Shaped body and a method for manufacturing having a hollow structure |
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申请号 | JP2013556709 | 申请日 | 2013-12-11 | 公开(公告)号 | JP5578290B1 | 公开(公告)日 | 2014-08-27 |
申请人 | 東レ株式会社; | 发明人 | 聖 藤岡; 敦岐 土谷; | ||||
摘要 | 面形状を有する表層部および突起形状を有する芯材部から構成される第1の部材(I)と、第2の部材(II)が一体化されてなる成形体であって、 第1の部材(I)が強化繊維(a1)とマトリックス樹脂(a2)から構成される繊維強化樹脂(A)であって、 強化繊維(a1)が表層部と芯材部に横断的に跨って存在しており、横断的に跨って存在する強化繊維(a1)が表層部と芯材部の境界面において400本/mm 2 以上存在し、強化繊維(a1)の数平均繊維長Lnが1mm以上であり、芯材部によって形成される中空構造を有する成形体によって、市場で要求される剛性を満足しつつ、軽量性を満たす成形体および一体 化成 形品とすることができる。 |
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权利要求 | 面形状を有する表層部および突起形状を有する芯材部から構成される第1の部材(I)と、第2の部材(II)が一体化されてなる成形体であって、 第1の部材(I)が強化繊維(a1)とマトリックス樹脂(a2)とから構成される繊維強化樹脂(A)であって、 強化繊維(a1)が表層部と芯材部に横断的に跨って存在しており、横断的に跨って存在する強化繊維(a1)が表層部と芯材部の境界面において400本/mm 2以上存在し、強化繊維(a1)の数平均繊維長Lnが1mm以上であり、芯材部によって形成される中空構造を有する成形体。 芯材部における強化繊維(a1)の二次元配向角θrが10〜80度である、請求項1に記載の成形体。 第1の部材(I)において、下記式で計算される表層部と芯材部の均質度が70%以上である、請求項1または2に記載の成形体。 Vff:表層部における強化繊維重量充填率(%) 表層部と芯材部に横断的に跨って存在する強化繊維(a1)において、芯材部に跨っている繊維長さLr(μm)と表層部に跨っている繊維長さLf(μm)の長さの関係が、Lr≦Lfの場合、次式(1)を、Lr>Lfの場合、次式(2)を用いて計算される、繊維長比率Lpが30〜50%であり、かつ芯材部に跨っている繊維長さLr(μm)と表層部に跨っている繊維長さLf(μm)の長さの関係が、Lr≦Lfの場合、次式(3)を、Lr>Lfの場合、次式(4)を用いて計算される、繊維補強度Frが10以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。 芯材部の投影面積が、表層部の投影面積に対して5〜80%である、請求項1〜4のいずれかに記載の成形体。 第2の部材(II)が、第1の部材(I)と同様の突起形状を有する芯材部を備えた部材である、請求項1〜5のいずれかに記載の成形体。 第1の部材(I)および/または第2の部材(II)を構成する突起形状によって形成される中空構造の最大投影面の形状が、円形、楕円形、ひし形、正三角形、正方形、長方形および正六角形からなる群より選ばれる少なくとも1つの形状である、請求項1〜6のいずれかに記載の成形体。 少なくとも下記(i)、(ii)のいずれかを満たす、請求項1〜7のいずれかに記載の成形体: (i)成形体の最大厚みが3.0mm以下である; (ii)成形体の比重が1.0以下である。 第1の部材(I)および/または第2の部材(II)を構成する突起形状の高さが2.0mm以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の成形体。 強化繊維(a1)が、少なくとも下記(iii)、(iv)のいずれかを満たす、請求項1〜9のいずれかに記載の成形体: (iii)強化繊維(a1)が不連続かつ単繊維でランダム分散している; (iv)強化繊維(a1)が炭素繊維である。 マトリックス樹脂(a2)が、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂である、請求項1〜10のいずれかに記載の成形体。 請求項1〜11のいずれかに記載の成形体と、別の構造部材から構成される第3の部材(III)が接合された一体化成形品。 成形体が面板であり、第3の部材(III)がフレーム部分を有し、かつ面板とフレーム部分とが一体化された一体化成形品であって、電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品、または建材に用いられる請求項12に記載の一体化成形品。 請求項1〜11のいずれかに記載の成形体の製造方法であって、第1の部材(I)を得るに際して、下記式で表される濃度パラメーターpが2×10 4以上であって1×10 8以下である繊維強化樹脂層(X)と、濃度パラメーターpが1×10 1以上であって、繊維強化樹脂層(X)の濃度パラメーターの0.1倍以下である繊維強化樹脂層(Y)を含むプリフォームを、第1の部材(I)を構成する突起形状を有する芯材部を形成するための凹形状を有する金型とそれに対向する対向金型とを用いてプレス成形する成形体の製造方法。 Ln:強化繊維の数平均繊維長(mm) プリフォームは、繊維強化樹脂層(X)と繊維強化樹脂層(Y)とが積層されてなるものである、請求項14に記載の成形体の製造方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、中空構造を有する、繊維強化樹脂を用いた成形体に関する。 繊維強化樹脂(FRP)を用いたサンドイッチ構造体や中空構造体は、力学特性を確保しつつ軽量性を高めた構造体として、航空機や自動車などの輸送機器用途、耐震補強材などの建築構造物用途、近年では、薄肉性を必要とするパソコンなどの電気・電子機器筐体などに広く用いられている。 特許文献1には、等方的に力学特性に優れた、複雑形状の成形品を得ることが可能なプリプレグが開示され、その技術は積層成形品には不向きであった薄型成形品に有用であるとされているが、特許文献1には、一般的なリブ形状に関する記載はあるものの、そこで開示された成形品では、強度および剛性に優れたリブ形状が形成されていないため、外力に対して欠点部を有するものとなりうる。 特許文献2には、空隙部位を有する構造を形成してなる軽量な芯材と、その芯材の両面に連続した強化繊維とマトリクス樹脂で構成される繊維強化材が配置されたサンドイッチ構造体が開示され、その技術は薄肉かつ軽量で剛性の高い成形体を得るうえで有用であるとされているが、そのサンドイッチ構造体は芯材と繊維強化材が接着されて一体化されており、接着面が異なる材料同士の界面となっているため、成形体において欠点部を有したものとなりうる。 特許文献3には、表皮層と繊維補強樹脂層から構成される表皮一体成形品が開示され、その技術は表皮層と三次元方向に補強繊維が配向した樹脂層の間に二次元方向に補強繊維が配向した樹脂層を存在させることにより、リブ等の複雑形状が容易に形成でき、かつ表面にボイドの影響が低減される点で有用なものとされているが、リブを形成する樹脂層に存在する補強繊維の繊維長は非常に短く、効果的にリブ等を補強できるものではない。 また成形過程により、補強繊維の配向が乱れることが懸念され、外力に対して虚弱方向が生じうる。 特許文献4には、熱可塑性樹脂から構成され、空隙部を有する構造を形成してなる補強ボードの製造方法が開示され、この製造方法で得られる補強ボードは、2枚の盛上り凸部を有するシート同士を接着一体化することによって、容易に肉厚化を達成することが可能とされているが、熱可塑性樹脂のみからなるため、凸部の強度が低く、構造体全体に面荷重が付与された場合に本来の形態を維持できないと考えられる。 これらの特許文献2〜4の成形体に曲げ応力が加えられた場合、中央面(中立軸)から両表面に向けて応力が最大となる分布となることが知られており、このような欠点となりうる接着面や強度の弱いリブの根元が成形体の表面付近に存在することは、成形体の機械的特性を低下させる原因となることが考えられる。 本発明の目的は、斯かる従来技術が有する問題に鑑み、曲げ応力が加わっても破壊しにくく、かつ、剛性および軽量性に優れた中空構造を有する繊維強化樹脂成形体を提供することにある。 また本発明の他の目的は、この成形体を容易に形成する製造方法を提供することにある。 上述の課題を解決するための本発明は、面形状を有する表層部および突起形状を有する芯材部から構成される第1の部材(I)と、第2の部材(II)が一体化されてなる成形体であって、第1の部材(I)が強化繊維(a1)とマトリックス樹脂(a2)とから構成される繊維強化樹脂(A)であって、強化繊維(a1)が表層部と芯材部に横断的に跨って存在しており、横断的に跨って存在する強化繊維(a1)が表層部と芯材部の境界面において400本/mm 2以上存在し、強化繊維(a1)の数平均繊維長Lnが1mm以上であり、芯材部によって形成される中空構造を有する成形体を提供する。 従来、サンドイッチ構造を有する成形体は、金属や繊維強化樹脂などの剛性の高い材料を表皮材として最外層に配置し、発泡体やハニカム構造体などの軽量性の高い材料を芯材として中心部に挟みこみ、一体化してなる成形体であり、これらの一体化成形体に対して曲げ応力が加えられた場合、中央面(中立軸)から最外層に向けて応力が最大となることは一般的に知られている。 異種材料の接着は容易ではなく、この異種材料同士の接着部は成形体において虚弱部となりうるため、このような接着部が成形体の最外層側に存在することは、成形体の機械特性を低下させる原因となることが考えられる。 しかしながら、本発明においては、強化繊維(a1)とマトリックス樹脂(a2)から構成される繊維強化樹脂(A)から表層部と芯材部が構成されていることから、これらの部位の間に接着部が存在せず、また数平均繊維長Lnが1mm以上の強化繊維(a1)が表層部と芯材部の境界面において400本/mm 2以上で効果的に跨って存在することにより、より剛性の高い芯材部が形成されるため、曲げ応力が負荷された場合でも、高い剛性を維持することができる。 本発明の成形体では、芯材部において、後述する強化繊維(a1)の二次元配向角θrが10〜80度であることが好ましい。 このような状態で強化繊維が芯材部に存在することで、外力に対して等方的な物性を示し、成形体の設計自由度を高めることができる。 本発明の成形体では、第1の部材(I)において、後述する表層部と芯材部の均質度が70%以上であることが好ましい。 このような状態とすることで、表層部または芯材部のどちらか一方が極端に繊維強化されていない状態を回避することができ、成形体全体の剛性を向上させることができる。 本発明の成形体では、表層部および芯材部に横断的に跨って存在する強化繊維(a1)において、芯材部に跨っている繊維長さLr(μm)と表層部に跨っている繊維長さLf(μm)の長さの関係が、Lr≦Lfの場合、後記する式(1)を、Lr>Lfの場合、後記する式(2)を用いて計算される、繊維長比率Lpが30〜50%であり、かつ芯材部に跨っている繊維長さLr(μm)と表層部に跨っている繊維長さLf(μm)の長さの関係が、Lr≦Lfの場合、後記する式(3)を、Lr>Lfの場合、後記する式(4)を用いて計算される、繊維補強度Frが10以上であることが好ましい。 このような繊維長比率で強化繊維が表層部および芯材部に横断的に跨って存在することは、強化繊維の中央部付近に表層部と芯材部の境界面が存在することであり、芯材部が表層部に強固に形成され、芯材部の根元を効果的に補強することができる。 また、このような繊維補強度とすることは、各部に長い強化繊維長を有した強化繊維が存在することであり、芯材部および表層部の補強を強固にすることができる。 本発明の成形体では、芯材部の投影面積が、表層部の投影面積に対して5〜80%であることが好ましい。 このような割合で芯材部が存在することで、成形体の剛性および軽量性を両立することができる。 本発明の成形体では、第2の部材(II)が、第1の部材(I)と同様の突起形状を有する芯材部を備えた部材であることが好ましい。 このような部材を用いることで、容易に成形体の厚みを厚くすることが可能となり、剛性を高め、かつ軽量性を向上させることができる。 また虚弱部となりうる接着部を中央面(中立軸)付近に配置することが可能となり、成形体の剛性をさらに高めることができる。 本発明の成形体では、第1の部材(I)を構成する突起形状によって形成される中空構造の最大投影面の形状、または第2の部材(II)を構成する突起形状によって形成される中空構造の最大投影面の形状が、円形、楕円形、ひし形、正三角形、正方形、長方形および正六角形からなる群より選ばれる少なくとも1つの形状であることが好ましい。 このような形状を規則的に配列することにより、成形体全体で均質的な特性を示すことができる。 かかる観点から、第1の部材(I)を構成する突起形状によって形成される中空構造の最大投影面の形状、および第2の部材(II)を構成する突起形状によって形成される中空構造の最大投影面の形状がいずれも、円形、楕円形、ひし形、正三角形、正方形、長方形および正六角形からなる群より選ばれる少なくとも1つの形状であることがより好ましい。 本発明の成形体は、その最大厚みが、3.0mm以下であることが好ましい。 このような厚みを有する成形体によれば、成形体の薄肉性を満足することができる。 本発明の成形体は、その比重が、1.0以下であることが好ましい。 このような比重とすることで、成形体の軽量性を満足することができる。 本発明の成形体は、第1の部材(I)を構成する突起形状の高さ、または第2の部材(II)を構成する突起形状の高さが、2.0mm以下であることが好ましい。 このような高さとすることで、軽量性を維持しつつ、成形体の薄肉性を満足することができる。 かかる観点から、第1の部材(I)を構成する突起形状の高さ、および第2の部材(II)を構成する突起形状の高さのいずれも、2.0mm以下であることがより好ましい。 本発明の成形体では、強化繊維(a1)が、不連続かつ単繊維でランダム分散していることが好ましい。 このような分散状態であることにより、等方的に力学特性に優れた、複雑形状の成形体を成形することができる。 本発明の成形体では、強化繊維(a1)が、炭素繊維であることが好ましい。 このよう強化繊維を用いることにより、軽量性と高剛性を両立することができる。 本発明の成形体では、マトリックス樹脂(a2)が、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることが好ましい。 このような熱可塑性樹脂を選択することにより、成形性と用途に応じた成形体を得ることができる。 本発明はまた、本発明に係る成形体と、別の構造部材から構成される第3の部材(III)が接合された一体化成形品を提供する。 本発明はまた、本発明に係る成形体が面板であり、第3の部材(III)がフレーム部分を有し、かつ面板とフレーム部分とが一体化された一体化成形品であって、電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品、または建材に用いられる一体化成形品を提供する。 また上述の課題を解決するための本発明は、前述した本発明の成形体の製造方法であって、第1の部材(I)を得るに際して、後述する濃度パラメーターpが2×10 4以上であって1×10 8以下である繊維強化樹脂層(X)と、濃度パラメーターpが1×10 1以上であって、繊維強化樹脂層(X)の濃度パラメーターの0.1倍以下である繊維強化樹脂層(Y)を含むプリフォームを、突起形状を有する芯材部を形成するための凹形状を有する金型とそれに対向する対向金型とを用いてプレス成形する成形体の製造方法を提供する。 本発明の成形体の製造方法では、第1の部材(I)を得るに際し、濃度パラメーターが特定範囲にある複数の繊維強化樹脂層を含むプリフォームを用いることにより形状賦形が容易となり、成形体の設計自由度が高く、目的に応じた成形体を容易に得ることができる。 なお、濃度パラメーターは繊維干渉の程度を表す指標であり、濃度パラメーターが小さくなるほど繊維強化樹脂層は流動しやすくなる。 本発明の成形体の製造方法では、プリフォームは、繊維強化樹脂層(X)と繊維強化樹脂層(Y)とが積層されてなることが好ましい。 流動性の異なる樹脂層を積層することで、設計自由度が高くなり、機能性の異なる繊維強化樹脂を適材適所に配することが容易となる。 本発明によれば、表層部と芯材部の境界面に強化繊維が横断的に跨って存在することで、補強効果の高い突起形状を有する芯材部を形成することが可能であり、このような芯材部を備えることで、外力が生じた場合に虚弱部となる接合面を減らすおよび/または中央面に存在させることができるため、成形体として高い剛性を得ることができる。 また芯材部により中空構造が形成されるため、剛性を維持しつつ、軽量性を満足する成形品を得ることができる。 以下に、本発明の成形体について、図面を用いてより詳細に説明する。 但し、本発明が図面に記載の発明に限定されるものでは無い。 本発明の成形体は、図1に示すような面形状を有する表層部と突起形状を有する芯材部から構成される第1の部材(I)と、第2の部材(II)が一体化され、芯材部によって形成される中空構造を有する成形体である。 第1の部材(I)は、強化繊維(a1)とマトリックス樹脂(a2)から構成される繊維強化樹脂(A)でできている。 本発明において、強化繊維(a1)としては、成形体の軽量化や高剛性化が求められるため、比弾性率、比強度に優れた炭素繊維が特に好ましい。 繊維強化として、炭素繊維以外にも、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、および炭化ケイ素繊維などの繊維を用いることができ、これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。 また、これらの強化繊維は、表面処理が施されているものであっても良い。 表面処理としては、金属の被着処理、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などが挙げられる。 強化繊維の形態としては、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、単一のトウ、織物、ニット、不織布、マット、組み紐などの繊維構造物を用いることができる。 一方向プリプレグは、繊維の方向が揃っており、繊維の曲がりが少ないため繊維方向の強度利用率が高いため好ましい。 また、複数の一方向プリプレグを、適切な層構成で積層したものを繊維基材として用いると、各方向の弾性率、強度を自由に制御できるため好ましい。 織物プリプレグも、強度、弾性率の異方性が少ない材料が得られることから好ましい。 複数種のプリプレグ、例えば一方向プリプレグと織物プリプレグの両方を用いて、繊維基材を形成することも可能である。 本発明において、これらの強化繊維が表層部と芯材部を横断的に跨って存在することが重要である。 ここで言う「表層部」とは、図1に示す第1の部材(I)3を構成する1の部位(面形状を有する表層部)のことである。 ここで言う「芯材部」とは、図1に示す第1の部材(I)3を構成する2の部位(突起形状を有する芯材部)のことである。 ここで言う「横断的に跨る」とは、図2に示すような表層部と芯材部の境界面を1本の強化繊維が貫くような形で存在する状態のことを言い、強化繊維は、直線、湾曲または弧を描いた状態で存在していても良い。 また後述するランダム分散して存在することにより、強化繊維が複雑に交差し、より効果的に芯材部を補強することができる。 ここで言う「境界面」とは、面形状を有する表層部1と突起形状を有する芯材部2が交わることで形成される境界面6のことである。 例えば、図23に示す表層部1と芯材部2が交わる黒塗箇所が境界面6となる。 この表層部と芯材部を横断的に跨って存在する強化繊維が、表層部と芯材部の境界面において、400本/mm 2以上存在することも重要である。 この強化繊維の数は、好ましくは、700本/mm 2以上であり、より好ましくは、1000本/mm 2以上である。 この強化繊維の数については、表層部と芯材部の境界面を補強する観点から、多いことが好ましいが、剛性と軽量性の両立、および成形性の観点から、10000本/mm 2以下が好ましい。 強化繊維の数が400本/mm 2より少ないと、芯材部に対する補強効果が低くなり、外力により突起形状を有する芯材部が根元から破断してしまう場合がある。 また本発明の強化繊維(a1)の数平均繊維長Lnが1mm以上であることも重要である。 この繊維長Lnは、好ましくは、2mm以上であり、より好ましくは3mm以上である。 繊維長Lnの上限については、繊維長が長すぎると成形性を損ねる恐れがあるため、30mm以下が好ましく、より好ましくは15mm以下である。 これらの強化繊維の形態の中でも、強化繊維が不連続かつ単繊維でランダム分散していることが好ましい。 ここで言う「ランダム分散している」とは、後述する方法で測定されたランダム配向角の平均値が10〜80度の範囲内であることを言う。 このランダム配向角は、好ましくは20〜70度であり、より好ましくは30〜60度であり、理想的な角度である45度に近づくほど好ましい。 ランダム配向角の平均値が10度未満または80度より大きいと、強化繊維が束状のまま多く存在していることを意味しており、力学特性が低下するだけでなく、等方性が損なう場合や、厚み方向の強化繊維が無視できず積層工程での経済的負担が大きくなる場合がある。 ここで、強化繊維単糸(l)と強化繊維単糸(l)と交差する強化繊維単糸(m)とで形成されるランダム配向角について図3を用いて説明する。 図3はランダム分散した強化繊維(a1)の一例について強化繊維のみを面方向から観察した場合の、強化繊維の分散状態を表した模式図である。 強化繊維単糸10に着目すると、強化繊維単糸10は強化繊維単糸11〜16と交差している。 ここで交差とは、観察した平面において着目した強化繊維単糸(l)が他の強化繊維単糸(m)と交わって観察される状態のことを意味する。 ここで実際の繊維強化樹脂において、強化繊維10と強化繊維11〜16が必ずしも接触している必要はない。 ランダム配向角は交差する2つの強化繊維単糸が形成する2つの角度のうち、0度以上90度以下の角度17と定義する。 具体的に繊維強化樹脂からランダム配向角の平均値を測定する方法としては、例えば、繊維強化樹脂の表面から強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。 この場合、繊維強化樹脂の表面を研磨して繊維を露出させることで、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。 また、繊維強化樹脂に投光し透過光を利用して強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。 この場合、繊維強化樹脂を薄くスライスすることで、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。 さらに、繊維強化樹脂をX線CTで透過観察して強化繊維の配向画像を撮影する方法も例示できる。 X線透過性の高い強化繊維の場合には、強化繊維にトレーサ用の繊維を混合しておく、あるいは強化繊維にトレーサ用の薬剤を塗布しておくと、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。 作業の簡便性の観点から、強化繊維の構造を崩さないように樹脂を除去した後に強化繊維の配向を観察する方法が好ましく、例えば図4(a)に示すように、成形体を2枚のステンレス製メッシュに挟み、成形体が動かないようにネジなどで固定してから樹脂成分を焼き飛ばしまたは溶解し、得られる強化繊維(図4(b))を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察して測定することができる。 本発明において、ランダム配向角の平均値とは、以下の手順(1)、(2)で測定する。 マトリックス樹脂としては、後述する熱硬化性樹脂の群から選択される熱硬化性樹脂、または、後述する熱可塑性樹脂の群から選択される熱可塑性樹脂を用いることができる。 本発明において、マトリックス樹脂(a2)としては、次に例示するような熱硬化性樹脂を用いることができ、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂などを好ましく用いることができる。 これらの共重合体、変性体、および/または、これらの2種以上をブレンドした樹脂などを適用しても良い。 また、本発明において、マトリックス樹脂(a2)としては、次に例示するような熱可塑性樹脂を用いることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PENp)樹脂、液晶ポリエステル等のポリエステル系樹脂や、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、変性PSU樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂などであってもよい。 とりわけ、耐熱性、耐薬品性の観点からは、PPS樹脂やPEEK樹脂が、成形体外観、寸法安定性の観点からは、ポリカーボネート樹脂が、成形体の強度、耐衝撃性の観点からは、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂が、軽量性の観点からは、ポリプロピレン樹脂が、マトリックス樹脂(a2)として、より好ましく用いられる。 上記群に例示された熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を添加しても良い。 これらの例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤が挙げられる。 本発明の成形体を構成する第1の部材(I)において、表層部と芯材部の均質度が70%以上であることが好ましい。 ここで言う「均質度」とは、芯材部に存在する強化繊維の重量充填率の表層部に存在する強化繊維の重量充填率に対する比率のことを言う。 この均質度は、より好ましくは80%以上であり、理想的な比率である100%、すなわち表層部と芯材部に存在する強化繊維の重量充填量が等しいほど好ましい。 均質度が70%より低いと、芯材部において、強化繊維が十分に充填されておらず、成形体においても虚弱部となり、成形体の剛性が低下する。 本発明の表層部および芯材部に横断的に跨って存在する強化繊維(a1)において、後述する繊維長比率Lpが30〜50%であり、かつ後述する繊維補強度が10以上であることが好ましい。 ここで言う「繊維長比率」とは、ある長さの強化繊維に対して、表層部と芯材部の境界面から各部に跨っている長さのどちらか短い強化繊維の存在長さの比のことを言う。 このとき、芯材部に跨っている繊維長さLrと表層部に跨っている繊維長さLfの長さの関係が、Lr≦Lfの場合、次式(1)を、Lr>Lfの場合、次式(2)を用いる。 繊維長比率は、より好ましくは40%以上であり、50%に近いほど好ましく、50%であるということは、強化繊維と表層部と芯材部の境界面とが、強化繊維の中央で交わることを意味しており、効果的に芯材部を補強することが可能となる。 また、ここで言う「繊維補強度」とは、表層部または芯材部に跨る強化繊維の長さを表したものであり、繊維長比率と同様に、表層部または芯材部の跨っている強化繊維の長さが短い方について評価しており、Lr≦Lfの場合、次式(3)を、Lr>Lfの場合、次式(4)を用いる。 繊維補強度Frについては、効果的な補強の観点から、より好ましくは20以上であり、50以上が特に好ましい。 繊維補強度については、成形性の観点から500以下が好ましい。 10よりも低い値となる場合、表層部または芯材部のどちらかに跨る強化繊維の長さが短いことを示しており、芯材部を効果的に補強することができない。 図5に示すように、表層部と芯材部の境界面6に跨って存在する無作為に選択された1本の強化繊維に関し、境界面6から芯材部に存在する長さLrの長さを測定し、同様の方法で、境界面6から表層部に存在する長さLfの長さを測定する。 繊維長は、前述した二次元配向角の観察方法と同様の方法で観察して測定することができる。 このように強化繊維で補強された芯材部を有する第1の部材(I)を用いた成形体において、曲げ等の外力によって折れない芯材部となるため、成形体全体の剛性を高めることができる。 芯材部の補強度合いに関しては、後述の芯材部のせん断強度を測定することで評価することができる。 本発明で言う「中空構造」とは、図6に示す、第1の部材(I)3の表層部、突起形状22、突起形状23、第2の部材(II)4の表層部によって形成される空隙24を有する構造のことであり、突起形状は、平面や曲面、波状などがあり、これらの突起形状の組み合わせによって中空構造が形成される。 また本発明で言う中空構造の「最大投影面」とは、図7に示す中空構造を投影した際にできる面のうち最大の面積を有する面(図7では、Aaを指す)のことである。 本発明で言う「投影面」とは、第1の部材(I)の表層部に対して垂直方向から見たもの(図7では、矢印Aの方向からの視点)を基準とし、成形体もしくは第1の部材(I)の視点を90度ずつ回転させて平行投影した場合(図7の矢印Bや矢印C)の投影面のことである。 球体などの平面を有さない場合、投影面である円の面積が最大である、すなわち直径が最大となる位置の面を最大投影面とする。 また複数の最大投影面が存在する場合は、成形体において外力が加わると想定される方向と垂直な向きの面をその中空構造体の最大投影面とする。 本発明において、芯材部の投影面積が、表層部の投影面積に対して、5〜80%であることが好ましく、剛性と軽量性の両立の観点から、より好ましくは20〜60%の範囲である。 芯材部の投影面積が5%よりも低い場合、芯材部が潰れやすくなるなど成形体の機械特性が低下してしまい、80%を超える場合、空隙部が少なくなり、軽量性が低下する。 本発明で言う「表層部の投影面積」および「芯材部の投影面積」とは、表層部に対して垂直方向から観察したものであり、図8において、表層部の投影面積は(a)の斜線部に該当し、芯材部の投影面積は(b)に該当する。 各部位の投影面積の求め方としては、スキャナー等で芯材部の表面を画像で取り込み、2値化処理を行って芯材部の面積を得る方法や芯材部の幅や長さをマイクロメーターやノギスなどを用いて測長して算出する方法、芯材部によって形成される空隙部の面積から芯材部の面積を算出する方法などを例示できる。 本発明での第2の部材(II)としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂から構成される部材、強化繊維を含む繊維強化樹脂から構成される部材などを用いることができるが、成形体の剛性の観点から、第1の部材(I)と同様の突起形状を有する芯材部を備えた部材であることが好ましい。 同様の形状を有するもの同士を接合・接着することで、虚弱部となる接合面が成形体の中央面(中立軸)に存在させることができる。 また同一部材のみの作製でよく、部材を製造するためにかかる費用を削減することができる。 本発明での突起形状によって芯材部に形成される中空構造の最大投影面の形状は、多角形(図9(a)に三角形、(b)に四角形、(c)に六角形の例が記載)、真円状(図9(d)に記載)、楕円状、不定形状、オーバー展張形状(OX)、吊鐘形状(フレキシブル)、バイセクト、フェザー、ダイヤ(図10(e))、ヘリンボン(図10(f))、変形+形状(図10(g))、扇形(図10(h))、+形状(図10(i))、○と+が組み合わさった形状(図10(j))等のいかなるものでも用いることができ、1種類の形でも、複数の形やサイズが混合していても特に限定されない。 その中でも、機械強度および量産性を考慮すると、斯かる形状が円形、楕円形、ひし形、正三角形、正方形、長方形、正六角形のうちの少なくとも1つの形状であることが好ましい。 また芯材の高さ方向の断面から観察した形状としては、図11に示すような根元のみが山の裾野のように広がったフィレット形状(a)や芯材部全体に傾斜がかかったようなテーパー形状(b)が例示できる。 成形体の突起形状は、前述した群から少なくとも選択される強化繊維(a1)とマトリックス樹脂(a2)から構成される繊維強化樹脂で形成されることが好ましい。 突起形状を繊維強化樹脂で形成するに際しては、図12に示すような凹形状を有した金型を用いて、プレス成形や射出成形、RTM成形などの成形方法を用いることができる。 また、前述の公知の方法などにより、突起形状のみの形成に限らず、図13に示すような表層部と芯材部が一体となった形状を形成することが、成形体の剛性や成形工程の短縮の観点から好ましい。 成形体の突起形状の高さは、2.0mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.5mm以下であり、1.0mm以下が特に好ましい。 ここで言う「突起形状の高さ」とは、図6に示す高さhrのことであり、第1の部材(I)において、表層部と芯材部の境界面(図5の6)から、芯材部の端までの距離(図5の2の矢印の長さ)のことである。 このような突起形状の高さを有することにより、軽量性を維持した状態で成形体の厚みを厚くすることが可能となり、成形体の剛性を高めることができる。 また突起形状の高さの下限値に関しては、軽量化および高剛性化の観点から、0.3mm以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.5mm以上であり、0.8mm以上が特に好ましい。 また、芯材部の高さhr(mm)が、芯材部が付随している表層部厚みh0(mm)に対し、hr≧3×h0の関係を満足することが好ましい。 第1の部材(I)の表層部厚みh0の測定方法として、ノギス、マイクロメーター、レーザー変位計、厚みをカメラ撮影して計測する手段などの既存の計測手段を用いて測定する方法が例示できる。 簡便かつ精度よく測定できる方法としては、マイクロメーターを用いて、23℃の温度雰囲気下に10分間放置した成形品の面板部に対して、およそ100mm間隔で無作為に測定した10点の平均値を面板部の厚みとする方法が好ましい。 芯材部の高さは、なるべく高い方が成形体の補強効果を高めることができるため、hr≧3×h0の関係を満足することが好ましい。 また、芯材部の高さの上限については、たとえば表層部からプレス成形により面外に材料が流動することで芯材部を形成する場合、表層部の厚みが薄いと芯材部に流動できる材料量に限界があるため、通常hrはh0の50倍以下である。 また、背が高過ぎる芯材部は成形が困難であるため、背の低い芯材部をいくつか設けることで、成形性と表層部の補強効果を満足することができる。 (成形体) 本発明での成形体の比重は、軽量化の観点から1.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.8以下である。 本発明のような空隙を有する成形体の比重は、一般的に見かけ比重(嵩比重)のことであり、成形体内に存在する空隙部の重量及び体積も含まれた比重を意味する。 この成形体の比重を算出するためには、JIS−K 7112に記載のA法(水中置換法)によって、成形体の見かけ体積を算出し、見かけ比重を算出する。 このとき、成形体の比重が1.0以下となり、水を用いて評価を実施できない場合は、エタノールなどの比重が1.0を下回る液体を浸漬液として用いることができる。 これらの水以外の液体を浸漬液として使用する場合は、その浸漬液の密度を別途測定する必要があり、公知のピクノメーターを用いた評価法などで測定することが可能である。 比重が低く、比重が1.0を下回り、エタノールなどの液体を用いても測定できない場合、精密天秤などを用いて成形体の重量を測定し、またノギスやマイクロメーターを用いて成形体の長さ、幅および厚みを測定し、測定値から体積の算出を行い、得られた成形体の重量を成形体の体積で除した値を成形の比重とすることも可能である。 (一体化成形品) 一方、第3の部材(III)は、一体化成形品に複雑な形状を付与する目的で、成形体に対し一体化される。 複雑な形状とは、縦、横、高さの各方向に厚み変化を伴う形状を意味し、構造上の機構部分や、デザイン上の幾何学形状部分、さらには意図的に形成した突起、凹みなども含む。 図14の第3の部材(III)に代表される、枠体(フレーム)部、立ち壁部、ヒンジ部、ボスリブ部などがこれに相当する。 第3の部材(III)は、成形体よりも比較的量産性、生産性に優れた方法にて製造されることが好ましい。 第3の部材(III)としては、前述した熱硬化性樹脂の群から選択される熱硬化性樹脂、または、前述の熱可塑性樹脂の群から選択される熱可塑性樹脂、セメント、コンクリート、あるいは、それらの繊維強化品、木材、金属材料、紙材料などが好ましく用いられる。 成形性の観点から、熱可塑性樹脂が、力学特性を高める目的で、繊維強化熱可塑性樹脂が、また、軽量性には劣るものの成形体の力学特性をさらに高める目的で、金属材料が好ましく用いられる。 とりわけ、不連続の強化繊維を熱可塑性樹脂中に分散させた熱可塑性樹脂組成物を用いることが、量産性、成形性と、軽量性、力学特性が両立でき特に好ましい。 この場合の強化繊維の配合比率としては、強化繊維が炭素繊維のとき、成形性、強度、軽量性とのバランスの観点から、熱可塑性樹脂組成物に対して、5〜75重量%が好ましく、15〜65重量%がより好ましい。 本発明の一体化成形品は、成形体を主材として用いることが好ましい。 すなわち、一体化成形品の投影面積の50%以上が、成形体で占有されていることが好ましく、投影面積の70%以上が、成形体で占有されていることがより好ましい。 本発明の一体化成形品を製造する際の、一体化手法としては、例えば、接着剤を使用して一体化する手法やボルトやねじを使用して一体化する手法が例示できる。 熱可塑性の部材と一体化する場合には、熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着、インサート射出成形、アウトサート射出成形などが好ましく使用される。 成形サイクルの観点から、アウトサート成形、インサート成形が好ましく使用される。 本発明の成形体、および、これを用いてなる一体化成形品の用途としては、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、ディスプレー、FDDキャリッジ、シャーシ、HDD、MO、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラ、PDA、ポータブルMD、プラズマディスプレーなどの電気または電子機器の部品、部材および筐体、電話、ファクシミリ、VTR、コピー機、テレビ、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、掃除機、トイレタリー用品、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトディスク、照明、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどに代表される家庭または事務製品部品、部材および筐体、パチンコ、スロットマシン、ゲーム機などの遊技または娯楽製品部品、部材および筐体、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などの光学機器、精密機械関連部品、部材および筐体、X線カセッテなどの医療用途、モーター部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、サスペンション部品、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係、排気系または吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、各種アーム、各種フレーム、各種ヒンジ、各種軸受、燃料ポンプ、ガソリンタンク、CNGタンク、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベーン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、ハンドル、ドアビーム、プロテクター、シャーシ、フレーム、アームレスト、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、ラジエターサポート、スペアタイヤカバー、シートシェル、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ホイール、フェンダー、フェイシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スポイラーおよび各種モジュールなどの自動車、二輪車関連部品、部材および外板、ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブなどの航空機関連部品、部材および外板、各種ラケット、ゴルフクラブシャフト、ヨット、ボード、スキー用品、釣り竿、自転車などのスポーツ関連部品、部材および人工衛星関連部品、パネルなどの建材用途などがある。 上記の中でも、軽量かつ高剛性が要求される、パソコン、ディスプレー、携帯電話、携帯情報端末などの電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品、または建材の用途で好ましく用いられる。 特に上記用途のなかでも面状部が多い筐体天面(天板)に本発明の成形体を用いると、薄肉、軽量、高剛性かつ耐衝撃性の特徴を十分に発揮することが可能であり、好ましい。 繊維強化樹脂は、強化繊維あるいは樹脂の種類、形態、配置、配合割合などにより流動性が異なることが一般に知られている。 成形によりリブなどの突起形状を有する芯材部を形成させるには、流動性が高い繊維強化樹脂を用いることが好ましく、また面形状を有する表層部の形成には等方性の確保の観点から、均一な繊維強化樹脂を流動させないように、流動性が低い繊維強化樹脂を用いることが好ましい。 このように、流動させたい部位と流動させたくない部位に応じて、繊維強化樹脂を選択するが、その流動性の大小を判断する基準として、次にいくつか例示する。 ここで本発明では、第1の部材(I)を構成する繊維強化樹脂からなるシート形状の繊維強化樹脂を「繊維強化樹脂層」とする。 シート形状の繊維強化樹脂層について、特に限定はされないが、好ましい形態については後述する。 まず、繊維強化樹脂のみかけ粘度から流動性の大きさを比較する方法が挙げられる。 みかけ粘度が高い繊維強化樹脂ほど、流動性が乏しくなる。 この見かけ粘度の測定方法として、メルトフローレート、レオメータなどを挙げられることができる。 2つ目として、繊維干渉の程度から流動性の大きさを比較する方法が挙げられる。 溶融した樹脂に含まれる強化繊維どうしの干渉が大きくなるほど、他の強化繊維に拘束され、強化繊維の自由度が小さくなるため、繊維干渉の程度が大きい繊維強化樹脂ほど流動性が乏しくなる。 3つ目として、繊維強化樹脂の伸長率から流動性の大きさを比較する方法が挙げられる。 ここで言う「伸長率」とは、融点以上に加熱された円盤形状の繊維強化樹脂層をプレス成形し、そのプレス前後での繊維強化樹脂層の面積比をパーセント表示したものである。 伸長率が小さい繊維強化樹脂ほど、流動性が乏しくなる。 上述した繊維強化樹脂の流動性の判定方法の中で、本発明では繊維干渉、および伸長率を用いて、繊維強化樹脂の流動性の比較を行うものとする。 まず、繊維干渉の大小の判断する指標である、濃度パラメーターpについて説明する。 本発明に用いられる繊維強化樹脂の「濃度パラメーター」とは、繊維干渉の程度の指標であり、強化繊維の配合量、繊維長、繊維径、流動単位を構成する単繊維の本数などによって決まるパラメーターであり、次式(5)で表せる。 ここで、nは繊維強化樹脂の単位面積(1mm 2 )当たりに含まれる強化繊維から構成される流動単位の数、hは繊維強化樹脂層の厚み(mm)、Lnは強化繊維の数平均繊維長(mm)である。 さらに、繊維強化樹脂の単位面積(1mm 2 )当たりに含まれる強化繊維から構成される流動単位の数nは、次式(6)により導出される。 ここで、Wfは繊維強化樹脂に含まれる強化繊維の目付け(g/m 2 )、d0は単繊維の径(μm)、Lnは強化繊維の数平均繊維長(mm)、ρfは強化繊維の密度(g/cm 3 )、kは流動単位の平均集束数である。 ここで言う「流動単位」とは、強化繊維から構成される1個の集合体あるいは単体のことであり、たとえば図3に示すように、単糸分散した強化繊維の場合では単繊維の1本1本がそれぞれ流動単位となり、図15に示すSMCのように強化繊維が繊維束で存在する場合はその1つ1つの繊維束が流動単位となる。 ここで、繊維束の場合において、1つの流動単位とみなす判断基準として図16を用いて説明する。 ある強化繊維から構成される繊維束とそれに隣接する単繊維あるいは繊維束とのなす角の角度が5°以下かつ実質的にそれらどうしが隣り合っている場合は1つの繊維束であり、つまりは1つの流動単位とみなし、それ以外に該当する場合は別々の流動単位として扱うものとする。 濃度パラメーターの導出に用いる、各パラメーターについて、以下に詳細に説明する。 ここで、以下に示す、濃度パラメーターの導出に用いる繊維強化樹脂層に関する各パラメーターは、加熱前の繊維強化樹脂層を前提として計算する。 この前提は、繊維強化樹脂層を加熱することで、例えば発泡剤が添加された繊維強化樹脂層が膨張し、体積変化を生じる場合、または加熱により熱可塑性樹脂が溶融することで、拘束が解けた強化繊維の弾性回復によるスプリングバックが生じる場合があるが、これらは体積変化を伴うため、実質の強化繊維と熱可塑性樹脂との配合割合が加熱前後で同じであっても、得られる濃度パラメーターが異なる問題を排除するためである。 このため、繊維強化樹脂層は実質的にボイドレスであり、樹脂が完全含浸した状態で計算する。 まず、平均集束数kについて記述する。 平均集束数kとは、流動単位を構成する単繊維の本数である。 平均集束数kの導出方法として、強化繊維から構成される流動単位を観察し、単繊維を1本1本数え出し、本数を直接求める方法、あるいは図17に示す、あらかじめ単繊維の直径d0(μm)を測定した後、流動単位の幅と高さからおおよその単繊維の本数を求める方法が例示できる。 流動単位を構成する単繊維の本数が多い場合は、流動単位の幅と高さから求める方法が好ましく用いることができる。 強化繊維から構成される流動単位の観察には、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡を用いることが好ましい。 なお、単繊維の直径d0の観察には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることができる。 また、単繊維が真円でない場合は、無作為に測定した10点の平均値を採用することができる。 ここで、繊維強化樹脂に含まれる樹脂成分を除去し、強化繊維のみを取り出す方法について説明する。 繊維強化樹脂の樹脂のみを溶解する溶剤を用いて溶解させる方法(溶解法)、あるいは樹脂を溶解する溶剤がない場合には、強化繊維が酸化減量しない温度範囲において樹脂のみを焼き飛ばし、強化繊維を分別する方法(焼き飛ばし法)などを例示することができる。 このようにして分別された強化繊維について、強化繊維から構成される流動単位を無作為に100本選び出し、その流動単位を構成する単繊維の本数を測定し、その平均値を平均集束数kとすることができる。 なお、繊維強化樹脂から焼き飛ばし法や溶解法で強化繊維を摘出する方法は、条件を適切に選定することで、得られる結果に特別な差異を生じることはない。 次に、繊維強化樹脂に含有される強化繊維の数平均繊維長Lnの測定方法としては、上記の樹脂成分を除去する方法を用いて、繊維強化樹脂に含まれる樹脂成分を除去し、残った強化繊維を分別した後、顕微鏡観察により測定する方法がある。 その測定に際しては、強化繊維を無作為に400本選び出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡にて測定し、次式(7)により数平均繊維長Lnを算出する。 なお、繊維強化樹脂から焼き飛ばし法や溶解法で強化繊維を摘出する方法は、条件を適切に選定することで、得られる結果に特別な差異を生じることはない。 Li:測定した繊維長(i=1、2、3、・・・、400) 強化繊維の密度ρfは、水中置換法、ピクノメーター法、あるいは浮沈法などを用いることにより求めることができる。 10mm×10mm角の繊維強化樹脂層から溶解法、あるいは焼き飛ばし法により樹脂成分のみを除去し、残った強化繊維を用いて測定することができる。 測定数は3回とし、その平均値を用いることができる。 繊維強化樹脂層の厚みhは、前述した第1の部材(I)の表層部厚みh0の測定方法と同様に、ノギス、マイクロメーター、レーザー変位計、厚みをカメラ撮影して計測する手段などの既存の計測手段を用いて測定できる。 簡便かつ精度よく測定できる方法としては、マイクロメーターを用いて、23℃の温度雰囲気下に10分間放置した繊維強化樹脂層に対して、およそ100mm間隔で無作為に測定した10点の平均値を繊維強化樹脂層の厚みとする方法が具体的に例示できる。 次に、本発明に用いられる伸長率について説明する。 伸長率を測定するためには、対向する一対の凹凸の内平面を有した金型の上に、円盤形状に切り出した繊維強化樹脂層を配置し、繊維強化樹脂層を軟化温度あるいは融点+35℃に加熱した後、20MPaでプレス成形する。 伸長率は、下式(8)に示すとおり、プレス前後での繊維強化樹脂層の面積比をパーセント表示したものと定義する。 また、切り出す円盤の大きさは、直径150mmであり、厚みは2.5mmとする。 測定は3回行い、その平均を伸長率とする。 円盤形状をした繊維強化樹脂層の直径としては、直径を任意に3箇所測定し、その平均値を用いることができる。 本発明では濃度パラメーターpが2×10 4以上であって1×10 8以下である繊維強化樹脂層を繊維強化樹脂層(X)とし、主に表層部を形成する繊維強化樹脂とする。 また、表層部における表面外観を改善するには繊維長が短いことが好ましく、また剛性を高めるには繊維長が長いことが好ましい。 表面外観および剛性のバランスから、繊維強化樹脂層(X)の濃度パラメーターpが2×10 4以上であって1×10 6以下であることがより好ましい。 一方、濃度パラメーターpが1×10 1以上であって、繊維強化樹脂層(X)の濃度パラメーターの0.1倍以下である繊維強化樹脂層を繊維強化樹脂層(Y)とし、主に芯材部を形成する繊維強化樹脂とする。 また、芯材部における表面外観では繊維長を短くすることで改善できるため、繊維強化樹脂層(Y)の濃度パラメーターpは1×10 1以上であって2×10 4未満であることが好ましく、芯材部における補強効果では繊維長を長くすることで高めることができるため、1×10 2以上であって繊維強化樹脂層(X)の濃度パラメーターの0.1倍以下であることが好ましい。 本発明で用いるプリフォームにおける、繊維強化樹脂層(X)と繊維強化樹脂層(Y)の配置については、積層、横並びなど、特に限定はされないが、第1の部材(I)の設計自由度を高める観点から、繊維強化樹脂層(X)と繊維強化樹脂層(Y)とが積層されてなるプリフォームであることが好ましく、さらに好ましくは繊維強化樹脂層(X)が凹溝を有する金型に対向する金型面側に配置されてなるプリフォームである。 また、成形品のソリ軽減の観点から対称積層がより好ましいため、さらに繊維強化樹脂層(X)が凹溝を有する金型面側に配置され、繊維強化樹脂層(X)の間に繊維強化樹脂層(Y)が積層されてなるプリフォームであることが好ましい。 繊維強化樹脂層について、設計自由度とプリフォーム作製工程の簡便さから、その板厚が0.03〜1.0mmであることが好ましく、0.1〜0.5mmがより好ましい。 また図18に示すような偏肉の繊維強化樹脂層でよく、その中でも平滑な板状が積層時の作業性の観点から好ましいものである。 本発明のプリフォームにおいて、繊維強化樹脂層が積層されてなる場合、その積層状態は、図19のように部分的に繊維強化樹脂層の積層数を増減させてもよく、芯材部が形成される部位に多数積層することも芯材部を容易に形成する観点から好ましい。 なお、本発明で用いられるプリフォームの形態として、繊維強化樹脂層(Y)の横並びに繊維強化樹脂層(X)を配置してもよい。 この場合、繊維強化樹脂層(X)を繊維強化樹脂層(Y)の横に配置することで、繊維強化樹脂層(Y)が平面方向に流動することを抑制し、凹溝への充填を促す効果がある。 本発明の成形体の製造方法では、繊維強化樹脂層(Y)において、芯材部に強化繊維を効果的かつ容易に存在させる観点から、繊維強化樹脂層(Y)を構成する強化繊維(a1)の数平均繊維長Lnyが、芯材部を形成する凹形状の溝幅bの5倍以下となることが好ましく、3倍以下となることがより好ましい。 このような関係であることにより、芯材部に強化繊維が容易に流入することが可能となり、剛性の高い芯材部を形成することができる。 本発明で言う、突起形状を有する芯材部を形成する凹溝の投影位置に繊維強化樹脂層を配置するとは、例えば、図20に示すように、凹溝の投影面37に対して、繊維強化樹脂層が実質的に凹溝の投影面の領域内に配置される、または繊維強化樹脂層が凹溝の投影面の全領域を包括して配置される、または繊維強化樹脂層が凹溝の投影面の領域の一部に含まれて配置されることである。 凹溝への充填を促進する観点から、繊維強化樹脂層が凹溝の投影面の全領域を包括して配置されていることが好ましい。 また本発明で用いられる繊維強化樹脂層(Y)の面積は、芯材部に繊維強化樹脂層(Y)を十分に充填させるために、芯材部を形成する凹溝の投影面積の0.5倍以上が好ましい。 凹溝の投影面積とは、図20に示すように、金型における凹溝の投影面(斜線部)の面積を指す。 繊維強化樹脂層(Y)の面積がこれより小さいと、芯材部に充填するよりも平面部に流動する量が多くなり、芯材部の充填が不足する場合がある。 より好ましくは、繊維強化樹脂層(Y)の面積は、凹溝の投影面積の1倍以上が好ましい。 該凹溝の投影面積が小さい場合、それに応じて切り出した繊維強化樹脂層のサイズが小さいことから取り扱いが悪くなるため、繊維強化樹脂層(Y)の面積が5倍以上であることが工業的により好ましく、さらに好ましくは10倍以上である。 繊維強化樹脂層(Y)の面積の上限については、面板部に位置する繊維強化樹脂層(Y)が流動することにより、繊維強化樹脂層(X)の等方性を乱す恐れがあることと、繊維強化樹脂層(Y)の内、芯材部に実質的に充填されるのは該凹溝の投影面の領域内に配置される繊維強化樹脂層(Y)がほとんどであることから、50倍より小さいことが好ましく、さらに好ましくは30倍より小さいことである。 本発明では、繊維強化樹脂層(X)の面積を、成形により得られる第1の部材(I)の表層部の投影面積の70%以上とし、繊維強化樹脂層(Y)を、突起形状を有する芯材部に形成される凹溝の投影位置に配置することが好ましい。 第1の部材(I)の表層部の投影面積とは、図21に示すように、金型における第1の部材(I)の投影面(斜線部)の面積を指す。 繊維強化樹脂層(X)の面積を第1の部材(I)の表層部の投影面積の70%以上とすることで、成形時に繊維強化樹脂層に過度な流動を起こすことなく、繊維強化樹脂層の繊維配向を保ったままで成形が可能となる。 繊維強化樹脂層の等方性を確保する観点から、繊維強化樹脂層(X)の面積は成形品の投影面積の80%以上であることがより好ましい。 繊維強化樹脂層(X)の面積の上限については、繊維強化樹脂層を有効に使用し、無駄を省く観点からは成形品の投影面積の150%以下であることが好ましい。 本発明で用いられる繊維強化樹脂層(X)の数平均繊維長Lnxは、第1の部材(I)の表層部の強度を確保するために、2mm以上であることが好ましく、より好ましくは、3mm以上である。 繊維強化樹脂層(X)の数平均繊維長Lnxの上限については、長すぎる繊維長は面板部の賦形性を損ねる恐れがあるため、20mm以下であることが好ましく、より好ましくは、10mm以下である。 本発明で用いる金型に関して、一般に大きく2種類に分類される。 1つは鋳造や射出成形などに使用される密閉金型であり、もう1つはプレス成形や鍛造などに使用される開放金型である。 密閉金型は主に内部に材料を流し込んで成形する金型であり、開放金型は主に材料を流さずに変形させて成形する金型である。 密閉金型においては、投入した繊維強化樹脂層から構成されるプリフォームがキャビティ内からフローすることなく、外部と遮断されるため、低い成形圧力においても効果的かつ容易に凹溝に繊維強化樹脂層を流入させることができる。 また、部材の末端が整った繊維強化樹脂成形体を得ることできるため、その後の2次加工工程を軽減・省略することが可能となり、コストダウンにつながる。 開放金型においては、成形時にプリフォームが過度な流動を起こすことなく、成形時に繊維強化樹脂層またはプリフォームの繊維配向を乱したり、成形時の流動によって繊維配向に異方性を生じさせたりすることを極力抑えて、繊維強化樹脂層またはプリフォームの繊維配向を活かした成形品を得ることができる。 また、成形時の分解ガスや混入空気を金型外に排除する観点からボイドが低減された成形品を得ることができる。 本発明において、第1の部材(I)の繊維強化樹脂(A)を、繊維強化樹脂層を積層して形成する場合、繊維強化樹脂層の積層構成については、設計自由度や成形性を向上させる観点から、強化繊維体積含有率Vfの小さい繊維強化樹脂層および/または数平均繊維長Lnの短い強化繊維で構成される繊維強化樹脂層が、突起形状を有する芯材部を形成する位置に配されていることが好ましい。 強化繊維体積含有率や強化繊維の数平均繊維長は、繊維強化樹脂の流動性に影響を与えるため、流動性が良好な材料を複雑な形状である突起形状を有する芯材部側に配することで容易に形状を形成することが可能となる。 また同様の観点で、成形体の特性を満足する範囲内で、低粘度のマトリックス樹脂を用いた繊維強化樹脂層を配してもよい。 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。 <評価方法1:強化繊維(a1)の数の評価> <評価方法2:強化繊維の数平均繊維長Ln評価> <評価方法3:強化繊維の二次元配向角の測定> <評価方法4:表層部と芯材部の均質度評価> 同様の手法を用いて図23(b)のように、表層部のサンプルにおいても、表層部の重量Mfcおよび焼き飛ばし後の強化繊維の重量Mffを測定し、式(10)より、表層部の強化繊維重量充填率Wffを算出した。 式(9)および(10)で算出した値と次式(11)より、表層部と芯材部の均質度を算出した。 <評価方法5:強化繊維の繊維長比率Lpおよび繊維補強度Frの評価> サンプル1つあたりの繊維長比率の測定数は50とし、これらの平均値をもって繊維長比率とした。 また、得られた繊維長比率Lp、LrおよびLfを用いて、前述した式(3)または式(4)により、繊維補強度を算出した。 <評価方法6:芯材部の構成率の評価> またこの芯材部の総断面積は、次式(13)に示すように表層部の断面積から空隙部の面積を除しても算出することが可能である。 <評価方法7:成形体の比重の評価> 成形体の比重がエタノールの比重を下回るものについては、切り出したサンプルの長さ、幅および厚みをマイクロメーターを用いて測定し、成形体の体積を算出した。 また切り出したサンプルの重量を精密天秤を用いて測定した。 得られた成形体の重量を成形体の体積で除した値を成形体の比重とした。 <評価方法8:繊維強化樹脂層の濃度パラメーターpの評価> 各繊維強化樹脂層の目付、および繊維重量分率を次のようにして測定した。 繊維強化樹脂層から100mm×100mmの角板を切り出し、その重量w0(g)を測定した。 次に、切り出した繊維強化樹脂層を、空気中で500℃×1時間加熱し、樹脂成分を焼き飛ばして残った強化繊維の重量w1(g)を測定した。 ここで、強化繊維の重量w1(g)から繊維強化樹脂層に含まれる強化繊維の目付け(g/m 2 )を導出した。 また、次式(14)を用いて、繊維重量分率(wt%)を求めた。 いずれの測定も3回行い、その平均値を用いた。 各繊維強化樹脂層に含有される強化繊維の流動単位数nを算出するため、強化繊維の平均収束数kを、次の方法で測定した。 ここで、単糸の直径d0(μm)を走査型電子顕微鏡(SEM)で予め測定した。 また、真円でない場合は、無作為に測定した10点の平均値を単糸の直径d0(μm)として採用した。 まず、繊維強化樹脂層から100mm×100mmの角板を切り出し、その角板を空気中で500℃×1時間加熱し、樹脂成分を焼き飛ばして残った強化繊維を光学顕微鏡にて観測し、強化繊維から構成される流動単位の平均集束数を計算する。 流動単位の幅と高さがおおよそd0であれば単糸であり集束数は1である。 流動単位の代表幅と代表高さから、d0のおおよその倍数を導き出し、流動単位の集束数kを求める。 強化繊維から構成される流動単位を無作為に100個選び出し、該操作により測定した値の平均値を流動単位の集束数kとして採用した。 各繊維強化樹脂層に含有される強化繊維の数平均繊維長Lnを次のようにして測定した。 繊維強化樹脂層の一部を切り出し、電気炉にて空気中500℃で30分間加熱して樹脂を十分に焼却除去して強化繊維を分離し、分離した強化繊維から無作為に400本以上抽出した。 これらの抽出した強化繊維の繊維長の測定は、光学顕微鏡を用いて行い、400本の繊維の長さを1μm単位まで測定して、前述した式(7)を用いて数平均繊維長Lnを算出した。 以上の測定値を用いて、繊維強化樹脂層の単位面積(1mm 2 )当たりに含まれる強化繊維から構成される流動単位の数nは前述した式(6)により導出された。 さらに、繊維強化樹脂層の濃度パラメーターpは前述した式(5)により導出された。 <評価方法9:繊維強化樹脂層の伸長率の評価> 成形品の直径を任意の2箇所について測定し、その平均値を用いて成形後の成形品の面積を導出した。 また、成形前の繊維強化樹脂層の面積は、直径を150mmとして計算した。 ここで、繊維強化樹脂層の伸長率を前述した式(8)により求めた。 <評価方法10:芯材部のせん断強度の評価> <評価方法11:成形体の剛性評価> 評価は、試験片の破断および/または試験片の芯材部の破損・剥離が、曲げたわみ2mmに達するまでに発生した場合をC、曲げたわみが2mmを超えて4mm以下で発生した場合をB、曲げたわみが4mmを超えても発生しなかった場合をAとした。 <参考例1. 炭素繊維の調整> <参考例2. チョップド炭素繊維束1> <参考例3. チョップド炭素繊維束2> <参考例4. チョップド炭素繊維束3> <参考例5. チョップド炭素繊維束4> <参考例6. チョップド炭素繊維束5> <参考例7. チョップドガラス繊維束> <参考例8. ナイロン6樹脂> <参考例9. 共重合ナイロン樹脂> <参考例10. 無変性ポリプロピレン樹脂> <参考例11. 酸変性ポリプロピレン樹脂> <参考例12. ポリフェニレンスルフィド樹脂> <参考例13. 連続炭素繊維プリプレグ> <参考例14. 発泡PP樹脂シート> <参考例15. 長繊維強化ナイロン樹脂ペレット> <参考例16. 炭素繊維マット1の調製> <参考例17. 炭素繊維マット2の調製> <参考例18. 炭素繊維マット3の調製> <参考例19. 炭素繊維マット4の調製> <参考例20. 炭素繊維マット5の調製> <参考例21. ガラス繊維マットの調整> <参考例22. ナイロン6樹脂フィルムの調整> <参考例23. 共重合ナイロン樹脂フィルムの調整> <参考例24. ポリプロピレン樹脂フィルムの調整> <参考例25. ポリフェニレンスルフィド樹脂フィルムの調整> <参考例26. 成形材料1の調製> <参考例27〜参考例29. 成形材料2〜成形材料4の調製> <参考例30および参考例31. 成形材料5および成形材料6の調整> <参考例32. 成形材料7の調整> <参考例33および参考例34. 成形材料8および成形材料9の調整> <参考例35. 成形材料10の調整> <参考例36. 成形材料11の調整> <参考例37. 成形材料12の調整> <参考例38. 成形材料13の調整> <参考例39. 成形材料14の調整> <参考例40. 成形材料15の調整> <参考例41. 成形材料16の調整> <参考例42. 成形材料17の調整> <参考例43. 成形材料18の調整> <参考例44. 成形材料19の調整> <参考例45. 成形材料20の調整> <参考例46. ナイロン6樹脂ハニカムコアの調整> [実施例1] 第2の部材(II)として、参考例13の連続炭素繊維プリプレグを3枚と、参考例23で得た共重合ナイロン樹脂フィルムを1枚用いた。 図25に示されるように、連続炭素繊維プリプレグを繊維方向が、[0°/90°/0°]となるように積層し、0°層の片側にフィルムを1枚積層した。 次に、プレス成形機にて、繊維強化樹脂層とフィルムから構成されるプリフォームを、0.6MPaの面圧をかけながら、150℃で30分間加熱して熱硬化性樹脂を硬化させた。 硬化終了後、室温で冷却し、平均の厚み0.4mmの第2の部材(II 1 )を得た。 得られた第1の部材(I 1 )および第2の部材(II 1 )を図26に示すように第1の部材(I 1 )の芯材部と第2の部材(II 1 )の樹脂フィルム側が接するように積層し、プレス成形機にて、1MPaの面圧をかけながら、180℃で1分間加熱し、プレス成形機から取り出した後、室温で冷却し、第1の部材(I 1 )と第2の部材(II 1 )が一体化した成形体(1)を得た。 特性を表3に示す。 [実施例2] [実施例3] [実施例4] [実施例5] [実施例6] [実施例7] [実施例8] [実施例9] [実施例10] [実施例11] [実施例12] [実施例13] [実施例14] [比較例1] [比較例3] [比較例4] [比較例5] [比較例6] 1 面形状を有する表層部2 突起形状を有する芯材部3 第1の部材(I) |