膨張装置

申请号 JP2017060037 申请日 2017-03-24 公开(公告)号 JP2018161790A 公开(公告)日 2018-10-18
申请人 カシオ計算機株式会社; 发明人 牛込 洋一; 斎藤 稔;
摘要 【課題】閉じられた空間内の熱膨張性シートを効率良く冷却することが可能な膨張装置を提供する。 【解決手段】膨張装置50において、筐体210の上側筐体212内に、熱膨張性シートが、トレイ251に挟持されて載置されている。熱膨張性シートの上方には、カバー231と、ランプ232と、反射板233と、上側給気ファン234と、を備える可動部230が設けられている。可動部230は、ボールネジ271を備える搬送部260によって搬送される。また、上側筐体212内に、開閉扉212dから最も遠い 位置 に上側排気ファン240が配置されている。熱膨張性シートは、複数種類のサイズが使用可能であり、用紙サイズ検知センサ254によって検知される。可動部230のホームポジションP−Hは、熱膨張性シートが載置される位置と上側排気ファン240との間にある。 【選択図】図6
权利要求

載置部に置かれた熱膨張性シートに光を照射する照射部と、 前記照射部を第1の位置と第2の位置との間で往復移動可能に搬送する搬送部と、 筐体に固定され当該筐体から排気する排気ファンと、 前記照射部とともに移動可能であり外気を前記筐体内に給気する給気ファンと、 を備え、 前記排気ファンは、前記照射部が前記第2の位置から前記第1の位置に向けて移動された後、前記第1の位置から前記第2の位置に戻されるときに前記第2の位置側から排気可能な位置に設けられている、 ことを特徴とする膨張装置。前記照射部は、ハロゲンランプと、前記ハロゲンランプの一部を取り囲んで前記ハロゲンランプの光を反射させる反射板と、を備え、 前記給気ファンは、前記ハロゲンランプの上方に位置し、当該ハロゲンランプに向けて外気を給気するように設けられている、 ことを特徴とする請求項1に記載の膨張装置。前記筐体は、一面においてユーザが前記熱膨張性シートを搬入及び搬出するための開口部と開閉扉とを備え、 前記排気ファンは前記開閉扉から最も遠い前記第2の位置側の面に隣接する、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の膨張装置。前記照射部と前記給気ファンとを包囲し、前記給気ファンにより給気された外気を当該筐体の内部に通気させるカバーを更に備える、 ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の膨張装置。前記筐体の上面には外気を吸入するための開口である上部吸気部が設けられている、 ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の膨張装置。前記載置部は、前記光が照射される部分が露出するように前記熱膨張性シートを挟持する取り出し可能なトレイを備える、 ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の膨張装置。

说明书全文

本発明は、膨張装置に関する。

立体画像を形成する技術が知られている。例えば、特許文献1,2は、熱膨張性シートを使用した立体画像の形成方法を開示している。具体的に説明すると、特許文献1,2に開示された方法では、熱膨張性シートの裏面に光吸収特性の優れた材料でパターンを形成し、形成されたパターンに光を照射することで加熱する。これにより、熱膨張性シートにおけるパターンが形成された部分が膨張して盛り上がり、立体画像が形成される。

特開昭64−28660号公報

特開2001−150812号公報

熱膨張性シートに対する膨張処理は、外部から機内に侵入するゴミ等の異物、又は、機内に流入する外気の風等に対してなるべく閉じられた空間内で行うことが望ましい。機外からの影響によって、熱膨張性シート表面が所望の温度にならず膨張処理が良好に行われないことを防ぐためである。しかしながら、特許文献1,2に開示された膨張装置は、筐体の側部の案内板から熱膨張性シートを差し込み、機内に搬送して膨張処理を行った後、反対側の側部の案内板から熱膨張性シートを排出する。従って、膨張処理時において閉じられた空間を形成することが困難であった。

また、熱膨張性シートは、加熱によって膨張する際に、熱によって変形する場合がある。熱膨張性シートが変形すると、熱膨張性シートの表面に形成される立体画像も歪むため、所望の立体画像を得ることが難しくなる。そのため、熱膨張性シートが変形することを抑制するために、膨張処理後は、熱膨張性シートを効率良く冷却することが望ましい。特に、閉じられた空間内で熱膨張性シートを加熱すると熱がこもるため、効率よく冷却することが望ましい。しかしながら、特許文献1,2には、熱膨張性シートの冷却についての構造が開示されていない。

本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、閉じられた空間内の熱膨張性シートを効率良く冷却することが可能な膨張装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明に係る膨張装置は、 載置部に置かれた熱膨張性シートに光を照射する照射部と、 前記照射部を第1の位置と第2の位置との間で往復移動可能に搬送する搬送部と、 筐体に固定され当該筐体から排気する排気ファンと、 前記照射部とともに移動可能であり外気を前記筐体内に給気する給気ファンと、 を備え、 前記排気ファンは、前記照射部が前記第2の位置から前記第1の位置に向けて移動された後、前記第1の位置から前記第2の位置に戻されるときに前記第2の位置側から排気可能な位置に設けられている、 ことを特徴とする。

本発明によれば、閉じられた空間内の熱膨張性シートを効率良く冷却することが可能な膨張装置を提供することができる。

本発明の実施形態における熱膨張性シートの断面図である。

図1に示した熱膨張性シートの裏面を示す図である。

立体画像形成システムの概略構成を示す図である。

端末装置の構成を示すブロック図である。

印刷装置の構成を示す斜視図である。

膨張装置の構成を示す断面図である。

膨張装置の搬送駆動部を示す部分拡大図である。

立体画像形成システムを示す外観斜視図である。

立体画像形成システムにおいて膨張装置からトレイを取り出した状態を示す斜視図である。

立体画像形成処理の流れを示すフローチャートである。

(a)〜(e)は、図1に示した熱膨張性シートに立体画像が形成される様子を段階的に示す図である。

膨張装置の動作の流れを示すフローチャートである。

膨張装置の動作を各工程別に詳細化したフローチャートである。

プレヒート(モード1)の流れを示すフローチャートである。

プレヒート(モード2)の流れを示すフローチャートである。

膨張装置の可動部の位置の例を示す断面図である。

発泡加熱の流れを示すフローチャートである。

乾燥加熱の流れを示すフローチャートである。

以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。

(実施形態1) <熱膨張性シート100> 図1に、実施形態1に係る立体画像形成システム1によって立体画像を形成するための熱膨張性シート100の構成を示す。熱膨張性シート100は、予め選択された部分が膨張することによって立体画像が形成される媒体である。立体画像とは、2次元状のシートにおいて、シートのうちの一部分がシートに垂直な方向に膨張することによって形成される3次元状の画像である。

図1に示すように、熱膨張性シート100は、基材101と、熱膨張層102と、インク受容層103とを、この順に備えている。なお、図1は、立体画像が形成される前、すなわちどの部分も膨張していない状態における熱膨張性シート100の断面を示している。

基材101は、熱膨張性シート100の元となるシート状の媒体である。基材101は、熱膨張層102とインク受容層103とを支持する支持体であって、熱膨張性シート100の強度を保持する役割を担う。基材101として、例えば、一般的な印刷用紙を用いることができる。或いは、基材101の材質は、合成紙、キャンバス地等の布、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のプラスチックフィルムであっても良く、特に限定されるものではない。

熱膨張層102は、基材101の上側に積層されており、規定の温度以上に加熱されることによって膨張する層である。熱膨張層102は、バインダと、バインダ内に分散配置された熱膨張剤と、を含む。バインダは、酢酸ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー等の熱可塑性樹脂である。熱膨張剤は、プロパン、ブタン等の低沸点で気化する物質を、熱可塑性樹脂の外殻に内包した、粒径が約5〜50μmの熱膨張性のマイクロカプセルである。熱膨張剤は、例えば80℃から120℃程度の温度に加熱されると、内包している物質が気化し、その圧によって発泡及び膨張する。このようにして、熱膨張層102は、吸収した熱量に応じて膨張する。熱膨張剤は、発泡剤とも呼ぶ。

インク受容層103は、熱膨張層102の上側に積層された、インクを吸収して受容する層である。インク受容層103は、インクジェット方式のプリンタに用いられる印刷用のインク、レーザー方式のプリンタに用いられる印刷用のトナー、ボールペン又は万年筆のインク、鉛筆の黒鉛等を受容する。インク受容層103は、これらを表面に定着させるための好適な材料によって形成される。インク受容層103の材料として、例えば、インクジェット用紙に用いられている汎用的な材料を用いることができる。

図2に、熱膨張性シート100の裏面を示す。熱膨張性シート100の裏面とは、熱膨張性シート100の基材101側の面であって、基材101の裏面に相当する。これに対して、熱膨張性シート100の表面とは、熱膨張性シート100のインク受容層103側の面であって、インク受容層103の表面に相当する。

図2に示すように、熱膨張性シート100の裏面には、その縁部に沿って複数のバーコードBが付されている。バーコードBは、熱膨張性シート100を識別するための識別子であって、熱膨張性シート100が立体画像を形成するための専用のシートであることを示す情報である。バーコードBは、後述する立体画像形成システム1の膨張装置50によって読み取られ、膨張装置50において熱膨張性シート100の使用の可否を判定するための識別子である。

<立体画像形成システム1> 次に、図3を参照して、熱膨張性シート100に立体画像を形成するための立体画像形成システム1について説明する。図3に示すように、立体画像形成システム1は、端末装置30と、印刷装置40と、膨張装置50と、を備える。

端末装置30は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の情報処理装置であって、印刷装置40及び膨張装置50を制御する制御ユニットである。図4に示すように、端末装置30は、制御部31と、記憶部32と、操作部33と、表示部34と、記録媒体駆動部35と、通信部36と、を備える。これら各部は、信号を伝達するためのバスによって接続されている。

制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。制御部31において、CPUが、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、端末装置30全体の動作を制御する。

記憶部32は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリである。記憶部32は、制御部31によって実行されるプログラム又はデータ、及び、印刷装置40によって印刷されるカラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを記憶する。

操作部33は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパッド、タッチパネル等の入力装置を備えており、ユーザから操作を受け付ける。ユーザは、操作部33を操作することによって、カラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データ編集する操作、印刷装置40又は膨張装置50に対する操作等を入力することができる。

表示部34は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置と、表示装置に画像を表示させる表示駆動回路と、を備える。例えば、表示部34は、カラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを表示する。また、表示部34は、必要に応じて、印刷装置40又は膨張装置50の現在の状態を示す情報を表示する。

記録媒体駆動部35は、可搬型の記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す。可搬型の記録媒体とは、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、USB(Universal Serial Bus)規格のコネクタが備えられているフラッシュメモリ等である。例えば、記録媒体駆動部35は、カラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを、可搬型の記録媒体から読み出して取得する。

通信部36は、印刷装置40及び膨張装置50を含む外部の装置と通信するためのインタフェースを備える。端末装置30は、フレキシブルケーブル、有線LAN(Local Area Network)等の有線、又は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等の無線を介して印刷装置40及び膨張装置50と接続されている。通信部36は、制御部31の制御の下、これらのうちの少なくとも1つの通信規格に従って、印刷装置40及び膨張装置50と通信する。

<印刷装置40> 印刷装置40は、熱膨張性シート100の表面又は裏面に画像を印刷する印刷ユニットである。印刷装置40は、インクを微滴化し、被印刷媒体に対して直接に吹き付ける方式で画像を印刷するインクジェットプリンタである。

図5に、印刷装置40の詳細な構成を示す。図5に示すように、印刷装置40は、熱膨張性シート100が搬送される方向である副走査方向D1(Y方向)に直交する主走査方向D2(X方向)に往復移動可能なキャリッジ41を備える。

キャリッジ41には、印刷を実行する印刷ヘッド42と、インクを収容したインクカートリッジ43(43k,43c,43m,43y)が取り付けられている。インクカートリッジ43k,43c,43m,43yには、それぞれ、ブラックK、シアンC、マゼンタM、及びイエローYの色インクが収容されている。各色のインクは、印刷ヘッド42の対応するノズルから吐出される。

キャリッジ41は、ガイドレール44に滑動自在に支持されており、駆動ベルト45に狭持されている。キャリッジ41は、モータ45mの回転により駆動ベルト45が駆動することで、印刷ヘッド42及びインクカートリッジ43と共に、主走査方向D2に移動する。

フレーム47の下部には、印刷ヘッド42と対向する位置に、プラテン48が設けられている。プラテン48は、主走査方向D2に延在しており、熱膨張性シート100の搬送路の一部を構成している。熱膨張性シート100の搬送路には、給紙ローラ対49a(下のローラは不図示)と排紙ローラ対49b(下のローラは不図示)とが設けられている。給紙ローラ対49aと排紙ローラ対49bとは、プラテン48に支持された熱膨張性シート100を副走査方向D1に搬送する。

印刷装置40は、フレキシブル通信ケーブル46を介して端末装置30と接続されている。端末装置30は、フレキシブル通信ケーブル46を介して、印刷ヘッド42、モータ45m、給紙ローラ対49a及び排紙ローラ対49bを制御する。具体的に説明すると、端末装置30は、給紙ローラ対49a及び排紙ローラ対49bを制御して、熱膨張性シート100を搬送させる。また、端末装置30は、モータ45mを回転させてキャリッジ41を移動させ、印刷ヘッド42を主走査方向D2の適切な位置に搬送させる。

印刷装置40は、端末装置30から画像データを取得し、取得した画像データに基づいて印刷を実行する。具体的に説明すると、印刷装置40は、画像データとして、カラー画像データと表面発泡データと裏面発泡データとを取得する。カラー画像データは、熱膨張性シート100の表面に印刷するカラー画像を示すデータである。印刷装置40は、印刷ヘッド42に、シアンC、マゼンタM及びイエローYの各インクを熱膨張性シート100に向けて噴射させて、カラー画像を印刷する。

これに対して、表面発泡データは、熱膨張性シート100の表面において発泡及び膨張させる部分を示すデータである。また、裏面発泡データは、熱膨張性シート100の裏面において発泡及び膨張させる部分を示すデータである。印刷装置40は、印刷ヘッド42に、カーボンブラックを含むブラックKの黒色インクを熱膨張性シート100に向けて噴射させて、黒色による濃淡画像(濃淡パターン)を印刷する。カーボンブラックを含む黒色インクは、光を熱に変換する材料の一例である。

<膨張装置50> 膨張装置50は、熱膨張性シート100の表面又は裏面に光を照射し、熱膨張性シート100の表面又は裏面に印刷された濃淡画像を発熱させて、熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分を膨張させる膨張ユニットである。

図6に、膨張装置50の構成を模式的に示す。図6において、X方向は、膨張装置50の幅方向に相当し、Y方向は、膨張装置50の長手方向に相当し、Z方向は、鉛直方向に相当する。X方向とY方向とZ方向とは、互いに直交する。

膨張装置50は、箱型の筐体210を備える。筐体210は、内部が第1室である下側筐体211と第2室である上側筐体212との2室に仕切られている。これは、後述するランプ232からの光の照射により上側筐体212内の温度が上昇するため、下側筐体211内の基板等に与える影響を抑制するものである。

下側筐体211には、電源基板221と、制御基板222と、下側ファン223と、が収容されている。電源基板221は、商用電源を制御基板222等、膨張装置50の各部の動作に適した電力に変換して供給する。制御基板222は、電源基板221から電力を受け、本明細書で説明するものを含めて膨張装置50の動作全般を制御する。下側ファン223は、電源基板221及び制御基板222等、下側筐体211に収容された各部から発生する熱によって加熱された空気を矢印A1に従って筐体210の外側へ排出する。従って、筐体210には、任意の場所に下側筐体211についての開口部である下部吸気部211aと下部排気部211bとが設けられている。これらの開口部は、スリット等の任意の形状とすることができる。

この他、筐体210の下側筐体211には電源基板221及び制御基板222等をメンテナンスするための開口部及び蓋等を設けることができる。

上側筐体212の上壁には外気を吸入するための開口である上部吸気部212aが設けられている。上部吸気部212aは、後述する可動部230の可動範囲内に設けられたスリット等である。また、上側筐体212の奥側の壁には外気を排出するための開口である上部排気部212bが設けられている。上部排気部212bは、後述する上側排気ファン240に対応するスリット等である。

上側筐体212の図示左側にはユーザが前記熱膨張性シートを搬入及び搬出するための開口部である出入口212cが設けられており、その出入口212cに対応する開閉扉212dが取り付けられている。本実施形態では、開閉扉212dは出入口212cの下辺部を軸に回転することで開閉される。開閉扉212dにはユーザが開閉操作をするための任意の取手が設けられる。開閉扉212dの開閉を検知するための扉開閉検知センサ213が設けられている。なお、図6において、図示の左側を「手前側」とし、右側を「奥側」とする(以下の説明でも同様)。

上側筐体212には、可動部230と、上側排気ファン240と、用紙載置部250と、搬送部260と、が収容されている。

可動部230は、搬送駆動部270の動作に伴い、搬送部260に沿って手前側と奥側との間を往復運動することができるように構成されている。可動部230は、カバー231と、ランプ232と、反射板233と、上側給気ファン234と、サーモスタット235と、温度センサ236と、バーコードリーダ237と、を備える。

カバー231は、ランプ232と、反射板233と、上側給気ファン234と、温度センサ236と、サーモスタット235と、を収容する箱型に形成されている。カバー231の上端部は、筐体210の吸入部からの外気の吸入を妨げないように開口されている。カバー231の下端部は、吸入された外気を下方に排出するよう、開口されている。カバー231は、公知の方法で後述するボールネジ271と接続され手前側と奥側との間を移動可能とする接続機構をさらに備える。

ランプ232は、熱膨張性シート100に向けて光を照射する照射部である。本実施形態では、ランプ232はX軸方向に直管状に構成されたハロゲンランプである。

反射板233は、上部にはランプ232の後側の周方向を取り囲む図示のような円弧状の内面を有し、下部には垂直な内面を有する。反射板233は、内面が光の反射に適するように処理された金属等から形成されている。反射板233の下端部は、ランプ232の光を下方に照射するよう開口されている。カバー231の内面と反射板233の外面との間において空気が流れるよう、反射板233はカバー231の内側に比べてやや小さくなっている。

上側給気ファン234は、筐体210の吸入部と反射板233との間、即ち光の照射方向から見れば後方に配置されている。このように配置することで、外気を効率的に特に反射板233に当てて、さらに下方に流すことができる。上側給気ファン234は、手前側から見て左右方向に例えば3連のファンが並列に設けられている。上側給気ファン234が動作すると、吸入部を介して外気を吸入し、反射板233に風を当てる。反射板233が高温であると次回の熱膨張性シート100を膨張装置50にセットした際に膨張するおそれがあるため、反射板233を冷却するものである。また、上側給気ファン234は、反射板233の外面とカバー231の内面との間を下方に向けて通気させて熱膨張性シート100に風を当てる。これにより、膨張処理により加熱された熱膨張性シート100を冷却する。本実施形態では、カバー231、ランプ232、反射板233及び上側給気ファン234の組合せは、下方の熱膨張性シート100に垂直に対面して配置されている。

温度センサ236は、カバー231の内側且つ反射板233の外側に配置されている。温度センサ236には、例えばサーミスタが使用される。

サーモスタット235は、カバー231の内側且つ反射板233の外側に配置されている。サーモスタット235は、カバー231内部が異常な高温になった場合を検出し、ランプ232を消灯させる。

バーコードリーダ237は、カバー231の外側に取り付けられている。本実施形態における熱膨張性シート100は膨張装置50に対応する熱膨張性シート100であり、一辺に熱膨張性シート100である等の情報を示すバーコードBが予め付されている。バーコードリーダ237は、可動部230が奥側の端部位置であるホームポジションP−Hにあり、熱膨張性シート100が用紙載置部250上にセットされているときに、熱膨張性シート100のバーコードBを読み取る。

この他、可動部230は、搬送部260のレール(不図示)に対応する被支持部(不図示)を備える。

上側排気ファン240は、筐体210の奥側の壁に設けられた排出部に隣接して設けられている。即ち、上側排気ファン240は、上側筐体212において開閉扉212dから最も遠い面に配置されている。これは、通常動作ではユーザの手が届かない位置であり、且つ、機内の排気をスムーズにするためである。上側排気ファン240は、手前側から見て左右方向に例えば3連のファンが並列に設けられている。上側排気ファン240が動作すると、上側筐体212内の加熱された内気を排出部を介して筐体210の外側に排出する。本実施形態では、上側給気ファン234と上側排気ファン240が同時に運転されるので、上側筐体212内の風は矢印A2に従って流れ、機外へ排出される(なお、このとき開閉扉212dは閉じている)。後述の動作の説明において、可動部230が移動し図6のホームポジションP−Hの位置より左側にあったとしても、風の流れは同様である。

用紙載置部250は、トレイ251と、トレイ用台部252と、トレイ検知センサ253と、用紙サイズ検知センサ254と、を備える。本実施形態では、一例として熱膨張性シート100の大きさをA3サイズ及びA4サイズの2種類とする。

トレイ251は、トレイ上部251aとトレイ下部251bとを備える。トレイ251は、トレイ上部251aとトレイ下部251bとの間に熱膨張性シート100を挟み込んで膨張装置50から取り出し可能であるとともに膨張装置50内の所定位置に配置されるように構成されている。このようなトレイを用いることで、複数種類の大きさ等の熱膨張性シート100に対応可能とする。ランプ232に対面する側のトレイ上部251aは、光が照射される部分が露出するように熱膨張性シート100を挟持するよう、額縁状に開口している。すなわち、トレイ251は、熱膨張性シート100の4辺の縁部を挟みこんで固定する。

トレイ用台部252は、トレイ251を位置決めして載置する。ユーザが開閉扉212dを開けてトレイ251を搬入及び搬出することを容易にするように、トレイ用台部252には出入口212cから載置位置までの間にスライド脱着部252aが設けられている。

膨張装置50は、手前側から見た幅がA3サイズの短辺の長さ、即ちA4サイズの長辺の長さに対応している。従って、図示された断面図において、上側筐体212の手前側から奥側にかけての内部空間は、A3サイズの長辺の長さに対応している。

トレイ検知センサ253は、トレイ用台部252にトレイ251が載置されたことを検知するセンサである。図示の例では、トレイ検知センサ253は、トレイ251の手前側の端部の位置においてトレイ251の有無を検知する。

この他、A3サイズとA4サイズとでトレイ251を異なる大きさとする場合に、それぞれの大きさのトレイ251の端部の位置においてトレイ251の有無を検知することとしてもよい。

用紙サイズ検知センサ254は、熱膨張性シート100の下側から熱膨張性シート100の有無及び熱膨張性シート100のサイズを検知するセンサ(サイズ検知部)である。

搬送部260は、図7に示す搬送駆動部270を備える。搬送駆動部270については後述する。搬送部260は、搬送駆動部270の他、ボールネジ回転数検知センサ261と、搬送終端停止用スイッチ262、263と、ホームポジションセンサ264と、搬送駆動開始停止センサ265、266と、を備える。

搬送終端停止用スイッチ262、263は、手前側及び奥側の端部付近に1つずつ設けられている。可動部230がいずれかの方向に移動して終端部にある搬送終端停止用スイッチ262、263に接触して動作させると、当該方向の搬送駆動部270の動作が停止するようになっている。

ホームポジションセンサ264は、可動部230が図1のホームポジションP−Hにあることを検知するセンサである。ホームポジションP−Hは、可動部230の移動方向(Y軸方向)に沿って上側排気ファン240に最も近い位置(位置微調整用の移動代は除く)にある。ホームポジションP−Hがこの位置であることで、後述の発泡加熱後に上側給気ファン234及び上側排気ファン240により冷却しながらスムーズに風を流すことができる。

搬送駆動開始停止センサ265、266は、手前側又は奥側において搬送駆動部270の動作による可動部230の移動が開始又は停止したことを検知するセンサである。

また、搬送部260は、図示しないレールを備える。レールは、手前側から見て用紙載置部250を挟んで左右の両側端部付近に1対として設けられている。レールは、ボールネジ271によって可動部230が移動する際に可動部230の左右両側端部に設けられた被支持部(不図示)を支持して案内する。

図7に示すように、搬送駆動部270は、ボールネジ271と、ガイド272と、DCモータ273と、プーリ274、277と、ベルト275と、ボールネジ回転数検知センサ261と、を備える。

ボールネジ271は、手前側から奥側に亘ってガイド272に回転可能に支持されている。ボールネジ271は、手前側から見て時計回り及び反時計回りに回転可能であり、回転方向によって可動部230の移動方向が決定される。

ガイド272は、図示を含めボールネジ271の軸方向に複数個設けられており、筐体210に固定されている。

DCモータ273は、制御基板222の指令に基づき、軸方向から見て時計回り又は反時計回りに回転数を制御されて回転する。

ボールネジ271とDCモータ273の回転軸にはそれぞれプーリ274、277が取り付けられている。プーリ274、277の外周部にはそれぞれV形溝等の溝が形成されており、ベルト275は溝に係合するとともにプーリ274、277間を連結する。このような構成により、DCモータ273の動作に伴ってボールネジ271は所定の回転方向及び回転数で回転する。即ち、可動部230は、所定の方向及び速度で移動する。

ボールネジ回転数検知センサ261は、ボールネジ271の回転数を検知する。

次に、本発明の膨張装置50が使用される形態を含め、膨張装置50の構造をさらに説明する。

図8において、机60の上に、端末装置30、印刷装置40及び膨張装置50が載置されている。

端末装置30は、印刷装置40及び膨張装置50の動作全般を管理し、ユーザの操作に基づき印刷装置40及び膨張装置50を制御する。

印刷装置40は、発泡用の熱膨張性シート100である熱膨張性シート100に図柄を印刷する。

膨張装置50において、図9では開閉扉212dが開かれて出入口212cからトレイ251を取り出した状態が示されている。膨張部分に黒インクが印刷された熱膨張性シート100をトレイ251のトレイ上部251aとトレイ下部251bとの間に挟み込む。その後、トレイ251を膨張装置50内に送り込んで開閉扉212dを閉じる。熱膨張性シート100の発泡及び冷却が終了したら、開閉扉212dを開けてトレイ251を取り出す。

次に、上述の図に加えて図10〜図17を参照して、本実施形態に係る膨張装置50において、特に発泡及び乾燥動作並びにそれらに伴う冷却について説明する。なお、これらの動作は、ユーザによる直接の操作を除いて、いずれも端末装置30で管理される制御基板222からの指令に基づく。

<立体画像形成処理> まず、以上のように構成された膨張装置50において実行される立体画像形成処理の流れについて、図10に示すフローチャート及び図11(a)〜(e)に示す熱膨張性シート100の断面図を参照して説明する。

第1に、ユーザは、立体画像が形成される前の熱膨張性シート100を準備し、端末装置30の操作部33を介して、カラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを指定する。そして、熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて印刷装置40に挿入する。印刷装置40は、挿入された熱膨張性シート100の表面に光熱変換層104を印刷する(ステップS1)。光熱変換層104は、光を熱に変換する材料、具体的にはカーボンブラックを含む黒色インクで形成された層である。印刷装置40は、指定された表面発泡データに従って、熱膨張性シート100の表面に、カーボンブラックを含む黒色インクを吐出する。その結果、図11(a)に示すように、インク受容層103上に光熱変換層104が形成される。

第2に、ユーザは、光熱変換層104が印刷された熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて膨張装置50に挿入する。膨張装置50は、挿入された熱膨張性シート100の表面に、ランプ232を含む可動部230に相当する照射部によって光を照射する(ステップS2)。熱膨張性シート100の表面に印刷された光熱変換層104は、照射された光を吸収することによって発熱する。その結果、図11(b)に示すように、熱膨張性シート100のうちの光熱変換層104が印刷された部分が盛り上がって膨張する。

第3に、ユーザは、表面が加熱されて膨張した熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて印刷装置40に挿入する。印刷装置40は、挿入された熱膨張性シート100の表面にカラーインク層105を印刷する(ステップS3)。具体的に説明すると、印刷装置40は、指定されたカラー画像データに従って、熱膨張性シート100の表面に、シアンC、マゼンタM及びイエローYの各インクを吐出する。その結果、図11(c)に示すように、インク受容層103及び光熱変換層104の上にカラーインク層105が形成される。

なお、印刷装置40は、カラーインク層105において黒又はグレーの色の画像を印刷する場合には、シアンC、マゼンタM及びイエローYの3色のインクを混色して形成するか、或いはカーボンブラックを含まない黒色のインクを更に使用することによって形成する。これによって、カラーインク層105が形成された部分が膨張装置50において加熱されることを回避する。

第4に、ユーザは、カラーインク層105が印刷された熱膨張性シート100を裏返して、その裏面を上側に向けて膨張装置50に挿入する。膨張装置50は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に照射部によって光を照射し、熱膨張性シート100を裏面から加熱する。これにより、膨張装置50は、カラーインク層105中に含まれる溶媒を揮発させて、カラーインク層105を乾燥させる(ステップS4)。カラーインク層105を乾燥させることによって、後の工程で熱膨張性シート100を膨張させ易くする。

第5に、ユーザは、カラーインク層105が印刷された熱膨張性シート100を、その裏面を上側に向けて印刷装置40に挿入する。印刷装置40は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に光熱変換層106を印刷する(ステップS5)。光熱変換層106は、熱膨張性シート100の表面に印刷された光熱変換層104と同様に、光を熱に変換する材料、具体的にはカーボンブラックを含む黒色インクで形成された層である。印刷装置40は、指定された裏面発泡データに従って、熱膨張性シート100の裏面に、カーボンブラックを含む黒色インクを吐出する。その結果、図11(d)に示すように、基材101の裏面に光熱変換層106が形成される。

第6に、ユーザは、光熱変換層106が印刷された熱膨張性シート100を、その裏面を上側に向けて膨張装置50に挿入する。膨張装置50は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に、照射部によって光を照射する(ステップS6)。熱膨張性シート100の裏面に印刷された光熱変換層106は、照射された光を吸収することによって発熱する。その結果、図11(e)に示すように、熱膨張性シート100のうちの光熱変換層106が印刷された部分が盛り上がって膨張する。

なお、図11(a)〜(e)では、理解を容易にするため、光熱変換層104及びカラーインク層105は、インク受容層103の上に形成されているように示されている。しかしながら、より正確には、カラーインク及び黒色インクは、インク受容層103の内部に吸収されるため、インク受容層103の中に形成される。

以上のように、熱膨張性シート100のうちの光熱変換層104,106が形成された部分が膨張することによって、熱膨張性シート100にカラーの立体画像が形成される。光熱変換層104,106は、その濃度が濃い部分ほど大きく加熱されるため、より大きく膨張する。そのため、目標となる高さに応じて光熱変換層104,106の濃淡を調整することで、様々な形状の立体画像を得ることができる。

なお、熱膨張性シート100を表面から加熱する処理と裏面から加熱する処理とのうちのどちらか一方を省略しても良い。例えば、熱膨張性シート100の表面のみを加熱して膨張させる場合には、図10におけるステップS5,S6は省略される。これに対して、熱膨張性シート100の裏面のみを加熱して膨張させる場合には、図15におけるステップS1,S2は省略される。また、ステップS3におけるカラー画像の印刷は、ステップS6における熱膨張性シート100を裏面から加熱する処理の後で実行されても良い。

また、モノクロの立体画像を形成する場合には、印刷装置40は、ステップS3において、カラー画像の代わりにモノクロ画像を印刷しても良い。この場合、インク受容層103及び光熱変換層104の上には、カラーインク層105の代わりに黒インクによる層が形成される。

以上のような熱膨張性シート100の立体画像形成処理を行うため、図12に示すように、膨張装置50は、表発泡工程(ステップS10)、カラー印刷後の乾燥工程(ステップS30)及び裏発泡工程(ステップS50)の順で動作する。以下、図13〜図18を参照してより詳細に説明する。

<表発泡工程> 図13に示すように、表発泡工程において、まずユーザが電源をONにする(ステップS11)と、膨張装置50は、可動部230をホームポジションの位置にセットする(ステップS12)。ホームポジションは、図6における可動部230の位置であり、図16におけるホームポジションP−Hの位置である。このとき、可動部230がホームポジションP−Hにあることをホームポジションセンサ264が検知する。ステップS12のホームポジション動作は、まず可動部230がホームポジションP−Hの位置にあるか否かを判別し、否である場合は可動部230をホームポジションP−Hに移動させる。続いて、さらに可動部230をホームポジションP−Hから移動させてからホームポジションP−Hに戻す動作である。戻す際に、ホームポジションセンサ264がホームポジションP−Hであることを検知した後、さらにわずかに可動部230に移動させる。

続いて、ユーザが、トレイ251を取り出し(ステップS13)、トレイ251に熱膨張性シート100(フローチャートでは「用紙」という。)をセットして(ステップS14)、トレイ251を膨張装置50内に挿入する(ステップS15)。このとき、熱膨張性シート100は、図11(a)のように光熱変換層104が印刷された表面をランプ232に対面させるようにする。そして、図9に示すトレイ251のトレイ上部251aとトレイ下部251bとで熱膨張性シート100を挟み込む。そして、スライダを経由してトレイ用台部252上にトレイ251をセットする。また、ステップS15において、ユーザが膨張装置50の図示しないスタートボタンを押す等の操作をすることとしてもよい。

続いて、熱膨張性シート100がセットされたことを確認する(ステップS16)。このとき、トレイ検知センサ253がトレイ251を検知するとともに、用紙サイズ検知センサ254が熱膨張性シート100のサイズを検知する。

続いて、バーコードリーダ237が、熱膨張性シート100に印刷されたバーコードBを読み取る(ステップS17)。膨張装置50に使用される熱膨張性シート100は加熱用の専用紙であるため、一般紙が誤ってセットされていないことを確認するものである。

続いて、膨張装置50内のプレヒートを行う(ステップS19)。プレヒートは、ステップS11のように電源をONにした時、又は、発泡加熱又は乾燥加熱を行わない状態で例えば1時間以上経過したとき等に行われる。プレヒートについては、図14及び図15で説明する。

続いて、熱膨張性シート100に対して発泡加熱を行う(ステップS20)。発泡加熱については、図17で説明する。ステップS20の終了により、ステップS10が完了する。

プレヒート(ステップS19)について2つの例を挙げる。まず、図14に示すモード1において、ランプ232を点灯(ON)させる(ステップS110)。ランプ232は、ハロゲンランプであり、短い時間で温度が上昇する。

続いて、カバー内温度が所定のプレヒート設定温度TPH℃に達したか否かを判別する(ステップS120)。このとき、カバー231内の温度センサ236で検知する温度を用いる。TPH℃に達しない場合(ステップS120:No)は達するまで処理を繰り返す。

カバー内温度が所定のプレヒート設定温度TPH℃に達したら(ステップS120:Yes)ランプ232を消灯(OFF)させて(ステップS130)、可動部230の上側給気ファン234及び奥側の上側排気ファン240を運転(ON)させる(ステップS140)。従って、一端カバー231内の温度を上げてから、ステップS130及びステップS140により温度を下げる。

続いて、カバー内温度が所定の設定温度T1℃に達したか否かを判別する(ステップS150)。このとき、カバー231内の温度センサ236で検知する温度を用いる。T1℃に達しない場合(ステップS150:No)は達するまで処理を繰り返す。

カバー内温度が所定の設定温度T1℃に達したら(ステップS150:Yes)上側給気ファン234及び上側排気ファン240を停止(OFF)させる(ステップS160)。これにより、モード1のプレヒートが終了する。

図15は、モード2のプレヒートの例を示すフローチャートである。まず、モード1のステップS110と同様にランプ232をONにする(ステップS210)。

続いて、ボールネジ271を正回転させて、可動部230を奥側から手前側に移動させる(ステップS220)。本明細書においては、矢印A3に沿って、「正回転」の時に可動部230が奥側から手前側に向かって(図16の右側から左側に向かって)移動し、「逆回転」の時に可動部230が手前側から奥側に向かって(図16の左側から右側に向かって)移動するものとする。

続いて、可動部230を所定位置で停止させる(ステップS230)。本プレヒートにおいては、所定位置は、図16の終端位置(A3)P−A3である。

続いて、ボールネジ271を逆回転させて、可動部230を手前側から奥側に移動させ(ステップS240)、ホームポジションP−Hに移動させる(ステップS250)。ステップS250のホームポジション動作は、ステップS12と同様である。

続いて、モード1のステップS150と同様にカバー内温度が所定のプレヒート設定温度TPH℃に達したか否かを判別する(ステップS260)。TPH℃に達しない場合(ステップS260:No)は、処理がステップS220に戻り、加熱しながら可動部230を移動させることを繰り返す。

カバー内温度が所定のプレヒート設定温度TPH℃に達したら(ステップS260:Yes)、モード1のステップS130及びステップS140と同様に、ランプ232を消灯(OFF)させて(ステップS270)、可動部230の上側給気ファン234及び奥側の上側排気ファン240を運転(ON)させる(ステップS280)。従って、一端カバー231内の温度を上げてから、ステップS130及びステップS140により温度を下げる。

続いて、可動部230をホームポジションP−Hに移動させる(ステップS290)。ステップS290のホームポジション動作は、ステップS12と同様であるが、ステップS250で既にホームポジションP−Hにセットされているため、ステップS290では微調整としての位置調整である。その後、モード1のステップS150及びステップS160と同様に、カバー内温度が所定の設定温度T1℃に達したか否かを判別し(ステップS300)、達したら(ステップS300:Yes)上側給気ファン234及び上側排気ファン240を停止(OFF)させる(ステップS310)。これにより、モード2のプレヒートが終了する。

以下、図17のフローチャートを参照して発泡加熱処理(ステップS20)を説明する。

まず、カバー内温度がT1℃以下であるか否かを判別する(ステップS410)。T1℃以下である場合(ステップS410:Yes)、ランプ232をONにして(ステップS420)加熱する。

続いて、加熱によりカバー内温度が所定のT2℃(T1

2)に達したか否かを判別する(ステップS430)。T

2℃に達しない場合(ステップS430:No)は達するまで処理を繰り返す。

カバー内温度が所定のT2℃に達したら(ステップS430:Yes)、ランプ232をOFFにし(ステップS440)上側給気ファン234及び上側排気ファン240をONにして(ステップS450)冷却する。

前述のステップS410においてカバー内温度がT1℃を超える場合(ステップS410:No)、上側給気ファン234及び上側排気ファン240をONにして(ステップS425)冷却する。

続いて、冷却によりカバー内温度がT1℃に達したか否かを判別する(ステップS460)。T1℃に達しない場合(ステップS460:No)は達するまで処理を繰り返す。

カバー内温度がT1℃に達したら(ステップS460:Yes)、ランプ232をONにし(ステップS470)上側給気ファン234及び上側排気ファン240をOFFにして(ステップS480)加熱する。

続いて、タイマにより予め設定された所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS490)。所定時間に達しない場合(ステップS490:No)は達するまで処理を繰り返す。

所定時間が経過したら(ステップS490:Yes)、ボールネジ271を正回転させて(ステップS500)、可動部230を所定距離移動させる(ステップS510)。即ち、これらのステップにおいて、熱膨張性シート100のランプ232に対面する表面を発泡させる(図11(b)又は(e))。このとき、所定距離とは、用紙のサイズによって異なる。熱膨張性シート100がA4サイズであるときは、所定距離は図16のホームポジションP−Hから終端位置(A4)P−A4に達するまでの距離であり、熱膨張性シート100がA3サイズであるときは、所定距離は図16のホームポジションP−Hから終端位置(A3)P−A3に達するまでの距離である。

続いて、ランプ232をOFFにし(ステップS520)上側給気ファン234及び上側排気ファン240をONにして(ステップS530)冷却する。熱膨張性シート100の冷却の際は、加熱により発生したインクの蒸気が熱膨張性シート100等を汚さないようにするため、ファンによる冷却風がスムーズに熱膨張性シート100の上方を流れて排出されることが好ましい。従って、本実施形態においては、発泡加熱が終了した側(この例では手前側)において上方から外気を吸入し、反対側(上側筐体212の奥側端部)から排出することとする。

続いて、冷却を行いながらボールネジ271を逆回転させて(ステップS540)可動部230をホームポジションP−Hへ移動させる(ステップS550)。

続いて、冷却によりカバー内温度がTPH℃に達したか否かを判別する(ステップS560)。TPH℃に達しない場合(ステップS560:No)は達するまで処理を繰り返す。

カバー内温度がTPH℃に達したら(ステップS560:Yes)、上側給気ファン234及び上側排気ファン240をOFFにして(ステップS570)、発泡加熱処理は終了する。また、これにより表発泡工程(ステップS10)が終了する。

<カラー印刷後の乾燥工程> 次に、図13及び図18を参照して、カラー印刷後の乾燥工程(ステップS30)について説明する。

図13において、表発泡工程(ステップS10)が終了後、ステップS13〜ステップS15と同様に、トレイ251を取り出し(ステップS31)、トレイ251に熱膨張性シート100をセットして(ステップS32)、トレイ251を膨張装置50内に挿入する(ステップS33)。このとき、ユーザは、トレイ251から熱膨張性シート100を取り出してから、熱膨張性シート100の表面に印刷装置40によりカラーインク層を印刷し(図11(c))、その後熱膨張性シート100の表面がランプ232に対面するようにしてトレイ251に挟み込む。

続いて、ステップS16及びステップS17と同様に、熱膨張性シート100がセットされたことを確認し(ステップS34)、バーコードリーダ237が、熱膨張性シート100に印刷されたバーコードBを読み取る(ステップS35)。

続いて、乾燥加熱を行う(ステップS36)。カラー印刷されたインクはすぐに乾かない可能性があるため、裏面の発泡処理の前に熱膨張性シート100の印刷箇所を乾燥させておくことが好ましい。従って、本実施形態ではカラー印刷後の乾燥工程(ステップS30)を行う。

より詳細には、図18に示すように、乾燥工程が開始されると、ランプ232をONにし(ステップS610)、ボールネジ271を正回転させて(ステップS620)可動部230をホームポジションP−Hから手前側に移動させる。

続いて、可動部230が所定距離移動したら移動を停止させる(ステップS630)。この場合の所定距離は、ステップS510と同様に、熱膨張性シート100のサイズに対応した距離(ホームポジションP−Hから終端位置(A4)P−A4又は位置(A3)P−A3までの距離)である。

続いて、ランプ232をOFFにし(ステップS640)上側給気ファン234及び上側排気ファン240をONにして(ステップS650)冷却する。

続いて、ボールネジ271を逆回転させて(ステップS660)可動部230をホームポジションへ移動させる(ステップS670)。

乾燥加熱では、可動部230の移動速度が発泡加熱に比べて高速であるため、温度が比較的低く熱膨張性シート100の発泡は起こらない。これに伴い、確実に乾燥させるために、所定の乾燥回数に達するまで(ステップS680:No)ステップS610〜ステップS670を繰り返す。

所定の乾燥回数に達したら(ステップS680:Yes)、乾燥加熱処理は終了する。また、これによりカラー印刷後の乾燥工程(ステップS30)が終了する。

<裏発泡工程> 次に、図13及び図17を参照して、裏発泡工程(ステップS50)について説明する。

図13において、カラー印刷後の乾燥工程(ステップS30)が終了後、ステップS13〜ステップS15と同様に、トレイ251を取り出し(ステップS51)、トレイ251に熱膨張性シート100をセットして(ステップS52)、トレイ251を膨張装置50内に挿入する(ステップS53)。このとき、ユーザは、トレイ251から熱膨張性シート100を取り出してから、熱膨張性シート100の裏面に印刷装置40により光熱変換層を印刷し(図11(d))、その後裏面がランプ232に対面するように熱膨張性シート100をトレイ251に挟み込む。

続いて、ステップS16及びステップS17と同様に、熱膨張性シート100がセットされたことを確認し(ステップS54)、バーコードリーダ237が、熱膨張性シート100に印刷されたバーコードBを読み取る(ステップS55)。

続いて、ステップS20と同様に発泡加熱を行う(ステップS56)。図11(e)に示すように熱膨張性シート100の裏面の光熱変換層106に光を照射することで、熱膨張性シート100の表面がさらに膨張する。これにより、裏発泡工程(ステップS50)が終了するとともに、図13に示す膨張装置50の一連の動作が終了する。

以上説明したように、本実施形態では、上側筐体212内で、発泡加熱においてランプ232を移動させながら光を熱膨張性シート100に照射した後、ランプ232を消灯して上側給気ファン234及び上側排気ファン240を運転させながら移動させる。

このような構成とすることで、上側筐体212内に熱膨張性シート100を配置した後に、開閉扉212dを閉じてから膨張処理が行われる。従って、外部から機内に侵入するゴミ等の異物、又は、機内に流入する外気の風等の影響を抑制して閉じられた空間内で膨張処理を行うことができる。

また、可動部230の上側給気ファン234、及び、上側排気ファン240によって膨張処理後の熱膨張性シート100に対して冷却風を効率良く流すことができる。これにより、熱がこもりやすい閉じられた空間内であっても、熱による熱膨張性シート100の変形が抑制される。熱膨張性シート100の4辺をトレイ251に挟持することにより、熱膨張性シート100の変形はさらに抑制される。

また、本実施形態によれば、発泡加熱によって発生したインク等を含む蒸気を、筐体210奥側から効果的に排出させることができる。

また、本実施形態によれば、比較的簡単な構成を有しながら複数種類(本実施形態の例ではA3サイズ/A4サイズ)の熱膨張性シートを使用可能な膨張装置が得られる。

また、搬送駆動部270の構成により、ボールネジ271の回転速度、即ち可動部230の移動速度を可変させることで、短時間で温度が上昇するハロゲンランプの特性を活かしつつ、発泡工程における速度より高速として発泡を抑制しながら効果的にカラーインクを乾燥させることができる。

(変形例) 以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施形態が本発明の範囲に含まれる。

例えば、上記実施形態では、可動部230のカバー231、ランプ232、反射板233及び上側給気ファン234は、熱膨張性シート100に対して垂直に対面するように配置されている。この他にも、冷却用の空気を上側排気ファン240に効率良く流すため、可動部230の上記構成物の一部又は全部を上側排気ファン240の方に傾斜させることとしてもよい。

また、可動部230のカバー231の例えば下部において、上側給気ファン234からの空気の流れを上側排気ファン240の方に傾斜させるガイドを設けることとしてもよい。即ち、ガイドによって冷却用の空気を上側排気ファン240に効率良く流すこととしてもよい。ガイドは、例えば図示したカバー231に対してガイド板を配置することとしてもよく、カバー231の下側を上側排気ファン240の方に屈曲させてガイドとすることとしてもよい。

また、上記実施形態では、発泡加熱、乾燥加熱及びこれらに伴う冷却が行われる。この他にも、可動部230の移動及びランプ232の点灯を伴わずに、上側給気ファン234及び上側排気ファン240の運転によって機内の換気を行うこととしてもよい。

また、上記実施形態では、上側給気ファン234がカバー231に収容され共に移動することとしている。この他にも、筐体210に固定の上側給気ファンを設けてカバー231内に通気する構造を採用することとしてもよい。

また、上記実施形態では、端末装置30と印刷装置40と膨張装置50とは、それぞれ独立した装置であった。しかしながら、本発明において、端末装置30と印刷装置40と膨張装置50とのうちの少なくともいずれか2つが一体となっていても良い。

また、印刷装置40の印刷方式は、インクジェット方式に限らない。例えば、印刷装置40は、レーザー方式のプリンタであって、トナーと現像剤とによって画像を印刷しても良い。また、光熱変換層104,106は、光を熱に変換しやすい材料であれば、カーボンブラックを含む黒インク以外の材料によって形成されても良い。この場合、光熱変換層104,106は、印刷装置40以外の手段によって形成されるものであっても良い。

また、上記実施形態において、膨張装置50の制御部31は、CPUを備えており、CPUの機能によって、熱膨張性シート100を乾燥させる乾燥処理と、膨張装置50の内部を換気する換気処理と、熱膨張性シート100を膨張させる膨張処理と、膨張装置50の内部を冷却する冷却処理と、を実行した。しかし、本発明に係る膨張装置50において、制御部31は、CPUの代わりに、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、各種制御回路等の専用のハードウェアを備え、専用のハードウェアが、専用のハードウェアが、乾燥処理、換気処理、膨張処理及び冷却処理のそれぞれを実行しても良い。この場合、各処理を個別のハードウェアで実行しても良いし、各処理をまとめて単一のハードウェアで実行しても良い。また、各処理のうち、一部を専用のハードウェアによって実行し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実行しても良い。

なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた膨張装置として提供できることはもとより、プログラムの適用により、膨張装置を制御するコンピュータに、上記実施形態で例示した膨張装置50による各機能構成を実現させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した膨張装置50による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の情報処理装置等を制御するCPU等が実行できるように適用することができる。

このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。

以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。

(付記) (付記1) 載置部に置かれた熱膨張性シートに光を照射する照射部と、 前記照射部を第1の位置と第2の位置との間で往復移動可能に搬送する搬送部と、 筐体に固定され当該筐体から排気する排気ファンと、 前記照射部とともに移動可能であり外気を前記筐体内に給気する給気ファンと、 を備え、 前記排気ファンは、前記照射部が前記第2の位置から前記第1の位置に向けて移動された後、前記第1の位置から前記第2の位置に戻されるときに前記第2の位置側から排気可能な位置に設けられている、 ことを特徴とする膨張装置。

(付記2) 前記照射部は、ハロゲンランプと、前記ハロゲンランプの一部を取り囲んで前記ハロゲンランプの光を反射させる反射板と、を備え、 前記給気ファンは、前記ハロゲンランプの上方に位置し、当該ハロゲンランプに向けて外気を給気するように設けられている、 ことを特徴とする付記1に記載の膨張装置。

(付記3) 前記筐体は、一面においてユーザが前記熱膨張性シートを搬入及び搬出するための開口部と開閉扉とを備え、 前記排気ファンは前記開閉扉から最も遠い前記第2の位置側の面に隣接する、 ことを特徴とする付記1又は2に記載の膨張装置。

(付記4) 前記照射部と前記給気ファンとを包囲し、前記給気ファンにより給気された外気を当該筐体の内部に通気させるカバーを更に備える、 ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の膨張装置。

(付記5) 前記筐体の上面には外気を吸入するための開口である上部吸気部が設けられている、 ことを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の膨張装置。

(付記6) 前記載置部は、前記光が照射される部分が露出するように前記熱膨張性シートを挟持する取り出し可能なトレイを備える、 ことを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の膨張装置。

1…立体画像形成システム、30…端末装置、31…制御部、32…記憶部、33…操作部、34…表示部、35…記録媒体駆動部、36…通信部、40…印刷装置、41…キャリッジ、42…印刷ヘッド、43,43k,43c,43m,43y…インクカートリッジ、44…ガイドレール、45…駆動ベルト、45m…モータ、46…フレキシブル通信ケーブル、47…フレーム、48…プラテン、49a…給紙ローラ対、49b…排紙ローラ対、50…膨張装置、60…机、100…熱膨張性シート、101…基材、102…熱膨張層、103…インク受容層、104,106…光熱変換層、105…カラーインク層、210…筐体、211…下側筐体、211a…下部吸気部、211b…下部排気部、212…上側筐体、212a…上部吸気部、212b…上部排気部、212c…出入口、212d…開閉扉、213…扉開閉検知センサ、221…電源基板221、222…制御基板、230…可動部230、231…カバー、232…ランプ、233…反射板、234…上側給気ファン、235…サーモスタット、236…温度センサ、237…バーコードリーダ、240…上側排気ファン、250…用紙載置部、251…トレイ、251a…トレイ上部、251b…トレイ下部、252…トレイ用台部、252a…スライド脱着部、253…トレイ検知センサ、254…用紙サイズ検知センサ、260…搬送部、261…ボールネジ回転数検知センサ、262,263…搬送終端停止用スイッチ、、264…ホームポジションセンサ、265,266…搬送駆動開始停止センサ、270…搬送駆動部、271…ボールネジ、272…ガイド、273…DCモータ、275…ベルト、274,277…プーリ、A1〜A3…矢印、B…バーコード、D1…副走査方向、D2…主走査方向、P−A3…終端位置(A3)、P−A4…終端位置(A4)、P−H…ホームポジション

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