ゴム成形品

申请号 JP2009547154 申请日 2008-12-26 公开(公告)号 JPWO2009082034A1 公开(公告)日 2011-05-12
申请人 株式会社大協精工; 发明人 康 河内; 康 河内;
摘要 薬品を保管する容器のシール用ゴム成形品であって、該成形品の該薬品と 接触 する面がフッ素樹脂フィルムにより強固に覆われた該ゴム成形品を提供する。薬品を保管する容器のシール用ゴム成形品のゴム素面300の、少なくとも該薬品に接触する面がフッ素樹脂フィルム層100からなり、該フッ素樹脂フィルム層とゴム素面の間にポリオレフィンフィルム層200が介在されてなり、ゴム栓、 注射器 シリンジ用ガスケット、ノズルキャップ、中栓などとして好ましく使用できる。
权利要求
  • 医薬医療用途に使用される容器または器具のシール用ゴム成形品であって、該ゴム成形品の少なくとも薬品に接触する面がフッ素樹脂フィルム層からなり、該フッ素樹脂フィルム層とゴム素面の間にポリオレフィンフィルム層が介在されてなることを特徴とするゴム成形品。
  • ゴムが、熱可塑性エラストマーである請求項1に記載のゴム成形品。
  • 熱可塑性エラストマーが、オレフィン系、スチレン系、塩化ビニル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、ポリブタジエン系、ポリイソブチレン系、シリコーン系、エチレン−酢酸ビニル系から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のゴム成形品。
  • フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレンであり、ポリオレフィンが超高分子量ポリエチレンである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム成形品。
  • 说明书全文

    本発明は、医薬医療用途に使用される容器または器具のシール用ゴム成形品に関し、詳細には該成形品の薬品と接触する面がフッ素樹脂フィルムにより強固に覆われた該ゴム成形品に関する。

    従来、医薬医療用途に使用される容器または器具のシール材としては、密封性の点からゴム類が優れているとされており、古くは天然ゴム、現在は合成ゴム類が多用されており、なかでもイソブチレンとイソプレンとの共重合ゴム(IIR)等が機能性の面からより多く使用されている。
    例えばゴム栓の場合、ゴム類に含有される架橋剤、配合剤等が容器内に保存した医薬品等に溶出すること、ゴム素面に容器内容物が吸着すること、製造工程あるいは医薬品等の保存中にゴム素材に起因する微粒子が発生すること等を防止する目的、あるいはゴム素面に塗布されるシリコーンオイルと薬液との反応によるアグリゲーションの発生を防ぐ目的で、耐熱性、耐薬品性、耐候性、非粘着性、耐圧縮歪性、柔軟性に富み化学的に不活性であり、かつ気体や分に対する透過性が小さい、不活性フィルムで積層された積層ゴム栓が使用されている。
    このような不活性な積層材として、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂やフッ素樹脂製のフィルムがあるが、接液する薬品に対する反応性の低さ、高い撥水性、滑性、高温安定性等の面で特に優れたフッ素樹脂フィルムが通常使用されている(例えば、特許文献1〜6)。
    しかし、フッ素樹脂フィルムは高い滑性や低反応性等、医薬品包装材として優れた機能を有するが、その一方で、ゴム素面に接着し難いという欠点をも合わせ持つ。
    ゴムとの接着性を改善するために、フッ素樹脂フィルムの表面を例えば、「金属ナトリウムのようなアルカリ金属をナフタレンとテトラヒドロフランの混合液に溶解した液」や「アルカリ金属を液体アンモニアに溶解した液」を塗布して処理する薬品法や、コロナ放電やスパッタリング等により処理する電子照射法などで処理する手法が知られている。
    このような処理を行うことにより、フッ素樹脂フィルムのゴム素面への接着性は改善されるが、ゴムの種類によっては十分な接着強度の向上効果は得られず、使用中にフィルムがゴム素面から剥離することがある。
    例えば、ハロゲン元素を含むゴムや成形温度が高いゴム(例えば、ハロゲン化ブチルゴム等)は、フッ素樹脂フィルムと接着性が比較的高いが、そうでないレギュラーブチルゴムやエチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン系エラストマー(SEBS、SBS)、ポリブタジエンやポリイソブチレン等を主成分とするゴム(熱可塑性エラストマーも含む)等はフッ素樹脂フィルムとの接着性が十分ではなく、界面が剥離する問題があった。
    これを改善するために接着剤を使用することが考えられている。
    ところで、壁紙などのシート材表面に耐薬品や耐候性や防汚性に優れたフッ素樹脂フィルムをラミネートする場合、フッ素樹脂フィルムは腰がなく作業性が非常に悪いため、フッ素樹脂層と接着剤用樹脂層、例えばテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド3元共重合体樹脂(THV)とを、共押出しし、これに接着剤層としての延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを対向させて圧着し、該PETフィルムを基材シートに溶着することにより、表面にフッ素樹脂フィルムを備えた壁紙とする技術も開発されている(例えば特許文献7)。

    特開平2−136139号公報

    特開2002−177390号公報

    特開平7−323072号公報

    特開平9−59396号公報

    特開2002−209975公報

    特開2004−216753公報

    特開2005−59409号公報

    本発明は、ゴム素面とフッ素樹脂フィルムとの接着強度を増加させ、該フィルムがゴム素面より剥離することのないフッ素樹脂フィルムを表面に積層したゴム成形品を提供することを課題とする。
    本発明者等は、フッ素樹脂フィルムとの接着性が悪いゴム素面の剥離強度を増加させる方法として、フッ素樹脂フィルムとゴム素面との間に、双方に優れた密着性を示すフィルムを介在させ、真空下で加熱し、架橋反応等で発生するガスを抜きながら型締め成形することにより、フッ素樹脂フィルムと介在フィルム、介在フィルムとゴム素面とが密着一体化した二重積層構造のゴム成形品とすることができ、これらの層間における界面剥離を生じず、表面がフッ素樹脂フィルムで積層されたゴム成形品を得ることができるとの知見を得て、本発明を開発するに至った。
    すなわち、本発明のゴム成形品は、薬品を保管する容器のシール用ゴム成形品であって、該ゴム成形品のゴム素面の少なくとも該薬品に接触する面がフッ素樹脂フィルム層からなり、該フッ素樹脂フィルム層とゴム素面の間にポリオレフィンフィルム層が介在されてなることを特徴とする。
    ゴムは、熱可塑性エラストマーであることが好ましく、中でもゴムとプラスチックの中間的特性を有するオレフィン系、スチレン系、塩化ビニル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、ポリブタジエン系、ポリイソブチレン系、シリコーン系、エチレン−酢酸ビニル系の樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
    フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、ポリオレフィンが超高分子量ポリエチレンであることが好ましい。
    上記の超高分子量ポリエチレンは、分子量が100万〜700万程度のポリエチレンであり、中でも分子量が500万以上のポリエチレンが、ゴム素面とフッ素樹脂フィルムとの密着一体化を良好に進行させる上で好ましい。
    また、フッ素樹脂フィルム層は、厚さ10〜200μm、ポリオレフィンフィルム層は、厚さ10〜100μmであることが好ましく、これら両層の全厚さは20〜300μmであることが好ましい。
    本発明におけるゴム成形品は、ゴム栓、注射器シリンジ用ガスケット、ノズルキャップ、シリンダーキャップ、中栓等であることが好ましく、これらのゴム成形品は、例えば次のようにして成形される。
    フッ素樹脂フィルムとポリオレフィンフィルムを下金型上に重ねて載置し、その上にシート状のゴム素材を重ね、上金型を下降し、キャビティー内の空気を吸引しつつ型締し、上下金型温度を該シート状ゴム素材の成形温度以上、型締め圧を50〜200Kg/cm 程度の熱圧を加えればよい。

    第1図は、(A)は本発明の一実施態様例のゴム成形品(ゴム栓)の断面を模式的に示す図で、(B)は、このゴム栓の一実施態様例に係る製造例を説明するための断面模式図である。

    符号の説明

    UD:上金型、LD:下金型、
    100:PTFEフィルム200:超高分子量ポリエチレンフィルム300:未成形ゴムシートCV:キャビティーT:真空吸引口VP:真空用パッキン 発明の効果 本発明のゴム成形品は、ゴム素面とポリオレフィンフィルム層間、ポリオレフィンフィルム層とフッ素樹脂フィルム層間の密着性に優れ、界面剥離がなく、ゴム栓やシリンダーキャップ等の医療用薬剤を収納する容器のシール材として極めて有益である。
    また、このような構成を有する本発明のゴム成形品は、シート状ゴム素材と、これらの両フィルムとを重ね合わせ、これを所望の形状に成形する工程において、ゴム素面とポリオレフィンフィルムとフッ素樹脂フィルムとが密着一体化し、各層間での界面剥離が生じない状態で得ることができるため、極めて高効率で上記シール材としての本発明のゴム成形品を得ることができる。

    医療用薬剤容器用のシール材の分野では、安全性の確認されていない材料を使用することができないばかりか、接着剤も使用しないことが好ましい。
    また、医療用プラスチック材料は、無毒で衛生的であり、加熱はもちろん、エチレンオキサイド法、オートクレーブ法、放射線法など各種滅菌法に適用可能であること、耐光・耐候的に安定で変色等のないことなどの性質を備えることが好ましいとされている。 このような要求に適合するものとしては、フッ素樹脂、ポリプロピレンや高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、熱可塑性エラストマー(TPE)などがある。
    TPEの例としては、ゴムとプラスチックの中間の性質を持つものとして、オレフィン系(TPO)、スチレン系(SBC)、塩化ビニル系(TPVC)、ウレタン系(TPU)、ポリエステル系(TPEE)、ポリアミド系(TPAE)、フッ素系(TPF)、ポリブタジエン系(RB)、ポリイソブチレン系、シリコーン系、エチレン−酢酸ビニル系(EVA、EEA)などが挙げられ、本発明では、その耐熱性や溶出特性から、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、スチレン−イソブチレン共重合体(SIBS)などが好ましく使用できる。
    これらのTPE以外にも、本発明では、レギュラーブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム等の合成ゴムや天然ゴム等はもちろん、EPDM,ポリブタジエンやポリイソブチレンなどの成分(熱可塑性エラストマーも含む)を主成分とするゴム素材や、一部の熱可塑性エラストマー系配合のものなども使用することができる。
    上記のようなプラスチック(熱可塑性エラストマー)やゴムを素材とするシール用ゴム成形品の表面の、少なくとも保存する薬液と直接接触する可能性のある部分は、不活性で最も安全性が高い材料製とする必要がある。
    この材料は、フッ素樹脂フィルムが最適であり、フッ素樹脂フィルムとしては、耐光性、耐水蒸気透過性にも優れた、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(VdF)、トリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリテトラフルオロジオキソールコポリマー、ポリフッ化ビニル等が挙げられ、防汚性、耐熱性等の観点から、PTFE、PFA、ETFE、FEP、VdFが好ましく、より好ましくはPTFEである。
    PTFEは、すべての薬品に対して、溶解や膨張が見られない極めて優れた化学的安定性を持っており、機械的には摩擦係数が小さく優れた摺動性を持っている。
    また、融点は327℃と熱可塑性プラスチックとしては最も高く、融点を越えて溶液状態にある樹脂等の流動性を示す一般的な指標であるメルトフローレートはほぼ0であり、融点以上に加熱しても均一な分散状態を保持するし、常温に戻しても形状は変わらず、しかもフィルムに成形しても物性劣化が認められないなどの優れた特性を持っている。
    このように安定した特性を保有するフッ素樹脂フィルムを上記シール材の表面材として使用しようとしても、該フィルムとシール材との接着強度は低く、接着強度を向上させるために該フィルムに表面処理を施しても所望の接着強度を確保することはできない。
    しかも、シール材の素材(ゴム素材)によっては、十分に接着強度を上げることができない場合もあるし、ゴム組成物中に含まれる配合成分によっても接着性が悪くなることもある。
    本発明は、そのようなフッ素樹脂フィルムとゴム素面との接着性を改善するために、フッ素樹脂フィルムとも、ゴム素面とも接着性の優れたプラスチック層を介在させるものである。
    フッ素樹脂フィルムとしてPTFEを選択する場合は、介在させるフィルムとしては、PTFEと同様に熱可塑性樹脂であり、加熱や冷却、放射線や電磁線などの照射、加圧や減圧などの下でも、PTFEフィルムと類似した特性を示し、メルトフローレートもPTFEに近いものが望ましい。
    しかも、フッ素樹脂フィルムともゴム素面とも優れた接着性を示す材料でなければならず、このような条件を満たす材料としては、ポリオレフィンフィルムが最適であり、中でも分子量が100万〜700万程度の超高分子量ポリエチレン、特に分子量が500万を越える超高分子量ポリエチレンが最適である。
    なお、フッ素樹脂フィルムがPTFE以外の場合にもフッ素樹脂フィルムの物性に類似した特性を示すフィルムを選択することが好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET、PEN、ナイロン等から選ぶことができる。
    このような、PTFEと超高分子量ポリエチレンの二重フィルム層を、薬液と直接接触するシール用ゴム成形品の表面とすることで、該薬液には悪影響を及ぼさず、しかもフィルム層とゴム素面間の十分な接着を確保し、従来問題であったフッ素樹脂フィルム層のゴム素面からの剥離を防止できる効果をも奏することができる。
    上記フッ素樹脂フィルムは、本発明において、厚さ10〜200μmが好ましく、用途によりこの範囲で適宜選定すればよく、例えば医療用ゴム栓用としては30〜100μm程度が好ましい。 実生産においては10〜100μmの範囲が薄膜空隙率が低く、製品不良率が少ない。
    薄すぎると、フィルム自体の製造が困難であるのみならず、本発明のゴム成形品本体への積層加工における取扱い限界を超え、厚すぎると、本発明のシール用ゴム成形品の密封性を損なう可能性がある。
    また、ポリオレフィンフィルムは、厚さ10〜100μmが好ましく、薄すぎると膜厚の精度が不十分で均一な接着強度が確保できず、厚すぎるとシール用ゴム成形品の密封性を損なう可能性がある。
    上記のフッ素樹脂フィルムとポリオレフィンフィルムとの二重積層フィルム層の全厚みは、20〜300μmが好ましい。
    薄すぎると、フィルム強度が低くなりすぎて、実用に適さず、厚すぎると、腰が強くなりすぎて、本発明のシール用ゴム成形品の密封性を損なう可能性が生じる。
    フッ素樹脂は不活性であり、接している面とはイオン結合や共有結合はせず、フッ素などの原子が接している面の水素原子を共有することで生じる水素結合もそれほど強くないと考えられるため、本発明におけるPTFE層と超高分子量ポレエチレン層とゴム素面の各界面での高い接着強度が何に由来するのかは必ずしも明らかではないが、「二つの物体間の接着の強さは物質間の接着機構と接している物体表面の形状により左右され、物体が濡れている場合は接着面が広がることが寄与する」という接着界面の物理化学的理論にあると考えられる。
    ぬれ性の理論で使われる、SP値(溶解性パラメーター)による解釈や粘弾性特性などより、一般にSP値が近いと、界面張力が小さくなり、接着力が大きくなると言われており、異なる物質でも、SP値が近いと、分子間力の強さも近くなり、互いに近接し、互いの分子同士が入れ替わり、その結果、SP値の近いものほどよく混じり合い、よく濡れ、よく接合すると言われている。
    本発明で使用するフッ素樹脂のPTFEは、SP値(理論値)が6.2とプラスチックの中では最も小さい。 一方、合成ゴムや天然ゴムはSP値が比較的小さく7〜9であり、ポリエチレンもSP値は7.7〜8.4とゴムと同程度かやや小さく、超高分子量ポリエチレンもSP値はゴムと同等かそれよりやや低いがPTFEよりは高いと推察される。
    また、この超高分子量ポリエチレンは耐熱性が高く、耐薬品性が良好なため安全性が高く、そのメルトフローレートもほぼ0であり、物性もPTFEに近い。 このような物性が超高分子量ポリエチレンとPTFEの接着性に寄与していると推測される。
    本発明におけるフッ素樹脂フィルムは、表面処理をしなくてもポリオレフィンフィルムとの接着性はよい。 接着強度を更に上げるためには、フッ素樹脂フィルムの表面を粗面化して単位面積あたりの表面積を増やす手法があり、この方法は、金属ナトリウムを使用した化学的処理方法では処理面が変色するため適当とは言い難く、コロナ放電、スパッタエッチングなどの方法が処理面の変色がなく好ましい。 但し、コロナ放電処理法は、加工のために大型の設備が必要であるのみならず、処理フィルム,未処理フィルムの製品管理が煩雑になるため、スッパタリングによるエッチング法が最も好ましいと考えられる。
    上記のような構成を有する本発明のシール用ゴム成形品の製造方法は、中間層となるポリオレフィンフィルムを、フッ素樹脂フィルムの上に重ねておき、該ポリオレフィンフィルム上にゴムシートを重ねて、加熱・加圧成形することで、ゴム成形品の成形に加え、フッ素樹脂の積層を高い接着強度を有して実現することができる。
    この製造方法によれば、フッ素樹脂フィルムに上記のような各種の表面処理を施さなくとも、実用上十分な、ポリオレフィンフィルムとの接着強度を得ることができるが、表面処理を施せばより強い接着強度を得ることができる。
    具体的には、複数のキャビティを持つプレス下金型上に、適切な大きさにカットしたフッ素樹脂フィルムを置き、その上にポリオレフィンフィルムを重ね合わせ、その上にシート状ゴム素材を重ね合わせ、両面ラミネートが必要であれば、更にその上にポリオレフィンフィルムとフッ素樹脂フィルムを重ね合わせて、この状態でプレス上金型を下降する。
    プレス下金型とプレス上金型を加熱し、該上下金型に型締め圧を加え、同時に金型内を吸引し金型内部の空気を脱気する。
    この操作により、シート状ゴム素材は流動性を帯び、フィルムが二重に積層された状態でキャビティ内に進入する。
    キャビティ内において、上記シート状ゴム素材は、圧縮され加熱されて、賦形や架橋反応を生起し、発生するガスが吸引除去されつつ成形を完了する。
    このときの上下金型の加熱温度は、上記のシート状ゴム素材の架橋温度、架橋を行わないものではゴムの軟化温度以上とし、型締め圧は、おおよそ50〜200Kg/cm とする。 この温度以上でなければ、賦形や架橋反応が進行せず、また型締め圧が不足すると、賦形が不十分となり成形不良が多発する。
    なお、上下金型の加熱温度は、ゴム素材の架橋温度や軟化特性により成形に最適な粘度を示す温度(成形温度)が適宜設定され、型締め圧は、おおよそ150Kg/cm 程度でほとんどのゴム素材を成形できるが、通常はゴム素材の粘弾性により上記範囲から最適な型締め圧が適宜設定される。
    この後、上下金型が型開きし、成形品が脱型され、該成形品の周囲が適切にカットされて目的のゴム成形品が製造される。

    図1(A)にその断面を模式的に示すゴム成形品(ゴム栓)の一実施態様例を以下の要領にて製造した。
    なお、図1(A)において、300がゴム栓状に成形されたゴム素材、100が該ゴム栓の少なくとも薬品に接触する面(本例ではゴム栓の表面全面)を覆うフッ素樹脂フィルム層、200が該ゴム素材300とフッ素樹脂フィルム層100との間に介在させたポリオレフィンフィルム層である。
    オープン・ロールを用いてSIBS系エラストマー(株式会社カネカ製シブスター)100重量部に架橋剤(ヒドロシリル基含有ポリシロキサン)2重量部を加えたものを混練りし、24時間熟成後、加熱して厚さ10mmのシート状ゴム素材を得た。
    このシート状ゴム素材を原材料として、図1(B)にその断面を模式的に示す金型を用い、該金型の下金型LD上に厚さ50μmのPTFEフィルム100と厚さ50μmで分子量550万の超高分子量ポリエチレンフィルム200を重ね合わせ、その上に上記シート状ゴム素材300を重ね、さらに超高分子量ポリエチレンフィルム200とPTFEフィルム100を重ねて、上金型UDを下降させた。
    上・下金型UD,LDを150〜180℃に加熱し、真空吸引口TよりキャビティCV内を吸引し、型締め圧力を100Kg/cm とし、10分間加熱加圧成形した後、キャビティに沿ってカットし、図1(A)に示す本発明のゴム成形品(ゴム栓)を得た。
    〔比較例1〕
    超高分子量ポリエチレンフィルムを使用せず、PTFEフィルムのみを使用する以外は、実施例1と全く同様にして、PTFEフィルム積層ゴム栓を得た。
    〔接着強度試験〕
    実施例1と比較例1で得たゴム栓に関し、次の剥離(接着)強度試験と信頼性試験を行った。
    (剥離強度)
    実施例1および比較例1と同様の要領で、シート状ゴム素材300の片面のみに、超高分子量ポリエチレンフィルム200の介在(実施例1)または非介在(比較例1)で、PTFEフィルム100を積層して短冊状の試験サンプルを作成した。
    なお、この試験サンプルの端部は、ゴム素材300と、フィルム200と、フィルム100とがそれぞれ非接着状態となるように成形した。
    この試験サンプル端部のゴム素材部300を下側固定治具に、PTFEフィルム部100を(実施例1でも超高分子量ポリエチレンフィルム部200は固定せずにPTFEフィルム部100のみを)上側固定治具にそれぞれ固定し、オートグラフ(島津オートグラフAG−100B)を使用して、上側固定治具を試験速度500mm/minの速度で上昇させて引っ張ることにより、PTFEフィルム部100とゴム素材部300とを剥離させ、その時の最大荷重値を測定した。 試験数は各10回とした。
    測定結果を表1に示す。

    表1から明らかなように、比較例1の試験サンプルでは平均最大荷重約10NでPTFEフィルム部100とゴム素材部300との剥離が生じたが、実施例1ではPTFEフィルム部100と超高分子量ポリエチレン部200との界面でも、超高分子量ポリエチレンフィルム部200とゴム素材部300との界面でも剥離は起こらず、約20Nでゴム素材部300の破断により測定を終了した。


    (信頼性試験)


    (気密試験)


    実施例1と比較例1のゴム栓で、メチルアルコール160ccをそれぞれ注入した200cc容器2個をそれぞれ密栓し、40℃の雰囲気下に1週間放置した後、各容器内のメチルアルコール残留量を測定した。 剥離強度試験と同様、試験数は各10とした。


    測定結果を表2に示す。


    表2から明らかなように、実施例1、比較例1ともメチルアルコールの減量はほとんど認められず、密封性の低下は認められなかった。

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