セルロースアシレートフィルム、偏光板、及び液晶表示装置

申请号 JP2015027801 申请日 2015-02-16 公开(公告)号 JP2016151614A 公开(公告)日 2016-08-22
申请人 富士フイルム株式会社; 发明人 名倉 正人;
摘要 【課題】ヘイズが低く、かつ耐傷付き性に優れたセルロースアシレートフィルムを提供すること。また、上記セルロースアシレートフィルムを含む偏光板及び 液晶 表示装置を提供すること。 【解決手段】コア層とスキン層を有する多層のセルロースアシレートフィルムであって、スキン層にのみ一次粒径が0.1〜6μmの粒子を含有し、全ヘイズ値が3%以下であるセルロースアシレートフィルム、上記セルロースアシレートフィルムを有する偏光板、及び液晶表示装置。 【選択図】なし
权利要求

コア層とスキン層を有する多層のセルロースアシレートフィルムであって、 前記スキン層にのみ一次粒径が0.1〜6μmの粒子を含有し、 全ヘイズ値が3%以下であるセルロースアシレートフィルム。前記粒子を前記スキン層の全質量に対し0.03〜1.5質量%含む請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。内部ヘイズ値が0.3%以下である請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。前記粒子が、球状である請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。前記粒子がシリカ粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。前記セルロースアシレートフィルムの全体の厚みが15〜80μmであり、かつ前記スキン層の厚みが0.5〜5μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。偏光子と、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1枚含む偏光板。液晶セルと請求項7に記載の偏光板を含む液晶表示装置。前記偏光板の前記セルロースアシレートフィルムが、液晶セル側の面と反対側の面に配置される請求項8に記載の液晶表示装置。前記偏光板の前記セルロースアシレートフィルムが、視認側から最も遠い面に配置された請求項8又は9に記載の液晶表示装置。

说明书全文

本発明は、セルロースアシレートフィルム、偏光板、及び液晶表示装置に関する。

セルロースアセテートフィルムに代表されるセルロースアシレートフィルムは透明性が高く、従来、光学フィルムとして液晶表示装置に種々の用途で利用されている。例えば、偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの密着性を容易に確保できることから液晶表示装置における偏光板保護フィルムとして使用されている。

セルロースアシレートフィルムは、製造過程において、長尺状のフィルムを巻回してロール形態することが多いが、フィルムの貼りつきを防ぐために、マット剤が添加される。マット剤としては、通常は、一次粒径が20nm程度の微粒子が用いられる。また、スキン層(表層ともいう)及びコア層(基層ともいう)を含む多層構成のセルロースアシレートフィルムであって、スキン層にマット剤を含有するものも知られている(特許文献1参照)。

特開2001−81101号公報

近年、液晶表示装置、特に中小型用途の液晶表示装置は薄型化が急激に進んでおり、液晶表示装置における各種部材間の距離が近接化している。特に、バックライト側の偏光板とバックライト部材(拡散板、輝度向上膜など)とが接触して擦れ、偏光板表面に傷付きが発生し、表示性能に影響することが問題となっている。

本発明が解決しようとする課題は、ヘイズが低く、かつ耐傷付き性に優れたセルロースアシレートフィルムを提供することにある。また、本発明の別の課題は、上記セルロースアシレートフィルムを含む偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。

本発明者は鋭意検討し、従来のマット剤として使用されている微粒子よりも一次粒径が大きい粒子をスキン層にのみ添加することで、上記課題を解決できることを見出した。 すなわち、上記課題は以下の手段により解決される。

[1] コア層とスキン層を有する多層のセルロースアシレートフィルムであって、 上記スキン層にのみ一次粒径が0.1〜6μmの粒子を含有し、 全ヘイズ値が3%以下であるセルロースアシレートフィルム。 [2] 上記粒子を上記スキン層の全質量に対し0.03〜1.5質量%含む[1]に記載のセルロースアシレートフィルム。 [3] 内部ヘイズ値が0.3%以下である[1]又は[2]に記載のセルロースアシレートフィルム。 [4] 上記粒子が、球状である[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。 [5] 上記粒子がシリカ粒子である[1]〜[4]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。 [6] 上記セルロースアシレートフィルムの全体の厚みが15〜80μmであり、かつ上記スキン層の厚みが0.5〜5μmである[1]〜[5]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。 [7] 偏光子と、[1]〜[6]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1枚含む偏光板。 [8] 液晶セルと[7]に記載の偏光板を含む液晶表示装置。 [9] 上記偏光板の上記セルロースアシレートフィルムが、液晶セル側の面と反対側の面に配置される[8]に記載の液晶表示装置。 [10] 上記偏光板の上記セルロースアシレートフィルムが、視認側から最も遠い面に配置された[8]又は[9]に記載の液晶表示装置。

本発明によれば、ヘイズが低く、かつ耐傷付き性に優れたセルロースアシレートフィルムを提供することができる。また、本発明によれば、上記セルロースアシレートフィルムを含む偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。

以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。

[セルロースアシレートフィルム] 本発明のセルロースアシレートフィルムは、コア層とスキン層を有する多層のセルロースアシレートフィルムであって、スキン層にのみ一次粒径が0.1〜6μmの粒子を含有し、全ヘイズ値が3%以下であるセルロースアシレートフィルムである。

<セルロースアシレート> 本発明のセルロースアシレートフィルムは、少なくともコア層とスキン層とを含む。コア層及びスキン層は、それぞれセルロースアシレートを含有する。 コア層及びスキン層は、それぞれ一種又は二種以上のセルロースアシレートを主成分として含むことが好ましく、セルロースアシレートの含有量が各層の全質量に対して75質量%以上99質量%以下であることが好ましく、80質量%以上98質量%以下であることがより好ましい。

セルロースアシレートとしては、セルロースアシレート化合物、及び、セルロースを原料として生物的或いは化学的に官能基を導入して得られるアシル置換セルロース骨格を有する化合物が挙げられる。ここで、「主成分」とは、原料として単一のポリマーを含む場合には、そのポリマーのことを意味し、原料として二種以上のポリマーを含む場合には、最も質量分率の高いポリマーのことを意味する。

セルロースアシレートは、セルロースと酸とのエステルである。上記酸としては、有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、炭素原子数が2〜22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が2〜4の低級脂肪酸であることが最も好ましい。

セルロースアシレートの原料セルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。

本発明に用いられるセルロースアシレートはセルロースの酸基の水素原子が、アシル基によって置換されたものである。アシル基の炭素原子数は、2〜22であるのが好ましい。アシル基は、脂肪族アシル基であっても芳香族アシル基であってもよく、単一でも2種類以上のアシル基によって置換されていてもよい。具体的には、上記セルロースアシレートの例には、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、及び芳香族アルキルカルボニルエステルが含まれる。アルキル部位、アルケニル部位、芳香族部位、及び芳香族アルキル部位のそれぞれは、さらに置換基を有していてもよい。好ましいアシル基の例には、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、i−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、及びシンナモイル基などが含まれる。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、及びシンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、及びブタノイルがより好ましく、アセチルが最も好ましい。

セルロースアシレートのアシル置換度については特に限定されないが、アシル置換度が2.00〜2.95のセルロースアシレートを使用すると、製膜性、及び製造されるフィルムの種々の特性の観点で好ましい。なお、アシル置換度は、酢酸等の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTM D−817−91に準じて実施することができる。

アセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類のアシル基を有するセルロースアシレートの態様では、その全置換度が2.50〜2.95であることが好ましく、より好ましいアシル置換度は2.60〜2.95であり、さらに好ましくは2.65〜2.95である。 アセチル基のみを有するセルロールアシレート、即ちセルロースアセテートの態様では、その全置換度が2.00〜2.95であることが好ましい。さらには置換度が2.40〜2.95であることがより好ましく、2.80〜2.95であることが更に好ましい。

本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度がこの上限値以下であれば、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなりすぎることがなく流延によるフィルム作製が容易にできるので好ましい。重合度がこの下限値以上であれば、作製したフィルムの強度が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法{宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁(1962年)}により測定できる。この方法は特開平9−95538号公報にも詳細に記載されている。

また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜4.0であることがさらに好ましく、2.3〜3.4であることがよりさらに好ましい。

コア層に用いられるセルロースアシレートとスキン層に用いられるセルロースアシレートとは同じであっても異なっていてもよい。

<一次粒径が0.1〜6μmの粒子> 本発明のセルロースアシレートフィルムは、スキン層にのみ一次粒径が0.1〜6μmの粒子を含有する。これにより、以下に説明するようにバックライト部材と擦れた際の傷付きを防止できると考えられる。本発明のセルロースアシレートフィルムのコア層には一次粒径が0.1〜6μmの粒子を実質的に含有しない。コア層に一次粒径が0.1〜6μmの粒子を実質的に含有しないとは、コア層中の一次粒径が0.1〜6μmの粒子の含有量が0.01質量%であることを意味する。 セルロースアシレートフィルムをバックライト側の偏光板保護フィルムとして使用した場合に、バックライト部材と擦れて傷が付かないようにするには、セルロースアシレートフィルムとバックライト部材の接触面積を小さくして、滑り性を向上させることが好ましいと考えられる。そのために、適切なサイズを有する粒子を添加用いることがよいと考えられ、一次粒径は0.1〜6μmが好ましい。一次粒径が0.1μmよりも小さいとバックライト部材が擦れるとき、バックライト部材との接触面積が増え、傷つき性が改善できない。さらに、粒子が外による破壊や変形に耐えることができれば、バックライト部材との擦れに対して耐性を有することができ、好ましい。そのためには、フィルム中に一次粒子として分散していることが好ましく、一次粒径は0.3〜6μmがより好ましく、0.5〜6μmであることが更に好ましい。一次粒径が0.3μm以上であれば、フィルム中に一次粒子として分散させることが容易である。一次粒子径が0.1μmよりも小さい粒子の凝集体で、見かけ上の粒子サイズを大きくした場合は、外力が加わってバックライト部材と擦れた際、粒子が解砕されてしまい、傷つき性が維持できず、悪化してしまう。すなわち、本発明における一次粒径が0.1〜6μmの粒子は二次粒子を形成しにくいため好ましい。 二次粒子を含まないことが好ましいという観点から、スキン層には、一次粒径が30〜100nmの小粒子を含まないか、含むとしても含有量が0.01質量%以下であることが好ましい。 二次粒子を形成していないことの確認方法を以下に記載する。 ミクロトームを用いてフィルム試料片を作製する。切削した試料片を走査型電子顕微鏡で5000倍〜500000倍の倍率で、フィルムの断面を観察する。領域が重複しないように10視野観測を行い、全視野において、3個以上の一次粒子で形成される凝集体が観測されない状態を、二次粒子を形成しないと定義する。 また、粒子の一次粒径の測定は、透過型電子顕微鏡を用い倍率5000倍〜500000倍で粒子を観察する。ランダムに粒子100個を観察し、その長径の平均値を一次粒径値とした。

粒子の形状は特に限定されないが、球状であることが好ましい。一次粒径を測定するために観察した透過型電子顕微鏡の二次元粒子画像における、粒子の重心からの距離が最も遠い点との距離RMaxと、最も短い点との距離RMinを導出し、下記の式で定義する真球率を算出した。 真球率(%)=100−(RMax−RMin)/2RMax×100 完全な真球であれば、真球率は100%となる。 本発明に用いる粒子は、真球率が80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。 上記粒子は有機粒子又は無機粒子であることが好ましく、無機粒子であることがより好ましく、シリカ粒子であることが更に好ましい。

一次粒径が0.1〜6μmの粒子の添加量は、スキン層の全質量に対して0.03〜1.5質量%が好ましく、0.03〜1.0質量%がより好ましい。粒子がフィルム中で二次粒子を形成せず、一次粒子として分散している場合は、添加量を低減することができ、ヘイズ値低減にも効果があるため、さらに好ましい。この場合、添加量はスキン層の全質量に対して0.03〜0.9質量%が好ましく、0.03〜0.5質量%がより好ましい。

<紫外線吸収剤> 本発明のセルロースアシレートフィルムは、紫外線吸収剤(UV吸収剤ともいう)を含有していることが好ましい。

本発明に使用可能なUV吸収剤については特に制限はない。従来セルロースアシレートフィルムに使用されているUV吸収剤はいずれも用いることができる。上記紫外線吸収剤としては、特開2006−184874号公報に記載の化合物を挙げることができる。高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることが出来、特に特開平6−148430号公報に記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。

紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、上記紫外線吸収剤が、セルロースアシレートに対して1〜5質量%の割合で含まれていることがより好ましい。

<可塑剤> 本発明のセルロースアシレートフィルムは、可塑剤を含有してもよい。 可塑剤としては、特に限定されないが、リン酸エステル系可塑剤が好ましく、このリン酸エステル系可塑剤の例には、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリエチルホスフェートおよびトリブチルホスフェートが含まれる。また、カルボン酸エステル系可塑剤が利用される場合もある。カルボン酸エステル系可塑剤の例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、グリセロールトリアセテート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレートおよびトリアセチンが含まれる。またクエン酸エステルとしては、クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)、クエン酸トリブチル(OACTB)等が、その他のカルボン酸エステルの例としては、オレイン酸ブチル(BO)、リノール酸メチルアセチル(MAL)、セバチン酸ジブチル(DBS)、種々のトリメリット酸エステル等がある。その他の低分子可塑剤の例としては、o−またはp−トルエンエチルスルフォンアミドを挙げることができる。 また、高分子系可塑剤を添加することも出来る。高分子系可塑剤としては、ポリエステルポリウレタン系可塑剤、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル系ポリマー(エステル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、tert−ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、ステアリル基、オレイル基、ベンジル基、フェニル基など)、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、尿素−ホルムアルデヒド縮合物、酢酸ビニル、等が挙げられる。

可塑剤を含有する場合は、セルロースアシレートに対して5〜30重量%の範囲で使用することが好ましい。 可塑剤の含有量は、フィルム粘弾性の観点から、セルロースアシレート100質量%に対して、4質量%〜30質量%以下が好ましく、5質量%〜20質量%以下がより好ましい。

<偏光子耐久性改良剤> 本発明のセルロースアシレートフィルムは、高温高湿環境下での偏光子耐久性を改良するため、添加剤として偏光子耐久性改良剤を含んでいてもよい。 偏光子耐久性改良剤としては、公知の有機酸などを用いることができ、例えば、多価カルボン酸のモノグリセリドなどの有機酸モノグリセリド、特開2012−72348号公報に記載の化合物、バルビツール酸誘導体などを挙げることができる。 偏光子耐久性改良剤を含有する場合の含有量としては、セルロースアシレートに対して、6質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。

<酸化防止剤> 本発明のセルロースアシレートフィルムは、公知の酸化防止剤、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を含めることができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤を含めることが好ましい。 酸化防止剤を含む場合の含有量は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.05〜5.0質量部であることが好ましい。

<セルロースアシレートフィルムの製造方法> 本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いて製膜することができる。例えば、溶液流延製膜法及び溶融製膜法のいずれを利用して製膜してもよい。フィルムの面状を改善する観点から、本発明のセルロースアシレートフィルムは、溶液流延製膜法を利用して製造するのが好ましい。以下、溶液流延製膜法を用いる場合を例に説明するが、本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法は溶液流延製膜法に限定されるものではない。なお、溶融製膜法を用いる場合については、公知の方法を用いることができる。

−ポリマー溶液− 溶液流延製膜方法では、セルロースアシレート及び各種添加剤(スキン層用のポリマー溶液においては前述の粒子)を含有するポリマー溶液(セルロースアシレート溶液)を用いてウェブを形成する。以下において、溶液流延製膜方法に用いることができるポリマー溶液(セルロースアシレート溶液と称する場合もある)について説明する。

−溶媒− セルロースアシレートは溶媒に溶解させてドープを形成し、これを基材上に流延しフィルムを形成させる。この際に押し出しあるいは流延後に溶媒を蒸発させる必要性があるため、揮発性の溶媒を用いることが好ましい。 更に、反応性金属化合物や触媒等と反応せず、かつ流延用基材を溶解しないものである。又、2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。 また、セルロースアシレートと加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を各々別の溶媒に溶解し後に混合してもよい。 ここで、上記セルロースアシレートに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。

上記良溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチルおよび塩化メチレンが好ましい。

ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。 これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることでウェブ(支持体上にセルロースアシレートのドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースアシレートの溶解を促進したりする役割もあり、反応性金属化合物のゲル化、析出、粘度上昇を抑える役割もある。

炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。 これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からメタノール、エタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロースアシレートに対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。

セルロースアシレートは、水酸基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含む場合もあるため、全溶媒中に5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することが流延支持体からの剥離荷重低減の観点から好ましい。 また、本発明においては、水を少量含有させることも溶液粘度や乾燥時のウェットフィルム状態の膜強度を高めたり、ドラム法流延時のドープ強度を高めたりするのに有効であり、例えば溶液全体に対して0.1〜5質量%含有させてもよく、より好ましくは0.1〜3質量%含有させてもよく、特には0.2〜2質量%含有させてもよい。

本発明におけるポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例については、特開2009−262551号公報に挙げられている。

また、必要に応じて、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とすることもでき、詳細な記載は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載がある。

本発明におけるポリマー溶液中のセルロースアシレート濃度は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。 上記セルロースアシレート濃度は、セルロースアシレートを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、セルロースアシレートの濃度を低下させることもできる。

添加剤を添加する時期は、添加剤の種類に応じて適宜決定することができる。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースアシレート中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。

(1)溶解工程 セルロースアシレートに対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中でこのセルロースアシレート、添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいはセルロースアシレート溶液に添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。 セルロースアシレートの溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。 ドープ中のセルロースアシレートの濃度は10〜35質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送ることが好ましい。

(2)流延工程 ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。 ダイの口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。

(3)溶媒蒸発工程 ウェブ(セルロースアシレートフィルムの完成品となる前の状態であって、まだ溶媒を多く含むものをこう呼ぶ)を金属支持体上で加熱し、金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。 溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が、乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。

(4)剥離工程 金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。なお、剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させ過ぎてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。 ここで、製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離することで製膜速度を上げることができる)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。例えば、ドープ中にセルロースアシレートに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることができる。 金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。本発明においては、この金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。

また、この剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を10〜150質量%とすることが好ましく、更に10〜120質量%とすることが好ましい。 残留溶媒量は下記の式で表すことができる。 残留溶媒量(質量%)=[(M−N)/N]×100 ここで、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。

(5)乾燥または熱処理工程、延伸工程 上記剥離工程後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、および/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて、ウェブを乾燥することが好ましい。

本発明において熱処理をする場合、この熱処理温度はTg−5℃未満であり、Tg−20℃以上Tg−5℃未満であることが好ましく、Tg−15℃以上Tg−5℃未満であることがより好ましい。 また、熱処理温度は、30分以下であることが好ましく、20分以下であることがより好ましく、10分程度であることが特に好ましい。

乾燥および熱処理の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。使用する溶媒によって、温度、風量及び時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて条件を適宜選べばよい。

延伸処理は、MD及びTDのいずれか一方向に行ってもよいし、双方の方向に2軸延伸してもよい。2軸延伸が好ましい。延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。また、引張り弾性率は、使用するセルロースアシレートの種類やアシル置換度を調整したり、添加剤の種類を選択することで、又はその割合を調整したりすることで、上記範囲に調整することができる。

フィルム搬送方向MDへの延伸における延伸倍率は、0〜20%であることが好ましく、0〜15%であることがより好ましく、0〜10%であることが特に好ましい。上記延伸の際のウェブの延伸倍率(伸び)は、金属支持体速度と剥ぎ取り速度(剥ぎ取りロールドロー)との周速差により達成することができる。例えば、2つのニップロールを有する装置を用いた場合、入口側のニップロールの回転速度よりも、出口側のニップロールの回転速度を速くすることにより、搬送方向(縦方向)にフィルムを好ましく延伸することができる。このような延伸が施されることによって、MDの引張り弾性率を調整できる。 なお、ここでいう「延伸倍率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味する。 延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ

フィルム搬送方向に直交する方向TDへの延伸における延伸倍率は、0〜30%であることが好ましく、1〜20%であることがより好ましく、5〜15%であることが特に好ましい。 なお、本発明においては、フィルム搬送方向に直交する方向TDに延伸する方法として、テンター装置を用いて延伸することが好ましい。

2軸延伸の際に縦方向に、例えば0.8〜1.0倍に緩和させて所望のレターデーション値を得ることもできる。延伸倍率は様々な目的に応じて設定される。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する場合、長尺方向に一軸延伸することもできる。

延伸の際の温度が、Tg以下であると、延伸方向の引張り弾性率が上昇するので好ましい。延伸温度は、Tg−50℃〜Tgであることが好ましく、Tg−30℃〜Tg−5℃であることがより好ましい。一方、上記温度条件で延伸すると、延伸方向の引張り弾性率が上昇する一方で、それに直交する方向の引張り弾性率は低下する傾向がある。従って、延伸によりMD及びTDの双方の方向の引張り弾性率を上昇するためには、上記温度範囲で、双方の方向に延伸処理する、即ち2軸延伸処理するのが好ましい。

なお、延伸工程後に乾燥してもよい。延伸工程後に乾燥する場合、使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。本発明では、延伸工程後の乾燥温度は、延伸工程の延伸温度よりも低い方が、フィルムを液晶表示装置に組み込んだときの正面コントラストを上昇させる観点から好ましい。

(6)巻き取り 以上のようにして得られた、フィルムの長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。フィルムの幅は、0.5〜5.0mが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mであり、さらに好ましくは1.0〜2.5mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。

このようにして得られたウェブを巻き取り、セルロースアシレートフィルムを得ることができる。

<層構成> 本発明のセルロースアシレートフィルムは、スキン層とコア層を含む多層構成を有する。本発明のセルロースアシレートフィルムは、2層より多くの積層構造を有していてもよい。例えば、スキン層、コア層、スキン層の3層からなる積層構造であることも好ましく、これらの積層構造を共流延によって製膜された態様であることも好ましい。

(セルロースアシレートフィルムの厚み) 本発明のセルロースアシレートフィルムの厚みは、10〜100μmであることが好ましく、15〜80μmであることがより好ましい。 本発明のセルロースアシレートフィルムの全体の厚みが15〜80μmであり、かつスキン層の厚みが0.5〜5μmであれば、内部ヘイズを上昇させにくいため特に好ましい。また、コア層の厚みは、10〜75μmであることが好ましい。

(セルロースアシレートフィルムのヘイズ) 本発明のセルロースアシレートフィルムの全ヘイズ値は3%以下であり、2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましい。 本発明のセルロースアシレートフィルムの内部ヘイズ値は0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることが好ましく、0.15%以下であることがより好ましい。

<セルロースアシレートフィルムの用途> 本発明のセルロースアシレートフィルムは、偏光板保護フィルム、画像表示面に配置される表面保護フィルム、等種々の用途に有用である。各用途に適する機能を示すために、本発明のセルロースアシレートフィルムには、例えば、ハードコート層、防眩層、クリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層等を積層してもよい。

本発明のセルロースアシレートフィルムは、液晶表示装置における液晶セル側の面と反対側の面に配置される偏光板保護フィルム、特にバックライト側偏光板の偏光板保護フィルムとして用いられることが好ましい。

[偏光板] 本発明の偏光板は、偏光子と、少なくとも1枚の本発明のセルロースアシレートフィルムとを含む。 本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明のセルロースアシレートフィルムの一方の面と、偏光子とを貼り合わせることで作製することができる。本発明のセルロースアシレートフィルムの貼合面は、アルカリ鹸化処理を行うことが好ましい。また、貼合には、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いることができる。

上記偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリビニルアルコールあるいはエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%であるエチレン変性ポリビニルアルコールの如き親水性ポリマーからなるフィルムを、ヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸したものや、塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理して配向させたものを用いる。

偏光子の膜厚としては、5〜30μmのものが好ましく用いられる。

偏光子に本発明のセルロースアシレートフィルムが貼合された面の反対面には、さらに本発明のセルロースアシレートフィルムを貼合してもよいし、従来知られている光学フィルムを貼合してもよい。 上記した従来知られている光学フィルムについては、光学特性及び材料のいずれについても特に制限はないが、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂、および/または環状オレフィン樹脂を含む(あるいは主成分とする)光学フィルムを好ましく用いることができ、光学的に等方性のフィルムを用いても、光学的に異方性の位相差フィルムを用いてもよい。 上記の従来知られている光学フィルムについて、セルロースエステル樹脂を含むものとしては、例えばフジタックTD40UC(富士フイルム(株)製)などを利用することができる。 上記の従来知られている光学フィルムについて、アクリル樹脂を含むものとしては、特許第4570042号公報に記載のスチレン系樹脂を含有する(メタ)アクリル樹脂を含む光学フィルム、特許第5041532号公報に記載のグルタルイミド環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル樹脂を含む光学フィルム、特開2009−122664号公報に記載のラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む光学フィルム、特開2009−139754号公報に記載のグルタル酸無水物単位を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む光学フィルムを利用することができる。 また、上記の従来知られている光学フィルムについて、環状オレフィン樹脂を含むものとしては、特開2009−237376号公報の段落[0029]以降に記載の環状オレフィン系樹脂フィルム、特許第4881827号公報、特開2008−063536号公報に記載のRthを低減する添加剤を含有する環状オレフィン樹脂フィルムを利用することができる。 本発明の偏光板を液晶表示装置に利用する態様では、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光子の内側(すなわち偏光子と液晶セルの間)、外側(すなわち液晶セル側の面と反対側の面)のいずれの配置でも好適に使用することができるが、液晶セル側の面と反対側の面に配置することが好ましい。

[液晶表示装置] 本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、偏光板(好ましくは液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板)とを有する液晶表示装置であって、上記偏光板のうち少なくとも1枚が、本発明の偏光板である。本発明のセルロースアシレートフィルムの液晶表示装置における機能については特に制限はない。本発明のセルロースアシレートフィルムの配置方法の一例は、ハードコート層を有さない状態でバックライト側の偏光板中、液晶セル側の面と反対側の面(すなわち視認側から最も遠い面)に配置した偏光板の表面保護フィルムである。 その他の構成については、公知の液晶表示装置のいずれの構成も採用することができる。液晶セルのモードについても特に制限はなく、TN(Twisted Nematic)モード型の液晶セル、横電界スイッチングIPS(In−Plane Switching)モード型の液晶セル、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード型の液晶セル、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)モード型の液晶セル、OCB(Optically Compensatory Bend)モード型の液晶セル、STN(Supper Twisted Nematic)モード型の液晶セル、VA(Vertically Aligned)モード型の液晶セルおよびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モード型の液晶セル等の様々な表示モードの液晶表示装置として構成することができる。その中でも、本発明の液晶表示装置は、液晶セルが、横電界スイッチングIPSモード型の液晶セルである液晶表示装置であることが好ましい。

以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。

(コア層セルロースアシレートドープの作製) 下記の組成物をミキシングタンクに投入し攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。 ------------------------------------------------------------------ アセチル置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部 トリフェニレンホスフェート(TPP) 3.8質量部 ビフェニルジフェニルフォスフェート(BDP) 2.7質量部 化合物UV−1 1.3質量部 化合物UV−2 0.3質量部 メチレンクロライド(第1溶剤) 278質量部 メタノール(第2溶剤) 72質量部 1−ブタノール(第3溶剤) 2.6質量部 ------------------------------------------------------------------

具体的には攪拌羽根を有するステンレス製溶解タンクに、溶媒及び添加剤を投入して撹拌、分散させながら、セルロースアシレートを徐々に添加した。投入完了後、室温にて2時間撹拌し、3時間膨潤させた後に再度撹拌を実施し、セルロースアシレートドープを得た。膨潤した溶液をタンクから、ジャケット付配管で50℃まで加熱し、更に1.2MPa の加圧化で90℃まで加熱し、完全溶解した。加熱時間は15分であった。この際、高温にさらされるフィルター、ハウジング、及び配管はハステロイ合金(登録商標)製で耐食性の優れたものを利用し保温加熱用の熱媒を流通させるジャケットを有する物を使用した。次に36℃まで温度を下げ、セルロースアシレートドープを得た。

(微粒子分散液A〜Hの作製) 下記に記載の組成物を、微粒子A〜Hから選ばれる1種の微粒子とともにミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解、分散させた分散液を調整した。場合によって、分散液に超音波を与え、均一分散液とした。 ---------------------------------------------------------------- 微粒子A〜Hのいずれか1種 0.031質量部 メチレンクロライド(第1溶剤) 3.0質量部 メタノール(第2溶剤) 0.77質量部 1−ブタノール(第3溶剤) 0.028質量部 コア層セルロースアシレートドープ 1質量部 ----------------------------------------------------------------

微粒子A 一次粒径0.15μm 球状シリカ粒子 微粒子B 一次粒径0.3μm 球状シリカ粒子 微粒子C 一次粒径0.55μm 球状シリカ粒子 微粒子D 一次粒径1.1μm 球状シリカ粒子 微粒子E 一次粒径2.5μm 球状シリカ粒子 微粒子F 一次粒径5.0μm 球状シリカ粒子 微粒子G 一次粒径0.0016μm 球状シリカ粒子 (R972 日本アエロジル株式会社製) 微粒子H 一次粒径0.0020μm 球状シリカ粒子 (NX90S 日本アエロジル株式会社製)

(スキン層セルロースアシレートドープa〜rの作製) 下記表1に記載の組成物をミキシングタンクに投入し攪拌して、各成分を溶解し、スキン層用セルロースアセテートドープa〜rを調製した。

[実施例1 共流延による製膜] 流延ダイとして、共流延用に調整したフィードブロックを装備して、主流のほかに両面にそれぞれ積層して3層構造のフィルムを成形できるようにした装置を用いた。以下の説明において、主流から形成される層をコア層と称し、支持体面側の層を支持体層と称し、反対側の面をエア層と称する。なお、ドープの送液流路は、コア層用、支持体層用、エア層用の3流路を用いた。

上記コア層にはコア層セルロースアシレートドープを用い、上記支持体層及びエア層にはスキン層セルロースアシレートドープを用いた。コア層セルロースアシレートドープ及びスキン層セルロースアシレートドープを流延口から−7℃に冷却したドラム上に共流延した。このとき、完成厚みがエア層/コア層/支持体層=2/36/2μmとなるように各ドープの流量を調整した。流延したドープ膜をドラム上で34℃の乾燥風を230m3/分で当てることにより乾燥させてドラムより剥離した。剥離の際、搬送方向(長手方向)に8%の延伸を行った。その後、フィルムの幅方向(流延方向に対して直交する方向)の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で把持しながら搬送を行なった。さらに、熱処理装置のロール間を搬送することによりさらに乾燥し、厚み40μmのフィルムを作製し、これを実施例1のセルロースアシレートフィルムとした。

[実施例2〜15及び比較例1〜3] 実施例1のセルロースアシレートフィルムの作製において、スキン層用セルロースアシレートドープ、およびスキン層厚みを下記表2に記載したとおりに変更、調整した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜15および比較例1〜3のセルロースアシレートフィルムを作製した。

[評価] <セルロースアシレートフィルムの評価> 得られた各実施例および比較例のセルロースアシレートフィルムを用いて、以下の評価を行った。各評価の結果を下記表2に記載した。

(全ヘイズ値の測定) JIS−K7136に準じて、25℃、相対湿度60%でフィルム試料40mm×80mmの全ヘイズ値をヘーズメーターNDH2000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。

(内部ヘイズ値の測定) フィルム試料の両面にグリセリン数滴を滴下し、厚さ1.3mmのガラス板(MICRO SLIDE GLASS品番S9213、MATSUNAMI製)2枚で両側から挟んだ状態で測定したヘイズ値(%)から、ガラス2枚の間にグリセリンを数滴滴下した状態で測定したヘイズ値を差し引いた値(%)を算出し、内部ヘイズ値とした。

(静摩擦係数) セルロースアシレートフィルム試料を用いて75mm×100mm(小試料)、100mm×200mm(大試料)の2種類を準備した。テンシロン(引っ張り試験機)に設置された台に大試料をセットし、その上に小試料を載せて、さらに小試料に200gの荷重をかけた。小試料をテンシロンで引っ張り、小試料が滑り出した荷重(f)を測定した。静摩擦係数(μ)は、μ=f/200の式から計算した。 静摩擦係数が小さいほど、表面のすべり性が向上するため、フィルムをロール形態にした際の貼りつきを防ぐことができる。 静摩擦係数は、0.2〜0.6が好ましく、0.3〜0.6がより好ましく、0.3〜0.5がさらに好ましい。0.2以上であればフィルムが滑りすぎず、ロール形態での巻きズレが生じにくい。0.6以下であればフィルム貼りつきが生じにくい。

(耐傷付き性評価) ラビングテスターを用いて、以下の条件で擦りテストを行い、傷つき性を評価した。 評価環境条件:25℃、60%RH 擦り材:上拡散シート (市販の液晶テレビ(IPSモードのスリム型42型液晶テレビ)を分解し、バックライトと液晶パネルの間にある上拡散シートを取り外して使用した)取り外した上拡散シートを1cm×1cmにカッティングし、フィルム試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に貼り付けて使用した。 移動距離(片道):13cm、 こすり速度:13cm/秒、 荷重:200g/cm2、 先端部接触面積:1cm×1cm、 擦り回数:20往復 擦り終えた試料の裏側に粘着剤付き黒PETフィルム(巴川製紙所社製)を貼り、擦り部分の傷を反射光で目視観察し、以下の基準で評価した。評価は上記テストを3回実施し、下記の4段階で評価した。 A:3回中3回とも、擦り傷が見えない。 B:3回中1回、擦り傷が見える。 C:3回中2回、擦り傷が見える。 D:3回中3回、擦り傷が見える。 実用上はCまでは使用可能である。

上記表2より、実施例1〜15は、内部ヘイズ値が低く、静摩擦係数も低下しており、さらに耐傷付き性が良好であった。粒子サイズの大きい実施例3〜15は耐傷付き性が特に良好であった。また、粒子サイズが大きい場合は、粒子サイズが小さいものに比較して、少ない添加量で耐傷付き性が良化することが分かった。一方、比較例1〜3は、内部ヘイズ値は低く、静摩擦係数は低下しているものの、耐傷付き性が劣っていた。これは、比較例1〜3で使用した一次粒径の小さい微粒子は、フィルム同士の擦りに対して滑り性が確保できるものの、バックライト部材(たとえば拡散シートなど)との擦りでは、傷付きが発生してしまうことを示しており、耐傷付き性を付与するためには、接触面積を小さくし、また、硬いバックライト部材との擦れに耐え得る、より大きい粒子が必要であると考えられる。

QQ群二维码
意见反馈