カバーフィルム

申请号 JP2013519447 申请日 2012-05-29 公开(公告)号 JP5993850B2 公开(公告)日 2016-09-14
申请人 デンカ株式会社; 发明人 佐々木 彰; 徳永 久次; 藤村 徹夫;
摘要
权利要求

少なくとも基材層(A)、中間層(B)、およびキャリアテープにヒートシール可能な熱可塑性樹脂を有するヒートシール層(C)を有し、 中間層(B)がメタロセン直鎖状低密度ポリエチレンを含み、該メタロセン直鎖状低密度ポリエチレンのJIS K7196によるTMA法の軟化温度が98〜109℃であり、前記中間層(B)とヒートシール層(C)の間に剥離層(D)を有し、該剥離層(D)が、芳香族ビニル基の含有量が樹脂全体を100質量%としたとき15〜35質量%であり、密度が0.890〜0.935×103(kg/m3)である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の素添加樹脂を含むカバーフィルム。ヒートシール層(C)または剥離層(D)のいずれかが導電材料を含有する請求項1記載のカバーフィルム。導電材料が導電性微粒子であり、形状が針状、球状の微粒子のいずれかまたはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項2に記載のカバーフィルム。請求項1〜3のいずれか1項に記載のカバーフィルムを、熱可塑性樹脂製のキャリアテープの蓋材として用いた電子部品包装体。

说明书全文

本発明は、電子部品の包装体に使用するカバーフィルムに関する。

電子部品の小型化に伴い、使用される電子部品についても小型高性能化が進み、併せて電子機器の組み立て工程においてはプリント基板上に部品を自動的に実装することが行われている。このような表面実装用電子部品は、電子部品の形状に合わせてエンボス成形された収納ポケットが連続的に形成されたキャリアテープに収納されている。収納ポケットに電子部品を収納後、キャリアテープの上面に蓋材としてカバーフィルムを重ね、加熱したシールバー等でカバーフィルムの両端を長さ方向に連続的にヒートシールして電子部品の包装体としている。このようなカバーフィルム材としては、二軸延伸したポリエステルフィルムを基材に、熱可塑性樹脂のヒートシール層を積層したものなどが使用されている。

近年、コンデンサや抵抗器、IC、LED、コネクタ、スイッチング素子などの様々な電子部品は著しい微小化、軽量化、薄型化が進んでおり、カバーフィルムを剥離する際に剥離強度の最大値と最小値との差、即ち「レンジ」が大きいと、キャリアテープが激しく振動して電子部品が飛び出し、実装不良を起こすことがある。また、実装速度の急激な高速化に伴い、カバーフィルムの剥離速度も0.1秒以下/タクトと極めて高速化しており、剥離の際にはカバーフィルムに大きな衝撃的な応が加わる。その結果として、剥離強度が強過ぎた場合、カバーフィルムが切れてしまうことがある。

カバーフィルムの剥離強度のバラツキを低減する方法として、ヒートシール層を海島状のパターンにする方法や、中間層もしくはヒートシール層に非相溶の樹脂を混ぜ合わせることで層内を凝集破壊させる方法などが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。しかしながら、電子部品の小型化等によって、前記剥離強度のバラツキを小さくすることに関しては更に高いレベルが要求されているため、このような方法によっても未だ要求性能を満たすことができない場合があった。

また、中間層に用いる樹脂の軟化温度を規定することで剥離強度のバラツキを抑制する方法(例えば特許文献3参照)や、中間層として特定の比重のメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用い、この中間層と基材層間の接着層を低ヤング率の層とすることによって、基材層への応力伝播を防止する方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、これらの方法によっても前記の高速でカバーフィルムをキャリアテープから剥離する際には、十分にフィルム切れを抑制することは困難であった。

特開平7−223674号公報

特開平4−279466号公報

国際公開第2004/094258号

特開2006−327624号公報

本発明ではポリスチレンやポリカーボネートなどのプラスチック製キャリアテープにヒートシールしたときに、適度の剥離強度を有し且つ前記の剥離強度のバラツキが十分小さく、高速剥離による衝撃によってもテープ切れが起こらないカバーフィルムを提供することを課題とする。

本発明者等は、前記の課題について鋭意検討した結果、特定の軟化温度を有するm−LLDPEからなる中間層を用いることで課題を克服したカバーフィルムが得られることを見出し、本発明に至った。

即ち、一態様では、本発明は、少なくとも基材層(A)、中間層(B)、キャリアテープにヒートシール可能な熱可塑性樹脂を有するヒートシール層(C)を有してなり、中間層(B)がメタロセン直鎖状低密度ポリエチレンを含み、該メタロセン直鎖状低密度ポリエチレンのJIS K7196によるTMA法の軟化温度が98〜109℃であることを特徴とするカバーフィルムに関する。ここで、カバーフィルムは、前記中間層(B)とヒートシール層(C)の間に剥離層(D)を有し、ヒートシール層(C)または剥離層(D)のいずれかに導電材料を含有することが好ましい。

上記剥離層(D)は、芳香族ビニル基の含有量が樹脂全体を100質量%としたとき15〜35質量%であり、密度が0.890〜0.935×103(kg/m3)である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の素添加樹脂を含むことが好ましい。そして、導電材料は導電性微粒子であり、形状が針状、球状の微粒子のいずれかまたはこれらの組み合わせであることが好ましい。 さらに、他の態様では、本発明は、上記のカバーフィルムを熱可塑性樹脂製のキャリアテープの蓋材として用いた電子部品包装体にも関する。

本発明のカバーフィルムは、ポリスチレンやポリカーボネートなどのプラスチック製キャリアテープに対するヒートシール性に優れており、カバーフィルムを剥離した際、剥離強度のバラツキが小さく、また、高速剥離による衝撃によってもテープ切れが起こらない。

本発明の一実施形態に係るカバーフィルムの層構成を示す概略断面図である。

本発明のカバーフィルムは、少なくとも基材層(A)と中間層(B)とヒートシール層(C)とを必須に有し、場合によっては剥離層(D)を有してなる。本発明のカバーフィルムの積層構造の一例を図1に示す。これから分かるように、カバーフィルム1は、基材層2と、該基材層2にアンカーコート層3を介して積層された中間層4と、該中間層4に順に積層された剥離層5およびヒートシール層6を備えた積層構造を有している。 以下、各層について詳述する。

<基材層(A)> 基材層(A)は、二軸延伸ポリエステル、あるいは二軸延伸ナイロンからなる層であり、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)および二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)、二軸延伸した6,6−ナイロン、6−ナイロンを特に好適に用いることができる。二軸延伸PET、二軸延伸PEN、二軸延伸6,6−ナイロン、6−ナイロンとしては、通常用いられているものの他に、帯電防止処理のための帯電防止剤が塗布または練り込まれたもの、またはコロナ処理や易接着処理などを施したものを用いることができる。基材層(A)は、薄すぎるとカバーフィルム自体の引張り強度が低くなるためカバーフィルムを剥離する際に「フィルムの破断」が発生しやすい。一方、厚すぎるとキャリアテープに対するヒートシール性が低下を招くだけで無く、コスト上昇を招くため、通常12〜25μmの厚みのものを好適に用いることができる。

<中間層(B)> 本発明においては、基材層(A)の片面に必要に応じて接着剤層を介して中間層(B)が積層して設けられる。中間層(B)を構成する樹脂としては、特に柔軟性を有していてかつ適度の剛性があり、常温での引裂き強度に優れる直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと示す)を用いることができ、特に密度が0.900〜0.925(×103kg/m3)の範囲の樹脂を用いることで、ヒートシールする際の熱や圧力による、カバーフィルム端部からの中間層樹脂の食み出しが起こりにくいためヒートシール時のコテの汚れが生じにくいだけでなく、カバーフィルムをヒートシールする際に中間層が軟化することによりヒートシールコテの当り斑を緩和するため、カバーフィルムを剥離する際に安定した剥離強度が得られ易い。

LLDPEには、チグラー型触媒で重合されたもの、及びメタロセン系触媒で重合されたもの(以下、m−LLDPEと示す)があるが、m−LLDPEは分子量分布を狭く制御されているため、とりわけ高い引裂強度を有している。よって、本発明においては、中間層(B)はm−LLDPEから形成される。また、本発明においては、中間層(B)のm−LLDPEとしては、JIS K7196によるTMA法の軟化温度が98〜110℃であるものが選択される。98℃未満では中間層(B)が高速剥離時の衝撃を吸収しきれずフィルム破断を起こす頻度が高くなり、110℃より高いとヒートシール時に中間層(B)が十分に軟化せず安定した剥離強度が得られなくなる。

上記の軟化温度を有するm−LLDPEは、市場で入手することができ、コモノマーとして炭素数3以上のオレフィン、好ましくは炭素数3〜18の直鎖状、分岐状、芳香核で置換されたα−オレフィンとエチレンとの共重合体である。直鎖状のモノオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。また、分岐状モノオレフィンとしては、例えば、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。また、芳香核で置換されたモノオレフィンとしては、スチレン等が挙げられる。これらのコモノマーは、単独または2種以上を組み合わせて、エチレンと共重合することができる。この共重合では、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等のポリエン類を共重合させてもよい。

中間層(B)の厚みは、5〜50μmが一般的であり、好ましくは10〜40μmである。中間層(B)の厚みが5μm未満では基材層(A)と中間層(B)間の接着強度が不十分となる恐れがあり、また、キャリアテープにカバーフィルムをヒートシールする際のヒートシールコテの当り斑を緩和する効果が得られない場合がある。一方、50μmを超えるとカバーフィルムの総厚が厚いために、キャリアテープにカバーフィルムをヒートシールする際に十分な剥離強度を得ることが困難となることがある。

<ヒートシール層(C)> 本発明のカバーフィルムは、中間層(B)の表面上にヒートシール層(C)を有する。ヒートシール層(C)の熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂などが挙げられる。なかでもアクリル系樹脂がキャリアテープを構成する素材であるポリスチレンやポリカーボネートなどに対するヒートシール性に極めて優れている。特に、ガラス転移温度が45〜80℃の範囲の樹脂を用いるのが、安定した剥離強度を得る点で好ましく、より好ましくは50〜75℃のアクリル系樹脂である。

ヒートシール層(C)を構成するアクリル系樹脂としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステルなど、少なくとも一種以上のアクリル残基を50質量%以上含む樹脂を用いることができ、これらの二種以上を共重合した樹脂であってもよい。

ヒートシール層(C)の厚さは0.1〜5μm、好ましくは0.1〜3μm、更に好ましくは0.1〜0.5μmの範囲である。ヒートシール層の厚さが0.1μm未満の時、ヒートシール層(C)が十分な剥離強度を示さないことがある。一方、ヒートシール層の厚さが5μmを越える場合には、コストの上昇を招くだけでなく、またカバーフィルムを剥離する際に剥離強度のバラツキを生じる恐れがある。

<剥離層(D)> 本発明のカバーフィルムは、前記中間層(B)とヒートシール層(C)の間に、カバーフィルムをキャリアテープから剥離する際のレンジを小さくする目的で熱可塑性樹脂製の剥離層(D)を備えるのが好ましい。この剥離層(D)に用いる熱可塑性樹脂は、芳香族ビニル基の含有量が15〜35質量%である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の水素添加樹脂が好ましい。剥離層(D)の樹脂の密度は0.890〜0.935×103(kg/m3)の範囲が好ましく、また質量平均分子量は50,000〜200,000の間であり、これらの範囲を外れる場合は剥離強度が得られにくい場合があったり、また剥離時のレンジが大きくなることがある。

剥離層(D)の厚さは通常0.1〜3μm、好ましくは0.1〜1.5μmの範囲である。剥離層(D)の厚さが0.1μm未満の時、キャリアテープをカバーフィルムにヒートシールした時に、十分な剥離強度を示さないことがある。一方、剥離層(D)の厚さが3μmを越える場合には、カバーフィルムを剥離する際に剥離強度のバラツキを生じる恐れがある。なお、後述するように、この剥離層(D)およびヒートシール層(C)は、通常はコーティングによって形成される。コーティング法で形成した場合の「厚み」とは、乾燥後の厚みである。

<添加材料> 剥離層(D)またはヒートシール層(C)には、導電材料として導電性フィラーの導電性酸化錫粒子、導電性酸化亜鉛粒子、導電性酸化チタン粒子の少なくとも一つを含有させることができる。中でも、アンチモンや燐、ガリウムがドーピングされた酸化錫を用いることで導電性が向上し、また透明性の低下が少ないため、より好適に用いることができる。導電性酸化錫粒子、導電性酸化亜鉛粒子、導電性酸化チタン粒子は、球状、あるいは針状のものを用いることができる。特にアンチモンをドーピングした針状の酸化錫を用いた場合、特に良好な帯電防止性能を有するカバーフィルムが得られる。添加量は、剥離層(D)を構成する熱可塑性樹脂100質量部に対して通常100〜1000質量部であり、好ましくは200〜800質量部である。導電性粒子の添加量が100質量部未満の場合、カバーフィルムのヒートシール層(C)側の表面抵抗値が10の12乗Ω以下のものが得られない恐れがあり、1000質量部を超えると、相対的な熱可塑性樹脂の量が減少するため、ヒートシールによる十分な剥離強度を得ることが困難となる恐れがある。

一方で導電材料として、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーの少なくとも一つのカーボンナノ材料を含有することもできる。中でも、アスペクト比が10〜10000のカーボンナノチューブが好ましい。剥離層(D)への添加量は、層を構成する熱可塑性樹脂100質量部に対して0.5〜15質量部が好ましく、更に好ましくは3〜10質量部である。添加量が0.5質量部未満の場合、カーボンナノ材料の添加による導電性付与の効果が十分得られないことがあり、一方15質量部を越えるとコストの上昇を招くだけでなく、カバーフィルムの透明性の低下を招くために、収納部品をカバーフィルム越しに検査することが難しくなる恐れがある。

本発明のカバーフィルムは、前記のように電子部品を入れたキャリアテープの表面にヒートシールされた状態で、封止樹脂に含まれる水分を除去するために、60℃の環境下で72時間または80℃の環境下で24時間程度の条件でベーキング処理されることがある。このような場合に内容物である電子部品がカバーフィルムに接着すると、カバーフィルムを剥離して電子部品を実装する工程でのトラブルとなる。前記のように本発明のカバーフィルムは、カバーフィルムを剥離する際の剥離強度のバラツキが小さく、且つ、60〜80℃のような高温度で保管したときの内容物の電子部品へのヒートシール層(C)の粘着性の制御も可能となるが、更に付着の防止をより確実に行うために、ヒートシール層(C)には無機フィラーを添加することが好ましい。 添加する無機フィラーは、球状または破砕形状のタルク粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、マイカ粒子、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの無機フィラーである。特にシリカ粒子は、本願が目標とする粒子径が得られやすく、分散性が良好であり、またヒートシール層(C)に添加した際の透明性の低下が少ないことから、より好適に用いることができる。特にシリカ微粒子をプロピレンオキサイドで変性されたポリシロキサン、あるいはエチレンオキサイドで変性されたポリシロキサンのうち少なくとも1種の脂肪族オキサイド変性ポリシロキサンで表面処理することがより好ましい。無機フィラーの表面をこれらのポリシロキサンで処理することによって、ヒートシール層(C)を構成する樹脂と無機フィラー間の密着性が強くなるために、ヒートシール層(C)の機械的強度を向上させることができ、キャリアテープからカバーフィルムを剥離する際に安定した剥離強度が得られやすい。

前記の無機フィラーは、ヒートシール層(C)を構成する熱可塑性樹脂100質量部に対して、メジアン径(D50)が50nm未満の無機フィラーを10〜50質量部、メジアン径(D50)が50〜300nmの無機フィラーについては20〜60質量部含むことができる。ヒートシール層(C)がこれらの粒子径の無機フィラーを含むことにより、カバーフィルムを巻いた時のブロッキングを抑制できるばかりでなく、電子部品が収納された包装体が高温環境に保管された場合でも、カバーフィルムへの付着を抑制する効果が期待できる。また、粒子径の異なるフィラーを添加することによって、前記の収納部品の付着抑制効果に加えてカバーフィルムの透明性の低下を抑制できるため、キャリアテープに収納した電子部品の印字や、電子部品のリード曲がり等の検査を容易に行うことができる。

<カバーフィルム> 本発明のカバーフィルムを作製する方法は特に限定されるものではなく、一般的な方法を用いることができる。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレンイミンなどの接着剤を基材層(A)として例えば二軸延伸ポリエステルフィルム表面に塗布しておき、中間層(B)となるm−LLDPEを主成分とする樹脂組成物をTダイから押出し、アンカーコート剤の塗布面にコーティングすることで、基材層(A)と中間層(B)から成る二層フィルムとすることができる。さらに中間層(B)の表面に、本発明の剥離層(D)を、例えばグラビアコーター、リバースコーター、キスコーター、エアナイフコーター、メイヤーバーコーター、ディップコーター等によりコーティングすることができる。この場合、塗工する前に、中間層(B)表面をコロナ処理やオゾン処理することが好ましく、特にコロナ処理することが好ましい。更に中間層(B)に塗布した剥離層(D)の上にヒートシール層(C)を構成する樹脂組成物を例えばグラビアコーター、リバースコーター、キスコーター、エアナイフコーター、メイヤーバーコーター、ディップコーター等によりコーティングすることで目的とするカバーフィルムを得ることができる。

他の方法として、中間層(B)を予めTダイキャスト法、あるいはインフレーション法などで製膜しておき、基材層(A)として例えば二軸延伸ポリエステルフィルムと、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィンなどの接着剤を介して接着するドライラミネート法により、基材層(A)と中間層(B)から成るフィルムを得ることができ、中間層の表面に剥離層(D)とヒートシール層(C)を塗布することにより、目的とするカバーフィルムを得ることもできる。

更に他の方法としてサンドラミネート法によっても、目的とするカバーフィルムを得ることができる。即ち、中間層(B)を構成するフィルム(中間層1)をTダイキャスト法、あるいはインフレーション法などで製膜する。次にこの中間層1のフィルムと基材層(A)フィルムとの間に、溶融したm−LLDPEを主成分とする樹脂組成物を供給して中間層2を形成し積層し、目的とするカバーフィルムの基材層(A)と、中間層1と中間層2からなる中間層(B)で構成されたフィルムを得、更に中間層側の表面に剥離層(D)とヒートシール層(C)を塗布することにより、目的とするフィルムを得ることができる。この方法の場合も、前記の方法と同様に、基材層(A)フィルムの積層する側の面に接着剤をコーティングしたものを用いるのが一般的である。

前記の工程に加えて、必要に応じて、カバーフィルムの少なくとも片面に帯電防止処理を行うことができる。帯電防止剤として、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系、ベタイン系などの界面活性剤型帯電防止剤や、高分子型帯電防止剤及び導電材料などをグラビアロールを用いたロールコーターやリップコーター、スプレー等により塗布することができる。また、これらの帯電防止剤を均一に塗布するために、帯電防止処理を行う前に、フィルム表面にコロナ放電処理やオゾン処理することが好ましく、特にコロナ放電処理が好ましい。

<キャリアテープ> カバーフィルムは、電子部品の収納容器であるキャリアテープの蓋材として用いる。キャリアテープとは、電子部品を収納するための窪みを有した幅8mmから100mm程度の帯状物である。カバーフィルムを蓋材としてヒートシールする場合、キャリアテープを構成する材質は特に限定されず、市販のものを用いることができ、例えばポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等を使用することができる。キャリアテープは、カーボンブラックやカーボンナノチューブを樹脂中に練り込むことにより導電性を付与したもの、帯電防止剤や導電フィラーが練り込まれたもの、あるいは表面に界面活性剤型の帯電防止剤やポリピロール、ポリチオフェンなどの導電物をアクリルなどの有機バインダーに分散した塗工液を塗布し帯電防止性を付与したものを用いることができる。

<電子部品包装体> 電子部品を収納した包装体は、例えば、キャリアテープの電子部品収納部に電子部品等を収納した後にカバーフィルムを蓋材とし、カバーフィルムの長手方向の両縁部を連続的にヒートシールして包装し、リールに巻き取ることで得られる。この形態に包装することで電子部品等は保管、搬送される。電子部品等を収納した包装体は、キャリアテープの長手方向の縁部に設けられたキャリアテープ搬送用のスプロケットホールと呼ばれる孔を用いて搬送しながら断続的にカバーフィルムを引き剥がし、部品実装装置により電子部品等の存在、向き、位置を確認しながら取り出し、基板への実装が行われる。

更に、カバーフィルムを引き剥がす際には、剥離強度があまりに小さいとキャリアテープから剥がれてしまい、収納部品が脱落してしまう恐れがあり、あまりに大きいとキャリアテープとの剥離が困難になると共にカバーフィルムを剥離する際に破断させてしまう恐れがあるため、120〜220℃でヒートシールした場合、0.05〜1.0Nの剥離強度を有するものがよい。

以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例および比較例において、中間層(B)、剥離層(D)およびヒートシール層(C)に、以下の樹脂原料を用いた。

(中間層(B)の樹脂) (b−1)m−LLDPE:LL−UL(フタムラ化学社製),厚み40μm,TMA軟化温度99℃ (b−2)m−LLDPE:LL−XUMN(フタムラ社製),厚み40μm,TMA軟化温度109℃ (b−3)m−LLDPE:UL−1(タマポリ社製),厚み40μm,TMA軟化温度107℃ (b−4)m−LLDPE:HR653(KFフィルム社製),厚み30μm,TMA軟化温度112℃ (b−5)m−LLDPE:SE620M(タマポリ社製),厚み40μm,TMA軟化温度110℃ (b−6)m−LLDPE:ユメリット2040F(宇部丸善ポリエチレン社製),TMA軟化温度104℃ (b−7)m−LLDPE:エボリューSP3010(プライムポリマー社製),TMA軟化温度116℃ (b−8)m−LLDPE:ユメリット0520F(宇部丸善ポリエチレン社製),TMA軟化温度95℃ (b−9)m−LLDPE:エクセレンFX CX1001(住友化学社製),TMA軟化温度97℃ 尚、TMA軟化温度の測定条件は、次の通りである。 ・JIS K−7196準拠 ・装置:TMA/SS66000(SIIナノテクノロジー社製) ・触針子径:1.0mmφ ・窒素雰囲気下 ・昇温速度:5℃/min

(ヒートシール層(C)の樹脂) (c−1)アクリル樹脂:ダイヤナールBR-113(三菱レイヨン社製),ガラス転移温度75℃ (c−2)アクリル樹脂:ダイヤナールBR-116(三菱レイヨン社製),ガラス転移温度50℃ (ヒートシール層(C)に添加する無機フィラー) (c−3)無機フィラー:MEK−ST−ZL(日産化学社製),シリカフィラー,メジアン径(D50)100nm

(剥離層(D)の樹脂) (d−1)樹脂:タフテックH1041(旭化成ケミカルズ社製),スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SEBS)の水素添加樹脂,スチレン比率30質量%,密度0.914 (d−2)樹脂:タフテックH1051(旭化成ケミカルズ社製),スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SEBS)の水素添加樹脂,スチレン比率42質量%,密度0.894 (d−3)樹脂:セプトン8007(クラレ社製),スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SEPS)の水素添加樹脂,スチレン比率30質量%,密度0.914 (d−4)樹脂:セプトン2007(クラレ社製),スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SEPS)の水素添加樹脂,スチレン比率30質量%,密度0.912 (剥離層(D)中に配合する導電材料) (d−5)導電性フィラー:FSS−10T(石原産業社製),針状アンチモンドープ酸化錫,数平均長径2μm,トルエン分散タイプ (d−6)導電性フィラー:SNS−10T(石原産業社製),球状アンチモンドープ酸化錫,メジアン径(D50)100nm,トルエン分散タイプ

<実施例1> 厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムの表面に、グラビア法によってポリエステル系のアンカーコート剤を塗工した後、メタロセン触媒にて重合した[(b−1)m−LLDPE]からなる厚み40μmのフィルムをドライラミネーション法により積層し、二軸延伸ポリエステル層とm−LLDPE層からなる積層フィルムを得た。このフィルムのm−LLDPE面にコロナ処理を施した。次にシクロヘキサンに溶解させた[(d−1)SEBS樹脂]100質量部に対して、アンチモンドープ酸化錫分散液[(d−5)導電性フィラー]300質量部を添加した混合物を、前記積層フィルムの中間層側の面にコロナ処理を施した面上に、グラビア法にて乾燥厚みが0.4μm厚みになるように塗工し剥離層とした。さらに、剥離層の塗工面上に、ヒートシール層としてメタクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルのランダム共重合体[(c−1)アクリル樹脂]と、[(c−3)無機フィラー]50質量部をMEKに溶解した溶液を、乾燥後の厚みが0.8μmになるように塗工することにより、帯電防止性能を有するキャリアテープ用カバーフィルムを得た。

<実施例2,3,6〜8> 中間層、剥離層、およびヒートシール層を、表1および表2に記載した樹脂等の原料を用いて形成した以外は、実施例1と同様にしてカバーフィルムを作製した。

<比較例1> 中間層を設けず、厚さ50μmの基材層上に剥離層およびヒートシール層を順次形成した以外は、実施例1と同様にしてカバーフィルムを作製した。

<比較例2> ヒートシール層を設けず、中間層および剥離層を、表2に記載した樹脂等の原料を用いて形成した以外は、実施例1と同様にしてカバーフィルムを作製した。

<実施例4> メタロセン触媒で重合された[(b−6)m−LLDPE6]からなる樹脂をTダイから押出し、厚み40μmのフィルムを得た。厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムの表面に、グラビア法によってポリエステル系のアンカーコート剤を塗工した後、先に押出して得た[(b−6)m−LLDPE6]からなる厚み40μmのフィルムをドライラミネーション法により積層し、二軸延伸ポリエステル層とm−LLDPE層からなる積層フィルムを得た。このフィルムのm−LLDPE面にコロナ処理を施した。次に、シクロヘキサンに溶解させた[d−1)SEBS樹脂]100質量部に対して、アンチモンドープ酸化錫分散液[(d−5)導電性フィラー]300質量部を添加した混合物を、前記積層フィルムの中間層側の面でコロナ処理を施した面上に、グラビア法にて乾燥厚みが0.4μm厚みになるように塗工し剥離層とした。さらに、剥離層の塗工面上に、ヒートシール層としてメタクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルのランダム共重合体[(c−1)アクリル樹脂]と、[(c−3)無機フィラー]50質量部をMEKに溶解した溶液を、乾燥後の厚みが0.8μmになるように塗工することにより、帯電防止性能を有するキャリアテープ用カバーフィルムを得た。

<実施例5> 剥離層に導電性フィラーを配合しないこと以外は、実施例4と同様にしてキャリアテープ用カバーフィルムを得た。

<比較例3〜7> 中間層、剥離層、およびヒートシール層を、表2に記載した樹脂等の原料を用いて形成した以外は、実施例4と同様にしてカバーフィルムを作製した。

(評価方法) 各実施例及び各比較例で作製した電子部品のキャリアテープ用カバーフィルムについて下記に示す評価を行った。これらの結果を表1および表2にまとめて示す。

(1)曇価 JIS K7105:1998の測定法Aに準じて、積分球式測定装置を用いて曇価を測定した。フィルム製膜性が著しく悪くフィルムが得られず、曇価を評価できなかったものについては、「未評価」と表記した。結果を表1及び表2の曇価の欄に示す。

(2)シール性 テーピング機(澁谷工業社、ETM−480)を使用し、シールヘッド幅0.5mm×2、シールヘッド長32mm、シール圧力0.1MPa、送り長4mm、シール時間0.1秒×8回にてシールコテ温度140℃から190℃まで10℃間隔で5.5mm幅のカバーフィルムを8mm幅のポリカーボネート製キャリアテープ(電気化学工業社製)、及びポリスチレン製キャリアテープ(電気化学工業社製)にヒートシールした。温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下に24時間放置後、同じく温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて毎分300mmの速度、剥離度170〜180°でカバーフィルムを剥離し、シールコテ温度140℃から190℃まで10℃間隔でヒートシールした時の平均剥離強度が0.3〜0.9Nの範囲にあるものを「優」とし、平均剥離強度が0.3〜0.9Nの領域となるシールコテ温度範囲はあるものの、シールコテ温度140℃から190℃まで10℃間隔でヒートシールした時の平均剥離強度が0.3〜0.9Nの範囲を外れるシールコテ温度範囲があるものを「良」とし、何れのシールコテ温度においても平均剥離強度が0.3〜0.9Nの領域に入らないものを「不良」として表記した。結果を表1及び表2のシール性の欄に示す。

(3)剥離のバラツキ ポリスチレン製キャリアテープ(電気化学工業社製)に対する剥離強度が0.4Nとなるようにヒートシールを行った。カバーフィルムを前記(2)シール性と同条件で剥離した。剥離方向に100mm分のカバーフィルムを剥離した際に得られたチャートから剥離強度のバラツキを導き出した。剥離強度のバラツキが0.2N以下であるものを「優」、0.2から0.4Nであるものを「良」、0.4Nより大きいものを「不良」とし、剥離強度が0.4Nに満たないものについては「未評価」として標記した。結果を表1及び表2の剥離のバラツキの欄に示す。

(4)カバーフィルムの破断耐性 ポリスチレン製キャリアテープ(電気化学工業社製)に対する剥離強度が1.0Nとなるようにヒートシールを行った。カバーフィルムを前記(2)シール性と同条件で剥離した。カバーフィルムをシールしたキャリアテープを550mmの長さで切り取り、両面粘着テープを貼った垂直な壁にキャリアテープのポケット底部を貼り付けた。貼り付けてあるキャリアテープの上部からカバーフィルムを50mm剥がし、カバーフィルムをクリップで挟み、このクリップに質量1000gの重りを取り付けた。その後、重りを自然落下させた時に、50サンプル中1サンプルもカバーフィルムが破断しなかったものを「優」、50サンプル中1〜5サンプルのカバーフィルムが破断したものを「良」、5サンプル以上破断したものを「不良」として表記した。また、(2)シール性の評価にて剥離強度が1.0Nに満たないものについては「未評価」とした。結果を表1及び表2のフィルム破断耐性の欄に示す。

(5)表面抵抗率 三菱化学社のハイレスタUP MCP−HT450を使用しJIS K6911の方法にて、雰囲気温度23℃、雰囲気湿度50%RH、印加電圧10Vでヒートシール層表面の表面抵抗率を測定した。結果を表1及び表2の表面抵抗率の欄に示す。

1 カバーフィルム 2 基材層 3 アンカーコート層 4 中間層 5 剥離層 6 ヒートシール層

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