不織布裏貼り生地及びその製造方法

申请号 JP2010549434 申请日 2010-01-25 公开(公告)号 JPWO2010090093A1 公开(公告)日 2012-08-09
申请人 クラレトレーディング株式会社; 发明人 宏一 手島; 宏一 手島;
摘要 短繊維で構成された厚さ2mm以上の不織布とポリプロピレンからなる、目付け5g/m2以上の薄不織布が一体化されている積層不織布の該薄不織布層を炎により溶融させ、その溶融した状態で生地の一方の面に融着一体化した、不織布からなる裏貼り層が一体化された不織布裏貼り生地であり、産業廃棄物として廃棄する際の利便性の向上及び産業廃棄物とせずに使用可能とするリサイクル性を付与でき、さらに、生産環境面を悪化させずに、張り栄えやクッション性を増すことができる不織布裏貼り生地及びその製造方法を提供する。
权利要求
  • ポリエステル系の短繊維で構成された厚さ1mm以上の嵩高不織布と、生地とが接着層によって融着一体化している不織布裏貼り生地であって、該接着層は、ポリプロピレン系繊維の目付5〜50g/m 2の不織布を火炎により処理することにより融着され、かつ、該接着層は全体の80%以上がそれを形成する前記ポリプロピレン系繊維に由来する、長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物からなることを特徴とする不織布裏貼り生地。
  • 嵩高不織布が、捲縮率Kが20%以上のポリエステル系短繊維を30質量%以上含む請求項1に記載の不織布裏貼り生地。
  • 嵩高不織布が、180℃以下で溶融するポリエステル系短繊維を10質量%以上含む請求項1または2に記載の不織布裏貼り生地。
  • 嵩高不織布が、ニードルパンチ不織布である請求項1〜3のいずれかに記載の不織布裏貼り生地。
  • 接着層が、スパンボンド不織布、スパンレース不織布およびメルトブローン不織布から選ばれるいずれかの不織布を火炎により処理することにより得られたものである請求項1〜4のいずれかに記載の不織布裏貼り生地。
  • ポリエステル系の短繊維で構成された厚さ2mm以上の嵩高不織布の片面に、ポリプロピレン系繊維からなる厚さ1mm以下で目付け5〜50g/m 2の薄不織布を一体化して積層不織布を得、該薄不織布側に炎を当てて表面を溶融させ、その状態で該積層不織布を該薄不織布を介して生地の一方の面(裏面)に融着一体化する不織布裏貼り生地の製造方法。
  • 薄不織布が、ポリプロピレン系繊維からなる、スパンボンド不織布、スパンレース不織布およびメルトブローン不織布のいずれかの不織布である請求項6に記載の製造方法。
  • 嵩高不織布と薄不織布とをニードルパンチで一体化する請求項6に記載の製造方法。
  • 座席または椅子の形状を有する発泡成形体及びその表面を覆う請求項1に記載の不織布裏貼り生地からなり、該不織布裏貼り生地が、その生地が表面となるように発泡成形体を覆っている座席または椅子。
  • 说明书全文

    本発明は、ポリエステル系繊維からなる嵩高不織布が裏貼りされた生地及びその製造方法、さらにその不織布裏貼り生地が表面被覆材として用いられている座席または椅子に関する。

    自動車用座席や事務用椅子等の表面被覆材として使用されている生地には、その張り栄えやクッション性を増すために、該生地の裏面に発泡ポリウレタン層で代表される発泡樹脂層が貼り合わされている。 生地の裏面に発泡樹脂層を貼り合わせる方法としては、接着剤による貼り合わせ方法もあるが、一般的には、発泡樹脂層表面に炎を当てて、同表面を燃焼溶融させ、溶融した状態で生地の裏面に貼り合わせる、フレームラミネーションといわれる手法が広く採用されている(例えば、特許文献1)。 また、生地が貼り合わされた発泡樹脂層の貼り合わせ面とは反対側の発泡樹脂面には、滑り性の向上のため、ポリアミド等の繊維で作製された織編物が同様な手法により貼り合わせられることが多い。

    しかしながら、このような手法で作製された、発泡樹脂層が裏貼りされた表面被覆材は、発泡樹脂層がポリウレタン製であることから、産業廃棄物として廃棄する際には、焼却させると有害なガスが発生することから焼却処分することができず、止む無く埋め立て等の限られた廃棄処分方法が採用されているのが現状である。
    さらに、フレームラミネーションの現場では、発泡ポリウレタン樹脂の燃焼により有害ガスが発生し、作業環境の悪化のみならず、延いては自然環境の破壊をもたらすこととなる。

    このような環境に害を与える技術を改善する目的で、ポリウレタン発泡層の替わりに、合成繊維等からなる不織布が上市されており、そして表面被覆材となる生地の裏面にこのような不織布を貼り合わせる方法として、接着剤を使用して貼り合わせる方法が用いられている。 しかしながら、この方法の場合には、生地表面への接着剤の染み出し、それによる生地の風合い低下、不織布の交絡不足のために生じる剥離強度不足、接着剤を構成する有機溶剤の蒸散による生産環境の悪化等の問題が新たに生じることとなる。

    このような不織布を用いる技術であって、上記接着剤を用いる方法に代えて、不織布を構成する繊維の一部を低融点繊維に置き換えて低融点繊維と高融点繊維が混綿された不織布を製造し、この不織布を、フレームラミネ―ション法により該低融点繊維を燃焼溶融させ、その状態で生地裏面に貼り合わせる方法も知られているが(特許文献2)、この方法の場合には、該高融点繊維が接着面表面に存在することや、該低融点繊維がフレームラミネ―ション時に溶融と共に収縮を生じて不織布内部に陥没してしまい、その結果、生地と不織布との間で充分な接着が得られないという問題点を有している。

    また同様に不織布を用いる技術として、ポリエステル繊維からなる嵩高不織布の表面に、低融点ポリエステル繊維からなるスパンボンド不織布や低融点ポリエステルからなるパンチングフィルムを重ね合わせて一体化した積層不織布を用い、加熱して、該低融点ポリエステルを溶融させ、その状態でポリエステル繊維製の生地の裏面に該積層不織布を貼り合わせて、嵩高不織布が裏貼りされた生地を得る技術が公知であるが(特許文献3)、この技術の場合には、溶融状態の低融点ポリエステルは短時間で温度が下がり易く、固化し易いことから、フレームラミネーション法による貼り合わせでは溶融状態で生地に張り合わせる充分な時間がなく、生地との充分かつ均一な接着力が得られないという問題点がある。

    特開平9‐123803号

    特開平11−253279号

    特開平06−270341号

    本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、すなわち、焼却の際に有害ガスを発生しないことから焼却処理が可能であり、生産現場の環境を悪化させることもなく、従来から広く使用されているフレームラミネ―ション装置を用いて製造することができ、かつ産業廃棄物とせずに再使用可能なリサイクル性を有する不織布裏貼り生地、及びその製造方法を提供することを目的とする。
    また、当該不織布裏貼り生地を表面被覆材として使用することにより、生地の有する柔軟性や風合いを損なうことなく、座り心地を向上させ、優れた張り栄え性やクッション性を有し、そして従来技術のように表面の生地と裏面に貼り合わせた不織布が容易に剥離するという問題点を有しない、座席又は椅子を提供することにある。

    本発明者は、生地の裏面で貼り合わせるものとして、生地の張り栄え、クッション性を向上させ、座り心地の快適性を与える点で、短繊維で構成させた厚さ1mm以上のポリエステル系嵩高不織布が優れていること、かつ接着層としてポリプロピレン系繊維からなる薄不織布を使用することで、上記の従来技術のような接着剤や接着用不織布を用いることにより、あるいは発泡ポリウレタンシートを用いることにより生じる諸問題を全て解決でき、かつ従来のフレームラミネーション装置をそっくりそのまま使用できることを見出し本発明に至った。

    すなわち、本発明は、
    (1)ポリエステル系の短繊維で構成された厚さ1mm以上の嵩高不織布と、生地とが接着層によって融着一体化している不織布裏貼り生地であって、該接着層は、ポリプロピレン系繊維の目付5〜50g/m 2の不織布を火炎により処理することにより融着され、かつ、該接着層は全体の80%以上がそれを形成する前記ポリプロピレン系繊維に由来する、長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物からなることを特徴とする不織布裏貼り生地、
    (2)嵩高不織布が、捲縮率Kが20%以上のポリエステル系短繊維を30質量%以上含む前記(1)に記載の不織布裏貼り生地、
    (3)嵩高不織布が、180℃以下で溶融するポリエステル系短繊維を10質量%以上含む前記(1)または(2)に記載の不織布裏貼り生地、
    (4)嵩高不織布が、ニードルパンチ不織布である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の不織布裏貼り生地、
    (5)接着層が、スパンボンド不織布、スパンレース不織布およびメルトブローン不織布から選ばれるいずれかの不織布を火炎により処理することにより得られたものである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の不織布裏貼り生地、
    (6)ポリエステル系の短繊維で構成された厚さ2mm以上の嵩高不織布の片面に、ポリプロピレン系繊維からなる厚さ1mm以下で目付け5〜50g/m 2の薄不織布を一体化して積層不織布を得、該薄不織布側に炎を当てて表面を溶融させ、その状態で該積層不織布を該薄不織布を介して生地の一方の面(裏面)に融着一体化する不織布裏貼り生地の製造方法、
    (7)薄不織布が、ポリプロピレン系繊維からなる、スパンボンド不織布、スパンレース不織布およびメルトブローン不織布のいずれかの不織布である前記(6)に記載の製造方法、
    (8)嵩高不織布と薄不織布とをニードルパンチで一体化する前記(6)に記載の製造方法、及び(9)座席または椅子の形状を有する発泡成形体及びその表面を覆う前記(1)に記載の不織布裏貼り生地からなり、該不織布裏貼り生地が、その生地が表面となるように発泡成形体を覆っている座席または椅子、
    を提供する。

    本発明の不織布裏貼り生地において、生地を剥離した場合に接着層に出現する、ポリプロピレン系繊維に由来する、長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物を示すモデル図である。

    1. 剥離された接着層の表面 2. 長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物

    本発明の不織布裏貼り生地では、ポリプロピレン系繊維からなる厚さ1mm以下で目付け5〜50g/m 2の薄不織布が接着層として用いられており、ポリプロピレン系繊維からなる不織布は、他の繊維からなる不織布と比べて、フレームラミネーション法を用いた場合に均一溶融状態保持性に優れており、さらに不織布であることから均一に嵩高不織布表面を満遍なく覆っている。 その結果、嵩高不織布と生地を均一かつ強固に接着することが可能であり、よって、張り栄えのする、クッション性に優れた、自動車用座席や事務椅子等に使用される不織布裏貼り生地が極めて簡単に得られる。
    しかもこの不織布裏貼り生地は、従来技術のように廃棄する際に問題となる材料を含んでいないことから焼却処理あるいはリサイクルが可能であり、したがって環境面からも極めて優れている。

    以下、本発明を詳細に説明する。
    (嵩高不織布)
    ここでいう嵩高不織布とは、自動車用座席、自動車内装材用ドア、事務用椅子等に表面被覆材として使用される生地に、張り栄えやクッション性を向上させるために用いられるものであって、従来一般に使用されている裏貼り用の発泡ポリウレタン樹脂層の代替物として用いることのできる嵩高不織布のことである。

    このような嵩高不織布は、裏貼りした生地の張り栄え性、クッション性等を担う部分であり、これらの性能をもたらす上から、生地との一体化後で、嵩高不織布部の厚みは1mm以上あることが必要で、好ましくは厚みが2mm以上、さらに好ましくは厚みが4mm以上である。 厚みが1mm未満の場合には、目的とする生地の張り栄え、クッション性が得られない。 厚みに上限は特にないが、嵩高不織布が容易に作製できること、不織布を裏貼りした生地の縫製し易さ等を考えれば厚さ15mmまでが適当である。
    フレームラミネーション法による貼り付け後の嵩高不織布厚さを1mm以上にするためには、ポリプロピレン系繊維からなる薄不織布と一体化する前の状態で厚みが2mm以上ある必要がある。 ニードルパンチ法で得られた嵩高不織布は、各工程での張力の影響、巻き上げの影響、フレームラミネーション工程での圧着の影響により厚みは減じる方向となるため、2mm以上が必要であり、好ましくは3mm以上である。

    このような嵩高不織布の重量(目付け)としては特に制限はないが、生産面およびコスト面を考慮すると50〜700g/m 2 、さらに80〜500g/m 2 、特に100〜300g/m 2が好適である。 また、嵩高不織布の見かけ密度としては、クッション性の点で0.03〜0.08g/cm 3の範囲、特に0.04〜0.06g/cm 3の範囲が好ましい。

    また、短繊維で構成された嵩高不織布としては、ポリエステル系短繊維であることが、へたり(嵩高の減少)が少なく、高いクッション性が得られる点で必要である。 ポリエステル系短繊維を80〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%、特に90〜100質量%とすることが好ましい。 嵩高不織布を構成する短繊維として、ポリエステル系短繊維の他に、ポリアミド系やポリオレフィン系等の合成繊維、レーヨンで代表される化学繊維、コットン、麻、羊毛等の天然の短繊維を0〜20質量%程度含んでいてもよい。

    また、嵩高不織布の製造方法としては、カーディングにより短繊維のウェブを作製し、当該ウェブを、流、ニードルパンチ、バインダー樹脂等にて繊維同士を交絡・固定させる方法が挙げられる。

    本発明を構成する嵩高不織布に使用される短繊維については、耐へたり性やクッション性の点で、ポリエステル系の合成短繊維、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはこれらを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステル類からなる短繊維がもっとも好適例として挙げられる。
    これらポリエステル系繊維の構成樹脂としては、環境面を考慮した資源の有効活用の観点から、ペットボトル、廃プラスチックから回収されたポリエステルであってもよい。 また、ポリ乳酸のような非石油系ポリエステル系樹脂から得られた短繊維であってもよい。

    また、嵩高不織布に使用するポリエステル系短繊維の繊度(太さ)およびカット長に関しては、特に限定はないが、繊度としては1〜20デシテックス(dtex)の範囲が好ましく、より好ましくは1.5〜15dtexの範囲、もっとも好ましくは2〜11dtexの範囲であり、カット長は15〜100mmの範囲が好ましく、より好ましくは20〜80mmの範囲、さらに好ましくは25〜60mmの範囲である。

    その中でも、嵩高不織布層を構成する繊維として、均一性と嵩高性、さらに耐へたり性およびクッション性の点から、特に捲縮率Kが20%以上60%以下のポリエステル系の短繊維原綿を使用するのが好ましい。 より好ましくは、捲縮率Kが25〜50%のポリエステル系繊維を嵩高不織布構成全繊維の20〜100質量%用いるのが、優れた嵩高性と張り栄え、さらにクッション性および耐へたり性が得られる点で好ましい。

    ここでいう捲縮率Kとは、熱処理前の短繊維を50〜100dtexの太さとなる本数を揃え、10dtexあたり0.1gの荷重をかけて短繊維の長さを測定し(L1)、その繊維束を180℃で15分間乾熱処理し、その後同じ荷重をかけて繊維長を測定する(L2)。 そして次式により捲縮率Kを求める。
    捲縮率K(%)=(L1−L2)/L1×100
    このような捲縮率Kが20%以上60%以下のポリエステル系短繊維は、具体的には短繊維を生産する際に付与する捲縮の捲縮率、捲縮数を大きくすることで得られ、さらには収縮率の異なるポリエステル樹脂をサイドバイサイド断面となるように複合紡糸することにより製造される。 捲縮率Kが20%以上60%以下のポリエステル系短繊維が用いられている場合、その繊度は1.5〜20dtexの範囲が好ましく、特に2〜11dtexの範囲が好ましい。 捲縮率Kが20%未満では、嵩高な不織布が得られず、クッション性及び耐ヘタリ性も劣り、捲縮率Kが60%を超えると、熱収縮率が大きく、硬いクッションの不織布となり裏貼り不織布として適しない。

    また、これらの繊維から得られた不織布を、乾熱で100℃以上200℃以下の熱風で処理するのが好ましい。 処理することにより捲縮が発現してクッション性が向上するため、より好ましい状態となる。

    さらに嵩高不織布が、構成する単繊維の全体あるいは一部の成分が180℃以下、より好ましくは150〜180℃の乾熱で溶融する短繊維を10質量%以上、より好ましくは、全繊維の10〜40質量%、特に好ましくは、15〜30質量%含む短繊維で構成され、熱処理したものであることが、不織布部の耐へたり性、クッション性の向上の点で好ましい。
    繊維全体が溶融するということは、繊維全体が180℃以下の乾熱で溶融するポリマーで構成されていることを意味するが、例えば、共重合ポリエステルからなる低融点繊維が用いられている場合がそれに当たる。
    このような繊維全体が熱融着性ポリマーからなる繊維としては、繊度1〜20dtexのものが好ましく、繊維長としては15〜80mmの範囲のものが好ましい。 不織布構成主体繊維であるポリエステル系繊維との熱融着性を考慮すると、同主体繊維と同様の繰り返し単位を主単位とするポリエステル系樹脂から構成されているのが好ましい。

    一方、単繊維の一部が180℃以下で溶融する繊維とは、繊維の一部が180℃以下で溶融するポリマーで構成されている繊維のことであり、例えば、芯鞘型複合繊維において鞘成分がそのようなポリマーで構成され、かつ芯成分ポリマーが、鞘成分ポリマーが溶融する温度では溶融しない高い融点を有するポリマー(高融点ポリマー)で構成されている複合繊維や、高融点ポリマーと180℃以下の低い温度で溶融するポリマー(低融点ポリマー)がサイドバイサイドで存在しているような複合繊維、つまり繊維表面の一部が180℃以下で溶融するポリマーで覆われている複合繊維がこれに当てはまり、一般的にはバインダー繊維とよばれる繊維である。 もちろん、芯鞘型複合繊維の芯成分ポリマーおよびサイドバイサイド型複合繊維の1成分は、180℃では溶融しないポリマーである必要がある。 特に180℃から30℃以上高い温度でも溶融しないポリマーが好ましい。

    そして、芯鞘型複合繊維あるいはサイドバイサイド型繊維において、180℃以下で溶融する低融点ポリマー成分として共重合により融点を低下させたポリエステル系樹脂、180℃では溶融しない高融点ポリマー成分として実質的に共重合されていない、あるいは共重合されていても共重合の割合が前記180℃以下で溶融するポリマー成分より少ないポリエステル系樹脂が好ましい。 繊維の一部が180℃以下で溶融するバインダー繊維を用いる場合には、その繊度は1〜20dtexの範囲が好ましい。 また、バインダー繊維を不織布構成繊維の一部として用いる場合には、不織布を構成する主体繊維であるポリエステル系繊維との熱融着性を考慮すると、180℃以下で溶融するポリマーは、同主体繊維と同様の繰り返し単位を主単位とするポリエステル系樹脂であるのが好ましい。

    特に、このような、芯鞘型複合繊維が嵩高不織布を構成する繊維の一部として用いられ、かつ上記の捲縮率を満足する繊維が用いられている場合、例えば芯鞘複合繊維またはサイドバイサイド型複合繊維が嵩高不織布を構成する全繊維の20〜90質量%であり、かつ上記捲縮率を有する繊維が嵩高不織布を構成する全繊維の10〜40質量%である場合には、得られる嵩高不織布は極めてクッション性に富むとともに、そのようなクッション性が長期間の使用によっても保有され、へたることがないことから特に好ましい。 サイドバイサイド型繊維が、その一成分に180℃以下で溶解するポリマーを用いて製造されたもので、上記捲縮率Kを満足するものを用いることも可能である。

    180℃以下の乾熱で溶融する短繊維をバインダー成分として用いる場合には、同短繊維を含む嵩高不織布を熱処理して、該バインダー成分を溶融させてバインダー効果を発現させることとなるが、その温度はバインダー成分が溶融する温度(融点)以上でかつその融点プラス30℃以下が好適である。

    また、使用繊維同士の固定方法に関しては、上記したように、水流、ニードルパンチ、バインダー処理等が一般的であるが、特に2mm以上の厚さの嵩高不織布を得るには、特にニードルパンチによるものが、交絡性の点で有利であり、好ましい。 ニードルパンチ条件としては、10〜500本/cm 2程度の針刺し密度条件を採用するのが好ましい。

    また、バインダーを用いる方法も好ましく、バインダー樹脂の具体例として、アクリル系の接着剤、あるいは前述したような低融点ポリマーを含むバインダー繊維を使用することができるが、均一かつ強固な固定が得られることから前記したバインダー繊維を用いる場合が好ましい。 もちろん、これら固定方法の2つ以上、例えばバインダー繊維を用い、かつニードルパンチ法を併用してもよい。

    本発明において、嵩高不織布は、厚さが1mm以上であることが必須であるが、ここでいう厚さとは、後述するフレームラミネーションにより生地と融着一体化した後の厚さであり、フレームラミネーションにより若干厚さが減少することを考慮して、嵩高不織布を2mm以上の厚さに作製するのが好ましい。

    次に本発明を構成する接着層、すなわち、ポリプロピレン系繊維からなる薄不織布をフレームラミネーション処理することにより形成される層について説明する。
    接着層はポリプロピレン系繊維に由来して構成される。 すなわち、接着層にはポリプロピレン系樹脂が熱接着性樹脂として60〜100質量%含まれていることが必要である。 熱接着性の樹脂として、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリアミド系等種々のものが知られているが、フレームラミネ―ション法を用いて熱接着させる場合には、炎により溶融された樹脂がしばらく溶融状態を均一に保っていて、かつ溶融された樹脂が表面張力により速やかに球状とならない必要があり、ポリプロピレン系の樹脂がこの要求を特に高度に満足する。 他の樹脂はこの点で劣る。 さらに、ポリプロピレン系樹脂からは、均一な目付けの薄い不織布が得易いという特長も有している。 均一な目付けの不織布の場合には、フレームラミネーション法により接着強度が均一かつ強固に接着された裏貼りされた生地が得易い。 本発明の不織布裏貼り生地は、自動車用座席や事務用椅子の表皮材として好適に用いられるものであることから、長期間に亘り、人体から負荷が係り、接着強度が低い場合や不均一な場合には、接着が外れて、風合いが損なわれたり、皺がよったりして見栄えが悪化することとなることから、接着強度が均一で高いことは、この用途には重要な要求性能である。

    本発明で言うポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単位100質量%からなる樹脂の他に、他の共重合単位を少量含有していてもよい。 また、少量(20質量%未満)ならばポリプロピレン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。

    接着層を構成するポリプロピレン系繊維におけるポリプロピレン系樹脂の含有量が60質量%未満の場合には、フレームラミネーション工程でラミネーションが困難となり、さらには十分な接着強力が得られない。

    接着層となる薄不織布は、ポリプロピレン系繊維からなる薄い厚さの不織布であり、具体的にはスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。 薄不織布がニードルパンチ不織布の場合には、本発明の前記嵩高不織布用のウェッブと薄不織布用ウェッブを重ね合わせ、両者をニードルパンチで一体化するとともに絡合させる方法を用いても良い。 特に均一性およびコスト面から、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布が好ましく、なかでもスパンボンド不織布がもっとも好ましい。

    薄不織布を構成するポリプロピレン系繊維は、太さ(直径)が1〜50μmであることが均一かつ強固な接着力が得られる点で好ましく、特に好ましくは5〜30μmの範囲である。 また、繊維長に関しては、エンドレスの長繊維が均一かつ強固な接着力が得られる点で最も好ましい。 そして、薄不織布は、構成する繊維の一部が融着により不織布の形態を保っているのが好ましい。

    接着層は、生地と一体化した後において、厚みが1mm以下であることが重要である。 接着層の厚みが1mmより大きいと、生地と貼り合わせた後のクッション性が損なわれる。 したがって、厚みは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下で、下限に関しては特に限定はないが、0.05mm以上が好ましい。 また、重量(目付け)としては、5g/m 2以上であることが重要である。 5g/m 2未満であると、フレームラミネーション工程において十分な接着強度が得られなくなる。 重量の上限に関しては特に限定はないが、クッション性やコスト面を考慮すると50g/m 2以下が好適である。 好ましくは5〜50g/m 2 、より好ましくは10〜30g/m 2である。

    また、フレームラミネーション工程において接着層が充分に溶融して充分な接着強度が得られるためには、フレームラミネーション工程前の嵩高不織布の段階では、密度は前記したように、0.03〜0.05g/cm 3であるのが好ましく、フレームラミネーション工程後には、密度が0.03〜0.08g/cm 3であるのが好ましい。

    そして、接着層が充分な接着力を有し、嵩高不織布が充分なクッション性を有するためには接着剤層が嵩高不織布より密度が0.01g/cm 3以上であることが好ましい。 ここで言う密度とは、後述する厚み測定方法により得られる厚み及び目付けから計算により求められる値である。

    このようなポリプロピレン系繊維製の薄不織布を嵩高不織布の上に重ね、その表面に炎を当てて溶融させ、そしてその状態で生地を重ね合わせ、融着一体化したことに由来して、該薄不織布層は、ポリプロピレン系樹脂からなる長さ2〜20mmで厚さ/直径の比が3〜30の繊維状物を主体とする目付5〜50g/m 2の接着層となる。 一方、ポリプロピレン製フィルムや、あるいはポリプロピレン製粒子を存在させた場合には、上記のような繊維状物を主体とする接着層は形成されない。 このような繊維状物により接着されていることにより、均一かつ強度の高い接着力が得られる。 好ましくは殆どの繊維状物の太さが1.5mm以下の場合で、かつ繊維状物が嵩高不織布表面にランダムな方向を向いて存在している場合である。

    本発明において、嵩高不織布層と接着層となる薄不織布層は容易に剥がれないことが重要である。 ここでいう容易に剥がれないというのは、ロール巻き状態から取り出す際に、積層不織布が嵩高不織布と接着層(薄不織布層)の2層に分かれて取り出されることがない程度の充分な接着力を有していることをいう。 例えば、嵩高不織布用ウェッブと薄不織布を重ね合わせ、同時にニードルパンチにより絡合させる方法を用いると、両者が強固に接着された積層体絡合不織布が一挙に製造できる。 それ以外に、嵩高不織布と薄不織布を積層一体化する方法としては、嵩高不織布と薄不織布を別々に作製して、それぞれをバインダーにて接着させる方法や、嵩高不織布と薄不織布を別々に作成しておき、それらを積層して嵩高不織布側からニードルパンチを施し、嵩高不織布層を構成している短繊維を薄不織布層と絡める方法等が挙げられる。

    本発明において、嵩高不織布がポリエステル系の短繊維から製造された低密度不織布で、薄不織布が、ポリプロピレン製のスパンボンド不織布やメルトブローン不織布等の高密度不織布である場合が好ましく、このような場合には、接着層の厚み斑が生じにくくフレームラミネーションにより均一な厚さと均一かつ強固な接着性が得られ易い。

    不織布層と接着層となる層(薄不織布層)を積層した積層不織布を生地裏面に貼り合わせる方法としては、フレームラミネーション法が用いられる。 現在、一般的に行われているフレームラミネーション法は、接着剤を使用することなく、部材の一部、例えば発泡ポリウレタンの表面を炎により溶融させて、溶融している間に、その表面にもう一方の部材、例えば生地と溶融接着により貼り合わせる手法である。

    本発明では、嵩高不織布と薄不織布を積層した積層不織布の該薄不織布表面に炎をあてて、同表面を融着させ、融着している間に生地裏面と貼り合わせる方法が用いられる。 貼り合わせの強力に関しては、その後の縫製工程や椅子等への設置(貼り合わせ)時に剥がれたり、また座席等の商品として使用中での剥がれが生じないようにするために、JIS L 1089法に準じて測定した剥離強さが、0.5〜8N/cmを有しているのが好ましく、さらに好ましくは0.8〜6N/cmである。

    本発明において、生地の裏面にフレームラミネーション法により上記積層不織布が貼られることとなるが、生地としては、モケット、ベルベット等の織物、ラッセル、トリコットの経編地、丸編等の緯編等が挙げられる。 また、不織布や織編物の表面にポリウレタンや塩化ビニル樹脂を存在させた合成皮革であっても、あるいは天然皮革の裏面に織編物を存在させたものであってもよい。 生地を構成する繊維としては、コスト、耐久性、染色堅牢度などの観点からポリエステル系繊維で作製した生地、塩化ビニル樹脂を表面にコートしたポリエステル系生地が好ましい。

    さらに不織布裏貼り生地の嵩高不織布の裏面側には、クッション材等との滑り性の向上のため、ポリアミド等の繊維で作製された織編物を同様な手法により貼り合わせてもよく、その際には同裏面側にも上記した薄不織布を一体化し、それをフレームラミネーション法により溶融させ、その状態で上記織編物を重ね合わせる方法を用いることができる。

    以下、実施例をもって本発明を説明するが、これにより本発明の範囲が制限されるものではない。

    実施例における不織布の厚み、剥離強さ、及びその他の評価は、以下の方法で測定した。
    (不織布の厚み)
    ここでいう不織布の厚みは、測定する対象の試料の断面を生地に余分な力を与えてへこまさないような状態でノギスにて測定した値である。 また貼り合せた後の不織布の厚みは、生地と貼り合せた状態で全体の厚みをノギスで測定し、一方、側面の断面写真を任意に3箇所撮影した後、同写真からそれぞれの層の全体に占める厚さ割合を求めて、全体の厚みから比例計算して算出した値の平均値である。
    (剥離強さ)
    JIS L 1089に準じて測定した。 〔測定数n=10:ばらつきを調査するために、任意に切り取った10サンプルの平均値である。 〕
    (張り栄え)
    不織布裏貼り生地を椅子等の表皮材として張り付けた際の、「張り感」の有無を3名で目視評価して、2名以上が「張り感」があると判定した場合を、「張り栄え」があるとした。
    (嵩高不織布層と生地との剥離強さのばらつき)
    裏貼りされた生地(長さ10m)から任意の10点を満遍なく切り取り、その剥離強さを測定し、それらの最小値、最大値が含まれる範囲を、前記剥離強さを基準として求め、剥離強さのばらつきとした。

    (クッション性)
    3名の評価者が不織布裏貼り生地を表皮材として張り付けられた事務用椅子に着座し、2名以上が「クッション性」に優れると判定した場合を、「クッション性を有する」と判定した。
    (へたり)
    不織布裏貼り生地を事務用椅子に表皮材として張り付け、400MPaの荷重を5時間かけ、荷重を除いた後の厚みが、荷重をかける前の厚みの80%以上の場合を、「へたりの生じないもの」と判定した。

    (ポリプロピレン系樹脂からなる長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の条件を満たす繊維状物の割合)
    フレームラミネーションにより生地と一体化した後、静に生地を剥離すると、嵩高不織布側もしくは生地側に付着している(通常は嵩高不織布側)。 付着した接着層の表面を油性の黒色マーカーにより濃色に着色される。 それを複写機(コピー機)で等倍にコピーする。 得られたコピーに3cm四方の大きさの枠を設け、この枠内に存在する繊維状物の像の長軸短軸のうち長軸長さを「繊維状物の長さ」、短軸長さを「繊維状物の直径」と置き換え、「長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の条件を満たす繊維状物」が同範囲の属する接着層全体の長軸長さの合計に占める割合(%)を算出する。 (なお、枠の内と外にまたがって存在する繊維状物は、枠の内外を問わずその先端部まで観測してデータに加える。)
    長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の条件を満たす繊維状物の割合(%)=〔(長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の条件を満たす繊維状物の長軸長さの和)÷(接着層全体の長軸長さの和)〕×100


    実施例1
    繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート製短繊維を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により厚みが4mm、目付けが200g/m 2で、密度が0.05g/cm 3の嵩高不織布を得た。 一方、ポリプロピレン長繊維からなる厚みが0.2mm、目付けが20g/m 2で、密度が0.1g/cm 3のポリプロピレン製スパンボンド不織布(薄不織布)を上記嵩高不織布と重ね合わせ、嵩高不織布側から針刺し密度100本/cm 2でニードルパンチして一体化させ、厚さ3.8mmの嵩高不織布層(密度0.052g/cm 3 )と、厚さ0.2mmの接着層となる層(密度0.10g/cm 3 )からなる生地裏貼り用積層不織布を得た。

    この積層不織布を紙管に巻き、この積層不織布と生地としてポリエステル繊維製トリコットを、フレームラミネーション工程により貼り合わせることとしたが、紙管からの取り出し時に、不織布層(嵩高不織布層)と接着層(薄不織布層)が分離することはなかった。 フレームラミネート時、接着層に炎をあてて溶融させた後、生地裏面に貼り合わせた。 嵩高不織布層と生地との剥離強さは3.4N/cmであった。 また、裏貼りされた生地(長さ10m)から任意の10点を満遍なく切り取り、その剥離強さのばらつきを測定した結果、いずれも上記剥離強さの90%〜110%の範囲内であり、均一な接着力を有していることが確認できた。 また、フレームラミネーションした部分を剥がして接着層の状態を観測した結果、ポリプロピレン系樹脂からなる長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の条件を満たす繊維状物の割合が93%の接着層であることが確認された。 一方、嵩高不織布層は、フレームラミネーションの後、厚さが3.3mmとなった。

    そして、得られた不織布裏貼り生地を用いて事務用椅子および自動車用座席の上張り(表皮材)として使用したところ、皺の発生がなく張り栄えがし、クッション性に優れ、生地と裏貼り材との間で剥離が生じず、かつ、へたりの生じないものであった。

    比較例1
    実施例1において、嵩高不織布を、厚み1.4mmで目付け100g/m 2の不織布に変更する以外は実施例1と同様にして、厚さ1.4mm不織布層(密度0.071g/cm 3 )と厚さ0.2mm(密度0.10g/cm 3 )の接着層からなる生地裏貼り用積層不織布を得た。
    これを実施例1と同様にフレームラミネーションにより生地に一体化して不織布裏貼り生地を得た。 その結果、剥離強さは3.3N/cmであったが、椅子の上張りとして使用したところ、張り栄えが劣り、さらにクッション性に著しく劣る不織布裏貼り生地であった。

    比較例2
    実施例1において、薄不織布として厚み2.5mm、目付150g/m 2のポリプロピレンニードルパンチ不織布を用いる以外は実施例1と同様に嵩高不織布側からニードルパンチして厚さが3.8mmの不織布層(密度0.052g/cm 3 )と、厚さが2.3mmの接着層(密度0.065g/cm 3 )からなる生地裏貼り用積層不織布を得た。
    これを実施例1と同様にフレームラミネーションによりポリエステル繊維製トリコット生地に一体化した。 その結果、剥離強さは3.6N/cmであったが、接着層が厚く、事務用椅子の上張りとして使用した結果、実施例1のものに比べ張り栄えが劣り、クッション性が劣るものであった。

    比較例3
    繊度が3.8dtex、繊維長が76mm、捲縮率Kが15%のポリプロピレン短繊維を用いてカードによりウェッブを作製した後、このウェッブ2枚を重ね合わせ、ニードルパンチして厚みが6mmで目付けが250g/m 2の不織布(密度は0.042g/cm 3 )を得た。 この不織布の片面に炎をあてて溶融させた後、ポリエステル繊維製トリコットの生地裏面に貼りあわせた。 剥離強さは3.6N/cmであり、張り栄えがしクッション性を持つ生地に仕上がった。 しかし、炎の当て方により接着層となる厚みが変化しフレームラミネーションによる貼り合わせが困難なものであり、実施例1のものより劣ったものと判定せざるを得なかった。

    実施例2
    繊度が3.3dtex、繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート製短繊維を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により厚み4mm重量200g/m 2の不織布を得た。 この不織布を130℃の熱風で熱処理した。 次いで厚みが0.2mmで目付け20g/m 2のポリプロピレン製スパンボンド不織布を上記不織布と重ね合わせ、不織布側から実施例1と同一の針刺し密度100本/cm 2でニードルパンチして一体化させ、厚さ4.2mmの不織布層(密度0.047g/cm 3 )と厚さ0.2mmの接着層(密度0.10g/cm 3 )からなる生地裏貼り用積層不織布を得た。

    これを紙管に巻き、その後、生地としてポリエステル繊維製トリコットを用い、フレームラミネーション工程にて使用したが、取り出しするとき、不織布部と接着層が分離することはなく、剥離強さは4.0N/cmであり、また、剥離強さのばらつきは、いずれも上記剥離強さの90%〜110%の範囲内であり、均一な接着力を有していることが確認できた。 また、フレームラミネーションした部分を剥がして接着層の状態を観測した結果、ポリプロピレン系樹脂からなる長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物の割合が92%の接着層であることが確認された。 一方、嵩高不織布層は、フレームラミネーションの後、厚さが3.9mmとなった。

    そして、得られた生地を用いて椅子および自動車用座席の上張りとして使用したところ、実施例1のものに比べ、一層張り栄えに優れ、かつ一層クッション性に優れた、へたりの生じないものであった。

    実施例3
    繊度2.7dtexで繊維長が51mmであり、捲縮率Kが35%の、ポリエチレンテレフタレートと変性ポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸5%をイソフタル酸に置き換えて重合したもの)を成分としたサイドバイサイド型短繊維を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により、厚み4mmで目付け200g/m 2の不織布を得た。 その後、この不織布を130℃の熱風で熱処理した。
    次に厚みが0.2mmで目付けが20g/m 2のポリプロピレン製スパンボンド不織布を上記不織布と合わせ、不織布側から針刺し密度100回/cm 2でニードルパンチして一体化させ、厚さ4.7mmの不織布層(密度0.042g/cm 3 )と厚さ0.2mmの接着層(密度0.10g/cm 3 )からなる生地裏貼り用積層不織布を得た。

    これを紙管に巻き、その後、フレームラミネーション工程にて使用したが、取り出しするとき、不織布層と接着層が分離することはなく、接着層に炎をあてて溶融させた後、生地としてのポリエステル繊維製トリコットの生地裏面に貼りあわせた。 剥離強さは2.8N/cmであり、剥離強さのばらつきは、いずれも上記剥離強さの90%〜110%の範囲内であり、均一な接着力を有していることが確認できた。 また、フレームラミネーションした部分を剥がして接着層の状態を観測した結果、ポリプロピレン系樹脂からなる長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物の割合が90%の接着層であることが確認された。 一方、嵩高不織布層は、フレームラミネーションの後、厚さは4.5mmであった。

    そして、得られた不織布裏貼り生地を用いて事務用椅子および自動車用座席の上張りとして使用したところ、実施例1のものに比べ張り栄えがより一層向上し、実施例1のものより優れたクッション性を持つ、へたりの生じないものであった。

    実施例4
    繊度3.3dtexで繊維長が51mmであり、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート製短繊維70質量%、及び繊度が2.2dtexで繊維長が51mmであり、捲縮率Kが15%であるポリ乳酸短繊維30質量%を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により、厚みが3.7mmで目付けが200g/m 2の不織布を得た。 次に、厚さが0.2mmで目付けが20g/m 2であるポリプロピレン製スパンボンド不織布(薄不織布)を上記不織布と重ね合わせ、不織布側から針刺し密度100回/cm 2でニードルパンチして一体化させ、厚さ3.5mmの不織布層(密度0.057g/cm 3 )と厚さ0.2mmの接着層(密度0.10g/cm 3 )からなる生地裏貼り用積層不織布を得た。

    これを紙管に巻き、その後、フレームラミネーション工程に使用したが、取り出しするとき、不織布層と接着層が分離することはなく、薄不織布面に炎をあてて溶融させ、その状態で生地としてのポリエステル繊維製トリコットの生地裏面に貼りあわせた。 その結果、剥離強さは3.0N/cmであり、剥離強さのばらつきは、いずれも上記剥離強さの90%〜110%の範囲内であり、均一な接着力を有していることが確認できた。 また、フレームラミネーションした部分を剥がして接着層の状態を観測した結果、ポリプロピレン系樹脂からなる長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物の割合が93%の接着層であることが確認された。 一方、嵩高不織布層は、フレームラミネーションの後、厚さが2.9mmであった。

    そして、得られた不織布裏貼り生地を用いて事務用椅子および自動車用座席の上張りとして使用したところ、実施例1のものに比べ若干劣るものの、張り栄えに優れ、かつ優れたクッション性を持つ、へたりの生じないものであった。

    実施例5
    繊度が3.3dtexで、繊維長が51mmであり、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート製短繊維70質量%、及び繊度が2.8dtexで繊維長が51mmであり、捲縮率Kが35%で、鞘成分が160℃で溶融する共重合ポリエチレンテレフタレート系ポリマー、芯成分が通常のポリエチレンテレフタレートで構成された芯鞘型複合ポリエステル短繊維30質量%を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により厚さ4mmで目付け200g/m 2の不織布を得た。 この不織布を180℃の熱風で熱処理した。 次に、厚さ0.2mmで目付け20g/m 2のポリプロピレン製スパンボンド不織布を上記不織布と合わせ、不織布側から針刺し密度100回/cm 2でニードルパンチして一体化させ、厚さ4mmの不織布層(密度0.05g/cm 3 )と厚さ0.2mmの接着層(密度0.10g/cm 3 )からなる生地裏貼り用積層不織布を得た。

    これを紙管に巻き、その後フレームラミネーション工程にて使用したが、取り出しするとき、不織布部と接着層が分離することはなく、接着層に炎をあてて溶融させた後、生地としてのポリエステル繊維製トリコットの生地裏面に貼りあわせた。 剥離強さは3.5N/cmで、剥離強さのばらつきは、いずれも上記剥離強さの90%〜110%の範囲内であり、均一な接着力を有していることが確認できた。 実施例1と比べ張り栄えに一層優れ、クッション性についてもより一層優れたものであった。
    フレームラミネーションした部分を剥がして接着層の状態を観測した結果、ポリプロピレン系樹脂からなる長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物の割合が94%の接着層であることが確認された。 一方、嵩高不織布層は、フレームラミネーションの後の厚さは3.7mmであった。

    そして、得られた生地を用いて事務用椅子および自動車用座席の上張りとして使用したところ、実施例1のもの以上に張り栄えに優れ、かつ優れたクッション性を持ち、へたりの生じないものであった。

    実施例6
    繊度が3.3dtexで繊維長が51mmであり、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート製短繊維70質量%、及び繊度が2.8dtexで繊維長が51mmであり、捲縮率Kが35%の、鞘成分が160℃で溶融する共重合ポリエチレンテレフタレート系ポリマー、芯成分が非共重合ポリエチレンテレフタレートで構成された芯鞘型複合ポリエステル短繊維30質量%を用い、カードにより目付け200g/m 2のウェブを作製した後、このウェブを180℃の熱風で熱処理して厚み5.2mm(密度 0.038g/cm 3 )の不織布を得た。
    次に厚み0.2mm、目付け20g/m 2のポリプロピレンスパンボンド不織布を上記不織布と合わせ、不織布側から針刺し密度100回/cm 2でニードルパンチして一体化させ、厚さ5mm不織布層(密度0.04g/cm 3 )と厚さ0.2mmの接着層(密度0.10g/cm 3 )からなる生地裏貼り用不織布を得た。

    これを紙管に巻き、その後フレームラミネーション工程にて使用したが、取り出しするとき、不織布部と接着層が分離することはなく、接着層に炎をあてて溶融させた後、生地としてのポリエステル繊維製トリコットの生地裏面に貼りあわせた。 剥離強さは2.5N/cmで、剥離強さのばらつきは、いずれも上記剥離強さの90%〜110%の範囲内であり、均一な接着力を有していることが確認できた。 実施例1と比べ優れた張り栄えがし、クッション性においても優れた不織布裏貼り生地に仕上がった。
    フレームラミネーションした部分を剥がして接着層の状態を観測した結果、ポリプロピレン系樹脂からなる長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物の割合が90%の接着層であることが確認された。 一方、嵩高不織布層は、フレームラミネーションの後で、厚さは4.7mmであった。

    そして、得られた不織布裏貼り生地を用いて事務用椅子および自動車用座席の上張りとして使用したところ、実施例1のもの以上に張り栄えに優れ、かつ優れたクッション性を持ち、へたりの生じないものであった。

    実施例7
    繊度が2.2dtexで繊維長が51mmであり、捲縮率Kが20%のポリエチレンテレフタレート製短繊維を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により厚みが2mm、目付けが130g/m 2で密度が0.07g/cm 3の嵩高不織布を得た。 一方、ポリプロピレン長繊維からなる厚みが0.2mm、目付が20g/m 2で密度が0.1g/cm 3のポリプロピレン製スパンボンド不織布を上記嵩高不織布と重ね合わせ、嵩高不織布側から針刺し密度100回/cm 2でニードルパンチして一体化させ、厚さ1.7mm不織布層(密度0.08g/cm 3 )と厚さ0.2mmの接着層(密度0.10g/cm 3 )からなる生地裏貼り用積層不織布を得た。

    これを紙管に巻き、フレームラミネーション工程にて使用したが、取り出しするとき、不織布層と接着層が分離することはなく、接着層に炎をあてて溶融させた後、生地としてのポリエステル繊維製トリコットの生地裏面に貼りあわせた。 剥離強さは3.0N/cmであった。 また、剥離強さのばらつきは、上記剥離強さの90%〜110%の範囲内であり、均一な接着力を有していることが確認できた。 また、フレームラミネーションした部分を剥がして接着層の状態を観測した結果、ポリプロピレン系樹脂からなる長さ2〜20mmで長さ/直径の比が3〜30の繊維状物の割合が91%の接着層であることが確認された。 一方、嵩高不織布層は、フレームラミネーションの後、厚さは1.2mmとなった。

    そして、得られた不織布裏貼り生地を用いて事務用椅子および自動車用座席の上張りとして使用したところ、張り栄えがし、クッション性に優れ、生地と裏貼り材との間で剥離が生じない、へたりの生じないものであった。

    以上、実施例、比較例の構成、評価結果についてまとめて表1に示す。

    本発明の不織布裏貼り生地は、嵩高不織布と生地を均一かつ強固に接着されており、張り栄えのする、クッション性に優れた、自動車用座席や事務椅子等の表皮材として有効に利用できる。
    さらに、本発明の不織布裏貼り生地は、従来技術のように廃棄する際に問題となる材料を含んでいないことから焼却処理あるいはリサイクルが可能であり、したがって環境面からも極めて優れた、自動車用座席や事務椅子等の表皮材として有効に利用できる。
    また、本発明の不織布裏貼り生地の製造方法は、前記特徴を有する本発明の不織布裏貼り生地を製造する方法として有効に利用できる。
    さらにまた、不織布裏貼り生地が表面被覆材として用いられている座席または椅子は、クッション性に優れ、へたりの少ない座席または椅子として乗用車等の座席あるいは事務用あるいは家庭用等の椅子として利用できる。

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