網状構造体

申请号 JP2015117496 申请日 2015-06-10 公开(公告)号 JP2017002428A 公开(公告)日 2017-01-05
申请人 JXエネルギー株式会社; 发明人 伊林 邦彦; 伊藤 寿夫;
摘要 【課題】 一軸 配向 体間の接着性、低温ヒートシール性に優れ、高強度で、軽量な網状不織布を得ることを目的とする。 【解決手段】 熱可塑性樹脂層と、該熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に積層された直鎖状低 密度 ポリエチレン層とを含む一軸配向体2、3を2以上含み、前記2以上の一軸配向体の配向軸L、Tが交差するように、前記2以上の一軸配向体を前記直鎖状低密度ポリエチレン層を介して積層もしくは織成してなる網状構造体1であって、以下の特性 (1)目付:5〜70g/m 2 (2)前記直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さ:2〜10μm (3)前記一軸配向体間の接着 力 :10〜60N (4)引張強度:20〜600N/50mm を満たす、網状構造体。 【選択図】 図1
权利要求

熱可塑性樹脂層と、該熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に積層された直鎖状低密度ポリエチレン層とを含む一軸配向体を2以上含み、前記2以上の一軸配向体の配向軸が交差するように、前記2以上の一軸配向体を前記直鎖状低密度ポリエチレン層を介して積層もしくは織成してなる網状構造体であって、以下の特性 (1)目付:5〜70g/m2、 (2)前記直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さ:2〜10μm、 (3)前記一軸配向体間の接着:10〜60N、 (4)引張強度:20〜600N/50mm、 を満たす、網状構造体。前記熱可塑性樹脂層が、前記直鎖状低密度ポリエチレン層より融点が高い高密度ポリエチレンを含む、請求項1に記載の網状構造体。前記一軸配向体が、インフレーション成形にて得られる多層フィルムを一軸延伸して、製造される請求項1または2に記載の網状構造体。前記直鎖状低密度ポリエチレン層が、メタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の網状構造体。前記直鎖状低密度ポリエチレン層が、分子鎖中に長鎖分岐を有する直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の網状構造体。前記一軸配向体が、前記熱可塑性樹脂層の一方の面に積層された第1直鎖状低密度ポリエチレン層と、前記熱可塑性樹脂層の他方の面に積層された第2直鎖状低密度ポリエチレン層とを含み、前記第1及び第2直鎖状低密度ポリエチレン層が、MFRが0.5〜10g/10min、密度が0.910〜0.940g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の網状構造体。前記2以上の一軸配向体は、一軸配向網状フィルムまたは一軸配向テープの少なくとも一方である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の網状構造体。

说明书全文

本発明は、網状構造体に関する。本発明は、特には、網状構造体を構成する一軸配向体間の接着に優れ、補強材として好適な網状構造体に関する。

従来、高密度ポリエチレンの両面に高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンを積層した多層フィルムを延伸後、割繊した網状フィルムを配向軸が交差するように積層し、熱圧着したポリエチレン不織布、または当該多層フィルムを延伸前もしくは後に切断してなる延伸テープを織成してなる織布が開発されている。このような不織布または織布は、店頭販売用野菜袋や、各種袋、農業用被覆材、農業用資材、また、他素材と複合化することにより、補強袋、テープ類等に用いられている。

特許文献1には、縦方向(長さ方向)に配向された熱可塑性樹脂製の一軸配向体(縦ウェブ)と、横方向(幅方向)に配向された熱可塑性樹脂製の一軸配向体(横ウェブ)とを積層してなる網状不織布の製造方法が記載されている。この網状不織布は、各別に形成された縦ウェブと横ウェブとを互いに重ね合わせた状態で押圧・加熱することにより、縦ウェブと横ウェブとを一体化させて製造している。

この種の網状不織布は、薄く軽量で通気性が良く、縦方向、横方向ともに高強度でバランスに優れ、しかもコシが強いという特長がある。また、耐性や耐薬品性等においても優れた特性を有する。

特許第2983584号公報

ところで、近年では、網状不織布の補強材等の用途を拡大するために、更なる高強度、および一軸配向体間、一例として縦ウェブを構成する繊維と横ウェブを構成する繊維間の高接着力が求められている。近年の製袋高速化に伴い、更に低温ヒートシール性やシール部の接着強度の改良が求められている。また、近年の容器、包装材の軽量化に伴い、軽量かつ高強度化が求められている。しかしながら、軽量化すると柔軟でしなやかになり、網状不織布の特長の一つである剛性、強度がなくなり、軽量かつ高強度の両立が難しい。このため、軽量化により、用途が制限されたり、製袋や折り目などの加工性が悪くなったりする。また、補強用途の場合には引張強度がないこと、および一軸配向体を構成する繊維間の剥離により、実用上、十分な補強効果が得られない場合があった。

軽量化しつつ、剛性、引張強度を高くするためには、一軸配向体の外層である低密度ポリエチレン層を薄くし、主層である熱可塑性樹脂層の比率を高くすることが考えられるが、それぞれの一軸配向体の外層である接着層が薄くなることで、一軸配向体間の接着力が低くなり、接着強度が損なわれることになる。

本発明は上記の問題を解決するべく、鋭意検討した結果、該熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に積層された低密度ポリエチレン層を工夫することにより、該層が薄くとも一軸配向体間の接着強度を向上しつつ、引張強度も確保でき、かつ、ヒートシール性も向上する、補強材として最適な網状不織布及び強化積層体を完成することに至ったものである。すなわち本発明は、網状構造体であって、熱可塑性樹脂層と、該熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に積層された直鎖状低密度ポリエチレン層とを含む一軸配向体を2以上含み、前記2以上の一軸配向体の配向軸が交差するように、前記2以上の一軸配向体を前記直鎖状低密度ポリエチレン層を介して積層もしくは織成してなる。そして、以下の特性 (1)目付:5〜70g/m2 (2)前記直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さ:2〜10μm (3)前記一軸配向体間の接着力:10〜60N (4)引張強度:20〜600N/50mm を満たす。

前記網状構造体において、前記熱可塑性樹脂層が、前記直鎖状低密度ポリエチレン層より融点が高い高密度ポリエチレンを含むことが好ましい。

前記網状構造体において、前記一軸配向体が、インフレーション成形にて得られる多層フィルムを一軸延伸して、製造されることが好ましい。

前記網状構造体において、前記直鎖状低密度ポリエチレン層が、メタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。

前記網状構造体において、前記直鎖状低密度ポリエチレン層が、分子鎖中に長鎖分岐を有する直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。

前記網状構造体において、前記一軸配向体が、前記熱可塑性樹脂層の一方の面に積層された第1直鎖状低密度ポリエチレン層と、前記熱可塑性樹脂層の他方の面に積層された第2直鎖状低密度ポリエチレン層とを含み、前記第1及び第2直鎖状低密度ポリエチレン層が、MFRが0.5〜10g/10min、密度が0.910〜0.940g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。

前記網状構造体において、前記2以上の一軸配向体は、一軸配向網状フィルムまたは一軸配向テープ、あるいはそれらの両方であることが好ましい。

本発明では、一軸配向体の少なくとも一方の外層に直鎖状低密度ポリエチレン層を用い、この直鎖状低密度ポリエチレン層を薄くすることで、一軸配向体における比較的硬い熱可塑性樹脂層の比率を相対的に高くすることができる。目付:5〜70g/m2は軽量から、比較的重い網状不織布まで製造可能であり、接着力の強い直鎖状低密度ポリエチレン層により、高い接着力を確保することができた。このように、直鎖状低密度ポリエチレンを用いた場合に、熱可塑性樹脂層の比率を高めることで引張強度を向上させ、接着強度の低下を、直鎖状低密度ポリエチレン層で補うことができるというさらなる利点を有する。

本発明の一実施形態に係る第1の網状構造体を示す平面図である。

図1に示した網状構造体を構成する一軸配向体の構成例を示す斜視図である。

図1に示した網状構造体を構成する一軸配向体の構成例を示す斜視図である。

図2に示した一軸配向体の製造方法を示す斜視図である。

本発明の実施形態に係る網状不織布の第1の製造方法を示す斜視図である

本発明の実施形態に係る網状不織布の第2の製造方法を示す斜視図である。

以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。

[第1実施形態:網状構造体] 本発明は第1実施形態によれば、網状構造体であって、熱可塑性樹脂層と、該熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に積層された直鎖状低密度ポリエチレン層とを含む一軸配向体を2以上含み、前記2以上の一軸配向体の配向軸が交差するように、前記2以上の一軸配向体を、前記直鎖状低密度ポリエチレン層を介して積層もしくは織成してなる。そして、当該網状構造体は、以下の特性を備える。 (1)目付:5〜70g/m2 (2)前記直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さ:2〜10μm (3)前記一軸配向体間の接着力:10〜60N (4)引張強度:20〜600N/50mm ここでいう引張強度は、少なくとも一方向への引張強度であり、例えば、2以上の一軸配向体のうち、少なくとも一方の一軸配向体の配向方向への引張強度である。また、ある実施形態においては、一軸配向体または網状構造体を製造する際の、縦方向(機械方向、長さ方向、送り方向、または流れ方向ともいう)または横方向(幅方向ともいう)の少なくとも一方向への引張強度である。

まず、本発明の網状構造体を構成する一軸配向体の層構成及び各層の組成について説明する。一軸配向体は、熱可塑性樹脂層と、該熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に積層された直鎖状低密度ポリエチレン層とを含んでなる。

熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を主成分としてなる層である。熱可塑性樹脂としては、割繊性の良好な、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンおよびこれらの共重合体を挙げることができ、好ましくは、高密度ポリエチレンである。

熱可塑性樹脂層の厚みは、特には限定されず、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚みを後述する所望の範囲とした場合に、所定の目付を達成するように当業者が適宜決定することができる。熱可塑性樹脂層の厚みは、概ね20〜70μmとすることができ、25〜60μmとすることが好ましい。なお、この厚みは、一軸配向した後の層厚みである。

直鎖状低密度ポリエチレン層は、上記熱可塑性樹脂よりも融点の低い直鎖状低密度ポリエチレンを主成分としてなる層である。直鎖状低密度ポリエチレン層の融点と、上記熱可塑性樹脂層との融点の差は、製造上の理由から、5℃以上であることが必要であり、好ましくは10〜50℃である。直鎖状低密度ポリエチレン層は、別の一軸配向体との接着層として機能するため、接着層と指称する場合もある。

直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン触媒で重合されたものであることが好ましい。メタロセン触媒は、活性点が比較的単一な、いわゆるシングルサイト触媒と呼ばれる種類の触媒であり、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を少なくとも含む触媒である。代表的なものとして、遷移金属のメタロセン錯体、例えばジルコニウムやチタンのビスシクロペンタジエニル錯体に助触媒としてのメチルアルミノキサン等を反応させて得られる触媒が挙げられ、各種の錯体、助触媒、担体等を種々組み合わせた均一又は不均一触媒である。メタロセン触媒としては、例えば、特開昭58−19309号、同59−95292号、同59−23011号、同60−35006号、同60−35007号、同60−35008号、同60−35009号、同61−130314号、特開平3−163088号公報等で公知であるものが挙げられる。

直鎖状低密度ポリエチレンは、このようなメタロセン触媒の存在下で、気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等の製造プロセスにより、エチレン及びα−オレフィンを、共重合させることにより得ることができる。共重合体においては、炭素数4〜12までのα−オレフィンを使用するのが好ましい。具体的には、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ペプテン、オクテン、ノネン、デセンなどが挙げられる。

直鎖状低密度ポリエチレンのより具体的な製造条件としては、実質的に酸素、水等を断った状態で、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下でエチレン及びα−オレフィンの重合を行うことにより製造することができ、重合温度としては、0〜300℃の範囲から、重合圧力は、大気圧〜約100kg/cm2の範囲から、重合時間は、1分〜10時間の範囲から、それぞれ選択することができる。

メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンは、例えば、ツイグラー型触媒やフィリップス型触媒で得られる共重合体とは性状が異なり、分子量分布が比較的狭く、分子鎖の分岐密度がほぼ等しいという特徴がある。メタロセン触媒による直鎖状低密度ポリエチレンの重合は、例えば、特開2009−1776号公報や、本出願人らによる特開平8−169076号公報に詳述されており、当業者であれば、これらの公報や、その他の従来技術に基づいて、メタロセン触媒の存在下で、直鎖状低密度ポリエチレンを製造することができる。あるいは、メタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレンとして市販されているものを用いることもできる。

直鎖状低密度ポリエチレンは、また、メタロセン触媒で重合された長鎖分岐型の直鎖状低密度ポリエチレンであることがさらに好ましい。炭素数が20を超える長鎖分岐を有する直鎖状低密度ポリエチレンは、柔軟性と加工性を併せ持つため、網状構造体の製造の観点から、特に有利である。長鎖分岐型の直鎖状低密度ポリエチレンは、公知の方法で当業者が適宜合成することもできるし、長鎖分岐型の直鎖状低密度ポリエチレンとして市販されているものを用いることもできる。長鎖分岐の導入方法として、例えば、メタロセン系触媒を用い、直接エチレンとα−オレフィンとを共重合させる方法が挙げられる。この場合のメタロセン系触媒としては、架橋ビスシクロペンタジエニル配位子を有する錯体を使用する例、架橋ビスインデニル配位子を有する錯体を使用する例、拘束幾何触媒を使用する例、ベンゾインデニル配位子を有する錯体を使用する例が挙げられる。また、架橋(シクロペンタジエニル)(インデニル)配位子を有する錯体を使用する方法も長鎖分岐の生成において好ましい。これらの方法においては、錯体の種類や触媒調製条件、重合条件を適切に選択して長鎖分岐の質と量を制御することができる。

またこの直鎖状低密度ポリエチレンは、メルトフローレートが、0.5〜10g/10minであることが好ましく、1〜5g/10minであることがさらに好ましい。メルトフローレートが0.5g/10min未満では成形時の圧力不可が大きくなる場合があり、また、10g/10minを超えるものは成膜安定性が低いため好ましくない場合がある。また、密度が0.910〜0.940g/cm3であることが好ましく、0.915〜0.930g/cm3であることがさらに好ましい。この範囲から外れる場合には、一軸配向体間の熱溶着が困難であり、好ましくない場合がある。

直鎖状低密度ポリエチレン層の厚みは、2〜10μmであり、好ましくは2〜9μm、更に好ましくは2〜7μmである。この厚みが2μm未満であれば、満足な接着力を得ることができない。一方、10μmを越えると、その結果、引張強度が低下し、柔らかくなり、十分な補強材としての効果が得られない。なお、この厚みは、一軸配向した後の層厚みである。

熱可塑性樹脂層、直鎖状低密度ポリエチレン層のそれぞれを構成する樹脂には、その特性を損なわない範囲で、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)などの上記主成分以外の樹脂が含まれていてもよく、公知の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラー等が挙げられる。

直鎖状低密度ポリエチレン層は、熱可塑性樹脂層の片面のみに積層されていてもよく、熱可塑性樹脂層の両面に積層されていてもよい。熱可塑性樹脂層の両面に積層されている場合、それぞれを、第1の直鎖状低密度ポリエチレン層、第2の直鎖状低密度ポリエチレン層と指称することができる。第1の直鎖状低密度ポリエチレン層と、第2の直鎖状低密度ポリエチレン層とは、その組成、厚みが同一であってもよく、異なっていてもよいが、第1、第2の直鎖状低密度ポリエチレン層のそれぞれが、上記の厚みやメルトフローレートの条件を満たし、熱可塑性樹脂層との関係で上記の組成条件を満たしていることが好ましい。

一軸配向体は、このような組成及び層構成を有する多層フィルムを一軸配向することにより得られる。一軸配向体は、例えば、一軸配向網状フィルムや、一軸配向テープであってよい。これらの詳細な態様及び製法については後述する。本発明による網状構造体は、少なくとも2つの一軸配向体を積層もしくは織成してなり、少なくとも2つの一軸配向体は、その配向軸が交差するように積層もしくは織成されている。このとき、2つの一軸配向体は、同一の組成及び層構成であってもよく、異なる組成及び層構成であってもよい。一軸配向体の特性によって、網状構造体は、網状不織布である場合も、織布である場合もあり得る。また、配向軸が交差する態様は、ほぼ直交するものであってもよく、所定の度で交差するものであってもよい。一軸配向体を3以上積層する場合も、3以上の配向体の配向軸が、所定の角度で交差するものであってよい。以下に、一軸配向体の態様とその組み合わせによる網状構造体の実施形態について、説明する。

[第1の網状構造体:スプリットウェブとスリットウェブとを積層してなる不織布] 第1の網状構造体は、縦方向一軸延伸多層フィルムを割繊後、拡幅して得られた一軸配向体と、多層フィルムに、幅方向にスリットを形成した後、幅方向に一軸延伸して得られた一軸配向体とを、配向方向が略直交するように積層してなる不織布である。図1は、本発明の実施形態に係る網状構造体の一例である網状不織布を示している。網状不織布1は、一軸配向体の一例であるスプリットウェブ2の配向軸Lと、一軸配向体の別の例であるスリットウェブ3の配向軸Tとが互いに交差するように経緯積層されて形成されている。そして、隣接するスプリットウェブ2とスリットウェブ3の接触部位同士が面接着で接合されている。

図2及び図3はそれぞれ、図1に示した網状不織布1を構成するスプリットウェブ2とスリットウェブ3を示している。図2(A)に示すスプリットウェブ2は、熱可塑性樹脂層の片面もしくは両面に直鎖状低密度ポリエチレン層を積層してなる多層フィルムを縦方向(スプリットウェブ2の配向軸Lの軸方向)に一軸延伸させて、縦方向に割繊し、かつ拡幅させて形成される一軸配向網状フィルムである。

網状フィルムからなる一軸配向体の一例であるスプリットウェブ2は、多層インフレーション成形、多層Tダイ法等の製造方法により製造することができる。具体的には、熱可塑性樹脂層の両面に好ましい直鎖状低密度ポリエチレンの一例であるメタロセン触媒により合成された直鎖状低密度ポリエチレン層を積層した多層フィルムを形成する。以下の本明細書において、メタロセン触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレン層を、メタロセンLLDPE層とも指称する。この多層フィルムを、縦方向に少なくとも3倍に延伸させた後、同方向に千鳥掛けにスプリッターを用いて割繊(スプリット処理)して網状のフィルムとし、更に所定幅に拡幅させて形成する。拡幅によって幹繊維21と枝繊維22が形成され、図示するような網状体となる。このスプリットウェブ2は、幅方向全体にわたって縦方向に比較的高い強度を有する。

図2(B)は、図2(A)の一点鎖線で囲んだ領域Bの拡大斜視図であり、スプリットウェブ2は、熱可塑性樹脂層6の両面に、この熱可塑性樹脂6より融点が低いメタロセンLLDPE層7−1,7−2が積層された3層構造になっている。メタロセンLLDPE層7−1,7−2の一方は、網状不織布1の形成時にスリットウェブ3と共に経緯積層される際のウェブ相互の接着層として機能する。

図3(A)に示すスリットウェブ3は、熱可塑性樹脂層の両面にメタロセンLLDPE層が積層された多層フィルムに、横方向(スリットウェブ3の配向軸Tの軸方向)に多数のスリットを入れた後に、横方向に一軸延伸させて形成される網状フィルムである。詳しくは、スリットウェブ3は、上記多層フィルムの両部を除く部分に、横方向(幅方向)に、例えば熱刃などにより平行に千鳥掛け等の断続したスリットを形成した後、横方向に延伸させて形成される。このスリットウェブ3は、横方向に比較的高い強度を有する。

図3(B)は、図3(A)の一点鎖線で囲んだ領域Bの拡大斜視図であり、スリットウェブ3は、熱可塑性樹脂層6’の両面に、この熱可塑性樹脂より融点が低いメタロセンLLDPE層7−1’,7−2’が積層された3層構造からなる。これらのメタロセンLLDPE層7−1’,7−2’の一方は、網状不織布1の形成時にスプリットウェブ2と共に経緯積層される際のウェブ相互の接着層として機能する。

スリットウェブの形状は、図3に示す形状の他、互いに平行に延びる幹繊維と、隣接する幹繊維同士を繋ぐ枝繊維とを備え、前記幹繊維が一方向にほぼ配列した一軸配向体であって、スプリットウェブ2と同様の構成を備える原反フィルムに、幅方向に多数のスリットを形成した後、幅方向に、スプリットウェブ2と同様の延伸倍率で延伸して得られるもの、すなわち、平面視した場合に、スプリットウェブ2に対し、±90°回転したパターン、あるいはこれに相似のパターンを有するスリットウェブも、一軸配向網状フィルムとして用いることができる。

なお、図2、3に示す一軸配向体の3層構造は一例であり、例えば、スプリットウェブ2において、メタロセンLLDPE層7−1は省略することができ、熱可塑性樹脂層6とメタロセンLLDPE層7−2の2層構造でも良い。また、スリットウェブ3において、メタロセンLLDPE層7−1’は省略することができ、熱可塑性樹脂層6’とメタロセンLLDPE層7−2’の2層構造でも良い。したがって、網状不織布は、これらの2層もしくは3層のスプリットウェブとスリットウェブの任意の組み合わせであってよい。

本実施形態による網状不織布1の目付は、5〜70g/m2であり、好ましくは7〜65g/m2、更に好ましくは10〜60g/m2である。本目付は熱可塑性樹脂層6の厚みを変化させることにより、制御することができる。また、本実施形態による網状不織布の引張強度は20〜600N/50mmであり、好ましくは30〜550N/50mmであり、さらに好ましくは50〜500N/50mmである。この引張強度は熱可塑性樹脂層6の厚みを変化させることにより、制御することができる。本実施形態による引張強度は、縦方向の引張強度をいうものとする。

一軸配向体の少なくとも一方の表層に、接着力の強い直鎖状低密度ポリエチレン層を用い、この直鎖状低密度ポリエチレン層を介して一軸配向体を積層することで、一軸配向体間で、10〜60Nの接着力を確保できる。ここでいう接着力とは、縦200mm×横50mmの試験片について、引張試験機を用いて測定した値であって、所定の方向へ引張速度500mm/min.で引張り、変位40mm〜90mmの荷重指示値の振幅の平均値でとして測定した値をいうものとする。直鎖状低密度ポリエチレン層は、通常の低密度ポリエチレン層(LD)に比べて柔らかいが、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚みを2〜10μmと薄くすることにより、一軸配向体全体の厚みにおける熱可塑性樹脂層の比率が高くなり、引張強度を維持できる。

次に、図1に示す網状不織布1の製造方法について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、スプリットウェブ2の製造工程の概略を示している。また、図5はスプリットウェブ2にスリットウェブ3を積層して網状不織布1を製造する工程の概略を示している。

図4において、(1)多層フィルムの製膜工程では、主押出機111に熱可塑性樹脂を供給し、2台の副押出機112に接着層樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を供給して、主押出機111から押出される熱可塑性樹脂を中心層とし、2台の副押出機112、112から押出される接着層樹脂を内層および外層として、インフレーション成形により多層フィルムを作製する。ここで、熱可塑性樹脂は、図2に示す熱可塑性樹脂からなる層6を構成し、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、図2に示す直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層7−1、7−2を構成するものである。図4は、3台の押出機を用いて多層環状ダイ113を通して下吹出し水冷インフレーション114により製膜する場合の例を示したが、多層フィルムの製造方法としては、多層インフレーション法、多層Tダイ法などを用いることができ、特に限定されない。

(2)配向工程では、上記製膜した環状多層フィルムを2枚のフィルムF、F'に切り裂き、赤外線ヒーター、熱風送入機等を備えたオーブン115内を通過させ、所定温度に加熱しながら、鏡面処理された冷却ローラを用いて、初期寸法に対し配向倍率3〜15、好ましくは5〜12、さらに好ましくは6〜10でロール配向を行うことができる。延伸倍率が3倍未満では、機械的強度が十分でなくなるおそれがある。一方、延伸倍率が15倍を超えると、通常の方法で延伸することが難しく、高価な装置を必要とするなどの問題が生じうる。延伸は、多段で行うことが延伸むらを防止するために好ましい。上記配向温度は、中心層の熱可塑性樹脂の融点以下であり、通常20〜160℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは90〜140℃の範囲であり、多段で行うことが好ましい。

(3)スプリット(割繊)工程では、上記配向した多層フィルムを高速で回転するスプリッター(回転刃)116に摺動接触させて、フィルムにスプリット処理(割繊化)を行う。スプリット方法としては、上記のほか、一軸配向した多層フィルムを叩打する方法、捻転する方法、摺動擦過(摩擦)する方法、ブラッシュする方法等の機械的方法、あるいはエアージェット法、超音波法、レーザー法等により無数の微細な切れ目を形成方してもよい。これらの中でも特に回転式機械的方法が好ましい。このような回転式機械的方法としては、タップネジ式スプリッター、ヤスリ状粗面体スプリッター、針ロール状スプリッター等の各種形状のスプリッターが挙げられる。例えば、タップネジ式スプリッターとしては、通常、5角あるいは6角の角形であって、1インチあたり10〜150、好ましくは15〜100のネジ山を有するものが用いられる。またヤスリ状粗面体スプリッターとしては、実公昭51−38980号公報に記載されたものが好適である。ヤスリ状粗面体スプリッターは、円形断面軸の表面を鉄工用丸ヤスリ目またはこれに類似の粗面体に加工し、その面に2条の螺旋溝を等ピッチに付与したものである。これらの具体的なものとしては、米国特許第3,662,935号、同第3,693,851号等に開示されたものが挙げられる。上記スプリットウェブ2を製造する方法は、特に限定されないが、好ましくは、ニップロール間にスプリッターを配置し、一軸配向された多層フィルムに張力をかけつつ移動させ、高速で回転するスプリッターに摺動接触させてスプリットし網状化する方法が挙げられる。

上記スプリット工程におけるフィルムの移動速度は、通常1〜1,000m/分、好ましくは10〜500m/分である。また、スプリッターの回転速度(周速度)は、フィルムの物性、移動速度、目的とするスプリットウェブ2の性状などにより適宜選択することができるが、通常、10〜5,000m/分、好ましくは50〜3,000m/分である。

このように割繊して形成したフィルムは、所望により拡幅した後、熱処理117を経て、(4)巻取工程118において所定の長さに巻き取り、網状不織布1用原反の一方の一軸配向体であるスプリットウェブ2として供給する。

図5は、本願の一実施態様による網状不織布1の製造方法を示す概略図であって、図4で巻取体としたスプリットウェブ2とスリットウェブ3を積層する工程を含む製造方法を示す図である。図5に示すように、主として(1)スリットウェブ3の原反となる多層フィルムの製膜工程、(2)多層フィルムの長さ方向に対して略直角にスリット処理を行うスリット工程、(3)多層スリットフィルムの一軸配向工程および(4)一軸配向して得られたスリットウェブ3に、スプリットウェブ2を積層して熱圧着する圧着工程を含むものである。

以下各工程を説明する。図5において、(1)多層フィルムの製膜工程では、主押出機311に熱可塑性樹脂を供給し、副押出機312に直鎖状低密度ポリエチレンを供給して、主押出機311から押出される熱可塑性樹脂を内層とし、副押出機312から押出される直鎖状低密度ポリエチレンを外層として、インフレーション成形により2層フィルムを作製する。ここで、熱可塑性樹脂は、図3に示す熱可塑性樹脂層6’を構成し、直鎖状低密度ポリエチレンは、図3に示す直鎖状低密度ポリエチレン層7−1’、7−2’を構成するものである。図5には、2台の押出機を用いて多層環状ダイ313を通して下吹出し水冷インフレーション314により製膜する場合の例を示した。多層フィルムの製造方法としては、前記図4の例と同様に、多層インフレーション法、多層Tダイ法などを用いることができ、特に限定されない。

(2)スリット工程では、上記製膜した多層フィルムをピンチして扁平化し、次いで圧延により微配向し、走行方向に対して概ね直角に、千鳥掛けに横スリット315を入れる。上記スリット方法としては、カミソリ刃または高速回転刃のような鋭利な刃先で切り裂く方法、スコアーカッター、シアーカッター等でスリットを形成する方法などが挙げられるが、特に熱刃(ヒートカッター)によるスリット方法が最も好ましい。このような熱刃の例としては、特公昭61−11757号、米国特許第4,489,630号、同第2,728,950号等に開示されている。

(3)配向工程では、上記スリット処理を行った多層フィルムに幅方向に一軸配向316を施す。配向方法としては、テンター法、プーリー法等が挙げられるが、装置が小型であり経済的であることからプーリー法が好ましい。プーリー法としては、英国特許第849,436号および特公昭57−30368号に開示された方法が挙げられる。配向温度等の条件は前記図4の例の場合と同様である。

上記で得られた一軸配向体であるスリットウェブ3(横ウェブ)は、(4)熱圧着工程317に搬送される。一方、図4に示す方法で製造された一軸配向体であるスプリットウェブ2(縦ウェブ)を原反繰出しロール210から繰出して、所定の供給速度で走行させて拡幅工程211に送り、前述の拡幅機により数倍に拡幅し、必要により熱処理を行う。この縦ウェブを、上記の横ウェブに積層して熱圧着工程317に送り、ここで縦ウェブと横ウェブを配向軸が交差するように積層して熱圧着する。具体的には、外周面が鏡面である熱シリンダ317aと鏡面ロール317b、317cとの間に順次縦ウェブ2及び横ウェブ3を導いてこれらにニップ圧を加えることにより互いに熱圧着させて一体化させる。これにより、隣接する縦ウェブ2と横ウェブ3との接触部位同士が全面的に面接着する。目飛びなどの不良検査を経た後、巻取工程318に搬送して網状不織布1の巻取体(製品)とすることができる。

[第2の網状構造体:スプリットウェブを経緯積層してなる不織布] 第2の網状構造体は、網状不織布であって、縦方向一軸延伸多層フィルムを割繊後、拡幅して得られた一軸配向体を、配向方向が交差するように、好ましくは配向方向が略直交するように、経緯積層してなる。すなわち、第2の網状構造体においては、積層される一軸配向体が、両者とも、第1の網状構造体において説明したスプリットウェブ2から構成される網状不織布である。

図6は、第2の網状構造体である不織布の製造方法について説明する概念図である。この網状不織布は、図2に示したスプリットウェブ2を2枚、経緯積層したものである。図6において、図4に示したようにして製造したスプリットウェブ2−1(縦ウェブ)を、原反繰出しロール410から繰出し、所定の供給速度で走行させて拡幅工程411に送り、拡幅機(図示せず)により数倍に拡幅し、必要により熱処理を行う。

別のスプリットウェブ2−2(横ウェブ)を、縦ウェブと同様に原反繰出しロール510から繰出し、所定の供給速度で走行させて拡幅工程511に送り、拡幅機(図示せず)により数倍に拡幅し、必要により熱処理した後、縦ウェブ2−1の幅に等しい長さに切断し、縦ウェブの走行フィルムに対し直角の方向から供給して、積層工程412において各接着層を介して各ウェブの配向軸が互いに直交するように経緯積層させる。経緯積層した縦ウェブ2−1及び横ウェブ2−2を、熱圧着工程417において、外周面が鏡面である熱シリンダ417aと鏡面ロール417b,417cとの間に順次導いてニップ圧を加える。これにより、縦ウェブ2−1と横ウェブ2−2とが互いに熱圧着されて一体化される。また、隣接する縦ウェブ2−1と横ウェブ2−2との接触部位同士が全面的に面接着する。このようにして一体化された縦ウェブ2−1及び横ウェブ2−2は巻取工程418にて巻き取られて、経緯積層網状不織布の巻取体になる。

上記のようにして製造した第2の網状構造体も、目付、縦方向及び横方向の両方の引張強度、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚み、接着力の点で、第1の網状構造体と同様の数値特性を備え、同様の効果を奏する。

[第3の網状構造体:一軸配向テープからなる網状不織布・織布] 第3の網状構造体は、一軸配向テープを経緯積層してなる不織布もしくは織成してなる織布である。すなわち、第3の網状構造体は、2つの一軸配向体の両者が、複数の一軸配向テープ群から構成される。そして、不織布の場合には、複数の一軸配向テープ群が、延伸方向が概ね直交するように経緯積層され、溶着もしくは接着されている。織布の場合には、複数の一軸配向テープ群が経糸、複数の一軸配向テープ群が緯糸になるように、任意の織り方で織成され、溶着もしくは接着されている。

一軸配向テープは、第1の網状構造体において説明したスプリットウェブ2と同様に、多層インフレーション法あるいは多層Tダイ法などの押出成形により、2層あるいは3層構造の原反フィルムを製造し、縦方向に、3〜15倍、好ましくは3〜10倍に一軸延伸した後、延伸方向に沿って、例えば、2mm〜7mmの幅で裁断することにより製造することができる。あるいは、同様に、2層あるいは3層構造の原反フィルムを製造し、機械方向に沿って、同様の幅で裁断した後に、縦方向に、3〜15倍、好ましくは3〜10倍に一軸延伸することにより製造することができる。このような、一軸配向テープにおいては、延伸方向(配向方向)が、テープの長手方向と一致している。

このような一軸配向テープを積層してなる不織布から構成される網状構造体においては、経糸に該当する複数の一軸配向テープを一定の間隔をあけて平行に並べ、これが一方の一軸配向体に該当する。それに対し、他方の一軸配向体は、緯糸に該当する別の複数の一軸配向テープを同様に一定の間隔をあけて平行に並べ、一軸配向テープ群に積層したものである。ここでいう、経糸、緯糸は、両者の相対的関係を定義するために用いられるものであって、経緯は互換的に用いられうる。このとき、一軸配向テープ群と、一軸配向テープ群とは、その長手方向、すなわち配向方向が略直交するように積層されている。そして、経糸と緯糸との接触面を加熱溶着することにより、第3の網状構造体である網状不織布が形成されている。この場合、熱溶着もしくは接着の態様は、第1の網状構造体と同様である。なお、一軸配向テープが、熱可塑性樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレン層との2層からなる場合には、経糸と、緯糸の直鎖状低密度ポリエチレン層が接触するように積層する。経糸に該当する一軸配向テープと緯糸に該当する一軸配向テープは、本発明の一軸配向体の組成、層厚み等の条件を満たしている限り、組成や厚み、幅、テープ間距離が同一であっても異なっていてもよい。織布は、複数の一軸配向テープを、積層することに替えて、織成したこと以外は、同様にして製造することができる。

第3の網状構造体も、目付、引張強度、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚み、一軸配向体間の接着力の点で、第1の網状構造体と同様の特性を備え、同様の効果を奏する。なお、本実施形態においては、一軸配向体間の接着力は、経糸に該当する一軸配向テープ群と、緯糸に該当する一軸配向テープ群との接着力を意味し、この値も、第1の網状構造体を例示して説明した範囲の通りである。引張強度は、経糸に該当する一軸配向テープの配向方向、もしくは緯糸に該当する一軸配向テープの方向の少なくとも一方、またはそれらの両方への引張強度をいう。

[第4の網状構造体:スプリットウェブと、一軸配向テープとの網状不織布] 第4の網状構造体は、互いに平行に延びる幹繊維と、隣接する前記幹繊維同士を繋ぐ枝繊維とを備えた一軸配向体と、一軸配向テープ群層とを積層してなる不織布である。

第4の網状構造体の説明においては、3層の一軸配向体を積層してなる形態について説明する。すなわち、本発明の第4の網状構造体は、典型的には、第1の一軸配向体がスプリットウェブ2であって、第2の一軸配向体が、複数の一軸配向テープ群から構成され、さらに、前記第2の一軸配向体を構成する一軸配向テープ群に斜交する複数の一軸配向テープ群から構成される第3の一軸配向体を含んでなる。

このような網状構造体は、互いに平行に延びる幹繊維と、隣接する前記幹繊維同士を繋ぐ枝繊維とを備えたスプリットウェブと、前記スプリットウェブの配向方向に斜交し、且つ互いに平行に延びる一軸配向テープ群からなる第1の一軸配向テープ群層と、前記第1の一軸配向テープ群層と反対方向から前記スプリットウェブの配向方向に斜交し、且つ互いに平行に延びる第2の一軸配向テープ群からなる第2の一軸配向テープ群層とを積層してなる不織布である。第4の網状構造体においては、スプリットウェブに対し、その配向方向に対しα’の角度を以て一軸配向テープが積層されている。そして、一軸配向テープに斜交し、かつ、配向方向Lに対しαの角度を以て一軸配向テープが積層されている。この場合、αとα’は同一でも異なっても良く、例えば、45〜60度であってよい。

第4の網状構造体を構成するスプリットウェブ、一軸配向テープの製造方法については、第1、第3の網状構造体について説明したとおりであり、同様にして製造することができる。これらを積層し、接触部を溶着もしくは接着することにより、第4の網状構造体を得ることができる。

第4の網状構造体における、一軸配向テープ以外の一軸配向体としては、詳述したスプリットウェブ以外にも、例えばスプリットウェブと同様の構成を備える原反フィルムに、幅方向に多数のスリットを形成した後、幅方向に、スプリットウェブと同様の延伸倍率で延伸して得られるもの、すなわち、平面視した場合に、スプリットウェブに対し、±90°回転したパターン、あるいはこれに相似のパターンを有するスリットウェブを用いることもできる。この場合も、スリットウェブと、第1の一軸配向テープ群層、第2の一軸配向テープ群層とが、配向方向に対して斜交する上記と同様の態様で積層することができる。あるいは、スプリットウェブ2bもしくはスリットウェブと、第1の一軸配向テープ群層との二層を、スプリットウェブ2bもしくはスリットウェブの配向方向と一軸配向テープ群の長手方向とが交差するように、積層した網状構造体であってもよい。

第4の網状構造体においても、目付、引張強度、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚み、一軸配向体間の接着力の点で、第1の網状構造体と同様の特性を備え、同様の効果を奏する。一軸配向体間の接着力は、スプリットウェブもしくはスリットウェブと、一層もしくは二層の一軸配向テープ群層との、すべての一軸配向体間の接着力を意味し、この値も、第1の網状構造体を例示して説明した範囲の数値特性を有するものである。引張強度は、スプリットウェブもしくはスリットウェブの配向方向、または一軸配向テープ群の配向方向のいずれか一方向、または両方の方向への引張強度をいい、引張強度の値は、第1の網状構造体を例示して説明した範囲の通りである。

[第2実施形態:強化積層体] 本発明は、第2実施形態によれば、強化積層体に関する。強化積層体は、第1〜第4の網状構造体、あるいはその変形形態に係る網状構造体を補強材として用い、これを被強化体に積層してなる強化積層体である。強化積層体とする場合には、加工装置への装着性、及び網状構造体を被強化体に積層するために機械で処理する際の加工性や作業性を向上できることから、製造コストを低減しつつ様々な被強化体の補強に適用可能である。被強化体としては、一例として、フィルム・シート、発泡フィルム・シート、多孔シート等の合成樹脂製フィルム・シート類、和紙・クラフト紙、板紙等の紙類、ゴムフィルム・シート、アルミニウム箔等の金属箔、メルトブローン不織布・スパンレース不織布等の乾式不織布・パルプ不織布等の湿式不織布等の各種の不織布、クロス等の織布、金属類、陶器類、ガラスが挙げられるが、これらには限定されない。

本実施形態に係る強化積層体は、レジャー用シート、自動車用幌、農業用被覆材、セメント袋、アスファルト袋、合成樹脂ペレット袋、粘着テープ用基材、マスキングキングフィルム等で利用され、不織布、織布は、農業用被覆材、ゴルフ場グリンカバー、フイルター、水切り袋、各種袋、油吸着材、フラワーラップ、ハウスラップ、マット、ワイパー、ウエス等の農・園芸用資材、建築用資材、家庭用品等として有効に用いることができる。

以下に、本発明を。実施例を参照して、より詳細に説明する。しかし、以下の実施例は本発明を限定するものではない。

本発明に係る網状構造体において、材料構成、層構成比及び目付の異なるサンプルを用意し、接着力、長手方向の引張強度を計測し検証した。具体的には、図4、5を参照して説明した方法により、網状不織布を製造した。

実施例1〜3はそれぞれ、一方の一軸配向体であるスプリットウェブ2の主層である熱可塑性樹脂層6に樹脂Aを用い、この熱可塑性樹脂層6の両面に接着層7−1、7−2として樹脂Bを、水冷インフレーション法により積層した。スプリットウェブ2の作製における縦方向への延伸倍率は、8倍とした。他方の一軸配向体であるスリットウェブ3においても、主層である熱可塑性樹脂層6’に樹脂Aを用い、実施例1、2はこの熱可塑性樹脂層6’の両面に接着層7−1’、7−2’として樹脂Bを、実施例3は、この熱可塑性樹脂層6’の片面に接着層7−1’ として樹脂Bを水冷インフレーション法により積層した。スリットウェブ3の作製における、幅方向への延伸倍率は、縦方向への延伸倍率と同じとした。また、スプリットウェブ2とスリットウェブ3は、121℃で熱溶着させることにより接着した。

比較例1〜3では、接着層として、樹脂Bに代えて樹脂Cを用いた以外は、層構成、延伸倍率、熱溶着温度とも、それぞれ、実施例1〜3と同様の条件として網状構造体を製造した。

実施例1〜3における、各層の厚み(延伸前厚み/延伸後厚み)は、下記の表1に、比較例1〜3における、各層の厚みは、下記の表2に示した。外層厚みは、片面あたりの接着層の厚みをいうものとする。また、各層に用いた樹脂は以下の通りである。なお、樹脂Bは、メタロセン触媒により重合された、長鎖分岐を有する直鎖低密度ポリエチレンである。 樹脂A:高密度ポリエチレン HY444(日本ポリエチレン社製) 樹脂B:直鎖低密度ポリエチレン CB2001(住友化学社製) 樹脂C:低密度ポリエチレン LE541H(日本ポリエチレン社製)

実施例、比較例で製造した網状構造体のそれぞれにおいて、目付、一軸配向体間の接着力、引張強度を測定した。

一軸配向体間、すなわち、スリットウェブとスプリットウェブとの接着力の測定は、引張試験機を用いて行った。網状構造体から切り出した試験片(縦200mm×横150mm)の上部から中央部に引張試験機のロードセルに連結したU字型器具を試験片の中央部に引っかけた。試験片の底部は引張試験機に固定し、引張速度500mm/min.で引張り、変位40mm〜90mmの荷重指示値の振幅の平均値で表した。

引張強度は引張試験機を用い、網状不織布から流れ方向に切り出した試験片(縦200mm×横50mm)の両端をつかみ間距離100mmの間隔にて、つかみ具にてつかんだ。次いで、引張速度200mm/minで引張り発生する最大点強度を測定した。

実施例1、2、3共に、要求する特性をみたすものであった。一方、比較例1では、目付、引張強度はほぼ同等を確保できるもの、一軸配向体間の接着力が6Nであり、補強材用途としては一軸配向体を構成する繊維間の剥離が発生し、網状不織布としては利用できなかった。比較例2、3も同様に、目付、引張強度はほぼ同等を確保できるもの、一軸配向体間の接着力が6Nであり、補強材用途としては一軸配向体を構成する繊維間の剥離が発生し、網状不織布としては実用に耐えるものでなかった。

また、詳細なデータは示さないが、変形例に示す製造方法にて、実施例1〜3と同様の樹脂構成、層厚み、延伸倍率で製造した第2の網状構造体も、目付、接着力、引張強度とも、本発明の範囲内で良好な接着力を持つものであった。

本発明に係る網状不織布は、包装材料、建築材料、シート、袋、カバーとして有用である。

1 網状不織布 2 スプリットウェブ(網状フィルム) 21 幹繊維 22 枝繊維 2−1 縦ウェブ 2−2 横ウェブ 3 スリットウェブ 6,6’ 熱可塑性樹脂層(網状フィルム) 7−1,7−1’ メタロセンLLDPE層(接着層) 7−2,7−2’ メタロセンLLDPE層(接着層) L、T 配向軸

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