホン化レベルの好適な範囲に、具体的な組合せおよび範囲が本明細書に列挙されていない場合であっても、明示したモルパーセントの任意の組合せが包含されていることが理解されよう。

スルホン化ポリマーのスルホン化レベルまたはスルホン化度は、NMRおよび/または当業者に知られた滴定方法、および/または以下の実施例に記載した当業者によって認識され得る2つの別々の滴定を使用する方法によって測定され得る。例えば、本技術の方法により得られる溶液は、約60℃(±20℃)で1H−NMRによって解析され得る。スチレンスルホン化のパーセンテージは、1H−NMRスペクトルの芳香族シグナルの積分により計算され得る。別の例では、反応生成物は、スチレン系ポリマーのスルホン酸、硫酸、および非ポリマー副生成物のスルホン酸(例えば、2−スルホ−アルキルカルボン酸)のレベルを測定し、次いで、物質収支に基づいてスチレンスルホン化度を計算する2つの別々の滴定(「分相滴定(two−titration)法」)によって解析され得る。または、スルホン化レベルは、アルコールと水の混合物中にNaOHを含む標準液を用いた乾燥ポリマー試料(該試料は、テトラヒドロフラン中に再溶解させておく。)の滴定によって求めることもできる。後者の場合、副生成物の酸の厳密な除去が好ましく確保される。

ポリマーのスルホン化に関する実施形態を硫酸アシル試薬の状況において上記に説明しているが、他のスルホン化試薬の実用性も想定される。例えば、三酸化硫黄とリン酸エステル、例えば、トリエチルホスフェート錯化/反応により誘導したスルホン化試薬の使用が本技術において実証されている。有意な度合いのスルホン酸アルキルエステル組込みを伴う芳香族スルホン化をもたらすというかかるスルホン化試薬の化学的性質は、当該技術分野で知られている。このため、得られるスルホン化ポリマーにはスルホン酸基とスルホン酸アルキルエステル基の両方が含まれる可能性がある。他の想定されるスルホン化試薬としては、限定されないが、三酸化硫黄と五塩化リン、ポリリン酸、1,4−ジオキサン、トリエチルアミンなどとの反応または錯化により誘導されるものが挙げられる。

(iv)反応条件 硫酸アシルと易スルホン化ブロックコポリマー、例えば、芳香族含有ポリマー(例えば、スチレン系ブロックコポリマー)とのスルホン化反応は約20℃から約150℃、または約20℃から約100℃、または約20℃から約80℃、または約30℃から約70℃、または約40℃から約60℃の範囲の反応温度(例えば、約50℃)で行われ得る。反応時間は、反応温度に応じておよそ1分未満からおよそ24時間以上の範囲であり得る。無水カルボン酸と硫酸のインサイチュ反応を使用する一部の好ましい硫酸アシルの実施形態では、反応混合物の初期温度は、スルホン化の目標反応温度とほぼ同じであり得る。または、初期温度は、その後のスルホン化の目標反応温度より低くてもよい。好ましい一実施形態では、硫酸アシルがインサイチュで、約20℃から約40℃(例えば、約30℃)にて約0.5から約2時間、または約1から約1.5時間創出され得、次いで、反応の終了を早めるために反応混合物が約40℃から約60℃まで加熱され得る。

必要ではないが、場合により行う反応クエンチング工程は、クエンチング剤の添加によって行われ得、クエンチング剤は、例えば、水またはヒドロキシル含有化合物、例えば、メタノール、エタノールもしくはイソプロパノールであり得る。典型的には、かかる工程では、少なくとも未反応の残留硫酸アシルと反応するのに充分な量のクエンチング剤が添加され得る。

本記載の技術の一部の実施形態では、非ハロゲン化脂肪族溶媒中での芳香族含有ポリマーのスルホン化は、芳香族含有ポリマーをスルホン化試薬とバッチ式反応または半バッチ式反応にて接触させることにより行われ得る。本技術の他の一部の実施形態では、スルホン化は連続反応にて行われ得、これは、例えば、連続撹拌式タンク型反応器またはひと続きの2つ以上の連続撹拌式タンク型反応器の使用によって可能であり得る。

スルホン化の結果、ミセルコアには、スルホン酸官能部および/またはスルホン酸エステル官能部を有する易スルホン化ブロックが内包され、ミセルコアは、ブロックコポリマーのスルホン化抵抗性ブロックを含む外側シェルによって囲まれる。溶液中でこの相分離の(ミセルの形成を引き起こす。)推進力は、スルホン化ブロックコポリマーのスルホン化ブロック(1つまたは複数)と非スルホン化ブロックの極性の大きな差に起因している。後者のブロックは、非ハロゲン化脂肪族溶媒、例えば上記に開示した第1の溶媒によって自由に溶媒和可能である。他方、スルホン化ポリマーブロック(1つまたは複数)は、ミセルのコア内に集中して配列され得る。

スルホン化反応が終了したら、ブロックコポリマーは物品形態(例えば、メンブレン)に直接キャスティングされ得、該ブロックコポリマーを単離する必要はない。この特定の実施形態において、ポリマー膜(例えば、メンブレン)を水中に浸漬させてもよく、水中でこの形態(固形)が保持される。換言すると、ブロックコポリマーは水に溶解しない、または水中に分散されない。

(v)さらなる成分 さらに、本明細書に開示したコポリマーに、コポリマーの特性またはスルホン化ブロックコポリマーから形成されるメンブレンに悪影響を及ぼさない他の成分を配合してもよい。

形態保持フレーム 本明細書に開示したERVコアには形態保持フレームが使用され得る。かかる形態は、例えば、熱により形成したもの、または機械(例えば、コルゲーション法)により形成したものであり得る。かかるフレームは剛性または半剛性の構造体またはシートであり得る。かかるフレームは、この形態および形状(即ち、機械的強度)を他の支持体なしで自力で維持し得るものである。好ましくは、フレームはシートの形態であり、繊維ガラス、アルミニウムもしくは硬質ポリマーまたはかかる材料の複合材で作製されたものである。

金属としてはアルミニウム、銅、スズ、ニッケルまたはスチールが挙げられ得、アルミニウムが最も好ましい。使用されるプラスチックは限定されないが、具体的な形状が維持されるのに充分に厚く、充分に剛性であり、空気流の通過を妨げないものであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン(ABS)、Nomex(登録商標)およびKevlar(登録商標)が挙げられ得る。シートは、慣用的な手段により押出し、成型または焼結によって形成され得、編織であっても不織であってもよい。

シートは種々の形態、例えば、網、スクリーンメッシュまたは格子、金属メッシュ、編織および不織の金属またはポリマー、穿孔または有孔プレートであり得る。穿孔は、一例としてフレームに所望の厚さの針で穿刺することにより行われ得る。好適なフレームは多孔質で、予備形成された形状が維持されるのに充分に剛性である。

例えば、図1a、1bおよび1cは、3種類の異なる押出し加工されたポリマー製網型フレームを示す。図2a、2b、2cは、3種類の異なる穿孔アルミニウムプレートを示す。

フレームは多孔質のものであり、かかる細孔は、湿気の輸送障害または有意な圧力低下なく空気の直接接触が許容されるのに充分なサイズのものである。材質にもよるが、細孔は、サブミクロンから8cmまで、または10cmまで、またはこれ以上であり得る。例えば、網に形成されたフレームでは、網を構成する細孔または開口はサブミクロンから5cm、または0.1から4cm、または1から3cmであり得る。穿孔または有孔のアルミニウムまたはプラスチックプレートでは、細孔はサブミクロンから5cm、または0.1から4cm、または1から3cmであり得る。とりわけ、プレートは、細孔間の表面が薄くて糸のようなものであり得る網と比べ、開口周囲のフレーム表面積がより大きいものであり得る。いずれの場合も、細孔間のフレーム表面は、ポリマー膜が接合されて付着が維持される充分なものであるのがよい。

不織または編織のフレーム(これは金属であってもポリマーであってもよい。)に関して、一部の実施形態では、細孔直径は0.1から200ミクロン、または1ミクロンから100、または5から50ミクロンである。焼結フレームに関しては、細孔は0.01から200ミクロン、または0.1ミクロンから100、または5から50ミクロンであり得る。

フレームは、強度が維持され、空気の流れまたは湿気の輸送が妨げられない充分な厚さを有するものであるのがよい。該厚さは多くの要素、例えば、フレームの積層された層の数、空気の流れの速度および圧力、ならびにERVコアを維持するのに必要な強度に依存する。従って、該厚さは25ミクロンから500ミクロン、または100ミクロンから500ミクロン、または200ミクロンから500ミクロンであり得る。

細孔の形状、深さ、屈曲度および分布は風洞内部の空気の流れのパターンに影響を及ぼし得る(例えば、ある程度の乱流をもたらし得る。)とともに、フレームに接合された膜との接触にも影響を及ぼし得る。細孔の深さは一般的にはフレームの厚さによって決定される。さらに、細孔の形状は四、円形、球形、六角形または他の多角形の形状であり得る。

本明細書に開示したスルホン化ブロックコポリマー膜はフレームに、熱または接着ラミネート加工またはコーティングによって接合され得る。接合は、ポリマー膜の層がフレーム内の複数の細孔全体に空気の通過に対してバリアの機能を果たすように存在するようなものであるのがよい。かかるポリマー膜は、フレーム全体が覆われるように連続的であってもよく、または、細孔内に充填されているだけであってもよい。しかしながら、フレーム内の細孔のために、空気流が湿気透過性膜により直接的に到達するようになる。

剛性または半剛性のフレームは、平坦な平面状形態を有するものであってもよく、スペーサーとしての機能が果たされるような形状に形成してもよい。スペーサーとしての機能を果たす形状に形成する場合、フレームは、この形態が維持されるのに充分に剛性であるのがよい。しかしながら、ある程度の柔軟性は許容され得るが、ERVコアの安定性が維持され、また、有意な圧力低下が回避される度合いに制限されるのがよい。さらに、スペーサーとしての機能を果たす場合、フレームは、連続的な波形形状、波形状、隆線形状、または膜の連続面とERVコア内の他の層と間の空気の流れのために充分な空間を維持するための他の形状を有するものであり得る。フレームは、所望の形状に熱、機械により、もしくは化学的に形成されたものであり得る。

基材 基材は、空気の流れおよび湿気の輸送は許容しながら機械的強度をもたらすために、場合によりスルホン化ポリマー膜とともに使用される。従って、これは、多湿空気ができるだけ小さい抵抗で通過することが可能であるとともに、構造の完全性もがもたらされる多孔質材で作製されたものであるのがよい。多孔質基材は当該技術分野で知られ、使用されているものであり得、この多くは市販されている。

基材としては前述の剛性または半剛性のフレームが挙げられ得、また、基材は、例えばセルロース系の紙材のような剛性の低い柔軟性を有するものであってもよい。さらに、細孔は非常に小さい、例えば微多孔質であってもよい。従って、細孔は10ミクロン未満、または5ミクロン未満、または2ミクロン未満、または0.1ミクロン未満であり得る。しかしながら、当業者であれば、細孔は、空気がポリマー膜を通過するには狭すぎるようなほど小さいものであってはならないことは理解され得よう。または、大きな細孔径を有する基材を使用してもよい。例えば、5cm未満、または1cm未満、または1mm未満、または500ミクロン未満。従って、細孔は0.1ミクロンから5cm、または2ミクロンから1cm、または2ミクロンから500ミクロンの範囲を有するものであり得る。

従って、本明細書に開示したメンブレンとともに使用される基材としては、多孔質のセルロース系繊維状材料が挙げられる。該材料としては、例えば、布地、ポリマー膜および繊維、ならびにセルロース系材料(紙など)が挙げられる。基材は天然および/または合成繊維で構成されたものであってもよい。布地としては、編織布、不織布、ニットおよびクロス式の布地が挙げられる。

図3に、200ミクロン未満の細孔を有する不織セルロース系基材を示す。さらに、細孔が100ミクロン未満である焼結多孔質基材を図4に示す。

さらに、基材は、フィラメント、ガラス糸、繊維ガラス、耐食性金属繊維(ニッケル繊維など)、ならびに炭素繊維で構成されたものであってもよい。合成繊維としては、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、Nomex(登録商標)およびKevlar(登録商標)が挙げられる。

また、例示的な基材としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリアミド、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、セルロースナイトレート/アセテートポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)も挙げられる。

添加剤またはコーティング(スルホン化ポリマーのコーティング以外)を、他の特性を改善するために基材に添加してもよい。かかる添加剤は、ERVユニットの有効性および効率に支障をきたさないもの、または任意の有害な成分を空気流に導入しないものであるのがよい。添加剤の型の一例は難燃剤であり、これは、火災または延焼を阻止または抑止するために使用され得る。例えば、非ハロゲン難燃剤がリン含有化合物とともに使用され得る。当該技術分野で知られた他の有用な難燃剤を使用してもよい。

また、殺生剤、例えば防カビ剤、殺生物剤および殺菌剤を、カビ、白カビ、真菌、細菌、ウイルスおよび寄生虫ならびに人間に有害であり得るか、またはERVユニットの効率を低下させ得る他の生物体の増殖の抑制のために塗布してもよい。

強度、多孔度および寿命を増大させるため、湿気の輸送を向上させるための他の添加剤、例えば、シリカ、アルミナおよびゼオライトを基材に添加してもよい。

スペーサー スペーサーは、本明細書に記載のERVコアに使用され得る。スペーサーは、上記の剛性または半剛性のフレームと同じ材料、即ち、繊維ガラス、金属、プラスチックまたはかかる材料の複合材で構成される。一部の実施形態では、使用される金属はアルミニウム、銅、スズ、ニッケルまたはスチールである。好ましくは、スペーサーはアルミニウムプレートまたは硬質プラスチックである。

スペーサーは当該技術分野で知られており、積層されたポリマー層間に空気の流れのための空間を設けることに関するものである。従って、スペーサーはさまざまな形状を有するものであり得、波形または隆線形状が最も好ましい。かかる形状では、空気の流れのための風洞が形成され、従って、交差流パターン、または向流パターン、または交差向流パターンの吸入空気流と排出空気流の通過が許容される交互の様式で積層され得る。かかる隆線または波形の形状は、例えばUS特許公開公報番号2012/0073791の図2に示されている。さらに、風洞は、直線であっても湾曲していてもよく、ジグザグパターンを有するものであってもよい。平行な曲線をなすパターンが、例えばUS2009/0314480に示されている。

さらに、かかるスペーサーもまた、多孔質であって表面全体に複数の細孔を有するものであってもよい。材質にもよるが、細孔は0.1ミクロンから5cmまでであり得る。例えば、網に形成されたフレームでは、網を構成する細孔または開口は0.05cmから5cm、または0.1から4cm、または1から3cmであり得る。かかる細孔は、サイズ、形状、深さ、屈曲度、ならびに分布が空気の流れのパターンに有効に影響し、空気と湿気透過性メンブレンまたは複合材とのより良好な接触がもたらされ得るような様式で設計され得る。

スペーサーが多孔質である場合、一部の実施形態では、本明細書に開示したスルホン化ブロックコポリマー膜はスペーサーに、ラミネート加工、例えば熱ラミネート加工、接着ラミネート加工ならびにコーティングによって接合され得る。接合は、ポリマー膜の層がスペーサーの複数の細孔全体に空気の通過に対してバリアの機能を果たすが湿気の輸送は許容するように存在するようなものであるのがよい。

従って、この厚さはサブミクロンから20mm、または1mmから10mm、または、1から5mmであり得る。

ERVの構成 ERVコアは幾つかの構成を有するものであり得る。ERVコアユニットの一実施形態1を図5に示す。図に示したものは、該ユニットが、上面カバー2および底面カバー3と側部支持体4で構成された筐体を有する。該筐体内には、湿気透過性だが空気は非浸透性の構造体5の積層体が保持されている。構造体5は多層であり得、スルホン化ブロックコポリマー膜、剛性または半剛性のフレーム、基材および/またはスペーサーが含まれている。図示した実施形態では新鮮な吸入空気の流れを矢印8で示し、さらに排出空気の流れを矢印Bで示しており、従って、空気流は交差流パターンを有する。

湿気透過性だが空気は非浸透性の構造体5の一実施形態を図6に示しており、スルホン化ブロックコポリマー膜6とともに該膜間に挟持されたスペーサー7も示している。スペーサー7は、メンブレン6間に空気の流れのためのチャネルが設けられるように構成されている。かかるチャネル8のサイズは、約2から30mmまでの空隙がもたらされるようなものであり得る。図6に示した実施形態では、これは、スペーサー7を波形または隆線構造に形成することにより行われる。波形形状は頂部9および底部10を有し、従って、スペーサーの長さに沿って一方向に長手方向の風洞が形成され、従って、隆線の構造に応じてスペーサーの上部と下部の両方での流れが許容される。

図6の構成の利点は、風洞8を通過する空気が膜6の全表面に接触することができ、該膜全体に湿気の輸送がもたらされ得ることである。かかる実施形態では、スルホン化ブロックコポリマー膜は、支持をもたらすためのさらなる基材または構造体の補助なしで自身の重量を支えるのに充分な厚さを有するものでなければならない。従って、かかる膜は0.5μから50μ、または1から25μ、1.5μから13μの厚さを有するものであるのがよい。

図7aに示したものは、フレーム11がスクリーンメッシュであり、スルホン化ブロックコポリマー膜6と互いに隔てている。これらを一体に接合すると、空気に対してバリアの機能を果たすが、湿気の輸送を補助する多層構造体が形成される。メッシュには、膜6への到達があまり妨害されることなく空気が通過し得る細孔が設けられている。図7bには、膜6、基材12およびフレーム11を互いに隔てて示している。これらを一体に接合しても、空気に対してバリアの機能を果たすが、湿気の輸送を補助する多層構造体が形成される。基材12は膜6に対して機械的支持をもたらす。

別の実施形態を図8aに示す。この場合、膜6が図7aのフレーム11に接合され、従って多層構造体が形成されており、次いでスペーサー7に接合されている。図においてわかるように、この多層構造体は波形スペーサー7の頂部に接合され、従って風洞8が維持されている。フレーム11は膜6の片面に接合しても両面に接合してもよい。

図8bに示したものは、膜6が、図7bのように基材12と剛性または半剛性のフレーム11に接合され、多層構造体が形成されている。次いで、これが波形スペーサー7の頂部に接合されている。

図9に示すまた別の実施形態では、膜6が基材12と剛性または半剛性のフレーム11に接合され、スペーサー7に接合された図7bの多層構造体を示す。しかしながら、図9の実施形態では、波形スペーサー14がアルミニウムスクリーンメッシュであり、従って多孔質である。図10aに示す別の実施形態では、スペーサー14にスルホン化ブロックコポリマー膜15が接合されている。この実施形態では、膜15はスペーサー14の全表面全体に接合されている。図10bおよび10cはさらなる一実施形態を示し、この場合、それぞれ図3aおよび3bのものなどの多層構造体が接合されている。例えば、図10bでは、膜15がフレーム16に接合されて多層構造体が形成され、次いで、これがスペーサー14の表面全体に接合されている。膜15はフレーム16の片面に接合しても両面に接合してもよい。図10bでは、膜15が基材17とフレーム16に接合されて多層構造体が形成され、次いで、これがスペーサー14の表面全体に接合されている。図10aから10cにおいて、他の実施形態としては、3つのすべての層、例えば、膜15、基材17およびフレーム16を備えた図示した実施形態に加えて、膜15のみ、または膜15とフレーム16がスペーサー14に接合されているものが挙げられる。

図11aに示したものなどのさらなる実施形態では、剛性または半剛性のフレーム18は、波形形状に形成され、上面にスルホン化ブロックコポリマー膜19がラミネート加工されたアルミニウムスクリーンメッシュであり得る。他の実施形態では、スクリーンメッシュがプラスチックメッシュであり得る。いずれの場合も、フレーム18はこの波形形態が維持されるのに充分に剛性である。このように、剛性または半剛性の構造体は、スペーサーとして、ならびに水は輸送し得るが空気の流れに対してはバリアとしての機能を果たすメンブレンとしての機能も果たすものであり得る。図11bの実施形態では、膜18がまず基材20に接合され得、次いで構造体18に接合され得る。

HRVからERVへの変換 また、図11aおよび11bの多層構造体は、HRVシステムをERVシステムに変換するためにも使用され得る。既存のプレート型HRVは、典型的には、金属(例えば、アルミニウム)、プラスチック(例えば、ポリプロピレン)または紙で、顕熱回収のみのために構成されている。交差流パターンおよび波形プレートの積層体または間隔をあけたプレートを有するHRVシステムでは、かかるプレートが取り出され得、その後、剛性または半剛性のフレームを有する図11aおよび11bの波形多層構造体が挿入され、従ってERVコアが形成され得る。フレームの剛性または半剛性の性質のため、該多層複合材は平坦であって縁部が折り畳まれたものであり得るか、または空気の通過が可能に成形した形状であり得る。縁部は、例えば、空気流が隔てられるように隣接している層の2つの縁部を交互に折り畳むか、またはクリンピングすることにより(図12aおよび12b)密封され得る。

例えば、一部の実施形態のHRVシステムは図5のコアと同じであるが、湿気輸送層がなく、代わりに交互の様式で積層されたスペーサーが存在している。従って、本明細書に開示したスルホン化ブロックコポリマーのラミネート加工フレーム(図11aおよび11bのものなどの多層構造体)をHRVコアの層と同じ形状に形成した場合、かかる層をHRVコアから取り出し、多層構造体を挿入してERVコアを形成することができる。さらなるスペーサーは必要とされ得ない。

ラミネート加工 ラミネート加工は、当該技術分野で知られているとおりに行われ得る。一般的に、スルホン化ブロックコポリマーは膜に、場合により他の成分を用いて形成され(以下、本明細書において、「ポリマー膜」)、本明細書に開示した多孔質基材または剛性/半剛性の構造体またはスペーサーと一体化される。多くの方法が、ポリマー膜を多孔質基材に付着または接合させるためのポリマー膜のラミネート加工に使用され得る。例えば、ラミネート加工は、コールドラミネート加工または熱ラミネート加工によって行われ得る。さらに、超音波接合をラミネート加工に使用してもよい。

熱ラミネート加工は、ポリマー膜を基材または構造体と温度および圧力下で接触させ、これにより両者間に接合を形成することにより行われる。ラミネート加工は、炉などの槽内、またはポリマー膜と多孔質基材を加圧して一体にすることが可能な他の機械もしくは装置で行われ得る。一般的に、温度は95°から450°Fの範囲であり、圧力は100から7,000psiの範囲を有し得る。滞留時間または高温高圧に供される時間は30秒から10分であり得る。その後、メンブレンは室温および室内圧力で冷却され、最終メンブレンが作製され得る。当該技術分野で知られた種々の型のラミネート加工アセンブリが、ポリマー膜と基材を熱および圧力下で接触させるために使用され得る。また、熱ラミネート加工過程で接着剤を使用してもよい。さらに、加熱活性化接着剤を使用してもよい。

熱ラミネート加工の型の一例では市販のラミネーターが使用される。ラミネーターは2つ以上のニップローラーを有するものであり得、この場合、各ローラーは温度および圧力が制御され得る。本明細書に開示したスルホン化ブロックコポリマーの膜は、1つの基材もしくは構造体上、または基材もしくは構造体の多数の層間に配設され、次いでニップローラー間に配設され、従って二層または複層メンブレンが形成され得る。典型的な操作条件としては、150から450°Fの温度、100から7000psiの圧力が挙げられ得、滞留時間は、ライン速度を調整することにより調整され得る。温度、圧力および滞留時間は、所望のラミネート接合体を得るために変更され得る。

ラミネート加工のさらなる方法は溶剤接着と称されるものである。これは加熱下または室温で行われ得る。この型のラミネート加工では、有機溶剤がスルホン化ブロックコポリマー膜に塗布される。従って、スルホン化ポリマー膜の溶剤と接触した部分は軟化する。次いで、この膜を基材上に圧締め、これにより、有機溶剤によって軟化した部分と基材間に接合が形成される。ポリマー膜の一部分を溶媒和させる効果を有する有機溶剤が使用され得る。かかる有機溶剤としては、アルコール、アルキル、ケトン、アセテート、エーテル、ならびに芳香族溶剤、例えば、トルエンおよびベンゼンが挙げられる。

ラミネート加工のための別の方法はコールドラミネート加工であり、これには、一般的に湿式または乾式接着剤が使用される。コールドと表示されるが、かかる温度は室温を包含している。接着ラミネート加工は、接着剤をポリマー膜の片面に塗布し、次いで、これを多孔質基材と接触させることにより行われる。しかしながら、接着剤は、気化物の通過が妨げられ得る閉塞が最小限となるように、基材およびポリマー膜の特定の表面積が覆われるように塗布するのがよい。接着剤は、基材の一部の細孔を閉塞する効果を有するものであり得、これにより効率が低下し得る。従って、接着ラミネート加工では、接着剤で覆われる面積を最小限にすることが好ましい。使用される接着剤は、例えば、ウレタン系またはラテックス系であり得る。

また、コールドまたは熱ラミネート加工のいずれの場合も、実験室または市販規模のラミネート加工アセンブリが、ポリマー膜と基材を接触および接合させてラミネート体を形成するために使用され得る。市販規模のラミネート加工のための多くの可能な構成、例えば、ローラー、プレスが存在し、当該技術分野で最も普及しているのはデュアル加熱ピンチローラーの使用である。

ポリマー膜を多孔質基材と接触させる場合、該膜が多孔質基材に対して平坦になることを確実にするための手段が取られ得る。例えば、ローラーを有するラミネート加工装置は、平坦にして気泡を除去するために表面全体に適用され得る。

以下の実施例は、例示を意図したものにすぎず、なんら本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、限定するものとして解釈されるべきでもない。

a.材料および方法 スルホン化度:本明細書に記載し、滴定によって測定されるスルホン化度は、以下の電位差滴定手順によって測定した。スルホン化反応生成物の溶液を2つの別々の滴定(「分相滴定法」)によって解析し、スチレン系ポリマーのスルホン酸、硫酸、および非ポリマー副生成物のスルホン酸(2−スルホイソ酪酸)レベルを測定した。各滴定では、反応生成物の溶液の約5グラムのアリコートを約100mLのテトラヒドロフランに溶解させ、約2mLの水と約2mLのメタノールを添加した。第1の滴定では、溶液をメタノール中0.1Nのシクロヘキシルアミンを用いた電位差滴定により滴定し、2つの終点を得た。第1の終点は試料中の全スルホン酸基+硫酸の第1酸性プロトンに相当し、第2の終点は硫酸の第2酸性プロトンに相当した。第2の滴定では、溶液を約3.5:1のメタノール:水中0.14Nの水酸化ナトリウムを用いた電位差滴定により滴定し、3つの終点を得た。第1の終点は試料中の全スルホン酸基+硫酸の第1および第2酸性プロトンに相当し、第2終点は2−スルホイソ酪酸のカルボン酸に相当し、第3終点はイソ酪酸に相当した。

第1の滴定における硫酸の第2酸性プロトンの選択的検出を、第2の滴定における2−スルホイソ酪酸のカルボン酸の選択的検出と合わせると、酸成分の濃度の計算が可能であった。

本明細書に記載し、1H−NMRによって測定されるスルホン化度は、以下の手順を用いて測定した。約2グラムの非中和型スルホン化ポリマー生成物の溶液を数滴のメタノールで処理し、溶媒を、50℃の真空炉内でおよそ0.5時間乾燥させることによりストリッピングして除去した。乾燥させたこのポリマーの30mgの試料を約0.75mLのテトラヒドロフラン−d8(THF−d8)に溶解させ、次いで、これに1滴未満の濃H2SO4を添加し、干渉性の不安定なプロトンシグナルを、その後のNMR解析における芳香族プロトンシグナルの低磁場側にシフトさせた。得られた溶液を1H−NMRにより約60℃で解析した。スチレンスルホン化のパーセンテージは、約7.6百万分率(ppm)における1H−NMRシグナル(これはスルホン化スチレン単位の芳香族プロトンの半数に相当する。かかる芳香族プロトンの残り半数に相当するシグナルは非スルホン化スチレン芳香族プロトンおよびtert−ブチルスチレン芳香族プロトンに相当するシグナルと重複した)の積分によって計算した。

本明細書に記載のイオン交換容量は、上記の電位差滴定法によって測定し、スルホン化ブロックコポリマー1グラムあたりのスルホン酸官能部のミリ当量として報告した。

b.実験 スルホン化ブロックコポリマーSBC−1の調製 A−D−B−D−Aの構成を有するペンタブロックコポリマーを逐次アニオン重合によって調製した。ここで、Aブロックはパラ−tert−ブチルスチレン(ptBS)のポリマーブロックであり、Dブロックは水素化イソプレン(Ip)のポリマーブロックで構成し、Bブロックは非置換スチレン(S)のポリマーブロックで構成した。シクロヘキサン中でのt−ブチルスチレンのアニオン重合はsec−ブチルリチウムを用いて開始し、15,000g/モルの分子量を有するAブロックを得た。次いで、イソプレンモノマーを添加し、9,000g/モルの分子量を有する第2ブロック(ptBS−Ip−Li)を得た。続いて、スチレンモノマーをリビング(ptBS−Ip−Li)ジブロックコポリマー溶液に添加し、重合させ、リビングトリブロックコポリマー(ptBS−Ip−S−Li)を得た。ポリマーのスチレンブロックは28,000g/モルの分子量を有するポリスチレンのみで構成されていた。この溶液に、イソプレンモノマーのさらなるアリコートを添加し、11,000g/モルの分子量を有するイソプレンブロックを得た。従って、これにより、リビングテトラブロックコポリマー構造(ptBS−Ip−S−Ip−Li)が得られた。パラ−tertブチルスチレンモノマーの第2のアリコートを添加し、この重合をメタノールの添加によって終結させ、約14,000g/モルの分子量を有するptBSブロックを得た。次いで、ptBS−Ip−S−Ip−ptBSを、標準的なCo2+/トリエチルアルミニウム法を用いて水素化し、ペンタブロックのイソプレン部分内のC=C不飽和を除去した。次いで、このブロックポリマーを、直接(さらなる処理なし、酸化、洗浄なし、「仕上げ加工」もなしで)、無水i酪酸/硫酸試薬を用いてスルホン化した。水素化したブロックコポリマーの溶液を、ヘプタン(ブロックコポリマー溶液の容量に対してほぼ等容量のヘプタン)の添加によって約10%固形分に希釈した。充分な無水i−酪酸と硫酸(1/1(モル/モル))を添加し、ブロックコポリマー1gあたり2.0meqのスルホン化ポリスチレン官能部を得た。スルホン化反応は、エタノール(2モルエタノール/モル無水i−酪酸)の添加によって終結させた。得られたポリマーは、電位差滴定により、2.0meqの−SO3H/gポリマーの「イオン交換容量(IEC)」を有することがわかった。このスルホン化ポリマーの溶液は、ヘプタン、シクロヘキサンおよびi−酪酸エチルの混合物において約10%重量/重量の固形分レベルを有していた。

キャスト膜の使用のため、上記の組成物を、シリコーン処理PET膜などの剥離ライナーに流延した。膜を炉内(ゾーン内の温度を制御および空気または窒素パージ)で、所望の残留溶媒レベルに達するまで少なくとも2分間、緩徐に乾燥させた。具体的な試験手順で特別に必要とされるものを除き、膜に対してさらなる後処理は行わなかった。この手順によって得られる典型的な膜厚さは5ミクロンから50ミクロンの範囲である。SBC−1を、この方法に従って流延し、膜に形成した。

表1は、典型的なHRVシステムと本開示の多層構造体が使用されたERVシステムとの比較を示す。特に、比較例番号1のHRVシステムにはアルミニウムバリア(即ち、スペーサー)が使用され、ポリマー膜または他の湿気輸送材は使用されていない。従って、顕熱のみが使用される。

ERVシステム番号2には、波形のアルミニウムスペーサープレートが、半剛性構造体としてのメッシュスクリーンメッシュラッパーとともに使用されており、このラッパーは、この上面にラミネート加工されたSBC−1膜を有する。SBC−1はプレス内で、280から350oFの範囲内の温度、60から5000psiの圧力、およそ数秒から2分間の加熱時間で熱ラミネート加工した。この実施例では、スペーサーは多孔質でなく、空気または湿気の通過が可能でない。

ERVシステム番号2において、使用したスペーサーは波形のスクリーンメッシュラッパーであり、SBC−1膜が熱ラミネート加工されている。また、スクリーンメッシュを半剛性構造体として使用し、SBC−1膜が熱ラミネート加工されている。熱ラミネート加工は、ERV実施例番号3と同じ条件下で行った。

顕熱および潜熱の値の試験は、米国空調暖房冷凍工業会(AHRI)の規格1060に従って行った。

上記の表からわかるように、コートスクリーンラッパーを有するERV実施例番号2では、顕熱および潜熱の回収効率が比較例番号1のHRVシステムよりもずっと高い。さらに、実施例番号3に示されるように、波形SBC−1コートスクリーンスペーサーを使用すると、顕熱と潜熱の両方の効率が驚くほど有意に増大している。結果を図13にグラフの形態で示す。

QQ群二维码
意见反馈