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申请号 JP31274199 申请日 1999-11-02 公开(公告)号 JP4498504B2 公开(公告)日 2010-07-07
申请人 ローム アンド ハース カンパニーRohm And Haas Company; 发明人 アラン・ダニエル・スタイン; ガロ・カーナリアン; ジェフリー・ローレンス・ディーチャー; スティーブン・デービッド・フィールズ;
摘要
权利要求
  • 高品質プラスチックシートの1以上の層、該シートの少なくとも1つの面に配置された反射性または半反射性の層を有する光学的記憶媒体であって、該プラスチックシートが以下の工程
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 前記オーバーフローダイから離れるように前記溶融ウェブを導く工程;および(e) 前記溶融ウェブを冷却して固体シートを形成する工程、
    を含む方法によって製造され、ならびに前記シートは、シートの波打ちが2.0μ 以下、400mmの試料の長さについての厚さの変動が10%以下、収縮率が0.1%以下、および複屈折率が0.0002以下である (ここで、シートの波打ちは、SEMI 標準 D15−1296の手順と同様の手順で触針式測定装置を用いて測定した20mmの試料の長さにおける最大値と最小値との間の差であり、収縮率は、Tg以下のセット温度に4時間加熱して加熱前後の試料の長さを直接測定したときの加熱前後の長さの変化の百分率であり、複屈折率は、シートのオプティカルリターダンスをシートの厚さによって割ることによって得られ、オプティカルリターダンスは、実験フレームに対して−45°において偏光させた632.8nmの波長のレーザービームをシートを通して通過させ、次いで実験フレームに対して0°にセットした光学軸に配向され、かつ1/4波長リターダンス(158.2nm)に設定した電圧を有する光弾性モジュレータを通して通過させ、次いで光を第2の直線偏光子(偏光軸+45°)を通して通過させ、強度を検出し、プラスチックシートをレーザービームに対して直角に回転させて最大信号を検出し、最大信号を標準1/4波長板に対して測定した信号と比較することにより得られる) 、光学的記憶媒体。
  • 樹脂が、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステルのホモポリマーまたはコポリマー;フェノキシエーテル;ポリフェニレンオキサイド樹脂;セルロース樹脂;ビニルポリマー;フルオロポリマー;ポリスチレン;ポリオレフィン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリフェニレンスルフィド;ポリアリーレンエステル樹脂;ポリエステル;N−Hおよび/またはN−アルキルグルタルイミドのホモポリマーまたはコポリマー;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂;スチレン−アクリロニトリル樹脂;スチレン−無水マレイン酸樹脂;イミド化スチレン−無水マレイン酸樹脂;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリカーボネート−ポリエステル;ポリアリーレート;液晶ポリマー;およびそれらの混合物からなる群から選ばれた熱可塑性樹脂である、請求項1記載の光学的記憶媒体。
  • 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート;線状アクリルホモポリマーおよびコポリマー;環状ポリオレフィン;および線状イミド化アクリルホモポリマーおよびコポリマーからなる群から選ばれる、請求項2記載の光学的記憶媒体。
  • 前記樹脂が、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンおよびシクロアルカン;ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)アルキル−シクロアルカン;ビス(3,5−ジ置換−4−ヒドロキシフェニル)アルキルシクロアルカン;たとえば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4'−ジヒドロキシ−テトラフェニルメタン、および6,6'−ジヒドロキシ−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロ(ビス)インダン;およびそれらの混合物からなる群から選択される1以上のビスフェノールを含むポリカーボネートまたはポリカーボネート−ポリエステルである、請求項2記載の光学的記憶媒体。
  • 熱可塑性樹脂がビスフェノールAポリカーボネートである、請求項2記載の光学的記憶媒体。
  • 反射性の層が金属である、請求項1記載の光学的記憶媒体。
  • 金属がアルミニウムまたは金である、請求項6記載の光学的記憶媒体。
  • シートと反射または半反射性の層との間に配置された相−変化媒体をさらに含む、請求項1記載の光学的記憶媒体。
  • シートと反射または半反射性の層との間に配置された磁気光学的層をさらに含む、請求項1記載の光学的記憶媒体。
  • シートが、シート内に分散された1以上の顔料、染料またはそれらの混合物をさらに含み、該顔料、染料またはそれらの混合物が光に暴露することにより局部的に光学特性の変化を起こす、請求項1記載の光学的記憶媒体。
  • (a) 溶融プラスチック樹脂を提供するためのソース;
    (b) 長さおよび幅を有するオーバーフローダイであって、前記ダイは、末端が頂点になっている卵形の断面、導管の開口、および前記導管の開口と連結した計量装置を含み、溶融プラスチック樹脂は、導管の開口を通ってダイの中に流れ、計量装置を通ってダイの外へ流れ、そしてダイの 側面を流れて、前記頂点において溶融ウェブを形成する、前記のダイ;
    (c) 前記ソースから前記オーバーフローダイに、前記溶融プラスチック樹脂を送出するための手段;
    (d) 前記溶融ウェブを、前記オーバーフローダイから離れるように導くための誘導手段、
    (e) 前記の送出手段とオ−バ−フローダイの間に配置された濾過手段、および(f) 前記の濾過手段とオ−バ−フローダイの間に配置された混合手段を含む、高品質のプラスチックシートを製造するための装置。
  • 濾過手段がディスクフィルターである、請求項 11記載の装置。
  • 混合手段がロータリーミキサーである、請求項 11記載の装置。
  • 光学的記憶媒体の製造方法であって、
    (1)以下の工程を含む方法によって高品質プラスチックシートを製造し:
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 前記オーバーフローダイから離れるように前記溶融ウェブを導く工程;
    (e) 前記溶融ウェブを冷却して固体シートを形成する工程;
    (2) ポリマーフィルムで該シートを被覆し;および(3) 被覆されたシートに情報をエンボッシングする、
    工程を含む、方法。
  • 1以上の顔料、染料またはそれらの混合物がその内部に分散された高品質プラスチックシートを有する3次元光学的記憶媒体の製造方法であって、該顔料、染料またはそれらの混合物が光に暴露されることにより局部的に光学特性の変化を起こすものであり、以下の工程を含む光学的記憶媒体の製造方法:
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 顔料、染料またはそれらの混合物を溶融プラスチック樹脂と混合し、溶融樹脂をオーバーフローダイを使用してウェブに成形する工程;
    (e) 前記オーバーフローダイから離れるように前記溶融ウェブを導く工程;
    (f) 前記溶融ウェブを冷却して固体を形成する工程。
  • 構造化された表面を有する高品質プラスチックシートを含むライトマネージメントフィルムの製造方法であって、以下の工程を含むライトマネージメントフィルムの製造方法:
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 前記オーバーフローダイから離れるように前記溶融ウェブを導く工程;
    (e) 前記溶融ウェブを冷却して固体シートを形成する工程;および(f) 冷却前、冷却中、または冷却後にシートに構造化された表面を提供する工程。
  • 说明书全文

    【0001】
    本発明は、プラスチックシートを形成するための方法および装置に関する。 特に、本発明は、低残留応および高い表面品質を有するプラスチックシートを形成するための方法および装置に関する。 本発明方法により形成されるプラスチックシートは、例えば、光窓(optical window)、光学フィルター、記録用媒体、および液晶ディスプレー(LCD)のような、光学的および電子的ディスプレー用途において特に有用である。
    【0002】
    光学的品質のガラスまたは石英のシートは、「基体(substrate)」として電子的ディスプレー用途に使用される。 そのような用途においては、「基体」は電子的ディスプレーを造るために使用される物質のシートである。 そのような基体は、透明、半透明または不透明であることができるが、典型的には透明である。 一般的に、そのようなシートは、導電性被覆物を施した後に基体として使用される。 そのような基体は、しばしば、光学的透明性、平滑性および最小の複屈折のための厳しい規格を有し、典型的には、ガスおよび溶剤の浸透に対して高い抵抗性を有していなければならない。 また、可撓性、対衝撃性、硬度およびひっかき抵抗性のような機械的性質も重要な考慮すべき事項である。 ガラスまたは石英のシートは、これらの物質が光学的および平滑性についての必要条件を満足させることが可能であり、かつ良好な耐熱性および耐薬品性およびバリヤー性を有しているので、ディスプレー用途に使用されてきた。 しかし、これらの物質は、いくつかの所望される機械的性質、特に、低密度、可撓性および耐衝撃性を有していない。
    【0003】
    光学的またはディスプレー用途におけるガラスシートまたは石英シートの機械的限界のために、そのような用途にプラスチックシートを使用することが望ましい。 プラスチックシートは、等しい厚さのガラスシートまたは石英シートよりも、より大きい可撓性を有し、破損に対してより大きな抵抗性があり、そしてより軽量であるが、妥当なコストで光学的用途およびディスプレー用途に使用するために要求される必要な光学的特性を有するプラスチックシートを造ることは非常に難しかった。 更に、多くのタイプのプラスチックシートは、ディスプレー装置の製造中における加工条件、特に温度についてかかる加工条件に基体を暴露したときに許容できない寸法のゆがみを与える。
    【0004】
    プラスチックシートおよびフィルムを製造するために、キャスティング、押し出し、成形、延伸をはじめとする、いくつかの工業上に利用されている方法がある。 これらの方法の内で、いくつかは高品質のプラスチックシートを製造するのに適当でない。 本明細書を通して使用されている用語「高品質」は、次の特性を有するプラスチックシートを記述するのに用いられている:小さな表面あらさ(low surface roughness)、小さな波打ち(low waviness)、小さな厚さ変動、および最小限のポリマー鎖の配向(例えば、非対称な(asynmetric)物理的性質、複屈折または熱収縮によって測定される)。
    【0005】
    例えば、射出形成法は、溶融プラスチックの金型の中への流れに起因して、特に薄いシート(例えば、1mmの厚さまたはそれ以下)において、多量のポリマー鎖配向を生じさせ、許容できないほど複屈折を増加させ、無視できない光弾性(光学的ストレス)係数を有するポリマーを生じやすい。 射出圧縮成形法は、表面の品質を改良し、ポリマー鎖の配向を減少させるために、射出後のポリマーをスクィーズ(squeezing)させる改良された成形方法である。 しかし、これらの改良をしてさえ、射出圧縮成形方法の高品質シート製造能力は限られたものである。
    【0006】
    圧縮成形法およびプレスつや出し法は、良好な表面品質を有するシートを製造するのに使用できる。 しかし、そのような方法に固有なスクィーズ流れは、ポリマー鎖の配向をもたらし、熱サイクル中に許容できない収縮を生じる。 更に、これらの方法は連続的に操作できず、それ故、労務コストおよび製造コストが増加する。
    例えば、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムのための、延伸操作およびインフレーション法(blown film extrusion)は、大量のポリマー鎖の配向を生じ、高品質のプラスチックシートを製造するには不適当である。
    ソルベントキャスト法は、高品質フィルムを製造するのに使用することができる。 しかし、この方法によって製造できるフィルムの最大の厚さには実施上の制限がある。 更に、キャスティングに使用する溶剤はシートの形成後に除かなければならない。
    シート押し出し法は、連続操作として行われるが、この方法は、ダイおよびロールスタック(roll stack)におけるつや出しローラーの間におけるポリマー流れに起因して、許容できないポリマー鎖の配向を生じる。
    それ故、連続法において、比較的安価に高品質プラスチックシートを製造でき、得られたプラスチックシートが、光学的および電子的ディスプレー用途の基体として使用できる、プラスチックシートの製造方法が求められている。
    【0007】
    本発明は、高品質プラスチックシートの1以上の層、該シートの少なくとも1つの面に配置された反射性または半反射性の層、および任意に該シートの少なくとも1つの面に配置された保護層を有する光学的記憶媒体(optical storage medium)であって、該プラスチックシートが以下の工程を含む方法によって製造される光学的記憶媒体:
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 前記オーバーフローダイから遠くに前記溶融ウェブを導く工程;および(e) 前記溶融ウェブを冷却して固体シートを形成する工程、
    を提供する。
    【0008】
    本発明はさらに、
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供するためのソース;
    (b) 長さおよび幅を有するオーバーフローダイであって、前記ダイは、頂点に達する実質的に卵形の断面、導管の開口、および前記導管の開口と連結した計量装置を含み、溶融プラスチック樹脂は、導管の開口を通ってダイの中に流れ、計量装置を通ってダイの外へ流れ、そしてダイの側面のまわりに流れて、前記頂点において溶融ウェブを形成する、前記のダイ;
    (c) 前記ソースから前記オーバーフローダイに、前記溶融プラスチック樹脂を送出するための手段;
    (d) 前記溶融ウェブを、前記オーバーフローダイから遠くに導くための誘導手段、
    (e) 前記の送出手段とオ−バ−フローダイの間に配置された濾過手段、および(f) 前記の濾過手段とオ−バ−フローダイの間に配置された混合手段を包む、高品質のプラスチックシートを製造するための装置、
    も提供する。
    【0009】
    本発明はさらに、
    シートの少なくとも1つの面に配置された電子部品を有する高品質プラスチックシートを含む液晶ディスプレイ用の基体であって、該プラスチックシートが以下の工程を含む方法によって製造される基体:
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 前記オーバーフローダイから遠くに前記溶融ウェブを導く工程;および(e) 前記溶融ウェブを冷却して固体シートを形成する工程、
    ここでプラスチック樹脂がポリカーボネートの時には、ビスフェノール成分として(1)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;(2)2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとの混合物;(1)と(2)のブレンド;(1)または(2)とビスフェノール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを含む第2のポリカーボネートとのブレンドを含まない、
    を提供する。
    【0010】
    本発明はさらに、
    シートの少なくとも1つの面に配置された磁気層を有する高品質プラスチックシートを含む磁気的記憶媒体(magnetic storage medium)であって、該プラスチックシートが以下の工程を含む方法によって製造される磁気的記憶媒体:
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 前記オーバーフローダイから遠くに前記溶融ウェブを導く工程;および(e) 前記溶融ウェブを冷却して固体シートを形成する工程、
    を提供する。
    【0011】
    本発明はさらに、
    1以上の顔料、染料またはそれらの混合物がその内部に分散された高品質プラスチックシートを有する3次元光学的記憶媒体であって、該顔料、染料またはそれらの混合物が光に暴露されることにより局部的に光学特性の変化を起こすものであり、光学的記憶媒体が以下の工程によって製造される光学的記憶媒体:
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 顔料、染料またはそれらの混合物を溶融プラスチック樹脂と混合し、溶融樹脂をオーバーフローダイを使用してウェブに成形する工程;
    (e) 前記オーバーフローダイから遠くに前記溶融ウェブを導く工程;
    (f) 前記溶融ウェブを冷却して固体を形成する工程、
    を提供する。
    【0012】
    本発明はさらに、
    エンコード(encode)された情報を有する光学的記憶媒体の製造方法であって、以下の工程を含む方法によって高品質プラスチックシートを製造することを含む方法:
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 前記オーバーフローダイから遠くに前記溶融ウェブを導く工程;
    (e) 前記溶融ウェブを冷却して固体シートを形成する工程;
    (f) ポリマーフィルムで該シートを被覆する工程;および(g) 被覆されたシートにエンボッシング(embossing)することにより情報をエンコードする工程、
    を提供する。
    【0013】
    本発明はさらに、
    構造化された表面を有する高品質プラスチックシートを含むライトマネージメントフィルムであって、以下の工程によってフィルムが製造されるライトマネージメントフィルム:
    (a) 溶融プラスチック樹脂を提供する工程;
    (b) この溶融プラスチック樹脂を、入口および出口を有するオーバーフローダイに導く工程;
    (c) 溶融プラスチック樹脂を、前記オーバーフローダイを使用して溶融ウェブに成形する工程;
    (d) 前記オーバーフローダイから遠くに前記溶融ウェブを導く工程;
    (e) 前記溶融ウェブを冷却して固体シートを形成する工程;および(f) 冷却前、冷却中、または冷却後にシートに構造化された表面を提供する工程、
    を提供する。
    【0014】
    図1は、本発明の典型的装置の正面図である。
    図2は、図1の装置の側面図である。
    図3A〜3Cは、オーバーフローダイ20の拡大図である。 図3Aは、加熱用マニホールドが取り付けられたダイの透視図である。 図3Bは、ダイの上面図である。 そして図3Cは、ダイの側面図である。
    図4は、オーバーフローダイ20の断面図である。
    図5−7は、本発明のオーバーフローダイの別の態様である。 図5は、ダイ20のスロット(slot)22の代わりに一連の孔を有するオーバーフローダイを例示している。 図6は、非テーパースロット(non−tapering slot)を有するオーバーフローダイを例示している。 図7は、「コートハンガー(coathanger)」装置を有するオーバーフローダイを例示している。
    【0015】
    本明細書に使用されている次の用語は、特記のない限り、次の定義を有する。 「ガラス転移温度」または「Tg」は、ポリマーが相対的に硬くかつもろい状態から相対的に軟らかいかつ粘性のある状態(ゴム状)に変化する狭い温度範囲の中点である。 「プラスチック」は、シートを形成することができるポリマーをいい、たとえば熱可塑性プラスチックのようなポリマーをいう。 用語「ポリマー」および「樹脂」は、明細書を通して交換可能で用いられる。 「シート」は、約25mm以下の厚さを有するシートを称し、かつ「フィルム」(0.5mm未満の厚さを有するシート)も含むように意図されている。 「収縮」は、加熱−冷却のサイクルにかけられたシートに起こる不可逆の寸法変化を称する。 「ビスフェノールA」および「2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン」の用語は、本明細書において交換可能なものとして使用される。 「ビスフェノールAポリカーボネート」の用語は、ビスフェノールAとフォスゲンとを含むポリカーボネートを意味する。 次の略字が本明細書において使用される:cm=センチメートル;mm=ミリメートル;nm=ナノメートル;μ=ミクロン(マイクロメーター);g=グラム;mL=ミリリットル;Pa=パスカル;kPa=キロパスカル;Pa−s=パスカル−秒;sec=秒;min=分;hrs=時間、UV=紫外線;およびIR=赤外線。 すべての温度表示は、特にことわりがなければ、℃である。 特定した範囲の境界値は、特にことわりがなければ包含される。
    【0016】
    本発明方法によって形成された高品質のプラスチックシートは、多くの用途に使用することができ、これらには、LCDおよびエレクトロルミネセンスディスプレーのような電子的ディスプレー装置のための基体;マイクロ光学レンズアレイ(microoptic lens arrays)および光ディレクティングフィルム(light directing film)用の基体;光窓および光学フィルター;導波路光学部品(waveguide optics);光学的、磁気的、化学的または他のタイプの記憶または記録用媒体のための基体;写真用またはX線用の用途のような映像のための基体;診断システムのための基体;および電子回路のための基体が含まれるが、それらに限定されない。
    【0017】
    本発明のシートまたはフィルムは、液晶ディスプレーデバイスのような電子的ディスプレーデバイスの基体として使用するのに適している。 そのような基体はしばしば導電性コーティングまたは薄膜トランジスターやダイオードのような能動電子素子(active electronic devices)を施す前に1以上の被覆層で被覆される。 施用する事のできるコーティングの種類としては、架橋性コーティング、バリヤコーティングおよび導電性コーティングがあげられる。
    【0018】
    架橋性コーティング層は耐溶剤性、耐摩耗性を改良し、プラスチック基体と引き続くコーティング層との接着を促進する事ができる。 たとえば、有機コーティングと無機コーティングとの間の接着を促進する。 架橋性コーティング層を使用する場合は、プラスチック基体の1面または両面に塗布することができる。
    バリヤ層はガスまたは湿分の透過を減少させるコーティングである。 バリア層の組成は、有機物であっても無機物であってもよい。 バリヤコーティングの材料が耐溶剤性であり、溶媒のプラスチックシートへの移行を有意に防止または減少させることができる場合には、バリアコーティングは耐溶剤性コーティングとしても有用である。 使用される場合には、バリヤ層はプラスチックシートの1面または両面に施用する事ができる。
    【0019】
    光学的ディスプレーに使用される場合には、本発明の基体は導電層で被覆されることができる。 たとえば、基体が液晶ディスプレー(LCD)に使用される場合には、基体の少なくとも1つの面には電子部品が必要とされる。 典型的には、電子部品は基体の1つの面に設けられ、その面はLCDセルの内部とされ、液晶に最も近くされる。 別法として、基体の両方の面に電子部品を設けることもできる。 その他の態様では、保護コーティング、カラーフィルターコーティング、またはバリヤコーティングの1以上の層が、基体と電子部品の間に配置される。 好適な電子部品としては、能動電子素子の層および導電性層があげられるが、これらに限定されるものではない。 能動電子素子の層を含む基体は、特にLCDにおける使用に適している。
    【0020】
    本発明の基体は、W. C. O'Mara,Liquid Crystal Flat Panel Displays,Van Nostrand Reinhold, New York(1993)に開示されているものと同様の物質および方法を使用して、液晶ディスプレーセルに導入することができる。 基体から液晶セルを形成する方法は、以下の工程の1以上を含むことができる:フォトリソグラフィックプロセスを使用して、少なくとも1つの基体の上に透明導電性フィルムのパターンを作成する工程、液晶アラインメント材料を2つの基体の上の導電性コーティングに施す工程、アラインメント層をラビングして、基体に対するアラインメント特性を付与する工程、少なくとも1つの基体にスペーサー粒子を施す工程、少なくとも1つの基体にエッジシールを施す工程、2つの基体を導電層が互いに向き合わせ正しい方向で接触させる工程、エッジシールを硬化させる工程、基体の間に形成された狭い隙間に液晶を射出する工程、および隙間をシールする工程。 本発明の基体はすべてのタイプの液晶ディスプレーセルに使用することができ、たとえば液晶とポリマーの複合体を有するもの、基体上の電子部品によりディスプレー画素がアクティブにアドレスされているもの(アクティブマトリックスディスプレー)、ディスプレー画素がパッシブにアドレスされているもの(いわゆるパッシブマトリックスディスプレー)があげられる。
    【0021】
    本発明のシートは光学的記憶媒体における基体として使用するのに適している。 好適な光学的記憶媒体としては、たとえばコンパクトディスク、リコーダブル(recordable)コンパクトディスク、リード/ライトコンパクトディスク、デジタルバーサタイルディスク(digital versatile disks)、リコーダブルデジタルバーサタイルディスク、リード/ライトデジタルバーサタイルディスク、および光磁気ディスク(magneto−optical disks)があげられるが、これらに限定されるものではない。
    【0022】
    コンパクトディスク(CD)およびデジタルバーサタイルディスク(DVD)はポリマー基体の上のピット(pits)とグルーブ(grooves)としてエンコードされた情報を有する。 ピットのシーケンスと長さが情報をエンコードし、これは焦点あわせされたレーザービームにより基体から読み込まれる。 コンパクトディスクの典型的な製造においては、ピットとグルーブはモールド中のスタンパーから基体上に複写される。 基体が成型されると、アルミニウムまたは金のような反射性金属の薄膜の蒸着によりメタライズされる。 基体はついで任意にラッカーまたは樹脂で被覆されることができ、これにインクを塗布し、たとえばラベルを付与することができる。 光学的データ記憶における進歩はより多量の情報をエンコードすることを要求し、これはピットとグルーブの間の距離を減少させる。 そのような密に詰められた情報(つまり高密度)の読み込みの際のエラーを防止するために、基体が製造の間、および書き込み可能なディスクの場合には書き込みの間に、ピットとグルーブの周囲で変形しないよう、十分に高品質であることが重要である。 このような変形はエンコードされた情報の読み込みの際にエラーを引き起こす。 本発明の利点は、製造された高品質光学プラスチックシートが、公知の射出成型された基体に比較して、小さな複屈折、小さい表面粗さ、および高い寸法安定性を有することである。 これは、ピットとグルーブの周辺の変形が非常に小さい、高密度でエンコードされた情報を可能とし、光ディストーションのないエンコードされた情報の読みとりおよび書き込みを提供し、より大きなSN比を与える。
    【0023】
    DVDはコンパトディスクと同じ方法により一般に製造される。 しかし、第1の複写された表面の上にエンコードするための1以上の追加の情報の層として、追加の半反射層およびポリマー層を有することができる。 またDVDは情報の内容量を増加させるために透明な接着剤で互いに接着された2以上のディスクを有することができる。 典型的には、DVDは2から4つの層を有する。
    【0024】
    本発明のシートが光学的記憶媒体の基体として使用される場合には、光学的記憶媒体はa)本発明の方法により製造された高品質プラスチックシート、b)シートの少なくとも1つの面に配置された反射層または半反射層、および任意にc)シートの少なくとも1つの面に配置された保護層を含む。 反射層または半反射層は任意の反射性または半反射性物質から形成することができる。 反射層が使用される場合には、反射層はアルミニウムまたは金のような金属を含むことが好ましい。 そのような反射層は典型的にはスパッタリングまたは真空蒸着により基体に施される。 半反射層が使用される場合には、半反射層は金属を含むことが好ましい。 半反射層に使用するのに好適な金属としては、金、アルミニウム、およびアルミニウム合金のような合金があげられるが、これらに限定されるものではない。 金属が半反射層として使用される場合には、金属の非常に薄い層のみが必要とされる。 保護層は望まれる光学特性を妨害しない、プラスチック基体または反射層の上に施された任意のコーティングであることができる。 保護層はラッカーまたは樹脂であることが好ましい。 プラスチック基体が、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることがさらに好ましい。
    【0025】
    情報は本発明のシートを含む光学的記憶媒体に公知の手段、たとえばエンボッシングやイメージング(imaging)によりエンコードすることができる。 たとえば、光学的記憶媒体はM. T. Gale,Micro−Optics,(Ed.H.P.Herzig),Taylor&Francis,London,UK,chapter6(1997)に開示されているような、熱エンボッシングプロセスにより製造することができる。 熱エンボッシングは加熱されたスタンパーを使用し、基体に情報をエンコードする。 熱スタンパーはロールトゥロール(roll to roll)の連続プロセス、または圧縮成型のような非連続プロセスにおいて使用することができる。 別法として、基体を最初に薄いポリマーフィルムで被覆した後、エンボッシングすることができる。 好適なポリマーフィルムとしては、ラテックス、フォトポリマー、および紫外線硬化性樹脂があげられるが、これらに限定されるものではない。 ポリマーコーティングの厚さは一般に0.05から10ミクロン、好ましくは0.1から1ミクロンである。 そのようなポリマーフィルムはより速いエンボッシングと、エンコードされた情報のよりよい複写をもたらす。
    【0026】
    別法として、光学的記憶媒体上に情報をエンボッシングするためにフォトポリマーを使用することができる。 フォトポリマーを使用する場合には、それは最初に基体の上に塗布される。 被覆された基体はついで、半導体工業において使用されるもののような公知の任意のリソグラフィックプロセスを使用して画像形成される。
    【0027】
    情報が基体の上にエンコードされた後、基体は反射性または半反射性層で被覆され、任意に、反射性または半反射性表面を保護するために紫外線硬化性樹脂で被覆される。 反射性または半反射性層はスパッタリングまたは真空蒸着により施されることができる。 DVDの製造においては、エンコードされた基体は好ましくは半反射性層で被覆される。 最終層の上の反射性または半反射性表面は、典型的には紫外線硬化性樹脂で被覆される。
    【0028】
    情報をエンコードするために使用されるピットは0.01から1ミクロン、好ましくは0.04から0.15ミクロンの深さであることができ、0.4から10ミクロンの長さであることができる。 光学的記憶媒体は典型的には0.6から1.2ミリの厚さである。 光学的記憶媒体に使用される基体の複屈折は典型的には50ナノメーター未満であり、好ましくは30ナノメーター未満である。
    【0029】
    本発明の方法により製造される高品質シートは光学的相変化媒体(optical phase−change media)の基体として有用である。 光学的相変化媒体は、1回の書き込みができ何回も読み込みができるもの、および何回も書き込みと読み込みができるものが含まれる。 好適な光学的相変化媒体には1回記録できるコンパクトディスク(record once compactdisk:CD−R)、1回記録できるデジタルバーサタイルディスク(DVD−R)、光磁気媒体(MO)、相変化媒体(PD)、リード/ライトコンパクトディスク(CD−RW)、およびリード/ライトデジタルバーサタイルディスク(DVD−RW)が挙げられるが、これらに限定されない。 たとえば、種々の相変化媒体が、H. Bennett,Emedia Professional,Online Inc. ,Wilton,CT,1998年7月、第31頁に開示されている。 光学的相変化媒体は典型的には、レーザートラッキングのためのスパイラルグルーブを有する高品質基体、反射性または半反射性層、基体と反射性または半反射性層との間に配置された相変化媒体、および反射性または半反射性層のための紫外線硬化性保護被覆からなる。
    【0030】
    レーザー光を反射性層の上のサブミクロンのスポットの上に焦点あわせし、劣化(すなわちピットの形成)または相変化(結晶の非晶質への転移)を起こして反射率を変化させることにより、相変化媒体の上に情報をエンコードする。 これに対し、光磁気記憶媒体では、反射された光の偏光の変化が起こる。
    【0031】
    光学的相変化媒体におけるスパイラルグルーブは、エンボッシングまたはイメージングにより製造することができる。 たとえば、本発明の高品質シートをポリマー層で被覆し、ついで熱スタンパーでエンボッシングしてスパイラルグルーブを形成することができる。 別法として、フォトポリマーを本発明の高品質シートに塗布し、リソグラフプロセスによりグルーブが画定され、その後被覆が硬化される。 相変化媒体に使用される高品質光学的シートを被覆するために有用なポリマーは、引き続くエンコードプロセスにおける高温蒸着工程に耐えるだけの充分に高いガラス転移温度を有していなければならない。 スパイラルグルーブの幅とピッチは具体的な媒体の構成に応じて変化するが、典型的には0.1から10ミクロンの範囲であり、好ましくは0.4から2ミクロンの範囲である。 エンコードされた情報のスポットサイズは典型的には0.4から10ミクロンの範囲である。
    【0032】
    記録可能な光学的相変化媒体において有用な記録可能媒体は具体的な相変化媒体に応じて変化し、これらは公知である。 たとえば、CD−Rにおいては記録可能な媒体は、典型的にはシアニンまたはフタロシアニンのような染料と溶剤中の他のポリマー添加剤とからなり、これはグルーブの形成された基体の上にスピンコートされる。 高品質プラスチック基体と相互作用を起こしてグルーブパターンをゆがめたり基体をそらしたりしなければ、任意の染料が好適である。 好適な染料としては、有機染料、無機顔料、およびこれらの混合物が挙げられる。 染料コーティングはついで乾燥され、メタライズされ、紫外線硬化性樹脂で被覆され最終のCD−Rが製造される。
    【0033】
    MO記憶媒体は高品質基体、基体の少なくとも1つの面に配置された磁気光学的層(magneto−optical layer)、 磁気光学的層の上に配置された反射性または半反射性層、および任意の基体の少なくとも1つの面に配置された保護層を含む。 MO媒体においては、GdFeCoまたはTbFeCoのような種々のコバルト合金のような磁気光学的層が、グルーブの形成された基体の上にスパッタされる。 追加の層をコバルト合金の層の上に設け、基体からのまたは基体への熱移動を助けることができる。 ついで局部的な加熱を提供するための焦点あわせされたレーザーおよび領域の極性を反転させる磁気ヘッドを使用して、磁気領域に書き込みが行われる。 CD−RWおよびDVD−RWでは、たとえばM. Elphick,Data Storage,Penwell,Nashua,NH,1998年9月の第85頁に記載されているように、複数の層がグルーブの形成された高品質プラスチック基体の上に設けられる。 そのような層は下層のZnS. SiO のような保護層、Ge Sb Te のような記録可能な層、上部の保護層、上部の反射性金属層および最後の紫外線硬化性ラッカーの保護層を含む。
    【0034】
    本発明の高品質シートは、読み取り用レーザービームが反射され基体を透過しない記憶媒体の基体として使用されるのに有用である。 そのような記憶媒体においては、読み取り用のレーザービームは固体液浸レンズ(SIL:solid immersion lens)を使用して、基体および記録媒体の上に焦点あわせされる。 これらのレンズは表面の上を、光の波長のフラクション(fraction of the wavelength of light)の距離、典型的には10から100ナノメーターの距離でなめらかに動く。 この用途では基体は光学的に透明でなければならないわけではない。 しかし、記録媒体が非常に小さな表面粗さを有することが重要である。 これに近い領域の光学の用途については、Mansfield etal. ,Appl. Phys. Lett. ,57,1990、第2615頁に記載されている。
    【0035】
    多層記憶媒体はデータ記憶密度を大きくする1つの手段である。 そのような記憶媒体では、CDにおける複写されたピットの単一層、および標準的なDVDにおける2から4の層の代わりに、2以上の層がデータを記憶するために使用される。 たとえば、米国特許第4,450,553号、5,202,875号、5,263,011号、5,373,499号、および5,627,817号に多層記憶媒体が記載されている。 多層媒体においては、最近の標準に適合するように、媒体の全体の厚さが1.2ミリであることが望ましい。 すなわち、6または12層の媒体では、各基体の層の厚さがそれぞれ0.2または0.1ミリであることが必要とされる。 近年の射出成型法では、必要とされる光学特性を有するそのような薄い基体を製造することができないことは公知である。 そのような薄い射出成形された基体は、そってしまい、大きな応力と複屈折を有する。 一方、本発明の高品質シートは、非常になめらかな表面、小さい応力および小さい複屈折を有する薄い基体を製造するために使用することができる。
    【0036】
    単一層のCDにピット構造を複写するために上記に記載された方法は、多層記憶媒体についても効果的に適用することができる。 たとえば、1以上のポリマー層(被覆)を基体に、たとえば連続法により適用することができる。 1度被覆したら熱スタンパーを使用したエンボッシングによりシートの上にデータがエンコードされる。 別法として、フォトポリマーを基体の上に塗布し、データを光学的な画像形成法(リソグラフィー)によりエンコードすることができる。 一度基体にデータがエンコードされたら半反射性金属性層または狭い波長帯の誘電層がそれぞれの基体の層に施され、光がそれぞれの基体の層から反射されるようにする。 このそれぞれの基体の層はついで、接着結合層を使用して互いに積層され、所望の多層記憶媒体が形成される。
    【0037】
    本発明の高品質シートは多層の書き換え可能な記憶媒体における基体としても有用である。 そのような媒体では、それぞれのシートが形成され被覆された後は、それらはスパイラルグルーブパターンでエンボッシングされる。 相変化媒体またはMO媒体のような媒体では、ついでプラスチック基体上にスパッタされ、ついで半反射性金属性層または狭い波長帯の誘電層が施される。 それぞれの基体の層はついで、接着結合層を使用して互いに積層され、所望の多層記憶媒体が形成される。
    【0038】
    本発明の高品質シートが磁気記憶媒体に使用される場合には、磁気記憶媒体は本発明の方法により製造された高品質プラスチックシートであり、シートのすくなくとも1つの面に磁気合金(magnetic alloy)が配置されたシートを含む。 任意の本発明の高品質プラスチックシートが磁気記憶媒体の基体としての使用に適する。 磁気合金は高品質シートにスパッタリングにより適用されることが好ましい。 任意に、高品質シートはさらに剛化剤(stiffening agent)を含むことができる。 剛化剤は高品質シートがより大きな弾性率(剛性)を必要とする場合に有用である。 好適な剛化剤としては、ガラス繊維、タルク、窒化ケイ素、クレイおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 アルミニウムディスクのような磁気記憶媒体として公知の他の基体に比較して、本発明のシートはより軽く、なめらかであり、剛性があり、強靱であるという利点を有する。
    【0039】
    本発明の高品質シートは3次元(3−D)光学的記憶媒体用の基体としても有用である。 3−D光学的記憶媒体は、コンピーターのハードドライブや同様なデータ記憶装置のような、高密度のデータ記憶を必要とする全ての用途において有用である。 そのような3−D光学的記憶媒体は、CD−ROMや磁気記憶媒体のような従来の2次元の記憶媒体とは異なり、情報は3次元の空間に記憶され、基体の面上のみにはない。 これにより記憶容量が何倍にもなり、1平方インチ(6.45平方センチ)あたりギガバイトから1立方インチ(16.39立方センチ)あたりテラバイトになる。 3−D光学的記憶媒体のいくつかの例が公知である。 これらにはたとえばLiNbO のような無機物質(または顔料)、有機物質(または染料)に基づくものが含まれている。 3−D光学的記憶媒体において有用な有機物質の例としては、可逆的な着色を示し偏光したレーザービームにより光学的に励起され白くなるフォトクロミック染料;レーザービームの電場内で配向し局部的な複屈折の変化を引き起こす側鎖液晶ポリマー;染料分子がフレキシブルスペーサーとともに主鎖に結合し、偏光したレーザービーム内で配向し局部的な複屈折の変化を引き起こす、染料分子を含む側鎖を有する非晶質ポリマー;側鎖にアゾ基を含む染料分子を有するポリマー;レーザービーム内で励起して電子遷移を起こす光感受性タンパク質分子;光屈折性物質;およびフォトポリマーが挙げられる。
    【0040】
    典型的には、3−D光学的記憶媒体は偏光を利用し、たとえば複屈折や吸収のような光学特性の局部的な変化を引き起こす。 レーザー、好ましくは偏光したレーザーが3−D光学的記憶媒体の光源として典型的に使用される。 これは媒体が光源に対して一般にサブミクロンのサイズである具体的な点に焦点あわせすることができることを要求するからである。 レーザーの狭い線幅がそのような具体的な点に対する焦点あわせを可能とする。 たとえば、そのような有機物質を使用した3−D光学的記憶媒体では、偏光したレーザービームは染料のシス−トランス転移を引き起こし、これは吸収スペクトルと局部的な光学濃度を変化させる。 したがって、分子に書き込みするために使用されるレーザービームにディストーションを生じさせないために、媒体が非常に小さな複屈折を有することが重要である。 記憶された情報を読みとるときには、媒体は非常に小さな複屈折を有していなければならない。 書き込み用レーザービームが局部的な光学特性の適度な変化を引き起こすことはSN比の増大をもたらすので、マトリックスが非常に小さな複屈折を有することは、当該技術分野の当業者にとって望ましいことである。 マトリックスが大きな複屈折を有していると、SN比は小さくなり、3−D空間に記憶されたデータを読みとることが非常に困難になる。
    【0041】
    すなわち、シート内に1以上の顔料、染料、またはこれらの混合物を分散させることにより、本発明の高品質光学シートを3−D光学的記憶媒体を製造するために使用することができる。 顔料、染料、またはこれらの混合物は、LiNbO 、フォトクロミック染料、側鎖液晶ポリマー、染料分子を含む側鎖を有する非晶質ポリマー、;側鎖にアゾ基を含む染料分子を有するポリマー、光感受性タンパク質分子、光屈折性物質、およびフォトポリマーから選択されることが好ましい。 偏光したレーザービームの電場内で電子遷移を起こしてその吸収、配向の変化を引き起こし、局部的な屈折率の変化を引き起こしたり、または架橋のような化学反応を起こして屈折率の変化を引き起こす任意の分子、ポリマー、顔料または他の無機物質をブレンドすることも可能である。
    典型的には、顔料、染料、またはこれらの混合物を溶融プラスチック樹脂と混合した後、溶融樹脂をオーバーフローダイを使用してウェブに成型することにより、顔料、染料、またはこれらの混合物と本発明の光学的シートを一緒にすることができる。
    【0042】
    本発明の方法により製造されるシートは回路板製造、特に回路層の基体としての使用に適する。 多層印刷回路板は種々の用途に使用され、重量とスペースの節約に大きな効果を有する。 多層板は2以上の回路の層を含み、それぞれの回路の層は誘電性物質の1以上の層で互いに分離されている。 回路の層はポリマー基体の上に銅の層を施すことにより形成される。 印刷回路がついで銅の層の上に、たとえば印刷およびエッチングのような、回路図形の画定および形成のための公知の技術により形成される。
    【0043】
    積層後、多層回路の層は板の表面を通してスルーホールをあけることにより接続される。 スルーホールをあけた際の樹脂の汚れが、たとえば濃硫酸または熱過マンガン酸アルカリによる処理のようなかなり厳しい条件で除去され、ついでスルーホールはさらに加工され、メッキされて導電性の互いに接続された表面が提供される。 積層の前に、回路の層は典型的には接着促進剤で処理され、それぞれの回路の層と内部に残される樹脂層との間の接着強度が改良される。 接着強度の改良のための1つの好ましい方法は、回路の層を酸化処理し、酸化銅の被覆を上に形成することである。
    【0044】
    本発明の方法により製造されたシートがマイクロ光学レンズアレイ用の基体として使用される場合には、アレイは任意の好適な光学的記憶媒体を製造する手段によって製造することができる。 好適なマイクロ光学レンズアレイとしては、レクティリニヤプリズム(rectilinear prisms)、ピラミッドの2次元アレイ(two dimensional arrays of pyramids)、回折レンズおよびホログラフィックレンズアレイがあげられるがこれらに限定されるものではない。 たとえば、本発明のシートの上にレンズのアレイをエンボスするために熱エンボッサーを使用することができる。 熱エンボッサーを圧縮成型プレス内で使用することが好ましい。 本発明のシートは、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。 そのようなマイクロ光学レンズアレイは光の屈折または回折を必要とするディスプレイおよびイメージング用途に有用である。 そのような用途としては、ヘッド−アップディスプレイ(heads−up display)、大スクリーンディスプレイ、並びにたとえばフォトコピーおよびファクシミリ機の様な事務機器におけるレンズアレイがあげられるがこれらに限定されるものではない。 マイクロ光学アレイにおいて使用されるレンズは典型的には10から100ミクロンである。 ホログラフィックレンズにおいては、高さは典型的には光の波長のフラクション(fraction of the wavelength of light)であり、横方向の寸法は典型的には10から100ミクロンである。
    【0045】
    本発明の光学的高品質シートが構造化された表面(structured surface)を有する場合には、そのようなシートはライトマネージメント(light management)またはライトディレクティングフィルム(light directing film)に使用するのに好適である。 ライトディレクティングフィルムは透過特性を有し、それは光の入射度により制御される。 たとえば、ライトディレクティングフィルムは構造化された表面である、1つの表面にエンボスされた角度を付けたプリグムのレクティリニアペリオディクアレイ(rectilinear periodic array)を有するポリマーフィルムからなる。 このライトディレクティングフィルムは、その平らな表面で光源からの光を受け、その構造化された面へと光を透過するコリメーターとして作用する。 このフィルムのなめらかな面に比較的大きな入射角で入射する光は、フィルムのなめらかな表面と構造化された表面とで屈折され、フィルムのなめらかな表面に垂直な方向に向けられ、シートから出てゆく。 さらに、臨界角よりも大きな角度で内部から構造化された表面にぶつかる光は、プリズム要素の両方の表面ないしファセット(facets)から内部全反射(totalinternal reflection)を起こし、光源の方向に向けられる。 しかし、光がフィルムの構造化された表面に入射しフィルムのなめらかな表面に透過してゆくときは、完全に反対の挙動が観察される。 すなわち、ライトディレクティングフィルムに垂直に近い角度で光が入射して透過すると、大きな角度で入射した光線は内部全反射により反射され戻される。 そのようなライチマネージメントフィルムまたはライトディレクティングフィルムは、バックライト照明のようなLCD照明システム用途に特に適する。
    【0046】
    典型的には構造化された表面は、シートが暖かい内にシート表面に構造をエンボッシングすることにより、または冷却された表面に熱エンボッサーを使用する事により、本発明の光学的シートに付与することができる。 適当な粘度を有する硬化可能なプレポリマーで本発明の光学的シートをコーティングし、プレポリマーコーティング上に所望の構造化された表面をエンボッシングし、ついでプレポリマーを硬化することにより、構造化された表面を付与することが好ましい。 プレポリマーが紫外線硬化性のものであることが好ましい。 本発明の光学的シートを被覆することができ、硬化の間任意のエンボスされた構造を保持することのできるプレポリマーは、ライチマネージメントフィルムに使用するために適当な粘度を有するものである。
    【0047】
    本発明により製造されるシートは、導波路光学部品(waveguide optics)の分野での使用にも適する。 好適な導波路光学部品としては、導波路、能動および受動光スイッチ(photonic switch)、波長分割マルチプレクサー(wavelength division multiplexers)、エレクトロルミネセント光源、および電気光学モジュレーターがあげられるがこれらに限定されるものではない。 これらの用途で使用される場合には、導波路光学部品はマイクロ光学アレイと同様の方法でシート上にエンボスされることができる。 本発明のシートから作られた導波路の利点は、それらが大きなシートに形成可能であること、および公知技術における製造のコストの高さと困難さが避けられることである。 導波路部品用途では、シートが、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
    【0048】
    本発明のシートはマイクロ流体装置(microfluidic devices)の製造にも使用することができる。 そのような装置としては、生体薬剤用途のための微少診断システム、微少流体誘導装置、薬剤および生化学用途のための微少センサー装置、および3次元マイクロ流体システムがあげられるがこれらに限定されるものではない。 これらの用途において使用される際には、シートはポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
    【0049】
    本発明方法によって造られるシートのための具体的な用途により、低収縮性、低複屈折および表面の品質のようなシート特性の相対的な重要さは変化する。 また、所望するシートの厚さも具体的な用途により変化する。 一般的には、約25mm以下、好ましくは10〜5000μ、そして最も好ましくは50〜1000μである。 シートの厚さは、溶融ポリマーをダイに供給する速度を変えることにより、または引き取り手段の速度を変えることにより、調節することができる。 400mmの試料の長さについての厚さの変動は、一般的に、10%以下、好ましくは5%以下、そして最も好ましくは1%以下である。
    【0050】
    本発明の典型的な装置を図1〜4に示す。 当業者に明らかように、これらの図の中に例示された装置からの変動は、本発明の範囲内に含まれる。
    【0051】
    ソース10からの溶融ポリマーは、流路12を経由してオーバーフローダイ20に供給され(好ましくは、供給手段14によって調節される)、導管の開口21から導管22を通してダイ20に導入される。 溶融ポリマーをダイ20に供給するときの溶融ポリマーの温度は、ダイ20に近接して設置されているヒーター15を使用することによって維持される。 溶融ポリマーが開口21を満たすと、溶融ポリマーは計量装置、スロット23を通って、ダイのリップ上に押し出され、ダイ20の側面24および25を流れ出る。 ダイ20の頂点26において、側面24および25から流れる溶融ポリマーは収束され、溶融ウェブ27の始まりが形成される。
    【0052】
    溶融ウェブ27は、溶融ウェブをダイ20から遠くに導く2組の誘導手段(例えば、タンクトレッド(tank treads)31、32、33および34)によって、その端部においてピックアップされる。 溶融ウェブ27はダイ20から離れるように導かれながら、ウェブの温度が、ポリマーのガラス転移温度以下に徐々に落とされ、その結果冷却されたシート40を生じる。 任意的な態様において、誘導手段31、32、33、34に近接して設置された冷却手段36は、ウェブの温度が低下するのを助ける。
    【0053】
    溶融樹脂は任意の方法により供給することができる。 例えば、溶融樹脂は、重合反応器、混合機、脱蔵用装置〔例えば、フラッシュカラム、フォーリング ストランド デボラティライザー(falling strand devolatilizer)またはワィプド フィルム エバポレイター(wiped film evaporater)〕または押し出し機から供給してもよい。 押し出し機が好ましい、なぜなら、それは、また、ポリマーを供給する手段として機能するからである(後述の議論を参照)。 一軸スクリュー押し出し機を使用することがもっとも好ましい。 ただし、二軸スクリュー押し出し機または多軸スクリュー押し出し機も使用できる。 二軸または多軸のスクリュー押し出し機を使用するならば、それらは、例えば逆方向回転式、同方向回転式、かみ合い式または非かみ合い式のいずれのタイプでもよい。 樹脂の取り扱いおよび製造に関する公知の技術を本発明の方法において使用することができる。 そのような技術としては、乾燥、不活性雰囲気の利用、ペレット制塵などがあげられる。
    【0054】
    溶融樹脂に、1種以上のプラスチック添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線(UV)吸収剤、UV安定剤、蛍光または吸光染料、静電防止用添加剤、剥離剤、充填剤および粒状物を含有させてもよい。 具体的な目的のために具体的な樹脂と共に使用する添加剤のタイプおよび量は、プラスチック業界の当業者に知られており、従って本明細書の中に更に詳細に記述しない。
    【0055】
    樹脂が加工される温度は、樹脂の組成に依存し、かつ加工する間に変化することができる。 温度は、樹脂が流れるほどに充分高くなければならないが、樹脂を劣化するほど高くしてはならない。 操作条件は、加工すべきポリマーのタイプによって変わるが、当業者に知られている範囲内である。 しかし、一般的な指針として、操作温度は100〜400℃である。 例えば、PMMAは、150〜260℃の押し出し機バレル温度を有する押し出し機で、そして150〜260℃の溶融温度において加工できる。 また、ポリカーボネートまたはポリメチルメタクリルイミドのような他のポリマーは、より高い溶融温度(200〜330℃)において適当に使用できる。 揮発性物質および望ましくないある種の物質は、シートを形成する前に溶融樹脂から除くことが好ましい。 これは、当業者に知られている方法によって達成させることができる。
    【0056】
    溶融ポリマーを一定の流量で供給するための供給手段14は、流速を調節するために、そして溶融ポリマーを流路12、導管の開口21および導管22を通ってダイ20に供給するのに必要とする圧力を提供するために必要である。 供給手段には、たとえば前述したような任意の適当な押し出し機、ギアポンプ、またはそれらの組み合わせ物のような任意の機械式溶融ポンプのあらゆるタイプが使用できる。 簡単な形態において、供給手段は、重力供給または静圧であってもよい。 供給手段は、当業者に知られた方法によって選ぶことができる。 ギアタイプの溶融ポンプを使用することが好ましい、なぜなら、それは、流速を調節し、そして流速の変動を最小にし、その結果としてより均一な厚さのシートが得られるからである。 更に、溶融ポンプの使用は、ポリマーのせん断による加熱を減少させることによって、溶融樹脂の劣化を減少させることができる。 溶融ポンプのための温度は、使用するプラスチック樹脂によって決められ、標準の押し出しプロセスに使用される温度と同等であるが、典型的には樹脂のTgより50〜200℃高い温度である。 例えば、広いシートの製造のためには、複数の供給手段を使用してもよい。 本発明においては、供給手段は、50〜70,000kPa、好ましくは300〜7000kPa、そして最も好ましくは1000〜3500kPaの範囲において、溶融ポリマーをオーバーフローダイの入口に提供する。
    【0057】
    実施態様の1つにおいて、溶融ポリマーは供給手段14とダイ20の間のメルトフィルターまたはミキサーを通過する。 溶融ポリマーはメルトフィルターを通過し、ついでミキサーを通過することが好ましい。 このフィルターはゲル物、汚れ、異物粒子を溶融物から除去する。 ミキサーはポリマーをブレンドし、溶融物中の熱勾配を最小とし、メルトフィルターに起因するフローラインを取り去る。 任意のメルトフィルターを本発明方法において使用することができる。 好適なメルトフィルターとしてはキャンドルフィルターおよびディスクフィルターがあげられる。 ディスクフィルターが好ましい。 本発明方法においては任意のミキサーを使用することができ、たとえばスタティックミキサーおよびロータリーミキサーが使用できる。 メルトフィルターおよびミキサーを使用すると、なめらかさと厚さの制御の点において優れたプラスチックシートが得られる。
    【0058】
    オーバーフローダイを使用して溶融プラスチック樹脂からシートを形成する。 ダイは、計量装置および断面における頂点に達する収束側面(converging sides)を有するオーバーフローダイ表面を有する。 ダイの長さ方向は、実質的に、直線、曲線、卵形、または円形にすることができる。 ダイの高さ:幅の比は、一般的に、1:1〜10:1、好ましくは2:1〜5:1、そして最も好ましくは2.5:1〜4:1の範囲にすべきである。 長さ(または外周):高さの比は、一般的に、少なくとも1:2、好ましくは少なくとも2:1、そしてもっとも好ましくは少なくとも3:1にすべきである。
    【0059】
    オーバーフローダイの計量装置部分は、例えば孔、スロット、「コートハンガー(coathanger)」装置またはそれらの組み合わせのような流れを分配する要素からなり、それらは、ダイを横切る溶融樹脂の流れの分布を調節し、それによって、シートの厚さプロフィールが調節される。 そのような計量装置は、図5−7に例示されている。 当業者に知られているような他の計量装置を使用してもよい。 スロット装置が好ましい。 ダイの長さは造るべきシートの幅によるが、平均スロット間げき(スロット23の平均の幅):平均導管直径(導管22の平均の直径)の比は、一般的に、少なくとも1:5、好ましくは少なくとも1:10、そして最も好ましくは少なくとも1:20にすべきである。 1mm以下の仕上げ厚さを有するシートのためには、ダイを横切る実質的に一定なスロット幅が好ましい。 より大きい厚さのためには、スロットが供給の末端においてより薄く、そして反対の末端においてより厚くなっている、テーパースロット(tepered slot)が好ましい。 もし幅の広いシートを所望するならば、導管の開口21および21'(図6を参照)をダイの両末端において設置することができ、両端においてテーパーされたスロット23を有することが可能である。
    【0060】
    オーバーフロー表面はダイ20の外面によって形成され、そして計量装置と連結し、かつ溶融ポリマーを収束側面24および25に導く、一組のダイリップスからなっている。 収束性側面は溶融流れを頂点26に導き、そこで溶融ウェブがダイから出される。 オーバーフロー表面は、テキスチャー(texture)があるかまたはなめらかであり得るが、好ましくはなめらかである。 更に、好ましくは、オーバーフロー表面は高度につやを出し、シートの変動および欠陥を最小にする。 オーバーフロー表面を被覆処理して(例えば、電気メッキまたは他の付着技術)、ダイ表面のなめらかさを改良し、腐食抵抗性を提供し、またはダイ上の流れ特性を改良することができる。
    【0061】
    ダイの構成物質は重要である。 金属は、高い熱伝導性、良好な耐腐食性、高モジュラス、およびつや出しされる能力のために好ましい。 しかし、原理的には、ガラスおよびセラミックのような他の物質も使用できる。 ステンレス鋼または成形用具グレードの鋼を使用することが好ましい。
    【0062】
    非平面シートを所望するならば、ダイのジオメトリーを、その所望に従って、当業者に知られている方法を使用して、改良することができる。 例えば、もし曲がったシートを所望であれば、ダイをその長さ方向の軸に沿って曲げることができる。
    【0063】
    一般的に、10秒−1のせん断速度で、溶融プラスチックの粘度を、1〜10,000Pa−s、好ましくは5〜1,000Pa−s、そして最も好ましくは10〜500Pa−sに維持することが望ましい。 更に、ダイの単位長さあたりの溶融流量(長さによって割った流量)は、典型的には、1.0×10 −3 〜10g/s/cm、好ましくは1.0×10 −2 〜1.0g/s/cm、そして最も好ましくは2.0×10 −2 〜2.0×10 −1 g/s/cmの範囲である。 粘度は温度を変えることによって調節できる。 ダイの設計に依存するが、温度の調節はいくぶん重要である。 ダイの横方向の温度が一定であるほど、シートの厚さは均一になる。 溶融温度かダイの横方向において均一であることが好ましい。 ダイの長さ方向における一定でない温度分布から生じる厚さの変動は、スロットまたは他の計量装置の設計を変えることによって最小にすることができる。 例えば、温度調節は次の1つ以上によって達成される:電気カートリッジヒーター、赤外線ランプヒーター、加熱された油(または他の熱媒流体)、熱パイプ、またはマイクロ波ヒーター。 加熱された油または他の熱媒流体が好ましい。 なぜなら、温度はサーモスタットによって調節することができ、そして温度の均一性が容易に達成されるからである。 好ましくは、ダイは、温度の変動を最小にするために、部分的に密閉された領域の中に収容される。 不活性を雰囲気を使用することも好ましい。 そのような不活性雰囲気は樹脂の着色と劣化を最小限にする。
    【0064】
    必要ではないが、好ましくは溶融プラスチック流れは、ダイ上を通過した後に下方へ流される。 なぜなら、下方への流れは重力によって影響されるからである。 流れの速度は、重力の影響と引き取り手段により適用される張力との組み合わせによって決められる。 プラスチックの流れをダイから下方方向へ導くことにより、重力はシートの流れと同じ方向に作用し、それによって引き取り手段で必要とする張力を減少させ、シートの品質を改良できる。 ダイの通過後の溶融プラスチックは、「ウェブ」として知られている形態になる。
    【0065】
    引き取り手段は、調節された速度において、ダイから溶融プラスチックウェブを移動し、ウェブを冷却する。 例えば、引き取り手段は、ローラーまたは「タンクトレッド」装置であり、それによってシートの外縁だけが引き取り手段と接触する。 「タンクトレッド」装置は、シート表面の平滑性を最大にするので、好ましい。 タンクトレッド装置は、図1および図2の装置の1部として、31、32、33および34として例示されている。
    【0066】
    引き取り装置は、プラスチックシートが製造される速度を調節し、所定のポリマー流量においてシートの厚さを決める。 それ故、引き取り手段の速度を調節することは、極めて重要である。 また、引き取り手段はシートの重量を支持し、それによってシートの幅および厚さが維持される。 引き取り手段は、支持されない溶融樹脂の量を最小にするように、ダイにできるだけ近く位置させることが望ましい。 ダイの頂点から引き取り系への距離(例えば、タンクトレッド装置の上部のニップ領域)は、典型的には、25cm未満、好ましくは10cm未満、そして最も好ましくは5cm未満である。
    【0067】
    シートの引き取り速度は、所望するシートのタイプおよび厚さによって変わる。 例えば、0.4mmの厚さを有するシートのためには、シートの引き取り速度は、一般的に、10〜1000cm/分、好ましくは20〜200cm/分、そして最も好ましくは50〜100cm/分の範囲であり、これに対して、1mmの厚さを有するシートのためには、引き取り速度は、一般的に、5〜500cm/分、好ましくは10〜100cm/分、そして最も好ましくは25〜50cm/分の範囲である。 同様に、曲げる前の引き取り系における冷却中の滞留時間は変わる。 例えば、0.4mmの厚さを有するシートのためには、曲げる前の滞留時間は、一般的に、10秒以上、好ましくは1分以上、そして最も好ましくは2以上分であり、これに対して、0.2mmの厚さを有するシートのためには、曲げる前の滞留時間は、一般的に、5秒以上、好ましくは30秒以上、そして最も好ましくは1分以上である。
    【0068】
    プラスチックシートは、引き取り系による移動中に自然の対流により、または強制された対流により、冷却することができる。 自然の対流は、空気または流体浴を通過する間のシートの受動的冷却からなっている。 強制された対流は、熱伝達を大きくするために、シートに沿って、またはシートに対して、熱伝達流体をポンピングまたはブローイングすることにより達成される。 自然対流は、シートの波しわおよび表面のきずあとを最小にするので好ましい。 シートを冷却するために微粒状物のないきれいな流体を使用して表面の汚染または欠陥を防止するのが好ましい。 例えば、この目的のために空気またはガス冷却剤をHEPAフィルターとともに使用することができる。 どんな流体または流体の組み合わせ物もシートを冷却するのに使用できるが、ただし使用する流体は加工されるプラスチック物質に有害でないことが必要である。 有用な冷却用流体の例には、空気、窒素、水、油類およびグリコール類がある。 被覆剤として作用し、かつ冷却浴からでるときにプラスチックシート上にフィルムとして付着される適当な冷却剤を使用することにより、冷却工程と被覆工程を組み合わせることも可能である。
    【0069】
    引き取り手段の次に種々の任意的な装置を使用してもよいことは、当業者によって認められるであろう。 任意に使用できる装置の例には、フィルム巻き取り機、ヘリ切断機、シート切断機、および包装用装置のような公知のフィルム取扱い装置が含まれる。 更に、他の後工程の装置、例えば成形用装置、被覆用装置、装飾用装置、および積層用装置を利用することもできる。
    【0070】
    本発明方法は、あらゆる適当なプラスチック樹脂を使用することができ、好ましくは熱可塑性樹脂を使用する。 熱可塑性樹脂は、可逆的に熱にさらされたときは軟化し、冷却により硬くなるポリマー樹脂である。 熱可塑性樹脂は、実質的に架橋されていない線状または分枝鎖のポリマーである。 本発明方法に有用な熱可塑性樹脂は、実質的に架橋していないで、かつ、溶融加工温度、すなわち、10 Pa−sのオーダーの粘度を有する温度において、10分以上の滞留時間での熱安定性を有していることが好ましい。 本発明方法に有用である熱可塑性樹脂の例には、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステルのホモポリマーまたはコポリマー、これらにはスチレンおよびその誘導体、N−アルキルマレイミド、アクリロニトリル、および酢酸ビニルと生成したコポリマーが含まれるが、それらに限定されない;フェノキシエーテル;ポリフェニレンオキサイド樹脂;エポキシ樹脂;セルロース樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC)のようなビニルポリマー;フッ素化エチレン−プロピレンおよびポリ(フッ化ビニリデン)のようなフルオロポリマー;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1のようなポリオレフィン、そしてこれらにはノルボルネンおよび官能性ノルボルネンモノマーに基づく環状オレフィンポリマーおよびコポリマーも含まれる;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリフェニレンスルフィド;ポリアリーレンエステル樹脂;ポリエステル;N−Hおよび/またはN−アルキルグルタルイミドのホモポリマーまたはコポリマー;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS);スチレン−アクリロニトリル樹脂(SAN);スチレン−無水マレイン酸樹脂(SMA);イミド化SMA;およびポリアミド(ナイロン);高温ホモポリマーおよびコポリマーをはじめとするポリカーボネート;ポリカーボネート−ポリエステル;ポリアリーレート;液晶ポリマー;およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
    【0071】
    好適なポリカーボネートは1以上のビスフェノールと1以上のカルボン酸を含む。 好適なカルボン酸としては、フォスゲン、ジフォスゲン、トリフォスゲン、クルロ蟻酸エステルのようなカルボン酸エステル、およびこれらの混合物があげられるがこれらに限定されるものではない。 好適なビスフェノールとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンおよびシクロアルカン;ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)アルキル−シクロアルカン;ビス(3,5−ジ置換−4−ヒドロキシフェニル)アルキルシクロアルカン;たとえば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン;1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン;4,4'−ジヒドロキシ−テトラフェニルメタン;および6,6'−ジヒドロキシ−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロ(ビス)インダン;およびそれらの混合物があげられるがこれらに限定されるものではない。 本発明において有用なポリエステル−ポリカーボネートは1以上のビスフェノール、1以上のカルボン酸、および1以上のさらなる酸、たとえばテレフタル酸およびイソフタル酸を含む。 本発明において有用なポリカーボネートおよびポリエステル−ポリカーボネートは公知である。
    【0072】
    熱可塑性樹脂の混合物を使用してもよい。 特に有用な熱可塑性樹脂混合物には、例えば、SAN−ポリグルタルイミド、ポリカーボネート−ポリエステル、PMMA−ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリスチレン−ポリ(フェニレンオキサイド)、およびビスフェノールAポリカーボネートと高温ポリカーボネートコポリマーとのブレンドをはじめとするポリカーボネートブレンド、たとえばバイエル社からAPECポリカーボネートとして販売される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとのコポリマーがあげられる。 本発明方法および装置に使用するのに好ましい樹脂は、ポリカーボネート;線状アクリルホモポリマーおよびコポリマー;環状ポリオレフィン;および線状イミド化アクリルポモポリマーおよびコポリマー、例えば米国特許第4,727,117号(Hallden−Abberton、等)および同第4,246,374号(Kopchik)に記載された化合物である。
    【0073】
    本発明に有用なプラスチック樹脂は、典型的には、付加重合法または縮合重合法から造られる。 付加重合法には、塊状重合および水または有機溶剤媒質中の溶液重合または分散重合が含まれ、そのような方法は当業界でよく知られており、カチオン性、アニオン性、またはフリーラジカルによる開始および生長反応を含む。 縮合重合法には、塊状重合法、溶液重合法および分散重合法が含まれる。 塊状重合法以外の重合法によって生成したプラスチック樹脂は、樹脂を単離するために、その後の処理が必要である。
    【0074】
    次の実施例は、本発明の更に種々な面を例示するために提示されており、すべての点において本発明の範囲を限定することは意図されていない。
    【0075】
    実施例1:アクリルフィルムの製造
    この実施例は、光学的品質のアクリルシートを造るために使用した本発明方法を例示している。
    110,000の平均分子量を有するPMMA樹脂を、30:1のL:D比を有する2インチ(5cm)直径の一軸スクリューベント式2段押し出し機の中に、容量供給装置を使用し、3.1g/sの速度でスターブフィード(starve−feed)した。 押し出し機のバレルは、供給端における204℃から排出端における274℃までの温度プロフィールを有していた。 樹脂を、720〜750mmHgにおいて操作する脱蔵ベントを使用して脱蔵した。 スクリューを30rpmにおいて回転した。 ギアタイプの溶融ポンプを使用し、スクリーンパックフィルターを通して溶融樹脂を、1.27cm直径の内部導管および1.27cmの間隔を有する一連の22の計量用孔を有する12''(30cm)の長さのオバーフローダイに、ポンプで注入した。 計量用孔の直径は、ダイの供給端から下流端に向けて、3.18mmから3.73mmに増加した。 溶融ポンプ温度は274℃であった。 溶融ポンプの吸引圧は2100kPa. であり、そして溶融ポンプの排出圧は約4100kPa. であった。 オーバーフローダイは、内部を3個の電気カートリッジヒーターを使用して加熱し、そして外部を3個のIR加熱ユニットを使用して274℃の温度に加熱した。 ダイの頂点において形成された溶融ウェブは、2組のタンクトレッドを使用して運び、2個の空気プレナムを使用して適用する冷却された強制空気を使用して冷却した。
    その結果得られたシートは、0.325mmの平均厚さ、14.6nmの表面あらさRq、および5nm未満のオプティカルリターダンス(optical retardance)を有していた。
    【0076】
    実施例2:イミド化アクリルシートの製造
    この実施例は、光学的品質のイミド化アクリルシートを造るために使用した本発明方法を例示している。
    108,000の重量平均分子量および約180℃のガラス転移温度を有するキャップ化イミド化アクリル樹脂を、30:1のL:D比を有する2インチ(5cm)直径の一軸スクリューベント式2段押し出し機の中に、重量供給装置を使用し、2.5g/sの速度でスターブフィードした。 押し出し機のバレルは、供給端における246℃から排出端における329℃までの温度プロフィールを有していた。 樹脂を、720〜750mmHgにおいて操作する脱蔵ベントを使用して脱蔵した。 スクリューを30rpmにおいて回転した。 ギアタイプの溶融ポンプを使用し、スクリーンパックフィルターを通して溶融樹脂を、1.588cm直径の内部導管および0.038インチから0.042インチ(0.965mmから1.067mm)にテーパーしている16インチ(40cm)の長さのスロットを有する25.5インチ(65cm)の長さのオーバーフローダイに、ポンプで注入した。 溶融ポンプ温度は329℃であった。 溶融ポンプの吸引圧は約4100kPa. であった。 溶融ポンプの排出圧は約1650kPa. であった。 ダイは、ダイ中の内部の孔を経由する熱油系(油の温度=343℃)を使用して加熱し、そしてダイのまわりの空気を強制空気オーブン(温度=280℃)で加熱した。 ダイの頂点において形成された溶融ウェブは、1.2cm/sの速度において操作する2組のタンクトレッドを使用して運び、部屋の空気の自然対流により冷却した。
    冷却されたシートから200mm×200mmの試験片を切断し、そして試験した。 得られたシートは、±0.015mmの変動を持つ0.390mmの厚さを有していた。 表面の波打ちWyおよびWqは、それぞれ0.5μ未満および0.18μであり、表面のあらさRqは7.6nmであり、そしてオプティカルリターダンスは6nm未満であった。 160℃の温度において測定された熱収縮は0.03%以下であった。
    【0077】
    実施例3:ポリカーボネートシートの製造
    この実施例は、光学的品質のポリカーボネートシートを造るために使用した本発明方法を例示している。
    押し出しグレードのポリカーボネート樹脂(GEプラスチック社製 Lexan 101)を、30:1のL:D比を有する2インチ(5cm)直径の一軸スクリューベント式2段押し出し機の中に、重力供給装置を使用し、4.4g/sの速度でスターブフィードした。 押し出し機のバレルは、供給端における232℃から排出端における315℃までの温度プロフィールを有していた。 樹脂を、720〜750mmHgにおいて操作する脱蔵ベントを使用して脱蔵した。 スクリューを30rpmにおいて回転した。 ギアタイプの溶融ポンプを使用し、スクリーンパックフィルターを通して溶融樹脂を、1.905cm直径の内部導管および0.038インチから0.045インチ(0.965mmから1.143mm)にテーパーしている28インチ(71cm)の長さのスロットを有する37.5インチ(95cm)の長さのオーバーフローダイに、ポンプで注入した。 溶融ポンプ温度は315℃であった。 溶融ポンプの吸引圧は約3400kPa. であった。 溶融ポンプの排出圧は約1300kPa. であった。 ダイは、ダイ中の内部の孔を経由する熱油系(油の温度=315℃)を使用して加熱し、そしてダイのまわりの空気を強制空気オーブン(260℃)で加熱した。 ダイの頂点において形成された溶融ウェブは、1.2cm/sの速度において操作する2組のタンクトレッドを使用して運び、部屋の空気の自然対流により冷却した。
    冷却されたシートから400mm×400mmの試験片を切断し、そして試験した。 得られたシートは、横方向および機械方向の両方において±0.02mmの変動を持つ0.43mmの平均厚さを有していた。 Wyは1μ未満であり、Wqは0.15μであり、表面のあらさRqは10nm未満であり、そして平均オプティカルリターダンスは20nmであり、10nmの変動を有していた。 130℃において測定された熱収縮は0.02%であった。
    【0078】
    実施例4:ポリカーボネートフィルムの製造
    この実施例は、光学的品質のポリカーボネートフィルムを造るために使用した本発明方法を例示している。
    押し出しグレードのポリカーボネート樹脂(GEプラスチック社製 Lexan 101)を、30:1のL:D比を有する2インチ(5cm)直径の一軸スクリューベント式2段押し出し機の中に、重力供給装置を使用し、2.5g/sの速度でスターブフィードした。 押し出し機のバレルは、供給端における232℃から排出端における315℃までの温度プロフィールを有していた。 樹脂を、720〜750mmHgにおいて操作する脱蔵ベントを使用して脱蔵した。 スクリューを30rpmにおいて回転した。 ギアタイプの溶融ポンプを使用し、スクリーンパックフィルターを通して溶融樹脂を、1.905cm直径の内部導管および0.038インチから0.045インチ(0.965mmから1.143mm)にテーパーしている28インチ(71cm)の長さのスロットを有する37.5インチ(95cm)の長さのオバーフローダイに、ポンプで注入した。 溶融ポンプ温度は315℃であった。 溶融ポンプの吸引圧は約3400kPa. であり、そして溶融ポンプの排出圧は約1300kPa. であった。 ダイは、ダイ中の内部の穴を経由する熱油系(油の温度=315℃)を使用して加熱し、そしてダイのまわりの空気は強制オーブン(温度=250℃)で加熱した。 ダイの頂点において形成された溶融ウェブは、3.1cm/sの速度において操作する2組のタンクトレッドを使用して運び、部屋の空気の自然対流により冷却した。
    冷却されたシートから400mm×400mmの試験片を切断し、そして試験した。 その結果得られたフィルムは、横方向および機械方向の両方において±4μの変動を持つ54μの平均厚さを有しており、そして10nm未満のオプティカルリターダンスを有していた。
    【0079】
    実施例5 高温ポリカーボネートブレンドシートの製造
    バイエル社から販売されるAPEC DP9−9371ポリカーボネートコポリマー(Tg=205℃)2.33部と同じくバイエル社から販売される低分子量ポリカーボネートMakrolon DP1−1265(Tg=150℃)1部との、あらかじめ配合されたブレンドを、重量供給装置を使用し、2.5g/sの速度で押し出し機の中にスターブフィードした。 押し出し機は、5.08cm(2インチ)の直径を有する一軸スクリューベント式2段押し出し機であり、30:1のL:D比、10cc/revのギアタイプの溶融ポンプ、メルトフィルター、ロータリーミキサーおよびオーバーフローダイを有していた。 すべての装置は窒素でパージされた後に作動された。 樹脂を、720〜750mmHgにおいて操作する脱蔵ベントを使用して脱蔵した。 スクリューを30rpmにおいて回転した。 ギアポンプを使用し、5ミクロンの焼成金属繊維メルトフィルター(プリーツ付きのキャンドルタイプ)を通して、溶融樹脂を計量しながら供給した。 フィルターを通過する樹脂の流れは、圧力降下3800kPaで8.6lb. /時間/平方フィートであった。 押し出し機のバレルは、供給端の温度が273℃で、排出口で304℃という温度プロフィールを有していた。 溶融フィルターは322℃に維持された。 押し出し機の供給ホッパーとオーバーフローダイの周囲のオーブンは窒素で不活性化され、樹脂中の架橋されたゲルの形成を最低限とした。 メルトフィルターを出た後、樹脂はロータリーミキサーに入り、165rpmで溶融ポリマーは混合された。 ミキサーバレルの温度は325℃に維持された。 溶融樹脂はミキサーから出て、1.905cm直径の内部導管および0.038インチから0.045インチ(0.965mmから1.143mm)にテーパーしている28インチ(71cm)の長さのスロットを有する37.5インチ(95cm)の長さのオーバーフローダイに入れた。 ダイの入り口の圧力は約700kPaであり、内部流路を流れる循環熱オイルにより温度は321℃とされた。 ダイの周囲の窒素は強制対流オーブンにより240℃に加熱された。 ダイの頂点において形成された溶融ウェブは、0.7cm/sの速度において操作するタンクトレッドを使用して運び、部屋の空気の自然対流により冷却した。
    冷却されたシートから400mm×400mmの試験片を切断し、そして試験した。 得られたシートは、±0.020mmの変動を持つ0.420mmの厚さを有していた。 ゲル物の数は200/平方メートル未満であった。 表面の波打ちWyおよびWqは、それぞれ1μおよび0.17μであった。 表面のあらさRqは10nm未満であった。 そしてオプティカルリターダンスは20nm未満であった。 160℃の温度において測定された熱収縮は0.05%未満であった。
    【0080】
    実施例6−8 光学的記憶媒体の形成
    実施例3に従って3枚の1.2mm厚のポリカーボネートシートが製造された。 それぞれのシートに以下のようにポリマーコーティングが施された。 シートがコーティングされると熱スタンパーを使用してエンボスされた。 スタンパーはプラスチックシートにサブミクロンのピットを形成するバンプ(bump)を有する。 熱スタンパーはそれぞれのシートに数秒間圧力下で適用された。 エンボッシング後、シートはついでスパッタリングコーターを使用して反射性金属層で被覆された。 それぞれのシートの上の金属層はついで紫外線硬化性のポリアクリレートで被覆された。 ついでシートはプレスにより切断され、光学的記憶媒体としての使用に好適な1200mmのディスクが提供された。
    【0081】
    実施例番号 被覆ポリマー6 Euderm50UD
    7 S1828
    8 Norland61
    Euderm50UDはローム・アンド・ハース・カンパニーから販売されるラテックスコーティングである。
    S1828は、シップレーカンパニーから販売されるフォトポリマーである。
    Norland61は、Norlandから販売される紫外線硬化性樹脂である。
    【0082】
    試験方法
    次の試験方法を、前述の実施例において造られたシートを試験するために用いた。 これらの試験方法は、一例であり、かつそれらの結果は方法に依存しない。
    オプティカルリターダンス:
    632.8nm波長における光のリターダンスを次の方法によって決めた。 偏光させたレーザービーム(実験フレームに対して−45°において偏光させた)を、プラスチックシートを通して通過させ、次いで実験フレームに対して0°にセットした光学軸に配向された光弾性モジュレータ(photoelasticmodulator:PEM)(Model PEM−90,Hinds Instruments,Inc.;Hillsboro,Oregon)を通して通過させた。 PEMの電圧を1/4波長リターダンス(158.2nm)に設定した。 次いで、光を第2の直線偏光子 (偏光軸+45°)を通して通過させ、そして強度をシリコンダイオード検出器(Model PDA−50,ThorLabs Inc.;Newton,New Jersey)によって検出した。 PEMおよび検出器をモジュレートし、そして検出器からのシグナルを固定増幅器(lock−in amplifier)(Model 5210,EG&G Princeton Applied Research;Princeton,New Jersey)によって処理した。 プラスチックシートをレーザービームに対して直角に回転させて最大の信号を見出した。 リターダンスは、最大の信号を標準1/4波長板に対して測定した信号と比較することによって決めた。
    物質の複屈折率は、物質のオプティカルリターダンスをその厚さによって割ることによって得ることができる。 例えば、オプティカルリターダンスが4nmのプラスチックの0.4mmの厚さのシートでは、物質の複屈折率は0.00001である。 本発明方法によって造った光学的品質のプラスチックシートにおいては、物質の複屈折率は、それが0.0002以下、好ましくは0.00005以下、そして最もこのましくは0.00001以下であるならば低いものであると考えられる。
    【0083】
    シートの波打ち:
    シートの波打ち(WyおよびWq)は、 触針式測定装置 (stylus profiler)(Surfanalyzer System 5000,Federal Products;Providence,RhodeIsland)を使用し、SEMI 標準 D15−1296の手順と同様の手順で測定した。 測定されたプロフィールは、ガウスの長波長カットオフ(8mm)(Gaussian long wavelength cutoff)でデジタル的にフィルターした。 Wyは、20mmの試料の長さにおける最大値と最小値との間の差であり、Wqは、8mmについて計算した平均ラインからのフィルターされたプロフィールの根平均二乗平均偏差(root mean square average deviation)であり、80mmの評価の長さについて平均した。 本発明方法により造られた高品質のシートのためには、Wyは、2.0μ以下、好ましくは1.0μ以下、そして最も好ましくは0.5μ以下である。
    【0084】
    シートのあらさ:
    シートのあらさ(Rq)は、スティラスプロファイラー(Dektak 3−30,Veeco/Sloan;Santa Barbare,CA)を使用し、SEMI 標準 D7−94の手順と同様の手順で測定した。 測定されたプロフィールは、ガウス長波長カットオフ(0.08mm)および短波長カットオフ(0.0025mm)でデジタル的にフィルターした。 評価長さは0.4mmであった。 あらさのパラメーター(Rq)は、平均ラインからのフィルターされたプロフィールの根平均二乗平均偏差である。 3つの異なった測定からの平均値を報告した。 本発明方法により造られた高品質のシートのためには、Rqは、50nm以下、好ましくは10nm以下、そして最も好ましくは5nm以下である。
    【0085】
    収縮:
    収縮は、熱処理前および処理後の試料の長さを直接測定することにより決めた。 多数の測定を行い、プラスチックの乾燥試験片の長さを決めた。 測定の正確度は0.005%であった。 試料は、そのTg以下のセット温度に4時間加熱した。 室温に冷却することにより、長さを多数の測定により再び求めた。 加熱サイクルの前および後の長さの変化の百分率を収縮率として報告した。 本発明方法によって造られた高品質シートのためには、収縮率は、0.1%以下、好ましくは0.075%以下、そして最も好ましくは0.05%以下である。
    【0086】
    ゲル物数測定試験方法
    ゲル物の数は、オーバヘッドプロジェクターでスクリーン上にシートの欠陥を投影する事により測定された。 それぞれ400mm×400mmのシートの9つの3×3cmの領域について数が測定された。 3×3cmの領域のそれぞれについてスクリーンに投影された表面の欠陥の数が測定された。 平均された数が、サンプルにおける総ゲル物数とされた。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】図1は、本発明の典型的装置の正面図である。
    【図2】図2は、図1の装置の側面図である。
    【図3】図3A〜図3Cは、オーバーフローダイ20の拡大図である。 図3Aは、加熱用マニホールドを取り付けたダイの透視図である。 図3Bは、ダイの上面図である。 そして図3Cは、ダイの側面図である。
    【図4】図4は、オーバーフローダイ20の断面図である。
    【図5】図5A、および図5Bは、本発明のオーバーフローダイの別の態様である。
    【図6】図6A、図6B、および図6Cは、本発明のオーバーフローダイの別の態様である。
    【図7】図7Aおよび図7Bは、本発明のオーバーフローダイの別の態様である。
    【符号の説明】
    10 ソース12 流路14 供給手段15 ヒーター20 ダイ21,21' 導管の開口22 導管23 スロット24,25 収束側面26 頂点27 溶融ウェブ31,32,33,34 タンクトレッド36 冷却手段40 シート

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