Method of manufacturing a coated polymer film

申请号 JP2002559481 申请日 2002-01-25 公开(公告)号 JP4773676B2 公开(公告)日 2011-09-14
申请人 デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ; 发明人 エバンス ケネス; ウィリアム サンキー スティーブン; ラッセル ホジスン マーク;
摘要 A heat-sealable polymeric film includes a substrate layer of polymeric material having on a surface thereof a heat-sealable coating layer. The layer includes a copolyester and is less than 8 mum in thickness. The copolyester consists essentially of repeat units of one or more aromatic dicarboxylic acids, one or more aliphatic dicarboxylic acids, and a stoichiometric amount of a glycol component consisting of one or more glycols selected from the group consisting of aliphatic glycols and cycloaliphatic glycols.
权利要求
  • ヒートシール可能であって、剥離可能なポリマーフィルムの製造方法であって、
    (a)ポリマー材料からなる基材層を溶融押出する工程と、
    (b)基材層を第1の方向に延伸する工程と、
    (c)任意選択で、基材層を第2の、直交する方向に延伸する工程と、
    (d)任意選択で、延伸されたフィルムをヒートセットする工程と、
    (e)基材の表面上に、直接、溶融ポリマー材料をメルトコートすることによりヒートシール可能なコーティング層を形成する工程と、
    (f)コートされた基材を冷却する工程とを有し、コーティング工程(e)は工程(b)の前または工程(b)と(c)との間であり、コーティング層の厚さは8μmより薄く、コーティング層の溶融ポリマー材料はコポリエステルを含み、溶融ポリマー材料は10℃より低いガラス転移点を有し、コーティング層は、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および化学量論的な量の1種または複数のグリコールから誘導されるコポリエステルを含み、コポリエステル中の前記芳香族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準として40から70モル%の範囲にあり、コポリエステル中の前記脂肪族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準として30から60モル%の範囲にあ り、コーティング工程の前にコーティング層のポリマー材料に水を添加する工程をさらに含み、前記水は、コーティング層のコポリエステルの重量に対して、600ppmから2500ppmの範囲の量で添加されることを特徴とする方法。
  • 基材はポリエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 基材はポリ(エチレンテレフタレート)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 基材は層Aおよび層Bを含み、層Bはその上にコーティング層組成物が塗布される層であり、層Aはポリエチレンテレフタレートを含み、層Bは1種または複数のジカルボン酸と1種または複数のグリコールから誘導されるコポリエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 層Bは、エチレングリコール、テレフタル酸およびイソフタル酸から誘導され、テレフタル酸成分とイソフタル酸成分のモル比が6 :35から85:15の範囲にあるコポリエステルを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  • 層Bは、テレフタル酸、エチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから誘導され、1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールのモル比が30:70から35:65の範囲にあるコポリエステルを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  • コポリエステル中の前記芳香族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準として50から55モル%の範囲にあり、コポリエステル中の前記脂肪族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準として45から50モル%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  • 前記芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  • 前記脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸、アジピン酸およびアゼライン酸から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  • 前記 脂肪族ジカルボン酸はセバシン酸であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  • コーティング層のコポリエステルのグリコール成分は、脂肪族グリコールであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  • コーティング層のコポリエステルのグリコール成分は、1,4−ブタンジオールであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  • コーティング層は、
    (i)アゼライン酸およびテレフタル酸と、エチレングリコールとのコポリエステル;
    (ii)アジピン酸およびテレフタル酸と、エチレングリコールとのコポリエステル;および (iii)セバシン酸およびテレフタル酸と、ブチレングリコールとのコポリエステル から選択されるポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  • コーティング層は、
    (i)ガラス転移点(T g )が−40℃、融点(T m )が117℃である、セバシン酸/テレフタル酸/ブチレングリコール(50/50/100)のコポリエステル;および (ii)T gが−15℃、T mが150℃である、アゼライン酸/テレフタル酸/エチレングリコール(45/55/100)のコポリエステル から選択されるポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  • コーティング層の溶融ポリマー材料の粘度は0.005から50Pa. sの範囲にあることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  • コーティング層の溶融ポリマー材料の粘度が0.005から20Pa. sの範囲にあることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  • 水は1000ppmから2000ppmの範囲の量で添加されることを特徴とする請求項 1〜16のいずれかに記載の方法。
  • 水は1300ppmから1600ppmの範囲の量で添加されることを特徴とする請求項 1〜17のいずれかに記載の方法。
  • 基材層は前記直交する方向に延伸され、また前記工程(e)は前記工程(b)と(c)との間に実施されることを特徴とする請求項1〜 18のいずれかに記載の方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    本発明は、容器の蓋として用いるのに適するコートされたポリマーフィルム、およびその製造方法に関する。
    【0002】
    プラスチック容器は、食品パッケージなどのパッケージ用途に、特にコンビニエンス食品(例えばマイクロウェーブまたは通常のオーブンのいずれかで温められる調理加工済食品)のパッケージに益々多く用いられるようになっている。 プラスチック容器はAPET/CPETのトレイ(結晶性ポリエチレンテレフタレート層の上に非晶質ポリエチレンテレフタレート層を有する複合材料)であることが多い。
    【0003】
    プラスチック容器の使用により、保管中にパッケージの内容物が漏れることを防ぐために容器をシールし、また開くときには容器から簡単に剥がすことができる蓋が必要になった。 この蓋は通常、基材とシール可能なコーティング層とを備える柔軟なポリマーフィルムを含む。 配向ポリマーフィルム、特に2軸配向ポリエステルもしくはポリオレフィンフィルムが、容器の蓋の基材として最もよく用いられる。 蓋を容器の上に置き、そしてシール可能なコーティング層を軟化または溶融させて、それが容器の表面に固着し、蓋と容器との間に有効なシールを形成するように、加熱、加圧することによってシールを形成することができる。 残念ながら、内容物が漏れることを防ぐのに十分なだけ強いシールは、容器を開けようとするときに、蓋を取り除くことが困難となり(例えば裂けることが多い)、すなわち強いシールは剥がしにくくなることが多い。 強いシールと易剥離性(すなわち、きれいな剥離)は、低温(例えば室温)、および高温(例えばオーブン)でパッケージ食品の内容物を加熱した後のいずれにおいても必要とされる。 ヒートシール可能で剥離可能なフィルムを提供するために、シール可能なコーティング層の厚さを調節および変更できることが望ましい。 より薄いコーティング層では、より優れた剥離性を有し、より経済的である。 しかし、薄すぎると接着が十分でないか、あるいは内容物が漏れることを防ぐことができない。 厚すぎるヒートシール可能なコーティング層では、ヒートシール結合強度が大きくなっているために、開封時にフィルムが裂けることがある。 フィルムの長さと幅に渡り、均一な厚さのコーティングとし、それにより均一なヒートシール結合強度を実現することもまた望ましい。 特に、フィルムの幅方向に渡る、均一な厚さはまた、フィルムの巻取り性と一般的な取扱い易さを向上させる。
    【0004】
    ある特定の用途でさらに要求されることは、容器の蓋は光学的に透明でなければならない。 すなわち、容器の蓋はヘイズ(本明細書に記載のように測定される)が小さくなければならない。 しかし、ヒートシール可能で剥離可能な適切なコーティング層となる組成物は、必ずしも透明なフィルムとはならない。
    【0005】
    通常、シール層は、「オフライン」プロセスで、すなわちフィルム製造中に行なわれる何らかの延伸および続いてのヒートセットの後で、ポリマー基材上にコートされることが最も多い。
    【0006】
    通常、シール可能な層のオフライン塗布には、有機溶剤の使用が含まれており、これは「インライン」コーティング、すなわちコーティング工程が、実施される(複数の)延伸工程の前、工程内あるいは工程の間に行なわれる場合には適切ではない。 有機溶剤は、フィルム製造時に用いられる巻取り工程中に、フィルムの付着(sticking)あるいはブロッキングを引き起こすことがあり、使用に際して有害で危険であるか、あるいは環境に対して毒性で有害である可能性がある。 有害で毒性のこのような材料の廃棄問題以外に、このようにして製造されたフィルムには、残留量の溶剤が含まれることが多いので、食品と接触することになる用途での使用に適さないこともある。
    【0007】
    有機溶剤の使用が避けられる「インライン」コートフィルムを製造できれば、実施されるプロセス工程の数を減らせるために工業的に有利である。 インラインプロセスではまた、オフラインコーティングプロセス、特にオフライン溶剤コーティングプロセスに存在する、さらなる加熱または乾燥工程の実施が避けられる。 これらのプロセスは、フィルムを脆くし、そして引張り特性を低下させる可能性がある。 そのため、通常、インラインコートフィルムは優れた機械的性質を有する。
    【0008】
    WO−A−96/19333は、実質的な量の有機溶剤を使用しないインラインプロセスにより製造される蓋用フィルムを開示する。 このフィルムは、基材、ならびに(a)40から90モル%の少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、(b)10から60モル%の少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸、(c)0.1から10モル%の少なくとも1種の、遊離酸基および/またはその塩を含むジカルボン酸、(d)40から90モル%の少なくとも1種の、2から12個の炭素原子を有するグリコール、および(e)10から60モル%の少なくとも1種のポリアルキレングリコール、からなるコポリエステルのコーティング層を含む。 コーティング層は、通常わずかな量(約10%まで)の有機溶剤を含む性分散体あるいは溶液として、フィルム基材が延伸される前か、あるいは2軸延伸プロセスの延伸工程の間のいずれかにおいて塗布される。 WO−A−96/19333に開示されるプロセスは、ある特定のタイプのコーティング組成物、すなわち水に溶解するか、あるいは適当に分散性があるものに限定されている。 さらに、ステンタ(stenter)オーブンは若干量の水性溶剤のみを除去することができるに過ぎず、このプロセスは、実現できる層の厚さが限定されている;WO−A−96/19333のプロセスを経済的に実行するためには、典型的なドライコートでの厚さは約0.5ミクロンである。 したがって、達成できる最大ヒートシール強度は通常、約500〜600g/25mm 2である。 溶液または水性分散体からの、ヒートシール可能なコポリエステル層の、インライン塗布プロセスはまた、GB−1078813に開示されている。
    【0009】
    ヒートシール可能なコーティングはまた、他の方法によるインライン技法を用いても塗布されてきた。 例えば、GB−2024715は、縦および横延伸工程の合間で押出コーティング法を用いる(「延伸間(inter−draw)」コーティング)、ポリオレフィン基材上へのポリオレフィン材料の塗布を開示する。 ヒートシール可能なフィルムを製造するための、ポリエステル基材上へのポリオレフィンのインライン延伸間押出コーティングプロセスは、GB−1077813に開示されている。 US−4333968は、ヒートシール可能で剥離可能なフィルムを提供するための、ポリプロピレン基材上へのエチレン−酢酸ビニル(EVA)コポリマーの延伸間押出コーティングの方法を開示する。
    【0010】
    押出コーティングは、K. A. Mainstoneにより、Modern Plastics Encyclopedia、1983−84、Vol. 60、No. 10A、Edition 1、pp195−198(MacGraw−Hill、NY)に、またFranz DurstおよびHans−Gunte Wagnerにより、Liquid Film Coating(Chapman and Hall;1997;Eds S.F.Kistler and P.M.Schweizer;Chapter 11a)に記載されている。 押出コーティングプロセスは通常、中程度ないし高粘度(少なくとも50Pa.sで約5000Pa.sまで)のポリマーに対して用いられ、通常、ダイと基材との間にはエアギャップ(典型的には約6インチ(15cm))を設ける。 コートされた基材は、熱除去冷却ロールと加圧弾性被覆ニップロールとの間を通過する。 典型的には、押出コーティングプロセスは、少なくとも300℃で、時にはより高い温度で実施される。 インライン押出コーティング技法の使用は、適当な粘度を有するポリマーだけでなく、フィルムの後加工で付着またはブロッキングの問題を起こさないポリマーにも限定される。
    【0011】
    ホットメルトコーティングまたはスロットコーティングとしても知られるメルトコーティングは、ポリマー(典型的にはEVAまたは変性EVAメルト接着剤)を、紙またはポリマーフィルムなどの様々な基材に塗布することを可能にする別の技法である。 押出コーティングとメルトコーティングとの間の違いは、DurstとWagner(前掲)によって記載されている。 典型的には、コーティングポリマーは低粘度、低分子量ポリマーであり、コーティングは通常約250℃以下の温度で実施される。 メルトコーティング装置は、通常、断熱された柔軟なホースによってダイに連結するメルターを備える。 メルターは、その底部に加熱エレメントを備えたホッパからなり、ポリマー/接着剤を加熱して溶融状態にする。 ホッパは通常の手段により連続的に原料が供給され、その結果、メルターは常に「注ぎ足されていっぱい」になっている。 そのようにして、溶融ポリマーにできるだけ空気が入り込まないようにすることで、溶融ポリマーの酸化を少なくする。 次に、溶融ポリマーはホースを通して通常の「コートハンガ」ダイにポンプで送られる。 通常のメルトコーティングプロセスにおいて、基材ウェッブは、ダイと基材の間にエアギャップがないように、ダイに対して上向きにロールで押し付けられる。 このロールは通常、十分な背圧をダイに与えてコーティング層を均一にするゴム裏打ちロールである。
    【0012】
    オフラインメルトコーティング法は、例えば、セルロースフィルム上にゴム/レジン、またはアクリル接着剤コーティングを備える市販の感圧接着テープの製造に用いられる。 ベースフィルムがロールから巻き戻され乾燥オーブンを通り、その際、後加工および巻取りの間の付着および取扱い上の問題を避けるために、溶剤コーティングによって、離型コーティングがフィルムの裏側に塗布される。 次に、フィルムは、離型コーティングを塗布するのに用いられた如何なる残留量の溶剤も分解する熱酸化装置を通過する。 次に、フィルムは、ダイを通してフィルムに塗布される溶融接着剤でコートされる。 コートされたフィルムは冷却ドラムの上を通りロール上に巻かれる。
    【0013】
    メルトコーティング法の使用は、コーティング作業の温度で適当に低い粘度をもつポリマーに限定される。 通常、メルトコーティングプロセスは、従来、ポリマー接着剤組成物を塗布するために用いられてきたのである。 すなわち、容器の蓋用フィルムとして適し、必要とされるヒートシール性および剥離性を付与することができるポリマーを塗布するためではなかった。 さらに、メルトコーティングは通常、後加工と巻取りとの間の付着および取扱いの問題を避けるために、「オフライン」でコートする必要がある材料に対してのみ用いられてきた。
    【0014】
    本発明の目的は上述の1つまたは複数の問題を克服することである。 特にヒートシール可能なポリマーフィルム、殊にヒートシール可能で剥離可能なポリマーフィルムを製造するための、環境に不適切であるかまたは毒性の溶剤の使用を避け、また後加工および巻取り中の付着または取扱いの問題を避けるか、あるいは低減する経済的プロセスを提供することが本発明の目的である。 本発明のさらなる目的は、厚さが約8ミクロンより薄い連続フィルムコーティング層をもつヒートシール可能なポリマーフィルム、殊にヒートシール可能で剥離可能なポリマーフィルムを製造するための方法を提供することである。 本発明が特に目的とすることは、コーティング層がコポリエステルであるヒートシール可能なポリマーフィルム、殊にヒートシール可能で剥離可能なポリマーフィルムを製造するための別の、あるいは改良された方法を提供することである。 特に、ヒートシール可能で剥離可能なフィルムは食品容器、殊にオーブン加熱できる食品容器上の蓋用フィルムとして用いるのに適するべきであり、また好ましくは光学特性に優れており、特に低ヘイズであるべきである。 フィルムのコーティング層は、容器の内容物の漏れを防ぐのに十分なだけ強いが、裂けることなくフィルムは剥離可能なままの状態となる、ヒートシール結合を形成するべきであり、また好ましくは、フィルム表面に渡って厚さが均一でなければならない。 上述の特性および利点をもつヒートシール可能なフィルムを提供することも本発明の目的である。
    【0015】
    本発明によれば、
    (a)ポリマー材料の基材層を溶融押出する工程;
    (b)基材層を第1の方向に延伸する工程;
    (c)任意選択で、第2の、直交する方向に基材層を延伸する工程;
    (d)任意選択で、延伸されたフィルムをヒートセットする工程;
    (e)基材の表面上に、直接、溶融ポリマー材料をメルトコートすることにより、ヒートシール可能なコーティング層を形成する工程;および(f)コートされた基材を冷却する工程を含み、コーティング工程(e)は工程(b)の前、または工程(b)と(c)との間であり;コーティング層の厚さは約8μmより薄く;またコーティング層の溶融ポリマー材料はコポリエステルを含む、ヒートシール可能なポリマーフィルムを製造するための方法が提供される。
    【0016】
    本発明の好ましい実施形態において、特にコーティングポリエステルがテレフタレート繰返し単位を含む場合、上記プロセスはコーティング工程の前に、コーティング層のポリマー材料に水を加える工程をさらに含む。 この水は、コーティング層のコポリエステルの重量に対して、好ましくは約3000ppmまで、より好ましくは約2500ppmまで、より好ましくは約2000ppmまで、また最も好ましくは約1600ppmまでの量で添加される。 この水は、コーティング層のコポリエステルの重量に対して、好ましくは少なくとも500ppm、より好ましくは少なくとも600ppm、より好ましくは少なくとも1000ppm、また最も好ましくは少なくとも1300ppmの量で添加される。 制御された量の大気中の水分の吸収をポリマーに許容することにより、あるいはポリマーチップに既知量の水を加えることにより、水を添加することができる。 いずれの場合でも、乾燥ポリマーから出発して、次にポリマーを望ましい水含量の状態にするのが実際的である。 好ましい方法は、既知の湿度および温度の空気を、ポリマーの入った容器に、予め決められた時間だけ通すことである。 ポリマーによって取り込まれた水分の測定は、標準の分析法により容易に算定することができる。
    【0017】
    従来の方法では、通常、ポリエステルまたはコポリエステルを、加工およびフィルム製造の前に乾燥させることが求められる(ポリマーは吸収された大気中の水分によって引き起こされる加水分解を受けやすいためである)。 コーティングの前にポリマーを乾燥させることに失敗すると、溶融ポリエステル中に泡が生じ、溶融強度が低下する可能性があることが報告されており、このことは大きな機械的強度を必要とする物品(例えば、繊維、フィルムあるいはボトル)の製造において主に生じる不都合である。
    【0018】
    本発明者等は、コーティング組成物中の水が不十分であると、コポリエステルのメルトコート性が悪くなり、かつ/または剥離可能とするためにはヒートシール結合が強すぎるということを見出した。 コポリエステルが水を多く含みすぎてポリマー鎖が過剰な分解を引き起こすと、その場合コーティング層のヒートシール性が不十分になり、そしてまた最終のフィルムは望ましくない「ブルーム」(フィルム内または表面上の白い残留部分)を示すことがある。 したがって、その好ましい実施形態において、本発明は、比較的高い粘度と加水分解に対する不安定性のために他の方法では不可能であろう、広範な市販コポリエステルのコーティング、具体的にはメルトコーティングの方法を提供する。
    【0019】
    含水量の調節によって、その後のコポリエステルの加水分解を、反応の既知の統計的性質により理論的に求めることができる地点にまで制御することができる。 コポリエステルの含水量に対する上限は、コポリエステルがその臨界分子量を超える平均分子量を保持するようなものであるべきである、というのが発明者等の確信である。 なお、臨界分子量とは、それより低いと粘度がポリマー鎖の長さ(または分子量)に直接比例し、またそれより高いと粘度が分子量の3.4乗に比例する分子量として定義される。 (D.Tabor、「Gases, liquids and solids and other states of matter」、p340、3 rd Ed.、1991(Cambridge Unversity Press);およびJ.M.G.Cowie、「Polymers: Chemistry and Physics of Modern Materials」、p251、2 nd ED.、1991(Blackie and Son Ltd)を参照)。 この方法では、ポリマーコーティングは最終フィルムに望ましいヒートシール性を付与するであろう。 しかし、この理論に拘束されることは本発明者等の意図ではない。
    【0020】
    本発明の方法の利点には次のことが含まれる:実現できるより薄いヒートシール可能なコーティング層;インラインプロセスを利用する製造による効率と経済性の向上;ポリマーフィルムのコーティングに残留溶剤が無いこと;得られるコートフィルムの、優れた剥離性(すなわち裂けにくさ)を保持しながらの、優れたヒートシール結合強度;光学的に透明な、低ヘイズフィルムの提供;ならびにコートフィルムの巻取り性と後加工性。
    【0021】
    本明細書では、用語「メルトコーティング」は、以下により特徴づけられるコーティング方法を表す:
    (i)コーティング液は、コーティングダイの幅に渡って液体流量が一様となるように、コーティングダイを通して基材上に押し出される;
    (ii)前記コーティングダイは、分配チャンバ、フィードスロット、ならびに上流と下流のダイリップを備え、前記フィードスロットは前記下流および上流ダイリップを分離し、またダイリップおよび基材によって境界となる領域がコーティングギャップを定める;
    (iii)下流ダイリップの下のコーティングギャップはコーティング液で満たされる;また(iv)上流ダイリップの下のコーティングギャップは、コーティング液により満たされないか、部分的に満たされるかあるいは完全に満たされるが、好ましくは、コーティング液により部分的または完全に満たされる。
    【0022】
    メルトコーティング法におけるコーティングギャップは、押出コーティングのような他のコーティング方法におけるギャップと比べると小さい。 メルトコーティングにおけるコーティングギャップは、好ましくは、ウェットでのコーティング層の厚さの2から10倍の間である。 コーティングギャップは、コーティング液の粘度、コーティングのラインスピード、およびコーティングダイの大きさと形状などの要因に応じて、ウェットでのコーティング層の厚さの2倍より小さいか、あるいは10倍より大きい場合もある。 メルトコーティング法およびそれに有用な装置は、Franz DurstとHans−Gunte Wagner(前掲;この中ではメルトコーティングは「スロットコーティング」と呼ばれている)によって、より詳細に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
    【0023】
    メルトコーティングにおいて、基材に塗布される地点での溶融コーティング液の粘度は高すぎてはならず、そうでなければそのポリマーは適切に流れないであろうし、コーティングに困難を生じ、コートの厚さが一様でなくなる。 好ましくは、加工温度でのコーティング層ポリマーの粘度は、約50Pa. s以下、好ましくは約30Pa. s以下、より好ましくは約20Pa. s以下であり、また通常は、少なくとも0.005Pa. s、好ましくは少なくとも0.1Pa. s、より好ましくは少なくとも1Pa. s、より好ましくは少なくとも2Pa. s、より好ましくは少なくとも5Pa. sであり、また特に少なくとも10Pa. sである。 ポリマーがこのような溶融粘度を示すであろう通常の作業温度は、200から260℃、特に220から250℃、またさらに特定すると230から250℃の範囲である。
    【0024】
    本発明のメルトコーティングプロセスにおいて、コーティング液はコーティングダイからそれをコートしようとする基材に直接塗布される。
    【0025】
    本明細書において、用語「ヒートシール可能で剥離可能なフィルム」は、加熱して表面にシールを形成することが可能なフィルムであって、フィルムを破壊することなくこのシールを剥離することができるものを表す。
    【0026】
    1種または複数のジカルボン酸もしくはそれらの低級アルキル(炭素原子14個まで)ジエステルと1種または複数のグリコール、特に脂肪族もしくは脂環式グリコール、好ましくは脂肪族グリコール、より好ましくはアルキレングリコールとを縮合することにより、コーティング層に好ましいコポリエステルを得ることができる。
    【0027】
    適切なジカルボン酸には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、または2,5−、2,6−、もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ならびにコハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸もしくはピメリン酸などの脂肪族ジカルボン酸が含まれる。 コポリエステルは少なくとも2種のジカルボン酸から誘導されることが好ましい。 好ましくは、コポリエステルは1種の芳香族ジカルボン酸と1種の脂肪族ジカルボン酸とを含む。 好ましい芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸である。 好ましい脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸、アジピン酸およびアゼライン酸から選択される。 特に好ましい脂肪族二酸(diacid)はセバシン酸である。 コポリエステル中に存在する芳香族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準として、好ましくは40から70、より好ましくは45から60、特に50から55モル%の範囲にある。 コポリエステル中に存在する脂肪族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルの全ジカルボン酸成分に対して、好ましくは30から60、より好ましくは40から55、特に45から50モル%の範囲にある。
    【0028】
    コーティング層のコポリエステルのグリコール成分は、好ましくは2から8個、より好ましくは2から4個の炭素原子を含む。 適切なグリコールには、エチエングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールが含まれる。 脂肪族グリコール、特にエチレングリコールあるいは1,4−ブタンジオールが好ましい。 特に好ましい実施形態において、脂肪族グリコールは1,4−ブタンジオールである。
    【0029】
    コーティング層のコポリエステルの特に好ましい例は、(i)アゼライン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはエチレングリコールとのコポリエステルであって、好ましくはアゼライン酸/テレフタル酸/脂肪族グリコールの比が40〜50/60〜50/100であるもの;(ii)アジピン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはエチレングリコールとのコポリエステル;および(iii)セバシン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはブチレングリコールとのコポリエステルであって、セバシン酸/テレフタル酸/脂肪族グリコールの比が好ましくは45〜55/55〜45/100であるもの;である。 特に好ましいのはセバシン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはブチレングリコールとのコポリエステルである。
    【0030】
    コポリエステルの形成は、通常275℃までの温度で、縮合、あるいはエステル交換による既知の方法で都合よく実施される。
    【0031】
    コーティング層のポリマーは、優れた剥離性を付与し、裂けるおそれをできるだけ少なくするために、好ましくは10℃より低く、より好ましくは0℃より低く、特に−50℃から0℃、特に−50℃から−10℃の範囲にあるガラス転移点をもつ。
    【0032】
    コーティング層のポリマーは、適切なヒートシール結合を得るために、好ましくは90℃から250℃、より好ましくは110℃から175℃、特に110℃から155℃の範囲の融点をもつ。
    【0033】
    一実施形態において、コポリエステルは、T gが−15℃、T mが150℃の、アゼライン酸/テレフタル酸/エチレングリコール(45/55/100)のコポリエステルである。 特に好ましいコポリエステルは、ガラス転移点(T g )が−40℃、融点(T m )が117℃の、セバシン酸/テレフタル酸/ブチレングリコール(50/50/100)のコポリエステルである。
    【0034】
    本明細書に記載のコーティング層の好ましいコポリエステルは、通常、非非晶質層となるであろう。 このような層の結晶化度は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%であろう。
    【0035】
    基材は、支持ベースなしに独自に存在しうるフィルムもしくはシートを意味する、自立フィルムまたはシートである。 適当な何らかのフィルム形成材料により基材を形成することができる。 熱可塑性ポリマー材料が好ましい。 このような材料には、エチレン、プロピレンおよびブテン−1などの1−オレフィンのホモポリマーもしくはコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、PVC、PVA、ポリアクリレート、セルロースおよび特に合成線状ポリエステルが含まれる。
    【0036】
    1種または複数のジカルボン酸もしくはそれらの低級アルキル(炭素原子6個まで)ジエステル、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸または1,2−ビス−p−カルボキシフェノキシエタンと(任意選択で、ピバル酸などのモノカルボン酸と共に)、1種または複数のグリコール、特に脂肪族もしくは脂環式グリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールとの縮合により、基材として有用な合成線状ポリエステルを得ることができる。 脂肪族グリコールが好ましい。
    【0037】
    好ましい実施形態において、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選択される。 ポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。
    【0038】
    基材にはまた、ポリアリールエーテルもしくはそのチオ類似体、特にポリアリールエーテルケトン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリアリールエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルエーテルスルホン、もしくはこれらのコポリマーまたはチオ類似体が含まれる。 これらのポリマーの例はEP−A−001879、EP−A−0184458およびUS−4008203に開示されている。 このようなポリマーのブレンドもまた用いることができる。
    【0039】
    基材として用いるのに適する熱硬化性樹脂ポリマー材料には、アクリル、ビニル、ビスマレイミドおよび不飽和ポリエステルなどの付加重合樹脂;ホルムアルデヒド縮合樹脂、例えば尿素、メラミンもしくはフェノールとの縮合物、シアナート樹脂、官能化(functionalized)ポリエステル、ポリアミドもしくはポリイミドが含まれる。
    【0040】
    基材は前記フィルム形成材料からなる1つまたは複数の別個の層を含んでいてもよい。 個々の層のポリマー材料は同じであっても異なっていてもよい。 例えば、基材は、1、2、3、4または5あるいはより多くの層を含んでいてもよく、典型的な多層構造は、AB、ABA、ABC、ABAB、ABABAもしくはABCBA型であってよい。
    【0041】
    一実施形態においては、基材は2つの別個の層、層Aおよび層Bを含み、層Bはその上にコーティング組成物が塗布される層であり、また層Aはコーティング組成物から最も離れた層である。 この実施形態では、層Bは、それ自体ヒートシールが可能であるポリマーを含むことができる。 別の言い方をすると、層Bのポリマーは層Aの融点より低い温度で軟化する。 一実施形態において、層Bのポリマーは、層Aのポリマー材料の融点より、約5から50℃の間低く、好ましくは約5から30℃の間低く、また好ましくは少なくとも約10℃低い温度で軟化し始めることが望ましい。 層Aは適切には、ポリエステル、好ましくはポリエチレンテレフタレートを含む。 層Bは適切には、ポリエステル、特にコポリエステル、特に本明細書で参照される、1種または複数のジカルボン酸もしくはそれらの低級アルキルジエステルと1種または複数のグリコールとから誘導されるコポリエステルを含む。
    【0042】
    好ましい実施形態において、2層基材の層Bは、脂肪族グリコールと少なくとも2種のジカルボン酸、特に芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸およびイソフタル酸とから誘導されるコポリエステルを含む。 好ましいコポリエステルはエチレングリコール、テレフタル酸およびイソフタル酸から誘導される。 テレフタル酸成分とイソフタル酸成分の好ましいモル比は50:50から90:10の範囲、好ましくは65:35から85:15の範囲にある。 好ましい実施形態において、このコポリエステルは、エチレングリコールと約82モル%のテレフタレートおよび約18モル%のイソフタレートからなるコポリエステルである。
    【0043】
    別の好ましい実施形態において、2層基材の層Bは、脂肪族ジオールおよび脂環式ジオールと1種または複数の、好ましくは1種のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸とから誘導されるコポリエステルを含む。 例えば、テレフタル酸と脂肪族ジオールおよび脂環式ジオール、特にエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールとのコポリエステルが含まれる。 脂環式ジオールと脂肪族ジオールの好ましいモル比は、10:90から60:40の範囲、好ましくは20:80から40:60、またより好ましくは30:70から35:65の範囲にある。 好ましい実施形態において、このコポリエステルはテレフタル酸と約33モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび約67モル%のエチレングリコールとのコポリエステルである。 このようなポリマーの例は、PETG(商標)6763(Eastman)であり、これはテレフタル酸と、約33%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび約67%のエチレングリコールとのコポリエステルを含み、また常に非晶質である。 本発明の別の実施形態では、層Bのポリマーはエチレングリコールの代わりにブタンジオールを含む。
    【0044】
    層Bの厚さは通常、層Aの厚さの約1と30%の間である。 層Bの厚さは、約50μmまで、好ましくは約25μmまで、より好ましくは約15μmまで、より好ましくは約10μmまで、より好ましくは約0.5と6μmの間、またより好ましくは約0.5と4μmの間であってよい。
    【0045】
    基材が2層AB構造である実施形態は、優れた剥離性を保持したままで、より強いヒートシール結合が必要とされる場合に特に有利である。 このような2層基材を含むコートフィルムのヒートシール強度は通常、本明細書で参照される範囲の比較的上の部分にある。 すなわち、このような2層基材は通常、約1200g/25mm 2のヒートシール強度を付与する。 対応する厚さのコーティング層組成物を有する単層基材に対する典型的な値は約800g/25mm 2である。
    【0046】
    したがって、単層基材を備えるコートフィルムとの比較で、2層基材を備えるコートフィルムは、所定強度のヒートシール結合に対して必要とされるコーティング層組成物の量の減少を可能にする。 コーティング層のポリマー材料は一般に、本明細書に記載される、2層基材の層Bに用いられるポリマー材料よりも高価である。 そのため、コートされた単層基材を備えるコートフィルムに比べると、2層基材を備えるコートフィルムは、より経済的に製造されるというさらなる利点がある。
    【0047】
    未コートのヒートシール可能なフィルム、例えば上述の未コート2層AB基材のみを含むヒートシール可能なフィルムと比較すると、本発明のコートフィルムは、強く、また裂けることなく容易に剥離可能となるヒートシール結合を提供するという利点を有する。
    【0048】
    当技術分野においてよく知られた通常の技術によって、基材の成形を実施することができる。 便宜的には、基材の成形は、下記の手順に従って、押出しにより実施される。 一般的に、このプロセスは、溶融ポリマーの層を押出すこと、押出物を冷却すること、ならびに冷却された押出物を少なくとも1つの方向に配向させることからなる工程を含む。
    【0049】
    基材は1軸配向でもよいが、好ましくは、機械的および物理的性質の満足な組合せを実現するために、フィルム面内で互いに直交する2つの方向に延伸することにより2軸配向としてもよい。 配向フィルムを製造するための、当技術分野において知られた何らかのプロセス、例えばインフレーションあるいはフラットフィルムプロセスにより配向化を実施することができる。
    【0050】
    好ましいフラットフィルムプロセスにおいて、基材形成ポリエステルはスロットダイを通して押し出され、冷却キャスティングドラム上で急速に冷却されて、ポリエステルは確実に非晶質状態へと冷却される。 次に、ポリエステルのガラス転移温度より高い温度で、冷却された押出物を少なくとも1つの方向に延伸することにより、配向が行なわれる。 冷却されたフラット押出物を、フィルム延伸機によりまず1つの方向に、通常は縦方向に、すなわち前方向に、そして次に横方向に延伸することにより、逐次配向を実施することができる。 押出物の前方向への延伸は、1組の回転ロール上で、あるいは2組のニップロールの間で都合よく実施され、次に横延伸がステンタ装置で実施される。 別法として、キャストフィルムを2軸ステンタで前方および横方向の双方に同時に延伸してもよい。 延伸はポリエステルの性質により決められる範囲で実施され、例えばポリエチレンテレフタレートは通常、配向フィルムの寸法が、その延伸方向あるいは各延伸方向でその元の寸法の2から5、より好ましくは2.5から4.5倍となるように延伸される。 通常、延伸は70から125℃の範囲の温度で実施される。 1方向だけに配向が必要とされる場合、より大きな延伸比(例えば約8倍まで)を用いてもよい。 縦(machine)および横方向に等しく延伸することは、バランスのとれた性質が望ましい場合には好ましいが、必ずしも必要ではない。
    【0051】
    延伸フィルムは、ポリエステルの結晶化を引き起こすように、ポリエステルのガラス転移温度より高いがその融点よりは低い温度で、寸法を拘束してヒートセットすることにより、寸法を安定化することができ、そのように安定化させることが好ましい。 フィルムの収縮に対して注意を払う必要がない用途では、フィルムは比較的低温でヒートセットされるか、あるいは全くヒートセットされない。 他方、フィルムがヒートセットされる温度が高くなると、フィルムの引裂耐性が変化する可能性がある。 したがって、実際のヒートセット温度と時間とはフィルムの組成に応じて変化するであろうが、フィルムの引裂耐性を実質的に下落させるように選択されるべきではない。 これらの拘束条件の範囲内で、GB−A−838708に記載されるように、約135℃から250℃のヒートセット温度が一般に望ましい。
    【0052】
    基材が1層より多くの層を含む場合、基材の製造は、個々のフィルム形成層をマルチオリフィスダイの独立したオリフィスを通し、その後でまだ溶融状態にある層を接合する同時共押出によるか、あるいは、好ましくは、個々のポリマーの溶融流を、まずダイマニホールドに導く経路内で合体させ、その後相互に混ざり合うことのない層流条件のもとで、ダイオリフィスから合わせて押し出すことにより多層ポリマーフィルムを製造する単一経路共押出によるか、のいずれかの共押出によって都合よく実施される。 本明細書ですでに記載されたようにこの多層ポリマーフィルムを配向、ヒートセットさせてもよい。 通常のラミネート法により、例えば、予め成形された第1の層および予め成形された第2の層を合わせてラミネートすることにより、あるいは、例えば、予め成形された第2の層の上に第1の層をキャスティングすることにより、多層基材の形成を実施することもできる。
    【0053】
    基材の厚さは、約5と350μmの間、好ましくは9から約150μm、また特に約12から約40μmが適切である。
    【0054】
    コーティング層のドライでの厚さは、望ましくは約0.1μmから約8μm、好ましくは約0.5μmから約8.0μm、より好ましくは約0.5μmから約5μmであり、また約1.0μmから約2.5μmが望ましい。 通常コーティング層は、約1.5から約2.0μmの範囲にある。 すでに記載したように、より厚いコーティング層は通常、より強いヒートシール結合を生じる。
    【0055】
    コーティング組成物は2軸延伸工程の2つの段階(縦および横)の間で、フィルム基材に塗布されることが好ましい。 このように延伸とコーティングを続けて行なうことは、好ましくは、一連の回転ロール上で縦方向にまず延伸され、コーティング組成物でコートされ、次にステンタオーブン中で横方向に延伸され、好ましくは次にヒートセットされる、線状ポリエステルコートフィルム基材の製造に対して特に好ましい。
    【0056】
    ポリマー基材上にコーティング組成物を付ける前に、望ましければ、その露出表面に、その表面と続けて塗布されるコーティング組成物との間の結合を強くするために、化学的もしくは物理的表面変性処理を行なってもよい。 基材の露出表面をコロナ放電に伴う高圧電気ストレスに曝すことは、ポリオレフィン基材の処理に特に適しており、それが簡単で有効であるために好ましい処理である。 。 別法として、当技術分野において、基材ポリマーに対して溶解もしくは膨潤作用があるとして知られている作用剤で、基材を前処理してもよい。 ポリエステル基材の処理に特に適している、このような作用剤の例には、一般的な有機溶剤に溶解させたハロゲン化フェノール、例えばp−クロロ−m−クレゾール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,5−もしくは2,4,6−トリクロロフェノールあるいは4−クロロレゾルシノールのアセトンもしくはメタノール溶液が含まれる。
    【0057】
    高周波数、高電圧発生器を用い、好ましくは、1から100kvの電位で1から20kwの電出力をもつ通常の装置により、大気圧の空気中で、コロナ放電による好ましい処理を実施することができる。 放電は通常、フィルムを、好ましくは1.0から500m/分の線速度で、放電部位の絶縁体支持ロール上に通すことにより実施される。 放電電極は、可動のフィルム表面から、0.1mmから10.0mmの位置にある。
    【0058】
    ポリマーフィルムの1つまたは複数の層、すなわち基材および/またはコーティング層は、ポリマーフィルムの製造において通常用いられる何らかの添加剤を都合よく含んでいてもよい。 こうして、架橋剤、染料、顔料、ボイド剤(voiding agent)、潤滑剤、抗酸化剤、ラジカルスカベンジャ、UV吸収剤、熱安定剤、ブロッキング防止剤、表面活性化剤、スリップ助剤、蛍光増白剤、光沢向上剤、分離促進剤(prodegradent)、粘度調節剤および分散安定剤などの作用剤を、基材および/またはコーティング層に適当に組み入れることができる。 特に、基材および/またはコーティング層は、例えば微粒子無機フィラーもしくは非相溶性樹脂フィラーあるいはこのようなフィラーの2種以上の混合物でありうる微粒子フィラーを含んでいてもよい。
    【0059】
    「非相溶樹脂」とは、フィルムの押出しおよび作製中に受ける最高温度で、溶融しないか、あるいは実質的にポリマーと混和しないかのいずれかの樹脂を意味する。 非相溶性樹脂の存在により通常、ボイドのある層が生じ、これはその層が少なくともある割合の不連続な独立気泡を含む多孔質構造を含むということを意味している。 適切な非相溶性樹脂には、ポリアミドおよびオレフィンポリマー、特にその分子に6個までの炭素原子を含むモノ−α−オレフィンのホモポリマー、あるいはコポリマーが含まれる。 好ましい材料には、低もしくは高密度オレフィンホモポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレンもしくはポリ−4−メチルペンテン−1、オレフィンコポリマー、特にエチレンプロピレンコポリマー、もしくはこれらの2種以上の混合物が含まれる。 ランダム、ブロックもしくはグラフトコポリマーを用いてもよい。
    【0060】
    微粒子無機フィラーには、通常の無機フィラー、特に、アルミナ、シリカ(特に沈降もしくは珪藻シリカおよびシリカゲル)およびチタニアなどの金属もしくは半金属酸化物、焼成カオリンならびにカルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩などのアルカリ金属塩が含まれる。 微粒子無機フィラーはボイドタイプあるいは非ボイドタイプであってよい。 適切な微粒子無機フィラーは同質で、二酸化チタンもしくは硫酸バリウム単独のような、本質的に単一のフィラー材料もしくは化合物でありうる。 別法として、主なフィラー材料が付加的変性成分を伴い、少なくともある割合のフィラーは異質の部分からなっていてもよい。 例えば、フィラーがポリマー層と相溶する割合を向上させるかあるいは変えるために、主なフィラー粒子が、顔料、ソープ、界面活性剤、カップリング剤あるいは他の変性剤などの表面変性剤で処理されていてもよい。
    【0061】
    好ましい微粒子無機フィラーには二酸化チタンとシリカが含まれる。
    【0062】
    二酸化チタン粒子はアナターゼもしくはルチル結晶型のものでありうる。 二酸化チタン粒子は、好ましくは、主な部分としてルチルを、より好ましくは少なくとも60重量%、特に少なくとも80重量%、特に約100重量%のルチルを含む。 塩化物プロセスもしくは硫酸塩プロセスなどの標準的な手順により、この粒子を調製することができる。 二酸化チタン粒子は、好ましくは、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウムなどの無機酸化物あるいはこれらの混合物でコートされていてもよい。 好ましくはこのコーティングには、適切には8から30、好ましくは12から24個の炭素原子を含む、脂肪酸および好ましくはアルカノールなどの(複数の)有機成分がさらに含まれる。 ポリジメチルシロキサンもしくはポリメチルハイドロジェンシロキサンなどのポリジオルガノシロキサンもしくはポリオルガノハイドロジェンシロキサンは適切な有機化合物である。 当技術分野において知られているように、このコーティングは水性懸濁液において二酸化チタン粒子に適切に塗布される。 二酸化チタン粒子上のコーティング層は、好ましくは、二酸化チタンの重量を基準として、1から12%の無機酸化物、ならびに0.5から3%の有機化合物を含む。
    【0063】
    無機フィラーは細かく分割されるべきであり、体積分布における中央値のその粒径(体積%を粒子の直径に関連づける累積分布曲線で読取られる、全粒子の体積の50%に対応する等価球の直径−「D(v,0.5)」値と呼ばれることが多い)は、好ましくは0.01から5μm、より好ましくは0.05から1.5μm、また特に0.15から1.2μmの範囲にある。 好ましくは、無機フィラー粒子の体積に対して、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%は、体積分布における中央値粒径±0.8μm、また特に±0.5μmの範囲内にある。 電子顕微鏡、コールターカウンタ、沈降分析および静的および動的光散乱により、フィラー粒子の粒径を測定することができる。 レーザー光回折に基づく方法が好ましい。 選ばれた粒径よりも小さい粒子の体積パーセントを表す累積分布曲線をプロットし、50%の箇所を調べることにより、中央値の粒径を求めることができる。
    【0064】
    ヒートシール可能なコーティング層に用いる場合、フィラー粒子は、コーティング層のポリマーの重量に関連するコーティング層の、約0重量%から約200重量%を占めることができる。
    【0065】
    有利には、コーティング層はまた、フィルムの最終特性を向上させるために、ベヘニン酸アミド(behenamide)もしくはオレイン酸アミドなどのブロッキング防止剤を含む。 ブロッキング防止剤は通常、メルトコータのホッパ内に導入される前に、コーティング組成物のポリマーとブレンドされ、典型的にはポリマーの重量に対して約5%までの量で存在する。
    【0066】
    ある特定のコーティング組成物では、さらなるブロッキング防止剤の塗布が取扱い易さを向上させる。 したがって、有利には、カルナバワックス(通常約14%の濃度で)の溶液のようなブロッキング防止剤が、第2の延伸工程の前に、コートされたフィルム基材上にオーバーコートされる。
    【0067】
    通常の方法で、層の組成物の成分を合わせて混合することができる。 例えば、それらから層のポリマーが誘導されるモノマー反応物と混合することにより、あるいは成分を、タンブルもしくはドライブレンドにより、または押出機での配合に続く冷却と、通常顆粒もしくはチップへの粉砕により、ポリマーと混合してもよい。 また、マスタバッチング技術を適用してもよい。
    【0068】
    一実施形態において、本発明の基材層は光学的に透明で、好ましくは、散乱される可視光(ヘイズ)%が、ASTM規格D1003に従って測定して、<10%、好ましくは<6%、より好ましくは<3.5%、また特に<2%である。 この実施形態では、フィラーは通常少量だけ、基材の重量に対して一般に0.5%を超えず、好ましくは0.2%未満で存在する。
    【0069】
    別の実施形態において、基材層は不透明で高充填であり、好ましくは0.1から2.0、より好ましくは0.2から1.5、より好ましくは0.25から1.25、より好ましくは0.35から0.75、また特に0.45から0.65の範囲の透過光学密度(Transmission Optical Density、TOD)(Sakura Densitometer;PDA65型;透過モード)を示す。 基材層は、ポリエステルブレンドに有効量の不透明化剤を混入することにより、都合よく不透明になる。 適切な不透明化剤には、本明細書においてすでに記載されたように、非相溶性樹脂フィラー、微粒子無機フィラーあるいは2種以上のこのようなフィラーの混合物が含まれる。 不透明基材層に存在するフィラーの量は、好ましくは、基材層ポリマーの重量に対して1重量%から30重量%、より好ましくは3重量%から20重量%、特に4重量%から15重量%、特に5重量%から10重量%の範囲である。 不透明基材層の表面は、本明細書に記載されるように測定して、好ましくは60から120、より好ましくは80から110、特に90から105、特に95から100単位の範囲の白色度を示す。
    【0070】
    ポリマーフィルム基材上でのコーティング組成物の濡れおよびレベリング性を向上させるために、コーティング組成物の表面エネルギーはフィルム基材のそれより小さいことが望ましい。 コーティング組成物に1種または複数の表面活性剤を添加することにより、表面張力を適切に低下させることができる。
    【0071】
    本発明の第1の態様によるコーティング組成物でコートされる基材の表面は、本明細書では、第1面と呼ばれる。 基材の、このコーティング組成物でコートされない側は、本明細書では、第2面と呼ばれる。 基材の第2面には、その上に1層または複層の、さらなるポリマー層あるいはコーティング物質があってもよい。 第2面の如何なるコーティングも、好ましくは「インライン」で実施される。
    【0072】
    一実施形態において、2次側へのさらなるコーティングは、フィルムの取扱い易さと巻取り性を向上させるために、特にフィルム基材がポリエステル基材である場合、「スリップコーティング」を含むことできる。 適切なスリップコーティングは、EP−A−0408197(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、例えば、任意選択で架橋剤をさらに含むアクリルおよび/またはメタクリルポリマー樹脂の不連続層であってよい。 別のスリップコーティングは、例えば米国特許第5925428号および5882798号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるようなケイ酸カリウムコーティングを含んでいてもよい。
    【0073】
    第2の態様において、本発明は、その表面にヒートシール可能なコポリエステル含有コーティング層を有するポリマー材料からなる基材層を含み、そのコーティング層の厚さは約8ミクロンより薄い、ヒートシール可能なポリマーフィルムをさらに提供する。
    【0074】
    本発明によるポリマーフィルムは、熱成形されたトレイ、熱成形されたボール(bowl)あるいはブロー成形されたボトルなどの容器上の蓋をシールするかあるいは蓋を提供するのに有用である。 ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルから、もしくはポリプロピレン、ポリスチレンから容器を成形することができ、あるいは容器はPVDCでコートされていてもよく、あるいはガラスであってもよい。 本発明によるフィルムは、APET/CPETの容器、特に食品あるいは飲料パッケージに適する熱成形トレイの蓋として用いるのに特に適する。 他の適切なタイプの容器には、ホイルトレイ(特にアルミニウムホイルトレイ)、蒸着トレイおよびPETコートされたボール紙(cartonboard)あるいは板紙(paperboard)から成形されたトレイが含まれる。 特に有用なのは、蒸着(特にフラッシュ蒸着)PET付きボール紙から成形されたトレイである。 例えば、約0.01から4.0の範囲の光学密度まで蒸着され、そしてボール紙にラミネートされたPETから、このトレイを製造することができる。 一実施形態において、トレイは、GB−A−2280342、EP−A−0563442あるいはGB−A−2250408に開示されるような材料から製造されるサセプタートレイであるか、あるいは参照により本明細書に組み込まれる、これらの文書の開示に従って製造されたサセプタートレイである。
    【0075】
    本明細書に記載されるプロセスにより得られるコートフィルムは、通常、標準的なAPET/CPETのトレイにシールされたとき、本明細書に記載されるように測定して、250から1800g/25mm 2の範囲のヒートシール強度を示す。 ヒートシール強度は、標準的なAPET/CPETのトレイにシールされたとき、少なくとも400、好ましくは少なくとも600、好ましくは少なくとも700、またより好ましくは少なくとも800g/25mm 2であることが好ましい。 剥離性のヒートシール結合となるためには、好ましくは、コートフィルムのAPET/CPETのトレイへのヒートシール強度は、800〜1500/25mm 2 、好ましくは800〜1200g/25mm 2の範囲にある。
    【0076】
    容器のシールは当分野の技術者によく知られた方法により実施される。 パッケージ化される内容物が容器に一旦導入されると、ヒートシール可能なフィルムの蓋が、フィルムのヒートシール層が容器と接触するようにして、容器の上に置かれ、通常の技術および装置を用い、温度および/または圧力を用いて貼り付けられる。
    【0077】
    第3の態様において、本発明は、食品あるいは飲料を含む入れ物(receptacle)、および本明細書に規定される本発明の第2の態様によるポリマーフィルムから形作られる蓋を備える、シールされた容器をさらに提供する。
    【0078】
    ポリマーフィルムの特性を評価するために、次の試験法を用いることができる。
    【0079】
    (i)広ヘイズが、ASTM D 1003−61に従って、Hazegard System XL−211を用いて測定される。
    【0080】
    (ii)白色度指数が、ASTM D313に記載される原理に基づいて、Colorgard System 2000、Model/45(Pacific Scientific)を用いて測定される。
    【0081】
    (iii)ヒートシール強度が以下の手順で測定される。 コートフィルムを、標準的なAPET/CPETのトレイに、180℃の温度および80psi(0.55MPa)の圧力で1秒間、Microseal PA 201(Packaging Automation Ltd、英国)トレイシール機を用いて、コーティング層でシールした。 シールされたフィルムおよびトレイのストリップを、シールに対して90°で切り出し、シールを引き剥がすのに必要な負荷を、0.2m/分のクロスヘッド速度で運転されるInstron Model 4301を用いて測定した。 この手順を繰り返し、5回の結果の平均値を計算した。
    【0082】
    (iv)溶融粘度を、通常の方法による平行板粘度測定法により測定できる。 試料を、Rheometricsレオメータの、直径40mmの2枚の平行板の間に入れ、測定温度(ポリマーをメルトコートする際に用いられる加工温度のそれに等しい温度(通常200から260℃))に加熱した。 試料を加圧することにより全てのボイドを取り除き、間隙を1および2mmの間にした。 端部から全ての過剰な材料を除去した。 溶融粘度を、ずり速度に依存しないプラトー領域で測定した(通常10 -4から10 3 rads/秒の範囲である)。
    【0083】
    (v)結晶化度は結晶状態で存在するポリマーの質量または体積分率であり、その残りは非晶質状態で存在している(「Polymer Physics」、Ulf W.Gedde;Chapman and Hall;1995;p157)。 (したがって、20%の結晶化度は、20%の質量または体積が結晶構造体として存在するポリマーを表す。)簡便に、ポリマー層の結晶化度は密度測定から導かれる。 まず、所定のポリマー材料で、2つの既知の(異なる)結晶化度の値を有する2種の試料に対して2つの密度測定値が求められる。 都合よくは、1つの密度の値は、結晶化が0%(非晶質の密度)の試料に対して測定され、これは通常の方法を用いて、溶融ポリマーの密度を測定することにより容易に得られる。 第2の密度の値は、その結晶化度が、示差走査熱量測定法(DSC)と通常組み合わせて、粉末X線回折法により測定されたポリマー試料で測定されたものである。 密度と結晶化度の間の線形関係により、これらのデータを、密度測定に基づき、別のポリマー試料の結晶化度の計算に用いることができる。 ポリマー層の厚さは通常の方法(例えば、偏光解析または反射法)によって測定される。 次に、ポリマー層の質量が測定される(例えば、フィルムの特定領域のコーティングを洗い落とし、前後の重量差を計算することにより測定する)。 こうして、ポリマー層の密度の値を計算することができる。 その後、既知の結晶化度ですでに測定された密度の値を用いて、その層の結晶化度の値を計算することができる。
    【0084】
    本発明は、図1を参照することにより例示され、図1においてポリマー基材(1)はコーティングダイ(3)からのコーティング液(2)でメルトコートされており、前記ダイは分配チャンバ(4)、フィードスロット(5)、下流リップ(6)および上流リップ(7)を備えている。 基材(1)およびダイリップ(6、7)はコーティングギャップ(8)を定め、その中にコーティングビーズ(bead)(9)が形成されている。 フィルムは矢印で示される方向に移動する。 比較のために図2に押出コーティングの配置構成を示すが、エレメントの番号は図1におけるエレメントの番号に対応している。
    【0085】
    本発明は次の実施例によりさらに例示される。 実施例は例示にすぎず、すでに記載された本発明を限定しようとするものではないということが理解されるであろう。 本発明の範囲から逸脱することなく、詳細の変更をなしうる。
    【0086】
    【実施例】
    (実施例1)
    本発明のコートフィルムの作製において、メルトコーティングダイを前方向延伸ロールと横方向延伸がその中で行なわれるステンタオーブンとの間に置いた。 この実施例では、コーティング組成物は、ガラス転移点(T g )が−40℃、融点(T m )が117℃、また初期溶融粘度が240℃で約70Pa. sの、セバシン酸/テレフタル酸/ブチレングリコール(50/50/100)のコポリエステルを含んでいた。 本明細書に記載されるように、このコポリエステルをブロッキング防止剤(ベヘニン酸アミド)および約1300ppmの水とブレンドした。 水の添加により、コポリエステルの溶融粘度は、240℃で約10Pa. sへと急速に低下した。
    【0087】
    ポリエチレンテレフタレートを含むポリマー組成物を溶融押出しして、冷却回転ドラム上にキャストし、押出方向に、その元の寸法の約3倍に延伸した。 次に、冷却された延伸フィルムの片側に、ウェットで8μmのコーティング厚さとなるように、コポリエステル組成物でメルトコートした。 コートフィルムを100℃の温度のステンタオーブンへ通し、フィルムを乾燥させ、横方向にその元の寸法の約3倍に延伸した。 この2軸延伸コートフィルムを、約230℃の温度で通常の方法によりヒートセットした。 最終フィルムの全厚は25μmであり、コーティング層のドライでの厚さは約1.5〜2ミクロンであった。 フィルムは透明フィルムであった。 前記の手順を用いて、フィルムのヘイズを測定したところ、6%であった。 APET/CPETのトレイへのこのフィルムのヒートシール強度を前記の手順で測定し、850g/25mm 2であった。
    【0088】
    (実施例2)
    コートフィルムを、T gが−15℃でT mが150℃の、アゼライン酸/テレフタル酸/エチレングリコール(45/55/100)からなるコポリマーを用いて、実施例1の方法によって調製した。 ブロッキングをできるだけ少なくするために、ステンタオーブンに入る前に、14%のカルナバワックス溶液でメルトコートフィルムをオーバーコートした。 最終フィルムの全厚は25μmであり、コーティング層のドライでの厚さは1.5〜2ミクロンであった。 このコポリエステルはフィルム作製後に結晶化する。 ヘイズの平均値は約22%であった。 APET/CPETのトレイに対するフィルムのヒートシール強度を先に記載した手順で測定したところ、850gms/25mm 2であった。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】 メルトコートされているポリマー基材を示す図である。
    【図2】 比較のための、押出コーティングの配置構成を示す図である。

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