防炎断熱材、及び車両用防炎断熱材

申请号 JP2013104294 申请日 2013-05-16 公开(公告)号 JP2014224648A 公开(公告)日 2014-12-04
申请人 ダイワボウホールディングス株式会社; Daiwabo Holdings Co Ltd; ダイワボウレーヨン株式会社; Daiwabo Rayonne Kk; 发明人 FUSHITANI SHIGEO; NAKAJIMA TATSUMI;
摘要 【課題】断熱性能を有しつつ、耐燃焼性能に優れ、軽量化されている防炎断熱材、及び車両用防炎断熱材を提供する。【解決手段】本発明は、防炎断熱繊維層と、防炎断熱繊維層の第1の表面に配置されている耐炎層を含む防炎断熱材であって、上記耐炎性繊維層は、耐炎性を有する素材を主成分とし、上記耐炎性を有する素材は、限界酸素指数が40以上の耐炎性繊維又は金属シートであり、上記防炎断熱繊維層は、800℃の燃焼後において繊維状のガラス質が残存する性質を有する防炎性セルロース繊維を主成分とし、上記耐炎層と上記防炎断熱繊維層は一体化されていることを特徴とする防炎断熱材に関する。【選択図】図1
权利要求
  • 防炎断熱繊維層と、防炎断熱繊維層の第1の表面に配置されている耐炎層を含む防炎断熱材であって、
    前記耐炎層は、耐炎性を有する素材を主成分とし、前記耐炎性を有する素材は、限界酸素指数が40以上の耐炎性繊維又は金属シートであり、
    前記防炎断熱繊維層は、800℃の燃焼後において繊維状のガラス質が残存する性質を有する防炎性セルロース繊維を主成分とし、
    前記耐炎層と前記防炎断熱繊維層は一体化されていることを特徴とする防炎断熱材。
  • 前記限界酸素指数が40以上の耐炎性繊維は、耐炎化炭素繊維である請求項1に記載の防炎断熱材。
  • 前記防炎性セルロース繊維は、珪酸化合物を繊維内に含有するセルロース繊維である請求項1又は2に記載の防炎断熱材。
  • 前記耐炎層と前記防炎断熱繊維層は、バインダーによる接着で一体化されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の防炎断熱材。
  • 前記防炎断熱繊維層の第2の表面にサポート層が配置され、前記サポート層は、繊維シート及び樹脂発泡体からなる群から選ばれる一種のシートで構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の防炎断熱材。
  • 前記サポート層は、ポリエステル繊維を主成分とする不織布である請求項5に記載の防炎断熱材。
  • 前記防炎断熱繊維層及び前記サポート層は、それぞれの層に熱接着性繊維を含有しており、それぞれの層が熱接着性繊維による接着で一体化されている請求項5又は6に記載の防炎断熱材。
  • 請求項1〜7のいずれか1項に記載の防炎断熱材を用いる車両用防炎断熱材。
  • 说明书全文

    本発明は、防炎断熱材に関するものであり、特に、鉄道、航空機、自動車等の車両に用いられる車両用防炎断熱材に関する。

    従来から、車両用防炎断熱材として種々の断熱材が提案されている。 例えば、特許文献1には、樹脂発泡体の一方の面にガラス繊維を主とする難燃性繊維層と、アルミニウムの金属箔を積層させた難燃性複合断熱材を鉄道車両用空調ダクトの断熱材として用いることが記載されている。

    特許文献2には、珪酸含有レーヨン繊維とガラス繊維からなるマット部分と、前記マットの少なくとも片面にポリエステル繊維による不織布がニードルパンチングにより一体化されている断熱材が記載されている。

    特許文献3には、ポリエステル繊維等のベース繊維と、難燃レーヨンやモダクリルから選択される難燃性繊維を混綿したウェブに、ニードルパンチを施してさらにステッチボンドを施すことによって得られる難燃性シート材料が記載されている。

    特許文献4には、無機繊維もしくは有機高分子化合物でできた基材または金属薄膜と目付け5〜140g/m 2の耐炎繊維の層が設けられた耐炎繊維複合材料に関する。

    特許文献5には、フッ素系樹脂シートに、フェノール樹脂を含浸させたレーヨン、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の繊維層で構成された多層構造を有する鉄道車両用空調ダクトが記載されている。

    特許文献6には、限界酸素指数(LOI値)40以上の耐炎性繊維を用いた目付が30〜300g/m 2の短繊維不織布の片面に、長繊維不織布を積層した耐炎性不織布積層体からなるベッドマット部材が記載されている。

    特開平8−267628号公報

    特開2002−348766公報

    特開平11−221872号公報

    特開平5−331753号公報

    特開2005−308222号公報

    特開2008−5901号公報

    特許文献1では、金属箔を使用しているので、施工するうえでの加工が困難であることや、ガラス繊維を使用するためイッチングが発生する恐れがある。 また、ガラス繊維は比重が大きいので、軽量化が要求される車両用途には不向きである。

    特許文献2では、断熱材の表面にセルロース系の繊維が使用されているので、例えば鉄道車両用途に要求される耐燃焼性能は得られない。 また、コシを大きくするためにガラス繊維を使用するが、ガラス繊維は比重が大きいので、軽量化には不向きである。

    特許文献3では、ポリエステルに難燃素材としてモダクリル又は難燃レーヨンを用いているが、モダクリルは、火災の際はシアン系の有毒ガスが生成するので安全性の問題があり、難燃レーヨンの場合は、ポリエステルと組み合わせると、ろうそく現象が起こるため十分な防炎性が得られないことがある。

    特許文献4では、耐炎繊維の層の片面に、無機繊維、ポリエチレン発泡体、アルミ箔を設けているが、無機繊維の場合は軽量化が困難であり、ポリエチレン発泡体は防炎性が得られず、アルミ箔は施工するうえでの加工が困難である。

    特許文献5では、鉄道車両用空調ダクトが5層構造を有するため、加工が煩雑であるうえ、密度が非常に高く設定されているので、軽量化に不向きである。

    特許文献6では、耐炎性繊維不織布の片面に、長繊維不織布を積層するだけなので、防炎・難燃規制や基準が厳しい分野(例えば、鉄道車両等)においては、十分な耐燃焼性能が得られない場合がある。 また、長繊維不織布を用いているので、所定の断熱性が得られない場合がある。

    本発明は、上記従来の問題を解決するため、断熱性能を有しつつ、耐燃焼性能に優れ、軽量化されている防炎断熱材、及び車両用防炎断熱材を提供する。

    本発明は、防炎断熱繊維層と、防炎断熱繊維層の第1の表面に配置されている耐炎層を含む防炎断熱材であって、上記耐炎層は、耐炎性を有する素材を主成分とし、上記耐炎性を有する素材は、限界酸素指数が40以上の耐炎性繊維又は金属シートであり、上記防炎断熱繊維層は、800℃の燃焼後において繊維状のガラス質が残存する性質を有する防炎性セルロース繊維を主成分とし、上記耐炎層と上記防炎断熱繊維層は一体化されていることを特徴とする防炎断熱材に関する。

    本発明の防炎断熱材において、上記限界酸素指数が40以上の耐炎性繊維は、耐炎化炭素繊維であることが好ましく、上記防炎性セルロース繊維は、珪酸化合物を繊維内に含有するセルロース繊維であることが好ましい。 上記耐炎層と上記防炎断熱繊維層は、バインダーによる接着で一体化されていることが好ましい。 上記防炎断熱繊維層の第2の表面に、繊維シート及び樹脂発泡体からなる群から選ばれる一種のシートで構成されているサポート層が配置されていても良い。 上記サポート層は、ポリエステル繊維を主成分とする不織布であることが好ましい。 上記防炎断熱繊維層と上記サポート層は、それぞれの層に熱接着性繊維を含有しており、それぞれの層が熱接着性繊維による接着で一体化されていることが好ましい。 本発明の防炎断熱材は、車両用防炎断熱材として用いることができる。

    本発明は、また、上記の防炎断熱材を用いる車両用防炎断熱材に関する。

    本発明は、800℃の燃焼後において繊維状のガラス質が残存する性質を有する防炎性セルロース繊維を主成分とする防炎断熱繊維層の第1の表面に限界酸素指数が40以上の耐炎性繊維等の耐炎性を有する素材を主成分とする耐炎層を配置して一体化することにより、高い耐燃焼性を有する防炎断熱材を提供することができる。 特に、鉄道車両用材料の燃焼性試験のような過酷な燃焼試験でも不燃性の性能を有する。 また、燃焼時は、シアンやハロゲン等の有害なガスは発生しない。 また、防炎性セルロース繊維を主成分とする防炎断熱繊維層を用いるため、セルロースの低熱伝導率の特徴に起因する優れた断熱性能を有し、低密度でも良好な断熱性能を発揮でき、車体等の物体の軽量化に寄与できる。

    図1は、本発明の一実施例の防炎断熱材の断面模式図である。

    図2は、本発明の一実施例の防炎断熱材の分解斜視図である。

    図3は、本発明の一実施例の防炎断熱材の断面模式図である。

    図4は、本発明の一実施例の防炎断熱材の分解斜視図である。

    本発明者らは、800℃の燃焼後において繊維状のガラス質が残存する性質を有する防炎性セルロース繊維を主成分とする防炎断熱繊維層の第1の表面に限界酸素指数が40以上の耐炎性繊維等の耐炎性を有する素材を主成分とする耐炎層を配置して一体化することにより、セルロースの特徴である低熱伝導率の特徴を生かして、低密度でも良好な断熱性能を発揮しつつ、防炎断熱繊維層の耐燃焼性がさらに向上することを見出し、本発明に至った。 また、防炎断熱繊維層の第2の表面に、繊維シート及び樹脂発泡体からなる群から選ばれる一種のシートで構成されているサポート層を配置しても良い。 サポート層により、程良いこしを持たせることができ、経年のへたりに強く、施工性に優れる防炎断熱材を提供することができる。

    <耐炎層>
    本発明において、耐炎層は、耐炎性を有する素材を主成分とする。 上記耐炎性を有する素材は、限界酸素指数(LOI値)が40以上の耐炎性繊維又は金属シートである。 以下において、特に指摘がない場合、耐炎性繊維は、限界酸素指数が40以上の耐炎性繊維を示す。

    上記耐炎性繊維は、好ましくはLOI値が50以上である。 上記耐炎性繊維は、耐燃焼性の観点から、耐炎化炭素繊維であることが好ましい。 上記耐炎化炭素繊維としては、例えば、東邦テナックス社製の商品名「パイロメックス」、SGLカーボンジャパン社製の商品名「PANOX」等のPAN系炭素繊維等が挙げられる。

    上記金属シートとしては、金属箔等を用いることができる。 金属箔を用いる場合は、素材は特に限定されないが、強度、軽量化、耐食性の観点からアルミニウム箔を用いることが好ましい。 アルミニウム箔を用いる場合、厚みは0.01〜0.2mmであることが好ましい。 厚みが0.01mm未満であると、燃焼試験において接炎部に穴が開いてしまうことにより十分な耐燃焼性能が得られにくい傾向があり、0.2mmを超えるとアルミニウム箔の取り扱いや加工が困難になる。

    鉄道車両用材料の燃焼判定試験(昭和44年鉄運第81号)におけるアルコール燃焼後の変形を考慮すると、耐炎層は限界酸素指数が40以上の耐炎性繊維を主成分とする耐炎性繊維層であることが好ましい。 アルミニウム箔等の金属箔の場合、亀裂が発生したり、収縮等により変形する場合がある。 鉄道車両用材料の燃焼判定試験(昭和44年鉄運第81号)については、後述する。

    耐炎性繊維層は、上記耐炎性繊維を主成分とする。 ここで、主成分とは、耐炎性繊維層100質量%に対し、上記耐炎性繊維を50質量%以上含有することを意味する。 以下において、同様である。 耐炎性繊維層は、耐炎性により優れるという観点から、好ましくは耐炎性繊維を70質量%以上含有し、より好ましくは80質量%以上含有し、さらに好ましくは90質量%以上含有し、特に好ましくは100質量%含有する。

    耐炎性繊維層は、不織布、織物、編物、抄紙等のいずれの形状の繊維シートであっても良い。 不織布としては、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、流交絡不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。 火炎に対する耐燃焼性や耐炎性繊維の脱落の少なさを考慮すると、水流交絡不織布が好ましい。

    耐炎性繊維層を構成する耐炎性繊維等の構成繊維は、繊度が1〜17dtexであることが好ましく、より好ましくは1.7〜10dtexである。 繊度が1dtex未満であると、工程性が悪くなる恐れがあり、一方、17dtexを超えると、不織布の繊維構成本数が少なくなり耐燃焼性が低下する恐れがある。

    耐炎性繊維層を構成する耐炎性繊維等の構成繊維は、繊維長が20〜200mmであることが好ましい。 繊維長が20mm未満の場合や繊維長が200mmを超える場合には、工程性が悪くなる恐れがある。

    耐炎性繊維層は、目付が30g/m 2以上であることが好ましく、40g/m 2以上であることがより好ましい。 また、耐炎性繊維層は、目付が200g/m 2以下であることが好ましく、150g/m 2以下であることがより好ましい。 不織布等の耐炎性繊維層の目付が、30g/m 2未満であると、十分な耐燃焼性が得られにくく、200g/m 2を超えると、単位面積当たりのコストが高くなる。

    耐炎性繊維層は、厚みが0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。 不織布等の耐炎性繊維層の厚みが0.1mm未満であると、耐燃焼性が低下する恐れがある。 なお、耐炎性繊維層の厚みは、厚み測定機(商品名「デジマチックインジケータ」、ミツトヨ社製)を用い、JIS L 1096に準じて試料1cm 2あたり20gの荷重を加えた状態で測定する。

    <防炎断熱繊維層>
    防炎断熱繊維層は、防炎性セルロース繊維を主成分とする。 ここで、主成分とは、防炎断熱繊維層100質量%に対し、防炎性セルロース繊維を50質量%以上含有することを意味する。 以下において、同様である。 防炎断熱繊維層は、好ましくは防炎性セルロース繊維を60質量%以上含有し、より好ましくは80質量%以上含有し、さらに好ましくは90質量%以上含有する。 防炎断熱繊維層における防炎性セルロース繊維の含有量が60質量%未満では、火災時の延焼拡大を抑制しにくく、特に鉄道車両用材料燃焼試験においては、変色域が長くなり、アルコール燃焼時に発生する煙が多くなる傾向があり、十分な耐燃焼性が得られにくい場合がある。

    本発明において、防炎性セルロース繊維とは、800℃の燃焼後において繊維状のガラス質が残存する性質を有する防炎性セルロース繊維をいう。 以下において、特に指摘がない場合、防炎性セルロース繊維は、800℃の燃焼後において繊維状のガラス質が残存する性質を有する防炎性セルロース繊維を示す。 上記防炎性セルロース繊維としては、例えばコットン、麻等の天然セルロース繊維に防炎性を付与したものや、ビスコースレーヨン、キュプラ、溶剤紡糸セルロース繊維等の再生セルロース繊維に防炎性を付与したもの、アセテート等の半合成セルロース繊維に防炎性を付与したもの等を用いることができる。 上記防炎性セルロース繊維は、珪酸化合物を繊維内に含有するセルロース繊維であることが好ましく、珪酸化合物を繊維内に含有するレーヨン繊維(以下、防炎性レーヨン繊維ともいう。)であることがより好ましい。 防炎性レーヨン繊維等の珪酸化合物を繊維内に含有するセルロース繊維は、火災により燃焼したときにシリカ等の無機物が繊維骨格として残存(バリア材として残存)するので、延焼を抑制することができる。 中でも、耐燃焼性や発煙性の観点から、LOI値が26以上であり、珪素とナトリウムを含む珪酸化合物を繊維内に含有するレーヨン繊維を用いることがより好ましい。 防炎性レーヨン繊維としては、例えば、ダイワボウレーヨン社製の商品名「FR CORONA FR」や商品名「FR CORONA FRL」等の市販のものを用いても良い。

    防炎断熱繊維層は、防炎性セルロース繊維以外の他の繊維を含んでも良い。 上記他の繊維としては、特に限定されないが、例えば、上記防炎性セルロース繊維以外のセルロース系繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、無機繊維等を用いることができる。 セルロース系繊維としては、例えば、コットン、麻、パルプ等の天然繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ、溶剤紡糸セルロース繊維等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維等が挙げられる。 ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等が挙げられる。 ポリアミド繊維としては、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられる。 上記他の繊維としては、断熱性を高める観点から、セルロース系繊維を用いることが好ましく、こしを強くする観点から、ポリエステル繊維を用いることが好ましく、イッチングを防止する観点から、ガラス繊維と炭素繊維以外の繊維を用いることが好ましく、軽量化の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、無機繊維以外の繊維を用いることが好ましい。

    防炎断熱繊維層において、他の繊維を熱接着性繊維として使用することができる。 上記熱接着性繊維としては、例えば、鞘成分の融点が芯成分の融点より低い鞘芯型複合繊維を用いることができる。 上記鞘芯型複合繊維としては、例えば、鞘成分/芯成分が、共重合ポリエステル/ポリエステル、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン又はポリプロピレン共重合体/ポリエステル、ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレン共重合体/ポリプロピレン等の鞘芯型複合繊維を用いることができる。 鞘成分/芯成分が、共重合ポリエステル/ポリエステルの鞘芯型複合繊維としては、例えば、ユニチカ社製の芯鞘複合のポリエステル熱融着繊維「メルティ」(商品名)を用いることができる。 このような鞘芯型複合繊維は、鞘成分の融点又は融解温度より高く、芯成分の融点よりも低い温度で熱処理することにより、ウェブを構成する繊維同士を接着することができる。 防炎断熱繊維層において、上記熱接着性繊維の含有量は10〜50質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%の範囲であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。 熱接着性繊維を10質量%以上含むと、防炎断熱繊維層の強度を高めることができ、一方、防炎断熱繊維層における熱接着性繊維の含有量が50質量%未満であると、耐熱性に悪影響を及ぼすことがない。

    防炎断熱繊維層は、不織布、織物、編物等のいずれの形状であっても良い。 不織布としては、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、水流交絡不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。 上記不織布としては、例えば、主にセルロース繊維から構成されたニードルパンチ不織布、セルロース繊維と熱接着性繊維を含むサーマルボンド不織布を使用することができる。 サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布は、十分な厚みと嵩高性が得られるため、好ましい。

    防炎断熱繊維層が不織布の場合、繊維ウェブを不織布化することで作製すれば良い。 上記繊維ウェブとしては、特に限定されず、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、クロスレイウェブ、クリスクロスウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、長繊維からなるスパンボンドウェブ、メルトブローンウェブ等が挙げられる。 断熱性を考慮すると、カードウェブが好ましく、繊維長が20〜200mmの短繊維を用いたカードウェブであることがより好ましい。 上記カードウェブに対し、サーマルボンド、ケミカルボンド等の接合処理、ニードルパンチ、水流交絡等の機械的交絡処理等からなる群から選ばれる少なくとも1つの処理を行い不織布化すると良い。 ニードルパンチ処理で交絡して結合させる場合、不織布の厚みが所定の範囲となるようにニードル密度を調整すると良い。

    防炎断熱繊維層を構成する防炎性セルロース繊維等の構成繊維は、繊度が1〜17dtexの範囲であることが好ましく、より好ましくは1.7〜10dtexの範囲である。 繊度が1dtex未満では、不織布等からなる防炎断熱繊維層に十分な厚みが得られにくい傾向があり、繊度が17dtexを超えると、繊維径が太すぎるため不織布等からなる防炎断熱繊維層の空隙が大きくなり、十分な断熱性が得られにくい傾向がある。

    防炎断熱繊維層を構成する防炎性セルロース繊維等の構成繊維は、繊維長が20〜200mmであることが好ましい。 繊維長が20mm未満である場合や200mmを超える場合には、工程性が悪くなる恐れがある。

    防炎断熱繊維層は、目付が30g/m 2以上であることが好ましく、50g/m 2以上であることがより好ましい。 不織布等の防炎断熱繊維層の目付が、30g/m 2未満であると、十分な耐燃焼性が得られにくい。

    <サポート層>
    サポート層は、繊維シート及び樹脂発泡体からなる群から選ばれる一種のシートで構成されていることが好ましい。 繊維シートの場合、剛性が高く、嵩高な合成繊維を主成分とする不織布等で構成すると良い。 剛性が高く、嵩高な合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が挙げられる。 特に、ポリエステル繊維を主成分とする不織布等の繊維シートであることが好ましい。 繊維シートとしては、不織布、編物、織物等のいずれの形状でもよく、所望の密度を得る観点から不織布であることが好ましい。 ここで、主成分とは、サポート層100質量%に対し、剛性が高く、嵩高な合成繊維、例えばポリエステル繊維を50質量%以上含有することを意味する。 以下において、同様である。 サポート層は、ポリエステル繊維を60質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは70質量%以上含む。 防炎断熱繊維層の第2の表面にポリエステル繊維を主成分とする不織布等のサポート層を配置することにより、セルロース繊維を主成分とする防炎断熱繊維層のこしがさらに改善され施工性が良好になるとともに、経年のへたりも改善できる。 剛性が高く嵩高な合成繊維としては、ハイクリンプ(立体捲縮)合成繊維が好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート等のハイクリンプ(立体捲縮)のポリエステル繊維であることが好ましい。 サポート層は、防炎性セルロース繊維を含んでもよく、サポート層における防炎性セルロース繊維の含有量は、50質量%未満であることが好ましい。

    サポート層として、繊維シートを用いる場合、構成する繊維同士の少なくとも一部が接着していることが好ましい。 特に、剛性が高く嵩高な合成繊維と熱接着性繊維、及び熱接着性繊維同士の交点が熱接着性繊維により接着していると、防炎断熱材のこしがさらに改善され施工性が良好になるとともに、経年のへたりも改善でき、好ましい。 繊維シートにおいて、繊維シートの全体質量を100質量%とした場合、剛性が高く嵩高な合成繊維、好ましくはハイクリンプ(立体捲縮)合成繊維の含有率は50〜80質量%であり、熱接着性繊維の含有率は20〜50質量%であることが好ましい。 具体的には、ポリエチレンテレフタレート等のハイクリンプ(立体捲縮)のポリエステル繊維50〜80質量%と低融点ポリエステルを1成分とするポリエステル系複合繊維20〜50質量%を混合し、ポリエステル系複合繊維で熱接着させた不織布等を用いることが好ましい。

    サポート層が不織布の場合、繊維ウェブを不織布化することで作製すれば良い。 上記繊維ウェブとしては、特に限定されず、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、クロスレイウェブ、クリスクロスウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、長繊維からなるスパンボンドウェブ、メルトブローンウェブ等が挙げられる。 所望の密度を得ることを考慮すると、カードウェブが好ましく、繊維長が20〜200mmの短繊維を用いたカードウェブであることがより好ましい。 上記カードウェブに対し、サーマルボンド、ケミカルボンド等の接合処理、ニードルパンチ、水流交絡等の機械的交絡処理等からなる群から選ばれる少なくとも1つの処理を行い不織布化すると良い。 ニードルパンチ処理で交絡し結合させる場合、不織布の厚みが所定の範囲となるようにニードル密度を調整すると良い。

    サポート層を構成するポリエステル繊維等の構成繊維は、繊度が1〜17dtexの範囲であることが好ましく、より好ましくは1.7〜10dtexの範囲である。 繊度が1dtex未満では、不織布等のサポート層に十分な厚みが得られにくい傾向があり、繊度が17dtexを超えると、繊維径が太すぎるため、不織布の空隙が大きくなり十分な断熱性が得られにくい場合がある。

    サポート層を構成するポリエステル繊維等の構成繊維は、繊維長が20〜200mmであることが好ましい。 繊維長が20mm未満である場合や200mmを超える場合には、工程性が悪くなる恐れがある。

    サポート層は、目付が30g/m 2以上であることが好ましく、50g/m 2以上であることがより好ましい。 不織布等のサポート層の目付が、30g/m 2未満であると、十分な耐燃焼性が得られにくい。 防炎断熱繊維層とサポート層の目付比は、好ましくは、1:1〜1:7である。 生産時の目付や厚みの調整や、耐燃焼性、不織布のコシ等の観点から、不織布の特性的にバランスが良い。

    サポート層としては、所定の耐燃焼性及び断熱性を満たす範囲で、樹脂発泡体や織物、編物等の繊維シートを用いても良い。

    <一体化>
    耐炎性繊維層等の耐炎層と防炎断熱繊維層は、バインダーによる接着、機械的交絡による接合等により一体化することができる。 生産性の観点から、バインダーによる接着で一体化されていることが好ましい。

    サポート層と防炎断熱繊維層は、バインダーによる接着、機械的交絡による接合、各層に混綿している熱接着性繊維による接着等により一体化することができる。 積層後に熱処理して各層に混綿している熱接着性繊維によって構成繊維を接着させて一体化することが好ましい。

    上記バインダーとしては、生産性や不織布の剥離防止の観点から、例えば、フィルム状ホットメルト接着剤やウェブ状ホットメルト接着剤等を用いることが好ましい。 バインダーの素材(樹脂)としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン,特殊ポリオレフィン等のポリオレフィン、特殊ポリウレタンなどが用いられる。 バインダーの目付は、例えば、5〜30g/m 2であることが好ましい。 具体的には、バリュテック・インターナショナル社製の「スパンファブ」等が挙げられる。

    本発明の防炎断熱材は、厚みが3mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましい。 不織布等の防炎断熱材の厚みが3mm未満であると、十分な断熱性能が得られにくい。 例えば、客室用途に用いられる防炎断熱材は、厚みが10〜100mmであることが好ましい。 例えば、空調ダクト用途に用いられる防炎断熱材は、厚みが3〜20mmであることが好ましい。 なお、防炎断熱材の厚みは、市販の定規を用いて無荷重の状態で測定する。

    本発明の防炎断熱材は、用途に応じて配置を決めれば良い。 車両用防炎断熱材として用いる場合、客室用途では、客室側が耐炎層となるように配置することが好ましい。 車内からの火災に対する燃焼や延焼を抑制するとともに、車外からの熱を断熱する効果が高い。 例えば、客室用途に用いられる防炎断熱材は、密度が5〜20kg/m 3であることが好ましい。 空調ダクト用途では、ダクトの内側が耐炎層となるように配置することが好ましい。 ダクトの火災に対する燃焼や延焼を抑制するとともに、ダクト外からの熱を断熱する効果が高い。 例えば、空調ダクト用途に用いられる防炎断熱材は、密度が15〜35kg/m 3であることが好ましい。

    以下、図面に基づいて、本発明の防炎断熱材を説明する。 図1は、本発明の一実施形態の防炎断熱材の断面模式図であり、図2は、同実施形態の防炎断熱材の分解斜視図である。 防炎断熱材10は、防炎断熱繊維層1と、防炎断熱繊維層1の第1の表面に配置されている耐炎層2で構成され、防炎断熱繊維層1と耐炎層2は、バインダー3による接着により一体化されている。

    図3は、本発明の他の一実施形態の防炎断熱材の断面模式図であり、図4は、同実施形態の防炎断熱材の分解斜視図である。 防炎断熱材100は、防炎断熱繊維層11と、防炎断熱繊維層11の第1の表面(一方の表面)に配置されている耐炎層12と、防炎断熱繊維層11の第2の表面(他方の表面)に配置されているサポート層13で構成されている。 防炎断熱繊維層11と耐炎層12は、バインダー14による接着により一体化されており、防炎断熱繊維層11とサポート層13は、積層後に熱処理することで混綿している熱接着性繊維によって構成繊維を接着させて一体化している。

    本発明の防炎断熱材は、耐燃焼性に優れる。 例えば、鉄道車両用材料の燃焼判定試験(昭和44年鉄運第81号、アルコール燃焼試験)において、不燃性であることが好ましい。 また、鉄道車両用材料の燃焼判定試験(昭和44年鉄運第81号、アルコール燃焼試験)において、変形が生じないことがより好ましい。 本発明の防炎断熱材は、車両用防炎断熱材として好適に用いることができる。

    鉄道車両用材料の燃焼判定試験(昭和44年鉄運第81号、アルコール燃焼試験)は下記のように行う。 B5判の供試試料(縦182mm、横257mm)を45°傾斜に保持し、燃料容器の底の中心が、供試試料の下面中心の垂直下方25.4mm(1インチ)のところにくるように、燃料容器をコルクのような熱伝導率の低い材質の台にのせ、純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置する。 燃焼判定は、アルコールの燃焼中と燃焼後とに分けて、アルコール燃焼中は供試試料への着火、着炎、発煙状態、炎の状態等を観察し、アルコール燃焼後は、残炎、残じん、炭化、変形状態を調査する。 供試試料の試験前処理は、吸湿性の材料の場合、所定寸法に仕上げたものを通気性のある室内で直射日光を避け床面から1m以上離し、5日以上経過させる。 試験室内の条件は、温度は15〜30℃、相対湿度は60〜75%、空気の流動はない状態とする。

    本発明の防炎断熱材は、断熱性に優れる。 例えば、室温(20±5℃)において、JIS A 1412−2に準じた平板熱流計法によって測定した熱伝導率が0.07W/(m・K)以下であることが好ましく、より好ましくは0.05W/(m・K)以下である。

    本発明の防炎断熱材は、素材の優れた耐燃焼性、断熱性を生かし、鉄道車両、航空機、自動車及び船舶等に関係する車両の車内(天井、壁、床等)、空調用部材(ダクト)等の防炎断熱材として用いることができる。 また、建材等の防炎断熱材として用いることもできる。 また、オイルミストフィルター、油水分離フィルター等のフィルター類、布団、座布団、ウレタンマット等の防炎寝具の側地、防炎シーツ、避難防炎服、避難防炎頭巾、避難防炎フード、電線防炎押え巻テープ、防炎粘着テープ、自動車用インシュレーター、防炎吸音材、テント、肌着、寝間着、丹前、エプロン、鍋つかみ、防炎衣料、防寒衣服、スキーウェア、寝袋等の用途に用いても良い。

    以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。 なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。

    (実施例1)
    <防炎断熱繊維層>
    防炎性レーヨン繊維(繊度3.3dtex、繊維長51mm、 商品名「FR CORONA FRL」、ダイワボウレーヨン社製)90質量%と、芯鞘複合のポリエステル熱融着繊維(繊度4.4dtex、繊維長51mm、融点110℃タイプ、商品名「メルティ」、品番「4080」、ユニチカ社製)10質量%を混綿し、パラレルカード機を用いてカードウェブを得た。 クロスレイヤーによりカードウェブを積層させて目付50g/m 2のウェブ(クロスラップ)にした。
    <耐炎性繊維層>
    耐炎化炭素繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm、LOI値52、商品名「パイロメックス」、東邦テナックス社製)100質量%を用いた目付50g/m 2の水流交絡不織布を作製した。
    <サポート層>
    ポリエステル繊維(繊度6.6dtex、繊維長64mm、商品名「テトロン」、東レ社製)80質量%と、芯鞘複合のポリエステル熱融着繊維(繊度4.4dtex、繊維長51mm、融点110℃タイプ、商品名「メルティ」、品番「4080」、ユニチカ社製)20質量%を混綿し、パラレルカード機を用いてカードウェブを得る。 クロスレイヤーによりカードウェブを積層させて目付50g/m 2のウェブ(クロスラップ)にした。
    <一体化>
    図4に示しているように、防炎断熱繊維層11の一方の表面(第1の表面)に耐炎層(耐炎性繊維層)12を配置し、防炎断熱繊維層11の他方の表面(第2の表面)にサポート層13を配置するとともに、耐炎層と防炎断熱層の間にバインダー14(ウェブ状ホットメルト接着剤、商品名「スパンファブPE2905」、バリュテック・インターナショナル社製)を挟み、150℃で、2分間熱風貫通して一体化させて、図3に示しているような不織布の積層体(防炎断熱材)を得た。 なお、防炎断熱繊維層11とサポート層13は、上記熱処理により、各層に混合している芯鞘複合のポリエステル熱融着繊維が構成繊維を接着することで一体化された。

    (実施例2)
    防炎断熱繊維層を構成するクロスラップの目付が110g/m 2になるようにカードウェブを積層し、サポート層を構成するクロスラップの目付が110g/m 2になるようにカードウェブを積層した以外は、実施例1と同様にして、不織布の積層体(防炎断熱材)を得た。

    (実施例3)
    防炎断熱繊維層を構成するクロスラップの目付が180g/m 2になるようにカードウェブを積層し、サポート層を構成するクロスラップの目付が180g/m 2になるようにカードウェブを積層した以外は、実施例1と同様にして、不織布の積層体(防炎断熱材)を得た。

    (実施例4)
    防炎断熱繊維層を構成するクロスラップに対し、100g/Lの重曹の水溶液をクロスラップの表面に重曹が11.3g/m 2の噴霧量になるように噴霧したこと以外は、実施例3と同様にして、不織布の積層体(防炎断熱材)を得た。

    (実施例5)
    耐炎性繊維層の代わりに、アルミニウム箔(厚み:0.011mm、アルファミック社製)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、積層体(防炎断熱材)を得た。

    (比較例1)
    <第1層>
    実施例1において耐炎性繊維層として用いた目付50g/m 2の水流交絡不織布を第1層とした。
    <第2層>
    ポリエステル繊維(繊度6.6dtex、繊維長64mm、商品名「テトロン」、東レ社製)80質量%と、芯鞘複合のポリエステル熱融着繊維(繊度4.4dtex、繊維長51mm、融点110℃タイプ、商品名「メルティ」、品番「4080」、ユニチカ社製)20質量%を混綿し、パラレルカード機を用いてカードウェブを得る。 クロスレイヤーによりカードウェブを積層させて目付360g/m 2のウェブ(クロスラップ)にした。
    <一体化>
    第2層の一方の表面に第1層を積層し、第1層と第2層の間にバインダー(ウェブ状ホットメルト接着剤、商品名「スパンファブPE2905」、バリュッテック・インターナショナル社製)を挟み、150℃で、2分間熱風貫通して一体化させた。

    (比較例2)
    ガラス繊維を基材とし、表層にアルミニウムのシートを使用した防炎断熱材(商品名「マグロールアルミ」、マグ・イベゾール社製)を使用した。

    (比較例3)
    防炎性レーヨン繊維(繊度3.3dtex、繊維長51mm、商品名「FR CORONA FRL」、ダイワボウレーヨン社製)80質量%と、芯鞘複合のポリエステル熱融着繊維(繊度4.4dtex、繊維長51mm、融点110℃タイプ、商品名「メルティ」、品番「4080」、ユニチカ社製)20質量%を混綿し、パラレルカード機を用いてカードウェブを得る。 クロスレイヤーによりカードウェブを積層させて目付400g/m 2のウェブ(クロスラップ)にし、150℃で、2分間熱風貫通して熱融着させて、不織布を得た。

    (比較例4)
    クロスラップの目付を650g/m 2になるようにカードウェブを積層した以外は、比較例3と同様にして不織布を得た。

    実施例及び比較例における各層の素材構成を下記表1に示した。 下記表1において、「パイロメックス」は東邦テナックス社製の耐炎化炭素繊維(商品名「パイロメックス」)を示し、「FRL」はダイワボウレーヨン社製の防炎性レーヨン繊維(商品名「FR CORONA FRL」)を示し、「メルティ」はユニチカ社製の芯鞘複合のポリエステル熱融着繊維(商品名「メルティ」)を示し、「PET」は東レ社製のポリエステル繊維(商品名「テトロン」)を示す。

    実施例1〜5、比較例1の積層体、及び比較例3〜4の不織布の燃焼性能を鉄道車両用材料の燃焼判定試験(昭和44年鉄運第81号、アルコール燃焼試験)によって評価した。 その結果を下記表2に示した。

    (鉄道車両用材料の燃焼判定試験)
    B5判の供試試料(縦182mm、横257mm)を45°傾斜に保持し、燃料容器の底の中心が、供試試料の下面中心の垂直下方25.4mm(1インチ)のところにくるように、燃料容器をコルクのような熱伝導率の低い材質の台にのせ、純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置した。 燃焼判定は、アルコールの燃焼中と燃焼後とに分けて、アルコール燃焼中は供試試料への着火、着炎、発煙状態、炎の状態等を観察し、アルコール燃焼後は、残炎、残じん、炭化、変形状態を調査した。 供試試料の試験前処理として、所定寸法に仕上げたものを通気性のある室内で直射日光を避け床面から1m以上離し、5日以上経過させた。 試験室内の条件は、温度は15〜30℃、相対湿度は60〜75%、空気の流動はない状態とした。

    表2の結果から分かるように、実施例1〜5の防炎性セルロース繊維を主成分とする防炎断熱繊維層の第1の表面に耐炎層を配置し、防炎断熱繊維層の第2の表面にサポート層を配置して一体化している積層体(防炎断熱材)は、鉄道車両用材料の燃焼判定試験において不燃性と判定されており、耐燃焼性に優れている。 実施例3と実施例5の対比から分かるように、耐炎層が耐炎性繊維層で構成されている実施例3の積層体(防炎断熱材)は、アルコール燃焼後に、表面的変形がないのに対し、耐炎層がアルミニウム箔で構成されている実施例5の積層体(防炎断熱材)は、アルミニウム箔に亀裂が発生したり、収縮等により変形していた。

    一方、防炎性セルロース繊維を主成分とする防炎断熱繊維層を有しない比較例1の積層体、防炎性セルロース繊維を主成分とする防炎断熱繊維層のみで構成されている比較例3及び比較例4の不織布は、鉄道車両用材料の燃焼判定試験において難燃性と評価されており、耐燃焼性に劣っていた。 また、アルコール燃焼後に、表面的変形も生じていた。

    実施例1〜3の積層体、比較例2の積層体、比較例3及び比較例4の不織布の25℃における熱伝導率を、JIS A 1412−2に準じた平板熱流計法で測定した。 測定機器には、ホロメトリックス社製の熱伝導率測定機器「Rapid−K」を用いた。 その結果を下記表3に示した。

    表3の結果から分かるように、実施例の防炎断熱材の熱伝導率は、アルミニウム箔及びガラス繊維で構成されている比較例2の積層体の熱伝導率とほぼ同等であり、断熱性に優れていた。

    本発明の防炎断熱材は、鉄道車両、航空機、自動車及び船舶等に関係する車両の車内(天井、壁、床等)、空調用部材(ダクト)等の防炎断熱材として用いることができる。 また、建材等の防炎断熱材として用いることもできる。 また、オイルミストフィルター、油水分離フィルター等のフィルター類、布団、座布団、ウレタンマット等の防炎寝具の側地、防炎シーツ、避難防炎服、避難防炎頭巾、避難防炎フード、電線防炎押え巻テープ、防炎粘着テープ、自動車用インシュレーター、防炎吸音材、テント、肌着、寝間着、丹前、エプロン、鍋つかみ、防炎衣料、防寒衣服、スキーウェア、寝袋等の用途に用いても良い。

    1、11 防炎断熱繊維層2、12 耐炎層10、100 防炎断熱材13 サポート層3、14 バインダー

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