Metallo carboxymethyl phthalocyanine compound

申请号 JP2004532257 申请日 2003-07-30 公开(公告)号 JP2005537319A 公开(公告)日 2005-12-08
申请人 アベシア・リミテッド; 发明人 カー,キャスリン; キャンベル,ジェームズ・スタンリー; グリフィス,ラッセル・ジョン;
摘要 A phthalocyanine compound of Formula (I) wherein M is an oxymetal group, methods and uses involving these compounds
权利要求
  • 式I:
    {式中、R 1 、R 4 、R 5 、R 8 、R 9 、R 12 、R 13及びR 16により表される基の少なくとも5つは独立して−X−Jまたは−X−L−X 1 −であり、ここで
    Jはそれぞれ独立して、C 1-6 -アルキル;C 2-6 -アルケニル;C 4-8 -シクロアルキル(それぞれ所望により、C 1-4 -アルコキシ、C 1-4 -アルキルチオ、C 6-12 -アリール、C 6-12 -アリールチオ、C 1-4 -アルキルスルホニル、C 1-4 -アルキルスルホニルアミノ、C 1-4 -アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ-C 1-4 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル(-COOH)、ヒドロキシスルホニル(-SO 3 H)またはジヒドロキシホスホニル(-PO 3 H 2 )またはそのC 1-4 -アルキルエステルからなる群から選択される基で置換されていてよい)及びC 6-12 -アリール(所望により、C 1-3 -アルキル、C 1-3 -アルコキシ、C 1-3 -アルキルチオ、C 1-3 -アルキルスルホニル、C 1-3 -アルキルスルホニルアミノ、C- 1-4アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ-C 1-3 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニルまたはジヒドロキシホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキル、ジヒドロキシホスホニル-C 1-3 -アルキルまたはそのC 1-3 -アルキルエステルから選択される基で置換されていてよい)から選択され;
    Lはそれぞれ独立して、C 1-6 -アルキレン及びC 4-8 -シクロアルキレン(それぞれ所望により、C 1-4 -アルコキシ、C 1-4 -アルキルチオ、C 6-12 -アリール、C 6-12 -アリールチオ、C 1-4 -アルキルスルホニル、C 1-4 -アルキルスルホニルアミノ、C 1-4 -アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ-C 1-4 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニルまたはジヒドロキシホスホニルまたはそのC 1-4 -アルキルエステルから選択される基で置換されていてよい)及びC 6-12 -アリーレン(所望により、C 1-3 -アルキル、C 1-3 -アルコキシ、C 1-3 -アルキルチオ、C 1-3 -アルキルスルホニル、C 1-3 -アルキルスルホニルアミノ、C- 1-3アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ-C 1-3 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、ジヒドロキシホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキルまたはジヒドロキシホスホニル-C 1-3 -アルキルまたはそのC 1-3 -アルキルエステルから選択される基で置換されていてよい)から選択され;
    Mはオキシ金属基であり;
    Xはそれぞれ独立してS、Se、TeまたはNTであり;
    X 1はそれぞれ独立してS、Se、TeまたはNTであり、且つ式Iのもう一つのフタロシアニン化合物の周辺の3,6-炭素原子に直接結合し;
    Tはそれぞれ独立して、H、アルキルまたはフェニルであるか、TとJはこれらが結合しているN原子と一緒になって脂肪族または芳香族環を形成し、但しこのN原子は正に帯電しておらず;但しJがアリールであるとき、Tはアリールではない;
    及びR 1からR 16の残りの基は独立して、H、ハロゲン、−OJ、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、ジヒドロキシホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキル及びジヒドロキシホスホニル-C 1-3 -アルキルから選択され、但し、R 2及びR 3の少なくとも一つ、R 6及びR 7の少なくとも一つ、R 10及びR 11の少なくとも一つ、並びにR 14及びR 15の少なくとも一つは水素であり、但し、前記化合物は、テトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもない}のフタロシアニン化合物。
  • R 1 、R 4 、R 5 、R 8 、R 9 、R 12 、R 13及びR 16の八つ全てが式−X−Jまたは−X−L−X 1 −、好ましくは−X−Jの基を含む、請求項1に記載のフタロシアニン化合物。
  • R 2 、R 3 、R 6 、R 7 、R 10 、R 11 、R 14及びR 15がそれぞれHである、請求項1または2に記載のフタロシアニン化合物。
  • 前記化合物が750〜1100nm、より好ましくは800〜1000nmの電子吸収ピークをもつ、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物。
  • 前記化合物が400nmを超えるか、または750nmを超える範囲でその吸収強度の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%をもつ、請求項4に記載のフタロシアニン化合物。
  • 前記電子吸収ピークが、溶液中で60nm未満の半値幅の帯域幅をもつ、請求項4または5に記載のフタロシアニン化合物。
  • 式中、Jが、直鎖または分岐鎖であってもよいC 3-6 -アルキル;そのそれぞれが所望により請求項1に記載の如く置換されていてよいC 2-4 -アルケニル;シクロヘキシル;フェニル;ナフタ-1-イルまたはナフタ-2-イルから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物。
  • 式中、Jが、請求項1に記載の如く所望により置換されていてよいフェニルである、請求項7に記載のフタロシアニン化合物。
  • 式中、Jにより表されるフェニル;ナフタ-1-イルまたはナフタ-2-イルに関する(単数または複数の)置換基が独立して、C 1-2 -アルキル;C 1-2 -アルコキシ;C 1-2 -アルキルチオ;C 1-2 -スキルスルホニル:C 1-2 -アルキルスルホキシド;アミノ;モノ−及びジ−C 1-2 -アルキルアミノ;ハロゲン;ニトロ;シアノ;ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、ジヒドロキシ-ホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキル及びジヒドロキシ-ホスホニル-C 1-3 -アルキル及びそのC 1-2 -アルキルエステルから選択される、請求項7または8に記載のフタロシアニン化合物。
  • Jにより表される前記所望により置換されたフェニル;ナフタ-1-イルまたはナフタ-2-イル基が、フェニル、4-メチルフェニル、2-メチルフェニル、4-i-プロピルフェニル、2,4-ジメチル-フェニル、2,5-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、4-メトキシフェニル、4-メチルチオフェニル、3-(2-[メトキシカルボニル]エチル)フェニル、3-(ヒドロキシカルボニル)フェニル、4-(ヒドロキシスルホニル-フェニル、2-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、3,5-ジクロロフェニル、ナフタ-1-イル及びナフタ-2-イルから選択される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物。
  • 基R 1 、R 4 、R 5 、R 8 、R 9 、R 12 、R 13及びR 16が同一である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物。
  • 前記化合物が式:
    {式中、MはVO、TiO及びMoOから選択されるオキシ金属基であり;
    Pcはフタロシアニン核であり;
    Xはそれぞれ独立してS、Se、TeまたはNTであり、ここでTはH、C 1-4 -アルキルまたはフェニルであり;及び
    Rはそれぞれ独立してフェニルまたはナフチルであり、そのそれぞれは所望により、C 1-3 -アルキル、C 1-3 -アルコキシ、C 1-3 -アルキルチオ、C 1-3 -アルキルスルホニル、C 1-3 -アルキルスルホニル-アミノ、C 1-3 -アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ-C 1-3 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル、ヒドロキシ-スルホニル、ジヒドロキシホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキルまたはヒドロキシホスホニル-C 1-3 -アルキルまたはそのC 1-3 -アルキルエステルから選択される5個以下の基により置換されていてよい;または
    R及びTは一緒になって、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルまたはピロリニル環を形成する}をもつ、請求項1〜11のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物。
  • X及び/またはX 1が硫黄である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物。
  • R 1 、R 4 、R 5 、R 8 、R 9 、R 12 、R 13及びR 16のそれぞれが4-メチルフェニルチオであり、且つR 2 、R 3 、R 6 、R 7 、R 10 、R 11 、R 14及びR 15のそれぞれがHである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物。
  • 式中、MがVOである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物。
  • 前記感光性層が請求項1に記載の式Iの化合物を含み、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしでパターン情報に従った赤外線レーザーを感光層に照射することを含む、感光層を含むリソグラフィック印刷プレート(lithographic printing plate)の製造法。
  • 前記ポリマー物質が請求項1に記載の式Iの化合物を含み、但し、前記化合物はテトラ3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、または前記ポリマー材料は、溶接(weld)を形成するのが好ましい化合物でコーティング若しくはプリントするか、または前記化合物は、溶接を形成するのが好ましいポリマー材料に隣接して配置する層若しくはフィルムとして提供される、溶接を形成するのが望ましい領域でポリマー材料に赤外線レーザーを照射する、ポリマーの溶接方法。
  • 請求項1に記載の式Iの化合物を、グレージングの一部を形成する層またはグレージングに包含させることによって、入射IR照射の熱作用に対してグレージング化構造体の内部を保護するための方法であって、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件はない。
  • 請求項1に記載の式Iの化合物の保護フィルムの一部を形成する層または保護層に保護フィルムを組み込むことによってIR照射通過を減衰させる方法であって、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件はない。
  • 赤外線検出器をスキャンすることによって表面的な画像をもつ製品を検出する方法であって、ここで前記画像は請求項1に記載の式Iの化合物を含み、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件はない。
  • 支持体上に一時的なトナー画像を固定及び/またはIR-読み取り可能な永続的なトナー画像を提供するためにIR供給源を組み込んでいる電子写真デバイス(electrophotographic device)を使用して支持体上に永続的なトナー画像を形成するための方法であって、ここで前記トナーは請求項1に記載の式Iの化合物を含み、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件はない。
  • 赤外線照射で画像をスキャンすることによって生じた反射シグナルに対して機械で読み取るために適合させた画像を保持する物品であって、前記画像は請求項1に記載の式Iの化合物を含み、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件はない。
  • 製品の中にまたは製品の上に含まれる熱シグナルを強化させるための方法であって、前記熱シグナルは請求項1に記載の式Iの化合物から誘導され、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件はない。
  • 請求項1に記載の式Iの化合物を含むインクであって、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件はない。
  • 着色剤も含む、請求項23に記載のインク。
  • アルコキシル化またはポリアルコキシル化アクリレートモノマー及び光開始剤も含む、請求項23または24に記載のインク。
  • 請求項1に記載の式Iの化合物の使用であって、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件はない。
  • 製品または支持体に請求項1に記載の式Iの化合物を含むマークをつけ、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件ではなく、次いで前記マークを赤外線照射による特徴的な吸収を検出及び/または測定する各段階を含む製品または支持体の真偽を証明する方法。
  • 说明书全文

    発明の分野

    本明細書は、たとえば750nm〜1500nm、特に750nm〜1100nmの電磁スペクトルの近赤外線領域で吸収する特定のポリ(置換)-フタロシアニン化合物、そのような照射または局所的な入熱(localised heat input)の作用に対する保護を提供するシステム及び組成物を含む赤外線照射を吸収するのが望ましい種々の用途での前記化合物の使用、並びに前記化合物を含むシステム及び組成物に関する。

    欧州特許第0155780号は、
    (a)式A:

    に示されるフタロシアニン核の1、4、5、8、9、12、13及び16の位置(これら8つの位置は、以後、それからフタロシアニンを誘導可能なフタロニトリルの4つの原子の等価な3-位と6-位とから類推して「3,6-」位置と言う)の周辺炭素原子の少なくとも5つがそれぞれ有機基の炭素原子に(酸素以外の)周期律表のVB群またはVIB群由来の原子によって結合され、且つ
    (b)このフタロシアニン核が金属を含まないか、または金属若しくはオキシ金属と錯体形成している、赤外線吸収性フタロシアニン化合物の種々の包括的な種類について記載する。 そのようなオキシ金属(oxy-metal)を保持するそのような化合物の唯一特定の開示は、オクタ-3,6-(4-t-ブチルフェニルチオ)VOPc(ここで、VOPcは、オキシ金属基VOと錯体形成したフタロシアニン核を表し、フタロシアニンの前記「3,6-」位置における8つの周辺炭素原子のそれぞれが4-t-ブチルフェニルチオ基を保持する)である。 赤外線吸収剤であることを別として、この具体的な化合物については他に何も特性は開示されていない。

    欧州特許第0155780号に開示されたこの化合物は、電磁スペクトルの近赤外線領域に強い吸収ピークをもち、且つ幾つかは商品化されたが、これらは(赤外線吸収ピークの位置が可視領域に近かったので)通常、スペクトルの可視領域で幾らか吸収を示し、そのため支持体に適用したときに淡い着色を示し、これはもう一つの着色種で隠さない限り目視可能である。

    PCT国際公開第WO98/08895号は、具体的な化合物テトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPcについて開示するが、この化合物はプラスチック成形との関連でのみ開示されている。 英国特許第GB2237284号は、具体的な化合物オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPcについて開示するが、これも光学記録媒体との関連でのみ開示されている。 日本特許第JP61-246091号は具体的な化合物オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPc及びオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcを開示するが、これらは、光学記録媒体との関連でのみ開示されている。

    本発明の第一の側面に従って、式I:

    { R 1 、R 4 、R 5 、R 8 、R 9 、R 12 、R 13及びR 16により表される基の少なくとも5つは独立して−X−Jまたは−X−L−X 1 −であり、ここで
    Jはそれぞれ独立して、C 1-6 -アルキル;C 2-6 -アルケニル;C 4-8 -シクロアルキル(それぞれ所望により、C 1-4 -アルコキシ、C 1-4 -アルキルチオ、C 6-12 -アリール、C 6-12 -アリールチオ、C 1-4 -アルキルスルホニル、C 1-4 -アルキルスルホニルアミノ、C 1-4 -アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ-C 1-4 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル(-COOH)、ヒドロキシスルホニル(-SO 3 H)またはジヒドロキシホスホニル(-PO 3 H 2 )またはそのC 1-4 -アルキルエステルからなる群から選択される基で置換されていてよい)及びC 6-12 -アリール(所望により、C 1-3 -アルキル、C 1-3 -アルコキシ、C 1-3 -アルキルチオ、C 1-3 -アルキルスルホニル、C 1-3 -アルキルスルホニルアミノ、C- 1-4アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ-C 1-3 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニルまたはジヒドロキシホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキル、ジヒドロキシホスホニル-C 1-3 -アルキルまたはそのC 1-3 -アルキルエステルから選択される基で置換されていてよい)から選択され;
    Lはそれぞれ独立して、C 1-6 -アルキレン及びC 4-8 -シクロアルキレン(それぞれ所望により、C 1-4 -アルコキシ、C 1-4 -アルキルチオ、C 6-12 -アリール、C 6-12 -アリールチオ、C 1-4 -アルキルスルホニル、C 1-4 -アルキルスルホニルアミノ、C 1-4 -アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ-C 1-4 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニルまたはジヒドロキシホスホニルまたはそのC 1-4 -アルキルエステルから選択される基で置換されていてよい)及びC 6-12 -アリーレン(所望により、C 1-3 -アルキル、C 1-3 -アルコキシ、C 1-3 -アルキルチオ、C 1-3 -アルキルスルホニル、C 1-3 -アルキルスルホニルアミノ、C- 1-3アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ-C 1-3 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、ジヒドロキシホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキルまたはジヒドロキシホスホニル-C 1-3 -アルキルまたはそのC 1-3 -アルキルエステルから選択される基で置換されていてよい)から選択され;
    Mはオキシ金属基であり;
    Xはそれぞれ独立してS、Se、TeまたはNTであり;
    X 1はそれぞれ独立してS、Se、TeまたはNTであり、且つ式Iのもう一つのフタロシアニン化合物の周辺の3,6-炭素原子に直接結合し;
    Tはそれぞれ独立して、H、アルキルまたはフェニルであるか、TとJはこれらが結合しているN原子と一緒になって脂肪族または芳香族環を形成し、但しこのN原子は正に帯電しておらず;但しJがアリールであるとき、Tはアリールではない;
    及びR 1からR 16の残りの基は独立して、H、ハロゲン、−OJ、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、ジヒドロキシホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキル及びジヒドロキシホスホニル-C 1-3 -アルキルから選択され、但し、R 2及びR 3の少なくとも一つ、R 6及びR 7の少なくとも一つ、R 10及びR 11の少なくとも一つ、並びにR 14及びR 15の少なくとも一つは素であり、但し、前記化合物は、テトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもない}のフタロシアニン化合物を提供する。

    本明細書を通して、基R 1 、R 4 、R 5 、R 8 、R 9 、R 12 、R 13及びR 16が結合している式Iのフタロシアニン化合物の炭素原子は、それから本発明のフタロシアニン化合物が誘導可能な四つのフタロニトリル(式IIを参照のこと)の分子中の等価な3-位置と6-位置の炭素原子から類推して「3,6-炭素原子」という。 さらに、H 2 Pc及びMPc(式中、Mはオキシ金属基、たとえばVO、TiOまたはMoOである)の記号を、それぞれ非金属化及びオキシ金属化フタロシアニン類を示すのに使用する。

    式Iのフタロシアニン化合物では、好ましくは少なくとも6個、より好ましくは少なくとも7個、さらに特に全部で8つの「3,6-炭素原子」が式−X−Jまたは−X−L−X 1の基を保持する。 それぞれの「3,6-炭素原子」が式−X−Jの基を保持するとさらに好ましい。 残余の周辺の炭素原子(以後、「4,5-炭素原子」という)は、非置換である、すなわち、式IにおいてR 2 、R 3 、R 6 、R 7 、R 10 、R 11 、R 14及びR 15はHであるのも好ましい。

    特に重要な化合物は、750〜1100nm、より好ましくは800〜1000nmに電子吸収ピークをもつものであり、より重要なものは400nmを超えまたは750nmを超える領域にそれらの吸収強度の少なくとも90%(特に少なくとも95%)をもつものである。 好ましい化合物は、溶液中で特に60nm未満の狭い半値幅(ピークの高さの半分におけるバンドの幅)をもつ。

    Jにより表される好ましい基はC 3-6 -アルキル、たとえば直鎖若しくは分岐鎖であってもよいプロピル若しくはブチルであるが、前記のものが好ましく;C 2-4 -アルケニル、たとえばビニル若しくはアリル;シクロヘキシル;より特にフェニル;ナフタ-1-イル若しくはナフタ-2-イル、特にフェニルであり、これらはそれぞれ上記定義の如く所望により置換されていてよい。 Jの上の置換基が電子吸引性、たとえばヒドロキシカルボニル、ニトロまたはシアノである場合、置換基はJとXとの間の結合に関してオルト位置であるのが好ましく、Pc核の拡張共役系(extended conjunction system)に結合しない。

    Lにより表される好ましい基は、C 2-4 -アルキレン、たとえばエチレン、プロプ-1,2-イレン及びプロプ-1,3-イレン;C 6 -シクロアルキレン、たとえばシクロヘキシ-1,4-イレン;フェン-1,4-イレン及びナフタ-1,4-イレンであり、これらはそれぞれ所望により上記定義の如く置換されていてよい。

    J及びLによって表されるアリール及び/またはアリーレン基は置換されているのが好ましい。 J及びLによって表されるこのアリール及びアリーレン基の好ましい置換基としては、C 1-2 -アルキル、たとえばメチル及びエチル;C 1-2 -アルコキシ、たとえばメトキシ及びエトキシ;C 1-2 -アルキルチオ、たとえばメチルチオ及びエチルチオ;C 1-2 -アルキルスルホニル;C 1-2 -アルキルスルホキシド;アミノ;モノ-及びジ-C 1-2 -アルキルアミノ、たとえばメチルアミノ及びジエチルアミノ;ハロゲン、たとえばクロロ若しくはブロモ;ニトロ;シアノ;ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、ジヒドロキシ-スルホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキル及びジヒドロキシ-ホスホニル-C 1-3 -アルキル及びそのC 1-2 -アルキルエステル、たとえば-COOH、-COOC 2 H 5 、-SO 3 H、-CO 3 CH 3 、-PO 3 H 2 、-CH 2 CH 2 COOH、-CH 2 SO 3 H、-CH 2 PO 3 H 2 、-CH 2 COOCH 3及び-CH 2 CH 2 SO 3 CH 3がある。 J及びLにより表される所望により置換されたアリール及びアリーレン基の例としては、フェニル、4-メチルフェニル、2-メチルフェニル、4-i-プロピルフェニル、2,4-ジメチル-フェニル、2,5-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、4-メトキシフェニル、4-メチルチオフェニル、3-(2-[メトキシカルボニル]エチル)フェニル、3-(ヒドロキシカルボニル)フェニル、4-(ヒドロキシルスルホニル)-フェニル、2-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、3,5-ジクロロフェニル、ナフタ1-イル及びナフタ2-イルがある。

    J及びLによって表される前記アルキル、アルキレン、アルケニル、シクロアルキル及びシクロアルキレン基の好ましい置換基としては、C 1-2 -アルコキシ若しくはC 1-2 -アルキルチオ、たとえばメトキシ、エトキシ、及びメチルチオ;C 6-12 -アリール、特にフェニル若しくはナフタ-1-イル;ハロ若しくはシアノがある。 J及びLによって表される所望により置換されたアルキル、アルキレン、アルケニル、シクロアルキル及びシクロアルキレン基の例としては、メチル、エチル、i-プロピル、メトキシ、エトキシ、メチルチオ、アリル、トリフルオロメチル、ベンジル、ジメチルアミノエチル、メチルスルホニルアミノエチル及びエチルアミノ-エチルがある。

    八つの「3,6-炭素原子」に結合した基−X−Jまたは−X−L−X 1が同一であるのが好ましい。
    X及びX 1が硫黄(S)、セレン(Se)またはテルル(Te)及び特に硫黄であるのが好ましい。 XまたはX 1により表される任意の基がNTである場合、前記化合物がそのようなNT基を5以上含むのが好ましい。

    Tにより表される好ましい基としては、H;C 1-6 -アルキル、特にC 1-4 -アルキル、たとえばメチル、エチル若しくはプロピル;またはフェニルがある。 しかしながら、JまたはLがアリールである場合、これらに結合している基NT上のTはアリールでないのが好ましい。 T及びJが、これらが結合しているN原子と一緒になって脂肪族環または芳香族環を形成する場合、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルまたはピロリニルが好ましい。

    式I中、Mによって表される適切なオキシ金属基の例としては、チタニル(TiO)、モリブジル(MoO)、及びバナジル(VO)があるが、バナジル(VO)が好ましい。
    本発明に従った好ましい化合物は、以下の式:

    {式中、MはVO、TiO及びMoOから選択されるオキシ金属基であり;
    Pcは前記フタロシアニン核であり;
    Xはそれぞれ独立してS、Se、TeまたはNTであり、ここでTはH、C 1-4 -アルキルまたはフェニルであり;及び
    Rはそれぞれ独立してフェニルまたはナフチルであり、そのそれぞれは所望により、C 1-3 -アルキル、C 1-3 -アルコキシ、C 1-3 -アルキルチオ、C 1-3 -アルキルスルホニル、C 1-3 -アルキルスルホニル-アミノ、C 1-3 -アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ- C 1-3 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル、ヒドロキシ-スルホニル、ジヒドロキシホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキル若しくはヒドロキシホスホニル-C 1-3 -アルキルまたはそのC 1-3 -アルキルエステルから選択される5個以下の基により置換されていてよい;あるいは
    R及びTは一緒になってピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルまたはピロリニル環を形成する}に従う。

    式I及び式IIIに従う本発明の化合物の例としては、
    オクタ-3,6-(フェニルチオ)-TiOPc;
    オクタ-3,6-(4-メチルフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(2-メチルフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(2-エチルフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(4-i-プロピルフェニルチオ)-TiOPc;
    オクタ-3,6-(2-i-フプロピルェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(2,4-ジメチルフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(2,5-ジメチルフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(3,5-ジメチルフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(4-メトキシフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(4-n-プロポキシフェニルチオ)-MoOPc;
    オクタ-3,6-(4-メチルチオフェニルチオ)-TiOPc;
    オクタ-3,6-(4-メチルチオフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(3,4-ジメチルフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(3-メトキシカルボニルフェニルチオ)-MoOPc;
    オクタ-3,6-(3-ヒドロキシカルボニルフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(2-[ヒドロキシカルボニルメチル]フェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(3-[2-ヒドロキシカルボニルエチル]フェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(4-[3-ヒドロキシカルボニル-n-プロピル]フェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(4-ヒドロキシスルホニルフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(ナフタ-1-イルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(ナフタ-2-イルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(2-クロロフェニルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(4-ブロモフェニルチオ)-TiOPc;
    オクタ-3,6-(3,5ジクロロフェニルチオ)-MoOPc;
    オクタ-3,6-(ベンジルチオ)-VOPc;
    オクタ-3,6-(フェニルテルロ)-VOPc;及び オクタ-3,6-(ブチルチオ)-MoOPcがある。

    式Iに従う本発明の化合物の例としては、
    ヘプタ-3,6-(2,4-ジメチルフェニルチオ)-モノ-3,6-クロロ-VOPc;
    ヘプタ-3,6-(4-ブロモフェニルチオ)-モノ-3,6-クロロ-TiOPc;
    ヘキサ-3,6-(4-メチルフェニルチオ)-ジ-3,6-クロロ-VOPc;
    ヘキサ-3,6-(2,5-ジメチルフェニルチオ)-ジ-3,6-クロロ-MoOPc;及び ペンタ-3,6-(2-メトキシフェニルチオ)-トリ-3,6-クロロ-TiOPcがある。

    八つの「3,6-炭素原子」に結合する基は違っていてもよいが、これらは同一であるのが好ましく、それぞれ、式IV:

    {式中、Q 1 〜Q 5はそれぞれ独立して、H、C 1-3 -アルキル、特にメチル;C 1-3 -アルコキシ、特にメトキシ;C 1-3 -アルキルチオ、特にメチルチオ;C 1-3 -アルキルスルホニル、C 1-3 -アルキルスルホニルアミノ、C 1-3 -アルキルスルホキシド、アミノ、モノ-及びジ- C 1-3 -アルキルアミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、ジヒドロキシホスホニル、ヒドロキシカルボニル-C 1-3 -アルキル、ヒドロキシスルホニル-C 1-3 -アルキル若しくはヒドロキシ-ホスホニル-C 1-3 -アルキルまたはそのC 1-3 -アルキルエステル類から選択される}の所望により置換されたフェニル基であるのがより好ましい。 式IVのフェニル基において、Q 2及びQ 4はいずれもHであるのが好ましい。 Q 1 、Q 3及びQ 5は電子吸引性基、たとえばヒドロキシカルボニル、ニトロでもシアノでもないのがさらに好ましい。

    J及び/またはLによって表される基がヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニルまたはヒドロキシホスホニル基(特にその塩の形で)を含む本発明の化合物は、通常、そのような基を含まない化合物と比較して、高い親水性(と水性媒体における溶解性)をもち、低い疎水性(と有機媒体における溶解性)をもつ。 親水性(及び水溶液溶解性:aqueous solubility)は、本発明の化合物のスルホン化及び/またはホスホニル化によってもたらされ及び/または増強することができ、これによってヒドロキシスルホニル及び/またはジヒドロキシホスホニル基は、これらに結合している懸垂フェニル若しくはナフチル基またはフタロシアニン核自体の炭素原子に導入することができる。 スルホン化またはホスホニル化によって親水性を増強させる機能は本発明の重要な特徴である。 というのも、そのような基を導入しても、それらの他の特性、特にスペクトルのIR領域でのその吸収ピークの位置に非常に小さな影響しか与えないことが知見されたからである。 かくして、本発明の溶媒溶解性化合物は、その赤外線吸収特性に影響を与えることなくスルホン化によって単により親水性(従ってその水溶性が高まった)とすることができる。

    本発明は、その中に記載の化合物の似たような好ましい種類の調製に関して、欧州特許第EP0155780号に記載のプロセスによって製造することができる。
    本発明の化合物(特に式IIIの化合物)は、電磁スペクトルの赤外線領域で狭い主な吸収ピーク(通常60nm未満の半値幅)をもち、このピークは欧州特許第0155780号で開示された化合物に関して深色方向に(bathochromically)移動するので、これらはより淡い着色となって、支持体に適用した時に目視によって簡単に検出しにくくなる。 本発明の化合物は、通常、熱安定性が高く、オクタ-3,6-(4-t-ブチルフェニルチオ)-VOPcよりも電磁照射による照射作用の元で耐退色性でもある。

    本発明の化合物は、以下の用途において赤外線吸収剤(infra-red absorbers:IRA)として特に有用である:
    (a) 入熱系(Heat Input System) :たとえばトナー中にIRAが存在することによって潜在的なトナー画像のレーザー誘導固定が促進される電子写真、リソグラフィック・プリント・プレート上の感光層中にIRAが存在すると、プリントプレート上のレーザー誘導画像の形成を促進するプリントプレート製造、及び溶接周辺でレーザー誘導の熱発生が、IRAの存在によって促進されるポリマー溶接(polymer welding)などの、赤外線に暴露することによって特定の位置での入熱が好ましい場合;
    (b) IR照射保護系(IR Radiation Protection System) :たとえばビルや車用の耐熱性ソーラー・グレージング(solar glazing)、サンバイザー及び溶接用ゴーグルで、この照射作用から被験者を保護するために入射光から赤外線を吸収するのが好ましい場合;及び
    (c) 検出/取り扱い系(Detection/Handling System) :たとえばIRAでドープした薬剤の動きを追跡する、赤外線画像での熱シグナルを増強する、故障検出、たとえばIRAの溶液で浸漬させた亀裂の検出、及びIRAでマークした物品の自動検出及び/または取り扱い、たとえば郵便物の選別またはスーパーマーケット操作での値段及び関連情報の機械による読み取りなど、医療処置で使用するための機械で検出可能なIRまたは熱エネルギー信号を提供または増強するのが好ましい場合。

    本発明の第二の側面に従って、感光層が式IのIRAを含むが、但し前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、パターン情報に従って赤外線レーザーで感光層を照射することを含む、感光層を含有するリソグラフィック・プリント・プレートの製造法を提供する。

    本発明の第三の側面に従って、溶接を形成するのが望ましい領域でポリマー材料に赤外線レーザーを照射するポリマー溶接法を提供し、ここではポリマー材料は、式Iの化合物を含み、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、または前記ポリマー材料は溶接を形成するのが望ましい化合物でコーティング若しくは印刷されるか、または前記化合物は、溶接を形成するのが望ましいポリマー材料に隣接して配置される層若しくはフィルムで提供される。 このポリマー材料は、ポリマー材料中に前記化合物を押し出すことによって前記化合物を含むことができる。 本化合物は、押出または溶液沈積(solution deposition)によって上記フィルム内に取り込ませることができる。

    本発明の第四の側面に従って、前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、式IのIRAを、グレージングの一部を形成する層またはグレージングに取り込ませることによって入射IR照射の熱作用に対してグレージング構造体(glazed structure)の内部を保護するための方法を提供する。

    本発明の第五の側面に従って、前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、保護フィルムの一部を形成する層または保護フィルムに式IのIRAを取り込むことによって、(バイザーやゴーグルの接眼レンズなどの)保護透明フィルムを通して通過するIR照射を減衰させるための方法を提供する。

    本発明の第六の側面に従って、前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、画像が式IのIRAを含む赤外線検出器で走査することによって表面の画像(superficial image)を保持する物品を検出する方法を提供する。

    本発明の第七の側面に従って、前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、トナーが式IのIRAを含む、支持体上に一時的なトナー画像を固定及び/またはIR-読み取り可能な永続的なトナー画像を提供するために、IR供給源を含む電子写真デバイスを使用する、支持体上に永続的なトナー画像を形成する方法を提供する。

    本発明の第八の側面に従って、前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、熱シグナルが誘導されるプロセス媒体または物品に式IのIRAを組み込むことによって、プロセスまたは物品などから熱シグナルを増強させる方法を提供する。

    本発明の第九の側面に従って、前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、式IのIRAを含有する液体を固体に適用し、その中のIRAの存在に関して前記固体を検査することによってIR透過性固体(permeable solid)を通して乗客を検出する方法を提供する。

    本発明の第十の側面に従って、前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、特に郵便物及びスーパーマーケット商品などの物品を自動的に認識且つ取り扱い及び/または分類するのに使用するために、画像が式IのIRAを含む前記画像を赤外線照射によって走査することによって発生した反射シグナルに対して機械で読み取るように適合された画像を保持する物品を提供する。

    上記用途において、IRAを表面に適用する場合、IRAを液体媒体に溶解または分散させて、インクを形成し且つ適当な印刷方法を使用して表面に該インクを適用することによって実施することができる。

    本発明の第十一の側面に従って、前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、式IのIRAを含むインクを提供する。

    本発明の第十一の側面に従った第一の好ましいインクは着色剤も含む。 着色剤及びIRAの両方がインク媒体に溶解しているそのようなインクは通常、紙及びカードなどの吸収材料のインクジェット印刷に適している。

    本発明の第十一の側面に従った第二の好ましいインクは、アルコキシル化またはポリアルコキシル化アクリレートモノマー、光開始剤及び着色剤(以後詳細に記載する)も含む。
    前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、式Iの化合物は、特に安全保証のマーク(security marking)またはラベル形成で使用するために、支持体及び物品の全面にそのようなインク及びトナーを使用する印刷プロセスで並びに印刷及び電子写真で使用するためのインク及びトナーなどで使用することができる。 そのようなインク及びトナーは、以後記載の如く、偽造品及び不正行為の検出用のセキュリティ・プリンティング(security printing)用途で使用することができる。 プリント方法は、好ましくは、以下の:オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット、凹版印刷及び凸版印刷から選択する。 本化合物は、電子写真トナー、マトリックスまたはデイジーホイール(daisy-wheel)プリンターインク及び非衝撃印刷(non-impact printing)法でも使用することができる。

    本発明は、物品または支持体に、印刷法などの種々の方法によって適用する(インクなどの)、好ましくは組成物中にセキュリティ・マーカー(安全保障マーカー)として、式Iの化合物、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、前記化合物を使用することも含む。 支持体の例としては、一般的に紙、ラグペーパー、好ましくは流通グレードの紙(currency grade paper)、プラスチックコーティング紙またはラミネート化紙、並びにプラスチック、たとえば銀行カードグレードのPVC、またはプラスチック紙、たとえば不織プラスチック紙が挙げられる。 物品の例としては、書類、パッケージングまたは印刷されたマークを保持する製品(goods)、たとえば銀行券、銀行券縫い糸(banknote thread)、通貨、トラベラーズチェック、証書、証明書、切手(印紙)、インスタントくじ、所有権証明書(ownership document)、パスポート、IDカード、クレジットカード、チャージカード(charge card)、アクセスカード、スマートカード(smart card)、ブランド証明ラベル及びタグ、並びに不正開封防止ラベルが挙げられる。

    本発明のさらなる側面に従って、前記化合物がテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、前記物品または支持体を式Iに従った化合物でマークを付け、このマークによって紫外線照射の特徴的な吸収を、たとえば標準的な分光学法によって検出及び/または測定することによって、物品または支持体の信頼性を確立する方法を提供する。

    式Iの化合物、但し、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、書類、通貨、ジュエリー及び不織布(bonded material)などの貴重品、たとえば燃料及びアルコール性飲料;並びにコンピューター制御ロック及びアラームなどの安全保障マークにおいて、機械で検出可能なIR識別番号または作動シグナル(actuation signal)を提供するのが望ましい場合に使用することができる。

    (a)入熱系
    (i)従来のトナー 適切なフラッシュ固定トナー(flash fixing toner)は、バインダー樹脂、着色剤及び本発明に従ったIRAであるが、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、これらを含み、ここで前記IRAは前記トナーの総重量をベースとして約0.01%〜5.0%(より好ましくは0.1〜3.0%)の量で存在するのが好ましい。 このIRAは、トナー粒子のマトリックスを形成するバインダー樹脂に好都合に分散(または溶解)する。

    このバインダー樹脂は、フラッシュ固定トナー(flash fixing toner)で使用するのに適切な任意の樹脂、たとえばポリスチレン類;スチレンと(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル若しくはマレイン酸エステルとのコポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエステル類;ポリアミド類;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;炭化水素樹脂;及び石油樹脂があり、これらは単独またはそれぞれまたは他の樹脂または添加剤と組み合わせて使用することができる。 好ましい樹脂は、ビスフェノールA及びエピクロロヒドリンのポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂である。

    着色剤はフラッシュ固定トナーで使用するのに適切な任意のものであってよく、たとえば一種以上の顔料若しくは着色剤、たとえばクローム・イエロー、カドミウム・イエロー、イエロー酸化鉄(yellow iron oxide)、チタン・イエロー、ナフトール・イエロー、ハンザ・イエロー(Hanza yellow)、顔料イエロー、ベンジジン・イエロー、パーマネント・イエロー、キノリン・イエロー、アントラピリミジン・イエロー、パーマネント・オレンジ、モリブデン・オレンジ、バルカン・ファスト・オレンジ(vulcan fast orange)、ベンジジン・オレンジ、インダンスリーン・ブリリアント・オレンジ、酸化鉄、琥珀、パーマネントブラウン、ローズ・アイアン・オキシド・レッド(rose iron oxide red)、アンチモン粉末、パーマネント・レッド、ファイアー・レッド(fire red)、ブリリアント・カーマイン、ライト・ファスト・レッド・トナー(light fast red toner)、パーマネント・カーマイン、ピラゾロン・レッド、ボルドー(Bordeaux)、ヘリオ-ボルドー(helio-Bordeaux)、ローダミン・レーキ、DuPontオイル・レッド、チオインディゴ・レッド、チオインディゴ・マロン、ウォッチング・レッド・ストロンチウム(watching red strontium)、コバルト・パープル、ファスト・バイオレット、ジオキサン・バイオレット、メチル・バイオレット・レーキ、メチレン・ブルー、アニリン・ブルー、コバルト・ブルー、セルレアン・ブルー、カルコ・オイル・ブルー(chalco oil blue)、非金属フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・ブルー、ウルトラマリン・ブルー、インダントレン・ブルー、インディゴ、クローム・グリーン、コバルト・グリーン、顔料グリーンB、グリーン・ゴールド、フタロシアニン・グリーン、マラカイト・グリーン・オキサレート及びポリクロモ-ブロモ銅フタロシアニンがある。 着色剤の量は広範囲を変動し得るが、前記バインダー樹脂100重量部をベースとして3〜5重量部で配合するのが好ましい。

    フラッシュ固定トナーは、さらなる成分、たとえばワックス(蝋)、電荷制御剤(charge control agent)及び/または易流動剤(flow-enhancer)を含むことができる。
    このワックスは、ポリオレフィンタイプまたは天然ワックス、たとえばカルナウバワックス、モンタンワックス及び天然パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチレン-ペンテンコポリマー、エチレン-3-メチル-1-ブテンコポリマー並びに、オレフィン類と他のモノマー、たとえばビニルエステル類、ハロ-オレフィン類、(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリル酸または誘導体とのコポリマーであってもよい。 このワックス状成分の重量平均分子量は、1,000〜45,000ダルトンであるのが好ましい。

    適切な電荷制御剤の例としては、ニグロシン(nigrosine)、モノアゾ染料、亜鉛、ヘキサデシルスクシネート、ナフトエ酸のアルキルエステル若しくはアルキルアミド、ニトロフミン酸、N,N-テトラメチルジアミンベンゾフェノン、N,N-テトラメチルベンジジン、トリアジン類及びサリチル酸の金属錯体がある。 黒以外の着色剤の場合には、電荷制御剤が実質的に無色であるのが好ましい。

    適切な易流動性剤の例としては、無機物質、たとえばコロイダルシリカ、疎水性シリカ、疎水性チタニア、疎水性ジルコニア及びタルクの微粒子、並びに有機物質、たとえばポリスチレンビーズ及び(メタ)アクリル酸ビーズの微粒子がある。

    IRAが適切なバインダー樹脂に可溶性または分散可能である場合、カップリング剤及びIRA(並びに上記の任意の他の成分)をコンパウンドし、一緒に混練りするのが好ましい。 得られた混合物を冷却し、粉砕化した後、粒子を分類する。

    (ii)化学的に製造したトナー
    本発明に従ったIRA、但し前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、IRAを化学的に製造したトナーと配合することができる。 このトナーは、種々の分子量のポリマーを使用して分子量分布とトナー溶融レオロジー特性とを制御しようとする場合には、好適な一種以上のポリマー、ポリマーの混合物を含むことができる。 適切なポリマーの例としては、スチレン-アクリレートコポリマー類、スチレン-ブタジエンコポリマー類、ポリエステル類及び炭化水素樹脂がある。 このトナーは着色剤を配合して、印刷した支持体、電荷制御剤上に着色した画像を提供して、融合ローラーから剥離し易いように電荷及びワックスの取り込みを促進することができる。 適切な着色剤としては、顔料(IRAによる赤外線照射の吸収を干渉しないという条件のもと、磁性顔料を含む)及び染料がある。 適切な電荷制御剤としては、金属錯体、たとえば、Zn、Al、FeまたはCr及びポリマー材料、たとえばフェノール性ポリマーの錯体などを含む。 適切なワックスとしては、炭化水素ワックス、たとえばパラフィン、ポリエチレン若しくはポリプロピレンワックス、一酸化炭素及び水素から誘導したワックス、たとえばフィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックス、天然製品ワックス、たとえばカルナウバワックス、並びに合成ワックス、たとえばエステルまたはアミドワックスが挙げられる。 トナーは、界面活性剤(surface additive)、たとえばシリカ、チタニア、アルミナ若しくはポリマー粒子を含んで、流動性、帯電性能または転送特性を制御することもできる。

    (iii)オフセット印刷プレート製造
    オフセット印刷プレートは、通常、支持体の正面に形成された感光性画像層と支持体とを含む記録材料から製造し、電磁照射の適切な供給源による照射によって画像層上に所望のパターンを形成させる。 一つの公知の記録材料は、この画像層に組み込まれたIRAを含み、所望のパターンは、所定のパターン情報に従って、通常、レーザーからIR放射線の照射によって形成する。 このIRA、但し前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、約830nmの主な放射ピークをもつ市販で利用可能な固体状態のレーザーダイオードなどの750nm〜1000nmの範囲に放出ピークをもつIRレーザーと連動して特に使用するためのそのような記録材料での使用に適切である。 本IRAが感光性層に取り込まれ得るオフセット印刷プレート用の適切な記録材料は、たとえば米国特許第6,294,298号及び本明細書中に開示の刊行物に記載されているが、これらは本発明を限定するものではない。

    (iv)レーザー溶接
    レーザー溶接の一例が英国特許出願第GB-A-2,276,584号に開示されており、該特許では、(二つの物体の間の接触領域を画定している)接触している二つの隣接表面に保持されている熱可塑性材料の二つの本体(その一方は実質的に赤外線照射に対して透明であり、且つ他方は実質的に該照射に対して不透明である)を、透明体を通して赤外線照射により接触領域の不透明体の表面を照射して、それによって接触領域の両方の物体の表面をこれらが融合し溶接によって、接触領域の不透明体による赤外線吸収と、接触領域の赤外線不透明体に発生した熱伝達とによって一緒に接合する温度まで加熱することにより、該二つの物体を一緒に溶接する方法を提供する。 不透明な熱可塑性樹脂体の赤外線不透明度(infra-red opacity)は、本発明の第一の側面に従ったIRAであって、前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、IRAを添加することによって増強させることもできる。

    この方法を使用することによって、熱可塑性パイプは、パイプの周りに繊維強化熱可塑性テープまたはフィルムの一つ以上の層を巻き付けることによって半径方向に強化することができる。 このテープは、パイプが加圧下で搬送される際に、ねじれののバランスを取るために反対のテープで二つ一組で巻くと都合がよい。 テープはそれぞれ、次の溶接段階の間にこれらの間で確実に溶接が形成するように、テープとパイプとが密着する張力下で巻く。 対(二つ一組)の第一のテープはパイプに直接適用し、第二のテープは、溶接段階でこれらに融合するように、パイプに対して両方のテープをしっかりと保持するのに十分な張力下で第一のテープの上部に適用する。 1枚ずつまたは対のさらなるテープは、第一の対の上部に巻いてさらに強化することができる。 通常、それぞれのテープはポリエチレンから構成され、テープの縦に伸張し、且つその幅にわたっても均等に分布している多くの強化用繊維を含む。 それぞれの繊維は、好都合には、アラミドなどの適切な強化用材料の微細フィラメントの束から構成されている。 あるいは、パイプは、テープの強度がテープの長さの軸に対して並行であるように、パイプの長さに沿って強化用テープを適用することによって縦方向に強化することができる。 これらのいずれの例においても、テープは実質的にIR-透明体を構成し、パイプはIR-不透明体を構成し、融合溶接部は強化性テープを通して外部からパイプにIR照射することによって形成して、テープの内部表面とパイプの外部表面との間の接触層に隣接する熱可塑性材料の層を融合させる。

    このIRAは、公知である他のIRレーザー溶接法で放射線吸収添加剤としても使用することができる。

    (b)IR照射保護系
    (i) 耐熱性グレージング
    本発明のIRA、但し前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、
    1(a)フィルムに対して通常の入射で少なくとも一つの偏光の赤外線を反射するように配置された反射帯域をもつ、偏光子、鏡またはその両方であってもよい、複屈折誘電性多層フィルム、前記反射帯域は、通常の入射角における短波長帯域端(bandedge)λ a 0と長波長帯域幅λ b 0、並びに最大使用角度θにおける短波長帯域端λ a θと長波長帯域端λ b θをもち、ここで前記λ a θはλ a 0よりも小さく、且つλ a 0は約700nmよりも大きな波長に選択的に配置され;及び
    (b)通常の入射角度でλ a θとλ a 0との間の波長領域で放射線を少なくとも一部吸収または反射する成分(WGFC);または 2(a)フィルムに対して通常の入射角で少なくとも一つの偏光の赤外線を反射するように配置された反射帯域をもつ等方性誘電性多層フィルム、前記反射帯域は、通常の入射角における短波長帯域端λ a 0と長波長帯域端λ b 0、並びに最大使用角度θにおける短波長帯域端λ a θと長波長帯域端λ b θをもち、ここでλ a θはλ a 0よりも小さく、且つλ a 0は約700nmよりも大きな波長に選択的に配置され;及び
    (b)通常の入射角度でλ a θとλ a 0との間の波長領域で放射線を少なくとも部分的に吸収または反射する成分(WGFC)
    のいずれかを含む(その内容は本明細書中、含まれる)米国特許第6,049,419号に記載のタイプのような、光学体(optical body)の波長隙間充填成分(wavelength gap-filling component:WGFC)として使用することができる。

    この光学体は、スペクトルの赤外線領域で優れた反射性と、通常の入射角で優れたシェーディング率(shading coefficient)を提供しつつ、全ての望ましい入射角度で可視光を伝達する。

    このWGFCは、非通常入射角(non-normal incidence)で感知される着色変化を最小化するために、フィルムの反射帯域を高波長側へシフトさせる必要性のため、通常の角度によっては反射されない赤外線波長を吸収または反射するように機能する。 フィルムに対するWGFCの位置に依存して、好ましくはWGFCの吸収または反射の波長と一致することにより反射帯域が低波長へシフトするので非通常角度では機能しないかもしれない。 このWGFCは、フィルム層の一つ以上に組み込むか、または光学体の別若しくは別個の部分、すなわちラミネート化によってこれらに付着し得るフィルム(a)由来の別の層に組み込むことができる。 このタイプでは、WGFC(すなわちIRA)は、フィルム(a)に付着した別個の層に組み込まれる。 このWGFCは、組み合わされるフィルムの特徴に依存して、フィルムの一部であっても、またフィルムと分離していてもよい。

    フィルム(a)及びWGFC(b)は、太陽エネルギーを吸収するよりも太陽エネルギーを反射するのにより効率的であるため、フィルムが実用的であるように太陽に最も近い表面に配置するように組み合わせることができる。 可能であれば、太陽光が最初にフィルムに、次にWGFCにぶつかるのが好ましい。 複合ガラスまたは二重風防ガラスでは、フィルムに関して最も好ましい配置は、太陽に最も近い外側であり、次に好ましい位置は窓ガラスまたは重ね層(ply)の間である。 このフィルムは内部表面にも配置できるが、それによりガラスによって太陽光が吸収されてから光がフィルムに到達して、フィルムによって反射された光の一部を吸収してしまう。 太陽から離れてフィルムを配置するのが好ましいかもしれないが、UVに対して感受性の低い成分に光のこの部分を吸収させることができるので、この配置はUV保護の観点から考えたときに好ましい。

    WGFC(IRA)は、フィルムに対してラミネートされたポリマー、たとえばポリカーボネート若しくはアクリルなどのポリマーまたはガラスの層にフィルム(a)の表面を適用するか、またはフィルムのポリマー層の少なくとも一つに配合することができる。 太陽エネルギーの観点から、太陽が高い角度にあるときに、フィルムの反射性帯域が低波長シフトして、本質的に染料のλ max領域と一致するので、WGFCはフィルムの最も内側の表面(すなわち、内部に向かい且つ太陽から離れる)にあるのが好ましい。 フィルムから離れて太陽エネルギーを反射する方が吸収するよりも好ましいので、これは好ましい。 本発明の光学体で使用するWGFCの量は、IRAの特徴的な性質及び最終用途に依存して変動し得る。 通常、フィルム表面に適用するとき、IRAは所望の赤外線を吸収し外観を呈するのに適切な濃度及びコーティング厚さで表面上に存在する。 通常、IRAが追加の層内、または多層光学体の中にある場合、その濃度は、光学体の総重量をベースとして約0.05%〜約0.5%を変動する。 その粒径が入射光の波長よりも小さい程度までIRAが微粉砕されているのが非常に望ましい。 IRAが非極性溶媒溶解性で且つ熱安定性である場合、これは固体のプラスチックペレットと一緒にコーティングまたは混合して、押し出すことができる。

    しかしながら、本発明のIRAはこのタイプの光学体での使用にのみ限定されるものではなく、同様の目的、すなわちIR放射線の減衰の任意の他の光学体で使用することができる。

    (c)検出/取り扱い系 そのような系は好都合には検出するため、及び所望により検出すべき物品上の画像からの赤外線シグナルまたは熱シグナル(画像中のIRAの存在により強調された)の強度を測定するための検出器を含み、在庫記録または会計のためのデータ取り扱い系またはシグナルの情報に従って物品を操作するための自動取り扱い系に供給することができる。

    画像は、物品にインク、特に本発明に従ったIRA、但し前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、IRAを含むUV硬化可能なインクを適用することによって形成することができる。

    (i) UV硬化可能なインク
    適切なUV-硬化可能なインクは、米国特許第6,114,406号(該特許の内容は、本明細書中、参照として含まれる)に記載されているような、アルコキシル化またはポリアルコキシル化アクリレートモノマー、光開始剤及び着色剤を含む。 好ましいUV-硬化可能なインクジェット組成物は、全組成物に対して多官能性アルコキシル化及び/またはポリアルコキシル化アクリレートモノマー80重量%〜95重量%、IRA及び所望により着色剤を含む。

    アクリレートモノマー、光開始剤、IRA及び着色剤の量は、特定の装置及び用途に従って変動し得る。 しかしながら、光開始剤の量は、全組成物の1〜15重量%が好ましい。
    この多官能性アルコキシル化またはポリアルコキシル化アクリレートモノマー材料は、一種以上のジ-若しくはトリ-アクリレートを含むことができ、あるいはより高い官能性のアルコキシル化またはポリアルコキシル化アクリルモノマーを、単独または一種以上の二及び/または三官能性材料と一緒に使用することができる。 アルキレンオキシ基の数は、モノマー1分子当たり1〜20個であるのが好ましく、そのような基はそれぞれ、C 2-4 -アルキレンオキシ、特にエチレンオキシ(EO)またはプロピレンオキシ(PO)が好ましい。

    適切な多官能性アルコキシル化またはポリアルコキシル化アクリレートは、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリメチルプロパントリ-アクリレート及びグリセリルトリアクリレートのアルコキシル化、好ましくはエトキシル化またはプロポキシル化付加物である。

    インクは、単官能性アルコキシル化またはポリアルコキシル化アクリレートモノマー、たとえばテトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アルキルアクリレート、ノニル-フェノールアクリレート及びポリエチレン-若しくはポリプロピレン-グリコールアクリレートの一種以上のアルコキシル化、特にエトキシル化またはプロポキシル化付加物を10重量%以下含むことができる。

    インクは、非-アルコキシル化単官能性または多官能性の放射線硬化可能なモノマー、たとえばオクチルアクリレート、デシルアクリレート、N-ビニルピロリドン、エチルジグリコールアクリレート、イソボロニルアクリレート、エチル-ヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びトリエチレングリコールジメタクリレートを5重量%以下含むこともできる。

    適切な市販で利用可能な光開始剤の例としては、キサントン類、チオキサントン類、ベンゾフェノン類、キノン類及びホスフィンオキシド類がある。 一次光開始剤(primary photoinitiator)と一緒に配合し得る共同開始剤(co-initiator)の例としては、アミン類及びアミノベンゾエート類がある。 インクが一次開始剤及び共同開始剤を含む場合、総量は、上記好ましい範囲内であるのが好ましい。 アミノベンゾエート及びアクリル化アミン共同開始剤は、キサントン及び/またはチオキサントン一次光開始剤と一緒に使用するのが好ましい。

    「放射線硬化可能:radiation curable」なる用語は、本組成物がUV照射の適用によって硬化可能であることを意味する。 そのような組成物は、実質的に無色で硬化可能なワニス(varnish)若しくは基剤(base)であるか、組成物が着色剤(すなわち、可視または関連する光学的特性、たとえば蛍光を提供する材料)を含んでいる場合、インクであってよい。 着色剤を配合する場合、インクは着色剤1重量%〜10重量%をインクに対して含むのが好ましい。

    適切な着色剤は、二つの種類、(a)インク組成物に実質的に可溶性である染料と、(b)適切な分散剤を用いて、微細粒子の形状でインク組成物中に分散させた顔料とに分けられる。 典型的な顔料としては、Pigment Red 57:1、Pigment Red 52:2、Pigment Red 48:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Green 7、Pigment Yellow 83、Pigment Yellow 13及びPigment White 6が挙げられる。 着色剤がカーボンブラックである場合、またはカーボンブラックを含む場合、カーボンブラックはスペクトルのIR領域に強い吸収があるので、通常、IRAは添加する必要はない。

    インクは、他の少量成分、たとえば界面活性剤、レベリング添加剤(levelling additive)、光開始剤安定剤、湿潤剤及び顔料安定化剤も含むことができる。 後者のものとしては、特に高分子量ブロックコポリマーの形態のたとえばポリエステル、ポリウレタンまたはポリアクリレートタイプであってもよく、通常、顔料の2.5〜100重量%のレベルで配合する。 具体的な例としては、Disperbyk 161または162(BYK Chemie製)及びSolsperse hyperdispersant(Avecia製)がある。 適切な光開始剤安定化剤としては、欧州特許出願第EP-A-0 465 039号に開示のものが挙げられる。 適切な界面活性剤は、非-イオン性、たとえばFluorad FC430(3M Corp.製)がある。 (配合する場合には)そのような界面活性剤は、全組成物の0.1〜10重量%の量で配合するのが好ましい。

    インクまたはワニスは、実質的にまたは全く有機溶媒を含まないのが好ましい。 かくして、全組成物の重量の10%未満の有機溶媒が好ましく、5%未満がより好ましく、1%未満が特に好ましく、特に0.1%未満が好ましい。

    本発明のIRAは、この種のUV硬化可能なインクでのみの使用に限定されず、可溶性または分散可能である任意の他のUV硬化可能なインクで使用することができる。

    (ii) 画像強化系(Image Enhancement System)
    そのような系では、熱的シグナルの強度を強化するために、IRAを媒体に添加する。 材料とその環境(surrounding)との間に熱エネルギーの差を作り且つ検出するための一つの方法は、
    (i)本発明の第一の側面に従ったIRA、但し前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、IRAを前記材料及び/またはその環境に添加し;
    (ii)前記材料及び/またはその環境を入力エネルギーに暴露して、サーマルイメージ(thermal image)を作り;次いで
    (iii)前記材料及び/またはその環境の温度変化を、サーマルイメージ検出器によって測定する各段階を含む。 このIRAは、これらの間のコントラストを高めるために材料だけにまたは材料の環境だけに添加するのが好ましい。

    このIRAは、固体形、溶液若しくは分散液、またはエーロゾルを形成するために気化若しくは噴霧化させて、目的の部位または画像形成するための部位に実質的に方向付けることができる。 そのような方向付けは、特定の目的部位に関してIRAの自然の親和性(natural affinity)によって実施しても、またはキャリヤを使用する場合には目標とされた画像プロセスによって実施することができ、これは抗体若しくは他の同様の系などのベクターを含むことができ、またIRAは目標領域に直接設置することができる。 あるいは、方向付けは、たとえば、IRAの固有の溶解性、pHまたは脂質/水区画を制御することによって目標領域に実質的に残存するように、IRAの移動性を制限することによって実施することができる。

    本材料は、ヒト若しくは動物の身体;植物若しくは他の草木(vegetation)、建物若しくは工業的構造物、自動車及び、航空移動における用途または支持体、たとえばぼろ紙、プリンター品質の紙、通貨グレードの紙、プラスチックコーティング化若しくはラミネート化紙、または書類若しくはパッケージング用に通常使用される他の支持体を含む紙などの任意の一部を含むことができる。

    入力エネルギーは、800nm〜1000nmの間の波長の電子エネルギーの放射線供給源が好ましい。 典型的な放射線供給源としては、近赤外線領域に実質的な部分をもつ発光スペクトルをもつ単純なハロゲンバルブ、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)及びIR半導体レーザー、たとえばGaAlAsレーザー(785nmでの発光)が挙げられる。 照射時間は、シグナルの強度に干渉する直接加熱をせずに、最適な画像を与えるように適切に選択することができる。

    サーマルイメージ検出器は、サーマル・イメージ・カメラ(たとえばThermaCAM:登録商標SC1000カメラ、FLIR Systems、Boston、USA製)などの材料及び/またはその環境の間またはその内部での熱エネルギーの差を検出し、且つ好ましくは記録し得る任意のデバイスであってもよい。 サーマル・イメージ・カメラは、1.5〜15ミクロン、より好ましくは3.4〜5ミクロンの間の波長の光に対して感受性の電荷結合素子(charge couple device:CCD)を含むのが好ましい。 画像操作及びデータ取り扱いは、Thermoteknix Systems Limited、Cambridge、UK製のTermagram(登録商標)PRO95ソフトウエアなどの適当なコンピューターソフトウェアを使用して実施する。

    IRAは、IRAと液体媒体とを含む組成物の形態で材料及び/またはその環境に好都合に添加する。 このIRAは液体媒体に溶解または分散することができる。 適切な液体媒体としては、水、水と有機溶媒との混合物、及び水を含まない有機溶媒が挙げられる。 水と有機溶媒との混合物中に含まれる有機溶媒は、水混和性の有機溶媒またはそのような溶媒の混合物であるのが好ましい。 好ましい水混和性の有機溶媒としては、アルコール類、より具体的にはメタノール、エタノール;ジメチルスルホキシド;環式アミド類、特に2-ピロリドン、N-メチルピロリドン及びN-エチル-ピロリドン;ジオール類、特に1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、チオジグリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;並びにジオール類のモノ-C 1-4 -アルキル及びC 1-4 -アルキル-エーテル類、より好ましくは、2〜12個の炭素原子をもつジオール類のモノ-C 1-4 -アルキルエーテル類、特に2-メトキシ-2-エトキシ-2-エトキシエタノールが挙げられる。

    (d)安全保障制度(セキュリティシステム)
    (i) リソグラフィック印刷用インク
    リソグラフィック印刷用インク用のインクビヒクルは、たとえばフェノール性またはマレイン酸-変性ロジンエステル樹脂上の利用可能なカルボキシル基にポリエポキシドをグラフト化することによって製造した架橋樹脂から誘導し、次いで少なくとも12個の炭素原子をもつ脂肪族アルコールで可溶化させることができる。

    このフェノール性またはマレイン酸-誘導ロジンエステル樹脂は、約1,500〜3,000の数平均分子量をもつのが好ましい。 このポリエポキシドはジエポキシドであるのが好ましく、より好ましくは芳香族または脂環式ジエポキシドであり、特にビスフェノールAジエポキシドが好ましい。 このポリエポキシドの分子量は560ダルトン以下が好ましく、100〜500ダルトンがより好ましく、特に300〜500ダルトンである。

    フェノール性またはマレイン酸-誘導ロジンエステル樹脂は、好ましくは、四つの成分、(a)ポリオール、(b)一塩基性脂肪族カルボン酸、(c)ロジン若しくは変性ロジン、及び(d)ポリカルボン酸及び/またはその無水物の反応生成物であるのが好ましい。 ポリオールは好ましくはチオールであり、例としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール及びヘキサントリオールがある。 好ましい一塩基性脂肪族カルボン酸は、約8個〜20個の炭素原子をもち、たとえばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸及び精製トールオイル脂肪酸がある。 好ましいロジン及び変性ロジンは、トールオイルロジン、ウッドロジン、水素化ロジン及び脱水素化ロジンから選択される。 ポリカルボン酸または無水物は、脂肪族または芳香族であってもよく、例としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水マレイン酸、イソフタル酸、フマル酸及びこれらの混合物が挙げられる。

    フェノール性またはマレイン酸-変性ロジン樹脂は、二段階プロセスによって製造することができ、第一の段階では、ポリオール、一塩基性脂肪族カルボン酸、及びロジンまたは変性ロジンを約250℃〜290℃の温度、好ましくは約260℃〜280℃の温度で反応させて、約1〜10の酸性度指数(acid number)とする。 第二段階では、ポリカルボン酸または無水物を添加し、反応を約150℃〜220℃、好ましくは約170℃〜200℃の温度で継続して、約20〜90、好ましくは約20〜50の酸性度指数とする。 その結果、一塩基性脂肪族カルボン酸基の全てとロジンカルボン酸基の殆どが約250℃〜290℃で反応し、懸垂基として芳香族カルボン酸を約150℃〜220℃で添加する。

    インク樹脂上にポリエポキシドをグラフトさせることによって得られたポリマー油状物を不溶性のままにし、これによってスクワレン(皮脂)耐性を促進し、優れたヒートセット乾燥(heatset drying)のために溶媒を放出させ易くする。 架橋樹脂はやや溶解しにくいので、少なくとも12個の炭素原子、好ましくは12〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜13個の炭素原子をもつ脂肪族アルコール、たとえばNeodol 23(Shell Oil Co.製)を配合することによって溶液中に保持する。

    高速のリソグラフィック・ウェブ印刷に必要なインクローラー安定性を達成するために、Magie 470及びMagie 500(Magie Brothers Oil Company、9101 Fullerton Ave.,Franklin Park, Ill製の炭化水素溶媒)などの高沸点石油蒸留液ワニス溶媒(high boiling petroleum distillate varnish solvent)も含有する。 この脂肪族アルコールは、溶媒中で樹脂を安定化させるために使用する。 溶解性のバランスが、熱乾燥プロセス及び紙への吸着の間にアルコールが幾らか蒸発することによって影響を受けると、樹脂は溶液から沈殿し、インクフィルムを乾燥して触れるようにする。 より多くのアルコールが蒸発すると、インクはより早く乾燥する。 アルコールの適正量は、印刷プロセスの間に乾燥せずにプレスの印刷ローラー内をインクが移動し且つ紙に印刷できるような量である。

    本発明のIRAは、但し前記化合物はテトラ-3-(4-メチルフェニルチオ)-テトラ-6-(NH-シクロヘキシル)VOPc、オクタ-3,6-(チオフェニル)VOPc、オクタ-3,6-(チオメチル)TiOPcでもオクタ-3,6-(チオエチル)VOPcでもないという条件なしで、このインクビヒクルに配合される、インクの総重量をベースとして約0.01%〜5.0重量%、好ましくは約0.1%〜3.0重量%のIRAは、支持体に適用した後、支持体を赤外線感受性検出器によって適切に照明を当てたときのみに見える、検出可能な赤外線吸収性インクを提供するだろう。

    インクが着色剤も含む場合、印刷されたパターンは視覚的に検出可能であるが、印刷された支持体は同様の方法で、IRAを含有しないインクで印刷した支持体と区別可能である。 この着色剤は、多様な慣用の有機または無機の顔料のいずれであってもよく、たとえばモリブデートオレンジ(molybdate orange)、チタンホワイト、フタロシアニンブルー、及びカーボンブラックがある。 着色剤の量は、インクの総重量をベースとして好都合には約5〜30重量%である。

    変性剤、たとえば可塑剤;着色剤用の湿潤剤;レベリング剤、たとえばラノリン、パラフィンワックス、及び天然ワックス;スリップ剤(slip agent)、たとえば低分子量ポリエチレン類及び微結晶質石油ワックスもインクに配合することができる。 そのような変性剤は、インクの総重量をベースとして約3重量%以下、好ましくは約1重量%を変動する量で使用する。 他の成分も慣用的にインク及びコーティングに使用して、接着性、強靱性を変性し、他の基本性質も使用することができる。

    リソグラフィック印刷用インクは、公知の分散方法に従って、混合及びフィルタープロセスなどによる、たとえばスリーロール・ミルなどの任意の好都合な方法で製造することができる。 インクは、任意の公知且つ慣用方法にて、支持体、好ましくは紙に適用することができる。

    (ii) 溶媒ベースのインクジェット印刷用(IJP)インク
    有機溶媒ベースのインクジェット印刷用インクのインクビヒクルは、好都合には、有機溶媒に溶解させた少なくとも一種の芳香族スルホンアミドまたはヒドロキシ安息香酸エステルを含むことができる。

    この芳香族スルホンアミドは、好ましくは所望により置換されたトルエンスルホンアミド、たとえばp-トルエンスルホンアミド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、N-ブチル-p-トルエン-スルホンアミド及びN-シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミドである。 この芳香族スルホンアミドは、好ましくは0.1〜40重量%の量で有機溶媒ベースのIJPインクに配合するのが好ましい。

    このヒドロキシ安息香酸エステルは、好ましくはアルキルエステル、特に6〜12個の炭素原子を含有するもの、たとえば2-エチルヘキシルp-ヒドロキシベンゾエート及びn-ノニルp-ヒドロキシ-ベンゾエートである。 ヒドロキシ安息香酸エステルは、0.1〜40重量%の量で有機溶媒ベースのIJPインクに配合するのが好ましい。

    芳香族スルホンアミド及びヒドロキシ安息香酸エステルは、高い極性をもっているので、非常に効果的に染料の結晶化を阻害する。
    インクの総重量をベースとして約0.01〜5.0重量%、好ましくは約0.1〜3.0重量%の量でこのインクに配合される溶媒溶解性IRAは、支持体に適用した後、その支持体を赤外線感受性検出器によって適切に照明を当てたときにだけ見られる、検出可能な赤外線吸収インクを提供する。

    インクが着色剤も含む場合、印刷したパターンは視覚的に検出可能であるが、印刷した支持体は、同様の方法でIRAを含まないインクで印刷した支持体とは区別することもできる。 着色剤は、このインクビヒクルに配合される有機溶媒に可溶な任意の染料または、上記芳香族スルホンアミド若しくはヒドロキシ安息香酸エステルであってもよい。 通常、有用な染料としては、アゾ染料、金属錯体塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インディゴ染料、カルボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン(perinone)染料、及びフタロシアニン染料が挙げられる。 これらの染料は独立してまたは組み合わせて使用することができる。 染料は、インクの総重量をベースとして0.1〜10重量%の量で、好ましくは0.5〜5重量%の量でインクビヒクルに配合するのが好ましい。

    本発明のIJPインクで使用する有機溶媒のタイプは、幾らか特定の染料または染料混合物に依存する。 しかしながら、殆どの染料は極性であるので、高極性溶媒は良溶媒として機能し、極性の高くない溶媒は貧溶媒として機能する。 従って、染料を溶解する高い能力をもつ高極性溶媒が、IJPインクの製造には好ましい。 しかしながら、極性の低い溶媒も芳香族スルホンアミド若しくはヒドロキシ安息香酸エステルと混合、またはより高い極性の溶媒と組み合わせれば、使用することもできる。 IJPインクで使用し得る有機溶媒の具体例としては、脂肪族炭化水素類;ナフテン性炭化水素類;芳香族炭化水素類、たとえば一若しくは二置換アルキルナフタレン類、ビフェニル類、キシリルエタン及びフェネチルクメンのアルキル誘導体;グリコール類;グリコール類のモノ-若しくはジ-アルキルエーテル類及びグリコール類のエステル類;脂肪酸及びそのエステル類;含窒素化合物、たとえばアミド及びピロリドン化合物が挙げられる。 しかしながら、これらはIJPインクの製造に使用し得る有機溶媒の唯一の例ではないことは留意すべきである。

    沸点が高ければ高いほど、蒸発が少ないということ及び乾燥速度の観点から、溶媒にはより都合がよい。 しかしながら、高い沸点をもつ溶媒は、円滑に放出させるのが困難な粘稠なインクを製造する傾向がある。 他方、低い沸点をもつ溶媒は、ノズルオリフィスで早く乾燥しすぎるインクを製造する。 従って、所望の粘度及び沸点をもつ適切な溶媒は、インクの乾燥を防ぐためにプリントヘッドによって採用される尺度に鑑みて選択すべきである。

    (iii) グラビア/凹版模様印刷用インク
    凹版模様(intaglio)印刷用の適切なグラビアインクは、樹脂及び揮発性溶媒、好ましくは酸化防止剤または酸化防止剤組成物から構成されるインクビヒクル中に分散された微粉砕顔料を含む。

    輪転グラビアインク用の樹脂の選択は、溶媒及び印刷すべき支持体並びに印刷物の最終用途に依存する。 グラビアタイプのものを含む、インク製造に適切な樹脂の詳細な例は、いずれも本明細書中、参照として含まれる、“Synthetic Resins”、Werner Husen著、The American Ink Maker、1952年6月、63頁及び“Synthetic Resins for Inks”、John P.Petrone著、The American Ink Maker、第49巻、1971年3月〜10月に述べられている。 有用な樹脂としては、ロジン及び変性ロジン類、たとえばカルシウム及び亜鉛樹脂酸塩(resinate)及びこれらの変異形が挙げられる。 他の適切な樹脂としては、
    (a)石油樹脂またはシクロペンタジエン樹脂の種々の変性品、これらの例は、本明細書中、その開示が参照として含まれる米国特許第3,084,147号及び英国特許第1,369,370号に知見される;並びに
    (b)日本特許第47994/72号に記載のごとき、安定な粘度と優れた印刷性を誘導し得る能力を持つ、軟化点145℃の変性樹脂(この変性樹脂は、石油の熱分解から得られる分解油から140℃〜220℃の沸点の留分を集め、フリーデル-クラフツ触媒を使用して留分を重合して、軟化点160℃の樹脂を得、この樹脂を不飽和カルボン酸またはその無水物と、樹脂100グラム当たり0.01〜0.4モルの量で反応させ、次いで上記不飽和カルボン酸または無水物1モル当たり0.2〜2.0モルの量で一価アルコールを使用して得られた樹脂をエステル化することによって得られる)が挙げられる。

    この揮発性溶媒成分は、脂肪族若しくは脂環式炭化水素、たとえばヘキサン、ヘプタン及びシクロヘキサンまたは芳香族炭化水素、たとえばキシレン、トルエン(たとえば、トルソール:tolusol 25)、高フラッシュ(high flush)ナフサ、ベンゼン及びクロロベンゼンであってもよい。 他の溶媒としては、C 1-4 -アルカノール類、C 1-5 -アルカノール類のアセテート、115℃〜180℃のBPをもつグリコールエーテル類、C 1-5 -脂肪族ケトン類及びシクロヘキサノンが挙げられる。 樹脂は溶媒に可溶性で且つ、これらから分離が容易でなければならない。 グラビアインクの乾燥は溶媒の蒸発に起因するので、インクビヒクルは本質的に樹脂と溶媒である。 樹脂及び溶媒の特定の組み合わせに依存して、種々のタイプのビヒクルを使用することができる。

    好ましい酸化防止剤はフェノール性若しくはアミン酸化防止剤であり、好ましい酸化防止剤組成物は、フェノール性酸化防止剤とアミン酸化防止剤との混合物である。 好ましい酸化防止剤組成物は、フェノール性酸化防止剤を約10〜約90重量%、より好ましくは約25〜約75重量%含み、アミン酸化防止剤を約90〜10重量%、より好ましくは約75〜25重量%含む。

    適切なアミン酸化防止剤としては、オクチル化ジフェニルアミン、イソプロポキシジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンとのアルドール-α-ナフチルアミン縮合生成物、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、フェニル-β-ナフチルアミン、重合化1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、N,N'-ジ(2-オクチル)-p-フェニレンジアミン、他の芳香族アミン類、ジフェニルアミン類及びこれらの混合物が挙げられる。 適切なフェノール性酸化防止剤としては、4,4'-イソプロピリデン-ジフェノール、スチレン化フェノール、ヒンダードフェノール、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、p-ブチルフェノール、p-(i-プロピル)フェノール、2,4-ジメチル-6-オクチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチル-フェノール)、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、n-オクタデシル-ベータ(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、これらの混合物などが挙げられる。 好ましいフェノール性酸化防止剤は、立体的に混み合ったフェノール類である。

    酸化防止剤または酸化防止剤の組成物を含む凹版模様印刷用インクは、慣用法にて製造することができる。 たとえば、樹脂100重量部と、酸化防止剤または酸化防止剤の組成物1重量部とを高沸点石油溶媒200重量部以下に溶解させて、インクビヒクルを製造する。 好ましい溶媒、たとえばトルエン70重量%、キシレン4重量%とラクトール蒸留分(lactol spirit)26重量%との混合物は、(35〜45のカウリブタノール値:Kauri butanol valueをもつ脂肪族溶媒と対照的に)約105のカウリブタノール値をもつ。

    インクの総重量をベースとして約0.01〜5.0重量%、好ましくは約0.1〜3.0重量%の量で分散液としてこのインクビヒクルに配合されるIRAは、支持体に適用した後に、この支持体を赤外線感受性検出器によって適切に照射したときにのみ支持体が見られる、検出可能な透明な赤外線吸収性インクを提供する。

    インクが色素性着色剤も含有する場合、印刷されたパターンは視覚的に検出可能であるが、印刷された支持体(被印刷物)は、同様の方法でIRAを含まないインクで印刷された支持体と区別することもできる。

    IRAまたは色素性着色剤(たとえば、フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー、チャンネルブラック、カーマイン6Bまたはチタンホワイト)をインクビヒクルに、好ましくは分散液として添加し、この混合物をボールミルに設置し、インクビヒクル中に顔料の均一な分散液が得られるまで粉砕する。 得られたインク濃縮物は、追加の溶媒で続いて希釈して、印刷操作で使用するために適当な濃度にすることができる。

    凹版模様印刷用の典型的なグラビアインク組成物は、インクの総重量をベースとして酸化防止剤組成物約0.005〜0.5重量%、樹脂約10〜50重量%及びIRA約0.01〜約5.0重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%及び/または、樹脂100部当たり色素性着色剤約50〜100部を含み、残余は、トルエン、キシレン及びラクトール蒸留分などの炭化水素溶媒の混合物から本質的になる。 使用時点でのインクの粘度は、好ましくは5ポイズ以下が好ましく、0.5〜1.0ポイズがより好ましい。 使用する酸化防止剤組成物の量は、インクの総重量をベースとして0.005〜0.5重量%が好ましく、より好ましくは0.025〜0.5重量%を変動する。

    印刷適性、流動挙動及び顔料湿潤性(pigment wetting)を改善するために、他の添加剤も樹脂に関して1%〜15%(より好ましくは1重量%〜10重量%)の量で配合することができる。 ワックス、たとえばエステルワックス、アミドワックス、炭化水素ワックスは、0.1〜5重量%の量で添加することができる。 他の適合可能な添加剤、たとえばエチルセルロースまたはエチルヒドロキシセルロースを使用して、インクフィルム付着性、耐擦り傷性(scuff resistance)、光沢などを改善することができる。 印刷用インクは、可塑剤を用いずに使用するのが好ましいが、可塑剤は特別の効果を達成するために添加することができる。

    適切な支持体は、凹版模様印刷で慣用的に使用されるもの、たとえば紙、セロファン及び金属フィルム、たとえばアルミニウムフィルムがある。
    本発明を以下の実施例によって詳細に説明し、その中で全ての部及び割合は、他に記載しない限り「重量」による。 疑問を回避するために、本実施例は本発明の範囲を限定するものではない。

    前駆体の製造
    実施例A
    3,6-ビス(4'-メチルフェニルスルホニルオキシ)フタロニトリル

    p-トルエンスルホニルクロリド(25.80g,135mmol)をアセトン(75mL)中の2,3-ジシアノヒドロキノン(10.00g,62.5mmol)と炭酸カリウム(34.50g,250mol)の懸濁液に添加した。 フラスコの温度は急速に上昇し、2分後には安定化した。 この混合物を次いで還流するまで加熱し、2時間撹拌した。 TLC(溶出:CH 2 Cl 2 )により、全ての出発物質の2,3-ジシアノヒドロキノンが消費されたことが判明した。 この混合物を室温に放冷し、水(200mL)に注ぎ、この混合物を1時間撹拌した。 濾過によって表記化合物(生成物A)が無色固体として得られ、これをさらに水(〜30mL)で洗浄して吸引乾燥(pulled dry)した。 この固体をオーブン中で乾燥した(28.36g,97%)。 この物質をさらに精製せずに使用した。 [実測値:C,55.8%;H,3.3%;N,6.0%;S,13.5%;C 22 H 16 O 6 N 2 S 2の理論値:C,56.4%;H,3.4%;N,6.0%;S,13.7%];MS(EI + )468(M + ,80%),155(CH 3 C 6 H 4 SO 2 ,100%),91(CH 3 C 6 H 4 ,90%)。

    3,6-ビス(アリールチオ)フタロニトリル類の製造の一般的な方法
    DMF中のチオール(2当量)と炭酸カリウム(2当量)を室温で撹拌した。 次いでジトシル化ジシアノヒドロキノン(1当量)を少しずつ添加した。 次いでこの混合物を4時間撹拌した。 TLC(溶出:30%酢酸エチル:イソヘキサン)により、全ての出発物質のジトシル化ジシアノヒドロキノンが消費されたことが判明した。 次いでこの混合物を水(100mL)に注いだ。 この混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、有機抽出物を混合し、MgSO 4で乾燥し、濾過し濃縮すると半固体が得られた。 この粗な生成物は以下に記載の如く精製した。

    実施例B1
    3,6-ビス(4'-メチルフェニルチオ)フタロニトリル

    DMF(40mL)中の4-メチルチオフェノール(3.41g,27.5mmol)、炭酸カリウム(3.80g,27.5mmol)及びジトシル化ジシアノヒドロキノン(すなわち、生成物A)(5.00g,10.7mmol)を上記の如く反応させた。 この混合物を上記の如く単離すると、黄色固体が得られた。 この固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:5%〜10%〜30%酢酸エチル:イソヘキサン、最終的にジクロロメタン)により、黄色固体状の表記化合物が得られた(2.07g,52%)。 [実測値:C,69.9%;H,4.4%;N,7.3%;S,16.9%;C 22 H 16 N 2 S 2の理論値:C,70.9%;H,4.3%;N,7.5%;S,17.2%];MS(El + )372(M + ,100%),357(M-CH 3 ,5%),123(CH 3 C 6 H 4 S,15),91(CH 3 C 6 H 4 ,15)。

    実施例B2
    3,6-ビス(4'-(プロプ-2"-イル) フェニルチオ)フタロニトリル

    DMF(40mL)中のプロプ-2'-イルチオフェノール(5.0g,32.9mmol)、炭酸カリウム(2.27g,16.4mmol)及びジトシル化ジシアノヒドロキノン(7.70g,16.4mmol)を上記の如く反応させた。 この混合物を上記の如く単離すると、黄色固体が得られた。 この固体を酢酸エチルから再結晶により精製すると、黄色固体状の表記化合物が得られた(2.07g,52%)。 [実測値:C,72.5%;H,4.8%;N,6.5%;S,14.9%;C 26 H 24 N 2 S 2の理論値:C,72.8%;H,5.6%;N,6.5%;S,15.0%];MS(El + )428(100%,M + ),413(M-CH 3 ,94)。

    実施例B3
    3,6-ビス(4'-ナフタレン-2"-チオ)フタロニトリル

    DMF(120mL)中のナフタレン-2-チオール(27.90g,174mmol)、炭酸カリウム(24.00g,174mmol)及びジトシル化ジシアノヒドロキノン(40g,85mmol)を上記の如く反応させた。 この混合物を上記の如く単離すると粗な生成物が得られた。 この固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:30%〜50%〜70%ジクロロメタン:イソヘキサン、最終的にジクロロメタン)で精製すると、オフホワイト固体状の表記化合物(2.07g,4.7mmol,5%)が得られた。 [実測値:C,75.3%;H,3.5%;N,6.2%;S,14.3%;C 28 H 16 N 2 S 2の理論値:C,75.6%;H,3.6%;N,6.3%;S,14.4%];MS(El + )444(M + ,100%)。

    実施例B4
    3,6-ビス(フェニルチオ)フタロニトリル

    DMF(80mL)中のチオフェノール(11.75g,107mol)、炭酸カリウム(14.74g,107mol)及びジトシル化ジシアノヒドロキノン(25.00g,53.0mmol)を上記の如く反応させた。 水(100mL)を添加して、この混合物を1時間撹拌して、次いで濾過した。 フィルターケーキをフラッシュカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:10%〜30%酢酸エチル:イソヘキサン)で精製すると、黄色固体状の表記化合物(5.53g,16.1mmol,52%)が得られた。 [実測値:C,69.6%;H,3.5%;N,8.2%;S,18.3%;C 20 H 12 N 2 S 2の理論値:C,69.8%;H,3.5%;N,8.1%;S,18.6%];MS(El + )344(M + ,100%)。

    実施例B5
    3,6-ビス(2'-メチルフェニルチオ)フタロニトリル

    DMF(75mL)中の2-メチルチオフェノール(10.60g,85.5mmol)、炭酸カリウム(11.82g,82.0mmol)及びジトシル化ジシアノヒドロキノン(20.00g,42.7mmol)を上記の如く反応させた。 この混合物を上記の如く単離すると、黄色油状物が得られた。 この物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離:10%酢酸エチル:イソヘキサン)で精製すると、黄色固体状の表記化合物(8.85g,23.8mmol,42%)が得られた。 [実測値:C,70.7%;H,4.6%;N,7.5%;S,17.2%;C 22 H 16 N 2 S 2の理論値:C,70.9%;H,4.3%;N,7.5%;S,17.2%];MS(EI + )372(M + ,100%),357(M-CH 3 ,8),339(20)。

    実施例B6
    3,6-ビス(2'-クロロフェニルチオ)フタロニトリル

    DMF(80mL)中の2-クロロチオフェノール(12.50g,86.5mmol)、炭酸カリウム(11.94g,86.5mmol)、及びジトシル化ジシアノヒドロキノン(20.36g,43.5mmol)を上記の如く反応させた。 水(100mL)を添加し、この混合物を1時間撹拌し、次いで濾過した。 フィルターケーキをフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離:30%酢酸エチル:イソヘキサン)で精製すると、黄色固体状の表記化合物が得られた(5.53g,13.4mmol,31%)。 [実測値:C,58.1%;H,2.7%;N,6.9%;S,15.4%;Cl,16.6%;C 20 H 10 N 2 S 2 Cl 2の理論値:C,58.1%;H,2.4%;N,6.8%;S,15.5%;Cl,17.2%];MS(El + )412(M + ,100%)。

    ジリチウムフタロシアニン類の製造
    ジリチウムオクタ-3,6-(アリールチオ)フタロシアニン類の製造の一般的な手順
    金属リチウム(パラフィン油中に浸漬させておいた一片から取り出した)(0.5当量)を、3-メチルブタノール(イソペンタノール)を含むフラスコに添加し、全ての金属リチウムが反応するまで撹拌した。 次いで3,6-チオアリール置換フタロニトリル(1当量)を添加し、この混合物を120℃で18時間加熱した。 メタノール(100mL)を次いで添加し、この混合物を1時間撹拌した。 次いでこれを濾過し、ケーキをもう少しのメタノールで洗浄し、吸引濾過して生成物を乾燥した。 次いでこれらの材料はさらに精製することなく使用した。

    実施例C1
    ジリチウムオクタ-3,6-(4'-メチルフェニルチオ)フタロシアニン
    3-メチルブタノール(50mL)中の金属リチウム(0.14g,20.0mmol)、3,6-ビス(4'-メチルフェニルチオ)フタロニトリル(実施例B1)(15.0g,40.3mmol)を上記の如く一緒に反応させ、単離すると、緑-茶色固体状の表記化合物が得られた(11.46g,7.63mmol,76%)。

    実施例C2
    ジリチウムオクタ-3,6-(4'-(プロプ-2"-イル)フェニルチオ)フタロシアニン
    3-メチルブタノール(15mL)中の金属リチウム(0.04g,5.84mmol)、3,6-ビス(4'-メチルフェニルチオ)フタロニトリル(実施例B2)(5.0g,11.68mmol)を上記の如く一緒に反応させ、単離すると、緑-茶色固体状の表記化合物が得られた(3.20g,1.85mmol,63%)。

    実施例C3
    ジチリウムオクタ-3,6-(2'-ナフタレンチオ)フタロシアニン
    3-メチルブタノール(イソペンタノール)(50mL)中の金属リチウム(0.008g,1.14mmol)、3,6-ビス(2'-ナフタレンチオ)フタロニトリル(実施例B3)(1.0g,2.25mmol)を上記の如く一緒に反応させ、単離すると、緑-茶色固体状の表記化合物が得られた(0.60g,0.34mmol,60%)。

    実施例C4
    ジリチウムオクタ-3,6-(フェニルチオ)フタロシアニン
    3-メチルブタノール(40mL)中の金属リチウム(0.14g,20.0mmol)、3,6-ビス(フェニルチオ)フタロニトリル(実施例B4)(13.76g,40.0mmol)を上記の如く一緒に反応させ、単離すると、緑-茶色固体状の表記化合物が得られた(11.18g,8.0mmol,80%)。

    実施例C5
    ジリチウムオクタ-3,6-(2'-メチルフェニルチオ)フタロシアニン
    3-メチルブタノール(25mL)中の金属リチウム(0.08g,11.5mmol)、3,6-ビス(2'-メチルフェニルチオ)フタロニトリル(実施例B5)(8.56g,23.0mmol)を上記の如く一緒に反応させ、単離すると、緑-茶色固体状の表記化合物が得られた(6.37g,4.2mmol,73%)。

    実施例C6
    ジリチウムオクタ-3,6-(2'-クロロフェニルチオ)フタロシアニン
    3-メチルブタノール(25mL)中の金属リチウム(0.07g,10.0mmol)、3,6-ビス(2'-クロロフェニルチオ)フタロニトリル(実施例B6)(8.26g,20.0mmol)を上記の如く一緒に反応させ、単離すると、緑-茶色固体状の表記化合物が得られた(6.60g,4.0mmol,80%)。

    オキサメチルフタロシアニンの製造
    バナジルオキシフタロシアニン類の形成の一般的な方法
    キノリン中のジリチウムフタロシアニン(1当量)及び三塩化バナジウム(1当量)を200℃に加熱した。 2時間後、この混合物をUV/可視分光法により分析した。 さらに三塩化バナジウム(2当量以下)を添加し、この混合物を、UV/可視分光法で測定した際に、生成物のピーク波長における吸収が最大に到達するまで、200℃に保持した。 この反応混合物を室温に放冷した。 次いで物質を以下に記載の二つの方法(A及びB)の一方により単離した。

    単離方法A
    ジクロロメタン(100mL)をこの反応混合物に添加し、次いで反応混合物を濾過した。 濾過した溶液を水(100mL)に注ぎ、有機層を分離した。 水性層をジクロロメタンで抽出した(3×30mL)。 メタノールを添加し(50mL)、ジクロロメタンをロータリーエバポレーターにより除去した。 次いでこの混合物を濾過し、洗浄液が無色になるまでさらにメタノールで洗浄した。 次いでフィルターケーキを吸引乾燥すると、生成物が得られた。

    単離方法B
    メタノールを反応混合物に添加して、1時間撹拌した。 次いでこの混合物を濾過し、洗浄液が無色になるまでさらにメタノールで洗浄した。 次いでフィルターケーキを水及びメタノールの順で洗浄し、吸引乾燥した。

    実施例D1
    バナジルオキシオクタ-3,6-(4'-メチルフェニルチオ)フタロシアニン
    キノリン(60mL)中のジリチウムオクタ-3,6-(4'-メチルフェニルチオ)フタロシアニン(実施例C1)(10.0g,6.66mmol)及び三塩化バナジウム(2.10g,13.4mmol)を上記の如く一緒に反応させた。 方法Aにより単離すると、濃い紫/黒色固体状の表記化合物が得られた(5.92g,3.81mmol,57%)。 MS(FAB + )1556(MH + );UV/VIS溶液λ max 851nm,ε molar 163000。

    次いでこの材料をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出:CH 2 Cl 2 )で精製した。 UV/VIS溶液λ max 851nm,ε molar 174356;紙λ max 872nm。 溶液λ maxデータは、ジクロロメタン中の物質の溶液を利用して記録した。 この紙λ maxは、物質を紙の上にコーティングした後に記録した。 この物質は、ジクロロメタン中0.4%w/v溶液によって一般的な事務用紙上にグラビアコーターを使用してコーティングした。

    実施例D2
    バナジルオキシオクタ-3,6-(4'-(プロプ-2"-イル)フェニルチオ)フタロシアニン
    キノリン(30mL)中のジリチウムオクタ-3,6-(4'-(プロプ-2"-イル)フェニルチオ)フタロシアニン(実施例C2)(3.00g,1.74mmol)及び三塩化バナジウム(0.55g,3.5mmol)を上記の如く一緒に反応させた。上記方法Aにより単離すると、濃い紫/黒色固体状の表記化合物が得られた(2.00g,1.12mmol,65%)。MS(MALDI + )1781(M + H + );UV/VISλ max 851 nm。

    この物質を次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離:CH 2 Cl 2 )により精製した。 UV/VIS溶液λ max 851nm,ε moler 185968;紙λ max 862nm。

    実施例D3
    バナジルオキシオクタ-3,6-(2'-ナフタレンチオ)フタロシアニン
    キノリン(5mL)中のジリチウムオクタ-3,6-(2'-ナフタレンチオ)フタロシアニン(実施例C3)(0.20g,0.11mmol)及び三塩化バナジウム(0.02g,mmol)を上記の如く一緒に反応させた。 方法Aにより単離すると、濃い紫/黒色固体状の表記化合物が得られた(0.13g,0.07mmol,62%)。 MS(MALDI + )1845;UV/VISλ max 845nm。

    次いでこの物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離:CH 2 Cl 2 )により精製した。 UV/VIS溶液λ max 845nm,ε molar 182171;紙λ max 861nm。

    実施例D4
    バナジルオキシオクタ-3,6-(フェニルチオ)フタロシアニン
    キノリン(50mL)中のジリチウムオクタ-3,6-(フェニルチオ)フタロシアニン(実施例C4)(11.12g,8.0mmol)及び三塩化バナジウム(2.52g,16mmol)を上記の如く一緒に反応させた。 方法Bにより単離すると、濃い紫/黒色固体状の表記化合物が得られた(10.55g,7.3mmol,93%)。 MS(MALDI + )1444(MH + );UV/VISλ max 843nm,ε molar 155851。

    次いでこの物質をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離:CH 2 Cl 2 )。 UV/VIS溶液λ max 843nm,ε molar 167416;紙λ max 857nm。

    実施例D5
    バナジルオキシオクタ-3,6-(2'-メチルフェニルチオ)フタロシアニン
    キノリン(30mL)中のジリチウムオクタ-3,6-(2'-メチルフェニルチオ)フタロシアニン(実施例C5)(6.31g,4.2mmol)及び三塩化バナジウム(1.32g,8.4mmol)を上記の如く一緒に反応させた。 方法Bにより単離すると、濃い紫/黒色固体状の表記化合物が得られた(6.40g,4.1mmol,98%)。 MS(MALDI + )1556(MH + );UV/VISλ max 851nm,ε molar 156872。

    次いでこの物質をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(溶離:CH 2 Cl 2 )。 UV/VIS溶液λ max 851nm,ε molar 173363;紙λ max 865nm。

    実施例D6
    バナジルオキシオクタ-3,6-(2'-クロロフェニルチオ)フタロシアニン
    キノリン(30mL)中のジリチウムオクタ-3,6-(2'-クロロフェニルチオ)フタロシアニン(実施例C6)(6.50g,3.9mmol)及び三塩化バナジウム(1.23g,7.8mmol)を上記の如く一緒に反応させた。 方法Bにより単離すると、濃い紫/黒色固体状の表記化合物が得られた(7.10g,3.7mmol,95%)。 MS(MALDI + )1720(MH + );UV/VISλ max 829nm,ε molar 145424。

    次いでこの物質をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(溶離:CH 2 Cl 2 )。 UV/VIS溶液λ max 829nm,ε molar 168842;紙λ max 840nm。
    この材料のUV/VISスペクトルデータを以下の表にまとめる。

    代替製造方法
    実施例E1
    オクタ-3,6-クロロジヒドロフタロシアニン
    1,2,4-トリクロロベンゼン(180mL)中の3,6-ジクロロフタル酸無水物(48.8g,225mol)、尿素(66.6g,1110mol)及びアンモニウムモリブデート(0.2g,1.02mmol)を155℃に3時間加熱した。 アンチモン(10.3g,85mmol)と塩化アンモニウム(13.54g,253mmol)を次いで添加した。 次いでこの混合物を200℃に加熱し、この温度で6時間撹拌した。 次いでこの混合物を室温に放冷した。 次いでエタノール(200mL)を添加し、混合物を1時間還流下で撹拌した。 混合物を濾過し、次いで濾過した固体を繰り返し還流エタノール(300mL)に添加し、濾過した(2回)。 次いで固体物質を濃HCl(100mL)に繰り返し添加し、濾過した(2回)。 この固体を最終的にさらにエタノール(200mL)に添加し、濾過し、オーブン乾燥すると、青い固体状の生成物が得られた(18.2g,23mmol,41%)。

    実施例E2
    オクタ-3,6-(4-メチルフェニルチオ)ジヒドロフタロシアニン
    キノリン(15mL)中の4-メチルチオフェノール(5.21g,42mmol)及び水酸化カリウム(2.35g,42mmol)を120℃に30分間加熱した。 オクタ-3,6-クロロジヒドロフタロシアニン(実施例E1の生成物)(3.30g,4.2mmol)を次いで添加し、この混合物を170℃で1.5時間加熱した。 この混合物を室温に放冷した。 メタノール(30mL)を添加し、この混合物を30分間撹拌し、次いで濾過し、少しのメタノールで洗浄した。 濾過した固体を水(50mL)と撹拌し、濾過し、メタノール洗浄し、吸引乾燥した。 ソックスレー抽出(CH 2 Cl 2 )により、濃縮後に茶色固体状の表記化合物が得られた(3.37g,2.3mmol,55%)。 この金属を含まないフタロシアニンは、当業界で公知の方法によりメタロキシ含有種に転換させることができる。 たとえばオクタ-3,6-(4-メチルフェニルチオ)-H 2 Pcは、VMNegrimovskii,M.Bouvet,EALuk'yanets及びJ.Simon(J.Porphyrins Phthalocyanines,4巻,248頁、[2000年]を参照されたい)の方法を使用して、リチウム類似物オクタ-3,6-(4-メチルフェニルチオ)-Li 2 Pcに転換可能で、その後、上記実施例D1〜D6の方法によりバナジルオキシ類似体に転換可能である。

    実施例F
    チタニルオキシオクタ-3,6-(4'-メチルフェニルチオ)フタロシアニン
    チタニルオキシオクタ-3,6-(4'-メチルフェニルチオ)フタロシアニンに関して例示した、以下の方法を使用して、類似のチタニルオキシフタロシアニン類を製造することができる。

    1-オクタノール(5mL)中の3,6-ビス(4'-メチルフェニルチオ)フタロニトリル(1.0g,2.69mol)、チタニウム(IV)ブトキシド(0.23g,0.68mmol)及び尿素(0.16g,2.60mmol)を窒素下、150℃で13時間加熱した。 この混合物を放冷し、次いでメタノール(20mL)を添加し、この混合物を還流下2時間加熱した。 この混合物を放冷し、ブフナー漏斗で濾過し、メタノール洗浄し、吸引乾燥した。 次いで固体を水(20mL)を含む容器に添加し、45分間撹拌した。 次いでこの混合物をブフナー漏斗で濾過し、水及びメタノール洗浄し、吸引乾燥した(0.77g,0.49mmol,73%)。

    MS(MALDI + )1553(MH + )。
    次いでこの材料をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(溶離:CH 2 Cl 2 )。 UV/VIS溶液λ max 850nm,ε molar 171876;紙λ max 873nm。

    耐光堅牢度の評価
    実施例1
    本発明の化合物の耐光堅牢度を、欧州特許第0155780号の5頁のリストに開示の最も近い公知の従来化合物、オクタ-3,6-(4-t-ブチルフェニルチオ)-VOPcの耐光堅牢度と比較した。

    試験画像は、グラビアプリンターを使用して紙にコーティングすることにより、それぞれIRAの0.4%w/vジクロロメタン溶液から製造し、それぞれの画像に対してOD0.6を与えた。 退色実験は、AtlasCi5000ウェザロメーター(温度:63℃、湿度:40%)で実施した。 積分球デバイスを備えたパーキン-エルマー・ラムダ19UV/Vis/NIR分光器を使用して、24時間暴露前後における吸収スペクトルを測定し、それぞれの化合物に関して退色の程度(λ maxにおける元の吸収と、暴露24時間後の吸収との差の元の吸収の割合として)を表1に列記する。

    表1から、本発明の化合物は非常に優れた耐光堅牢度を示すことが分かる。

    熱安定性の評価
    実施例2
    本発明の化合物の熱安定性を、実施例1で使用した同一の従来化合物の熱安定性と比較した。

    熱重量分析を室温から450℃まで10℃/分でそれぞれのサンプルを加熱することによってパーキン-エルマーTGA7アナライザーで実施し、それぞれの化合物の熱分解の開始点に関するトリガーポイント(trigger point)を以下の表2に列記する。

    本発明を含むインク配合物の実施例
    以下のインク配合物は機密印刷インキ(security printing ink)で使用することができる。

    本発明を含む機密用トナーの実施例
    本発明の物質は、フラッシュ定着(flush fusion)及び機密特性の両方用のトナー中で赤外線吸着成分として使用することができた。

    トナーは、バインダー樹脂としてたとえば、スチレン-アクリルコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリエステル類及び炭化水素樹脂などの一種以上のポリマーを含むことができる。 種々の分子量のポリマーを使用して分子量分布及びトナーの溶融レオロジー特性を制御する場合には、ポリマーの混合物を使用することができる。 トナーは顔料または染料などの着色剤も含むことができる。 磁性顔料(magnetic pigment)も使用することができる。 電荷制御剤(charge control agent)をトナーに、内部的またはトナー表面に添加することができる。 典型的な電荷制御剤としては、金属錯体(たとえば、金属はZn、Al、FeまたはCrである)及びポリマー材料(たとえばフェノール性ポリマー)が挙げられる。 ワックスは溶融ローラーから剥がし易くするためにトナーに配合することができる。 そのようなワックスとしては、炭化水素ワックス(たとえばパラフィンワックス、ポリエチレン若しくはポリプロピレンワックス、または一酸化炭素と水素とから製造したワックス、たとえばFischer-Tropschワックス)、天然製品のワックス(たとえばカルナウバワックス)または合成エステル若しくはアミドワックスが挙げられる。 トナーは流動性(flow)、電荷性能または移動特性を制御するために表面に添加剤を含むことができる。 そのような添加剤は、無機材料、たとえばシリカ、チタニア及びアルミナ、またはポリマー粒子を含むことができる。

    慣用法で製造したトナー:

    本発明の物質は、化学的に製造したトナーの赤外線吸着成分として使用することができた。

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