窒化ホウ素焼結体および窒化ホウ素焼結体を形成する方法

申请号 JP2014235514 申请日 2014-11-20 公开(公告)号 JP2015101538A 公开(公告)日 2015-06-04
申请人 ケンナメタル インコーポレイテッド; Kennametal Inc.; 发明人 ルドルフ カール グラウ; ロドリグ ンゴウメニ ヤッピ; フーベルト ジョセフ シュヴァイガー;
摘要 【課題】熱伝導度及び熱膨張係数の異方性の小さい窒化ホウ素焼結体の提供。 【解決手段】窒化ホウ素焼結体が少なくとも1つのプレス工程とそれに続く焼結工程によって六方晶系窒化ホウ素の粉末(P)から形成され、意図的に1.6g/cm 3 より小さい 密度 に調節され、試験から、この低密度を選択することによって、従来の六方晶系窒化ホウ素焼結体に比較すると、窒化ホウ素焼結体(2a、2b)は極めて高い等方性を有することが明らかにされ、このことは、特に熱伝導性並びに熱膨張係数に該当し、それらは 温度 にもほとんど依存しない六方晶系窒化ホウ素焼結体(2a、2b)。 【選択図】図1
权利要求

少なくとも1つのプレス工程とそれに続く焼結工程によって六方晶系窒化ホウ素の粉末(P)から形成されている、窒化ホウ素焼結体(2a、b)において、 前記窒化ホウ素焼結体が、1.6g/cm3より小さい密度を有していることを特徴とする窒化ホウ素焼結体(2a、b)。六方晶系窒化ホウ素の層に対して直交する方向の第1の空間方向(c)に延在し、 前記層に対して平行な方向の第2の空間方向(a)に延在し、かつ 2つの空間方向(c、a)に関して等方性に形成されている、 ことを特徴とする請求項1に記載の窒化ホウ素焼結体(2a、b)。2つの空間方向(c、a)について熱伝導性の差が15W/mKよりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の窒化ホウ素焼結体(2a、b)。2つの空間方向(c、a)について熱膨張係数の差が0.25×10−6/Kよりも小さいことを特徴とする請求項2または3に記載の窒化ホウ素焼結体(2a、b)。六方晶系窒化ホウ素の層に対して直交する方向の第1の空間方向(c)に延在し、 前記層に対して平行な方向の第2の空間方向(a)に延在し、かつ 室温から1000℃までの温度領域にわたって略一定の熱伝導性を有している、 ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の窒化ホウ素焼結体(2a、b)。形成工程において、冷間プレス工程と熱間プレス工程を経ており、かつ好ましくは密度が1.2から1.6g/cm3の範囲内であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の窒化ホウ素焼結体(2a、b)。形成工程において、熱間プレス工程なしで冷間プレス工程のみを経ており、かつ密度が0.9から1.2g/cm3の範囲内であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の窒化ホウ素焼結体(2a、b)。30mmより大きい、特に40mmより大きい厚み(d)を有し、かつ好ましくは少なくとも数10cm2の面積を画成することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の窒化ホウ素焼結体(2a、b)。窒化ホウ素焼結体(2a、b)を形成する方法であって、六方晶系窒化ホウ素粉末(P)を冷間プレスして成型体(4)を形成し、他の方法ステップにおいて前記冷間プレスされた成型体(4)を焼結して窒化ホウ素焼結体(2a、b)を形成する方法において、 前記窒化ホウ素焼結体(2a、b)の密度が、1.6g/cm3より小さい値に調節されることを特徴とする方法。前記冷間プレスされた成型体(4)の密度が1から1.3g/cm3の範囲内に調節されることを特徴とする請求項9に記載の方法。前記冷間プレスされた成型体(4)が、他のプレス工程なしで焼結されることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。前記冷間プレスされた成型体(4)が、冷間プレス後かつ焼結前に熱間プレス工程が行われて熱間プレスされた成型体(8)とされることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。前記熱間プレス工程において、前記熱間プレスされた成型体(8)が、前記窒化ホウ素焼結体(2a、2b)の密度より約0.1〜0.3g/cm3高い密度に調節されることを特徴とする請求項12に記載の方法。冷間プレスが冷間静圧プレスであり、熱間プレスが一軸の熱間プレスであることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。前記粉末(P)に、六方晶系窒化ホウ素の他に、特に1〜2重量%の範囲内の割合の酸化ホウ素だけが含まれていることを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載の方法。

说明书全文

本発明は、窒化ホウ素焼結体およびそれを形成する方法に関し、そのために窒化ホウ素焼結体は、少なくとも1つのプレス工程とそれに続く焼結工程とによって六方晶系の窒化ホウ素の粉末から形成される。

六方晶系の窒化ホウ素(H−BN)からなるこの種の窒化ホウ素焼結体は、全体としてグラファイト状の構造を有し、かつ白い色を有している。それとは異なり、立方晶系の窒化ホウ素(CBN)からなる焼結体は、より高い硬度と黒い色を示す。後者は、たとえば切断材料として使用される。

六方晶系の窒化ホウ素(H−BN)からなる窒化ホウ素焼結体は、たとえば電気的絶縁体、金属溶融物用の溶融型、炉コンポーネントに用いられ、また結晶成長用の基板としても利用される。この種の焼結体は六方晶系の窒化ホウ素を使用しているため、平面的な六形の蜂の巣構造の層から形成された結晶構造を有している。個々の平面的な層から形成されたこのグラファイト状の構造に基づいて、六方晶系の窒化ホウ素からなるこの種の窒化ホウ素焼結体は、少なくとも幾つかの物理的特性に関して、詳細には熱伝導性または熱膨張係数に関して著しい異方性を示す。特性は、空間方向が層に対して直交するか、あるいは平行であるかに応じて著しく異なる。すなわち、たとえば一般的に、層に対して平行な方向、いわゆるa方向の熱伝導性は、層に対して直交する方向の熱伝導性の通常約2倍である。この方向はc方向と称される。この異方性は、一方では個々の層の内部、他方では層と層との間における原子の様々な結合に起因する。したがって、六方晶系の窒化ホウ素からなるこの種の窒化ホウ素焼結体は、焼結体の方向に応じてその特性に著しい方向依存性を示している。

この種の窒化ホウ素焼結体を形成するためには、通常、第1の冷間プレス工程において、グリーンボディとも称される、冷間プレスされた成型体に粉末がプレスされる。その場合、使用される粉末は少なくとも略100%の六方晶系の窒化ホウ素からなる。一般的には、わずかな割合の酸化ホウ素が、たとえば1.5から2重量%の範囲内で含まれている。この粉末は、通常、その他の成分は含まない。この冷間プレスされたグリーン成型体は低強度の成型体である。冷間プレスは、外部の熱供給なしに、詳細には900×105〜2000×105Paのプレス圧で静圧によって行われる。次に、冷間プレスされた成型体は、第2の、すなわち熱間プレス工程を受ける。これは、一般的に1200〜1500度の温度で行われるので、得られる酸化ホウ素は溶融しており、したがってバインダーとして用いられる。熱間プレスにおいて、成型体は最大に圧縮され、熱間プレス成型体となる。さらに、熱間プレスに続いて焼結が行われ、これはテンパリング工程とも称される。ここでは一般的に約1800°の温度で酸化ホウ素が気化する。

焼結工程後に得られる窒化ホウ素焼結体は、引き続き、望ましい幾何学的最終形状を得るために、さらに機械的に加工することができる。従来の窒化ホウ素焼結体は、一般に約1.9g/cm3密度を有している。

この種の窒化ホウ素焼結体において障害と考えられるのは、一般に、高い異方性である。すなわち、従来の窒化ホウ素焼結体におけるc空間方向の熱伝導性はたとえば約80W/mKであり、a空間方向では約130W/mKである。したがって、熱伝導性では40W/mK(室温)を上回る極めて大きな差が見られる。

他の問題は、熱伝導性の温度依存性である。すなわち、従来の窒化ホウ素焼結体は、熱伝導性の極めて著しい温度依存性を示す。この場合、c空間方向の熱伝導性は、室温から始まってたとえば1000℃までの使用温度において、半分以下および約3分の1にまで低下する。したがって、熱伝導性の著しい異方性ならびにその著しい温度依存性も、この種の窒化ホウ素焼結体を使用する利用者にとって問題となる。たとえば加熱時の温度変化の場合、あるいは規定の温度プロフィールによる温度変化の場合にも、利用者は、著しく変化する熱伝導性を考慮しなければならない。冒頭で述べたように、この種の窒化ホウ素焼結体は、たとえば金属鋳造用の鋳造型にも、あるいは溶融炉でも使用される。しかし、この種の適用には、製造プロセス、たとえば鋳造プロセスをできるだけ良好にコントロールできるようにするため、設定温度における熱伝導性の知識が極めて重要である。

最後に、熱膨張係数に関する著しい異方性もまた問題となる。この著しい異方性により、必然的に、正確に規定された方向で窒化ホウ素焼結体を使用することが遵守されなければならない。

このことに基づいて、本発明は、改良された特性を有する窒化ホウ素焼結体を提供するという課題に基づいている。

この課題は、本発明にもとづき、少なくとも1つのプレス工程とそれに続く焼結工程によって六方晶系の窒化ホウ素の粉末から形成されている窒化ホウ素焼結体によって解決され、この窒化ホウ素焼結体は、1.6g/cm3より小さい密度を有している。

したがって、六方晶系窒化ホウ素からなる既知の窒化ホウ素焼結体に比較すると、本発明にもとづく窒化ホウ素焼結体は、密度が明らかに小さいことを特徴としている。このより小さな密度は、熱伝導性または熱膨張係数のような重要な特性に関して、明らかに改善された焼結体の等方性を伴うことが判明した。したがって、窒化ホウ素焼結体は等方性であり、すなわちその特性は、少なくとも所定の許容誤差内において、方向に依存していない。

製造工程において、結晶の初期粉末のそれぞれの結晶は、通常、優先方向に沿って方向が定められるので、焼結体全体は2つの空間方向、すなわち層に対して平行なa方向と層に対して直交するc方向によって特徴づけられている。層は、一般にプレス方向に対して直交している。したがって、形成された窒化ホウ素焼結体は、第1の空間方向として、製造工程におけるプレス方向に対して平行なc方向を有している。それに対して直交する第2の空間方向として、この結晶体はa方向を有している。したがって、後者は六方晶系窒化ホウ素の層に対して平行である。そのため、好ましくは、最終的に形成された窒化ホウ素焼結体は、この2つの空間方向に少なくとも略同一の等方性を有している。低密度の窒化ホウ素焼結体は、高密度の従来の六方晶系窒化ホウ素焼結体に比べ、特性において、詳細には熱伝導性に関して方向依存性の差は明らかに小さい。したがって、略等方性というのは、従来の窒化ホウ素焼結体に比較して明らかに改善された等方性を意味している。

低密度のもう1つの重要な利点として、焼結工程において初期粉末に含まれるバインダー、詳細には酸化ホウ素の確実な流出が、特により下方の材料層からも保証されていることが挙げられる。冒頭で説明したように、酸化ホウ素は約1800℃の焼結温度において気化するため、焼結体から逸出する。したがって、酸化ホウ素を含まない窒化ホウ素焼結体を確実に得ることができる。このことは、とりわけ、正常に使用していてもこのように高い温度に達することのある適用領域に必要である。この種の適用においては、酸化ホウ素の流出が、望ましくない汚染を引き起こすことも考えられる。したがって、質的に高価値の六方晶系窒化ホウ素焼結体は、酸化ホウ素を含まないほうがよい。

適切な実施形態においては、形成された窒化ホウ素焼結体が、規定温度において、異なる空間方向について熱伝導性の差が15W/mKより小さい。

好ましい実施形態によれば、窒化ホウ素焼結体は、さらに、具体的には1200℃の設定温度において、異なる空間方向における熱膨張係数の差が0.25×10−6/Kよりも小さい。従来の窒化ホウ素焼結体は、1200℃の温度において、第1のc空間方向で1.6W/Kの熱膨張係数を有し、第2のa空間方向では0.4×10−6/Kの熱膨張係数を有する。したがって、その差は、絶対値において1.2×10−6/Kとなる。

適切な実施形態では、これらの特性が温度にもほとんど依存しないため、従来の高密度窒化ホウ素焼結体に比較して、これらの特性は、たとえば室温から1000℃または1200℃までの温度範囲にわたって好ましくは略一定である。ここで熱伝導性に関して略一定とは、熱伝導性の値が、温度範囲全体にわたって平均値から±10W/mKの最大偏差を示すことを意味している。同様に熱膨張係数に関しても、平均値からの最大偏差がわずか±0.15×10−6/Kであることを意味している。

ここで熱伝導性の絶対値は、好ましくは約20から35W/mKの範囲内にある。熱膨張係数の値は、好ましくは0.15〜0.40×10−6/Kの範囲内にある。

第1の変更例によれば、形成工程において、粉末が2段階のプレス工程、すなわち冷間プレス工程と次の熱間プレス工程を経ており、密度が1.2g/cm3から1.6g/cm3の範囲内に、好ましくは最大1.5g/cm3までの範囲内に明確に調節されている。このとき最大密度の調節は、熱間プレス工程の際に、詳細には距離制御によって行われる。したがって、所定の圧縮距離の後、熱間プレス工程は中断される。その場合、熱間プレス工程は、一般に1000℃から1500℃の範囲内の温度において行われる。最大圧力は望ましい目標密度に従って決定される。この密度は、それぞれ焼結の際に揮発する成分の割合がどのくらい高いかに応じて、熱間プレス工程の最後で最終的に焼結される窒化ホウ素焼結体の希望密度よりも、好ましくは約0.1〜0.3g/cm3、詳細には0.2g/cm3上回っている。その理由として、好ましくは1500℃から2000℃の温度範囲で、詳細には約1800℃の温度で行われる次の焼結工程またはテンパリング工程の際、焼結体内にまだ含まれている酸化ホウ素が気化することが挙げられる。一定の体積において質量が減少するので、全体として密度が減少する。

代替の変更例によれば、形成工程において熱間プレス工程が省かれ、冷間プレス工程とその後の焼結工程のみが実施される。この種の窒化ホウ素焼結体は、有利には、0.9から1.2g/cm3の範囲内の密度を有している。これにより、驚くべきことに、従来の窒化ホウ素焼結体に比較して極端に小さい密度を有する六方晶系窒化ホウ素からなる、適用事例に適した窒化ホウ素焼結体が提供される。ここでも、冷間プレスにおいて、次に行われる焼結工程の前に、揮発性成分、詳細には酸化ホウ素の割合に応じて、冷間プレスおよび焼結された窒化ホウ素焼結体の目標最終密度よりも0.1〜0.3g/cm3、詳細には約0.2g/cm3の範囲内で上回っている密度が調節される。

驚くべきことに、このように冷間プレスされただけの成型体によって、同様に相対的に高グレードの窒化ホウ素焼結体が形成される。冷間プレスされた(グリーン)成型体は、通常、強度がまだ極めて小さいので、通常は、たとえば亀裂などが生じることなしには焼結されないか、あるいは焼結が極めて困難である。しかし、冷間プレスされた成型体の密度が小さいという理由から、そのすぐ後に続く焼結工程でも亀裂形成の問題は生じないことが試験によって示されている。したがって、より大きい、詳細にはより厚みのある窒化ホウ素焼結体を形成することも可能である。

これに応じて、有利には、特に2つの変更例について、最終的に形成された窒化ホウ素焼結体も30mmより大きい、特に40mmより大きい厚みを有する。この焼結体は、さらに適切な実施形態において、厚みの方向に対して垂直に、少なくとも数10cm2の面積を有している。完成した窒化ホウ素焼結体は、通常、プレート形状あるいはまた円筒状/ディスク形状の焼結体であり、それらはさらに、のこぎりなどによって機械的に望ましい幾何学的最終形状にすることができる。

窒化ホウ素焼結体は、焼結工程後、好ましくは、言及した機械的加工工程の他にそれ以上処理されない。焼結工程後に得られる窒化ホウ素焼結体はモノリス体である。

本発明にもとづき、この課題は、さらに、請求項9の特徴を有するこの種の窒化ホウ素焼結体を形成する方法によって解決される。好ましい実施形態と発展形態は従属請求項に示されている。窒化ホウ素焼結体に関して記載された利点および好ましい実施形態は、方法についても同様である。

まず、六方晶系窒化ホウ素粉末を冷間プレスして(グリーン)成型体を形成し、他の方法ステップにおいて冷間プレスされた成型体を焼結して窒化ホウ素焼結体を形成し、このとき窒化ホウ素焼結体の密度は1.6g/cm3、詳細には1.5g/cm3より小さい値に適切に調節される。

この場合、有利には、冷間プレスされた成型体の密度が1g/cm3から1.3g/cm3の範囲内に調節される。第1の好ましい代替案によれば、冷間プレス工程にさらに熱間プレス工程が続き、この工程では成型体がさらに圧縮される。このとき熱間プレス工程は、1000℃から1500℃の間の温度で行われる。その場合、粉末内に含まれるバインダー成分、詳細には酸化ホウ素が気化するが、この成分は、粉末内に1から2重量%の割合で存在するのが好ましい。

有利には、この熱間プレス工程において、熱間プレスされた成型体が、最終的に完成した窒化ホウ素焼結体の密度より約0.1〜0.3g/cm3、詳細には約0.2g/cm3高い密度に適切に調節される。このとき、密度の調節は、有利には距離制御によって行われる。したがって、熱間プレスは、熱間プレスされた成型体の最大密度に達する前に中断される。

好ましい代替案によれば、冷間プレス後すぐに、すなわち他の熱間プレス工程なしで、本来の焼結工程が行われる。

冷間プレスは、有利には冷間静水圧プレスである。この冷間プレスは、粉末内にわずかに含まれる酸化ホウ素以外には、その他のバインダーなしで行われる。この静水圧プレスにより、冷間プレスされた成型体は最大等方性となる。それに対して熱間プレスは、好ましくは一軸の熱間プレスとして実施される。すなわち、まず冷間プレスされた成型体が規定の空間方向に沿って圧縮される。この空間方向は、同時に、結晶層に対して直交する、上述した第1の平行な空間方向(c方向)を規定する。これは、一軸の熱間プレス工程において、プレス方向に対して完全に直交する。

冷間静水圧プレスと一軸の熱間プレスのこの組合せの他に、原則的に一軸の冷間プレスおよび/または熱間静水圧プレスも可能である。

以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。

2つの異なる代替案の製造方法のフローチャートである。

本発明に基づく窒化ホウ素焼結体の熱伝導性の温度依存性を、従来の窒化ホウ素焼結体と比較した測定グラフである。

約100%の六方晶系の窒化ホウ素からなる、窒化ホウ素焼結体2a、bを形成するために、まず、方法ステップAにおいて、個々の粉末粒子が六方晶系の窒化ホウ素からなる粉末Pを準備する。粉末Pは、結晶の六方晶系の窒化ホウ素粒子の他にわずかな割合の酸化ホウ素を有している。この割合は、一般的に1〜5、特に2重量%の範囲内にある。その他、粉末Pは、好ましくは他の成分を有していない。

方法ステップBにおいて、この粉末はプレス型内へ挿入されて、冷間静水圧プレスを受けるので、次に、冷間プレスされた成型体4が得られる。冷間静水圧プレスにおいては、矢印6によって示されるように、形成する成型体4の全側面にプレス圧が加えられる。この冷間プレス工程においては、冷間プレスされた成型体4の密度が、約1から1.3g/cm3の範囲内に圧縮される。

第1の代替の方法では、次に、方法ステップCにおいて、さらに熱間プレスが行われ、冷間プレスされた成型体4が約1200℃から1500℃の温度において一軸で別のプレス工程を受ける。作用するプレス圧は、ここでも矢印6で示されている。結果として、このプレス工程によって熱間プレスされた成型体8が得られる。この成型体は、熱間プレス工程において、窒化ホウ素焼結体2aの望ましい最終密度を通常約0.2g/cm3上回る密度に調節される。したがって、一般的には、熱間プレスされた成型体8の密度は1.4から1.7g/cmの範囲内に調節される。最終的に、次の方法ステップDにおいて本来の焼結工程またはテンパリング工程が行われる。その場合、焼結工程は、不活性の雰囲気において、詳細には窒素雰囲気において、通常は約1700℃から2000℃、詳細には約1800℃の温度で行われる。持続時間は、数時間、好ましくは約3から5時間、特に4時間である。

熱間プレス工程の温度では、含まれる酸化ホウ素は溶融しているだけであり、したがってバインダーとして作用するため、熱間プレスされた高強度の成型体8が形成される。より高い焼結温度では、依然として含まれている酸化ホウ素が揮発し、個々の窒化ホウ素粒子が互いに焼結される。この酸化ホウ素の揮発により、最終的に形成された窒化ホウ素焼結体2a内の密度は、それぞれ熱間プレス工程における調節に従って、1.2から1.5g/cm3の範囲内に低下する。

第2の代替の方法では、方法ステップCによる熱間プレスが省かれ、冷間プレスされた成型体4は直ぐに焼結工程Dを受け、窒化ホウ素焼結体2bが形成される。したがって、この窒化ホウ素焼結体は、焼結および熱間プレスされた窒化ホウ素焼結体2aに比較すると、約1g/cm3から1.2g/cm3の範囲内、詳細には1g/cm3というはるかに低い密度を有する。

最終的に形成された窒化ホウ素焼結体2a、2bは、それぞれ、好ましくは30mmより大きい、特に40mmより大きい厚みdを有している。

このようにして形成された窒化ホウ素焼結体2a、2bは、特に熱伝導性と熱膨張係数に関して極めて高い等方性を有している。ここでは、第1の平行な空間方向、すなわちc方向と、それに対して直交する第2の空間方向、すなわちa方向とが区別されている。その場合、平行なc空間方向は、方法ステップCによる一軸の熱間プレスのプレス方向に対して平行である。

一般に、これら2つの空間方向a、cは、窒化ホウ素焼結体2a、2bの主軸に沿って互いに直交する2つの空間方向である。

図2に示すグラフは、1.5g/cm3の密度を有する、本発明に基づく熱間プレスされた窒化ホウ素焼結体2aの熱伝導性λの温度依存性を、従来のように形成された高密度の窒化ホウ素焼結体と比較して示している。温度に対する熱伝導性λはW/mKで記入されている。三角形で表される測定点は、従来の窒化ホウ素焼結体の、特にc空間方向における測定点である。菱形で表される測定点は、本発明に基づく低密度の窒化ホウ素焼結体2aの、特にc空間方向における測定点である。正方形で示される測定点は、本発明に基づく窒化ホウ素焼結体2aのa方向における測定点である。

従来の窒化ホウ素焼結体の値から、まず、これらの値が著しく温度依存性であって、室温における初期値の約70W/mKから、温度約1100℃における約25W/mKまで値が低下していることが分かる。それに対して本発明に基づく窒化ホウ素焼結体2aでは、2つの空間方向a、cの値は実質的に一定である。それらは、略室温から約1100℃までの温度範囲全体にわたって、約25W/mKの平均値からわずかに変動しているだけである。

さらにこの図から、2つの空間方向a、cの値は、ほとんど違いがないか、あるいは違いはわずかしかないため、この窒化ホウ素焼結体2aは熱伝導性に関して極めて高い等方性を有することが非常によく分かる。したがって、熱伝導性は、窒化ホウ素焼結体2aの方向に実質的に依存しない。

さらに、本発明に基づく焼結体2aの室温における熱伝導性の値は、従来の窒化ホウ素焼結体のそれよりもはるかに低いが、従来の焼結体においては下降が著しいために、温度が上昇するにつれて値はほぼ近接し、後の適用領域の範囲内、たとえば800℃を上回る温度範囲ですでにかなり近づいている。したがって、驚くべきことに、本発明に基づく窒化ホウ素焼結体2aの低密度は、後の適用温度においても熱伝導性の低下を引き起こさないことが認められる。

同様にして、窒化ホウ素焼結体2aは、熱膨張係数に関しても極めて高い等方性を有しており、その熱膨張係数は、熱伝導性と同様に、それぞれの温度に実質的に依存しない。

補足的に、以下の表では、従来の窒化ホウ素焼結体と本発明に基づく窒化ホウ素焼結体2aのその他の幾つかの特性が比較例として記載されている。

2つの窒化ホウ素焼結体は自己結合するシステムであるので、付加的なバインダーは供給されなかった。その場合、バインダー機能性は、初期粉末の中に通常はまだ1から2重量%の割合でいわゆる不純物として含まれている酸化ホウ素が引き継ぐ。この種の六方晶系窒化ホウ素焼結体の特徴的な色は白である。従来技術に基づく比較例の密度は1.9g/cm3であり、それに対して本発明に基づく窒化ホウ素焼結体2aの密度は、1.5g/cm3であった。

25℃における熱伝導性は、比較例では著しい異方性を有し、平行なc空間方向については78W/mKであり、直交する空間方向aにおいては130W/mKである。それとは異なり、本発明に基づく窒化ホウ素焼結体2aの値は、7W/mKしか異ならない。図2についてすでに説明したように、25℃での値は、従来の窒化ホウ素焼結体のそれよりもはるかに低いが、より高い温度になると明らかに同様の値となる。

比較例の場合、1200℃で測定した熱膨張係数に関する異方性は、さらに明確となり、4倍の違いがある。熱膨張係数は、平行なc空間方向については1.6×10−6/Kであり、直交するa空間方向においては0.4×10−6Kである。それに対して、本発明に基づく窒化ホウ素焼結体2aでは、0.15×10−6/Kの絶対的な差しか生じていない。したがって、ここでも、熱膨張係数は、従来の比較例と比べて極めて高い等方性を示す。さらに、本発明に基づく窒化ホウ素焼結体2aは、少なくとも平行なc空間方向に関して、著しく小さい熱膨張係数も特徴としており、その膨張係数は、比較例のそれより約8倍も小さい。比熱は、両方の窒化ホウ素焼結体においてほぼ同じである。このことは、不活性の周囲条件、たとえば保護ガス雰囲気/窒素雰囲気下での最大使用温度についても当てはまる。

さらに、これらの試験から、本発明に基づく窒化ホウ素焼結体が十分な電気的絶縁破壊強度も有していることが示された。

要約すると、窒化ホウ素焼結体2a、2bをごくわずかな密度に適切に調節することによって、特に好ましい物理的特性が得られることを確認できる。詳細には高い等方性が得られる。このことは、熱伝導性にも、熱膨張係数にも該当する。窒化ホウ素焼結体2a、2bは、高い等方性の他にも、特に室温から1000℃を超える温度範囲にわたって熱伝導性がほとんど温度に依存しないことを特徴としている。したがって、全体として、従来の六方晶系窒化ホウ素焼結体に比較して、明らかに改良された均一構造の等方性六方晶系窒化ホウ素焼結体2a、2bが得られ、等方性が改善されたことにより、その使用可能性は様々な適用事例について明らかにより柔軟性がある。

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