導電性ロールおよびその製造方法

申请号 JP2013199866 申请日 2013-09-26 公开(公告)号 JP6099535B2 公开(公告)日 2017-03-22
申请人 住友理工株式会社; 发明人 笹木原 直明; 鵜飼 浩; 竹山 可大;
摘要
权利要求

少なくとも表面が金属である軸体と、該軸体の外周面に形成された接着剤層と、該接着剤層の外周面に形成された導電性のゴム弾性層とを少なくとも有する導電性ロールの製造方法であって、 上記軸体の外周面にフェノール樹脂系接着剤を塗布し、加熱して焼付けることにより、下層塗膜を形成する下層塗膜形成工程と、 形成された上記下層塗膜の外周面に上記フェノール樹脂系接着剤をさらに塗布することにより、上層塗膜を形成する上層塗膜形成工程と、 形成された上記上層塗膜の外周面に上記ゴム弾性層を形成するための未加硫のゴム弾性層形成用材料を積層し、該ゴム弾性層形成用材料を熱加硫することにより上記ゴム弾性層を形成するとともに、上記熱加硫時に、上記ゴム弾性層と上記下層塗膜とを上記上層塗膜にて加硫接着するゴム弾性層形成工程とを少なくとも有することを特徴とする導電性ロールの製造方法。請求項1に記載の導電性ロールの製造方法により得られる導電性ロール。

说明书全文

本発明は、導電性ロールおよびその製造方法に関する。

従来、様々な分野において導電性ロールが用いられている。例えば、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置の分野では、軸体と、軸体の外周面に形成された接着剤層と、接着剤層の外周面に形成されたゴム弾性層とを備えた導電性ロールが用いられている。上記導電性ロールは、さらに、ゴム弾性層の外周面に表層を備える場合や、ゴム弾性層の表面が表面処理される場合もある。

なお、先行する特許文献1には、導電性の軸体の外周面にエポキシ系接着剤を塗布し、乾燥および焼付けを施して接着剤層を形成した後、この接着剤層が形成された軸体の外周に、架橋反応によりベースゴム層を形成する導電性ロールの製造方法が開示されている。

特開2004−270839号公報

しかしながら、従来技術は、以下の点で問題がある。すなわち、金属製の軸体、接着剤およびゴム弾性層は、通常、最適な接着温度がいずれも異なっている。そのため、軸体に接着剤を介してゴム弾性層を形成する際に、温度管理が非常に厳しく、温度条件がずれると接着剤の剥がれが発生し、得られる導電性ロールに表面うねりの外観不良が発生する。また、導電性ロールの使用時に接着剤の剥がれが発生すると、画像不具合等が発生し、その機能を十分に発揮することができなくなる。

本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、軸体とゴム弾性層との間の接着性が向上された導電性ロールを提供しようとして得られたものである。

本発明の一態様は、少なくとも表面が金属である軸体と、該軸体の外周面に形成された接着剤層と、該接着剤層の外周面に形成された導電性のゴム弾性層とを少なくとも有する導電性ロールの製造方法であって、 上記軸体の外周面にフェノール樹脂系接着剤を塗布し、加熱して焼付けることにより、下層塗膜を形成する下層塗膜形成工程と、 形成された上記下層塗膜の外周面に上記フェノール樹脂系接着剤をさらに塗布することにより、上層塗膜を形成する上層塗膜形成工程と、 形成された上記上層塗膜の外周面に上記ゴム弾性層を形成するための未加硫のゴム弾性層形成用材料を積層し、該ゴム弾性層形成用材料を熱加硫することにより上記ゴム弾性層を形成するとともに、上記熱加硫時に、上記ゴム弾性層と上記下層塗膜とを上記上層塗膜にて加硫接着するゴム弾性層形成工程とを少なくとも有することを特徴とする導電性ロールの製造方法にある。

本発明の他の態様は、上記導電性ロールの製造方法により得られる導電性ロールにある。

上記導電性ロールの製造方法は、上記下層塗膜形成工程を有している。これにより、軸体の外周面に塗布されたフェノール樹脂系接着剤が加熱、硬化し、軸体上に強固に接着された下層塗膜が形成される。上記導電性ロールの製造方法は、上記上層塗膜形成工程を有している。これにより、軸体上に強固に接着された下層塗膜上に未硬化の上層塗膜が形成される。上記導電性ロールの製造方法は、上記ゴム弾性層形成工程を有している。これにより、ゴム弾性層形成用材料の熱加硫時の熱によって未硬化の上層塗膜が硬化し、形成されたゴム弾性層と下層塗膜とが上層塗膜にて加硫接着される。また、上記導電性ロールの製造方法は、上層塗膜と下層塗膜とを用いて接着剤層を構成するので、軸体と接着剤層、接着剤層とゴム弾性層とを、それぞれの接着に最適な接着温度にて接着することができる。以上により、上記導電性ロールの製造方法によれば、軸体とゴム弾性層との間の接着性が向上された導電性ロールが得られる。

また、上記導電性ロールの製造方法は、上記の通り、最適な接着温度を設定することができるので、比較的膜厚の薄い接着剤層であっても高い接着を確保することができる。また、上記導電性ロールの製造方法は、接着剤層の膜厚を比較的薄く形成できるため、接着剤使用量を削減できる利点もある。

上記のように軸体とゴム弾性層との間の接着性が向上された導電性ロールを得ることができるメカニズムは、下記によるものと推定される。

すなわち、上記下層塗膜形成工程において、軸体表面にあるヒドロキシル基と、フェノール樹脂系接着剤に含まれるフェノール基等によるヒドロキシル基とが素結合により結合するとともに、水素結合で消費されていないフェノール樹脂系接着剤中のヒドロキシル基が縮合反応することにより、軸体上にフェノール樹脂より構成される下層塗膜が形成される。そして、この硬化した下層塗膜上に未硬化の上層塗膜が塗布され、その外周面に積層されたゴム弾性層形成用材料が熱加硫されると、ゴム弾性層の形成と熱加硫時の熱による上層塗膜の硬化が生じる。この際、下層塗膜と上層塗膜との間は、同じフェノール樹脂系接着剤同士の接着になるので相互拡散によって互いになじんで密着したり、各塗膜中のヒドロキシル基の間で水素結合を生じたりするため、十分な接着力で接着される。一方、上層塗膜とゴム弾性層との間は、上層塗膜を構成するフェノール樹脂系接着剤とゴム弾性層中のゴム成分とが化学結合(架橋)したり、相互拡散により密着したりすることによって強固に加硫接着される。以上により、上記導電性ロールの製造方法により得られる導電性ロールは、接着性評価においてゴム弾性層を軸体から強制的に剥がした場合に、軸体と接着剤層との間、接着剤層とゴム弾性層との間で剥離が生じず、ゴム弾性層から破壊が生じるほどに接着力を向上させることができるものと考えられる。

実施例1の導電性ロールの製造方法により製造される導電性ロールの概略構成を模式的に示した斜視図である。

図1におけるII−II断面図である。

実施例1の導電性ロールの製造方法の各工程を模式的に示した説明図である。

上記導電性ロールの製造方法について説明する。上記導電性ロールの製造方法は、少なくとも表面が金属である軸体と、軸体の外周面に形成された接着剤層と、接着剤層の外周面に形成された導電性のゴム弾性層とを少なくとも有する導電性ロールを製造するための方法である。

上記導電性ロールは、具体的には、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機、POD(Print On Demand)装置等、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる帯電ロールや現像ロールなどとすることができる。

上記導電性ロールの製造方法において、下層塗膜形成工程は、軸体の外周面にフェノール樹脂系接着剤を塗布し、加熱して焼付けることにより、下層塗膜を形成する工程である。

上記軸体としては、少なくとも表面が金属(合金含む)であり、所定の直径にて軸方向に長く形成されたものを用いることができる。軸体としては、具体的には、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属(合金含む)からなる中実体(芯金)や中空体、プラスチックからなる中実体や中空体に金属めっきが形成されたものなど例示することができる。なお、軸体の直径は、4〜10mm程度とすることができる。

上記フェノール樹脂系接着剤は、熱により硬化してフェノール樹脂を構成することが可能な樹脂接着剤である。上記フェノール樹脂系接着剤としては、ノボラック型および/またはレゾール型のフェノール樹脂系接着剤を用いることができる。なお、ノボラック型のフェノール樹脂系接着剤は、熱により硬化してノボラック型フェノール樹脂が構成される。レゾール型のフェノール樹脂系接着剤は、熱により硬化してレゾール型フェノール樹脂が構成される。ノボラック型およびレゾール型のフェノール樹脂系接着剤は、熱により硬化してノボラック型とレゾール型の両方の構造を含むフェノール樹脂が構成される。

上記フェノール樹脂系接着剤がノボラック型および/またはレゾール型のフェノール樹脂系接着剤である場合は、ノボラック型構造とレゾール型構造の比率を調整することにより、軸体表面への接着性、ゴム弾性層への接着性を調整しやすくなり、軸体とゴム弾性層との間の接着性に優れた導電性ロールを得やすくなる。なお、レゾール型構造の比率が相対的に大きい場合は、軸体表面への接着性を向上させやすくなる。一方、レゾール型構造の比率が相対的に小さい場合は、ゴム弾性層への接着性を向上させやすくなる。上記フェノール樹脂系接着剤は、上記調整をより確実なものにする観点から、ノボラック型およびレゾール型のフェノール樹脂系接着剤を特に好適に用いることができる。

上記フェノール樹脂系接着剤は、具体的には、ノボラック型および/またはレゾール型のフェノール樹脂を構成するためのモノマーやオリゴマー成分と、メチルエチルケトン等の有機溶剤とを含む液状組成物を用いることができる。上記液状組成物には、他にもヘキサメチレンテトラアミン等の硬化剤を含むことができる。なお、上記フェノール樹脂系接着剤は、導電剤を含むことなどによって導電性を有していてもよいし、導電性を有していなくてもよい。

上記塗布は、スプレー法、浸漬法、刷毛塗り法等によって行うことができる。また、上記塗布は、軸体の両端部から軸中央部に向かって一定距離の範囲にフェノール樹脂系接着剤が付かないように行われる。軸体の両端部を突出させた状態で、軸体の外周面に沿ってロール状にゴム弾性層を形成するためである。なお、軸体に塗布したフェノール樹脂系接着剤は、加熱する前に、自然乾燥あるいは熱風等の乾燥手段等によって乾燥させることができる。

上記焼付けにおいて、軸体への下層塗膜の焼付け性向上、熱劣化などの観点から、加熱温度は、例えば、140℃〜220℃程度、好ましくは、150℃〜220℃程度、加熱時間は、例えば、1分〜30分程度、好ましくは、5分〜15分程度とすることができる。また、形成する下層塗膜の膜厚は、接着力確保、接着剤使用量の削減、製造コスト、導電性などの観点から、0.1μm〜10μm程度、好ましくは、1μm〜5μm程度とすることができる。

上記導電性ロールの製造方法において、上層塗膜形成工程は、形成された下層塗膜の外周面にフェノール樹脂系接着剤をさらに塗布することにより、上層塗膜を形成する工程である。

本工程でさらに塗布するフェノール樹脂系接着剤は、上記下層塗膜形成工程にて用いたフェノール樹脂系接着剤と同じものを用いることが好ましい。この場合は、下層塗膜と上層塗膜との接着性に優れるので、軸体とゴム弾性層との間の接着性向上に有利である。また、導電性ロール製造時に使用するフェノール樹脂系接着剤の種類を削減することができるので、生産性に優れるなどの利点もある。

形成する上層塗膜の膜厚は、接着力確保、接着剤使用量の削減、製造コスト、導電性などの観点から、0.1μm〜10μm程度、好ましくは、1μm〜7μm程度とすることができる。なお、上記塗布は、下層塗膜と同様の方法によることができる。

上記導電性ロールの製造方法において、ゴム弾性層形成工程は、形成された上層塗膜の外周面にゴム弾性層を形成するための未加硫のゴム弾性層形成用材料を積層し、ゴム弾性層形成用材料を熱加硫することによりゴム弾性層を形成するとともに、熱加硫時に、ゴム弾性層と下層塗膜とを上層塗膜にて加硫接着する工程である。本工程にて、軸体とゴム弾性層との間に接着剤層が構成される。

上記ゴム弾性層形成用材料は、製造する導電性ロールの用途に応じて適宜調製することが可能である。もっとも、上記ゴム弾性層形成用材料は、ゴム弾性層にゴム弾性を付与するためにゴム(ゴムにはエラストマー含む、以下省略)を含有することができる。上記ゴムとしては、具体的には、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ヒドリンゴム(ECO、CO、GECO)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記ゴムとしては、フェノール樹脂系接着剤と化学結合させやすい、SP値がフェノールと比較的近い、イオン導電性などの観点から、ヒドリンゴム(ECO、CO、GECO)を、フェノール樹脂系接着剤と化学結合させやすい、SP値がフェノールと比較的近いなどの観点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を好適に用いることができる。

なお、形成されるゴム弾性層に導電性を付与するため、ゴム弾性層形成用材料には、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系導電材料、チタン酸バリウム、c−TiO2、c−ZnO、c−SnO2(c−は導電性を意味する。)等の導電性の金属酸化物などといった電子導電剤や、第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、イオン液体などといったイオン導電剤等の導電剤を添加することができる。その他、ゴム弾性層形成用材料には、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、軟化剤、滑剤、フィラー、触媒、酸化防止剤などの各種添加剤を含むことができる。

上記ゴム弾性層は、具体的には、上層塗膜の外周面にロール状に形成することができる。ゴム弾性層の形成方法としては、具体的には、ロール状の中空空間を備えるロール成形金型における中空空間に、下層塗膜および上層塗膜を有する軸体を同軸にセットしてゴム弾性層形成用材料を注入し、加熱して熱加硫した後、冷却、脱型する方法などを例示することができる。また、他にも、ゴム弾性層の形成方法としては、下層塗膜および上層塗膜を有する軸体の表面に、ゴム弾性層形成用材料をロール状に押し出し成形し、加熱して熱加硫する方法などを例示することができる。なお、下層塗膜は、焼付けによって軸体に強固に接着しており、下層塗膜と上層塗膜とは接着剤同士であるのでなじみがよい。そのため、上記導電性ロールの製造方法は、ゴム弾性層形成用材料の接触によって下層塗膜および上層塗膜が流れ難く、軸体とゴム弾性層との間の強固な接着力を確保しやすい利点もある。

上記ゴム弾性層の厚みは、製造する導電性ロールの用途に応じて適宜調製することが可能である。ゴム弾性層の厚みは、ロールの柔軟性、コストなどの観点から、例えば、0.5〜10mm程度、具体的には1〜5mm程度、より具体的には2〜4mm程度とすることができる。

上記熱加硫において、上層塗膜によるゴム弾性層と下層塗膜との加硫接着性の向上、ゴム弾性層の架橋度向上などの観点から、熱加硫温度は、例えば、120℃〜200℃程度、好ましくは、140℃〜180℃程度、熱加硫時間は、例えば、5分〜60分程度、好ましくは、10分〜45分程度とすることができる。

なお、上記導電性ロールの製造方法により得られる導電性ロールは、通常、下層塗膜と上層塗膜の接着界面がわからない状態となって製造される。

上記導電性ロールの製造方法は、上記工程以外にも、例えば、必要に応じて、形成されたゴム弾性層の表面に表層を形成したり、形成されたゴム弾性層の表面に表面処理を施す工程などを有することができる。また例えば、形成されたゴム弾性層の表面にさらに別のゴム弾性層を形成する工程を有することもできる。

なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。

以下、実施例の導電性ロールの製造方法、導電性ロールについて、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。

(実施例1) 本例の導電性ロールの製造方法は、図1、図2に示すように、少なくとも表面が金属である軸体2と、軸体2の外周面に形成された接着剤層3と、接着剤層3の外周面に形成された導電性のゴム弾性層4とを少なくとも有する導電性ロール1を製造する方法である。なお、図1では、接着剤層3は省略されている。本例では、導電性ロール1は、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる帯電ロールである。

本例の導電性ロールの製造方法は、図3(a)に示すように、軸体2の外周面にフェノール樹脂系接着剤を塗布し、加熱して焼付けることにより、下層塗膜31を形成する下層塗膜形成工程を有している。また、図3(b)に示すように、形成された下層塗膜31の外周面にフェノール樹脂系接着剤をさらに塗布することにより、上層塗膜32を形成する上層塗膜形成工程を有している。また、図3(c)に示すように、形成された上層塗膜32の外周面にゴム弾性層4を形成するための未加硫のゴム弾性層形成用材料を積層し、ゴム弾性層形成用材料を熱加硫することによりゴム弾性層4を形成するとともに、熱加硫時に、ゴム弾性層4と下層塗膜31とを上層塗膜32にて加硫接着するゴム弾性層形成工程を有している。

本例の導電性ロールの製造方法は、上記下層塗膜形成工程により、軸体2の外周面に塗布されたフェノール樹脂系接着剤が加熱、硬化し、軸体2上に強固に接着された下層塗膜31が形成される。本例の導電性ロールの製造方法は、上記上層塗膜形成工程により、軸体2上に強固に接着された下層塗膜31上に未硬化の上層塗膜32が形成される。本例の導電性ロールの製造方法は、上記ゴム弾性層形成工程により、ゴム弾性層形成用材料の熱加硫時の熱によって未硬化の上層塗膜32が硬化し、形成されたゴム弾性層4と下層塗膜31とが上層塗膜32にて加硫接着される。また、本例の導電性ロールの製造方法は、上層塗膜32と下層塗膜31とを用いて接着剤層3を構成するので、軸体2と接着剤層3、接着剤層3とゴム弾性層4とを、それぞれの接着に最適な接着温度にて接着することができる。以上により、本例の導電性ロールの製造方法によれば、軸体2とゴム弾性層4との間の接着性が向上された導電性ロール1が得られる。

また、本例の導電性ロールの製造方法は、フェノール樹脂系接着剤として、ノボラック型および/またはレゾール型のフェノール樹脂系接着剤を用いている。そのため、本例の導電性ロールの製造方法は、ノボラック型構造とレゾール型構造の比率を調整することにより、軸体2表面への接着性、ゴム弾性層4への接着性を最適な範囲に調整しやすくなり、軸体2とゴム弾性層4との間の接着性に優れた導電性ロール1を得やすい利点がある。

以下、実験例を用いて詳細に説明する。 (ゴム弾性層形成用材料の調製) ヒドリンゴム(「HydrinT3106」、日本ゼオン社製)100質量部と、ステアリン酸(滑材)1質量部と、硫黄(加硫剤)1質量部と、ハイドロタルサイト類化合物(受酸剤)(協和化学工業社製、「DHT−4A」)5質量部と、亜鉛華(加硫助剤)5質量部と、老化防止剤(「ノクラックNS−6」、大内新興化学社製)0.3質量部と、加硫促進剤(「ノクセラーDM」、大内新興化学社製)1.0質量部とを配合し、ロールを用いて混練することにより、ゴム弾性層形成用材料(1)を調製した。

アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)(「DN219」、日本ゼオン社製)100質量部と、ステアリン酸(滑材)1質量部と、硫黄(加硫剤)1質量部と、亜鉛華(加硫助剤)5質量部と、老化防止剤(「ノクラックNS−6」、大内新興化学社製)0.3質量部と、加硫促進剤(「ノクセラーDM」、大内新興化学社製)1.0質量部と、加硫促進剤(「ノクセラーTRA」、大内新興化学社製)0.5質量部とを配合し、ロールを用いて混練することにより、ゴム弾性層形成用材料(2)を調製した。

(導電性ロール試料の作製) 直径8mmの芯金の外周面に、フェノール樹脂系接着剤(東洋化学研究所社製、「メタロックUB」)をスプレー塗布し、常温乾燥後、表1および表2に示す各加熱温度、加熱時間にて焼付けることにより、表1および表2に示す膜厚を有する各下層塗膜を形成した。なお、上記接着剤に代えて、ロード・ファー・イースト社製、「ケムロック205」等を用いることもできる。

次いで、形成された各下層塗膜の外周面に、上記と同じフェノール樹脂系接着剤をさらに塗布することにより、表1および表2に示す膜厚を有する各上層塗膜を形成した。

次いで、ロール状の中空空間を備えるロール成形金型を準備し、中空空間と同軸となるように所定の下層塗膜および上層塗膜を有する芯金をセットした。この芯金をセットした中空空間に、表1および表2に示すようにゴム弾性層形成用材料(1)またはゴム弾性層形成用材料(2)のいずれかを射出注入し、180℃にて30分間熱加硫した。そして当該熱加硫により各ゴム弾性層(厚み2mm)を形成するとともに、上記熱加硫時に、各ゴム弾性層と各下層塗膜とを各上層塗膜にて加硫接着した。その後、冷却、脱型した。これにより、軸体としての芯金と、芯金の外周面に形成された接着剤層と、接着剤層の外周面に形成された導電性のゴム弾性層とを有する試料1〜16の導電性ロールを得た。なお、下層塗膜と上層塗膜とによって形成された接着剤層は、各塗膜の境界の跡が確認できない状態であった。

なお、比較のため、上層塗膜の形成を行わなかった以外は、試料1〜16の導電性ロールの作製と同様にして、試料17〜23の導電性ロールを得た。

また、上記焼付けを行うことなく(上層塗膜は未硬化のまま)下層塗膜を形成した点以外は、試料1〜16の導電性ロールの作製と同様にして、試料24の導電性ロールを得た。

(接着性評価) 各導電性ロール試料について、ゴム弾性層を芯金から強制的に剥がす接着性評価を行った。ゴム弾性層を剥がしたときに、ゴム弾性層から破壊が生じた場合を、芯金とゴム弾性層との間の接着性に優れ、接着性が向上されているとして「A」とした。一方、ゴム弾性層を剥がしたときに、ゴム弾性層から破壊が生じず、芯金と接着剤層との間、あるいは接着剤層とゴム弾性層との間にて破壊した場合を、芯金とゴム弾性層との間の接着性が悪く、接着性が向上されていないとして「C」とした。

表1および表2に、導電性ロール試料の詳細な製造条件、接着性評価の結果をまとめて示す。

上記表1および表2によれば、以下のことがわかる。すなわち、試料17〜試料23の導電性ロールは、芯金に塗布したフェノール樹脂系接着剤を焼付けした後、さらにフェノール樹脂系接着剤を塗布することなく、ゴム弾性層を形成することによって作製されている。そのため、芯金とゴム弾性層との間の接着性が悪い。

また、試料24の導電性ロールは、芯金に塗布したフェノール樹脂系接着剤を焼付けすることなく、さらにフェノール樹脂系接着剤を塗布し、ゴム弾性層を形成することによって作製されている。そのため、芯金と接着剤との間の接着性が悪い。

これらに対し、試料1〜試料16の導電性ロールは、本発明で規定される下層塗膜形成工程、上層塗膜形成工程、ゴム弾性層形成工程を経て作製されている。そのため、接着性評価においてゴム弾性層を芯金から強制的に剥がした場合に、芯金と接着剤層との間、接着剤層とゴム弾性層との間で剥離が生じず、ゴム弾性層から破壊が生じるほどに高い接着力を有する各導電性ロールが得られた。このことから、本発明に規定される導電性ロールの製造方法によれば、軸体とゴム弾性層との間の接着性が向上された導電性ロールが得られることが確認された。

以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。

1 導電性ロール 2 軸体 3 接着剤層 31 下層塗膜 32 上層塗膜 4 ゴム弾性層

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