選択されたメルトインデックスを有する熱可塑性材料を用いた付加製造方法

申请号 JP2016573863 申请日 2015-06-15 公开(公告)号 JP2017519661A 公开(公告)日 2017-07-20
申请人 サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ; サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ; 发明人 ビハリ、マルヴィカ; クマール ガガール、サティシュ; クマール ガガール、サティシュ; イー. コックス、キース; イー. コックス、キース; ホッカー、トーマス;
摘要 【解決手段】本明細書において、熱可塑性物品を製造する方法であって、熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、材料の複数の層を融解させて物品を形成するステップと、を含み、熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である熱可塑性組成物を含むことを特徴とする方法と、熱可塑性物品から製造された物品が開示される。【選択図】なし
权利要求

熱可塑性物品を製造する方法であって、 熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、 前記材料の複数の層を融解させて前記物品を形成するステップと、 を含み、 前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である熱可塑性組成物を含むことを特徴とする方法。前記熱可塑性材料は、 (i)10℃よりも低いTgを有する弾性ポリマー基材と、 (ii)ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、前記弾性ポリマー基材にグラフト化された剛性ポリマー上層(superstrate)と、 を含むエラストマー修飾グラフトコポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。前記弾性ポリマー基材は、共役ジエンゴム、共重合可能なモノマーが50重量%未満である共役ジエンのコポリマー、オレフィンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、シリコーンゴム、弾性C1−8アルキル(メタ)アクリレート、ブタジエン及び/又はスチレンとC1−8アルキル(メタ)アクリレートの弾性コポリマー、又は上記のエラストマーの少なくとも1つを含む組合せを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン(AES)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。前記熱可塑性材料は、ポリスチレン標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量が60000〜97000であるポリ(スチレンアクリロニトリル)を有し、ゴム含有量がアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーの総重量を基準として15〜30重量%であり、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分であるするアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ポリカーボネートホモポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリエステル、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ビスフェノールAカーボネート単位を含む直鎖状ポリカーボネートホモポリマーを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。前記熱可塑性材料は、0.1〜5モル%の1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)分岐剤を含む、界面重合により生成された、分岐され、エンドキャップされたビスフェノールAホモポリカーボネートを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ビスフェノールA及び嵩高いビスフェノールカーボネート単位のコポリカーボネートを含むことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の方法。前記コポリカーボネートは、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、2−フェニル−3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジンカーボネート単位を含む(BPA−PPPBPコポリマーである)ことを特徴とする請求項9に記載の方法。前記コポリカーボネートは、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンカーボネート単位を含む(BPA−DMBPCコポリマーである)ことを特徴とする請求項9に記載の方法。前記コポリカーボネートは、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、イソホロンビスフェノールカーボネート単位を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ビスフェノールAカーボネート単位及びイソフタレート−テレフタレート−ビスフェノールAエステル単位を含むポリ(エステル−カーボネート)を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。前記ポリ(エステル−カーボネート)は、直鎖状C6−20脂肪族ジカルボン酸に由来するポリ(脂肪族エステル)−カーボネートであることを特徴とする請求項13に記載の方法。前記ポリ(脂肪族エステル)−カーボネートは、ビスフェノールAセバケートエステル単位及びビスフェノールAカーボネート単位を含み、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した重量平均分子量が10000〜40000であることを特徴とする請求項14に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマーを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。前記ポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマーは、50〜99重量%のカーボネート単位と、1〜50重量%のシロキサン単位を含み、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した重量平均分子量が15000〜35000であることを特徴とする請求項16に記載の方法。前記熱可塑性組成物は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが33g/10分〜60g/10分であることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の方法。ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、少なくとも1つのポリカーボネートホモポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリエステル、又はそれらの組合せを使用した材料押出付加製造技術により製造され、剪断強度が16MPa〜25MPaである物品。前記物品は、少なくとも20層を含み、200〜300℃の温度で押し出されることを特徴とする請求項19に記載の物品。

熱可塑性物品を製造する方法であって、 熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、 前記材料の複数の層を融解させて前記物品を形成するステップと、 を含み、 前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが33g/10分〜66g/10分である熱可塑性組成物を含むことを特徴とする方法。前記熱可塑性材料は、 (i)10℃よりも低いTgを有する弾性ポリマー基材と、 (ii)ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、前記弾性ポリマー基材にグラフト化された剛性ポリマー上層(superstrate)と、 を含むエラストマー修飾グラフトコポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。前記弾性ポリマー基材は、共役ジエンゴム、共重合可能なモノマーが50重量%未満である共役ジエンのコポリマー、オレフィンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、シリコーンゴム、弾性C1−8アルキル(メタ)アクリレート、ブタジエン及び/又はスチレンとC1−8アルキル(メタ)アクリレートの弾性コポリマー、又は上記のエラストマーの少なくとも1つを含む組合せを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ポリスチレン標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量が60000〜97000であるポリ(スチレンアクリロニトリル)を有し、ゴム含有量がアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーの総重量を基準として15〜30重量%であり、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分であるするアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ポリカーボネートホモポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリエステル、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ビスフェノールAカーボネート単位を含む直鎖状ポリカーボネートホモポリマーを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ビスフェノールAカーボネート単位及びイソフタレート−テレフタレート−ビスフェノールAエステル単位を含むポリ(エステル−カーボネート)を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマーを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。前記熱可塑性組成物は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが35g/10分〜50g/10分であることを特徴とする請求項1に記載の方法。ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが33g/10分〜60g/10分である、少なくとも1つのポリカーボネートホモポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリエステル、又はそれらの組合せを使用した材料押出付加製造技術により製造され、剪断強度が16MPa〜25MPaであり、少なくとも20層を含み、200〜300℃の温度で押し出されることを特徴とする物品。

说明书全文

材料押出は、融解された複数の層の形成により三次元オブジェクトを製造するための付加製造(AM)方法の一種である。

材料押出は、最終的な製品の部品、取付具、及び型を製造するためだけでなく、多様な製品のプロトタイプモデルを製造するために使用することができる。しかし、造形方向における部品の強度は、接着強度と、積み上げの後続の層との間の有効接着面積によって限定される。これらの2つの造形特性は、2つの点で、層間の接着を低減しうる。ある実施の形態において、それぞれの層は、分離した融解流出物である。ある例においては、新しい層のポリマー鎖は、先行(前)の層のポリマー鎖と容易に混合しない可能性がある。第二に、ある例において、新しい層からの熱伝導のみに依存する場合には、先行の層が既に冷却されてしまったために、材料の接着又は融解のための本来の接着特性が不十分となる可能性がある。さらに、層間の接着の低減は、高度に層状な表面仕上げをももたらす。

したがって、改良された審美的品質及び構造特性を有する部品を製造することが可能な材料押出法が必要とされている。

当分野の上述した問題点及びその他の問題点は、物品を製造する方法であって、熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、前記材料の複数の層を融解させて前記物品を形成するステップと、を含み、前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である熱可塑性組成物を含むことを特徴とする方法により対応される。

別の実施の形態において、物品は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である熱可塑性材料を使用した材料押出付加製造技術により製造され、剪断強度が16MPa〜25MPaである。

1つの具体的な実施の形態において、熱可塑性物品を製造する方法は、熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、材料の複数の層を融解させて物品を形成するステップと、を含み、熱可塑性材料は、ポリカーボネート標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した組み合わされた重量平均分子量が15000〜20000であり、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である少なくとも1つのポリカーボネートホモポリマーを含む。

別の具体的な実施の形態において、熱可塑性物品を製造する方法は、熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、材料の複数の層を融解させて物品を形成するステップと、を含み、熱可塑性材料は、ポリスチレン標準を使用してGPCにより測定した重量平均分子量が60000〜97000であるポリ(スチレンアクリロニトリル)を有し、ゴム含有量がアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーの総重量を基準として15〜30重量%であり、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分であるするアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーを含む熱可塑性組成物を含む。

別の具体的な実施の形態において、熱可塑性物品を製造する方法は、熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、材料の複数の層を融解させて物品を形成するステップと、を含み、熱可塑性材料は、芳香族構造単位と脂肪族構造単位の組合せを有し、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した組み合わされた重量平均分子量が10000〜24000であり、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である少なくとも1つのポリカーボネートコポリマーを含む。熱可塑性組成物は、ポリカーボネートホモポリマーを更に含んでもよい。

別の実施の形態において、熱可塑性物品を製造する方法は、熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、材料の複数の層を融解させて物品を形成するステップと、を含み、熱可塑性材料は、芳香族構造単位とシロキサン構造単位の組合せを有し、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した組み合わされた重量平均分子量が15000〜35000であり、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である少なくとも1つのポリカーボネートコポリマーを含む熱可塑性組成物を含む。熱可塑性組成物は、ポリカーボネートホモポリマーを更に含んでもよい。

別の具体的な実施の形態において、熱可塑性物品を製造する方法は、押し出された熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、押し出された材料の複数の層を融解させて物品を形成するステップと、を含み、押し出された熱可塑性材料は、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した組み合わされた重量平均分子量が10000〜24000であり、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である少なくとも1つのポリ(脂肪族エステル−カーボネート)を含む熱可塑性組成物を含む。熱可塑性組成物は、ポリカーボネートホモポリマーを更に含んでもよい。

別の具体的な実施の形態において、熱可塑性物品を製造する方法は、熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、材料の複数の層を融解させて物品を形成するステップと、を含み、熱可塑性材料は、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した組み合わされた重量平均分子量が15000〜35000であり、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である少なくとも1つのポリ(シロキサン−カーボネート)を含む熱可塑性組成物を含む。熱可塑性組成物は、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した重量平均分子量が10000〜20000であるポリカーボネートホモポリマーを更に含んでもよい。

本明細書において、上述した方法により製造された物品も説明する。

上述した特徴及びその他の特徴を、下記の詳細な説明、実施例、及び特許請求の範囲により例示する。

本明細書において、隣接する層間の接着が向上された部品を製造することが可能な材料押出法が開示される。本明細書においては、理論に拘束されることなく、好適な結果が得られると考えられる。例えば、高強度三次元熱可塑性ポリマー成分が、メルトフローインデックスのみ、又はオプションで熱可塑性ポリマー材料の分子量を共に選択することにより達成できる。メルトフローのみ、又はオプションで分子量も考慮することにより、熱可塑性材料をより長時間液体状態のまま維持し、それにより内部応の解放を促進し、押し出された材料の層間の接着をより良好にすることができる。メルトフロー及び分子量を適切に選択することにより、後に堆積された材料は、先に堆積された材料に接着するのに必要な物理的特性を有し、そのため全ての方向において接着性が増加する。さらに、層間の増加された接着は、層間の表面張力に勝り、部品の表面の品質を向上させることが可能な結合力をもたらす。したがって、優れた機械的及び審美的特性を有する部品を製造することができる。

本方法のある実施の形態において、複数の層は、付加製造法により予め定められたパターンで形成される。付加製造の文脈で使用される「複数」とは、20以上の層を含む。層の最大数は、例えば、製造される物品の大きさ、使用される技術、使用される設備の能力、及び最終的な製品に要求される細部のレベルなどの考慮事項により決定されるが、大きく異なりうる。例えば、20〜100000層が形成されてもよいし、50〜50000層が形成されてもよい。

本明細書で使用される「層」とは、任意の形状、規則的又は不規則的、少なくとも所定の厚さを有する、便宜的な用語である。ある実施の形態においては、サイズ及び二次元形状が予め定められ、ある実施の形態においては、層のサイズ及び三次元全ての形状が予め定められる。それぞれの層の厚さは、付加製造方法に依存して広範に変化しうる。ある実施の形態において、形成されたそれぞれの層の厚さは、先行又は後続の層とは異なる。ある実施の形態において、それぞれの層の厚さは同じである。ある実施の形態において、形成されたそれぞれの層の厚さは、0.5mm〜5mmである。

予め定められたパターンは、所望の物品の三次元ディジタル表現から決定されてもよい。これは、当分野において既知であり、更なる詳細を後述する。

本明細書において使用される「材料押出」という用語は、部品又は物品を層ごとに堆積又は形成することを含む。ある実施の形態において、これは、熱可塑性材料を半液体状態に加熱し、それをディジタル的にコンピューター制御された経路にしたがってノズル又は開口から押し出し、隣接する層を、それらの内部の熱伝導により、或いは、別の熱源、別の科学的又は物理的融解手段、又はそれらの組合せからの加熱により、共に融解させることにより生じさせることができる。材料は、押し出された後、基材上のx−y平面に一連の層として堆積される。押し出された造形材料は、先に堆積された造形材料を融解させ、温度の降下により凝固する。つづいて、押出ヘッドの基材に対する位置がz軸に沿って移動され、ディジタル表現を模した三次元モデルを形成するために、このプロセスが繰り返される。代替の実施の形態において、押し出されたペレット又はフィラメントのストリングを調整し、コイルの形状に冷却し、その後、上記と同様のディジタルモデリングを用いて、コイルを堆積させて層を形成することができる。例えば、押し出された材料の物品は、コイルからほどかれた、又は、押出ヘッドから堆積された、プラスチックのフィラメント又はペレットのストリングを配置することにより製造することができる。これらの堆積された層は、外部の熱源、別の科学的又は物理的融解手段、又はそれらの組合せからの熱を用いて共に融解される。材料押出は、支持材料とともに、又は、支持材料なしに、造形材料を使用することができる。造形材料は、完成部品を含み、支持材料は、加工が完了したときに機械的に除去し、洗い流し、又は溶解させることが可能な足場を含む。

本明細書及び特許請求の範囲において使用される「材料押出付加製造技術」という用語は、製造する物品が上述した材料押出プロセスにより製造可能であることを意味する。材料押出付加製造技術は、熱溶解積層法及び融解フィラメント製造だけでなく、ASTM F2792−12aにより定義された他の材料押出技術を含む。

本明細書において、少なくとも1つの熱可塑性材料の層を熱可塑性材料の別の層の上に堆積させ、これら2つの層を共に融解させ、これらの手順を積層物又は物品が製造されるまで繰り返すことが可能なプロセスであれば、他の任意の付加製造プロセスを使用することができる。

材料押出のためのシステムは既知である。典型的な材料押出付加製造システムは、造形チャンバーと、熱可塑性材料の供給源を含む。造形チャンバーは、造形プラットフォーム、ガントリー、及び熱可塑性材料を吐出するためのディスペンサー、例えば押出ヘッドを含む。造形プラットフォームは、その上で物品が造形されるプラットフォームであり、望ましくは、コンピューターにより操作されるコントローラーから提供される信号に基づいて、鉛直なz軸に沿って移動する。ガントリーは、例えばコントローラーから提供される信号に基づいて、ディスペンサーを造形チャンバー内の平なx−y平面内で移動させるように構成されるガイドレールシステムである。水平なx−y平面は、x軸及びy軸により定義される平面である。ここで、x軸、y軸、及びz軸は、互いに垂直である。または、プラットフォームが水平なx−y平面において移動するように構成されてもよく、押出ヘッドがz軸に沿って移動するように構成されてもよい。プラットフォーム及び押出ヘッドの一方又は双方を、互いに相対移動可能とするために、他の類似の構成を用いることができる。造形プラットフォームは、分離されてもよく、大気条件に曝されてもよい。

上記の材料押し出し技術は、熱溶解積層法及び融解フィラメント製造だけでなく、ASTM F2792−12aに記載された他の技術を含む。融解材料押出技術において、物品は、熱可塑性材料を、層を形成するために堆積させることができるように、流動可能な状態に加熱することにより、製造することができる。層は、x−y平面において所定の形状を有し、z軸において所定の厚さを有してもよい。流動可能な材料は、上述したように経路として、又は、特定の輪郭を提供するためのダイを介して堆積されてもよい。層は、堆積されると、冷却され、固化する。融解した熱可塑性材料の後続の層は、先に堆積された層を融解させ、温度の低下とともに固化する。複数の後続の層の押出により、所望の形状が造形される。ある実施の形態においては、少なくとも1つの物品の層が融解積層により形成され、別の実施の形態においては、10超、又は20超、又は50超で、融解積層により形成される物品の層の全てまでの物品の層が融解積層により形成される。

本明細書において使用される押出材料は、熱可塑性組成物から製造される。熱可塑性組成物は、例えば、ポリカーボネートホモポリマー、ポリカーボネートコポリマー、エラストマー修飾グラフトコポリマー、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリアクリレート、及びそれらの組合せを含んでもよい。ポリカーボネートコポリマーの例は、ポリ(脂肪族エステル−カーボネート)及びポリ(シロキサン−カーボネート)を含む。エラストマー修飾グラフトコポリマーの例は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含む。

本明細書において使用される「ポリカーボネート」とは、式(1)の繰り返し構造カーボネート単位を有するポリマー又はコポリマーを意味する。

ここで、R1基の総数の少なくとも60%が芳香族である、又は、それぞれのR1は少なくとも1つのC6−30芳香族基を含む。具体的には、それぞれのR1は、式(2)の芳香族ジヒドロキシ化合物、又は、式(3)のビスフェノールなどのジヒドロキシ化合物に由来してもよい。

式(2)において、Rhは、それぞれ個々に、臭素などのハロゲン原子、C1−10アルキル基などのC1−10ヒドロカルビル基、ハロゲン置換C1−10アルキル基、C6−10アリール基、又はハロゲン置換C6−10アリール基であり、nは、0〜4である。

式(3)において、Ra及びRbは、それぞれ個々に、ハロゲン原子、C1−12アルコキシ基、又はC1−12アルキル基であり、p及びqは、それぞれ個々に、0〜4の整数であり、p又はqが4未満である場合は、環のそれぞれの炭素原子の原子価は水素原子により満たされる。実施の形態において、p及びqはそれぞれ0である、又は、p及びqはそれぞれ1であり、Ra及びRbはそれぞれ、それぞれのアリーレン基上のヒドロキシ基のメタ位に配置されたC1−3アルキル基、具体的にはメチル基である。Xaは、2つのヒドロキシ置換芳香族基を接続する架橋基であり、架橋基とそれぞれのC6アリーレン基のヒドロキシ置換基は、互いに、オルト位、メタ位、又はパラ位(とくにパラ位)に配置される。Xaは、例えば、単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、又はC1−18有機基である。C1−18有機基は、環式又は非環式、芳香族又は非芳香族であってもよく、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、又はリンなどのヘテロ原子を更に含んでもよい。例えば、Xaは、置換された又は置換されないC3−18シクロアルキリデン基;式−C(Rc)(Rd)−のC1−25アルキリデン基(ここで、Rc及びRdは、それぞれ個々に、水素原子、C1−12アルキル基、C1−12シクロアルキル基、C7−12アリールアルキル基、C1−12ヘテロアルキル基、又は環式C7−12ヘテロアリールアルキル基);又は式−C(=Re)−の基(ここで、Reは2価C1−12炭化水素基)であってもよい。

具体的なジヒドロキシ化合物の例は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、トランス−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコール・ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ダイオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、及び2,7−ジヒドロキシカルバゾール;レゾルシノール、置換されたレゾルシノール化合物、例えば、5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−t−ブチルレゾルシノール、5−フェニルレゾルシノール、5−クミルレゾルシノール、2,4,5,6−テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6−テトラブロモレゾルシノールなど;カテコール;ヒドロキノン;置換されたヒドロキノン、例えば、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノンなどのビスフェノール化合物を含む。

具体的なジヒドロキシ化合物は、レゾルシノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」又は「BPA」、式(3)において、A1及びA2のそれぞれはp−フェニレンであり、Y1はイソプロピリデンである)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(N−フェニルフェノールフタレインビスフェノール、「PPPBP」、又は3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルイソインドリン−1−オンとしても知られる)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)、及びビスフェノールAから、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンビスフェノール)を含む。

ポリカーボネートコポリマーは、カーボネート単位とエステル単位を含むコポリマー(「ポリ(エステル−カーボネート)」、ポリエステル−ポリカーボネートとしても知られる)を含む。ポリ(エステル−カーボネート)は、式(1)の循環するカーボネート鎖単位に加えて、式(4)の繰り返しエステル単位を更に含む。

ここで、Jは、ジヒドロキシ化合物(その反応誘導体を含む)に由来する2価基であり、例えば、C2−10アルキレン基、C6−20シクロアルキレン基、C6−20アリーレン基、又はポリオキシアルキレン基(アルキレン基が2〜6個の炭素原子、とくに、2、3、又は4個の炭素原子を含む)であってもよく;Tは、ジカルボン酸(その反応誘導体を含む)に由来する2価基であり、例えば、C2−20アルキレン基、C6−20シクロアルキレン基、又はC6−20アリーレン基であってもよい。異なるT、及び/又は、J基の組合せを含むコポリエステルが使用されてもよい。ポリエステルは、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。

具体的なジヒドロキシ化合物は、式(2)の芳香族ジヒドロキシ化合物(例えば、レゾルシノール)、式(3)のビスフェノール(例えば、ビスフェノールA)、C1−8脂肪族ジオール、例えば、エタンジオール、n−プロパンジオール、i−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−シクロヘキサンジオール、1,6−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、又は上記のジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組合せを含む。使用可能な脂肪族ジカルボン酸は、末端カルボキシル基を含むC6−20脂肪族ジカルボン酸、具体的には、デカン二酸(セバシン酸)などの直鎖状C8−12脂肪族ジカルボン酸、ドデカン二酸(DDDA)などのα、ω−C12ジカルボン酸を含む。使用可能な芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸、又は上記の酸の少なくとも1つを含む組合せを含む。イソフタル酸のテレフタル酸に対する重量比が91:9〜2:98であるイソフタル酸とテレフタル酸の組合せが使用されてもよい。

具体的なエステル単位は、エチレンテレフタレート単位、n−プロピレンテレフタレート単位、n−ブチレンテレフタレート単位、イソフタル酸、テレフタル酸、及びレゾルシノールに由来するエステル単位(ITRエステル単位)、及びセバシン酸及びビスフェノールAに由来するエステル単位を含む。ポリ(エステル−カーボネート)におけるエステル単位のカーボネート単位に対するモル比は、広範に変化させることができ、例えば、1:99〜99:1、具体的には、10:90〜90:10、より具体的には、25:75〜75:25、又は2:98〜15:85であってもよい。

実施の形態において、ポリカーボネートは、ビスフェノールAカーボネート単位を含む直鎖状ホモポリマーを少なくとも1つ(好ましくは1〜5)含む。直鎖状ポリマーは、分岐剤を意図的に追加せずに製造されるポリマーとして定義される。直鎖状ホモポリマーは、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した組み合わされた重量平均分子量が10000〜40000g/molであってもよい。本明細書において使用される「ポリカーボネート標準」及び「ポリスチレン標準」は、GPC較正曲線を設定するために使用される重量標準を指す。この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、15000以上、又は17000以上であってもよい。また、この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、35000以下であってもよい。本明細書において使用される「組み合わされた重量平均分子量」というフレーズは、これらのポリマーの全ての重量平均分子量の平均が規定された範囲内にあることを意味する。例えば、重量平均分子量がそれぞれ10000、20000、及び30000である3つのホモポリマーが組み合わされ、規定された範囲が15000〜25000重量平均分子量であった場合、この場合の組み合わされた重量平均分子量は20000(60000/3)であり、規定された範囲内となる。

直鎖状ポリカーボネートホモポリマーは、ASTM D1238−04に準拠して300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分であってもよい。メルトフローインデックスのこの範囲内で、ある実施の形態は、33g/10分〜60g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。別の実施の形態は、35g/10分〜50g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。

実施の形態において、ポリカーボネートは、5モル%未満の分岐剤を含む、界面重合により生成された、少なくとも1つ(好ましくは1〜5)の分岐され、エンドキャップされたビスフェノールAポリカーボネートを含む。実施の形態において、分岐され、エンドキャップされたビスフェノールAポリカーボネートは、0.1〜5モル%の1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)分岐剤を含む、界面重合により生成される。分岐され、エンドキャップされたビスフェノールAポリカーボネートは、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した組み合わされた重量平均分子量が20000〜50000である。この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、25000以上であってもよい。また、この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、35000以下であってもよい。

具体的なコポリカーボネートは、ビスフェノールA、及び、嵩高いビスフェノールカーボネート単位、すなわち、少なくとも12個の炭素原子、例えば、12〜60個の炭素原子、又は20〜40個の炭素原子を含むビスフェノールに由来するビスフェノールカーボネート単位を含む。このようなコポリカーボネートの例は、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、2−フェニル−3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジンカーボネート単位を含むコポリカーボネート(BPA−PPPBPコポリマー)、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンカーボネート単位を含むコポリマー(BPA−DMBPCコポリマー)、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、イソソルビドカーボネート単位を含むコポリマー、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、イソホロンビスフェノールカーボネート単位を含むコポリマーを含む。

ビスフェノールAと嵩高いビスフェノールカーボネート単位のコポリカーボネートの少なくとも1つは、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した組み合わされた重量平均分子量が15000〜30000である。この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、17000以上であってもよい。また、この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、25000以下であってもよい。

使用可能な別の具体的なポリカーボネートは、ビスフェノールAカーボネート単位及びイソフタレート−テレフタレート−ビスフェノールAエステル単位を含むポリ(エステル−カーボネート)を含む。これは、一般に、カーボネート単位とエステル単位の相対比率に応じて、ポリ(カーボネート−エステル)(PCE)又はポリ(フタレート−カーボネート)(PPC)とも呼ばれる。

ポリ(エステル−カーボネート)の具体的な例は、直鎖状C6−20脂肪族ジカルボン酸(その反応誘導体を含む)、とくに直鎖状C6−12脂肪族ジカルボン酸(その反応誘導体を含む)に由来するポリ(脂肪族エステル)−カーボネートである。具体的なジカルボン酸は、n−ヘキサン二酸(アジピン酸)、n−デカン二酸(セバシン酸)、及び、ドデカン二酸(DDDA)などのα、ω−C12ジカルボン酸を含む。具体的なポリ(脂肪族エステル)−ポリカーボネートは、式(8)のものである。

ここで、それぞれのR1は、同じであっても異なっていてもよく、式(1)に記載されたものであり、mは、4〜18、とくに4〜10であり、エステル単位のカーボネート単位に対するモル比x:yは、99:1〜1:99であり、13:87〜2:98、又は9:91〜2:98、又は8:92〜2:98を含む。具体的な実施の形態において、ポリ(脂肪族エステル)−ポリカーボネートコポリマーは、ビスフェノールAセバケートエステル単位及びビスフェノールAカーボネート単位を含み、平均モル比x:yは、例えば、2:98〜8:92、例えば6:94である。

少なくとも1つ(好ましくは1〜5)のポリ(脂肪族エステル−カーボネート)は、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した組み合わされた重量平均分子量が10000〜40000であってもよい。この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、17000以上であってもよい。また、この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、35000以下であってもよい。

ポリ(脂肪族エステル−カーボネート)は、ASTM D1238−04に準拠して300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分であってもよい。メルトフローインデックスのこの範囲内で、ある実施の形態は、33g/10分〜60g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。別の実施の形態は、35g/10分〜50g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。

組成物は、少なくとも1つ(好ましくは1〜5)のポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマー(ポリ(シロキサン−カーボネート)とも呼ばれる)を含んでもよい。ポリジオルガノシロキサン(本明細書では「ポリシロキサン」ともいう)ブロックは、式(10)の繰り返しジオルガノシロキサン単位を含む。

ここで、Rは、それぞれ個々に、C1−131価有機基である。Rは、例えば、C1−C13アルキル基、C1−C13アルコキシ基、C2−C13アルケニル基、C2−C13アルケニルオキシ基、C3−C6シクロアルキル基、C3−C6シクロアルコキシ基、C6−C14アリール基、C6−C10アリールオキシ基、C7−C13アリールアルキル基、C7−C13アラルコキシ基、C7−C13アルキルアリール基、又はC7−C13アルキルアリールオキシ基であってもよい。上記の基は、完全に又は部分的に、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素、又はそれらの組合せによりハロゲン化されてもよい。透明なポリ(シロキサン−カーボネート)が必要な実施の形態において、Rは、ハロゲンにより置換されない。上記のR基の組合せが同一のコポリマーにおいて用いられてもよい。

式(10)におけるEの値は、熱可塑性組成物におけるそれぞれの成分の種類及び相対量、組成物に要求される特性などの考慮事項に依存して、広範に変化させることができる。一般に、Eは、平均で、2〜1000、とくに、2〜500、2〜200、又は、2〜125、5〜80、又は10〜70の値を有する。実施の形態において、Eは、平均で、10〜80、又は10〜40の値を有し、更に別の実施の形態において、Eは、平均で、40〜80、又は40〜70の値を有する。Eが、例えば40未満の、低めの値を有する場合、比較的多量のポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーを使用するのが望ましい。逆に、Eが、例えば40超の高めの値を有する場合、比較的少量のポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーが使用されてもよい。

第1のコポリマーのEの平均値が第2のコポリマーのEの平均値よりも低いような第1及び第2のポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーの組合せが使用されてもよい。

実施の形態において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(11)のものである。

ここで、Eは、上記で定義された通りであり、それぞれのRは、同じであっても異なっていてもよく、上記で定義された通りであり、Arは、同じであっても異なっていてもよく、結合が芳香族部分に直接接続された置換又は非置換のC6−C30アリーレン基である。式(11)のAr基は、C6−C30ジヒドロキシアリーレン化合物、例えば、上記の式(3)又は(6)のジヒドロキシアリーレン化合物に由来してもよい。ジヒドロキシアリーレン化合物は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニルスルフィド)、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンである。上記のジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組合せが使用されてもよい。

別の実施の形態において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(13)のものである。

ここで、R及びEは、上記の通りであり、R5は、それぞれ個々に、2価のC1−C30有機基であり、重合化されたポリシロキサン単位は、対応するジヒドロキシ化合物の反応残基である。具体的な実施の形態において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(14)のものである。

ここで、R及びEは、上記で定義された通りである。式(14)におけるR6は、2価のC2−C8脂肪族基である。式(14)におけるそれぞれのMは、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1−C8アルキルチオ基、C1−C8アルキル基、C1−C8アルコキシ基、C2−C8アルケニル基、C2−C8アルケニルオキシ基、C3−C8シクロアルキル基、C3−C8シクロアルコキシ基、C6−C10アリール基、C6−C10アリールオキシ基、C7−C12アラルキル基、C7−C12アラルコキシ基、C7−C12アルキルアリール基、又はC7−C12アルキルアリールオキシ基であってもよく、nは、それぞれ個々に、0、1、2、3、又は4である。

実施の形態において、Mは、臭素又は塩素、メチル基、エチル基、又はプロピル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基などのアルコキシ基、又は、フェニル基、クロロフェニル基、又はトリル基などのアリール基であり、R6は、ジメチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基であり、Rは、C1−8アルキル基、トリフルオロプロピル基やシアノアルキル基などのハロアルキル基、フェニル基、クロロフェニル基、又はトリル基などのアリール基である。別の実施の形態において、Rは、メチル基、又はメチル基とトリフルオロプロピル基の組合せ、又はメチル基とフェニル基の組合せである。更に別の実施の形態において、Rはメチル基であり、Mはメトキシ基であり、nは1であり、R6は2価のC1−C3脂肪族基である。具体的なポリジオルガノシロキサンブロックは、次式のもの、

又は上記の少なくとも1つを含む組合せであり、Eは、平均値で、2〜200、2〜125、5〜125、5〜100、5〜50、20〜80、又は5〜20である。

式(14)のブロックは、対応するジヒドロキシポリジオルガノシロキサンに由来してもよく、ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンは、白金触媒下でのシロキサンヒドリドと脂肪族非置換1価フェノール、例えば、オイゲノール、2−アルキルフェノール、4−アリル−2−メチルフェノール、4−アリル−2−フェニルフェノール、4−アリル−2−ブロモフェノール、4−アリル−2−t−ブトキシフェノール、4−フェニル−2−フェニルフェノール、2−メチル−4−プロピルフェノール、2−アリル−4,6−ジメチルフェノール、2−アリル−4−ブロモ−6−メチルフェノール、2−アリル−6−メトキシ−4−メチルフェノール、及び2−アリル−4,6−ジメチルフェノールとの間の付加により調整することができる。ポリ(シロキサン−カーボネート)は、例えば、Hooverの欧州特許出願公開第0524731A1号の5ページ、調整2の合成手順により製造することができる。

透明なポリ(シロキサン−カーボネート)は、ビスフェノールAに由来するカーボネート単位(1)と、繰り返しシロキサン単位(14a)、(14b)、(14c)、又は上記の少なくとも1つ(とくに式14aのもの)を含む組合せを含み、Eは、平均で、4〜50、4〜15、具体的には5〜15、より具体的には6〜15、更に具体的には7〜10である。透明なコポリマーは、米国特許出願第2004/0039145A1に記載された管状反応器プロセスの1つ又は双方を使用して製造可能であり、又は、米国特許第6723864号に記載されたプロセスが、ポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマーを合成するために使用可能である。

ポリ(シロキサン−カーボネート)は、50〜99重量%のカーボネート単位と、1〜50重量%のシロキサン単位を含んでもよい。この範囲内で、ポリオルガノシロキサン−ポリカーボネートコポリマーは、70〜98重量%、より具体的には75〜97重量%のカーボネート単位と、2〜30重量%、より具体的には3〜25重量%のシロキサン単位を含んでもよい。

実施の形態において、ポリ(シロキサン−カーボネート)は、ポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマーの総重量を基準として、10重量%以下、具体的には6重量%以下、より具体的には4重量%以下のポリシロキサンを含み、通常、光学的に透明である。別の実施の形態において、ポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマーは、ポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマーの総重量を基準として、10重量%以上、具体的には12重量%以上、より具体的には14重量%以上のポリシロキサンコポリマーを含み、通常、光学的に不透明である。

ポリ(シロキサン−カーボネート)が、上述したエステル単位を更に含むポリマーを含むことは、明らかに予期される。

少なくとも1つ(好ましくは1〜5)のポリ(シロキサン−カーボネート)は、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した組み合わされた重量平均分子量が15000〜35000であってもよい。この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、20000以上であってもよい。また、この範囲内で、組み合わされた重量平均分子量は、33000以下であってもよい。

ポリ(シロキサン−カーボネート)は、ASTM D1238−04に準拠して300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分であってもよい。メルトフローインデックスのこの範囲内で、ある実施の形態は、33g/10分〜60g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。別の実施の形態は、35g/10分〜50g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。

1つの実施の形態において、熱可塑性組成物は、重量平均分子量が20000〜25000であるポリカーボネートホモポリマー、及び重量平均分子量が17000〜19000であるポリカーボネートホモポリマーを含む。ここで、重量平均分子量は、ポリカーボネート標準を使用したGPCにより測定される。

1つの実施の形態において、熱可塑性組成物は、組み合わされた重量平均分子量が15000〜25000である少なくとも1つ(好ましくは1〜5)のポリ(脂肪族エステル−カーボネート)を含む。熱可塑性組成物は、組み合わされた重量平均分子量が33000〜38000である少なくとも1つ(好ましくは1〜5)のポリ(脂肪族エステル−カーボネート)、及び重量平均分子量が15000〜19000であるホモポリカーボネート、又はそれらの組合せを更に含んでもよい。重量平均分子量は、ポリカーボネート標準を使用したGPCにより測定される。

1つの実施の形態において、熱可塑性組成物は、重量平均分子量が25000〜35000である、分岐され、エンドキャップされたビスフェノールAホモポリカーボネート、重量平均分子量が20000〜25000である直鎖状ホモポリカーボネート、及び重量平均分子量が15000〜20000である直鎖状ホモポリカーボネートを含む。重量平均分子量は、ポリカーボネート標準を使用したGPCにより測定される。

1つの実施の形態において、熱可塑性組成物は、組み合わされた重量平均分子量が20000〜25000である少なくとも1つ(好ましくは1〜5)のポリ(シロキサン−カーボネート)、及び重量平均分子量が15000〜20000である直鎖状ホモポリカーボネートを含む。重量平均分子量は、ポリカーボネート標準を使用したGPCにより測定される。

1つの実施の形態において、熱可塑性組成物は、重量平均分子量が20000〜25000である、ビスフェノールA及び嵩高いビスフェノールカーボネート単位のコポリカーボネート、重量平均分子量が20000〜25000である直鎖状ホモポリカーボネート、及び重量平均分子量が25000〜30000である直鎖状ホモポリカーボネートを含む。重量平均分子量は、ポリカーボネート標準を使用したGPCにより測定される。

エラストマー修飾グラフトコポリマーは、(i)10℃よりも低い、より具体的には−10℃よりも低い、又はより具体的には−40〜−80℃のTgを有する弾性(例えばゴム様)ポリマー基材と、(ii)弾性ポリマー基材にグラフト化された剛性ポリマー上層(superstrate)とを含む。エラストマー相としての使用に好適な材料は、例えば、ポリブタジエン及びポリイソプレンなどの共役ジエンゴム;共重合可能なモノマー、例えば、スチレン、アクリロニトリル、n−ブチルアクリレート、又はエチルアクリレートなどの1価ビニル化合物が50重量%未満である共役ジエンのコポリマー;エチレンプロピレンコポリマー(EPR)又はエチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(EPDM)などのオレフィンゴム;エチレン−酢酸ビニルゴム;シリコーンゴム;弾性C1−8アルキル(メタ)アクリレート;ブタジエン及び/又はスチレンとC1−8アルキル(メタ)アクリレートの弾性コポリマー;又は上記のエラストマーの少なくとも1つを含む組合せを含む。剛性相としての使用に好適な材料は、例えば、スチレン及びα−メチルスチレンなどの1価ビニル芳香族モノマー、及びアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸などの1価ビニルモノマー、及びアクリル酸及びメタクリル酸のC1−C6エステル、とくにメタクリル酸メチルを含む。

具体的なエラストマー修飾グラフトコポリマーは、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン(AES)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、及びスチレン−アクリロニトリル(SAN)から生成されたものを含む。

実施の形態において、芳香族ビニルコポリマーは、「フリーな」スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、すなわち、別のポリマー鎖にグラフト化されていないスチレン−アクリロニトリルコポリマーを含む。特定の実施の形態において、フリーなスチレン−アクリロニトリルコポリマーは、ポリスチレン標準を使用してGPCにより測定した重量平均分子量が60000〜97000ダルトンであってもよく、スチレンとアクリロニトリルの様々な比率を含んでもよい。例えば、フリーなSANは、フリーなSANコポリマーの総重量を基準として、75重量%のスチレンと、25重量%のアクリロニトリルを含んでもよい。フリーなSANは、フリーなSANを含むグラフト化されたゴム耐衝撃性改良剤の組成物への追加のためにオプションで存在してもよいし、フリーなSANは、組成物における他の耐衝撃性改良剤とは独立して存在してもよい。

エラストマー修飾グラフトコポリマーは、ASTM D1238−04に準拠して300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分であってもよい。メルトフローインデックスのこの範囲内で、ある実施の形態は、33g/10分〜60g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。別の実施の形態は、35g/10分〜50g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。

熱可塑性組成物は、この種のポリマー組成物に通常組み込まれる様々な添加剤を含んでもよい。ただし、添加剤は、熱可塑性組成物の所望の特性、とくにメルトフローインデックスに著しく不利な影響を与えないように選択される。このような添加剤は、組成物を生成するために成分を混合する間の好適な時点で混合されてもよい。添加剤は、充填剤、補強剤、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線(UV)安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、二酸化チタン、カーボンブラック、及び有機染料などの着色剤、表面効果添加剤、放射線安定剤、難燃剤、ドリップ防止剤を含む。添加剤の組合せ、例えば、熱安定剤と紫外線安定剤の組合せが使用されてもよい。一般に、添加剤は、効果的であると一般に知られている量で使用される。例えば、添加剤(耐衝撃性改良剤、充填剤、又は補強剤以外)の総重量は、熱可塑性組成物の総重量を基準として、0.01〜5重量%であってもよい。

上述したように、ペレットストリング又は単繊維などの押し出された複数の熱可塑性材料は、予め定められたパターンで堆積され、物品を形成するために融解される。典型的な押出ベースの付加製造システムは、造形チャンバ−と供給源を含む。別の実施の形態において、製造システムは、大気条件に曝される造形プラットフォームを使用する。

造形チャンバ−は、プラットフォーム、ガントリー、及び押出ヘッドを含む。プラットフォームは、その上で物品が造形されるプラットフォームであり、望ましくは、コンピューターにより操作されるコントローラーから提供される信号に基づいて、鉛直なz軸に沿って移動する。ガントリーは、望ましくは、コントローラーから提供される信号に基づいて、押出ヘッドを造形チャンバー内の水平なx−y平面内で移動させるように構成されるガイドレールシステムである。水平なx−y平面は、x軸及びy軸により定義される平面である。ここで、x軸、y軸、及びz軸は、互いに垂直である。または、プラットフォームが水平なx−y平面において移動するように構成されてもよく、押出ヘッドがz軸に沿って移動するように構成されてもよい。プラットフォーム及び押出ヘッドの一方又は双方を、互いに相対移動可能とするために、他の類似の構成が用いられてもよい。

ある実施の形態において、熱可塑性組成物は、融解した状態でディスペンサーに供給される。ディスペンサーは、押出ヘッドとして構成されてもよい。押出ヘッドは、物品を造形するために、押し出される材料ストランドとして、熱可塑性組成物を堆積させてもよい。押し出される材料ストランドの好適な平均直径の例は、約1.27mm(約0.050インチ)から約3.0mm(約0.120インチ)の範囲である。熱可塑性材料は、熱可塑性材料の種類に応じて、200〜450℃の温度で押し出されてもよい。ある実施の形態において、熱可塑性材料は、300〜415℃の温度で押し出されてもよい。層は、押出温度よりも50〜200℃低い造形温度(押し出された熱可塑性材料の積層の温度)で積層されてもよい。例えば、造形温度は、15〜250℃であってもよい。ある実施の形態において、熱可塑性材料は、200〜450℃、又は300〜415℃の温度で押し出され、造形温度は室温に維持される。

別の実施の形態は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である熱可塑性材料を使用した材料押出付加製造技術で製造される物品であって、物品の剪断強度が16MPa〜25MPaである物品に関する。好ましくは、この物品は、少なくとも20層を含み、高温過ぎる加熱により生じる歪みを防ぐために、200〜300℃の温度で押し出される。

熱可塑性組成物は、下記の非限定的な実施例により更に説明される。

[実施例] 下記の実施例は、表1に示す材料を使用する。

同一の材料の2つの試料片(76.2×127×0.8mm)を積み重ねた。アルミニウムのスペーサー(0.75mm×2.54mm×2.54mm)を積層(スタック)の両端に置いた。つづいて、スタックを2つの金属板の間に挟んだ。それぞれの金属板は、1/4インチ厚であった。3.6〜4.5kgの重りをスタック/金属板の組合せの上に置き、試料片間の良好な接触を確保した。重りを置いたスタック/金属板の組合せを、表2に示すように、所望の期間、所望の温度に維持した。つづいて、スタック/金属板の組合せを冷却した。つづいて、2つの試料片を手で剥がして分離した。分離できなかった試料は、密着されたとして分類した。分離できた試料は、試料片を分離する困難さに基づいて分類した。分離するのが困難であった試料片の組は「高度の粘着」と記述し、分離するのがいくぶん困難であった試料片の組は「中程度の粘着」と記述し、分離するのが容易であった試料片の組は「弱い/低度の粘着」と記述した。

表2に示すように、高いメルトフローインデックス及びより低い分子量を有する熱可塑性材料は、より低いメルトフローインデックスを有する比較材料よりも、良好な試料片間の密着を示した。例えば、ABS A、及び、ABS Bは、双方とも同じ量のゴムを含むが、材料のスチレン−アクリロニトリル部分の分子量が異なる。より低い分子量のスチレンアクリロニトリル部分を有し、より高いメルトフローインデックスを有するABS Bは、顕著に良好な密着強度を有する。ABS C及びDは、同じ結果を示す。PEC A〜C、PC AとB、及びPSC AとBは、同じ現象を示す。さらに、30g/10分以上のメルトフローインデックスを有することが、試料片間の強い接着を形成するために有用であるようにみえる。

表1の材料の単繊維を、1.75mmの目標直径で押し出した。寸法76.2mm×9.652mm×6.35mm(7×0.38×0.25インチ)の長方形の棒を、Makerbotプリンターでフィラメント積層造形法を用いてプリントした。棒は、280、300、及び320℃のノズル温度を用いてプリントした。界面強度を評価するために、プリントした棒に対してショートビーム剪断試験(ASTM D2344/D2344M−13)を実施した。試料のショートビーム剪断強度を、(0.75×ピーク負荷)/(幅×厚さ)の式にしたがって算出した。結果を表3に示す。

材料の流動性が高いほど、高い剪断強度を示す。これは、これらの材料におけるより高い界面接着を反映する。

流動性の高い材料は、ノズルの温度による剪断強度の変化がかなり小さいことも分かる。理論に拘束されることなく、材料のより高い流動性のために、ポリマー鎖が低温で十分な移動性を有し、これらの材料を比較的低温で、より流動性の低い材料に比して良好な界面強度をもって、加工することが可能となると考えられる。例えば、PC Bから製造した試料は、ノズル温度が280及び300℃である場合に、同じノズル温度を用いた場合のPC Aから製造した試料に比べて、より低い剪断強度を有する。同様の傾向は、PEC C及びPEC Aについても見られる。

メルトフローが30〜50g/10分である組成物は、加工中により低い押出温度を用いることができるので、エネルギー消費、及び、生じうる材料の劣化を低減することができる。より低い温度で加工する場合、材料の漏れ(ドルーリング)や材料の劣化が低減される。

下記の実施の形態は、本発明を更に例示する。

実施の形態1:熱可塑性物品を製造する方法であって、熱可塑性材料の複数の層を予め定められたパターンで堆積させるステップと、前記材料の複数の層を融解させて前記物品を形成するステップと、を含み、前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である熱可塑性組成物を含むことを特徴とする方法。

実施の形態2:前記熱可塑性材料は、(i)10℃よりも低いTgを有する弾性ポリマー基材と、(ii)ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、前記弾性ポリマー基材にグラフト化された剛性ポリマー上層(superstrate)と、を含むエラストマー修飾グラフトコポリマーを含むことを特徴とする実施の形態1に記載の方法。

実施の形態3:前記弾性ポリマー基材は、共役ジエンゴム、共重合可能なモノマーが50重量%未満である共役ジエンのコポリマー、オレフィンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、シリコーンゴム、弾性C1−8アルキル(メタ)アクリレート、ブタジエン及び/又はスチレンとC1−8アルキル(メタ)アクリレートの弾性コポリマー、又は上記のエラストマーの少なくとも1つを含む組合せを含むことを特徴とする実施の形態2に記載の方法。

実施の形態4:前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン(AES)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする実施の形態1から3のいずれかに記載の方法。

実施の形態5:前記熱可塑性材料は、ポリスチレン標準を使用してGPCにより測定した重量平均分子量が60000〜97000であるポリ(スチレンアクリロニトリル)を有し、ゴム含有量がアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーの総重量を基準として15〜30重量%であり、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分であるするアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーを含むことを特徴とする実施の形態1に記載の方法。

実施の形態6:前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、少なくとも1つのポリカーボネートホモポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリエステル、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする実施の形態1に記載の方法。

実施の形態7:前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ビスフェノールAカーボネート単位を含む直鎖状ポリカーボネートホモポリマーを含むことを特徴とする実施の形態6に記載の方法。

実施の形態8:前記熱可塑性材料は、0.1〜5モル%の1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)分岐剤を含む、界面重合により生成された、分岐され、エンドキャップされたビスフェノールAホモポリカーボネートを含むことを特徴とする実施の形態6に記載の方法。

実施の形態9:前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ビスフェノールA及び嵩高いビスフェノールカーボネート単位のコポリカーボネートを含むことを特徴とする実施の形態6から8のいずれかに記載の方法。

実施の形態10:前記コポリカーボネートは、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、2−フェニル−3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジンカーボネート単位を含む(BPA−PPPBPコポリマーである)ことを特徴とする実施の形態9に記載の方法。

実施の形態11:前記コポリカーボネートは、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンカーボネート単位を含む(BPA−DMBPCコポリマーである)ことを特徴とする実施の形態9に記載の方法。

実施の形態12:前記コポリカーボネートは、ビスフェノールAカーボネート単位、及び、イソホロンビスフェノールカーボネート単位を含むことを特徴とする実施の形態9に記載の方法。

実施の形態13:前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ビスフェノールAカーボネート単位及びイソフタレート−テレフタレート−ビスフェノールAエステル単位を含むポリ(エステル−カーボネート)を含むことを特徴とする実施の形態6に記載の方法。

実施の形態14:前記ポリ(エステル−カーボネート)は、直鎖状C6−20脂肪族ジカルボン酸に由来するポリ(脂肪族エステル)−カーボネートであることを特徴とする実施の形態13に記載の方法。

実施の形態15:前記ポリ(脂肪族エステル)−カーボネートは、ビスフェノールAセバケートエステル単位及びビスフェノールAカーボネート単位を含み、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した重量平均分子量が10000〜40000であることを特徴とする実施の形態14に記載の方法。

実施の形態16:前記熱可塑性材料は、ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、ポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマーを含むことを特徴とする実施の形態6に記載の方法。

実施の形態17:前記ポリ(シロキサン−カーボネート)コポリマーは、50〜99重量%のカーボネート単位と、1〜50重量%のシロキサン単位を含み、ポリカーボネート標準を使用してGPCにより測定した重量平均分子量が15000〜35000であることを特徴とする実施の形態16に記載の方法。

実施の形態18:前記熱可塑性組成物は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが33g/10分〜60g/10分であることを特徴とする実施の形態1から17のいずれかに記載の方法。

実施の形態19:ASTM D1238−04に準拠して、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが30g/10分〜75g/10分である、少なくとも1つのポリカーボネートホモポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリエステル、又はそれらの組合せを使用した材料押出付加製造技術により製造され、剪断強度が16MPa〜25MPaである物品。

実施の形態20:前記物品は、少なくとも20層を含み、200〜300℃の温度で押し出されることを特徴とする実施の形態19に記載の物品。

実施の形態21:前記熱可塑性組成物は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが35g/10分〜50g/10分であることを特徴とする実施の形態1から17のいずれかに記載の方法。

実施の形態22:前記熱可塑性組成物は、ASTM D1238−04に準拠して、230℃及び3.8kg、又は、300℃及び1.2kgで測定したメルトフローインデックスが35g/10分〜45g/10分であることを特徴とする実施の形態1から17のいずれかに記載の方法。

単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈において別段の明示がない限り、複数の指示物を含む。同じ成分又は特性に示された全範囲の端点は、範囲に包含され、独立して組み合わせ可能である(例えば、「25重量%以下、又は5重量%〜20重量%」の範囲は、端点と、「5重量%〜25重量%の範囲の全ての中間値を含むなど)。より狭い範囲、又はより広い範囲に加えられたより具体的なグループの開示は、より広い範囲又はより大きなグループの放棄ではない。接尾辞「(s)」は、用語がその単数及び複数の双方を含み、したがってその用語の少なくとも1つが含まれるように修飾することが意図される(例えば、「colorant(s)」は、少なくとも1つの着色剤を含む)。とくに別段の定義をしない限り、本明細書において用いられる技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により通常理解されるのと同様の意味を有する。「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。

全ての引用された特許、特許出願、及びその他の引用文献の全体が参照により本明細書に援用される。しかし、本出願における用語が、援用された引用文献における用語と矛盾又は相反する場合は、本出願による用語が、援用された引用文献による相反する用語に優先する。

例示の目的で典型的な実施の形態を示したが、上記の説明は、本発明の範囲に対する限定とみなされるべきではない。したがって、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、種々の変更、改案、及び代案を考え得る。

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