ポリエチレン系樹脂発泡シート

申请号 JP2014535360 申请日 2013-08-23 公开(公告)号 JPWO2014041750A1 公开(公告)日 2016-08-12
申请人 株式会社ジェイエスピー; 发明人 森田 和彦; 和彦 森田; 角田 博俊; 博俊 角田; 隆一 谷口; 隆一 谷口;
摘要 柔軟性と緩衝性を備え、静電気散逸性を有する発泡シートを提供する。低 密度 ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡層の片面又は両面に、低密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とし高分子型帯電防止剤を含む帯電防止層が積層接着されてなる、見掛け密度15〜150kg/m3の発泡シートにおいて、高分子型帯電防止剤の融点125〜140℃、かつその全融解熱量に対する融点以上の部分の部分融解熱量の比が40%以下、高分子型帯電防止剤の配合量が、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して45〜300質量部で、帯電防止層の坪量が1〜50g/m2で、帯電防止層面に10kVの印加を30秒間行ったときの初期帯電圧が50V以下である、発泡シート。
权利要求

密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡層の少なくとも片面に、低密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とし高分子型帯電防止剤を含む帯電防止層が積層接着されてなる、見掛け密度15〜150kg/m3の発泡シートにおいて、 高分子型帯電防止剤の融点が125〜140℃、かつその全融解熱量に対する融点以上の部分の部分融解熱量の比が40%以下であり、 帯電防止層中の高分子型帯電防止剤の配合量が、帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂100質量部に対して45〜300質量部であり、 帯電防止層の坪量が1〜50g/m2であり、 帯電防止層面に10kVの印加を30秒間行ったときの初期帯電圧が50V以下であることを特徴とするポリエチレン系樹脂発泡シート。帯電防止層の坪量が1〜10g/m2であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン系樹脂発泡シート。高分子型帯電防止剤の190℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度(ηAS)が100〜600Pa・sであり、 帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂の190℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度(ηPE)に対する前記溶融粘度(ηAS)の比(ηAS/ηPE)が0.4〜1.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂発泡シート。帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂の190℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度(ηPE)が、800〜2000Pa・sであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂発泡シート。

说明书全文

本発明は、ポリエチレン系樹脂発泡シートに関する。 尚、本出願の基礎出願である2012年9月12日に出願された日本特許出願 特願2012−200394の出願内容は、本明細書の一部をなす参照文献として本願に組み込まれる。

ポリエチレン系樹脂発泡シートは、適度な柔軟性と緩衝特性を有することから、被包装体を傷つけにくく、緩衝材、包装材等の素材として使用されてきた。特に、埃や静電気を嫌う電気部品やガラス基板等の包装材として、帯電防止剤を含有する表面抵抗率1×109〜1×1013Ω程度のポリエチレン系樹脂発泡シートが使用されてきた。

従来、ポリオレフィン系樹脂等に配合する帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤が使用されてきた。しかし、この界面活性剤は、発泡シートからブリードアウトし、被包装物へ移行して被包装物を汚染することがあった。特許文献1には、帯電防止剤として、界面活性剤の代わりに高分子型帯電防止剤を用いて、被包装体等の接触する相手の表面の汚染を低減した発泡シートが開示されている。また、特許文献2には帯電防止剤として高分子型帯電防止剤を含む層を発泡層の少なくとも片面に設けることにより、空気中の湿度条件に大きく左右されずに帯電防止効果が得られ、柔軟性と緩衝性を備えたポリオレフィン系樹脂発泡シートが開示されている。

特開2004−181933号公報

特開2005−074771号公報

近年の電気部品等の高性能化に伴い、電気部品内部の回路は細線化され、静電気による破壊がより起こり易くなってきており、包装材の帯電防止性能に対する要求も高くなってきている。その為、近年では、導電性領域よりも電気抵抗率が高い抵抗領域で、全く帯電しないか、又はほとんど帯電しないような電気特性(以下、静電気散逸性ともいう。)を有する包装材が要求されてきている。

本発明者らは、帯電防止層面に10kVの印加を行った際にその初期帯電圧が50V以下となるような、静電気散逸性を有するポリエチレン系樹脂発泡シートを得る目的で、上記特許文献1、2に記載の発泡シートへの帯電防止剤の添加量を増加してみたが、静電気散逸性を有する発泡シートを得ることはできなかった。また、本発明者らは、より電気抵抗率の低い高分子型帯電防止剤を使用してみたが、やはり静電気散逸性の発泡シートを得ることはできなかった。

一方、包装材の表面抵抗率を下げる手法として、導電性カーボンブラック等の導電性フィラーを基材樹脂に配合する方法が知られている。しかし、電気部品等の包装材に要求される帯電防止性能として、必ずしも導電性能は必要がない。むしろ、電気伝導性が高すぎることにより、荷電された電気部品が接触した場合には急激な放電が発生しその瞬間的な大電流により回路の破損が生じることもある。また、導電性フィラーを配合する方法では、僅かなフィラー配合量の増減に伴い、表面抵抗率が大きく変化してしまう為、電気特性を静電気散逸性領域にコントロールすることは難しいものであった。

本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、柔軟性と緩衝性を備え、かつ静電気散逸性を有するポリエチレン系樹脂発泡シートを提供することを目的とする。

本発明は、以下の(1)から(4)に記載する発明を要旨とする。 (1)低密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡層の少なくとも片面に、低密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とし高分子型帯電防止剤を含む帯電防止層が積層接着されてなる、見掛け密度15〜150kg/m3の発泡シートにおいて、 高分子型帯電防止剤の融点が125〜140℃、かつその全融解熱量に対する融点以上の部分の部分融解熱量の比が40%以下であり、 帯電防止層中の高分子型帯電防止剤の配合量が、帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂100質量部に対して45〜300質量部であり、 帯電防止層の坪量が1〜50g/m2であり、 帯電防止層面に10kVの印加を30秒間行ったときの初期帯電圧が50V以下であることを特徴とするポリエチレン系樹脂発泡シート。

(2)帯電防止層の坪量が1〜10g/m2であることを特徴とする前記(1)に記載のポリエチレン系樹脂発泡シート。 (3)高分子型帯電防止剤の190℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度AS)が100〜600Pa・sであり、 帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂の190℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度(ηPE)に対する前記溶融粘度(ηAS)の比(ηASPE)が0.4〜1.0であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のポリエチレン系樹脂発泡シート。 (4)帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂の190℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度(ηPE)が、800〜2000Pa・sであることを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂発泡シート。

本発明のポリエチレン系樹脂発泡シートは、発泡層と帯電防止層とから構成されており、帯電防止層に融点が125〜140℃、かつ全融解熱量に対する融点以上の部分の部分融解熱量の比が40%以下の高分子型帯電防止剤が一定割合配合されており、帯電防止層面に10kVの印加を30秒間行ったときの初期帯電圧が50V以下であるので、柔軟性と緩衝性を備え、電子部品等の包装材として好適に用いることができる。

本発明のポリエチレン系樹脂発泡シートの一例を示す断面図である。

本発明のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法の一例を示す説明図である。

以下に、本発明のポリエチレン系樹脂発泡シートについて説明する。 本発明の発泡シートは、低密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡層の少なくとも片面に、低密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とし高分子型帯電防止剤を含む帯電防止層が積層接着されてなる、見掛け密度15〜150kg/m3の発泡シートであって、高分子型帯電防止剤の融点が125〜140℃、かつその全融解熱量に対する融点以上の部分の部分融解熱量の比が40%以下であり、帯電防止層中の高分子型帯電防止剤の配合量が、帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂100質量部に対して45〜300質量部であり、帯電防止層の坪量が1〜50g/m2であり、帯電防止層面に10kVの印加を30秒間行ったときの初期帯電圧が50V以下である。

本発明のポリエチレン系樹脂発泡シートの一例を図1に断面図で示す。ポリエチレン系樹脂発泡シート1は、ポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡層(以下、発泡層ということがある)2の少なくとも片面に高分子型帯電防止剤を含有する帯電防止層3が積層接着されたものである。ここでは、両面に帯電防止層3が積層されたものを中心に述べるが、発泡層2の片面に帯電防止層3が積層された構成とすることができる。また、発泡層2に高分子型帯電防止剤を含有していないポリエチレン系樹脂層が積層され、このポリエチレン系樹脂層の表面に、高分子型帯電防止剤を含有する帯電防止層3が積層されていてもよい。

本発明の発泡シートは、例えば、図2に例示するように、第1の押出機11にポリエチレン系樹脂4、高分子型帯電防止剤5、及び揮発性可塑剤6を供給して混練してなる帯電防止層形成用溶融樹脂7と、第2の押出機12にポリエチレン系樹脂8、及び物理発泡剤9を供給して混練してなるポリエチレン系樹脂発泡層形成用溶融樹脂(以下、発泡層形成用溶融樹脂ということがある。)10とを環状ダイ13にて積層して共押出しすることにより、筒状積層発泡体を得て、その一端を切り開いてポリエチレン系樹脂発泡シート1を製造することができる。さらに、上記方法以外にも、フラットダイを用い、始めからシート状に共押出する方法を採用することもできる。

前記した中でも押出機先端のダイ13として環状ダイを用いる方法は、押出発泡時にコルゲートと呼ばれる波状模様の発生を抑えることや、幅が1000mm以上の幅広の発泡シートを容易に製造することができる利点がある。なお、共押出の方法においては、環状ダイの出口や、ダイの出口の外で樹脂層と発泡層とを積層してもよい。また、前記環状ダイ、押出機、円柱状冷却装置、筒状積層発泡体を切開く装置等は、従来押出発泡の分野で用いられてきた公知のものを用いることができる。

本発明において、ポリエチレン系樹脂発泡シート(以下、発泡シートということがある)の帯電防止層及び発泡層に使用するポリエチレン系樹脂とは、樹脂中のエチレン成分が50モル%以上の樹脂であり、具体的には、低密度ポリエチレン(PE−LD)、直鎖状低密度ポリエチレン(PE−LLD)、高密度ポリエチレン(PE−HD)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAC)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸エチル(EEAK)等が挙げられる。なお、一般に、高密度ポリエチレンは、密度が940kg/m3以上のポリエチレン系樹脂であり、低密度ポリエチレンは、長鎖分岐構造を有する密度が910kg/m3以上930kg/m3未満のポリエチレン系樹脂であり、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体であって実質的に分子鎖が線状である密度が910kg/m3以上940kg/m3未満のポリエチレン系樹脂である。

本発明の発泡シートの発泡層及び帯電防止層の形成に使用する「低密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂」は、ポリエチレン系樹脂の中でも表面硬度が低く被包装体の表面保護に優れる等の柔軟性の観点から、ポリエチレン系樹脂には低密度ポリエチレンが含まれることを意味し、低密度ポリエチレンが主成分として含まれることが望ましい。尚、「主成分として含む」とは、ポリエチレン系樹脂中に50質量%以上含まれることを意味し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。

一般に、低密度ポリエチレンの融点は、100〜115℃程度である。 発泡層形成用溶融樹脂の押出温度は、発泡層の所望の見掛け密度、発泡剤の種類や添加量等を考慮して調整する必要があるが、発泡剤にブタン等の炭化素化合物を使用し、見掛け密度15〜150kg/m3の発泡層を形成するためには、使用する低密度ポリエチレンの[融点−10℃]〜[融点+20℃]の範囲に、発泡層形成用溶融樹脂の温度(発泡温度)を調整してダイ内に供給して押出することが好ましい。一方、発泡層の発泡を阻害せずに、共押出により帯電防止層を形成するためには、帯電防止層形成用溶融樹脂の温度を発泡層形成用溶融樹脂の[発泡温度+30℃]以下に調整してダイ内に供給して共押出することが好ましい。

高分子型帯電防止剤を含有する帯電防止層が、静電気散逸性を発揮するためには、単に高分子型帯電防止剤の配合量を増加させるだけではなく、帯電防止層の基材樹脂であるポリエチレン系樹脂中で高分子型帯電防止剤が網状又は層状に分散して、高度な導電ネットワークを形成している必要がある。

帯電防止層において、高分子型帯電防止剤が、静電気散逸性を発揮するに十分な導電ネットワークを形成するためには、使用する高分子型帯電防止剤の融点と融解熱量分布、高分子型帯電防止剤の配合量が重要であると共に、押出時の帯電防止層形成用溶融樹脂へ揮発性可塑剤を配合し、帯電防止層形成用溶融樹脂の押出温度を調整することが重要である。

まず、低見掛け密度でかつ独立気泡構造を有する発泡層を得るためには、発泡層の押出発泡時の樹脂温度(発泡温度)は、前記の通り、その基材樹脂の融点と同じ温度かわずかに高い温度領域で行う必要がある。一方、帯電防止層形成用溶融樹脂の押出時の樹脂温度(以下、溶融樹脂の押出時の樹脂温度を押出温度ということがある。)も、発泡層の発泡を阻害しない温度まで低下させる必要がある。発泡層形成用溶融樹脂は、物理発泡剤により可塑化されているため、融点付近まで冷却しても押出に必要な流動性を有するが、帯電防止層形成用溶融樹脂は、通常は、流動性が著しく悪くなるため、その融点付近まで冷却することができない。そこで、帯電防止層形成用溶融樹脂に揮発性可塑剤を配合して、該溶融樹脂を可塑化することにより、該溶融樹脂の樹脂温度を発泡層の発泡を阻害しない温度まで低下させる冷却調整が可能となると共に帯電防止層に追従する伸長性を付与することが可能になる。このような手段は、特に発泡層を低見掛け密度(高発泡倍率)とする場合に効果的であり、帯電防止層に亀裂や裂け等を発生させることなく、帯電防止層を発泡層上に積層することが可能となる。

揮発性可塑剤は、押出された時点で押出し時の熱により帯電防止層中からほぼ揮散して帯電防止層中にはほとんど残らないか、又は一部、押出直後には帯電防止層中に残存している場合もあるが、速やかに揮散して帯電防止層中にはほとんど残らない。 好ましい揮発性可塑剤を例示すると、炭化水素系化合物としては炭素数2〜7の脂肪族炭化水素、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、又は炭素数2〜8の脂肪族エーテルから選択される1種又は2種以上を使用することができ、特に炭素数3〜6の脂肪族炭化水素が好ましく用いられる。上記炭化水素系化合物の使用は、帯電防止層形成用溶融樹脂を効率よく可塑化させるという点から好ましい。

上記炭素数2〜7の脂肪族炭化水素としては、例えば、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等が挙げられこれらの中でも、ブタンを使用することが好ましく、イソブタン、又はイソブタン比率が30モル%以上のノルマルブタンとイソブタンとの混合物がより好ましい。 該揮発性可塑剤の添加時期は、ポリエチレン系樹脂中に高分子型帯電防止剤を十分に分散させた後に添加するのが好ましい。ポリエチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤とを混練する場合には、溶融混合物の粘度をある程度高い状態に維持することにより、導電ネットワーク構造を確実に形成することができる。

高分子型帯電防止剤の融点は125〜140℃で、かつ全融解熱量に対する融点以上の部分の部分融解熱量の比(以下、部分融解熱量比ともいう。)が40%以下である必要がある。 高分子型帯電防止剤として、融点及び部分融解熱量比が上記範囲内のものを選択することにより、後述する静電気散逸性を発現するための適正押出温度で帯電防止層を押出する際に、高分子型帯電防止剤の溶融不足や結晶化物の発生を防ぐことが可能となり、静電気散逸性を発揮するために必要な導電ネットワークが十分に形成されるものと考えられる。 該部分融解熱量比が40%を超えると、すなわち、高分子型帯電防止剤が高融点部分を多量に含むと、高分子型帯電防止剤の融点が125〜140℃の範囲であっても、押出時に流動性が低下して、静電気散逸性を発揮するために必要な導電ネットワークを十分に形成できなくなる。低温時の流動性を更に高め、導電ネットワークを形成し易くする観点から、部分融解熱量比は35%以下が好ましい。

本発明において、高分子型帯電防止剤の融点及び部分融解熱量比は、以下の方法で測定した値を採用する。 [融点の測定方法] 融点は、JIS K7121(1987年)に基づく熱流束示差走査熱量計測定に準拠して測定される値である。試験片の状態調節(2)の条件(但し、冷却速度は10℃/分)を採用し、40℃から10℃/分にて昇温することによりDSC曲線を得る。得られたDSC曲線における融解ピークの頂点の温度を融点とする。なお、融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。 [融解熱量の測定方法] 融解熱量は、JIS K7122(1987年)に基づき熱流束示差走査熱量計測定により測定される値である。試験片の状態調節(2)の条件(但し、冷却速度は10℃/分)を採用し、10℃/分にて昇温することによりDSC曲線を得る。得られたDSC曲線から、全ての融解ピークのピーク面積から全体の熱量Ha(J/g)を求める。さらに、この融解ピークのうち、上記で求めた融点以上の部分のピーク面積から部分融解熱量Hh(J/g)を求める。部分融解熱量を熱量Hh(J/g)が、融解ピーク全体の熱量Ha(J/g)に占める割合を(1)式で示す計算式にて計算する。 [Hh]÷[Ha]×100・・・(1)

本発明において、帯電防止層中の高分子型帯電防止剤の配合量は、帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂100質量部に対して45〜300質量部である。 高分子型帯電防止剤の配合量が、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して45質量部未満の場合には導電ネットワークの形成が不十分となり、一方、300質量部を超えると、帯電防止層の物性低下や発泡層との接着が低下して、発泡層から帯電防止層が剥離するおそれがあり、さらには共押出により該帯電防止層を形成すること自体が困難になる場合がある。上記観点から、その下限値は、50質量部が好ましく、60質量部がより好ましい。一方、その上限値は200質量部が好ましく、150質量部がより好ましい。 さらに、静電気散逸性を発現する帯電防止層を確実に形成するためには、帯電防止層形成用溶融樹脂を、[高分子型帯電防止剤の融点−17.0℃]以上の温度範囲に調整して共押出ダイ内に供給して発泡層と共に共押出する必要がある。

上述したように、従来は、発泡層の気泡構造を破壊しないという観点から、帯電防止層形成用溶融樹脂の押出温度を可能な限り低くしてきた。しかしながら、帯電防止層形成用溶融樹脂の押出温度がある温度より低くなると、静電気散逸性が発現されないことが見出された。この要因は、押出温度が低いと、押出時に高分子型帯電防止剤が急速に高粘度化して、ポリエチレン系樹脂の溶融粘度に対して高分子型帯電防止剤の溶融粘度が極めて大きくなってしまい、上記のように高分子型帯電防止剤を極めて高い配合量で配合した場合であっても、高分子型帯電防止剤はポリエチレン系樹脂中で十分に延展されないためか、静電気散逸性を発現するための十分な導電ネットワーク構造を形成できなくなるものと考えられる。また、ダイ内において、高分子型帯電防止剤に対して相対的に高流動となったポリエチレン系樹脂が、せん断速度の大きいダイ壁面側に選択的に分布しやすくなるため、帯電防止層表面の電気伝導性はさらに低下するものと考えられる。

すなわち、帯電防止層形成用溶融樹脂を、[高分子型帯電防止剤の融点−17.0℃]以上の温度範囲に調整して共押出ダイ内に供給して発泡層と共に共押出することにより、帯電防止層中で高分子型帯電防止剤が十分な導電ネットワーク構造を形成することが可能となり、かつ帯電防止層表面においても十分量の高分子型帯電防止剤を存在させることが可能となるため、静電気散逸性を発現する帯電防止層を形成することができるものと考えられる。発泡層の独立気泡率を維持する観点からは、帯電防止層形成用溶融樹脂の押出温度を発泡層形成用溶融樹脂の[発泡温度+25℃]以下とすることが好ましく、[発泡温度+20℃]以下とするのがより好ましく、[発泡温度+17℃]以下とするのが更に好ましい。

高分子型帯電防止剤を含有する帯電防止層の坪量は1〜50g/m2である。静電気散逸性を発現するために、1g/m2以上が必要である。帯電防止層の坪量が多すぎる場合には、発泡シート全体の柔軟性が低下し易く、また、発泡シートの気泡構造が破壊され易くなる。かかる観点から、帯電防止層の坪量の上限は50g/m2であり、好ましくは20g/m2であり、更に好まし10g/m2である。

高分子型帯電防止剤は、界面活性剤等の低分子型の帯電防止剤とは区別されるものであり、具体的には、体積抵抗率が1×105〜1×1011Ω・cmの親水性ポリマー(以下、単に親水性ポリマーともいう。)や、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックとのブロックポリマー等が例示できる。親水性ポリマーとしては、ポリエーテル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー等が例示できる。一方、疎水性ポリマーブロックとしては、ポリオレフィンやポリアミド等が例示できる。また、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックとの結合としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合等が例示できる。市場で入手できる高分子型帯電防止剤の表面抵抗率は概ね1×106〜1×1010Ω程度である。

帯電防止層中に帯電防止剤を添加することによる物性低下を抑制するために、疎水性ポリマーブロックとしてポリオレフィン系樹脂が、親水性ポリマーブロックと共重合されていることが好ましい。 また、高分子型帯電防止剤が、上記融点及び部分融解熱量比を示すためには、高分子型帯電防止剤中に、親水性ポリマーとしてポリエーテルを含み、さらに、ポリアミドやアミド結合を含まないか、ポリアミドやアミド結合が極めて少ないことが好ましい。上記融点及び部分融解熱量比を示す高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体である、三洋化成工業(株)製「ペレスタットVL300」、「ペレクトロンHS」等が例示できる。

帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂の190℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度(ηPE)に対する高分子型帯電防止剤の溶融粘度(ηAS)の比(ηASPE)は0.4〜1.0であることが好ましい。該比(ηASPE)が0.4〜1.0であるときポリエチレン系樹脂のマトリックス中に高分子型帯電防止剤をスジ状に分散させやすくなるため導電性ネットワークを構築しやすくなりより安定的に静電気散逸性を発現することが出来るため好ましい。 高分子型帯電防止剤の190℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度(ηAS)が100〜600Pa・sであることが好ましく、より好ましくは200〜550Pa・sである。一方、帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂の190℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度(ηPE)は、200〜2000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは400〜2000Pa・sであり、さらに好ましくは800〜2000Pa・sであり、最も好ましくは800〜1600Pa・sである。

上記ポリエチレン系樹脂、及び高分子型帯電防止剤の溶融粘度は、例えば、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1D等の測定機を使用して測定することが出来る。具体的にはシリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径1.0mm、長さ10mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を190℃とし、測定試料約15gを該シリンダー内に入れ、5分間放置してから、せん断速度100sec−1で溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出、その時の溶融粘度を測定する。

高分子型帯電防止剤の数平均分子量は、上記溶融粘度を満足するために、2000〜100000であることが好ましく、より好ましくは5000〜60000、さらに好ましくは10000〜40000である。なお上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、分子量既知のポリスチレンから得られる校正曲線を使用して換算された数平均分子量(ポリスチレン換算値)である。

帯電防止層の滑り性を向上させるために、直鎖状低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン等をポリエチレン系樹脂中に配合することができ、その場合には、ポリエチレン系樹脂中に5〜30質量%となるように配合することが好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。

帯電防止層には、本発明の目的を阻害しない範囲において各種の添加剤が添加されていてもよい。各種の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、充填剤、抗菌剤等が挙げられる。これらの添加剤の添加量は、帯電防止層を構成するポリエチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤の合計100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が特に好ましい。

発泡層には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、ポリスチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリエチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーやエチレンプロピレンゴム等のエラストマー等を添加することができる。その場合の添加量は、発泡層を構成するポリエチレン系樹脂100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。

発泡層には、各種の添加剤が添加されていてもよい。各種の添加剤としては、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、収縮防止剤等が挙げられる。これらの添加剤の添加量は、発泡層を構成するポリエチレン系樹脂100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が特に好ましい。

本発明の発泡層の製造に使用される発泡剤は、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素等の有機物理発泡剤、窒素、二酸化炭素等の無機物理発泡剤が挙げられる。上記の物理発泡剤は2種以上混合して使用することができる。 上記発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とする発泡層の見かけ密度に応じて適宜調整されるが、発泡剤として、例えばブタン等の有機物理発泡剤を用いた場合、有機物理発泡剤の添加量は基材樹脂であるポリエチレン系樹脂100質量部当たり、好ましくは3〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。

発泡層形成用溶融樹脂には、通常、気泡調整剤が添加される。気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のモノアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。

本発明の発泡シートにおける厚みは、該発泡シートを包装用シートとして使用した際に、緩衝性に優れ、被包装体を梱包する際の取り扱いが容易である点から、0.03〜10mmに形成されることが好ましい。該発泡シートの厚みは、上記観点から8mm以下がより好ましい。一方、特に高い緩衝性が要求される用途に発泡シートが使用される場合には、厚みは0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上が更に好ましく、0.2mm以上が特に好ましく、0.3mm以上が最も好ましい。

本発明において発泡シートの厚みの測定方法は以下の通りである。まず、発泡シートを押出方向に直行する方向に垂直に切断し、該切断面の厚みを顕微鏡により等間隔に幅方向に10点撮影を行い、撮影した各点における発泡シートの厚みと帯電防止層の厚みを測定し、得られた値の算術平均値を各々発泡シートの厚み、帯電防止層の厚みとする。次に、求めた発泡シートの厚みから帯電防止層の厚みを引算し、該引算により得られた厚みを発泡層の厚みとする。なお、発泡層の厚み又は帯電防止層の厚みが測定し易いように、どちらか一方の層を着色することもできる。前記発泡層の厚みと帯電防止層の厚みの調整は、吐出量、引き取り速度を調整することにより前記した範囲に調整される。

本発明の発泡シートの見掛け密度は15〜150kg/m3である。該発泡シートの見掛け密度が15kg/m3未満であると包装材料として強度不足になるおそれがある。上記観点から発泡シートの見掛け密度は18kg/m3以上が好ましく、20kg/m3以上がより好ましい。一方、発泡シートの見掛け密度が150kg/m3を超えると、使用される用途によっては発泡シートの緩衝性が不足する虞がある。上記観点から発泡シートの見掛け密度は、60kg/m3以下が好ましく、55kg/m3未満がより好ましく、45kg/m3以下が更に好ましく、40kg/m3以下が特に好ましい。

本発明において、発泡シートの見掛け密度の測定方法は下記の通りである。まず発泡シートの坪量を測定する。発泡シートの坪量(g/m2)は、発泡シートの全幅にわたって長さ10cm試験片を切り出し、試験片の質量(g)を測定した後、試験片の面積(m2:シートの幅(m)×0.1m)でその質量を割り算することで得られる。前記発泡シートの坪量(g/m2)を発泡シートの厚み(mm)で除した値を単位換算し、発泡シートの見掛け密度(kg/m3)とする。

帯電防止層の坪量(g/m2)は、上記厚み測定方法により得られた帯電防止層の厚みに該帯電防止層構成している樹脂の密度を乗じ、単位換算を行なって求めることができる。なお、発泡層と帯電防止剤の界面が不明な場合には、発泡シートを製造する際に、帯電防止層の吐出量X[kg/時]と、得られる発泡シートの幅W[m]、発泡シートの単位時間あたりの長さL[m/時]から、下記(2)式により帯電防止層の坪量[g/m2]を求めることができる。なお、発泡層の両面に帯電防止層が積層されている場合には、それぞれの帯電防止層の吐出量からそれぞれの帯電防止層の坪量を求める。 帯電防止層の坪量[g/m2]=〔1000X/(L×W)〕・・・(2)

図1に示す発泡シートにおいて、発泡層の独立気泡率は、緩衝性をもたせるために20%以上に形成されることが好ましく、より好ましくは30%以上で、更に好ましくは35%以上である。発泡層の独立気泡率:S(%)は、ASTM D2856−70に記載されている手順Cに準拠し、東芝ベックマン(株)製の空気比較式比重計930型を使用して測定される発泡シートの実容積(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和):Vx(cm3)から、下記(3)式により算出される値である。 S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ)・・・(3) 但し、上記(3)式中の、Va、W、ρは以下の通りである。 Va:測定に使用した発泡シートの見掛け容積(cm3) W:試験片における発泡シートの質量(g) ρ:発泡シートを構成する樹脂の密度(g/cm3)

本発明の発泡シートの帯電防止層面に10kVの印加を30秒間行ったときの初期帯電圧は50V以下であり、好ましくは30V以下であり、最も好ましくは0Vである。 本発明における初期帯電圧の測定は次のようにして行なう。まず、発泡シートから40mm×40mmのサイズ(厚みは積層シートの厚み)の試験片を複数枚切り出し、これらの試験片を、23℃、50%RH環境下にて24時間状態調節する。その後、23℃、50%RH環境下にてJIS L1094(1988年)A法に従って各試験片の帯電防止層面に10kVの電圧を印加し、印加を停止した際の初期帯電圧を測定し、各測定値を平均して初期帯電圧とする。測定装置としては、例えば、スタティックオネストメーター(シシド静電気(株)製、TIPE:S−5109)等を使用することができる。

本発明の発泡シートの表面抵抗率は1.0×1010(Ω)以下が好ましく、7.0×109(Ω)以下がより好ましく、5.0×109(Ω)以下が更に好ましい。また、品質過剰とならない観点から発泡シートの表面抵抗率は1.0×107(Ω)以上とすることが好ましい。表面抵抗率の測定方法を以下に記載する。 [表面抵抗率の測定] 発泡シートから縦100mm×横100mm×厚み:シート厚みの複数の試験片を切り出し、この試験片を用いて、JIS K6271(2001年)の方法に準じて印加電圧500Vで印加してから1分後の表面抵抗値を測定し、得られた測定値の平均値から表面抵抗率を求めることができる。なお、高分子型帯電防止剤の表面抵抗率についても、JIS K6271(2001年)の方法に基づき、印加電圧500Vで印加してから1分後の表面抵抗値を測定し、得られた測定値の平均値から求めることができる。測定装置として、例えばタケダ理研工業(株)製、型式:TR8601等を用いることができる。

以下、実施例、比較例により、本発明を具体的に説明する。 実施例、比較例で使用した原材料であるポリエチレン系樹脂、高分子型帯電防止剤、及び気泡調整剤、並びに評価方法を以下に記載する。 (1)原材料 (a)ポリエチレン系樹脂 (i)低密度ポリエチレン(以下、低密度ポリエチレン[LD1]と記載することがある) ダウ・ケミカル製、低密度ポリエチレン(商品名:NUC8321、密度922kg/m3、溶融粘度820Pa・s、融点111.1℃) (ii)低密度ポリエチレン(以下、低密度ポリエチレン[LD2]と記載することがある) ダウ・ケミカル製、低密度ポリエチレン(商品名:NUC8008、密度918kg/m3、溶融粘度600Pa・s、融点107.3℃) (iii)低密度ポリエチレン(以下、低密度ポリエチレン[LD3]と記載することがある) ダウ・ケミカル製、低密度ポリエチレン(商品名:DNDV−0405R、密度914kg/m3、溶融粘度200Pa・s、融点104.8℃) (iv)低密度ポリエチレン(以下、低密度ポリエチレン[LD4]と記載することがある) 住友化学製、低密度ポリエチレン(商品名:F102、密度914kg/m3、溶融粘度1520Pa・s、融点108.7℃)

(b)高分子型帯電防止剤 (i)高分子型帯電防止剤(HS) 三洋化成工業(株)製、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体(商品名:ペレクトロンHS、溶融粘度490Pa・s、融点133.7℃、部分融解熱量比33%、表面抵抗率:2.0×106Ω) (ii)高分子型帯電防止剤(VL300) 三洋化成工業(株)製、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体(商品名:ぺレスタットVL300、溶融粘度230Pa・s、融点133.3℃、部分融解熱量比30%、表面抵抗率:1.0×108Ω)

(iii)高分子型帯電防止剤(PVH) 三洋化成工業(株)製、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体(商品名:ペレクトロンPVH、溶融粘度470Pa・s、融点131.4℃、部分融解熱量比48%、表面抵抗率:8.4×106Ω) (iv)高分子型帯電防止剤(HC250) 三洋化成工業(株)製、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体(商品名:ペレスタットHC250、溶融粘度250Pa・s、融点134.8℃、部分融解熱量比51%、表面抵抗率:2.8×107Ω) (c)気泡調整剤 大日精化(株)製、気泡調整剤マスターバッチ(商品名:PO217K)

(2)評価方法 (2−1)融点、融解熱量の測定方法 JIS K7121(1987年)及びJIS K7122(1987年)に準拠する前記方法により測定した。

(2−2)発泡シートの評価方法 (a)厚み、見かけ密度、坪量 前記方法により測定した。なお、帯電防止層の坪量の測定にあたっては、前記した帯電防止層の吐出量から求める方法を採用した。 (b)表面抵抗率 発泡シートから、無作為に3片の試験片を切り出し、該試験片の表面抵抗率を前記JIS K6271(2001年)の方法により測定し、得られた測定値の平均値から表面抵抗率を求めた。測定装置として、タケダ理研工業(株)製、型式:TR8601を用いた。 (c)初期帯電圧 初期帯電圧の測定は、発泡シートから無作為に3片の試験片を切り出し、前記JIS L1094(1988年)A法に従って初期帯電圧を測定し、各測定値を平均して初期帯電圧とした。測定装置として、シシド静電気(株)製、スタティックオネストメーター(型式:TIPE S−5109)を用いた。 (d)独立気泡率 発泡シートの無作為に選択した3箇所から試験片を切り出し、前記ASTM D2856−70に基づく方法により各試験片の独立気泡率を測定し、各測定値を平均して独立気泡率とした。

[実施例1] 発泡層形成用の押出機として直径90mmと直径120mmの2台の押出機からなるタンデム押出機を使用し、高分子型帯電防止剤を含有する帯電防止層形成用の押出機として直径50mm、L/D=50の押出機を使用した。また、発泡シートの共押出しの為に直径95mmの環状ダイを用いた。

発泡層形成のために、低密度ポリエチレン[LD1]と、該低密度ポリエチレン100質量部に対して、気泡調整剤マスターバッチを0.3質量部配合して、直径90mmの押出機に供給し、加熱混練し、約200℃に調整された溶融混合物とした。該溶融混合物に物理発泡剤としてノルマルブタン70質量%とイソブタン30質量%からなるブタン混合発泡剤を、該低密度ポリエチレン100質量部に対して11質量部となるように圧入し、次いで前記直径90mmの押出機の下流側に連結された直径120mmの押出機に供給して、112℃の発泡層形成用溶融樹脂を得た。

一方、帯電防止層形成のために、低密度ポリエチレン[LD1]と、該低密度ポリエチレン100質量部に対して100質量部の高分子型帯電防止剤(HS)を直径50mmの押出機に供給し、加熱溶融して約200℃に調整された溶融樹脂混合物とし、該溶融樹脂混合物に揮発性可塑剤としてノルマルブタン70質量%とイソブタン30質量%からなる混合物(表1中では単に「ブタン」と記載する)を低密度ポリエチレンと高分子型帯電防止剤との溶融混合物100質量部に対して11質量部圧入し、その後溶融樹脂温度を117℃に調整して高分子型帯電防止剤を含有する帯電防止層形成用溶融樹脂を得た。

得られた帯電防止層形成用溶融樹脂及び発泡層形成用溶融樹脂を合流ダイ中へ供給し、帯電防止層形成用溶融樹脂が発泡体層の表面層(筒状積層発泡体における外面側)と裏面層(筒状積層発泡体における内面側)を形成するように積層合流させて環状ダイから共押出して、外面側から帯電防止層/ポリエチレン系樹脂発泡層/帯電防止層の順に3層構成に積層された筒状積層発泡体を形成し、該筒状積層発泡体を冷却された円筒に沿わせて引き取りながら押出方向に沿って切開いて、目的の発泡シートを得た。なお、引取速度は、発泡シートの厚みが1mmとなるように速度を調整した。

[実施例2] 環状ダイより共押出しされた筒状積層発泡体を冷却された円筒に沿わせて引き取る速度を調整し、厚みを2mmとした以外は実施例1と同様に発泡シートを得た。

[実施例3] ノルマルブタン70質量%とイソブタン30質量%のブタン混合物からなる物理発泡剤の添加量を低密度ポリエチレン100質量部に対して17.6質量部とし、ノルマルブタン70質量%とイソブタン30質量%からなる揮発性可塑剤の添加量を低密度ポリエチレンと高分子型帯電防止剤との溶融混合物100質量部に対して17.6質量部とした以外は実施例1と同様に発泡シートを得た。

[実施例4] 高分子型帯電防止剤の添加量を低密度ポリエチレン100質量部に対して45質量部とし、帯電防止層形成用溶融樹脂の吐出量と、発泡層形成用溶融樹脂の吐出量との比を表に示した積層比率になるよう調整した以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。

[実施例5] 帯電防止層形成用溶融樹脂の温度を120℃に調整して合流ダイに導入した以外は実施例1と同様に発泡シートを得た。

[実施例6] 帯電防止層の基材樹脂として低密度ポリエチレン[LD3]を用いた以外は実施例1と同様に発泡シートを得た。

[実施例7] 帯電防止層形成用溶融樹脂に、低密度ポリエチレン[LD1]100質量部に対して高分子型帯電防止剤(VL300)を100質量部添加した以外は実施例1と同様に発泡シートを得た。

[実施例8] 帯電防止層の基材樹脂として低密度ポリエチレン[LD2]を用いた以外は実施例1と同様に発泡シートを得た。

[実施例9] 帯電防止層の基材樹脂として低密度ポリエチレン[LD4]を用いた以外は実施例1と同様に発泡シートを得た。

[実施例10] 帯電防止層形成用溶融樹脂の押出温度を140℃に調整した以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。

[比較例1] 高分子型帯電防止剤(PVH)を低密度ポリエチレン[LD1]100質量部に対して100質量部添加し、揮発性可塑剤としてノルマルブタン70質量%とイソブタン30質量%からなる混合物を11.0質量部添加後混練し、帯電防止層形成用溶融樹脂の押出温度を120℃とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。 得られた発泡シートの表面抵抗率は3.8×1010Ω、初期帯電圧は500Vであった。

[比較例2] 帯電防止層形成用溶融樹脂の基材樹脂に低密度ポリエチレン[LD2]を用い、帯電防止層形成用溶融樹脂の押出温度を117℃とした以外は比較例1と同様にして発泡シートを得た。 得られた発泡シートの表面抵抗率は1.7×1011Ω、初期帯電圧は1200Vであった。

[比較例3] 帯電防止層形成用溶融樹脂に含有される高分子型帯電防止剤HC250を低密度ポリエチレン[LD2]100質量部に対し、100質量部添加した以外は比較例2と同様にして発泡シートを得た。 得られた発泡シートの表面抵抗率は1.1×1014Ω、初期帯電圧が2400Vはあった。

[比較例4] 帯電防止層形成用溶融樹脂の押出温度を112℃に調整した以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。 得られた発泡シートの表面抵抗率は1.3×1011Ω、飽和帯電圧は1300Vであった。

[比較例5] 高分子型帯電防止剤の添加量を25質量部とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。 得られた発泡シートの表面抵抗率は3.7×1010Ω、初期帯電圧は580Vであった。 上記評価結果等をまとめて表1、2に示す。

1 ポリエチレン系樹脂発泡シート 2 ポリエチレン系樹脂発泡層 3 帯電防止層 4 ポリエチレン系樹脂 5 高分子型帯電防止剤 6 揮発性可塑剤 7 帯電防止層形成用溶融樹脂 8 ポリエチレン系樹脂 9 物理発泡剤 10 発泡層形成用溶融樹脂 11 第1の押出機 12 第2の押出機 13 環状ダイ

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