Fire-resistant phosphorus-containing epoxy resin composition and hardened product obtained thereby

申请号 JP2009032497 申请日 2009-02-16 公开(公告)号 JP2010189466A 公开(公告)日 2010-09-02
申请人 Nippon Steel Chem Co Ltd; 新日鐵化学株式会社; 发明人 GUNJI MASAO; NAKANISHI TETSUYA; KADOTA TAKASHI; KAITO JUNKO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a resin composition for use in production of a copper-clad laminate having a fire-resistant effect; and to provide a hardened product of the resin composition, which uses the composition and is excellent in fire resistance, adherence, heat resistance, and moisture resistance. SOLUTION: This fire-resistant phosphorus-containing epoxy resin composition includes a phosphorus-containing epoxy resin (X) and a curing agent (Y). The phosphorus-containing epoxy resin (X) is obtained via a reaction between an epoxy resin (a) containing 80 to 100 wt.% of a bifunctional epoxy resin with a naphthalene skeleton, and a phosphorus compound (b) based on a compound represented by formula (1). The fire-resistant phosphorus-containing epoxy resin composition has a phosphorus content greater than or equal to 0.5 wt.% and less than 2.0 wt.% of the entire epoxy resin composition. COPYRIGHT: (C)2010,JPO&INPIT
权利要求
  • リン含有エポキシ樹脂(X)と硬化剤(Y)とを含む難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物であって、前記リン含有エポキシ樹脂(X)は、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を80重量%から100重量%含有するエポキシ樹脂類(a)と、化学式(1)1モルに対して化学式(2)が0.06モル以下の比率で混合されたリン化合物類(b)を、反応して得られたリン含有エポキシ樹脂(X)であり、かつ、該難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分に対するリン含有率が0.5重量%から2.0重量%未満であることを特徴とする難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物。
  • 請求項1に記載のリン含有エポキシ樹脂(X)が、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を80重量%から95重量%含有し、平均官能基数が2.1以上の多官能エポキシ樹脂類を5重量%から20重量%未満それぞれ必須成分として含有するエポキシ樹脂類(a)によって得られた請求項1に記載の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物。
  • 請求項1または2に記載のリン含有エポキシ樹脂(X)が、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテルを80重量%から95重量%含有し、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を5重量%から20重量%未満含有するエポキシ樹脂類(a)によって得られた請求項1または2に記載の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物。
  • 請求項1または2に記載のリン含有エポキシ樹脂(X)が、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテルを80重量%から95重量%含有し、アラルキル型エポキシ樹脂を5重量%から20重量%未満含有するエポキシ樹脂類(a)によって得られた請求項1または2に記載の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物。
  • リン含有エポキシ樹脂(X)100重量部に対し50重量部以下のリン不含有エポキシ樹脂類を必須成分として含有する請求項1から請求項4のいずれかの項に記載の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物。
  • 請求項1から請求項5のいずれかの項に記載の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とするプリプレグ、絶縁接着シート、エポキシ樹脂積層板。
  • 請求項1から請求項5のいずれかの項に記載の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とするエポキシ樹脂封止材。
  • 請求項1から請求項5のいずれかの項に記載の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とするエポキシ樹脂注型材。
  • 請求項1から請求項5のいずれかの項に記載の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる難燃性リン含有エポキシ樹脂硬化物。
  • 说明书全文

    本発明は難燃性が要求されるエポキシ樹脂組成物に関する発明であり、電子回路基板に用いられる銅張積層板製造用の樹脂組成物や電子部品に用いられる封止材・成形材・注型材・接着剤・電気絶縁塗料などとして有用であり、特に銅張積層板製造用の樹脂組成物として難燃効果のみならず、密着性、耐熱性および耐湿性に優れた積層板を提供し得る難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物に関する。

    エポキシ樹脂を実際に利用する形態は液状から固形状、溶剤に溶解したワニス状などがある。 液状タイプは注型材料や接着剤用途等に広く利用され、固形タイプは封止材や粉体塗料等に利用される。 また、ワニスタイプはガラス基材やカーボンファイバー等に含浸して用いられる繊維補強プラスチック材料や溶剤型塗料として利用されている。 特にその優れた密着性、電気特性(絶縁性)のために電気電子材料部品に幅広く使用されている。

    これら電気電子材料部品は、ガラスエポキシ積層板やIC封止材に代表される様に高い難燃性(UL:V−0)が求められる為、通常はハロゲン化されたエポキシ樹脂が用いられている。 例えば、ガラスエポキシ積層板では、難燃化されたFR−4グレードとして、一般に臭素で置換されたエポキシ樹脂を主原料成分とし、これに種々のエポキシ樹脂を混合したエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤とを配合して用いられている。

    しかし、このようなハロゲン化されたエポキシ樹脂の使用は、近年のダイオキシンに代表される環境問題の一要因となっている他、高温環境下でのハロゲン解離による電気的な長期信頼性への悪影響などから、ハロゲンの使用量を低減するか、ハロゲンに代替できる他の化合物を使用した難燃剤、あるいは他の難燃処方が強く求められている。

    従来はこの様なハロゲンによる難燃処方に代わる技術として、例えばリン酸エステル系化合物などを添加系難燃剤として使用する技術が種々検討されているが、このような技術はいずれも積層板の耐熱性や耐性等の低下、難燃剤が時間とともにブリードアウトする問題、とりわけ電気積層板用途における密着性の低下が激しかった。 そこで、エポキシ樹脂と特定のリン化合物を反応させて、積層板の性能を向上させる技術が種々検討されている。 (特許文献1〜4)しかしながらこのような技術はいずれも耐熱性ではFR−4グレードが限界でそれ以上の耐熱性の向上が難しかった。 一般的に耐熱性の向上にはクレゾールノボラックエポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂を多用する方法が取られているが、難燃性の低下や接着性の低下を招いた。 最近では、鉛フリーハンダ対応のため、さらなる高温時での信頼性を高めるため硬化物の吸水率の低下や低弾性化などが求められている。 特許文献5ではナフタレンアラルキル構造を持ったエポキシ樹脂と特定のリン化合物を反応させることによって、難燃性と耐熱性向上の両立をさせているが、接着性の低下を招いた。 このようにリン含有エポキシ樹脂組成物によって難燃性を保ちながら、耐熱性向上と接着性確保の両立は難しかった。

    特開2001−288247号公報

    特開2002−249540号公報

    特開2001−123049号公報

    特許第3642403号公報

    特開2008−214513号公報

    特開昭61−268691号公報

    本発明が解決しようとする課題は、ハロゲンを使用しないで難燃性を付与したリン含有エポキシ樹脂において、高温時での信頼性を高めるため、接着性の低下を招かずに、耐熱性、耐湿性、難燃性に優れる難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。

    即ち本発明の要旨は、リン含有エポキシ樹脂(X)と硬化剤(Y)とを含む難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物であって、前記リン含有エポキシ樹脂(X)は、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を80重量%から100重量%含有するエポキシ樹脂類(a)と、化学式(1)1モルに対して化学式(2)が0.06モル以下の比率で混合されたリン化合物類(b)を反応して得られたリン含有エポキシ樹脂(X)であり、かつ、該難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分に対するリン含有率が0.5重量%から2.0重量%未満であることを特徴とする難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物である。

    本発明によるエポキシ樹脂組成物を用いると、難燃性と併せて、接着、耐熱性、耐湿性とも優れており、さらに、線膨張係数の低い硬化物が得られる。 リン含有率が0.5重量%から2.0重量%未満で難燃性であり、高い耐熱性と低い吸水率の硬化物を得ることができる。

    以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。 本発明に用いるエポキシ樹脂類(a)は、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂を必須成分として80重量%から100重量%含有する。

    ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類としては、エポトートZX−1355(東都化成株式会社製、1,4−ナフタレンジオール型エポキシ樹脂)、エポトートZX−1711(東都化成株式会社製、2,5−ナフタレンジオール型エポキシ樹脂)などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、また2種類以上併用しても良い。

    また、2官能エポキシ樹脂類としてはナフタレン骨格を有することが必須である。 ナフタレン骨格を有さない2官能エポキシ樹脂では耐熱性の向上が図れず、しかも、難燃性の低下を招き、高耐熱用途で使用可能な組成物が得られない。

    さらに、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類は、エポキシ樹脂類(a)中の80重量%以上にする必要がある。 80重量%未満では接着性の低下が激しく、実用性に乏しい組成物しか得られない。

    ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を80重量%以上使用すれば、耐熱性や接着性を十分満足できるが、より難燃性や耐熱性の向上を図るため、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂類を20重量%未満の範囲で含有させても良いが、難燃性の観点から脂肪族系エポキシ樹脂は好ましくなく、耐熱性の観点から平均官能基数が2.1以上の多官能エポキシ樹脂類が好ましい。

    平均官能基数が2.1以上の多官能エポキシ樹脂類としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。 具体例としては、エポトートYDPN−638(東都化成株式会社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、エポトートYDCN−701、エポトートYDCN−702、エポトートYDCN−703、エポトートYDCN−704(東都化成株式会社製、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、エポトートESN−175(東都化成株式会社製、β−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂)、エポトートESN−475V、エポトートESN−485(東都化成株式会社製、α−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂)、エポトートESN−375(東都化成株式会社製、ジナフトールアラルキル型エポキシ樹脂)、EPPN−501H、EPPN−502(日本化薬株式会社製、3官能エポキシ樹脂)、NC−3000(日本化薬株式会社製、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂)などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、また2種類以上併用しても良い。 これらの中では、特に置換基のないフェノールノボラック型エポキシ樹脂やナフトールアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。

    特許文献1ではナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を最大45重量%含有するエポキシ樹脂で得られたリン含有エポキシ樹脂を開示しているが、75重量%未満のため耐熱性が十分ではなかった。 特許文献5ではナフトールアラルキル型エポキシ樹脂で得られたリン含有エポキシ樹脂を開示しているが、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を使用していないため耐熱性は十分だが、接着性がやや劣っていた。

    本発明に用いるリン化合物類(b)は、化学式(1)で表される化合物1モルに対して、化学式(2)で表される化合物を0.06モル以下の比率で混合されたリン化合物類であることが必須である。

    化学式(1)で表される化合物の代表例は、化学式(2)で表される化合物である9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドとキノン類である1,4−ナフトキノンとの反応で得られたリン化合物である。

    リン化合物類(b)は、あらかじめ合成しておいた化学式(1)で表される化合物と化学式(2)で表される化合物を混合して用いても良いし、エポキシ樹脂類(a)との反応前に化学式(2)で表される化合物と1,4−ナフトキノンを化学式(2)で表される化合物1モルに対し0.94モルから1.00モルの1,4−ナフトキノンを反応させても良い。 エポキシ樹脂類(a)との反応前に化学式(2)で表される化合物と1,4−ナフトキノンを反応させる場合、化学式(2)で表される化合物1モルに対し1,4−ナフトキノンを1.00モル以上使用すると、得られるリン含有エポキシ樹脂(X)中に原料の1,4−ナフトキノンが残存し、硬化物の耐湿性が悪化するため好ましくない。

    化学式(2)で表される化合物が0.06モルを越える場合、リン含有率の調整が容易なため難燃性の向上や粘度低下に効果があるが、1官能の化学式(2)で表される化合物とエポキシ基の反応が多く起こり、エポキシ基数が低下するため、硬化物の接着性の低下や耐熱性の低下や耐湿性の低下が起こり、高耐熱用途での電気絶縁信頼性が著しく低下する。 化学式(2)で表される化合物を用いない場合、化学式(1)で表される化合物をあらかじめ製造する必要がある。 この化合物の製造には多くの工程が必要であり生産性が悪く工業的に不利益である。 さらに、エポキシ樹脂類(b)との反応において、最終的なリン含有エポキシ組成物中のリン含有率を高く設定すると得られるリン含有エポキシ樹脂の分子量が増大し、樹脂粘度が上昇しすぎるため、ガラスクロスとの含浸性も著しく悪化し工業的に不利益になるばかりか、得られる積層板の物性、特にハンダ耐熱性が悪化し、その上積層板の弾性率も高くなりやすく、近年の低弾性化傾向に不都合である。 そのため、化学式(1)で表される化合物1モルに対する化学式(2)で表される化合物のモル比は、0.06モル以下であり、好ましくは、0.01モルから0.05モルである。

    特許文献4ではナフタレンジオール型エポキシ樹脂で得られたリン含有エポキシ樹脂を開示しているが、残存する化学式(2)で表される化合物について考慮されていなく、実施例では1:0.92モルで反応しているため、化学式(2)で表される化合物が多く残存し耐熱性は若干劣り、高耐熱用途での電気絶縁信頼性が著しく低下した。

    本発明に用いるエポキシ樹脂類(a)とリン化合物類(b)との反応の際に、リン化合物類(b)以外の2官能以上のフェノール化合物類を使用してもかまわない。 2官能以上のフェノール化合物類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ナフタレンジオール、ビフェノール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、グリオキザールテトラフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェノールアラルキル樹脂などが挙げられる。 特に難燃性の観点からナフタレンジオールやビフェノールが好ましい。 2官能以上のフェノール化合物類を使用する目的は、エポキシ樹脂類(a)とリン化合物類(b)とを反応する際、リン含有率や軟化点やエポキシ当量を調整するためなので、リン化合物類(b)と2官能以上のフェノール化合物類との量的割合は、リン含有エポキシ樹脂(X)のリン含有率や軟化点やエポキシ当量によって適宜変更する。

    また、本発明に用いるエポキシ樹脂類(a)とリン化合物類(b)との反応は公知の方法で行うことが可能であり、反応温度として100℃〜200℃より好ましくは120℃〜180℃で攪拌下行うことができる。 反応時間はエポキシ当量の測定を行って決定することができる。 測定にはJIS K−7236の方法により測定可能である。 エポキシ樹脂類(a)とエポキシ樹脂とリン化合物類(b)との反応によりエポキシ当量は大きくなっていき、理論エポキシ当量との比較により反応終点を決定できる。

    また、反応の速度が遅い場合、必要に応じて触媒を使用して生産性の改善を計ることができる。 具体的にはベンジルジメチルアミン等の第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等各種触媒が使用可能である。

    本発明の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分に対するリン含有率は0.5重量%から2.0重量%未満であることが必須である。 0.5重量%未満では十分な難燃性を付与することができない。 2.0重量%以上では、リン含有エポキシ樹脂中のリン成分の影響で硬化物の耐湿性が低下し高耐熱用途での信頼性が著しく低下する。

    難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分に対するリン含有率が0.5重量%から2.0重量%に調整する必要性から、リン含有エポキシ樹脂(X)100重量部に対して、リン不含有エポキシ樹脂を0重量部から50重量部配合することができる。 50部以上配合しようとすると、難燃性を損なわないようにリン含有エポキシ樹脂(X)のリン含有率を高める必要があり、この場合、難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物の耐熱性が大幅に低下してしまう。 リン不含有エポキシ樹脂としては難燃性の観点から脂肪族系エポキシ樹脂は好ましくなく、耐熱性の観点から好ましくは平均官能基数が2.1以上の多官能エポキシ樹脂類であり、前述したエポキシ樹脂類が好ましい。 特にリン不含有エポキシ樹脂類として平均官能基数が2.1以上の多官能エポキシ樹脂を使用する場合、50重量部以下であれば耐熱性、難燃性を損なうことなく本発明の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物を得ることができる。 より好ましくはリン含有エポキシ樹脂(X)100重量部に対して、リン不含有エポキシ樹脂を0重量部から25重量部である。

    本発明のリン含有エポキシ樹脂(X)のリン含有率は、0.5重量%〜3.5重量%の範囲であれば良く、好ましくは0.8重量%〜3.0重量%、より好ましくは1.2重量%〜2.7重量%、さらに好ましくは1.5重量%〜2.3重量%である。 リン含有率が0.5重量%未満になると難燃性の確保が難しくなる。 3.5重量%を越えると樹脂粘度が著しく高くなり合成が難しくなり、樹脂の分子量が増大するため、耐熱性に悪影響を与え、さらにガラスクロスへの含浸性も悪化し工業的に不利益になるばかりか、得られる積層板の物性、特にハンダ耐熱性が悪化する。 また、リン含有エポキシ樹脂(X)以外のエポキシ樹脂を用いない場合では、リン含有エポキシ樹脂(X)のリン含有率は、0.5重量%〜2.0重量%未満にすることが必須になる。

    本発明のリン含有エポキシ樹脂(X)のエポキシ当量は好ましくは200g/eq〜600g/eq、より好ましくは230g/eq〜550g/eq、更に好ましくは250g/eq〜500g/eqである。 エポキシ当量が200g/eq未満の場合は接着性に劣り、600g/eqを越えると耐熱性に悪影響を与えるために200g/eq〜600g/eqに調整することが望ましい。

    本発明の硬化剤(Y)としては、フェノールノボラック樹脂を代表とする各種多価フェノール樹脂類や酸無水物類、ジシアンジアミドを代表とするアミン類、ヒドラジッド類、酸性ポリエステル類等の通常使用されるエポキシ樹脂用硬化剤を使用することができ、これらの硬化剤は1種類だけ使用しても2種類以上使用しても良い。

    本発明組成物には必要に応じて第3級アミン、第4級アンモニウム塩、ホスフィン類、イミダゾール類等の硬化促進剤を配合することができる。 また、必要に応じて無機充填剤やガラスクロス・アラミド繊維などの補強材、充填材、顔料等を配合しても良い。

    本発明の難燃性リン含有エポキシ樹脂組成物を使用して得られた積層板の特性の評価を行った結果、高耐熱性で低吸水率であり、高温時での信頼性が高い硬化物を得ることが可能である。 該エポキシ樹脂組成物及びその硬化物は、電子回路基板に用いられる銅張積層板の製造用樹脂組成物や電子部品に用いられる封止材、成形材、注型材、接着剤、フィルム材、電気絶縁塗料用材料などとして有用であることがわかった。

    以下、合成例、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は実施例のみに制限されるものではない。 なお、合成例、実施例及び比較例における各成分の配合部数は、特に断らない限り重量部を示すものである。

    また、本発明では以下の分析方法を使用した。
    エポキシ当量:JIS K−7236に記載の方法。 即ち、試料をクロロホルム10mLに溶解し、無水酢酸20mL、20%の臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液10mLをそれぞれ加えて、電位差滴定装置を用いて0.1mol/L過塩素酸酢酸標準液で滴定した。

    軟化点:JIS K−7234に記載の環球法。 即ち、試料を溶融脱泡し環に注ぎ込み、グリセリン浴にて測定した。

    リン含有率:硝酸−過塩素酸分解法。 即ち、試料に硫酸、硝酸、過塩素酸を加えて熱分解し、全てのリンを正リン酸とした後、硫酸酸性溶液中で0.25%バナジン酸アンモニウム溶液及び5%モリブデン酸アンモニウム溶液を反応させ、生じたリン−バナードモリブデン酸錯体の発色を波長420nmにおける吸光度を測定し、検量線によってリン含有率を求めた。

    銅箔剥離強さ:JIS C−6481 5.7に記載の方法。 即ち、銅箔と絶縁板との間で直方向に50mm/minの速度で剥離を行い測定した。

    層間剥離強度:JIS C−6481 5.7に準じた方法。 即ち、プリプレグ1枚と残りの3枚の間で直角方向に50mm/minの速度で剥離を行い測定した。

    難燃性:UL(Underwriters Laboratories)規格、UL94垂直試験法に準じて測定を行い、同規格の判定基準である、V−0、V−1、V−2、NG(難燃性なし)の4水準で判定した(後になるほど難燃性が悪い)。

    ガラス転移温度:TMA法。 即ち、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製TMA/SS120Uを分析装置に使用し、熱機械分析(TMA)にて10℃/分の昇温速度で測定した。

    線熱膨張係数:TMA法。 即ち、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製TMA/SS120Uを分析装置に使用し、熱機械分析(TMA)にて10℃/分の昇温速度で測定した、50℃から150℃での変位として求めた。

    吸水率:JIS C−6481 5.13に準じた方法。 即ち、50mm×50mmにカットした試験片を用いて、50℃のオーブン中で24時間乾燥した後の乾燥重量を測定し、引き続き85℃/85%RHに調整した処理槽内に120時間保管した後の重量を測定し、乾燥重量からの増加分に基づいて吸湿率を測定した。

    ハンダ耐熱性:JIS C−6481 5.5に準じた方法。 即ち、25mm×25mmにカットした試験片を用いて、100℃、2時間煮沸後の試験片を、n=5で、288℃の半田浴に20秒間浸け、5点とも膨れや剥がれを生じなかったものを○とし、1つでも生じたものを×とした。

    合成例1
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、化学式(2)で示されるリン化合物としてHCA(三光株式会社製、リン含有率:14.2重量%)64.0gとトルエン150gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱して完全に溶解した。 その後、キノン類として1,4−ナフトキノン(川崎化成工業株式会社製、3%含水品)45.9gを反応熱による昇温に注意しながら分割投入した。 この時の1,4−ナフトキノンとHCAのモル比は1,4−ナフトキノン/HCA=0.95であった。 加熱反応後、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(東都化成株式会社製、2,5−ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、エポキシ当量:146g/eq)317.1gと、平均官能基数が2.1以上の多官能エポキシ樹脂としてエポトートYDPN−638(東都化成株式会社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:176g/eq)74.4gを仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、130℃まで加熱を行ってトルエンを系外に除去した。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(北興化学工業株式会社製、製品名:TPP)を0.11g添加して、反応温度を160℃〜165℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Aを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Aのエポキシ当量は260g/eq、リン含有率は1.8重量%、軟化点は73℃であった。

    合成例2
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、化学式(2)で示されるリン化合物としてHCA(前述)64.0gとトルエン150gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱して完全に溶解した。 その後、キノン類として1,4−ナフトキノン(前述)47.3gを反応熱による昇温に注意しながら分割投入した。 この時の1,4−ナフトキノンとHCAのモル比は1,4−ナフトキノン/HCA=0.98であった。 加熱反応後、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(前述)395.0gを仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、130℃まで加熱を行ってトルエンを系外に除去した。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(前述)を0.11g添加して、反応温度を160℃〜165℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Bを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Bのエポキシ当量は251g/eq、リン含有率は1.8重量%、軟化点は76℃であった。

    合成例3
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、化学式(2)で示されるリン化合物としてHCA(前述)30.0gとトルエン70gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱して完全に溶解した。 その後、キノン類として1,4−ナフトキノン(前述)22.1gを反応熱による昇温に注意しながら分割投入した。 この時の1,4−ナフトキノンとHCAのモル比は1,4−ナフトキノン/HCA=0.98であった。 加熱反応後、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(前述)350.0gと、平均官能基数が2.1以上の多官能エポキシ樹脂としてエポトートESN−485(東都化成株式会社製、α−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、エポキシ当量:269g/eq)82.1gを仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、130℃まで加熱を行ってトルエンを系外に除去した。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(前述)を0.05g添加して、反応温度を160℃〜165℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Cを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Cのエポキシ当量は215g/eq、リン含有率は0.8重量%、軟化点は66℃であった。

    合成例4
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、化学式(2)で示されるリン化合物としてHCA(前述)75.0gとトルエン175gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱して完全に溶解した。 その後、キノン類として1,4−ナフトキノン(前述)55.9gを反応熱による昇温に注意しながら分割投入した。 この時の1,4−ナフトキノンとHCAのモル比は1,4−ナフトキノン/HCA=0.99であった。 加熱反応後、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(前述)339.5gと、2官能以上のフェノール化合物として4,4'−ビフェノール(新日鐵化学株式会社製、水酸基当量:93g/eq)18.0gを仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、130℃まで加熱を行ってトルエンを系外に除去した。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(前述)を0.15g添加して、反応温度を160℃〜165℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Dを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Dのエポキシ当量は353g/eq、リン含有率は2.1重量%、軟化点は100℃であった。

    合成例5
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(前述)337.2g、平均官能基数が2.1以上の多官能エポキシ樹脂としてエポトートESN−485(前述)17.7g、化学式(1)で示されるリン化合物として9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(2,7−ジヒドロキシナフチル)−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド(特許文献6に記載の方法であらかじめ合成した、以下HCA−NQと略す)159.8g、化学式(2)で示されるリン化合物としてHCA(前述)2.7gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら130℃まで加熱した。 この時の化学式(1)で示されるリン化合物1モルに対して化学式(2)で示されるリン化合物は0.03モルであった。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(前述)を0.16g添加して、反応温度を160℃〜165℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Eを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Eのエポキシ当量は359g/eq、リン含有率は2.5重量%、軟化点は104℃であった。

    合成例6
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(前述)400.0g、化学式(1)で示されるリン化合物としてHCA−NQ(前述)62.0g、2官能以上のフェノール化合物として4,4'−ビフェノール(前述)40.0gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら130℃まで加熱した。 この時、化学式(2)で示されるリン化合物は使わなかった。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(前述)を0.1g添加して、反応温度を160℃〜165℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Fを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Fのエポキシ当量は269g/eq、リン含有率は1.0重量%、軟化点は96℃であった。

    合成例7
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、化学式(2)で示されるリン化合物としてHCA(前述)103.6gとトルエン240gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱して完全に溶解した。 その後、キノン類として1,4−ナフトキノン(前述)53.4gを反応熱による昇温に注意しながら分割投入した。 この時の1,4−ナフトキノンとHCAのモル比は1,4−ナフトキノン/HCA=0.68であった。 加熱反応後、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(前述)226.4gと、平均官能基数が2.1以上の多官能エポキシ樹脂としてエポトートYDPN−638(前述)117.3gを仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、130℃まで加熱を行ってトルエンを系外に除去した。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(前述)を0.16g添加して、反応温度を160℃〜165℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Gを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Gのエポキシ当量は365g/eq、リン含有率は3.0重量%、軟化点は110℃であった。

    合成例8
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、化学式(2)で示されるリン化合物としてHCA(前述)64.8gとトルエン150gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱して完全に溶解した。 その後、キノン類として1,4−ナフトキノン(前述)44.5gを反応熱による昇温に注意しながら分割投入した。 この時の1,4−ナフトキノンとHCAのモル比は1,4−ナフトキノン/HCA=0.91であった。 加熱反応後、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(前述)192.0gと、2官能エポキシ樹脂としてエポトートYD−128(東都化成株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:187g/eq)192.0gを仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、130℃まで加熱を行ってトルエンを系外に除去した。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(前述)を0.11g添加して、反応温度を160℃〜165℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Hを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Hのエポキシ当量は288g/eq、リン含有率は1.9重量%、軟化点は70℃であった。

    合成例9
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、化学式(2)で示されるリン化合物としてHCA(前述)70.0gとトルエン160gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱して完全に溶解した。 その後、キノン類として1,4−ナフトキノン(前述)46.4gを反応熱による昇温に注意しながら分割投入した。 この時の1,4−ナフトキノンとHCAのモル比は1,4−ナフトキノン/HCA=0.88であった。 加熱反応後、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(前述)300.0gを仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、130℃まで加熱を行ってトルエンを系外に除去した。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(前述)を0.12g添加して、反応温度を160℃〜165℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Iを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Iのエポキシ当量は301g/eq、リン含有率は2.4重量%、軟化点は96℃であった。

    合成例10
    攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としてエポトートZX−1711(前述)281.0g、化学式(1)で示されるリン化合物としてHCA−NQ(前述)209.0gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら130℃まで加熱した。 この時、化学式(2)で示されるリン化合物は使わなかった。 その後触媒としてトリフェニルホスフィン(前述)を0.21g添加して、反応温度を170℃〜190℃に保ちながら4時間反応して、リン含有エポキシ樹脂Jを得た。 得られたリン含有エポキシ樹脂Jのエポキシ当量は608g/eq、リン含有率は3.5重量%、軟化点は140℃であった。

    実施例1〜7及び比較例1〜4
    表1に示す配合処方によりリン含有エポキシ樹脂(X)、硬化剤(Y)、その他のエポキシ樹脂、硬化促進剤等を配合した。 リン含有エポキシ樹脂とその他のエポキシ樹脂をメチルエチルケトンで溶解させ、あらかじめメチルセロソルブ、ジメチルホルムアミドに溶解させておいた硬化剤(Y)としてジシアンジアミド(DICY、活性水素当量:21.0g/eq)と硬化促進剤として2エチル4メチルイミダゾール(四国化成株式会社製、2E4MZ)を加えて、不揮発分が50重量%になるように樹脂ワニスを調製した。 その後、得られた樹脂ワニスを用い、基材であるガラスクロス(日東紡績株式会社製、WEA 116E 106S 136、厚み100μm)に含浸させ、含浸させたガラスクロスを150℃の熱風循環式オーブンで8分間乾燥を行い、プリプレグを得た。 次いで、得られたプリプレグ4枚と銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC−III、厚み35μm)を重ね、130℃×15分及び170℃×2.0MPa×70分間の条件で加熱と加圧を行い0.6mm厚の積層板を得た。 得られた各々の積層板について、銅箔剥離強さ、層間剥離強度、難燃性、ガラス転移温度、線熱膨張係数、吸水率、ハンダ耐熱性の各物性を試験した。 その結果を表2に示す。

    実施例1〜実施例5と比較例1〜比較例3は、エポキシ樹脂類(a)との反応前に化学式(2)で表される化合物と1,4−ナフトキノンを反応させて得られたリン化合物類(b)を用いて反応したリン含有エポキシ樹脂を使用し、実施例6はあらかじめ合成しておいた化学式(1)で表される化合物と化学式(2)で表される化合物をリン化合物類(b)として用いて反応したリン含有エポキシ樹脂を使用し、実施例7と比較例4はあらかじめ合成しておいた化学式(1)で表されるリン化合物だけを用いて反応したリン含有エポキシ樹脂を使用した。

    比較例1は、リン含有エポキシ樹脂を合成する時にナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を66重量%しか使っていなく、また、化学式(1):化学式(2)のモル比が1:0.46と化学式(2)のリン化合物を多量に使用しているため、吸水率が1.2%と高く耐湿性が悪く、ハンダ耐熱性も悪い。 また、多官能エポキシ樹脂を多用しているにもかかわらずガラス転移温度も155℃で、耐熱性がそれほど高いとは言えない。 層間剥離強度も1.0kN/mに達していなく実用性のある積層板になっていない。 比較例2は、リン含有エポキシ樹脂を合成する時にナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を50重量%しか使っていなので、リン含有率が2重量%未満では難燃性がなく、耐熱性や耐湿性も悪い。 比較例3は、リン含有エポキシ樹脂を合成する時にナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を100重量%使っているが、化学式(1):化学式(2)のモル比が1:0.14と化学式(2)のリン化合物を多く使用しているため、層間剥離強度は1.0kN/mに達していないし、耐熱性がそれほど高いとは言えない。 比較例4は、リン含有エポキシ樹脂を合成する時にナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を100重量%使っていて、化学式(2)のリン化合物を使っていないが、リン含有率が3.5重量%と高いため、樹脂の軟化点が140℃と高くガラスクロスへの含浸性が悪化したため、層間剥離強度は1.0kN/mに達していないし、ハンダ耐熱性が悪い。

    これに対して、化学式(1)で表される化合物1モルに対し化学式(2)で表される化合物を0.06モル以下にして、ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂類を75重量%以上使用して合成したリン含有エポキシ樹脂を必須成分にし、エポキシ樹脂のリン含有率を0.5重量%〜2.0重量%未満にした実施例1から7では難燃性と併せて、接着力、耐熱性、耐湿性とも優れている。 また、実施例4や実施例7のように、リン含有率が1重量%以下でも難燃性を満足できるので耐湿性の良い積層板が得られている。 実施例2、3、5、6のようにリン不含有エポキシ樹脂を併用することも可能であり、高い耐熱性を得るとともに接着力、難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。 さらに、本発明によるエポキシ樹脂組成物を用いると、線膨張係数の低い積層板が得られる。

    本発明は、特に電子回路基板に用いられる銅張積層板をはじめとする電気絶縁材料に最適であり、電子部品に用いられる封止材・成形材・注型材・接着剤・フィルム材に適しており、さらに電気絶縁塗料用材料としても有効である。

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